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とある魔神の上条当麻II
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102 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 15:21:11.37 ID:9SYNKKcb0
「ぜ、全部卵……!」
「さすがにもう飽きたぞ、魔神」
「と、おにぎりです」
「よっしゃ! …………ハッ!」
自分の好物が出て素直に喜ぶオティヌス。しかしそれを見た当麻がにやけているのに気付き、ハッとなる。
「き、貴様……! 図ったな!」
「えー、何のことでせうか? オティちゃイヤ、マジでごめんなさい!」
「もう一回"これ"で縛られたいみたいだな、魔神。いや、上条当麻……」
彼女が手に持つのは、病院で当麻を縛ったいつかの縄だった。
103 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 15:41:41.78 ID:9SYNKKcb0
「もう! 卵ばっかりはイヤなんだよ! おにぎりは前も食べたし! もっと別のが食べたいんだよ!」
自分を無視する二人と空腹に耐えきれず、ついにインデックスが癇癪を起こした。しかしオティヌスと当麻はそんな事どうでもいいとばかりに、
「黙れ、インデックス! 今日という今日は、こいつのふざけた頭を刈り取ってやんだよ!」
「インデックス! そんな事言わずにたす……不幸だああぁぁぁぁーーーーー!!」
上条家は相変わらず、平和だった。
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/10(土) 18:34:25.89 ID:Mevj9i7Co
乙カレーの
105 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 20:53:14.77 ID:9SYNKKcb0
そして、一悶着あったが三人は無事朝食をむかえることができた。相変わらず卵しか並んでいなかったが、さっきの一悶着も含め、もはやそれは日常風景だった。
「やっぱり五日連続卵料理はキツイんだよ……」
と言いつつ、これで三十個目の卵焼きを口に入れるインデックス。
「そうか? まぁ、確かにコレステロールは溜まりそうだが……」
いつもはインデックスに賛同するはずのオティヌスだが、今日は好物のおにぎりが並んでるだけあって、朝から上機嫌だった。
「ステイルからの生活費がお前の食費で泡になるんだよ。文句あんなら食う量減らせ」
106 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 21:07:23.40 ID:9SYNKKcb0
当麻がこれで何回目かも分からないセリフを言う。
「でも、この食欲は押さえきれないんだよ!」
「修道女にあるまじき言葉だな。禁欲じゃなかったのか?」
「オティヌスまで……! でも私はまた修行中の身であって……」
「修行中ならなおさらじゃないか? まぁ、その気になれば私と上条は食事をする必要もないのだが」
「だ、だったら……」
「かといって私達も空腹に完全に耐えきれる訳じゃないぞ? 前に一ヶ月ぐらい飲まず食わずでいたが、精神がおかしくなりそうだった」
「んで、一ヶ月ぶりの食事の感想は?」
当麻が興味本位でオティヌスに聞いた。
対して、オティヌスが答えた。
107 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 21:26:54.25 ID:9SYNKKcb0
「あの時は全ての苦痛から解放されたようだった。
思えば、私がおにぎりが好きになったのはあの時からだったな……!」
「おにぎり食ったって……、二年前のあの日じゃねぇか!」
「なんだ、覚えてるのか?」
「当たりめぇだ! あん時何も言わずに姿消しやがって! 後から一ヶ月はお前が消えたとかでトール達が俺んとこに来たり、お前に恨み持った魔術師がお前探しに襲って来たりで大変だったんだぞ!?
んな下らねぇ理由で消えてたのかよ!? 事後処理大変だったのに!」
「だ、だったら、文句あるならあの時に何してたか聞いてたら良かっただろ!?」
滅多に見せない剣幕に、オティヌスはややおののきながらも言い返す。その弱々しさから、あまり効果は無さそうだ。
しかし、当麻から返ってきた答えは、予想の斜め上をいっていた。
108 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 22:14:39.83 ID:9SYNKKcb0
「珍しくお前が疲れてたから何も言えなかったんだよ。あんなに弱々しいお前は初めて見たからな。敵の魔術師に襲われたかとか、心配してたんだぞ?」
当麻の「心配してた」という言葉を聞いて、不意を突かれたオティヌスは顔を赤らめて、何やらゴニョゴニョ言い始める。僅かに聞こえたのは「べ、別にそんな…」「お前になら……」だが、当麻にはどういう意味か分からなかった。
「ご馳走さま、なんだよ」
空気を無視して食べ続けていたインデックスが両手を合わせる。当麻もそれに続いて「ごちそうさん」と言った。
「さて……。オティヌス、これから何か用でもあるか?」
109 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 22:27:53.28 ID:9SYNKKcb0
今だにゴニョゴニョ言っているオティヌスが、それを聞いて「あ、ああ。そうだな」と冷静さを取り戻した。
「……とりあえず、また新しい冷房機を買うか。この前買ったのも、昨日ぶっ壊れたしな……」
また、とは、ぶっ壊れた冷房機が一つ目じゃないということだ。昨日の謎の落雷によって今の冷房機はおじゃんになってしまった。すると、オティヌスは突然何か黒いオーラを出し始めた。
「なぁ、魔神。思ったんだが、そろそろ例のビリビリ女を粛清しに行かないか? もう我慢の限界なんだが」
「しゅ、粛清って……! お前が行くと洒落になんねぇじゃねぇか! それと上条さんはそんな事に加担しません!」
110 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 22:30:15.31 ID:9SYNKKcb0
当麻が
111 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 22:48:17.37 ID:9SYNKKcb0
上の110のは誤投です。すいませんでした。
「チッ。なぁ、インデックス? "竜王の殺息"って知ってるか?」
断固とした態度をとる当麻に対して、オティヌスは次にインデックスに不安な言葉をかける。
これを聞いて当麻は必死に「答えるなよ!? 絶対に答えるなよ!?」と言った。
当のインデックスは、可愛らしく小首を傾げただけだが。
「ま、あの女の事は置いといて、とりあえず明日から行く高校の準備をするか」
「え? ちょ、オティヌスさん!? 今さらっと何て言いました!?」
「さーて、まずは冷房機を買いに行くぞ。準備は後だ」
「ねぇ無視? そんな怒ってんの? エアコン壊されたの俺に原因あんの? ねぇ?」
エアコンを壊されたのが原因ではなく、オティヌスは当麻が他の異性とつるんでいるのが気にくわないのだが、それに気づかない当麻はかなりの鈍感だ。
112 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 23:11:27.70 ID:9SYNKKcb0
「先日あのカエルの医者からここのIDが渡されてな。私達がここに移り住んだのも、そのIDに記されてる学校の寮がここだったからさ」
「んなもん医者がやっていいのかよ……。てか、今更学校行くって」
