【モバマス×龍虎の拳外伝】不破・茜「うおおおおおおおおお!!」

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136 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 10:24:10.80 ID:h6TULfWn0
3日後
山中


不破「……」
シュザッ

影二「ふん……てっきり怖気づいて現れぬものと思っていたわ」

不破「……」

影二「……どうやら覚悟は出来ているようだな」

137 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 10:28:00.16 ID:h6TULfWn0
影二「ふん、ならば良い……これより貴様との決着を着けてやる」

不破「……応とも」
バッ

影二「……決着は、何れかの死。異論あるまいな」

不破「よかろう」

影二「ならば……往くぞ!不破!!」
ザッ

不破「では……参る」
138 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 10:39:10.38 ID:h6TULfWn0
不破「うおおおおおおお!!」
ブオン

影二「ふん、あいも変わらずの大振り!所詮阿呆は阿呆か!」
シュン

影二「ならば早々にケリを着けてやる……くらえ!」
ヒュン

影二「骨破斬り!!」
ブン

不破「ここだ!!」
ガシッ
139 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 10:43:44.72 ID:h6TULfWn0
影二「なに!?」

不破「ふん!」
ブン

影二「ぬっ!」
ブワッ

影二(拙者の攻撃を敢えて受け、投げるとは……!小癪な!)

影二(だが、地面に叩きつけるのではなく、宙に放り投げるとは、これならば受け身は容易い)
バッ
140 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 10:53:39.11 ID:h6TULfWn0
影二「存外器用な技を使うではないか!だが所詮は児戯……な!?」

影二(不破の姿が消えた!?馬鹿な、何処に……殺気!)
ブオン
ゴロゴロ


不破(忍隠れ)「……不可視の一撃を躱すとは……やるではないか」

影二「……言ったであろう、貴様の児戯など拙者には通じぬと」

影二(なるほど……先ほどの投げは拙者の目線を切らせるのが目的か……!その隙に姿を消す術を……!)
141 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 10:59:50.63 ID:h6TULfWn0
不破(忍隠れ)「ふん!!」
ブォン

影二(くっ……闘気によりおおよその位置は掴めるが、攻撃の挙動が見えん……)
ガッ


影二(……小賢しい!ならば、その小細工ごと切り裂いてくれる!!)
ピタ

不破(忍隠れ)(……動きが止まった?好機!)

不破(忍隠れ)「うおおおおおお!!真空斬首刀!」
グルグルグルグル
142 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:10:56.99 ID:h6TULfWn0
影二「……そこか!!見切ったわ!」
ガッ

影二「霞み斬り!!」
ブオォン

ズバ

不破「ぐわああああああ!!」
ブッシャアアアア
ドサァ

影二「ふははは!鉄をも切り裂く我が手刀の大袈裟斬り!さしもの貴様も耐えられまい!」
143 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:14:27.00 ID:h6TULfWn0
不破「ぐっ……」
ドクドク

影二「ふん……あれをまともに受けてまだ身体が動く貴様にはもはや呆れるが……今止めを刺してやろ……」
ガクッ

影二「……!?」

影二「な、なんだ……!?膝が……」
タラ

影二「……血だと?」
144 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:18:02.48 ID:h6TULfWn0
影二(ば、馬鹿な……!先ほどの奴のなまくら技が掠っていたか……!)

影二(しかし、掠った程度で膝にくる程とは……なんという膂力……!)

影二「……ふん、前回とは見違えるような踏み込みだな。貴様もあのアイドルと別れを告げて吹っ切れたか」

不破「……拙は……茜に別れを告げることは出来ていない」

影二「……なんだと?」
145 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:21:41.75 ID:h6TULfWn0
不破「前回貴様に良いようにやられ……一度は拙も茜との別れを決意し、距離を置いた」

不破「しかし、修行をしていても、彼奴の顔ばかりが浮かぶ」

不破「嘗てあれほど渇望した総帥の座や最強の称号を思い浮かべても、彼奴の顔をかき消してはくれぬ」

不破「いつからか、拙にとって彼奴は心を照らす太陽になっていたのだ……」

影二「……」
146 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:26:49.19 ID:h6TULfWn0
不破「……故に、拙は彼奴と約束した。必ず勝利し、生きて帰って来ると」

不破「その誓いが拙に踏み込む力を与える」

不破「この不破刃……嘗ては己が為だけにこの拳を振るってきた」

不破「だが今は、我が最愛の友との誓いを守るために闘う」

影二「守るため、だと?」



影二「―――――ふざけるな!!」
147 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:30:25.04 ID:h6TULfWn0
影二「何かを突き詰めるとは他を捨てるという事!」

影二(それを、守るためだと!?この不破刃という男が!?)

