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【ミリマス】琴葉「私とあなたと二人で」
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78 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 01:47:55.12 ID:ghsx7N6lo
顔を洗い、スーツに着替える
リビングに戻ると
P「おお…」
何ヶ月ぶりかに見るちゃんとした朝食があった
P「ちゃんとした朝食なんて久しぶりだ」
琴葉「…兄さん、まさか今まで朝ご飯を…?」
P「一人暮らしし始めたときはちゃんと作ってたんだけどな、春香達が売れ始めてから俺も忙しくなって面倒になって作らなくなったんだよな」
琴葉「やっぱり私が作らないと兄さんはそのうち栄養失調になりそう」
P「一応ビタミン剤は飲んでるから栄養は摂れてるんだけどなぁ」
79 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 20:22:31.41 ID:ghsx7N6lo
他愛ない話をしながら朝食を食べ終える
P「ご馳走さま」
琴葉「お粗末さまでした」
P「久しぶりに食べたけど、やっぱり琴葉の作る飯は美味いな」
琴葉「そ、そうかな?」
P「ああ、俺は琴葉の作る飯、好きだよ」
琴葉「あ、ありがとうございます、兄さん」
俺に褒められ、すごくニコニコしている琴葉を微笑ましく思いながら食べた分を片付ける
P「俺はそろそろ出勤するけど、琴葉は?」
琴葉「私もそろそろ行きます」
P「わかった」
80 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 20:30:25.09 ID:ghsx7N6lo
琴葉「これ、お弁当です」
P「ありがとう琴葉」
琴葉から弁当を受け取り、鞄に入れる
P「持ち物は問題なしっと」
琴葉「あ、兄さん、ネクタイが曲がってますよ」
P「おっと」
ネクタイを直そうとするが
琴葉「動かないでくださいね」
琴葉にさっとネクタイをただされた
琴葉「…」
しかしネクタイを直した琴葉は急に顔を赤らめると押し黙ってしまった
P「琴葉?」
81 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 20:38:09.83 ID:ghsx7N6lo
琴葉「え?あ、い、いってらっしゃいあなた」
P「お前は何を言っているんだ」
昔から変なテンパり方をするな、琴葉は
琴葉と一緒に家を出て鍵を掛ける
P「それじゃあ琴葉、気を付けてな」
琴葉「はい、放課後はすぐに行きますね」
P「わかった」
琴葉と分かれた俺は、まっすぐに劇場へ向かった
82 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 22:19:07.57 ID:GlSs7BiTO
P「さーて、昼にするか」
劇場での仕事が一段落し、ようやく一息つく
バキバキと嫌な音のする背中を伸ばしていると
莉緒「あらプロデューサーくん、休憩?」
歌織「お疲れ様です、プロデューサーさん」
P「莉緒、歌織さん」
莉緒と歌織さんが声をかけてきた
莉緒「あー、また呼び捨てにして」
P「あんたが呼び捨てにして良いって言ったんでしょうが」
莉緒「そうだけどー、たまには昔みたいに莉緒ねえって呼んで欲しいのよー」
P「子供かあんたは」
83 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 22:26:10.40 ID:ghsx7N6lo
歌織「ふふ、相変わらず莉緒ちゃんとプロデューサーさんは仲が良いですね」
P「か、歌織さん、違いますよ、俺と莉緒はただの腐れ縁です」
莉緒「昔はあんなにお世話してあげたのに…」
P「ごめんもう一回言ってくれる?20歳になった日にいきなり強い酒飲んで一瞬で酔い潰れた百瀬莉緒さん、もう一回言ってくれる?」
莉緒「笑顔なのになんか怖いわ」
歌織「ふふ♪」
P「と、ところで莉緒は何か用事でもあるのか?」
莉緒「あっとそうだった」
莉緒「プロデューサーくん、一緒にお昼でもどう?」
84 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/19(日) 22:26:39.92 ID:ghsx7N6lo
一旦ここまで
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/20(月) 02:28:21.51 ID:xi4r3PYg0
きてれぅ
おつおつ
86 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 22:53:57.75 ID:YR2gowtPo
歌織「私達、良いお店を見つけたのでもし良かったらプロデューサーさんもいかがですか?」
P「歌織さんからのお誘いとあらば行きたい所なんですが…」
莉緒「ちょっと〜誘ったのは私なんだけど」
P「生憎今日は弁当を持ってきていまして」
そう言って弁当箱を取り出す
莉緒「あら?プロデューサーくんって料理できたっけ?」
P「作ったのは俺じゃないからな」
歌織「それは…どなたかに作って頂いたんですか?」
P「はい」
莉緒「誰に作って貰ったの?」
P「莉緒もよく知ってる人だよ」
莉緒「私が?…おば様?」
P「それはない」
87 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 22:58:53.63 ID:YR2gowtPo
莉緒「じゃあえーっと……………思い付かないわね」
P「もう一人くらい思い付くだろ」
莉緒「だって私の覚えてる範囲じゃプロデューサーくんが女の子と仲良くしてた記憶なんて無いもの」
P「うぐっ」
歌織「プロデューサーさんは、今お付き合いされている方はいないんですか?」
P「え、ええ、恥ずかしながら」
歌織「そうなんですか…良かった」
P「え?」
歌織「な、何でもありません」
88 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:17:00.09 ID:h+FdZR1LO
莉緒「で、結局誰なのよ」
P「琴葉だよ」
歌織「…琴葉?」
莉緒「琴葉って…え?近所に住んでたあの田中琴葉ちゃん?」
P「そう、その田中琴葉だ」
