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海未「二つの光に導かれて」
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2 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 02:57:43.07 ID:JsRVUgr30
「………」
海未「朝ごはんはもう出来てますか?」
「え、ええ出来てるわよ」
海未「そうですか、分かりました、では食べてからすぐに行きますね」
海未「それでは」
「え、ええ…」
「…」
おばさん「あの子も可哀想よね」
「…え?あ、そ、そうですね……」
おばさん「親が事故にあって一生独り…あの歳でそんなことあったらああなるわよ」
「あの子…いつも学校から帰ったら何してるんですか?」
おばさん「ずっと自室で勉強したり本読んだりしてますよ、他の子…ましてや同級生でさえ関りがないくらいで…」
「そ、そうなんですか…」
「今日で何日目でしたっけ」
「…あの子がここにきて」
おばさん「三日くらいじゃないかしら、無口でやるべきことはしっかりやってただ規則正しい生活を送ってるだけって感じ」
「…そうですか」
3 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 02:58:52.84 ID:JsRVUgr30
おばさん「生きてて楽しくないでしょうね」
「…それは分かりません」
「そういえばあの子の名前って…」
おばさん「あの子の名前は…」
海未「……はぁ」
海未(私の名前は園田海未、高校二年生にして既に私の人生は佳境を迎えようしている)
海未「……開けたくないです」
海未(私は親を亡くした、交通事故で私以外の家族は全員死んだ)
海未(友達なんていませんでした、ただお母さまとお父さまの愛だけをもらって生きてきました)
海未(…そしてここは児童保護施設、親が死んでからはここで暮らしています)
4 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 02:59:55.84 ID:JsRVUgr30
海未「すう…はあ…」
ガチャッ
海未「お、おはようございます…」
海未(私の声だけが虚しく響く、返事なんて返ってこなかった)
海未(ここには私以外の人だってたくさんいる、そんな人達とここで一緒にをすること、私はとてもじゃないけど普通にしてはいられません)
海未(…私と同じ境遇にあってる故に相手も私と同じ考えなのでしょう)
海未(この時間が、人といる時間が嫌いなのでしょう)
海未「………」パクパク
海未(そんな嫌々な日々を続けて三日、日々の願いが届いたのか、私の人生の転機はすぐにやってきた)
5 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:00:53.84 ID:JsRVUgr30
おばさん「海未さん、ちょっといいですか?」
海未「あ、はい分かりました」ガタッ
おばさん「海未さんとお話したい人が来てて、応接室にいるからいってらっしゃい」
海未「分かりました」
海未(私と話をしたい人…?誰でしょう…)
スタスタスタ
トントン ガチャッ
海未「失礼します」
6 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:02:07.44 ID:JsRVUgr30
「待ってたわ」
海未「…あの」
「まぁとりあえずそちらのほうに座ってください」
海未「は、はい…」ストンッ
海未「そ、それでどんなご用件で…?」
海未(そこいたのはさっき私がお母さまと間違えた人、ここにはよく顔を出しているので面識がないわけじゃない)
「ちょっと遺産のお話をと思って」
海未「遺産…?」
「はい、これ」
海未「これは……」
「遺書、だそうよ」
7 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:03:47.98 ID:JsRVUgr30
海未「………」ペラペラ
海未「……!!」
「そこに書いてある通り遺産の方は全て海未さんが相続する、と書いてあるので遺産の全ては海未さんに渡ります」
「そしてごめんなさい、私は海未さんに説明するために先に事情を聞いちゃってて…」
海未「い、いえ大丈夫です」
「まぁとりあえず海未さんの家庭は相当裕福な家庭だったそうで額の方も相当な桁があると思います、少なくとも当分は働かずに暮らしていけるくらいの額はあるでしょう
海未「…そうでしたか」
「しかしそのまま現金を渡す、というわけにはいかなくてね」
「とりあえず詳しい話はまた…という感じになるのだけどこれだけは聞きたいと思って」
海未「?」
「遺産の使い道でご希望はありますか?例えば将来のために使うとか自分のためでも人のためでも結構です」
8 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:05:08.46 ID:JsRVUgr30
海未「………」
海未(もしもお金で命が買えたなら私はきっと死んだ親の命を買っていたと思います、例え全額失おうとも私の気持ちは揺るがないでしょう)
海未「…なんでもいいんですか?」
「買えるものだというのならば」
海未「………」
海未(欲しいものと聞いて私の心は一つしか欲していませんでした、これからを生きていく…というのならば私に絶対に必要なもの)
海未「買える…かはわかりませんが」
海未「家族が欲しいです」
「…!」
海未「私を引き取ってくれる家族に遺産の全てをお渡しします」
9 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:05:51.48 ID:JsRVUgr30
「しょ、正気ですか?!」
海未「偽りでもいいから欲しいんです…!独りじゃないって思える場所が…隣にいてくれる人が欲しいんです…!」
「……」
海未「お願いします…私は家族が欲しいです…」
「…とりあえず分かりました、続きは引き取り手が見つかった時、或いは探しても見つからなかった時にしましょう」
海未「…ありがとうございます」
「少しここの人ともお話があるので私はもう少しここにいますので、お先にどうぞ」
海未「分かりました、よろしくお願いします」ペコリ
「…もう一回聞くけど本気なの?」
海未「本気です、お金なんて元々私にはいりませんから」
「…そうですか、分かりました」
海未「では」
ガチャッ
10 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:06:53.58 ID:JsRVUgr30
海未「……はぁ」
海未(偽りでもいいから欲しかった)
海未(愛が、私の心に空いた穴を埋めてくれる愛情が欲しかった)
海未(学校もつまらなかった、私は何のために生きているんだろうと親が死んでからの三日という短い時間で何回も思った)
海未(何回も思いながら出ない答え、考えては出ない答えが私の頭の中をクルクルとループしてる)
海未「…行ってきます」
海未(そして淡い愛情を欲して今日も絶望を歩く)
ザーザーザー
海未「………」
海未(雨が降ってたから傘を差した)
海未(傘はこんなに広いのにどうして傘の下には私だけしかいないんだろう、分かっていながらも疑問に思う)
11 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:08:02.58 ID:JsRVUgr30
ポロポロ
海未(傘をさしてるのに私の傘の下では小雨が降り出した)
海未「私も…私も…!」
海未(私も死にたかった、私一人だけ残していなくなるなんてなんて無責任な親だ、愛をくれた親に八つ当たりする)
海未(私もみんなと一緒に逝きたかった、でも私に死ぬ勇気なんてない)
海未(この冷めた身体を誰か温めてくれないかな、そんな願いも思うだけで虚しく散った)
海未(知っていますか?夢は叶わないから夢なんです)
海未(誰がなんと願おうと夢は叶わない、叶わない存在だから夢なんです)
12 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:09:26.56 ID:JsRVUgr30
海未「朝…なのでしょうか……?」
海未(朝なのにとても空が暗かった、街灯の明かりがつくほどで少しの光でも眩しく感じるほどだった)
キラキラキラ
海未(だから私のネガティブな考えとは違うものをすぐに感じたんです、前が眩しくなるほどの光を)
海未(前が眩んでどこにいるのか分からないほどの光を)
海未(希望への光を)
キラキラキラ…
13 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:10:03.47 ID:JsRVUgr30
〜
ピピピピ!
