王「我が娘が騎士になりたいと言ってるのだが……」女騎士「姫様が?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 17:58:41.40 ID:MBuo2UAyo
―城内 謁見の間―

騎士「陛下、お呼びでしょうか」

王「来たか。早速だが、騎士隊で唯一の女性であるおぬしに頼みたいことがある」

騎士「はっ。何なりとお申し付けください」

王「もっと近くへこい」

騎士「はい」

王「実はな、我が娘が騎士になりたいと言ってるのだが……」

騎士「姫様が?」

王「うむ」

騎士(まさか、私が姫様の教育係に……! 幼いうちに教育すれば立派な騎士になれるかもしれないな。これは大役……!)

王「なんとか諦めさせてくれないか」

騎士「え?」

王「娘には普通に育ってほしいんだ。なんとかおぬしから騎士の厳しさを叩き込んで諦めさせてほしい、この通りだ」

騎士(そうか……。確かに陛下も一人の父親。愛娘に剣を握らせたくはないはず)

騎士「はっ。お任せください」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:06:41.82 ID:MBuo2UAyo
―廊下―

騎士(引き受けたのはいいけど、私は姫様と直接会ったことがないし……上手くいくだろうか……)

騎士(この時間はここにいると言っていたが……?)

姫「やー! えいやー!」ブンブン

ポニー「……」ムシャムシャ

騎士「……すみません」

衛兵「なんだ?」

騎士「あそこでポニーに跨って木の棒を振り回しているのが、姫様ですか?」

衛兵「お前、姫様の顔もしらないのか」

騎士「ああ、いえ。私が見ていたのは、煌びやかな衣装に身を包んだ姫様だけでして、あのようにその、腕白な姫様は知らないものでして……」

衛兵「まぁ、仕方ないか。俺みたいな内勤でもない限りはあんな姫様を見られる機会なんてそんなにないしな」

騎士「では、やはりあの少女が……」

衛兵「我らの姫様だ」

騎士(独自で騎士になるための修行を初めているなんて……)

衛兵「姫様に何か用か? 今は見ての通り特訓中だ。邪魔すると怒られるぞ」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:12:38.09 ID:MBuo2UAyo
騎士「私は陛下より任務を仰せつかっています」

衛兵「任務? 俺は聞いてないが」

騎士「陛下に確認を取ってください。それでは」

衛兵「おい」

姫「やー! おりゃー!」ブンブン

ポニー「……」

姫「ふー。素振り20回、おわり!」

騎士「姫様」

姫「だれ? え……あ……」

騎士「初めまして、と言ったほうがいいですね。私は姫様の姿を遠くからしか拝見したことがありませんでしたから、姫様も私のことなど知らないでしょう」

姫「あ……」

騎士「数多の兵の顔を把握するなど陛下でもできないことですからね」

姫「わぁ……」

騎士「姫様? なにか……?」

姫「おぉぉ! すごい! ほんものだ! あの、わたしね! あなたのこと、ずっと前から気になってたの!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:19:19.01 ID:MBuo2UAyo
騎士「私のことを?」

姫「うん! 私ね、貴方みたいな騎士になりたいの!」

騎士「え……!? わ、わたし……のような……?」

姫「あなたがね、おおきな馬に跨って訓練してるところみたときにね、こんなにかっこいい女の人がいるんだって思ったの」

姫「それでね、私もあなたみたいにカッコいい大人の女になりたいの!」

騎士「私なんて、そんな……いえいえ……」

姫「だから、私も騎士になって、かっこよくなりたいの! なれるかな?」

騎士「あ、えと……」

騎士(陛下から直接受けた任務だ。遂行させないと)

騎士「姫様、残念ですが無理です」

姫「え?」

騎士「姫様では、騎士にはなれ――」

姫「だめ……な、の……な、んで……なん、で……?」ウルウル

騎士(泣いた!? まずい! こんなところ誰かに見られたら……!!)