「今の歳なら高校生だろ? 平日に外にぶらつかれると、ここの治安を守ってるっていう警備員とやらに毎回補導されるだろ。おとなしく行け」
「けど……」
「……まぁいい。お前がどうして躊躇するのかは知らんが、とりあえず冷房機は買いに行くぞ。
ほら、とっとと準備しろ」
「わかったよ…………」
しぶしぶながらも当麻が承諾した。
「ほら、インデックス。お前も準備しろ。幸い家電量販店はここから近い」
113 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/10(土) 23:12:51.78 ID:9SYNKKcb0
今日の分はここまでです。
次は明日か明後日に投下します。
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/11(日) 00:35:38.77 ID:9BUVCQ1Eo
へい、おつなの
115 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/11(日) 11:32:42.41 ID:fcJ2e9yV0
外に出ると、ホットプレートの上にいるかのような暑さが三人を襲った。エアコンが壊れているので家の中も十分暑いのだが、外は太陽光によって温度が上がったアスファルトの地面が、さらに温度を上昇させている。比喩表現なら、ホットプレートというよりフライパンの方が正しい。
「こ、これは……」
まだ歩いて五分もたっていないのに、当麻は汗だくだった。また他の二人は当麻より暑さの耐性が無いらしく、当麻より後ろにいた。
「くそ…。これが日本の夏かよ……汗が……」
「も、もう限界、かも……」
「お前ら気をしっかり持て! 今はまだましだ! 日本の暑さはこんなもんじゃないぞ!」
「お前……最近日本に行ったことあるのかよ……」
既に意識が朦朧とし始めている後ろ二人に当麻が檄を飛ばす。効果はないようだが。
116 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/11(日) 12:36:06.88 ID:fcJ2e9yV0
「毎年帰ってるよ。丁度今の季節だな。まだこっちで別の用事済ませてないから、そのついでに今年も行く気だよ」
「毎年帰ってるのか? なんの用があってだ?」
「……………………良いだろ、別に」
「素っ気ないな。それが八年間共に過ごした女に対する態度か?」
「誤解を生む言い方すんなよ」
「教えてくれよ」
オティヌスという少女が嫌うのは退屈だ。そのため自分が気に入った物、興味がわいたことに食いついてくる。当麻の素っ気ない態度を見て、興味がわいたのだろう。
だがオティヌスは知らない。それが彼の地雷を踏んでしまったことに。
「そうだな、強いて言えば―――――――――――
――――――――――死んだ人が帰ってくる日、かな」
117 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/11(日) 17:15:58.64 ID:fcJ2e9yV0
「っ! …………悪いことを聞いたな…………………」
「……いや、あれは俺がやるべきことだよ。
お前は別に気にする必要ねぇ。あれは俺に原因があるし」
「そうか……………………。あ、ほら、見えたぞ」
オティヌスの指の先には、大手家電量販店の店舗があった。それは一店舗にしてはかなり大きく、当麻も「うお! でっけぇ!」とさっきの暗い声とは打って変わって驚いたような声を上げ、一人で先に進む。
「………ねぇ、とうまって、昔家族を亡くしたりしたの?」
「さすが禁書目録だな。東洋の文化も知り尽くしているか」
インデックスの頭には十万三〇〇〇冊の魔導書が記憶されている。その中には東洋や日本の仏教文化も入っていておかしくない。
「あいつはそれに対してはかなりデリケートだ。あまり触れるなよ。あいつが魔神であることを忘れるな」
118 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/11(日) 17:47:44.82 ID:fcJ2e9yV0
オティヌスが恐れているのは、上条当麻の暴走だ。感情が爆発することで魔神の力が感情のままに振るわれることで、世界が崩壊する恐れがある。
その場合は彼の右手を使えば元に戻せるが、最悪彼の精神が壊れて、それすらできなくなるかもしれない。それに今の当麻の力は不安定だ。精神が正常でも、魔術を使われれば世界にどんな影響を及ぼすか分からない。
「第一として、あの状態で、あいつには魔術を使って欲しくないな……」
「…………………………………」
「別にお前に原因があるわけじゃない。あいつが勝手にお前を庇っただけだ」
そのとげのある言い方に、インデックスの身体がピク、と震える。
「どうせ、自分のせいだとか、何もできない自分に怒りでも感じてるんだろ?
あいつがあんな"些細なこと"でお前を責めるわけないだろ。最後は気にすることねぇよ、で済ますに決まってる。
だからそんな下らない考え捨てて、今までのようにに接しろ。あいつならその方が喜ぶに決まってる。
あいつもまた、一人の人間だ」
119 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/11(日) 19:28:47.65 ID:fcJ2e9yV0
「…………そうかな」
「私はそう解釈しているぞ」
何年間も共に過ごした、オティヌスだからこそ言い切れる上条当麻という人間の性質。オティヌスの言葉には、信頼の他に、その誇りも感じられた。
そして、この話は終わりだと言わんばかりに、オティヌスは当麻のもとに急ぎ足で向かって行く。
インデックスは何か吹っ切れたかのように、「待ってよ〜! オティヌス!」と彼女に続いた。
店に入った三人は早速、前に買ったエアコンと同じ種類の物を買うために、店の奥の方へと向かう。
が、しかし、ここで"不幸"が襲う。
「うそだろ…………」
あろうことか、そこにエアコンは無かった。いつもなら稼働中のサンプルの下に商品が置いてあるはずなのに、それが影も形もない。
電化製品が売り切れるとは信じられないことだが、紛れもない現象(リアル)である。
120 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/11(日) 19:37:42.37 ID:fcJ2e9yV0
あまりの衝撃でその場で三人が固まっていると、後ろから「どうしたんですかにゃー? 御三方?」というエセっぽい土佐弁が聞こえてきた。
「え?」
と、突然かけられた声に後ろを振り返ると、
「もしかしてエアコンが目当てなら、もうとっくに売り切れちまってるにゃー」
そこには、アロハシャツを着た、金髪サングラスの、いかにも怪しげな男が立っていた。
121 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/11(日) 19:39:35.49 ID:fcJ2e9yV0
短いですが、今日の分はこれで最後です。
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/12(月) 12:11:29.75 ID:Xa6sV33Wo
おつん
123 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/13(火) 16:41:21.45 ID:WvkRXIMQ0
(にゃーってなんだよ……)売り切れって、電化製品であるエアコンが何で売り切れてんですか」
「昨日の落雷のせいで、ここら辺の学生寮の電化製品が一部駄目になっちまったから、たくさんの生徒がここに買い直しに来てるからだにゃー。
全く、学園都市の天気予報は外れるはずないのににゃー」
金髪アロハシャツはやれやれといったふうに頭を振った。落雷の原因を知る当麻はハハハ、乾いた笑いを見せながら、心の中で顔も名前も知らない生徒に謝った。
