海未「二つの光に導かれて」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

202 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:22:40.52 ID:hUOeONTF0
ことり「お母さんから話は聞いてるよ、今日はよろしくね♪」

海未「はいっ」

ことり「んー海未ちゃんって家に帰ってから何するの?」

海未「家ではまず宿題をしますよ」

ことり「そっか、じゃあ宿題しよっか♪」

海未「大丈夫なのですか?」

ことり「ん?何が?」

海未「何か作ってるようでしたが…」

ことり「うん!別に大丈夫だよ、急いでるわけじゃないし」

海未「分かりました、じゃあやりましょうか」

ことり「うん!あ、どうせならかよちゃんも呼んでいいかな?」

海未「はいっ」
203 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:23:30.70 ID:hUOeONTF0
ことり「おーい!かよちゃーん!」

ガチャッドタドタドタ

花陽「は、はいぃ!」

ことり「そ、そんなに急がなくても大丈夫だよ?」

花陽「ご、ごめんなさい」

ことり「別に謝らなくても…」

海未「ふふふ…」クスクスッ

ことり「ん?どうしたの?」

海未「いえ、なんだか私と花陽さんってすごく似てるなって」

花陽「私と海未さんが…?」

海未「はい、気弱な感じですぐ謝ってしまうところがそっくりでつい…」
204 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:25:00.46 ID:hUOeONTF0
ことり「海未ちゃんもそんな感じなの?」

海未「はい、人と接するのは得意ではないので…」

ことり「そうなんだ、なんかそんな風には見えなかったな」

海未「人は見た目だけじゃわかりませんよ」

ことり「うん、その通りだねっ」

ことり「あ、そうそうかよちゃん」

花陽「はい」

ことり「今から海未ちゃんとお勉強するんだけどかよちゃんも一緒にしない?」

花陽「じゃ、じゃあ一緒にやるね」

花陽「ちょっと待ってて、筆記用具とか持ってくるから」

ことり「うん♪」
205 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:26:55.79 ID:hUOeONTF0
海未「じゃあ私たちも準備しましょうか」

ことり「はーい」

ことり「あ、飲み物は何がいい?」

海未「なんでもいいですよ」

ことり「もーそう返されるのが一番困るんですっ」

海未「す、すいません…」

ことり「そうやって謝られるのも困るんですよっ」

ことり「そういう時はお茶でもいいからお茶っていってください」

ことり「頼まれる側としてはその人に一番の飲み物を持っていきたいですから♪」

海未「じゃ、じゃあお茶でお願いします」

海未(何の話でしょう、と思いながら筆記用具に手を伸ばした)

海未(ここの二人はすごく一般的な人だと思った、そりゃあ最初に行った二軒も一般的でしたがここは特にそんな感じだと思います)

海未(…まぁ三軒目はちょっと一般的ではないですけど)
206 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:28:00.25 ID:hUOeONTF0
花陽「お待たせしました、えっとここ座りますね」

海未「はい」

ことり「かよちゃん勉強大丈夫?分かる?」

花陽「先生の話とかちゃんと聞いてるから…大丈夫だと思う」

ことり「そっか、ならいいけど」

ことり「はい、お茶♪」

海未「あ、ありがとうございます」

ことり「知ってる?私と海未ちゃんって同じクラスなんだよ?」

海未「そ、そうなんですか?」

ことり「あ、ひどーい…ことりのこと気付いてもくれてなかったんですか?」プンプン

海未「す、すいません…」
207 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:29:28.27 ID:hUOeONTF0
ことり「とりあえずここに住まないってことになっても学校の方でもよろしくね♪」

海未「よろしくお願いします」

ことり「あ、私も筆記用具とか持ってくるね」スタスタ

海未「ふー…」

花陽「あの…ごめんなさい」

海未「ん?何がですか?」

花陽「お姉ちゃんって嬉しいとあんな感じにお節介な人になっちゃって…色々めんどくさいと思うんです」

花陽「で、でも!すごく優しくて色々してくれて…頼りになるお姉ちゃんなんです!」

海未「だ、大丈夫ですよそのくらい分かってますから」

花陽「そうですか…よかった…」ホッ

海未(花陽さんはすごく姉思いでいい人だなと思いました、きっとそう慕ってくれる秘密がことりさんにはあるのでしょう)
208 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:30:55.19 ID:hUOeONTF0
海未「………」カキカキ

花陽「………」カキカキ

ことり「もー二人とも真剣すぎだよ、もっとお話しながら勉強しよ?」

海未「ですがそれだと集中できな」

ことり「今日くらいは勉強を二の次三の次にしても問題ありませんっ」

ことり「大事なのは楽しむことだよ、海未ちゃんかよちゃん」

海未「は、はあ」

花陽「う、うん」

ことり「海未ちゃんもかよちゃんも頭いいんだから別に急がなくたって大丈夫でしょ?」

海未「急ぐ必要がないっていうのはまぁ…」

花陽「でも早く終わらせた方が楽だよ?」
209 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:31:49.40 ID:hUOeONTF0
ことり「もーじゃあ早く勉強終わらせよ?」

ことり「かよちゃんも海未ちゃんも分からないところない?」

海未「私は特に…」

花陽「私も…」

ことり「じゃあ早く終わらせてよ?ことりもすぐ終わらせるから」カキカキカキ!

