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301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/01(月) 08:03:47.78 ID:6bF8K+3I0
終わり
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/01(月) 09:02:28.44 ID:bBbR3SWSO
>>300
?
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/01(月) 09:16:33.97 ID:6bF8K+3I0
最後歯切れが悪いから土壇場で一文付け足しただけです。悪化してしまいましたが。
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/01(月) 17:30:58.72 ID:pmGLOisAO
もやもやしつつ希ちゃんの分もしっかりノートを取るえりちか
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/02(火) 23:27:13.92 ID:hjdG9h0y0
『シルエット』
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 23:27:46.10 ID:hjdG9h0y0
暖かな日差しが心地いい。
一番窓側の席に座っている絢瀬さんが東條さんを手招きする。
日差しの強い日は教室のカーテンが閉められる。
彼女たちはその中で二人だけの時間を過ごす。
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 23:28:37.55 ID:hjdG9h0y0
この学校は生徒が少ないとは言え、人の目を気にしなくてすむ場所などない。
あったとしてもトイレくらい?
だからあのカーテンの中が彼女たちの花園。
シルエットが多少映るが角度や影の重なり具合、風によるはためきで何をやっているかはわからない。
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 23:29:04.69 ID:hjdG9h0y0
今は絢瀬さんの膝に東條さんが乗っている。
下半身はカーテンから出ている。
東條さんのスカートの上に絢瀬さんの手が置かれる。
シルエットが動く。おさげのある頭がに揺れる。
楽しそうに跳ねる。何の話をしているのだろう。
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 23:29:30.07 ID:hjdG9h0y0
ペチペチと絢瀬さんの手が東條さんの太ももでリズムをとる。
足でも彼女を上げては落としてリズムを作る。
ガタガタと揺らされる東條さんは怒ったようなそぶりをするが、楽しそうな声だ。
でもすぐに止まってしまう。あれ体力使いそうだもんね。
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 23:30:05.32 ID:hjdG9h0y0
東條さんが腕を後ろに回して絢瀬さんの首を捉えると、自身の頭に重なるように引きつける。
シルエットしか見えないけど、多分、自分のくちもとに絢瀬さんの耳が来るようにしたのね。
さっきまでの騒ぎようが嘘のように静かになる。
何を耳打ちしたのか。絢瀬さんの腕が東條さんを強く抱きしめる。
その体勢のまま、動かない。
緩急をつけて、ぎゅっとしたりふっと緩めたり。
時折どちらかの頭に微妙な動きがあるくらい。
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 23:30:41.18 ID:hjdG9h0y0
もうすぐ授業が始まってしまう。知らせた方が良いのかもしれない。
だけどもしかして、もしかするかもしれない。だから誰も忠告できない。
バッと一思いにカーテンをまくってやりたい。
あの中で何が起こっているのか気になって仕方がないのだ。
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 23:31:13.08 ID:hjdG9h0y0
キスとかしてたりしそうだもん。あの二人が。
あれだけ美人だとレズでもあまり嫌悪感を抱かないわね。
むしろ恋のライバルにはならないし安心。嫉妬することもない。
ちょっと引くけど。私には関係のない世界だし。
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 23:31:48.73 ID:hjdG9h0y0
授業開始のチャイムがなる。
彼女たちが花園を飛び出して自分の席に急ぐ。
窓際の席の主人は苦笑いで席に着く。あの席、勝手に使っていたんだ。
幸いなことに先生はまだ来ていない。
澄ました顔で教材を取り出す彼女たち。顔を見合わせて微笑み合う。
風ではためく二人の花園。
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 23:32:27.02 ID:hjdG9h0y0
終わり
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/02(火) 23:39:21.50 ID:l5YA/p+UO
えりちはカーテンで隠せてると思ってて
のんたんは全部わかっててやってそう
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/03(水) 09:26:30.27 ID:5Ali7izl0
良いっす
あぁ良いっす
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/04(木) 21:43:07.44 ID:gn5FMjDk0
『キスマーク』
