とある魔神の上条当麻II

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141 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/17(土) 23:19:56.93 ID:U0IggFeT0

「し・か・も、一人ではなく二人。片方は男の子、もう片方は女の子ですよー。喜べ、ヤローどもに、女どもー」

「オー! 転校生美少女やー!」

「まだ美少女とは決まった訳じゃないだろ。つーか黙れ! この変態が!」

黒髪のロングヘアーの少女が青髪の変態に非難を浴びせる。だが逆効果のようで「吹寄はーん! もっと罵ってーー!」とかのたまっている。

「じゃ、入ってきて貰いましょう。どうぞー」

彼女の声を合図にガラリ、とまたドアが開いた。



142 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/17(土) 23:20:37.85 ID:U0IggFeT0
今日はここまでです。また明日上げます。

143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 23:22:12.27 ID:n7b4phBdo
おつかーレ
144 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/18(日) 11:02:53.78 ID:tczL/TGZ0


一年七組のドアの前。上条当麻は黒の学生服を身につけ、あの幼い教師に呼ばれるのを静かに待っていた。

(や、やべー。緊張してきた……)

何せ、上条は学校に来ることそのものが八年ぶりなのだ。
勉強云々の前に、ちゃんと馴染めるかどうか不安だった。

「緊張してんのか上条?」

オティヌスの声が背後から聞こえた。学校では上条呼びなので慣れない感じはあるが、もっと慣れないのはその格好だった。

「? どうした?」

振り返った上条が見たのは、――――セーラー服に身を包んだ金髪金眼の少女だった。
純白で新品のセーラー服はオティヌスの華奢なスタイルにぴったりで、二の腕や首など、普段は露出されない部分も珍しく露になっている。
正直、すごく艶かしい。
145 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/18(日) 14:30:43.85 ID:tczL/TGZ0

それに比べて自分はどうか。身長が一七〇センチ前後なのにサイズが無かったため、少し大きめのサイズのものを身につけているからダブダブだった。
まさしくオティヌスと正反対。

「いや、上条さんがここでやっていけるかどうか不安なんでせうよ……」

「安心しろ。できるだけフォローはしてやる」

「オティヌスマジ女神様!」

「お前が言うな。つーか何でそんなに不安がっているんだ?」

「いや、ガキの頃にちょっとな…………」

「……ああ、不幸体質か」

オティヌスは普通に上条の傷を抉ってきた。

「ここは私らと違って科学の街だぞ? お前の不幸体質なんてちょっと不幸な奴、くらいとしか思われないだろ」

「でも…………」

「ウジウジしてんじゃねぇ。呼ばれたから行くぞ」
146 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/18(日) 15:12:41.18 ID:tczL/TGZ0

相変わらず自分勝手だ。オティヌスは上条を押し退け、中に入る。上条は不安ながらもそれに続いた。


「学芸都市から転校してきた、オティヌス=ハーヴァマールちゃんと、上条当麻ちゃんでーす!」

なんだよ、オティヌス=ハーヴァマールって。
小萌先生の自己紹介に上条か心中で突っ込む。勿論オティヌスの偽名なのだが、上条はそのとき本気でオティヌスの姓名がハーヴァマールだと思った。

「オー! 金髪美少女やー!」

おいなんだ、あのエセ関西弁で青髪の男は。つーかその前にいる金髪グラサンは……土御門かよ。

「それでは上条ちゃんとオティヌスちゃん、後ろの席が空いているのでそこにどうぞー。
それではホームルームを始めまーす」




そしてホームルームが終わった後、早速上条らはこのクラスの生徒達に質問攻めにあった。


「なぁなぁ、カミやんとオティヌスはんは、一体どんな関係なんやー?」

いきなりドきつい質問が近くの席の青髪からとぶ。

「え? えーっと……強いて言えば……幼なじみ?」

「な、なんやー!? 幼なじみなんかー!?」

出会いこそイギリスのバッキンガム宮殿と普通とはかけ離れているのだ。その後に戦場を供にしたり、魔術組織を作るのを手伝ったり、後さらっと世界の危機を救うはめになったりと、いろいろと聞かれたらやばいこと尽くし。
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/19(月) 11:34:38.01 ID:rNoeejKgO
なら
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/19(月) 17:12:47.63 ID:rNoeejKgO
上条「まずは、その幻想をぶち[ピーーー]??」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/19(月) 17:14:17.38 ID:rNoeejKgO
上条「まずはそのふざけた幻想をぶち[ピーーー]??」
150 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/19(月) 21:34:47.26 ID:99PgjZ4M0

「クッソー! 二人にはボクらが入る間もないんかー!」

「え!? いや、何でそうなんの!?」

「何でって、幼なじみ二人が揃って学園都市に来たんやろ? もう普通にカップル成立しとうやん! どんだけアツアツなんよ!」

一人勝手に盛り上がり始める青髪ピアスと呼ばれる男。このままでは重大な勘違いをされかねないと思い、一緒に否定をしてもらうため(恐らく怒ってるはずの)隣のオティヌスにチラリと目をやるが――――


「(カアァァァァ)」

「(何故に顔を赤らめているんだ、オティヌス!)」


まんざらでもなかったようだ。






「んじゃ、改めて自己紹介……と言いたいところだが、オレはもう昨日やったからいいかにゃー」
151 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/19(月) 21:48:57.03 ID:99PgjZ4M0

青髪から解放(未だに疑惑は残っているが)され、土御門がそれぞれの自己紹介を始める。

「なんやツッチー、もうあっとったんかいな……。
あ、ボクは青髪ピアス。みんなからは青ピって呼ばれとうでー。よろしゅうなー。カミやん、オティヌスはーん」

「あの、本名の方は………」

「……禁則事項や (キリッ)」

「(あ、こりゃダメだ)」


重大な疑問を頭に残しながら、次に青髪ピアスの隣にいる黒髪のロングヘアーのしっかりとしてそう(ついでに巨乳)な女生徒が自己紹介を始める。

「私は吹寄制理。困ったことがあったらいってちょうだい」

「あ、委員長ですか?」

彼女のこの性格なら間違いない、そう確信した当麻だったが、

「いいえ、委員長はこの青髪の変態よ」

「ブォアァッ!?」
152 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/19(月) 22:00:57.10 ID:99PgjZ4M0

完全に意表を突かれた。思わず吹き出す上条。


「ひどいなフッキーはん。ボクは変態とちゃうでー」

「ロリコンが何をいっている!」

変態に吹寄が凄んだ。

「だからロリコンちゃう!」


だが、身体が一回り大きくなったかのような気迫を出しながら、青髪ピアスが思いの丈をぶつけ始める。


「ボクぁ落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪金髪ロングへアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテール――――――――――」