莉緒「えっ、でもあの子の家、ここから遠いわよね?」
P「それが隣に引っ越してきてさ」
莉緒「一家揃って?」
P「いや琴葉だけ、一人暮らしだ」
89 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:25:03.34 ID:YR2gowtPo
莉緒「昔からプロデューサーくんの後を着いてくる子だったけど、そこまで追いかけてくるのね」
P「まあ、琴葉らしいけどな」
歌織「あの、プロデューサーさん」
P「はい、どうしました?」
歌織「その田中琴葉さん?とは一体どういう…?」
P「年下の幼なじみですよ、昔から俺に懐いていて、良く面倒を見てたんです」
歌織「その子がお弁当を?」
P「はい、まあ昔から俺のために料理を覚えたんだから振る舞わないと意味がないとか言って弁当や夕飯を作っていたので」
莉緒「琴葉ちゃんの料理、結構美味しかったわよね」
P「ああ」
90 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:40:24.39 ID:YR2gowtPo
歌織「…プロデューサーさん」
P「はい」
歌織「もし私が…プロデューサーさんにお弁当を作ってきたら、食べてくれますか?」
P「それって…」
茜「イノベーション、かもね!」
歌織「駄目…でしょうか?」
P「そんなことありません!歌織さんの作るお弁当が食べられるなんて幸せです!むしろ是非お願いします!」
茜「あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″!!」メキメキメキメキ
莉緒「プロデューサーくん、茜ちゃんの頭蓋骨が陥没するわよ」
91 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:44:16.47 ID:YR2gowtPo
歌織「それじゃあ明日早速作ってきますね!」
P「お願いします!」
歌織「ふふ♪」
莉緒「あ、ちょっと歌織ちゃん!お昼ご飯は!?」
鼻歌を歌いながら歩いていった歌織さんとそれを追い掛けていく莉緒
…歌織さんのお弁当か、まさかこんな幸運が舞い込んでくるとは
茜「プロちゃん…ギブ、ギブ」
P「おっと」
92 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:49:00.85 ID:YR2gowtPo
茜「全く酷いよプロちゃん!危うく可愛い茜ちゃんの頭蓋骨が変形しちゃうところだったよ!」
P「悪い悪い、で、何しに来たんだ?」
茜「ラブコメの波動を感じたから邪魔しに来た」
P「ほう」
茜「うわぉ!プロちゃんの右手が真っ赤に燃えて茜ちゃんを壊せと轟き叫んでるぅ!冗談!冗談だよプロちゃん!」
P「本題は?」
茜「昨日の琴葉ちゃんを迎えるためにサプライズパーティーをやろうかなーって」
P「サプライズパーティーか…」
茜「うん!だからプロちゃんはみんなのスケジュール調整をよろしくぅ!」
P「そういう事なら了解だ、琴葉を楽しませてやってくれ」
茜「任された!」
93 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/20(月) 23:49:53.03 ID:YR2gowtPo
一旦ここまで
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/21(火) 00:58:09.99 ID:VLx1tCIf0
琴葉莉緒歌織さんとかなかなか好きなチョイスだ
おつ
95 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 00:44:40.37 ID:wbQaQwsfo
パーティーの琴葉みんなに任せておけば良いだろう
後はどうスケジュールを調整するかだな
シアター組はまだほとんどがレッスンの段階だから容易いとして…
頭の中でスケジュールを練りながら弁当箱を開け、箸をつける
P「うん、美味い」
琴葉の弁当は、やはり美味かった
96 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 00:52:38.34 ID:wbQaQwsfo
恵美「おっはよプロデューサー」
P「恵美か、おはよう」
劇場の備品を管理していると恵美が声をかけてきた
もうそんな時間だったか
恵美「備品整理?手伝おっか?」
P「後はこの棚だけだから大丈夫だ」
恵美「そっか」
P「恵美はこの後レッスンだったな」
恵美「うん」
P「ならちょっと頼みたいことがあるんだが」
97 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 01:11:05.07 ID:wbQaQwsfo
恵美「なになに?アタシに出来る事ならなんでもやるよ」
P「…言い方が…いや、まあ良い」
恵美「?」
P「今日から琴葉がレッスンを開始するんだけど当然初めてだからペースとかも分からないはずだ」
P「だから琴葉の事を見ていて欲しい」
恵美「オッケー任せてよ、琴葉はちゃーんとアタシがフォローするから」
P「頼りにしてるぞ」
恵美「にゃはは、頼られちゃった♪」
98 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 01:19:25.77 ID:wbQaQwsfo
しばらくして
琴葉「おはようございます」
琴葉が劇場に到着した
P「おはよう琴葉」
琴葉「おはようございます兄さ…プロデューサー」
P「今、ちょっと危なかったな」
琴葉「中々慣れませんね…」
P「まあ徐々に慣れていくさ、さて、来たばっかりで悪いけど今日は早速レッスンを受けてもらう」
琴葉「はい」
P「初めてだからって緊張はしなくて良いぞ、今日は徐々に慣らしていくための準備運動みたいなもんだからな」
99 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 01:24:55.90 ID:wbQaQwsfo
P「更衣室にトレーニングウェアがあるはずだ、それに着替えたらレッスン場に集合だ」
琴葉「わかりました」
P「それじゃあ琴葉、レッスン頑張れよ!」
琴葉「はい!」
琴葉をレッスンに送り出した後、机に戻る
もう間もなく劇場の初公演がある
出来れば琴葉も出してあげたいところだ
そのためにも
P「俺も頑張らないとな」
今出来ることをやるんだ
