少年エルフ「人間の娘を育てたら魔王を倒すことになりました」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

525 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/06(土) 22:46:13.66 ID:7X7NPQEA0
娘友「ホントにー、アタシ達って将ちゃんの恩人じゃなかったっけー?」

後方の自走式牢屋から娘友がいう。

帝国将校「友ちゃんそうはいっても俺の口添えじゃこれが精一杯でさ」

娘友「いやいやまだまだ個人的努力がさ……」

娘友が帝国将校にくどくどと文句を言い始めた。

娘「……まったく立場逆転ね」

白竜「そう?」

娘「それにしてもこんな坑道をどこまで行くつもりかしら」

白竜「……破天の塔ね」

娘「ハテンの塔?」
526 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/06(土) 22:49:33.21 ID:7X7NPQEA0
○帝国軍の行進・前方

少年エルフ「地下に塔があるの?」

ドワーフ大臣「さよう、古のドワーフ族が魔王との戦いに建造したという伝説の塔しゃ」
自走式牢屋の列の前方ではドワーフ兵と少年エルフが捕まっていた。

少年エルフ「魔王との戦いに…… でも塔で何をするの?」

ドワーフ大臣「それは…… ううむ」

神官「破天の塔は古代ドワーフ族の対魔王決戦兵器…… 実際に使われなかったそうですが計り知れない破壊力を持っているそうです」

少年エルフ「神官さん」

いつの間にか牢の外に神官が立っていた。

ドワーフ大臣「おのれ、帝国の犬めよくも我らの前に顔を出せたものじゃの!」

少年エルフ「知り合い?」

神官「そうですね〜、以前ドワーフ王と歓談した時にちょっと」

ドワーフ大臣「貴様がその時に王から転送門や塔の事を聞き出したのであろう、僧侶だと思って信用したのが間違いじゃた!」

少年エルフ「神官さん帝国の味方なの?」

神官「今はそうなりますね〜」
527 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/06(土) 22:51:06.28 ID:7X7NPQEA0
少年エルフ「ねぇねぇこっそり助けてくれない?」ぼそぼそ

神官「そんな率直に言われるとこまりますねぇ」ぼそぼそ

少年エルフ「駄目?」ぼそぼそ

神官「フフ……」

イカ女「何コソコソ話してのよ」

神官「おっと、おいででしたかイカのお嬢さん」

イカ女が現れた。

少年エルフ「う……」

イカ女「まさかアンタ…… ソッチもいける口なの?」

神官「いえいえいえまさかそんな……」

イカ女「そう、エルフちゃんは色々終わったらアタシとイロイロするのよねー」

イカ女が格子の隙間から少年エルフに触腕をのばす。

少年エルフ「ヒィ」

神官「やめてくださいチャノマ的にも」

イカ女「なんかいった」

神官「いえ、しかし全てはこの作戦が終わってからですよ…… そろそろ持ち場に戻りましょう」

イカ女「フン、偉そうに」

イカ女が前方の皇帝の方へ戻っていく。

少年エルフ「ふぅ」

神官「大丈夫ですよ、いずれチャンスはあるでしょう」

少年エルフ「本当」

神官「フフフ、ナイショです」
528 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/06(土) 22:51:53.69 ID:7X7NPQEA0
○港町跡

第七王女「どうやら、娘たちとは地下の坑道に連れていかれたようじゃ」

偵察から戻った第七王女が告げる。

第二皇子「どうしよう」

女兵士「助けにいく?」

第七王女「むろんじゃ、しかしまず最初は予定通りにホビット族を助けようぞ」

第二皇子「でもあんな大きな兵がまもってるよ」

帝国の輸送船の前には坑道に入れなかったゴリラ鯨男が見張りに立っていた。

第七王女「ふむ、大きいのう」

第二皇子「帝国兵も数人いるみたいだし……」

女兵士「あんなにおっきいとトイレ入れないね…… どうするんだろう」

第二皇子「……」

第七皇子「……」
529 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/06(土) 22:53:21.25 ID:7X7NPQEA0
〇古の坑道、帝国軍の行進・後方

娘「じゃあ、ドワーフ族の捕虜を連れていくのも」もぐもぐ

白竜「多分、塔の魔力源にするためね あ、それとって」

娘「はい」ポイ

パク

白竜「うん、おいしい」もぐもぐ

娘たちは娘友が交渉によって得た将校用の食事を堪能していた。

娘友「なーによー、あんた普段こんないいもの食べてるのー? んー?」

帝国将校「いやたまーにですよたまーに」

娘友「ほんとにー?」

娘友と帝国将校が格子越しにじゃれている。

白竜「……もしかして飲んでる?」

娘「……さーね」

白竜「さてと、娘さん」

娘「何よ改まって」

白竜「呪いはちゃんと解けた?」

娘「……解けてるわよ」

白竜「だよね…… じゃあ何があったの?」
530 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/06(土) 22:57:44.18 ID:7X7NPQEA0
娘「何って何が?」

白竜「こう…… なにか悲しい事」

娘「別に…… 呪術師に解呪してもらってバカ勇者が居て、そして貴方の呼び出しがあっただけじゃない」

白竜「ふーん…… 呪術師ね、たしかエルフ族だったって話よね」

娘「それが何よ」ゴゴゴ……

白竜「こわーい、娘ちゃん顔こわいわー」

娘「貴方がヤな事言いだすから……」

白竜「ヤな事ね…… それだけ?」

娘「もう…… それだけよ」

白竜「……それだけじゃないでしょ、呪術師はエルフ族の女性でエルフちゃんと仲良くなっちゃったんでしょ」

娘「なによ! わかってるなら言わないでよ!」
531 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/06(土) 22:59:09.00 ID:7X7NPQEA0
\なに!?/ \どうした娘?/

後方から娘友や男子が声をかける。

娘「……ごめん、なんでもない」

白竜「……」

娘「……で、それが何よ」

白竜「……エルフちゃんがほかのヒトと仲良くなるのがそんなにイヤ?」

娘「別に…… 他のエルフ族を見つけるのは目的の一つだったんだから願ったりかなったりだわ」

白竜「うーそ、本心は違うでしょ」

娘「う! もーなによ、結局何がいいたいのよ」

白竜「娘がそんなんじゃ光剣も使えないし皇帝には勝てないわよ」

娘「そんな、……光はなくても皇帝ぐらいどうってことは」

白竜「仮に皇帝をどうにかできたとしても魔王はどうするの」

娘「そんなの…… 知らないわよ魔王アーマーごと海に沈めればいいんじゃない」

白竜「無理よ無理…… 本来ならもっと世界中を回らなきゃいけないしそれ以前に王女のお付じゃ効率が悪いし……だいたい昔の勇者だって封印するのが精一杯で」ブツブツ

娘「いっても仕方ないわ、今あるもの、出来たもので勝負しなくちゃ」

白竜「そうだけど…… ねえ本当に大丈夫? 娘」

娘「……光だけはなんとかするから」

白竜「……お願いね」

娘「ええ……」
532 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/06(土) 22:59:53.17 ID:7X7NPQEA0
〇港町跡・埠頭