「「ふんッ!!」」

「へぶしっ!」


吹寄とオティヌスの息のあった蹴りが、青髪の変態に直撃、目標を静める。
153 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/19(月) 22:21:46.23 ID:99PgjZ4M0




その後は特に何も問題は無かった。
上条とオティヌスは同じクラスの生徒から心よく受け入れられ、困った時は土御門や小萌先生が助けてくれた。上条の不幸体質の事も、オティヌスの言うとおり『ちょっと不幸な奴』程度にしか思われず、何の心配もなかった。

だが、一番の問題は能力開発だった。
学園都市では投薬、電極などで脳を改造し、生徒達に能力開発を行う。
しかし魔術師である上条とオティヌスがそれを受ければ、どうなってしまうか分かったものでは無かった。
が、幸い二人は既に能力開発を受けたことになっているらしく、二人は無能力者と判定された。



154 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/19(月) 22:22:59.53 ID:99PgjZ4M0
今日はここまでです。
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 02:00:19.79 ID:fvntVBmUo
おつかれなのー
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/22(木) 14:15:34.56 ID:EZpz4+3GO
絹旗「上条は超何にしますか?」

上条「そうだなあ、やっぱ定番メニューのオムライスかな。オティヌスはどうする?」

オティヌス「私も上条と同じもので良いぞ。」

絹 浜 フレ 麦 滝「!? いまどこから(超)声がした(んだ)?」

上 オティ「あ・・・・。」

麦野「上条は何か知ってるっぽいなあ?話してもらおうか?」

上条「実は・・・・、かくかくしかじかで・・・・・。」

麦野「この世にかくかくしかじかで通じる奴何ざ、居ねえよ。」

上条「ですよねー。やっぱ話さないとダメか?」キョロキョロ

絹旗「超当り前です。」  浜面「このままじゃ、気になって夜も寝られねえよ。」

フレメア「気になるから話せ。にゃあ」  滝壺「話したくないかみじょうを私はおうえんする。」

オティヌス「上条、話すしかないようだぞ?」 上条「みたいだな。」

上条「じゃあ皆、これを見てくれ。」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 19:10:47.07 ID:4eJcq7E5o
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 00:27:38.00 ID:XIbPTu4Xo
本筋をシリアスに、しかも謎解きっぽく事件の少しずつ輪郭を表していく。
一方でキャラの性格を掴みながらの日常コメディに妥協がない。

冗談抜きで市販レベルなんだが何者だよ
159 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/23(金) 17:39:23.72 ID:XhzsuIIP0

感想ありがとうございます。皆さんが見ててくれていて嬉しいです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


昼休み。上条とオティヌスは、土御門、青ピ、吹寄の三人に昼食を誘われ、人気のない学校の屋上で楽しそうに昼食を食べていた。ただ一人を除いて。

「へー。カミやんって、ホンマについてへんのやなー」

下宿先のパン屋の、あまりのパンを頬張りながら、青ピは平坦な口調で言う。

「そんな軽く流すような口調すんなよ……。あー、これもつぶれてる、フコウダー」

半ば諦め口調の上条は、カバンの中で教科書もろもろに潰され、原型の留めていないパンを口に入れていた。

「何で教科書の下にパンを入れたのよ。普通逆でしょ」

そう言った吹寄は、『健康パン』と書かれた袋に入っているパンを食べていた。今日一日で、彼女が健康マニアだということが上条達に判明していた。

「もう一人の居候の世話をして忙しかったからな。
このお人好しめ。あ、昆布うまい」

上条と一緒に住んでいるオティヌスが、おにぎりを食べながら上条の素性を明かす。
160 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/23(金) 17:56:59.62 ID:XhzsuIIP0

が、それを聞いた青ピは、

「なんや!? 二人は同棲しとんかいな! しかももう一人って、もしかして女の子!?」

どうやら聞き捨てならない情報だったようだ。
そしてさらに、土御門がいらない事を言う。

「オティヌスだけじゃなく、銀髪のシスターのインデックスって子とも住んでるらしいんだぜい?」

「「はーーーーーーーー!?」」

青ピだけじゃなく、吹寄も一緒に驚いたような声を上げた。

「カミやん! どういうことやー!」

「説明しなさい! 上条当麻!」

「え!? 何でそんな怒ったように!?」

「オンナノコといちゃつきおってーー!」

「不潔! 不潔すぎるわ!」

「な、何かよく判んないけど、とりあえず、不幸だー!」

「……さすが上条だな」

「いっつもあんなんなのかにゃー。つか爆ぜろ」




その後、上条は上手く事態を収拾できず、青ピは「モテたい! うらやましすぎるやろー!」と何故か泣きながら去っていき、吹寄は「この不埒ものめ!」と怒りながら去っていった。
161 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/23(金) 18:48:09.44 ID:XhzsuIIP0

「……今日でこういうのって何回めだろう…………」

上条が遠い目をしながら青空を見上げる。

「これから毎日続くぞ」

オティヌスの言葉に、今日で何回目かの「不幸だー」の声が、青空に上がった。

「んじゃ、オレも食い終わったから戻るかにゃー」

弁当箱を巾着に包み土御門は、教師に戻ろうと立ち上がった。

「いや、待てよ、土御門元春」

しかし、その土御門をオティヌスが止めた。
するとオティヌスは、子供のいたずらを見破ったかのような顔で、こう告げた。


「お前、何で"インデックス"の名前を知ってるんだ?」

「え?」

「……………………………………」

一転して無表情になり、土御門は黙る。

「確か、お前は昨日会ったとき、初めて上条の名前を知ったんだよな? そして私の名前も今日初めて知ったはずだ。なのに何故、"インデックス"の名前を知っている? 教えた覚えはないよな?」

子供のような笑顔を浮かべたまま、オティヌスが問う。まるでネズミを追い詰めた猫のように。
すると、


「…………さすが、魔神の失敗作だな」

土御門はニヤリとした顔で、確かにこう言った。
162 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/23(金) 18:50:37.74 ID:XhzsuIIP0

短いですけど終わりです。
明日辺り、多く投下できると思います。
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 20:30:10.08 ID:Mka8AH5Bo
おつにゃー
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/24(土) 09:09:29.12 ID:pNoQhvzOO
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165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/24(土) 09:10:34.99 ID:pNoQhvzOO
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166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/24(土) 09:13:01.79 ID:pNoQhvzOO
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167 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/24(土) 14:23:38.33 ID:Mv6XEhCO0

