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魔王「リインカーネーション」
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102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/02(金) 21:09:29.73 ID:zq6/qIcJO
【街道】
ガガッ…ガガッ…
王女「わぁ…凄いなぁ…」
王女「(どんどん景色が変わっていく。わたし、本当に外に出たんだ)」
王女「(青空には先ほどより輝きを増した太陽が。ふわふわとした雲は泳いでいるようにも見える)」
王女「(白馬さんが地面を蹴って体が浮くたび、わたしも空を飛んでいるような…そんな気分になる)」
ガガッ…ガガッ…
王女「(ほのかに香る土の匂い。風に揺られる草花。それから挿絵とは全く違う、本物の緑……)」
王女「(何処を見ても何を聴いても心地良い。此処には…外には全てが詰まってるんだ)」
盗賊「姫様、気分はどうだい?」
王女「とっても楽しいです! でも、まだ信じられません。何だか、ちょっとだけ怖いんです」
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/02(金) 21:50:18.16 ID:zq6/qIcJO
盗賊「怖いって何が?」
王女「……昨日までとは違いすぎるからです。望みが叶うなんて思いもしませんでしたから」
王女「それから、こうも思うのです。もしかしたら、これら全ては夢なのではないか…と」
盗賊「人なんて夢遊病者みたいなもんさ。寝てる奴も起きてる奴も、みーんな夢を見てる」
王女「……誰もが、夢を見る…」
盗賊「そ。でも大丈夫、姫様は起きてるよ。流石の俺も人様の夢にまでは入れない」
盗賊「万が一これが夢でも、姫様の夢は誰にも盗めないよ。これは、きみだけの夢だからね」
王女「……もし、もしですよ? 二人一緒に同じ夢を見ていたらどうします?」
王女「これは夢で、現実では牢に入れられてたりしたら? そう考えると、わたし……」
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/02(金) 21:55:28.43 ID:zq6/qIcJO
盗賊「ははっ、面白いこと考えるなぁ」
王女「わ、笑わないで下さい。これでも真剣に考えてるんですから……」
盗賊「分かった分かった。そんなに不安な声出すなよ。旅立ちの朝なんだぜ?」
王女「だって…何だか怖くて……」
盗賊「……もし夢だったら、だっけ?」
王女「は、はい。泥棒さんならどうしますか?」
盗賊「う〜ん。そうだなぁ…夢の終わりまで一緒にいればいいんじゃないの?」
王女「どうしてです?」
盗賊「夢の中で一緒なら、目が覚めた時も傍にいるかもしれない。そしたら、またすぐに連れ出せるから」
王女「じ、じゃあ! もし別々の場所で目が覚めてしまったらどうしますか?」
盗賊「その時はきみを捜して連れ出すよ。そんで、夢の続きを見る。一緒にね」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 00:04:51.98 ID:jI8nlcmOO
王女「(一緒に、夢の続きを…)」カァァ
盗賊「少しは落ち着いた?」
王女「えっ、ええ。安心とは少しばかり違うかもしれませんが、もう大丈夫です」
盗賊「?」
王女「(随分と前に読んだものだから題名は思い出せないけれど、似たような台詞があった)」
王女「(確か…身分の違いから引き離され、それでも互いを愛し続けた男女の物語……)」
王女「(彼女は思い人に会えぬ辛さから心を病み、自害。遠い地にいた彼は、ある日彼女が自害したことを知る)」
王女「(彼女の死を知った彼は嘆き、絶望し、世を憎んだ。何より、強引にでも彼女を連れ去らなかったことを後悔した)」
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 00:10:17.59 ID:jI8nlcmOO
盗賊「おっ、見えてきた」
王女「(彼も遂には毒薬を飲んで自害してしまう。そんな、悲劇的な物語)」
王女「(もう眠ろう。わたしは夢を見るのだ。何度でも何度でも。あの日に夢見た、彼女との夢の続きを……)」
王女「(毒薬を飲む直前の台詞だけれど…いえ、だからでしょうか。今でも心に残っている)」
盗賊「そろそろ着くか。あ〜、ハラ減ったなぁ」
王女「…………」
ギュッ…
盗賊「どうかした? まだ怖い?」
王女「いえ、そうではありません。少しばかり体が冷えてしまいました」
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 00:16:30.73 ID:jI8nlcmOO
盗賊「寒いのか? こんなに日が照ってんのに?」
王女「いえ、寒くはありません。熱いくらいです」
盗賊「あ〜、昨日はかなり無理してたからな。もしかしたら熱があんのかも……」
王女「……熱、ですか…」
盗賊「もう少しで街に着く。それまでは何とか我慢してくれ」
王女「あっ、急がなくても大丈夫です。こうしていれば、すぐに良くなりますから……」
盗賊「えっ? よく分かんねえけど本当に大丈夫なんだな?」
王女「ええ。心配させてしまうようなことを言って申し訳ありませんでした」
盗賊「何かあったら正直に言ってくれよ? 無理して倒れたら元も子もねえからさ」
王女「(自分は傷を負っても何も言わなかったのに…もっと自分を大事にしないと駄目ですよ……)」
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 00:25:37.90 ID:jI8nlcmOO
盗賊「姫様?」
ギュゥゥ…
盗賊「痛い痛い痛い!! 何!?どうした!?」クルッ
王女「……いえ、別に。何でもないです」プイッ
盗賊「はぁ!?」
王女「何でもないですよ?」ニッコリ
盗賊「そっ、そうですか。ならいいですけども……」
王女「前を見ないと危ないですよ? もし落馬してしまったら傷が開いてしまいますからね」
王女「また縫って欲しいのなら構いませんけれど、怪我はして欲しくないので早く前を見て下さい」
盗賊「そ、そうします(笑顔こわっ! 何かしたっけ? まるで分かんねえ)」
王女「(きっと、何を言っても聞いてはくれないでしょうね。あなたは、優しい人だから……)」
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 01:20:31.60 ID:jI8nlcmOO
王女「………」
盗賊「(急に黙っちまった。にしても、追っ手が来ねえのは妙だ)」
盗賊「(王宮ではあんだけ警備固めて俺を取っ捕まえようとしてたってのに……)」
盗賊「(あの爺さんなら、俺との関与を少しでも疑われないように大勢使って追わせるはずだ)」
盗賊「(……やっぱり、あの爺さんにも何か裏がありそうだな)」
盗賊「(儂が死んで力の印刷が済むまでとか何とか言ってたけど、それだけじゃねえような気がする)」
盗賊「(……王の輪転器か)」
盗賊「(もう少し調べてみた方が良さそうだな。姫様にも知らされてねえ事実がありそうだし)」
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 01:29:08.00 ID:jI8nlcmOO
王女「泥棒さん?どうしました?」
盗賊「いや、何でもねえ。それよりさ、街に着いたら服買うけどどんなのがいい?」
王女「服ですか? 特にこだわりはないので、どんなものでも構いません」
王女「あっ、これからは移動することが多くなると思いますので、動き易いものが良いすよね?」
盗賊「あ〜、そうだな。じゃあ旅人みたいな格好にするか」
王女「でも、よろしいのですか?」
盗賊「何が?」
王女「……わたしはお金品など一切持っていないので、泥棒さんに負担が掛かるでしょう?」
盗賊「そんなの気にすんな。高い物は買わねえしさ。でも、服で誤魔化せっかなぁ」
王女「?」
盗賊「何て言うか…気品?みたいのが邪魔しそうなんだよ。仕草とか口調とか」
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 01:31:36.37 ID:jI8nlcmOO
王女「泥棒さん?どうしました?」
盗賊「いや、何でもねえ。それよりさ、街に着いたら服買うんだけどどんなのがいい?」
王女「服ですか? 特にこだわりはないので、どんなものでも構いません」
王女「あっ、これからは移動することが多くなると思いますので動き易いものが良いですよね?」
盗賊「あ〜、そうだな。じゃあ旅人みたいな格好にするか」
王女「でも、よろしいのですか?」
盗賊「何が?」
王女「……わたしは金品など一切持っていないので、泥棒さんに負担が掛かるでしょう?」
盗賊「そんなの気にすんな。高い物は買わねえしさ。でも、服で誤魔化せっかなぁ」