海未「…朝ですか」
海未(朝が来た、支度をして今日もイヤな空気が漂う食堂へ向かう)
海未(でも今日はどこかが違った)
ガチャッ
「海未さん」
海未「!」
「おはようございます」
海未「お、おはようございます…」
海未(私に声をかけたのは昨日遺産のことをお話してくれた人、これは昨日知ったことだけどこの人は私の通ってる学校の理事長らしい)
海未(…まぁ特に関係ないですけど)
14 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:10:59.77 ID:JsRVUgr30
「今日は海未さんにお話があります、食堂に行く前に少しお話をしましょう」
海未「は、はい…?」
「海未さんのお部屋、お邪魔してもいいですか?」
海未「え、ええどうぞ…」
「じゃあお邪魔します」
海未「…」
海未「あの話って…」
「…家族が欲しいって言ってたわよね」
海未「…はい」
「もう一度聞くけど形になるけどどうして家族が欲しいの?」
海未「…寂しいからです」
海未「独りは…イヤなんです…」
海未「ウソでもいいから…私の遺産目当てでもいいから…愛してもらいたいんです」
「…そう」
15 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:11:58.63 ID:JsRVUgr30
海未「…どうしてその話を?」
「海未さんの話を聞いてあの後どうしようかと思ったの」
「今言ってもらった通り海未さんが偽りでもいいから愛してもらいたいって言ってたけど私からしたらまったくよくないのよ」
海未「…」
「だからね」
「私が海未さんのお願いを解決することにしたの」
海未「…?」
「私が海未さんの通ってる高校の理事長ってことは知ってる?」
海未「ええ」
「実は私の友達の娘さんもその学校に通っててね、だから頼んでみたの」
海未「頼んだ?」
「海未さんを引き取ってくれないかって」
海未「!?」
16 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:12:57.19 ID:JsRVUgr30
「そしたらね、みんな口を揃えてこう言ったわよ」
「もちろん!ってね」
海未「………」
「全部で四組あるの」
海未「四組?」
「海未さんにも選択肢があるということよ」
海未「…意味が分からないのですが」
「海未さんを引き取ってくれる家族が四組、いるということよ」
「みんな娘さん持ちでね、もちろん海未さんの行ってる学校に通ってるわ」
「それに四組とも姉妹なのよ?」
海未「そうなんですか…」
17 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:14:27.75 ID:JsRVUgr30
「はい、これ」
海未「これは…?」
「四組、それぞれのお家の地図よ」
「行きたいところから行きなさい、みんないつでも待ってるって言ってたから」
「一日そこで過ごしたら別の家に行ってきなさい、それで一番いいと思ったところに住みなさい」
「親御さんはみんな私の友達で悪い人じゃないから安心して行ってきなさい、大丈夫だから」
「それに、みんな遺産のことは知らないから愛してもらったならそれは本当の愛よ?」
ポロポロ…
海未(嬉しすぎて涙が出てきた)
海未「ありがとう…ありがとうございます…!」
海未「行ってきます!」
海未(朝ごはんを食べて支度をして勢いよく外へ飛び出した)
海未(雨上がり、虹がかかった空はまるで私の心情を表してるかのようだった)
海未(今日は淡い愛情を欲さず、確かにある本物の愛情を求めて走ってた)
海未(希望の光を感じながら…)
18 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:15:40.27 ID:JsRVUgr30
〜その後、夕方
海未「…えっと」
海未「この辺でしょうか…」
海未(丁寧に描かれてる地図を見ながら目的地を探した)
海未「和菓子屋…どこでしょう…」
スタスタスタ
海未「!」
ピタッ
海未「穂むら…ここでしょうか…?」
19 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:16:36.64 ID:JsRVUgr30
海未「………」
ドクンッ
海未(なんだかすごく緊張してた、ここから先に私の求めるものがあるかもしれないのだから)
スタ…スタ…スタ…
海未(ゆっくりと足を動かしそーっと扉に手を当てた)
海未「すー…はー…」
海未「……よしっ」
ガララ
「いらっしゃいませー!」
海未「え、あ…え、えっと…」
「ん?どうしたの?」
海未「え、えっとわた…そのっ…私はそ、園田うみゅ…う、うみっうみ…」
「あー!!!もしかして海未ちゃん?!」
海未「え、は、はい!」
20 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:17:28.01 ID:JsRVUgr30
「おーい!凛ちゃーん!!海未ちゃんが来たよー!!!!」
「ほんとー?!ちょっと待っててー!」
海未「あ、え…えっと…」
「えへへごめん、ちょっと待っててね」
海未「は、はい!」
海未(ドアの先は新天地でした)
海未(目が合った瞬間とびっきりの眩しい笑顔で迎えてくれた)
海未(私はそれだけで全身が火照るほどの温かみを感じた)
21 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:18:23.70 ID:JsRVUgr30
「あ、ごめん自己紹介がまだだったね」
穂乃果「私は高坂穂乃果!話は色々聞いてるよ!よろしくね!」
海未「あ、えっと…」
「はーい!お待たせー!」
穂乃果「お、ちょうどきたね!」
穂乃果「この子が私の一つ下の妹!凛ちゃんだよっ!」
凛「よろしくね!」ニコッ
海未「え、えっとそ…園田海未と申します!よろしくお願いします!」ペコリ!
22 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:19:28.74 ID:JsRVUgr30
穂乃果「ぶーっ!」
海未「…え?」
穂乃果「園田海未じゃなくて高坂海未!」
穂乃果「海未ちゃんは“家族”でしょ?」
海未「…!」ウルッ
海未「はいっ!」
海未(私が求めていたものはこれだった)
海未(私の心を満たしてくれる存在がそこにはあった)
穂乃果「じゃあ早速だけど色々案内するね!」
凛「凛もいくいく!」
ギュッ ギュッ
海未「!」ドキッ
海未(強引に触れられた二つの手は顔が焼けてしまうほどに熱かった)
23 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:20:35.91 ID:JsRVUgr30
ドタドタドタ
穂乃果「私と凛ちゃんと海未ちゃんのお部屋を紹介するね!」
海未「は、はい!」
ガチャッ
穂乃果「じゃじゃーん!!」
穂乃果「ここが私たちのお部屋でーす!」
海未「…ぅえっと」
凛「ほらー散らかってるからドン引きしてるじゃーん!」
穂乃果「えぇ?!ここは凛ちゃんの部屋でもあるんだからお姉ちゃんである私にだけ押し付けはないよー!」
凛「お姉ちゃん関係ないような…」
穂乃果「えへへとりあえず散らかっててごめんね」
凛「ごめんね?」
海未「い、いえ…」
24 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:21:40.22 ID:JsRVUgr30
穂乃果「まぁとりあえず入って入って!」グイグイッ
海未「わわわっ」
海未(脱いだ服が散らかっててテーブルの上も置きたいものを置いてるようでした)
海未(二段ベットには一階にも二階にもゲーム機が散乱してて漫画は読んだきりで巻数はバラバラ、脱いだ服とついでにハンガーなんかも地面に転がってました)
海未(そこから読み取れる印象としてはすごく元気だけどだらしがない人たちだなと思いました)
穂乃果「ほらほら凛ちゃん片付けるよ!」
凛「ラジャー!」ビシッ
穂乃果「ほっほっほっほっ!」
海未「あの」
穂乃果「ん?なーに?」
海未「わ、私も手伝いましょうか?」
穂乃果「ううん!大丈夫だから適当に座ってて!」
海未「そ、そうですか…」
25 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:23:27.67 ID:JsRVUgr30
凛「出来たよ!」
穂乃果「よーし!これでおっけーだね!」
海未「………」
海未(真ん中に転がってたものをただ端に移しただけ、それだけでこの姉妹がどんな感じなのかが分かります)
海未「…ふふふっ」クスッ
穂乃果「?」
海未「やっぱり私も手伝います」
海未(ただそんな似たような二人を見てたらなんだか楽しくなってきてしまいました)
凛「え?もうおわ」
海未「終わってませんよ、ちゃんと片付けないと今後不便になってしまいます」
穂乃果「…う、うん?」
海未「この本はちゃんと巻数を並べましょう」
海未「その服は洗濯物に入れましょう」
海未「テーブルの上に綺麗にしましょう、それはそこにおいてください」
凛「う、うん!」
海未(緊張がほぐれたのか口と体が勝手に動いてた)
海未(まるでこの二人をお世話するかのように…)
26 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:24:28.69 ID:JsRVUgr30
〜その後
穂乃果「終わった〜…」グッタリ
凛「ふぁー…」
海未「お疲れ様でした」
穂乃果「も〜しっかり者すぎだよ海未ちゃんは〜」
海未「す、すいません…なんだかこういうのを見ると片付けたくなるもので…」
凛「ううん大丈夫だよっ」
穂乃果「そうそう!私たちあまりしっかりしてないから海未ちゃんみたいな人がいてくれた方が安心だよね!」
凛「うん!」
海未「そ、そうですか…ありがとうございます…」テレッ
海未「あ、親御さんに挨拶を…」
穂乃果「あぁそういうのはご飯の時やればいいよ!今は今!なんかしようよ!」
凛「うんうん!」
27 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:25:47.57 ID:JsRVUgr30
海未「分かりました…ですが何を…?」
穂乃果「うーん…」
凛「じゃあゲームでもする?」
穂乃果「お、いいね!」
海未「げ、ゲームですか?」
穂乃果「うん!ほらっ!コントローラーも丁度三つあるから三人で出来るよ!」
海未「しかし私ゲームはやったことなくて…」
凛「大丈夫大丈夫!凛たちが教えるから!」
海未「じゃ、じゃあお願いします」
28 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:26:44.61 ID:JsRVUgr30
穂乃果「はい、コントローラーだよ」
海未「ありがとうございます」
海未「えっと…」
穂乃果「こう持つんだよ?」
海未「あ、ありがとうございます」
海未(手に持つコントローラーと同じものが三つあるだけで今私は独りじゃないって感じれた、横を見れば起動の準備をする二人の姿があって毎日毎時毎秒心の中で自問自答をしてた私ではもうないんだ、そう強く感じれた)
海未「えぇ?!そ、そんな反則ですよ!」ピコピコ
穂乃果「海未ちゃん、これは戦いなんだよ!手段なんて選んでられないんだよ!」カチャカチャ
凛「食らえ食らえ!」カチャカチャ!