海未(ことりさんはとてもわがままな人でした)

海未(見た目ではとてもわがままな人には思えなかっただけになんか意外でした)

海未(そして勉強が終わると這い寄るように私の元へきてお話を始めました)

ことり「海未ちゃんってメイドカフェとかいくの?」

海未「い、いえそのような場所には…」
210 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:32:58.54 ID:hUOeONTF0
ことり「うーんカラオケとかは?ゲームセンターは?」

海未「全然…」

ことり「そっかー」

ギュッ

海未「?!」

ことり「丁度いいや!私と一緒にきてよ!!」

海未「あえぇ??!!ちょ、ちょっとどこにいくんですか?!」

ことり「あ、そうだ、準備とかしてかないと」ピタッ

パッ

ことり「ちょっと待ってて!」ダッ
211 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:34:21.06 ID:hUOeONTF0
海未「…あのっ」チラッ

花陽「あ、えっと…私にはよく…」

海未「ことりさんってあんな感じなんですか?」

花陽「いえ…いつもはもっとおとなしくて穏やかな感じなんですけど…」

花陽「テンション上がるとあんな感じになってしまって…」

海未「変わった人ですね…」

花陽「お姉ちゃんはなんでもかんでも溜め込むタイプだから…えっと…そういうのもあるんだと思います」

海未「…そうなんですか」

海未(きっとことりさんは私と同じタイプなんだと思う、なんでもかんでも溜め込んで…何かで発散する)

海未(ただ私と違うところもある、ことりさんは何かで吐けるけど私は吐き出すことが出来ない)

海未(そういうところは見るとことりさんがものすごく羨ましく感じた)


海未(眩しく感じた)


212 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:35:18.84 ID:hUOeONTF0
ことり「ほらほらいくよー!」グイッ

ギュッ

海未「ま、待ってくださいよー!」

タッタッタッ…


海未(ことりさんが握ってくれた手は穂乃果や希とまったく同じ温かさと心地よさがあった)
213 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:36:21.01 ID:hUOeONTF0


海未「……あの」

ことり「ん?なーに?」

海未「この格好は…」

ことり「メイド服だよ?」

海未「なんで私はこんな服を…?」

ことり「ここはメイド喫茶だよ?メイド服じゃないとおかしいじゃん」

海未「わ、私はメイドをするなんて一言も…というか勝手に連れられてここに来たんですよ!!」

ことり「まぁまぁここでメイドをして悪いことはないよ?」

海未「それはことりさんだけでしょう!」
214 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:38:10.10 ID:hUOeONTF0
ことり「ここではことりさんじゃなくてミナリンスキーって呼んで?それに普段でもことりさんじゃなくてことり、とか呼び捨ての方が嬉しいな♪」

海未「み、ミナリンスキー?」

ことり「ここでの私の名前だよ、本名は公開してないんだからね?」

海未「そ、そうなんですか…」

海未「ってそうじゃなくて私はメイドなんてやらな」

ことり「海未ちゃん、おねがぁい…!」ウルウル

海未「うっ…」

海未(なんですかその声と目は…)
215 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:39:29.50 ID:hUOeONTF0
海未「…な、何をすればいいんですか?」

ことり「やってくれるの?!ありがと〜!」

ギューッ

海未「うっ…」

海未(可愛い顔して悪魔のような誘惑をする人でした、そのわがままっぷりはあの穂乃果を凌ぐほどで私の思った感じだと“甘えぼうな妹”が出来たような感じでした)

「ミナリンスキーさーん!」

ことり「はーい、今いきまーす」

海未「い、いってらっしゃい…」

ことり「何いってるの?海未ちゃんもいくんだよ?」

海未「は?」
216 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:41:21.62 ID:hUOeONTF0
ことり「海未ちゃんも今はメイドさんなんだから行くのは当たり前だよ?」

海未「いやでも呼ばれたのはこと」

ことり「ミナリンスキー」

海未「…ミナリンスキーさんが呼ばれたわけであって私は呼ばれてないじゃないですか」

ことり「この呼び出しは応援の呼び出しだよ、手が足りないから来てってこと」

ことり「だから海未ちゃんもいこ?」

ギュッ

海未「!」


ことり「大丈夫、ことりがリードするから♪」


海未「…分かりましたよ」ハァ

ことり「うん♪じゃあいこっか♪」
217 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:43:07.70 ID:hUOeONTF0
スタスタスタ

「キャー!ミナリンスキー!」

海未「?!」

ことり「皆さまおかえりなさいませ♪」

ことり「私ミナリンスキーもこれから皆さんのご奉仕させていただきますのでよろしくお願いします♪」

「わー!!!!」

海未「な、なんですかこれ…」ボソボソッ

ことり「こう見えても私、秋葉で伝説のメイドって言われてるんだよ?」ボソボソッ

海未「伝説のメイド…?!」

ことり「まあとりあえず海未ちゃんは私の手を離さないで?」

海未「は、はい」
218 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:44:53.54 ID:hUOeONTF0
スタスタスタ

ことり「おかえりなさいませ♪ご主人様♪」

ことり「ほら、海未ちゃんも」ボソッ

海未「え、え?!」

ことり「おかえりなさいませってほら!」

海未「お、おかえりなさいませ!ごしゅじゅ…」

海未「〜〜〜〜〜っ!」カアアア

ことり「ふふふっこちらは私の大切な人、もとい今日一日限定の海未ちゃんです♪」


海未「あ、え、えっと…よろしくお願いします!」

219 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:46:03.55 ID:hUOeONTF0
〜その後

海未「はー…」

ことり「海未ちゃんお疲れ様♪」

海未「疲れました…」

ことり「海未ちゃん大人気だったね♪」

海未「ことりさんのせいですよ…」


ことり「こ・と・り!」


ことり「私はことりさんじゃないよ?」

海未「…ことりのせいですよ」
220 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:47:32.21 ID:hUOeONTF0
ことり「私のせいじゃないよ?海未ちゃん自身が招いた人気だよ?」


ことり「クールだけどすっごい弱気でかぁわいいメイドさん♪ミナリンスキーのライバルかも?なーんて呼ばれて」ウフフ


海未「なんですかその矛盾は…」ハァ

ことり「みんな海未ちゃんが今日一日限定のメイドさんって聞いた時お客さん驚いてたじゃん、幻のメイドなんて言われちゃって」クスクス

海未「悪目立ちですねそりゃあ…」

ことり「これからも一緒にメイドさんしてくれるとうれしいなぁ♪」

海未「それは…また険しいですね…」

ことり「うーんそっか…あ、でもメイドさん楽しくなかった?」

海未「…あまり」

ことり「………」ウルウル

海未「あ、あー!楽しかったですよ!はい!とても楽しかったです!」
221 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:49:06.42 ID:hUOeONTF0
ことり「うふふ、海未ちゃんは優しいね」