王女「?」
盗賊「何て言うか…気品?みたいのが邪魔しそうなんだよ。仕草とか口調とか」
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 01:34:35.48 ID:jI8nlcmOO
王女「では、教えて下さいませんか」
盗賊「教えるって何を?」
王女「泥棒の仕草です。泥棒さんのようになるにはどうすればよいのでしょう?」
盗賊「っ、あははっ! 姫様にゃ無理だって、なれっこねえよ」
王女「な、何故ですか?」
盗賊「そういうところだよ。真面目だし高所恐怖症だしさ」
王女「……なら、泥棒以外で…」
盗賊「いや、そう言われてもなぁ……まあ、街に入ったら一緒に考えようぜ?」
王女「分かり…ました……」
盗賊「(何で落ち込んでんだろ。また何か考えてんのかな。夢とか何とか言ってたし…)」
王女「(本気だったのに、あんなに笑わなくたっていいじゃないですか……)」
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/03(土) 01:35:21.48 ID:jI8nlcmOO
また明日
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/03(土) 01:57:38.99 ID:AvIYN9lto
乙
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/03(土) 06:02:52.85 ID:FggD4TT2O
盗賊が鈍感キャラなのは違和感あるな
牝馬はコマしてるのにw
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/03(土) 07:44:13.28 ID:gg6fNRybO
盗賊が鈍感なわけではなく互いに考えてることが擦れ違ってる
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/03(土) 12:40:52.64 ID:FvJOLbsjO
REDSTONEのシーフで再生される
C
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 20:30:45.91 ID:JZOH/8mGO
盗賊「見ろよ姫様。あれが街の正門だ」
王女「あ、あれが正門ですか? それにしては飾りっ気もなくて小さいような気が……」
盗賊「はははっ!そっか、小さいかぁ」
盗賊「でもまあ、王宮の大門を見ちまった後じゃそう思うのも仕方ねえかもな」
盗賊「でもさ、あの街の中には王宮にはないものが沢山詰まってる。絢爛豪華とは程遠い街だけどさ」
王女「入ったことがあるのですか?」
盗賊「ん〜、何度かね。他にも候補があったんだけど、見知った顔もいるから此処にしたんだ」
王女「(……見知った顔? というか、泥棒さんは何で『こちら側』に来たのでしょうか?)」
王女「(王の秘宝。宝具を求めてやって来たと言っていたけれど、ニンゲンである彼が何故…)」
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 20:34:26.89 ID:JZOH/8mGO
盗賊「あっ…」
王女「?」
盗賊「街に入る時に検査みてえなのがあるんだ。姫様は普通にしといてくれ」
王女「えっ!? あのっ、普通と言われましても一体どのようにしたら良いのでしょうか?」ワタワタ
盗賊「そんなに慌てなくても大丈夫さ。そのままでいいってことだから」
王女「は、はぁ…」
盗賊「但し!」
王女「はいっ! 何でしょう?」
盗賊「何があっても馬から下りないように。何があっても俺が何とかするから」
王女「……分かりました。無茶はしないで下さいね?」
盗賊「心配しなくても大丈夫さ。簡単に通れるさ、簡単にね」
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 22:25:53.24 ID:JZOH/8mGO
王女「(そう簡単に行くでしょうか……)」
王女「(こちら側の者はニンゲンに対して敵対的。とは言わないまでも友好的とは言い難い)」
王女「(国家で認定されているような商人ならば問題はないでしょうが、彼のようなニンゲンには風当たりは強いはず……)」
王女「(……けれど、これら全ては本で得た知識でしかない。実際に目の当たりにしたわけではないから何とも言えない)」
門番「はい、そこで止まって下さ…何だ、ツノ無しか……」
王女「(あぁっ、露骨に嫌そうな顔してる。やっぱりこれが普通の反応なんだ……)」
盗賊「角が立たないようにしてるんだ。何事も丸く収まるようにね」
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 22:36:57.91 ID:JZOH/8mGO
王女「(な、何で挑発するようなことを…)」
門番「そうか。だが残念だったな。たった今、お前の不用意な発言で角が立った」
門番「さあ、今すぐに馬を下りろ。ニンゲンに見下ろされるのは大嫌いなんだ」
盗賊「はいはい」ザッ
門番「……連れがいたのか。女、お前も下りろ」
王女「(ど、どうしよう。下りなきゃ何をされるか分からない。でも泥棒さんは下りるなって…)」
門番「聞いているのか!さっさとしろ!!」
盗賊「まあまあ落ち着けよ。今なら円満に解決出来るぜ?」ポンッ
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 22:38:16.53 ID:JZOH/8mGO
門番「気安く触るな」バシッ
盗賊「やれやれ、一方的に嫌われてちゃ会話もままならねえな。今なら円満に解決出来るのに」
門番「お前はもう黙ってろ。次に口を開いたら牢にぶち込むからな」ジャキッ
盗賊「………」
王女「(つ、剣を抜いた!もう耐えられない。早く下りないと…)」
門番「………」ツカツカ
王女「(き、来た! ど、どうしよう……)」オロオロ
門番「ん?何だこの馬? まるで青ざめたような毛色だな。気色の悪い」
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 22:41:06.49 ID:JZOH/8mGO
白馬「………」ピキッ
盗賊・王女「あっ…」
門番「あ?」
ドガッ!
門番「ぐぇッ!?」
盗賊「そうやって外見で判断すっからそうなるんだよ。色だのツノだの尻尾だの耳だの…挙げればキリがねえ」
門番「こ、この野郎……」
盗賊「おいおい、何怒ってんだよ。蹴られたのはあんたが彼女を侮辱したからだろ?」
盗賊「これからは気を付けた方がいいぜ? 女性ってのは繊細なんだからさ」
門番「言われんでも分かるわ!こちとら妻子持ちじゃボケ!!」ダッ
盗賊「あ、そうなんだ。じゃあ、これで美味いもんでも食わせてやれよ」ピンッ
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 22:43:54.08 ID:JZOH/8mGO
門番「あだっ!? これは…き、金貨!?」
盗賊「言ったろ、円満に解決出来るって。ニンゲン嫌いでも金貨は好きだろ?」
門番「………」
盗賊「で、通ってもいい?」
門番「……とっとと行け。気が変わらんうちにな」
盗賊「あんたが話の分かる人で助かったよ。さて、行こうか」
白馬「……ブルルッ…」
盗賊「大丈夫さ、気色悪くなんかない。彼にはきみの魅力が分からないんだよ」
王女「(まったく動じてない。わたしなんて、まだ脚が震えてるのに……)」
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 22:45:40.49 ID:JZOH/8mGO
盗賊「よっ…じゃあ行こう」
門番「………」
盗賊「あ、そうだ。ご家族によろしく」ニコッ
門番「……うるさい。さっさと行け」
盗賊「分かった分かった。でも、そんなに怖い顔してると子供に嫌われるぜ?」
カカッ…カカッ…
門番「(金貨三枚。家族分ってわけか。もう一枚足りないんだが、まあいい……)」
門番「(しかし妙な奴だったな。口の減らない奴だったが、怒る気も失せてしまった)」
門番「……帰りにせがまれてたおもちゃでも買って行くか。それから、嫁にも…」
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 23:20:07.48 ID:JZOH/8mGO
ガヤガヤ…
王女「うわっ、人が沢山いますね」
盗賊「賑やかだろ?王宮の連中は時計仕掛けで決まった動きしかしないけど、此処の連中は違う」
盗賊「いや、この街に限ったことじゃない。それぞれがそれぞれの生活をしてるんだ」
王女「な、何だか目が回りそうです」
盗賊「はははっ、慣れるには時間が掛かるだろうな。さて、服を買いに行くか」
カカッ…カカッ…
王女「(皆さん、とっても活き活きとしている。王宮の静けさとはまるで真逆……)」