100 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/11/22(水) 01:25:21.74 ID:wbQaQwsfo
一旦ここまで
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/22(水) 15:55:18.56 ID:fDUeuLRsO
おつ
102 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2017/12/20(水) 00:39:17.58 ID:vIBuw7Gto
琴葉「はあっ…はあっ…」
恵美「大丈夫琴葉?」
琴葉「だ、大丈夫、大丈夫…」
エレナ「そうは言ってもカラダは正直だヨ〜」
琴葉「…普段からもうちょっと運動しようかな」
アイドルのレッスン…テレビとかで見たことはあるけども、実際にやるとこんなにもキツいものだったなんて…
…でも諦めるわけにはいかない
兄さんの期待に応えるためにもどんどんレッスンをして、早く一人前にならないと
水分補給を終えた琴葉はそんな決意を胸に、立ち上がる
そして次のレッスンに挑むのだった
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/20(水) 21:20:20.83 ID:kRConR1+0
待ってた
104 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 13:00:10.54 ID:8pjgvGqbo
P「で」
琴葉「はい」
P「どういう状況かもう一度説明してくれるかな」
琴葉「レッスンを頑張りました」
P「それで?」
琴葉「レッスンをすごく頑張りました」
P「頑張ったのは良い事だな、それで?」
琴葉「でも何だか足りない気がして、自主練もしました」
P「みたいだな、それで?」
琴葉「…体力が尽きて、歩くことすら辛いです」
P「そうか」
P「…はあ」
琴葉「」ビクッ
105 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 13:07:40.27 ID:8pjgvGqbo
恵美「プ、プロデューサー、あんま怒んないであげてよ!琴葉はちょっとでも追いつこうと必死で」
P「わかってる」
琴葉「…」
P「琴葉、頑張るのは良いけどな、それで身体を壊したりしたら意味がないんだ」
P「琴葉だって嫌だろ?頑張ったのに、頑張りすぎて台無しにしちまうのは」
琴葉「はい…」
P「何事にも適切に対応すること、それが上達への近道なんだから」
P「ま、今回は授業料ってことで、明日明後日の筋肉痛を楽しみにしていると良い」
エレナ「レッスン頑張った後の筋肉痛は凄いヨ−、痛みで悶えちゃうネ!」
恵美「エレナなんで追い打ちかけてんの」
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/28(日) 15:03:47.10 ID:NVXAMJBs0
来てた
107 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 19:31:52.31 ID:8pjgvGqbo
P「とりあえず歩けないなら車で送って帰るけど、恵美とエレナも乗っていくか?」
恵美「アタシのチャリ積める?」
エレナ「ビンジョーするヨー」
P「チャリは積めるぞ、じゃあ微妙に残った仕事を片付けてくるからちょっと待っててくれ」
恵美「いってらっしゃ〜い」
恵美「それじゃ、ウチらも帰る準備しよっか」
エレナ「ワタシはいつでも帰れるヨー」
琴葉「私も、いつでも動けるように荷物はまとめてあるから」
恵美「りょーかい!んじゃアタシは荷物まとめてくるね」
108 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 22:43:13.66 ID:8pjgvGqbo
恵美が出て行ってから、エレナが声をかけてくる
エレナ「コトハ」
琴葉「?」
エレナ「焦ったって仕方ないヨ、だからネ」
エレナ「焦らず楽しく行こうヨー、そうしたら自然に結果も着いてくるしネ♪」
焦らず…楽しく…
琴葉「エレナ…うん、ありがとう」
エレナ「えっへへ〜」
恵美「お待たせ〜」
P「待たせたな」
兄さんと恵美が戻ってくる
P「車は正面に停めてある、エレナ、恵美、琴葉を支えてやってくれ」
恵美「おっけー」
エレナ「うんしょっと」
109 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 23:03:31.69 ID:8pjgvGqbo
P「…ん」
車を走らせること大体30分
さっきまで車内は女子三人の姦しいトークが聞こえていたのだが…
琴葉「…」
恵美「んん…」
エレナ「すやー」
どうやら三人とも眠ってしまったらしい
P「やれやれ」
琴葉は言わずもがな、他の二人も琴葉に付き合ってレッスンしていただろうから疲れたんだろう
…今はゆっくり寝かせてやるか
P「…お疲れさま」
俺は三人の寝息をBGMに、恵美とエレナを家に送っていった
110 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/28(日) 23:04:03.05 ID:8pjgvGqbo
一旦ここまで
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/29(月) 01:39:45.05 ID:SmXXY+uA0
おつおっつ
112 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/08(木) 22:15:15.25 ID:I+SIHcn8o
P「琴葉、着いたぞ」
恵美とエレナを家に送り届けた後、アパート近くの駐車場に着いた俺は琴葉を起こすために声をかける
琴葉「んぅ…」
しかし琴葉は起きる様子が無い
P「…」
今日はかなり張り切ってレッスンをしていたようだし、慣れないことをしたからかかなり疲れたのかも知れない
そうなると起こすのは可哀想だな…となると
P「よっと」
眠る琴葉を起こさないようにゆっくり身体を持ち上げ、おんぶする
P「よし」
ずり落ちないようにしっかりと支え、車をロックして歩き出した
113 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/08(木) 22:22:53.97 ID:I+SIHcn8o