「たぶんどこの店も売ってないだろうにゃー。再入荷は未定らしいし…、ところでお宅ら、あんま見かけねぇ顔だにゃー? 転校してきたかにゃー?」
「まぁ転校……かな? この近くの学生寮に住んでるんだよ」
「!? もしかしてそこの女の子と同棲してんのかにゃー!?」
「まぁ、そうだな……」
「羨ましいんだにゃー!」
124 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/13(火) 17:05:41.46 ID:WvkRXIMQ0
他の客がいるのに関わらず、金髪の男は大声を上げた。
「金髪金眼美少女に銀髪碧眼シスター、どんなラノベの主人公だにゃー! リア充爆ぜろ、ハーレム爆ぜろ! こんチキショー!!」
(後半は口調が標準になって願望だらけじゃねーか)
「はぁ、はぁ、す、すまんにゃー。最近舞夏が構ってくれてなくてにゃー……」
だからってここまで感情を露にすることはないだろ、当麻は心中で突っ込んだ。
「まいか? もしかしてその子って土御門舞夏?」
インデックスは聞き覚えのあるのか、目の前の土御門舞夏の兄と思われる男に聞いた。
「? 舞夏と友達かにゃー? そーいやあいつ、隣に銀髪のシスターと金髪の美少女と冴えなさそうなツンツン頭の男が引っ越して来たとかいってたにゃー?」
「具体的すぎんだろーが! つーか冴えないってなんだよ!」
125 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/13(火) 18:40:32.69 ID:WvkRXIMQ0
冴えないと言われたのが傷ついたのか必死で否定しようとする当麻。しかしあの魔術師二人にも同じようなことを言われたのを思いだし、(そんな冴えないのか……)と若干自信をなくしてきてはいるが。
「ハハハ、落ち着くんだにゃー。
あ、改めまして、土御門舞夏の義兄、土御門元春だにゃー」
土御門元春と名乗る金髪の男は自己紹介をする。
「俺は上条当麻。明日からあの寮の学校に転校するから、同じクラスだったらよろしく。」
「よろしくだにゃー、カミやん。じゃ、俺はお目当てのもんは見つかったからそろそろ帰るにゃー」
お互いに自己紹介が終わると、そのまま土御門は満足気に帰っていった。上機嫌なのを見ると、『お目当てのもん』が見つかってよほど嬉しいようだ。
126 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/14(水) 17:08:46.05 ID:LZnp65kd0
「………………何かインパクトの強い人だったな」
当麻がしみじみとした表情で呟いた。
「私はできれば同じクラスにはなりたくないな。
あんなクソ変人とは」
(それはさすがに言い過ぎかも…………)
「しかし何でこう、学園都市には変なやつしか居ねぇんだろうなぁ」
そう愚痴をこぼしたら、頭に例のビリビリ中学生、御坂美琴の顔が浮かんだ。あれと似た人達とこれから暮らすと思うと「不幸だ…………」と口からお決まりのセリフを吐き出した。
「ねーねーとうまー。エアコンはどうするのー?」
127 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/14(水) 17:45:11.78 ID:LZnp65kd0
「うーん。……仕方ない、ちょっと遠い所に買いに行くしかないか……」
「えー!? また歩くのーー!?」
「さすがに疲れたぞ。もう空間移動魔術でも使って行った方がいいんじゃないか?」
「上条さんもそうしたいんですけど、正直苦手で毎回三キロくらいの誤差は当たり前なんですよ」
「完璧な魔神がなにいってんだよ」
「はっきりとイメージして、移動することだけに集中するかしないとダメなんだよ! 成り立ての頃も『部屋をキレイにしたい』って念じたらそこら辺の家具とかも一緒に消しちゃったこともあるんだからな!」
上条当麻という魔神は、望むことを一〇〇パーセント成功させることができる。しかしそれはあくまでも魔術によるものであり、望む事をそっくりそのまま再現出来るわけではない。
途中で雑念が入ればそれと混同した結果になる恐れもあり、それは複雑であればあるほど起こりやすくなる。
要は気持ちの問題である。自身の感情だけは、魔神でもどうにも出来ないのだ。
128 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/16(金) 18:55:29.56 ID:NcaiRixS0
「だったらあれを使ってみたい。丁度この前完成した物なんだが」
「完成? ひょっとして作ってた霊装かよ?」
前にオティヌスの仲間と話している時、オティヌスは何やら魔神級の霊装を作っているらしいと聞いた。
それにオティヌスは何回か家の原典を借りに来たりしていたので、あの原典を霊装を作るための参考にでもしていたのだろうかと思う。
「ん、知ってたのか。北欧神話に出てくるオーディン、別名オティヌスのみが持つ『骨船』と呼ばれる霊装だ」
そう言ってオティヌスがポケットから取り出したのは、ナイフで文字のようなものが刻まれていた何かの動物の脚の骨だった。
129 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/16(金) 19:15:39.69 ID:NcaiRixS0
「自分たちを移動させているのではなく、自分たち以外の全て、惑星の方を移動させることで瞬時の移動を実現しているんだ。
動くのは地球だから、お前の右手も関係なしで移動できる」
「へーすげーな! オティヌスってこんなものも作れんのかよ」
「借りにも魔神の失敗作だ。これくらい余裕で出来なくてどうする。
この場所じゃ使えないから一旦外に出るぞ」
当麻に褒められたせいか、若干嬉しそうな表情のオティヌス。
そのまま悠々と二人を連れて外に向かえたらよかったのだが突然、「あ」とオティヌスの足が止まった。
「ど、どうしましたー? オティヌスさん?」
嫌が予感はするが、当麻は取り敢えず背を向けたまま固まっているオティヌスに声をかける。
するとオティヌスは「怒らないで聞いてくれ…」と大変申し訳なさそうな顔でこっちを見る。
「……………実はこれ、だいたい三〇〇から四〇〇キロくらいの誤差が当たり前なんだった」
「はぁ!? 三〇〇から四〇〇って、俺の誤差の百倍もあるじゃねぇか!」
130 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/16(金) 19:23:10.58 ID:NcaiRixS0
「し、仕方ないだろ! 地球は一直線じゃないんだ! これくらい当たり前だ!」
「逆切ですか!? お前の『骨船』なんかを期待して損したわ!」
「つ、つまり、また…………」
ギャーギャー言い合う二人を傍目に、インデックスは絶望的な声を漏らす。
「……歩かなきゃなんねぇ……」
当麻の言葉で、ハァ、と三人分のため息がその時同時に出た。
「…………どうしてこうなった……………………」
131 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/16(金) 19:36:32.65 ID:NcaiRixS0
再び歩き始めた三人。灼熱地獄のような炎天下に置かれ、その顔に最早生気というか、希望というか、そう言ったものは一切無かった。
「何でだ。私達は普通でいたはずだ。いやいれたはずなんだ。バカの卵割りの訓練にだけ時間を潰していれば…………」
(オティヌスにも限界が来やがった…………。インデックスは…………)
ちらり、と隣を歩くインデックスを見る。
「アハハ、アハハハハハハハ!!!
ねぇねぇ見てよ当麻!? 目の前に緑色の髪をした変な男の人がいるよ!? アハハハハ!!!」
「ダメだ……(緑色の髪の男?)」
正直自分も限界が来ていた。このままでは本当に死んでしまう。魔神だから、といういつもの法則はちゃんと通じてくれるのだろうか?
