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島村卯月「シンデレラクエスト」
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79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 01:10:23.70 ID:xVrh3lf2o
姑息の使い方間違ってるよ
アイドル自身が誤用してるって設定でもいいけど
80 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:39:40.08 ID:/epmwej50
>>79
指摘ありがとうございます
今更修正出来ないのでそういう設定でお願いします
81 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:40:49.13 ID:/epmwej50
加蓮ちゃんの告白に、私たちは驚きを隠せませんでした。
加蓮「実は魔王様に、勇者が旅立ったらしいから、どの程度のものか見極めてきてって頼まれてさ。それでかよわいヒロイン枠で勇者パーティに潜り込み、じっくりと見極めるというナイスなアイデアを思いついたの」
未央「自分でかよわい言うんだ!」
加蓮「で、みくにも協力してもらって一芝居打ったんだけど……ちひろアイなんてのがあるなんてね。それ知ってたら、こんな回りくどいことしなかったのに」
ありす「ちひろアイが無ければ、危うくずっと騙され続ける所だったんですね」
ちひろ「さすが私。我ながら自分のスペックが恐ろしいです」
卯月「そんなこと言ってる場合じゃないですよ!」
加蓮「そう、お喋りはそろそろ終わり。……ここからは、ボス戦の始まりだよ」
82 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:41:44.73 ID:/epmwej50
未央「かれん、ホントにやる気なの!?」
卯月「加蓮ちゃん、さっき魔王の側近って言ってたけど……それが本当なら、相当な強敵なんじゃ―――」
ちひろ「ありすちゃん、瞬間移動の魔法です! 逃げますよ!」
ありす「え!? に、逃げるんですか!?」
ちひろ「早く!」
加蓮「ふふっ、ちひろさん少し落ち着いたら? 屋内じゃ瞬間移動の魔法は使えないよ?」
ちひろ「あ!」
加蓮「ていうか、ちひろさん余計なことしすぎじゃないかな。ちょっと黙ってて。バインド」
加蓮ちゃんが唱えると、掌から小さな魔方陣が浮かび上がります。
ちひろ「むぐっ!?」
卯月「ちひろさん!?」
ちひろさんの小さな体が、光る縄のようなもので縛られました。
当然、羽も動かせなくなり、地面へと落下。
83 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:42:43.06 ID:/epmwej50
未央「大丈夫!?」
ちひろ「むぐ、むぐぅ」
加蓮「邪魔だったから、口を塞ぐついでに動けなくしただけだって」
ありす「つ、杖も持たずに魔法を……?」
加蓮「ん? だって杖重いんだもん」
ありす「そんな理由ですか!?」
加蓮「ふふっ、それよりさ……自分たちの心配をした方がいいんじゃない?」
加蓮「言っとくけど私、すごく強いよ」
―――瞬間。
加蓮ちゃんから凄まじいほどの闘気が、私たちに向かって放たれました。
84 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:43:18.44 ID:/epmwej50
卯月「っ!」
ありす「な、なんですか……この、プレッシャーは……」
未央「び、ビビっちゃ駄目! 相手は1人、こっち3人! 全然勝機はあるよ!」
ありす「そ、そうですよね。……やるしかないです!」
卯月「……加蓮ちゃんを、魔王から救い出さないと!」
加蓮「そうそう、それでこそ勇者だよね。……じゃ、始めよっか!」
―――戦闘、開始ですっ。
85 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:43:53.00 ID:/epmwej50
未央「ありすちゃん、さっきと同じ! まずは下がってて、やばそうになったら魔法お願い!」
ありす「分かりました!」
未央「いくよ、しまむー!」
卯月「うん!」
私と未央ちゃんが、真っ直ぐに加蓮ちゃんへと突っ込みます。
まずは、未央ちゃんの銃撃から。
未央「いくよ、かれん!」
未央ちゃんが引き金を引き、加蓮ちゃんに向かって何発もの銃弾が放たれました。
それに対して、加蓮ちゃんは右腕を前に出し―――
加蓮「フレア」
そう唱えました。
浮かび上がる魔方陣。
そして、加蓮ちゃんの掌から球状の小さな炎が生まれ―――銃弾はそれに飲み込まれます。
未央「な!?」
加蓮「こんなもの?」
86 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:45:07.51 ID:/epmwej50
未央「くっ、しまむー!」
卯月「いきますっ!」
加蓮「次は卯月か」
卯月「やぁっ!」
私は振りかぶった剣を加蓮ちゃんへと―――
加蓮「アイス」
加蓮ちゃんが唱えた瞬間、方形の氷が形成されます。
その氷はまるで盾のように―――今まさに、私が剣を振り下ろそうとしていた位置に。
卯月「え!?」
キィンという音とともに、振り下ろした剣は氷によって防がれました。
加蓮「もう、これぐらい砕いてみせてよ」
卯月「っ!」
87 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:45:42.13 ID:/epmwej50
未央「引いちゃ駄目! しまむー、攻撃し続けて!」
卯月「うん!」
私が繰り出す、斬撃、斬撃、斬撃。
そして未央ちゃんが撃ち出す、銃撃、銃撃、銃撃。
連続で、次は交互に、また連続。
息つかせる暇をなくす勢いで、私と未央ちゃんは、加蓮ちゃんに攻撃を仕掛け続けます。
―――しかし、その全てを、加蓮ちゃんは魔法で防ぎきりました。
加蓮「もう終わり?」
卯月「ぜ、全然、効いてない……」
未央「嘘でしょ……?」
加蓮「うーん……やっぱり弱いね。これくらいじゃ魔王様には―――」
ありす「卯月さん、未央さん、離れてください!」
88 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:46:26.52 ID:/epmwej50
卯月「! 分かった!」
未央「任せたよ、ありすちゃん!」
加蓮「今度はありすちゃん? さて、一体何をしてくれ―――」
ありすちゃんが魔力を集中。
周囲にバチバチと青い稲妻が走り始めます。
加蓮「!? これ、まさか……!」
ありす「迸れ、数多の雷よ!」
加蓮「っ! 焼き尽くせ、灼熱の炎よ!」
ありす「スパーキングサンダーノヴァ!」
加蓮「ブレイジングフレアノヴァ!」
ありすちゃんに続いて、加蓮ちゃんも呪文を唱えました。
89 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:47:08.35 ID:/epmwej50
かたや、生み出されたのは青き稲妻。
かたや、生み出されたのは赤き烈火。
強大な2つのエネルギーは、地を這うように真っ直ぐ、向かい合う相手の元へと。
そして―――雷撃と炎撃は、直線上でぶつかり合いました。
《ドゴォオオオオオンッ!》
激突の余波が、辺りに衝撃となって伝わります。
