勇者「集え!我らアリアハン高校野球部!」

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73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 22:21:14.06 ID:ajtbq5/yO
エジンベア高校は大都会の高校なんだろうか?
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 22:42:22.35 ID:1M82eN3x0

バコタ捕まるとこもやるんか
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 17:25:12.55 ID:VbMtHnlYO
そういやゲームではほぼ名前だけのキャラだったよな
何のために登場したんだ?
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 22:47:47.54 ID:UxUGQJGyO
───屋上

ガチャ

勇者「……あれ?誰もいない」

勇者「昼休みには誰かいるって言ってたのに」

勇者「おいおいガセネタか?ジュース奪っておいてそりゃねえぞ」

ガチャ

魔法使い「あ、勇者君」

勇者「あれ?お前らも来たのか」

武闘家「なぜお前がここに?」

勇者「前にルイーダから昼休みに経験者の誰かがいるって聞いたから、どんなやつか見ておこうと思って」

魔法使い「ああ、多分盗賊君のことじゃないかな」

勇者「盗賊ってうちのクラスのか?何かあったのか?」

魔法使い「実は……」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 22:54:18.55 ID:UxUGQJGyO
───

勇者「へえ、一人ゲットしたか。俺のいない間によくやった」

魔法使い「褒められたもんじゃないよ。ほとんど犯罪なんだから」

武闘家「犯罪であろうと、やつにはあれくらいしなければならなかったんだ」

魔法使い「え?」

武闘家「やつは居場所を失っていた。道標を失い孤独になり、暗闇が残るだけになった」

魔法使い「……」

武闘家「だから無理矢理にでも引き入れなければ、やつはどんどん闇へ堕ちていき……手遅れになる」

魔法使い「武闘家君……」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 23:05:12.36 ID:UxUGQJGyO
武闘家「俺はやつを救うために野球部を利用したんだ……すまない」

魔法使い「でも君バコタさんが捕まる前から盗撮していたよね。最初から脅す気だったよね」

武闘家「盗賊はリードオフマンの適性が当てはまると思うのだが、どう思う?勇者」

魔法使い「無視!?」

勇者「話だけ聞くとそうみたいだな。経験者なんだしいいじゃねえか」

武闘家「俺の目に狂いはない」

魔法使い「……」

勇者「そんでその盗賊はどこ行ったんだ?」

武闘家「馴れ合うのが嫌いらしい。根っからの一匹狼だと言っていた」

魔法使い「おもいっきり先輩にベタベタしていたけどね」

勇者「おいおい、そんなんで大丈夫か?」

武闘家「部が成立したら姿を見せるだろう。逃げられはしない。問題ない」

魔法使い「チームスポーツなんだよなあ……」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 23:25:07.07 ID:UxUGQJGyO
武闘家「これで4人集まった。校長に届を出せばいいのだな?」

勇者「でも申請するには本人のサインがないと認められないぜ」

武闘家「くっ、不覚。名前を書かせ忘れた」

勇者「まあ早く部にしたいところだよな。部室が欲しいよ」

武闘家「ああ。部にならなければ活動もままならない。学校に残っているかわからんが放課後探しにいくか」

魔法使い「それより他の人を勧誘しに行かない?盗賊君を当てにしてもちょっと不安だよ」

勇者「うーん、まあいいか。どうせ集めなきゃなんないし」

武闘家「簡単に捕まりそうなやつがいればだが」

魔法使い「戦士君誘わない?彼なら入ってくれるかもよ」

勇者「あいつか……うーん」

魔法使い「戦力云々は置いておいてさ、とりあえず部員は欲しいじゃない」

武闘家「役に立たないだけならまだしも、あんな肉塊が入ってきたら部室が狭くなる」

魔法使い「君登場時そんなクズキャラだったっけ?」

勇者「仕方ない。一応誘っとくか」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/20(木) 23:25:39.30 ID:UxUGQJGyO
つづく
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 23:54:16.80 ID:ER09oNAnO
どうなるかな
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 23:14:03.95 ID:qRkWH0+MO
───放課後

勇者「またいないってよ」

魔法使い「まだ他の部活に狙われているのかな」

武闘家「メッキはすぐに剥がされる。あの人気も長くは続かんだろう」

勇者「探しにいくか。あんだけ目立つならすぐ見つかると……」



「キャー!」



勇者「なんだ?」

魔法使い「女の人の叫び声だ」

武闘家「事件か。行くぞ」

勇者「やれやれ。さっさと解決して仕事に戻りますか」

魔法使い(僕たちって一体……)
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 23:24:12.10 ID:qRkWH0+MO
───調理室

勇者「この辺りから聞こえたぞ」

武闘家「中の部屋が騒がしい。ここで間違いない」

魔法使い「調理室……?」

ガラッ

魔法使い「誰か出てきた」

調理部員「た、助けて」

勇者「何があったんだ?」

調理部員「彼が……」

勇者「彼?」

武闘家「おい……あれは」



戦士「はあ……はあ……」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 23:36:33.25 ID:qRkWH0+MO
魔法使い「戦士君!?なんで彼が!?」

武闘家「なんて光景だ。部屋中血まみれではないか」

勇者「見ろ。包丁持っていやがる。あいつの仕業だ」



戦士「う、うおおおおお!」ブルン



勇者「鍋の熱湯ぶちまけてきた!」

武闘家「避けきれ……!」

ビシャア

魔法使い「ぎゃあああああ!」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 23:52:06.70 ID:qRkWH0+MO
勇者「熱いいいいい!」

武闘家「水!水!」タッタッタッ



戦士「うおおおおお!」ヒュン



魔法使い「今度は包丁だ!?」

勇者「武闘家危ねえ!」

ザクッ

武闘家「か……」

タラー

武闘家「……間一髪」

魔法使い「包丁投げて壁に……僕らに水を使わせない気だ」

勇者「それどころか武闘家殺されかけたぜ。野郎……」

武闘家「やつの本性が見えてきたな。散々バカにされて発狂したか」

勇者「まずいな。戦士の手元にはまだ熱湯が残されている。迂闊に近づけないぜ」



戦士「はあ……はあ……」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 23:56:52.47 ID:qRkWH0+MO
?「僕が行く。君たちは下がれ」

勇者「ん?」

魔法使い「誰?」

調理部員「遊び人君逃げて!体験入部中のあなたが怪我でもしたら……」

勇者「遊び人?」

遊び人「先輩もそこから動かないでください。彼は調理部の体験入部仲間だ。僕が止めてみせます」

調理部員「遊び人君……」

勇者「遊び人……どこかで聞いたような」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 23:57:30.38 ID:qRkWH0+MO
つづく
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 23:58:27.23 ID:UdMBfaBLO
やめろ遊び人!
やつの尻を撫でて止めるつもりか!?
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:12:26.25 ID:6HDDXniXO
遊び人「戦士君、落ち着いて」テクテク