影二「他人への情を捨て去れなかった時点で貴様はそこまでの男だったと言う事!最早最強を目指すにすら値せぬ!!」

不破「……貴様も、まだ遅くはない。あの忍者娘の元へ……」

影二「黙れ!」
148 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:33:30.07 ID:h6TULfWn0
影二「貴様の妄言に付き合うのもここまでだ!全てまとめて切り裂いてくれる!」
ゴゴゴゴゴ


不破「この闘気……!来る……!」

影二「斬鉄波ぁーーー!!」
バシュウ

不破「……!うおおおおおおおお!」

不破「流影陣!!」
ズオオオ

カッ
149 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:37:59.74 ID:h6TULfWn0
影二「!?」

ズバァァァァン
影二「ぐわあああああ!!」
ドサァ

影二(なんだと……まさか……!)

影二(跳ね返された……!彼奴が……流影陣を……!)


不破「……跳ね返されたのを目で確認した瞬間、身体を捻って直撃を避けたか。凄い漢だ」
150 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:41:12.68 ID:h6TULfWn0
影二(ぐっ……馬鹿な……!あの密度の気弾は……例え拙者の流影陣でも、かき消す事は出来ても反射までは……能わぬ……!)


影二「おのれ、不破ァ……!」
ヨロヨロ

不破(だが……やはりダメージは激しいようだな……!)

不破(そして……それは拙も同じこと……出血が止まらぬ……!)
ドクドク

影二(く……!)
151 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:46:26.37 ID:h6TULfWn0
影二(こやつが斬鉄波の反射まで成しえた以上、遠距離からの攻撃は使えぬ……接近して[ピーーー]しかない)

影二(しかしこの恐ろしくしぶとい男を確実に仕留めるには生半可な技では能わぬ……奥義を使わざるを得ん)

影二(しかし、その為には必殺の間合いまで踏み込まねばならぬ……そう、その間合いはつまり奴にとっても必殺……!)

影二「……」
ジリ

不破(奴も解かっているようだな……お互い勝敗を決めるのは奥義しかないと)

不破(つまり次の激突で決着が着く……!)
152 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:51:58.31 ID:h6TULfWn0
影二「……」
ジリ

不破「……」
ジリ

影二「……よもや貴様にここまで追い詰められようとはな」

不破「……拙のみでは到達し得なかった。やはり下野して良かったと今では思う」

不破「様々な世界を見、闘い、そしてかけがえのない出会いがあった」

153 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:55:39.87 ID:h6TULfWn0
影二「……変わったな、不破」

影二「もし貴様が、もっと早くにあのアイドルに会ってさえいれば……或いは……」

不破「……あり得なかった未来を想像するのは不毛だ」

影二「……ふん、戯言よ。貴様に言われるまでもないわ」

影二「……」

不破「……」

影二「往くぞ!不破ァ!」

不破「来い!!影二ィ!!」
154 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 11:59:15.20 ID:h6TULfWn0
影二「ぬぅん!!」
グン
シュバババ

不破(……速い!)
グググ

影二「斬鉄蟷螂拳!!」
ズババババ

不破(直接乱打……!だが……まだ、遠い……!もっと引き付ける!!)

影二「ぬおおお!」
ガガガガガ
155 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 12:02:39.29 ID:h6TULfWn0
不破「……!」

不破「ここだ!!」
クワッ

不破「うおおおおおおおおおおお!闘神翔ォォォォ!!」
ズゴゴゴゴゴ

影二「ぐわああああああああああ!!!」
ズアアアアアアアア

不破「……!」

影二「……!」

不破(やった……か)
156 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 12:05:34.34 ID:h6TULfWn0
影二「……鬼の引き付け、見事よ」

不破「……!」

影二「だが、この間合いならば拙者もとっておきがある……!」
バサァ

不破「衣……!?……こ、これは……!」

ズバァ
ズバァ
ズバァ

ズバシュ
157 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 12:08:38.21 ID:h6TULfWn0
不破「―――――――」

影二「如月流裏奥義、闇狩り……」

影二「如月流開祖、斬鉄が使ったとされる秘奥義中の秘奥義……!修行を重ねたのは、お前だけでは無かったということだ……」

不破(……直前の乱打は囮か……拙の闘神翔の完全なる間合いの、ほんの僅かな前で止まりおった……)

不破「……見事よ。やはり先代が貴様を見込んだのは間違いではなかったということか……!」
ゴホッ

158 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 12:11:23.70 ID:h6TULfWn0
影二「……まだ口が利けるとはな。返す返すも驚くばかりだ」

影二「……不破流を名乗る如月流の抜け忍、不破刃。お命、頂戴する」
スッ

不破「……応」

不破(茜……すまん……約束、果たせそうもないようだ……)

不破(拙の事は忘れ、どこまでも駆け上がっていくが良い、茜……!お主は、凄い漢女(おとこ)なのだからな……!)