卯月「きゃっ!」
ありす「ど、どうです……!」
未央「やったか!?」
ありす「どうして余計なフラグを!?」
私たちの視線の先に―――
加蓮「い、今のは……本気で焦った……」
まだ、加蓮ちゃんは立っていました。
90 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:48:34.24 ID:/epmwej50
ありす「ほら未央さんのせいで倒せなかったじゃないですか!」
未央「わ、私のせい!?」
卯月「多分、未央ちゃんは関係ないと思うよ!?」
加蓮「まさかありすちゃんがノヴァ系……最上級魔法を使えるなんて。すごいね、ありすちゃん。さあ、もっともっと撃ってきなよ!」
ありす「え。あ、そ、そのぅ……」
加蓮「? どうしたの?」
ありす「……」
加蓮「まさか……もうMPないとか?」
ありす「ぎくぅ!?」
未央「もうちょい隠せない!?」
加蓮「……なんだ。じゃあ3人とも、今ので全部出し切っちゃった感じ?」
ありす「そ、それは……」
未央「私たちの攻撃は、全然通用しないし……」
卯月「これ以上、どうしようも……」
91 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:49:41.95 ID:/epmwej50
私たちの様子を見て、加蓮ちゃんは小さくため息をつきました。
加蓮「もうちょいやれると思ったんだけどなぁ。じゃあもう、これ以上やっても仕方ないし……そろそろ全滅しとく?」
卯月「っ!」
加蓮「まずはやっぱり、勇者の卯月からかな。……フレアレイ」
加蓮ちゃんの右手の前に浮かび上がる魔法陣。
そこから生み出されたのは、一条の炎の光線。
一筋の炎は、まっすぐに、私へと迫って―――
未央「しまむー、危ない!」
卯月「未央ちゃん!?」
92 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:51:10.85 ID:/epmwej50
未央ちゃんが声を上げた次の瞬間、私は未央ちゃんに勢いよく突き飛ばされました。
倒れ行く私の視線の先では……炎の光線が、未央ちゃんを貫こうと―――
そんなの、させない。
私はまるで砕こうとするかのように、地面を強く踏みつける。
踏みとどまる。
そして踏み出す、未央ちゃんの前へと。
未央「しまむー!?」
決めたはず。
未央ちゃんに頼りきるのは、もうやめるって。
だから……!
卯月「私が!」
93 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:52:29.52 ID:/epmwej50
……感じる。
今、自分の中に新しい力が生まれた。
それを―――引き出す!
卯月「ティンクルスター!」
叫ぶと同時、手に持つ剣の切っ先に光が収束していく。
―――炎が目の前に迫る。
今だ。
これに突き刺す!
そして―――切り裂くっ!
加蓮「フレアレイを!?」
未央「斬っちゃった!?」
ありす「すごいです……!」
94 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:53:04.67 ID:/epmwej50
まだ。
このまま突っ込んで―――決める。
卯月「たぁっ!」
加蓮「しまっ!?」
そして―――私の剣が、加蓮ちゃんの体を貫いた。
加蓮「……やるじゃん、卯月」
卯月「加蓮、ちゃん」
加蓮「でも、この程度じゃ私は倒せないよ」
加蓮ちゃんがそう告げた瞬間、私は加蓮ちゃんに両手で突き飛ばされました。
卯月「わっ!?」
当然、加蓮ちゃんを貫いていた剣は、加蓮ちゃんの体から引き抜かれます。
95 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:53:49.88 ID:/epmwej50
加蓮「さて、じゃあ今のお返しに最上級魔法を―――」
卯月「!?」
未央「しまむー!」
ありす「逃げてください!」
加蓮「なーんてね♪ 今日はもうおしまいでいいや」
卯月・未央・ありす『……へ?』
加蓮「いやー、3人とも思ってたよりもやるね。さすが勇者パーティ」
ありす「な、何を急に……」
卯月「おしまいって……?」
加蓮「だから、もう戦闘はおしまいだって。卯月たちの力は十分見せてもらったし、これ以上やる必要ないもん。だって、全滅させてもどうせ生き返っちゃうでしょ?」
ありす「そ、それは……そういえばそうですね」
96 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:55:09.36 ID:/epmwej50
未央「じゃあかれん、逃げるって言うの?」
加蓮「逃げる?……その言い方はなんか気になるなぁ。3人とも、ちょっと離れてて」
卯月「え?」
加蓮「あ、死にたいんなら別にいいけど」
未央「しまむー、早く!」
ありす「よく分かりませんが、離れましょう!」
卯月「う、うん!」
私たちは急いで、加蓮ちゃんから離れました。
加蓮「ま、それくらい離れれば大丈夫でしょ。じゃ……」
加蓮ちゃんの周りに、膨大な魔力が収束していきます。
97 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:55:39.30 ID:/epmwej50
ありす「な、何を……」
加蓮「出口作るだけだよ、ありすちゃん」
ありす「で、出口?」
加蓮「天さえもかき消す無垢なる光よ……ヴァニシングライトレイ!」
加蓮ちゃんが呪文を唱えた瞬間、今までに見たことがないほど大きな魔方陣が、宙に浮かび上がりました。
そしてそこから―――凄まじい量の光の奔流が、天へと向かって昇っていきます。
卯月・未央・ありす『うぇえええええええええええええ!?』
その光景に、絶叫するしかない私たち。
98 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:56:19.78 ID:/epmwej50
ちひろ「むぐぅ、むぐぅ」
未だに拘束が解けないちひろさん。
みく「……魚は……魚だけは勘弁して……っ」
未だに寝ているみくちゃん。
そして気付くと―――砦の天井が完全に消滅していました。
卯月「えぇええええええええええええええ!?」
未央「天井なくなったぁあああああああああああああ!?」
加蓮「こうすれば、瞬間移動の魔法使えるからね」
ありす「加蓮さん、なんですか今の魔法!? チートじゃないですか、あれ!?」
加蓮「普通の魔法だよ。最上級魔法の上の、超級魔法だけど」
ありす「そんなのあったんですか!?」
99 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:58:11.54 ID:/epmwej50
加蓮「ありすちゃんもいつか使えるようになるかもね。じゃ、私もう行くけど……あ、その前にありすちゃんにスタドリあげる」
加蓮ちゃんはどこから取り出したのか、スタドリをありすちゃんに向かって優しく投げました。
ありす「え、あ、どうも」
加蓮「それ飲めばMP回復するから。そうすれば、瞬間移動の魔法で近くの村まで飛んで行けるよね?」
未央「何その優しさ!」
加蓮「友達なんだから当然でしょ。じゃ、またねー。……テレポラ!」
瞬間移動の呪文を唱え―――加蓮ちゃんは、その場から姿を消しました。
100 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:58:40.68 ID:/epmwej50