「いや、……正しくはあいつの娘、ってところか?」

エセの土佐弁がなくなった口調で土御門が続ける。

「あいつと一緒にするな。血縁関係すら怪しいんだぞ。で、お前は何者だ? あいつを知ってるってことは、この街の暗部とやらと関わっているのか?」

「いやいや、オレは――――――」

「ちょ、ちょっと待った!」

何かを言いかけた土御門を、状況が全く理解できない上条が大声で止める。

「俺を置いてって二人だけで話進めんなよ! 土御門、何でオティヌスの素性を知ってんだ!? あいつって誰だよ!?」

置いてけぼりを食らって頭の中クエスチョンマークだらけの上条。しかし土御門は「だからー」と上条の方を向いてまたニヤリと笑って、



「オレはイギリス清教『必要悪の教会』所属で、今は学園都市のスパイ、土御門元春ぜよ」



168 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/06/24(土) 14:54:39.74 ID:Mv6XEhCO0

「え? は? えーーーーーーーー!!!?」

驚きの土御門の素性に、上条が驚愕のあまり大声を上げる。当の土御門は「ハッははー」と笑っていて、オティヌスは二人のやり取りが終わるのをただ待っていた。

「ス、スパイ!? いや、それよりも『必要悪の教会』ってことはステイル達とインデックスの同僚かよ!? いやつーかお前魔術師なの!?」

「いや、実はイギリス清教にスパイのふりしている学園都市の逆スパイってやつで、そのまた実は、逆スパイの振りをしている逆逆スパイで、そのまた実は……」

「ようは信用できねー嘘つきじゃねぇか!」

「まぁそうだにゃー。双方の勢力の間で争いを生ませないように駆け回っている、多角スパイってやつですたい」

「(うさんくせー)」

「イギリス清側からは、インデックスの監視役の監視役、学園都市統括理事長からは、お前らが暴れないように監視するようそれぞれ命じられててな、あのカエル顔の医者からIDと一緒にこの学校の学生証を渡すよう言ったのもオレなんだぜ?」

どうだすごいだろ? とでも言いたげなドヤ顔で土御門は言った。まあ、これが彼の素でもあるのだが。
169 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/24(土) 15:23:58.80 ID:Mv6XEhCO0

「つか、そんなあっさりと認めて良いものじゃねぇだろ……」

「始めはこっそり監視していくつもりだったんだが、バレて下手な嘘つくより、はっきりと素性を言った方が良いと思ってだにゃー。
ま、取り敢えず問題さえ起こさなければこっちも手を出しやしない。
オティヌスは結構頭がキレてそうだから、どっちも痛い目を見たくはないはずだぜ」

「遠回しの脅迫か? あいつにでも吹かれたか?」

やや挑発気味にオティヌスが言う。
しかし土御門は大して気にもせずにヘラヘラと笑っている。

「オレが命じられたのは監視だけだ。これはオレからの頼みとして受け取ってくれ」

「頼み? なんだよそれ?」

「……近々、魔術サイドとここ科学サイドで大きな争いが起きそうだ。例え避けられたとしても、飛び火が散る。だから余り大きく動く訳にはいかんぜよ」

段々と土御門の顔が真剣になっていく。彼は自分を多角スパイと言うだけあって、様々な情報を抱えているのだろう。そしてこれからどうなるのかも、大方予想もついているはずだ。
170 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/06/24(土) 15:46:43.08 ID:Mv6XEhCO0

「ま、こっちは義妹が無事ならそれでいいんだけどにゃー」

「「おい」」

そして根っからの変態でござった。

「んじゃ、オレはそろそろ本当に戻るぜ。昼休みがもうすぐ終わりそうだからにゃー」

そう言い残して、土御門はその場を去っていった。
残った上条達もまた、弁当の残りを食べて早く教室に戻る事にした。


「……なぁオティヌス。もしかして話に出てきたあいつって……」

「ああ。飛行機の中で話したあいつだ。それ以外に誰がいるというんだ?」

淡々とした口調でオティヌスが答える。対して上条は「でもなぁ……」と髪の毛をかきながら呟いた。

「未だに信じらんねぇよ。世紀の魔術師、アレイスター=クロウリーが生きてて、この街の統括理事長やってんなんて」



171 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/06/25(日) 00:45:57.28 ID:npWrXEAz0
余りいい考えが浮かばなかった……。

書き留めってどうやってるんでしょうか?
教えてくれたら嬉しいです。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 01:49:43.61 ID:QwDlxB8Qo
おつなのーね
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 16:42:37.82 ID:zBxt1DsFO
とりあえずピンと来た単語連ねてそれに肉付けして何個かルート描いていけばこの話はこれに転用出来そうとかやってけば溜まるんじゃね?

後は自分が描きたいシーンだけ先に書いておけば書き溜めにはなると思うが
素人意見ですまん
174 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/06/25(日) 20:17:12.89 ID:npWrXEAz0

大変申し訳ありませんが、明日から二週間テスト期間に入るので、更新が難しくなります。
感想、批評など、お好きに書いて下さい。
175 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/06/25(日) 20:19:50.35 ID:npWrXEAz0
>>173さん

ありがとうございます
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 20:57:34.07 ID:dLuXaIUto
ういー
気長にまつよー
177 : ◆fWgrVHZ/1E [sage]:2017/07/01(土) 16:39:04.43 ID:wsSp8HB00
一応生存報告しに来ました。
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/02(日) 00:18:15.93 ID:8a4vjpJGO
待っとるで勉強がんばれ
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/10(月) 09:35:30.36 ID:cZ/bLzGo0
勉強頑張ってください。
保守
180 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/10(月) 14:15:19.51 ID:xqCTM62g0

その頃、多重スパイという衝撃の事実をあっさりカミングアウトした土御門は、二人に別れを告げた後、教室にも行かずに階段の暗い隅で電話をしていた。

その相手は、例の『人間』だった。


「……やっぱりバレた。さすが、戦いと詐術の神の名を冠するだけある。俺をつたって、芋づる式にお前の『プラン』にたどり着いて、その妨害へと本気で乗り出そうとしている……。
……ま、ここまでは計画通りといったところか? アレイスター?」

そして、電話の向こうに居るであろうアレイスターは一瞬間を置いて、

「何とか誤差を修正仕切れた、と言ったところだな。やはり『幻想殺し』が魔神となったのが大きな痛手だったが、今はまだ、彼がここを離れると言った気は無いようだな」

「(やはり計画通りか……)」

今の時点の土御門は、一見アレイスターとは協力関係の様に見える。
しかし土御門は、この『人間』が何か世界を揺るがす程の事、例えば八年前の『魔神』の誕生の様な大事を仕出かそうとしているのを知っていて、それを阻止しようとしていた。
181 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/10(月) 14:38:29.75 ID:xqCTM62g0