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:43:38.91 ID:gn5FMjDk0
昨日のウチはイラついていた。
確かに彼女の顔は整っているし、女子校の中では恋愛感情を抱かれることもあるみたい。
えりちも真面目な態度で接してはいるが、得意げな表情で癪にさわる。
希、希!ってウチを呼んではモテる自慢を披露するのだ。
いつもウチがテキトーに相槌を打つだけなのに。
えりちがすごいのはわかったから。
週に一回は聞かされる。あまりにしつこいので鬱陶しくなった。
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:44:40.76 ID:gn5FMjDk0
もっとウチの機嫌を損ねたのは最近現れた積極的な後輩ちゃん。
どこからかえりちの連絡先を入手し、今度一緒に遊びに行くという。
えりちがペラペラ喋ってしまうから全部筒抜けなのだが、それが余計にウチを苦しませた。
放課後に待ち合わせて二人が校門から出て行くのを教室から見送った。
ちょびっと辛かった。
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:45:27.82 ID:gn5FMjDk0
昨日の夜にお風呂に浸かって考えた。
彼女がいなくなってしまったら、ウチの高校生活が終わってしまう。
今まで積み上げて来たものを明け渡したくない。
初めてできた親友を、あろうことか女の子に。
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:46:06.95 ID:gn5FMjDk0
ウチのアイデンティティのエセ関西弁も彼女のためのものなんだ。
彼女がいなくなれば、ウチは喋れなくなってしまう。
取り返してやることに決めた。
無意識に口につけていた、腕にキスマーク。肩にも。見せつけてやるつもりで。結構いっぱい。
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:47:02.97 ID:gn5FMjDk0
そして今日、μ’sのペアで行う柔軟中、わざと彼女にだけ見えるようにした。
嫉妬して、怒ってくれないかな。叱って欲しいな。ちょっとマゾっぽい?
でも、気づいてもらえなかったら、どうしよう。もし見て見ぬ振りをされたら。
帰りたくなって来た。今ならえりちの気持ちわかるよ。
準備体操なのに心臓がばくばく。彼女に届きはしないかな。
そうこうしている間に体操終わっちゃうよ。えりち。
ねぇ。終わっちゃうよ。
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:48:49.55 ID:gn5FMjDk0
「ウチ、ちょっとトイレ行ってくる。」
不安になって抜け出した。本当に帰ってしまおうかな。
でも、彼女が追って来てくれるかもしれない。
ゆっくりとお手洗いに向かう。少しでも時間を稼ぐ。
胸が裂けそう。昨日の決意はどうしたのか。
目頭が熱くなる。泣くことはない。
324 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:49:56.85 ID:gn5FMjDk0
取られる云々も自分の勝手な妄想だ。
彼女の友人が一人増えるだけかもしれない。ウチとも仲良くなるかも。
そんなわけない。
ただの友達でも第三者が入ってくれば、疎遠になるに決まってる。
特にその人の気持ちがどちらか一方に向いていれ場合。
いつかは別れが訪れる。けど、この一年は、彼女だけは。
325 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:51:13.39 ID:gn5FMjDk0
人には知ったようなアドバイスをするけど、ウチは聖人じゃない。暗い感情が湧き上がる。
後輩ちゃんをひっぱたいて、もう彼女に近づかないでと言ってやりたい。
彼女を連れて来て、思い切り言ってやりたい。ずっとウチのそばにいてって。
怒りと不甲斐なさで歯を食い縛る。
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:52:05.66 ID:gn5FMjDk0
後ろから急ぎ足で歩いてくる音が聞こえる。
ただ急いでる他の人かも。いや、彼女だ。ウチにはわかる。
そっか。全部いらぬ心配だったみたい。
無理やり作る勝利の微笑。自分を鼓舞する。
計画通りやん。やっぱりウチ、えりちの扱いは上手いんよ。
「待って、希。話があるの。トイレの後でいいから。私ここにいるわね。大事なこと。」
「うん。」
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:52:40.08 ID:gn5FMjDk0
短く返事をしてから、振り返らずに急いでトイレへ入る。
涙が出てくる。安心したせいかな。変に思われるから、泣き止まなくちゃ。
よかった。神様、ありがとうございます。
このチャンス無駄にはしません。今度はウチが勇気を出します。
深呼吸する。鏡で顔を確認。大丈夫そうかな。行こう。
「なぁに?どうしたん?」
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:53:05.56 ID:gn5FMjDk0
終わり
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 23:45:28.11 ID:UFazimrN0
いい ……
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 21:21:57.79 ID:keDVCmA20
『原稿』
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 21:22:43.85 ID:keDVCmA20
生徒会の仕事と言っても、学校の行事の準備や先生の手伝いがほとんど。