王女「(それぞれがそれぞれの生き方をして、行きたい場所へ向かって歩いている)」
王女「(わたしと泥棒さんも、周りから見ればそのように見えているのでしょうか?)」
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/03(土) 23:59:50.88 ID:JZOH/8mGO
カカッ…ピタッ…
盗賊「はい、此処が服屋」
王女「何だか怪しげな場所ですね。あまり人気もないですし、お店も暗そうな感じで……」
盗賊「ここらの店は大体こんなもんさ。実際怪しげなもの売ってるしな。骸骨とか」
王女「骸骨!? 何に使うのですか?」
盗賊「さあ?飾ったりすんじゃねえの? 此処はそういう物好きが来る場所なんだ」
王女「……あの、この店は大丈夫なのですか?」
盗賊「う〜ん。割と普通、なのかな?」
王女「割と…普通……」
盗賊「大丈夫大丈夫。俺も此処で服買ったことあるから。変装用のやつ」スタッ
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 00:02:15.23 ID:cunM1KS2O
王女「変装?」
盗賊「まあ、入ってみりゃ分かるさ。さ、掴まって」スッ
王女「あ、申し訳ありません。まだ一人では下りられなくて……」ギュッ
盗賊「昨日今日で出来るようになるのは無理だ。少しずつ覚えていけばいい。よっ…」
スタッ…
王女「(少しずつ、かぁ……)」
盗賊「さ、入ろうぜ」
王女「白馬さんはどうするんです? 置いていくのですか?」
盗賊「ちょっとだけ待っててもらう。あんまり待たせないようにささっと済ませよう」
王女「そうですね。一人は危ないですし……白馬さん、ちょっとだけ待ってて下さいね?」
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 00:03:12.28 ID:cunM1KS2O
盗賊「ほら、行こうぜ」
王女「は、はいっ。白馬さん、ちょっと行って来ます」ペコッ
白馬「………」イラッ
ゴツンッ…
王女「あうっ…す、すぐに来ますから」
ゴツンッ…
王女「あうっ…な、何で頭突き…」
ゴツンッ…
王女「あたっ…」
盗賊「(何やってんだ。つーか、やっぱ変わってんなぁ……)」
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 01:04:10.93 ID:cunM1KS2O
ーーー
ーー
ー
王女「どうでしょう?」
盗賊「う〜ん。似合わないわけじゃないけど、やっぱり違和感があるな」
王女「そうですか……」
王女「出来れば泥棒さんのような服装が良かったのですが、駄目でしょうか?」
盗賊「いや、駄目ってわけじゃないんだ。何て言うか、隠せてないんだよ」
王女「隠せていない? 何をです?」
盗賊「街に来る途中にも言ったけど、気品っていうか姫様の感じが隠せてない」
盗賊「これから追っ手が来るって考えたら、違和感なく見付かりにくい服装が良いだろ?」
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 01:06:02.29 ID:cunM1KS2O
王女「確かにそうですよね……」
盗賊「う〜ん……あ、これとかどうかな?」スッ
王女「それは、修道服…ですか」
盗賊「俺みたいなもんと一緒にいるのは違和感あるだろうけど、姫様単体で見た時は違和感ないと思うんだ」
盗賊「言葉遣いや仕草もこれ着てれば自然に見えるはずだ。いい案だろ?」
王女「そうですね……ただ、人の眼を欺く為に修道服を着るのはどうなのでしょうか?」
盗賊「……まあ、そのくらいなら神様も目を瞑ってくれるさ。神には誓えないけどね」
王女「フフッ…分かりました。それにしましょう。あまり時間を掛けたら白馬さんに悪いですし」
盗賊「じゃあ決まりだな。一応こっちも買っとくか。姫様が気に入ったやつ」
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 01:10:18.89 ID:cunM1KS2O
王女「そんなっ、一着で十分です」
盗賊「せっかく来たんだ。買わなきゃ損だろ? 着るかどうかは別としてさ」
王女「買わなきゃ、損?」
盗賊「だってそうだろ? 外に出てから初めての買い物だし記念みたいなもんだと思えばいい」
盗賊「それに、あって困るもんでもないだろ? 姫様が泥棒になれるかは別としてさ」ニコッ
王女「い、いつか似合うようになります!」
盗賊「ははっ、そっかそっか。じゃっ、楽しみにしとくよ。気長にね」
王女「(意地悪……)」
盗賊「そんじゃ、会計済ませて早くメシ食いに行こうぜ。腹減り過ぎてくらくらしてきた」ザッ
王女「(……何故だろう。薄暗くて変な場所だけれど、とっても楽しくて胸の奥が騒がしい)」
王女「(わたしはお買い物が好きなのでしょうか? それとも服選びが好きなのでしょうか?)」
王女「(どうなんでしょう。もしかしたら、どちらも好きなのかもしれない……)」
王女「(うん、きっとそうだ。いつかまた、こんな風にお買い物が出来たらいいなぁ……)」
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/04(日) 01:11:38.89 ID:cunM1KS2O
また明日
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/04(日) 02:09:52.70 ID:k/kZxvatO
頭突き可愛いなww
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/04(日) 02:23:16.24 ID:NxtN5HVm0
乙
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/04(日) 07:42:58.52 ID:cQbeti0Jo
牝馬かぁ馬のマ◯コ めちゃくちゃ綺麗なんだよなぁ……
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 21:07:56.02 ID:zg2KpDPrO
【訓練場】
騎士団長「う〜む……」ウロウロ
『今朝からずっとあの調子だ。いつもなら稽古を付けて下さるのに……』
『姫様の安否を考えているのだろう。賊を捕り逃がしたのは自分の責任だとも言っていたよ』
『……そうか。出来ることならば、いつもの溌剌とした団長に戻って欲しいものだ』
『そうだな。あのような姿を見るていると俺まで沈んでしまうよ……』
騎士団長「(追わなくともよい、か。陛下は何を考えておられるのだろうか? 分からん……)」
騎士団長「(何やらお考えがあるようだが、単に我々騎士団ではなく隠密隊に任せたとも考えられる)」
騎士団長「(何より不可解なのは、何故にあのような話を私にしたのか。ということだ)」
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 21:09:28.31 ID:zg2KpDPrO
【訓練場】
騎士団長「う〜む…」ウロウロ
『団長は今朝からずっとあの調子だな。いつもなら稽古を付けて下さるのに……』
『姫様の安否を考えているのだろう。賊を捕り逃がしたのは自分の責任だとも言っていたよ』
『……そうか。出来ることならば、いつもの溌剌とした団長に戻って欲しいものだ』
『そうだな。あのような姿を見ていると俺まで沈んでしまうよ……』
騎士団長「(追わなくともよい、か。陛下は何を考えておられるのだろうか? 分からん……)」
騎士団長「(何やらお考えがあるようだったが、単に我々騎士団ではなく隠密隊に任せたとも考えられる)」
騎士団長「(何より不可解なのは、何故にあのような話を私にしたのか。ということだ)」
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 21:11:08.42 ID:zg2KpDPrO
騎士団長「(初代王と鴉の騎士……)」
騎士団長「(いや、死の騎士だったか。調べてはみたものの、これと言った成果はなし)」
騎士団長「(それ程の人物であれば騎士団創設の記録に残っているはずなのだが、そのような記述は見当たらなかった)」
騎士団長「(まあ、それはいい。何より気掛かりなのは姫様の安否。しかし、姫様はあの時……ん?)」
射手「………」
騎士団長「どうした? 貴様にも弓兵隊の指導があるだろう?」
射手「……もう昼だ。休憩中」
騎士団長「む、もう昼時か。それは気付かなかったな……ところで、何の用があって此処へ?」
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 21:12:51.58 ID:zg2KpDPrO
射手「……当てたが、逃がした。私のせいだ」
騎士団長「そんなことはない!! 私がしっかりしていれば姫様は攫われずに済んだのだ!!」
