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チラシの裏の裏(TPk5R1h7Ng短編集)【パート1】
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244 :
◆TPk5R1h7Ng
[saga]:2017/11/26(日) 23:36:27.74 ID:+HXfB1sro
ヨシヤス「その様子だと、キルトはメスゴブリンが生まれて来るのが普通だと思ってたんだろうね」
キルト「それって……」
ヨシヤスの口調から、その真意はある程度汲み取る事が出来る。
ヨシヤス「察しは付いて居ると思うけど…聞いてて判る通り、メスゴブリンってのは本来滅多に生れない…希少な存在なんだ」
キルト「……」
言いたい事、意図している事は既に察している。
だがキルトは、それを説き伏せるだけの言葉も材料も持ち合わせていない。
ヨシヤス「もし…次の世代のメスゴブリンが生まれないまま、今のメスゴブリンが死んだら…そのまま大人しく衰退を受け入れられるのか?」
キルト「………判らない。だが、必ずそうなるとも限らない。少なくとも、今の俺達は人間に危害を加える気は無いんだ!だから!!」
結果…キルトが返す言葉は、説得力に欠ける稚拙な主張に過ぎなくなった。
ヨシヤス「……………」
キルト「……………」
長く続く沈黙。
キルトはそれ以上の言葉を連ねる事が出来ず、ただ真っ直ぐにヨシヤスの目を見据え…
ヨシヤス「…あー、まったく、判ったよ!判った!」
キルト「え?じゃぁ……」
その眼差しに折れたのか、ついにヨシヤスが音を上げた。
ヨシヤス「ただし…あくまでキルト達の集落のみ、人間に危害を加えないのが大前提だ。他の集落や、人間に襲い掛かって来る奴らは論外だからね?」
キルト「あぁ…勿論だ!恩に着る!!」
ヨシヤスの連れの二人…修道女姿のレナと、魔法使い風の女…ミアは、最後まで戸惑い気味な表情を浮かべていた。
しかし主導権はあくまでヨシヤスが握っているらしく、正面切っての反論は出来ないらしい。
万事が滞り無く…とまでは言えないまでも、上々と言って差し支えない程の成果を得て……
キルトはヨシヤスと和解し、二人はお互い帰路へと着く事になった。
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