今やっているのは体育祭の挨拶で発表するスピーチ作り。
おきまりの文句を並べればいいようでいて、なかなか浮かばない。
補佐の副会長は怪しげにタロットカードをめくる。
何を占っているのかしらね。
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/05(金) 21:23:16.19 ID:keDVCmA20
頬杖をつきながら彼女を傍観する。見慣れた姿。
考えるふりをしているだけで頭の中は真っ白。
彼女は私の視線に気づいたのか大袈裟な動作でいちいちリアクションをとっている。
目を見開いたり、口を開けたり。
そろそろ真面目にこの仕事を片してしまいましょうか。
ペンを走らせる。
七割ほど書き終わる。もともと大した量でもないしね。
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 21:23:48.48 ID:keDVCmA20
「どのくらい進んだん?」
唐突に声をかけられて体が跳ねる。
吊り橋効果?心臓が少し高鳴る。
頭の中では突然現れた戸惑いと、よく知る人の安心とで混乱する。
なぜ気づかなかったのかと思うくらい、近くに彼女の顔。
髪がちょっと当たる。甘い匂いもする。嗅ぎ慣れた、好きな香り。
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 21:24:16.75 ID:keDVCmA20
私の肩から生えた頭がニヤついているのがわかる。
これほど至近距離にいると彼女の方を向くこともできない。
鼻の先を横目で見るくらい。まつ毛が長い。
凝視するのも恥ずかしいから目の前の原稿に視線を落とす。
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 21:24:42.98 ID:keDVCmA20
「近いって、もう。」
精一杯の反抗。なぜかはっきり喋れない。
固まっている私を気にも留めないで、原稿を手に取る彼女。
彼女の可愛いイタズラでしょうけど、こういうのは控えめにしてほしいわ。
現に彼女のせいでちっとも仕事が進まない。
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 21:25:08.38 ID:keDVCmA20
ふーん、うーむ、と唸る声が聞こえる。ちゃんと考えているのかしら。
「ええんやない?」
随分と短い感想なのね。
不服だけど、彼女の意見は大事にしている。他の誰より信用しているから。
そうして、ここまで二人でやって来た。
あのスキンシップには閉口しているけれど。
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 21:26:08.03 ID:keDVCmA20
「希。仕上げるから向こう行ってて。」
思ってもいないのに突き放すような言葉が出る。
彼女が私の肩に手を置いて停止する。
どうしたのかと首を回したその時。
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 21:26:43.35 ID:keDVCmA20
ちゅっ。耳元で音がなる。キスされたわけじゃない。
見れば、彼女がにんまり笑う。
彼女の唇を見つめてしまう。少し厚めの唇。気持ち良さそう。
堂々と自分の席に戻る背中を目で追う。
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 21:27:10.52 ID:keDVCmA20
席に着いた彼女がこちらを見てまた笑顔を送る。
自分でも理由はわからないのに、スッと目線を下げて、顔を隠す。
彼女を意識しているみたいで嫌だから、すぐに顔を隠していた右手を下ろす。
集中できないままペンを持つ。本当にもう、困ったものね。
どういうわけか顔が火照る。
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/05(金) 21:28:02.04 ID:keDVCmA20
終わり
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 21:49:05.49 ID:oBZED0uhO
青春だなぁ
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 23:08:24.80 ID:rK5He1hk0
思った通りに書けないので少し間を挟みます。一応HTML化はしません。
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/07(日) 11:02:36.56 ID:7TJnnDgAo
待ってます
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/07(日) 13:38:12.59 ID:bkzG5y6mO
ゆっくりでも良いからずっと続いて
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 04:51:48.32 ID:PZdOOfUko
ほ
346 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/13(土) 23:03:35.17 ID:Uae4hZF50
『香水』
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:04:08.67 ID:Uae4hZF50
華やかな香りがする。彼女から流れてくる。
隣に座る彼女はどこか憂いを帯びた表情で。
大人っぽい。香水をつけている。
明らかな変化だった。
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:04:47.47 ID:Uae4hZF50
どうして急にそんなものをつけ始めたの?