132 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/16(金) 19:59:15.02 ID:NcaiRixS0
すると追い討ちをかけるように、「ちょっとアンタ!」という声が聞こえ、自分の身体がビクゥッ! と跳ねた。
「その声は……ビ、ビリビリ」
目の前に仁王立ちしているのは、茶髪で常盤台の制服を着た、当麻が最近よく出くわす少女だった。その少女は「またビリビリって……!」と身体から、比喩ではなく本当に電気を放出する。
「ビリビリじゃなくて、名前で呼べっての! さ、勝負よ!」
「また勝負かよ! このビリビリ中学生! 昨日もやったじゃん!」
「だ・か・ら・名前で……!」
「ハイハイ。でも御坂、悪いけど今日はムリ! またお前のせいでぶっ壊れた我が家の家具をまた買い直しに行かないと行けないんだよ!」
「ハァ? 知らないわよそんなの。さ、とっとと行くわよ!」
相変わらずの美琴の自分勝手ぶりに、当麻はげんなりとする。こっちはそれどころじゃないのに。
しかし当麻は突然、背後からの禍々しい気配を察知した。
「………………お前が学園都市第三位、"超電磁砲(レールガン)"の御坂美琴か?」
それはオティヌスのものだった。しかしその様子はまるで宵街を徘徊する吸血鬼のようで、目はしっかりと美琴を向いていた。
133 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/16(金) 20:03:46.94 ID:NcaiRixS0
今日はここまでです。
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/16(金) 20:50:28.06 ID:k80hfVtUo
おつかーレ
135 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/17(土) 13:10:46.17 ID:U0IggFeT0
「? アンタ誰よ?」
自分の好敵手の背後から出てきた金髪金眼の少女。勿論自分とは初対面のはずだが、どうやらあっちは自分の素性を知っているようだった。
「……………………………の、せいで………………」
「え?」
彼女から何か聞こえた。が、小さすぎて何を言ったのか分からなかった。
「お前のせいでええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
今度ははっきりと聞こえた。
そしてそれと同時に金髪の少女の手から、まばゆい光を放つ電撃の槍が放たれ、それは真っ直ぐと自分に向かって来る。
「くっ!」
紙一重でそれを避けるが、あの電撃の出力は焼け焦げた地面を見る限り、明らかにLevel4相当の威力だった。
136 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/17(土) 21:52:48.48 ID:U0IggFeT0
「ちっ! 外れたか!」
一方、電撃の槍を避けられたオティヌスは堪らなく悔しそうだった。勿論さっきの攻撃で殺す気はなかったが、目の前の女、御坂美琴のせいで被った被害を思いだし悔しさが別のベクトルの怒りへと変わる。理由はとんでもなくしょうもないのに。
そして、次の攻撃をしようとしたそのとき、
「ま、待てオティヌス!」
相棒、上条当麻が後ろから抱きついてきた。
「ひゃ、ひゃん! な、何をする!?」
勿論上条は暴走する自分を止めようとしたのだろう。しかし今のお互いの身体は密着状態で、傍から見ればまるで自分が抱き締められているように見えるだろう。
上条の体温を直に感じ、心臓はバクバクという音をたてている。そして、限界がやって来た。
「や、やめ、やめろ……!」
「え? あ、ご、ごめん!」
137 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/17(土) 22:08:09.07 ID:U0IggFeT0
慌てて上条は抱き締めるのをやめる。
が、次の瞬間、上条目掛けて雷撃の槍が飛んできた。
「え、ちょっとま、」
完全に不意討ち。勿論放ったのは美琴だ。
対処が遅れ、遂に上条の身体に直撃した。常人なら直ぐ様失神しても可笑しくないはずだが、
「イテテ…………」
それをちょっと痺れた程度で済ましてしまうのが魔神、上条当麻。
「くっそ、不幸だ」
「今更ながら、何でアンタはちょっと痛いで済ますの?」
「その前に今更ながらお前が電撃を放つのはなぜでせうかそしてなぜ今もビリビリしてる!?」
目の前の少女がビリビリ、というよりイライラしているのは主に自分が原因なのだが、それに気付くことがない上条。そして不幸は続く。
「とうま? 何でオティヌスに抱きついたの?」
「イ、インデックスさん。なぜその歯をガチガチとならしているんでせうか?」
138 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/17(土) 22:11:21.70 ID:U0IggFeT0
「決まってるんだよ。とうまに噛みつくためなんだよ♪」
「ふ、不幸だああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
魔神が全力疾走で逃げる姿が、そこにはあった。
139 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/17(土) 22:47:26.73 ID:U0IggFeT0
〜翌日〜
第七学区にある、とある高校の一年七組。
今の時間帯ならそろそろホームルームが始まる頃だが、今日は始まるのが遅れている。
「今日は小萌先生くんのおそいなー? どうしたんやろ?」
三大テノールもびっくりするほどの野太い声をした男が言う。いや、何よりもびっくりするのはその髪。場違いなくらいの青い髪だ。
「さぁ。今の今まで、遅れたこと何てないのにニャー」
その前の席に座るのは、同じく場違いなくらいの金髪をした男、というか土御門だった。
「ああ、早くあの幼い姿を見て癒やされたいわー」
「そのセリフじゃ、お前は生粋のロリコン決定だにゃー」
「ロリが、好きちゃうねん! ロリも、好きなんや!!」
140 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/17(土) 22:58:35.12 ID:U0IggFeT0
「結局同じだにゃー」
すると、教室のドアがガラリ、という音と共に開かれる。
「はーい、みなさーん。ホームルームを始めるんですよー?」
入ってきたのは教師、ではなく、どう見ても小学生くらいの女の子だった。しかも普通に教壇にたっている。
初見なら確実に唖然とする光景だがもう見馴れてしまったのか、生徒達は何ら違和感を抱かず、席に座っていく。
「そ・の・ま・え・に、今日は転校生を紹介するんですよー」
その一言に、教室の空気は一気に沸いた。
さらにその幼女、ではなく、幼女のような容姿の教師、月詠小萌は言葉を続ける。
141 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/17(土) 23:19:56.93 ID:U0IggFeT0
「し・か・も、一人ではなく二人。片方は男の子、もう片方は女の子ですよー。喜べ、ヤローどもに、女どもー」
「オー! 転校生美少女やー!」
「まだ美少女とは決まった訳じゃないだろ。つーか黙れ! この変態が!」
黒髪のロングヘアーの少女が青髪の変態に非難を浴びせる。だが逆効果のようで「吹寄はーん! もっと罵ってーー!」とかのたまっている。
「じゃ、入ってきて貰いましょう。どうぞー」
彼女の声を合図にガラリ、とまたドアが開いた。
142 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/17(土) 23:20:37.85 ID:U0IggFeT0
今日はここまでです。また明日上げます。
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/17(土) 23:22:12.27 ID:n7b4phBdo
おつかーレ
144 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/18(日) 11:02:53.78 ID:tczL/TGZ0
一年七組のドアの前。上条当麻は黒の学生服を身につけ、あの幼い教師に呼ばれるのを静かに待っていた。
(や、やべー。緊張してきた……)
何せ、上条は学校に来ることそのものが八年ぶりなのだ。
勉強云々の前に、ちゃんと馴染めるかどうか不安だった。
「緊張してんのか上条?」
オティヌスの声が背後から聞こえた。学校では上条呼びなので慣れない感じはあるが、もっと慣れないのはその格好だった。