海未「え、あ、ちょっまっ…」
海未「あーもう!酷いです!私はまだ初心者なんですよ?!」
穂乃果「えへへ!」
海未「えへへじゃないですよ!」
29 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:28:05.80 ID:JsRVUgr30
凛「じゃあ次はチーム戦にしよ!コンピューターいれれば三人チームで戦えるよ!」
海未「チーム戦があるなら最初からそうしてくださいよ!」
穂乃果「えへへごめんね」テヘッ
海未「はぁ…」
海未(二人はすごく明るくフレンドリーで笑顔を絶やさない言うなればそう…)
海未(私にとって太陽のような存在でした)
海未(そういうのもあってすごく馴染みやすくてホントに家族が出来たかのような感覚をすぐ覚えていました)
海未(弱虫で控えめな私の手を強引にでも引っ張って見えない先へ連れてってくれる、この人たちといればきっとこれからどんなに楽しく過ごせるんだろう、想像もできないくらいにこの二人は眩しかった)
30 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:29:07.95 ID:JsRVUgr30
海未「そういえば…」
穂乃果「ん?」
海未「今日の宿題をやっていません、そろそろやらなければ…」
穂乃果「え”っ…」
凛「え…」
海未「…?宿題やらないんですか?」
穂乃果「いやー…えっとぉ…あはは…」
海未「まさか…」ジトッ
凛「あーえっとゲームの続きを」
海未「先に宿題です!」
ほのりん「うぇー?!」
31 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:31:03.21 ID:JsRVUgr30
〜30分後
海未「ここは―――――…」
穂乃果「あーもう分かんない!」
海未「だからそれを教えてるんですよ!」
海未「凛さんもここをこうやればほら、簡単に答えが出てくるじゃないですか」
凛「おー!なるほど!」
凛「じゃあここはこうやればいいのかな?」カキカキ
海未「そうです、やればできるじゃないですか」ナデナデ
凛「んにゃ〜!」スリスリ
32 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:32:39.33 ID:JsRVUgr30
穂乃果「むぅ…海未ちゃんここはー?」
海未「ここはこうやって…こうするとはい、答えが出てきました」
穂乃果「え?これだけでいいの?」
海未「はい、これだけでいいんです」
穂乃果「なんだ簡単じゃん!」カキカキ
海未「仕組みさえわかれば簡単なんですよ、この調子で頑張ってください」
穂乃果「うん!ありがと海未ちゃん!」ギューッ
海未「わぁ…まったく…」
33 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:34:15.37 ID:JsRVUgr30
「穂乃果ー!凛ー!ご飯よー!」
穂乃果「あ、はーい!!」
海未「あ、えっと…」
凛「いこっ!」
穂乃果「大丈夫!私たちのお母さんとお父さんは優しいから!お母さんはケチだけど…」
凛「お小遣い全然くれないもんねー…」
海未「………」
海未(この家に来て数時間は経ってるけど未だに親の方に挨拶はしてないし不真面目な人って思われないのでしょうか…そんな思いもあって親の方に会うのがすごく不安だった)
海未(自分で言うのも難ですけど私は小さい時から清く正しい生活してきたつもりだ、だからイヤな目で見られることに慣れてない)
海未(この二人が家族として認めてくれても結局私は居候だ)
海未(優しいとはいってもどんなこと思われてるかなんて知れたことじゃない)
海未(だから…不安で胸が張り裂けそうだった)
34 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:35:22.40 ID:JsRVUgr30
ギュッ
海未「!」
穂乃果「色々思うことあるかもだけど大丈夫、ホントに優しいから」
凛「困ったら凛たちに言ってくれればなんでもするよ!」
海未「…はい!いきましょう!」
穂乃果「うん!」
凛「いっくにゃー!」
海未「にゃー…?」
凛「えへへ…子供の時からのくせで…」
海未「可愛いですね」クスッ
凛「べ、別に凛は可愛くない!」
凛「ほらいこっ!」グイッ
海未「わ、わぁ!」
35 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:36:22.65 ID:JsRVUgr30
ドタドタドタ
穂乃果「お待たせ!」
凛「やっほー!」
高坂ママ「待ってたわ、今日は一人多いからはりきってご飯作ってきちゃった」
穂乃果「!」
穂乃果「なんで知ってるの?!」
高坂ママ「そりゃ知ってるわよ、家族が一人増えた喜びで店番をほったらかししてたからね〜」ニコニコ
穂乃果「あ、えっと…その…すいませんでしたぁ!」
高坂ママ「…まぁいいわよ、今日は特別だし」
穂乃果「やったぁ!」
高坂ママ「反省してる…?」
穂乃果「してる!」
36 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:37:32.76 ID:JsRVUgr30
海未「………」
高坂「ウチのバカ二人がごめんなさいね?」
海未「い、いえ!」
穂乃果「あ、お母さんひどーい!!」
凛「そうだそうだ!」
高坂ママ「酷いって思うなら勉強頑張りなさい、まったく…」
穂乃果「うっ…それはちょっと…」
凛「うぇ〜…」
高坂ママ「とにかくもしここに住むっていうならいつでも来ていいからね、この二人も、そして私も…今キッチンの方にいるけどお父さんも待ってるから」
海未「…はい!」
37 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:38:32.54 ID:JsRVUgr30
穂乃果「ほら!早く座ろ座ろ!」
海未「は、はい!」
穂乃果「いただきます!」
凛「いただきまーす!」
海未「あ、い…いただきます!」
海未(これからの人生で家族で食卓を囲むなんてことがあるなんて思わなかった)
海未(“その人たち”は私を家族として認めてくれた)
海未(笑顔があって会話があって私がずっと夢見てた瞬間だった)
38 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:39:36.84 ID:JsRVUgr30