騎士団長「何よりも姫様を優先すべきだった。なのに、あろうことか戦いに熱くなって……」
射手「……あまり、気に病むな。お前が気落ちすると団の志気が下がる。これ食え」
騎士団長「弁当。貴様が作ったのか?」
射手「……料理すると雑念が消える。それ食って元気出せ」
騎士団長「っ、済まない。気を遣わせてしまったようだな。心遣い、感謝する」ペコッ
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 21:16:49.91 ID:zg2KpDPrO
射手「……別にいい。いいから食え」
騎士団長「うむ。ありがたく頂こう」パカッ
射手「……美味いか?」
騎士団長「ああ、美味い。しかし意外だな、貴様に料理が出来るとは微塵も思わなかったぞ」モグモグ
射手「……練習したから」
騎士団長「ん?」
射手「……別に何でもない。たくさん食え」
『団長はいつになったら気付くのだろう。手作り弁当だぞ?』
『さあな。射手さんは口下手だし、うちの団長は煩悩を捨てろとか言う人だし』
『……俺達も食堂で昼飯食おうか。婆さんのしょっぱい手料理だけどな……』
『……そうだな。お二人の邪魔しても悪いし、そうするか』
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 21:38:11.51 ID:zg2KpDPrO
騎士団長「………」モグモグ
射手「……何か、あったのか」
騎士団長「ああ。俺の聞き間違いかもしれんが、姫様はあの時……」
射手「……どうした。らしくない」
騎士団長「始めに言っておくが、この話は他言無用で頼む。まだ誰にも話していないことだ」
射手「……分かった。約束する」
騎士団長「あの夜…鞭で脚を取られ転倒した時、朧気ながらに二人の会話を耳にしたのだ」
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 21:39:52.68 ID:zg2KpDPrO
射手「……二人とは?」
騎士団長「奴と姫様だ。奴は姫様に一緒に星を見ようなどと言葉巧みに誘ったが、姫様はそれを拒否した」
騎士団長「しかし、君は無機質なモノではない。生きている。そう言われると姫様は……」
射手「……なんだ。言ってくれ」
騎士団長「ッ、此処から連れ出して欲しいと、そう言ったのだ。そこで私は気を失ってしまった」
射手「……姫様は、自ら望んで?」
騎士団長「いや、先ほども言ったが私の聞き間違いかもしれん。そう決めるにはまだ早い」
騎士団長「それに加え、気になることがもう一つある。陛下が追っ手を出さなかったことだ」
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 21:53:11.72 ID:zg2KpDPrO
射手「……賊を刺激しない為。そう聞いた」
騎士団長「あくまで個人の考えだが、奴が姫様を殺すとは到底思えない」
射手「……奴は切れてる」
騎士団長「ああ、確かに異常だ。二日続けて王宮に侵入するなど正気の沙汰ではない」
騎士団長「だが対峙してみると、どうにもそのような狂人や異常者の類には見えなかった」
騎士団長「それに、あれだけの警備体制を行き当たりばったりで抜け出せるはずがない」
騎士団長「今朝、侵入手口と脱出手段を聞いた。聞けば聞くほど、良く練らたものだと思ったよ」
射手「……結局、何が言いたい」
騎士団長「奴は姫様を連れ出す為だけに忍び込んだのかもしれん。事実、金品の類は一切盗まれていない」
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/04(日) 22:19:10.75 ID:zg2KpDPrO
射手「……何故、姫様を」
騎士団長「分からん。ただ、輪転機がどうのと言っていたような気もする」
騎士団長「輪転機とは王が所持する転生の秘宝。王が不死である為の宝具」
騎士団長「噂の域を出ないが、姫様は輪転機の在処を知ったが為にあのような場所へ入れられたと聞く。もしかすると……」
射手「……情報を聞き出す。その為に攫った」
騎士団長「そうだ。ただの推測だが、私はそう考えている。或いは……」
騎士団長「受け継がれてきた王の系譜を絶つべく送り込まれた、ニンゲン側の刺客」
ーーー
ーー
ー
盗賊「俺は決めたけど、姫様は?」
王女「あっ、これ…いえ、こっちの方が…どれも美味しそうなので迷ってしまいますね」
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 00:03:38.33 ID:jAb96GMeO
盗賊「じゃあ、両方頼もうぜ?」
王女「えっ?」
盗賊「姫様は自分が食べる分を取る。残りは俺が食べる。そうすれば問題ないだろ?」
王女「……そうは言っても、運ばれている料理を見てみると結構な量ですよ?」
盗賊「ハラ減ってるから大丈夫だって」ウン
王女「いきなり食べると胃が痛くなりますから、ゆっくり食べて下さいね?」
盗賊「分かってるって。あ、注文お願いします!」
看板娘「あっ、は〜い」
盗賊「えっ〜と、これとこれ…あとこれも頼むわ。野菜多めで」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 00:06:12.74 ID:jAb96GMeO
看板娘「………」
王女「(急に顔が険しくなった。まさか、またなのでしょうか? 嫌だなぁ……)」
盗賊「あの、聞いてます?」
看板娘「は〜い、勿論聞いますよ。盗賊さん」ニコニコ
盗賊「……あっ」
看板娘「やっと思い出しましたぁ?」
看板娘「以前、きみの尻尾はとってもステキだね。って言われて不覚にもキュンときたんですけどねぇ」
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 00:11:24.35 ID:jAb96GMeO
盗賊「あ〜、そんなこともあった。かもね……」
看板娘「へ〜、修道女さんですかぁ。本当に見境ないんですねぇ」
盗賊「そういうわけじゃーー」
看板娘「どうやらあたしにだけじゃなくて、色んな娘に言ってるみたいですねぇ」チラッ
王女「(笑顔が怖いっ!)」
王女「(けど、綺麗な人…狐のしっぽだ。あっ、ちょっと色が変わってる)」
看板娘「よくもまあ平気な顔して女連れて来られましたねぇ。バカにしてるんですかぁ?」ニコニコ
盗賊「いやいやいや? 詳しくは話せないけど彼女とは色々な事情があってーー」
看板娘「気にしてたしっぽを褒められて舞い上がったあたしの喜びを……返せっ!!」ブンッ
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 00:15:44.89 ID:jAb96GMeO
盗賊「危ねっ!」ヒョイッ
看板娘「避けんなっ!」
ガシッ…
看板娘「ちょっ…離してよ!」
盗賊「いいから聞けよ」グイッ
看板娘「あっ…」
盗賊「きみの尻尾が綺麗だって言ったのは本心だ。これっぽっちも馬鹿になんかしてないよ」
看板娘「じゃあ、その娘はなんなのさ。あたしのことをからかって楽しいわけ?」
盗賊「そんな悪趣味なことはしねえよ。俺は今、彼女の護衛をしてるんだ」
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 00:17:46.70 ID:jAb96GMeO
看板娘「……ほんと?」
盗賊「ああ。嘘だと思うなら思いっ切り叩いて構わないぜ? きみの気が済むならね」
看板娘「なら、遠慮なく」
コツンッ…
盗賊「いてっ…」
看板娘「な〜んてね。嘘じゃないのは分かるよ。あんた怪我してるしさ。また無茶したわけ?」
盗賊「あ〜、うん。まあ、それなりにね。本当に色々あったんだよ」
看板娘「…ハァ…ねえ、修道女さん」
王女「えっ、わたしですか!? な、何でしょう?」
看板娘「この人、酷いくらい優しいからら本気になっちゃダメだよ?」ボソッ
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 00:20:10.53 ID:jAb96GMeO
看板娘「……ほんと?」
盗賊「ああ。嘘だと思うなら思いっ切り叩いて構わないぜ? きみの気が済むならね」
看板娘「なら、遠慮なく」
コツンッ…
盗賊「いてっ…」
看板娘「な〜んてね。嘘じゃないのは分かるよ。あんた怪我してるしさ。また無茶したわけ?」
盗賊「あ〜、うん。まあ、それなりにね。本当に色々あったんだよ」
看板娘「…ハァ…ねえ、修道女さん」
王女「えっ、わたしですか!? な、何でしょう?」
看板娘「この人、酷いくらい優しいから本気になっちゃダメだよ?」ボソッ
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 00:59:28.10 ID:jAb96GMeO
王女「えっ?」
看板娘「それじゃ、少々お待ち下さ〜い」トコトコ
盗賊「はぁ、化かされたのはこっちじゃねえか。ったく、分かりにくい冗談は止めろよな」
王女「……あの」