それは誰に嗅がせるの?反射的に疑問が浮かぶ。
μ’sの中ではそういうのに常日頃興味がありそうな子は少ない。
ことりちゃんとか真姫ちゃんあたりかな?
349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:05:26.66 ID:Uae4hZF50
それとも、この学校の外の人かな。
ウチの片思いの相手が誰かに向けたこのアピール。
思索を巡らしてその誰かの影を追う。
見つけられるはずがない。そんなものがあれば既に気づいている。
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:06:03.97 ID:Uae4hZF50
隣を見やるとウチを置いて、彼女が大人になってしまったようで切なくなる。
今までのウチらには異質な感じ。誰かと成長が壁になってる。
自分が少し身構えているのがわかった。
「香水つけたん?」
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:06:38.77 ID:Uae4hZF50
「ええ。」
彼女は照れ臭そうに答える。
背伸びしているように思えて照れている。
まだ大人になりきれていないその反応にホッとする。
彼女はウチの知っているえりちのままだ。
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:07:08.53 ID:Uae4hZF50
「この匂いどうかしら?」
いい匂いだと思うよ。あなたにあってる。いいチョイス。
でも、そう言われて喜ぶあなたは見たくない。
ウチの助言で自信をつけて、デートにでもつけていくの?
353 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:07:44.30 ID:Uae4hZF50
「ええ匂いやん。」
わかっているのに目の前の、あなたの笑顔に勝てはしない。
気を良くしたのか揚々と魔法の瓶を見せつける。
元から自慢するつもりだったのね。
354 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:08:25.80 ID:Uae4hZF50
「ウチにもつけさせて。」
はいどうぞって、ちょっと考えた後に渡してくれた。
なんでためらうの?ウチがそれをつけたら嫌?
でも渡してくれたっていうことはいいってことだよね。
手につけたらつまらない。耳の後ろに軽く吹きかける。
355 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:09:20.41 ID:Uae4hZF50
「えりち、嗅いでみて。」
彼女は一度、自分の頬に手を添えて戸惑いの声をあげる。
どうしたら良いのかわからないみたい。
何をそんなにためらっているのかと思ったとき。
正面から急接近。とっさに2センチ仰け反る。
彼女の顔は耳元に逸れて行った。
わざわざ正面から来なくても、そんなんだから勘違いする子が出るんだよ。
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:10:01.49 ID:Uae4hZF50
嗅ぎやすいように頭を若干傾ける。
彼女のシャンプーの匂いが少しする。
首に当たる鼻息がくすぐったい。
首にキスとかしてくれないかな。
すっと彼女が離れていく。ずっと嗅いでいてくれても良かったのに。
357 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:10:33.68 ID:Uae4hZF50
「私の鼻に狂いはないわね。」
満足そうなエリチカ。ちょっと美人な高校生。
彼女を意識していることがバカらしくなって友人に戻る時がある。
褒めて欲しがる彼女を見ると庇護欲がわく、そんな時に。
358 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:11:17.67 ID:Uae4hZF50
「ウチも香水欲しいかも。どこで買ったん?」
なんだか素直になってしまった。
誰へのアピールとか関係なく単純にチャーミングなアイテムが羨ましくなった。
女の子なら憧れるもんやん?