影二「……ぬぅん!」
ブン

ズドッ
159 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/21(水) 12:11:58.75 ID:h6TULfWn0
今日はここまで
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 12:35:33.79 ID:4sl9lwMDO
やはり駄目だったか…
必殺の頭突きさえ決まれば…
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 14:01:12.26 ID:7Dh+wMax0
果たして師範は ‥‥凄い思い出の漢。 で、終わらされてしまうのか?
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 14:11:30.60 ID:xXASKZai0
月華の潜在奥義まで出てきたか!
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/21(水) 15:28:36.04 ID:cjjn95op0
ちょくちょくアイマスクロスSSであるという事が抜けるw
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 19:18:56.36 ID:HoXGwbIA0
見方によってはクロスのおかげで、両忍者が只の強者から熱い心を持った強者になってるんだぜ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 19:54:16.23 ID:4sl9lwMDO
デレマスと龍虎の拳を組み合わせた全く新しいSSだからね
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 12:36:59.09 ID:ImBzMgwno
KOFでもあの奥義使ってたよな
いや懐かしいもの思い出した
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 14:18:09.26 ID:ZCsSlldnO
https://imgur.com/a/clz4c
すごい漢だ……
168 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 20:30:40.65 ID:aehGRKYJ0
シュザッ
影二「……」

リョウ「……影二!ってことは……不破は……」

影二「土産だ」
ポイッ

リョウ「……これは、不破の頭巾か……」

影二「不破流を名乗る不届き者は確かにこの如月影二が討ち取った」

リョウ「……日野さん……」

影二「……」

169 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 20:39:34.05 ID:aehGRKYJ0
数日後

ロバート「茜ちゃん……そない急いで出て行かんでも……ウチの事務所に居てくれててもええんやで?」

茜「ありがとうございます!!ですが、約束の日より数日経っても不破プロデューサーが現れない以上、こうしてはいられません!」

加蓮「茜……どうするつもりなの……?」

茜「不破プロデューサーを捜します!!だって約束したんです……ですからきっとどこかに不破プロデューサーはいるはずですから!!」
170 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 20:47:28.38 ID:aehGRKYJ0
茜「それに、なんだか不思議なんです……今でも時々、不破プロデューサーが近くにいるような気がするんです!!」

ロバート「……リョウ」

リョウ「……」


茜「それでは皆さん、本当にお世話になりました!!またお仕事で会いましょう!!」
ドドドドドドドド
171 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 20:52:48.49 ID:aehGRKYJ0
拓海「……走ってっちまったぜ」

美波「茜ちゃん……」


リョウ「……見送りも済んだ。さあ、みんな事務所の中に戻るんだ」

有香「で、でも……」

悠貴「坂崎さん……っ不破さんは……」


ロバート「……いいから、みんな事務所に戻るんや。レッスンが待っとるで」

加蓮「……」
172 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 20:57:13.97 ID:aehGRKYJ0
リョウ「……」

リョウ「……で、一体いつになったら会ってやるつもりなんだ、不破」

…………

不破(忍隠れ)「……むぅ」
スゥ
173 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 20:57:44.39 ID:aehGRKYJ0
リョウ「もう傷も癒えたんだろう……だったら……」

不破(……)

不破(あの最後の時……)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜
174 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 21:02:25.56 ID:aehGRKYJ0
影二「……不破流を名乗る如月流の抜け忍、不破刃。お命、頂戴する」
スッ

不破「……応」

影二「……ぬぅん!」
ブン

ズドッ


不破「……!」

不破(影二の手刀は、拙の頭巾のみを切り裂いた)
175 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 21:13:11.34 ID:aehGRKYJ0
影二「不破流、不破刃。ここに討ち取った」
スッ

不破「ば、馬鹿な……影二、どういうつもりだ」

影二「……今しがた宣言した通りだ。如月流を裏切り、不破流を名乗った愚かな男は今死んだ。今そこで横たわっている男はただのアイドルのプロデューサーだ」

影二「ただのアイドルのプロデューサーを殺める動機は拙者にはない……拙者の前に敵として立ち塞がらぬ限りはな」

不破「……影二、後悔するぞ……拙は傷が癒えれば再びお主をつけ狙うかもしれん」

影二「……その時は今度こそ命脈を絶つのみだ」
ザッザッザッザ


不破「……影二」
176 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 21:18:04.99 ID:aehGRKYJ0