盗賊「ん?」
王女「彼女とは何があったのですか? しっぽだけでああはならないでしょう?」
盗賊「ちょっとしたトラブルに巻き込まれてたから助けただけさ。それ以来、あんな感じ」
王女「(……嘘。それだけでニンゲンに対する不信感や敵対心が消えるとは思えない)」
王女「(それどころか、あの方は泥棒さんに好意を抱いている)」
王女「(それが恋愛的なものなのかは分からないけれど。何というか、信頼のような……)」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 01:08:48.34 ID:jAb96GMeO
看板娘「はいお待ち」
盗賊「お〜、相変わらず美味そうだな」
看板娘「あんたさ、あんまり無茶しちゃダメだよ? 一人じゃないんだからさ」
盗賊「はいはい、分かったよ」
看板娘「ったくもう。じゃっ、ごゆっくり」トコトコ
王女「………」
盗賊「どうした? 早く食べようぜ」
王女「あ、はい。そうですね……」
盗賊「?」
王女「(彼を知りたいと思うのは好奇心から? それとも単純に、彼に好意を抱いているから?)」
王女「(何だか、ちょっとだけもやもやします。それに、他人に対してこんなにも干渉的になるなんて……)」
王女「(わたしって、こういう性格だったんだ。本当の本当に、自分のことを知らなかったんですね)」
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 01:27:12.21 ID:jAb96GMeO
盗賊「ほい」ヒョイッ
王女「んぅっ!?」モゴモゴ
盗賊「ははっ、悪りぃ悪りぃ。口開けっ放しだったからさ、どう?」
王女「…ゴクンッ…とっても美味しいです!」
盗賊「そっか、そりゃあ良かった」
王女「でも、もう止めて下さいね? 喉に詰まったりしたら大変ですから」ニコッ
盗賊「は、はい。分かりました」
王女「あ、そうでした。白馬さんは大丈夫でしょうか? 預けた先で何もなければ良いのですが……」
盗賊「性格とかは言っといたから余計なことをしなければ大丈夫だよ。今頃は彼女も大人しくメシ食ってるだろうさ」
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 01:44:56.45 ID:jAb96GMeO
王女「何を食べているんでしょうか?」
盗賊「干し草とか林檎とかじゃないか? 金は渡したし腹いっぱい食ってると思うよ」
王女「ずっと走っていましたからね。凄いですよねっ!白馬さんって!」キラキラ
盗賊「(尊敬してんのかな。いや、多分してんだろうなぁ……向こうはどうなんだろ?)」
ーーー
ーー
ー
白馬「(あの女、今頃は彼と一緒に…チッ、帰ったら一発お見舞いしてやろうかしら)」
白馬「(しかし、此処には碌な男がいないわね。まるでなっちゃいないわ)」
白馬「(彼、後で迎えに来るって言っていたけど早く来てくれないかしら。退屈……)」
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/05(月) 01:46:13.00 ID:jAb96GMeO
また明日
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/05(月) 02:29:09.16 ID:f91Kuai90
乙
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 19:40:20.53 ID:gVdzg8QYO
白馬「(……食べよ)」モグモグ
白馬「(ま、彼が選んだ厩舎だけはあるわ。ご飯の質は悪くない。78点くらいね)」ウン
白馬「(彼があの女と二人きりなのは気に入らないけど、食べてる姿を見られるのって好きじゃないし……)」
『馬を預けたいんだが空いてるかな?』
『ええ、大丈夫ですよ』
『そうか、助かるよ。ところで、あの馬は?』
『ああ、つい先ほどやって来たお客様のものですよ。よい牝馬です。ウチで育てたいくらいですな』
白馬「(フン、まっぴら御免だわ。というか食事中なんだから静かにしなさいよ)」モグモグ
ツカツカ…
『ふむ、まだ若い。これは成長が楽しみだな。競走馬にしたらさぞや人気が出るだろう』
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 19:42:16.69 ID:gVdzg8QYO
白馬「………」ギロッ
『あ、あまり近付かないで下さい。とても気性が荒いとのことなので……』
『この馬を預けたのはどんな男でした?』
『……何故、そのようなことを?』
『友人の馬によく似ているんだ。もしからしたら、と思ってね。どんな風貌だったかな?』
『申し訳ありませんが他のお客様のことはお話出来ません。トラブルの元ですので……』
『女性を連れていなかったか?』
『いえ、お一人でした。さあ、もうよろしいでしょう。手続きはこちらでお願いします』トコトコ
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 19:49:05.54 ID:gVdzg8QYO
『……怖いか?』
白馬「………」フンッ
『中々肝が据わってるな。普通なら逃げ出すか暴れ出すんだが……』
白馬「(こいつ…)」
『睨み返すとは良い度胸だな。ニンゲンに渡すには惜しい馬だ。まあ、今はいい。今は…』
『お客様?どうされました?』
『……ああ、これは済まない。あまりに美しいものだから見惚れてしまってね。今行くよ』
ツカツカ…
白馬「(っ、何なのあいつ……鼻が曲がりそう。何で誰も気付かないの?)」
白馬「(まるで汚濁そのものを煮詰めたような悪臭。こんなにも酷い臭いは嗅いだことがない)」
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 20:01:48.46 ID:gVdzg8QYO
白馬「(あれは何かが違う…)」
白馬「(あいつは『今は』と言っていた。それが本当なら、まだ時間はある)」
白馬「(彼とわたしを追ってきたのは間違いない。もしくは、あの女を狙っている)」
白馬「(伝えるにも苦労しそうだけど、彼が来たら何とかして伝えないと……)」
ーーー
ーー
ー
盗賊「はぁ〜、こちそうさまでした!」パンッ
王女「フフッ…ご馳走さまでした」
盗賊「ハラ減ってたのもあるけど、やっぱり美味かったなぁ。うん、満足」
王女「泥棒さん、本当に全部食べちゃいましたね……道行く方も見入ってましたよ?」
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 21:25:56.71 ID:gVdzg8QYO
盗賊「そうでなくちゃ困る」
王女「?」
盗賊「泥棒になりたい姫様に一つだけ教えよう。泥棒とは目立ちたがり屋でなくてはならない」
王女「えっ? 主に暗がりや路地裏などを移動するのではないのですか?」
盗賊「と、思って捜すだろ?」
王女「……あっ、なるほど。泥棒ではなく泥棒を追う立場になって考るということですね?」
王女「確かにこんな人通りの多い場所。まして屋外で食事しているだなんて想像もしないです」
盗賊「でも、確実に姿を消す方法はない。向こうだって泥棒の立場になって考えてるからね」
王女「へぇ〜、そういう駆け引きがあるんですか。色々考えているのですね」
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 21:31:03.25 ID:gVdzg8QYO
盗賊「そう、時には派手に大胆に」
盗賊「ある時は繊細且つ慎重に…ってね。状況によって変わるんだ。服装とか仕草とかもね」
王女「泥棒さんはどっちが好きですか? 派手か、慎重か」
盗賊「派手か慎重か?」
盗賊「そんなこと聞かれたのは初めてだな。そうだな、強いて言うなら……どっちも?」
王女「フフッ、両方ですか。欲張りなんですね」
盗賊「そりゃもう当たり前さ!」
盗賊「って言うか、欲張りで目立ちたがりじゃなきゃダメだ。そうじゃなきゃ面白くない」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 21:33:35.49 ID:gVdzg8QYO
王女「質問があります」ハイ
盗賊「はい、どーぞ」
王女「それは盗むのが楽しいのですか? それとも盗むまでが楽しいのですか?」
盗賊「ん〜。そう聞かれるとどうなんだろうな? あんまり考えたことねえや」
王女「では、質問を変えます」ハイ
盗賊「ん。どーぞ、何でも聞きたまえ」
王女「色々な女性に気のあるような素振りや言動をしているというのは本当ですか?」
盗賊「……え〜っと。保留出来ます?」
王女「残念ながら出来ないようです」ニッコリ
盗賊「……別にそんなつもりはない。ってこともないんだけどさ。何て言うかなぁ…」
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 22:02:57.69 ID:gVdzg8QYO
