勇者「集え!我らアリアハン高校野球部!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:30:51.83 ID:se0pJIVuO
それは勇者が16歳になる誕生日のことであった




「起きなさい。起きなさい私の可愛い勇者や」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491719451
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:37:02.70 ID:se0pJIVuO
───

勇者「うーん……」

母「おはよう勇者。もう朝ですよ」

勇者「あと5分……」

母「今日はとても大切な日。あなたの高校の入学式だったでしょ」

勇者「あ!そうだった!」ガバッ

母「私は今日まであなたを立派な男の子として育ててきました」

勇者「うん」

母「さあ、母さんについてきなさい」

勇者「あれ?もう出るの?朝食は?」

母「あなたが寝坊したからそんな暇はないわ。歩きながら食べなさい」

勇者「寝坊だったのかよ!だったらもっと慌てて起こしてよ!」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:45:12.13 ID:se0pJIVuO
───アリアハン高校前

母「ここから真っ直ぐ行けば学校よ。あとは一人で行けるわね?」

勇者「……」モグモグ

母「どうしたの勇者。あんなに楽しみにしていたのに学校に行きたくないの?」

勇者「いや初めから一人で来れたんだけど。母さんがわざわざ付き添わなくても……」

母「入学式には父兄も出るのよ」

勇者「ああそうだっけ。帰りは先帰ってていいよ。俺色々見て回るから」

母「わかったわ。あ、最初に校長先生にお会いしていきなさい」

勇者「校長先生に?なんで?」

母「あなたにお話があるそうよ」

勇者「ふーん。なんだろ」

母「ちゃんと挨拶するのよ。さあ行ってらっしゃい」

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 15:51:55.00 ID:se0pJIVuO
───校長室

コンコン

勇者「失礼しまーす」ガチャ

校長「よくぞ来た。その精悍な顔つきはオルテガの息子じゃな」

勇者「父さんを知っているんですか?」

校長「うむ。我が校野球部の英雄じゃったからな」

勇者「へえ。今でも語り継がれてるんだ」

校長「そしてわしの教え子でもあった」

勇者「そうなんだ。俺も父さんに負けない英雄になってみせますよ」

校長「うむ……」

勇者「不安ですか?まあ俺の実力を知らなければしょうがないか」

校長「非常に言いにくいのじゃが……野球部はなくなってしまったのじゃ」

勇者「え?」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 16:03:36.16 ID:se0pJIVuO
勇者「どういうことですか!?野球部がなくなったって!?」

校長「オルテガがいた時代、アリアハンは全国の頂点に君臨していた」

勇者「詳しくは知らないけど、それは俺も聞いたことあります」

校長「やつが卒業した後もいずれは監督として戻ってくるはずじゃった」

勇者「あれ?そんな話は知らない。戻ってくるはずって……?」

校長「他の強豪校、火山高校が横からオルテガを口説き落としたのじゃ」

勇者「え?」

校長「それからアリアハンは衰退し、力を失い、有力な人材も集まらなくなり、とうとう廃部じゃ」

勇者「そんな……」

校長「オルテガが火山に落ちたばかりに……!」

勇者「……父さんはずっと家に帰っていません。俺は父さんの記憶すらない」

校長「未だ連絡が取れないらしいな」

勇者「……はい」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 16:12:18.55 ID:se0pJIVuO
校長「お主を呼んだのは他でもない。もう一度野球部の栄光を取り戻してほしいのじゃ」

勇者「え?」

校長「オルテガの血をひくお主ならやれるはず」

勇者「ちょっと待って下さい」

校長「必要になるであろう布の練習着とひのきのバットを与える。それから……」スッ

勇者「この封筒は?中は……五千円?」ピラッ

校長「野球部復活のための活動資金に当てよ。わしからの特別な依頼なので他言無用じゃぞ?」

勇者「いやちょっと待って」

校長「とりあえず4人いれば部として認められる。まずは仲間を集めるのじゃ」

勇者「……」

校長「では行け。勇者よ」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 17:26:40.64 ID:v0HZJMi3O
さすが最初の城の王、どケチやな
バット一本買えんぞw
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 17:35:41.12 ID:SIMgQieVo
火山に落ちたならしゃーない
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 18:28:07.15 ID:se0pJIVuO
───1年青組教室

勇者「くそ、なんなんだよ。勝手に話を進めやがって」ブツブツ

勇者「野球部が無いなんて知ってりゃこんな学校来なかったのに」ブツブツ

勇者「仲間を集めろったって、素人寄せ集めて何ができんだよ」ブツブツ

勇者「全部父さんのせいだ。どこで何やってんだよ……」ブツブツ

?「随分と小言が多いのね」

勇者「ん?」

?「初めまして。今日からクラスメイトね。あなたの後ろの席になったルイーダよ。よろしく」

勇者「……勇者だ」

ルイーダ「入学早々何かお困りかしら?」

勇者「関係ないだろ」

ルイーダ「そう。ま、いいわ」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 18:37:34.98 ID:se0pJIVuO
?「邪魔だ。どけ」

