フレンズは繁栄しました【人退×けもフレ】

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1 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 00:08:45.64 ID:mBfbfeoZ0
 サバンナでした。

 見渡す限りのサバンナでした。

「……やってしまいました」

 わたしは痛む頭を抑え、ひとまず状況を整理します。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええ、大丈夫です、はい」

 わたしを気遣ってくれるのはたまたま遭遇したライダースーツらしきものを着用したお姉さんだけです。それも、

「ううん……、あなた、私と同じかばではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

 偶蹄目カバ科カバ属の哺乳動物、カバを自称する一見痛い……、失礼、なりきり系コスプレイヤーの方でした。

 なぜわたしが、普段ならクスノキの里調停官事務所で優雅にお茶をたしなんでいるはずだった国連調停官のわたしがこんなところでこんな目にあっているのか、それを知るには少々時間を巻き戻す必要があります。



 ……バナナは使いませんよ?

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1489590525
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:10:50.07 ID:XdXN2EHGo
>>1
やめろ
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:13:06.44 ID:RTFRfPcNo
期待
4 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 00:17:13.60 ID:mBfbfeoZ0
 事務所に国連からの緊急依頼が舞い込んだのは、ボニーさんの里でのトロール騒動がひと段落してすぐのことです。

「……調停官が行方不明、ですか?」

 その知らせを届けに来たわたしの悪友、Yがうなずきます。

「なんでも無人島だって思われてた島に国連の未確認集落があったみたいでさ、接触しに行った調停官がそのまま帰ってきてないんだって」

 人類が衰退期に入ってはや数世紀。我々人類は(厳密には違いますが)その文明レベルを大きく後退させ、ほそぼそと絶滅への道をたどっております。

 そんな中にあって、過去のインフラをどうにか維持し、人類の生活と文明を守る(vip局長作成、国連紹介パンフレットより抜粋)国連です。しかし、中にはその国連が把握できていない集落が存在していることがあります。

 人類と妖精さんとの間を取り持つ我々調停官の任務には、そういった未確認集落への接触と、支援の要請なんかも入っているのです。
5 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 00:24:32.33 ID:mBfbfeoZ0
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:30:00.52 ID:987sUjOFO
>>5
Aqoursの好感度スレまとめ

善子 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1482032895/

曜 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487678425/

ルビィ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487668185/

千歌 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487693644/
>>2
ダイヤ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487770928/

花丸 → http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1487777497/

梨子→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488373777/

果南→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488454481/

鞠莉→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488464531/
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:30:11.95 ID:RCUe53cEO
>>5
9 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:32:29.95 ID:DV9Bek1G
曜「梨子ちゃん♪行こ?」
>>2
梨子「え、ええ…」

曜「どう?学校には慣れた?」

梨子「うーん…まだ、かな…
曜ちゃん以外に喋る子あんまりいないし…」

曜「そうなの?そっかぁ…」

梨子「うん…」

曜「さ、着替えよっか」

梨子「そ、そうね」
8 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 00:30:48.38 ID:mBfbfeoZ0
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:35:37.12 ID:EbKECA4HO
>>8
スレ汚し失礼します

★★★自治スレより重要なお知らせ★★★
>>2
ラブライブ!板で違反スレの乱立、スクリプトによる保守を目的とした板荒らしに対策するため板設定の変更に関する投票を行います
賛成/反対の投票ですので投票お願いします。


投票日:2017年3月12日


詳しくは
自治スレ、荒らし報告相談 Part.5
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:35:45.85 ID:8RINFIAPO
>>8
―――


 対峙する私たち三人を残して、絵里は一足先に廃工場内へと進んでゆきました。
 凛と花陽も進行を妨げることはなく、素直に絵里を通しました。


凛「……これで準備は整ったかな」

海未「ええ。絵里を通して貰い感謝します」

花陽「戦う相手は海未ちゃんだから。こっち、ついてきて」


 二人に従い、私もまた一足遅れて廃工場内へと踏み入りました。

 案内されたのは、ことりと絵里が上がった階段の先ではなく、一階フロアの奥でした。
 居並ぶのは、鉄製のクレーンやコンベア、人が何人も入りそうな大型タンクの列、それらを繋ぐ配管の数々。
 もう稼働することのない大型機器類や使用されぬまま放置された廃材が埃を被った状態で残されている、薄暗く湿った旧作業場でした。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:35:56.63 ID:laAaLcKXO
>>8
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
12 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 00:40:12.40 ID:mBfbfeoZ0
「はい。付近の里は、あの島にはサファリパークの動物が生き残っている、と噂しているようです」

「そうですか……」

 報告してくれた助手さんには申し訳ありませんが、その可能性はかなり薄いとわたしは感じました。動物園やサファリパークというのは、個体数を何世代にもわたって維持できるほど多くの動物を飼育することはなかったといわれています。