「? どうした?」
振り返った上条が見たのは、――――セーラー服に身を包んだ金髪金眼の少女だった。
純白で新品のセーラー服はオティヌスの華奢なスタイルにぴったりで、二の腕や首など、普段は露出されない部分も珍しく露になっている。
正直、すごく艶かしい。
145 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/18(日) 14:30:43.85 ID:tczL/TGZ0
それに比べて自分はどうか。身長が一七〇センチ前後なのにサイズが無かったため、少し大きめのサイズのものを身につけているからダブダブだった。
まさしくオティヌスと正反対。
「いや、上条さんがここでやっていけるかどうか不安なんでせうよ……」
「安心しろ。できるだけフォローはしてやる」
「オティヌスマジ女神様!」
「お前が言うな。つーか何でそんなに不安がっているんだ?」
「いや、ガキの頃にちょっとな…………」
「……ああ、不幸体質か」
オティヌスは普通に上条の傷を抉ってきた。
「ここは私らと違って科学の街だぞ? お前の不幸体質なんてちょっと不幸な奴、くらいとしか思われないだろ」
「でも…………」
「ウジウジしてんじゃねぇ。呼ばれたから行くぞ」
146 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/18(日) 15:12:41.18 ID:tczL/TGZ0
相変わらず自分勝手だ。オティヌスは上条を押し退け、中に入る。上条は不安ながらもそれに続いた。
「学芸都市から転校してきた、オティヌス=ハーヴァマールちゃんと、上条当麻ちゃんでーす!」
なんだよ、オティヌス=ハーヴァマールって。
小萌先生の自己紹介に上条か心中で突っ込む。勿論オティヌスの偽名なのだが、上条はそのとき本気でオティヌスの姓名がハーヴァマールだと思った。
「オー! 金髪美少女やー!」
おいなんだ、あのエセ関西弁で青髪の男は。つーかその前にいる金髪グラサンは……土御門かよ。
「それでは上条ちゃんとオティヌスちゃん、後ろの席が空いているのでそこにどうぞー。
それではホームルームを始めまーす」
そしてホームルームが終わった後、早速上条らはこのクラスの生徒達に質問攻めにあった。
「なぁなぁ、カミやんとオティヌスはんは、一体どんな関係なんやー?」
いきなりドきつい質問が近くの席の青髪からとぶ。
「え? えーっと……強いて言えば……幼なじみ?」
「な、なんやー!? 幼なじみなんかー!?」
出会いこそイギリスのバッキンガム宮殿と普通とはかけ離れているのだ。その後に戦場を供にしたり、魔術組織を作るのを手伝ったり、後さらっと世界の危機を救うはめになったりと、いろいろと聞かれたらやばいこと尽くし。
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/19(月) 11:34:38.01 ID:rNoeejKgO
なら
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/19(月) 17:12:47.63 ID:rNoeejKgO
上条「まずは、その幻想をぶち[
ピーーー
]??」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/19(月) 17:14:17.38 ID:rNoeejKgO
上条「まずはそのふざけた幻想をぶち[
ピーーー
]??」
150 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/19(月) 21:34:47.26 ID:99PgjZ4M0
「クッソー! 二人にはボクらが入る間もないんかー!」
「え!? いや、何でそうなんの!?」
「何でって、幼なじみ二人が揃って学園都市に来たんやろ? もう普通にカップル成立しとうやん! どんだけアツアツなんよ!」
一人勝手に盛り上がり始める青髪ピアスと呼ばれる男。このままでは重大な勘違いをされかねないと思い、一緒に否定をしてもらうため(恐らく怒ってるはずの)隣のオティヌスにチラリと目をやるが――――
「(カアァァァァ)」
「(何故に顔を赤らめているんだ、オティヌス!)」
まんざらでもなかったようだ。
「んじゃ、改めて自己紹介……と言いたいところだが、オレはもう昨日やったからいいかにゃー」
151 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/19(月) 21:48:57.03 ID:99PgjZ4M0
青髪から解放(未だに疑惑は残っているが)され、土御門がそれぞれの自己紹介を始める。
「なんやツッチー、もうあっとったんかいな……。
あ、ボクは青髪ピアス。みんなからは青ピって呼ばれとうでー。よろしゅうなー。カミやん、オティヌスはーん」
「あの、本名の方は………」
「……禁則事項や (キリッ)」
「(あ、こりゃダメだ)」
重大な疑問を頭に残しながら、次に青髪ピアスの隣にいる黒髪のロングヘアーのしっかりとしてそう(ついでに巨乳)な女生徒が自己紹介を始める。
「私は吹寄制理。困ったことがあったらいってちょうだい」
「あ、委員長ですか?」
彼女のこの性格なら間違いない、そう確信した当麻だったが、
「いいえ、委員長はこの青髪の変態よ」
「ブォアァッ!?」
152 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/19(月) 22:00:57.10 ID:99PgjZ4M0
完全に意表を突かれた。思わず吹き出す上条。
「ひどいなフッキーはん。ボクは変態とちゃうでー」
「ロリコンが何をいっている!」
変態に吹寄が凄んだ。
「だからロリコンちゃう!」
だが、身体が一回り大きくなったかのような気迫を出しながら、青髪ピアスが思いの丈をぶつけ始める。
「ボクぁ落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪金髪ロングへアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテール――――――――――」
「「ふんッ!!」」
「へぶしっ!」
吹寄とオティヌスの息のあった蹴りが、青髪の変態に直撃、目標を静める。
153 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/19(月) 22:21:46.23 ID:99PgjZ4M0
その後は特に何も問題は無かった。
上条とオティヌスは同じクラスの生徒から心よく受け入れられ、困った時は土御門や小萌先生が助けてくれた。上条の不幸体質の事も、オティヌスの言うとおり『ちょっと不幸な奴』程度にしか思われず、何の心配もなかった。
だが、一番の問題は能力開発だった。
学園都市では投薬、電極などで脳を改造し、生徒達に能力開発を行う。
しかし魔術師である上条とオティヌスがそれを受ければ、どうなってしまうか分かったものでは無かった。
が、幸い二人は既に能力開発を受けたことになっているらしく、二人は無能力者と判定された。
154 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/19(月) 22:22:59.53 ID:99PgjZ4M0
今日はここまでです。
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/20(火) 02:00:19.79 ID:fvntVBmUo
おつかれなのー
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/22(木) 14:15:34.56 ID:EZpz4+3GO
絹旗「上条は超何にしますか?」
上条「そうだなあ、やっぱ定番メニューのオムライスかな。オティヌスはどうする?」
オティヌス「私も上条と同じもので良いぞ。」
絹 浜 フレ 麦 滝「!? いまどこから(超)声がした(んだ)?」
上 オティ「あ・・・・。」
麦野「上条は何か知ってるっぽいなあ?話してもらおうか?」
上条「実は・・・・、かくかくしかじかで・・・・・。」
麦野「この世にかくかくしかじかで通じる奴何ざ、居ねえよ。」
上条「ですよねー。やっぱ話さないとダメか?」キョロキョロ
絹旗「超当り前です。」 浜面「このままじゃ、気になって夜も寝られねえよ。」
フレメア「気になるから話せ。にゃあ」 滝壺「話したくないかみじょうを私はおうえんする。」
オティヌス「上条、話すしかないようだぞ?」 上条「みたいだな。」
上条「じゃあ皆、これを見てくれ。」
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/22(木) 19:10:47.07 ID:4eJcq7E5o
?