影二「不破流を名乗る不届き者は確かにこの如月影二が討ち取った」

リョウ「……日野さん……」

影二「……」

影二「少し行った先にアイドルのプロデューサーを名乗る男が倒れている。もしまだ息があるようならば貴様が病院にでも連れて行ってやるがいい。その気があるならばな」

リョウ「……!影二、お前……」
177 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 21:24:00.54 ID:aehGRKYJ0
影二「勘違いするな、リョウ・サカザキ。我が忍術は天上天下において最強である。故に我を越えるもの、すべてを断つ」

影二「今は手負いの身故に引くが、次に会った時が極限流最後の日だ。覚えておけ」
シュザッ

リョウ「……変わったな、あいつも」

〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
178 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 21:24:57.30 ID:aehGRKYJ0
不破「……そうして生き延びたはいいが、拙は所詮敗れた身……」

不破「茜との約束は、『勝って』、生き延びたら、胸を張って会いに来るというもの」

不破「……正直、合わす面が無くてな……」

リョウ「……まぁあんたの気持ちもよくわかるが」
179 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 21:30:52.47 ID:aehGRKYJ0
リョウ「恐らく日野さんにとってはあんたが勝っていようが負けていようが些末事だろう」

リョウ「大事なのはあんたが生きて、自分に会いに来てくれる事……この一点に尽きるんじゃないか」

不破「……」

リョウ「まぁ、どうしても合わす面が無いってんなら、手を貸さんこともないが……」
ゴソゴソ

不破「……む?」
180 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 21:38:27.96 ID:aehGRKYJ0
墓地

影二「……先代、影二、ただいま戻りました」

影二「申し訳ございません……不破は仕留められませんでした……」

影二「……先代が亡くなられて以来、拙者は愛も情も捨て、ただ如月流の最強を証明するために闘ってきた」

影二「しかし……不破が見せたあの強さ……」

影二「……」
181 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 21:44:23.92 ID:aehGRKYJ0
忍「総帥……」
シュザ

影二「お主は……如月流の一門か」

忍「はい……先代が亡くなられたあの日に総帥が里を出て以来、ここに来られるののをお待ちしておりました」

影二「なに?」

忍「先代の遺言です……ご自身が死した後、総帥にこれを渡すようにと」

影二「これは……文と、……古い書状?」
ピラ
182 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 21:53:03.07 ID:aehGRKYJ0
影二へ

思えばお主を次期総帥に推薦してからというもの、お主は気負うあまりに技への、強さへの探求のみに没頭するようになった。

そう教えてきたのは儂だった……捨て子であったお主を拾い、忍として育てると決めたあの日から。

しかし、最強への道を追求するあまり、それ以外のものを顧みなくなっていくお主を見ていて、儂は後悔していた。


影二(……なにを仰います。最強への飽くなき執念……それこそが如月流の命題ではありませぬか)
183 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 21:59:41.66 ID:aehGRKYJ0
影二、お前に話をしなければならなかった事がある。

本当ならば儂が直接お主に話さねばならなかった事だが、このような形になってしまい、申し訳ない。

如月流の開祖、斬鉄についてだ。

我らが使う如月流……その源流は遥か昔に遡るとされるが、これを流派として確立したのが幕末に生きた忍、斬鉄。

その技と最強の称号を求め続ける志……これは初代から連綿と受け継がれ続けている。

記録にも残る通り、斬鉄はその敵対する相手を悉く斬り、その生涯を閉じる寸前まで闘っていたという。


影二(そう……その初代斬鉄の志こそが正に如月流の志そのものではありませぬか)
184 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 22:04:16.19 ID:aehGRKYJ0
だが初代は決して愛や情を持たなかった訳ではない。

影二「なに……?」

初代には一人の娘と、孫がいた。

初代は行方不明になる直前……その技を自身の孫に伝えている。

その孫こそ二代目斬鉄……この孫を初代は溺愛していたようで、そういった書状もこうしていくつか残っている

そして、娘宛てに残されていた手紙も。

影二「……」
ピラッ
185 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 22:09:16.45 ID:aehGRKYJ0
影二「……!」
ハッ

影二「……この娘の、名……!」

忍「……大変ご無礼とは存じながら、我ら如月流一門、総帥が里を出られた後もその動きを追わせて頂いておりました」

忍「当然、総帥がアイドルをプロデュースしていたことも、その名も」

影二「……」
186 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 22:13:35.14 ID:aehGRKYJ0
忍「まぁ単なる偶然ですが、縁があるとは思いませぬか」

忍「如月流初代斬鉄の一人娘にして、二代目斬鉄の母親……如月流の歴史を語るにおいて、決して欠かせぬその女子の名は……あやめ」

影二「……あやめ……!」



守るべき、愛すべき存在というのは確かに、時に足枷になる時もある。

だが、それ以上の力を、そして覚悟を与えてくれる存在であると、儂は思っている。

儂にとってのお主がそうであったように。
187 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 22:19:11.96 ID:aehGRKYJ0
影二「……先代」