むしろつけていなかったのが自分でも不思議なくらい。
359 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:11:53.69 ID:Uae4hZF50
「教えないわ。」
「えー。教えてな。」
「希はそのままでいいわよ。」
ウチが駄々をこねてもウンと言わない。
きっちり生徒会長状態。瓶をしまってしまう。
ブランドくらい見ておけば良かった。
360 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:12:26.22 ID:Uae4hZF50
挙句には手で扇いでウチの香りを消そうとしてくる。逆に広がってるし。
彼女の手が耳たぶにピチピチ当たる。その手をつかもうと躍起になる。
ウチが香水を手に入れてやろうと彼女のカバンに手を伸ばす。
彼女が自分のカバンをひっつかんで立ち上がった。
「だーめ。部活いきましょ。」
361 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 23:12:53.00 ID:Uae4hZF50
終わり
362 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 04:39:16.80 ID:93J0MdDvo
待ってた
363 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/14(日) 22:20:46.37 ID:IjapA/qL0
『夜の歩道で』
364 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:21:19.33 ID:IjapA/qL0
μ’sに生徒会で遅くなった帰り道。
体は疲れて頭も重い。
だけれども、不思議と気分は悪くない。
むしろ疲れのせいでテンションが上がっている。
365 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:22:00.47 ID:IjapA/qL0
街灯が一定の間隔をあけて立ち、歩道のタイルを照らす。
時刻は八時を回ったところ。
人がまばらになる時間帯。
夜風が疲れた体を爽やかに包み込む。
夜の匂いがする。
366 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:22:30.75 ID:IjapA/qL0
彼女と二人、寄り添うように歩く。腕が当たるが不快じゃない。
寄りかかったり、体重をかけられてふらついたり。
ボソボソと話せば可愛らしい笑い声が響く。
引きずるように二人でクスクス笑う。
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:22:59.65 ID:IjapA/qL0
大きく一息。
彼女が鼻歌を歌いだす。
まだ歌詞がつけられていない、真姫が作成中の曲。
足取り軽やかに数歩前へ躍り出る。
「希、バッグ持ってて。」
彼女にバッグをパスする。
368 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:23:37.00 ID:IjapA/qL0
街灯の明かりをスポットライトに、昔の記憶を頼りに。
革靴だけれど踊りだす。やり方は体が覚えている。
手を伸ばし、足を張る。緩急入れて飛び上がる。
滑るように光の下へ入り込む。
1、2、3、4。5、6、7、8。
リズムに乗って優雅に舞う。
369 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:24:57.82 ID:IjapA/qL0
無心に回転、後方にいる観客に見せつける。
鼻歌は消えてしまったけれど、頭の中で曲が流れている。
たくさん練習した。腕を縮めて咲くように開く。
真剣に、一切の妥協もなく全身で表現する。
370 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:25:26.82 ID:IjapA/qL0
彼女に周りを踊りながら周回する。もう終盤。
曲が終わる。指先からつま先までポーズを固める。
力を抜いて彼女に抱きつく。
強く飛び込んだせいでよろめく。
371 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:26:15.97 ID:IjapA/qL0
息を切らしながら彼女の匂いを嗅ぐ。
感情が高ぶってどうにかなってしまいそう。
ここまでいろんなことがあったわ。
「希。」
「なに?」
「私、今幸せよ。」
「うん。」
背中に手を回されてさすられる。
涙が溢れる。おかしいわね。泣くほどのことかしら。
静かに声を上げずに泣いた。夜が私たちを見守ってくれた。
372 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:26:42.55 ID:IjapA/qL0
無言で彼女の存在を感じる。
「帰ろっか。」
「そうね。」
腕を解いて歩きだす。涙を拭ってカバンを受け取る。
小恥ずかしくて顔は見れない。
373 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:27:35.15 ID:IjapA/qL0
虫の声もしない。静穏な帰り道。
「今日は私の家に泊まっていかない?」
「じゃあ、お邪魔しようかな。」
もうちょっと一緒にいましょう。
374 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 22:28:09.15 ID:IjapA/qL0
終わり
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 01:04:43.63 ID:Q9dsoj8X0
よき
376 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 01:06:54.46 ID:ZOD85mRlo
甘い
ひたすら甘い
377 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/15(月) 01:30:15.83 ID:MpBbJBAjO
甘々最高
蕩けそう
