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【ポケモン】しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」その2【クレしん】
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105 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 19:51:09.13 ID:Y7xDIbbj0
エーテルパラダイス ルザミーネの屋敷前 広場
リーリエ「マサオさん! アクアテールです!」
ヨワシ「ギョオオォォッ!」ゴウッ!
群れた姿のマサオの巨大な尾ひれがシロデスナに叩きつけられ、水しぶきと砂が飛び散っていく。
しかし、シロデスナがマサオのアクアテールで砂の身体が固まったことを確認すると、アセロラも負けじとシロデスナに指示を送る。
アセロラ「シロデスナ! シャドーボール!」
シロデスナ「デッスナー!」ドンドンドンッ!
リーリエ「マサオさん! シロデスナさんにハイドロポンプです!」
ヨワシ「……!?」ピクッ
シロデスナの口から次々と影の弾丸が発射される。一方のマサオはリーリエの指示に一瞬動きを止めて、戸惑う様子を見せた。
106 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 19:52:09.23 ID:Y7xDIbbj0
その隙に、次々とシャドーボールがマサオに当たっていく。
ヨワシ(単)「ヨワーッ!?」ドンッ!
リーリエ「マサオさん!」
シャドーボールが直撃したマサオは単独の姿に戻り、そのまま吹き飛ばされて、壁に激突。戦闘不能になった。
アセロラ「またまたアセロラちゃんの勝ち!」ムフー
リーリエ「大丈夫ですか? マサオさん。今元気にしますからね」
ヨワシ「ヨワー……」
リーリエがバッグからかいふくのくすりを取り出して、アセロラのポケモンと戦って傷ついたカザマを元気にしていく。
アセロラ「またマサオくん、リーリエちゃんの指示無視しちゃったねー」
リーリエ「はい……どうしてなのか、まだわかりません」
アセロラ「でも不思議だよね。見た感じ、マサオくんも他のポケモンも別にリーリエちゃんのことを警戒しているっていう態度じゃないもん」
ヨワシ「ヨワ……」
リーリエ「……」
みさえ「みんなー晩ご飯作ったわよー! そろそろ休憩にしたら?」
リーリエ「あ、はい!」
107 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 19:54:31.47 ID:Y7xDIbbj0
リーリエたちは居住区の一室に戻ると、みさえがリーリエたちに晩ご飯のシチューとお手製のマラサダを振舞った。
みさえ「さ、どんどん食べて。たくさん作ったから」
リーリエ「わぁ……いただきます!」
アセロラ「うん、とってもおいしい!」モグモグ
みさえ「ごめんなさいね、あり合わせのものでしか作れなかったけれども」
リーリエ「そんなことないです」
みさえ「リーリエちゃん、カザマくんたちはどう? 言うこと、聞いてくれる?」
リーリエ「いいえ……その、やっぱりお願いを無視してしまうことがしばしば……」
みさえ「そうなの……やっぱり、人から預かったポケモンに言うことを聞かせるのって大変なのね」
アセロラ「うーん、どうかなぁ? 本当にリーリエちゃんの言うこと、聞いてないなら指示を無視するだけじゃすまないよ」
108 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 19:57:37.79 ID:Y7xDIbbj0
リーリエ「たとえば、どういうものでしょうか?」
アセロラ「そうだね、戦ってる最中に寝ちゃったり、なまけちゃったり、最悪自分を攻撃しちゃうこととかがしょっちゅう起きるんだよ」
みさえ「聞いたことあるわ。ポケモンはトレーナーの実力を見ていて、ジムから貰えるバッジの数で言うことを聞く度合いも変わってくるって」
リーリエ「そういうふうなこと、全然ないんですよね。カザマさんたちはあくまでお願いを聞かないだけで、怠けるようなことはしません」
リーリエは、テーブルのそばでポケマメを食べさせているカザマたちをみやった。カザマとボーちゃんは黙々と食べているが、マサオとネネはなにか妙なやりとりをしながらポケマメを食べている。
ジュナイパー&ミミッキュ「…………」
キテルグマ「クーーッ。クゥー!」
ヨワシ「ヨワァ……ヨワヨワシー」
アセロラ「……やっぱり、しんちゃんの戦い方って、普通のトレーナーから見てみると、とっても変わってるってアセロラ思うんだ」
みさえ「そうねぇ、ハプウちゃんと戦っている時も、ほとんど指示してなかったもの」
リーリエ「その戦い方に慣れすぎて……カザマさんたちは指示を受けて行動するということができないのでしょうか」
アセロラ「たぶんそれだね。もらったポケモンは扱いが大変なのは当たり前だけど、ここまで難しいというのはわりと珍しいよ!」
そこでリーリエはふと思った。ライチやハプウとの大大試練と、しんのすけの戦い様を何度も見守ってきた。
しんのすけは命令せずとも、息のあったコンビネーションを繰り出し、会話しているようにポケモンに話しかけていた。
リーリエ(まさか本当にしんちゃんはポケモンさんと……)
109 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 19:58:42.62 ID:Y7xDIbbj0
リーリエ「……でも必ず、しんちゃんのポケモンさんとは、心を通わせてみせます! しんちゃんを助けたいという気持ちは、わたしもポケモンさんとも一緒ですから!」
アセロラ「うん、その意気込みを忘れなきゃ、きっとポケモンも応えてくれるよ!」
アセロラ「それに、リーリエちゃんのあの戦い方、びっくりしちゃったよ。シロデスナはね、みずタイプの攻撃を受けると砂が固まって防御力が高まっちゃう『みずがため』という特性を持っているんだ! だから、みずタイプとは相性が悪いようで実は優位に立てるんだ!」
リーリエ「なるほど……でしたらカザマさんを出すべきでしたね」
みさえ「それにしても……かがやく石を取りに行ったきりなにも連絡はないけれど、みんな無事かしら?」
リーリエ「ここはまだビーストさんがいないだけ安全ですが……島にはビーストさんがたくさんいますから、みなさんのことがとっても心配です」
ククイ博士「心配してくれたのかい? うれしいぜ!」
リーリエ「きゃっ!」ビクッ
みさえ「博士! いつのまに帰ってきたんですか?」
ククイ博士「ええ、どうやら僕らが一番乗りだったようですね」
バーネット「リーリエ、元気にしてた?」
リーリエ「バーネットさん! お久しぶりです!」
110 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:02:33.10 ID:Y7xDIbbj0
バーネット「リーリエ、本当にイメチェンしたのね! 顔つきがとっても引き締まってるし、まるで別人みたい!」
リーリエ「はい! 進化したゼンリョクの姿、です。しんちゃんから預かったのですが……ポケモントレーナーにもなりました!」
みさえ「えーっと、どちら様で……?」
ククイ博士「紹介します。僕の奥さんで、アーカラ島の空間研究所の所長をしているバーネット博士です!
ククイ博士「バーネット、こちらはしんのすけのお母さんの野原みさえさん、そしてメレメレ島のキャプテンのアセロラ。彼女から月の笛の情報を提供してもらったんだ!」
バーネット「バーネットです、よろしくね。ククイから話は聞いています。私たち空間研究所も、事態の解決に協力していくつもりです」
みさえ「あ、どうも……」ペコリ
111 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:03:28.70 ID:Y7xDIbbj0
アセロラ「博士! かがやく石は貰えた?」
ククイ博士「ああ! カプ・テテフはてだすけしてくれたよ。それに、メレメレ島に行ったひろしさんとハウからも、カプ・コケコからかがやく石が貰えたって連絡が来たからね!」つ かがやく石
アセロラ「おー、後はウラウラ島とポニ島だね!」
ククイ博士「ひろしさんたちも、今はポニ島にいるんじゃないかな?」
リーリエ「ハプウさんなら、きっと協力してくれますよね!」
アセロラ「クチナシのおじさんも、きっとわかってくれるよ!」
ククイ博士「そうだね! 3人を信じて待とうよ」
みさえ「さ、博士もバーネットさんもどうぞ。晩ご飯の用意できますので」
ククイ博士「おっ! いいんですか?」
バーネット「では、お言葉に甘えさせていただきますね!」
112 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:05:17.77 ID:Y7xDIbbj0
ククイ博士「リーリエ、ポケモントレーナーになってみて気分はどうだい?」
リーリエ「はい! まだ、しんちゃんのポケモンさんとは上手く連携は取れていませんが……ポケモンさんと一緒に戦っていると、こんなに胸がドキドキするなんて思いませんでした!」
ククイ博士「そうだろ? 君が自分のポケモンを持つようになれば、もっとドキドキするような事が起きるぜ!」
バーネット「リーリエがトレーナーデビュー……なにか感慨深いね」
みさえ「あたしもポケモントレーナーになってみようかしら」
アセロラ「しんちゃんのお母さんはポケモントレーナーじゃないの?」
みさえ「うん、あなたたちくらいの年の頃は家のことを手伝っていたから」
バーネット「どこ出身なんですか?」
みさえ「ホウエン地方のフエンタウンってところです。その後はカントー地方に上京して、その後はカスカベ地方に住んでいました」
ククイ博士「ホウエン地方は暖かいですから、アローラの気候にもすぐ慣れたのでは?」
みさえ「ええ、わりと」
113 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:16:02.66 ID:Y7xDIbbj0
トントン
ウィーン
ビッケ「お食事中、失礼します」
リーリエ「ビッケさん。どうかなさったのですか?」
ビッケ「グラジオさまと、野原ひろしさん、ハウさんの船が戻りました」
ククイ博士「おっ、みんな戻ってきたのか!」
ハウ「戻ってきたよー!」ヒョコッ
ククイ博士「うおっ!」
リーリエ「ハウさん!」
ハウ「美味しそうなニオイに誘われてたらついたー」
グラジオ「博士は先に着いたようだな」
みさえ「みんな、石は貰えたの?」
ひろし「ああ、みんなカプから認めてもらえたぜ!」
ひろし達3人はそれぞれカプから貰ったかがやく石を、リーリエたちに見せた。
アセロラ「みんなカプから認められるなんてすごすぎ! グラジオくんもすっごい苦労したでしょ?」
114 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:20:39.38 ID:Y7xDIbbj0
ハウ「しまキングたちが手伝ってくれたおかげだよー」
グラジオ「そうだな……それに、彼女がいなければ、正直石が手に入ったかどうか分からなかったな」
アセロラ「彼女?」
グラジオが頷くと、「来い」と手で部屋の外へ誰かに向かって合図を送った。すると足音が近付いて、『彼女』が部屋に入ってきた。
プルメリ「……」
リーリエ「プルメリさん?!」
アセロラ「エー! なんでー!?」
みさえ「誰?」
ククイ博士「そうか、君がマーレインの言っていた『思わぬ協力者』か」
ハウ「おれもびっくりしたよー! スカル団の幹部が協力してくれるなんてー」
プルメリ「元、だよ。もうスカル団は解散したんだ」
115 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:21:46.62 ID:Y7xDIbbj0
グラジオ「今、アローラ全域に渡って元スカル団のしたっぱたちが救助活動を行っている……。オレもこの目で見たからな。だからこそ、カプ・ブルルは石をくれたんだ。スカル団が解散して、アローラのために行動していることが、あいつの心を動かしたらしい」
ひろし「にわかには信じられないけどな……」
プルメリ「グズマをビーストの世界から取り戻して、罪を償わせなきゃいけないからね。そのため、あたいもアンタたちと一緒に行動したいのさ。……わがままなのは承知の上だけどね」
リーリエ「プルメリさんも力を貸してくれるなんて頼もしいです! 一緒にグズマさんを助けに行きましょう!」
プルメリ「あぁ、そうだね」
プルメリ「その前に、ひろしとみさえ……だったね。まず、謝らせてくれないか?」
ひろし「え……?」