勿論アレイスターもまた、土御門の目論見を知っているだろう。
しかしそれを知っていても、こうして土御門を使っていると言うことは、まだ自分を手放すには早いと思っているに違いない。

しかしそれと同時に、土御門にはある考えが浮かぶ。
『こうして土御門元春が、アレイスターの目論見を挫こうとしている事すら、アレイスターのプランの一部なのでは』と。

仮にそうだとしても、土御門がアレイスターの遂行する『プラン』から目を離す訳には行かない。ただでさえ、前科を持っている危険人物なのだ。


そしてもし、その魔の手が自身が命を課して守ると決めた舞夏におよぼうとすれば、必ずや電話の向こうの相手を殺してでも止めるつもりだ。


『……ここまでは順調と言ったところか。
……おい土御門、聴いているのか?』

「ああ聴いている。じゃ、切るぞ」

もう要は済んだ、とばかりに一方的に土御門は電話を切る。


「さて……幻想殺しの魔神、上条当麻。世紀の大魔術師、アレイスター=クロウリー。
どっちに軍配が上がるか……」


その心中は、穏やかでは無かった。
182 : ◆fWgrVHZ/1E [sage saga]:2017/07/10(月) 19:45:15.92 ID:xqCTM62g0
二週間振りなので今日はこれくらいが限界です。
週末は多く投下できそうです。
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 03:12:42.32 ID:0ycteDNvO
テストも投下も乙でした
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 18:50:01.05 ID:Srvq3E/Go
おつかーレ
185 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/15(土) 16:58:44.13 ID:rUrJNblA0

場所は変わってとある公園。すでに放課後の時間帯だけあってそこでは学園都市の住人が多く見かけられた。
とぼとぼと意味もなく歩く人、ランニングしている人、自身の能力を試している人など、昼間のストレスを癒すためか、自分のやりたいことをしている。
しかし、この学生服を着た、金髪の外人の少女は違った。

「遅いなあいつ……何してるんだ……?」

登校初日で既に疲労マックスのオティヌスは、自販機に飲み物を買いに行かせたったきり戻って来ない
相棒兼雑用の上条を待っていた。明らかにその顔は不機嫌だが、そんな表情でも美しく見えた。

「……待ってても埒があかんか……」

大方、厄介事に巻き込まれたのだろう。彼女の経験からして、そういった理由で遅れる事は多かった。
そして、生命探知魔術ーー理論上不可能なはずだがーーを周囲に展開し、オティヌスは上条を探し始めた。そして、発見には数秒もかからず、上条はすぐに見つかった。

「自販機の前……。動きがないな、誰かと話でもしてるのか? ……ん?」

そして上条の前には、もう一つの生命反応があった。
186 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/15(土) 17:12:48.57 ID:rUrJNblA0
だが、オティヌスが気になったのは別の事だった。

その生命力大きさ、魂の形からして、それは……、

「…………女…………」

さらにオティヌスが不機嫌になる。そして、

「コロス……!」

学校での疲労(主に青ピのせい)も重なってか、オティヌスは黒いオーラを纏い、上条のもとへと向かう。







上条当麻は不幸な人間だ。財布は落とすし、ゲーム機は踏み壊され、外に出歩けば魔術師に遭遇する毎日。そして今も、

「……不幸だ……」

彼は目の前の自販機に千円札を飲まれたばかりだった。取り返したいのはやまやまだが、失敗することはないにしろ別の障害が起こってしまうはずだ。
187 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/15(土) 19:09:14.37 ID:rUrJNblA0

「(怒るだろうなー、オティヌス。金呑まれれたなんて聞いたら……)」

諦めるしかない。そう思ったその時、




「何をしているんですか、とミサカはツンツン頭の少年に問います」



「へ?」

突如としてかけられた声に、思わず上条は間の抜けた返事をしてしまう。慌てて取り繕おうとしたがーーーー、

「み、御坂!?」

上条が最初に出会った学園都市の少女、御坂美琴がそこにいた。いや、似ていると言うべきか。雰囲気や口調が彼女とは違う。それに彼女は真っ黒な軍用ゴーグルを額に付けたりはしてはいない。
188 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/18(火) 17:04:58.09 ID:OFdM5fOa0

「私とは初対面のはずです、とミサカはツンツン頭の少年に答えます」

「(ああ、やっぱり違うのか……)いや、俺の知り合いに良く似てる、て言うかもろ同じ顔の奴がいてさ、つい……」

よくよく考えれば、あの美琴がこうしてわざわざ声をかけてくる訳がなかった。彼女なら顔を合わせた瞬間に、挨拶代わりの電撃を飛ばしてくるだろう。
冷静に考えて見ればそうだ。
だが、その冷静さも、目の前の彼女の、次の言葉で脆くも崩れ去る。




「ーーーーそれは一体、何体目のミサカの事でしょうか?」




「…………へ?」

なんと言った? 彼女は今『何体目』、と言ったのか?

急激に思考が凍てついていく。嫌な予感が身体中に走った。
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/18(火) 17:05:44.19 ID:Xt/p/pTP0
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/18(火) 17:12:04.81 ID:tzWEuNX00
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 22:39:53.79 ID:v8zx/G9g0
上の奴キモいぜ☆
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/19(水) 22:50:51.95 ID:WYEhdJ6Lo
乙カレー
193 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/21(金) 22:48:08.29 ID:MwtLEDnj0

「? どうかしましたか、とミサカはいきなり凍りついた様な顔をしたあなたに声をかけます」

「!?」

しまった、顔にまで出ていたか。すぐに凍てついた思考を元に戻そうとするが、一向に、頭は回ろうとしない。完全に冷静さを欠いていた。
何とかして取り繕おうと必死に考えていると、


「ナアァァァァニしてんだ、カミジョオ〜〜?」


まさしく上条にとって救世主が来た瞬間だった。
だがそれと同時に、こんな状況でも自らに襲い来る恐怖も認知せざるをえなかった。

御坂美琴にそっくりな、彼女の後ろ。神秘的なまで美しい金髪をたなびかせる少女が、その華奢な身体に、どす黒いオーラ(何故か上条には視認可能)を纏わせて仁王立ちしていた。


こんなことできるのは彼女しかいない。


「……オティヌス?」

恐る恐る声をかける。すると、オティヌスは上条と自らを挟むように立つ御坂の妹と思わしき少女を
見て、
194 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/21(金) 23:13:01.86 ID:MwtLEDnj0