ありす「……行っちゃいましたね」
卯月「加蓮ちゃん、本当に魔王に操られてるのかな……?」
未央「うーん……さっきまでは戦ってたわけだし、微妙なとこだよね……」
ちひろ「むぐぅ、むぐぅ」
未央「あ! かれん、ちひろさんの拘束解き忘れてる!」
卯月「ど、どうしよう、剣で斬れるかな!?」
ありす「ちひろさんごとザックリいってしまうかもですが、その時はその時でしょう」
ちひろ「むぐ!?」
みく「……うん、たい焼きなら大丈夫にゃ……」
101 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 22:59:28.90 ID:/epmwej50
―――フタツメノ村 宿屋
あの後、私たちはありすちゃんの魔法で近くの村に戻ってきました。
みく「……尻尾にあんこは、入ってない方が……」
未央「みくにゃん、いつまで寝てるんだろ」
ちひろ「それにしても、加蓮ちゃんが引いてくれて良かったですね」
ちひろさんの拘束は、あの後無事に解けました。
ありす「そうですね、まだあんな魔法を撃てたなんて」
ちひろ「それだけじゃありませんよ。加蓮ちゃんのレベル、いくつだったと思います?」
卯月「レベル?」
未央「あ、そっか。ちひろアイで見えたんだね」
ありす「私が今11ですから……多めに見積もって、30くらいじゃないですか?」
ちひろ「いえ、70です」
卯月・未央・ありす『70!?』
102 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:00:10.94 ID:/epmwej50
未央「そこまで差があったの!?」
卯月「どうりでこっちの攻撃が通用しないと……」
ありす「メチャクチャ手加減されていたわけですか……」
ちひろ「でしょうね。やはり魔王の側近を名乗るだけはあるということです」
私たちが、その事実に驚愕していると―――
みく「……にゃ?」
みくちゃんが、目を覚ましました。
卯月「あ、みくちゃん。大丈夫?」
みく「卯月チャン? みく、一体どうして……」
ちひろ「良かった。今見てみましたが、魔王の支配はきちんと解けているようです」
103 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:00:57.90 ID:/epmwej50
みく「魔王?……あ! ごめん、みんな!」
未央「え?」
みく「みく、みんなに……あ、つい謝ったけど、特に何もしてなかったにゃ」
ありす「一撃で戦闘終わりましたからね」
卯月「みくちゃん、魔王に操られていた時の記憶があるの?」
みく「うん、うっすらと」
未央「じゃあ、魔王のことも覚えてる? どんなやつなの?」
みく「うーん……ごめん。記憶にもやみたいのがかかってて、思い出せない」
卯月「そっか……」
未央「魔王……一体何者なんだろ?」
104 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:01:45.11 ID:/epmwej50
―――魔王城 玉座の間
卯月たちとの戦闘の後、加蓮は魔王城へと帰還していた。
加蓮「ただいまー」
玉座の間には、加蓮以外に2人の人影が。
一人は、加蓮と同じく魔王の側近を務めている将―――魔戦将。
そして、残る一人は当然―――魔王である。
魔王「おかえり、加蓮」
魔戦将「それで、勇者はどうだったんだ?」
加蓮「卯月だった」
魔戦将「へー、卯月か。……卯月!?」
魔王「……え、本当に?」
105 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:02:22.80 ID:/epmwej50
加蓮「ホントだって。それに未央とありすちゃんも一緒」
魔戦将「うわー……」
魔王「……どうしよう。戦い難いよ、それじゃ」
加蓮「そうなんだよねー……」
魔戦将「うーん……あっ!」
加蓮「どうしたの?」
魔戦将「あー、その……ち、ちょっと用事思い出してさ。あたし、もう行っていい?」
魔王「何言ってるの? 今は大事な話の最中だよ」
魔戦将「そ、それは分かってるんだけど……」
106 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:03:05.38 ID:/epmwej50
加蓮「……そういえばもうすぐ、アニメ始まる時間なんじゃない?」
魔戦将「!? そ、そんな、アニメ見たいから部屋戻りたいなんて、一言も言ってないだろ!」
加蓮「今言ったけどね」
魔戦将「あぅっ!?」
魔王「はぁ……いいよ、好きにしなよ」
魔戦将「え、いいのか? じ、じゃあお言葉に甘えて……あっ、でもアニメ見るわけじゃないからな!」
加蓮「分かったからもう行きなって」
魔戦将「わ、分かればいいけどさ。……やたっ♪」
最後の言葉だけは2人に聞こえないように小さく呟き、魔戦将は玉座の間をウキウキ気分で後にしていった。
加蓮「なんでこっちの世界でアニメとか放送してるんだろ……?」
魔王「知らないよ……とにかく、卯月たちのことはしばらく加蓮に任せるから。どうにかして旅を諦めさせてみて」
加蓮「りょーかい、魔王様」
107 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:03:36.88 ID:/epmwej50
―――フタツメノ村 宿屋
みく「―――そっか。卯月ちゃんたちは、魔王を倒すために旅をしてるんだね」
ありす「はい」
卯月「それに、加蓮ちゃんも魔王の支配から解放しないと」
ちひろ「……いえ、加蓮ちゃんだけではないかもしれません」
未央「どういう意味?」
ちひろ「もしかしたら、他にも魔王に操られている子がいるかもしれないということです」
卯月「え!?」
ありす「確かにみくさん、加蓮さんと2人も操られているわけですから……その可能性はありますね」
卯月「そんな……」
108 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:04:19.98 ID:/epmwej50
未央「大丈夫! もしそうでも、みくにゃんだって助けられたんだし、同じように助けられるよ!」
卯月「未央ちゃん……うん、そうだよね!」
ありす「私たちなら、きっと出来ます」
みく「……じゃあ、みくの力も貸してあげるね」
未央「え、いいの?」
みく「もちろんにゃ! 友達が魔王に操られてるのを、放っておけないよ!」
卯月「ありがとう、みくちゃん!」
ちひろ「みくちゃんが仲間になりました」
みく「ふふん、このみくが仲間になったからには、大船に乗ったつもりで―――」
話している途中で、みくちゃんが唐突に消えました。
卯月・未央・ありす『え!?』
109 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:04:49.88 ID:/epmwej50
―――楓の酒場
みく「―――いるといいにゃ!」
楓「……みくちゃん?」
みく「にゃ?……楓さん!? え、なんでにゃ!? ここ、どこ!?」
楓「ちょうど良かったわ。今、人手が足りなかったの。手伝ってくれる?」
みく「え、え、え!?」
110 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:05:26.87 ID:/epmwej50
―――フタツメノ村 宿屋
未央「みくにゃんどこ行ったの!?」
ありす「消えちゃいましたよ!?」
ちひろ「大丈夫です。ただの仕様ですよ」
卯月「仕様!?」
