他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
【艦これ】伊58「黒く塗り潰せ」
Check
Tweet
214 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:30:26.04 ID:3LCGAcBQ0
伊58の肩が、震えだす。
伊58の顎が、かたかたと揺れ、銃身にこつこつと音を立てていく。
伊58の瞳に、涙が浮かびだす。
提督は伊58のその様子を、恐怖していると捉えた。
伊58は死にたくないと、生きたいと思い始めている。
それならば、と既に口角が元に戻っている口を開いた。
「何震えてるんだよ」
「怖いかよ」
「さっさと死んだ方がいいなんて言ってたくせに」
「今さら、怖いのかよ」
「死んだ後の事なんてどうだっていいだろ」
一拍置いて息を吸い
「死にたいんだろう!?」
叫んだ。
「もう生きているのが嫌なんだろう!?」
叫んだ。
「そう言ったのはお前じゃないか!!」
大きく息を吸い、吐き出す。
全身の力が空気と一緒に抜けていく。
右手の力も抜け、伊58に突きつけた銃口も僅かに下がった。
215 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:32:42.59 ID:3LCGAcBQ0
「でも違うよな」
「お前は」
「ただ逃げたいだけだ」
「嫌な事を投げ出して、逃げたいだけだ」
「死にたいなんてな、本当に死にたいなんてな、誰も思わないんだよ」
「ただ逃げたいだけ。逃げたくて、逃げたくて、逃げる手段がそれしかないから、死ぬだけだ」
「お前だってそうだろう」
「両手両足吹っ飛んで、これからどうやって生きていけばいいのかもわからない」
「でも生きていたい」
「でも生きていく手段がわからない」
「幸せになれる方法が全然思い付かない」
「だから」
「しょうがなく」
「死にたいだけだろ?」
216 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:36:18.99 ID:3LCGAcBQ0
右手の人差し指、トリガーにかけていた指を外す。
銃口が伊58の口から離れ、光を反射する細い糸がつう、と銃口に伸びた。
「教えろよ」
「そういう、嫌な事とか遠慮してる事とか全部取っ払ってさ」
「お前が本当にしたい事って何?」
「生きたい?」
「まだ生きていたい!?」
口調の激しさを動きにも乗せるように、拳銃から手を離して伊58の両肩を掴んだ。
「 答 え ろ ! ! ! 」
「生きたいのか!!!!」
「死にたいのか!!!!」
「答えろ!!!」
伊58の肩は震えていた。提督の両手もまた震えていた。
既に答えは見えていた。だが、伊58自身の口からそれを言わなければ意味が無い。
「 答 え ろ ! ! ! 」
右手を離し、伊58の頭の傍に置き、右腕を支えにしながら伊58に顔を近づける。
「答えろよ。巡潜乙型改二三番艦娘伊58」
「俺は、お前がどうしたいかを知りたいんだよ」
「俺がどうとか」
「何がどうとかじゃなくて」
「お前が」
「どうしたいかだけを知りたいんだよ」
「生きたいのか、死にたいのか」
「はっきり教えてくれよ」
「じゃなきゃ」
「どうしたらいいのか、わからねぇんだよ」
217 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:37:18.22 ID:3LCGAcBQ0
言葉が途切れ、二人の呼吸だけが聞こえる。
その時間の中でも提督はずっと伊58だけを見続けていた。
そして、伊58の口が開く。
「死にたくない」
218 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:39:08.52 ID:3LCGAcBQ0
ぽつりと呟いたその言葉が
「死にたくない」
彼女の心の中で増幅していく。
「死にたくない」
制御弁を失った彼女の本心が溢れ出していく
「死にたくない」
口から言葉を、目から涙を、溢れ出していく。
「…生きていたい」
ようやく伊58の本心を引き出した。
安心感と伊58に対する同情から、溢れ出しそうになる涙を堪えながら提督は答えた。
「だったら」
「死にたいなんていうんじゃねぇよ」
「諦めるんじゃねぇよ」
「何を犠牲にしてでも」
「どんな手段を使ってでも生き延びるんだ」
219 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:41:12.33 ID:3LCGAcBQ0
ふ、と力が抜けて提督はベッドに、伊58の隣に、肩から倒れこんだ。
ベッドに頭の重さを預けながらも伊58の顔を見つめる。
伊58も、両手両足を失った彼女に残った僅かな自由を行使した。
首を提督に向け、彼の顔を見つめた。
涙が顔を横切り、頬に湿った感覚が触れる。
「わからねぇか」
「生き方がわからねぇか」
「一人ぼっちが怖いか」
「だったら」
「俺が一緒に考えるよ」
「お前が今を生きる手段は俺が用意する」
「だから」
「死にたくないなら、死にたいなんて絶対に言うんじゃねぇ」
「生きろよ」
「どんな手段を使ってでも」
220 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:47:08.89 ID:3LCGAcBQ0
伊58の身体が提督の腕で引き寄せられる。
伊58の頭が提督の胸に押し付けられ、ボタンの冷たい感覚が彼女の顔面に触れた。
そしてそのボタンと、分厚い布の奥で動く、彼の心臓を頬で感じた。
「お前が生きて行けるようになるまで」
「俺が、一緒にいてやるから」
その言葉を聞いた途端、伊58の中にあった感情の爆弾が爆発した。
その衝撃が涙液を押し出し、声帯を激しく震わせた。
221 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:47:42.62 ID:3LCGAcBQ0
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・
・
222 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:48:39.42 ID:3LCGAcBQ0
「私が」
「生きて」
「行けるようになったら」
「あなたはどうするの?」
223 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:50:02.19 ID:3LCGAcBQ0
感情の爆弾による熱も衝撃も過ぎ去った伊58の心の中で、
彼女自身も気付いていないその疑問が
彼女の心の隅の隅で、消えない線香のように、いつまでも燃え続けていた。
いつまでも。
いつまでも。
いつまでも。
224 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:52:15.44 ID:3LCGAcBQ0
提督が気付かなかった三つ目の誤算。
それは
伊58が死を拒絶した最たる理由。
225 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:55:31.27 ID:3LCGAcBQ0
提督が無意識に口角を上げているのを見た瞬間、伊58は危機感と焦りを覚え始めた。
ここで死ねない。死にたくない。そう感じるようになった。
死ぬのが怖くなった。
死んではいけない、と感じるようになった。
それは、すぐそこまで近付いていた救いに気付いた為だったのか。
それは、死という未知に対する恐怖から湧き出た感情だったのか。
それは、予想以上に惨たらしい未来に対する拒絶感だったのか。
確かに、それもあった。
だがそれだけではなかった。
提督も伊58自身も気付いていない、三つ目の誤算がそこにあった。
226 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 22:59:59.81 ID:3LCGAcBQ0
俺も死んでやる、と言い切った提督の表情は柔らかかった。
その口調は、艦娘になってから出会った誰よりも優しかった。
その言葉が嘘偽りのものではないとはっきりとわかった。
それを伊58が知覚した瞬間、彼女の中で彼女自身も気付いていない、一つの意志が湧き出ていた。
そしてその意志は、確かに伊58に呼びかけていた。
227 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 23:00:41.68 ID:3LCGAcBQ0
この、雄を、死なせてはいけない。
228 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 23:07:47.35 ID:3LCGAcBQ0