♪〜

ゴリラ鯨男「グオオオオオ……」

ズッドオオオオン バシャアアアアア

ゴリラ鯨男は第二皇子の魔曲によって眠り海へ倒れこんだ。

女兵士「うわー、すごい事になったね」

第二皇子「こんなにあっさり効くとは」

ゴリラ鯨男「グオオオオオ……」

ゴリラ鯨男は海面に浮いていびきをかいている。

第七王女「古来より巨人が状態異常に弱いのは基本じゃな」

第二皇子「他の帝国兵も寝てるし、急いで助けよう」

第七王女「うむ」
533 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/06(土) 23:01:41.70 ID:7X7NPQEA0
○古の坑道、帝国軍の行進・先頭

ドワーフ王「ここじゃ」

ヒュオオオ

皇帝「ここか? 何も見えないが」

ドワーフ王「あそこの操作レバーで照明がつく」

皇帝「兎よ」

兎男「はっ」バシュ

兎男が高速移動して操作レバーにたどり着く。

ガコン…… バッバッバッ

皇帝「ほう…… あれが」

巨大な地下空間の向こうに破天の塔が浮かびあがった。

534 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/06(土) 23:02:11.38 ID:7X7NPQEA0
※つづく
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 23:51:02.53 ID:ILyofXQzO
乙!
536 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 22:42:15.21 ID:Qj5gcima0
#37 最新絶望計画
537 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 22:44:45.58 ID:Qj5gcima0
〇破天の塔・1階

将軍「よし亜種族どもを動力室へ連れていけ、グズグズするなよ」


ガラガラガラ

ドワーフ大臣「王は彼奴等と制御室かなんとかせねば」

少年エルフ「みんな大丈夫かな…… 娘」

ガチャガチャ

帝国兵達が自走式魔力炉牢の少年エルフ達を連れていく。
538 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 22:46:19.58 ID:Qj5gcima0
〇制御室

ゴゴゴゴゴ

皇帝「よし起動したな、発射準備を進めろ」

制御盤に帝国兵達がついて作業を始める。

ドワーフ王「いきなりこの塔を使うつもりか? 何をするつもりだ!」

皇帝「天を貫き太陽をも墜とす、それがこの破天の伝説であろう」

ドワーフ王「なに? ……そんなものは御伽噺じゃ」

皇帝「どうかな? 貴様たち目標を太陽に設定、正午には撃てるようにしておけ」

\\御意//

ドワーフ王「馬鹿な、本当に太陽を…」

皇帝「こいつはもう用済みだ、動力室へ連れていけ」

帝国兵「御意」

ドワーフ王「正気か!? 貴様なぜそんなことを……」
539 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 22:48:29.86 ID:Qj5gcima0
〇破天の塔前・自走式牢屋

娘友「太陽を撃ち落とす!?」

娘「正気の沙汰じゃないわね」

神官「そうですね今の陛下はご乱心しておられます」シュー

娘達を開放した神官は娘の電撃で黒焦げになっている。

男子「本当にそんな事が可能なのか?」

神官「……ええ充分に可能です(誰か対面した途端に電撃を放たれた私を気遣ってください)」シュー

白竜「アンタたしか……」

神官「おっと貴方は…… 娘さんたちを助けたということで…… ここは一つナイショに」ボソボソ

白竜「娘は判ってそうだけど…… 仕方ないわね」

神官「感謝します」
540 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 22:49:54.37 ID:Qj5gcima0
娘友「さて、どうする?」

娘「もちろんパパを助けに行くわ」

男子「しかし友もいるし王女達も探しにいかないと」

第七王女「それには及ばんのじゃ」

第七王女達が現れた。

娘「王女! やっぱり無事だったのね」

男子「ホビットも女兵士さんも…… よかった」

女兵士「はろー」

第二皇子「よかった無事で」
541 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 22:52:17.55 ID:Qj5gcima0


第七王女「本当だとすると事態は深刻じゃの」

第二皇子「でも太陽を墜とすなんて、なんでそんなことを……」

娘「……」

神官「……」

白竜「はぁ…… 詳しいことは省くけど皇帝には負の感情を魔力に変換する装置があるの

女兵士「フの感情?」

娘「不安や恐怖とかね」

神官「そんな時に太陽が無くなったら世界はどうなります?」

男子「文字通りのお先真っ暗だな」

白竜「世界中が恐怖と不安、絶望に包まれるわね」

第七王女「そのすべてが帝国の、皇帝の魔力になると」

神官「暗黒の世界で凛然と輝く都、それが皇帝の考える新帝国なのです」
542 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 22:57:18.14 ID:Qj5gcima0
第二皇子「兄様……」

第七王女「うぬぬ、けしからん! ホビットよわらわがそちの兄の目を覚まさせてやろうぞ」

第二皇子「本当? 王女姉ぇさま」

第七王女「あたぼうじゃ! よしわらわ達は制御室へ乗り込むぞい!!」ブフッ

男子「まて王女、テンションがおかしいし、まず鼻血を拭け」

第七王女「ふむ、ちと正義感が溢れすぎたようじゃ」フキフキ

女兵士「正義感って鼻からでるんだ」

娘「じゃあ私はパパを助けに行くわ」

娘友「あたしも」

神官「では私はそろそろ……」

娘「アンタも一緒にきなさい! 友を守るくらいできるでしょ」

神官「えぇ〜 一応帝国側なんですが」

娘「ウソ。 それと白竜、一応コイツ見張っておいてね」

白竜「ハーイ、じゃあ変身してついていくわ」

神官「信頼されてないのに利用されるのですね、私」

第七王女「よし決まりじゃな」

娘達は二手に分かれて行動を開始した。
543 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 22:59:13.43 ID:Qj5gcima0
〇制御室

帝国兵「動力室に魔力充填始まりました」

皇帝「……遅いな、もっと抽出速度を上げろ」

帝国兵「御意」

〇動力室

キュオオオオ

ドワーフ大臣「ぐわわあああ」

\ぎゃああ/ \ひゃああああ/

少年エルフ「うぐぐ…… 大臣さん他のドワーフさんたちも」

自走式魔力炉牢がフル稼働し少年エルフやドワーフ族から魔力を吸い上げる。

少年エルフ「このままじゃ、みんな魔力を吸い尽くされてちゃう…… そうだ」

少年エルフは天井の魔力抽出器に手を掲げて魔力を放出しだした。

少年エルフ「んぎぎぎ……(キツイけどまだ大丈夫)」

ドワーフ大臣「む、急に楽に…… エルフ殿なんて事を!?」

少年エルフ「大丈夫、ぼくはまりょくはたくさんあるか……ら……」

キュオオオ

\パパー/
544 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 23:01:42.88 ID:Qj5gcima0


娘「パパーッ!」

娘達が動力室に飛び込んできた。

帝国兵「なんだ!?」

娘「”電撃”」

バリバリバリ

帝国兵達「「うわーー」」

帝国兵達を倒した。

娘友「はっや」

神官「おーこわいこわい」
545 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 23:02:47.29 ID:Qj5gcima0
少年エルフ「うぅ…… 娘、よかった逃げ出せたんだね」