凛「それでそれでさ〜」
高坂ママ「ふふふっそうなの?」
穂乃果「海未ちゃんってばすっごく頭が良くてね!勉強教えてもらったんだ!」
高坂ママ「あらまぁ…海未ちゃんがいたらそこの二人も安心ね〜」
穂乃果「うんうん!もうこのまま高坂海未でいいよ!」
凛「そうだよ!」
高坂ママ「こらっダメよそういうこと言っちゃ」
高坂ママ「とりあえず行くところ全部行ってからゆっくり決めなさい」
穂乃果「うぅ〜私は海未ちゃんといたいー!」
高坂ママ「我が儘はよしなさいみっともない!」
穂乃果「うぅ〜…」
海未「………」
39 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:40:48.63 ID:JsRVUgr30
海未(そうです、明日のこの時間はもうここにはいない)
海未(明日のこの時間には二つ目の家にいるはずです、いずれ私は決めないといけません)
海未(それは四つの家の内一つしか選べないということです)
海未(いずれにせよ私は必ず一回はこれから会う人と“家族”として過ごすはずです)
海未(だからこそ、私は選べそうにないんです)
海未(私は弱虫だから…私は控えめだから…)
海未(誰かの愛情を切り捨てるなんてことは出来ないんです、ここでたっぷりの愛情をもらったとしてこの先同じくらいの愛情をもらったら私は…)
海未(私はどうすればいいのかわかりません…)
海未「……」ギュッ
海未(……その時の私では答えが見つからずただ力強く拳を握ることしかできませんでした)
40 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:41:57.60 ID:JsRVUgr30
高坂ママ「はいはい、今そういう話はやめにしましょう?」
高坂ママ「せっかくの時間なんだからもっと楽しく!」
高坂ママ「ね?海未ちゃん」
海未「は、はい!そうですね!」
高坂ママ「よーし!まだご飯残ってるんだからぱあーっとやりましょうぱあーっと!」
41 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:43:53.18 ID:JsRVUgr30
〜その後、ほのうみりん部屋
海未「………」
凛「外なんか見てどうしたの?」
海未「あ、いえ…えっと…穂乃果さんがなんだか暗い顔をしてたので…」
凛「うん、そうだね…」
凛「…ちなみになんで暗い顔してたのか知ってる?」
海未「…?いえ…分かりません…」
モギューッ
海未「わっ…え、えっと凛さん…?」
凛「凛たち…家族なんでしょ?」
海未「は、はい」
凛「その“凛さん”って呼び方、凛好きじゃないんだけど」
凛「家族なのになんでさん付けなの?」
海未「そ、それは…」
42 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:45:03.53 ID:JsRVUgr30
凛「…まぁそれは置いといて海未ちゃんを家族として迎え入れるかって話になった時まず一番に賛成したのが穂乃果ちゃんだったんだよ」
海未「…!」
凛「家族が一人増えるってなった時すっごく喜んでてね」
凛「凛もね、お姉ちゃんがもう一人出来るって聞いてすっごく嬉しかった」
凛「また一段と賑やかになるし穂乃果ちゃんがいない時も海未ちゃんがいれば暇しないし」
凛「それに実際会ってみると海未ちゃんすごくしっかり者で勉強も出来てこれから一緒にいてくれれば凛と穂乃果ちゃんだって困らないなって思ってね、海未ちゃん頼り甲斐があるからさ」
海未「そう、なんですか…」
凛「だからさ…えっと…」
海未「…?」
凛「一度、全部の家を回ったら凛たちのところへ帰ってきてくれないかな…?」
海未「…え?」
43 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:45:57.29 ID:JsRVUgr30
凛「凛たちのことを選んでくれないかな…?」
凛「凛ね、お姉ちゃんが増えるって聞いた時嬉しかったっていったけど不安もあったよ」
凛「知らない人が家に来るんだもん、穂乃果ちゃんはすごく喜んでたけど凛はちょっと怖くてね」
海未「………」
凛「でもそんなの杞憂だった、海未ちゃんってば凛たちをいい方向に引っ張ってくれてそれに優しくてそれに一緒にいてすごく楽しかった、穂乃果ちゃんとはまた違った感じのお姉ちゃんでまだ海未ちゃんと会ってから一日も経ってないのにずっと一緒にいたいって思ったんだ」
凛「でも聞くところによれば海未ちゃんは明日、別の家にいくんでしょ?」
海未「…はい」
凛「だから不安なんだ…」
凛「これで海未ちゃんと会うのが、一緒に暮らせるのが最後だったらって思うと…」
海未「!!」
44 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:47:38.43 ID:JsRVUgr30
凛「…えへへずるいよね?これからいくつか別の家に行くっていうのにこんなこといって……」
海未「い、いえ…」
凛「穂乃果ちゃんもきっと同じ気持ちなんだ、凛たちにとって海未ちゃんっていう存在が眩しく感じたからさ…」
海未「………」
海未(衝撃の一言でした)
海未(私がそんな大きな存在だったなんて…)
海未(もしこの二人と一緒に過ごすことになったらきっと私たちはお互いを支え合う本当にバランスのいい家族になるのでしょう)
海未(互いが互いを眩しく感じ自身が必要なものは相手が持つからこそ相手求める依存的関係が生まれる)
海未(私の“四つの内のどれか”という迷いはもう一軒目にしてすでに決着がつきそうなくらいでした)
海未(…ですがそういうわけにもいきません)
海未「…ごめんなさい、まだ分かりません」
凛「そう…だよね」
45 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:49:37.99 ID:JsRVUgr30
海未「すいません…」
凛「謝らないで?悪いのは凛だから…」
海未「………」
ギューッ
海未(私は何も言わず凛さんを強く抱き返した)
凛「まだ…まだ分からなくていいからじゃあ凛、って呼び捨てで呼んでほしいな」エヘヘ
海未「…凛」
凛「ふふふ…なーに?」
海未「……すいません」
凛「謝るのはなし!」
海未「わ、分かりました」
46 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:50:16.48 ID:JsRVUgr30
ガチャッ!