116 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:23:26.45 ID:Y7xDIbbj0
プルメリ「……あたいがスカル団にいた頃、したっぱたちがしんのすけにちょっかいだしては、返り討ちに遭ってね。その報復に何度もあいつにポケモン勝負をしかけて、倒そうとしていたんだ」
みさえ「……!」
プルメリ「それにウラウラ島では、そこにいるキャプテンの子供たちのヤングースを人質に取って、しんのすけに1人であたいらのところまで来るよう脅したんだよ」
ひろし「お前っ……」
リーリエ「でも、それはかあさまがほしぐもちゃんを狙っていたからで……」
プルメリ「それでもね、しんのすけを危ない目に合わせたことには違いないんだ。だから、アンタたちに今ここで追い出されても、文句を言える立場じゃないんだよ」
アセロラ「……」
プルメリ「だから、そのワビになれるかどうかわからないけど……あんたたちの息子さんを助ける手伝いをさせてくれないか?」
ひろし「……」
みさえ「……」
117 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:25:19.62 ID:Y7xDIbbj0
ひろし「はっきり言って、今の話を聞いて本当のことなら俺たちはお前を許さない。うちのしんのすけをアンタたちのせいで危ない目に遭わせたんだからな」
プルメリ「……」
ひろし「だから、お前もしんのすけを助けるのに協力するんだ。しんのすけを助けられたら、そんときはアンタがしんのすけにしたことを許してやる」
みさえ「そうよね、あなたは元スカル団でも幹部だったんでしょ。私たちの力になってくれるのなら、それで充分」
ひまわり「たい!」
プルメリ「……!」
アセロラ「そうだね、ヤンちゃんのぶんもちゃんと償ってもらわないと!」
ひろし「みんなも、それで文句はないよな?」
リーリエ「はい!」
ハウ「異議なしー!」
アセロラ「異議なーし!」
ククイ博士「ハウとアセロラと同じ意見だぜ! 僕は君を喜んで迎え入れるよ!」
バーネット「スカル団も手を貸してくれるなんて、びっくりだよ。でも私たちにとって心強いよ」
グラジオ「……そうだな。用心棒をしていたオレが言えた身分ではないが」
118 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:26:52.47 ID:Y7xDIbbj0
プルメリ「みんな……すまないね。礼を言うよ。……あたいらは、カプやアローラの人たちに赦される時が来るもんかね」
ククイ博士「赦されるさ。君たちはアローラを守り、自分たちの罪を償おうとがむしゃらに努力しているんだろ? いつかカプもわかってくれるよ」
プルメリ「そう言ってもらえると、あたいらも救われるんだけどねえ」
みさえ「さ、みんな上がって! 疲れたでしょ? 晩ご飯用意できてるわ」
ひろし「おっ、サンキュー!」
プルメリ「あたいもいいのかい?」
みさえ「いいのいいの。プルメリ……ちゃんだっけ? ずっとビーストと戦ってお腹すいてるでしょ?」
ハウ「わーい! おばさんおれ大盛りねー!」
グラジオ「フッ……気が付くと賑やかになったもんだな」
ククイ博士「というか、部屋に入りきらないんじゃないのか?」
119 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:28:34.52 ID:Y7xDIbbj0
グラジオ「ビッケ、石はここに4つ揃った。月の笛の解析状況は?」
ビッケ「はい! アセロラさんの協力もあって、内部構造及び材質の分析が終わりました」
グラジオ「どのくらいの時間を要せば修復できる?」
ビッケ「おそらくですが……財団が総力を上げて取り掛かれば2日――いえ、1日のお時間をいただければ、修復が終わるかと」
グラジオ「なら……頼む」
リーリエ「ビッケさん……よろしくお願いします!」
ビッケ「お任せ下さい!」
120 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:31:35.33 ID:Y7xDIbbj0
エーテルパラダイス 財団職員専用食堂
人数が多くなってしまったことで、居住区から食堂へ移動すると、全員で改めて食事を再開した。さすがに大人数の食事は出来ていないのでバーネットとアセロラも加わって追加の分を作り、それぞれ晩御飯を愉しんだ。
アセロラ「はーいひまちゃーん、あーん」
ひまわり「あーん」ムシャムシャ
バーネット「ふふっ、子供がいるっていうのも、いいかもね」ナデナデ
みさえ「博士はまだお子さんは……?」
ククイ博士「まだいないですね。僕らもこうして会う時間が少ないんですよ」
バーネット「でもそろそろ、夫婦らしく同居するっていうのも悪くないんじゃない?」
ククイ博士「そうだね、ハニー。研究所も潰れてしまったから、これを機に新居を建てるというのも、悪くないかもね」
プルメリ「グラジオ、そういえばあれを渡すの、忘れてないかい?」
グラジオ「ああ、オマエらに渡しておくものがあったな。今アローラにいるウルトラビーストのデータだ。マーレインが作ったそうだ」
アセロラ「マーレインくん、やるじゃん! こんなに早くビーストのタイプも分析しちゃうなんて!」
121 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:32:56.76 ID:Y7xDIbbj0
ハウ「あれー? でもこの『BLASTER』っていうの、たぶんくさ・はがねじゃないと思うよー」
グラジオ「ほう……?」
ハウ「おれとおじさんがメレメレに戻った時にこのビーストと出会って戦ったんだけどー、その時カプ・コケコが助けてくれたんだー。その時放ったかみなりが、抜群に効いていたんだよー。くさタイプだったら、たぶんあの時倒れてないと思うんだー」
ククイ博士「となると、このビーストのタイプはひこう、みずタイプのどれかが入っているってことだね。見た目からして、ひこうタイプなのは間違いないだろう」
ひろし「はがね・ひこうか……。じめんが効かないのはやっかいだな」
ククイ博士「よーし、このミスをさっそくマーレインに送って修正してもらうとするかな。ハウ、お手柄だよ」
ハウ「じゃーご褒美にグラジオの残したマラサダ貰っていいー?」
グラジオ「どうしてオレなんだ……!」
リーリエ「……ふふっ」
リーリエ(みなさんとこうして食事して……本当に明るくて、楽しいです)
そんな楽しげなやり取りをリーリエは目を細くして眺めていると、ふとしんのすけの事を思い出した。
……ここにいるべきあの少年は、いないのだ。
リーリエ(しんちゃん……お腹、すいてないかな。かあさまに、ひどい目に合わされていなければ、いいのですが)チクン
122 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:35:43.86 ID:Y7xDIbbj0
リーリエ「……みなさんは、しんちゃんと出会っているんですよね」
ハウ「んー? それはリーリエも一緒じゃないのー? ここにいる人たちみんなリーリエと会ってるよー?」
リーリエ「でも、もしわたし一人だけだと、こんなに出会えたというのはきっと無かったです。こうして、みなさんと一緒に食事ができることも有り得なかったと思います」
グラジオ「ああ……。元スカル団の幹部にポケモン博士、キャプテン、しまキングの孫、財団の職員、そしてオレら……ごった煮もいいところだ」
ハウ「みんな、しんのすけが引き合わせてくれたんだねー」
リーリエ「だから……しんちゃんも欠けちゃ、いけないですよね」
プルメリ「……リーリエ」
123 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:36:53.84 ID:Y7xDIbbj0
ククイ博士「だったら、取り戻せばいいだけさ! しんのすけを取り返して、またみんなでこうやって晩ご飯を食べようぜ!」
ひろし「そうだな。俺たちも、こっちに来てまだ家族と一緒に晩ご飯を食べることすら出来てないからな」
みさえ「そうね……」
バーネット「次はわたしも本格的に手伝おうかしら?」
アセロラ「アセロラも今度はゼンリョクで腕を振るうからね! みんなで晩御飯作るって約束、まだ果たしてないし」
ハウ「おれー、いっぱいマラサダ買ってきてーみんなに分けてあげたいー」
ククイ博士「と言いつつ、マラサダを独り占めしちゃうんじゃないか?」
ハウ「えー? やだなーそんなことしないよー」
\アッハッハッハッ!/
リーリエ(そうですね……奪われたのなら、取り戻せばいい。それだけです)
リーリエ(しんちゃん、必ず無事でいると信じています)
リーリエ(絶対にかあさまもあなたも、取り戻します。そのために、わたしもゼンリョクで頑張ります)
リーリエ(ビーストの世界から戻ってきたら、みんなでパーティーをしましょう。きっと、今よりもっと明るくて、楽しくて、盛り上がると思います)
リーリエ(待っててくださいね。しんちゃん)
124 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:38:15.02 ID:Y7xDIbbj0
エーテルパラダイス 2階 保護区テラス
賑やかな食事が終わり、リーリエたちは各々の割り当てられた部屋に戻って明日に備えて身体を休めていた。
グラジオはそんな中、テラスで月明かりに照らされた海面を眺めていた。
グラジオはマリエ庭園でのアクジキングとの死闘を思い出し、タイプ:ヌルの入ったモンスターボールを取り出して覗いた。
グラジオ「ヌル……すまないことをした。あの時、オレが驕ってさえいなければ、オマエを危険な目に合わせることもなかった」
ひろし「よう、グラジオくん」
グラジオ「……ひろしか?」
ひろし「こんなところで何してるんだ?」
グラジオ「ああ……ああいう雰囲気の中にいるのは初めてだからな。だから、こうして夜風に当たりながら、一人で頭を落ち着かせていた」
ひろし「そうか。俺達はまぁ、食後の散歩のようなものさ。ここに来れば、たくさんポケモンも見られてひまも喜ぶしな。それでたまたま君を見かけたんだ」
グラジオ「フッ……そうか」
125 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:39:17.47 ID:Y7xDIbbj0
グラジオ「……ひろし、みさえ」
ひろし「ん?」
グラジオ「……オレは、こっちの事情にアンタたちの息子を巻き込んでしまって、申し訳ないと思っている」
みさえ「ううん、あなたが謝ることじゃないわ」
ひろし「なーに、あいつがそう簡単にくたばったりしないさ」
グラジオ「……そうだな。あいつは強い。そこはオレも認める」
ひろし「なにせ、自慢の息子だからな」
みさえ「そうそう、将来は他の地方のチャンピオンを倒せるようなトレーナーなってもらわないと」
ひろし「そのためにも、あいつを助けに行かなくちゃな」
グラジオ「……お前たちもウルトラホールの中へ行くつもりなのか?」
みさえ「当たり前でしょ!」
グラジオ「よせ……。ポケモントレーナーではないお前たちが行って、生きて帰れるような場所じゃないぞ」
ひろし「忠告ありがとよ。でも、俺たちは家族だ。誰か一人が危ない目にあったら、みんなで助けに行くんだ。家族と一緒にいれば、世界の危機だろうが、なんだろうが乗り越えられる」
みさえ「あなたはまだ子供だから分からないけれど、子供のためなら、親はなんだって出来るものなのよ」
グラジオ「……」
126 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:40:37.84 ID:Y7xDIbbj0
グラジオ「まっ、そうだろうな。ひろしはここでリーリエを救出するとき、ためらわずオレたちについてきたからな」
グラジオ「……しんのすけが羨ましく思う。子供の為に命をかけてくれている親が居るとはな」
ひろし「父親はどうしたんだ?」
グラジオ「父は――ウルトラホールとウルトラビーストの存在を初めて発見した人なんだ。だが……父は、ウルトラホールの実験中に消えた。残されたのは、ウルトラビーストの資料と、弱ったコスモッグだけだ」
ひろし「まさか、ルザミーネがウルトラビーストに惹かれたのって――」
グラジオ「もしも、母がウルトラビーストへ向けた理由が、父への想いだとしたらオレとしては救われるがな。オレは、母がウルトラビーストを欲したあの行動がわからんでもない」
みさえ「だからって、子供をないがしろにする理由にはならないわ」
グラジオ「……だが、それでもオレたちにとって、母なんだ」
みさえ「……」
ひろし「なあ、グラジオくん」
グラジオ「なんだ?」
リーリエ(にいさまとしんちゃんのご両親方……なにを話しているのでしょうか?)