琴葉「ん…あれ…?」
アパートに向かって歩いていると、琴葉が起きたのか背中でもぞもぞと動き出した
P「琴葉、起きたのか?」
琴葉「お兄ちゃん…?……あ、あれ?な、なんで私」
P「車の中で寝ちゃったんだよ、きっと疲れたんだろうな」
琴葉「恵美とエレナは…」
P「ちゃんと送っていったよ、二人ともぐっすりだったけどな」
琴葉「そうですか…」
P「目が覚めたなら降ろそうか?」
琴葉「ん…もう少し、このままでいたいです」
P「そっか」
114 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/08(木) 22:29:50.66 ID:I+SIHcn8o
琴葉「兄さんの背中、昔と変わらないですね」
P「そうか?」
琴葉「はい、広くて、大きくて、温かくて…私の、大好きな背中のままです」
P「大袈裟だな」
琴葉「大袈裟でも良いんです、だって私にとってはそれでも足りないくらいなんですから」
P「…」
琴葉「ふふっ♪」
P「ま、なら今のうちに堪能しておくべきだな」
P「明日からは多分死ぬほど痛いぞ」
琴葉「ううっ…エレナに脅された筋肉痛ですか…」
P「頑張れ頑張れ」
115 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/08(木) 22:32:59.57 ID:I+SIHcn8o
くだらない話をしながら歩いていると俺達の住むアパートに到着した
P「そろそろ降ろすぞ」
琴葉「あ、はい」
琴葉を降ろして鍵を開ける
P「一応湿布は渡しておく、まあ筋肉痛で起きられないって事はないだろうけど…もし辛かったら連絡してくれ」
琴葉「そ、それなら兄さん」
P「ん?」
琴葉「今日は泊めてくれませんか!?」
P「えっ」
116 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/08(木) 22:39:19.20 ID:I+SIHcn8o
琴葉「それなら私が筋肉痛で起きられなかったとしてもすぐに気付けますし!」
P「それはそうだが…」
琴葉「お願いします兄さん、流石に一人で地獄のような苦しみに耐えるのは辛いですから」
P「…」
頭を掻き、考える
泊めるのは吝かではないが…
P「…今回だけだぞ?」
琴葉「!はい!」
琴葉の事だ、これで断ったら間違いなく辛いのを隠すだろう
それなら目が届く範囲に置いておく方が良い
琴葉「〜♪」
嬉しそうな琴葉と一緒に部屋に入る
…とりあえず湿布を貼ってやるとするか
117 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:38:51.83 ID:zR2NkG/co
琴葉の作った夕飯を食べ、資料を見る
夕飯を食べ終えた琴葉は一足先に風呂に入っていた
P「莉緒と歌織さんで一度ユニットを組んでみるか…他には紬と瑞希と…」
劇場のみんなのデータを見ながら、売り出し方を考えていく
構想のあるユニット、一から考えなくてはならないユニット、既に活動しているユニット…考えることは沢山ある
そしてふと、琴葉をユニットに組み込むならどうなるのだろうかと考えた
琴葉はまだみんなと顔合わせをした訳ではない
だから誰と組ませるとどんな魅力が発揮できるのか未知数だ
118 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:45:52.16 ID:zR2NkG/co
ひとまず現在進行で交流のある恵美、エレナとユニットを組ませてみるのも良いかもしれない
となるとユニットのセンターは誰にするか
琴葉「兄さん、お風呂いただきました」
P「ああ」
ユニットのことを考えているとちょうど琴葉が風呂から上がってきた
琴葉「兄さんは、まだお仕事ですか?」
P「まあな」
琴葉が隣に座って資料を見てくる
…何だか良い匂いがする
119 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:49:16.45 ID:zR2NkG/co
その匂いに思わずドキッとしてしまう
…相手は琴葉だ、妹みたいなものなのに
琴葉「これは…みんなのデータですか?」
P「そうだ、だからあんまり見ないように」
琴葉「わかりました」
琴葉がすっと離れる
…琴葉の残り香が俺の鼻腔をくすぐってきた
…くそう、これじゃ集中出来ないぞ
120 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:51:21.31 ID:zR2NkG/co
P「ふう…」
資料を整理し、片付ける
琴葉「お仕事、終わったんですか?」
P「あんまり遅くまでやっても集中出来ないしな」
…嘘は言っていない
琴葉「それなら兄さん、一つお願いが」
P「なんだ?」
琴葉「髪を梳いてくれませんか?」
121 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:56:21.83 ID:zR2NkG/co
…
P「お前の髪を梳いてやるのも久しぶりだな」
ドライヤーで髪を乾かしながら櫛で梳いていく
さらさらとしていて気持ちの良い手触りだ
琴葉「中学生以来でしょうか」
P「お前が最後に家に泊まったのがそのくらいだったかな」
あの時は莉緒も泊まりに来て琴葉ばっかりずるいとか言ってたっけな…
琴葉「…兄さん、今誰のことを考えてましたか?」
P「莉緒だよ」
琴葉「莉緒って…莉緒姉さん?」
P「ああ」
122 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 00:59:53.56 ID:zR2NkG/co
琴葉「そういえば私が最後に泊まった時、莉緒姉さんもいましたね」
P「ゴールデンウィークだったからこっちに帰ってきてな」
琴葉「懐かしい…莉緒姉さん、今何してるのかなぁ…」
P「…」
同じ事務所でアイドルやってるって言ったらどんな反応するのやら
ま、それは本人と会ったときのために取っておくかな
123 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 01:34:07.77 ID:zR2NkG/co
P「よし、こんなもんか」
乾いた琴葉の髪を整えてやる
琴葉「ありがとうございました、兄さん」
時計を見るともうすぐ天辺だ
そろそろ寝ないとな