穂乃果「おーい!お風呂入るよー!!」
海未「わぁ!」パッ
海未(今まで抱き合っていましたがすぐさま凛から離れました)
凛「おー!じゃあ入ろっ!」
海未「は、はぁ?一緒にですか?」
穂乃果「もちろん!ほらほら!」グイグイッ
海未「ちょ、ちょっと待ってください!一緒になんて」
穂乃果「いやだ!入るの!ほらいくよ!」
凛「ごーごー!」
海未「い、いやぁ…!破廉恥ですぅ…!」ズルズル
47 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:51:35.77 ID:JsRVUgr30
〜
穂乃果「どう?痛くない?」ゴシゴシ
海未「は、はい大丈夫ですよ」
凛「ふぅ〜…」チャプン
海未「…二人はいつも一緒にお風呂に入ってるのですか?」
穂乃果「うん!」
海未「それは…仲がいいのですね」
穂乃果「凛ちゃんと私の中なら当然だよね!」
凛「ねー!」
海未「そう…なんですか」
48 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:52:57.62 ID:JsRVUgr30
穂乃果「でもこれから海未ちゃんも仲間入りでしょ?」
海未「え、ええ…?」
穂乃果「もー知ってるよそのくらい!明日にはもういないってことくらい!だからノってよ!そこは!」
海未「す、すいません…」
穂乃果「謝るのは無し!家族なんだから」
海未「すいま…わ、わかりました」
穂乃果「…明日はどこいくの?」
海未「どこ、とは?」
穂乃果「お家だよ、どこのお家にいくのか」
海未「それは私にもよく…場所しか教えてもらってないので…」
穂乃果「そっかー」
穂乃果「もし他のところで満足できなかったら私たちの来てよね?!」
穂乃果「絶対に!」
凛「そうそう!来てよね!」
海未「は、はい」
49 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:53:40.20 ID:JsRVUgr30
穂乃果「よーし!ささっと上がってゲームしよ!凛ちゃん洗うの手伝って!」
凛「ほいさっさ!」
海未「ちょ、あ、あまり変なところは触らないでくださいー!!!」
50 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:54:40.54 ID:JsRVUgr30
〜その後
穂乃果「海未ちゃーん、ゲームの準備出来たよー」
海未「分かりました」
海未「ところで…」
穂乃果「ん?」
海未「漫画がすごい数ですけどお二人はこういうの好きなんですか?」
穂乃果「そうだよ!」
凛「お小遣いで必死に集めたもんね!」
海未「硝子の花園…ずるいよMagnetic today…好きですが好きですか…」ペラペラ
海未(色んな本をすらーっと読んでみたけど私にはよく分からなかった、恋とかなんだとか)
穂乃果「海未ちゃんもそういうの好きなの?」
海未「いえ…まったく読まないものでよく分からなくて…」
51 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:55:33.79 ID:JsRVUgr30
穂乃果「じゃあさじゃあさこれ見てよ!」ポイッ
海未「おっと」キャッチ
海未「ん…?あねもとはーと…?」
海未「ふむ…」ペラペラ
海未「………」ペラペラ
穂乃果「…?そんな難しい顔してどうしたの?」
海未「いや…恋愛ものはよくわからなくて…」
穂乃果「うーんそっか」
穂乃果「あ、じゃあさ!これだけでも聞かせてよ!」
海未「?」
52 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:57:00.48 ID:JsRVUgr30
穂乃果「その物語ってね!二人の女の子が一人の男の子を取り合う物語なんだ!」
海未「はあ」
穂乃果「一人目はとっても可愛くてしすっごく優しい、趣味がお菓子作りとか手芸で女の子の憧れって思われるような子なんだけどね、愛が重いんだ、すごくモテるのにその男の子しか求めてないからね、一途なだけに振られた時のことは想像したくないよね…」
穂乃果「二人目はね清く正しい大和撫子のような子で頭もいいし運動も出来る、女の子だけどすっごくカッコよくて学校内でファンが出来るような子なんだけど弱気すぎて全然自分の想いを言うことが出来ないんだ、ずっと好きなのに…だから絶対に報われてほしいよね」
穂乃果「男の子から見て二人はどっちも幼馴染なんだけどどっちが結ばれるべきかな?」
凛「凛はやっぱりひなちゃん派だなー!」
穂乃果「えー?!なんでさ!絶対うみみちゃんだよ!」
海未「ひな?うみみ?」
穂乃果「あ、えっとその二人の名前だよ」
海未「なるほど」
穂乃果「海未ちゃんはどっち?」
凛「ひなちゃんだよね?!」
穂乃果「いやうみみちゃんでしょ!」
53 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:57:59.82 ID:JsRVUgr30
海未「えっと……」
海未「…どっちも…じゃダメなんですか?」
ほのりん「…え?」
海未「どっちも…結ばれるべきだと思います」
穂乃果「うーん確かにそうなんだけどー…あはは…」
凛「そうなればいいんだけどねー…えへへ…」
海未「…?」
海未(やはり恋愛というのはよくわかりません、ですがもし私ならきっと相手に譲っていたと思います)
海未(…もし好きな人がいたとしても私には自分の想いを伝えるなんてこと、できませんから)フフッ
穂乃果「ま、いっか!じゃあゲームやろ!」
海未「はい」
凛「よーし!やるぞー!」
ピッ
54 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 03:59:49.80 ID:JsRVUgr30
〜
穂乃果「あー今日ももう終わりかー」
凛「凛の中だとまだ一時間も経ってないよー」
海未「…今日はありがとうございました」
穂乃果「もーそういうのはやめてよ!今は家族なんだから!」
海未「す、すいません…」
穂乃果「謝るのもなしってさっきいったじゃん!」
海未「ついクセで…」
穂乃果「どういうクセなのそれ…」
海未「…というか今日はもう寝るんですか?」
穂乃果「ううん、今日はまだまだ起きてるよー!」
海未「まだまだ…?」チラッ
『23:47』
海未「明日学校ですよ…?」
55 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:01:30.48 ID:JsRVUgr30
凛「海未ちゃんがいるんだからこんな早く寝ちゃもったいないよ!」
穂乃果「うんうん!」
海未「ですがもう寝ないと…」
凛「海未ちゃんは凛たちと居たくないの…?」ウルウル
海未「い、いえそういうわけじゃ…」オロオロ
凛「じゃあいいじゃん!今日は徹夜だー!」
穂乃果「おー!」
海未「え、え…おー…?」
56 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:02:24.14 ID:JsRVUgr30
〜その後
凛「すぅ…すぅ…zzz」
穂乃果「凛ちゃん、寝ちゃったね」
海未「…そうですね」
穂乃果「じゃあ私たちも寝よっか」
『3:45』
海未「こんな遅くまで…」
穂乃果「えへへこんなに白熱したのは久しぶりだったよ」
57 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:03:14.59 ID:JsRVUgr30
海未『あーもう!それどうやるんですか?!』
穂乃果『こうこう!』
海未『どうですか!ちゃんと説明してください!』
穂乃果「教えてほしかったら私に勝ってみなよ!』
海未『むぅ…言いましたね?』
海未『凛!ちょっと倒すの手伝ってください!』
凛『了解!』
穂乃果『えぇ?!二体一?!というか凛って何?!いつの間にそんな仲に?!』
凛『へっへーん!穂乃果ちゃんがいない時に色々してたんですよーっと!』カチャカチャ!
穂乃果『ずるーい!さっきの教えてあげるから私も呼び捨てで呼んでよ!』
凛『えぇ?!』
穂乃果『早く!早く!』
海未『あ、えっと…』
穂乃果『はやくぅ〜!』
穂乃果「あはは…ごめんね?色々迷惑かけちゃって」
海未「いえ…大丈夫ですよ」
58 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:05:36.66 ID:JsRVUgr30
海未「ちなみに私はどこで寝れば…?」
穂乃果「…あ、考えてなかった」
海未「え?」
穂乃果「…一緒に寝よっか?」
海未「はい?」
穂乃果「用意してなかったから海未ちゃんの寝る場所がないの!だから一緒に寝よ?」
海未「だ、大丈夫なのですか?」
穂乃果「何が?」
海未「私となんか寝て…」
穂乃果「全然いいよ!ほらほら早く布団入って入って!」フリフリ
海未「は、はい」スッ
59 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:06:17.82 ID:JsRVUgr30
穂乃果「…寂しいな、明日になれば海未ちゃんは…この家にいないんだもんね」
海未「すいません…」
穂乃果「謝らないでっていったじゃん」
海未「………」
穂乃果「…ねぇお話しようよ」
海未「…何の話ですか?」
穂乃果「海未ちゃんが来るって聞いた時の私たちのお話」
海未「……分かりました」
ギュッ
海未「!」
海未(布団の中で優しく手を握られた)
海未(だから私も優しく握り返した)