生徒「ひっ」



勇者「なんだあいつ。ガラの悪いやつだな」

ルイーダ「あら?彼は……」

勇者「知り合いか?」

ルイーダ「いえ、中学の頃有名だった悪ガキよ。盗賊さんって名前だったかしら」

勇者「ふーん……」



?「1!2!3!」



勇者「うわ、教室で腕立てしている変人がいるぞ。関わりたくねえ」

ルイーダ「あら?彼は……」

勇者「知り合いか?」

ルイーダ「いえ、中学の頃有名だったスポーツマンよ。武闘家さんだったかしら」

勇者「ふーん……」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 18:45:25.88 ID:se0pJIVuO
?「ええと、僕の席は……」



ルイーダ「あら?彼は……」

勇者「今度こそ知り合いか?」

ルイーダ「いえ、中学の頃有名だったガリ勉よ。魔法使いさんといったかしら」

勇者「お前さ、知らないやつのこと結構詳しいよな」

ルイーダ「そうかしら。普通よ」

勇者「俺なんて情報弱者の筆頭だからそれが普通だろうと羨ましいよ」

ルイーダ「野球一筋で生きてきた人だものね」

勇者「お、俺のことまで知っていたのか!?」

ルイーダ「お父さんが有名人だし」

勇者「すげえな……親が有名だからって子供のことまで知っているってさすがに普通じゃねえぞ」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 18:54:04.39 ID:se0pJIVuO
ルイーダ「そっか。野球しか生き甲斐がないのに、野球部が無いのを知らずに入学しちゃったんだ」

勇者「う……そうだよ。仕方ないだろ」

ルイーダ「近代野球には情報は欠かせない武器よ」

勇者「なあ、お前の情報網で調べてほしいことがあるんだが」

ルイーダ「いいわよ。何がお望みかしら?」

勇者「この学校にいる野球経験者」

ルイーダ「ちょっと待ってね……」ピッピッ

勇者(すでに押さえてあるのか……)

ルイーダ「……いるわね」

勇者「本当か!何人いるんだ?」

ルイーダ「あなたは入れないで8人ね。一年生に7人、二年生に1人いるわ」

勇者「上の学年まで……お前すごすぎだろ」

ルイーダ「どうも」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 19:02:50.51 ID:se0pJIVuO
勇者「経験者がいればなんとかなるかも。とりあえず近場から勧誘するか。そのリストくれよ」

ルイーダ「ここから先は有料よ」

勇者「金とるのか!?」

ルイーダ「そうね、これくらいだったら……五千円でいいわ」

勇者「そんな大金……あ」

ルイーダ「どうする?今ならオマケで各々の一口情報もつけるわよ」

勇者(校長にもらった金、こんなところで使っていいのか……?でも今一番必要なもの……)

ルイーダ「……まあいいわ。今日は特別にタダであげる」

勇者「本当か!?」

ルイーダ「今日だけよ」

勇者「なんで今日だけなんだ?」

ルイーダ「あなたの誕生日じゃない」

勇者「!?」

ルイーダ「おめでとう」

勇者「お前……」

ルイーダ「別に感謝の言葉はいらないわ」

勇者「さすがに怖い」

ルイーダ「……」

勇者(そういえば家族以外に祝ってもらったの初めてだ。今日は家族すらなかったけど)
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 19:03:30.41 ID:se0pJIVuO
つづく
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 20:32:13.11 ID:5Ck6znIjO
これは期待
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/10(月) 01:17:33.30 ID:0e1gWDxwo
冷静に考えると高1の子供に魔王退治させるドラクエっておかしいな
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/10(月) 14:53:34.55 ID:tqq10fDD0
はよ
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/10(月) 20:42:21.85 ID:Ks3HHP6sO
勇者「ちょうど8人か」ペラッ

勇者「まあ野球しに入ったやつなんて俺くらいだろうし、足りて良かったと思っておこう」

勇者「ほとんど一年生なら面倒な規律とか気にしなくてよさそうだし」

勇者「こうなったらなんとか全員引き入れないとな」

勇者「とりあえずあと2人。リストによると……お、うちのクラスに3人もいるじゃん」ペラッ

ルイーダ「待って。なんであと2人なの?」

勇者「俺とお前で2人。あともう2人集めりゃ部になる」

ルイーダ「誰が野球部に入るって言ったのよ」

勇者「お前役に立ちそうだしマネージャーやってくれよ」

ルイーダ「私は色々忙しいの。私を頼る人なんてそこら中にいるんだから」

勇者「お前探偵か何かか?」

ルイーダ「いいでしょなんだって。さっさと勧誘してくれば」

勇者「今してる」

ルイーダ「入らないって言ってるでしょ。もう面倒くさいわね。魔法使いさーん、勇者さんがお呼びよー」

勇者「あ、お前勝手に」
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