衛兵「どうした? なにかあったのか?」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:25:33.97 ID:MBuo2UAyo
騎士「いえ!! なにも!!」

姫「うっ……うぅぅ……どうして……なれ、ないの……なりたいのにぃ……」

騎士「あぁ、あの、姫様! 騎士にはなれずとも、姫様は一国を治める人にはなれますから!」オロオロ

姫「きしに……きしになりたいのに……あなたみた、いな……かっこ、いい……きしぃ……」

騎士「お褒め頂きありがとうございます!! でも、姫様ではその、無理ではないかと……個人的には思ってしまうわけでして……!」

姫「うえぇぇぇぇん!!」

ポニー「ヒヒーン!!」

騎士「わぁぁぁ」

衛兵「おらぁ!! なにしてんだ!! 姫様、ないてるじゃねえかよ!!」

騎士「いや、その……!!」

姫「うわぁぁぁん!!」

ポニー「ヒヒーン!!」

騎士「くっ……!! 任務は失敗!! 退却するしかない!!」ダダダッ

衛兵「あ!! こら!! であえー!!! 反逆者だー!!! 姫様を泣かせた反逆者がいるぞー!!!」

姫「うえぇぇぇん!!」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:37:49.48 ID:MBuo2UAyo
―宿舎―

騎士「終わった……私の騎士生活も……これで終わり……」

騎士(初の女騎士として少し調子に乗りすぎたか……。お父さんとお母さんも心配しているし、田舎で農作業を手伝おうかな……。それからお見合いして、結婚して、子どもは二人ぐらいで……)

隊長「よぉ。しけた顔してんな」

騎士「隊長。お疲れ様です」

隊長「今日、色々あったみたいだな」

騎士「隊長の耳にも入っていますか」

隊長「そら、真面目だけが取り柄のお前が問題を起こしたなんて、地平線の向こうでも風の便りで届いちまうぜ」

騎士「すみません……私の力不足です……」

隊長「詳しい話は知らないんだが、姫様を泣かせたとかなんとか」

騎士「はい。それで一時的に反逆者扱いを受けてしまいまして。陛下の助けがなければ私刑にされていたかもしれません」

隊長「姫様はな、望まず内勤となった連中にとっては女神みてえな存在なんだ。本来なら街の外にでて、派手な討伐任務やらに就き、名声と栄誉を勝ち取りたいと願う野郎どもは多くいる」

隊長「なのに基本的には退屈な守衛をやらされる。そいつらにとっては毎日がつまんねえわけだ。守衛をきちんとこなしても評価はされにくいしな」

騎士「姫様はそういった者たちへ何かされていたのですか? 労いの言葉をかけるとか」

隊長「そらぁ姫様本人はそういうこともしてるが、内勤の連中にとってはそこにいるだけで十分なんだそうだ。見ているだけで心が潤うんだとよ」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:48:35.47 ID:MBuo2UAyo
騎士「確かに、容姿の愛らしさは筆舌に尽くしがたいですね」

隊長「だから、姫様を泣かせたなんてことになれば、内勤の連中が本気で襲い掛かってくるのも当然なわけだ」

隊長「ある意味、連中の愛娘って感じでもあるからな」

騎士(そこまでの存在だったとは……)

隊長「で、そんな連中の女神をどうして泣かせたんだ」

騎士「陛下より勅命を受けました。姫が騎士になりたいと言っているので、諦めさせてくれと」

隊長「ほぉ。そりゃあ、大役だ。だが、唯一無二の女騎士にはぴったりな任務だ」

騎士「そして姫様と話したのです。そのときに、姫様では騎士になれないと言って……」

隊長「ひでぇ話だ。そりゃ、泣く。泣いちゃうぜ。憧れの存在にそんなこといわれちゃあなぁ」

騎士「え? 隊長、何故そのことを?」

隊長「内勤連中の間じゃ結構有名な話だぜ? 騎士隊に女が入ってから急に姫が騎士なるための特訓を始めたってな」

騎士「全部……私の所為なのですね……! こうなれば、仕方ありません!」

騎士「本日をもちまして、この剣を……剣を……お、置きます……」プルプル

隊長「待て待て。なんでお前が騎士を辞めなきゃなんねえんだよ」

騎士「私の所為で姫様が騎士道を歩むことを望む一方で、陛下はそれを止めさせようとしている。なれば、原因である私がこの城をさればそれで解決です。姫様も目指す者がいなくなれば考えを改めるはず……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:59:05.60 ID:MBuo2UAyo
隊長「姫様、余計に悲しむんじゃねえかなぁ」