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/23(金) 00:27:38.00 ID:XIbPTu4Xo
本筋をシリアスに、しかも謎解きっぽく事件の少しずつ輪郭を表していく。
一方でキャラの性格を掴みながらの日常コメディに妥協がない。
冗談抜きで市販レベルなんだが何者だよ
159 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/23(金) 17:39:23.72 ID:XhzsuIIP0
感想ありがとうございます。皆さんが見ててくれていて嬉しいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昼休み。上条とオティヌスは、土御門、青ピ、吹寄の三人に昼食を誘われ、人気のない学校の屋上で楽しそうに昼食を食べていた。ただ一人を除いて。
「へー。カミやんって、ホンマについてへんのやなー」
下宿先のパン屋の、あまりのパンを頬張りながら、青ピは平坦な口調で言う。
「そんな軽く流すような口調すんなよ……。あー、これもつぶれてる、フコウダー」
半ば諦め口調の上条は、カバンの中で教科書もろもろに潰され、原型の留めていないパンを口に入れていた。
「何で教科書の下にパンを入れたのよ。普通逆でしょ」
そう言った吹寄は、『健康パン』と書かれた袋に入っているパンを食べていた。今日一日で、彼女が健康マニアだということが上条達に判明していた。
「もう一人の居候の世話をして忙しかったからな。
このお人好しめ。あ、昆布うまい」
上条と一緒に住んでいるオティヌスが、おにぎりを食べながら上条の素性を明かす。
160 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/23(金) 17:56:59.62 ID:XhzsuIIP0
が、それを聞いた青ピは、
「なんや!? 二人は同棲しとんかいな! しかももう一人って、もしかして女の子!?」
どうやら聞き捨てならない情報だったようだ。
そしてさらに、土御門がいらない事を言う。
「オティヌスだけじゃなく、銀髪のシスターのインデックスって子とも住んでるらしいんだぜい?」
「「はーーーーーーーー!?」」
青ピだけじゃなく、吹寄も一緒に驚いたような声を上げた。
「カミやん! どういうことやー!」
「説明しなさい! 上条当麻!」
「え!? 何でそんな怒ったように!?」
「オンナノコといちゃつきおってーー!」
「不潔! 不潔すぎるわ!」
「な、何かよく判んないけど、とりあえず、不幸だー!」
「……さすが上条だな」
「いっつもあんなんなのかにゃー。つか爆ぜろ」
その後、上条は上手く事態を収拾できず、青ピは「モテたい! うらやましすぎるやろー!」と何故か泣きながら去っていき、吹寄は「この不埒ものめ!」と怒りながら去っていった。
161 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/23(金) 18:48:09.44 ID:XhzsuIIP0
「……今日でこういうのって何回めだろう…………」
上条が遠い目をしながら青空を見上げる。
「これから毎日続くぞ」
オティヌスの言葉に、今日で何回目かの「不幸だー」の声が、青空に上がった。
「んじゃ、オレも食い終わったから戻るかにゃー」
弁当箱を巾着に包み土御門は、教師に戻ろうと立ち上がった。
「いや、待てよ、土御門元春」
しかし、その土御門をオティヌスが止めた。
するとオティヌスは、子供のいたずらを見破ったかのような顔で、こう告げた。
「お前、何で"インデックス"の名前を知ってるんだ?」
「え?」
「……………………………………」
一転して無表情になり、土御門は黙る。
「確か、お前は昨日会ったとき、初めて上条の名前を知ったんだよな? そして私の名前も今日初めて知ったはずだ。なのに何故、"インデックス"の名前を知っている? 教えた覚えはないよな?」
子供のような笑顔を浮かべたまま、オティヌスが問う。まるでネズミを追い詰めた猫のように。
すると、
「…………さすが、魔神の失敗作だな」
土御門はニヤリとした顔で、確かにこう言った。
162 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/23(金) 18:50:37.74 ID:XhzsuIIP0
短いですけど終わりです。
明日辺り、多く投下できると思います。
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/23(金) 20:30:10.08 ID:Mka8AH5Bo
おつにゃー
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/24(土) 09:09:29.12 ID:pNoQhvzOO
undefined
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/24(土) 09:10:34.99 ID:pNoQhvzOO
undefined
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/24(土) 09:13:01.79 ID:pNoQhvzOO
undefined
167 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/24(土) 14:23:38.33 ID:Mv6XEhCO0
「いや、……正しくはあいつの娘、ってところか?」
エセの土佐弁がなくなった口調で土御門が続ける。
「あいつと一緒にするな。血縁関係すら怪しいんだぞ。で、お前は何者だ? あいつを知ってるってことは、この街の暗部とやらと関わっているのか?」
「いやいや、オレは――――――」
「ちょ、ちょっと待った!」
何かを言いかけた土御門を、状況が全く理解できない上条が大声で止める。
「俺を置いてって二人だけで話進めんなよ! 土御門、何でオティヌスの素性を知ってんだ!? あいつって誰だよ!?」
置いてけぼりを食らって頭の中クエスチョンマークだらけの上条。しかし土御門は「だからー」と上条の方を向いてまたニヤリと笑って、
「オレはイギリス清教『必要悪の教会』所属で、今は学園都市のスパイ、土御門元春ぜよ」
168 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/06/24(土) 14:54:39.74 ID:Mv6XEhCO0
「え? は? えーーーーーーーー!!!?」
驚きの土御門の素性に、上条が驚愕のあまり大声を上げる。当の土御門は「ハッははー」と笑っていて、オティヌスは二人のやり取りが終わるのをただ待っていた。
「ス、スパイ!? いや、それよりも『必要悪の教会』ってことはステイル達とインデックスの同僚かよ!? いやつーかお前魔術師なの!?」
「いや、実はイギリス清教にスパイのふりしている学園都市の逆スパイってやつで、そのまた実は、逆スパイの振りをしている逆逆スパイで、そのまた実は……」
「ようは信用できねー嘘つきじゃねぇか!」
「まぁそうだにゃー。双方の勢力の間で争いを生ませないように駆け回っている、多角スパイってやつですたい」
「(うさんくせー)」
「イギリス清側からは、インデックスの監視役の監視役、学園都市統括理事長からは、お前らが暴れないように監視するようそれぞれ命じられててな、あのカエル顔の医者からIDと一緒にこの学校の学生証を渡すよう言ったのもオレなんだぜ?」
どうだすごいだろ? とでも言いたげなドヤ顔で土御門は言った。まあ、これが彼の素でもあるのだが。
169 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/24(土) 15:23:58.80 ID:Mv6XEhCO0
「つか、そんなあっさりと認めて良いものじゃねぇだろ……」
「始めはこっそり監視していくつもりだったんだが、バレて下手な嘘つくより、はっきりと素性を言った方が良いと思ってだにゃー。
ま、取り敢えず問題さえ起こさなければこっちも手を出しやしない。
オティヌスは結構頭がキレてそうだから、どっちも痛い目を見たくはないはずだぜ」
「遠回しの脅迫か? あいつにでも吹かれたか?」
やや挑発気味にオティヌスが言う。
しかし土御門は大して気にもせずにヘラヘラと笑っている。
「オレが命じられたのは監視だけだ。これはオレからの頼みとして受け取ってくれ」
「頼み? なんだよそれ?」
「……近々、魔術サイドとここ科学サイドで大きな争いが起きそうだ。例え避けられたとしても、飛び火が散る。だから余り大きく動く訳にはいかんぜよ」
段々と土御門の顔が真剣になっていく。彼は自分を多角スパイと言うだけあって、様々な情報を抱えているのだろう。そしてこれからどうなるのかも、大方予想もついているはずだ。
170 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/06/24(土) 15:46:43.08 ID:Mv6XEhCO0
「ま、こっちは義妹が無事ならそれでいいんだけどにゃー」
「「おい」」
そして根っからの変態でござった。
「んじゃ、オレはそろそろ本当に戻るぜ。昼休みがもうすぐ終わりそうだからにゃー」
そう言い残して、土御門はその場を去っていった。
残った上条達もまた、弁当の残りを食べて早く教室に戻る事にした。
「……なぁオティヌス。もしかして話に出てきたあいつって……」
「ああ。飛行機の中で話したあいつだ。それ以外に誰がいるというんだ?」
淡々とした口調でオティヌスが答える。対して上条は「でもなぁ……」と髪の毛をかきながら呟いた。
「未だに信じらんねぇよ。世紀の魔術師、アレイスター=クロウリーが生きてて、この街の統括理事長やってんなんて」
171 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/06/25(日) 00:45:57.28 ID:npWrXEAz0
余りいい考えが浮かばなかった……。
書き留めってどうやってるんでしょうか?