「……………………………で」

「え?」


何故かオティヌスは顔を下にして俯いてしまった。
いつもならすぐ上条に電撃の槍やら100パーセント命中する槍やらを投げたりしてくるのに、今回は何もしてこない。言葉責めすらしてこない。


「オ、オティ……」


不自然に思いながら、初めての事だったので戸惑いもしながらもどうかしたのかと聞こうとした。
しかしそれを待たずして、オティヌスの顔がばっ、と前を向いた。


「え…………」


そのオティヌスの顔は赤かった。しかもただ白い肌に赤が浮かんでいるだけじゃない。その金色の目の目尻には、涙が浮かんでいた。


「何で……グスッ、私より、『超電磁砲』と一緒にいるんだよ…………グスッ」

「え、えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 23:40:57.19 ID:FrEPVTbjO
あーあ遂に泣かしたか…
196 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/21(金) 23:48:12.74 ID:MwtLEDnj0

恐らく魔神となって、というかこの世に生まれてこの方こんなにまで驚いた事は無かった。後に、伝説や神話になったとしてもおかしくないくらいの衝撃が、魔神、上条当麻に来た。


「え、い、イヤ、オティヌス!?」

「い、いつも、グスッ、外に出ると、『超電磁砲』と、グスッ、エッグ……」

「……………………………………」


泣いている。
あの冷酷非道とまで組織内で恐れられたオティヌスが、目に涙を浮かべている。普段の堂々とした態度はなくなり、上から目線の口調の影も無かった。

理由は何となく、いや、絶対の確信を持って言える。

寂しさ。学園都市に来てから数日、上条はここの複数の住人と交流をしている。カエル顔の医者を始め、ミステリアスな雰囲気の少女にツインテールの瞬間移動能力者、電気系超能力者とここ数日でかなりの人物と知り合う事ができた。

だがしかし、それを間近で見ていたオティヌスはどんな心境だったろうか。
自分のよく知る人物が、自分ではなく、他の者と楽しそうにしている。もとから愛情や友情等、人と関わると言った経験が浅く、それに餓えていた少女だ。
197 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/22(土) 00:23:03.34 ID:ZTwIEr/H0

「(きっと、不安を感じたり、怖くなったりするに決まってる)」


今隣にいる大切な人が、いなくなってしまう。
十年に近い日々を共に過ごし、それを一瞬にしてこの手で失った上条にはその気持ちが痛い程に分かった。ましてやオティヌスは、それが人並みよりも強いのだ。いや、強くなったといえる。この八年間、彼女は上条を通して人の温もりを知り、そしてその大切さを短期間で知った。
けれど、やはり一番の温もりを与えてくれる理解者である上条が離れてしまうのは、他の何に代えても耐えがたかったのだ。

それをごまかし、隠し、今まで耐えてきた。
それが今になって溢れてしまったのだろう。

「(……情けねぇ……、サイテーなヤローだ)」


寂しがっている彼女に気づかない奴の、何が理解者だ。口先だけで安心させ、今日までずっと耐えることを彼女に強いてしまったのだ。


「……………オティヌス……」


ゆっくりと、オティヌスに近づいて行く。
198 : ◆fWgrVHZ/1E [saga]:2017/07/22(土) 00:32:45.48 ID:ZTwIEr/H0
今日はここまでです。

眠い……。
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 00:58:41.26 ID:neXECQyzo
おティちゃん可愛い
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 18:11:46.44 ID:XmW+vHL0O
おティちゃんマダー?
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 22:37:10.30 ID:I4zchlZCO
まだかなー
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/29(水) 09:20:55.01 ID:+8QnWGHWO
続きを楽しみにしております…
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/01(金) 22:12:45.59 ID:SVOyexac0
面白いから期待。早く来て??
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/15(金) 14:20:13.31 ID:gqayEauX0
待っています。
保守
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 09:17:16.87 ID:jxbc8Ubf0
保守
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 08:18:41.11 ID:06vY5YiFo
待ちたい
207 :11226 [sage saga]:2018/01/20(土) 22:44:49.07 ID:LUPVR6h30

すみません。ネタが思い浮かばなくなって今まで逃げてました。
コメントしてくれた方々、保守してくれた方々、待ってくれた方々、本当に申し訳ありません。

ひとまず今日出来た分だけ投稿します。
今後とも宜しくお願いします。
208 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/20(土) 22:46:51.21 ID:LUPVR6h30
もう一度すみません。名前を間違えました。

酉を変えますのでご了承下さい。
209 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/20(土) 23:11:23.81 ID:LUPVR6h30

そして当麻は、唯一無二の人に、思いの丈を紡ぎ出す。


「……ごめん、オティヌス。俺、浮かれてた。
この街に来て、初めて普通の人と触れて、初めて友達が出来た気がして、嬉しくて、新しい事に目移りしてた……。オティヌスって言う相棒を、ずっと蔑ろにしてたんだ」

「……………………………」

「言い訳がましく聞こえるけど、その時はオティヌスとは何も変わりはしないって都合よく思ってた。
……本当にダメな男だと思う。十年も一緒に居てくれた人を、相棒を、大切な家族を泣かせたんだ。
お前に嫌われ、最悪殺されても文句は言えない」

「……………………………………………」

出てきたのは苦しい言い訳。失った物を見つけて浮き足立ち、はしゃぎ、周りが見えなくなった愚か者の、ありふれた懺悔の言葉。
それにオティヌスは何も答える事はない。
それを見てもなお、魔神は、頭を深く、下げ、もう一度言い訳を続ける。


「ごめん。許してくれ。これからは、もう寂しい思いなんかさせない。お前と一緒に居続ける。何があっても、例え世界が終わっても、オティヌスの理解者として有り続けたい」

「………………………………………………………………」

「頼む」
210 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/20(土) 23:32:45.89 ID:LUPVR6h30
当麻の懺悔が終わる。それでも彼は、ずっと頭を深く下げている。

「……………………………………」

それを見ていたオティヌスの顔は、髪で隠れて他人からは見えない。そのままお互いの間に永久と思える程の沈黙が流れる。
そして、しばらくしてオティヌスは、おもむろに右足を浮かせ、



「ふごっ!?」

────思いっきり、地面に向かっていた当麻の顔面を蹴り上げた。




半分魔神であるオティヌスのパワーからすれば普通に脳みそがグチャグチャになって死ぬのだが、幸か不幸か当麻は本物の魔神。

空中に身体が浮かび上がった後、地面に叩きつけられてもなお、普通に痛くて気を失いかける程度で済んだ。


「わわ、わわわわわわわわわわ………………………!」


そして蹴り上げた張本人のオティヌスは、顔を真っ赤にして可愛らしく慌てふためいている。
さっき晒してしまった情けない姿を思い出したのもあるが、それ以上に当麻から告げられた言葉が、ストレートに恥ずかしく、そして密かに嬉しかった(勿論嬉しかった事に彼女が気づく事は無い)。