ちひろ「パーティに編成できるのは、3人までですから。それ以上の仲間が増えると、自動的に楓さんの酒場に転送されるんです」
卯月「て、転送って……」
ありす「みくさんもさぞ驚いているでしょうね」
ちひろ「みくちゃんを編成したい時は、一旦楓さんの酒場まで戻ってください」
未央「面倒くさっ!」
ちひろ「ありすちゃんの魔法を使えば、一瞬で飛べますよ」
ありす「その度にMP回復しなければいけないわけですが……」
卯月「と、当分、この3人でいいかな」
未央「だね」
ありす「みくさんには悪いですが、そうしましょう」
111 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:05:53.89 ID:/epmwej50
―――楓の酒場
みく「酷くない!?」
楓「みくちゃん、どうしたの?」
みく「なんか、急にツッコまなきゃいけない気がして」
楓「? とにかく次、このビールをあちらのお客様にお願いね」
みく「あ、はい。……お待たせしましたにゃー!」
112 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/21(日) 23:07:23.34 ID:/epmwej50
呪文名はテキトーに決めてます
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/21(日) 23:54:45.41 ID:/n2aZYlxO
魔王とその側近…一体何プリムスなんだ…
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/22(月) 00:06:30.42 ID:imwPrg3yo
魔王と側近は正体が分かりやすい
魔戦将さん楽しそうですね
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/23(火) 15:26:35.95 ID:BCokaJ+vo
>魔戦将「へー、卯月か。……卯月!?」
これでわかった
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/23(火) 16:31:14.93 ID:LEGFSUiAo
魔戦将さんはカラテ(格闘技)で戦いそう今季の中の人繋がりで
117 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/27(土) 20:30:15.16 ID:IW0R1ody0
―――ソノアタリノ森
それは突然のこと。
???「曲者っ!」
その声が聞こえたと思った次の瞬間、どこかから手裏剣が飛んできました。
未央「危なぁっ!?」
卯月「大丈夫、未央ちゃん!?」
ありす「え、なんですか急に!?」
あやめ「避けましたか……さすがにやりますね」
卯月「あやめちゃん!?」
木の陰から姿を現したのは、あやめちゃんでした。
その装いは、まるで忍者のようです。
118 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/27(土) 20:30:52.98 ID:IW0R1ody0
ちひろ「ちひろアイ!……あやめちゃんは魔王に操られているようです!」
卯月「えぇ!?」
あやめ「その通り! わたくしは、魔王様の忠実なるしも―――忍び!」
未央「しもべを忍びに言い直した!」
ありす「やはり操られていても、元の人格が残っていますね」
あやめ「我が忍術、とくとご覧あれ! 水遁の術!」
ありす「来ます!」
あやめ「そぉれっ」
かけ声を出すとともに、あやめちゃんが扇子を取り出したと思ったら―――。
なんと! 扇子から、ちょろちょろと水が出てきました!
119 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/27(土) 20:32:35.29 ID:IW0R1ody0
卯月「す、すごいです!」
ありす「……えっ? すごいですか、これ?」
あやめ「水遁ですよ水遁! これぞまさに忍術ではないですか! はっ! せやっ!」
卯月「わぁ……!」
ありす「水……遁……?」
扇子から次々と水が出てきます。
私は思わず、ぱちぱちと拍手を送りました。
未央「いやそれ、ただの水芸じゃ……」
ちひろ「しっ! 未央ちゃん、それは言わないのが優しさですよ」
未央「……そだね」
あやめ「むむ。卯月殿以外、驚きもしないとは……さすがは勇者ご一行ですね!」
未央「勇者関係ないと思う」
120 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/27(土) 20:33:24.72 ID:IW0R1ody0
あやめ「では次は―――火遁の術です!」
ありす「来ます!」
あやめ「いざっ!」
あやめちゃんが何か飲み物のようなものを口に含みます。
そして手に持ったライターの火を点け、それに向かって口に含んだものを噴き出しました。
すると、ライターの炎が大きく膨れ上がり、まるであやめちゃんが火を吐いたように!
卯月「す、すごいです! こんなの見たことありません!」
私は惜しみない拍手をあやめちゃんへと送ります。
121 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/27(土) 20:34:06.33 ID:IW0R1ody0
ありす「いや、どこかで見たような……」
未央「大道芸の火吹き芸じゃ……」
ちひろ「しっ! だから言っちゃ駄目です!」
あやめ「ば、馬鹿な……これすらも驚くに値しないというのですか……?」
ありす「ある意味物凄く驚いてます」
あやめ「ならこれはどうです! 木遁の―――」
未央「ばきゅん」
あやめ「ぐはっ!?」
未央ちゃんが、あやめちゃんを銃で撃ちました。
その場にバタリと倒れるあやめちゃん。
どうやら体力が0になり、眠ってしまったようです。
122 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/27(土) 20:34:44.18 ID:IW0R1ody0
卯月「何するの、未央ちゃん!?」
未央「あ、ごめん、つい」
ありす「気持ちは分かります」
ちひろ「せっかくの異世界なのに、出てきたものが全て、元の世界にあった芸でしたからね」
卯月「……見たかったなぁ」
あやめちゃんが起きたら木遁の術を見せてもらおう。
そう心に決めた私でした。
あやめ「……ニンッ」
123 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/27(土) 20:35:10.96 ID:IW0R1ody0
―――ミッツメノ村
卯月「ここがミッツメノ村だね」
未央「なんだか、随分静かじゃない?」
ありす「確かに……」
ちひろ「活気を感じませんね」
村を行き交う人たちは、あまり元気があるようには見えません。
それに、何か……。
卯月「何か、違和感があるような……」
未央「違和感?」
ありす「私も、何か足りない気がします」
ちひろ「とりあえず、村を回ってみましょう。何か分かるかもしれません」
卯月「そうですね」
124 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/05/27(土) 20:36:09.95 ID:IW0R1ody0
―――宿屋
それから、ぐるりと村を一回りした私たち。
今は宿屋の一室に集まっています。