378 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/20(土) 22:18:02.65 ID:8DgURIdx0
『手紙』
379 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 22:19:06.65 ID:8DgURIdx0
ウチはあなたに色々送る。
朝にはおはようの挨拶とあくび。
ホームルームでは次の授業とその日の予定の指示。
一限目にはすこーしだけ眠そうなあなたへの視線。
休み時間に流行の話題の振り。
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 22:19:36.08 ID:8DgURIdx0
二限目にウチの妄想。
お昼休みにお弁当のおかずと占いの結果。
三限目にえりち実況ラジオ。
授業後にあなたの似顔絵を乗せた紙飛行機。
381 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 22:20:02.69 ID:8DgURIdx0
四限目に応援、ドリンク。
着替え中にタオルと制服のシャツ。
五限目に愛のLINEと投げキッス。
休み時間に謝罪の言葉。
382 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 22:20:56.27 ID:8DgURIdx0
六限目に懺悔と告白。
部活前に軽い冗談とお菓子。
練習中に恋の歌。
放課後にプレゼントと日頃の感謝。
一人の家からとりとめのないLINE。
ベットの中から私の気持ち。
383 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 22:21:21.19 ID:8DgURIdx0
毎日たくさん送っているのに、ほとんどが届いている様子が見られない。
でもたまに、ふとこちらを向いて微笑んでくれる。
届いていますか?良ければあなたも送ってください。
そろそろ寝ます。
おやすみなさい。
384 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 22:21:51.79 ID:8DgURIdx0
終わり
385 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:30:47.17 ID:kjXrnI0AO
切ないようなそれでいて幸せなような
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/20(土) 23:46:25.91 ID:8DgURIdx0
『夢見心地』
387 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:47:06.69 ID:8DgURIdx0
私、犯人わかっちゃったかも。
この使用人が犯人よ。私の直感がそう言っているわ。
ロシアン探偵エリーチカ、冴えているわね。
ベットの中から魔の手が忍び寄る。
顔をベタベタ触られる。
これは別に構わないわ。
映画が見にくいけれど。
388 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:47:39.89 ID:8DgURIdx0
「えりち〜。それ明日でええやん。寝よ?」
手を払いながら頭を振る。
確証が得られるまでは寝られないわ。
事件の真相を明かさないと。
389 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:48:23.87 ID:8DgURIdx0
目にかざされた手を掴んで自分の胸元に固定する。
「ね〜。わしわししていい?」
「だめよ。」
執事が意味深な回想を始める。
怪しい雲行き。違ったかしら。
やっぱり領主が犯人かもしれないわね。
390 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:48:52.29 ID:8DgURIdx0
「今ちょっと寝てた。」
力の抜けた手が頭を撫でる。
後三十分だから、そしたら寝るから。
私の肩に希の腕がだらりと垂れる。
391 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:49:30.91 ID:8DgURIdx0
「えりち〜。なぁ。寝ちゃうよ〜。」
「もうちょっと。」
寝ぼけた指が私の唇をこする。
擦れて痛い。口をすぼめる。
392 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:50:01.65 ID:8DgURIdx0
「えりち〜。」
私の名前を呼ぶ、か細い声が聞こえる。
うす暗い部屋だと尚更怖い。
でもここでやめたら明日後悔するわ。
393 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:50:42.43 ID:8DgURIdx0
指で優しく撫ぜられる。
口をいじる指を咥える。
少ししょっぱい。そっと抜いてシャツで拭く。
眠いからってこれはまずいわね。
他意があったわけじゃないのよ。
ただ口元に指があったから食べただけで。
朝には覚えていないといいけれど。
394 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:51:14.02 ID:8DgURIdx0
「希?起きてる?」
返事はない。手も力なく死んでいる。
振り返れば寝顔。私の親友。
テレビを消して隣に潜り込む。
どうでもよくなっちゃった。
続きは明日、早く起きればいいわ。
395 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:51:54.39 ID:8DgURIdx0
「おやすみ希。」
「映画。ん。終わったん?」
「ええ。」
目も開けられないみたい。言葉も詰まってる。
トロンとした声が可愛い。
396 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:52:22.46 ID:8DgURIdx0
「えりち。あんなぁ〜。」
「ん?」
「おやすみ〜。」
「おやすみなさい。」
397 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 23:52:57.10 ID:8DgURIdx0