影二、守るべき存在によってまだまだお主は強くなれる。或いはあの初代斬鉄よりも……。

影二「……」

影二「……遺言状、確かに受け取り申した」

忍「……総帥、往かれるのですか」
188 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 22:27:26.51 ID:aehGRKYJ0
影二「お主らには悪いと思っている。今まで散々一門の事を放っておいて、さらに今から拙者がやろうとしていることは……強さのみを信じて鍛錬してきたお主たちにはあまりに酷かもしれぬ」

忍「いえ、総帥。往ってください。今の如月流の総帥は貴殿だ。何をしようとも文句は言いませぬ」

影二「……かたじけない。では」
シュザッ

忍び(……先代はこうなる事を予測されていたのか?……いや、まさかな……)

189 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 22:34:19.10 ID:aehGRKYJ0
商店街

茜「うおおおおおお!!!」
ドドドドドドド


肉まん屋のおばちゃん「おや、茜ちゃんじゃないかい。今日も元気だねぇ」

茜「あっ、肉まん屋さん!!はい!!元気が私の取柄ですから!!」

おばちゃん「もし良かったら肉まん食べてくかい?」

茜「え!!良いんですか!!?ありがとうございまーーーす!!!」
190 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 22:40:29.51 ID:aehGRKYJ0
街中

茜「うおおおおおおおおお!!」
ドドドドドドドド


ファン「あっ、アイドルの茜ちゃんだ!」

ファン2「ファンなんです!握手してください!」

茜「もちろんいいですとも!!」
ガシッ
ブンブン

ファン「パ……パワフル……!」
191 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 22:46:49.50 ID:aehGRKYJ0
河川敷

茜「うおおおおおお!!」
ドドドドドドドドド

茜(……この河川敷は……)
ドドドドドドドド

茜「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ドドドドドドドドドドドド

――――――待たれよ

茜「……!?」
ドドドドドドド
192 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 22:53:24.60 ID:aehGRKYJ0
「 そ こ な 娘 ! ! ! 待 た れ よ ! ! ! ! 」
ビリビリビリビリ

茜「……!!!」
ピタッ

茜(……ああ……この声は―――――――)

???「……我が名は忍者仮面……む?」

茜「ターーーーーックル!!!!」
ズドゴン
193 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 22:57:15.48 ID:aehGRKYJ0
不破「ぐおわぁ!!!」
ドサァ



不破「あ、茜……いきなりなにを」

茜「……」
ギュッ

不破「……茜」

茜「……お帰りなさい……不破プロデューサー……!」

不破「……ああ。今戻った、茜」
194 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 23:08:54.79 ID:aehGRKYJ0
珠美「……あやめ殿、もう元気を出してください」

あやめ「……ははは、珠美殿、何を言われます……あやめはこの通り元気な忍ドルですぞ!」

珠美「あやめ殿……」

翠「……あら?あそこに立っているのは……」

あやめ「……!」
195 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 23:13:22.66 ID:aehGRKYJ0
影二「……」

珠美「あ、貴方は……!い、今さらなんですか!」

翠「そうです……あやめさんが一体どんな気持ちで……あっ、あやめさん……!」

あやめ「……」
ダッ

影二「……あやめ」

あやめ「……」
196 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 23:15:43.87 ID:aehGRKYJ0
影二「……すまぬ」

あやめ「……うっ」

あやめ「うわーーーーーーーん!!」



珠美「……これで良いんでしょうか?」

翠「それは……あのお二人にしかわかりませんね」
197 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 23:19:53.19 ID:aehGRKYJ0
後日

ロバート「……結局、茜ちゃんは不破のところに戻ったか……いやあ、こういっちゃなんやけど惜しかったな〜……是非ウチに欲しかったな」

リョウ「まぁ、そう言うな。彼女はやはり不破と一緒にいる時が一番輝けるだろう」

加蓮「そうそう。こないだ茜に会ったんだけどさ、前にも増して元気だったよ」

拓海「へっ、良かったじゃねえか」

悠貴「やっぱり茜さんは元気なのが一番ですよねっ!」

加蓮(……本当に、良かったね、茜)
198 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 23:24:02.78 ID:aehGRKYJ0
ロバート「……ん?」
ペラ

リョウ「どうした?ロバート」

ロバート「……いや、リョウ、これ見てくれ」

リョウ「どれどれ……」



美城プロダクション
中途入社のお知らせ

如月 影二
199 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 23:26:38.63 ID:aehGRKYJ0