その言葉は彼女の知覚に捉われる事は無く、だが確実に彼女の心に危機感を感じさせていた。
そして彼女は死を拒絶した。
目の前の雄を死なせない為に、望んだ死、目の前まで迫った死を拒絶した。
まるで赤子が教わりもしないまま呼吸し始めるかのように。
まるで蜘蛛が教わりもしないまま巣を張り始めるかのように。
従うのが当然と言わんばかりに、彼女はその意志に応えた。
それは、その意志は
彼女の本能とも言える『命令』であった。
229 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/14(金) 23:23:09.32 ID:3LCGAcBQ0
☆今回はここまでです☆
少し前の話になりますが、限定SSRみくにゃんがきました。うちにはもう4種類くらいみくにゃんがいます。
何でこんなにみくにゃんが出てくるんでしょうか。この永遠の謎に余の心はかき乱されるのだ。
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 01:17:53.92 ID:as2Fl4bmo
おつかーレ
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 20:06:40.26 ID:0L6ypvHVO
まさか嫌儲のノリをこんなとこで見るとは思わなんだ
232 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 20:48:07.82 ID:LPxJUIOu0
>>1
です。
イベントが近付いてまいりました。
前回新規実装された海防艦娘達に活躍の場があるのか、今から楽しみですね。
それでは、投下を始めさせて頂きます。
233 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 20:58:28.30 ID:LPxJUIOu0
「随分」
「荒っぽいやり方するんだね」
234 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 21:10:01.24 ID:LPxJUIOu0
伊58「!!」ビクッ
提督「那珂」
那珂「おはよ、提督」
提督「どうしたの?」
那珂「提督を止めるはずだったの」
那珂「でも」
那珂「なんとかなったみたいだね」
伊58「………」
那珂「流石に那珂ちゃんも焦っちゃったよ。本当に撃つんじゃないかーって」
提督「撃つつもりだったよ」
提督「伊58が本当に死にたいって思ってたんならね」
那珂「カメラに映ってるの、わかってるでしょ?」
提督「それなら俺が拳銃取り出した時に止めればよかったじゃない?」
提督「全部見てたんだろ」
那珂「………」
提督「………」
伊58「………」
提督「…まぁ、いいや」
提督「とにかく、俺はもう伊58を殺そうとはしないよ」
提督「騒がせちゃってごめんな。この件はもう終わった」
那珂「でも」
那珂「まだやる事は残ってるんだよね」
235 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 21:13:26.31 ID:LPxJUIOu0
那珂「明石ちゃんから話聞いたよ?」
那珂「アレ、また作るんでしょ?」
那珂「説明するより実例見せたほうが早いんじゃない?」
那珂「那珂ちゃんの靴の事」
236 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 21:20:08.28 ID:LPxJUIOu0
「伊58ちゃん」
「ちょっと見せたいものがあるんだ」
そう言いながら那珂は部屋の隅に置いてある椅子を引っ張り出し、座った。
ニーソックスに包まれた右脚をぴんと伸ばし、装甲で覆われた靴の踵を床に付ける。
その右脚を、両手で締め付けるように掴んだ。
那珂の手が震える。腕に力を入れているのが傍から見てもわかる
その彼女の様子は
自分の脚を自分で引き抜こうとでもしているかのように見えた。
全身から腕に巡る力の流れが那珂の肩を震わせる。
ぎゅ、と噤んだ彼女の唇から小さく声が漏れる。
そして
那珂の右脚が、もぎ取れた。
237 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 21:23:23.99 ID:LPxJUIOu0
思わず目をつむり、視線を逸らした伊58を那珂が静止する。
「ちゃんと見て」
伊58の視線を待ち構えるように、那珂は千切れた自分の右脚の切断面を伊58に向けた。
伊58が恐る恐る逸らした視線を戻す。
そこには
那珂の右脚には
骨も
肉も
滴るはずの血も
神経も無く
ただ無機質な鉄の塊
大きな接続端子が貼り付いていた。
238 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 21:26:11.73 ID:LPxJUIOu0
状況が飲み込めず困惑する伊58に対して那珂が説明を始める。
「那珂ちゃんね、義足なんだ」
「昔ちょっと色々あってね」
「自分の両脚がもう無いの」
「修復剤を使っても、元には戻らなかった」
「それで、脚の代わりに明石ちゃんが作ってくれたのがこれ」
「艤装の神経接続技術を応用して作った義足…」
「というか、艤足かな?」
「艤装の艤の字で、艤足」
239 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 21:40:14.00 ID:LPxJUIOu0
艦娘には普通の人間とは違う、ある特徴がある。
艦娘は人体には存在し得ない稼動域を獲得し、それを自分の手足のように駆使することができる。
己が背負う艤装と己の神経を接続する事で、己の身体そのものとして艤装を扱うことができる。
その技術は、様々な箇所で使われている。
伊勢型艦娘の主砲
初春型艦娘や叢雲型艦娘のサブアーム
天龍型艦娘や龍田型艦娘のヘッドパーツ
多くの艦娘の魚雷発射管、エトセトラ。
艦娘と、彼女達が扱う艤装の開発企業内ではごく当たり前となっているその技術を使って
この小さな泊地に所属する那珂は、自分の新しい脚を獲得した。
那珂型艦娘の脚部艤装を改造・増設し
彼女の新しい脚として作り上げていた。
240 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 21:45:40.48 ID:LPxJUIOu0
「これが無いと那珂ちゃんは海に出ることもできないし、歩く事もできない」
「でも今はこれがあるから歩けるし、海に出て戦う事もできる」
説明を続けながら、那珂は覆うものを無くして重力に従い垂れ下がったニーソックスの端を掴みするりと脱がしていく。
ニーソックスがめくれ上がっていき、その下に隠されていた鉄の塊が大気と伊58の視線の前に晒された。
「伊58ちゃんにも、これを作ってあげる」
「一生ベッドの上で過ごすなんて事がないようにしてあげる」
「もう腕も脚も元通りにはならないけど」
「新しい腕と脚なら作ってあげることができるから」
241 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 21:54:25.23 ID:LPxJUIOu0
今の現状を打破する具体案と具体例を提示され、伊58は自分の心が軽くなるのを感じた。
また歩く事ができる。それすらも奪われた彼女には、それだけの事で嬉しくなった。
元通りとはいかなくても、やり直すことはできるかもしれない。
それだけの事で、彼女は自分の未来が少し明るくなったように感じた。
「でも」
しかし
「覚悟はして貰うよ」
すぐにでも作って欲しいと言う顔をしている伊58を静止したのは
その具体案の提示者、那珂だった。
「これはね、どこかの企業が正式に開発したものでもなければ」
「大本営の許可だって下りていない」
「違法ギリギリ…というか完全違法の改造品だから」
「付ける時」
「物凄く」
「痛いよ」
「那珂ちゃんもね、最初付けた時ね」
「このまま死ぬんじゃないかって思ったもの」
「痛さから言ったら」
「ここで提督に撃たれて死んだ方がマシかもしれない」
「それでも付ける?」
242 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 22:02:01.63 ID:LPxJUIOu0
冷たい目で、伊58を見つめる彼女の表情は、まるで先程までの提督のそれを思わせた。
挑戦しようが諦めようが、どちらでも構わない、そう感じていた。
伊58がようやく手に入れた生きる意志に水を差すに等しいその行為を、提督は黙って見守っていた。
那珂の艤足は、彼女自身の希望で提督が接続した。
彼女の言葉を聞いて、その時の光景を思い出す。
