会長「音が紡ぐ笑顔の魔法」

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410 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2020/11/11(水) 01:35:01.12 ID:/k/kpvsQo
作曲「気にしないでいいよ、ちょっと驚いただけだから」

作曲「私はね、中学2年生の時から不登校だったの」

作曲先輩は空を仰いでいた。
どのような表情をしているのかは分からないが、俺には泣くことを我慢しているかのように見えて仕方がなかった。

いじめがきっかけの不登校は今更珍しくともなんともないと思う。
人と関わる事が苦手でも多種多様の人物を押し込める箱で過ごさなければならないのが学校。
子供達はその箱の中で最低限の社会性と教養を身に付けていかなければならない。
人間として未成熟な子供が集まれば当然の話、いじめも起きてしまうのだ。

作曲「クラスの人気者で勉強も運動もできたのに馬鹿だよね?」

男「え?」

失礼な考えに思い耽っていたようだ、人をガワだけで判断するなんてことはしてはならない。

作曲「負け続きなんだよね、好きなことだけ」

作曲「最初はピアノ、近所ではかなり賞をとっている方で自分のことは当然のことを天才ピアニストだと勘違いしていたよ」

作曲「そんな自信に満ち溢れていた私の心を粉々に砕いたのが幽霊部員」

男「幽霊部員先輩ですか……」

幽霊部員「思ったよりも合うのが早いと思ったでしょ」

図星、俺の中では作曲先輩が幽霊部員先輩より劣っていることに気付いた結果作曲の道を選んだと断定こそしていたが、中学生の頃から因縁があるとは考えもしていなかった。

作曲「この時からだよ」

作曲「――たった一人の人間に負け続けることになったのは」
411 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2020/11/11(水) 01:36:18.51 ID:/k/kpvsQo
作曲「勘違いをしていた私は少し大きいコンクールに出ることにしたの」

作曲「当時の友達もたくさん来てたっけな、今思い出しても憎たらしいよ」










数年前

すべてがつまらないしくだらない。
県上位クラスと聞いて期待をしていたが、はっきり言ってこれではレベルが低い。
私が金賞をとって終わりだろう。

金賞は友達にあげることにしよう。
そうして喜びを分かち合えると思うと尊い気持ちになる。

幽霊部員「みんな素敵っすね〜」

たまに居るマナーを知らない子、一人?
襟も崩れているし本当にだらしない。

作曲「もっと小さな声で話さないと駄目だよ?」

小さな声で優しく教えてあげることにした。
これで少しはおとなしくなるだろう。

幽霊部員「あっ、呼ばれた」

人の好意を知ってか知らずか、マナーの悪い子は席を立ってステージへと上がっていった。

作曲「……」

次の番は私。

いつからか人前で演奏をすることに対して緊張することが無くなってしまっていた。
緊張はすること自体は非常に大事なこと、ある一定の緊張がなければ良い集中は得ることができない。
停滞を感じているのは間違いない話、もっともっと高いレベルに身を置かなければならな――

作曲「なに……これ?」
412 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2020/11/11(水) 01:36:50.55 ID:/k/kpvsQo
私は耳をほんの少しだけ傾けた。傾けなければよかった。

技術の差というものはこれほどまでに残酷な現実を突きつけるのか、私は今この瞬間になって初めて本物の天才と出会った。

僅かな強弱が凡百との旋律に大きな差を、絹糸を結うかのように滑らかかつ繊細な手指の動きが旋律に命を吹き込んでいた。

幽霊部員「♪」

演奏が終わったあとには中学生の演奏とは思えないほどの歓声が沸き上がっていた。
私が今まで経験してこなかったことばかりだ。

今にも崩れ落ちてしまいそうな足を精一杯の力でステージまで運ぶ私の姿はさぞかし滑稽だっただろう。

幽霊部員「あーあ」

歓声の中ですれ違う凡百と天才。
天才はすれ違いざまに信じられないことを吐き捨てた。

幽霊部員「久しぶりに弾いたけどまあまあうまく弾けたっす」

作曲「えっ――」

思わず足が止まってしまった。
無視してしまえばどれほど幸せだったことか。

作曲「ぃ……いっ……いつぶりなの?」

幽霊部員「1年ぶり?くらいっすね」
413 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2020/11/11(水) 14:15:52.29 ID:56XvyhM60
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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414 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2020/11/21(土) 19:04:03.51 ID:0SHkGLZeo
現在