勇者「おい、そんな悠長に……」

遊び人「大丈夫だから」テクテク

武闘家「あの怪物は高熱の全体攻撃と全てを切り裂く殺傷攻撃を使い分けてくる。近づいては危険だ」

遊び人「僕を信じて」テクテク



戦士「うおおおおお!」ブルン



魔法使い「来たよ!極熱熱湯シャワーアタックだ!」

遊び人「……」テクテク

武闘家「あんな素人の動きでは避けようがない!」

ビシャア

魔法使い「ああ……」

勇者「まともに浴びち……ん?」

遊び人「僕にはかからなかったよ。ラッキー」

武闘家「バカな。あれほどの飛沫を浴びなかっただと?」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:17:41.22 ID:6HDDXniXO
遊び人「さあ戦士君」スッ

ペタッ

勇者「なんだ?札を戦士に貼ったのか?」

戦士「あ……あ……」

遊び人「眠れ」

戦士「う……」バターン

勇者「!?」

武闘家「な……」

戦士「」 ピクピク

遊び人「ふう」

勇者「大人しくなったと思ったら倒れた……?」

魔法使い「何あれ……なんの呪術だよ」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:29:14.38 ID:6HDDXniXO
調理部員「あ、ありがとう遊び人君」

遊び人「先輩の美しい肌が荒れずに済んで何よりです」ニコッ

調理部員「やだもう……」ポー

勇者「キザなやつだな」

武闘家「だがそれを裏付けるあの甘いマスク。女はひとたまりもあるまい」

魔法使い「そんなどうでもいいことより一体君は何をしたの!?あの戦士君を止めるなんて」

遊び人「彼の傷口に絆創膏を貼ったのさ」

勇者「は?絆創膏?」

遊び人「血が止まってようやく落ち着いたようだ。疲弊していたからそのまま眠ったんだ」

勇者「どういうことだよ。じゃあこの部屋の血は全部戦士のなのか?」

魔法使い「こんな大量の血が一人分なわけないよ。さすがに被害者は出たって」

遊び人「いいや。他の部員の先輩方は無傷で避難させたはずだよ」

勇者「じゃあ一体……」

武闘家「ペロッ……これはケチャップ!」

魔法使い「んなベタな……」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:36:36.39 ID:6HDDXniXO
遊び人「彼は絶望的に料理が下手だった。包丁を滑らせて指を切り、慌てた拍子に滑って近くにあった大量のケチャップを撒き散らせ、熱湯消毒をしようとして鍋を滑らせてしまったんだ」

魔法使い「いやおもいっきり鍋を投げてきたじゃないか」

遊び人「滑らせてしまったんだ」

武闘家「俺の顔に包丁まで投げてきた」

遊び人「滑らせてしまったんだ」

魔法使い「……」

武闘家「……」

勇者「料理が下手ってレベルじゃねえぞ。なんだよこの惨状」

武闘家「不器用にも程がある」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:46:50.40 ID:6HDDXniXO
遊び人「君たちは戦士君の知り合いのようだね。僕はここを片付けなきゃならないから彼を保健室に連れていってやってくれないか?」

勇者「いいけど別に知り合いじゃねえぞ」

遊び人「そうなのか。君は良い人だ。また会いたいね。僕は1年緑組の遊び人」

勇者「1年青組の勇者だ。そっちが魔法使いと武闘家」

遊び人「覚えておくよ」

調理部員「遊び人君もまだ体験入部中なのにありがとう」

遊び人「先輩だけに後始末させるわけにはいきませんよ。男として」

調理部員「遊び人君……正式に調理部に入ってくれないかな?」

遊び人「すみません。ここも本当に居心地が良かったのですが、他の部も体験してみたいので」

調理部員「そう……ならせめて連絡先を交換させて」

遊び人「喜んで」ニコッ

調理部員「やった!」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/22(土) 14:57:27.46 ID:6HDDXniXO
魔法使い「……」

武闘家「さっきから見すぎだぞ魔法使い。嫉妬か?それともそっちの気があるのか?」

勇者「あの先輩結構可愛いもんな」

魔法使い「ち、違うし!羨ましいなんて少ししか思ってなくもないこともないわけじゃないし!」

武闘家「お?お……うん?」

魔法使い「そうじゃなくてあの遊び人君、どこかで見たことがある気がするんだ」

勇者「俺も名前をどこかで……あ!」

武闘家「どうした?」

勇者「ルイーダメモだ……あいつ野球経験者だ」

武闘家「なに?では魔法使いが見たというのも?」

魔法使い「うーん、それとは違うような。野球とは関係ない場所で見たような……」

勇者「まあそのうち思い出すだろ。それより勧誘したいところだが戦士を運ぶのが先だ」

武闘家「3人でやっと運べそうなサイズだからな」

魔法使い「でも彼が経験者だってわかって良かったよ。顔見知りにもなれたし今度誘ってみよう」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 14:58:43.63 ID:6HDDXniXO
つづく
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 15:47:59.98 ID:uSzXig1Vo
遊び人イケメンかよ
武闘家とか戦士は公式絵でもしっくりくるけど魔法使いは爺さんだよな
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/22(土) 16:12:19.50 ID:k7Y3gNTSO
なにこれおもしろい
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 19:43:17.59 ID:7ZJlbrM/0
そっちの意味の遊び人ってか
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 09:52:41.79 ID:0oFIyq4A0
ドラクエ3の職業だけで、9人集まるか疑問なんだが・・・
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 20:01:55.91 ID:pZk8ZFnNO
───保健室

戦士「うーん……」パチリ

保健教諭「おお戦士、意識が戻ったか。失神してしまうとは情けない」

戦士「……そうか。また保健室のお世話になっちゃったか」

勇者「まったく。料理してあんな暴れるやつ初めて見たぜ」

戦士「君たちは?」

武闘家「覚えていないか。よほどの興奮状態だったのだろう」

魔法使い「僕たちは調理室で気を失った君を運んできたんだよ」

戦士「そうか……ありがとう。迷惑をかけたね」

魔法使い「迷惑なんて……」

戦士「いいんだ。この身体だから色々求められるんだけど、何をやってもすぐに化けの皮が剥がれて見限られてきた」

勇者「……」

戦士「ただでかいだけの戦士が必要とされたことなんて一度もない。部活はもう諦めるよ」

勇者「じゃあ野球部入れよ」

戦士「え?」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 20:13:28.85 ID:pZk8ZFnNO
勇者「俺たちは野球部だ」