骨折のそれとは比較にもならない、常軌を逸した痛がり方。
部屋に響く絶叫。
痛みを逃がそうとしたかったのか、のた打ち回る身体。
布を口に噛ませ、それでも尚漏れる呻き声。
海老反りになる身体。
痙攣する身体。
身体から吹き出す脂汗。
意識をグチャグチャに掻き混ぜる激痛に、青くなる顔。
全て覚えている。だから那珂の言った事は嘘ではないとわかる。
否、那珂自身が、彼女自身が艤肢の事実を一番よくわかっているはずだ。
だから黙っていた。それが嫌なら、諦めるべきだと思っていた。
普通の義肢を付けるという選択肢もあるし、全く付けずに自分が介護するという選択肢もあるのだ。
もしくは、子供の頃道徳教育の一環で読んだ本の著者のように、電動の車椅子を用意するという選択肢もある。
冷静に考えれば、他の選択肢なんていくらでも見つかる。
だから、もしこの話を聞いて艤肢を付けないとなったとしてもそれは仕方の無い事だと提督は考えていた。
那珂が何故この話を持ち出したのか、その真意を見ない振りをして
提督は伊58が答えを出す、その瞬間が来るまで黙って見守っていた。
243 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 22:06:40.55 ID:LPxJUIOu0
伊58は、真っ直ぐ那珂を見つめながら問いかけた。
「那珂さんは」
「どうして脚が無くなったんでちか?」
脚を失ったもの同士、遠慮は要らないという意志からか、直球で飛んできたその問いに那珂は一瞬言葉に詰まる。
「…あまり言いたくない」
伊58の目線に耐え切れずに那珂が目を逸らした。
脚が無くなった時の記憶を思い出したくない。
というのと、彼女の目から感じられる意志に根負けしたのだ。
その程度の事実で、折れるものではないという、彼女の覚悟に根負けしたのだ。
「腕が」
「脚が」
「吹き飛ぶのと、それ、どっちが痛いんでちか?」
伊58は既に両腕と両脚が吹き飛ばされている。
爆発によって一つ一つもぎ取られ、激痛にのた打ち回った経験がある。
それに比べれば
これからを生きる為に必要な痛みなんて、どうって事はない。
彼女のそういう意志を、提督と那珂は十二分に感じ取っていた。
「やるよ」
「どんな手段を使ってでもって、提督が言ったんだから」
伊58は提督を見つめながら、期待を込めた目で見つめた。
「提督」
「艤足を、作って」
「お願い。作って、ください」
244 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 22:10:38.56 ID:LPxJUIOu0
この目に、言葉に、提督が応える。
「わかった」
「一番いい奴を作ってやる」
「絶対作ってやる」
「どんな事をしたって、絶対作ってやる」
堪えきれず、ついに溢れ出した涙を拭うことなく応えた。
245 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 22:19:18.93 ID:LPxJUIOu0
提督「うし!」ガバッ
提督「とりあえず、メシだ!」
伊58「え」
那珂「いきなりだね」
提督「そうでもないでしょ。もういい時間だろ?」
那珂「あ…ほんとだ。もうこんな時間なんだ」
提督「伊58、ここ最近ちゃんと食べてなかっただろ?」
伊58「う、うん」
提督「艤足付けるにもそれなりに体力いるし、ちゃんと食べて備えようぜ」
提督「俺、ちょっと伊良子ちゃんの所行ってくるよ」
提督「今日はごちそうにして貰うからな」
提督「準備ができたら食堂に案内するよ」
提督「みんなで食べようぜ!みんなでー!!」ガチャ
246 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 22:32:33.09 ID:LPxJUIOu0
バタン
那珂「………」
伊58「………」
那珂「本当に」ボソッ
那珂「死にたいなんて、誰も思わないなんて」
那珂「どの口で言ってるんだか」
那珂「しょうがなく死にたいだけなんて」
那珂「どの口で言ってるんだか」
「提督だって、そうなんじゃないの…?」
伊58(那珂、さん…)
那珂「いつもそう」
那珂「あいつのそういう所」
那珂「本当に、大嫌い…」
那珂「本当に、本当に…」
伊58「………」
那珂「伊58ちゃん」
那珂「艤足」
那珂(私の)
那珂( 私 だ け の だ っ た )
那珂(シンデレラの、靴)
那珂「大事にしてね」
伊58「………うん」
247 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 22:37:52.39 ID:LPxJUIOu0
提督「」ピッピッピッ
提督「あっもしもし、大淀?」
提督「うん!伊58の事は何とかなったよ!!」
提督「でね、今日はみんな食堂に集まってくれって言っておいて!」
「伊58の歓迎会、やってなかっただろ?」
「今日やろうぜ!!!」
248 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/07/29(土) 22:43:24.73 ID:LPxJUIOu0
☆今回はここまでです☆
流石に今回の限定みくにゃんもひょいと出てくれるって事はありませんでしたねぇ…
ティアラ全然出てこないのに手に入ってもアレですが…
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/29(土) 23:51:41.85 ID:MFJQ86fUo
おつかれちゃん
250 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 21:52:58.14 ID:QhBsopZF0
>>1
です。
夏イベントが始まりました。期間が4週間と長めなので慌てず計画的に攻略していきましょう。
そういう私もまだE-2です。
それでは投下を始めさせて頂きます。
251 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 21:54:27.91 ID:QhBsopZF0
携帯端末に指で触れ、手首を振ってブック型のカバーを閉じる。
たん、という音を立てながら閉じた携帯端末をポケットに突っ込み
提督は鼻歌を歌い始める。
この場所に無いギターの代わりとして。
『私には』
『見える』
口を開き、言葉を紡ぎ、彼は歌い始める。
『狂気の月が』
『昇っていく』
日本語ではなく、英語で。
『私の行く手には』
『数々の』
『災い』
彼は上機嫌な様子で歌を歌い始めた。
『私の目の前に広がる』
『地震と雷』
彼の脳内で流れるアップテンポのリズムが彼の気分を高めていく。
『私にはわかる』
『今の時代は狂っている』
252 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 21:55:33.71 ID:QhBsopZF0
『今夜は外に出てはいけません』
『でないと君は殺される』
『狂気の月が昇っているのだから』
253 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 21:59:08.49 ID:QhBsopZF0
『私には見える』
食堂の壁沿いに作られたステージの上で、提督がマイクを持って歌っている。
比叡と金剛が演奏するギターと霧島が叩くドラムの音が食堂に響く。
『狂気の月が昇っていく』
食堂は急ごしらえの飾りつけがされ、テーブルには様々な料理が並んでいる。
伊58とのやり取りの後提督は、伊良子だけではなく足柄や大和にも協力を頼み込んだ。
そのせいもあって、多少脂っこいものが多くなったが、比較的豪勢な歓迎会を開くことができた。
だが、主賓であるはずの伊58は未だ状況を受け入れられずに呆然としていた。
『私の行く手には』
「伊58ちゃん」
「どう?那珂ちゃんプロデュースのアイドルは」
食べ物が山盛りになった皿を伊58の目の前に置いた那珂が、伊58の顔を自信たっぷりに覗き込む。
「アイドル…ってったって」
いわゆるドヤ顔をしている那珂に、困惑の表情を変えずに伊58が呟いた。
『数々の災い』
歌う提督に再び視線を向ける。
英語に詳しくない伊58にはあまり意味のわからない言葉で、彼は満足そうに歌っている。
『私の目の前に広がる』
「那珂ちゃんはもうアイドルになれないもん」
『地震と雷』
「カタワでアイドルなんて、気持ち悪がられてできないし」
『私にはわかる』
「那珂ちゃん、だからね」
『今の時代は狂っている』
「ま」
「とにかく、あれがうちの提督って事」
「変わってるでしょ?」
那珂は伊58に、悪戯っぽく笑いかけた。
伊58はそれに対して苦笑いしかできなかった。