卯月「やっぱり、何か足りない気がする」
未央「うん、私もそんな気がしてきた」
ありす「……私、何が足りないのか分かりました」
ちひろ「え、本当ですか?」
卯月「ありすちゃん、それって?」
ありす「この村には―――子供が1人もいないんです」
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/27(土) 20:59:36.43 ID:d8hoBJWEO
子供・・・カリスマ・・・うっ、頭が
126 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:41:00.02 ID:py67JEyq0
卯月「子供……あ、そっか!」
未央「それだ! 村の中、小さい子が1人もいなかったもん!」
ちひろ「どういうことでしょうか……?」
ありす「もしや、魔王の配下が関係しているのでは?」
未央「まさか、事務所の誰かが子供をさらってたり?」
卯月「でも、そんなことする人―――」
《ドタドタドタッ!》
その時。突然、宿屋の階段を勢いよく駆け上がってくる足音が聞こえました。
卯月「な、何?」
ありす「どんどん、この部屋に近づいてきます」
未央「まさか、魔王の配下なんじゃ……!」
私たちが警戒を強めると―――ついに、部屋の扉が開きました。
127 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:42:01.85 ID:py67JEyq0
《ガチャ―――》
美嘉「ちっちゃい子いるってこの部屋!?」
卯月・未央・ありす・ちひろ『美嘉ちゃん(美嘉ねー・美嘉さん)!?』
美嘉「え? あ、卯月に未央! それに……ありすちゃん!」
ありす「え!?」
美嘉ちゃんはありすちゃんを見つけた途端、ありすちゃんに抱きつきました。
美嘉「良かった! 良かったよ、ありすちゃん!」
ありす「ひぃっ!? た、助けてください! このままじゃさらわれます!」
128 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:42:59.43 ID:py67JEyq0
卯月「美嘉ちゃん、正気に戻って!」
未央「美嘉ねー、すぐに魔王の支配から解放してあげるからね!」
私と未央ちゃんが、武器を構えて美嘉ちゃんに狙いをつけます。
美嘉「え?……なんで武器こっちに向けてるの!? 危ないでしょ、やめてよ!」
未央「消え去れ、魔王の支配―――っ!」
卯月「少しだけ我慢して、美嘉ちゃんっ!」
美嘉「いやぁああああああああああああああああああっ!?」
ちひろ「……ん? 美嘉ちゃん、魔王に操られていませんよ」
卯月・未央・ありす『……え?』
129 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:43:52.19 ID:py67JEyq0
―――数分後。
美嘉「……アンタたち、アタシに何か言うことがあるんじゃない?」
卯月・未央・ありす『勘違いしてすみませんでしたっ!』
美嘉「まったくもう……」
未央「で、でも美嘉ねー、なんでありすちゃんに抱きついたりしたの?」
美嘉「ありすちゃんの無事が嬉しくて、つい抱きついちゃったの。この辺りの子供、みんな魔王の配下に攫われたらしくて」
卯月「魔王の配下に……やっぱり」
美嘉「アタシ、こっちの世界来てから莉嘉を探して旅してるの。で、子供がさらわれてるって噂を聞いて……もしかしたら、莉嘉もって思って。その魔王の配下の居場所を調査してたんだ」
未央「そうだったんだ」
ありす「それで、魔王の配下の居所は判明したんですか?」
美嘉「ううん。それが、どんな奴なのかすら分からなくて。子供たちは、みんな一人になった時にさらわれたらしいの」
ちひろ「中々用心深いようですね」
ありす「それなら……囮作戦というのはどうですか?」
130 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:44:22.70 ID:py67JEyq0
―――ミッツメノ村 はずれ
ありす「る、るんるんっ♪ おさんぽおさんぽ楽しいなー♪」
131 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:45:13.38 ID:py67JEyq0
―――そこから少し離れた位置
卯月・未央・美嘉・ちひろ(ありすちゃん可愛い)
未央「―――はっ!? いやいや、ほっこりしてる場合じゃないよ!」
卯月「あ! そ、そうだよね!」
美嘉「ありすちゃんが自分から囮役を買って出てくれたんだもん。気を抜いちゃまずいよね」
ちひろ「ありすちゃんがわざとさらわれて、私たちがその後を尾けていけば、きっと魔王の配下のもとに辿り着けるはずです」
132 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:45:41.61 ID:py67JEyq0
―――ありすside
ありす「るんるんるんっ♪」
ありす(だ、大分精神がきつくなってきました……早く来てください魔王の配下!)
??「見ーつけたっ☆」
ありす(!? 後ろから声が!?)
133 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:46:23.71 ID:py67JEyq0
―――卯月side
ちひろ「あれは!?」
未央「来たの!?」
ちひろ「見てください! あそこにメタリックなスライムが!」
メタスラ『ぴぎ?』
美嘉「魔王の配下じゃないじゃん!」
ちひろ「そんなの後回しです! あいつを倒せば一気にレベルを上げられますよ! 逃げられる前に倒してください!」
卯月「確かに、そんな美味しい獲物を逃がすのは勿体ないかも……」
未央「うん、急いでやっちゃおう!」
美嘉「アンタたち正気!?」
134 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:47:05.44 ID:py67JEyq0
―――ありすside
ありす「え!? あなたは―――」
??「スリプル」
ありす(睡眠の呪文……!? しまった、眠気が……みなさん、後はお願いしますっ!)
135 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:47:46.46 ID:py67JEyq0
―――卯月side
私は剣で目の前の敵を切り裂きます。
卯月「やあっ!」
メタスラ『ぴぎ?』
卯月「き、効いてる気がしませんっ」
ちひろ「狙うは会心の一撃です!」
未央「オッケー!」
美嘉「早いとこ倒さないと……っ!」
美嘉ちゃんの振るったムチが、会心の一撃に!
メタスラ『びぎ!?』
メタリックなスライムを倒しました!
136 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:48:12.43 ID:py67JEyq0
ちひろ「やりましたね! 経験値フィーバーです!」
未央「これでこの先の戦闘が楽になるよ!」
卯月「良かったね!」
美嘉「まったく…………ん?」
未央「どうしたの、美嘉ねー?」
美嘉「…………ねえ。ありすちゃん、いなくなってるんだけど」
卯月・未央・ちひろ『……えっ?』
137 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/06/13(火) 00:51:23.18 ID:py67JEyq0
―――???