ドワーフ大臣「オナゴ達よ早くこの装置を止めるのじゃ、エルフ殿が」

娘友「わかったわまかせて」

娘友が制御盤を操作する。

娘友「えーとこれかな? どうかな」

娘「早く早く」

娘友「えい」ポチ

ビーッビーッ

警報が作動した。

娘友「あら間違ったようね」

ガチャガチャ

魔王アーマー兵「お前たちいつの間に!」

魔王アーマーの帝国兵が現れ襲ってきた。

白竜(人型)「あちゃー」

娘「倒すわ、友は装置をお願い」

娘友「が、がんばる」ガチャガチャ
546 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 23:05:21.94 ID:Qj5gcima0
〇制御室への道

シュタタタタ

第七王女「まかりとおーるっ」

第七王女が俊足で帝国兵の間を駆け抜けていく。

\え!?/ \なんだ?/

ドタタタタタ

男子「フンっフンっ」

\\ ウワーっ!//

その後に駆け上って来た男子がみねうちで昏倒させる。

第七王女「何をしておる早くせんか」

男子「ふぅふぅ…… 相変わらずむちゃを言う」

第二皇子「王女姉ぇさま、あっち」

第七王女「なんじゃホビット…… ムッ!」

兎男「いやはやここまで来るとは」

イカ女「あーあ、めんどくさーい」

兎男とイカ女が立ちふさがった。
547 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 23:07:56.52 ID:Qj5gcima0
男子「フ、再戦ってトコだな」

兎男「今度は支援砲撃はないですな、どうしますか?」

イカ女「うわーよく見たら君、カッコいい! ねーねーアタシと付き合わない?」

男子「……」

女兵士「ダメですー! 貴方敵じゃないですかイカじゃないですか何考えてるんですかー」

イカ女「なによアナタ、ケチー、ポニテー可愛いとかホントに思ってるのー」

女兵士「なにおー!? 貴方だってツインテールとか、ぶりっ子すぎじゃないですかーブリブリー」

イカ女「こーれーはー触腕ですー、いわば地毛ですー」

女兵士「えー地毛ー、キモーい」

イカ女「いい年してキモーい言わないでよムカつく!」

\ギャーギャー/

女兵士とイカ女が口論を始める。

兎男「えーと、なんか申し訳ない」

男子「……いやこちらこそスマン」

548 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/13(土) 23:08:43.46 ID:Qj5gcima0
※つづく
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 13:34:17.35 ID:mexK7qM/o
乙!
550 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/20(土) 23:51:38.09 ID:wCLPKput0
#38 最狂絶望計画
551 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/20(土) 23:53:13.29 ID:wCLPKput0
○動力室

ドドン ガキィン

白竜「押さえたわ、娘!」

娘「”重雷撃斬”」

ズガッバリバリバリッ

魔王アーマー兵「ギャアアア」

白竜「ひゃあああああ」

魔王アーマー兵は気絶した。

娘「よし」

白竜「よし、じゃないわよ!巻き込まないでよォ!!」

娘「いいじゃない、どうせビリっとする程度なんだし…… それよりパパは?」

少年エルフ「んにゅうう」ガクガク

ドワーフ大臣「まだか!? 早くここを開けるのじゃ」

娘友「やってるってあーもうこれでどう」

ポチ
552 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/20(土) 23:54:09.22 ID:wCLPKput0
〇制御室への階段

ダダダダダダっ

第七王女「奴らは男子達に任せるのじゃ」

第七王女はホビットの手を引きながら駆け上がっていく。

第二皇子「まって誰か上からくる」

第七王女「む!?」

帝国兵と連行されているドワーフ王が降りてきた。

帝国兵「なんだお前は」

ドワーフ王「第七王女! 皇子まで!」」

第七王女は素早く眠り袋を投げつけた。

シュッ ボン

帝国兵「ブホっ なん……フニャ」ドサッ
553 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/20(土) 23:54:55.32 ID:wCLPKput0
第二皇子「すごい効き目」

第七王女「エルフ特製じゃからな」

ドワーフ王「助かったぞい」

第二皇子「ドワーフ王、兄ぃ……皇帝は一体何を」

ドワーフ王「彼奴は破天の塔をすぐさま使うつもりじゃ」

第七王女「なんじゃと!?」

ドドォン ゴオオオオオッ!!

ドワーフ王「なんともう!?」

第二皇子「なにあれ…… どういうこと!?」

第二皇子が指さす外では破天の塔が爆炎を噴き上げて上昇していく。

第七王女「なんと…… 浮いておる」
554 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/20(土) 23:56:56.49 ID:wCLPKput0
〇上昇する破天の塔内

娘「止まったと思ったら」

娘友「飛んでるーっ!?」

男子「塔が飛ぶなんてどんな仕組みだ!?」

娘「まってこれどこに向かって」

白竜「そりゃあ、太陽目指して……」

少年エルフ「へ……」

一同「「はあぁーー!?」」

〇制御室

帝国兵A「まもなく地表に出ます」

皇帝「順調だな」

ビーッビーッ

皇帝「なんだ!」

帝国兵A「射出口が閉まって……いえ、障害物が! いきなり!?」

帝国兵B「先端が接触…… 上昇が停止、損傷軽微」

皇帝「どうした原因をさっさと調べろ!」
555 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/20(土) 23:59:06.73 ID:wCLPKput0
〇上昇する破天の塔内

白竜「何にぶつかったの…… 氷?」

娘「氷程度でこの質量が止まるなんて……」

少年エルフ「上ですごい魔力が…… この声……師匠さん!?」

〇地上・射出口付近

片耳エルフ「フフ…… 待たせたなエルフ」

魔法勇者「師匠、俺病み上がりっすよー」

片耳エルフ「ぐだぐだいうな、止め続けるろ!」

魔法勇者「うへー」

片耳エルフと魔法勇者が氷結魔法で氷塊を撃ち続けている。
556 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/21(日) 00:00:05.71 ID:hu7JDsln0
〇制御室

帝国兵A「信じられません、雹、いえ氷塊で蓋されています」

帝国兵B「嘘だろおい」

皇帝「亜種族めでたらめな…… 出力最大だ吹き飛ばせ」

〇上昇する破天の塔内

ゴオオオオオオっ

娘友「どうするの止まってても脱出できないんじゃ」

娘「白竜なんとかならないの」

白竜「無理よー、あの炎じゃ私でも黒焦げよ」

少年エルフ「師匠さん…… ドングリを? わかった!」

娘「エルフ! 何を」

少年エルフは巨大なドングリを取り出すとそれが光出した。

少年エルフ「光ってる……」

娘「駄目、やめて……」

少年エルフは祈った。

少年エルフ「……(僕の世界を……)」

パキィン

巨大なドングリがさらに輝きを増す。
557 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/21(日) 00:00:44.15 ID:hu7JDsln0
※つづく
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 00:19:07.61 ID:BCe/phPzo
乙!
559 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:27:43.08 ID:8XdBnhhg0
#39 最終絶望皇帝
560 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:28:48.77 ID:8XdBnhhg0
〇破天の塔