穂乃果「えへへ、ありがとう」
海未「いえ…」
60 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:07:03.34 ID:JsRVUgr30
穂乃果「始まりはね、私たちの通う学校の理事長先生が来た時なの」
海未「ええ…ある程度は聞いていました」
穂乃果「そっか」
穂乃果「海未ちゃんが来るってなった時はすっごく嬉しかった、絶対に楽しくなるって…絶対がつくほどの確信があった」
穂乃果「…どうしてだと思う?」
海未「…分かりません」
穂乃果「少しは考えてよ、もう」
海未「すいま…あっ…」
穂乃果「ふふふっ」クスッ
穂乃果「理事長先生が海未ちゃんはすごく優しくて勉強や運動が出来る子だってすごい高い評価をしててね、色々教えてもらおうって思ったんだ」
海未「あの人が…そんなに…?」
穂乃果「うん!」
61 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:08:16.21 ID:JsRVUgr30
穂乃果「それで実際会って思ったんだ、海未ちゃんは優しいし出来る人だって」
穂乃果「だって私たちに勉強を教えたり片付けをしてくれたりして私たちが出来ないことをやってくれるから…私たちを引っ張ってくれるから…」
穂乃果「こんなに頼り甲斐がある人離したく…ないよ」
ギュッ
海未「………」
海未(上を向いてたから顔は見てませんが穂乃果の声はすっごく震えてた)
海未(握られた手は一度ほどけ再び握られた、思いっきり強く握られその握られ具合が今の穂乃果の必死さなのかもしれない)
海未(そして穂乃果の手を繋いでない片方の手が私のお腹の辺りに乗りかかった)
穂乃果「行かないでよ…」
穂乃果「私たちの傍にいてよ…ずっと…」
海未「……」
62 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:09:05.52 ID:JsRVUgr30
海未(やはり姉妹というだけあって思考回路はそっくりでした)
海未(今日で“行かないで”の言葉を二回も言われた)
海未(二人曰く私は頼り甲斐のある人、というが私にとって二人は太陽のような存在です)
海未(もし私を引き取ってくれる家がここしかなかったらどんなに幸せなんだろう、私はそう思いました)
海未(だって考える必要がなかったのですから)
海未(今ここで“ずっと一緒ですよ”の言葉を穂乃果にかけてあげることが出来たのに)
海未(私は…決めなければならない)
海未(穂乃果や凛が私にくれた愛情もそうですけどそれと同じくらい私を引き取ってくれる善意を無に帰すようなことは出来ない)
海未(一度全部行って公平に決める、それが私にとって一番の方法なんです)
海未(だから…)
海未「…ごめんなさい、穂乃果」
海未「まだ…私にはわかりません」
63 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:11:19.56 ID:JsRVUgr30
穂乃果「…謝らないでよ」
海未「……ごめんなさい」
穂乃果「………」
穂乃果「海未ちゃんの意地悪…」
モギュッ
穂乃果「起きるまで私の抱き枕になるっていうなら許してあげる」
海未「だ、抱き枕?」
穂乃果「海未ちゃんはずっと私に抱かれてればいいの!」ギュギュッ
海未「うっ…苦しいですよ」
穂乃果「いいのっ!」
海未(吹っ切れたように穂乃果は私に抱き着いてきた)
海未(なんだかすごく温かくてすぐに眠くなった)
穂乃果「…待ってるから、海未ちゃん」
海未(微かに聞こえた穂乃果の声を最後に私の目は閉じられた)
64 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:12:20.89 ID:JsRVUgr30
〜次の日、学校
穂乃果「えへへ海未ちゃんと私クラス一緒だね!」
海未「は、はい!」
凛「ねー!?凛はー?!?!」
穂乃果「これは先に産まれた特権だよ我が妹よ」フフッ
凛「何が特権だー!」シャー
海未「すいません…凛…」
65 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:13:56.76 ID:JsRVUgr30
凛「じゃあナデナデしてー!」
海未「ナデナデ…?分かりました」ナデナデ
凛「ふにゃ〜…」
穂乃果「あぁーずるいずるい!私も!」
海未「…?そんなにいいのですかこれ…」ナデナデ
穂乃果「くぅ〜ん…」
海未(次の日、私たちは穂乃果と凛に強引に連れられて超早く学校に辿りついた)
海未(朝起きてからというもの二人はとても騒がしく私にとっては“うるさい妹”が二人出来たような感覚でした)
海未(早く支度をするにも身だしなみが整ってないし準備を私よりも先終わられても忘れ物をしそうになるし改めて思うのは私がいないと全然出来てないような人たちです)
海未(…だからほっとけないんです、この人たちを)
穂乃果「はーあ、ちょっと早く来過ぎたね、やることないや」
66 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:14:56.98 ID:JsRVUgr30
海未「だからいったのでしょう、あんなに早起きしても何の得もないと」
穂乃果「えへへ…はりきりすぎちゃって…」
凛「いつもは寝坊してるんだよ?」
穂乃果「うん今日は頑張った!」
海未「そういう問題じゃない気が…」
穂乃果「宿題もやっちゃったしやることないな〜あっはは」
海未「それでいいんです!」
穂乃果「うん!海未ちゃんのおかげだよ」
凛「ありがとう!」
海未「い、いえ」
凛「じゃあここで凛と海未ちゃんはお別れだね…」
海未「…はい」
凛「…じゃあ!」
海未「はい、また」
67 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:15:44.17 ID:JsRVUgr30
スタスタスタ
穂乃果「じゃあ私たちもいこっか」
海未「ええ」
海未(その後は隣に穂乃果がいること以外ごく普通の時間でした)
海未(お昼もあの二人と一緒に食べました、穂乃果と凛のお母さんが作ってくれたお弁当で盛り上がりそんな時間が終われば肌に触れる風が冷たく感じた)
海未(まるで今まで温かった心が急激に冷たくなって触れるもの全てが冷たく感じる感覚でした)
海未(…それは放課後になればお別れだから、ただ住むところが別になるだけなのに一生のお別れのように感じたから)
海未(あの二人の優しさに触れてしまっては他が冷たく感じるから…)
68 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:16:32.69 ID:JsRVUgr30
〜
キーンコーンカーンコーン
海未「…あっ」
穂乃果「えへへ…一緒に帰ろって言いたいところだけどもう行っちゃうんでしょ?」
海未「…はい」
穂乃果「…あ、校門まで一緒に帰ろ?」
海未「はい!」
スタスタスタ
穂乃果「おーい!凛ちゃーん!」
凛「あ、穂乃果ちゃーん!海未ちゃーん!」
海未「校門まで一緒に帰りましょうか」
凛「うん!」
69 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:17:29.77 ID:JsRVUgr30
海未(刻々と終わりの時間は近づいていました)
海未(静かに声が木霊するような儚く力のない光が二つ、その儚さに感傷する弱くて小さい光が一つ)
海未「………」スタスタスタ
穂乃果「………」スタスタスタ
凛「………」スタスタスタ
凛「…あ、凛下駄箱あっちだから靴はいたら待っててね!」
穂乃果「はーい」
海未「分かりました」
海未「………」ウルッ
穂乃果「…もうそんな悲しくならないでいくよ!」グイッ
海未「わぁ!」
70 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:18:21.64 ID:JsRVUgr30
穂乃果「ほらほら早く!」
海未「待ってください!まだ靴をはいてません!」
穂乃果「いいからいいから!」グイグイッ
海未「わー!!」ズルズル
凛「ちょ、ちょっと待ってよー!」
穂乃果「よっと!」
海未「もう…靴下が汚れました」
穂乃果「気にしない気にしない!」
凛「あはは…ごめんね?」
海未「いえ…大丈夫ですよ」
71 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:19:15.22 ID:JsRVUgr30
穂乃果「じゃあ校門まできょうそ」
「あなたが園田海未さん?」
ほのうみりん「!!」
海未「あ、は、はい」
「ビンゴ!やっと会えたね」
海未「え、えっとあなたは?」
「私は…」
絵里「海未さんのお世話をする東條絵里、という者よ」
希「同じく東條希!よろしくね!」
72 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:20:44.92 ID:JsRVUgr30
海未「あ、え、えっと…?」
絵里「ん?あ、ごめんなさい言い方が悪かったわ、正確にはまだ一日だけよ」
絵里「一日だけお世話をするわ」
海未「は、はい!」
希「いやー休み時間会いに行こうかと思ったんだけど友達がいつもついてたから行きづらくてな」
希「帰り会えばいっかってことになったんやけど」
海未「分かりました」
海未「…すいません、穂乃果、凛」
海未「ここでお別れのようです」
穂乃果「…うん!」