254 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 21:59:49.54 ID:QhBsopZF0
『今夜は外に出てはいけません』
『でないと君は殺される』
『狂気の月が昇っているのだから』
255 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 22:01:59.46 ID:QhBsopZF0
『聞こえる』
伊58はまだ納得できていなかった。
否、納得したいという感情を邪魔する何かがあった。
『けたたましい嵐の音が』
それは例えるなら、魔女の餌になる為にぶくぶくと太らされる子供の気分か。
『感じ取る』
提督の涙を見ても尚、今までの経験が彼女の感情に枷を付けていた。
彼女にとって、この光景があまりにも非現実的すぎるのだ。
悪い、たちの悪い夢でも見ているかのような感覚が彼女の頭の中でぐるぐると渦巻いている。
どの瞬間に、いつもの罵声が、暴力が飛んでくるのだろうかという不安が彼女の背筋を引きつらせる。
『最後の時が訪れる』
「こんばんは、伊58ちゃん」
その時突然、とても久々に聞くような、自分の名前を呼ばれ、伊58は声の方向に視線を動かす。
その先にいたのは、睦月型駆逐艦二番艦娘如月。
黒いカーディガンを羽織り、月のバッジを付け、胸ポケットに造花を挿し、彼女は伊58に微笑んだ。
256 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 22:04:38.66 ID:QhBsopZF0
だが彼女の姿を伊58が認識した瞬間
『恐ろしい』
「ひぃあッ!!!!」
伊58は短いけれど大きな悲鳴を上げた。
『河川が、溢れ、返って』
悲鳴が提督の耳にも入り、歌声が途切れる。
異常を察知した提督が左手を上げ、演奏している金剛達を静止した。
257 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 22:07:17.53 ID:QhBsopZF0
「あ…あぁあ…!!如月…如月…!!!」
目を見開き、伊58が震えている。
「やめて!!!」
近付こうとする如月を、伊58が絶叫して拒絶する。
「もうやだ…!!コーラはもう嫌でち!!!」
「こ、コーラ?」
予想外の、意味不明の反応をされ、周囲の注目も集めてしまった如月が困惑する。
「私、何も…」
自己弁護のように口から漏れた言葉が、自分の聴覚を刺激した瞬間
彼女の海馬が急激に活動した。
彼女にとってあまりにも大切な、大切な、傷の記憶が呼び起こされる。
自分に向けられる恐怖の感情と、かつて自分が抱えていた恐怖の感情。それの類似点。
この子は、あの時の私と、同じだ。と。
如月は肩の力を抜き、カーディガンを脱いだ。
脱いだカーディガンを近くの椅子に掛け、両方の手の平を伊58に向けながらゆっくりと近付いた。
何も持っていない。何も危害を加えない。絶対に傷付けない。
何も持っていない。何も危害を加えない。絶対に傷付けない。
何も持っていない。何も危害を加えない。絶対に傷付けない。
何も持っていない。何も危害を加えない。絶対に傷付けない。
何も持っていない。何も危害を加えない。絶対に傷付けない。
心の中で何度も強く念じながら、ゆっくりと近付き、膝を着き
伊58を抱きしめた。
258 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 22:10:09.83 ID:QhBsopZF0
「大丈夫よ」
伊58の耳元で諭すように如月が呟く。
「誰も貴方を傷付けない」
「絶対に、約束するわ」
「ここの秘書艦である私、如月と」
「そこで歌っている、私の司令官が」
「貴方を絶対傷付けないって、約束する」
「嘘吐いたら針千本だって飲んであげる」
「だから、信じて」
背中に回された如月の手の平の熱を感じながら
伊58はゆっくりと心を落ち着かせていった。
へばり付いた疑念が、如月の手の平から感じる熱によって
蟻に解体される虫が徐々に千切られ無くなっていくかのように消えていく。
そして誰も声を発しない、静寂が食堂に訪れた。
伊58の力が抜けていく事を自分の腕の中で感じた如月は、伊58の背中をぽんぽんと手の平で軽く叩いた。
かつて自分がそうされたように。かつて自分がそう慰められたように。
腕を下ろし、伊58の身体から離れ、如月は振り返る。大切な思い出をくれた男と向き合う為に。
その男、提督はステージから降りて彼女達の方に近付いてきていた。
「ごめんなさい、司令官」
「いや、俺はいいんだけど」
「大丈夫、なのか?伊58?」
如月の後ろで座り込んでいる伊58を、身体を傾け覗き込みながら尋ねると
伊58は首を縦に振り、うん、と小さく答えた。
「びっくりさせちゃって、ごめんなさい」
「いや、しょうがねーよ。気にしないで」
伊58に代わって謝罪をする如月に対し、提督はへらへらと手を振りながらステージに戻っていった。
「………うし」
「じゃ、再開しよ。2番の最初からー」
「はーい」
比叡がギターを持ち直し、改めて演奏を始める。
それに合わせて、霧島がドラムを叩き始める。
先程までの静寂を吹き飛ばすかのような、楽しげなリズムが再び食堂から湧き上がった。
259 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 22:12:19.13 ID:QhBsopZF0
『聞こえる。けたたましい嵐の音が』
『感じ取る。最後の時が訪れる』
『恐ろしい』
『河川が溢れ返っている』
歌いながら、提督は伊58の方をちらりと見た。
彼女は那珂に支えられ、椅子に座りなおしていた。
そしてその傍にいる如月がこちらに手を振ったのも見えた。
『聞こえる』
彼女の手の平にあった黄色い光の残照が宙に漂い
『怒号と破滅の怨嗟の声が』
安っぽいが煌びやかな飾り付けの光と混ざって消えた。
260 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 22:13:03.48 ID:QhBsopZF0
『今夜は外に出てはいけません』
『でないと君は殺される』
『狂気の月が昇っている』
261 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 22:16:57.42 ID:QhBsopZF0
先程の静寂を消し去りたいかのように、食堂に音が溢れ返る。
一部の艦娘は手に持ったタンバリンを叩き
他の艦娘はリズムに合わせ手拍子を叩く。
その歌詞とは裏腹に、誰もが笑顔でその瞬間を楽しんでいた。
彼がこの歌を歌う意図を気付かない振りをして。
『身辺整理はできているだろうな?』
母国語を捨て、英語の歌を歌う意図。
『いい加減受け入れて死ね』
オカルト的で、破滅的な歌詞の歌を歌う意図。
『最悪な天気のど真ん中にいるように感じるのは』
クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、略称CCR
1960年代後半のアメリカ合衆国でデビューしたサザンロックの先駆けとなったバンド。
Bad Moon Rising
アメリカ音楽産業で最も権威のある音楽チャート、ビルボードのシングルチャートで全米二位を獲得したCCRの楽曲。
第二次世界大戦後の新たな狂気、ベトナム戦争を背景に人気を伸ばしたこの曲を彼は今歌っている。
大日本帝国軍を打ち倒したアメリカ軍が敗北したと言われている、ベトナム戦争をイメージさせるこの曲を。
その意図を、彼女達の一部は気付かず、一部は気付かない振りをして、今この瞬間を楽しんでいた。
その閃きは今この場では無粋であると感じたから。
彼の意図が何であれ、提督は今この瞬間を楽しみ、、隣の友人達が今この瞬間を楽しみ、自分も今この瞬間を楽しんでいるのだから。
『何もかも自業自得だって事だ』
262 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 22:18:03.32 ID:QhBsopZF0
『今夜は外に出てはいけません』
『でないと君は殺される』
『狂気の月が昇っている』
『今夜は外に出てはいけません』
『でないと君は殺される』
『狂気の月が昇っている』
263 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 22:19:37.59 ID:QhBsopZF0
曲の終わりに霧島が思いっきり叩いたシンバルの音が、その場の空気を暫くの間揺らし続けた。
264 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/08/16(水) 22:26:12.62 ID:QhBsopZF0
☆今回はここまでです☆
今回はURL貼りません。