戦士「でも……」

勇者「必要とされたいんだろ?俺たちはお前を必要としている。ちょうどいいじゃんか」

戦士「でも……でも……」

勇者「野球経験者なんだろ?」

戦士「でも俺絶対また下手こくし……」

保健教諭「そんなの関係ねえ!」

戦士「え?」

保健教諭「そんなの関係ねえ!こいつらはお前の事情を知った上で必要と言ってくれた!自分だけじゃ飽きたらず、その心意気まで裏切るのか!」

魔法使い(言えない。数合わせで必要なんて言えない)

保健教諭「諦めるなんて言葉を使うのは全ての可能性が消えたときだ。お前にはまだいくらでも可能性が残っているだろ」

戦士「先生……」

保健教諭「何度でも挑戦してみろ。その度お前が傷つき倒れても、俺が何度だって復活させてやる」

戦士「……俺、部活がしたいです」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 20:23:30.75 ID:pZk8ZFnNO
───

勇者「やれやれ。モブのくせに出番欲しさに重要キャラのふりしたおっさんはタチが悪いな」

魔法使い「でもこれでちゃんと部員が揃ったよ。とうとう野球部ができるんだ」

武闘家「ああ。早速申請しに行こう」

戦士「……」

戦士(……あれー?野球部ってこれからつくるの?俺って頭数揃えるために利用されたの?)

勇者「そんなことないぞ戦士」

戦士「なんで俺の考えていることわかったの!?絶対そう思っていたからだろ!」

魔法使い「ま、まあまあ。それより戦士君はどれくらい野球経験があるの?」

武闘家「魔法使いも知らないと言っていたな。これだけ目立つ男なのに知られていないとは」

戦士「ああ、俺って昔はチビだったから。身長伸びたのは最近なんだ」

勇者「最近伸びてそんなに!?」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 20:33:17.08 ID:pZk8ZFnNO
戦士「目立たなかったけど野球は中学までやっていて、それなりにできたとは思うんだ」

武闘家「お前がそれなりに……?信じられんな」

魔法使い「まさか……急激に身長が伸びたからうまく動けなくなったとか?」

戦士「うん。その上成長期だから腹も減るでしょ。引退してからは食べた分横にもでかくなって、自分の身体の感覚じゃなくなったんだ」

勇者「それ全部ぜい肉かよ」

武闘家「なるほど。その肉を筋肉に変えてやれば少しはまともになるかもしれん」

勇者「よし、お前毎日筋トレしろ。それから基本練習で身体の使い方を覚えるんだ」

魔法使い「まずは有酸素運動で余分な脂肪を落とした方がいいかも。ランニングから始めよう」

戦士「え?やだよ。疲れるし」

勇者「……」

武闘家「……」

魔法使い「……」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 20:39:03.03 ID:pZk8ZFnNO
戦士「それより今日は野球部発足記念に皆でラーメン食べに行こうよ」

武闘家「……なるほど。その身体を手に入れた代償に相当な怠け者に育ってしまったらしいな」

勇者「努力もせずに誰にも必要とされないなんて嘆いていたのかよ」

戦士「お勧めのラーメン屋なら任せておいてよ」

魔法使い「やれやれ。もう面倒見きれないや☆」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 20:41:19.76 ID:pZk8ZFnNO
つづく
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:10:53.56 ID:UVull3G90
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 21:11:55.04 ID:oRWJ2+I3O
あかんやんけ!
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 20:41:06.62 ID:oVPW8a97O
───校長室

校長「よくぞ戻った。勇者よ」

勇者「校長先生に言われた通り仲間を集めてきました」

校長「うむ。野球部を正式な部活動と認めよう」

勇者「やった」

校長「だが野球は9人で行う競技。あと5人揃えなければ公式戦への道は閉ざされたままじゃ」

勇者「わかってますって。この調子で集めちゃいますよ」

校長「うむ。その意気じゃ」

魔法使い「あの、なんとなく空気を壊すからやめようかと思ったんですが」

校長「なんじゃ?」

魔法使い「顧問の先生がいないんじゃ……」

戦士「な……」

武闘家「くっ、不覚」

勇者「お前それ早く言えよ!」

魔法使い「むしろなんで誰も気づかなかったの!?申請書にも書く欄絶対あったよね!?」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 20:46:51.16 ID:oVPW8a97O
校長「顧問か。ふむ」

勇者「ええ……先生も探さなきゃならないんですか」

校長「それなら話はすでについておる」

魔法使い「そうなんですか!?」

校長「うむ。野球部復活の件はわしから依頼したもの。それくらいはしなくてはな」

武闘家「助かったな」

勇者「ああ。それでなんて先生ですか?」

校長「謎のマントマスク先生じゃ」

魔法使い「!?」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 20:54:04.41 ID:oVPW8a97O
勇者「謎のマントマスク先生か。知らないな」

戦士「でもどこか優しそうな感じはするね」

魔法使い「どこがだよ!明らかにおかしいよ!なんだよ謎のって!?」

武闘家「風情があるではないか」

魔法使い「マントマスクがか!?」

校長「謎のマントマスク先生はお主らの前にはあまり現れん。だが公式戦には同行させるから心配するな」

勇者「ならよかった」

魔法使い「よかないよ!全然知らない人が顧問ってそれで成り立つの!?」

校長「連絡事項があるときくらいは会えるじゃろ。そのときに挨拶せい」

勇者「わかりました」

魔法使い「……」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/25(火) 20:54:44.49 ID:7/heQifVO
オルテガかカンダタか
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:02:51.61 ID:oVPW8a97O
───野球部部室前

勇者「……やったな」

武闘家「ああ。とうとう手に入れた」

戦士「これが俺たちの部室になるんだね」

魔法使い「不安だ……」

勇者「まだそんなこと言ってんのか。校長だって心配するなって言ってただろ」

魔法使い「あの校長先生もなかなか信用できないよ」

武闘家「もうその辺にしておけ。せっかくの記念の瞬間なのに空気が悪くなる」

魔法使い「そうだった。ゴメン」

勇者「じゃあまず部長の俺から入るぞ」スッ

武闘家「待て。いつお前が部長になった」ガシッ

勇者「立ち上げたのは俺だ。申請書にも書いちゃったし。あ、副部長は魔法使いな」

魔法使い「いいけど……おや?空気が」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:15:13.18 ID:oVPW8a97O
武闘家「納得がいかん。長というからには一番実力のある者がやるべきだ」