海未「はぇ…?」

ことり「私が涙目になった瞬間すぐに感想変えて」クスクス

ことり「焦る海未ちゃんも可愛いね♪」

海未「なっ…私をからかわないでくださいよ!」

ことり「えへへごめんねっ」テヘッ

海未「…で、でもまぁ楽しかったですよ」

海未「大変でしたけど…」

ことり「そっか、ならよかったよ」
222 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:51:13.51 ID:hUOeONTF0
ことり「海未ちゃんって自分からは何もしなさそうだったからこうやって思い切って無理矢理連れてきた方が絶対にいいなって思ったの」

ことり「私自身お母さんから色々海未ちゃんのこと聞いて私が海未ちゃんを引っ張っていきたいなって思ってね…」

ことり「………」ウルッ

海未「…?」

ことり「……はい、海未ちゃんお茶だよ」

海未「あ、ありがとうございます」

海未(さっきまでずっと笑顔だったことりさんが突然顔を曇らせた)

海未「あつっ…」

海未(貰ったお茶はものすごく熱かった、今は春、熱いお茶より冷たいお茶の季節なのに)
223 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:53:06.72 ID:hUOeONTF0
ことり「…ことり、これでもずっとお姉ちゃんやってきたけど未だにことりがお姉ちゃんだ思えたこと、あまりないんだ」

海未「…どうして?」

ことり「だって…かよちゃん…振り向いてくれないんだもん」

海未「振り向いてくれない?」

ことり「かよちゃんに楽しんでもらうために色々やった、いろんな場所を巡ったしかよちゃん用の可愛い服とかたくさん作ったけどかよちゃん、ずっと同じ態度なんだもん」


ことり「小さい時はあんなに甘えてくれたのに…」


ことり「家ではご飯の知らせとか何かを借りに来る時だけしか喋らなくて…なんか業務連絡してるみたいで…」
224 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:54:18.43 ID:hUOeONTF0
ことり「今日海未ちゃんを無理矢理引っ張ってみたけど海未ちゃんもあまり楽しそうじゃなくて…なんだか気を遣わせちゃったみたいで…」


ことり「ことり…かよちゃんのお姉ちゃんにも海未ちゃんを引っ張る先導者にも向いてないのかな…?」ウルッ


海未「そんなことありませんよ」


ギューッ

ことり「うみちゃっ…」

海未「花陽さんもことりさんのこと慕ってくれてますよ、ただ私と同じでそれを口にして言わないだけです」

海未「今日花陽さん言ってましたよ、ことりさんはすごく優しくて頼りになるお姉ちゃんだって」

海未「それに今日のメイド、結構楽しかったですよ、ホントに」

海未「流れ的に気を遣わせちゃったみたいに感じたかもですがウソではありませんよ」

海未「“またの機会”があればまたやりましょう、メイド」

ことり「…!」パアアア

ことり「うん!」
225 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:55:23.31 ID:hUOeONTF0
海未「そろそろ帰りましょうか、もうここでお仕事はないんですよね?」

ことり「うん!」

ことり「あ、そういえばまたことりさんって言ってたよね?私の名前は」

ことり「こ・と・り!」

海未「わ、分かってますよ…」

ことり「分かってないからいってるのっ!」

ことり「ほら、もういくよっ」グイッ

海未「わ、わぁまだお茶飲んでませんって!」

ことり「行こうって言ったのは海未ちゃんでしょ!」

海未「そ、それは言葉の綾ですよ!」

ことり「もういいから、それ片付けるからね!」
226 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 01:58:53.27 ID:hUOeONTF0
海未「あぁ…もったいない…」

ことり「じゃあ帰ります!お疲れ様でした!」

<お疲れ様でした−!

ことり「ほらいこっ!」

海未「分かりましたよ…」ハァ

海未(今、ことりを抱きしめてあげれたのは私自身の“強さ”だったのでしょうか)

海未(きっとここが一軒目だったら私はきっとことりに何も言ってあげることが出来ない、そんな気がした)


海未(そろそろ気付き始めてた)


海未(大切なモノを、大切なコトを)


海未(だけど答えはいつまでも見つからなかった)
227 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:00:15.07 ID:hUOeONTF0
〜南家

ことり「ただいま」

ことり「ほら海未ちゃんも」

海未「た、ただいま戻りました」

花陽「おかえりなさい、お姉ちゃん海未さん」

「おかえりなさい」

海未「!あなたは…」

「ごめんなさい、驚かせようと思ったのだけどあまり驚けるような展開じゃなかったわね」フフッ

海未「え、えっと…」

海未(出てきたのは三日前、私の引き取り先を見つけてくれた学校の理事長でした)
228 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:01:36.89 ID:hUOeONTF0
ことり「あれ?知り合い?」

理事長「色々あってちょっとだけね」

ことり「そうなんだ」

海未「あ、あなたがここにいるってことは…」

理事長「そう、私がことりと花陽の母よ?」

海未「やはり…」

海未(よくよく考えればことりと理事長は髪型がまったく同じ…花陽さんはどういうわけか違うけど似てることにまったく気付けませんでした…)

理事長「どこ行ってたの?」

海未「えっとメイ」

ことり「あ、ちょっと色々回ってたの!ゲームセンターとか!」

理事長「そうなの」ウフフッ
229 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:02:49.04 ID:hUOeONTF0
理事長「じゃあ楽しかったでしょうに、ご飯出来てるから手洗ってらっしゃい」