CCRはデビュー当初、醜い面相の男達というバンド名だったらしいですが、レコード会社は彼等に何を思ってそう名付けたのでしょうか。
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/16(水) 23:28:58.23 ID:wW71kcUpo
おつ
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/17(木) 09:17:20.77 ID:DxU0qel3o
水の代わりに毎日のようにコーラを飲まされたらそりゃトラウマになるよな…
267 :
◆ZFgfLAc.nk
[sage]:2017/09/03(日) 20:53:12.89 ID:1smkBa3c0
>>1
です。イベントやったりで投下はできませんが生存報告を…
今E-6やっております。
268 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 20:29:25.51 ID:4Yj+itrc0
>>1
です。お久しぶりです。
イベントお疲れ様でした。私は何とか完走する事ができました。
途中でデレステにイベント限定まゆが来ましたが、そちらも何とか取れました。
それでは投下を始めさせて頂きます。
269 :
◆ZFgfLAc.nk
[sage]:2017/09/18(月) 20:33:32.65 ID:4Yj+itrc0
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・
・
270 :
◆ZFgfLAc.nk
[sage]:2017/09/18(月) 20:37:03.27 ID:4Yj+itrc0
『轟!』
『沈!』
271 :
◆ZFgfLAc.nk
[sage]:2017/09/18(月) 20:37:47.64 ID:4Yj+itrc0
『轟!』
『沈!』
272 :
◆ZFgfLAc.nk
[sage]:2017/09/18(月) 20:38:36.54 ID:4Yj+itrc0
『テレ!』
『ビで!』
『轟!』
『沈!』
273 :
◆ZFgfLAc.nk
[sage]:2017/09/18(月) 20:45:11.11 ID:4Yj+itrc0
『轟!』
『沈!』
パラオの町の一角が熱狂の渦に包まれている。
『轟!』
『沈!』
リズムに合わせ、右手を掲げる。
その様子を、まるで民衆を導く自由の女神、絵画の1シーンのように感じる者もいた。
市民達がリズムに合わせて、手に持ったプラカードを掲げる。
彼らの中心で、『艦特会』と書かれた横断幕を両手で掴んだ市民達がリズムに合わせて横断幕を掲げる。
艦特会、正式名称『艦豚特権を撲滅する地球市民の会』。
大規模な艦娘反対団体である『盾』、別名『SEALD』傘下の組織である。
彼ら艦娘反対団体はここ数ヶ月の間に急激に人数を増やし、大本営がある日本本土や泊地が設立された各国で日々デモを行っている。
274 :
◆ZFgfLAc.nk
[sage]:2017/09/18(月) 20:53:05.33 ID:4Yj+itrc0
『テレ!』
『ビで!』
『轟!』
『沈!』
彼らを蜂起させたのは、ある一つのドキュメンタリー番組だった。
とある鎮守府への密着取材を行い、艦娘の実態を国民に伝えるという意図を持って放送された番組だ。
一種のプロモーション。一種のプロパガンダ。そういうものであると誰もが考えていた。
だがその番組で放送されたものは、多くの人々の予想を反するものだった。
艦娘の轟沈、慢心、傲慢、虚栄、エゴイズム。
艦娘の負の側面を凝縮し映像化したそれは全世界にばら撒かれ、大いに騒がせた。
一般市民にとっても、艦娘を指揮する特務提督にとっても、大本営にとっても、それは尋常ではない影響を与えた。
艦娘・大本営という組織に失望し、特務提督の職を辞職する者も出た。
艦娘・大本営への不信感を募らせる者も出た。
元々彼女らに不満を抱いていた者は今こそが好機と動き出した。
そしてその映像を見た一部の市民は彼ら独自の真理を悟った。
275 :
◆ZFgfLAc.nk
[sage]:2017/09/18(月) 20:55:16.21 ID:4Yj+itrc0
艦娘が、艦娘こそが、この世界の癌なのだと。
艦娘達は政府と結託し、自分達の正体を隠しながら横暴を繰り返しているのだと。
276 :
◆ZFgfLAc.nk
[sage]:2017/09/18(月) 20:56:37.98 ID:4Yj+itrc0
この世界に突然現れた深海棲艦、そして艦娘。
彼女達は一体何故現れたのか、その正体は何なのか。
日々研究が続けられているが、それらは未だ判明していない。
だが絶対正義の賢者の慧眼を得た彼等は、ネットで真実を突き止めたのだ。
277 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:02:06.73 ID:4Yj+itrc0
艦娘の正体は、731部隊が遺したデータを元に作られた生物兵器だ。
278 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:08:08.67 ID:4Yj+itrc0
731部隊。第二次世界大戦期の大日本帝国軍に存在した研究機関の一つ。
戦争の最中捕らえた捕虜を使って生物兵器の研究・開発を行っていたマッドサイエンティスト集団だ。
第二次世界大戦末期、追い詰められた大日本帝国は731部隊に命令を下した。
軍艦の魂と力を持った人型サイズの生物兵器を開発せよ、と。
大日本帝国の優れた技術を結集して作られた戦艦大和の力を持った生物兵器を開発せよ、と。
かつて最強と謳われた南雲機動部隊の力を持った生物兵器を開発せよ、と。
その力を以って鬼畜米英を叩きのめし、世界征服の野望を叶えるのだ、と。
一見馬鹿馬鹿しくも思える命令だが、元々大日本帝国軍は神霊・心霊現象を利用した侵略を得意としていたのだ。
大日本帝国傘下の朝鮮総督府が風水を利用し、庁舎等の建物を使って大地に大日本と刻み込む事で
朝鮮民族の民族精気を抹殺し、今も尚苦しめている事はあまりにも有名な話である。
731部隊も其の例外では無い事は想像に難くない。
279 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:12:46.96 ID:4Yj+itrc0
731部隊は直に研究と開発を開始した。
大韓民国の市民を慰安婦と言う建前で強制連行し、人体実験を行ったのだ。
20万人以上の女性が大日本帝国軍に因って拉致され、日々の虐待や実験の中で死んで逝った。
だが、731部隊は結果を出す事の無いまま、戦争は終焉を迎える。
20万人以上の無辜の犠牲の上で出来上がったおぞましき生物兵器のデータだけを残し、731部隊も歴史の闇に消え去った。
しかし彼等は、大日本帝国軍の残党は死に絶えては居なかったのだ。
50年以上の時を経て、大日本帝国軍の残党は再び動き出した。
大日本帝国による世界征服を実現するために、731部隊が遺したデータを手に、彼等は動き出した。
彼等は地震の混乱に乗じて原子力発電所を攻撃、メルトダウンを引き起こす事で日本中を放射能で覆い尽くした。
その放射能によって人が変異したミュータント、それこそが731部隊が研究していた生物兵器の完成形。
それこそが、艦娘である。
280 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:23:53.79 ID:4Yj+itrc0
50年以上の時を経て、最悪のマッドサイエンティスト集団が開発した悪魔の兵器が完成してしまった。
その後大日本帝国軍の残党は各地で女性を拉致し、強制的に艦娘に変異させ、
反乱の芽を摘む為に指揮官に恋愛感情を抱くように洗脳手術を行った。
そうして身体も心も完全に支配した後、政治家官僚に性接待の道具として利用した。
そして彼等は内閣・国会を篭絡し、秘密裏に日本を支配した。
日本は、再び大日本帝国という最も恥ずべき者達の手に落ちたのだ。
今や内閣は彼等の息のかかった極右の連中のみで構成された危険な集団に成り代わってしまったのだ。
だが彼等は其処で止まらない。彼等の野望は大日本帝国による世界の支配なのだ。
日本を支配し、横須賀に大本営という巣を作った彼等は、その魔手を世界に伸ばし始めた。
パラオ、ミクロネシア連邦、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、パプアニューギニア、ロシア。
彼等は都合の良い理由を並べ、其の地に鎮守府を設置していく事で実質的な軍事支配を行い始めたのだ。
天皇制の下に世界を支配するために。
もしくは共産主義の下に世界を支配する為に。
もしくは全ての富を自分達が独占する為に。
もしくは日本を滅ぼす為に。