73 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:21:50.18 ID:JsRVUgr30
海未「すいません、これお弁当の…」
ほのりん「謝らない」
海未「………すいません」
絵里「…じゃあいきましょっか?」
海未「はい」
希「ふふふーいっぱいお話聞かせてな?」
海未「は、はい!」
74 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:23:09.59 ID:JsRVUgr30
スタスタスタ
穂乃果「………」
凛「………」
海未(きっとあの二人の瞳には私の寂しい後ろ姿が見えてたのでしょう)
海未(実際、寂しいオーラをまとった視線を感じました)
海未(…あなたたちは最後の最後までずるい人達です)
海未(悪あがきですか…?仕方ありませんね…)
海未「穂乃果、凛」
ほのりん「!」
海未「…また今度」ニコッ
海未(もし“次”があるならまたゲームしましょうね)
海未(私の悪あがきです)
75 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 04:24:00.76 ID:JsRVUgr30
穂乃果「…うん!」
凛「また今度会おうね!!」
海未「はい!」
穂乃果「ばいばーい!!」
凛「絶対また今度だよー!!」
海未「はいっ!また今度っ!」
76 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2017/06/03(土) 04:25:55.44 ID:JsRVUgr30
一度中断します
次の更新は遅かれ早かれ必ずします
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/03(土) 06:19:32.80 ID:2c+j7g/3o
乙
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/03(土) 07:24:52.24 ID:g8BUkjySO
にゃはぁーん
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/03(土) 07:35:53.57 ID:g8BUkjySO
ひな(消えたことりの妹)
80 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:33:03.40 ID:JsRVUgr30
スタスタスタ
希「友達?」
海未「…なんていったらいいんでしょう」
海未(微妙な一線でした、家族ではないけど友達というほど他人性もない)
海未(言葉が見つかりませんでした)
絵里「…あ、分かった」
絵里「昨日海未さんのお世話をしてたところの娘さんでしょ?」
海未「…!は、はい!」
絵里「ふっふ〜ん!エリチカかしこ〜い!」
希「いや賢くないやんな…」
海未「ふふふっ」クスッ
81 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:34:12.15 ID:JsRVUgr30
希「あの子たちと引き離したんじゃ悪いことしちゃったかな…」
海未「い、いえ大丈夫ですよ、校門を超えたらお別れの予定でしたので」
希「そっか、ならよかったよ」
絵里「改めてだけど私は東條絵里、で、こっちが東條希」
希「改めてよろしくね!」
海未「よろしくお願いします」ペコリ
希「うんうん礼儀が正しいなぁ」
絵里「私たちは今家族なんだからもっとアットホームな感じでいいのよ?」
海未「い、いえ…なんだかそういうのは慣れてなくて…」
希「まぁじきに慣れていけばいいよ」ナデナデ
82 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:35:14.13 ID:JsRVUgr30
海未「うっ…?」
希「ありゃ?ナデナデは嫌い?」
海未「いえ…こういうのされるのは初めてで…」
希「へぇ〜…じゃあいっぱいしてあげようか?」ナデナデ
海未「い、いいです!やめてください!」
希「あぁ〜んもう酷いな〜」
海未「あ、す、すいません…」
絵里「真に受けなくていいのよ?」フフッ
絵里「むしろ喜んでる方だから」
海未「よ、喜ぶ?」
83 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:36:16.06 ID:JsRVUgr30
絵里「希はツンツンされるのが好きなのよ?」
希「や、やめてやそんな勘違いさせるのは!」
絵里「だって実際そうでしょ?」フフフッ
希「違う違う!成長を感じれる時が嬉しいんよ」
海未「成長を感じれる時?」
希「ウチに思ったことを言ってくれたんだからウチにとってこんなに嬉しいことはないやん?」
希「最終的にウチらは家族なんやし、家族らしくしていこうや!」
絵里「ええそうね」
海未「は、はい!」
84 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:37:50.32 ID:JsRVUgr30
海未「…そういえばお二人はどういう…?」
絵里「ん?どういう?」
希「どういう家柄なのかってことじゃない?」
海未「はい」
絵里「あー私と希は歳は同じだけど希が方が早産まれだから私が妹で希が姉になるの」
絵里「あ、こう見えても私たちあそこの学校の生徒会長と副生徒会長なのよ?」フフンッ
海未「へ、へぇー…すごい…」
絵里「お母さまとお父さまは今は遠くの方に住んでて私と希の二人暮らしなの」
海未「お、親がいないのですか?」
絵里「ええ、仕送りとバイトのお金だけでやりくりしてる状態なの」
85 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:38:55.80 ID:JsRVUgr30
海未「そ、そんな生活が苦しい状態でなぜ私を…」
希「ううん、別に苦しくなんかないよ?むしろかなり余裕があるくらいでね」
希「ウチ的に海未ちゃんが来るって聞いて可愛い可愛い妹が出来るって思ってすごい嬉しかったんよ?」
海未「そ、そうなんですか」
絵里「まぁそんな感じなんだけど家もマンションだからあまり豪勢なことは出来ないけどごめんなさいね?」
海未「いえ…全然問題ないです」
絵里「もし分からないこととかあったら何でもいってね?お姉さんたち頑張っちゃうから」フフッ
希「そっちのお姉さんは頼りないからウチを頼りなよ?」
絵里「ちょっとそれどういう意味よ!」
希「おっちょこちょいが効きすぎて頼りないやもーん、むしろ海未ちゃんの方が頼りになると思うよ?」
絵里「そ、そんなことないわよ!」
86 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:40:41.29 ID:JsRVUgr30
絵里「ね、海未もそう思うでしょ?!」
海未「え、あ、そ、そうですね…?」
希「海未ちゃんの縋るのはカッコ悪いで?」ニシシ
絵里「うわ〜ん海未がいるんだからしっかりしてるところくらい出させてよ〜!」
海未「ふふふ」クスクス
海未(この二人は前の二人とまったく違う、そうそれは正反対の位置にいてもおかしくない人達でした)
海未(絵里さんはからかわれてるがしっかりしてるところくらいは私にでも分かる、希さんは言うまでもなくしっかりしてそうなのでこの人たちは“頼りになって優しくてしっかりしたお姉さんたち”というのが正解かもしれません)
絵里「そ、そうよ!こう見えても私が生徒会長なのよ!!成績も希よりもダントツで上!!どう?!」
海未「ど、どう…?」
希「ほら海未ちゃん困惑してるやん、みっともないからやめなよ?」
絵里「うぅ…」
87 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:42:30.27 ID:JsRVUgr30
海未「だ、大丈夫ですよ!しっかりしてることは生徒会長って聞くだけでもわかりますし!」
絵里「そ、そうよね!ありがと海未ぃ…!」ギューッ
海未「わぁ…あはは…」
希「何気にウチもえりちも海未ちゃんとか海未って呼びたい感じで呼んじゃってるけど大丈夫かな?」
海未「は、はい大丈夫ですよ、希さんと絵里さんの好きな呼び方で結構です」
希「えーウチらはそのかしこまった言い方好きじゃないんやけどな〜」ニッ
海未「で、ですがなんと呼べば…」
希「じゃあのんたん先輩って呼んでほしいな〜」ニヤニヤ
海未「は、はあ?!」
絵里「私はエリーとか絵里お姉さんとかでいいわよ?」フフッ
海未「ちょっと待ってくださいよ!そ、そんな呼び方私は…」
88 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:44:51.03 ID:JsRVUgr30
希「いいやんいいやんほら早く!」
海未「いやです!」
希「もーつれないなー」
海未「当たり前です!」
絵里「じゃあ呼び捨てで呼べばいいじゃない、それなら海未でも大丈夫でしょ?」
海未「で、ですが目上の人にそのような態度は…」
希「礼儀正しいのもいいけど度がすぎるとただ堅苦しいだけやで?」
海未「そ、そうなんですか?」
希「当たり前やん、家族なのにそんなかしこまりすぎやん、家族なのに」
89 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:46:43.30 ID:JsRVUgr30
海未「で、ではのぞ……うぅ…」