ずどどどぉーん

ガラガラガラ

ヒュオオオオ

娘友「なになに一体なにが起こったの?」

当たりには縦横無尽に木の枝が蔓延っている。

白竜「これは木?」

破天の塔は内部から生えた巨木によって動きが止まっている。

白竜「すごいわね、一瞬でこんなに」

娘「パパ! パパはどこ!?」

娘は慌て少年エルフの居たあたりをさがす。
561 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:29:48.82 ID:8XdBnhhg0
少年エルフ(木)「うん……」

娘「エルフ!」

バサバサバサ

枝葉に埋もれた少年エルフを娘は助け出す。

娘「パパ!大丈夫!? 起きて、目を覚まして」

少年エルフ「うん……どうなったの」

少年エルフは目を覚ました。

娘「……よかった」

シュタッ

片耳エルフ「初めてにしては上出来だ」

片耳エルフが降りて来た。

娘「あんた……」

少年エルフ「師匠さん、今のって」

片耳エルフ「森のエルフ族は秘術で木を操る…… 予想通りその種は術の媒体の役割があったようだな」
562 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:31:23.81 ID:8XdBnhhg0
娘「あんたねぇエルフにこんな術をつかわせて何かあったらどうするの!!」

片耳エルフ「問題ない、エルフ族の術だ…… 人間にはわからないか?」

娘「キーッ!」

少年エルフ「娘、僕は大丈夫だから……」

ふらっ

娘「エルフ」

片耳エルフ「これほどの巨木を作り出したのだ、少し休め」

少年エルフ「はい」

娘友「結局この塔はどうなったの?」

片耳エルフ「これだけ根をはれば動くことはあるまい、あの皇帝の企みは阻止されたのだ」

少年エルフ「皇帝…… ホビット、お兄さんを止めれるのかな?」

片耳エルフ「さあな」

娘友「ねえねえそれよりどうやってここから降りるの?」

娘「……枝を伝っていくしかないわね」
563 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:33:57.81 ID:8XdBnhhg0
〇制御室

帝国兵「破天の塔、完全に停止」

皇帝「馬鹿な……」

バァン

第二皇子「兄ぃ様!」

第七王女達が制御室に飛び込んできた。

帝国兵A「侵入者!?」

帝国兵B「捕らえろ」

第七王女「せやっ」

シャシャッ

第七王女が投げナイフを投げつける。

帝国兵A「ぐぅ……」

帝国兵B「しびび……」

第七王女「安心せい、しびれ薬じゃ」
564 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:35:36.87 ID:8XdBnhhg0
第二皇子「兄ぃ様、どうしてこんなことを」

ドワーフ王「貴様の悪行もこれまでじゃ」

皇帝「……何をしている全員でかかれ!」

帝国兵達「「わーー」」

帝国兵達が第七王女達に襲い掛かる。

第七王女「むぅ!」

ドワーフ王「おのれ卑怯な」

\おりゃあああ/

帝国兵達「「うわーーー!」」

男子「王女、ホビット無事か?」

第七王女「男子」

ドワーフ王「これは頼もしい、軟弱な帝国兵などわしらで一捻りじゃ」

第七王女「皇帝よ神妙にお縄につくがよい」
565 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:36:49.53 ID:8XdBnhhg0
皇帝「……」

第二皇子「兄ぃ様…… 兄ぃ様に何があったのですか話してください」

皇帝「フ、フフフ……」

第七王女「なんじゃ!?」

皇帝「フハハハ…… お前たちがここまでやるとはな」

ドワーフ王「まだ何か企んでおるのか?」

皇帝「いやいや、世界征服も楽は出来んな」

皇帝は大げさに嘆きながら窓辺へ移動する。

第二皇子「兄ぃ様?」

皇帝「やはり、一つずつ丁寧にすり潰さねばならないのだな」

第七王女「なに?」

ガシャーン

男子「危ない」

第二皇子「兄ぃ様!」

突如窓を破って突き出た巨大な腕が皇帝を掴んで消えた。
566 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:37:18.04 ID:8XdBnhhg0
ドワーフ王「今のは……」

\フハハハハ/

第二皇子「みんな逃げて!」

ギュオオオオオッドドドドドドド

567 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:44:32.82 ID:8XdBnhhg0
〇連絡路

女兵士「へぇーお父さんがいるの、いいなー」

イカ女「あのねー、父親を美化しすぎよ、うるさいし面倒だし」

女兵士とイカ女は戦いから友情が芽生えて談笑している。

ゴゴゴゴゴゴッ

イカ女「何の音!?」

女兵士「揺れてる!?」

ダダダダッ

第七王女達が上層から駆け下りてきた。

第七王女「何をしておるおぬしら」

女兵士「え、いやちゃんと戦ってたんだけどなんか話があって……」

そんな事より逃げるぞ、ここは崩れる」

イカ女「何なに!?」

ギュドドドドドッ

魔力弾が部屋の一部を吹き飛ばす。

イカ女「ヤッバ」
568 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:45:38.09 ID:8XdBnhhg0
〇破天の塔発射場跡

娘友「やっと降りれたって、何!?」

ドドドドドッ

瓦礫が落ちてきた。

少年エルフ「”風防波”」シュルルル

風の障壁で瓦礫を防いだ。

娘友「一体なにが」

ガシャアアン

娘友「きゃああああ!?」

赤魔王アーマーが降ってきた。

赤魔王アーマー(皇帝)「ほう、お前たちが破天の塔を…… やってくれたな」

娘「皇帝っ!」
569 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:46:14.02 ID:8XdBnhhg0
赤魔王アーマー「まずは掃除だな」

ギュオオオ

赤魔王アーマーの砲塔に魔力が集約する。

ドドドドドドド

四方八方に魔力弾が放たれる。

片耳エルフ「”大防護”」ヒィイン

バヅンッバヅンッ…… バギィン

片耳エルフ「なんと禍々しい」

少年エルフ「あれって」

白竜「……魔王の一部いえ、そのものを使っているわね」

〇赤魔王アーマー内

皇帝「フハハハッ そうだ最初からこうすればよかったのだな」

異形の首「……」ゴポッ

操縦席の後部にあるガラス管の中から異形の首が蠢く。

570 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/01/27(土) 21:47:10.96 ID:8XdBnhhg0
※つづく
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/27(土) 23:48:51.09 ID:K7RCx3Ffo
乙!
572 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:38:30.72 ID:43UkMw/W0
#40 世界樹の英雄
573 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:39:32.71 ID:43UkMw/W0
〇破天の塔跡地

娘「光よ!」

ヒュゴオオオオッ!

光の奔流が赤魔王アーマーを直撃する。

赤魔王アーマー(皇帝)「なんだ目くらましか?」

白竜「そんな全然効かないなんて」

赤魔王アーマー(皇帝)「お返しだ」

バシュッ!

濃縮魔法弾が放たれた。

少年エルフ「”二重風破波”」シュルルル

ヒュバババッ ドドンッ

「「うわあああ」」

風の障壁で魔法弾を防ごうとするも防ぎきれない。
574 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:40:40.33 ID:43UkMw/W0
シュタタタッ

片耳エルフが赤魔王アーマーの後ろに回り込む。

片耳エルフ「ここならどうだ! ”焔”」

ギュオオオ ゴオオオン!!