ことり「うん!分かった」

海未「わ、分かりました」

理事長「じゃあまたリビングで」

スタスタスタ

ことり「ふう…」

海未「あ、あのどうしてあんなウソを?」

ことり「お母さんにはメイドしてること内緒なの」

海未「どうして?」

ことり「メイド喫茶は私の隠れ場所だから♪」

海未「ふ、ふむ?」
230 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:03:36.94 ID:hUOeONTF0
ことり「まぁそういうことだよ」

海未「えぇ?!それ何の説明にもなってないですよ!」

ことり「いいからいいから♪」

海未「も、もういい加減ですね…」

スタスタスタ
231 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:04:31.91 ID:hUOeONTF0


海未「これはまた豪勢で…」

理事長「奮闘して色々作っちゃって…食べきれなかったら残しても構わないわよ」

海未「は、はい」

海未「あのそれで…」

理事長「はい?」

海未「なんか花陽さんだけご飯の量多くないですか?」

ことり「花陽ちゃんは」


花陽「当たり前です!!日本人たるものご飯抜きでは過ごしていけません!むしろ皆さんの量が少ないんですよ!」


海未「うぇ…えっ…?」

理事長「んんっ」

花陽「はっ…!」
232 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:05:52.37 ID:hUOeONTF0
ことり「あはは…花陽ちゃん、お米のことになると性格変わるから…」

海未「へ、へえ…」

海未(花陽さんも変わった人ですね…)

理事長「まぁとりあえず食べてちょうだい」

ことり「はーい、いただきます」

海未「いただきます」

花陽「いただきます!」

海未(この家族で囲む食卓はすごく和やかだった)

海未(会話はよくあるけど一軒目のように騒がしいわけではなく緩くお話をしながら食べる、それがここでした)

海未(なんだかここが一番家庭感があって落ち着ける場所だなと思いました)

海未(ふわふわしてて甘ったるく羽毛のように柔らかい、何を言ってるか分かりませんがそんなような場所でした)
233 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:07:08.32 ID:hUOeONTF0
海未「ふう、ごちそうさまでした」

理事長「はい、食器は私が片付けるからそこに置いといてもらって結構よ」

海未「は、はい」

理事長「それと私は海未さんと大事なお話があるからことりと花陽は食べ終わったら一度自分の部屋に行きなさい」

ことり「はーい」

花陽「う、うん分かった」パクパク!

花陽「ご、ごちそうさま!」

理事長「そ、そんなに急がなくても大丈夫よ?」

花陽「ううんじゃ、じゃあいくね!」

タッタッタッ!
234 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:08:13.69 ID:hUOeONTF0
理事長「あ、ちょっと!」

理事長「はぁ…まったくあの子は…」

海未「あの…花陽さんって…」

理事長「ああいう子なのよ、迷惑かけるのがイヤだからなんでもかんでも自分のいいように済ませちゃって」

理事長「ことりもそうだけど普段は落ち着きがあるけど何か起こるとよそよそちゃって困ったものよ」

ことり「ちょっとお母さんどういうこと!!」

理事長「ふふふ、可愛らしいって意味よ」

ことり「絶対違うでしょそれっ!」

海未「そうなんですか…」

ことり「はー…ごちそうさま、じゃあことりもいくね」

ことり「お話終わったら来てね海未ちゃん、ことりのお部屋は二階だからね」

海未「分かりました」

スタスタスタ ガチャンッ
235 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:10:33.38 ID:hUOeONTF0
理事長「…じゃあ短いですが少しお話をしましょうか」

海未「はい」

理事長「今日で四軒目よね?」

海未「はい」

理事長「五軒目はないから明日は海未さんの住みたいところの家に行きなさい」



理事長「海未さんはそこで暮らすのよ」



海未「…はい」

理事長「はい、じゃあお話終わり」

海未「はい…あ、え?」
236 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:11:31.28 ID:hUOeONTF0
理事長「長いと思った?ホントに少しよ、だって私もめんどくさい話とか好きじゃないし分かりやすく本件だけ伝えれば大丈夫でしょ?」

海未「そ、そうですがなんというか…サッパリしてますね…」

理事長「ふふふ、まぁそういうことよ」

海未「わ、分かりました」

海未「では」

理事長「はーい」

ガチャンッ

海未「…ふーっ」

ことり「お話早かったね」

海未「!」ピクッ
237 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:12:33.47 ID:hUOeONTF0
ことり「えへへ、やっぱり気になっちゃって」

海未「…聞いてたのですか?」ジトッ

ことり「ま、まさか誤解だよ」

ことり「私は海未ちゃんを待ってただけ」

海未「そ、そうですか…」

ことり「どうせこの後暇でしょ?」

海未「ま、まぁ…」

ことり「なら私の部屋にきてよ、したいことがあるんだ♪」

海未「したいこと?」

ことり「うん♪」
238 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:14:03.10 ID:hUOeONTF0
〜その後

ことり「海未ちゃんこれとかどう?」ニコニコ

海未「あの…もうやめません…?」

ことり「えーことりはまだ堪能してないんだけどー」

海未「私の意見ガン無視に始めたのでそろそろ私の意見を尊重しません?」


ことり「このチャイナ服着てくれたらね♪」


海未「はぁ…」
239 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:14:59.09 ID:hUOeONTF0
海未「そういえばこの大量の服はどこから…?」

ことり「全部私が作ったんだよ?」

海未「こ、これをですか?!」

ことり「うん♪」

海未「す、すごい…」

海未(あの後私はことりの着せ替え人形をさせられました)

海未(ことりの部屋のクローゼットやタンスからぞろぞろと出てきたコスプレ衣装のようなものを着せられています…)
240 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:16:34.69 ID:hUOeONTF0
ことり「ありがとう海未ちゃん♪海未ちゃんのおかげで写真フォルダが潤ったよぉ〜♪」

海未「そ、そうですか…よくわかりませんけど私が役にたてたならよかったです」

海未「わ、私の部屋は隣でしたっけ?」

ことり「そうだよ、何もないけどね」

海未「構いませんよ、それでは」

ことり「うんっ」

ガチャッ

海未(それからは何もありませんでした、ことりがところどころ私の部屋に入ってりは出たりをしてちょっかいを出したりして大変でしたがそれでも特徴的なことはなく気付いたら深夜になっていました)