127 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:41:32.21 ID:Y7xDIbbj0
たまたまほしぐもちゃんを連れて散歩に来たリーリエがエレベーターを上がると、話し声が聞こえて、彼らの会話に耳を立てる。
ひろし「子供は親を見て成長するもんだけど、親も子供を見て成長していくんだよ。俺もみさえも、しんのすけと一緒にいてたくさん教わったものがあるんだ」
グラジオ「教わった……?」
みさえ「そうね。こっちに来て、あの子が島巡りして――しんのすけがハプウちゃんの大試練をやり遂げた姿を見て、私も教えられたわ。あの子が自分の足であそこまで来たのね、って」
ひろし「だからさ、グラジオ君もリーリエちゃんも、自分たちがあいつから離れて学んだこと、考えたことをルザミーネにガツンと教えてやるんだ」
リーリエ「!」
グラジオ「……」
グラジオ「フッ……そうだな。このまま何も言わず、終わるわけにはいかない。必ず取り戻すぞ。全てを」
ひろし「ああ!」
みさえ「ええ!」
ひまわり「たい!」
シロ「アンッ!」
リーリエ(……!)コクン
ひろし「お前のためにみんながゼンリョクを出しているんだ――だから無事でいろよ、しんのすけ!」
128 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:46:20.20 ID:Y7xDIbbj0
――その頃、しんのすけは……。
しんのすけ「うー、おまたが冷えるとおしっこもすぐ出ちゃいますなぁ」ジョボボボ
しんのすけ「でも、なんかZリングはあったかいのよねぇ」
さっきから熱を帯びているZリングを眺めると、うっすらと赤く煌めかせていた。こんなこと、今までなかったのに。
しんのすけ「まったく、くさやのおじさんには頭にきますな!」
ロトム図鑑「あいつが言い訳並べてでも帰りたくないってことは、ここにはたくさんのスケスケおパンツが……?」
フェローチェ『あの方も、しん様と同じ世界の方なのですね』
しんのすけ「まーね」
しんのすけ「あープンプン怒ってたら腹減っちゃったぁ。とーちゃんからもらったポケマメでも食べるか」
しんのすけ「あいちゃんもたべる?」ポリポリ
フェローチェ『まぁ、しん様が下さる食べものは、なんでも口に入れられますわん!』スッ
フェローチェ『しん様は、向こうの世界でどんなことをしていらしているのですか?』モグモグ
129 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:53:32.31 ID:Y7xDIbbj0
しんのすけ「オラたち、島巡りしてるの」
フェローチェ『島巡り?』
ロトム図鑑「オレ達、自分探しの旅をしているのさ」
しんのすけ「ついでにきれいなおねいさんとかも見つかるといいかなーって」
フェローチェ『旅、ですか。それは素晴らしいですわ。先ほどのグズマ……という方はしん様のお仲間ですか?』
しんのすけ「ううん、くさやのおじさんはスケスケおパンツ団っていう、ポケモンとスケスケおパンツを盗るあくどい集団のボスなんだゾ」
フェローチェ『ということは、しん様たちの敵……ということですわね』
ロトム図鑑「だが様子がおかしかったな。心なしか、大人しくなったような気もするぞ」
しんのすけ「どーせ盗んだスケスケおパンツがおばさんのものだったんでしょ」
フェローチェ『しん様は、島巡りをして、どうなさるのですか?』
しんのすけ「オラー? オラはね、島巡りチャンピオンになって、おねいさんたちにモテモテになるのが夢なの。チャンピオンになったら、ゆーめーになるらしいですから」
フェローチェ『島巡りチャンピオンですか……あの、もしよろしければですけど』
しんのすけ「お?」
フェローチェ『あいも、旅の仲間に加えさせてもらえないでしょうか?』テレテレ
130 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 20:58:16.17 ID:Y7xDIbbj0
しんのすけ「なんで?」
フェローチェ『もちろん、しん様があいの命を救ってくださったからですわ! それにあいが住んでいた世界はもう飽きてしまいましたし、こっちの世界の人間やポケモンという生き物の暮らしをキチンと見てみたいからですわん』
しんのすけ「そーいえば、あいちゃんってなんで倒れてたの?」
フェローチェ『何度かこの世界に「穴」が開かれたことはお話しましたね。その穴を、あいは好奇心でくぐり抜けて、何度かアローラ地方を訪れたことがありますの』
フェローチェ『ですが……あいのことが珍しいのでしょうか。何度か、真っ白な人間たちが、あいを追いかけてきて――それで、応戦して疲れ果てていたら、しん様が助けてくださつたのですわ』
しんのすけ「ふーん」
ロトム図鑑「しんのすけ! 仲間に加えようぜ! こいつを加えれば戦力もアップするだろ?」
ロトム図鑑(ウルトラビーストを持ち帰れば、世界初のウルトラビーストを登録した図鑑として名を馳せるからな!)
しんのすけ「うーん……ま、いいけど。マサオくんとの約束もあるし」
フェローチェ『ありがとうございます、しん様!』
ロトム図鑑「よっしゃあ! ウルトラビーストゲットだぜ! そうと決まれば、さっさとこんな世界を出るぞ!」
――ウフフ、そうは行きません
全員「!?」
131 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 21:01:25.05 ID:Y7xDIbbj0
声が聞こえたと同時に、しんのすけたちに向かって電気が走ってきた!
ロトム図鑑「危ない! 避けろ!」
しんのすけとあいちゃんはすかさず回避するが、逃げ遅れたぶりぶりざえもんが電撃をモロに喰らいながら、岩に叩きつけられる!
ビリビリビリビリッ!!!
ロトム図鑑「ブヒィィィィ!!」ビリビリッ!
しんのすけ「ぶりぶりざえもん!」
ロトム図鑑「し……しんのす……」バチッ! バチチチッ!
ロトム図鑑「」バチッ! バチッ!
しんのすけ「ぶりぶりざえもんっ!」
しんのすけはロトム図鑑を拾い上げて揺さぶるも、ぶりぶりざえもんの目は閉じられており、画面になにも表示されていない。
ルザミーネ「ウフフ! やっと見つけた……。探しましたよ。しんのすけ君!」
しんのすけ&フェローチェ「!」
顔を上げると、しんのすけたちの前にウツロイドやデンジュモク、マッシブーンといったウルトラビーストと、それを率いるようにルザミーネが笑みを浮かべながら浮かんでいた。
132 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 21:02:34.19 ID:Y7xDIbbj0
ルザミーネ「ふうん、そこのフェローチェ……あなたがしんのすけ君を助けたのね。なぜその子を助けたのかわかりませんが、わたくしの愛を受けないのなら、ビーストであろうと敵です」
しんのすけ「妖怪メノクラゲオババ!」
ルザミーネ「しんのすけ君……その減らず口もいい加減閉ざすよう、教育してあげるわ」
ルザミーネ「さぁ愛しい子供達、この子を、新しい我が子として迎え入れます。しんのすけ君を捕まえなさい!」
ウツロイド「じぇるるっぷ……!」
デンジュモク「デンデンジュッ!」
マッシブーン「ブーン!」ハルクホーガン!
フェローチェ『しん様、下がってくださいませ!』フッ!
あいが飛び出すと、マッシブーンが拳を振り上げるよりも先に、顔面を蹴り飛ばす!
マッシブーン「ブンッ?!」ドカッ!
ウツロイド「じぇるるっぷ!」バシャッ!
ウツロイドが毒を飛ばして、あいに直撃するが、姿が消えた。あいは空中にとびあがり、ウツロイドを踏みつけるように頭部へ一撃を入れた!
ウツロイド「じぇ、じぇるる……!」
133 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 21:03:23.75 ID:Y7xDIbbj0
ルザミーネ「あのフェローチェ……目障りね。デンジュモク、フェローチェにさいみんじゅつよ!」
デンジュモク「デンデンッ!」ギィーッ
フェローチェ『うっ……!』クラッ
デンジュモクは両手足と尻尾を地面にくっつけて木のような形状になると、頭部の光をチカチカと点滅させて奇妙な音を立て始めた。光と音を聞いた瞬間、あいの意識が遠くなり始める。しかし――。
しんのすけ「ぶりぶりざえもんの仇! ケツだけアターック!」ドカッ!
デンジュモク「デン!?」
フェローチェ『しん様!』
かろうじて意識を留めたあいは、デンジュモクへ向けて一直線に飛び出し、とびひざげりを放ち、デンジュモクに命中。そのまま倒れた!
フェローチェ『しん様、また助けていただき、ありがとうございます!』
しんのすけ「それほどでも」
ルザミーネ「しんのすけ君……!」
134 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 21:07:09.86 ID:Y7xDIbbj0
ルザミーネは怒りに任せて一斉に触手を振り下ろすと、衝撃波が走って地面を抉っていく!
ブンッ
ガガガガッ!
しんのすけ&あい「!」ピョンッ!
ルザミーネ「行きなさい! ウツロイドたち!」
ウツロイド「じぇるるっぷ……!」キィィン
ドンドンドンッ!!
ルザミーネの命令を受けたウツロイドたちが、次々と眩く光る石を出現させて、そこから光線を放っていく!
しんのすけとあいはウツロイドたちのパワージェムをかわし続けていく。その真っ只中を、ルザミーネがあい目掛けて突っこんできた!
ルザミーネ「消え失せなさいっ!」グワッ!
フェローチェ「!」
触手をあいに向けて振り下ろす瞬間、しんのすけが飛び出して、あいを押しのけた。
しんのすけ「あいちゃん危ない!」ドンッ!
フェローチェ『しん様!』
135 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 21:08:04.34 ID:Y7xDIbbj0
シュルルルルッ!
しんのすけ「おわっ!?」
ルザミーネ「うふふっ、また捕まえた!」
しんのすけ「また捕まっちゃったあ!!」グググッ
フェローチェ『そんな……しん様! あいを庇って……!』
ルザミーネ「……わたくしの愛を拒絶するモノは、例えビーストであっても許しませんよ。徹底的に痛めつけなさい!」
ウツロイド「じぇるるっぷ!」バッ!
フェローチェが動き出そうとする直前、ウツロイドたちがパワージェムをフェローチェに向けて一斉放火した!
ドンドンドンッ!