勇者「あの勝負はただの一打席勝負。野球全てで負けたわけじゃない」

武闘家「だったら今度は俺が投げる。お前が打席に立て」

勇者「いやもう提出しちゃったし」

武闘家「今ならまだ間に合う!早く勝負しろ!間に合わなくなっても知らんぞ!」

勇者「いや知らないのはこっちだし」

戦士「いい加減にしろよ!なんで二人が争ってるの!」

魔法使い「そうだよ。落ち着いて」

戦士「俺だって(楽な練習メニュー組むために)部長やりたい!」

勇者「は?」

武闘家「寝言は寝て言え豚」

魔法使い「出荷されたいの?」

戦士「うう……うう」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:25:28.90 ID:oVPW8a97O
ガチャ

盗賊「うるせえな。眠れねえだろが」ヌッ

勇者「!?」

武闘家「お……お前……」

魔法使い「中にいたの……?」

勇者「記念の瞬間が……」ガクッ

盗賊「せっかくいい場所がものになったってのに、こうもうるさいのか?」

武闘家「貴様許さんぞ!なぶり殺しをじわじわしてやる!」

盗賊「くだらねえ。誰が先に入っても同じだろうが」

武闘家「あ?貴様も停学にしてやろうか?あの先輩と同じように」

盗賊「バコタ先輩のこと言ってんのかー!?」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:36:53.87 ID:oVPW8a97O
ガタッ

戦士「おや?まだ中に誰かいるの?」

盗賊「いや俺しか……ってなんだこのデカブツは。狭くなるからお前は入るなよ」

戦士「皆酷いよ!俺だって好きででかくなったわけじゃないよ!」

勇者「不摂生でデブったんだろうが」

戦士「……そんなことより物音がしたんだけど」

勇者「なに誤魔化してんだよ」

武闘家「戦士の証言だけなら怪しいが俺も聴こえた」

戦士「……」

勇者「だがしかし誰もいないみたいだが……」キョロキョロ

盗賊「窓の外だ!何かいる!」

魔法使い「ええっ!?」

戦士「の、覗き!?」

勇者「誰だ!」ガラッ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:41:20.30 ID:oVPW8a97O
シーン


勇者「誰もいない……ん?なんだこの紙」ヒョイ

武闘家「置き手紙か?何が書いてある?」

勇者「えーと……」




『精一杯頑張った君たちへ。野球部発足おめでとう。これからの君たちの健闘を祈ります。謎のマントマスク先生』
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:52:22.65 ID:oVPW8a97O
武闘家「謎のマントマスクだと!?」

戦士「連絡事項ってこういうやり方なの?」

魔法使い「結局姿見せないじゃん!どう関われと!?」

武闘家「俺たちも手紙を置いてやり取りするしかあるまい」

魔法使い「文通か!」

盗賊「誰だ?」

勇者「俺たちの顧問。きっと恥ずかしがり屋なんだ」

魔法使い「ポジティブだねえ!」

盗賊「かなり怪しいが、ずかずかと生徒の中に踏み込んでこないだけ気楽でいい」

勇者「だからってタバコは吸うなよ」

武闘家「心配しなくてもそいつは吸えない」

盗賊「……ちっ」

武闘家「あと皆、ロッカーの中に貴重品は入れておくな」

盗賊「どういう意味だそりゃあ!?」

魔法使い「なんでおめでたい日にこんなギスギスしているんだろう……」

戦士「ねえ、ラーメン───」

魔法使い「黙れよ!」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/25(火) 21:53:08.39 ID:oVPW8a97O
つづく
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 16:30:42.08 ID:F2kAR7a/o
魔法使い過労死しそう
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 20:42:13.49 ID:m8KKET8fO
───次の日

戦士「ひぃー……ひぃー……」ドスンドスン



勇者「やってるな」

武闘家「ふん。なぜ俺があんなやつのために」

勇者「そう言うなって。あいつを鍛えるのはお前が適任だ」

武闘家「だからといって余計なものを摂取しないよう見張りも兼ねるのは……苦行だ」

魔法使い「まあまあ。勧誘は僕と勇者君で行ってくるからさ」

武闘家「ふう。いつになったらまともな活動ができるのか」

戦士「ぜえ……ぜえ……あと何周走ればいいの……?」ドスンドスン

武闘家「俺の気が済むまでだ」

戦士「絶対ゴールないですやん!?」

勇者「こっちは大丈夫そうだな」

魔法使い「大丈夫なのかなあ……」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 20:48:50.03 ID:m8KKET8fO
───放課後・1年緑組

生徒「遊び人君ならいないよ」

勇者「帰ったか?」

魔法使い「前さ、色んな部を体験してみたいとか言ってなかった?」

勇者「そうだったな。今日もどこかでやってるかも」

魔法使い「前は調理部だったし、運動部にいる線は薄そうだね」

勇者「かもな。文化系の部がある棟に行ってみよう」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 20:53:42.33 ID:m8KKET8fO
───文芸部部室前

ガラッ

遊び人「ではお世話になりました」

魔法使い「あ、いた。文芸部を体験していたみたい」

勇者「ちょうど出てきてくれてよかったな。おーい、遊び人」

遊び人「ん?誰だい?」

勇者「忘れたのかよ。一緒に戦士助けただろ」

遊び人「えーと……?」

勇者「ほら、調理室で……」

遊び人「調理室……ああ。いつぞやの」

勇者「会ったの昨日だぞ……」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 20:59:10.06 ID:m8KKET8fO
文芸部員「待って」

遊び人「ん?」

文芸部員「文芸部には入ってくれる気ない?」

遊び人「すみません。ここも本当に居心地が良かったのですが、他の部も体験してみたいので」

文芸部員「そう……じゃあせめて……他の皆には内緒で」

遊び人「連絡先交換ですね。わかります」ニコッ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 21:15:19.05 ID:m8KKET8fO
魔法使い「……なんか、思っていたような人とは違う気がする。僕たちのことも覚えていなかったし、良い人に見えたのは女の人が傍にいたからなんじゃ……」

勇者「体験入部しまくってんのも女目当てか」

魔法使い「まさか学校中の女子とお近づきになるつもり……?」

勇者「いや、そうとは限らないぜ。文芸部の中見てみろよ」

魔法使い「結構な人数いるね。女の人ばかりだけど」チラッ

勇者「連絡先を交換したのは今出てきた彼女だけっぽい。ただ、ルックスは彼女が飛び抜けて一番だな」

魔法使い「そういえば調理部のあの人も美人さんだった。人を選んでいるとか……?」

勇者「おいおい、それじゃああいつが好みの女残して連絡先交換しているってのか?戦士が暴れていたあの状況でそんな余裕あるのか?」

魔法使い「だよね。考えすぎだよね」



遊び人「ふふ。運よく狙っていた彼女だけと交換できた。ラッキー」スタスタ



勇者「あ、行っちまった」

魔法使い「案の定僕たちは忘れられたね」

勇者「追うぞ」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/27(木) 21:29:35.61 ID:m8KKET8fO
───