P「琴葉はベッドを使ってくれ、俺は…まあ適当に寝るよ」
琴葉「お布団も無いのに…ですか?」
P「ん…まあ、平気だろ」
琴葉「駄目です、ちゃんと寝ないと身体を壊します」
P「そうは言うがな…」
琴葉「なら…一緒のベッドで、寝ませんか?」
P「えっ」
124 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 01:36:26.02 ID:zR2NkG/co
一旦ここまで
おかえりは言わない
ただ、待ってたぞ琴葉って言いたい
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/09(金) 01:46:35.51 ID:7OwULXy70
乙
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/09(金) 11:32:22.71 ID:z4SI2IhoO
莉緒ちゃん幼馴染時の樣子も気になるね
127 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 23:22:57.70 ID:zR2NkG/co
P「…」
琴葉「な、なんだか凄く緊張しますね」
P「そうか、なら俺は床で」
琴葉「駄目です」
P「…」
琴葉「兄さんを床で寝させるくらいなら私が床で寝ます」
P「なら二人とも床で寝るか」
琴葉「別にそれでも構いませんけど、結局お布団は一つしか無いので一緒に寝ることになりますよ?」
P「…ふう」
128 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/09(金) 23:49:14.39 ID:zR2NkG/co
P「琴葉」
琴葉「はい」
P「何か不安を抱えてるみたいだな」
琴葉「…」
P「お前が甘えたりする時は何か不安な事があった時だ、今こうやってわがままを言ってるのもそうだ」
P「話してみないか?気が楽になるかもしれないぞ」
琴葉「…やっぱり兄さんにはバレてしまいましたか…はい、実はとても不安なんです」
琴葉「私は…本当にアイドルとしてやっていけるんでしょうか」
P「どういう意味だ?」
129 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/10(土) 00:23:15.76 ID:XyZHEoCyo
琴葉「私には、アイドルとしてのビジョンがありません」
琴葉「どんなアイドルになりたいかっていう目標が無いんです」
琴葉「だから…」
P「琴葉」
俺は琴葉の言葉を遮る
P「みんながみんな、なりたい目標があるわけじゃない」
P「エレナみたいにダンスが楽しいからってアイドルになった子もいる」
P「目標を持つのは良いことだ、だけどな」
P「目標を持つのが目標みたいなことになったら意味がない」
P「琴葉は真面目な子だ、だから時に考えすぎることもある」
P「でもたまには、楽しむことだけを考えても良いんじゃないかな」
130 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/10(土) 01:00:47.12 ID:XyZHEoCyo
琴葉「楽しむことだけを…」
P「楽しんでいく中で、きっと琴葉だけのアイドル像が見付かるはずだ」
P「俺はそのために背中を押して、手を引いてやる」
P「だからさ琴葉、全力で今を楽しめ」
琴葉「兄さん…」
その言葉を聞いて、琴葉が何故か抱き着いてくる
琴葉「わかりました、全力で『今』を楽しむ事にします」
俺に抱き着いたまま深呼吸をする琴葉
…何だろう、何かが食い違ってる気がする
しかし何が食い違っているのかがわからない…
ま、良いか
俺は考えるのをやめ、目を閉じた
131 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/10(土) 01:02:46.20 ID:XyZHEoCyo
一旦ここまで
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/10(土) 10:37:45.08 ID:lylB5zdno
おつ 今を楽しむとは
133 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 14:04:41.43 ID:GZbwXfN9o
兄さんがあっという間に寝てしまった
琴葉「…むう」
せっかく勇気を出して誘ったのに…
もう少し頑張って誘惑した方が良かったんだろうか?
ちょっと恥ずかしいけど、手を握るとか…
…
しかしこのままだと少し不安になる
この先ずっと妹みたいな存在としてしか見られないのかな
…いや、弱気になっちゃ駄目だ
134 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 14:35:06.34 ID:GZbwXfN9o
お母さんは押しに押していけって言ってた
お父さんは私が段々お母さんに似てきた…色んな意味でって言ってた
つまり私だって頑張れば私の両親みたいな素敵な関係になれるはず
だからもっと頑張らないと
琴葉「あっ」
せっかく生の兄さんの寝顔があるなら今のうちに写真を撮ってコレクションしないと
今までは毎年おば様に送っていただいていたけど、やっぱり自分で撮るに越したことはない
スマートフォンを構え、カメラを起動する
少し暗いけど、後で明度を補正すれば問題ない
フラッシュをオフにし、ピントを合わせて私はシャッターを切った
135 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 14:43:47.84 ID:GZbwXfN9o
琴葉「…よしっ」
綺麗に撮れた
後はこれをパソコンに取り入れて補正をかければ良い
スマートフォンを置き、もう一度抱き着く
兄さんから許可は貰った
だから全力で今この瞬間を楽しもう
そして願わくば、この先も
兄さんの胸に顔を埋めながら、私は意識を手放した
136 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 14:53:12.35 ID:GZbwXfN9o
P「ん…?」
窓から差す光の眩しさに、目が覚める
目が覚めると同時に、胸元に赤い何かがぷるぷると震えているのが見えた
そういえば昨日は琴葉と一緒に寝たんだっけ…
そこで改めて異変に気付く
…なんで琴葉は震えてるんだ?