教えてくれたら嬉しいです。
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/25(日) 01:49:43.61 ID:QwDlxB8Qo
おつなのーね
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/25(日) 16:42:37.82 ID:zBxt1DsFO
とりあえずピンと来た単語連ねてそれに肉付けして何個かルート描いていけばこの話はこれに転用出来そうとかやってけば溜まるんじゃね?
後は自分が描きたいシーンだけ先に書いておけば書き溜めにはなると思うが
素人意見ですまん
174 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/06/25(日) 20:17:12.89 ID:npWrXEAz0
大変申し訳ありませんが、明日から二週間テスト期間に入るので、更新が難しくなります。
感想、批評など、お好きに書いて下さい。
175 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/06/25(日) 20:19:50.35 ID:npWrXEAz0
>>173
さん
ありがとうございます
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/25(日) 20:57:34.07 ID:dLuXaIUto
ういー
気長にまつよー
177 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage]:2017/07/01(土) 16:39:04.43 ID:wsSp8HB00
一応生存報告しに来ました。
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/02(日) 00:18:15.93 ID:8a4vjpJGO
待っとるで勉強がんばれ
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/07/10(月) 09:35:30.36 ID:cZ/bLzGo0
勉強頑張ってください。
保守
180 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/10(月) 14:15:19.51 ID:xqCTM62g0
その頃、多重スパイという衝撃の事実をあっさりカミングアウトした土御門は、二人に別れを告げた後、教室にも行かずに階段の暗い隅で電話をしていた。
その相手は、例の『人間』だった。
「……やっぱりバレた。さすが、戦いと詐術の神の名を冠するだけある。俺をつたって、芋づる式にお前の『プラン』にたどり着いて、その妨害へと本気で乗り出そうとしている……。
……ま、ここまでは計画通りといったところか? アレイスター?」
そして、電話の向こうに居るであろうアレイスターは一瞬間を置いて、
「何とか誤差を修正仕切れた、と言ったところだな。やはり『幻想殺し』が魔神となったのが大きな痛手だったが、今はまだ、彼がここを離れると言った気は無いようだな」
「(やはり計画通りか……)」
今の時点の土御門は、一見アレイスターとは協力関係の様に見える。
しかし土御門は、この『人間』が何か世界を揺るがす程の事、例えば八年前の『魔神』の誕生の様な大事を仕出かそうとしているのを知っていて、それを阻止しようとしていた。
181 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/10(月) 14:38:29.75 ID:xqCTM62g0
勿論アレイスターもまた、土御門の目論見を知っているだろう。
しかしそれを知っていても、こうして土御門を使っていると言うことは、まだ自分を手放すには早いと思っているに違いない。
しかしそれと同時に、土御門にはある考えが浮かぶ。
『こうして土御門元春が、アレイスターの目論見を挫こうとしている事すら、アレイスターのプランの一部なのでは』と。
仮にそうだとしても、土御門がアレイスターの遂行する『プラン』から目を離す訳には行かない。ただでさえ、前科を持っている危険人物なのだ。
そしてもし、その魔の手が自身が命を課して守ると決めた舞夏におよぼうとすれば、必ずや電話の向こうの相手を殺してでも止めるつもりだ。
『……ここまでは順調と言ったところか。
……おい土御門、聴いているのか?』
「ああ聴いている。じゃ、切るぞ」
もう要は済んだ、とばかりに一方的に土御門は電話を切る。
「さて……幻想殺しの魔神、上条当麻。世紀の大魔術師、アレイスター=クロウリー。
どっちに軍配が上がるか……」
その心中は、穏やかでは無かった。
182 :
◆fWgrVHZ/1E
[sage saga]:2017/07/10(月) 19:45:15.92 ID:xqCTM62g0
二週間振りなので今日はこれくらいが限界です。
週末は多く投下できそうです。
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/11(火) 03:12:42.32 ID:0ycteDNvO
テストも投下も乙でした
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/11(火) 18:50:01.05 ID:Srvq3E/Go
おつかーレ
185 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/15(土) 16:58:44.13 ID:rUrJNblA0
場所は変わってとある公園。すでに放課後の時間帯だけあってそこでは学園都市の住人が多く見かけられた。
とぼとぼと意味もなく歩く人、ランニングしている人、自身の能力を試している人など、昼間のストレスを癒すためか、自分のやりたいことをしている。
しかし、この学生服を着た、金髪の外人の少女は違った。
「遅いなあいつ……何してるんだ……?」
登校初日で既に疲労マックスのオティヌスは、自販機に飲み物を買いに行かせたったきり戻って来ない
相棒兼雑用の上条を待っていた。明らかにその顔は不機嫌だが、そんな表情でも美しく見えた。
「……待ってても埒があかんか……」
大方、厄介事に巻き込まれたのだろう。彼女の経験からして、そういった理由で遅れる事は多かった。
そして、生命探知魔術ーー理論上不可能なはずだがーーを周囲に展開し、オティヌスは上条を探し始めた。そして、発見には数秒もかからず、上条はすぐに見つかった。
「自販機の前……。動きがないな、誰かと話でもしてるのか? ……ん?」
そして上条の前には、もう一つの生命反応があった。
186 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/15(土) 17:12:48.57 ID:rUrJNblA0
だが、オティヌスが気になったのは別の事だった。
その生命力大きさ、魂の形からして、それは……、
「…………女…………」
さらにオティヌスが不機嫌になる。そして、
「コロス……!」
学校での疲労(主に青ピのせい)も重なってか、オティヌスは黒いオーラを纏い、上条のもとへと向かう。
上条当麻は不幸な人間だ。財布は落とすし、ゲーム機は踏み壊され、外に出歩けば魔術師に遭遇する毎日。そして今も、
「……不幸だ……」
彼は目の前の自販機に千円札を飲まれたばかりだった。取り返したいのはやまやまだが、失敗することはないにしろ別の障害が起こってしまうはずだ。
187 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/15(土) 19:09:14.37 ID:rUrJNblA0
「(怒るだろうなー、オティヌス。金呑まれれたなんて聞いたら……)」
諦めるしかない。そう思ったその時、
「何をしているんですか、とミサカはツンツン頭の少年に問います」
「へ?」
突如としてかけられた声に、思わず上条は間の抜けた返事をしてしまう。慌てて取り繕おうとしたがーーーー、
「み、御坂!?」
上条が最初に出会った学園都市の少女、御坂美琴がそこにいた。いや、似ていると言うべきか。雰囲気や口調が彼女とは違う。それに彼女は真っ黒な軍用ゴーグルを額に付けたりはしてはいない。
188 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/18(火) 17:04:58.09 ID:OFdM5fOa0
「私とは初対面のはずです、とミサカはツンツン頭の少年に答えます」
「(ああ、やっぱり違うのか……)いや、俺の知り合いに良く似てる、て言うかもろ同じ顔の奴がいてさ、つい……」
よくよく考えれば、あの美琴がこうしてわざわざ声をかけてくる訳がなかった。彼女なら顔を合わせた瞬間に、挨拶代わりの電撃を飛ばしてくるだろう。
冷静に考えて見ればそうだ。
だが、その冷静さも、目の前の彼女の、次の言葉で脆くも崩れ去る。
「ーーーーそれは一体、何体目のミサカの事でしょうか?」
「…………へ?」
なんと言った? 彼女は今『何体目』、と言ったのか?