フェローチェ『あああっ!』
しんのすけ「あいちゃん!」
136 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 21:10:00.78 ID:Y7xDIbbj0
ルザミーネ「さあ、しんのすけくん。わたくしと同じようにウツロイドと混じり合いなさい。……そして供に生きましょう? この美しい愛の世界で……」
しんのすけ「うわー! 40過ぎの妖怪メノクラゲオババとずっと暮らすとかやだやだやだ! 離せぇぇぇっ!!」ジタバタジタバタ
ルザミーネに拘束されているしんのすけの頭上に、もう1匹のウツロイドがしんのすけに覆い被さろうと、垂直に降りてくる。しんのすけは身の危険を感じ、暴れ逃げ出そうとするががっちりと固定されたかのように体を動かすことが出来なかった。
ウツロイド「じぇるるっぷ……」フヨォ
フェローチェ『ううっ……しん様……!!』
ルザミーネ「さあいらっしゃい……」ニヤァッ
しんのすけ「おわっ、おわぁぁぁぁっ!!」
クチュッ
グニャグニャ……
じ ぇ る る っ ぷ
137 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 21:10:39.35 ID:Y7xDIbbj0
今日はここまで。
次回の更新はいつものように明日の夜です。
じゃ、そゆことで〜
138 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 21:11:34.67 ID:Y7xDIbbj0
【おまけ】
アセロラ「わ〜かわいいー! しんちゃんの妹?」
ひまわり「た?」
みさえ「うん、ひまわりっていうの」
アセロラ「抱っこしてみてもいい?」
みさえ「いいわよー。気をつけてね」ハイ
アセロラ「アローラ、ひまちゃん! 古代のプリンセス、アセロラちゃんでーす!」
ひまわり「たぁ?」
みさえ「あ、そうだ。ちょっと下の階に行って荷物取りに行ってくるから、ちょっとひまの面倒見てくれる?」
アセロラ「はーい! じゃあひまちゃん、アセロラちゃんと遊んでお母さん待ってようねー!」
みさえ「じゃあお願いね」ガチャ
139 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 21:12:11.13 ID:Y7xDIbbj0
バタン
みさえ「そういえば、なにか言い忘れていた気がするけど……」
アセロラ「ほーらひまわりちゃーん、ゴーストのZポーズだよー♪」
ひまわり「ほーほー」
みさえ「……ま、いいか。楽しそうだし」
〜数分後〜
ひまわり「きゃきゃきゃー♪」ダダダダ!
アセロラ「あー! その腕輪大事なものだから持ってっちゃダメ! アセロラちゃん、とってもアングリーになっちゃうよ!」ドタドタドタ!
みさえ「そうそう、光り物はひまの前に出しちゃダメって言おうとしたけど……手遅れだったわね」
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/14(水) 21:12:53.47 ID:3++qV3i50
原作以上にルザミーネが悪辣になってるな
モーン博士の話題が出たってことは…
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/14(水) 21:14:30.55 ID:NEbhYuum0
今まで人の生き死に、別れを経験してきた5歳児のメンタルなら寄生に耐えられそうな気がする
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/14(水) 21:21:00.61 ID:NEbhYuum0
↑続き そもそも増幅させるべき憎しみのないしんのすけに通じなそう
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/14(水) 22:54:05.62 ID:KdJU34Zu0
玉黄泉族のジャクソンでさえ、しんのすけの脳内を読めなかったからな
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/14(水) 22:58:31.90 ID:NEbhYuum0
よくよく考えたらクレしん映画の敵キャラって5歳児に暴力振るうクソ野郎ばかりだよな
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/14(水) 23:01:56.18 ID:O/i50H/Y0
だからこそクライマックスが最高に盛り上がるんじゃないかな
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/14(水) 23:21:26.94 ID:wQN4IGIsO
しんのすけには今度はイッシュ地方を冒険してもらいたいな
147 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/14(水) 23:23:41.77 ID:Y7xDIbbj0
>>130
修正です
フェローチェ『ですが……あいのことが珍しいのでしょうか。何度か、真っ白な人間たちが、あいを追いかけてきて――それで、応戦して疲れ果てていたら、しん様が助けてくださったのですわ』
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/14(水) 23:54:53.60 ID:UYNwGVx20
>>143
ヘクソンなんだよなぁ・・・
逆にウツロイドの方がおバカに感化されるまである
149 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 19:53:48.20 ID:aMmubLhw0
更新前にちょっと修正
>>97
しんのすけ「ねぇねぇ、とーちゃんも昔トレーナーだったんだよね?」
150 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 19:54:23.74 ID:aMmubLhw0
エーテルパラダイス ルザミーネの屋敷前
リーリエは太陽の光を浴びながら、右手にはカザマの入ったボールが、左手にはウルトラビーストのデータが入った端末が握られている。
リーリエ(月の笛も……もうそろそろ……)
きっと、ビーストの世界に行けば、ウルトラビーストを従えた母と戦うかもしれないだろう。そうでなくとも、ビーストからリーリエの身を守るために、しんのすけのポケモンたちの力は必須だ。
リーリエ(やれるだけのことはやりました。あとは――)
151 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 19:55:19.47 ID:aMmubLhw0
〜前日の夜〜
ルザミーネの屋敷の庭で、みんなに見守られながら、リーリエとハウ、ネネとガオガエンが対峙していた。
ネネはピンク色の毛並みのあちこちに火傷があり、ガオガエンの身体にも激しい拳撃の跡が残っている。だが、ネネは片膝をついてガオガエンを睨みつけている一方で、当のガオガエンは不敵そうに笑っていた。
ハウ「ガオガエン! フレアドライブ!」
ガオガエン「ガオオオッ!」ダッ!
ハウの指示を受けたガオガエンは、一気にネネに向かって走り出すと、へそから炎を放出させて全身に纏い始めた!
そして、炎と一体になりながら、ネネに全身をぶつける!
ガオガエン「オオオオッ!!」ゴォォォッ!!
ドンッ!!
キテルグマ「クーーーッ!??」
ガオガエンのフレアドライブを受けたネネの巨体が燃え盛りながら宙を飛び、地面に倒れ伏した。
リーリエ「ネネちゃんさん!」
キテルグマ「ク……クー」ガクッ
ククイ博士「ハウとガオガエンの勝ち、だね」
152 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 19:56:50.66 ID:aMmubLhw0
ハウ「……っぷはぁー! 手に汗握る、すごい戦いだったー!」
リーリエ「お見事です。ハウさん!」
リーリエ「……ですが、あくタイプに有利であるはずのネネちゃんさんが押し負けられるとは思いませんでした。タフさでは、しんちゃんのポケモンさんの中でも一番と思っているのですが……」
ひろし「ネネちゃん――キテルグマの特性はもふもふって言ってな、その名のとおりもふもふとした身体で攻撃を軽減させる代わりに、ほのおタイプの攻撃にはめっぽう弱いんだ」
ククイ博士「そういうことだね。ガオガエンのフレアドライブでは受け止めきれないだろう」
ハウ「うんー。それにねー、おれが逆にリーリエの作戦を真似したのー」
リーリエ「そうだったのですか……。ハウさん、さすがです!」
ハウ「でも、リーリエの戦い方ってーすごいえげつないよねー。作戦に気がつかなきゃ、おれ、負けてたかもー」
リーリエ「え、えげつないって……」
アセロラ「ハウくん、もっと他にも言い方あるでしょー! 間違ってないけど……」
ハウ「うー、ごめんねー」
プルメリ「ま、あたいはあの戦い方、結構好きだよ。なにがなんでも相手を倒そうっていう気迫がビンビンに感じられるね」
153 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 19:57:26.10 ID:aMmubLhw0
グラジオ「だが、同時に弱点も明らかになったな。まずは作戦を悟られないようにすること……そして相手の出すポケモンの性質と傾向を理解しておくべきだ」
リーリエ「はい……今回もアセロラさんとの戦い方も、お互いの手持ちを知っていたからああいうことが出来たんですよね」
グラジオ「リーリエ、ひとつずつミスを潰せばいい。お前には、志を共にする仲間がいるんだからな」
ククイ博士「そうだね。まずはマーレインから貰ったビーストのデータを頭に入れるんだ」
アセロラ「それに、しんちゃんのポケモンたちも、だんだんリーリエちゃんの言うこと、分かってきてるよ」
みさえ「そうね、私ポケモン勝負はさっぱりだけど、リーリエちゃんが強くなっていってるのは分かるわ!」
ひまわり「たい!」
リーリエ「みなさん……本当にありがとうございます。わたし、カザマさんたちと一緒に、もっと頑張ります!」
プルメリ「今度はあたいと戦ってみようか。状態異常についても、知っておいて損はないだろ?」
リーリエ「はい! よろしくお願いします!」
みんなの粘り強い指導と、リーリエとカザマたちが夜通し行った血のにじむ努力は、これから発揮されていくだろう。
154 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 19:59:46.41 ID:aMmubLhw0
リーリエ(あなたたちを、信じます)
コツコツ
グラジオ「リーリエ、ここにいたか」
リーリエ「みなさん……」
みさえ「あなたに渡すものがあるのよ」
アセロラ「リーリエちゃん、はい!」
アセロラが一歩前に出ると、飾り気のない直方体の箱を渡された。リーリエはそれを受け取り、箱を開けると、完全に直った月の笛が陽の光を浴びて青々と輝いていた。
リーリエ「これは……!」
ひろし「さっき、修復が終わったんだ」
ククイ博士「アローラの人たちと、ビッケさんたちエーテル財団の方々が、がむしゃらに修復に勤しんでくれたおかげだね」
プルメリ「これで伝説のポケモンを呼び出すんだろ?」
ハウ「おれもみんな、バッチリ行く準備はできているよー。リーリエはー?」
リーリエ「わたしも……準備万端です!」
アローラの人々と神々の祈りを込めながら修復された月の笛を手に、リーリエたちはグラジオの小型船へと乗り込んだ。
ククイ博士とバーネットはエーテルパラダイスの人やポケモンたちの助けになれるよう、マーレインと協力してビーストへの対抗策を練り、アセロラはエーテルハウスから連れてきた子供を守るために残ることになった。
155 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:00:30.82 ID:aMmubLhw0
リーリエ「みなさん。月の笛からポケモンのことまで……何から何まで、ありがとうございます!」
バーネット「あなたがゼンリョクで頑張るのなら私達も応援するって、それだけよ」
ククイ博士「リーリエ、ハウ、君たちならきっとしんのすけとルザミーネを取り戻せるよ。ポケモンと供に、ゼンリョクで突き進んだ!」
バーネット「みんなの想い、あなたたちに託したからね!」
アセロラ「必ずしんちゃん連れて戻ってきてよ! アセロラ、アローラ防衛隊なのにしんちゃんから防衛隊バッジもらってないんだから」
リーリエ「はい!」
みさえ「さ、出かけるわよ――家族を取り戻しに」
ひろし「そしてすべて終わらせるために――行くぜ!」
全員「おーーーっ!!」
156 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:01:56.46 ID:aMmubLhw0
海上
グラジオの小型船が海を爆走するなか、ひろしたちは渡された昼食のマラサダを次々と口の中へ放り込んでいく!
ひろし「バクバクバクバクバク!!」
みさえ「ガツガツガツガツガツ!!」
ひまわり「チューチューチューチューチュー! !」
ハウ「モグモグモグモグモグモグ!!」
リーリエ「ムシャムシャムシャムシャムシャムシャ!!」
グラジオ「ボリボリボリボリボリボリボリ!!」
プルメリ「ガリガリガリガリガリガリガリ!!」
シロ「」ポカン
157 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:02:45.62 ID:aMmubLhw0
ポニ島
小型船が海の民の村に停泊すると、一斉にポニの原野へと駆け出した!