茜「いやあ、不破プロデューサー!!今回のお仕事の出来はどうだったでしょうか!!!」

不破「無論、素晴らしかったぞ茜!!お前は……すごい漢だ」
グッ

茜「本当ですか!!ありがとうございます!!!」


不破「ふふふ……お前は着々とアイドルの頂点を目指し進んでいる……」

不破「ならば拙もそれに恥じぬ、最強の格闘家を目指し、再び邁進せねばなるまい!!」

200 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 23:33:16.55 ID:aehGRKYJ0
茜「不破プロデューサーならきっと出来ます!!だって不破プロデューサーなんですから!!!」

不破「……茜!!!」

茜「はい!!!不破プロデューサー!!!」

不破・茜「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」





もとい
201 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/22(木) 23:36:26.45 ID:aehGRKYJ0
今日はここまで
不破外伝はこれで終わりです
あと短編が幾つかあるのであともうちょっとだけ続くんじゃ
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/22(木) 23:38:01.82 ID:7cMfKXpH0
漢www
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 23:41:51.34 ID:hADh9yF4o
すごい漢だ…
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 03:51:55.41 ID:TZtN8SvV0
しかしよくよく考えるとこの世界線、地獄門まだ残ってるんだよな…
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 05:32:39.99 ID:slLO+CxNO
漢ってのはもはや概念なのさ
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 08:00:23.70 ID:fJ3/CRxR0
なぜか影二はきちんとしたスーツ姿のプロデューサーになりそうな気がする
師範は天狗面にネクタイどまりかな?
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 01:05:03.03 ID:IJVlgcPA0
影二のガチ正装をイメージすると、どうしてもタークスになってしまう件
KOFライバルチーム仲間のビリーもスーツ姿ガチだし、仕方ないね
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 01:05:32.50 ID:vhxhRz8po
師範はKOFでTV出演した時でもいつもの格好だったから…
すごい漢だ…
209 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 11:47:15.09 ID:X5BKklAG0
外伝
エージェント・カーマン・コール



私は最高のエージェントだ。
何故なら、常に最高の仕事をするからだ。
己の仕事に全力を尽くすのはプロとして当然である。
だが、全力の仕事と最高の仕事とはイコールではない。
全力かどうかは己が決めることで、最高の仕事かどうかは、己以外が決めることだからだ。
210 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 11:50:13.34 ID:X5BKklAG0
好きこそものの上手なれという諺が日本にはある。

それはそうだろう。人は好きなものには他人に言われずとも熱中し、その錬度を高めようとする。
結果、上達は早くなる。

しかしその一方で、下手の横好き、という言葉もあるように、いくら好んでいても、上達が望めないケースもある。
それは多くの人間が直面する、『才能』という壁だ。

この壁がある故に、この世の人間全て、万人が己の好きな事を職業にすることが出来ないのである。
211 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 11:53:40.86 ID:X5BKklAG0
ならば、最高の仕事をするにはどうすればいいか?

それは、己の仕事に誇りを持つことである。
誇りがあるから人はベストを尽くし、最高を求めようとするのである。

誇りが持てないのであれば、その仕事も、また、それに捧げる人生もただただ虚しいだけだ。


しかし、時に人はその虚しさを自覚しながらも、それを抱えて仕事に従事しなければならない。
立場故か、生活の為か、はたまたそれ以外か。
212 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 11:57:49.42 ID:X5BKklAG0
かくいう私もそうだ。

いや、そうだった。

私はロバート・ガルシアの直属の部下で、彼に忠誠を誓ってはいるが、毎日毎日することは少女たちの送迎である。

そもそも彼が『日本でアイドルの事務所を作る』などと言った時、ガルシア財団の重役達は一斉に反対した。

彼の実の父、ガルシア財団の会長、アルバート・ガルシアもそうで、彼を社員たちの面前で阿呆と怒鳴りつけた。
213 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 11:59:54.67 ID:X5BKklAG0
当時の私も同意見だった。
何故イタリア・ミラノに本拠を置き、世界中に傘下の会社を持つ有数の財団がこんな極東の島国で、こんな不確かな事業をしなければならないのだ。

だがはねっ返りのロバート坊やにこの対応は不味かった。

案の定彼は反発、独力で事務所を作ると言い放ち、会議室を後にした。
214 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:04:12.06 ID:X5BKklAG0
重役たちの嘲笑や失笑が会議室に充満する中で、会長の目だけは笑わずに私の方を見ていた。

私の現在の肩書はロバート・ガルシア個人付けである。
つまり、彼が行くところにはどこであろうと付いていかなければならない。
例えそれが極東の島国であろうと、中東の砂漠であろうと。