勿論、オティヌスもまたこれでも多感なお年頃。恥ずかし紛れに、思わず蹴飛ばしてしまうのは致し方ない。何故なら職業が戦闘職種なのだ。当麻と違って、言葉でなく力で表現してしまうのだ。
211 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/20(土) 23:51:12.96 ID:LUPVR6h30

「おっまえ、ちょ、待ってくれ! まだだ、まだ早いんだ! まだ勇気がないんだよぉ!」

何が勇気がないのかは知らないが、とにかく羞恥のせいでオティヌスの思考回路が溶け落ち始める。
彼女の脳内は、最近になって恋愛脳になって来ていたらしい。その対象が何なのかはお察しの通りである。

「うわ、しかも私は、なんで……! こんな所でぇ……!」

ついさっき一緒に居続ける宣言をした張本人が気絶仕掛けているのも知らず、多感な少女は、自分の醜態を明確に思い出して、さらに悶える。

恋は盲目。
決してこの表現がこの場に置いて合っている訳ではないが、少女の恋とは時として、羞恥の余りに周りを見えなくしてしまうのだ。例え相棒だとしても。



そしてオティヌスが、当麻が既に気絶していた事に気付いたのが、一通り自分が苦しみ終えた後だった。


212 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/21(日) 00:19:24.44 ID:jd7aDyqY0

─────────────────────

「………………」

「改めて、本当に申し訳なかった」

脳みそグチャグチャ未遂蹴飛ばし事件(後に上条命名)による気絶から覚めた当麻は、まず真っ先にオティヌスにもう一度謝った。

今もオティヌスはそっぽを向いており、やっぱりまだ怒っているのかな、などと検討違いも良いところを、当麻は本気で思っていた。

実際は自分の醜態を見られた事と、当麻から告白紛いのような謝罪を受けたから、まともに当麻の顔を直視できないだけなのだが、それに『完全』であるはずのこの魔神が気づくわけがない。

しかし、このままではずっと上条はこうして謝り続けるだろう。恐らくオティヌスが彼を許すか、もしくは殺すかしない限り、彼はずっとこのままでいるはずだ。

「……上条」

「……何だ、オティヌス」

そしてやっと、オティヌスは当麻の顔を見る。それは同時に上条もオティヌスの顔を見ることになり、数分間見ていなかっただけなのに、お互いの顔が十年ぶりにやっと見ることが出来たのではと思うほど、お互いの顔がとても懐かしく感じた。
213 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/21(日) 01:10:06.28 ID:jd7aDyqY0

すぅ、と息を吸って、吐き、その美しく形の整った唇から、ゆっくりと、言葉を紡ぎ出していく。


「お前は、ずっと、私と居続けるんだな?」

「ああ。例え世界が終わっても、何があっても」

「他に目移りした、お前に?」

「確かに目移りはした。でも、絶対にお前だけは蔑ろにしない。世界の何にかけても優先するし、それを変えるつもりもない」

「……はぁ、もういい」

どこまでも真っ直ぐな口調と、同じくらいに真っ直ぐなその『青い瞳』。
戦闘中、いつも見ていたその瞳からは、相も変わらず嘘、偽りは感じられ無い。これは馬鹿正直に、そして真剣に応えようとしている眼だ。

恐らく今の上条なら、オティヌスの為ならば本気で、嬉々として世界を敵に回そうとする。例えそれが世界の全てから自分が『悪』と呼ばれる理由になろうと、上条からすればそれは些細な事でしかない。
そしてオティヌスもまた、上条と同じである。

八年前のあの日に出会ってから、何に置いても、お互いはお互いに、最も優先すべき存在だったのだ。

世間一般の愛からすれば、『重い』と思われるほどの『思い』。
しかし、それくらい重い思いを持った関係の方が、今の二人には丁度良く、そして心地良かった。
214 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/21(日) 01:12:12.98 ID:jd7aDyqY0
今日はここまでです。

次が出来るのは、もう少し先のプロットが出来たら、もしくはネタが思いついたらにします。

早ければ明日には投稿します。

今後とも宜しくお願いします。
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 09:09:49.04 ID:/DrDZD85O
待った甲斐がありましたわ
216 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/21(日) 11:33:56.68 ID:jd7aDyqY0

「……私も、ほんの少し、嫉妬した……」

「ほんの少し、じゃなくて結構だろ」

「うるせっ」

拗ねたオティヌスを当麻が茶化し、それに対してオティヌスが悪態で返す。
少しずつ、両者の空気が戻っていく。

「で? もう一度聞くが、さっきの言葉に嘘偽りはもちろんはないな?」

「ない。一生守り続ける」

「……一生だな?」
217 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/21(日) 11:58:43.46 ID:jd7aDyqY0
「……本当に?」

「ああ」

「絶対に? 途中で破ったりしないな?」

「しない。だから、安心して俺を信じてくれ。
俺は、この約束を裏切ったりしない」

「…………………………よし。私も悪かった。泣き落としなどと言う無様をさらすとはな。
私もお前を無理に束縛したりはしない。だから、だからお前もきっちりとその約束を『護れよ』?」

「……ありがとう。オティヌス」

無垢な笑顔で礼を言ってくる上条。それを見て、またオティヌスは顔を赤くする。

「いや、なに、私にも原因がある。前の私ならこんな事にはならなかったと思うし……。
さっきも言ったように、お前を束縛したりはしない。私だって我慢する。だから、ほんの少しぐらいなら、お前も私を雑に扱ったって、良いんだぞ」

まさかのオティヌスの譲歩発言に思わず驚きの声が出そうになるが、ぐっとこらえる当麻。
ここで要らんこと言ったら、即グレイプニルされてしまうのは、分かりきったことだ。

しかし、上条が要らんことを言わずとも、次の瞬間でオティヌスのその顔が、転じて無表情になる。



「だが魔神、さっきの事についてで詰問しないとは言っていない。
ベンチで一人待ってた私をほっぽって『超電磁砲』の同型体を口説いてたのは、それはどういう事だ」



「(……何だ、やっぱり怒ってるじゃないか……)」

218 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/21(日) 14:10:47.18 ID:jd7aDyqY0