全員「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」ドドドドドド!!
ケンタロスすら超える速度で、ポニの原野を突っ切り、ポニの古道を横切っていく!
マッシブーン「ブンブーン!」モストマスキュラー!
アクロマ「いま あなたの めのまえで そんざいかんを はなつ ウルトラビースt」
ひろし「うるせぇ!」バキッ!
アクロマ「おほァ!」ドサッ
ドタドタドタッ!
アクロマ「よ、よろしいっ……なかなかの、パンチです……」ピクピク
マッシブーン「ブーン?」ダイジョウブ?
158 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:03:36.67 ID:aMmubLhw0
ポニの大峡谷
ひろしたちはポニの大峡谷に突入し、勘で洞窟内を駆け巡り、橋を渡り、飛び出した野生のポケモンを無視して突き進んでいく!
全員「うおおおおおおおああああああああ!!!」ドドドドドド!!
試 練 開 始 !
ジャラランガ「ジャラジャランジャン!」バァーン!!
ポニの大峡谷 ぬしポケモン
ジャラランガ 出現!
みさえ「邪魔!」バキッ!
ジャラランガ「ジャランガーーッ!?」ドサッ
試 練 達 成 !
ドタドタドタッ!
ジャラランガ「ジ……ジャラ」ヤッパリ
ジャランゴ「ジャラ?」ダイジョウブ?
159 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:04:42.51 ID:aMmubLhw0
月輪の祭壇
ハウ「あらよっと! ついたー!」
グラジオ「ここが月輪の祭壇……」
みさえ「なんか神秘的な場所ね……」
リーリエ「太陽と月……ここで2本の笛を吹けば……!」
ひろし「ここまで勢いで来ちまったけど、どこで笛を吹けばいいんだ?」
プルメリ「あの階段の上じゃないかい? 登ってみようよ」
満月が見下ろす中、リーリエたちは長い階段を登って祭壇の上部へとやってくる。
リーリエ「月の力、いっぱい感じます……。ほしぐもちゃん……あなたを元の世界に戻すまえに、しんちゃんを取り戻して、かあさまの目を覚まさせます……!」
グラジオ「あの水たまりに囲まれたところに、床に太陽と月の笛と同じ文様があるな……。ここに立って、それぞれ笛を吹くのだろう」
リーリエ「では、にいさまは太陽の笛を。わたしは月の笛を吹きます」
グラジオ「わかった」
160 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:10:22.80 ID:aMmubLhw0
プルメリ「あたいらは儀式の邪魔にならないよう、下がっていようか」
ひろし「ああ」
ひろしたちは階段のそばへ下がり、リーリエは月の文様が描かれた床へ、グラジオは太陽の文様が描かれた床へ立つと、それぞれ笛を取り出した。
リーリエ「月の笛……手になじみます。ひとりでに吹けそう……」
グラジオ「準備はいいか? 始めるぞ」
リーリエ「はい……!」
リーリエとグラジオは太陽と月の笛を口元に持っていくと、そっと息を吹きかけた。
しんのすけはリーリエが笛を吹けないことを不安がっていたが、その心配はなかった。笛そのものが、音色を出しているからだ。
笛から飛び出した鮮やかな音は、祭壇を覆っていき空間そのものに優しく囁いていく。
みさえ「……きれいな音」
そして、笛が歌い終えた瞬間――。
ゴゴゴゴ!!
リーリエ&グラジオ「!」
ハウ「なになにー?!」
161 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:12:28.74 ID:aMmubLhw0
地面が揺れたかと思うと、リーリエとグラジオの周囲の水たまりが光を帯びた。光は床の模様を伝って、正面にある巨大なモニュメントへと駆け抜けていく!
そして、てっぺんにある円形のレリーフにたどり着くと、レリーフがひとりでに開いていった。
開いた箇所からマグマのような朱色の光が溢れ出し、虹色に変色すると、祭壇に向かって光線を照射した! 照射した部分が、小さな光のドームとなる!
ゴソゴソッ!
リーリエ「ほしぐもちゃん……?」
プルメリ「リーリエのリュックが!」
リーリエのリュックに入っているコスモッグが、飛び出した。コスモッグはリーリエから離れて、光のドームの中へと入っていく。
ほしぐもちゃん「……!」
グラジオ「コスモッグが……!」
リーリエ「ほしぐもちゃん!」
光のドームの中で、コスモッグも呼応するように輝きだし、光のドームがコスモッグに力を与えるように縮んでいく!
そして、超新星爆発の如く、青く眩い光を放ち、その場にいた全員が目を逸らした。
「マ ヒ ナ ぺ ー ア ! ! !」バサッ!
162 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:13:42.79 ID:aMmubLhw0
進化したコスモッグは、三日月のような巨大な翼を広げながら光のドームのあった場所へと舞い降り、産声を上げるように咆吼を上げた。
リーリエ「……!」
ハウ「コスモッグが進化したー!」
ルナアーラ「……」
みさえ「すごーい……!」
ひまわり「たやーい!」
プルメリ「アローラの伝説のポケモンは……コスモッグの進化系だったのか!」
コスモッグから進化したルナアーラは、真紅の瞳でリーリエたちを見下ろしている。
ひろし「あれが……ルナアーラ!」
――あなた達は『星の繭』と一緒にいるから、必ずルナアーラが現れてくれるはずよ
ひろし(星の繭……こういうことだったのか!)
163 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:14:45.37 ID:aMmubLhw0
リーリエ「ほしぐもちゃん……よかったです……無事で……いきなり飛びだすから……わたし、驚いちゃって……!」
グラジオ「それにしても……笛の音で力を与えるとはな……」
リーリエ「伝説ポケモンに進化させる……すごい儀式だったなんて!」
ルナアーラ「マヒナぺ!」
ハウ「すごいすごいー! コスモッグが進化すると伝説のポケモンになるなんてー! おれ、来てよかったー!」
リーリエ「伝説のポケモンに進化する話なんて、そんなの、本でも読んだことないのに……」
リーリエ「ルナアーラさん……ううん、ほしぐもちゃん! わたし、しんちゃんとかあさまに会いたい!」
ルナアーラ「マヒナぺーアッ!!!」バサッ!
ルナアーラは翼をはためかせると、急上昇した。翼を満月のように広げると、夜空のような青い身体が白くなっていき、額にもうひとつの目が浮き出てきた。
164 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:15:51.63 ID:aMmubLhw0
すると、祭壇のモニュメントに光が出現し、空間が歪んでいく。ルナアーラは第三の目から光を放ち、空間の歪みに当てると、ウルトラホールへと変化した。
グラジオ「ウルトラホール……!」
みさえ「これでしんのすけを助けに行ける!」
その時だった。
銀色の光が祭壇を襲い地面を穿った! 全員が攻撃を受けた方向を見ると、空にはテッカグヤが、祭壇と洞窟の出入り口にアクジキングが立ってた。
テッカグヤ「フー……!」ゴゴゴゴ!!
アクジキング「ズモォォォォッ!!」
ひろし「あいつら! こんなところにまで!」
グラジオ「行け……! ここはオレが食い止める!」スッ
ハウ「おれも手伝うー!」スッ
リーリエ「にいさま! ハウさん!」
プルメリ「リーリエ! グズグズしてる暇はないよ! 早くルナアーラと一緒にウルトラホールの中に飛び込むんだ!」
リーリエ「……はい! お願いします! ほしぐもちゃん!」
ルナアーラ「マヒナぺーア!」グワッ
165 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:18:00.80 ID:aMmubLhw0
ハウ「アローラ防衛隊、ファイヤーだよー!」グッ!
リーリエ「ファイヤー! です!」グッ!
ルナアーラは急降下し、リーリエたち4人をかかえると、ウルトラホールの中へと飛び込んでいった!
バサッ!
グワァァァァッ キィーーーン!
グラジオ「頼んだぞ! ヌル!」ヒョイッ
ハウ「行くよー! ライチュウ!」ヒョイッ
ヌル「オオオッ!」ポンッ
ライチュウ「ライラーイッ!」ポンッ
グラジオ「ハウ……オマエがいてくれてよかった。礼を言う」
ハウ「褒められちゃったー照れるなー」
グラジオ「『BLASTER』は任せた。オレは『GLUTTONY』をやる!」
ハウ「へへー任せられたー! ライチュウ、10まんボル――」
その時、空から1匹のポケモンが回転しながらテッカグヤへと激突し、地面へと落下させる。同時に、ポケモンも地面に着地する。
バンバドロ「ムヒイウンッ!」ズザザザッ!
166 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:18:37.24 ID:aMmubLhw0
グラジオ「バンバドロ――!」
???「まったく……わらわを差し置いてこのポニ島の中で暴れるとはいい度胸じゃ」テクテク
ハウ「ハプウさん!」
ハプウ「お主らが全力疾走する姿が見えてな。ライドギアを渡そうと思ったが、今の状況を見る限り、必要なさそうじゃな」
ハウ「手伝ってくれるのー?」
ハプウ「もちろんじゃ。伝説のポケモンを見れて、気分も良いしな! このハプウとバンバドロ、最初からゼンリョクでビーストを迎え撃とうぞ」
グラジオ「よし……ホールを守りきるぞ!」
ハウ「うんー!」
ハプウ「うむ!」ギンッ!
167 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:19:54.53 ID:aMmubLhw0
ウルトラスペース
ブゥゥゥンッ!
リーリエ「きゃっ!」ドサッ!
ひろし「うわっ……と!」ドサッ!