P「琴葉、どうしたんだ?」
俺の声が聞こえたのか、琴葉が顔を上げる
琴葉「に、兄さん」
顔を上げた琴葉は涙目だった
P「ど、どうした!何があった!?」
琴葉「あ、足が…」
琴葉「足が凄く痛いです…」
137 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 15:10:02.81 ID:GZbwXfN9o
P「あー、筋肉痛か」
琴葉「こ、これは想像以上に辛いです…それと」
P「ん?」
今度は顔を赤くして俯く琴葉
琴葉「そ、その、兄さんのが太股に当たっていて…」
P「俺の?太股?」
そこまで言ってから気付いた
自分が今、寝起きであることを
P「あ、いや違うんだ琴葉!これは生理現象でいやらしい気持ちがあるわけじゃ」
琴葉「そ、そうですよね、私の胸が小さいから…」
P「一体何を言ってるんだ琴葉」
138 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 15:20:34.16 ID:GZbwXfN9o
P「足のどの辺りが痛い?」
琴葉「太股から下のほぼ全部です…」
P「ふむ…この辺りか?」
琴葉「はうっ!」
P「なるほど」
琴葉「に、兄さん」
P「よし琴葉、一旦風呂に入ってこい」
琴葉「お、お風呂ですか?」
P「ああ、湯を張ってじっくり浸かるんだ」
139 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 15:29:51.53 ID:GZbwXfN9o
琴葉「わかりました」
生まれたての子鹿みたいに震えながら歩く琴葉を見ていると流石に心配になったので脱衣所に連れて行く
P「これを渡しておこう」
琴葉「これは?」
P「プロデューサーたるものいつ呼び出されても良いようにと使っている完全防水の携帯だ」
P「風呂に入ってると電話が掛かってきたりしても気付かないだろ?だから持ち込むようにしてるんだ」
琴葉「なるほど…」
P「浸かったのは良いものの立てなくなったりしたら困るだろうし、そうなったら呼んでくれ」
琴葉「はい」
140 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 15:52:35.99 ID:GZbwXfN9o
琴葉「お風呂、いただきました」
P「お、大丈夫だったか?」
琴葉「はい、お湯に浸かっているうちに少し和らいだみたいで」
P「よし、なら次はベッドに座ってくれ」
琴葉「はい」
ベッドに座った琴葉の前に膝をつく
そして琴葉の足を持ち上げた
P「ちょっと我慢しろよ〜」
琴葉「に、兄さん、何を?…!?」
141 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 16:47:48.36 ID:GZbwXfN9o
足のツボを揉みほぐすと
琴葉「んやっ…!」
P「こら、暴れるな」
琴葉「だ、だって兄さんが…んんっ」
琴葉が抗議の声を上げる
P「ならこのまま痛いまま週末を過ごすのと少しはマシにするの、どっちが良い?」
琴葉「うっ…」
P「…続けるぞ」
返事が無かったのでマッサージを続行する
琴葉「んくっ」
142 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 16:52:45.22 ID:GZbwXfN9o
琴葉「やっ…ん」
P「…」
琴葉が艶っぽい声をあげる
そのせいであまり集中出来ない
仕方ない、手早く済ませよう
琴葉「!?に、兄さん、激しい…!」
P「我慢しろ、すぐに終わる」
琴葉「やっ…!こ、こんな…変な声が出ちゃう…!」
P「効いてる証拠だ」
琴葉「んあっ…に、兄さん…私、もう…」
P「これで最後だ」
琴葉「〜〜〜〜〜!」
143 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 17:02:13.28 ID:GZbwXfN9o
マッサージを終えたものの
琴葉「はあ…はあ…」
琴葉はぐったりと疲れ果てていた
P「だ、大丈夫か?」
琴葉「も、もうお嫁に行けません…」
P「大袈裟だな」
琴葉「!」
急に琴葉が布団を被り、寝転がる
P「どうした?」
琴葉「な、何でもありません!もう少し寝ます!」
P「そ、そうか?じゃあお休み」
144 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 17:05:47.65 ID:GZbwXfN9o
兄さんがリビングに向かった
…なんとかバレなかったみたい
兄さんのマッサージで身体全体が何だかむず痒い
それに触られたところが熱を持っているみたいに熱い
だからだろうか
汗を掻いたのか下着が…湿ったような感じがする
何だかお腹も熱を持ったかのように熱い
…これが落ち着いたら、もう一度お風呂に入ろう
145 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/12(月) 17:06:46.77 ID:GZbwXfN9o
一旦ここまで
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/13(火) 15:55:33.06 ID:etY+3EDwO
何気なく寝顔撮ってる時点でアウトだよ琴葉
乙
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/13(火) 21:20:32.55 ID:CGWaABkdo
おつ 琴葉ママの薫陶著しい
148 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/15(木) 00:04:38.34 ID:AdXC5qBEO
琴葉「ふわ…ぁ…」
P「お?起きたか琴葉」
琴葉「兄さん…おはようございます」
P「もう昼だけどな」
P「痛みはどうだ?」
琴葉「そうですね…兄さんのえっちなマッサージのおかげか幾分かマシな感じがします」
P「待て今マッサージの前に変な単語を付けなかったか」
琴葉「気のせいです」
P「まあ何でも良いけど…出掛けられそうか?」
琴葉「少しくらいなら」
P「よし、じゃあ昼飯を食べに行こうか」
P「奢るぞ」
149 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/15(木) 00:45:41.87 ID:4H97UYHfo
P「ここだ」
琴葉「佐竹飯店…中華料理屋さんですか?」
P「その通り、結構美味いんだここ」
扉を開けて店内に入る
「いらっしゃいませー!あ、プロデューサーさん!」
P「こんにちは美奈子、席は空いてるか?」
美奈子「はい大丈夫ですよ!…あれ、後ろの人は…」
P「ああ、紹介するよ」
美奈子「もしかして彼女さんですか?」
琴葉「そうです」
P「違います」
150 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/15(木) 01:07:51.95 ID:4H97UYHfo
美奈子「あ、違うんですね…良かった」
琴葉「…」ピクッ
P「彼女は田中琴葉、765プロの新しいアイドルだ」
美奈子「新しいアイドル?」
P「そう言えば美奈子は顔合わせの時いなかったな」
P「琴葉、自己紹介を」
琴葉「田中琴葉です、よろしくお願いします」
美奈子「佐竹美奈子です!よろしくね、琴葉ちゃん」
琴葉「よろしくお願いします、佐竹さん」
P「…ん?」
151 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/15(木) 01:24:56.53 ID:4H97UYHfo
美奈子「それじゃあ早速注文をお伺いしますね!」
P「俺はエビチリ定食を普通盛りで」
美奈子「今なら無料で大盛りに出来ますよ!なんなら特盛にも出来ますよ!」
P「普通盛りで」
美奈子「はーい…琴葉ちゃんはどうしますか?」
琴葉「私は天津飯を普通盛りで」
美奈子「了解しました!エビチリ定食と天津飯入りまーす!」
152 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/15(木) 02:22:00.29 ID:4H97UYHfo
P「琴葉」
琴葉「はい」
P「なんか機嫌悪くないか?」
琴葉「気のせいです」
P「そうか…?なんか不機嫌に見えたけど」
琴葉「気のせいです」
P「それなら良いけど…」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/15(木) 16:16:44.42 ID:Ph1OROK5O
火花散ってますな
154 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/18(日) 00:16:39.89 ID:z1Qhb4aco
琴葉「兄さんはさっきの佐竹さんと仲が良いんですね」
P「ん?まあ俺の担当アイドルだからな、後プロデューサー、だぞ」
琴葉「今はプライベートですから」
P「やれやれ」
何かピリピリしてるな…琴葉、中華料理嫌いだったっけ?