 島がサファリパークだったのは、伝承から考えても百年近く昔の話です。もちろん、大断絶をはさんでいる以上確かなことは何も言えませんが。

「あと、あの島には妖精さんが沢山出るとか」

「え?」

 そっちの方が聞き逃せませんでした。

「里の漁師の皆さんは、妖精の島だからといって近づかなかったそうです。ところがある日、あの島で人影が目撃されて……」

「国連に通報が言ったという事ですか……」

 妖精さんの島。少なくとも調停官さんが亡くなっている可能性がぐっと減りました。かわりに色々面倒なことになっている可能性が一気に跳ね上がりました。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:44:29.40 ID:lQk5CQIVO
>>12
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:44:37.44 ID:Q3eW+Ry9O
>>12
―――


 対峙する私たち三人を残して、絵里は一足先に廃工場内へと進んでゆきました。
 凛と花陽も進行を妨げることはなく、素直に絵里を通しました。


凛「……これで準備は整ったかな」

海未「ええ。絵里を通して貰い感謝します」

花陽「戦う相手は海未ちゃんだから。こっち、ついてきて」


 二人に従い、私もまた一足遅れて廃工場内へと踏み入りました。

 案内されたのは、ことりと絵里が上がった階段の先ではなく、一階フロアの奥でした。
 居並ぶのは、鉄製のクレーンやコンベア、人が何人も入りそうな大型タンクの列、それらを繋ぐ配管の数々。
 もう稼働することのない大型機器類や使用されぬまま放置された廃材が埃を被った状態で残されている、薄暗く湿った旧作業場でした。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:44:47.73 ID:6gn+RJrNO
>>12
>「はい。付近の里は、あの島にはサファリパークの動物が生き残っている、と噂しているようです」

>「そうですか……」

> 報告してくれた助手さんには申し訳ありませんが、その可能性はかなり薄いとわたしは感じました。動物園やサファリパークというのは、個体数を何世代にもわたって維持できるほど多くの動物を飼育することはなかったといわれています。

> 島がサファリパークだったのは、伝承から考えても百年近く昔の話です。もちろん、大断絶をはさんでいる以上確かなことは何も言えませんが。

>「あと、あの島には妖精さんが沢山出るとか」

>「え?」

> そっちの方が聞き逃せませんでした。

>「里の漁師の皆さんは、妖精の島だからといって近づかなかったそうです。ところがある日、あの島で人影が目撃されて……」

>「国連に通報が言ったという事ですか……」

> 妖精さんの島。少なくとも調停官さんが亡くなっている可能性がぐっと減りました。かわりに色々面倒なことになっている可能性が一気に跳ね上がりました。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:44:54.00 ID:/CLDer6kO
>>12
>「はい。付近の里は、あの島にはサファリパークの動物が生き残っている、と噂しているようです」

>「そうですか……」

> 報告してくれた助手さんには申し訳ありませんが、その可能性はかなり薄いとわたしは感じました。動物園やサファリパークというのは、個体数を何世代にもわたって維持できるほど多くの動物を飼育することはなかったといわれています。

> 島がサファリパークだったのは、伝承から考えても百年近く昔の話です。もちろん、大断絶をはさんでいる以上確かなことは何も言えませんが。

>「あと、あの島には妖精さんが沢山出るとか」

>「え?」

> そっちの方が聞き逃せませんでした。

>「里の漁師の皆さんは、妖精の島だからといって近づかなかったそうです。ところがある日、あの島で人影が目撃されて……」

>「国連に通報が言ったという事ですか……」

> 妖精さんの島。少なくとも調停官さんが亡くなっている可能性がぐっと減りました。かわりに色々面倒なことになっている可能性が一気に跳ね上がりました。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:45:06.99 ID:/Wgq5XR/O
>>1
> サバンナでした。

> 見渡す限りのサバンナでした。

>「……やってしまいました」

> わたしは痛む頭を抑え、ひとまず状況を整理します。

>「大丈夫かしら、あなた」

>「ええ、大丈夫です、はい」

> わたしを気遣ってくれるのはたまたま遭遇したライダースーツらしきものを着用したお姉さんだけです。それも、

>「ううん……、あなた、私と同じかばではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

> 偶蹄目カバ科カバ属の哺乳動物、カバを自称する一見痛い……、失礼、なりきり系コスプレイヤーの方でした。

> なぜわたしが、普段ならクスノキの里調停官事務所で優雅にお茶をたしなんでいるはずだった国連調停官のわたしがこんなところでこんな目にあっているのか、それを知るには少々時間を巻き戻す必要があります。



> ……バナナは使いませんよ?

>SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1489590525
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:45:16.49 ID:krYdpqnyO
>>4
スレ汚し失礼します

★★★自治スレより重要なお知らせ★★★
>>2
ラブライブ!板で違反スレの乱立、スクリプトによる保守を目的とした板荒らしに対策するため板設定の変更に関する投票を行います
賛成/反対の投票ですので投票お願いします。


投票日:2017年3月12日


詳しくは
自治スレ、荒らし報告相談 Part.5
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:45:23.27 ID:B1+157mjO
>>5
> Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

>「……で、なんでそれがうちに?」

>「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

>「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

>「悪目立ちしたあんたが悪い」

> Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

>「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

>「うう……」

> Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
20 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 00:56:33.16 ID:mBfbfeoZ0
 続いて、救助のための道具を準備します。ここでの妥協は一切許されません。安全かる信頼できる装備を用意し、万全の体制を整えなければえらい目を見るのは自分なのですから。

「まずは島に渡るための船を調達したいのですが……」

「すでに漁師さんから一隻お借りしました!」

 さすが助手さん、名前に恥じぬ仕事ぶりです。さっそく船が止めてある波止場に向かいました。

 向かったんですが。

「…………」

「姐さん?」

「助手さん、この波止場、船が見当たらないんですが……」

「あれですよ、姐さん」

 助手さんが指さした先には、廃材の塊が浮かんでいました。

「わたしの目が確かなら、あれは流れ着いた粗大ごみでは?」

「漁師さん曰く船みたいです」

「……イカダの間違いでしょう」

 いえ、イカダの名称すらそれには不釣り合いだと思えるようなものでした。こんなもんに乗ったら最後、二次遭難確実です。むしろ我々の方が危ないです。

「これしかなかったんですか?」

 ひきつる笑顔を浮かべて助手さんいといますと、彼も申し訳なさそうに目を伏せます。

「ありませんでした」

 残酷な返答。しかしこれは助手さんが悪いのではありません。わたしはポシェットに目をやります。

「あまり目立つことをしたくはなかったんですが……」

 自分が遭難するよりましです。ポシェットの中から日持ちのするバタークッキーと丸いカラフルな球体を取り出しました。

「妖精さーん」

「「「「はいー」」」」

 現在の地球の支配者と認識されている、我々の魔法の源流、妖精さんがぽぽぽぽんという破裂音とともに登場しました。
21 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 01:03:17.32 ID:mBfbfeoZ0
すみません、続きは明日以降になります。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 01:13:14.87 ID:RTFRfPcNo
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 01:36:41.19 ID:rjU7IpAzO
>>22
>乙
9 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:32:29.95 ID:DV9Bek1G
曜「梨子ちゃん♪行こ?」
>>2
梨子「え、ええ…」

曜「どう?学校には慣れた?」

梨子「うーん…まだ、かな…
曜ちゃん以外に喋る子あんまりいないし…」

曜「そうなの?そっかぁ…」

梨子「うん…」

曜「さ、着替えよっか」

梨子「そ、そうね」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 01:36:49.45 ID:rVVis4gaO
>>21
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 01:36:56.65 ID:6y681CVkO
>>20
> 続いて、救助のための道具を準備します。ここでの妥協は一切許されません。安全かる信頼できる装備を用意し、万全の体制を整えなければえらい目を見るのは自分なのですから。

>「まずは島に渡るための船を調達したいのですが……」

>「すでに漁師さんから一隻お借りしました!」

> さすが助手さん、名前に恥じぬ仕事ぶりです。さっそく船が止めてある波止場に向かいました。

> 向かったんですが。

>「…………」

>「姐さん?」

>「助手さん、この波止場、船が見当たらないんですが……」

>「あれですよ、姐さん」

> 助手さんが指さした先には、廃材の塊が浮かんでいました。

>「わたしの目が確かなら、あれは流れ着いた粗大ごみでは?」

>「漁師さん曰く船みたいです」

>「……イカダの間違いでしょう」

> いえ、イカダの名称すらそれには不釣り合いだと思えるようなものでした。こんなもんに乗ったら最後、二次遭難確実です。むしろ我々の方が危ないです。

>「これしかなかったんですか?」

> ひきつる笑顔を浮かべて助手さんいといますと、彼も申し訳なさそうに目を伏せます。

>「ありませんでした」

> 残酷な返答。しかしこれは助手さんが悪いのではありません。わたしはポシェットに目をやります。

>「あまり目立つことをしたくはなかったんですが……」

> 自分が遭難するよりましです。ポシェットの中から日持ちのするバタークッキーと丸いカラフルな球体を取り出しました。

>「妖精さーん」

>「「「「はいー」」」」

> 現在の地球の支配者と認識されている、我々の魔法の源流、妖精さんがぽぽぽぽんという破裂音とともに登場しました。
!poker:
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 01:46:33.58 ID:TBojtCMoO
なんで荒らされてんだ
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 02:12:53.63 ID:W++n1NVwo
期待
荒らしにめげないで
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 02:17:56.98 ID:L115KQFvO
>>26
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 02:18:07.09 ID:9rXGhSQ1O
>>27
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 02:18:29.53 ID:LBioTqFQO
>>26
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 02:18:35.93 ID:ljvn/ox9O
>>27
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 09:33:54.63 ID:Br2SBrjlo
続き期待!
何で荒らされてるんだろうね?わかんね…
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 16:05:52.96 ID:ucEUpIsQ0
がんばれー!
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 16:19:14.37 ID:vDTyE8pPo
まだNGしやすいのがせめてもの救いか
原作の組み合わせは親和性高そうで応援してる
35 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 18:46:23.89 ID:mBfbfeoZ0
続きあげます。
36 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 18:48:01.71 ID:mBfbfeoZ0
 妖精さんたちはバタークッキーを手にわたしを見上げます。