騎士「でも……」

隊長「お前だって、並大抵の努力でここにいるわけじゃねえ。こんなことで騎士を捨てられるのか」

騎士「……」

隊長「どうなんだ」

騎士「……いやです」

隊長「だろう? だったら、もうちょっと冷静になれ」

騎士「しかし、打つ手がないようにも……。任務を果たそうとする以上、私は衛兵たちから私刑を受けることになります」

隊長「なぁに、姫様がお前を尊敬しているなら、それを逆手にとってしまえばいい」

騎士「どういうことですか」

隊長「心からお前のことを敬愛しているなら、どんなことでも信じるだろう?」

隊長「騎士はこんなに厳しい世界なんだってことを、姫様に教えてやればいい」

騎士「王にも言われましたが……。私のしてきたことを教えればいいのですか」

隊長「それでいいんじゃねえか。お前がやってきたことは、普通の女には真似できねえ。いや、並の男でも無理だな」

騎士(一人で鍛錬を積む姫様が私の特訓程度で音を上げるとは思えないけれど、一度やってみよう)
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 19:04:45.23 ID:MBuo2UAyo
―翌日 中庭―

ポニー「……」モシャモシャ

姫「やー! やー!!」ブンブン

衛兵(今日の姫様、鬼気迫る表情だな。昨日、あのアマにひでえこと言われて自分を追い込んでる。おいたわしい……)

姫「ふー。素振り23回、おわり!」

衛兵(あんなに自分を痛めつけて……くくぅ……)

騎士「すみません」

衛兵「あぁ!?」

騎士「ひっ」ビクッ

衛兵「よくここにこれたなぁ。その根性だけは認めてやるよ」

騎士「通してもらいます」

衛兵「そりゃ、墓標に刻む言葉かぁ?」

騎士「そ、そういうことでは……なくて……」

衛兵「ならなんだってんだぁぁ!!!」

騎士「ひぐっ……ごめんなさい……でなおします……」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 19:09:46.46 ID:MBuo2UAyo
衛兵「二度とこの聖域に足を踏み入れるんじゃねえよ!!」

騎士(やはり、田舎に帰るしか……)

姫「どうしたの?」

衛兵「なんでもありません。姫様はどうぞ、お気の済むまで特訓を続けてください」

姫「あー!」テテテッ

騎士「姫様?」

姫「またきてくれたんだ!」

騎士「……」

衛兵「姫様、この者に近づかない方がよろしいかと」

姫「静かにして」

衛兵「申し訳ありません!!!」

姫「時間はある?」

騎士「はい」

姫「よかったぁ。こっちにきて。話したいことがあるの」

騎士(なんだ……。まさか、不敬罪で死刑を言い渡される……!?)ガクガク
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 19:16:37.04 ID:MBuo2UAyo
ポニー「……」モシャモシャ

姫「この子はユニコーンっていうの。カッコいいでしょ?」

騎士「姫様が乗馬するに相応しい馬の名かと」

姫「ありがとう。角があればよかったんだけど」

騎士「あの、私にお話とは」

姫「……」

騎士「……」

騎士(やはり、昨日のこと……。覚悟を決めよう。一国の姫を傷つけてしまった罪は重いのだから……)

姫「ごめんなさい!」

騎士「は?」

姫「……怒ってるんだよね?」

騎士「え? はい?」

姫「私が、軽々しく騎士になりたい、なんて言ったから……」

騎士「えと……」

姫「あなたはきっと人に自慢できる程度の努力なんかで騎士にはなっていないはずなのに、私、簡単に騎士になりたいなんて、言って……。だから、あなたは気を悪くしたんだよね。ごめんなさい」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 19:26:10.33 ID:MBuo2UAyo
騎士「と、とんでもありません! 私は……!」

姫「あなたに無理だって言われて、ようやく分かったの。この程度の鍛錬では全く足りないんだって」

姫「だからね、これから毎日素振りをする回数を増やしていくことにしたの。今日は3回増やしたから、明日は更に3回ぐらい増やそうと思うんだけど」

騎士(まさか、姫様が気に病んでいたなんて……。叱責を受けるどころか罰を与えるものだと思っていた私が情けない)

姫「まだ、足りない? 5回ぐらいにしたほうがいい?」

騎士(こんなにも真剣……こんなにも真っ直ぐに……姫様は私を向き合ってくれている……)

騎士(私も正面から向き合わなくては。もうこれ以上、不敬を重ねるわけにはいかない)

騎士「……姫様。正直に言いますと、それでは、全くと言っていいほど、足りません」

姫「え……」

騎士「そのような児戯にも等しい行為を鍛錬を呼称するなど、片腹痛いです」

姫「……」プルプル

騎士「児戯を何万回繰り返したところで意味などありません。ただの徒労です」

姫「うぅ……」プルプル

騎士(しまった……!!! 泣く……!?)