ありす「う、ん……」
??「あ、やっと起きた?」
ありす「っ!?……魔王の配下が、あなただったなんて」
莉嘉「ありすちゃん、リカちゃんランドへようこそっ☆」
138 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/03(月) 22:02:23.03 ID:otwgMPWz0
***
莉嘉によって作られた幼女のための一大テーマパーク、リカちゃんランド。
その中央にそびえ立つ城―――リカデレラ城の城内を、ありすはひた走っていた。
ありす「あーもうっ、卯月さんたちは何をしているんですかっ! このままじゃ……!」
走りながら後ろを振り返るありす。そこには―――
みりあ「待ってよ、ありすちゃーんっ!」
薫「いっしょにあそぼー!」
随分と見慣れた顔たちが、ありすのことを追いかけて来ていた。
ありす「本当に遊ぶだけなら構わないんですけどね……っ!」
しかし、残念ながらそれはありえない。なぜなら、彼女たちの精神は魔王に支配されているのだから。
ありすは莉嘉によってここに連れ去られた。そして目覚めてすぐ、莉嘉にこう告げられたのだ。
莉嘉『ありすちゃんもアタシたちの仲間になってよ☆』
ありす『お断りです』
即答だった。当たり前だ。遊び仲間ならともかく、魔王の仲間になどなるわけがない。
139 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/03(月) 22:05:00.66 ID:otwgMPWz0
だが、その答えを聞いた莉嘉は、強引にありすを仲間に引き込もうとした。
すでに仲間に引き込んだプロダクションメンバーたち(全員幼女)を、ありすにけしかけてきたのだ。
しかしそこは逃げ足の速さに定評のある勇者パーティの一員。
自らの身が危ないとコンマ1秒で察したありすは戦略的撤退を即座に決断し、その場を一目散に離脱。そして……今に至る。
ありす(転移魔法で逃げようにも、空が見える場所じゃないと使えないし……どうすればどうすればどうすれば!)
この場を切り抜けるため、必死に考えを巡らすありす。
そして、導かれた結論は一つだった。
ありす「どうするも何も、どうにかして外に出るしかないっ!」
目指すは、未だ見えぬ出口。
140 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/03(月) 23:07:40.92 ID:otwgMPWz0
*
ありすは一旦、通りかかった部屋へと身を隠した。
みりあ『ありすちゃん、どこー?』
薫『もしかして、かくれんぼー?』
緊張感に欠ける声が部屋の外から聞こえてくる。そして、その声はだんだんと小さくなっていった。
ありす「……とりあえず、一息つけそう」
ほっと息を吐くありす。
ありす(いくらなんでも、あの数を相手にするのは無理……というか、一回しか魔法が使えない以上、相手が2人より多かったらほぼ詰みなんだけど)
つまり今の状態はほぼチェックメイトをかけられているのだ。あくまで、戦うとしたらの話だが。
ありす(ここは逃げの一手しかない……どうにかして外への出口を見つけないと)
窓から出ようかとも考えたが、どこの窓も、開閉できない不親切設計になっている。
外に出るには、きちんとした出口から抜け出すしかない。
ありす(でも出口の場所は分からないし……都合よく地図でもあればいいのに……ん?)
そこで、ありすは部屋のテーブルに置いてある紙に目を止めた。
【リカデレラ城 見取り図】
ありす「都合よすぎないですか!?」
141 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/03(月) 23:10:33.62 ID:otwgMPWz0
ツッコミつつも、思わずそれを手に取るありす。
ここまで走ってきた道のりと照らし合わせてみると、どうやら本物の地図のようだ。
しっかりと、出口の場所も記されている。
ありす(ここまで行ければ……! いや、でも罠かも……あまりにあからさますぎるし……)
ありすはしばし逡巡する。
だが、ここで悩んでいても状況が好転しないのは分かりきっていた。なぜか卯月たちは来る気配が欠片もないし。
ありす(……やるしかない。誰にも見つからずに、出口までたどり着く……そう、これはまさにスニーキングミッション!)
題して、ありすギアソリッド!
幼女たちから発見されずに、出口へと向かえ!
142 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/04(火) 02:20:27.86 ID:eNm5p7BO0
*
ありすは扉を少しだけ開き、外の様子を窺う。
そして誰もいないことを確認すると、俊敏な動きで部屋から飛び出し、一番近い遮蔽物である幼女の銅像の後ろに身を隠した。
ありす(とりあえず、誰の気配もない……でも、油断は禁物)
ス○ークと違い、ありすはCQCで敵を制圧することは出来ない。そして見つかったら一発ゲームオーバー。当然、コンティニューもなしだ。
ありす(……慎重に行かないと)
気を引き締めるありす。その瞳は真剣そのものである。
だが、ゲームのような今の状況を若干楽しみ始めてもいた。その証拠に、少しだけ口角が上がっている。まあそれを指摘出来る者は、今は周りに誰もいなかったが。
幼女がいないか確認するため、ありすは銅像の脇から向こう側をのぞき込んだ。
ありす(! 誰か来た!)
一人の幼女がこちらに歩いてくるのが見え、ありすは素早く銅像の後ろに身を隠し、息をひそめる。
143 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/04(火) 02:23:22.69 ID:eNm5p7BO0
とてとてと近づいてくる幼女の足音。それがもうすぐ、横を通過する。
ありすの緊張が高まっていく。
それに比例し、速まる胸の鼓動。頬を流れ落ちる、一筋の汗。『今の私、すごく○ネークっぽいかも』と気づき、さらに上がる口角。
そして―――
桃華「……いませんわね。いったい橘さん、どこへ行ったんですの?」
―――その台詞とともに、櫻井桃華はありすの真横を通過していった。
桃華が見えなくなったのを確認すると、ありすは緩みそうになった気を慌てて引き締め、銅像の陰から出た。
ありす「よし、この調子で出口まで……!」
抜き足、差し足、忍び足。
出来うる限りの素人スニーキングスキルを駆使して、ありすは城の出口へと歩みを進めるのだった。
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/19(水) 06:57:10.54 ID:M7Vtpp8xo
生きてるかー?
145 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/25(火) 02:04:05.48 ID:nUNiDjhh0
忙しさと暑さにやられそうですが、かろうじて生きてます
エタる気はないです
キリのいいとこまで書いてから投下したいので、もうちょいかかります
でもちょっとだけ投下しようと思います
146 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/25(火) 02:05:39.96 ID:nUNiDjhh0
*
何度か危ない場面はあったが、ダンボール箱に身を隠したりしてギリギリ回避。
ありすは城の出口が目前に迫る位置まで到達していた。
ありす(思ったより危なげなく来れた……もしかして私、潜入工作員の才能があるんじゃ? どうしよう、私アイドルだからそっちの道には進めないのに)
そして、ここまで到達出来たことで大分うぬぼれてもいた。どう考えてもいらぬ心配である。
ありすはしばしの間うんうんと無駄に悩んでいたが、現在置かれている状況をハッと思い出し、とりあえずその進路のことは頭の片隅に置いておくことにした。
そして隠れているダンボール箱の穴から、慎重に出口の方を窺う。
ありす(出口にいるのは晴さん一人だけ。これならいける……!)