「にんげんさん、なにがごよー?」

「はい。このボロ船、安全安心な感じにちょちょーっと改造してください」

 困った時の妖精さん。ダメ人間の見本のような状態ですが、もういいのです。背に腹は代えられまい。彼らの扱い方はよく心得てますし、事故など起きないでしょう。

「「「「おまかせー」」」」」

 妖精さんたちはいつものようにごにょごにょと輪になって相談すると、動画を高速再生するかのようにボロ船に散らばっていきました。

「さすがです! 姐さん」

 ああ、助手さんの尊敬の視線が痛い……。ほどほどの勤労を重んじるわたしとしては、妖精さん任せで全部やってしまうのは心苦しい以外のものはありません。

 そうしているうちに、

「「「「おわたー」」」」

 妖精さんの作業が終了しました。

「……終わったんですか?」

 ボロ船は何の変わりもなくそこにありました。手抜きどころか手を入れていないんじゃないかと思えるほど何も変わっていませんでした。

「あのー、大丈夫なんですか、これ」

「ほしょうしょ、いります?」

「いえ、結構です」
37 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 18:49:32.93 ID:mBfbfeoZ0
 妖精さんが差し出した分厚い豆本をお断りして、助手さんと顔を見合わせます。

「…………」

「…………」

 二人とも無言でした。この無言の中に、我々の言葉にできぬ様々な思いが詰まっていました。

「……試験航行、してみましょう」

「そうしましょう、姐さん」

 わたしはそっと船に乗り込みます。足を置いて、徐々に徐々に体重をかけますが、船がばらける気配はありません。

「やはり、妖精さん効果、という事でしょうか……」

 思い切って重心を船に移動させましたが、びくともしませんでした。

「よかった。これなら大丈夫そうです」

 そう笑顔で振り返った瞬間、私の足が何かを踏みました。

 ガコっと足が沈み込みます。その瞬間、船が振動を始めました。この船、オールで漕いでいくタイプのはずなんですけどねー。

「よ、妖精さん? この隠れギミックは一体全体いかなる作用をもたらしちゃう感じの代物なんですか?」

 動揺が頂点に達しそうなわたしに対する妖精さんの返答は、シンプルで簡単でした。

「あくせる」

 妖精さんが言うが早いが、船は急加速。わたしは慣性の法則にのっとってうしろに倒れ込みました。

38 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 18:52:32.61 ID:mBfbfeoZ0
「よよよよよよ妖精さんっ!!!!????? なにこれ!? なんですかこれ!?」

 ものの数秒で、単なる手漕ぎボートだったとは思えぬほどの猛スピードに達しました。わたしは縁につかまりどうにか振り落とされないように踏ん張ります。

「じぇっとたーぼですが?」
「おんそくのかべ、こえます」

「ひぃぃぃぃぃ!? 全然安全じゃない!」

「そにっくぶーむ、ぜんぶかいひしますゆえ」

 わーい、音速出ても平気ですねー。なんてことにはなりませんよあたりまえですが。

 とんでもないことになってました。ああ、完全に迂闊。このあんぽんたん。

 妖精さんのコントロールを誤ればこうなるってことぐらいわかってたのに……。人間慣れてきたころが一番失敗するリスクがあるという格言が痛いほど身に沁みました。神話は必ず崩壊するのです。

 いえ、脳内反省会をしている場合ではありません。

「妖精さん! ブレーキぃぃぃぃぃ! ブレーキはどれですかぁぁぁぁぁ」

「こちらになります」

 妖精さんが指示したのは、アクセルの隣にある一見何でもないような木目でした。

「ううぅぅぅぅ……、届かないぃぃぃぃぃ」

 わたしの腕も足も、ブレーキといわれていた場所にぎりぎり届かないところにありました。

 妖精さんは慣性の法則? なにそれ? といわんばかりにとことこ移動していますが、物理的な存在たる私はそんなわけではありません。強烈なGによりちょっと手足を動かすことすら叶わないのです。
39 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 18:54:02.38 ID:mBfbfeoZ0
「ふぎぃぃぃ、ふぐぅぅぅ」

 嫁入り前の女の子が出していい声ではありませんが、もはやそんなことを気にしている場合ではありません。

 それほどない筋肉を全力で駆使し、ブレーキを押そうと試みます。
 
 突如船が上下に揺れました。

「あっ!」

 伸ばしていた腕があらぬ方向に動きました。そしてガンっとどこかに当たります。

 ウィーン。ウィーン。

 木造手漕ぎ船からは絶対に鳴らないはずのメカニカルな音と振動が伝わってきました。

「ああ……」

 もう悟ります。悟りましたが一応尋ねます。

「妖精さん? これはなぁに?」

「ひこうゆにっとですが?」

 飛行ユニット。まあ、なんと素敵な言葉なのでしょう。

 海面を切る振動がふと消え失せました。加速がどんどん増していきます。

 体にかかるG。体中の血液循環が滞り始め、視界が薄れていきました。


 … … …
40 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 18:57:08.81 ID:mBfbfeoZ0
 目が覚めると、そこはサバンナでした。