騎士「で、でも、あれですよ、流石にその、何十万回ってやれば、えっと、騎士になれたりするかも、しれませんよ? たぶん、きっと」オロオロ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/24(金) 20:29:21.73 ID:GVL7CsgWO
ええやん
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 20:41:13.26 ID:MBuo2UAyo
姫「ほんとぉ……?」

騎士「ええと……あはは……」

姫「うそなんだ……」

騎士「え!? いや! そんな! 嘘なんて……!!」

姫「うぅぅ……」

騎士「あぁぁ!!」

ポニー「……」モシャモシャ

姫「ふんっ」キリッ

騎士(涙をこらえた……?)

姫「教えてください」

騎士「は、はい?」

姫「かっこいい騎士には、どうやったらなれるのか、教えてくださいっ」

騎士「姫様……しかしですね……」

姫「わたし、あなたみたいな美人でかっこいい騎士になりたいのっ!」

騎士「……わかりました。そこまでおっしゃるのなら」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/24(金) 20:44:03.16 ID:jkjWHcDSO
オーク「俺も騎士になる」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 20:51:50.16 ID:MBuo2UAyo
姫「お願いします!」

騎士「はい。でも、今から教えるのはあくまでも私が積んできた鍛錬です。これで私は運よく騎士になれましたが、姫様が騎士になれるかどうかは分かりません」

騎士「同じ方法で騎士になれるのなら、どんな人でも騎士になることができるのですから」

姫「わかりましたっ」

騎士「まず、私たちは女です。男にはどうしても筋力で負けてしまいます」

姫「それでよく女の兵士は襲われやすいってきいたことあるっ」

騎士「そうですね。誠に遺憾ですが、それは認めなくてはなりません。純粋な力比べでは押し負けてしまうのです」

姫「やっぱり男の人に捕まると、色々されちゃうの?」

騎士「敵兵に捕まった場合、尋問、拷問は覚悟しておいたほうがいいでしょうね」

姫「うんっ。わかりましたっ」

騎士「ですが、捕まらないように鍛えればいいだけの話です」

姫「そうだね!」

騎士「早速、始めましょう」

姫「素振りからですか?」

騎士「ええ。ただし、そのように軽い木の棒などではなく、こちらの訓練で用いる木で作った剣を持っていただきます」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 20:57:59.41 ID:MBuo2UAyo
姫「はいっ!」グッ

姫「お……? おぉ……?」ググッ

騎士「どうしました? 早く、構えて素振りをしてください」

姫「お、おも……ぃ……」

騎士「本物の剣はもっと重いですよ」

姫「う……ぐぅ……」ググッ

騎士「……」

姫「ふぅぅぅ!!!」ググググッ

姫「ふんっ」キリッ

騎士「全然、持ち上がってませんよ」

姫「さ、最初からこんなの無理だよぉ。もうちょっと軽いのはないの?」

騎士「ありません。それが最も軽い練習用の武具です」

姫「そんな……」

騎士(これで諦めてくれるのなら話は早いですね)

姫「ふっ……!! ぬぅぅ……!! うぅぅぅ!!」ググググッ
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 21:04:32.99 ID:MBuo2UAyo
騎士「……」

姫「はぁ……はぁ……。ふっ!」

騎士(姫様、いつまでその持ち上がることのない木の剣を持ち上げようとするのですか)

騎士(貴方の細い腕では何度やろうとも一振りすらできないというのに)

姫「うおー!」

騎士「……!?」ビクッ

衛兵「なんだ!? 姫様!! どうかされましたか!?」

騎士「な、なんでもありません!!」

姫「うおー!!!」

衛兵「き、きさま!! 姫様をどうした!? 何故、姫様が奇声をあげているんだ!!」

騎士「いや、これは……!」

衛兵「また姫様によからぬことを……!! であえー!!! 姫様を狂わす女騎士を捕えるんだー!!」

「「おぉぉ!!!」」

騎士「まずい! ひ、姫様!! 今日はここまでにしましょう!! その剣は姫様にお預けいたしますので、自由にお使いください!!」ダダダッ

姫「え!? まってー!!」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 21:12:13.61 ID:MBuo2UAyo
―宿舎―