もしくは自分達が神となる為に。
もしくは深海棲艦に世界を売り渡す為に。
もしくは彼等のくだらない復讐の為に。
もしくは彼等の破滅欲求の為に。
其の為に彼等はいずれ大韓民国にも侵略し、あのおぞましき虐殺を再び繰り広げるに違いない。
彼等は、1足す1が2になるのと同じくらい当然の事として、それを確信した。
281 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:25:14.76 ID:4Yj+itrc0
ちなみに深海棲艦が何なのかは艦娘反対団体の中でも意見が分かれる所だったが、彼らにとってそんな些細な事はどうでもよかった。
282 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:30:02.49 ID:4Yj+itrc0
『轟沈轟沈!お前ら非人!!』
『轟沈轟沈!俺らは善人!!』
『轟沈轟沈!返せよ税金!!』
『轟沈轟沈!こいつは聖戦!!』
『轟沈轟沈!艦豚厳禁!!!』
正義の心の下に、彼らの思いは一つになった。
言葉が意味を無くす程に、彼らの心は一つになった。
艦娘を一刻も早く排除する。その名目の下に彼らの思いは一つになった。
娘、という名前を使うことすらおこがましいほどの害悪である艦娘に対し、彼らは豚という新たな名称を与えた。
そして彼らは武器を手にし、人の形をした艦豚達を、その正当な名称の通り豚の死体のようなモノに変えていく。
休暇中で非武装な時を狙い、集団で襲い掛かり、彼女達を次々と殺害していく。
今もこのパラオの町の片隅には、彼らによって作り上げられた艦娘の惨殺死体が未だ見つからずに転がっているかもしれない。
283 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:31:38.06 ID:4Yj+itrc0
『沈沈沈沈沈カス女!!』
『沈沈シャブシャブ沈カス女!!』
『死ね!!』
『『死ね!!!』』
『死ね!!』
『『死ね!!!』』
『死ね!!』
『『死ね!!!』』
『死ね!!』
『『死ね!!!』』
彼らは町を歩きながら、正義の経典を読み上げていく。
艦娘達がこの世に害をなす存在である事を知らしめる為に。
声を張り上げ、この世界の中心となったかのように正義を叫ぶ。叫び続ける。
その横の道路を一台の車が通り過ぎていった。
284 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:33:22.75 ID:4Yj+itrc0
軽快な音楽が車内に響き、外の罵声をいくらか掻き消す。
音楽のリズムに乗せて英語が聞こえる。
響くエンジン音。
外の罵声が遠のき、聞こえなくなっていく。
音楽のリズムを無視して独自のリズムを刻むウィンカー。
ウィンカーが切れる音。
流れる軽快な音楽。
リズムに乗せて発音される英語。
響くエンジン音。
音楽のリズムを無視して独自のリズムを刻むウィンカー。
ウィンカーが切れる音。
「そろそろだよ」
車のハンドルを握っている提督が、前を向いたまま横と後ろに声をかけた。
285 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:35:25.55 ID:4Yj+itrc0
独特な駆動音と共に、ガラスとゴムが擦れる音が空気を震わせる。
「こんにちはー。俺でーす」
車のガラスの向こうで、門が開く音が響く。
再びエンジンが音を立て、開いた道の先へと車が進んでいく。
「相変わらずここはでっかいなぁ」
遊園地に遊びに来た小学生のような気風で提督が呟いた。
ここは、パラオ特別鎮守府。
泊地が設立されるパラオにおいての特別中の特別。
その地に、提督達は十年ものの中古車で、コンビニに行くかのような気軽さで入り込んだ。
286 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:38:39.17 ID:4Yj+itrc0
「はい。到着ー」
鎮守府の敷地内に描かれた白線と白線の間で、車の動きと音楽が止まった。
古ぼけた車から、少女達が扉を開けて姿を現す。
白いワンピースを着た少女が二人。一人は麦わら帽子を被っている。
青いTシャツの少女が一人。真新しいものを見るかのように周囲を見回している。
車から出た提督が、反対側、助手席側に回り込み扉を開け、支えにならんと手を伸ばした。
助手席に座っていたのは、もう一人の青いTシャツの少女。
その両手と両脚は、機械で作られた義肢だ。
義肢の少女、伊58は提督の手の平に機械の手の平を乗せ、ゆっくりと動き始めた。
扉の縁を踏み、アスファルトに機械の足を付ける。
この瞬間、彼女のすぐ目の前を遮るかのように伸ばされた提督の左腕は無意味なものと化した。
「ここが、パラオ特別鎮守府」
目の前の建物を見上げながら伊58が呟いた。
287 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:43:59.87 ID:4Yj+itrc0
ボロボロの泊地とは違う、立派な建物だ。
この建物、否、この敷地を管轄している提督の能力を表現しているかのように立派に聳え立っている。
特別鎮守府とは、大本営から特別に許可され設立される鎮守府である。
と言うのも、大本営の方針でパラオに鎮守府を設立しない決まりがあるからだ。
深海棲艦防衛本部であり、それらの最終目標である日本は泊地よりも大きい鎮守府が設立されている。
本部相応の軍事力を持つ日本本土に比べ、外国に設立される艦娘基地の軍事力は乏しい。
日々の研究によって、深海棲艦にとって諸外国の艦娘基地侵略というのはあくまで日本に攻め込む為の足がかりに過ぎないのだと判断された。
故に、日本から離れたパラオでは鎮守府は設立されず、小規模な泊地や基地が設立されている。
武力も、人員も、過剰に与える必要は無いからだ。それが、大本営の判断だった。
だがしかし、その例外が、ここパラオ特別鎮守府だ。
過剰に思える軍事力を与えるだけの価値があると判断された唯一の例外が、ここパラオ特別鎮守府なのだ。
『パラオの英雄』。このパラオ特別鎮守府を管轄する特務提督の異名だ。
大本営上層部でその名前を知らない者は居ない。
悪名高きアイアンボトムサウンド、AL/MI作戦後期における深海棲艦の本土強襲エトセトラ。
彼はその魔の海域を『味方に一切の犠牲を出さずに』突破し、敵側の策を読み本土防衛に成功した。
戦略眼・艦隊運用能力・用兵能力に秀で、あらゆる特務提督の中でも五本の指に入るほどの実力者、文字通りの英雄。
英雄がその力を存分に振るう為に特別に許可された鎮守府。
それが、パラオ特別鎮守府である。
この鎮守府は彼の功績を讃える凱旋門であると同時に、パラオを襲う万が一の可能性すらも防ぐ最強の防衛基地なのである。
その輝かしき土地に、提督達は私服で、中古車に乗ってやって来たのである。
288 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 21:56:37.30 ID:4Yj+itrc0
『変身一発』と書かれたふざけたTシャツを着た提督は鼻歌を歌いながら扉を開けた。
建物一階、ロビーはまるで高級ホテルのように床が磨かれ、華やかさと落ち着きを高レベルで両立させている空間になっていた。
「はっちゃーんさーん」
ソファに座って本を読んでいた女性を視界に納め、手を振って呼びかける。
「はっちゃんさーん!グゥーーーーテンモルゲンッ!」
「提督さん」
「それ、気が抜けるから止めてって言ったよね」
僅かに眉間に皺を寄せた女性が本を閉じ、ソファから立ち上がる。
その様子は寝起きでもないし超スッキリもしていない。
可笑しな訛りを持った七人の愉快な小人達もいない。
狡賢い継母はいないし謀略も何も無いし幾度も死にかけた経験も無い。
だが金色の髪と碧眼、そして眼鏡で飾られた女性の顔は、まだ少女と呼んでも違和感が無いほどに幼く、また美しく整えられてもいた。
彼女の名前は伊8。巡潜三型二番艦潜水艦娘伊8。
彼女もまた、艦娘である。
289 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/18(月) 22:03:07.05 ID:4Yj+itrc0
☆今回はここまでです☆
祝 CSMカイザギア予約開始
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/18(月) 22:37:45.60 ID:SVtAKr2co
おつきゅん
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/19(火) 10:21:55.31 ID:seJI69HIo
おつ、何だが何か行き成り内容がアレっぽくなったんだが大丈夫か?