希「ん?なになに?聞こえなかったな〜」ニヤニヤ
海未「の、希!!」
希「はい、よくできました〜」ナデナデ
海未「うむぅ…」
絵里「私も!私も呼び捨てで呼んで!」
海未「え、えっとえ、え…り…うっ…む、無理ですぅ!やっぱり呼び捨てでなんて!」
絵里「えぇ?!なんで私だけ?!」
希「そりゃあえりちがお姉ちゃんらしくないからやね」ニシシ
絵里「そ、それは希もでしょ!」
希「ウチは呼び捨てで呼んでもらったもーん」
絵里「うぅ…うみぃ…」ウルウル
海未「す、すいません…」
海未(その二人は優しすぎてとても怒るような姿が想像できませんでした)
海未(どんなにざらつきのある砂も触っていて気持ちいい砂に変わるほどの包容力と母性を感じお姉さん、いうよりかは“お母さん”に近い何かなのかな、と思ってしまうほどでした)
90 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:48:05.84 ID:JsRVUgr30
〜その後、東條家
海未「おじゃまします」
希「のーのーのんのん」
海未「?」
希「おじゃましますじゃなくてただいま、やろ?」
希「ここは海未ちゃんのお家なんだから」
海未「…!は、はい!」
海未「ただいま帰りました」
絵里「ただいま帰りました…?いつもそんなこといってたの?」
海未「はい」
絵里「それはすごいわね…」
91 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:50:17.31 ID:JsRVUgr30
希「帰ったばっかだけど早速夕ご飯の準備しよっか、夜たーっぷり時間空けてたーっぷりあそぼ?」
絵里「ええ、そうしましょう」
海未「分かりました」
海未(その二人の家はマンションの一室で小物や装飾品が飾られていてところどころに生活術が合い間見えるような場所でした)
海未(必要なものが揃っていて何がどこにあるのかすごくわかりやすい部屋設計でした)
海未「……」キョロキョロ
絵里「そんなキョロキョロしてどうしたの?」
海未「あ、えっと…すごく片付いてるなって思って…」
希「当たり前やん、汚い部屋では過ごせないやん?」
海未「そ、そうですね」アハハ
海未(“前の二人”に聞かせてあげたいセリフだったなと少し苦笑いが出ました)
海未(でも、ホントに部屋は整ってて私の出る幕が無くて何か出来ることはないのかと探してた)
92 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:51:48.42 ID:JsRVUgr30
希「えりちー今日カレーにするから食材取ってー」
絵里「はーい、待ってなさい」
海未「あの…」
希「ん?どうしたん?」
海未「私に出来ることは…ないでしょうか?」
希「んーじゃあにんじんの皮とか剥けるかな?」
海未「は、はい!」
絵里「私がやることは」
希「ない」
絵里「え?」
希「海未ちゃんで充分やから」
93 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:53:01.51 ID:JsRVUgr30
絵里「えぇ?!酷いわよのぞみぃ!」
絵里「そ、そうよじゃがいもの皮むきがあるじゃない!」
希「それは後でウチが」
絵里「いいわ!私がやるから!」
希「ふふふっ…強引やなぁ」
海未「あはは…」
海未(二人と私では身長に結構な差があって左右囲まれる形になるとなんだかお父さまとお母さまが隣にいるような感じがした)
海未「こ、こんな感じでどうですか?」
希「うーんこの辺とかまだ皮が残ってるからこことかここ、もうちょっと剥いて剥いて」
海未「す、すいません…不器用なもので…」
94 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:53:58.39 ID:JsRVUgr30
希「ふふふっそんなこと言ったら向こうの人は超不器用やん」
海未「えっ…」チラッ
絵里「の、希!じゃがいもの皮剥くのってこんなに難しいの?!」
希「ふふっえりちにはまだ早いよー」クスクス
絵里「早いってじゃあいつになったら私は皮むきできるのよ!」
希「…ま、あの人があんな感じだから気にしなくていいよ」
海未「あ、ありがとうございます」
海未(希さんはすごく優しかった、絵里さんは距離感を感じさせないくらいに人が良かった)
海未(しっかり生活してきたつもりの私が足を引っ張るくらいにしっかりした家庭で定期的に触れられる二人の優しさが温かすぎてここならイヤなこと全てを忘れさせてくれそうだった)
95 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:55:09.54 ID:JsRVUgr30
海未「いただきます」
絵里「いただきます」
希「いただきまーす」
希「どう?」
海未「すごくおいしいです!」
希「そっか、ならよかったよ」
絵里「ご飯食べ終わったら何する?」
海未「私は宿題をしようかと…」
希「そうやね、宿題しよっか」
絵里「分かったわ」
96 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:56:48.32 ID:JsRVUgr30
海未「…そういえばお二人は生徒会長と副生徒会長なんですよね?」
絵里「そうよ」
海未「何のために生徒会に?」
絵里「それは…お母さまの母校がここだから」
海未「母校?」
絵里「ええ、お母さまが通ってたあの学校をもっとよくしたくて」
希「立候補したもんなー」
絵里「ええ」
海未「す、すごいですね…」
97 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:58:35.43 ID:JsRVUgr30
絵里「自分で言うのもなんだけど私たち、ちゃんと勉強してたから頭はいいのよ、だから生徒会長にもなれたし」
希「ウチも副生徒会長になれた」
絵里「今も少しでも過ごしやすいように色々生徒会でやってるのよ」
海未「さ、流石ですね…」
希「こんなポンコツさんでも意外にしっかりしてるよね〜」ニコニコ
絵里「ポンコツは余計よ、私は常にしっかりしてるんだから!」フンスッ
海未(きっとこの人たちと暮らすことになればイヤなことを全て忘れさせてくれる安寧の場所がそこには出来上がるのでしょう)
海未(それは“前の二人”とは違う明るいとか元気みたいなモノはなく優しいとか綺麗みたいな家庭が出来るのだと思う)
98 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/03(土) 23:59:54.14 ID:JsRVUgr30
海未「……」カキカキ
希「海未ちゃんそこ違うよ」
海未「え?」
希「ここはね、これが答えなんよ、海未ちゃんのやり方はちょっと違うんよ」
海未「そ、そうなんですか…教えてくれてありがとうございます」
希「ううん大丈夫だよ」
絵里「…さて私は終わったわ」
海未「早い…さっき始めたばっかなのに…」
絵里「このくらいなら簡単よ、そっちは大丈夫?」
希「んーウチはもうすぐ終わるから大丈夫だよ」
99 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/04(日) 00:01:42.55 ID:YW9LSzjl0
絵里「先に自分のを終わらせなさい、希の出る幕はないわ」
絵里「海未に勉強を教えるのは私の役目よ?」フフンッ
希「くぅ…なんか悔しい…」
絵里「ふっ…残念だったわね!」
希「う、ウチも早く終わらせないと!」カキカキ!
絵里「じゃあ今から私が見るわ、よろしくね」
海未「よろしくお願いします」
海未(二人はしっかりしすぎてた、この二人が横にいるだけでとてつもないほどの安心感があった)
海未(一応私も勉強は出来る方だと自負してましたけどそれでも足りないところをこの二人は補ってくれる、前回は私が支える側でしたけど今回は支えられる側でした)
100 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/04(日) 00:04:00.90 ID:YW9LSzjl0
海未「ふぅ…終わりました」
絵里「おめでとう、よく頑張ったわね!」ナデナデ
希「海未ちゃんにナデナデした感想は?」
絵里「ハラショー!最高よ!」
海未「はらしょー?」
希「えりちがむかーしロシアに一瞬だけ興味を持って覚えたロシア語だよ」
絵里「ちょ、ちょっと一瞬はいいすぎよ!」
希「一瞬やん、すーぐに飽きちゃったやん」
絵里「だ、だって意味わからないもの…」
希「ハラショーっていうのはな、日本でいう素晴らしい!みたいな意味なんやって」
絵里「あ、それ私が言うはずのセリフなんだけど!」
海未「なるほど…」
101 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/06/04(日) 00:05:11.19 ID:YW9LSzjl0
絵里「にしても海未はしっかりしてるのに勉強も出来るし字も綺麗だわ、おまけに礼儀も正しいし」
海未「いえ…お二人に比べれば全然…」
希「もー家族なんだからそういうのはいいんやけどなー…」アハハ
海未「すいません…」
絵里「まぁまぁいいじゃない、さてこれからどうする?」
希「やっぱりお風呂やね」
海未「で、ではお先にどうぞ」
希「ん?何いってるん?一緒に入るんやで?」
海未「…え?」
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