隊長「へえ。姫様って見かけによらず逞しいんだな」

騎士「ええ。諦める気配は微塵も感じられませんでした」

隊長「もしかしたら、騎士になれるのかもな。そうなると姫騎士の誕生か。そりゃあいい。現場の兵士たちも士気が上がるってもんだ」

騎士「やめてください。私は姫様に諦めてもらわなければ困るんです」

隊長「冗談だ。けど、諦めなかったらどうするよ」

騎士「諦めてもらうんです。絶対に。それが陛下の望みなのですから」

隊長「ま、そうだな。じゃないと、下手すら騎士隊から外されちまうことになるかもしれないしな」

騎士「はい。私だって、命をかけています」

隊長「わけえやつが命なんてかけんなよ。命かけていいのは、先が短いおっさんからだ。順番は守ってほしいね」

騎士「けど、時間の問題だとは思います。姫様だって、あの木の剣を振れないのでは先に進めませんし」

隊長「お前は最初から振ってたのか、あんな大人用のもんをよぉ」

騎士「やっていたから、ここにいるんです」

隊長「最初は何回振ってたんだ?」

騎士「……1回だけ」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 21:55:08.38 ID:MBuo2UAyo
隊長「……」

騎士「それが限界だったんですぅ!!」

隊長「何もいってねえだろ」

騎士「すみません」

隊長「けど、本当に同じことをさせるんだな」

騎士「ええ。そこで理不尽なこと、つまりは私ができなかったことを押し付けようとは思いません」

騎士「私が実践してきたことだけを姫様にはやっていただきます」

隊長「万が一、姫様が耐えきったときは、姫騎士ってことか」

騎士「そのときは、その時考えます」

隊長「しっかりな、女性騎士の先輩としても、女の先輩としても」

騎士「どういう意味ですか」

隊長「なんでもねえよ。んじゃ、おつかれー」

騎士「あ、すみません。明日の任務は?」

隊長「ん? 何も聞かされてねえのか? お前は当分、騎士隊とは別行動だよ。姫様の教育係っていう重大な任務があるからな」

騎士「な……」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 21:58:48.02 ID:MBuo2UAyo
―翌日 中庭―

衛兵「……」

騎士「お、お疲れ様です」

衛兵「……」

騎士(無視されるのも致し方ない。昨日、逃げてしまったわけだし)

騎士「姫様は……」

姫「あー!」テテテッ

騎士「どうも、姫様」

姫「こんにちはっ」

騎士「今日もしますか」

姫「もちろん!」

騎士「それでは木の剣を振ってください」

姫「はいっ!」

姫「ふんっ」キリッ

騎士「凛々しい顔をしても全く持ち上がっていませんよ」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 22:05:32.84 ID:MBuo2UAyo
姫「うおー!!!」

騎士「ひ、姫様!」

姫「なに?」

騎士「そういう姫君らしからぬ奇声はやめてください。衛兵の方がまた……」

衛兵「……」

騎士(あれ? 無反応……)

姫「こうしないと気合が入らないんだけど、ダメなの?」

騎士「あ、いえ。構いません」

姫「うん! じゃなくて、はいっ」

姫「うおー!! ぬおー!!」

騎士「……」チラッ

衛兵「……」

騎士(昨日とは態度が違うなぁ。あの後、何かあったんだろうか)

姫「がおー!!!」

騎士(しかし、姫様の鍛錬を見ているだけでのお仕事なんて……。これが騎士としての務めなのか……)
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 22:16:21.98 ID:MBuo2UAyo
姫「分かった!」

騎士「何がですか」

姫「下の方を持つから重いんだ。もうちょっと上のほうを持てば……」グッ

姫「んひぃ……! も、ちあがった……ぁ……」フラフラ

騎士「あぁ、姫様、気を付けてください」

姫「おぉぉ……ひぃ……」フラフラ

騎士「あぁぁ……ぁぁ……」オロオロ

衛兵「……」

姫「ほぉぉ……」

騎士「ひ、ひめさま……慎重に……その、構えるときは、慎重に……でないと倒れてしまいますので……」

姫「えーい!!!」グンッ

姫「あ」フラッ

衛兵「姫様を支えろ!!!」

騎士「はいっ!!」ギュッ

姫「あ、ありがとう」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 22:23:09.59 ID:MBuo2UAyo
衛兵「ったく」

騎士「すみません! 姫様は無事です!!」

衛兵「……」

騎士(こちらのことを常に気にかけてはいるのか。監視はされて当たりまえか)

姫「このまま支えててくれるの?」

騎士「え? いえ、そういうわけには」

衛兵(姫様に怪我をさせたら、ぶっ殺してやる)