 まごうこと無きサバンナでした。

「…………」
 
 あまりに突飛な場面転換に、目覚めたばかりのわたしの脳は処理オーバーです。まさかアフリカまで飛んで行ってしまったとか。

「あら? お目覚めになって?」

「!?」

 背後から声がしました。振り向くと、そこには水場がありました。そして水場の真ん中に立っているコスプレ少女? が心配そうに立っていたのです。

「あなた、いきなり空から降ってくるんですもの。驚きましたわ。ご気分は?」

「……、だ、大丈夫です」

 サバンナの真ん中にエレガントな女性。しかも、ぴっちりとしたスーツ。加えて、頭にけもの耳。

 奇抜な彼女の格好に、ついついフリーズしてしまいます。

「あなた、鳥のフレンズ? それにしては豪快な飛び込み方でしたわね?」

「ええ、まあ、はあ」

 とりあえず曖昧に返事をします。今だに何が起こっているのかをよく理解できていません。

「まったく、あんなむちゃくちゃなことをするのはサーバルだけかと思っていましたが、そういうこともないんですわね、あ、サーバルはご存じ? さばんなちほーの……」

 わたしが混乱状態にあることなどつゆ知らず、女性はどんどん話しかけてきます。さらに私の体をペタペタ触って傷の有無を確認してくれているのです。

「あの……、すこしよろしいですか?」

「どこか痛みますの?」
41 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 18:58:26.32 ID:mBfbfeoZ0
「いえ、ここはどこでしょう……」

「さばんなちほーですわよ?」

「もうちょっと具体的に……」

「……? ジャパリパークですわ。もしかして今年の噴火で生まれた方?」

 ジャパリパーク。聞いたことがない地名です。言葉が通じている以上外国ということはないのでしょうけれども……。

「あの……、ご親切にありがとうございました……。あ! そういえば、私が乗ってきた船は?」

「ふね? ああ! あなたと一緒に振ってきた木の板のこと? 邪魔だったから捨ててしまいましたわ」

 帰還の手段、消滅。いえ、命あっての物種です。ここは五体満足に生還できたことを喜び感謝いたしましょう。

 わたしを助けて下さった女性に深々と頭を下げます。

「助けて頂きありがとうございました」

「いいのよ。私も自分の縄張りにあなたが落ちてきたものだから驚いて放り投げてしまいましたし」

「……縄張り?」

 日常生活で聞きなれない言葉です。少なくとも『自分の』という所有格をつけることはない言葉です。

「ええ。私の、カバの縄張りに飛び込んでくるなんて、あなたも無茶なことをなさるわね」

「……え」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/03/16(木) 19:05:56.34 ID:B5R/j3Ow0
カバ?そんなカバな いや、バカな
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:06:09.87 ID:QHlteXZCO
>>35
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:06:18.59 ID:MMQCInRRO
>>36
> 妖精さんたちはバタークッキーを手にわたしを見上げます。

>「にんげんさん、なにがごよー?」

>「はい。このボロ船、安全安心な感じにちょちょーっと改造してください」

> 困った時の妖精さん。ダメ人間の見本のような状態ですが、もういいのです。背に腹は代えられまい。彼らの扱い方はよく心得てますし、事故など起きないでしょう。

>「「「「おまかせー」」」」」

> 妖精さんたちはいつものようにごにょごにょと輪になって相談すると、動画を高速再生するかのようにボロ船に散らばっていきました。

>「さすがです! 姐さん」

> ああ、助手さんの尊敬の視線が痛い……。ほどほどの勤労を重んじるわたしとしては、妖精さん任せで全部やってしまうのは心苦しい以外のものはありません。

> そうしているうちに、

>「「「「おわたー」」」」

> 妖精さんの作業が終了しました。

>「……終わったんですか?」

> ボロ船は何の変わりもなくそこにありました。手抜きどころか手を入れていないんじゃないかと思えるほど何も変わっていませんでした。

>「あのー、大丈夫なんですか、これ」

>「ほしょうしょ、いります?」

>「いえ、結構です」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:06:26.77 ID:a5T3SFjhO
>>36
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:06:37.46 ID:9NYOo/p6O
>>37
Aqoursの好感度スレまとめ

善子 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1482032895/

曜 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487678425/

ルビィ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487668185/

千歌 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487693644/
>>2
ダイヤ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487770928/

花丸 → http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1487777497/

梨子→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488373777/

果南→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488454481/

鞠莉→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488464531/
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:06:44.75 ID:2QLcDlgyO
>>37
> 妖精さんが差し出した分厚い豆本をお断りして、助手さんと顔を見合わせます。