白熱する熱塊が赤魔王の背部に直撃する。

赤魔王アーマー「ちょこざいな」

ボシュウウウウウウウウウッ

片耳エルフ「あつっ ぬうううううう!」

赤魔王アーマーの背部から高熱が噴き出す。

赤魔王アーマー「フハハハハッ 這いつくばれ亜人種」

ボシュウウウウウッ

片耳エルフ「何!? 飛んだ!」

ボボボボボンッ

片耳エルフ「ぐぅうううウッ!」

少年エルフ「師匠さん!」
575 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:41:51.31 ID:43UkMw/W0
娘「このっ”重雷撃”」

バリバリバリッ

赤魔王アーマー「無駄だ無駄ッ」

雷撃が直撃するも効果がない。

少年エルフ「師匠さん大丈夫”大治癒”」パアアア

片耳エルフ「つぅ…… 大丈夫だ、助かったぞエルフ」

少年エルフ「えへへ」

娘「……」イライラ

白竜「娘、お願い敵に集中して」

娘「してるわよ、でも魔法が効かないんじゃどうやって……」

ひゅううううう

魔法勇者「くらえー、氷河落とし!!」
576 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:42:57.97 ID:43UkMw/W0
赤魔王アーマー「な!?」

ゴゴン ズドドドドドドドドン

上空から巨大な氷塊とともに魔法勇者が落ちてきた。

白竜「ちょ!? まって」

娘「エルフ、逃げてー!!」

少年エルフ「うわあああああ」

片耳エルフ「あのバカ!」

ダダダッ

片耳エルフが少年エルフを抱えて駆け抜ける。

ドドドドドドドドドドドドドッ

巨大な氷塊とかけらが赤魔王アーマーに落下した。
577 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:44:11.94 ID:43UkMw/W0


片耳エルフ「馬鹿かお前は!」

娘「エルフが巻き込まれでもしたら危ないでしょうが!」

第七王女「おぬしはまことにバカよのう」

合流した第七王女達も交じって魔法勇者を罵る。

魔法勇者「だーっ! いっぺんに言うな、でもいいじゃないかあのゴーレムを倒したんだし」

ボコッ ドゴーンッ

赤魔王アーマーが氷を割って現れた。

片耳エルフ「倒せておらんわ馬鹿め」

魔法勇者「えええええ」

赤魔王アーマー(皇帝)「やってくれたな、これでも食らえ」

ギギギギッ ボシュッ

濃縮魔法弾が娘たちの頭上を通りすぎる。

ドドドドォン!

爆風が一同を襲う。
578 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:45:00.27 ID:43UkMw/W0
男子「うおおお!? みんな大丈夫か」

女兵士「なんとかだいじょうぶ」

第二皇子「今のって砲塔の動きが……」

片耳エルフ「ああ、明らかに動きが悪い、魔法は効かなくても直接攻撃なら効くんだ」

娘「直接攻撃ね、だとすると」ジー

娘友「……」ジー

男子「俺か!? あんなデカいの無理だろ」

第七王女「だとすれば」ジー

女兵士「……」ジー

白竜「ちょっとお!? わたしだって無理よ」
579 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:45:32.03 ID:43UkMw/W0
少年エルフ「じゃあさっきみたいに氷をぶつけたら」

魔法勇者「無理無理無理、さっきのは塔を止めた氷を落としたんだそう簡単に作れないって」

第七王女「なんじゃ肝心な時に使えん奴じゃのう」

魔法勇者「うっせ!」

娘友「とかいってる間にまた撃ってくるわよ!?」

娘「走ってよけるのよー」

\\ワーキャー//
580 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:46:43.91 ID:43UkMw/W0


タタタタタ

片耳エルフ「エルフ、もういちどトレント術を使え」

少年エルフ「え?」

娘「何言ってんのよ!」

片耳エルフ「森のエルフ族のトレント術はゴーレム魔法の元になった魔法だ、もう一度やってウッドゴーレムで戦うのだ」

少年エルフ「ウッドゴーレム……」

娘「勝手に決めないでよ! アンタがやればいいじゃない」

片耳エルフ「私は森のエルフ族ではない、エルフお前だけが出来るのだ。いやお前なら出来る!」

娘「パパ、駄目よ危ないわ」

少年エルフ「娘……、でも僕がやらなきゃ」

娘「エルフ……」

片耳エルフ「よし、さっきの術で出した巨木を使え、より簡単に出来るはずだ」

少年エルフ「ハイッ」

片耳エルフ「よし行くぞ」ガシッ

片耳エルフが少年エルフを抱えて巨木へ向かって跳んだ。
581 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:47:48.01 ID:43UkMw/W0


赤魔王アーマー(皇帝)「こうなれば一人づつ踏みつぶしてくれるわ」

ドシンドシン

男子「うおおおおお走れえええ」

魔法勇者「ひいいいいい」

ダダダダダダダッ

男子達が赤魔王アーマーに追われている。

魔法勇者「どわーっ」

魔法勇者が盛大にコケる。

男子「あ、バカ」

魔法勇者「バカばっかいうんじゃねぇ!」

男子「いや、すまん、つい……」
582 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:48:40.81 ID:43UkMw/W0
男子が助け起こそうとするが赤魔王アーマーの足がせまる。

男子・魔法勇者「「うわあああああ」」

シュルルル ガシン

赤魔王アーマー(皇帝)「何!?」

巨大な木の枝が赤魔王アーマーに絡みつく。

片耳エルフ「馬鹿者どもとっとと逃げんか」

ウッドゴーレムの肩に乗った片耳エルフが叫ぶ。

赤魔王アーマー(皇帝)「ゴーレムだと? 一体どうやって」
583 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:49:32.30 ID:43UkMw/W0
〇ウッドゴーレム内

少年エルフ「……うぅん」

\エルフ聞こえるか仕掛けるぞ/

外から片耳エルフの声が響く。

少年エルフ「ぅ……あ(そうだタタカウんだ)」

シュルルル

木の枝が少年エルフさらに絡みつく。

少年エルフ「……(なんでだろコワクない、気モチが静かにナッテ……)」

584 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:50:37.30 ID:43UkMw/W0
※つづく
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 18:01:12.82 ID:EwmRfBgeo
乙!
586 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:34:00.91 ID:OdkaUSMi0
#41 絶対絶望青年
587 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:35:21.36 ID:OdkaUSMi0
〇破天の塔跡地

ドドォンッ ドドドドド

魔王アーマー(皇帝)「うおおおおっ」

巨大な枝に突き飛ばされた魔王アーマーは壁ににたたきつけられる。

片耳エルフ「”吹雪斬牙”」

キュオオオ ガコンガコンッ!