───────────────────────

「で、お前を縛るのは後にしてだ」

「おい不穏な言葉が聞こえたぞ」

当麻の突っ込みを無視して、オティヌスは話を続けようとする。

「あの女……御坂美琴そっくりの女の事だが」

「あ、そうだった! あいつは!?」

すっかりと美琴そっくりの少女の事を忘れていた上条。あわてて陽の沈んだ周囲を見渡し、軍用ゴーグルの頭を探す。

そしてそれにオティヌスはげんなりとした顔で、

「いや、何て言うか。お前が気絶したのに気付いた時に、あの女が『そー言うのは家でやれや。馬鹿共、とミサカは悪態を吐き捨てて去っていきます』って、変な口調で吐き捨てて帰ってった」

すぐ目の前で放置され、挙げ句キャラ崩壊仕切った告白劇をまじまじと見せつけられた美琴らしき少女は、その状況にあきれてもう帰っていってしまっていた。
見ていてかなり辛かったのだろう。

「がっはぁ!」

そして思い出した上条も喀血しそうになる。言ったことに後悔はないが、往来の場でやらかした事については普通に恥ずかしかった。
219 : ◆/XrqQH1avo [sage saga]:2018/01/21(日) 14:12:55.23 ID:jd7aDyqY0
今日はここまでです。
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 12:09:20.70 ID:si3EE0Auo
オティちゃんクソかわ
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 10:57:06.65 ID:GXLMLtboO
いつまで待たせるつもりだ
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/18(水) 10:39:06.92 ID:Z3Dt6cGAo
待ってる
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/27(金) 16:27:41.97 ID:5VKguc6LO
早く続きを読みたいです(//∇//)
224 :11226 [sage saga]:2018/06/04(月) 21:27:48.35 ID:PHNiKRvh0
遅れてすみませんでした。投下します。




「おい、勝手に死ぬな。私だって恥ずかしい」
「いや死んでねぇよ…………。あー悪いことしちまったなー」
「ああそうだな。詫びとして今年いっぱいは全食おにぎりにしろ」
「いやお前の事じゃねぇよ。わざとか」

つーか全食おにぎりってどんだけ食い意地はってんだオティヌスさん。

「さっきのは……御坂の、姉か妹……か?」
「それっぽいんだけど……でもなーんか、引っ掛かるんだよなぁ」

あの御坂のそっくりさん……御坂妹と仮称しよう。上条は彼女と話したとき、猛烈な違和感を感じた。それに彼女の口にしていた「何番目」と言う言葉、一体何の意味が籠められているのだろうか。御坂美琴とは全くの赤の他人とは考えられないのだが。

「………………………………」

一方、オティヌスはややうつむいた顔で思考に耽っているようだった。何かにかけて一度思考しだすと止まらない癖のある彼女なので、上条はオティヌスが顔をあげるのを待った。

「……おかしい」

少しして、オティヌスが呟く。

「ん?何が?」
「いや、この前に、この学園都市の戦力を計るためにハッキングを使ってレベル5の能力者のデータを漁っていたのだが」
「おい。さりげない犯行宣言だすな」

だからこいつ御坂の事を知ってたのかよ、初対面なのに妙に詳しいなー、とは思っていたけど。

「で、何がおかしいんだよ」
「……三人だ」

オティヌスは上条に指を三本立てる。



「御坂美琴の直径の血族は、三人だけ。姉妹や兄弟はいないはずだ」

ぞくり、と上条の背中を、何かが駆け抜けた。
225 : ◆1Fq6jcW74c [sage saga]:2018/06/04(月) 21:48:14.12 ID:PHNiKRvh0


──────────────────────────

日が暮れ始めた。夏休みも直前だと言うのに、今日は日が早かった。

上条はほとんど学生がいなくなり、会社勤めから帰ろうとする途中の大人達がちらほらと見える歩道を歩いていた。

「……………………………」
『私はこれからもう一度、学園都市のデータベースをよく調べてくる。もしかすれば、あの御坂妹と言う女は、奴の『計画』とやらに関係するかもしれん。……何故か今回は特に嫌な予感がする。あの御坂妹を見つけ次第、すぐに話しかけて引き留めろ』

そうとだけ言い残して、上条が引き留める間もなくオティヌスは飛び去っていった。
しかし上条もこのままただ公園でじっとしているのは性分に合わないので、結局オティヌスに言われた通り、こうして街を歩いて探しているのだが。

「全然、見つからねぇ。まだそう遠くには行ってないはずなんだけど……」

一向に、あのゴーグルをかけた御坂は見つからない。常盤台の制服にゴーグルと、あれだけ目立つ格好をしていると言うのに。

「もうすぐ日も暮れそうだし……。あー、インデックスの飯はどうしよう」

完全に暗くなり、アンチスキルに見つかってしまうとなると厄介な事になる。しかしそれよりもさらに厄介なのは、腹を空かして機嫌を悪くしたインデックスである。噛みついてくる事は別に良いが、ドタバタしているとオティヌスにまたしこたま叱られてしまう。
226 : ◆1Fq6jcW74c [sage saga]:2018/06/04(月) 22:22:55.70 ID:PHNiKRvh0
「さっき叱られたばっかなのに……あー、未来の事なのに、もう不幸だー」

先の見えた人生ほど、面白味が無い物は無い。しかもその内容がグレイプニルで縛られて出来た隙に散々に蹴られ、殴られると言う物で、その上今の上条の力も弱体化しているため、殴られ放題な未来である。どう希望を持てと。

見つからないので早いとこ切り上げたい気持ちはあるが、それはそれでグレイプニル。しかし日が完全に暮れた以降に見つかったら見つかったで、インデックスの機嫌が悪くなりグレイプニル。どっちの未来に転んでも、待ち受けているのはグレイプニルしか無いのか。

──ああ、何と、世は無情なのだ。

そんなどんよりとしたお先真っ暗な考えをしていると、ふと、道端に目が止まった。

──そこにいたのは、ダンボールに入った捨て猫に触ろうとしている、探していたゴーグル御坂こと、御坂妹の姿だった。しかも猫に夢中なのか、まだこっちには気づいていない。
しかし、今の上条にとっては、紛れもない、約束された不幸な未来を打破する女神だった。

「……み」
「?」

そして御坂妹も上条に気付いたのか、こっちに目を向ける。
しかし、上条は御坂妹を凝視して、指を指して呆然としたまま直立していた。そして、

「貴方は、さっきの……」
「見ぃつけたああぁぁぁぁぁ!」
「違った、不審者です。誰か助けて下さい!」
227 : ◆1Fq6jcW74c [sage saga]:2018/06/04(月) 22:59:57.26 ID:PHNiKRvh0
 その後、路上の隅で、全力で女子中学生に土下座して謝る男子高校生らしき姿が見えたと言う。