終わり
398 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/21(日) 01:38:33.97 ID:BN+ER4eXO
ええなぁ…
399 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/21(日) 06:28:13.75 ID:L3GJlXAnO
いちゃいちゃしやがってよぉ、もっとやれ
400 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/27(土) 08:13:49.76 ID:TXcRPEIbo
ほ
401 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/28(日) 23:03:58.61 ID:NQup7cvL0
『ほっぺ』
402 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:04:39.67 ID:NQup7cvL0
えりちの顔を両の手のひらで挟む。
柔らかな頬をムニムニと揉む。
ちょっと怪訝そう。
「希〜。放してくれないかしら。」
403 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:05:41.85 ID:NQup7cvL0
「そういえばなぁ、今日夢にえりちが出てきたんよ。」
手を動かしながら続ける。
「えりちウチのことそんなに好きなん?」
二年生の授業でやってた、誰かが夢に出てくるのは自分を好いているからだって。
ウチが上機嫌に尋ねているのにむすっとしたまま。
404 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:06:21.32 ID:NQup7cvL0
「好きよもちろん。どんな夢だったの?」
なんだかなぁ。
照れてるえりちは可愛いんだけどなぁ。
夢の内容なんて覚えてないし。
「うーんと、内緒。」
405 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:07:00.74 ID:NQup7cvL0
「えぇー。気になるじゃない。」
適当言っちゃお。
顔を近づけ小声で囁く。
「ちょっとえっちなやつ。」
えりち固まってる。
ウチもすこーしだけ恥ずかしい。痛み分け。
十五分の休み時間、誰も聞いてはいない。
406 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:08:06.23 ID:NQup7cvL0
顔を揉まれながらえりちが言う。
「忘れているのかもしれないけれど、夢に人が出るのは両思いの場合よ。」
忘れてたなぁ。
それにしても、どやチカ、それ認めているようなもんやん。
407 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:08:32.37 ID:NQup7cvL0
何事もないように会話を続ける。
「そっかー。」
「そうなのよ。」
頬に添えた手を離すと真っ赤なほっぺ。
408 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:09:00.36 ID:NQup7cvL0
終わり
409 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/28(日) 23:10:00.51 ID:NQup7cvL0
『デート』
410 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:10:31.81 ID:NQup7cvL0
休日にお出かけ。
二人でデート、暇つぶし。
ふらっと距離を取る彼女を引き寄せようと、彼女の肘を掴む。
ほんの10センチ程度だけど、離れるのは許さないわ。
その度に心細くなってしまうもの。
411 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:11:02.86 ID:NQup7cvL0
バランスを保とうと彼女が力む。
ちょっと強く引きすぎたかしら。
「ごめん、希。」
彼女を気遣うように、手首までそっと手を走らせる。
そこから先は触れない。
412 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:11:38.67 ID:NQup7cvL0
その撫で方が図らずも愛撫のようになってたかも。
小さく後悔。
彼女が困り顔で笑う。
「ええよ、ええよ。次からは優しくエスコートしてくれれば。」
413 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:12:20.00 ID:NQup7cvL0
あなたのことだもの。
私の気持ちに気づいているわよね。
彼女にこんな顔をさせてしまう自分が嫌になる。
親友のはずなのに、変な気を使わせたくはない。
414 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:13:16.00 ID:NQup7cvL0
でも、もしかしたら。
強引にでも迫ったら受け入れてくれるかしら。
エゴだけど、あなたのためになんでもするわ。
どんな努力も厭わないから。私を見てくれたなら。
415 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:14:05.90 ID:NQup7cvL0
不意に手首が掴まれる。
隣の彼女ははにかみながら。
「何考えとんの?」
「なんでもないわ。」
手首に意識が集まる。
私、彼女と手をつないでいるみたい。
実際はつないでいないけど。
ただ、彼女とつながっている。
416 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:14:34.77 ID:NQup7cvL0
あと少しだけ彼女の手が下にあればその手を握れる。
これは関係を先へ進める合図なのか。
それとも、ここでやめろと言う警告なのか。
彼女が私のために善意で恋人ごっこに付き合ってくれているのか。
どれでもいいわ。
今、こうしていられるのなら。