ありすの手に握られているのは、途中の部屋で見つけ、何かに使えるかもと思いパクっておいたガラスのコップ。
ありすはそれを、出口とは反対の方向へ放り投げた。
147 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/25(火) 02:07:51.78 ID:nUNiDjhh0
ガシャーンッと、ガラスの割れる音が辺りに響く。
晴『なんだ今の音?』
当然、その音に気付く晴。そして音の正体を確認するため、こちらに歩いてくる。が、晴は不自然に置いてあるダンボール箱を不自然と思わず、そのままスルー。
ありすの横を通りすぎていき、砕け散ったガラスに目を留めた。
ありす(今だっ!)
晴の隙をつき、ありすはダンボールから抜け出し出口へと駆けた。
晴『ありす!? しまった!』
後ろから晴の驚愕する声が聞こえるも、もう遅い。既にありすは出口へと辿り着いていた。見上げれば、そこには青い空が広がっている。
ありすは視線を晴へと向け、叫んだ。
ありす「今日の所は引き上げますが、勘違いしないでくださいね! あくまで戦略的撤退ですから! 莉嘉さんにもそう伝えておいてください!」
晴「なんだその言い訳がましい台詞!」
148 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/25(火) 02:09:19.32 ID:nUNiDjhh0
晴のツッコミを意に介さず、ありすは杖を掲げ、転移の呪文を唱える。
ありす「テレポ――」
千枝「あーんっ」
ありす「むぐっ!?」
突如現れた千枝が、今まさに呪文を唱えていたありすの口に何かを押し入れた。
瞬間、ありすの口の中に広がったのは、つぶつぶ食感。そして。ありすの味覚にクリティカルヒットする、甘味と酸味のほどよいバランス。
そう、それはまさに!
ありす「イチゴだぁ……!」
そのこの世で最も美味である(と、ありすが個人的に信じる)禁断の果実に、ありすは脳みそまでとろけきった。
149 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/25(火) 02:10:45.87 ID:nUNiDjhh0
千枝「美味しい?」
ありす「はい!」
ありすが答えると、千枝はイチゴの詰まった小箱をありすに差し出した。
千枝「もっとあるから、好きなだけ食べていいよ」
ありす「いいんですか!? いただきます!」
『いいんですか?』と聞いたわりに、コンマ1秒も間を空けず『いただきます!』と宣言。
ありすはイチゴを次々に咀嚼していく。
もぐもぐ。
もぐもぐもぐ。
もぐもぐもぐもぐ――――
150 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/25(火) 02:13:53.65 ID:nUNiDjhh0
ありす「………………………………じゃなかった!?」
とろけきった脳が再構築されるまでにかかった時間、およそ5分。ついでに言うと、食べたイチゴ29個。小箱は空。
莉嘉「ありすちゃん、ごちそーさま?」
ありす「莉嘉さん!?」
気付くと、ありすの前には莉嘉が。
それどころか、場内に散らばっていたみりあたちも勢揃いし、周りを囲まれていた。
ありす「な……な……」
自らの現在置かれている状況を理解し、ありすはただ一言だけ、発する。
ありす「なんて、狡猾なトラップを……!」
晴「いやお前がアホなだけだよ」
魔王に操られているせいで、晴が事実にそぐわない辛辣な言葉を浴びせてきた。――と、ありすは自分に都合よく解釈した。
151 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/25(火) 21:53:35.42 ID:nUNiDjhh0
莉嘉「さ、ありすちゃん、もう逃げられないよ」
ありす「くっ……!」
この状況では転移呪文を唱えようにも、先ほどのように詠唱途中で確実に邪魔される。
同じ理由で他の呪文も唱えられず、戦っても勝ち目は無い。杖で叩くくらいしかできない。限りなく意味ない。
もう、手詰まりである。
莉嘉「ありすちゃんも一緒に、アタシたちの魔王様を――」
美嘉「莉嘉ぁーーーーーーーーーーーーっ!」
莉嘉・ありす『うぇ!?』
突然のその声に、ありすと莉嘉が同時にすっとんきょうな声を上げる。
152 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/25(火) 21:55:06.06 ID:nUNiDjhh0
そしてその場の全員が、その聞き覚えのある声がした方を振り向く――までもなく、声の主は莉嘉に勢いよく抱きついてきた。
美嘉「莉嘉っ!」
莉嘉「お姉ちゃん!?」
美嘉「やっと会えた! 良かった無事で! ホントに良かった!」
莉嘉「お、おね……ぐる、じ……」
肋骨を折ろうとしているかの如く、最愛の妹を強く強く抱きしめる姉。感動のあまり、妹のHPが着実に0へと近づいていることには気付いていない。
ありす「美嘉さんが来た……ということは!」
ハッと気付き、ありすは美嘉のやってきた方へと視線を移す。
そして視線の先の――ようやく来てくれた仲間たちに向けて、思いっきり文句を垂れた。
ありす「みなさん、遅いですよ!」
卯月「ごめん、ありすちゃんっ!」
未央「お待たせ!」
ちひろ「無事で何よりです」
153 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/25(火) 21:56:22.23 ID:nUNiDjhh0
※卯月が到着したので次からは卯月視点に戻ります
154 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/27(木) 03:22:05.78 ID:88t0706w0
*
卯月「良かった……ありすちゃんの元に辿り着けて」
ありすちゃんの姿を見つけて、私は安堵からほっと息を吐いた。
正直、ありすちゃんを見失った時はもう駄目かと思ったけど……。
ちひろ「どうです、私のちひろレーダーの性能は。ちゃんとありすちゃんの所まで来られたでしょう?」
卯月「はい。ありがとうございます、ちひろさん」
155 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/27(木) 03:23:20.88 ID:88t0706w0
*
―――数刻前
不覚にも隙をつかれて、ありすちゃんをさらわれてしまった私たち。
探そうにも手がかりが何も無く、美嘉ちゃんからお説教を受けていた。正座で。
美嘉「だから言ったでしょーが! 普通あのタイミングでありすちゃんから目を離す!? メタスラ倒して経験値ウッハウハとか考える!? アンタたち経験値とありすちゃんどっちが大事なの!?」
卯月「うぅ……ありすちゃんです」
未央「でも美嘉ねーだって、なんだかんだ言いつつも一緒にメタスラと戦ってたくせに……」
美嘉「うっ……そ、それは……」
未央ちゃんの指摘を受け、気まずそうにサッと視線を逸らす美嘉ちゃん。