作曲「――これが中学生の時」

幽霊部員らしい話だと思った。
中学生のときから人の心が分からない。
図に乗るような素振りや見下すことをしない事がかえって人を傷つける。

男「腹の立つことに天才ですからね、向きにならない方がいい。相手にない要素を真剣に突き詰めていった方が身のためになる」

作曲「そうだよね。わかっているけど未熟な私にはあの怪物の存在を受け止めきることができなかった」

作曲「悔しくて悔しくて……でも分かるよね?」

男「自分なんて眼中にもなかった」

作曲「うん……その事実が何よりも耐え難かった」

話が見えてきた。
これから何が起きるのかも、作曲先輩が今の道を選んだ理由も何もかもが俺には分かってしまったのだった。
415 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2020/11/21(土) 19:05:04.99 ID:0SHkGLZeo
数年前



引きこもっていた間も勉強だけは欠かさなかったこともあり、無事に高校へ入学することはできた。

作曲「……」

昔の友だちがいないであろう高校に進学できたことはよかったけれど、これからどうしていけば良いのかがわからない。
中学生の私が途中までの間、学生生活を満足に送ることを出来たのは友達の存在と私個人の能力が大きい。
今現在、友達は一人も居ない。
運動は引きこもり生活で鈍っているだろうし勉強も上には上が居る……

作曲「憂鬱……」

「君、一人……?」

作曲「えっ……あっ、その、えっと」

人とまともに話す機会が減ったせいか、言葉を発することにも一苦労してしまうことになっていたのには私自身たった今気付いたのだった。

「楽器は弾ける?」

軽いカールのかかった金髪ロングの小柄な女生徒、上履きを見る限りでは三年生だ。
彼女の外見とは裏腹にとても大人びた印象を受けていた。

作曲「……ピアノなら」

大人しい彼女なら私も心を開くことができるのではないか、そんな勘違いを胸に答えてはいけないことを答えてしまったのだ。
416 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2020/12/09(水) 22:39:55.60 ID:FzhMKkHXo
ロリ「ウェーイ!!!」

「よっしゃラッキー!!」

ロリ「3人目ゲットだにょ!」

騙された。
つい先程までは私と同じ種類の人間かのように振る舞っていたのだが……

ロリ「私達は『自由天文部』だにょ、かんたんに言うと軽音楽部!」

「目標はライジングロック入賞!!」

ロリ「君達新入部員がこの部の未来なんだにょ〜」

「私達の時も言ってたよなそれ」

ロリ「弾いてみてほしいにょ」

分からない単語。
勝手に未来を託される。

作曲「キーボードなんて……」

ポーン

作曲「……」

世界が変わった気がした。
この瞬間、自由天文部は私の干からびた心を満たしてくれる十分な居場所になった。

必要とされる以上、全力応えたいと思った。
ピアノの次はキーボードに没頭していくのだった。

『彼女』が現れるまでは。
417 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2020/12/10(木) 03:04:28.86 ID:cl/WEtKj0
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418 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2021/02/15(月) 02:08:50.82 ID:USQOpFN2o
1年後

作詞「今日は新入部員が入るって聞いたかい?そう、かなりの天才児かつ問題児らしい。なんでもロリちゃんの友達の妹だとか。おっと勘違いしないでいただきたいけれど私は天才などという言葉は嫌いだけどね私の経験上天才とい」
作曲「私も嫌いだけど……見たことがあるよ」