最初はのっとりされたのと思ったゾww
292 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 21:12:14.62 ID:jCTtTKp70
正真正銘純度100%の
>>1
です。フュージョンライズ要素はありません。
諸事情により(いつもに比べて)早めにできたので今から投下を始めさせて頂きます。
293 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 21:16:22.93 ID:jCTtTKp70
提督「でもよっちゃんはよっちゃん様って言わないと怒るから、はっちゃんははっちゃんさんって言った方が失礼じゃないんじゃないっすか」
U-511「よっちゃん…?」
伊401「するめじゃなくて酢漬けなの?」
伊8「世直●マンか」
伊401「世直●マン」
提督「ラッキ●マンの敵キャラ」
伊8「あれ、後で味方になるよ」
提督「え、マジすか。あの時代のジ●ンプ敵が味方になる展開多すぎやしませんかね」
伊8「雷電」
提督「敵のハリアーだ」
伊8「それは違う。色々と違う」
294 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 21:21:22.49 ID:jCTtTKp70
伊58「…あの」
伊8「あ」
伊8「はじめまして。私は伊8。はちだよ」
伊58「はち………」
伊8「と言っても」
伊8「前に伊8型に会った事あるのかな?」
伊58「…うん」
伊8「じゃあ」
伊8「面倒な事は抜きにしましょう」
提督「面倒ってあーた」
伊8「それより早く行きましょう。友提督も待ってるし」
提督「ん…まぁそうっすね」
295 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 21:29:06.06 ID:jCTtTKp70
如月「8さん。あの…頼んでいたものって届いてますか?」
伊8「うん。千歳さんが用意してくれたよ」
如月「ありがとうございます」
伊8「千歳さんから聞いたけど、凄いね如月ちゃんは。もうあんな本読むんだ」
如月「勉強しなくちゃいけませんから。色々と」
睦月「如月ちゃん!!」
如月「!!」
提督「あぁ、こんにちは睦月さん」
睦月「こんにちは如月ちゃん!!」
如月「こんにちは。睦月ちゃん」ニコッ
提督「………こんにちはー睦月さーん」
睦月「提督さんもこんにちは!」
如月「………」
睦月「如月ちゃんから頼まれてた本、用意してあるよ!!」
睦月「これと、これと…」
曙「これとこれも追加」
曙「睦月、アンタ先走りしすぎ」
296 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 21:32:24.22 ID:jCTtTKp70
如月「!こんにちは、曙ちゃん」
曙「久しぶりね。如月」
曙「潮から聞いたわよ。あんた秘書艦になれたんですってね」
如月「えぇ。お陰さまで」
曙「第…四、秘書艦だっけ?那珂型と羽黒型と赤城型の次だから」
如月「そうね。第四秘書艦」
曙「第四か…まぁた結構数がいるわね。普通そんなに秘書艦置かないわよ」(うちの倍よ倍)
提督「補佐も入れればもっといるよ」
曙「へぇ…まぁとにかく、おめでとう。如月」
如月「ありがとう、曙ちゃん」
睦月「何か難しそうな本だけど、これって秘書艦業務と関係あるにゃしか?」
如月「あぁいえ。これは私個人でお願いしていたもの。秘書艦業務とは関係ないわ」
曙「個人的に…教科書と参考書と、赤本をねぇ…」
如月「艦娘だからってお勉強を疎かにはできないもの」
曙「それもそうだけど、それにしてもレベル高すぎじゃない?」
曙「これ、高校とか大学とか書いてあるんだけど」
睦月「如月ちゃん頭いいんだね!」
如月「…そんな事は無いわよ。ちょっと先が気になってるだけ」
曙「………」
如月「………」
297 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 21:35:15.92 ID:jCTtTKp70
曙「如月」
如月「?」
曙「あまり無理な事はするもんじゃないわよ」
曙「………と言って」
曙「止まるもんでもないとは思うけど」
睦月「?」
如月「やっぱりわかっちゃう?」
曙「ここ数ヶ月間、毎週のように話してればね」
曙「…ほんとアンタは、何と言うか」ヘッ
如月「誰かに影響されちゃったのよ。ねぇ、曙ちゃん?」
曙「どっちかっていうとそっちのアホのせいでしょ」
提督(アホでーす)ヒラヒラ
曙(本当にアホじゃないかコイツ)
提督(酷いぜ曙太郎)
曙(お前後で殺す)
如月「どっちもよ」
298 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 21:39:26.79 ID:jCTtTKp70
如月「曙ちゃんも司令官も」
如月「私のお尻を叩いてくれなかったら今の私はいなかったわ」
曙「私はノーマルよ」
如月「っ曙ちゃんがそうって意味じゃなくて」
曙「え?」
299 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 21:43:31.48 ID:jCTtTKp70
曙「叩かれてはいるの?」
U-511「如月、お尻叩かれてるの?」
如月「………」
伊8「………え?何で顔赤くするの?」
曙「」
曙「おい」
提督「赦しは請わぬ」
曙「何やってんのアンタ駆逐艦娘にお前」
提督「赦しは請わぬ」
曙「赦しは請わぬじゃねぇよおい、クソアホ提督おいコラ」
提督「赦しは請わぬ」
300 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 21:47:00.73 ID:jCTtTKp70
漣「はいはい。真昼間からド下な話はやめちくりー」
曙「休日の真昼間からホモビデオの音声抜き出してた奴が何を言ってるんだか」
漣「赦しは請わぬ」
曙「てめぇ」
漣「こんにちは、提督様。うちのボーノがとんだご迷惑をおかけしやがっておりますです」ペコリ
提督「こんにちは、漣さん」
提督「ボノロンは森の戦士だからこのくらい血気盛んでいいんじゃないっすかね」
曙「誰がデビルリバ●スか」
漣「デビルリバ…あぁ、だから相方が犬なんだあれ」
提督「そう。彼はジャ●カルの生まれ変わりなんだロン」
漣「やはりボノロンは北斗●拳」
曙「原●夫に怒られろお前ら」
301 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 21:58:02.47 ID:jCTtTKp70
伊58(な、何これ)
伊401(提督、ここだといつもこんな感じだよ)
伊58(え、えぇ…いつも?)