勇者「見失った。どこ行ったんだ?」

魔法使い「はあ……やっとまともな人が出てきてくれたと思ったのに」

勇者「俺は野球ができれば女たらしでも気にしないけどな」

魔法使い「部室に女の子連れ込まれたらどうすんの」

勇者「……悪くないな」

魔法使い「何言ってんの……って前!危ない!」

勇者「え?」

ドン

勇者「痛っ!」ドサッ

?「うっ」ドサッ

魔法使い「ああ、チョメチョメな妄想して歩くから」

勇者「悪い。大丈夫か?」スッ

?「ん……大丈夫」ガシッ

魔法使い「すみません。うちの勇者君が……あれ?」

?「……」

勇者「なんだよ。お前遊び人じゃん。そんな格好してどうしたんだ?」

魔法使い「違うよ……遊び人君じゃない」

勇者「え?」

?「……」

魔法使い「中学MVPの賢者君!?君もアリアハンに!?」

賢者「……」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 21:30:39.12 ID:m8KKET8fO
つづく
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 22:06:16.42 ID:HVc9TAc90

遊び人とはなんだったのか
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/27(木) 22:29:55.65 ID:Yy/90YYUO
遊び人?
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/28(金) 23:28:47.49 ID:p2UqDS51O
勇者「知り合いか?」

魔法使い「僕らガリ勉の間じゃ有名人だよ。全国模試では常にトップでついた異名がM(Moshi)V(Victory)P(Perfect)なんだ」

勇者「そりゃすげえな」

賢者「ん……魔法使い君か」

魔法使い「僕を覚えているの?」

賢者「模試のとき一度話した」

魔法使い「僕も覚えている……でもそれは君が有名人だからだ。昔一回、全国各地から色んな人が集まる模試のとき会って挨拶程度しか喋っていないのに覚えているなんて……」

賢者「一度覚えたら忘れないんだ」

勇者「天才ってやつだな」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/28(金) 23:39:13.71 ID:p2UqDS51O
魔法使い「どうして君が?もっと偏差値高い学校に行けたでしょ」

賢者「受験日が大事な用と重なっちゃって。ここには推薦で入ったんだ」

勇者「うわあ、運はないんだな」

魔法使い「でも君の地元ってガルナだよね。かなり離れているのにわざわざここに?」

賢者「中学の途中でこっちに引っ越したんだ」

魔法使い「そうなの?まあ、うちの学校も進学コースの銀組だったら割と偏差値高いけど、それでも勿体ないと思うな」

賢者「今さら編入も面倒だしどうでもいいよ」

勇者「すげえ感覚だな。それより気になってんだが、お前遊び人と顔そっくりだけど関係あるのか?」

賢者「……双子の兄弟」

魔法使い「そうなの!?」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/28(金) 23:47:11.07 ID:p2UqDS51O
勇者「へえ、双子でも全然違うもんだな。かたやプレイボーイでかたや全国一の天才とか」

賢者「……」

勇者「同じ顔してんだから眼鏡とったり髪型変えてお洒落したらお前も絶対モテるぜ」

賢者「面倒くさい」

勇者「勿体ない」

魔法使い「そうか……僕が遊び人君を見たことがあると感じたのは賢者君と見間違えたからなんだ」

勇者「リストにはなかったし、お前は野球やっていないんだよな?」

賢者「ん……一回だけなら」

勇者「まあ遊び程度なら誰でもあるわな」

魔法使い「あ、遊び人君追わなきゃ」

勇者「そうだった。じゃあな。今度勉強教えてくれよな」タッタッタッ

賢者「……」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:54:33.18 ID:p2UqDS51O
つづく
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 04:49:37.76 ID:w7pLeYg5O
賢者が仲間になりたそうにこちらを見ている
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 22:18:21.63 ID:bzXBekRjO
───部室

勇者「くそ、結局あいつ見つからなかった」

魔法使い「今日はもう無理っぽいからグラウンド整備でもしようかと思って切り上げてきたんだ」

武闘家「そうか。なら俺も加わろう」

戦士「俺も?」

武闘家「お前は走っていろ。誰が休んでいいと言った」

戦士「!?」

勇者「あと4人集めりゃいいだけなのに先が長いぜ」

盗賊「人数が揃ったとしても、まだ問題はあるだろ」

勇者「うお、お前いたのか」

武闘家「よほど部室が気に入ったようだな」

盗賊「お前らさえいなけりゃ言うことないんだがな」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 22:32:28.33 ID:bzXBekRjO
魔法使い「それより問題って?」

盗賊「道具がねえだろ。そういうの全部備品でまかなえるのか?」

勇者「たしかにな。一応布の練習着とひのきのバットだけは用意されたが」

魔法使い「ひのきのバットって……まともに飛ばせないじゃないか」

戦士「布の練習着って……すぐ破けちゃうじゃないか」

武闘家「お前だけだ。痩せろ」

盗賊「ケチな校長だ。本気で復活させたいならまともな道具をよこせってんだ」

勇者「あの五千円で買えるとしたらボールか。ボールはいくつも必要になるから用意しとかないとな」

魔法使い「道具がなきゃ練習もできないね……」

勇者「俺は自前のグローブと銅のバットを持ってるぞ。お前らグローブは?」

魔法使い「昔のならあるけど、もう小さくてはめられないよ」

戦士「同じく」

武闘家「俺は助っ人の際は借り物でやっていた」

盗賊「売っ払った」

勇者「こりゃ前途多難だわ」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 22:41:27.61 ID:bzXBekRjO
ガタッ


勇者「!?」

盗賊「窓の外で音が……」

戦士「ということはまさか」

勇者「先生そこにいるのか!?」ガラッ

シーン

勇者「くそ、また逃げられた。手紙だけ置いてある」

魔法使い「なんで頑なに姿見せないんだろう……」

武闘家「それは考えるだけ無駄だ。手紙の内容は?」



『霊感的な何かが働き、君たちが何かを欲していると気づきました。必要なあれはロッカーに入れてあります。使ってください。謎のマントマスク先生』
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 22:47:14.82 ID:bzXBekRjO
勇者「相変わらず可愛い字だぜ」