みさえ「イタタ……」
プルメリ「……ここがビーストの世界」
リーリエたちは周囲を見渡すと、自分たちは別の世界に来たことをまざまざと思い知らされた。
まるで深海にいるような暗さ、奇妙な植物や岩、そして浮遊しているウツロイドたち。見ているだけで不安になる。
リーリエ「思っていたよりきれいな場所で……驚いています。でも……空気がどんよりと、なんだか苦しい……」
みさえ「ここに、しんのすけがいるのよね……」
プルメリ「グズマもね……」
168 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:20:45.45 ID:aMmubLhw0
リーリエはふと、空に浮かんでいるウツロイドをみやった。
リーリエ「博士は……ウルトラビーストもポケモンかもしれないと言ってました。だとすると、ウルトラビーストさんと呼ぶべきでしょうか」
ひろし「ああ、そうかもしれないな」
リーリエ「……行きましょう!」
ルナアーラ「……マヒナぺーア!」
待って、と言いたげに、ルナアーラがリーリエを呼び止めた。
リーリエ「どうした……の?」
ルナアーラが、息を切らしたように身体を震わせてリーリエを見据える。
みさえ「なんだか、弱っている気がするわ」
リーリエ「初めてウルトラホールを開いたから……疲れているのでしょうか?」
ルナアーラ「マヒナぺーア」コクン
プルメリ「さすがに伝説のポケモンといえど、別の世界に行くには相応の体力が必要ってことだね。よく頑張ったよ」
リーリエ「ありがとうね、ほしぐもちゃん。ビーストさんの世界に連れてきてくれて……!次はわたしの番ですね! 必ず、しんちゃんとかあさまをここへ連れてきますから! ここでゆっくり休んでください」
ルナアーラ「マヒナぺィーア」
169 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:21:50.66 ID:aMmubLhw0
みさえ「でも、どうやって探せばいいのかしら?」
すると、ひろしのそばで控えていたシロがリーリエたちの前に立った。
シロ「……」クンクン
ひろし「シロ、どうしたんだ?」
シロ「キャンキャン!」
みさえ「しんのすけの場所が分かるの?」
シロ「アンッ!」
みさえ「シロ……きっと、しんのすけのニオイを嗅いだのよ!」
ひろし「追いかけようぜ! まずは1人でもいいから誰かを見つけるんだ!」
プルメリ「そうだね……代表と一緒にいたグズマなら、なにか知ってるかもしれないね」
リーリエ「しんちゃん、待っててくださいね! 今、助けに行きますから!」
170 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:23:45.75 ID:aMmubLhw0
リーリエたちは、ニオイを辿って歩くシロを先頭にしつつ、ウルトラスペース内を歩き回った。
途中、アローラでうんざりするほど見かけたウルトラビーストたちがウルトラスペース内を闊歩しているのを目撃し、なるべく戦闘を避けるために身を潜めながら進んでいった。迷わないように、あらかじめひろしが持ち込んできた頑丈なロープを地面に垂らして帰り道を作る。
リーリエ「本当に、ビーストさんばかりの世界なんですね……」
プルメリ「多分だけど、この世界は他の世界に繋がる中間地点だと思うよ。だから、ここから様々な世界からビーストが行き交っているんだ」
ひろし「宅配で言うなら、流通した荷物の集まるベースか。ルザミーネはここから、ウルトラビーストをアローラへ『出荷』させてるってところだな」
みさえ「ここに人間が迷い込むこともあるのかしら?」
プルメリ「別の世界からやってきた人間が、アローラに流れ着く。逆もまた然り。可能性はあるかもね」
リーリエ「元の世界へ帰れなくなるなんて……そんなの、悲しいです。かあさまも、グズマさんも、しんちゃんも、そんなことさせません!」
ひろし「ああ――」
シロ「……キャンキャンッ!」
ひろし「シロ? なにか見つけたのか?!」
???「ポケモンの声……?」
プルメリ「……その声、まさかっ!」
171 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:24:58.67 ID:aMmubLhw0
プルメリは人の声がした方へ走り出した。ひろしたちも後に続いていく。
緩やかな岩のカーブを曲がっていくと、果たしてそこには、岩場に座り込んでいるグズマの姿があった。
グズマはプルメリたちの姿を見たとたん、まるで怪物でも見たかのように心底驚いた表情で迎え入れた。
プルメリ「グズマ! グズマなんだね!」
グズマ「……本当に、来やがっただと?」
リーリエ「ご無事だったんですね!」
ひろし「お前、確かエーテルパラダイスでルザミーネと一緒にいた……!」
みさえ「ねえ、しんのすけはどこにいるの?」
グズマ「うるせぇっ! てめーら一斉に喋るな!」
全員「……!」
グズマ「プルメリ、それに代表の娘、後のやつらは知らねえが……」
みさえ「私たちはしんのすけの親よ!」
ひろし「しんのすけはどこに行ったんだ? お前は確かルザミーネと一緒にいたよな?」
グズマ「しんのすけ……あのじゃがいも小僧のことか。そうか、お前らが親かよ」
172 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:26:04.31 ID:aMmubLhw0
リーリエ「お願いします。しんちゃんとかあさまを探しているんです」
グズマ「知らねえよ。ただ、あのじゃがいも小僧とは一度そこら辺で会ったが、帰れる帰るとピーピー喚いて、どこか行っちまったぜ」
ひろし「ということは、少なくともあの後、ルザミーネから逃げられたってことだな!」
みさえ「よかった……!」
グズマ「お前らは代表に連れてこられたってクチじゃねぇな。一体全体どんな手段でこっちに来たのか……。ホントにバカだな」
プルメリ「アンタを連れ戻せるのなら、いくらでもバカになってやるよ」
プルメリ「……なあ、ちょっとグズマとふたりっきりで話、させてくれないかい? アンタらも急いでるんだろ? あたいもグズマを説得したら、すぐに助けに行くからさ。頼む」
ひろし「ああ、ロープはそのまま垂らしておくから、それを伝って来てくれ」
プルメリ「すまないね」
プルメリ「……リーリエ」
リーリエ「はい!」
プルメリ「しんのすけと代表、絶対取り戻すんだよ。お姫様が王子様を救うって物語も、悪くないだろ?」
リーリエ「必ず助け出します! しんちゃんも、かあさまも!」
リーリエたちは再びシロが嗅いでいるしんのすけのニオイを頼りに、ウルトラスペースの奥へと進んでいった。
173 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:28:08.82 ID:aMmubLhw0
残ったプルメリとグズマの間に、沈黙が漂う。最初に口火を切ったのは、グズマだった。
グズマ「お前……本当にオレを連れ戻しに来たってのかよ」
プルメリ「そうだよ。わざわざそのために、伝説のポケモンの力を借りて、ここまで来たんだ」
プルメリ「さ、帰ろう。グズマ」
グズマ「今更なんだってんだ。わかってるんだろ? 今のアローラは、ビーストに破壊され尽くされちまっている。ここにいようがアローラに帰ろうが、変わんねえよ」
プルメリ「ああ、確かに代表のせいで、アローラはひどい有様さ。だけどね、アローラの人たちだって、ただ黙って自分たちの住んでる街を壊されるのを眺めているわけじゃないんだよ」
プルメリ「知ってるかい? しまキングやキャプテン、カプたちだけじゃない。スカル団のみんなも、必死でアローラを守ってるんだよ。アンタが帰ってくるのを待ちながらさ」
グズマ「あいつらが……?」
プルメリ「ああ、あたいもクチナシとマーレインに言いくるめながらも、ビーストと戦ってきたんだ。あいつらも、ビーストとの戦いでたくましく成長してるはずだよ」
グズマ「……だとしてもよ、オレはお前らより代表を選んじまった。あいつらに見せる顔がねぇ」
プルメリ「なんだか、ずいぶん落ち着いたね。こっちでよっぽどエライ目にあったんだね」
プルメリ「しっかりしな! あんたはもうボスじゃないけど、たくさんの人に慕われてるんだからさ! 本当に見限られてるなら、あたいがこんなとこまで迎えに来ないって!」ポンッ
プルメリ「いいかいグズマ、アンタもあたいも元々は誰にも理解されなかった、いわゆるはずれ者だよ。だけどね、その時にはなかったけど、今はあるものがあるんだよ。わかるかい?」
グズマ「は……?」
174 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:29:46.95 ID:aMmubLhw0
プルメリ「『仲間』だよ。みんながアンタの事を理解してる。そしてアンタも、あいつらの事を理解してるんだよ。あたいらには互いに自分たちの痛みを知ってる人達がいる。もう一人ぼっちじゃないんだ」
グズマ「……」
プルメリ「失敗したんならさ、また立ち直りゃいいんじゃないの。そうやって人もポケモンも、強くなっていくんだからさ。今のアローラはボロボロだけど、みんながひとつになって、きっと立ち直っていくよ。今よりとっても良くなってね。そこにグズマもあたいも、居たいだろ?」
プルメリ「そのためにもさ、アローラへ償いをしようよ。グズマの罪も、あたいらみんなが一緒に背負ってあげるからさ」
グズマ「……」
――嘘つけ、スケスケおパンツ団の人たちがいるクセに
――おじさんも、スケスケおパンツ団の人とか、プルメリのおねいさんが迎えに来るもん!
グズマ「――ッ!」
グズマ「グズマァ!! なにやってるんだああ!!」ガクガクッ
175 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:30:21.36 ID:aMmubLhw0
グズマ「……ハァハァ」
プルメリ「吹っ切れたかい? さ、あのヒモを伝って戻りなよ。伝説のポケモンがいるから、一緒にいればきっと帰れるよ」
グズマ「……その前に、代表のところへ行く」
プルメリ「え?」
グズマ「代表には、いろいろ世話になっちまったからな。だから、筋通しに行くんだよ」
プルメリ「……そうかい。ま、あたいもしんのすけの両親と約束しちまったからね。さっさと追いかけようか」
グズマ「……ああ!」
176 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:31:58.30 ID:aMmubLhw0
プルメリがグズマを説得している頃、リーリエたちは先ほどと同様、シロの嗅いでいるしんのすけのニオイを頼りに歩き回っていた。
ひろし「しんのすけ……どこにいるんだ」
リーリエ「でも、よかったです。しんちゃんが無事そうで」
みさえ「当たり前よ、そう簡単に死んでたまるもんですか!」
リーリエ「きっと、いつものような元気な姿で姿を見せてくれます。だから、辛抱強く探しましょう!」
ひろし「ああ、ここに来て諦めるようなオレ達じゃないぜ」
みさえ「ひょっとしたら、向こうから姿を見せちゃったりしてね」
リーリエ「そうですね。そうしたら、みんな心配してましたって、うんと叱らなきゃいけませんね」
ひろし「なんだかしんのすけのお姉ちゃんみたいな口ぶりだな」
リーリエ「ふふっ、島巡りで時間があるとき、しんちゃんの面倒を見てましたから」
みさえ「そのまましんのすけの面倒見てくれると、私たちも楽なんだけどね」
ひろし「そうだな……島巡りが終わったあとも、うちのしんのすけのこと、よろしく頼んだぜ。『お姉ちゃん』」
リーリエ「はい!」ニコッ
シロ「アンアンッ!」
全員「!」
177 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:33:15.32 ID:aMmubLhw0
みさえ「どうしたの? シロ?」
リーリエ「なにか見つけたのでしょうか?」
シロが走り出すと、奥に小さな赤い物体と、白くて細いポケモンが倒れているのを発見し、再び吠えだした。
リーリエは赤い物体に近付くと、それがなにか理解して顔を青ざめさせながら拾った。
リーリエ「これ……しんちゃんのロトム図鑑さんです……!」
みさえ「あっ、そうよ! 誰か忘れていたと思ったら、みんなコイツのこと忘れてたのよ!」
ひろし「なんでこんなところに落ちてるんだ……? とにかく、話を聞いてみようぜ」
リーリエ「ロトム図鑑さん! ロトム図鑑さん! 返事してください!」
ひろし「おいっ、なに寝てやがるんだ。さっさと起きろ!」
ロトム図鑑「」
みさえ「……ちょっと貸してもらってもいい?」
リーリエ「あ、はい。……でも、どうなさるおつもりですか?」
178 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:34:01.86 ID:aMmubLhw0
みさえ「フー……フー……ふんっ!!」
げ ん
こ つ
ロトム図鑑「ブヒッ!?」パッ!