P「ん?」
携帯に歌織さんからメールが
琴葉「…」
155 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/18(日) 00:41:22.80 ID:z1Qhb4aco
件名:お弁当
プロデューサーさんお疲れ様です、歌織です
昨日はプロデューサーさんにお弁当をお作りする約束をしていましたが、今日はお休みだったんですね
今日お渡し出来ないのは残念ですけど、また週明けにお弁当を作って持っていきますね
ところで急で申し訳ないのですか、今日はお暇でしょうか?もし空いているのでしたらせっかくなのでこの後お食事など如何でしょうか?
156 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/18(日) 00:54:36.02 ID:z1Qhb4aco
ぐっ………!
なんという…なんというタイミングの悪さ…!
今昼飯を食べに来ていなければ喜んで行くのに…
…いや、待てよ
歌織さんは別に昼食とは言っていない
つまり夕食でも構わないんじゃ無いだろうか?
…聞いてみるか
Re:お弁当
お疲れ様です歌織さん
食事のお誘いありがとうございます
食事なのですが、夕食でも良いですか?
…良し
157 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/18(日) 01:15:05.38 ID:z1Qhb4aco
メールはすぐに返ってきた
内容は…夕食でも構わないらしい
…良し、なら夕方のスケジュールは必ず空けておこう
琴葉「兄さん、何だか嬉しそうですね」
P「まあな、ちょっと…いや、かなり良い事があったからな」
琴葉「良い事ですか?それは一体…」
P「後で話してやる、まずは…」
美奈子がお盆を持ってこちらに向かっているのが見える
P「昼飯を食べよう」
158 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/18(日) 01:22:34.56 ID:cm1gkM5ZO
一旦ここまで
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/18(日) 02:52:52.50 ID:5Atxe2Ru0
おつ
160 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/19(月) 00:17:23.61 ID:UIjloIn2o
美奈子「お待たせしました!エビチリ定食と天津飯です!胡麻団子をサービスで付けておいたので良かったら食べてくださいね!」
P「ありがとう美奈子、いただきます」
琴葉「いただきます」
P「うん、やっぱり美味い」
琴葉「…!本当に、美味しい」
P「だろ?」
琴葉「はい、確かに兄さんが好きであろ味ですね…ちなみに、エビチリの方は?」
P「もちろん美味いぞ、食べてみるか?」
琴葉「是非」
161 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/02/19(月) 00:30:41.37 ID:UIjloIn2o
琴葉の方にエビチリを差し出す
琴葉「…」
しかし何故か琴葉は動かない
P「琴葉?」
琴葉「あー大変な事が起こりました、兄さん」
P「何があったんだ」
琴葉「急にその…私の手が筋肉痛で動かなくなったと思うのでエビチリが食べられません、なので食べさせてください」
思いっきり目を逸らしながら言う琴葉
…まったく
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/20(火) 09:30:18.47 ID:4R9PlsECO
こやつ的確に地雷踏んでるな
163 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/03/14(水) 00:31:19.49 ID:tLnf446uo
P「仕方ないな、ほら、あーん」
琴葉「あ、あーん…」
琴葉の口にエビチリを運んでやる
琴葉「んっ、ピリッと辛くてエビはぷりっとしてて美味しい…」
P「だろ?美味いんだよ美奈子の作る料理は」
琴葉「…私の料理と、どっちが美味しいですか?」
P「どっちがと言われても美味いの種類が違うからなぁ」
琴葉「どちらかを選ばないといけないなら、どっちですか?」
P「う、うーん…?」
164 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/03/14(水) 01:03:53.97 ID:tLnf446uo
美奈子の料理は店の味として完成された美味さがあるし琴葉の料理は毎日食べても飽きない素朴な美味しさがあるし…
どっちと言われても選べないぞ…?
琴葉「…」
しかし琴葉は俺の答えを待つかのようにジッと見つめてくる
…うーん、正直に言った方が良いかな
P「美奈子の料理は店の味として完成された美味さがあるし琴葉の料理は毎日食べても飽きない美味しさがある」
P「つまりどっちも選べない!…ってのは駄目か?」
琴葉「ま、毎日?兄さんは私の料理、毎日食べたいですか?」
P「いや別に毎日食べたいかどうかは別の話で…あ、いや、毎日食べたいです、はい」
琴葉「そうですか…毎日食べたくなる料理…ふふ、ふふふ♪」
何やら上機嫌になった琴葉
とりあえずはこれで良かった…のか?