武闘家「ロッカーに……?」

魔法使い「まさか僕たちの会話聞いていたの?内容めっちゃ噛み合っているけど」

盗賊「偶然だろ。ロッカーに入れておいたんなら俺たちが来るより早く忍び込んでいたってことだ」

戦士「何入ってんだろ」

魔法使い「いや野球道具以外に何があるの」

武闘家「む……」ガコガコ

勇者「鍵掛かってんじゃん」

盗賊「ダメだ。全部開かねえ」ガコガコ

魔法使い「マントマスクゥー!」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 22:53:27.06 ID:bzXBekRjO
勇者「先生が鍵持ってんのか。とんだドジっこだな」

武闘家「仕方あるまい。この旨手紙に書き記しておこう」

魔法使い「面倒だなあ……」

勇者「道具の件は先生が手紙に気づくまで保留だな」

魔法使い「ちゃんと届くの……?」

勇者「さあな」

魔法使い「……」

盗賊(鍵……まてよ。バコタ先輩のあれがあれば)

勇者「じゃあグラウンド整備でもするか」

盗賊「用事思い出したから帰るわ」ガチャ

魔法使い「え、一緒にやらないの?」

武闘家「いつものことだ。放っておけ」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 23:00:09.56 ID:bzXBekRjO
───

盗賊「えっと、先輩の家はたしかこの辺……」キョロキョロ

盗賊「……ん?」



タッタッタッ

「簡単だったな」

「ああ」

「早く持って帰ろうぜ」

タッタッタッ



盗賊「……」

盗賊「あの制服……ワルでお馴染みナジミ高校のやつらか」

盗賊「っとそれより先輩の家……あ!」


バコタ「うう……」


盗賊「バコタ先輩!?」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/30(日) 23:07:05.58 ID:bzXBekRjO
バコタ「お、お前……どうして」

盗賊「怪我してるじゃないッスか!何が……」

バコタ「……俺としたことが油断していた。ピッキングツールを奪われちまった」

盗賊「なぬ!?」

バコタ「複数で急に後ろから襲いかかってきやがった」

盗賊「さっき通り過ぎたやつらか。ナジミッスね。顔覚えていますよ」

バコタ「……」

盗賊「俺も行きます。取り返しましょう」

バコタ「やめろ。やつらは危険だ」

盗賊「やられっぱなしでいろって言うんスか!」

バコタ「そうだ」

盗賊「……」

バコタ「この件は忘れろ。関わるな」

盗賊「奪われたのはピッキングツールだけじゃなかったみたいッスね。幻滅しました」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 23:08:07.74 ID:bzXBekRjO
つづく
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/04(木) 18:29:59.59 ID:Bp9pPgIpO
───次の日・1年黄組

勇者「頼むって」

商人「だからやだって。部活なんかやってもなんのメリットもないじゃん」

勇者「皆で同じ目標に向かって頑張れば、同じ思い出が共有できて楽しいぞ」

商人「くだらないね。女の子にモテるってんなら考えてやってもいいけど」

勇者「ぜ、全国大会に出られれば……」

商人「じゃあ全国に行けたら入ってやるよ」

勇者「……」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/04(木) 19:00:59.61 ID:02qW75C2O
───

勇者「くそ、ダメだったか。あいつを引き入れりゃ道具とかカンパしてもらえると思ったのに」

魔法使い「やっぱり商人君は難しいよ」

勇者「こうなったら弱みを握って……」

魔法使い「武闘家君と同じ思考じゃないか!?ダメだよ!」

勇者「でもなあ……」

魔法使い「そんなことで入ってもらってもチームがまとまらないよ。だったら経験者じゃなくてもやる気のある人の方がいい」

勇者「たしかにそうなんだが」

魔法使い「大体盗賊君だってまだ仲間というより被害者だからね」

勇者「あいつ、なんだかんだいって馴染んでいるように見えたけどな」

魔法使い「僕もそれは思っていた。彼の場合は寂しがり屋なだけなのかも」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 19:03:32.19 ID:pncH+LHro
部活って勝てればいい派と楽しくやれればいい派と分かれるよね
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/04(木) 19:07:11.63 ID:02qW75C2O
勇者「お、噂をすれば盗賊」

盗賊「おう」

勇者「珍しいな。授業に出るのか?」

盗賊「いや、退部届を渡しにな」

魔法使い「え……」

勇者「退部届って……お前辞める気か?武闘家に脅されていただろ」

盗賊「もういいや。好きにしろって言っておいてくれ」

魔法使い「そんな、バコタさんがせっかく守ってくれたのに」

盗賊「もういいって言ってんだろ!」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/04(木) 19:15:13.89 ID:02qW75C2O
───部室

勇者「盗賊、部活辞めるってよ」

武闘家「なに?」

魔法使い「吹っ切れたような……もう全部どうでもいいって感じだった。何かあったのかも」

武闘家「……」

勇者「せっかくだしもう解放してやってもいいんじゃないか。あいつが決めたことなんだ」

武闘家「いや、俺が行く。俺に任せてくれ」

魔法使い「え?」

武闘家「やつは必ず連れ戻す」

魔法使い「でも君のやり方じゃ……」

武闘家「心配するな。任せてくれ」

戦士「じゃあ今日のメニュー終わり?やった」

武闘家「お前は下校時も買い食いしないよう俺の監視下に置く。一緒に来い」

戦士「!?」

魔法使い「大丈夫かなあ」

勇者「ま、武闘家に任せようぜ」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/04(木) 19:26:06.76 ID:02qW75C2O
───

戦士「そもそも居場所わかるの?」

武闘家「やつには発信機をつけてある。俺からは逃げられん」

戦士「怖っ!絶対まともな方法で連れ戻さない気だろ!?」

武闘家「お前が俺といるのは監視のためだけだ。口出しする権利はない。さっさと歩け」

戦士「はあ……こんな重りつけてちゃ歩くのも大変なんだよ」ドスンドスン

武闘家「俺は毎日それを使い鍛えている。今はお前にくれてやった分何もなくて気持ち悪いくらいだ」

戦士「毎日こんなの着けてたの……?ただのヤ○ザじゃなかったんだね」

武闘家「誰がヤクザだ……む」

戦士「どうしたの?」

武闘家「盗賊の動きが止まった」

戦士「ここから近い?近い?」

武闘家「この場所は……ナジミ高校か」

戦士「ナジミ高校って悪くてお馴染みの?なんでそんな場所に……?」

武闘家「……」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 19:26:50.48 ID:02qW75C2O
つづく
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/05(金) 18:44:59.65 ID:SGQnKFcKO
───ナジミ高校校門