(八つ裂きにしてやるぜ)

(嫁にいけなくしてやるぜ)

(俺の嫁になってもらおうかな)

騎士「……!」ゾクッ

騎士(この悪寒は……気の所為ではない……)

姫「どうかしたの?」

騎士「いえ。なんでもありません。支えていますので、振ってみてください」

姫「はいっ! やー! やー!!」ブンブンッ
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 22:28:59.04 ID:MBuo2UAyo
姫「つかれた」

騎士「まだ三回も振っていませんよ」

姫「だって重いんだもん」

騎士「では、騎士にはなれませんね」

姫「それは、やだ」

騎士「なぜ、疲れると思いますか」

姫「重いから」

騎士「違います。腕だけで振っているからです。いいですか? 剣を振るときは全身を使うんです。腰も肩も足も全て使わなくてはいけません」

騎士「全身を使えばそれほどすぐには疲れません」

姫「腰かぁ」クイックイッ

騎士「いや、腰を振るのではなくて」

姫「わかんないです」

騎士「まず、こう姿勢を……」グイッ

姫「くすぐったいぃ」

騎士「我慢してください」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 22:36:29.48 ID:MBuo2UAyo
―夕方―

姫「こうだ!!」ブンッ

騎士「おぉ。今のは様になっていましたね」

姫「ほんと!?」

騎士「ええ。見事です」

姫「ありがとうございます! せんせー!」

騎士「先生?」

姫「私のせんせー」

騎士「違います。別にそういうわけでは……」

姫「でも、お仕事しないで私に教えてくれてるし……」

騎士「いや、これが仕事なので」

姫「だったら、せんせーだよね?」

騎士「うぅん……そうなるのか……いや、でも……しかし……現状は誰が見ても……」

騎士「明日は私にも任務があるので来ることはできな――」

姫「すぅ……すぅ……」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/24(金) 23:04:44.98 ID:dORANBTl0
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/03/24(金) 23:05:27.66 ID:dORANBTl0
sageし忘れた・・・
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 23:15:30.00 ID:MBuo2UAyo
騎士「そんなにすぐ眠りに落ちるか……?」

姫「すぅ……」

騎士「よっと」ギュッ

姫「すぅ……すぅ……」

騎士(疲れたのでしょうね。気づけばもう夕刻。姫様の体力から言って限界だったか)

騎士(部屋まで運ぼう)

衛兵「……」

騎士「失礼します……」

衛兵「お前は姫様を騎士にさせるつもりなのか」

騎士「違います」

衛兵「だったら、もう姫様には近づくな。それが一番だ」

騎士「そういうわけにもいきません」

衛兵「陛下からの任務ってやつか」

騎士「はい」

衛兵「どちらにせよ、姫様を悲しませたら、どうなるかわかってるだろうな」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/25(土) 02:35:45.23 ID:1Q78Z+PMO
なかなかガッツがある姫様
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 19:48:05.28 ID:ecPDf4+eo
―姫の自室―

騎士「これでよし、と」

姫「すぅ……すぅ……」

騎士「良い寝顔……。相当疲れたみたいだ」

騎士(姫様の護衛任務についている衛兵の皆さんは、本気で言っていたな)

騎士(悲しませれば、どうなるか……)

騎士(怪我をさせたり、危ない目に遭わせたりではなく、悲しませるというのが肝だ)

騎士(私が陛下から言い渡された任務を知られたらまず間違いなく、姫様は傷つく)

騎士(衛兵の方は露呈を危惧して、近づくなと言ったのだろうか)

騎士「確かに私が近づかなければ、幼いときの儚い夢で終わるかもしれない」

姫「すぅ……」

騎士「……」

騎士(一度、陛下に提案してみよう)

姫「うぅん……」

騎士(姫様、おやすみなさい)
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/25(土) 19:58:52.03 ID:6G9QCkcQo
よいね
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 19:59:53.69 ID:ecPDf4+eo
―謁見の間―