『12:13』


海未「…もうそんな時間ですか」

海未(ベットで横になって時計を確認した)
241 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:17:38.33 ID:hUOeONTF0
海未(これ以上起きててもいいことはないので寝ようと思った時でした)

コンッコンッ

海未「!!」

海未(突然真横の壁から音がきこえました)

コンッコンッ

海未「こっちの壁は…花陽さんですか…?」

コンッコンッ

海未「………」

コンコンッ

海未(私もなんとなく壁を優しく叩いてみる)
242 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:18:42.81 ID:hUOeONTF0
コンッコンッコンッ

コンコンコンッ

コンッコンッコンッコンッ

コンコンコンコンッ

海未「…ふふふっ」

海未(この壁の叩き合いは2分ほど続きました)

海未(そして2分するとまったく鳴らなくなり飽きたのかなと思い目を瞑りました)

トンットンッ

海未「!!」


「入ってもいいですか?」

243 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:20:05.58 ID:hUOeONTF0
海未「ど、どうぞ」

ガチャッ

花陽「えへへ…」

海未「どうかしましたか?」

花陽「一緒に…寝てもいいですか?」

海未「…!」

海未(可愛らしいパジャマで入ってきたのは花陽さんでした)

海未「はい、いいですよ」フフッ

花陽「!」パアアア

花陽「は、はいりますね」

海未「はい」

バサッ
244 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:21:30.38 ID:hUOeONTF0
花陽「………」

海未「………」

花陽「手…握ってもいいですか?」

海未「いいですよ」

ギュッ

花陽「温かい…」

海未「…急にどうしたんですか?」

花陽「最初に会って優しくしてもらった時から…一度だけでも甘えたいなって…」デレデレ

海未「…ふふっそうでしたか」クスッ

花陽「わ、笑わないでください!」
245 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:23:14.75 ID:hUOeONTF0
海未「す、すいません…つい…」クスクス

花陽「も、もう…」

海未「…ことりには甘えないんですか?」

花陽「お姉ちゃんは…もう散々甘えちゃってもう甘えれないから…こんな歳だし…」

海未「そうですか、でもことりもきっと花陽さんが甘えてくれたら喜びますよ、今日花陽さんが振り向いてくれないってことりがいってましたもの」

花陽「そ、そうなんですか?!」

海未「はい、ことりはただ鈍感だったみたいですね」クスクス

花陽「もう…お姉ちゃんそんなこといって…」

花陽「…後、花陽さんじゃなくて花陽って呼んでくれませんか?」

海未「…分かりました」
246 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:24:33.51 ID:hUOeONTF0
花陽「……」ニコニコ

海未「…?なんですか?」

花陽「言ってくれないんですか?」

海未「あ、あーすいません、花陽」

花陽「はいっ♪」

海未「………」

海未(この姉妹はあんまり似てないって思ってましたがそれはどうやら勘違いだったようです)


海未(ものすごい似てる…!)


花陽「えへへ…海未お姉ちゃん♪」ギュギュッ

海未「く、苦しいですよ」

花陽「ごめんなさい、でも私はこっちがいいから…」
247 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:26:11.37 ID:hUOeONTF0
海未「は、はぁ…」

海未(とても強引なやりかたでしたがこれがあの二人の特徴なのでしょう)

海未(…この二人はすごく強い人たちですが見方を変えればとても弱い人です)


ことり『私…お姉ちゃんにも海未ちゃんを引っ張る先導者にも向いてないのかな…?』ウルッ

理事長『ああいう子なのよ、迷惑かけるのがイヤだからなんでもかんでも自分のいいように済ませちゃって』


海未(そうですね…だからこの二人はつい守ってあげたくなる二人なのかもしれません)

海未(私が守れるかは別の話ですけど…)

花陽「おやすみ、海未お姉ちゃん」ギュッ

海未「はい、おやすみなさい」ナデナデ
248 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:27:58.65 ID:hUOeONTF0
〜次の日、学校

ことり「……」プクー

海未「あ、あのことり」

ことり「もーことり一人残してかよちゃんと寝るなんて…」ムスッ

海未「す、すいません…花陽が一緒に寝ようといってきたもので…」

ことり「ことりは海未ちゃんが迷惑かなと思って海未ちゃんの部屋に行かなかったのに…いいならいってよ!」

海未「す、すいません…」
249 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:29:17.62 ID:hUOeONTF0
穂乃果「海未ちゃん海未ちゃーん!」

ギューッ

海未「わぁ?!」

ドサッ

海未「うっいったぁ…」

穂乃果「あはは…ごめんね」

海未「なんですか穂乃果…」


穂乃果「なんですかじゃないよ!誰のところにいくの?!」


ことり「!」


ことり「そ、そうだよ海未ちゃん!誰のところにいくの?!」

250 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:30:16.24 ID:hUOeONTF0
穂乃果「ん?」

ことり「ん?」


ことほの「海未ちゃんこの子は?」



海未「お、お世話になったところの娘さんですよ…」


ことり「そうなんだ、南ことりですっよろしくね♪」

穂乃果「高坂穂乃果だよっ!よろしくね!」

海未「…じゃあいきましょうか」


穂乃果「いやいやまだ話は終わってないよ!」グイーッ


海未「うわぁ?!」ズイッ
251 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:31:11.71 ID:hUOeONTF0
穂乃果「誰のところにいくの!」

ことり「そうだよ!」

海未「それは……」

穂乃果「それは?」

ことり「それは…?」

海未「まだ…決めてません…」

ことほの「えー…」

海未「し、仕方ないじゃないですか!」

海未「とにかくこの話はタブーです、今後やめてくださいよ?」

穂乃果「なにそれ…」

ことり「…」コクコク
252 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:32:07.86 ID:hUOeONTF0
キーンコーンカーンコーン