盗賊「……その面、ようやく見つけたぜ」

スライム「なんだてめえ」

盗賊「アリアハン高校のもんだ」

一角兎「アリアハン?ひょっとしてバコタの連れピョン?」

大烏「あの野郎自分で歯向かう勇気もないのかよ。カッカッカー」

盗賊「……」

一角兎「まああんな弱っちい野郎じゃ歯向かう気も起きないピョン」

スライム「そうだそうだ」

大烏「ちょろかったぜ。2、3発ぶん殴っただけでブツを寄越してくれたんだからよ。カッカッカー」

盗賊「てめえら……!」

武闘家「落ち着け」ガシッ

盗賊「な……お前」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/05(金) 18:53:21.78 ID:SGQnKFcKO
大烏「こいついつの間に」

スライム「なんだてめえ」

一角兎「仲間か。一人増えたところで……」



ドスーンドスーン



大烏「なんだ?地響き?」



戦士「あ、いた」ドスーンドスーン



スライム「で……でかい」

一角兎「あれの足音!?こっちに来るピョン!」

戦士「おいおい、喧嘩しにきたの?」ドスーンドスーン

盗賊「お前らどうして……」

大烏「あいつも仲間か!?」

一角兎「あんなやつ相手じゃ分が悪いピョン!」

スライム「にげろお!」タッタッタッ

盗賊「あ、待ちやがれ」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/05(金) 19:02:58.90 ID:SGQnKFcKO
戦士「あれ?行っちゃった」

盗賊「くそ!恐れをなして校舎に逃げやがった。汚ねえ野郎共が」

武闘家「何をしているんだお前は」

盗賊「……関係ないだろ」

武闘家「問題を起こされては困るんだ」

盗賊「部は辞めたぜ。迷惑となんか思ってねえだろ」

武闘家「退部届は俺が預かっている。お前はまだ部員のままだ」

盗賊「ふざけんな!これじゃあなんのために……!」

武闘家「……」

盗賊「……あんな動画好きにしていいからよ。退部させてくれ」

武闘家「だったら消させてもらう」ピッ

盗賊「な……」

武闘家「好きにしただけだ。その上でお前と話す」

盗賊「……」

武闘家「バカなことはやめて帰ってこい」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/05(金) 19:13:26.24 ID:SGQnKFcKO
───ナジミ高校校舎裏

タッタッタッ

一角兎「はあ……はあ……」

大烏「まさかあんな大男が仲間にいたなんて」

スライム「やべえよ、やべえよ……」

一角兎「でもお前だって負けないくらいでかいじゃねえかピョン」

大烏「俺は身長があるってだけだよ。あっちは重量が違う。歩くたびに震動なんて人間じゃねえ。モンスターだ」

一角兎「一緒にいた男も結構強そうだったピョン」

大烏「むしろあっちのがやばい。二人組の小さい方は大きい方より強い法則を忘れたのか」

スライム「ちげえねえ……ん?」

?「お前たち、何をやっている」

スライム「げえっ!あなたは!」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/05(金) 19:24:05.13 ID:SGQnKFcKO
───ナジミ高校校門

盗賊「……ピッキングツールを奪うために、バコタ先輩を襲撃しやがったんだよ」

戦士「え……」

武闘家「……」

盗賊「俺は取り戻さなきゃなんねえ。バコタ先輩のピッキングツールとプライドを」

武闘家「……」

盗賊「そのためにお前らを巻き込むわけにはいかねえんだ!もう俺とは関わらないでくれ!」

武闘家「……バコタがお前に取り戻すよう頼んだのか?」

盗賊「んなわけねえだろ。先輩はむしろ関わるなと言った」

戦士「それって……」

武闘家「そうだろう。お前の身を案じてのこと」

盗賊「どうだかな。今の先輩は腑抜けちまっているからよ」

戦士「でもそれって君が俺たちにしていることと同じなんじゃない?」

盗賊「……」

武闘家「それがわからないほどお前もバカじゃあるまい」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/05(金) 19:30:20.42 ID:SGQnKFcKO
盗賊「だったら泣き寝入りしろってのか」

武闘家「誰がそんなことを言った」

盗賊「え?」

戦士「そうだよ。あいつらを説得してさ」

盗賊「説得すれば反省してすんなり返してくれる連中だと思ってんのか?甘いんだよ」

戦士「うう……」

武闘家「誰が説得しろと言った」

盗賊「え?」

武闘家「こいつを見てくれ。どう思う?」スッ

盗賊「なんだよ。もう嫌な予感しかしねえぞ……」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/05(金) 19:37:49.85 ID:SGQnKFcKO
『アリアハン?ひょっとしてバコタの連れピョン?』

『あの野郎自分で歯向かう勇気もないのかよ。カッカッカー』

『まああんな弱っちい野郎じゃ歯向かう気も起きないピョン』

『そうだそうだ』

『ちょろかったぜ。2、3発ぶん殴っただけでブツを寄越してくれたんだからよ。カッカッカー』



盗賊「……」

武闘家「……」

戦士「結局盗撮じゃないか!?」

武闘家「これとバコタの証言があればやつらは停学、いや警察沙汰かな」

盗賊「お前……いつの間に」

戦士「この人だけは信じちゃいけない……」

?「盗撮とは味な真似してくれる」

盗賊「!?」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/05(金) 19:38:46.39 ID:SGQnKFcKO
つづく
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/05(金) 20:16:52.30 ID:20g8hFmD0
シリアスになりそうでならなかった
やっぱりモンスターも登場するのか
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/06(土) 17:22:26.36 ID:M//gMGMho
これモンスターも擬人化してんじゃないの?
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 19:35:15.21 ID:Ukc9WnuXO
武闘家「……何者だ」

一角兎「この方は俺たちの番長、夢爺さんだピョン!」

大烏「夢爺さんが来たからにはそっちの大男でも終わりだぜ!多分……」

戦士「ひっ、なんで俺!?」

夢爺「ピッキングツールを盗ませたのは俺だ。だからそれが残っていると非常に厄介なんだ。消してくれないか?」

盗賊「ふざけんな!返しやがれ!」

夢爺「それはできない」

盗賊「てめえ……!」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 19:41:26.52 ID:Ukc9WnuXO
武闘家「ならばどう出る?力づくか?」

盗賊「待て。お前らは関係ない」

戦士「でも……」

盗賊「俺は元々そんな盗撮動画で脅す気なんかねえよ」

武闘家「……」

夢爺「ほう?」

戦士「そっか。盗撮も脅迫も犯罪だもんね」

武闘家「違う」

戦士「違う!?」

盗賊「……」

武闘家「こんな汚いやり方をバコタが望まないからだ」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 19:51:31.55 ID:Ukc9WnuXO
盗賊「……お前に何がわかるんだ」