巨大な氷の槍が魔王アーマーに襲い掛かる。

魔王アーマー(皇帝)「くそ!」

ヒュバババッ

魔法弾で氷を破壊する。
588 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:36:17.47 ID:OdkaUSMi0


女兵士「すごい戦いだねー」

男子「下がって! 巻き込まれる」

第七王女「ここまで来て見守るしか出来んのは歯がゆいのう」

娘友「もうスケールが違うわね」

娘「……エルフ」

第二皇子「兄ぃ様……」
589 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:37:38.42 ID:OdkaUSMi0


魔王アーマー(皇帝)「おおおっ」

バキバキバキ

魔王アーマーは絡みつく枝を腕力で破壊する。

片耳エルフ「止めれないか、ならば…… エルフ、突け!」

ウッドゴーレム「……」ブオン

片耳エルフ「”氷結嵐”」

ピキピキピキッ ガキィン!

魔王アーマー(皇帝)「何ぃ!?」

氷の槍と化したウッドゴーレムの腕が魔王アーマーの腕を破壊した。

片耳エルフ「いいぞ、叩き込め!」

ウッドゴーレム「……」ブオンブオンッ

ガキィン! ガキィン!

魔王アーマー(皇帝)「馬鹿な! 馬鹿なああああッ」
590 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:38:32.36 ID:OdkaUSMi0
〇破天の塔跡地・ガレキの陰

第七王女「うむ、勝てるぞ」

娘「でも……」

第二皇子「兄ぃ様!」ダッ

第七王女「ホビット!」

第二皇子と第七王女がガレキの陰から飛び出す。

男子「まて、戻れ」

娘「私が行くわ」ダダッ

娘も後を追って飛び出した。
591 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:39:22.73 ID:OdkaUSMi0
〇魔王アーマー操縦席

ガキィン ガキィン

\アームエラー、アームエラー/ \レッグ破損、レッグエラー/

警告音と破壊音が操縦席に鳴り響く。

皇帝「ぐぐぐ…… 亜種族め……」

魔王アーマーはその機能を停止しかけていた。

異形の首「……」ゴポッ

操縦席の後部にあるガラス管の中から異形の首が蠢き、眼を開く。
592 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:39:59.16 ID:OdkaUSMi0
〇破天の塔跡地

第二皇子「やめてーっ! 兄ぃ様を殺さないでーっ!」

第二皇子がウッドゴーレムの前に飛び出す。

片耳エルフ「何を言っている?」

ウッドゴーレム(少年エルフ)「……(あ……に、……助……け)」

ウッドゴーレムは魔王アーマーの操縦席に腕を伸ばす。
593 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:41:08.97 ID:OdkaUSMi0
〇魔王アーマー操縦席

皇帝「あれは……弟……(なぜここに)」

操縦席から第二皇子が飛び出すのが見えた。ウッドゴーレムに何かを言っている。

――弟がきたぞ、お前に復讐しに――

皇帝「何? 俺に……俺を……殺すのか……」

異形の首「……」

異形の首が皇帝を見つめる。

――当然、お前が殺そうとしたのを知ったのだ――

ウッドゴーレムが腕を伸ばしてくるのが見える。

――ほうら、お前を握りつぶす気だぞ――

皇帝「何!? 待て、そんな…… 俺は……俺の帝国が!」

――お前は何もかも望みすぎたのだ死死死死死死死死死死――

哄笑のような死の予感が皇帝を襲う。

皇帝「死、死ぬ! いやだ! いやだあああああああああああッ!!」

皇帝は絶望した。

異形の首「よきかな」ゴボッ
594 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:43:16.70 ID:OdkaUSMi0


グオン バシュウウウ

片耳エルフ「なんだ!? 止めろエルフ!」

魔王アーマーが内側からにじみ出る黒い何かに覆われていく。

グニグニ ブシュブシュ

片耳エルフ「なんだこの巨大で邪悪な魔力は!?」
595 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:44:56.66 ID:OdkaUSMi0
〇ガレキの陰

娘友「何よアレ、キッモ」

ドワーフ王「油か?」

女兵士「なんか怖い……」

白竜「ッ! ……みんな伏せて」

白竜は男子達に覆いかぶさる。

男子「何だ!?」


〇ウッドゴーレムの足元

第七王女「なんじゃ!?」

第二皇子「兄ぃ様?」

娘「2人とも私の後ろへ……光よ!」パアアッ


〇ウッドゴーレムの肩

片耳エルフ「まずい”大守護”」

ギュドドドドドドドドッ

魔王アーマーからの黒い奔流があたりを覆いつくした。

ドドドドドドドドドドッ
596 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:46:22.97 ID:OdkaUSMi0


???「グワッハッハッハッハッ! よきかなよきかな」

魔王が現れた。

魔王「一人の人間がここまで絶望するとは、野望とは大したものだな」

娘「ぐぅ……」

娘は至近距離で魔王の攻撃を受け瀕死になった。

第二皇子「しっかりして娘姉ぇ様!」

第七王女「わしらをかばって…… ここは危険じゃ、ホビット足を持つのじゃ」

第二皇子「はい!」

第七王女と第二皇子は娘を担いで移動しだした。

娘「……(エルフ……」

朦朧とする意識の中ウッドゴーレムを見つめる娘。

ウッドゴーレム「……」

ウッドゴーレムはボロボロになりながらも立っていた。

魔王「ほう……エルフ族の木偶人形か」

ウッドゴーレム(少年エルフ)「ま……おう」
597 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:48:14.66 ID:OdkaUSMi0


白竜「……」

男子「白竜、大丈夫か! いま回復薬を」

男子が白竜に回復薬をかける。

娘友「ひえええ、空が見える。ここ地下だったわよね?」

魔王のはなった魔力で天蓋は吹き飛び辺りはクレーター状になっていた。

第七王女「皆の者無事か!」

女兵士「王女サマ!」

第二皇子「娘姉ぇ様に薬を」

娘友「あたしのを使って」

第七王女「うむ」

第七王女は娘に回復薬を使った。

娘「……」

第七王女「ぬぅうう…… 傷が深すぎるもっと薬じゃ」

女兵士「使っちゃったわ」

男子「娘!」

第二皇子「そんな……」
598 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:49:46.22 ID:OdkaUSMi0


ウッドゴーレム「……」シュルル シュルルル

ウッドゴーレムが枝を伸ばし魔王を捕らえようとする。

片耳エルフ「皇帝を取り込んだか…… なんて魔力だ」ぜぇぜぇ

魔王「心無き巨人兵器か、厄介だが…… まだ心が残っているな」

ウッドゴーレム(少年エルフ)「む……すめ」

魔王「ならばこれでどうだ」ギュロン

魔王が魔力をまとった拳をくり出す。

ドンッ!