 そして、上条が御坂妹を全力で宥めた後。

「では、不審者さん。貴方は不審者ではないのですね、とミサカは疑惑の目を向けながら無理矢理納得します」
「いや、絶対納得してねぇだろ。つーか不審者さんて何だ」
「路上で人を見つけただけで大声をあげる人が、不審者ではないと?とミサカはまた疑惑の目を向けます」
「とりあえずその目やめーや」

 今、分かった事だが、この御坂はとにかくボケ倒す性格らしい。インデックスが見ようものならクールビューティーなどと持て囃しそうだが、上条にはただふざけているようにしか見えない。

 すると唐突に、「まぁ、冗談はここまでにして」と御坂妹は子猫を抱き抱えたまま立ち上がった。

「……この猫の飼い方、教えてくれませんか?」
「……は?」

 今度は何だ、唐突に。と上条が思っていると。

「飼いたい……のか?」

 まぁ、ずっとあそこに座っていたから、わからなくはないけど。
 唐突なその言葉に戸惑っていた上条に、御坂妹は不安に思ったのか、再度問い掛けてくる。

「……駄目、ですか?」

 しかも今度は上目遣いで言われた。まぁ、オティヌスには引き止めておけ、と言われてるし、時間的にもまだ余裕があるから大丈夫か。それに路上で大声出したのも悪かったし。

「……別にいいよ。付き合ってやるよ」

 断る理由も特に無い。まぁ、折角出会ったんだ、ここでもう一人友達を増やしておくのもいい。

「!本当ですか?とミサカは不審者さんに感謝します」
「おい、それもやめろ」


 ……やっぱりこいつ生意気だわ。
228 : ◆1Fq6jcW74c [sage saga]:2018/06/04(月) 23:00:25.16 ID:PHNiKRvh0
今日はここまでです。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/06(水) 19:43:15.76 ID:dddyplYUO
おつー
待ってたよー!
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/06(水) 22:11:42.31 ID:9/0ZwlUwo
おつなんだよ!
231 : ◆1Fq6jcW74c [sage saga]:2018/07/06(金) 22:14:59.80 ID:GPa1BM070
 場所は変わって、上条宅の一室。灯りがない部屋の中では、オティヌスがパソコンの画面を金瞳で睨み付けながら休むことなくキーボードに触れる手を動かしていた。

「くそ、思ったより固いな……」

 一介の学生でさえ機密の塊である学園都市。前回、御坂美琴の個人情報について調べた際にハッキングしたサーバーの、そのさらに深層のサーバーにハッキングを試みているのだから、当然一筋縄で行くわけがなかった。
 しかし、機械系統に強い仲間から教わった技術で、何十何百と張られた分厚いプロテクトを、オティヌスは止まることなく根気よく破っていった。そして。

「……!やった!」

 遂に、機密サーバーへの侵入に成功した。
 頑張った反動か、それともアレイスターが張り巡らせた電脳の壁を突破出来た事からか、オティヌスは思わず歓喜に震える。

 しかし、その歓喜は長くは続かなかった。

「…………何だと?」

 そこに保存されたデータには、とある計画についての詳細しか載っていなかった。しかし、その計画はオティヌスでさえ、残酷かつ非道で、人道から外れきった狂人達の狂った実験だと思わせるほどの内容だった。

「──『量産型超能力者計画』……それと『絶対能力進化計画』……だと!?」



──遠いビルの中で、誰かが微笑んでいる気がした。
232 : ◆1Fq6jcW74c [sage saga]:2018/07/06(金) 23:01:48.34 ID:GPa1BM070

 ──とある路地裏

 白い悪魔が少女と鬼ごっこをしている。悪魔は逃げる少女の後ろを追っていた。
しかし、その足はゆっくりと、悠然と、そして気だるそうに。

「アーーーー、くそつまんねェ」

 白い悪魔は、白髪に赤目、そして貧弱そうな体型をした少年だった。しかし、そのドスの効いた声は残酷さを感じさせ、もし、誰か彼をよく知る人物がいたのなら、真っ先に彼から距離を取ると思われるほどに、彼は不機嫌だった。

 毎日毎日、同じことの繰り返し。微妙に違ってくる時もあるが、それもほんの僅かなだけで、いい加減彼も飽きてきた所だった。そもそも、この飽きっぽい性格をした彼が、ここまで長期間に渡ってこの『実験』を続けて来れたのが異常だった。しかしそろそろそれも限界に近づいてきたようで、溜め込んできたフラストレーションが爆発しそうだった。

「……チッ」


 思い出すのは数日前の事。そう、あの奇妙な二人組と出会った日の事だった。

 いつもと同じ変わり映えのない『実験』を行っていた途中、ふと何気なく目を外してみると、遠くで巨大な光の柱が立っているのを見た。そして彼は確信した。あれは昼間の二人の仕業だ、と。
 天を突き抜けるが如く空へと伸びる光の柱。その明らかにこの都市の超能力とは違ったその力を見て、彼は心を躍らせた。

 ──やはり、あいつらはやってくれた、と。

 一刻も早くあの光の柱の下に向かいたかったが、今回の『実験相手』はこういう時に限って自分相手にそれなりに粘り強く立ち回ったので、かなり時間がかかった。最終的には周囲一帯を巻き込んで消滅させたが、焦った事もあってかなり時間を掛けてしまった。

 そして、天を破る光の柱が立ち上がった場所で彼が見たものは────丸ごと一帯が焼け焦げた跡のある、空き地だった。
 もう既に、彼が実験を終えた時には、全ての事は終わっていたのだった。

「クソ……なんたってあの時に限ってよォ……」

 おもむろに、足に力を込める。

「ア────────退屈だァ」

 悪魔は、絶望の鬼ごっこを再開した。
233 : ◆1Fq6jcW74c [sage saga]:2018/07/06(金) 23:02:49.32 ID:GPa1BM070
今日はここまでです。
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:10:53.66 ID:xlNvjxE6o
おつなの
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/30(月) 09:14:20.86 ID:rbVjGGQ60
乙です。 
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/18(木) 01:59:12.27 ID:LtysOdKmo
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/01/13(日) 20:32:03.29 ID:VRYdqLe6O
続き、まだぁー
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/11(木) 01:37:05.66 ID:z4nX95YMo
待つてる
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/05/02(木) 16:46:12.60 ID:zFKLPVKg0
楽しみに待ってます。
保守
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/08/26(月) 14:17:36.33 ID:UIkfx5tT0
保守
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