海未「ほら早く席につく!」

穂乃果「はーい…」

ことり「…まぁ最後まで分からないほうがいいよねっ」ボソッ

ことり(その方が選ばれなくても少しの間はまだがっかりしないで済むから…)

海未「………」

海未(私は迷っていました)

海未(本当の最初、つまり一軒目を終えた時は絶対に穂乃果と凛のところに行こうと思ってました)
253 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:33:34.15 ID:hUOeONTF0




海未(ですが私が巡り合った二人組には色々な想いがありました)



254 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:34:33.65 ID:hUOeONTF0
凛『凛たちのことを選んでくれないかな…?』

穂乃果『行かないでよ…』

穂乃果『私たちの傍にいてよ…ずっと…』


海未(私を傍においておきたい人たち)

255 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:35:29.07 ID:hUOeONTF0
希『年上なんかじゃなくてもいい!ウチは絶対に海未ちゃんを放なさい!』

絵里『私だって海未をお持ち帰りできるならそうしたいわよ!!』

絵里『でも海未にも未来があるの!そんな未来を希が汚すの?!希が海未の未来を縛り付けるの?!』


海未(私を放したくない人たち)

256 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:36:16.23 ID:hUOeONTF0
真姫『もし私たちのところに帰ってきてくれるなら、また歌詞書いてね』

にこ『絶対に帰ってきなさいよね!!』


海未(私を必要としてる人たち)

257 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:37:04.10 ID:hUOeONTF0
ことり『ありがとう海未ちゃん♪海未ちゃんのおかげで写真フォルダが潤ったよぉ〜♪』

花陽『最初に会って優しくしてもらった時から…一度だけでも甘えたいなって…』


海未(私に甘えたい人たち)

258 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:38:18.11 ID:hUOeONTF0
海未(そんなそれぞれの想いを受け取ってたら穂乃果と凛のところにーなんて言ってる場合じゃなく誰のところにいけばいいのか分からなくなってしまいました)

海未(誰を選んでも誰かが傷つくこと、私は知ってたはずなのに…知らないふりをしてたんです)

海未(だから…この確かな時を刻む時間が恋しかったから…)


海未(今日という今日がとても早かった)

259 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:40:07.04 ID:hUOeONTF0
〜昼

希「うーみちゃんっ♪お昼作ったから一緒に食べよー?」

にこ「はいはいストーップ、海未は私たちと食べる?分かった?」

希「なんでや!ウチらの方が早くきたやん!」

にこ「海未は私たちと食べたがってるの、それが分かったらさっさと帰りなさい」シッシッ

希「分からないから帰らないもんねー」ベー

にこ「ぬぁにをぉ?!」

海未「あはは…」

海未(昼はみんな私のところへ来てくれました)

海未(こんなにも私と仲良くしてくれて…でもそれはみんな同じで…)

海未(みんな同じように私と仲良くしてくれるから…余計に誰のところに行けばいいのか分からなくて…)
260 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:41:45.27 ID:hUOeONTF0
凛「海未ちゃんそのおにぎりどう?具は凛の大好きなラーメン!」

海未「お、美味しいですよ!」モグモグ

絵里「希に色々教えてもらってペリメニっていうロシア料理作ったの!どうかしら?」

海未「お、おいひいでふ!」モグモグ

真姫「ほら口に食べ物が溜まってるじゃない、仕方ないからこの私が作ったトマトから出来上がったトマトジュースでも飲みなさい」

海未「ふみまふぇん…」ゴクゴク

花陽「まったくおにぎりの中にラーメンなんておこがましすぎます!」

花陽「ここは私の作った愛情たっぷりのおにぎりを食べてください!」

海未「ふぇ…ふえ〜…」
261 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:42:40.23 ID:hUOeONTF0
海未(堂々巡りをしてるうちに“ここにいる九人全員が家族だったらいいのに”なんていう夢物語を奏でてた)

海未(みんながくれるこの愛情のうち八つ中六つを捨てなければならないなんて残酷すぎて何も答えが見つからなかった)

海未(こんなにもみんな明るく振舞ってくれてるのに、私はこんなにも暗い考えをしてた)


海未(そしてそれは時間が解決してくれる問題じゃなかった)
262 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:44:14.00 ID:hUOeONTF0
キーンコーンカーンコーン

先生「〇〇が〇〇で〜」

海未「……」ボーッ

海未(午後はほとんど授業に集中できませんでした)

海未(中身が空っぽな想像を膨らまして、散々絵空事を育てて)


海未(その時の私に答えを探してる様子はどこにもなかった)


キーンコーンカーンコーン

海未「!!!」

海未(そして気付けば時刻はもう放課後の時間でした)
263 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:45:53.91 ID:hUOeONTF0
穂乃果「海未ちゃーん!一緒にかーえろっ!」

ことり「ことりもことりも!」

海未「す、すいません今日は放課後やることがあるのでまた明日でお願いします」

穂乃果「そ、そっか!分かった!じゃあ“また明日”ね!」

ことり「“また明日”♪」

海未「はい、“また明日”」

スタスタスタ

海未「…はぁ」

海未(穂乃果とことりが放った“また明日”の言葉、神経質な私はこの言葉を深く読み取ってしまった)


海未(私が来ないと分かっていたからまた明日と言ったのでしょうか)


海未(…もし違ってたら私は本当に大馬鹿者ですね)ウルッ
264 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:47:32.52 ID:hUOeONTF0
海未「………」

チクタクチクタク

海未(時を刻む音がする)

海未(このまま時間が止まればいいのに、そしたら私は考えずに済むのに)


海未(幸せなようで不幸な時間が来ることなんてないのに)


海未(…最初は、ことりのお母さんに家族が欲しいって言った時はダメ元でのお願いでした)

海未(引き取り手がいてもやっぱり遺産目当てで愛なんてくれないんだろうって思ってた)