―――――カーマン、アイツを頼んだ。

言われずとも聞こえる声に、私はただ頷くしか出来なかった。
215 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:11:52.40 ID:X5BKklAG0
日本に来てからの私は、日々疑問を抱える毎日だった。

何せ日本で初めてロバートから下ってきた指令は『秘蔵のワインを急いで事務所に持って来い』である。
そしてその次が夜間のアイドルの送迎である。

無論、手は抜かない。
常に最高の仕事をするのが私だからだ。

だから私はこの仕事内容にではなく、「ロバート・ガルシア個人付け」という肩書に誇りを持つことでモチベーションを必死に維持していた。
216 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:17:14.75 ID:X5BKklAG0
ロバートの事は幼少の頃より知っている。

少々自分勝手で強情だが、ガルシア財団次期後継者としてこれ以上の男はいないと確信している。

かつてただワガママだった坊やが極限流空手と出会って人間としても大きく成長したように、本人が言い出したこのアイドル事業もまた彼を大きく成長させるものだと信じて。

この一介のお雇い運転手のような仕事も、そう思う事でなんとかやっていた。


代わりに、喫煙量が増えたが。
217 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:23:54.62 ID:X5BKklAG0
車中
加蓮「ねえねえ、カーマンさんって結婚してるの?」

カーマン「……いや?何故そんなことを聞くんだい、ミス・カレン」

加蓮「いや、カーマンさんって渋くてダンディだからモテそうだなって思って。そうなんだ、結婚してないんだ。意外〜」

加蓮「あっ、じゃあ本国の方に恋人とかは?イタリアだっけ?」

カーマン「いや、今のところ結婚を考えるような相手はいないな。……それと私はイタリア人ではない。ドイツ人だ」
218 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:27:48.41 ID:X5BKklAG0
加蓮「あっ、そうなんだ。社長がイタリアの人だって聞いてたからカーマンさんもそうなのかと思ってた」

カーマン「ガルシア財団の影響力は世界に及ぶ。それこそ社員も世界中にいる」

カーマン「それより……君もアイドルになって、どうだ?男どもからアプローチを受けているんじゃないか?」

加蓮「ん〜……確かに声を掛けられることは多くなったけど……言い寄られたりとかはあんまりないよ」

カーマン「なんだ、日本の男たちは随分と臆病だな。君のような可憐なレディに気の利いたセリフひとつ吐けんとは」
219 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:31:19.63 ID:X5BKklAG0
加蓮「ふふ……ありがと。けど、普段一緒にいるプロデューサーを見たら、ね」

カーマン「……フッ、そうだな。そういえば君たちにはあの龍虎が付いているのだったな。それでは並みの男なら足も竦むか」

加蓮「あはは……」

カーマン(……この少女も随分変わったものだ。初めて送った時は愛想笑いひとつせず、他者を寄せ付けない雰囲気を出していたものだが)

カーマン(今ではこんな軽口を叩けるようになっている。余裕が出てきたのだろう、この姿が本来の彼女なのかもしれない)
220 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:35:58.16 ID:X5BKklAG0
また別の日
車中

拓海「おう、カーマンのおっさん、いつもありがとうな!」

カーマン「……仕事だからな」

拓海「しっかしあんたいつみてもお堅いよなぁ。はっちゃけたりすることねえのか?」

カーマン「多少羽目を外すことはあっても君たちにそれを見せることはない。公私は弁えている」

拓海「おお……堅え……けど、羽目を外したらどうなるんだ?首都高を車でぶっ飛ばしたりすんのか?」
221 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:41:50.02 ID:X5BKklAG0
カーマン「……そんなに私も若くない。多少酒量が増えるくらいだ」

拓海「へえ〜……ん?そういえばあんた今いくつなんだ?」

カーマン「32だが」

拓海「……はあ!?32!?」

拓海「み、見えねえ!嘘だろ!?」

拓海(30前半の貫禄じゃねえだろ!)

カーマン「……褒め言葉として受け取っておくよ、ミス。」
222 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:44:50.49 ID:X5BKklAG0
また別の日

有香「あっ、カーマンさん!すみません、今日もよろしくお願いします!」

カーマン「ああ。だがいつも車の前で礼を取らなくていい」

有香「いえ!本当にいつもお世話になっていますので!」

カーマン「……」

223 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:50:32.92 ID:X5BKklAG0
有香「あの、カーマンさん、ひとつお聞きしてもよろしいですか?」