王女「(何と答えるのでしょう?)」
盗賊「まず、男なら女の前で格好付けます。そういうもんです。多分」
盗賊「女だって美しくありたい綺麗に見られたいと思うだろ? それと同じさ」
王女「それは、そうかもしれませんけど……」
盗賊「だろ? で、男ってのは強がって粋がって死ぬまで走り続けるんだよ。本当に、死ぬ瞬間まで……」
王女「(顔を伏せた…声も少しだけ震えているような……)」
盗賊「いつかヘマして死んじまってもさ。あいつは格好の良い泥棒だった。そう言われたいんだ」
盗賊「って言うと子供っぽいかな?」
王女「い、いえっ! そんなことはないです。わたしには理解は出来ないですけど……」
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 22:48:17.62 ID:gVdzg8QYO
盗賊「はははっ!そうだよな。まあ、俺はそんな感じ」
王女「(……笑ってる。わたしの気のせいだったのでしょうか?)」
盗賊「お〜い、金はテーブルに置いとくからな〜!」チャリン
看板娘「は〜い!良かったらまた来てね!」
盗賊「おう、ごちそうさま!」
盗賊「さ〜て、そろそろ迎えに行くか。首長〜くして待ってるだろうからさ」
王女「ええ、そうですね」
盗賊「ふ〜、腹一杯食ったら眠くなってきた。早めに宿の予約しとくかぁ」
王女「(……自分から聞いておいて何ですが、何故話してくれたのでしょう?)」
王女「(先ほどのは本当は全部嘘で、はぐらかしただけなのでしょうか? それとも全部本当のことを話したのでしょうか?)」
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/05(月) 22:56:48.87 ID:gVdzg8QYO
盗賊「姫様?」
王女「いえ、何でもありません。行きましょう」
トコトコ…
王女「(考えが読めなくて不思議な人……でも、だからこそ知りたいと思う)」
王女「(本の続きが気になる感覚と似ている。早く知りたい。もっと見ていたい)」
王女「(でも、そう簡単には結末に辿り着けない。泥棒さん、それはわざと? それとも天然?)」
盗賊「蛇料理か。美味いのかな……」
王女「(フフッ、きっとあれが自然なんですね。表も裏もない、そのままの姿……)」
王女「(わたしは彼と居て楽しいと感じている。だったら難しく考える必要はない)」
王女「(わたしの結末は変わらないけれど、こうして外に出られただけでも幸せなのだから……)」
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 07:39:36.15 ID:VP+l2tcRO
ザワザワ…
盗賊「ん? 何だか騒がしいな」
王女「泥棒さん!あ、あそこを見て下さい!」
盗賊「……煙、ありゃあ厩舎のある辺りだな。こっからじゃ分からねえ。急ごう」
王女「は、白馬さんは大丈夫でしょうか?」
盗賊「姫様。今は彼女の心配より自分の心配をした方がいい。もしかすると追っ手が来たのかもしれない」
王女「だからってあんなことを…」
盗賊「まだそうと決まったわけじゃない。でも、もしそうなら。あれは狼煙かもな」
王女「複数で来たと? 王宮から騎士が来たのなら街が騒ぎになると思いますが……」
盗賊「騎士じゃねえのかもしれない。とにかく、行ってなけりゃ分からない」
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/06(火) 07:43:31.33 ID:VP+l2tcRO
また夜
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/06(火) 12:15:18.51 ID:CqMs2SY0O
白馬さん…
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 20:08:38.41 ID:Z6mKXuU6O
ザワザワ…
盗賊「ん? 何だか騒がしいな」
王女「人集りが出来ていますね。何があったのでしょ…ど、泥棒さん。あれ……」
盗賊「……煙? ありゃあ厩舎のある辺りだな。こっからじゃよく分からねえな。急ごう」
王女「は、白馬さんは大丈夫でしょうか?」
盗賊「姫様。今は彼女の心配より自分の心配をした方がいい。もしかすると追っ手が来たのかもしれない」
王女「だからって火を付けるなんて…延焼して大火になったら街の人がーー」
盗賊「そうと決まったわけじゃない。追っ手の連中が上げた狼煙の可能性もある」
王女「王宮から大勢の騎士が来たのなら街が騒ぎになると思いますが……」
盗賊「騎士じゃないのかもしれない。とにかく行こう。直接見なけりゃ分からない」
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 20:11:53.06 ID:Z6mKXuU6O
王女「そ、そうですよね……」
盗賊「(とは言ってみたものの…すっげー嫌な予感がする。妙な感覚だ。気持ち悪りぃ)」
王女「(……もしこれが追っ手の仕業なら、わたしが外に出たせいだ)」
王女「(外に出ても輪転器であることは変わらない。大人しくあの部屋にいるべきだったんだ)」
盗賊「姫様、背中に乗れ。俺が姫様をおぶって走った方が早い。はぐれる心配もないしな」
王女「でも、背中の傷がーー」
盗賊「いいから早く乗ってくれ。離れられちゃ困るんだ。姫様だって迷子になりたくないだろ?」
王女「……分かりました」ギュッ
盗賊「ッ…よし、行こうか。それから、あんまり考えるな。自分を責めたって何も変わらない」ダッ
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 20:14:37.07 ID:Z6mKXuU6O
王女「わたしは何も言ってません……」
盗賊「言わなくても顔見りゃ分かるよ。姫様は顔に出やすいから」
王女「…………」
盗賊「(落ち着いたら話してみるか。でも、今はこっち優先だ。追っ手の仕業かどうか確かめねえと)」
ーーー
ーー
ー
盗賊「はぁっ、はぁっ…厩舎は無事みたいだな」
王女「ええ、煙は既に収まっているようですね。火事ではなくて良かった……」
『なあ、何があったんだ?』
『ついさっき兵士の会話を聞いちまったんだが、厩舎の主が焼け死んでたって話だ……』
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 20:17:40.06 ID:Z6mKXuU6O
『ってことは、さっきの煙…おぇっ…』
『……そういうことだろうな。気の良い人だったのに…本当に残念だよ』
王女「えっ…そんな……」
盗賊「…………」
『し、焼身自殺ってやつか?』
『そこまでは分からんよ。ただ、壁に妙な落書きがあったとか何とか言ってたような……』
盗賊「……悪い。ちょっと通してくれ」ザッ
王女「ど、泥棒さん。わ、わたしっ……」
盗賊「さっきも言ったろ。まだ、そうと決まったわけじゃない」
盗賊「仮に追っ手の仕業だとして、騎士団の連中が無関係の奴を手に掛けるとは思えない」
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 20:23:30.87 ID:Z6mKXuU6O
王女「で、でもっ…」ガタガタ
盗賊「(駄目だ。完全に怯えちまってる。あんな話を聞いたんだ。落ち着けって方が無理か)」
警備兵「此処は今立ち入り禁止…お前、ニンゲンか?」
盗賊「ああ、見ての通りニンゲンだ。此処に馬を預けてたんだけど……」
警備兵「入れ。俺もお前に聞きたいことがある。背中にいる女性は?」
盗賊「連れの修道女さんだ。事情は聞かないでくれると助かる」
警備兵「……まあいいだろう。付いて来い」
盗賊「(妙だな。ニンゲン嫌いが滲み出てんのにすんなり現場に入れるなんて…)」
王女「泥棒さん、辛いでしょう? もう下ろしてください。自分で歩けますから……」
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 20:29:04.08 ID:Z6mKXuU6O
盗賊「……分かった」トサッ
盗賊「なあ姫様。かなり気分が悪いだろうけど、俺の傍から離れないでくれ」
王女「……はい。あのっ、腕に掴まっていてもよろしいでしょうか?」
盗賊「ああ。でも無理に見る必要はない。近くにさえいてくれればーー」
王女「いえ、行きます。わたしなら大丈夫です。大丈夫ですから……」キュッ
盗賊「……分かったよ。じゃあ、行こうか」
ザッ…ザッ…
王女「あれ、馬がいない。預けに来た時は沢山いたのに。白馬さんはーー」
警備兵「馬なら裏手の牧場にいる。この厩舎の主の焼死体と一緒にな」
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 21:29:08.20 ID:Z6mKXuU6O
盗賊「どういう意味だ」
警備兵「見て貰った方が早いんだがな。そちらの女性には刺激が強すぎるだろうから説明しよう」