海未(だけど結果は違った)
265 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:49:59.10 ID:hUOeONTF0
海未「はぁ…」


海未(その結果を超えて今や引く手あまたな私がそこにはいた)


海未(全員が充分すぎるほどの愛をくれた)

海未「空…暗いですね…」

海未「帰りたくないです…」


海未「……どこに帰るのでしょう…?」


海未「……ッ」

海未(そんなこんなで時刻はもう正門を閉める頃でした、それまで私は片肘をつきながら外をずっと見てた)
266 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:51:20.30 ID:hUOeONTF0
「あら、まだいたの?」

海未「!!」

理事長「うふふ、こんばんは」

海未「こ、こんばんは…」

理事長「もうほとんどの生徒は帰ったわよ?早く帰らないと」

海未「………」

理事長「…その様子だとどこに帰ればいいか分からない感じかしら?」

海未「は、はい…」

理事長「なるほど…」
267 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:52:53.11 ID:hUOeONTF0


理事長「…あの四日間、どうだった?」


海未「すごく…幸せでした」

海未「あの人たちといるだけでぽっかり空いた心が愛で満たされてこの人たちと一緒ならすごく楽しめるって思いました」

海未「…でもそれは今まで回った四組すべてに言えることだから…決められないんです…」

理事長「ふむ…」

海未「それに…」

理事長「それに?」

海未「私がどこかに帰ったとして喜べるのは帰った先の人たちだけなんですよ、他のみんなは…」

理事長「……そういうこと」

海未「…そういうことです」
268 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:54:51.35 ID:hUOeONTF0
理事長「…案外、みんなサッパリしてるかもよ?」

海未「サッパリ?」

理事長「そりゃあ海未さんが帰ってきてくれたら嬉しいけど帰ってこなくてもそれを受け止める心は持ってると思うわよ?」

海未「どうして…そう思うのですか?」

理事長「だってことりが言ってたもの」


理事長「海未ちゃんと家族になれたら最高だけど友達のままでもすごく嬉しいって」


理事長「悲しいなんて一言も言ってなかったわよ?」

理事長「…まぁ強がってたのかもしれないけど」

海未「ことりが…ですか」

海未(絶対に強がってる、そう思いました)

海未(やはり行かなかったら悲しむんだ、私の中ではそういう絶対的な考えが浮かび上がった)
269 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 02:58:48.30 ID:hUOeONTF0
理事長「まぁみんながことりみたいな気持ちを持ってるわけじゃないと思うけど、多少のことは振り切っていかないと帰る場所、一生見つからないと思うの」

理事長「みんな、海未さんを家族として迎え入れたいからって色々なことしてくれたでしょ?」

海未「…はい」

理事長「要は海未さんの行きたいところの行けばいいの、誰が悲しむとか関係なしに海未さんが一番行きたいところへ行けばいいと思うの」

海未「一番行きたいところ…」

理事長「みんな海未さんのこと愛してくれたんだから、背中を押してくれたんだから海未さんも誰かに応えてあげなきゃ」

海未「誰かに…」

理事長「そう、もう下校時間は過ぎてるのよ?とりあえず考えるなら正門を出てから考えなさい」

理事長「きっとすぐに答えが見つかるから」

海未「どういうことですか?」

理事長「いいから出る出る」

理事長「帰りの挨拶、はいっさようなら」

海未「さ、さようなら」

海未(納得と理解はあまり出来ないものの理事長の言われる通り正門を抜けて学校外に出ました)
270 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:00:42.38 ID:hUOeONTF0
スタスタスタ

海未「……分からない」

海未(やっぱりわからなかった、答えなんて見つからなかった)

海未「………」タッ

タッ…タッタッタッ!

海未(行き先も考えずに夜道を走った)

タッタッタッ…タッ…タッ………

海未(でもすぐに走るのをやめた)

海未(行き先もなく走るなんて意味のない行為が自分の首を絞めていることに気付いたから)
271 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:01:36.10 ID:hUOeONTF0
海未「………」スタスタスタ

海未(私は今どこへ向かってるのでしょう)

海未(街灯が並ぶ道を歩きながら思う)

海未(道端でわざとらしく輝きを放つ光が綺麗だった)

海未(電光掲示板、小さなイルミネーション、街灯)


海未(車のヘッドライトが眩しかった)

272 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:03:20.36 ID:hUOeONTF0
スタスタスタ


海未「あまーいふるーつだんすっだんだんりずーむかーわるっ…♪」

海未「ひーみつのぶーらんこあーなたとゆれながらいーまー…♪」

海未「ずるいよ…ずるいよ…ほんねをかーくしてーるー…♪」

海未「すきだからー…すきですとー…いうだけじゃーたりないのー…♪」


海未「…何の歌でしょう、これ」

海未(無意識のうちに歌ってた、歌)

海未(聞いたこともない謎の歌)

海未(歌を歌いながらも私の足はどこかへ向かってた―――――――行き先もないのに)


海未(そんな時だった)
273 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:04:04.46 ID:hUOeONTF0
ピコンッ♪

海未「!」

『穂乃果』

海未「穂乃果…?」

海未(穂乃果からメールがきた、通知を見た私は恐る恐るメッセージを開いてみた)
274 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:09:13.36 ID:hUOeONTF0
『こんばんは、もう誰かのお家にいるのかな?
もー酷いよ海未ちゃーん、凛ちゃん泣いてたよ?私も泣いちゃったし…









なんてね、冗談だよ
海未ちゃんが私たちを選んでくれなかったのはすごく残念だけど私も凛ちゃんも我慢したから大丈夫
凛ちゃんなんて海未ちゃんの家に遊びにいくって張り切ってるんだよ?
だから今度お泊りさせてね!
そしてありがとう!さいっこうに楽しかったよ、あの時間

また泊まってね、海未ちゃん

待ってるから!』

http://i.imgur.com/YxQB5cn.jpg
275 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:10:17.59 ID:hUOeONTF0
ピコンッ♪

海未「!!」

『希』

海未(穂乃果のメッセージを読み終えた途端、次に希からメールが来ました)

海未(だからまた恐る恐るメッセージを開きました)
276 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:16:30.86 ID:hUOeONTF0
『こんばんは海未ちゃん
今頃ご飯を食べてる時間かな?
あーあーとうとうウチらのところに来なかったなー
待ってたんだけどなーなんて(笑)ウチらは海未ちゃんが幸せならそれでいいんだけどね!
えりちがなー私たちの愛を超えるやつがどんなやつが見たいんだってさー

…………つまりは今度お泊りさせてってこと♪

海未ちゃんがいないのは寂しいけど、学校でいっぱい可愛がってあがるから覚悟しとき?
えりちも可愛がる気満々だからね(笑)

最後にあの最高の時間をありがとう、ウチものすごい幸せだった

だからまた泊まりに来てね?