武闘家「一度話した。どういう男かは大体わかる」

盗賊「なに?」

武闘家「一昨日俺はバコタと会い、お前の現状を話してきた」

盗賊「え……」

武闘家「お前からは言えないだろう。そこでお前のことをよろしくと言われたよ」

盗賊「なんで……バコタ先輩」

武闘家「……」

盗賊「俺は先輩に見捨てられたのか……」

武闘家「……お前はあのとき、タバコが吸えたことでバコタに一人前と認められたと思っているのか?」

盗賊「……」

武闘家「タバコなど手段に過ぎない。あの行動の本質はお前が見せた、バコタに頼らずとも進んでいくという意思表示のはずだ」

盗賊「……」

武闘家「やつはお前の新しい居場所を守るために、この件に関わらせたくなかったんだ」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 20:00:54.00 ID:Ukc9WnuXO
盗賊「先輩……」

武闘家「……」

盗賊「……」

武闘家「ここで暴力沙汰を起こしてはやつの思いを無駄にする。だからといって脅迫という手段もやつは望まない」

盗賊「じゃあどうしろってんだよ!」

夢爺「はっはっは。面白いな。お前たち」

盗賊「ああ?」

夢爺「だったら俺がその答えをやろう。野球でけりをつけようじゃないか」

盗賊「なに?」

スライム「やきゅう?」

一角兎「どうしたんですか。夢爺さん。なんで野球なんか……?」

夢爺「こいつらはアリアハン高校の野球部だからだ」

武闘家「!?」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 20:13:01.12 ID:Ukc9WnuXO
戦士「あれ?俺たち身分を明かしていないはずだよね」

盗賊「どういうことだ」

大烏「カッカッカー。夢爺さんは予知夢を見ることができるんだよ」

一角兎「近い未来に起こることは必ず当たるピョン」

戦士「嘘……」

盗賊「そんなバカな」

武闘家「しかし俺たちのことを知っていた。夢で今の状況も予習済みというわけか」

夢爺「会話の内容など大して覚えちゃいないがね。アリアハン高校野球部と揉めたことははっきりと覚えている」

大烏「でも夢爺さん、野球で勝負なんて無理ですよ。俺たち全然やったことないし」

武闘家「なるほど。こちらの状況も夢のどこかで知ったということか」

スライム「え?」

夢爺「ふっ、まだ部になって日が浅く人数も道具も揃わない。ブランクだらけの集まりだったかな?」

一角兎「そうか。じゃあ運動神経良さそうなの集めりゃ勝ち目はありそうピョン」

夢爺「向こうの人数が集まらず不戦勝という可能性もあるが。ふっ」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 20:21:22.47 ID:Ukc9WnuXO
武闘家「それでも経験者の俺たちが有利なのは変わりない。真意はなんだ」

夢爺「あえて言うならお前だ」

武闘家「……」

夢爺「お前の思考は危険だ。そっちの盗賊君が泣き寝入りしたとしても、お前はどう出るかわからない。だからあえてお前たちの土俵に乗ってやる」

盗賊「くだらねえ。そんな挑発に───」

武闘家「いいだろう」

盗賊「……おい。勝手に」

武闘家「俺たちが勝てばピッキングツールを返してもらう」

夢爺「俺たちが勝てば動画を消してもらう。契約成立だな」

武闘家「日時と場所はこちらで指定させてもらう」

夢爺「ああ。どうぞ」

武闘家「2週間後日曜日の正午。場所は……追って連絡する」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/06(土) 20:22:48.84 ID:Ukc9WnuXO
つづく

>>158
全員人間です
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/06(土) 20:30:13.51 ID:lJVfpsaLo
武闘家の頼もしさは異常
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/06(土) 21:27:15.88 ID:rLuykDkmo
夢爺って盗賊の鍵くれる爺さんか
若返りすぎじゃないですかねぇ
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/07(日) 03:13:27.54 ID:q2R9g0OgO
ルイーダも元はおばちゃんだからセーフ
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/09(火) 21:11:28.60 ID:/3m5y+I90
試合がナジミの塔攻略だとすると、まだ旅立ってもないんだよな
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 19:38:28.03 ID:Zr4TUXhEO
───アリアハン高校・1年緑組

生徒「遊び人君ならさっき向こうで女子と話していたよ」

勇者「おう、ありがとな」

魔法使い「また女……」

勇者「あいつ女のことしか頭にないのか。野球部は恋愛禁止にしようかな」

魔法使い「いいね。男なら部活一筋だよ」

勇者「でもそうなると俺もできないな。やめた。お前も自由に彼女つくれよ」

魔法使い「……無理だよ。モテないし。僕なんかどうせ三十路越えても綺麗な身体のままなんだ」

勇者「でもせっかくの高校生活、部活一筋ってのもどうなんだ」

魔法使い「……じゃあ勉強も頑張るよ」

勇者「お前がそれでいいならいいけど……」

魔法使い「あ、いたよ!」




遊び人「今度よかったら一緒に勉強でもしないかい?」

ルイーダ「……はい?」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 19:45:09.67 ID:Zr4TUXhEO
魔法使い「ルイーダさん!?」

勇者「よりによってあいつかよ。怖いもの知らずだな」

魔法使い「ルイーダさん美人だから……」

勇者「ちょっと面白そうだし様子見てみるか」




遊び人「一目見たときからわかったよ。君は真面目なタイプだってね」

ルイーダ「……」

遊び人「図書館デートも悪くないよね」

ルイーダ「結構よ」

遊び人「僕が勉強教えてあげるからさ」

ルイーダ「あなたに教わることは何もないわ」

遊び人「まあ知らなければ無理もないね。僕はこの学校でも一番成績がいいはずだよ」

ルイーダ「はあ……」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 19:57:06.97 ID:Zr4TUXhEO
コソコソ

魔法使い「ルイーダさんはなびかない。当然だよね」

勇者「さすが鉄仮面。スキだらけのやつとは一味違うな」

魔法使い「好き!?なんで僕がルイーダさんを好きだってわかったの!?」

勇者「しかしあいつも頭が良かったのか。優秀な血統だこと」

魔法使い「ね、ねえ……ルイーダさんには黙っていてくれない?」

勇者「でも今あいつ学校で一番って言ったよな。賢者よりも……?」

魔法使い「学校で一番好きだって本人に知られたら恥ずかしいよお」

勇者「高校に入ってから抜いたのか」

魔法使い「ルイーダさんで抜いたことも知ってたの!?」

勇者「賢者もどきのくせにやるじゃねえか」

魔法使い「賢者モードになったらやらないよ!?」

勇者「うるせえな。見つかっちまうだろ」

魔法使い「武闘家君に頼み込んで撮ってもらったルイーダさんの隠し撮りブロマイドが!?」

勇者「それ以上はやめろ。ツッコミがいなくなる」
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