ひろし「あ、起きた!」
みさえ「壊れた機械なんて大抵叩けば直るものよ」
ロトム図鑑「私は誰だ……確か、ナギサシティのジムリーダー、デンジだったような……」
ひろし「お前はぶりぶりざえもんだろうが、なに都合のいい思い出し方してるんだよ」
リーリエ「ロトム図鑑さん、しんちゃんがどこに行ったか分かりますか?」
ロトム図鑑「んあ……? お前らなんでこんなところに?」
みさえ「しんのすけがこっちの世界に連れてこられたから助けに来たに決まってるでしょ? で、しんのすけはどこにいるの?」
ロトム図鑑「しんのすけだと……? ここにいないのなら私が知るわけないだろう」
みさえ「あっ、そう。じゃあもう一度ぶっ叩けば思い出すかしら」スッ
ロトム図鑑「待て待て! 本当に知らないのだ! 私は確かにあいつと居たのだが、突然ボディがショートして、そのまま気絶してしまったんだよ!」
179 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:35:06.49 ID:aMmubLhw0
リーリエ「そんな……」
ロトム図鑑「ん? あいつも倒れているではないか」
みさえ「あいつ?」
ロトム図鑑はみさえの手から離れると、すぐそばで倒れている、フェローチェのそばに近づいた。
ロトム図鑑「こいつは以前、アーカラで倒れていたところをしんのすけが助けたウルトラビーストだ。名前は『あい』らしい。こいつならなにか知ってるんじゃないのか?」
ひろし「あい? あいってカスカベに住んでるあの――」
みさえ「いい加減なこと言ってたら、タダじゃおかないからね」
リーリエ「ロトム図鑑さんを信じましょう。まず、このビーストさんを元気にさせなきゃ、なにも始まりません」
リーリエはリュックからげんきのかたまりを取り出して、それを砕きながらひとかけらも残さずフェローチェの口の中に入れて飲み込ませた。
フェローチェ「フェ……フェロ……」ピクッ
ひろし「おっ、気がついたぞ!」
リーリエ「よかった……ビーストさんにもげんきのかたまりは効くみたいですね!」
しかし、喜んでいるリーリエたちとは真逆に、フェローチェはいきなり起き上がると一瞬でリーリエたちと距離を取って、警戒心に満ちた眼差しで睨みつけた。
フェローチェ「フシューッ……!」
180 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:37:00.55 ID:aMmubLhw0
ひろし「なんだ? まるで俺たちに怯えてるみたいだ」
ロトム図鑑「ふむ……リーリエ、お前のニオイがあのフェローチェの敵と同じニオイを感じているようだ」
リーリエ「わたしのニオイ……?」
みさえ「敵と同じニオイってなによ? ちゃんと説明してよ」
すると、リーリエの腰にくっつけているモンスターボールがカタカタと揺れて、カザマとマサオが飛び出した!
ジュナイパー「ホーッ!」ポンッ!
ヨワシ「ヨワッ!」ポンッ!
フェローチェ「フェロ? フェロローッ?!」スッ
ひろし「なんだなんだ?」
リーリエ「カザマさんとマサオさんが飛び出したと思ったら……急に警戒心を解いたみたいです」
ロトム図鑑「奴らも顔見知りだからだろうな。ネネは気に食わない様子だけどな」
181 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:37:42.39 ID:aMmubLhw0
フェローチェ「フェロー?」
ジュナイパー「ホッホーッ! ホー?」
ヨワシ「ヨワワッ、ヨワワ?」
フェローチェ「フェローロ。フェロロ、フェーロー」
ジュナイパー「ホーホー!」
ひろし「なんて言ってるんだ?」
ロトム図鑑「軽い自己紹介と事情説明だな」
ヨワシ「ヨワヨワッ! ヨワシーッ!」
フェローチェ「フェロ……フェローロ!」
ロトム図鑑「どうやら、こっちが味方であることがわかったようだ……。だが、しんのすけは、このビーストを庇ってルザミーネに捕まったあと、どこかへ連れ去られてしまったらしい」
リーリエ「そんなっ……!」
ひろし「あいつ……!」
みさえ「ねぇ、なんとかならないの? どこにいるかわからない?」
ロトム図鑑「おい、しんのすけの居場所はわからんのか?」
フェローチェ「フェロ、フェローロ……」
182 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:39:29.50 ID:aMmubLhw0
ロトム図鑑「一応、アテはあるようだ。だが、そこにいるか正直自信はないらしい」
ひろし「ないよりはましだ! 案内頼むぜ!」
リーリエ「お願いします、ビーストさん! しんちゃんとかあさまのところへ、連れて行って欲しいのです!」
ロトム図鑑「だそうだ」
フェローチェ「フェロ!」
すると、フェローチェ……もとい、あいはシロの代わりに先頭に立って、「ついてきてください」と言いたげに顎でしゃくって歩き出した。
ひろし「とりあえず、ついて行けばいいんだな?」
みさえ「みたいね……」
ロトム図鑑「おい」
みさえ「え?」
183 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:39:59.04 ID:aMmubLhw0
ロトム図鑑「翻訳料五百億万円、ローンまたはクレジット、ウェブマネーでも可」
げ ん
こ つ
みさえ「次適当なこと言ったら画面叩き割るからね!」
ロトム図鑑「わ、わかった……もう何も言わん……」
リーリエ「カザマさんもマサオさんも、ありがとうございます」シュンッ
リーリエ「急ぎましょう。なんだか胸騒ぎがして……ならないのです」
ひろし「同感だ。早くしんのすけを見つけよう!」
184 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:40:59.75 ID:aMmubLhw0
先程までの明るさは消え去り、みんな焦りに満ちた表情であいの後をついていく。時折、しんのすけの名を呼びかけながら、ウルトラスペースをさまよい歩く。
どのくらい歩いただろうか。リーリエたちはウルトラスペースの中でもスタジアムの内部のように大きく開けた場所にたどり着いた。
岩や植物があちらこちらに転がっているものの、これといった起伏もない。他にあるものといえば、空に浮かんでいるウツロイドたちのみだ。
フェローチェ「フェロー……」
ロトム図鑑「ここで、しんのすけを最初に見つけたようだ。ルザミーネのお気に入りの場所だそうだ」
ひろし「じゃああのウルトラホールはここに通じてたんだな」
みさえ「しんのすけー! どこにいるのー?」
リーリエ「しんちゃんとかあさまはどこに……?」
リーリエたちがしんのすけとルザミーネの名を呼びかけたその時だった。
ウツロイドたち「じぇるるっぷ……!」
リーリエ「!」
宙を漂っていたウツロイドたちが動き出すと、リーリエたちの目の前に集まり、次々と並び始めた。まるで、ウツロイドで出来た壁が形成しているようだ。
そして、ウツロイドたちの群れが散り散りになると――。
――ああ……! ウルトラビーストの世界……わたくしとビーストちゃんの愛だけが存在する、なんて甘く美しい真実のパラダイス……!!
全員「!」
185 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:41:47.16 ID:aMmubLhw0
グニュウッ
ルザミーネ「だというのに! ……なんてしつこいのかしら! 心底ウンザリしますわね。誰の許しを得て、わたくしとビーストだけの美しい世界に来たのです!!」ギロッ
ルザミーネが、侮蔑するようにリーリエたちを見下ろしながら現れた。ポニの大峡谷で見た、ウツロイドとの融合を果たしたあの姿で。
ひろし「うるせぇ! しんのすけを助けに来たのに、いちいちお前の許しがいるかよ!」
みさえ「そうよ! うちのしんのすけを返してっ!」
フェローチェ「フシューッ!」
ルザミーネ「『うちの』しんのすけ、ですって? なにを言っているのかしら? あなた達……」
リーリエ「どういうことですかっ! しんちゃんは? しんちゃんは無事なんですか?」
ルザミーネ「どういうこともなにも、この世界にあるものは、全てわたくしのモノよ?」
ルザミーネ「この美しい景色も! この世界に住むビーストちゃんも!」
ルザミーネ「……そして、しんのすけ君もね! いらっしゃい、わたくしの愛しい息子……」
ルザミーネの呼びかけに答えるように、彼女の背後から誰かが歩いてきた。小さな人影が、ルザミーネの前に現れる。
ルザミーネ「……しんのすけ君」
スッ
しんのすけ「……」
186 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:42:25.94 ID:aMmubLhw0
その姿を一目見た瞬間、リーリエたちは全身が逆立つような恐怖と深い絶望が一斉に押し寄せてきた。
みさえ「いやぁぁぁぁっ!」
リーリエ「しんちゃん……!」
ひろし「しんのすけっ!」
フェローチェ「フェロ……ッ!」
リーリエたちの前に現れたしんのすけの姿は、変わり果てたものだった。頭部にウツロイドがそのままくっつき、ルザミーネのように異形の姿にこそなっていないが、全身がウツロイドの触手によって絡みついている。目も焦点が合っておらず、腕も力なく垂れ下がっている。
しんのすけ「……」グネグネ
ひろし「てめぇ……しんのすけになにしやがったっ!!」
ルザミーネ「ウフフ! 別に? ただ、この子がとっても暴れちゃうものだから、ウツロイドの力を使って、親に愛情を注いでくれる、かわいいわたくしの子供になっただけよ?」
みさえ「あんたの子供ですって? ふざけんじゃないわよ! しんのすけを元に戻して!」
ひまわり「たいっ!」
ルザミーネ「どうして? どうして、こんな可愛い子をどうして手放さなきゃいけないのかしら? もちろん、最初は反抗的だったから、ビーストちゃんの餌にしようと思ったわ」
ルザミーネ「でもね……この子の才能には驚かされてばかりだもの。突然のことがあってもすぐに切り抜けられる頭の良さ、大試練を乗り越えられるポケモントレーナーとしての実力、そしてなにより、こんな幼い子供をビーストちゃんの餌にするなんて、かわいそうですもの」
しんのすけ「それほど……でも……」
187 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:43:13.60 ID:aMmubLhw0
ルザミーネ「ウフフ、こうして見ると本当に愛おしく感じます……おいで」
しんのすけ「……ほい」
ルザミーネはしんのすけを触手でかかえると慈しむような頭を撫でて、優しく笑いかけながらきつく抱きしめた。あたかも彼女がしんのすけの母親であるかのように振舞って。
ルザミーネ「フフフ……愛しいしんのすけ君。わたくしが、ずっと守ってあげます。あなたの心はわたくしのモノ……」ギュッ
リーリエ「――ッ!!」
みさえ「……アンタ! アンタはぁぁっ!」ビキビキビキッ!
ひろし「か、軽々しくしんのすけに触れてんじゃねぇ!」
ロトム図鑑(羨ましいのか羨ましくないのか分からないな)
ルザミーネ「なにを怒っているのかしらねぇ? あの人たちは」
しんのすけ「……」
ルザミーネ「お母さんの温もりはどうかしら? しんのすけ君」
しんのすけ「……40過ぎのおばさんに……こんなことされても……嬉しくない」
ルザミーネ「」イラッ
ロトム図鑑「敵に操られても本質的なところは変わってないようだな」
リーリエ「……もう、ウンザリです」ボソッ
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/15(木) 20:44:17.38 ID:UJf58M9+O
一
人
遊
び
は
楽しいか?