ウッドゴーレムの巨体が宙を舞う。

\キャアアア/

ウッドゴーレム(少年エルフ「……し、しょうさん」

同じく吹き飛ばされた片耳エルフが少年エルフの目にとまる。

ドドンッ

ウッドゴーレム「……ッ!」

ウッドゴーレムが地面にたたきつけられる。

ドシャ

片耳エルフ「」

そして片耳エルフが地面にたたきつけられた。
599 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:50:50.91 ID:OdkaUSMi0
ウッドゴーレム(少年エルフ)「え……」

魔王「今の高さでは助かるまい」

――師匠さんが――

\娘、眼を覚ませ/

男子が娘に必死に呼びかけている。

――娘が――

魔王「……」ニヤリ

――みんないなくなる――

ウッドゴーレム「ウウウ……」

――ヒトリ――

ウッドゴーレム「ウアアアア」

魔王「グハハハッ」

突進するウッドゴーレムを魔王は構えもせずに受ける。

ウッドゴーレム「アアアアアッ」

魔王「怒り憎しみ悲しみ絶望…… 小さき者にこれほどとは」

ウッドゴーレム「アア……」

ゴプゴプ

攻撃を繰り出すウッドゴーレムが徐々に魔王の体に飲み込まれていく。

魔王「これもよき絶望…… 我が糧となれ」
600 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:52:00.64 ID:OdkaUSMi0


第二皇子「エルフッ! 兄ぃ様!」

男子「くそぉ! 何か方法はないのか」

ザッ

魔法勇者「あるらしいぞ」

第七王女「馬鹿勇者!」

男子「と片耳エルフさん」

魔法勇者が重症の片耳エルフを担いで現れた。

片耳エルフ「……」ぜぇぜぇ

娘友「あんた今までどこに」

魔法勇者「師匠を助けに行ったんだ」
601 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:53:09.04 ID:OdkaUSMi0
第七王女「おぬし治癒魔法は使えぬか!」

魔法勇者「俺は魔法使いだ、治癒は出来ない」

第七王女「ぬああ! おぬしはホントに使えんのう!」

娘友「ホントバカ! ここは気合で治癒魔法を使えるようになって『あんたまるで賢者ね』って言われてそれを否定して『大魔導士と呼んでくれ』ってなシーンにするところでしょーが!!」

魔法勇者「気合で魔法が出来てたまるか馬鹿野郎!!」

\ギャーギャー/

第二皇子「でも方法があるって……」

片耳エルフ「あぁ…… 出来ればやりたくなかったがな……」ぜぇぜぇ

第二皇子「う……(ひどい、両足が……)」

片耳エルフ「その人間の横に私を……」

第二皇子「はい」
602 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:54:17.34 ID:OdkaUSMi0


第二皇子が娘の隣に片耳エルフを連れて行った。

片耳エルフ「最後の魔力だ”治癒”」パアア

娘「……ぅ」

片耳エルフ「聞こえるか人間」

娘「ぅ……る、さいエルフ女」

片耳エルフ「よし意識をしっかりもってよく聞け…… 私は死ぬ」

娘「……」

片耳エルフ「そしてお前もな」

603 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:55:34.64 ID:OdkaUSMi0
※つづく
604 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:52:49.53 ID:UZT9f82i0
#42 歓喜の剣
605 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:53:21.79 ID:UZT9f82i0
〇ウッドゴーレム内

魔王「

ズズズ……

少年エルフ「ヒトリ……怖い……寒い……」

魔王からの浸食を受けて少年エルフが黒く邪悪な何かに覆われていく。

――最後のエルフ族よ、お前は孤独の宿命なのだ――

少年エルフ「……コドク」

???「違うぞエルフ」

シュパアアアアアアッ!

突如、輝きが溢れ黒く邪悪な何かが消滅する。

魔王「むぅ!?」
606 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:53:59.75 ID:UZT9f82i0


少年エルフ「う……うん?」

少年エルフはだれかに抱きかかえられている。

少年エルフ「師匠さん?」

???「いいや違う」

少年エルフは地面にそっと寝かされる。

少年エルフ「え? あれ娘??」

娘?「そうでもないわ」

娘の顔をした誰かは静かに言う。

娘?「貴方の娘はもういないわ」

少年エルフ「え? なにをいってるの?」ドキドキ

娘?「わかるでしょう、エルフ」

シュキン

その者は魔王に向き直ると光の剣を構えた。
607 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:54:33.12 ID:UZT9f82i0
〇数刻前

第二皇子「ホントにやるの? 成功するの?」

片耳エルフ「ゴフッ さあな、この状態の2人だどうなるかは保障できん」

娘「そうね、でも…… このままじゃどっちにしろ死ぬわ」

第二皇子「でも成功したっていったいどっちがどっちになるの?」

片耳エルフ「わからんな私がお前かお前が私になるのか…… そのどちらでもないかもな」
娘「そうね、でももし成功したら…… きっとエルフを、みんなを助けられる」

片耳エルフ「大した自身だな…… ならば見せてもらうぞお前の覚悟を」

ドスッ

片耳エルフは合体進化の秘法の結晶を自身の胸に刺した。

第二皇子「ううう……」

娘「お願い…… 早くしないとそいつの覚悟が無駄になるわ」

第二皇子「うわーー!」

ドスッ

第二皇子は合体進化の秘法の結晶を娘の胸に刺した。

ヒュウウン

第二皇子「わあああああ!?」

周囲が光に覆われる。
608 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:55:14.77 ID:UZT9f82i0
〇今

シュパアアアアン

魔王「この力…… 貴様勇者か!?」

光の剣によって魔王の腕が消滅する。

娘?「勇者? いいえそんなものはいないわ」

少年エルフ「その力は娘…… でもその耳はエルフ族の……」

娘?「そうね私は娘でも片耳エルフでもないのだ」

エルフ族の耳をした娘の顔をした者は言う。

少年エルフ「え? でも……でも……」

エルフ娘「そうだ私はどちらでもない。ハーフエルフのエルフ娘だ!」

少年エルフ「ええ!」

バッ

エルフ娘は飛び上がり魔王に向かって光の剣を掲げる。
609 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:56:18.99 ID:UZT9f82i0
魔王「むうん」

魔王が黒い奔流を放つ。

エルフ娘「ハッ」

シュパアアアアアアン

エルフ娘の一振りで黒い奔流が消滅する。

魔王「”高重力陣”」ギュオン

魔王が異次元の魔法を放つ。

エルフ娘「光よ、消し去れ!」

エルフ娘が放つ光が魔力ごと魔法を消滅させる。

シュワアアアア

魔王「なぜだ!?」

ゴウン ゴウン

魔王は次々と攻撃を繰り出すがことごとく消滅させられる。

シュパアアン シュパアアン

エルフ娘「さあ、なぜかしらね」

魔王「なぜこれほどの力が!?」

シュワアアアアア

魔王の半身が消し飛ぶ。
610 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:57:56.18 ID:UZT9f82i0
エルフ娘「さあてね、ただ湧き上がるのよ喜びが!」

シュパパパアン

魔王「おのれ、”黒孔生成”」

ギュオオオオ

魔王の最大魔法が辺りを飲み込み始める。

エルフ娘「せいっ」

シュキン

エルフ娘は光の剣を放って魔法を消滅させる。

魔王「今だ、絶望せよ」ドゥ

魔王が剣を離したエルフ娘に襲い掛かる。

エルフ娘「”喜びを伝えよ”」

シュパアアアアアアア

エルフ娘が再び光の剣を生成する。それも以前より巨大になって振り下ろされる。

魔王「馬鹿ななぜおまえ一人がここまでの喜びを持てる!? グアアア!」

エルフ娘「一人ではないわ…… それに200と17年の絶望が希望になったのよ」
611 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:59:03.83 ID:UZT9f82i0
魔王「ぬぬぬ……しかし我は貴様らには倒せぬ。貴様らに感情がある限りな」