>「…………」

>「…………」

> 二人とも無言でした。この無言の中に、我々の言葉にできぬ様々な思いが詰まっていました。

>「……試験航行、してみましょう」

>「そうしましょう、姐さん」

> わたしはそっと船に乗り込みます。足を置いて、徐々に徐々に体重をかけますが、船がばらける気配はありません。

>「やはり、妖精さん効果、という事でしょうか……」

> 思い切って重心を船に移動させましたが、びくともしませんでした。

>「よかった。これなら大丈夫そうです」

> そう笑顔で振り返った瞬間、私の足が何かを踏みました。

> ガコっと足が沈み込みます。その瞬間、船が振動を始めました。この船、オールで漕いでいくタイプのはずなんですけどねー。

>「よ、妖精さん? この隠れギミックは一体全体いかなる作用をもたらしちゃう感じの代物なんですか?」

> 動揺が頂点に達しそうなわたしに対する妖精さんの返答は、シンプルで簡単でした。

>「あくせる」

> 妖精さんが言うが早いが、船は急加速。わたしは慣性の法則にのっとってうしろに倒れ込みました。
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:06:52.99 ID:J0YRjvSaO
>>38
>「よよよよよよ妖精さんっ!!!!????? なにこれ!? なんですかこれ!?」

> ものの数秒で、単なる手漕ぎボートだったとは思えぬほどの猛スピードに達しました。わたしは縁につかまりどうにか振り落とされないように踏ん張ります。

>「じぇっとたーぼですが?」
>「おんそくのかべ、こえます」

>「ひぃぃぃぃぃ!? 全然安全じゃない!」

>「そにっくぶーむ、ぜんぶかいひしますゆえ」

> わーい、音速出ても平気ですねー。なんてことにはなりませんよあたりまえですが。

> とんでもないことになってました。ああ、完全に迂闊。このあんぽんたん。

> 妖精さんのコントロールを誤ればこうなるってことぐらいわかってたのに……。人間慣れてきたころが一番失敗するリスクがあるという格言が痛いほど身に沁みました。神話は必ず崩壊するのです。

> いえ、脳内反省会をしている場合ではありません。

>「妖精さん! ブレーキぃぃぃぃぃ! ブレーキはどれですかぁぁぁぁぁ」

>「こちらになります」

> 妖精さんが指示したのは、アクセルの隣にある一見何でもないような木目でした。

>「ううぅぅぅぅ……、届かないぃぃぃぃぃ」

> わたしの腕も足も、ブレーキといわれていた場所にぎりぎり届かないところにありました。

> 妖精さんは慣性の法則? なにそれ? といわんばかりにとことこ移動していますが、物理的な存在たる私はそんなわけではありません。強烈なGによりちょっと手足を動かすことすら叶わないのです。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:07:00.36 ID:sX4p71/3O
>>38
スレ汚し失礼します

★★★自治スレより重要なお知らせ★★★
>>2
ラブライブ!板で違反スレの乱立、スクリプトによる保守を目的とした板荒らしに対策するため板設定の変更に関する投票を行います
賛成/反対の投票ですので投票お願いします。


投票日:2017年3月12日


詳しくは
自治スレ、荒らし報告相談 Part.5
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:07:09.52 ID:Ps/XLkAyO
>>39
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:07:16.47 ID:tpjn8W1MO
>>39
>「ふぎぃぃぃ、ふぐぅぅぅ」

> 嫁入り前の女の子が出していい声ではありませんが、もはやそんなことを気にしている場合ではありません。

> それほどない筋肉を全力で駆使し、ブレーキを押そうと試みます。
> 
> 突如船が上下に揺れました。

>「あっ!」

> 伸ばしていた腕があらぬ方向に動きました。そしてガンっとどこかに当たります。

> ウィーン。ウィーン。

> 木造手漕ぎ船からは絶対に鳴らないはずのメカニカルな音と振動が伝わってきました。

>「ああ……」

> もう悟ります。悟りましたが一応尋ねます。

>「妖精さん? これはなぁに?」

>「ひこうゆにっとですが?」

> 飛行ユニット。まあ、なんと素敵な言葉なのでしょう。

> 海面を切る振動がふと消え失せました。加速がどんどん増していきます。

> 体にかかるG。体中の血液循環が滞り始め、視界が薄れていきました。


> … … …
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:07:25.50 ID:69amTGEdO
>>40
9 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:32:29.95 ID:DV9Bek1G
曜「梨子ちゃん♪行こ?」
>>2
梨子「え、ええ…」

曜「どう?学校には慣れた?」

梨子「うーん…まだ、かな…
曜ちゃん以外に喋る子あんまりいないし…」

曜「そうなの?そっかぁ…」

梨子「うん…」

曜「さ、着替えよっか」

梨子「そ、そうね」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:07:33.14 ID:/wfP30AgO
>>40
> 目が覚めると、そこはサバンナでした。