165 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/10(火) 23:18:49.20 ID:qvU5bO2/o
琴葉「ご馳走様でした」
食べ終えた琴葉が手を合わせる
P「美味かっただろ?」
琴葉「はい、兄さんが気に入るのもわかります…しばらく通って味を盗まないと」ボソッ
ボソッと何かを呟く琴葉
しかし何を言っているのかは聞こえなかった
P「それじゃあ行くか」
琴葉「はい」
166 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/10(火) 23:25:52.34 ID:qvU5bO2/o
P「ご馳走様美奈子、今日も美味かった」
美奈子「ありがとうございます!○○円になります」
P「悪い、細かいの無いから万札で大丈夫か?」
美奈子「はい大丈夫ですよ」
P「ありがとな」
美奈子「はい、こちらお釣りになります!領収書はどうしますか?」
P「いや、今回は良いよ、仕事じゃないし」
美奈子「わかりました!それじゃあプロデューサーさん、琴葉ちゃん、またのご来店お待ちしてますね!」
167 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/10(火) 23:44:47.83 ID:qvU5bO2/o
琴葉「兄さん、ご馳走様でした」
P「気にするな、この後どうする?」
琴葉「そうですね…兄さんさえよければ家で一緒に映画でも見ませんか?」
P「映画か…夕方までなら問題ないぞ」
琴葉「何か予定が?」
P「ああ、実は夕飯を食べに行くんだよ」
琴葉「夕飯、ですか」
P「ああ」
琴葉「その…誰かと行くんですか?」
168 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/10(火) 23:48:57.80 ID:qvU5bO2/o
P「琴葉はまだ顔を合わせてないと思うけど、桜守歌織さんっていう綺麗な人がいるんだよ」
琴葉「…」ピクッ
P「その人と夕食をな」
琴葉「二人で、ですか?」
P「多分二人だと思うけど…どうかしたか?」
琴葉「いえ…」
何でも無い風に装いながらも明らかにテンションが下がっているのがわかる
もしかしたら痛みが戻ってきたのかも知れない
P「まあ夕食まで時間はあるし、とりあえず映画を借りてさっさと帰ろう」
琴葉「…はい」
169 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/11(水) 00:38:41.54 ID:E3ihHYT3o
琴葉と映画を借りて家に帰る
埃を被っていたPS4を起動し、借りてきた映画を再生した
内容は女の子が昔から好きだった幼なじみの男の子にアタックを続け、最後には結ばれるというオーソドックスな恋愛モノだ
しかし改めて見るとこういう恋愛モノの男はどうしてこうも鈍感なのだろうか
普通はこんな風に好意を寄せられていたら気付きそうなものだが
こんな風な鈍感にはなりたくないもんだ
映画の中では林の中で女の子が男の子に告白し、男の子はそれを受けていた
その後、告白を受け止めてもらえた女の子は泣き出し、慌てて慰める男の子
もし俺がこの先誰かとこういう関係になるとしたら、泣かせないようにしたいものだ
170 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/11(水) 00:39:09.73 ID:E3ihHYT3o
一旦ここまで
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/11(水) 12:41:26.56 ID:drvvpVw4o
おつ どの口が言うねんP…
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/12(木) 18:16:55.61 ID:jCOLA6W1o
ははっ、どの口がいうか
173 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/23(月) 00:37:55.51 ID:GURv0BmWO
琴葉「とても面白かったです」
P「そうだな」
映画を見終わった俺達は互いに感想を言い合う
琴葉「思わずヒロインの女の子に感情移入しちゃって…少し泣きそうになりました」
P「琴葉は感受性豊かだもんな」
琴葉「ヒロインの女の子と私に共通点があったことも一因かもしれません」
P「共通点か…幼なじみがいるところとかか?」
琴葉「はい」
174 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/23(月) 00:42:13.09 ID:GURv0BmWO
P「ただやっぱり恋愛モノは男が鈍感なパターンが多いな」
琴葉「確かに、そういう傾向はあるかもしれません」
P「けどまあ現実にはあんな鈍感な男はそうそういないと思うけどな」
P「俺が友達だったらいい加減好意に気付けって言って殴ってるところだ」
琴葉「そうですか、では思いっきり鏡を殴ってきてください」
P「鏡?なんでだ?」
琴葉「はあ…」
175 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/23(月) 00:54:43.80 ID:GURv0BmWO
P「???」
何やら琴葉がジト目で見てくるが理由が分からない
一体何だというんだ
P「っと、俺はそろそろ出掛けるよ」
琴葉「あ、はい」
P「遅くなるかは分からないけど、適当に帰るんだぞ」
琴葉「わかりました、では兄さん、お気を付けて」
P「ああ、行ってきます」
176 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/23(月) 00:59:35.53 ID:GURv0BmWO
兄さんが行ったことを確認し、私も家を出る
…いた
歩いて行く兄さんの背中を捉え、気付かれないように適度な距離を保ちながら後を追い掛けていく
…兄さんが会う人…一体どんな人なのだろう
兄さんが綺麗な人だと言っていたからかなり綺麗であることは想像がつく
もしかしたら私では太刀打ち出来ないかもしれない
琴葉「…」
とにかく、相手を見極めないと…
私はそんなことを考えながら、兄さんを尾行した
177 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/04/23(月) 01:03:42.34 ID:GURv0BmWO
P「約束の場所はここだな…ちょっと早く来すぎたかな」
歌織さんと約束した場所に着くも約束の時間より一時間も早く来てしまった
歌織さんからのお誘いだから浮かれてるのかも知れない
ベンチに腰掛けて待とう
そう思って移動しようとしたときだった
歌織「プロデューサーさん…?」
歌織さんが声をかけてきた
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