伊401(うん)
伊58(えぇぇええ…あの…)
『だったら、死にたいなんていうんじゃねぇよ。諦めるんじゃねぇよ』
『何を犠牲にしてでも、どんな手段を使ってでも生き延びるんだ』
伊58(あの提督が…)
漣「という事はあのデカイ木の中には」
提督「ラオ●の死体が埋まっている」
漣「立派な漢立ちの結果ですか。拳は枝葉となって天高く掲げられたのですか」
曙「アンタら子供向け絵本の世界を核の炎で包んで楽しい?」
提督「カクノ ホノオデ タノシイナ」
漣「おうしあわせエンドやめろや」
伊58(これなんでちか?)
伊58(えぇえええ…えぇえええええええーーーー………)
302 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 22:08:20.74 ID:jCTtTKp70
提督「で」
提督「何か凄いわちゃわちゃしてきたけど、漣さんはどんな用でここに?」
漣「あぁそうですね。外野が付いて来ないから本題に入りましょう」
伊8(…あれに付いて来いと?)
伊401(話に入らせる気無かったよね?)
漣「ご主人様がお部屋でお待ちです…が」
漣「図書室までお見送りしてから来ますよね?多分」
提督「うん」
漣「それじゃあ、お荷物はお預かりします」
提督「え、いやいいよこれくらい。自分で持ってるから」
漣「いえいえ。提督様はご主人様の無二の親友」
漣「そんな大事なお客様のお手を煩わせるわけには参りません」
漣「つーかさっさと準備してさっさと始めたいんです。だから早く荷物よこせよこのロリコン」
提督「ロリコン!?」
如月「漣ちゃん。流石に今の言葉は聞き逃せないわ」
漣「オゥ林田」
如月「司令官は赤城さんとかにも手を出しているからロリコンじゃなくてただの節操無しだわ」
漣「それもっとダメじゃね?」
提督「否定はしねぇ」
曙「建前だけでもツッこめよ」
提督「まぁそういう事ならお願いしますよ。漣さん」(このキャリーバッグに入れてありますんで)
漣「はい確かに。それじゃあボーノ、提督様の案内ヨロシクゥ!」
曙「はいはい」ゲシッ
提督「膝裏キックナンデ!?」
伊401(多分無視したからだと思うんだけど)
漣「あとムッキーはヒトヒトサンマルから遠征任務だよね?見送った後食堂でご飯食べて準備してね」
睦月「りょ、了解にゃし」
漣「じゃ、こっちは準備進めておくんで早めに来てくださいねー」ゴロゴロ
303 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 22:15:39.15 ID:jCTtTKp70
伊58「………」
提督「なんて様だ。まるで嵐が過ぎ去ったかのようだ」
曙「誰が原因だと思ってるのよ」
提督「わし(53)」
曙「クソが」
伊401(曙ちゃんも原因なんだよなぁ)
如月(曙ちゃんも原因なのよねぇ…)
伊8(曙も原因だと思うんだよなぁ…)
伊8「じゃあ、ちゃちゃっと行きましょう。ゴーヤ、大丈夫?」
伊58「………」
伊8「…ゴーヤ?」
U-511「でっち」
伊58「!!」ビクッ
U-511「呼ばれてる」
伊58「あ…あぁ、うん!何の話でちか!?」
伊8「…まだ歩くけど、艤足は大丈夫?辛くない?」
伊58「大丈夫でち」
提督「辛くなったらすぐ言ってくれよ」
伊58「大丈夫だってぇ。それより早く行こう?」
304 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/09/26(火) 22:31:04.66 ID:jCTtTKp70
☆今回はここまでです☆
305 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/10/08(日) 21:48:32.11 ID:blNRNUc70
>>1
です。
投下を始めさせて頂きます。
306 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/10/08(日) 21:49:58.20 ID:blNRNUc70
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・
・
307 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/10/08(日) 21:56:07.87 ID:blNRNUc70
睦月「あ」
睦月「ここここ」チョイチョイ
提督「おう」
伊58「…ここが」
伊58「ここがハチの図書室なんだ」
U-511「ここがはっちゃんの居場所?溜まり場?」
伊401「凄いね。なんか学校みたい」
如月「あぁそれわかるわ。中も本当にそんな感じよ」
伊401「そうなんだ!んー、なんか懐かしい気持ちになってきた」
伊8「私の趣味で作ってもらったようなもんだから置いてる本の内容偏ってるかもしれないけどね」
伊401「漫画ある?」
伊8「あるよ」
伊401「なら大丈夫」
308 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/10/08(日) 22:04:44.73 ID:blNRNUc70
提督「じゃあ俺は友提督んとこ行くから。何かあったら携帯に電話ちょうだいね」
伊401「はーい」
提督「睦月さんも、遠征任務気を付けてね」
睦月「…早く着いたし、ちょっとぐらいここにいてもいいんじゃ」
提督「だーめ。仕事でしょ?スケジュールに余裕を持った行動をしなさい」
睦月「いいじゃん!久しぶりに如月ちゃんに会えたんだし、ちょっとぐらい!」
曙「………」
提督「それで遅れたら他の人に迷惑かかっちゃうよ?」
睦月「でも、時間に余裕はあるし」
提督「つったって飯食ってってやってたらあっという間だよ」
睦月「ご飯なんてパパっと食べれば大丈夫にゃし!」
提督「すぐ身体動かす事になるんだからゆっくり食べなきゃ、後で辛いよ?」
提督「遠征任務でも、体調は万全にしておかないと何があるかわからないんだし…」
睦月「でもぉ…」
如月「………」
如月「司令官」チョイチョイ
提督「ん」
309 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/10/08(日) 22:05:33.86 ID:blNRNUc70
如月「ん」チュッ
310 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/10/08(日) 22:07:05.99 ID:blNRNUc70
睦月「!?」
伊401「!?」
伊58「!?」
U-511「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
曙(やりおった)
伊8(やりおる)
311 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/10/08(日) 22:14:05.12 ID:blNRNUc70
提督「お前」
如月「そろそろ行かないと、友提督さんが待ちくたびれちゃうわ」
提督「え」
如月「早く行ってあげて」
提督「あ、あぁうん。そうだな」
如月「私は今のでしばらくは我慢するから」
如月「また後で…」
「もぉっと、深いの、お・ね・が・い・ね♪」ペロ
伊401「深っ…」
提督「」
曙(やはりロリコン)
312 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/10/08(日) 22:17:10.83 ID:blNRNUc70
伊401「ふか…ふか…ふか…まる…」
U-511「がばいと……がぶりあす……」
伊58「おう二人とも気をしっかり保つでち」
伊401「ま、まうす…まうす…」
伊401「まうす、とぅ…まうす……まうす……みっ」
伊8(いかん!!)ハッ
伊58(これ以上はしおいを再起不能にしてでも!!!)
313 :
◆ZFgfLAc.nk
[saga]:2017/10/08(日) 22:21:20.71 ID:blNRNUc70
伊401「………つ●まんぐろーぶ」
伊58「っしゃぁ!よく耐えたぁ!!ミッツ●マングローブ!!ミッツ●マングローブなら大丈夫!!!」グッ
伊8「ブルーライトヨコスカ大本営ー」フリフリ
曙「これがこの世の終わりの光景か」
472.52 KB
Speed:0.2
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)