王「つまり、あえて関わらないようにするということか」

騎士「はい。私が指導すればするほど、姫様は却って希望を抱き、騎士になる道を突き進むことになるでしょう」

騎士「ですが、私との関わり合いを失くせば、今以上に進展することはありません」

王「ふむ。そうだな。騎士本人に厳しさを教われば、自ずと諦観してくれると考えておったが、むしろ憧憬を強くさせる危険性もあったか」

騎士「なので、これ以上の接触は回避したほうがいいかと思います」

王「お前がそういうのなら、それで良い」

騎士「若輩である私の提案を受け入れて頂き、感謝いたします」

王「気にするな。娘が騎士になる夢を改めてくれるのなら手段は選ばん」

騎士「そこで、あの、私の任を解いていただけるとありがたいのですが」

王「すまないな。騎士としての本分を全うしたいと願うのは当然か」

騎士「いえ、姫様と直接触れ合えたことは、何よりの誉れです」

王「繕う必要はない。無理を言ったな。明日からは本来の任務に就いて欲しい」

騎士「はっ。この身は、本国と陛下のために」

王「期待しておるぞ」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 20:05:23.89 ID:ecPDf4+eo
―翌日 城門―

隊長「時間か。全員、いるか」

隊員「はっ」

隊長「それじゃあ、そろそろ出発するか」

騎士「隊長!!」

隊長「よぉ、どうした」

騎士「自分の今日からの任務に参加させてください」

隊長「姫様の教育はどうした」

騎士「昨日の夜、任を解かれました」

隊長「そうなのか。その話はまだ届いてなかったな」

騎士「陛下に確認を取っていただければはっきりします」

隊長「ま、お前を疑うつもりはねえよ。こっちも人手が欲しかったぐらいだからな」

騎士「では……」

隊長「お前も、参加しろ。一週間ほどの遠征になるが、覚悟はいいか?」

騎士「勿論です」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 20:09:04.85 ID:ecPDf4+eo
―中庭―

姫「……」

ポニー「……」モシャモシャ

姫「……?」

姫「ねえねえ」

衛兵「はっ。なんでしょうか」

姫「せんせーは?」

衛兵「あの者はもう姫様と顔を合わせることはないかと」

姫「どうして?」

衛兵「彼女も騎士隊の一人です。騎士としての任務があるので」

姫「お仕事なんだ」

衛兵「はい」

姫「そっか……。なら、一人でがんばらなきゃ」

衛兵「……」

姫「うおー!!」ググッ
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 20:15:54.58 ID:ecPDf4+eo
―十日後 城門―

隊員「整列!!」

隊長「全員、お疲れさん。今回、参加した者は二日ほど休暇を与える。しっかり体を休めておけ」

「「はっ」」

隊長「んじゃ、解散」

騎士「ありがとうございました、隊長」

隊長「ん? お礼を言うのは俺の方だ。無理に参加させちまって、悪かったな」

騎士「いえ、自分で望んだことです」

隊長「まぁ、あんな野盗ども俺らの敵じゃなかったな。はっはっは」

騎士「賊に後れを取るわけにはいきませんから」

隊長「また、すぐに遠征することになるかもしれんから、お前も休んでおけよ」

騎士「最近、被害が広がっているのですか」

隊長「勢力を伸ばしているみたいだな」

騎士「由々しき事態ですね。これ以上の犠牲者を出さないためにも、私が剣を振るわなければ」

隊長「気合はいってんなぁ。肩の力抜けよ。ただでさえ、肩が凝りそうなもんを二つも胸に抱えてんだからよぉ」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 20:20:46.35 ID:ecPDf4+eo
騎士「どういう意味ですか?」

隊長「いや。なんでもねえ。さー、風呂入って酒飲んで、寝るかぁ」

騎士「……?」

騎士(私も、今日は寝ようか。まだ日は高いけれど、疲労が溜まっているのは確かだし)

騎士(鎧を脱ぐことも重要な任務だと、父は言っていたな)

姫「あー!」

騎士「え?」

姫「おかえりー」テテテッ

騎士(姫様……!)

姫「せんせー、時間ありますか?」

騎士「姫様」

姫「はいっ」

騎士「私は姫様と話せる身分ではありません。もう関わらない方がよろしいかと思います」

姫「……」

騎士「失礼いたします」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 20:24:19.67 ID:ecPDf4+eo
―城内 廊下―

騎士「……」

姫「……」テテテッ

騎士「……っ」

姫「……」テテテッ

騎士「姫様」

姫「はいっ」

騎士「私は今から宿舎に戻るので、ついてこられても困ります」

姫「……」

騎士「姫様も自室にお戻りください」

姫「……」

騎士「では」

姫「……」テテテッ

「おい、見ろよ。姫様につけられてるぞ」

「よほど気に入られてるんだな、あいつ」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 20:28:38.27 ID:ecPDf4+eo
―宿舎―