189 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:44:56.76 ID:aMmubLhw0
ルザミーネ「なにか言ったかしら?」
リーリエ「かあさま」
ルザミーネ「あら? あなたにかあさま、なんて言われる筋合いは無いのですけれども」
リーリエ「わたしと……ポケモン勝負をしていただけませんか? それでわたしが勝ったら、しんちゃんをここにいるご両親に返してください。そして、ウルトラホールを閉じてかあさまも元の世界に帰るのです」
ひろし「リーリエちゃん……」
ルザミーネ「ふうん? なにを言うかと思えば……そう、リーリエ、ポケモントレーナーになったの」
リーリエ「はい、しんちゃんの借り物ですが。あなたとしんちゃんを取り戻すために、カザマさんたちと一緒に、ここまでやってきました」
ルザミーネ「そうやって他人の息子のモンスターボールを持って、トレーナー気取りですか? ずいぶん舐められたものね」
リーリエ「何とでも言ってください。トレーナーさんは、目と目が合った瞬間、勝負を申し込まれたら、受けなければいけないルールがあります。かあさまはご存知ですよね? それとも、背中を向けて逃げるんですか?」
ルザミーネ「言ってくれるわね。……いいわ、相手になってあげる」
ルザミーネ「だけど、もしわたくしが勝ったら、あなたはなにを差し出すの? それ相応の対価を用意しているのでしょう?」
リーリエは向かい合っていた母親と、一瞬目をそらした。薄いピンク色の唇が震える。これから出る言葉を口にすることを、ためらうように。
リーリエ「……ほしぐもちゃんをっ」
ひろし&みさえ「!」
190 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:46:01.60 ID:aMmubLhw0
リーリエ「ほしぐもちゃんを、あなたにお返ししますっ! それでいいですか?」
みさえ「リーリエちゃん!」
ルザミーネ「あのコスモッグのこと? もうわたしには、あんなモノ必要ないのだけれども。アローラにウルトラホールを開けることぐらいなら、今のわたくしには造作もないことですもの」
リーリエ「いいえ、ほしぐもちゃん……コスモッグは伝説のポケモン、ルナアーラの進化前なのです。ポ二島にある月輪の祭壇で太陽と月の笛を吹くことで、コスモッグをルナアーラへと進化させることができます」
ルザミーネ「それは初耳ね。ルナアーラには、ウルトラホールを自由自在に開けられる能力を持っていたわね。……そう、その力を使ってこの世界に来たのね。確かにルナアーラを掌中に収めれば、アローラ以外にもウルトラホールを開けられるかも……悪くないわ」
ルザミーネ「でも、そのルナアーラはどこにいるのかしら? あの子はウルトラビーストだから、ウルトラボール以外では捕獲できないはずだけれども」
リーリエ「あの子は今、わたしたちがここにやってきたところで休んでいます。力を使い始めたばかりですから、その反動で動けないのです。ですから、もしわたしが負けたらほしぐもちゃんのところへ案内いたします。後は……あなたの好きにしてください」
ルザミーネ「分かったわ、取引成立ね。あなたが勝てば、しんのすけ君をウツロイドから解放した上であなたたちにお返しし、ウルトラホールも閉じて向こうの世界へ戻ることも約束します。だけど負けたら、あなたのルナアーラはわたくしのもの、そしてしんのすけ君も返さない。これでいいわね?」
リーリエ「はい」
みさえ「リーリエちゃん! そんなことしたら……」
ひろし「みさえ、よすんだ」
みさえ「だって……!」
ひろし「あれが、リーリエちゃんなりの覚悟なんだ。ここで負けたら、どのみち全てを失う……だからあえて捨て身になって、絶対に負けられないゼンリョクの覚悟で母親に挑もうとしている。俺たちがそんなリーリエちゃんの決意を鈍らせるわけにはいかないだろ」
みさえ「リーリエちゃん……」
191 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:47:06.74 ID:aMmubLhw0
リーリエ「ひろしさん、みさえさん、必ずしんちゃんを取り戻します。わたしを信じてください!」
みさえ「……わかったわ!」
ひろし「ああ、頼んだぜ!」
ルザミーネ「さぁ来なさい。わたくしのビーストちゃんたち……!」バッ!
すると、ルザミーネの周囲に、ビーストが4匹現れた。ウツロイド、デンジュモク、テッカグヤ、あいとは別個体のフェローチェだ。
ルザミーネ「そっちの使用ポケモンは4匹。ならこっちも4匹で相手してあげる」
リーリエ(ウツロイドさん……そして、後の3匹のビーストさん……)
ルザミーネ「光栄に思いなさい。わたくしが選んだ、愛しい子供たちの相手をしてあげるのですから」
ビーストたちは、次々とルザミーネの持っているウルトラボールの中へ入っていく。
リーリエの頭の中に、必死に暗記したウルトラビーストの情報が駆け巡る。同時に、最初に何を出すべきか、決まった。
フェローチェ(あい)「フシューッ!」
リーリエ「ロトム図鑑さん。ボールに入っていないあいさんを参加させることはできないので、なんとか説得していただけませんか? これはわたしたちの戦いなんです」
ロトム図鑑「やれやれ、仕方ないな」
リーリエ「かあさま……覚悟してください。絶対に負けませんから!」スッ
ルザミーネ「かつての親に向かって、なんて口聞くのかしら! その下らない自信もプライドも、全て粉々にしてあげます!」スッ
192 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:47:59.64 ID:aMmubLhw0
今日はここまで。
次回の更新はいつもの通り、明日の夜予定です。
じゃ、そゆことで〜!
193 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/15(木) 20:53:09.82 ID:aMmubLhw0
【おまけ】
このSSを執筆する前に書いた「しんのすけとリーリエ」のコンプセントアートですが……。
塗り絵にでもどうぞ。
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/15(木) 21:06:38.46 ID:3PI+GnISO
乙です。
モクロー違和感無さすぎです!
他の手持ちも見たいで#このコメントはげんこつされました。
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/15(木) 21:08:06.72 ID:gFyIYxMg0
乙
どうしたしんのすけ!お前のメンタルはそんなにやわじゃないはずだ!
ひろみさももうちょっとキレていいと思う
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/15(木) 22:26:41.69 ID:dRe5q3np0
騒動が終息したらケツだけ星人を見て歓喜するルナアーラが見られるんだろうか
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 00:23:57.25 ID:Xu6676nx0
このルザミーネ、原作以上にフルボッコにした方が良いんじゃなかろうか…あの姿を見て、お前が戦えよと何回思ったことか
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 09:21:31.17 ID:f9QGTCGyO
まぁこのルザミーネさんは一応戦ってるから…
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 21:04:43.76 ID:cL00ZGYS0
Z技が使えないのがキツイな
200 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/16(金) 21:13:35.16 ID:hGqQJJjA0
エーテル代表の ルザミーネが
勝負を しかけてきた!
リーリエ「お願いします! マサオさん!」ヒョイッ
ルザミーネ「行きなさい! テッカグヤ!」ヒョイッ
ヨワシ(群)「ギョオオオオッ!」ポンッ
テッカグヤ「フー……!」ポンッ
ルザミーネ「テッカグヤ、ギガドレインよ!」
テッカグヤは浮かんでいる腕を緑に輝かせると、マサオの身体から次々とエネルギーを奪い取っていく。
ルザミーネ「吸い尽くしてあげる……」
リーリエ「マサオさん! アクアテールです!」
ヨワシ「ギョオオォォッ!」
マサオは攻撃をこらえつつ、テッカグヤへ距離を詰めると、身体を一回転させてテッカグヤにアクアテールを放つ!
ドズムッ
テッカグヤ「フゥッ……!」グラッ
ヨワシ「ギョッ!」
ひろし「まるで大怪獣バトルだ……!」
201 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/16(金) 21:14:41.73 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「さっさとその群れを散らせないとね……テッカグヤ、ヘビーボンバーで群れを一気に叩きつぶしなさい!!」
テッカグヤ「フー……ッ!」ゴウッ!!
テッカグヤの腕の先端が点火すると、ガスを噴射させて勢いよくウルトラスペースの暗い空へと飛び上がっていく。
ひろし「ヤバイ! あの技だ!」
ルザミーネ「ヨワシじゃあこれを避けることなんて出来ないでしょう?」
リーリエ「……!」
テッカグヤは上空へ飛び上がると、方向転換して今度は真っ逆さまにこちらへ落ちてくる。
リーリエ(かあさまの言うとおり、このまま群れを纏ったマサオさんでは、テッカグヤさんの攻撃は間違いなく当たってしまいます。ですが……!)
キィィィン!!
みさえ「こっちに来る!」
ひろし「逃げるぞ!」
リーリエ「マサオさん! 群れを――!」
ドッゴォォォッ!!
202 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/16(金) 21:16:35.65 ID:hGqQJJjA0
ひろしとみさえが退避してリーリエの指示が飛んだ数秒後、テッカグヤが頭から地面へと衝突した。着地の衝撃で、大きな揺れが起き、土埃が舞う。
ひろし「ど、どうなったんだ?」
リーリエは思わず体勢を崩し、膝をついた姿勢になる。しかし、場の状況から目を離さず、様子を確認する。
リーリエ(マサオさん――)
土埃が消えると、果たしてそこには、マサオの姿がなかった。いるのは、地面から起き上がろうとするテッカグヤのみだ。
ルザミーネ「潰れた……かしらね」
「ヨ ワ ー ー ッ !」
ルザミーネ「!?」
ひろし「ヨワシの群れが……!」
リーリエ「マサオさん! 元に戻ってハイドロポンプです!」
次々とヨワシの群れがあちらこちらから集まって、1匹のヨワシ――マサオへと集まっていく。そして再び、群れたヨワシへと形を成していった。
元の群れた姿になったマサオは、ヘビーボンバーから体勢を整えようとするテッカグヤの背中に向けてハイドロポンプを放った!
ヨワシ「ギョギョオォォッ」ブシャーーッ!!
テッカグヤ「フゥッ……!」
リーリエ「アクアテール、です!」
そして更に、テッカグヤの背中に向けて尾びれを叩きつけた! テッカグヤの身体が更に地面に埋まり、うめき声をあげる。
203 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/16(金) 21:17:34.63 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「信じられない……どうしてそんな」
リーリエ「これがマサオさんの力です。こうやってしんちゃんたちは、予想もつかないことをして、大試練を勝ち抜いてきたんです」
ルザミーネ「テッカグヤ……! 早く起き上がりなさい!」
テッカグヤ「フー……!」ゴウッ!
テッカグヤは噴射口を再点火して、マサオを押しのけて起き上がると、再び腕の先をマサオへと向けた。
ルザミーネ「タネばくだんよ!」
テッカグヤ「フー……!」ドンッ
テッカグヤは腕の先から種子の弾丸を発射すると群れたマサオに直撃、そしてマサオとヨワシたちのエネルギーを吸い取ったかと思うと、光り出して大爆発を起こした。
ドカァァァン!
ヨワシ「ギョオォォーッ!」バラバラッ!
リーリエ(マサオさんっ……耐えてっ!)
タネばくだんの爆風に巻き込まれながら、マサオは、ウツロイドにとりつかれて試合を見つめているしんのすけと目があった。
しんのすけ「……」
ヨワシ「オオ……ギョオオッ!」
マサオが雄叫びを上げた。しんのすけに「僕たちを忘れちゃったの?」と語りかけるように。
204 :
超超ゴルーグロボ
◆g/SXBgh1y6
[saga]:2017/06/16(金) 21:19:06.09 ID:hGqQJJjA0
リーリエ「マサオさん……」
ルザミーネ「もう一度、ギガドレインよ!」
再びテッカグヤの両腕が光り出して、マサオの群れからどんどん体力を奪っていく。群れを維持していく力を失っていき、ヨワシたちが離れていく。
ヨワシ「ギョ……オオオッ」
ひろし「まずい……! あの分だとあと一発貰えばバラバラになっちまう!」
ルザミーネ「これでとどめよ! タネばくだん!」
テッカグヤ「フー……!」ドンッ
テッカグヤの腕から、種子の弾丸が飛び出した。これでマサオに当たってしまえば、群れがほとんど吹き飛んで、単独の姿に戻ってしまうのはリーリエでも目に見えている。
リーリエ「マサオさんっ!」
ヨワシ「ギョオオオッ!」
突然、マサオが最後の力を振り絞ると、まとっていた群れが再び分離した。
さっきのように、タネバクダンを回避するのみならず、巨大な魚から巨人の姿へ変化し始めた!
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