カーマン「なにかね」

有香「はい、以前Mr.BIGという悪漢が私たちを襲ってきた時……カーマンさんは実に鮮やかにあたしたちを助けてくださいました」

カーマン「そういうこともあったな」

有香「その時のご手腕からもカーマンさんが達人なのは疑いようもないと思うのですが……あれは何の格闘技なのですか?極限流空手とは全く別物に見えましたが」

カーマン「私は極限流の門弟ではないからな。私のスタイルは格闘技……というほどのものでは無いが……いわゆる護身術だ。相手を倒すというよりは制する技だ」
224 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:54:23.05 ID:X5BKklAG0
有香「な、なるほど……確かにあの時も瞬く間に相手を無力化していました……」

カーマン「どちらかと言えば防御主体だ。攻撃的な技を求める若い時分の君には退屈かもしれんがな」

有香「い、いえ!そんなことありません、技はすぐには無理かもしれませんが、立ち合いの際の心構えなど教えていただければ……!」

カーマン「……勤勉だな、君は……」

カーマン(思い返せば、そうだ。この娘たちが私によく話しかけてくるようになったのは件のMr.BIGとやらの襲撃事件からか)

カーマン(保安部の私はあちらの方が本来の任務には近いのだが……しかしあんな目に遭ったというのにタフな娘たちだ)
225 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 12:58:59.38 ID:X5BKklAG0
また別の日

美波「カーマンさん、すみません……今日もお車出していただいてありがとうございます」

悠貴「よろしく……おねがい……」

カーマン「……だいぶ疲れているみたいだな」
226 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 13:02:14.60 ID:X5BKklAG0
車中
悠貴「すぅ……すぅ……」

美波「……悠貴ちゃん、眠っちゃいましたね……カーマンさんが静かに運転してくれてるおかげですね」

カーマン「車中で眠ってしまうのは久しぶりだな……以前の、クイーン・オブ・ザ・アイドルズ……アレの特訓をしていた時は毎日皆眠りこけていたものだが」

美波「あはは……確かにあれ以来、体力的にあそこまで追い込まれることはないですけど、悠貴ちゃんは夜遅くなってくると、眠くなっちゃうみたいなんです。まだ13歳ですしね」

227 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 13:07:18.34 ID:X5BKklAG0
カーマン「フッ、そうか……とは言え、あのQOI以来、君たちは劇的に成長したといえるだろう。実際の仕事量もそうだが、皆自信に満ちている。良い表情だ」

美波「ありがとうございます。でもそう言ってもらえるのも坂崎さんやロバート社長……ちひろさんにトレーナーさん……もちろんカーマンさんも、皆さんに支えてもらっているからですよ」

カーマン「私はただの護衛に過ぎん。君たちの育成にはノータッチだ」

美波「いえ、本当にみんな、感謝してるんです……あの、これ、もし良ければ」
スッ

カーマン「……これは……もしや私への贈り物か?」
228 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 13:12:46.33 ID:X5BKklAG0
美波「はい、本当は5人揃ってる時にお渡ししたかったんですけど、最近はみんな忙しくてなかなか揃う機会が無くて。だから代表で、私が渡すことになったんです」

カーマン「……開けて見ても?」

美波「はい」

カーマン「……ネクタイか。……良いデザインだ」

美波「気に入って貰えたのなら良かったです。みんなで相談して、出来るだけ実用性のあるものが良いかなって」

カーマン「せっかく選んでもらったんだ、有り難く頂こう。……だが、君たちは別に私に恩や義理を感じる必要はないぞ?これは仕事だから……」

美波「ええ、ですけどこれは私たちが勝手にやりたいと思ってやったことですから。カーマンさんもそんな肩肘張らずに受け取って貰えれば」
229 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 13:19:17.86 ID:X5BKklAG0
カーマン「……わかった。ありがとう」

悠貴「……んん……あれ、私、眠っちゃってたんですか……っ」

美波「あ、ごめんね悠貴ちゃん、起こしちゃったね」

悠貴「……あっ、カーマンさん、ネクタイっ!受け取ってくれたんですねっ!」
パァッ

カーマン「ああ。素晴らしいプレゼントをありがとう」

悠貴「美波さんっ!やりましたねっ!」
スッ

美波「うん、これでみんなにもいい報告ができるね」
パシッ

カーマン「……」

230 : ◆z4l4K/HkZ2 :2017/06/25(日) 13:20:38.69 ID:X5BKklAG0
今日はここまで
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 13:39:08.40 ID:Xndb/KVDO
カーマン?あの脱衣KOできない紳士の中の紳士か?
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 13:54:01.00 ID:b0wfay7FO
https://imgur.com/a/8jUpO
この人やな
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 14:02:56.15 ID:27r2Moo+0
仕事が完璧なうえにハンサムで紳士
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 14:19:06.03 ID:VZ+N0TeA0
コミカライズでは主役を務めたエージェント
ちょっと優等生すぎるせいで影が薄いタイプやね
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 17:39:37.71 ID:+laZDeF/0
……渋い漢だ
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