騎士「……」

姫「……」テテテッ

隊長「よぉ、後ろから王族がついてきてるぞ」

騎士「分かっています」

隊長「どうにかしたほうがいいんじゃねえか。ここは王族が入るにはちょっとばかし汚れてるぞ。お召し物におかしなシミがついちまうかもしれん」

騎士「そうですね」

騎士「――姫様っ」

姫「はいっ」

騎士「お帰りください」

姫「……」

騎士「もう貴方に教えることは何もありません」

姫「……」

騎士「わかりましたか?」

姫「えっと……ダメ……なの……?」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 20:33:37.52 ID:ecPDf4+eo
騎士「ええ。ダメです。お帰りください」

姫「……もう、なにも教えてくれないの?」

騎士「はい」

姫「うぅ……」

騎士(泣く……!? い、いや、心を鬼にしなければ……!!)

騎士「泣いても無駄です。お帰りください」

姫「うぅぅ……ぅ……」プルプル

騎士「くっ……!」

騎士(心が痛すぎる……いっそのこと、誰か私を殺してくれ……!)

隊長「どうするだよぉ。王族の姫君を泣かせると、あとがこええぞぉ」

騎士「隊長は黙っていてください!」

姫「うぅぅ……ん……」

姫「ふんっ」キリッ

騎士「姫様?」

姫「せんせーに見てほしいことがありますっ。だから、少しだけ時間をくださいっ」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 20:38:05.80 ID:ecPDf4+eo
騎士「見てほしいこと?」

姫「はいっ」

騎士「ですが……」

姫「おねがいっ」

騎士「うぅん……」

隊長「ここまで言ってんだし、見てやれば?」

騎士「だから、隊長は……」

姫「うぅ……みてくれるだけで……いいからぁ……」プルプル

騎士「わ、分かりました。見るだけなら」

姫「わぁ……! せんせー、ありがとー!」

騎士「で、何を見ればいいのですか」

姫「中庭に来て、中庭」グイッ

騎士「あぁ、ちょっと」

隊長「しっかりなぁ」

騎士「他人事だと思って……!」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 20:42:03.58 ID:ecPDf4+eo
―中庭―

姫「こっち、こっち」グイッ

騎士「姫様。そんなに引っ張らなくても……」

騎士(ん? 姫様って、こんなに腕力があっただろうか……?)

姫「ユニコーン!!」

ポニー「……」トコトコ

姫「ありがとう」

騎士「あぁ、ユニコーンに木の剣を乗せているのですか」

姫「うん。まだ持ち運べないし」

騎士「それで、その剣がなにか?」

姫「見ててください!」

騎士「はい?」

姫「ふんっ!」グググッ

騎士(構えた!?)

姫「い、いき、ましゅ……」プルプル
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 20:47:36.81 ID:ecPDf4+eo
騎士「まさか……」

姫「んひぃ!」ブンッ!!!

騎士(振った……)

姫「ぅひぃ!」ブンッ!!!

騎士「……!」

姫「んあぁー!!!」ブンッ

騎士「おぉぉ」

姫「はぁ……はぁ……はぁ……」

騎士「私が遠征に行っていた間にずっと振っていたのですか?」

姫「うん。な、なんとか、3回は振れるようになりました」

騎士「姫様! 手を見せてください!!」ギュッ

姫「え?」

騎士「やはり……こんなにも肉刺が……。潰れているものもある……」

姫「あんまりみないで……はずかしい……」モジモジ

騎士「何故、こんなになるまで……」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 21:03:34.85 ID:ecPDf4+eo
姫「これぐらいのことをしないと、貴方みたいな騎士になれないんでしょ?」

騎士「姫様……」

姫「手も全然痛くないよっ」

騎士(そんなわけ……)

姫「せんせーにはお仕事もあるから、毎日教えてほしいとは言えないけど、でも……」

姫「私、毎日がんばりますから、暇なときは教えてくださいっ」

騎士「ぐっ……ですが……その……」

姫「おねがいしますっ!! 私、せんせーからいわれたことなら、なんでもしますっ!!」

騎士「ぐぐっ……」

騎士(感情に流されるな……!! 私は陛下に仕える騎士だ。陛下から言われたことは、姫様の騎士になるのを断念させることだ……!!)

騎士(陛下を裏切れはしない!!)

騎士「姫様、ま、まことに、残念ではあり、ますが……」

姫「……」

衛兵「……すぞ……やろう……」

騎士「……!!」ビクッ
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