希、えりちより』

http://i.imgur.com/cOs5Olx.jpg
277 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:17:44.92 ID:hUOeONTF0
海未「………」ウルウル

ピコンッ♪

海未「!!!」

『真姫』

海未「真姫…」

ピッ
278 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:22:45.62 ID:hUOeONTF0
『こんばんは、真姫です

まずは最初に報告です
なんと海未が書いてくれた歌詞で作った歌がライブで超盛り上がってます!
お客さんもすごいノリノリでちょっとだけ知名度が上がったみたい
ありがとう海未、あなたのおかげでまだ音楽続けられそうだわ

そして次に私から個人的なメッセージです
海未がここに来てくれなかったのはすごく悲しい、でも海未が私たちに置いてきてくれたものがあるから私たちは大丈夫
にこちゃん、海未が来なくて泣いてたけど今は元気にしてるわ
余計なお世話かもだけど海未ってとても真面目だから行かなかったところの人たちのこと気にしてるんじゃないかと思って送ったの
だからもう一度言うけど私たちは大丈夫、元気です

そして最後に
あの時の時間、一生忘れないわ
これはきっと私とにこちゃんにとって始まりの時だったから、
この時間を絶対に忘れない

ありがとう、海未

P.S. にこちゃんがまた歌詞を書いてだそうです
もし暇だったら書いてあげてね、強制はしないから』

http://i.imgur.com/HJL573M.jpg
279 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:23:13.21 ID:hUOeONTF0
海未「…ひっく…ぐすっ…」

ピコンッ♪

『ことり』

ピッ
280 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:26:20.69 ID:hUOeONTF0
『こんばんは♪ミナリンスキーこと南ことりです♪

ことりは今、服を作っています
何の服だと思います??

ちゃんと考えてから下にスクロールしてよ?



答えはメイド服でした〜♪

え?なんでメイド服かって?
だって海未ちゃんともう一度メイドさんしたいから♪
昨日はお店のでやったけど今度はことり特製のメイド服でやろう?

絶対だからね?

それから海未ちゃん、来なかったね
花陽ちゃんもことりもすごく寂しいけど学校で海未ちゃんと会えるなら全然大丈夫♪
また私が引っ張ってあげるから待っててよね(・8・)ピヨピヨ

後、また私たちの家に泊まりに来てよね
お母さんも待ってるから♪

ことりより』

http://i.imgur.com/eFJ0MYq.jpg
281 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:27:36.77 ID:hUOeONTF0
ポロ…ポロ…

海未「ひぐっ…う、うわああああああああああああ…」ポロポロ

海未(こんなところでもみんなの優しさを感じて思わず涙が出た)

海未(ことりのお母さんの言ってたこと、これだったのかもしれない)

海未(みんな受け入れてくれてた、私だけがズルズルと引きずってた)

タッ…タッ…タッタッタッ!

海未(そうと分かった途端私はどこかへ走り出してた)

海未(その足は止まらなかった)


海未(この動き出した足は行く先が決まってる足だった)


282 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:29:00.52 ID:hUOeONTF0
海未「はっ…はっはっはっは…!」

海未(ひたすら目の前の光を追いかけた)

海未(瞳に宿した二つの光、それずっと追い続けてた)

海未「もうすぐ…もうすぐ…!」

海未(走ってる勢いで髪がずっと靡いてた)

海未(夜だから、外が暗かったからすぐに分かった)

海未(私を照らしてくれる光を)


海未(希望の光を)


キラキラキラ…
283 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:29:45.85 ID:hUOeONTF0
海未「ここ……」

海未(その足は見覚えのある家の地についた)

海未「すー…はー…」

海未「…よし」

海未(覚悟を決めた私は、そのドアを開けた)
284 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:30:47.02 ID:hUOeONTF0



海未「ただいま!」



「…!!」



「お、おかえり!」


285 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:31:20.29 ID:hUOeONTF0




海未「今日から…よろしくお願いします!」


286 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/06/07(水) 03:32:41.97 ID:hUOeONTF0
海未(帰った先にいた二人は輝いてた、とびっきりの笑顔で私にとって眩しすぎる光を放ってた)

海未(そう、だから私はここに来たんだ)

海未(この…)

海未(二人の魅力に誘われて)


海未(二つの笑顔に魅せられて)





海未(二つの光に導かれて――――――――)





END
287 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2017/06/07(水) 03:38:17.53 ID:hUOeONTF0
ということで終わりです
ここまで見てくれたから本当にありがとうございました。
次回もまたよろしくお願いします
http://i.imgur.com/llvbrTZ.jpg
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/07(水) 15:34:18.60 ID:KdSPcic5o
乙です
すごく読みやすい文章だし絵もうまい心理描写とかもすっと入ってくる感じで読んでて楽しかった
最後家を決めないでローテーションで泊まるとかになるかと思ってたわ
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/10(土) 23:15:20.99 ID:fLFVNvl/O

すごく面白かった
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 23:53:14.60 ID:IXwsHn3Io

たまたま見つけて読んでみたけど一気に読みきってしまったよ
面白かった
157.26 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)