盗賊「……助かるよ」
警備兵「主人は首を斬られて殺害。馬も同様の手口で殺害されていた。預けられていたものも含めてだ」
警備兵「何の理由があって馬を殺害したのかは分からないが、奇妙なのはここからだ」
盗賊「野次馬の話だと燃やされてたらしいな」
警備兵「それだけじゃない。主人の遺体は山積みされた首無し馬の上にあった」
警備兵「両手を頭上より高い位置まで伸ばし、自分の頭部を掲げるようにしてな」
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 21:31:26.08 ID:Z6mKXuU6O
王女「うっ…」フラッ
ガシッ…
盗賊「……大丈夫か?」
王女「ご、ごめんなさい。大丈夫です」
警備兵「ああ、これは済まない。火に当てられたせいか説明に熱が入りすぎたようだ」ニコリ
盗賊「随分と悪趣味な男だな」
警備兵「その台詞は是非とも犯人に言ってやってくれ。一番迷惑しているのはこっちなんだ」
盗賊「……で、俺みたいなニンゲンを現場に入れた理由は?」
警備兵「どうやら一頭が逃げ出したようなんだ。その馬は青ざめたような毛色だったらしい」
警備兵「門番の話によれば、その馬は門を抜けて街の外へと逃げ出したそうだ」
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 21:33:57.69 ID:Z6mKXuU6O
盗賊「それは俺が預けた馬だ」
警備兵「ほう、意外に正直だな。ニンゲンにしては」
盗賊「あんたは一言余計なんだよ。それで?」
警備兵「犯人は馬が怯えて逃げ出す前に殺害出来るような奴だ。首を一太刀で両断してる」
警備兵「手際が良いと言うか、そのままの意味で手が早いんだろう。凄まじくな」
警備兵「そんな奴が一頭だけ見逃したんだ。何か意味があると思うだろう?」
盗賊「ああ、俺もそう思うよ」
警備兵「気が合うな。それから、外壁には次のような殴り書きがあった。血文字でな」ニコリ
王女「………」カクンッ
盗賊「ッ、あんたには呆れたよ。余計なことは言わずにさっさと話してくれ」
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 22:12:11.40 ID:Z6mKXuU6O
警備兵「冠を戴くのは勝利者」
警備兵「我が王冠は貴様の手に在り。貴様の王冠は我が手に在る。さあ、戴冠の戦を始めよう」
盗賊「いや、まるで意味が分からねえ。思いっ切りイカレてんじゃねえか」
警備兵「追伸」
盗賊「は?」
警備兵「嘘吐きは嫌いだ。嘘を吐かせのは貴様だな。実に良い馬だ。生かしておこう」
盗賊「………」
警備兵「生きているのはお前の馬だけだ。これはお前に向けられたメッセージで間違いない」
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 23:39:04.14 ID:Z6mKXuU6O
警備兵「嘘を吐かせたというのは何だ?」
盗賊「馬を預けた時、誰に何を聞かれても一人だったと言ってくれって主人に頼んだ」
盗賊「嘘を吐かせたと言われて思い浮かぶのはそれだけだ。他に思い当たる節はない」
警備兵「何故そんなことを言った」
盗賊「さっきも言っただろ。理由は聞かないでくれると助かるってな」
警備兵「今、それが通用すると思うのか?」
盗賊「分かった分かった。怖い顔すんな、ちゃんと答えるよ」
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 23:41:03.58 ID:Z6mKXuU6O
警備兵「さっさと言え」
盗賊「道ならぬ恋ってやつさ。見ての通り彼女は修道女でね。一緒に逃げて来たんだ」
警備兵「修道女である前に、ニンゲンと恋に落ちる女がいるとは思えないがな」
盗賊「なんなら彼女に聞けばいい。あんたのせいで気を失っちまったけどな」
警備兵「…チッ…心当たりは?」
盗賊「こんなに素敵な女性をニンゲンが奪ったんだ。恨んでる男なんて山ほどいるだろうさ」
警備兵「……だろうな。彼女を抱えていなければ叩き斬ってるところだ」
盗賊「あんた、意外と素直なんだな。もっと冷静で嫌味な奴かと思ってたよ」
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/06(火) 23:45:53.47 ID:Z6mKXuU6O
警備兵「口の減らない奴だ」
盗賊「それはお互い様だろ?」
盗賊「それより、俺なんかに構ってる暇があるなら犯人を捜した方が良いと思うぜ?」
警備兵「………」
盗賊「……もう用がないなら行かせてもらうけど、いいかな?」
警備兵「……いいだろう。今のところは見逃してやる。ただ、犯人が見付かるまで街から出ることは許さない」
盗賊「……そんなつもりはねえさ」ボソッ
警備兵「何?」
盗賊「いや、何でもない。色々教えてくれて助かったよ。じゃあな」ザッ
警備兵「(狂人に狙われていると知っても冷静さを保っていられるとはな。奴は何者だ?)」
警備兵「(奴の正体はともかく、この事件に関わる重要人物であることは間違いない。監視を付けるか)」
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/07(水) 01:15:05.90 ID:KuT/zeXNO
トコトコ…
盗賊「(どう考えても普通じゃねえ)」
盗賊「(俺を狙うってんなら分かる。無関係の奴まで平気で殺すのがどうかしてる)」
盗賊「(あんなに残忍な方法で殺す意味が分からねえ。犯人の目的なんなんだ?)」
盗賊「(王冠ってのが姫様のことを指してんなら、やっぱり輪転器絡みだよな……)」
盗賊「(王宮から遣わされた奴か?)」
盗賊「(いや、王宮から遣わされた奴が殺しをする理由がねえ。狙うなら俺にするはずだ)」
盗賊「(ましてあの爺さんが指示したとは考えらんねえ。なら爺さんとは無関係の、独自で動いてる暗殺者?)」
盗賊「(……輪転器を暗殺せんとする者がいるとか言ってたけど、暗殺者にしては過激だ)」
盗賊「(恨みっつーか怨念めいたもんを感じる。あの爺さん、やっぱり何か隠してやがるな)」
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/07(水) 01:34:21.46 ID:KuT/zeXNO
盗賊「(……駄目だ。幾ら考えても分かりゃしねえ)」
盗賊「(ただ確かなことは、死人が出ちまったってことだ。気の優しいオッサンだったのに……)」
盗賊「…………」ギリッ
盗賊「(もし死人が出るとしても、それは俺だと思ってた。それが間違いだったんだ)」
盗賊「(俺の考えが甘かったせいでオッサンを巻き込んじまった。俺が死なせちまったんだ)」
王女「…んっ…うぅ…」
盗賊「(……魘されてるのか)」
盗賊「(姫様もかなり参ってる。目が覚めたら泣くだろう。きっと自分を責めるだろう)」
盗賊「(……くそっ!何が輪転器だ。何が魔王だ。何でこの娘じゃなきゃならねえんだよ)」
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/07(水) 01:38:51.71 ID:KuT/zeXNO
盗賊「(何で、こんな娘一人に押っ被せんだよ)」
盗賊「(普通の娘じゃねえか。自由になりてえと思って何が悪りぃんだよ)」
盗賊「(外を見たかっただけなんだぜ? ただそれだけなのに、何でこんなことになっちまうんだ)」
盗賊「(……姫様を守ると約束した。いや、今はもうそんなことはどうでもいい)」
盗賊「(約束がなくても絶対に守る。でもな、狙うなら俺を狙えよ糞野郎……)」
盗賊「(戴冠式だか何だか知らねえが、俺とお前の戦だろうが。他の奴に手を出すんじゃねえ)」
『あれが輪転器。ふむ、あれならば申し分ないだろう。あれこそ私に相応しい』
盗賊「…………」ピクッ
『勘の良い奴だ』
『少々手こずるかもしれないな。だが、それは必ずやこの私が貰い受ける』
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/07(水) 01:39:56.26 ID:KuT/zeXNO
また明日
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/07(水) 13:38:29.58 ID:QY4AFE940
乙
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/08(木) 21:31:10.22 ID:X9kGqpLKO
【詰所】
警備兵「……有り得ない」
警備兵「(犯人を目撃したという情報は数多く寄せられた。そこまでは順調だった)」
警備兵「(だが何故だ。あれだけの目撃情報がありながら何故見付からない……)」
警備兵「(白銀の甲冑を身に付けた騎士)」
警備兵「(そんな目立つ格好をした奴が、どうやったら姿を消せるというんだ)」