417 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:15:19.21 ID:NQup7cvL0
「あそこのお店入りましょ。」
「あっ。あの服ええなぁ。」
「じゃあ、希の方でいいわ。」
「先にえりちの見ようよ。そっちの方が近いし。」
「遠い方でいいのよ。」
「ふーん。」
二人でゆっくりゆっくり歩いて行く。
あそこのドアに手をかけるまで。
418 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:15:49.84 ID:NQup7cvL0
終わり
419 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/28(日) 23:42:02.86 ID:NQup7cvL0
『キス』
420 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:42:32.29 ID:NQup7cvL0
放課後の教室。
いつもの調子でおしゃべりした後。
もどかしい距離がウチらの間を邪魔する。
彼女がその手をウチの腿に置いた。
421 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:43:00.13 ID:NQup7cvL0
たったそれだけで一線を超えたのがわかった。
「いい?」
彼女が問いかけてくる。
ゆっくりと瞬きする。
422 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:43:42.68 ID:NQup7cvL0
探るように、恐る恐る唇が近づく。
彼女の頭を撫でる。髪の感触がクセになる。
ウチの後頭部が優しく掴まれる。
唇同士を押し付けるだけの不器用なキス。
423 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:44:35.62 ID:NQup7cvL0
離れるタイミングがわからなくて鼻息が荒くなる。
彼女がウチの唇を食むように動かす。
目をぎゅっと閉じる。
喜びや興奮や快楽でキスをするのがやっとだった。
彼女の頭を優しく撫でる余裕なんてなくて首と肩にしがみつく。
424 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:45:15.85 ID:NQup7cvL0
自然と口が開いてしまう。
えりちがウチを食べようとする。
ついばみ、吸い付き、舌で舐める。
乾かぬうちに、答えるように彼女を貪る。
一瞬でも止まったら死んでしまう。
狂ったように抱きしめる。
せわしなく体をさする。
425 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:45:52.60 ID:NQup7cvL0
口内に舌が入ってくる。
なんとか捕まえようと舌を絡める。
うねうねとした動きが気持ちいい。
歯茎や舌の裏がジンと熱くなる。
426 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:46:20.81 ID:NQup7cvL0
彼女を見るため目を開ける。
白い頬や綺麗な鼻、金の髪とまつげを見逃すまいと焼き付ける。
顔の角度を時々変えて、キスを続ける。
すっと開いた彼女の目。
青い瞳から目が離せない。
今、それは私しか写していない。
427 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:47:10.03 ID:NQup7cvL0
篭った嬌声と細かなキスの音が響く。
顔に当たる鼻息を気にしていられない。
求めても求めてもなんだか満たされない。
愛するあまりに焦ってしまう。
428 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:47:46.82 ID:NQup7cvL0
体は充実感であふれているのに。
どうにも発散できない、溢れる感情の波で涙が溢れる。
彼女が戸惑うのがわかる。
引き離すように体が掴まれる。
彼女はさっきまでの興奮が嘘のように愛情のこもった手つきをしている。
何もかもわからなくなってしまって彼女の胸に顔を埋める。
429 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:48:14.56 ID:NQup7cvL0
「えりち」
声をかけたきり、その後が続かない。
愛や憎しみ、安心や不安。
荒い呼吸と体の熱を感じる。
430 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:48:42.01 ID:NQup7cvL0
優しく頭を撫で付けながら彼女が言う。
「愛しているから。」
そう言われてしまうと、もう彼女を必死に抱きしめることしかできない。
時刻は七時二十五分。
校舎を出るまで恋人繋ぎ。
431 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:49:25.84 ID:NQup7cvL0
のぞえり百合ss終わり
432 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/28(日) 23:52:33.36 ID:NQup7cvL0
二次創作に限界を感じたのでこのスレは終わらせます。
次に書くとしたらオリジナルにします。
ここまで見てくださった方々、ありがとうございました。
433 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/29(月) 00:37:02.98 ID:yRr6WspU0
乙じゃよ
オリジナルも待ってるよ
434 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/29(月) 03:17:10.58 ID:5tb0I2MdO
切ないのから熱々のまでどれも素晴らしかった
オリジナルも楽しみだけどいつかまたのぞえりで書いてくれたら嬉しいな
435 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/30(月) 01:09:57.63 ID:nKfcVxvu0
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