156 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/27(木) 03:23:57.89 ID:88t0706w0
未央「ほら自分でも後ろめたさ感じてるんじゃん!」
美嘉「う、うっさいよ! そ、そんなことより、どうにかしてありすちゃんを助けないとでしょ! さあ、みんなで方法を考えよー★」
未央「誤魔化した」
卯月「誤魔化したね」
ちひろ「誤魔化しましたね」
私たちはジト目で美嘉ちゃんを見つめる。よく考えたら美嘉ちゃんに、私たちに説教する権利は無かったんじゃ……。
美嘉「い、いいから良い方法考えて!」
卯月「と、言われても……」
未央「もうどうしようもないような……」
美嘉「いや諦め早すぎでしょ!」
157 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/27(木) 03:25:14.73 ID:88t0706w0
ちひろ「どうやら、ここは導きの妖精ちっひの出番のようですね」
未央「ろくに導いてもらってない気がするけど」
卯月「ちひろさん、何か思いついたんですか?」
ちひろ「実はですね、さっきメタスラを倒して得た経験値で私はレベルアップし、新たなスキルを覚えたんですよ」
未央「経験値ってちひろさんにも入るの!?」
ちひろ「入りますよ。別枠で」
卯月「別枠って……ま、まあいいです。それで、その新しいスキルというのは?」
ちひろ「探索スキル、ちひろレーダーです!」
『ちひろレーダー?』
ちひろさんの口にした単語を、私たちはそのまま声に出した。
158 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/27(木) 03:26:26.64 ID:88t0706w0
ちひろ「これは、どんなに離れていてもパーティメンバーの位置が分かるスキルなんです」
美嘉「それじゃ、ありすちゃんの居場所も?」
ちひろ「当然、分かります」
未央「そんな便利なのあるんだったら、もっと早く言ってよ!」
ちひろ「……別に忘れてたわけではないですよ?」
まるでさっきの美嘉ちゃんのように、ちひろさんがサッと視線を逸らした。
卯月「忘れてたんですね」
ちひろ「ちひろレーダー、スキャン開始!」
卯月「急に!?」
未央「無理矢理誤魔化した!」
美嘉「ホントに大丈夫なの……?」
159 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/27(木) 03:27:34.25 ID:88t0706w0
*
―――現在 リカデレラ城 城門前
ちひろレーダーの精度に若干の不安はあったものの、私たちはありすちゃんの元へと辿り着くことが出来た。……の、だけれど。
卯月「えっと、これどういう状況?」
未央「ありすちゃんだけじゃなくて、りかちーたちまでいるけど……みんなも、魔王の配下にさらわれたってこと?」
私たちが状況を把握できずにいると、なぜか莉嘉ちゃんたちに囲まれているありすちゃんが、大声で叫ぶ。
ありす「全員、魔王に操られてるんです! そして子供をさらっていたのは、他でもない莉嘉さんです!」
卯月・未央・美嘉『えぇ!?』
ありすちゃんの台詞に私と未央ちゃん、そして現在進行形で莉嘉ちゃんを抱きしめていた美嘉ちゃんが驚きの声を上げた。
160 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/27(木) 03:29:16.81 ID:88t0706w0
ちひろ「……どうやら、確かにそのようですね」
ちひろさんも、ちひろアイで確認したらしい。
未央「うっそ、りかちーが……?」
卯月「一体どうして子供を……って、美嘉ちゃん抱きしめてないで離れて!」
美嘉「はっ!?」
私の声に従い、美嘉ちゃんは莉嘉ちゃんから体を離し、少し距離を取った。
そして困惑の表情で莉嘉ちゃんを見つめる。
美嘉「莉嘉、アンタ……い、今の話、本当なの?」
莉嘉「ぐ、ぐるじがった……。……ふ、ふふふっ、あははははっ! その通りだよ、お姉ちゃん☆」
莉嘉ちゃんは魔王に操られる前と変わらない、明るい笑みを私たちに向け――――衝撃の告白を言い放った。
莉嘉「アタシは魔王軍第3部隊【ちっちゃいちっちゃい幼女ちゃんたち(リトルシスターズ)】隊長! 城ヶ崎莉嘉☆」
そのあまりに衝撃的な告白に、私たちは、何も言葉を発することが出来なかった……。
161 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/27(木) 03:30:52.62 ID:88t0706w0
驚愕のあまり――では、ない。少なくとも私は。そして多分、他のみんなも。
いや、その、驚いたからというのも、もちろんあるにはあるんだけど……なんだろう、ものすごくおかしな単語が聞こえた気がする。
微妙な空気の中、私たちを代表して莉嘉ちゃんの姉である美嘉ちゃんが、結んでいた口を開いた。
美嘉「……えっと、あのさ、莉嘉。ごめん、何の隊長って言った?」
莉嘉「だーかーらっ、魔王軍第3部隊!」
美嘉「あ、うん、そこは聞こえた。そこから先、聞かせてくれる?」
莉嘉「ちっちゃいちっちゃい幼女ちゃんたち(リトルシスターズ)!」
『何それ!?』
私たちは声を揃えて疑問をぶつけた。
162 :
◆mqlRkew9nI/5
[saga]:2017/07/27(木) 03:38:17.11 ID:88t0706w0
莉嘉「ほら見て! ここにいるみんなが、アタシの部隊のメンバー!」
莉嘉ちゃんが指差すのは、今もありすちゃんを取り囲んでいる、346プロの小学生アイドルたち。
莉嘉「みりあちゃんも薫ちゃんも桃華ちゃんも――――みんなみんな、ちっちゃくてかわいいよ☆ ふひひ☆」
さっきの明るい笑みとは似ても似つかない醜悪な笑みを浮かべる莉嘉ちゃん。
うわぁ……。
美嘉「いやぁああああああああああああ莉嘉がキモチワルイぃいいいいいいいいいいい!」
変わり果てた妹の姿を目にし、美嘉ちゃんが悲しみの果てにむせび泣いている。
でもどうしてか、私は軽いデジャヴに襲われていた。今の莉嘉ちゃんの台詞、オリジナルの発言者が他にいたような……気のせいかな。
そして、そんなことを考えていた私の横で、未央ちゃんが姉妹に視線を巡らせたのちに呟いた。
未央「……妹は姉を見て育つ、か」
美嘉「それどういう意味!?」
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/16(水) 05:32:55.80 ID://fXL4SA0
はいはい作者投げた!
164 :
◆mqlRkew9nI/5
[sage]:2017/08/16(水) 13:30:24.75 ID:SC3YtMJXO
申し訳ありません。
エタる気はないとか調子こいたこと言いましたが、元々テキトーに書き始めたため、いくら考えても展開が思い浮かばない状況です。
ですが、これ以上放置するのもどうかと思うので、中途半端にはなりますが、ここでこのスレは終わりにしようと思います。
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