エルフ娘「そうかしら、”希望よ輝け”」

魔王「我を憎まぬヒトは居らぬわ! フハハハハッ」

エルフ娘「”歓喜の剣”」

ヒュパアアアアアアアアアアアアッ

光の奔流が魔王を覆う。

魔王「ウオオオオオ! なぜだ!? なぜ憎しみを感じぬ!? なぜ貴様は我を!?」

エルフ娘「そうね、これまでの全てに感謝してるからかな…… 『そう』でなければ『こう』はならなかったからでしょうね」

魔王「まさか貴様は…… 我を、この魔王に『感謝』しているのか!?」

エルフ娘「言ったでしょ、全てにと…… だから最後よ魔王」

エルフ娘が完成した歓喜の剣を振りかざす。

ヒュドドドドドドドドッ

エルフ娘「ありがとう魔王」

ドドドドドドドドドドドドドドッ

魔王「馬鹿な! 我に…… 感謝だと…… そんな勇者が…… フハハ…… ハハハハハハハハ!!」

魔王を倒した。
612 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:00:19.60 ID:UZT9f82i0


少年エルフ「……あ、あ」

光と共に魔王が消え、エルフ娘が少年エルフに近づく。

ザッザッ

エルフ娘「エルフ」

少年エルフ「あ、あの…… 娘?」

エルフ娘「まったく、そうじゃないて言ったわよね?」

少年エルフ「えっと、その……はい」

エルフ娘「バタバタしてたから改めて自己紹介するわ」

少年エルフ「ん……」

エルフ娘「私はハーフエルフのエルフ娘よ、貴方と同じのね」

少年エルフ「僕と……」ドキドキ

エルフ娘「そうよ……あなたはもう独りじゃないわ」ぎゅう

エルフ娘は少年エルフを抱きしめる。

少年エルフ「うう…… うわあああああああん」

少年エルフは泣き出し、エルフ娘は彼を強く抱きしめる。

エルフ娘「ずっと一緒よ、エルフ」
613 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:01:38.68 ID:UZT9f82i0
〇???

神官「という感じで魔王は倒されました」

フゴゴゴ

暗闇の中、何かの咆哮が答える。

神官「そろそろご自身で何かしてみたらどうです?」

フググゥ

神官「えー?、また寝るんですか」

ググゥ

神官「あーもう、寝てばっかりだと存在を忘れ去られますよ。竜王さま」
614 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:02:53.30 ID:UZT9f82i0
〇数年後?

――森の外れに小さな古屋から産声が聞こえる。

――初めまして小さなエルフ

――ほらこっちに来て抱いてみて

――見えるかしらこのエルフがあなたのパパよ
615 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:03:49.01 ID:UZT9f82i0
〇少年エルフの喫茶店(再建)

娘友「なーんて感じで締めるといい感じだと思わない? だからそろそろ結婚とかその後の予定はどうかなーって?」

エルフ娘「友、あなたねぇエルフはまだ60そこそこよ。あと40年はまたなきゃ」

エルフ娘は渡された書きかけの本を突き返しながら答える。

娘友「うっわー、ギャップを感じるわー、娘やっぱり変わったわねー」

エルフ娘と娘友が談笑している。店長の少年エルフは他の客と応対している。

エルフ娘「そりゃそーよ、一回生まれ変わったようなものだし、人間じゃないんだし」フフフ

娘友「そう……(まーだハーフエルフになれたのを喜んでるんだ)」

エルフ娘「それにしても勝手に本なんて書いてていいの? 私たちの事はなんとなくボカす約束でしょ」

娘友「王女とは約束はとれてるわ、そうそう、最近手紙も届いたのよ」

エルフ娘「本当!? 確か東方に行ったはずよね」

娘友「そうよ、なんだか記憶喪失になった皇帝の跡継ぎ問題をホビットと共に颯爽と解決して、怒涛の縁談に嫌気をさして男子君と女兵士さんとで東方へ旅立った第七王女よ」

エルフ娘「ずいぶん詳しく言うわね」

娘友「ノルマなの」
616 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:04:28.81 ID:UZT9f82i0
エルフ娘「まぁいいわ、それで何が書いてあったの」

娘友「もうじき帰ってくるみたいだけど……ここ見て〜」

エルフ娘「なになに……なんとこの地にもエルフ族の生き残りがおりエルフの話をしたら是非会いたいと申して、帰国の際には伴って帰……うがーー!」ビリビリ

エルフ娘は手紙を破り捨てる。

少年エルフ「うわ!? どうしたの娘?」

娘友「あーあ」

エルフ娘「な、なんでもないわ」

娘友「落ち着いてよ娘、すぐに帰ってくるわけじゃないし」

エルフ娘「そ、そうよね帰国の予定は……」

娘友「んーと明日ね」

エルフ娘「えええええええ、こうしちゃいられないわすぐに迎撃の準備を」

娘友「迎撃って」
617 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:05:25.27 ID:UZT9f82i0
バァン

第七王女「友ー、娘ー、エルフー居るかのう。驚かせようと一日早く帰ってきたぞよ」

第七王女が現れた。

エルフ娘「ああああああああああああ!!??」

第七王女「ほっほっほ、驚きすぎたか。 さらに驚くべきことにエルフ族の生き……」

エルフ娘「タンマタンマーッ!」

ドドドドドッ

エルフ娘が第七王女を外へ押し戻す。

少年エルフ「娘? いま誰かお客さん?」

エルフ娘「違うわ! ちょっと出かけるか留守番よろしくね、絶対外に出ちゃだめよ」

少年エルフ「え?うん」

娘友「エルフさんもまだまだ大変そうね」

娘友は書きかけの本を開く。

娘友「ずいぶん書き足りてないけど…… ま、いっか」

サラサラッ

娘友「おわり、っと」

618 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:05:54.55 ID:UZT9f82i0
※おわり
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 20:22:28.15 ID:CTJ1/0J4O
乙!
おわっちゃったのか……
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 23:35:18.46 ID:BPfJJYb60
連載お疲れ様です。
堂々の完結、とても楽しく拝読しました。
もし、気力があれば娘がエルフにくすぐられる小話を読んでみたいです。
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 20:49:27.97 ID:JLzXgZdUo
終わってた…
おつかれさまでした。楽しかった!
次作があればここで誘導願います。
622 : ◆VEKixXsFvlSQ [sage]:2018/02/25(日) 14:20:33.46 ID:9e+I6z2g0
※今後はこちらで書いていきます、https://kakuyomu.jp/works/1177354054885260622/episodes/1177354054885260636

しばらくは読みやすくして、書けなかった分を追記したリメイク版を更新します、あとは異世界サラリーマンものの構想を考えています。
623 : ◆VEKixXsFvlSQ [sage]:2018/02/25(日) 14:22:01.95 ID:9e+I6z2g0
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885260622/episodes/1177354054885260636
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 18:34:17.20 ID:yo1YBimi0
誘導ありがとうございます。
リメイクと短編、楽しみにしています。
306.98 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)