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【ヒロアカ】緑谷「クリムゾンの」 麗家「迷宮」
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1 :
◆J2SFGFwjRU
:2017/06/06(火) 17:12:01.34 ID:af0T5T1I0
肌に触れる空気は蒸し暑く、ねっとりしていた。
時折吹く風が額に涼を運んでくる。
こちらは水分を含んで、ひんやりと冷たい。
鼻孔に湿った土の匂いを感じた。
そうか、これは雨音か...。混沌とした意識の中でようやくそんな思考が形造られた。
雨が降っているらしい。
緑谷は体を動かそうとして異変に気付いた。体に馴染んだハウスアライアンスのベッドではない。
ごつごつとした異物感、地べたに寝ているのだ。
緑谷(どこだ、ここは)
トレーニングを行い疲れ果てて翌朝、昨晩起こったことがどうしても思い出せないことはある。
しかし、自分の居場所が分からないというのは初めてだった。
緑谷はゆっくり目を開け、上体を起こそうとした。
酷い立ちくらみに襲われる。視野が周囲からじわりと迫り、完全に溶暗してしまった。
しばらく目を閉じて、血の巡りが回復するのを待つ。
緑谷(おかしい、おかしいぞ。一体どうなったんだ)
パニックに似た感情が襲ってきた。体に力は入らない。
口の中はカラカラで、唇も乾いてひび割れがかっている。
無理に唾を飲み込んだらセンブリの様な酷い味がした。
緑谷(これは変だ。尋常の状態じゃない。何か起きた。何かとんでもないことが起きているに違いない)
おそるおそるもう一度目を開けてみた。
うっすら霞む視界に映ったのは、雨にぬれ、一面が鮮やかな深紅色に染まった異様な世界だった。
緑谷(何だ.....これは)
緑谷(どこだ、ここは。何で僕はこんな所にいる...)
そこは、両側を岩山で囲まれた峡谷のような場所であった。
緑谷(岩の屋根...)
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