> まごうこと無きサバンナでした。

>「…………」
> 
> あまりに突飛な場面転換に、目覚めたばかりのわたしの脳は処理オーバーです。まさかアフリカまで飛んで行ってしまったとか。

>「あら? お目覚めになって?」

>「!?」

> 背後から声がしました。振り向くと、そこには水場がありました。そして水場の真ん中に立っているコスプレ少女? が心配そうに立っていたのです。

>「あなた、いきなり空から降ってくるんですもの。驚きましたわ。ご気分は?」

>「……、だ、大丈夫です」

> サバンナの真ん中にエレガントな女性。しかも、ぴっちりとしたスーツ。加えて、頭にけもの耳。

> 奇抜な彼女の格好に、ついついフリーズしてしまいます。

>「あなた、鳥のフレンズ? それにしては豪快な飛び込み方でしたわね?」

>「ええ、まあ、はあ」

> とりあえず曖昧に返事をします。今だに何が起こっているのかをよく理解できていません。

>「まったく、あんなむちゃくちゃなことをするのはサーバルだけかと思っていましたが、そういうこともないんですわね、あ、サーバルはご存じ? さばんなちほーの……」

> わたしが混乱状態にあることなどつゆ知らず、女性はどんどん話しかけてきます。さらに私の体をペタペタ触って傷の有無を確認してくれているのです。

>「あの……、すこしよろしいですか?」

>「どこか痛みますの?」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:07:42.26 ID:Isn9vzv6O
>>41
―――


 対峙する私たち三人を残して、絵里は一足先に廃工場内へと進んでゆきました。
 凛と花陽も進行を妨げることはなく、素直に絵里を通しました。


凛「……これで準備は整ったかな」

海未「ええ。絵里を通して貰い感謝します」

花陽「戦う相手は海未ちゃんだから。こっち、ついてきて」


 二人に従い、私もまた一足遅れて廃工場内へと踏み入りました。

 案内されたのは、ことりと絵里が上がった階段の先ではなく、一階フロアの奥でした。
 居並ぶのは、鉄製のクレーンやコンベア、人が何人も入りそうな大型タンクの列、それらを繋ぐ配管の数々。
 もう稼働することのない大型機器類や使用されぬまま放置された廃材が埃を被った状態で残されている、薄暗く湿った旧作業場でした。
55 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 19:07:46.48 ID:mBfbfeoZ0
 単語は理解しました。文節もオッケー。ただそれらが連なった文章が理解できません。

 ひとまず最大の疑問点を彼女にぶつけました。

「あなた、カバなんですか?」

「ええ。私はカバのフレンズですわよ」

「…………」

 確かに、なんとなくカバの面影があるような気がしないわけでもないようなあるような……。

 ですがなんとなく理解しました。おそらくこの集落の方々は動物に扮して生活する風習があるのでしょう。きっとそうでしょう。そうであってほしい。

 そう自己暗示をかけた瞬間、女性のけもの耳がぴょこぴょこと動きました。震える指を抑えながらお尋ねします。

「……その耳、本物ですか?」

「おかしなことおっしゃるわね。偽物の耳なんてありますの?」

 絶句。

 あれが本物だとすれば、ほぼ間違いなく彼らの仕業となります。彼らの仕業となればわたしの仕事となります。わたしの仕事だとすれば、これはとんでもない規模で発生していることになります。

 わたしが唖然としているのもなんのその、カバさん(自称)が首をひねりました。

「あなた、何のフレンズですの? 見たところ、尻尾も耳も羽もないようですけれども……」

 文脈で判断するところ、フレンズというのは扮する動物の種類のことでしょう(願望)。

「私、ここの人間ではないんで……」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:07:50.25 ID:T8R1NAd6O
>>41
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:08:06.96 ID:WGLgepVkO
>>41
>「いえ、ここはどこでしょう……」

>「さばんなちほーですわよ?」

>「もうちょっと具体的に……」

>「……? ジャパリパークですわ。もしかして今年の噴火で生まれた方?」

> ジャパリパーク。聞いたことがない地名です。言葉が通じている以上外国ということはないのでしょうけれども……。

>「あの……、ご親切にありがとうございました……。あ! そういえば、私が乗ってきた船は?」

>「ふね? ああ! あなたと一緒に振ってきた木の板のこと? 邪魔だったから捨ててしまいましたわ」

> 帰還の手段、消滅。いえ、命あっての物種です。ここは五体満足に生還できたことを喜び感謝いたしましょう。

> わたしを助けて下さった女性に深々と頭を下げます。

>「助けて頂きありがとうございました」

>「いいのよ。私も自分の縄張りにあなたが落ちてきたものだから驚いて放り投げてしまいましたし」

>「……縄張り?」

> 日常生活で聞きなれない言葉です。少なくとも『自分の』という所有格をつけることはない言葉です。

>「ええ。私の、カバの縄張りに飛び込んでくるなんて、あなたも無茶なことをなさるわね」

>「……え」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:08:14.94 ID:6erU/7nqO
>>42
1 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:24:27.16 ID:DV9Bek1G
アニメ本編とは別時空です
>>2
梨子「はぁ…転校して来た途端変な人に絡まれるし付いてないな…私…」