急激に思考が凍てついていく。嫌な予感が身体中に走った。
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/07/18(火) 17:05:44.19 ID:Xt/p/pTP0
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/07/18(火) 17:12:04.81 ID:tzWEuNX00
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/19(水) 22:39:53.79 ID:v8zx/G9g0
上の奴キモいぜ☆
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/19(水) 22:50:51.95 ID:WYEhdJ6Lo
乙カレー
193 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/21(金) 22:48:08.29 ID:MwtLEDnj0
「? どうかしましたか、とミサカはいきなり凍りついた様な顔をしたあなたに声をかけます」
「!?」
しまった、顔にまで出ていたか。すぐに凍てついた思考を元に戻そうとするが、一向に、頭は回ろうとしない。完全に冷静さを欠いていた。
何とかして取り繕おうと必死に考えていると、
「ナアァァァァニしてんだ、カミジョオ〜〜?」
まさしく上条にとって救世主が来た瞬間だった。
だがそれと同時に、こんな状況でも自らに襲い来る恐怖も認知せざるをえなかった。
御坂美琴にそっくりな、彼女の後ろ。神秘的なまで美しい金髪をたなびかせる少女が、その華奢な身体に、どす黒いオーラ(何故か上条には視認可能)を纏わせて仁王立ちしていた。
こんなことできるのは彼女しかいない。
「……オティヌス?」
恐る恐る声をかける。すると、オティヌスは上条と自らを挟むように立つ御坂の妹と思わしき少女を
見て、
194 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/21(金) 23:13:01.86 ID:MwtLEDnj0
「……………………………で」
「え?」
何故かオティヌスは顔を下にして俯いてしまった。
いつもならすぐ上条に電撃の槍やら100パーセント命中する槍やらを投げたりしてくるのに、今回は何もしてこない。言葉責めすらしてこない。
「オ、オティ……」
不自然に思いながら、初めての事だったので戸惑いもしながらもどうかしたのかと聞こうとした。
しかしそれを待たずして、オティヌスの顔がばっ、と前を向いた。
「え…………」
そのオティヌスの顔は赤かった。しかもただ白い肌に赤が浮かんでいるだけじゃない。その金色の目の目尻には、涙が浮かんでいた。
「何で……グスッ、私より、『超電磁砲』と一緒にいるんだよ…………グスッ」
「え、えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/21(金) 23:40:57.19 ID:FrEPVTbjO
あーあ遂に泣かしたか…
196 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/21(金) 23:48:12.74 ID:MwtLEDnj0
恐らく魔神となって、というかこの世に生まれてこの方こんなにまで驚いた事は無かった。後に、伝説や神話になったとしてもおかしくないくらいの衝撃が、魔神、上条当麻に来た。
「え、い、イヤ、オティヌス!?」
「い、いつも、グスッ、外に出ると、『超電磁砲』と、グスッ、エッグ……」
「……………………………………」
泣いている。
あの冷酷非道とまで組織内で恐れられたオティヌスが、目に涙を浮かべている。普段の堂々とした態度はなくなり、上から目線の口調の影も無かった。
理由は何となく、いや、絶対の確信を持って言える。
寂しさ。学園都市に来てから数日、上条はここの複数の住人と交流をしている。カエル顔の医者を始め、ミステリアスな雰囲気の少女にツインテールの瞬間移動能力者、電気系超能力者とここ数日でかなりの人物と知り合う事ができた。
だがしかし、それを間近で見ていたオティヌスはどんな心境だったろうか。
自分のよく知る人物が、自分ではなく、他の者と楽しそうにしている。もとから愛情や友情等、人と関わると言った経験が浅く、それに餓えていた少女だ。
197 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/22(土) 00:23:03.34 ID:ZTwIEr/H0
「(きっと、不安を感じたり、怖くなったりするに決まってる)」
今隣にいる大切な人が、いなくなってしまう。
十年に近い日々を共に過ごし、それを一瞬にしてこの手で失った上条にはその気持ちが痛い程に分かった。ましてやオティヌスは、それが人並みよりも強いのだ。いや、強くなったといえる。この八年間、彼女は上条を通して人の温もりを知り、そしてその大切さを短期間で知った。
けれど、やはり一番の温もりを与えてくれる理解者である上条が離れてしまうのは、他の何に代えても耐えがたかったのだ。
それをごまかし、隠し、今まで耐えてきた。
それが今になって溢れてしまったのだろう。
「(……情けねぇ……、サイテーなヤローだ)」
寂しがっている彼女に気づかない奴の、何が理解者だ。口先だけで安心させ、今日までずっと耐えることを彼女に強いてしまったのだ。
「……………オティヌス……」
ゆっくりと、オティヌスに近づいて行く。
198 :
◆fWgrVHZ/1E
[saga]:2017/07/22(土) 00:32:45.48 ID:ZTwIEr/H0
今日はここまでです。
眠い……。
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/22(土) 00:58:41.26 ID:neXECQyzo
おティちゃん可愛い
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/11(金) 18:11:46.44 ID:XmW+vHL0O
おティちゃんマダー?
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/16(土) 22:37:10.30 ID:I4zchlZCO
まだかなー
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