警備兵「(甲冑などそう簡単に脱ぎ捨てられるものではない。かといって持ち歩けるわけもない)」
警備兵「(派手な現場。多くの目撃情報。俺も含め警備隊の皆は早期解決すると思っていた)」
警備兵「(だが、一向に進展は見られない。一切の手掛かりも掴めていない)」
警備兵「(確かなことは、犯人はあのニンゲンに対して並々ならぬ感情を抱いているということだ)」
警備兵「(そこで、一度犯人から離れ、あのニンゲンについて調べてみることにした)」
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/08(木) 22:39:07.56 ID:X9kGqpLKO
警備兵「(だが、それも空振りに終わりそうだ)」
警備兵「(ニンゲンの犯罪者名簿。これを見始めてから何時間が経っただろうか……)」
警備兵「(幾らページをめくっても、出てくるのは人相書きに処刑済みの判が押されている者のみ)」
警備兵「(まあそうだろう。こちら側で犯罪を犯すということはそういうことだ)」
警備兵「(だからこそ、これは犯罪者名簿ではなく死亡者名簿と呼ばれている。故に、これを見る者などいない)」
警備兵「(ニンゲンの前科者など存在しない。何故なら既に処刑されているから。これが我々の常識になっている)」
警備兵「(しかし奴の落ち着きようから見て、まず真っ当な生き方はしていないだろうということは分かる)」
警備兵「(そう思ってリストを見てみたものの、やはり処刑済みの判で埋め尽くされている)」
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/08(木) 23:16:00.09 ID:X9kGqpLKO
警備兵「……ふ〜っ。もう、夜か…」
バサッ…
警備兵「チッ…事務員の奴め」ガタッ
スタスタ…
警備兵「(書類整理くらいしっかりしろ。茶を啜りに来るのが仕事だとでも思ってるのか。まったく……?)」
警備兵「これは中央から届いた犯罪者名簿? 届いたのは、今朝か……」ペラッ
警備兵「……!!?」
警備兵「(罪状は王宮への侵入。暗殺未遂。現行犯逮捕。特別独房行き。処刑確定……)」
警備兵「これは、これは一体どういうことだ?」
警備兵「(この人相書きは間違いなく奴だ。それはいい。問題は既に処刑済みの判が押されているということだ)」
警備兵「(こんな大罪人を生かす理由がない。が、奴は確かに生きている)」
警備兵「(まるで意味が分からない。死亡者扱いにしてまで生かしている理由は何だ?)」
警備兵「(……どうやら、もう一度話をする必要がありそうだな…)」
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 00:29:36.99 ID:qg9BFOksO
【宿屋】
王女「んっ…暗…」
盗賊「あ、起きたのか。おはよう姫様。よく眠れた?」
王女「あの、此処は……」
盗賊「あぁ、此処は宿屋だよ。姫様の部屋みたいに立派なもんじゃないけどね」ニコッ
王女「……ごめんなさい」
盗賊「?」
王女「昨晩からというもの、わたしは泥棒さんには迷惑ばかり掛けてしまっています」
王女「此処までも泥棒さんが運んでくれたのでしょう? 今更ですけど、何だか情けなくて……」
盗賊「そんなことねえよ。それに、姫様は軽いから運ぶのは楽だったしさ」ウン
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 01:03:27.21 ID:qg9BFOksO
王女「何故ですか…」
盗賊「何故って何が?」
王女「何故そんな風に出来るのですか? わたしと一緒にいても碌なことにならないのに……」
盗賊「何だよ急に。どうしたんだ?」
王女「人が殺されたんですよ!? わたしが外に出なければこんなことにはならなかった!!」
盗賊「…………」
王女「泥棒さんに傷を負わせたのも厩舎の主さんを死なせてしまったのも、元はと言えばわたしの我が儘のせいです」
王女「……あまりにも軽く考えていました。何処へ行こうと、わたしは輪転器なんです」
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 01:37:26.99 ID:qg9BFOksO
王女「………戻ります」
盗賊「それは駄目だ。俺がさせない」
王女「何故ですか!? だってこのままじゃ、また関係のない方がーー」
盗賊「姫様、少し落ち着いてくれ。それから、今から俺が話すことを良く聞いて欲しい」
王女「………はい」
盗賊「……俺は、きみを外へ連れ出すように頼まれた。きみの父親、魔王からね」
王女「えっ…」
盗賊「俺に依頼した理由は内部に輪転器を暗殺しようとする奴がいるからだと言ってた」
盗賊「だから、王の力が受け継がれるまできみを守って欲しい。そう依頼されたんだ」
盗賊「そして、俺はその依頼を受けた。きみを連れ出し、きみを守る為に」
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 02:11:15.86 ID:qg9BFOksO
王女「……そう…だったのですか……」
盗賊「それから、厩舎の主を殺害した犯人は俺にメッセージを残してた」
盗賊「どうやら俺と王冠を賭けた戦をしたいらしい。その王冠ってのは、おそらくきみだ」
王女「………」
盗賊「酷なことを言うけど、きみが王宮に戻ろうが外にいようが命を狙われることに変わりはない」
王女「……依頼されたから…ですか?」
盗賊「?」
王女「連れ出してくれた時の言葉も、高所で励ましてくれたことも……」
王女「これまでの優しい言葉や笑顔…」
王女「昨晩から今に至るまでの全ては、父に依頼されたからしたことなのですか?」
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 02:50:16.76 ID:qg9BFOksO
王女「泥棒さん。答えて下さい……」
王女「あなたがわたしに向けてくれたもの。あれらは全て偽りだったの?」
盗賊「違う」
王女「あなたがわたしに見せてくれたものは何? 何もかも依頼されたからやっていたことなの?」
盗賊「違う」
王女「あなたは何の為にわたしを連れ出したの? 報酬を得たいから?」
盗賊「……違うよ」
王女「なら何故です?」
王女「何故そこまでしてくれるのですか? わたしには、あなたが見えません」ポロポロ
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 03:09:23.09 ID:qg9BFOksO
盗賊「一目惚れしたから」
王女「えっ…」
盗賊「あの時、きみに一目惚れした。今まで見た何よりも綺麗で、誰よりも輝いて見えた」
王女「……それは…わたし?」ポロポロ
盗賊「そう、きみだよ。輪転器なんかじゃない。きみを盗みに行ったんだ」
王女「ほんとう?」
盗賊「本当さ。まあ、当初は輪転機を盗もうとしてたけどさ……」
盗賊「俺はきみを連れ出して、色々なものを見せたくなった。勿論、きみの同意を得てからね」ニコッ
王女「……グスッ…うぅ〜…」
盗賊「え〜っと…大丈夫?」
王女「ぜんぜん大丈夫じゃないです。泣きすぎて頭が痛いです。うれしくて、はずかしいです」
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/09(金) 03:35:32.20 ID:zFPvQqIIO
盗賊「そっか。盗んで良かったよ」
王女「……わたしも、ぬすまれてよかったです」
盗賊「はははっ、やっぱり変わってんなぁ」
王女「泥棒さんはひどいです。ひとの気持ちをもてあそんで…グスッ…」
盗賊「……あのさ」
王女「はぃ?」
盗賊「守るから。きみを傷付けないように、傷付けるものから守るよ……」
王女「……泥棒さん…」
盗賊「だからさ、嬉しいなら笑ってくれよ。泣いてる顔は、あんまり見たくないんだ」
王女「……グスッ…いまは、むりです。それどころじゃないです。うれしすぎて…ダメです……」
盗賊「……そっか」
王女「(泥棒さん…ありがとう。わたしを見てくれて…そんな風に言ってくれて、ありがとうございます……)」
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/09(金) 11:37:50.44 ID:mq/ikPRzO
C
お姫から不穏なオーラを感じなくもないね
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/09(金) 14:18:40.02 ID:bhFvH77MO
なんだスイーツか
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/09(金) 19:41:38.63 ID:VveZrm8XO
スイーツってまだ使われてたんだ
久しぶりに見た気がする
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