曜「ん?あっ、転校生の子だ♪」

梨子「あ、どうも」ペコリ

曜「千歌ちゃんに追いかけられてばっかりで大変そうだね」アハハ

梨子「千歌ちゃん…あぁ、うん…そうですね…」

曜「んーと…同い年だからタメ口でいいよ?」

梨子「そっか、じゃあそうするね
えーっと…」

曜「あっ、私?私は渡辺曜!曜でも曜ちゃんでも好きに呼んでね♪」

梨子「ふふっ、じゃあ曜ちゃんて呼ぼうかしら」

曜「了解♪じゃあ私は梨子ちゃんって呼ぶね!」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:08:37.80 ID:BKuJB1huO
>>55
> 単語は理解しました。文節もオッケー。ただそれらが連なった文章が理解できません。

> ひとまず最大の疑問点を彼女にぶつけました。

>「あなた、カバなんですか?」

>「ええ。私はカバのフレンズですわよ」

>「…………」

> 確かに、なんとなくカバの面影があるような気がしないわけでもないようなあるような……。

> ですがなんとなく理解しました。おそらくこの集落の方々は動物に扮して生活する風習があるのでしょう。きっとそうでしょう。そうであってほしい。

> そう自己暗示をかけた瞬間、女性のけもの耳がぴょこぴょこと動きました。震える指を抑えながらお尋ねします。

>「……その耳、本物ですか?」

>「おかしなことおっしゃるわね。偽物の耳なんてありますの?」

> 絶句。

> あれが本物だとすれば、ほぼ間違いなく彼らの仕業となります。彼らの仕業となればわたしの仕事となります。わたしの仕事だとすれば、これはとんでもない規模で発生していることになります。

> わたしが唖然としているのもなんのその、カバさん(自称)が首をひねりました。

>「あなた、何のフレンズですの? 見たところ、尻尾も耳も羽もないようですけれども……」

> 文脈で判断するところ、フレンズというのは扮する動物の種類のことでしょう(願望)。

>「私、ここの人間ではないんで……」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:08:46.87 ID:eLpkRlsHO
>>55
 Yによると、仕事熱心なその調停官さんは未確認集落へ出かけたっきり音信不通となり、すでに1か月が経過したというのです。ここに至って国連はその調停官が不測の事故により遭難したと認定、救助隊を派遣することを決定したのだそう。

「……で、なんでそれがうちに?」

「あんた、1人で月行ったり何やかんやしたりしてるだろ? 例の無人島ってのがなんかいわくつきらしくて冒険になれたあんたを先遣隊として派遣しようってなったってさ」

「わたしの仕事は冒険家でも救助隊でもないんですけど!」

「悪目立ちしたあんたが悪い」

 Yが無情にも突き放します。ああ、なぜでしょう。安全な後方任務……、ではなく今日日珍しいホワイトカラーの閑職に就いたというのにこの仕打ちは……。

「ほら、人命かかってるんだから早く行きなよ」

「うう……」

 Yのあんまりにもっともな言葉に、わたしは素直に要請を承諾せざるを得なかったのでした。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 19:08:54.96 ID:GsYQb2gSO
>>55
 わたしは助手さんを連れて件の無人島に最寄りの里まで赴きました。まずはそこで情報収集です。事前情報のない冒険など死にに行くことと同義ですから。

「姐さん、集まった情報なんですが……」

 月に行ってから妙に饒舌になった助手さんが、メモ片手に報告してくれます。

「どうも昔、あの島は『サファリパーク』と呼ばれる観光施設だったそうです」

「ああ、あの動物園の進化版みたいなやつですか?」

 人類が繁栄を享受していたころ、世界中に生息する珍しい動植物を集め、鑑賞目的に展示するという施設が人気を博していたと歴史書は記しています。衰退するにしたがってそういった娯楽施設は真っ先に閉鎖されており、現在地球上のどこにも存在していません。

 サファリパークというのは動物園よりもより野生に近い状態で動物たちを飼育する施設だったといわれています。
62 : ◆Wv.nqe0Jy. [saga]:2017/03/16(木) 19:09:43.06 ID:mBfbfeoZ0
「人間?」

「……住民でない、という意味です」

「あら、さばんなちほーの外からいらしたの?」

「いえ、そのジャパリパークの外です」

 そういうと、カバさんの目が点になりました。

「……パークの外?」

 まるで今までの自分を見ているかのようです。つまり、『相手が何を言っているのか全く分からない』といった顔。

「……やってしまいました」

 わたしは思わずつぶやきます。とんでもないところに来てしまった予感がしました。

「大丈夫かしら、あなた」

「ええはい、大丈夫です」

「ううん……、あなた、私と同じカバではありませんわよね? 尻尾もない、羽もない・・・・・・。以前お会いしたかばんさんのような方ですわねぇ」

「……私と同じような方がいらしたんですか?」

 カバさんの言葉が引っ掛かりました。

 彼女の発言から察するに、私と同じ、つまり、動物の格好をしていない人がいたという事でしょう。

「ええ。あなたのように特に特徴もない方でしたわ。自分の縄張りも何のフレンズかもわからないという事だったのでサーバルが図書館に連れていったのですの」

「……その、かばんさん? は他になにかおっしゃってましたか?」

「うーん。セルリアンやサンドスターのこともよく知らない子でしたし、あなたと同じで今年生まれた子かもしれないわねぇ」
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