作詞の話はいつも長くなりがちだった。
自信家で曲がったことが大嫌い。そんな彼女だからこそ私は長話も苦ではないし心地が良い。
高校生になってからできた初めての友達、いつまでも大事にしたいしこれからも話を聞きたい。

作詞「私は無いのかもね。わからないよ」

作詞「例の天才児は作曲と同じキーボードらしい。うかうかしていられないね?」

作曲「負けない……」

作詞「うん、心配には及ばないね」

自由天文部に入ってから心が満たされていくのを感じていた。
また1からやり直せる。
キーボードという楽器が私を変えてくれた。

作詞「さぁ着いたよ」

作詞「可愛い後輩の顔を拝むとしよう」

ガチャ

部室の扉を開く音も好きになっていた。
自分で開けるよりも誰かが開ける音のほうがが好き、鉄の軋む音がこれ以上になく心地良い。

作詞「やあ、初めまして私は作詞」

「初めましてっす!幽霊部員っす!」

作曲「……」

先輩達が泣く姿を見て私も頑張ろうと考えていた。
キーボードとしてライジングロックに立つ姿も想像していた。
入賞して廃部を免れて、皆で笑って卒業できると思っていた。
ロリちゃんのことを聞いてからは必ず役に立ちたいし立てると思い込んでいた。

そんな浅ましい私のすべてが音をたてる間もなく崩れ去っていった。

作曲「ひ……久しぶりだね」

幽霊部員「えっと……会ったことあるんすか?」

吐き出してしまいそうだ。
そんなことが許されるはずが無い、何も覚えていないなんてふざけた話があってたまるものか。

今まで私がどんな気持ちで――

作曲「……」

幽霊部員「???」キョトン

作曲「ううん、私の勘違いみたい」

作詞の話によれば、私は無表情を保ちながら涙をこぼしていたらしい。
419 : ◆MOhabd2xa8mX [saga]:2021/08/24(火) 05:25:24.42 ID:HbOh8YX2o
現在

作曲「……」

作曲先輩は俯いたままだ、正直なところこれ以上口を開くのかも怪しい。

男「これ以上は察しろと?」

俺は作曲先輩がこれ以上何を話したいかも分かっていた。

作曲「うん。喋るのに疲れた……」

男「……」

作曲先輩は幽霊部員の存在によってキーボードを諦めたのだ。持て囃されてきた秀才の自信と積み重ねはたった一人の天才によっていともたやすく崩れ去ったのだ。

男「どうして曲を作るようになったのかは教えてもらえますか?」

作曲「適材適所ってやつだよ」

重々しい口取りで言葉を連ねる。

作曲「やる人が居ないしこれ以上自分の居場所から逃げたくなかったから」

鉄の摩擦音が鳴り響く。かける言葉が思い浮かばない俺の心をまるで気遣うかのように電車が通りすぎた。

作曲「正直に言うとピアノよりもキーボードよりも死に物狂いで打ち込んだと思う……ほんの少し覚えがあるだけで好きでもないことに私は打ち込んでいた」

俺にとってのアイドルと同じだった。

作曲「馬鹿みたいだよね?自分で手放したくせにまた欲しがって……」

作曲先輩の場合、それは居場所だ。

この人は自由天文部に本当の居場所を見出していたのだ。

作曲「初めて作った曲を……」

作曲「幽霊部員は褒めてくれた……って信じられる?」

皮肉な話だ。
幽霊部員が褒めるという事は本当に良かったという事になる。あの人は音楽に関しての嘘をつくことがない。
俺自身も作曲先輩が作る曲には非凡なものを感じていた。

男「信じますよ、うん」

作曲「だからこそ今も曲を作り続けることができたと思う」

作曲「そうだ」

作曲「会長達とロックスターに向けての意見を交換したよ、恥ずかしげもなく話してくれた。喜怒哀楽のすべてを」

何を勝手に行動しているのかと訝しむが無理も無い事だった。
自由天文部の楽曲すべてを作曲先輩が担当しているから当然のことだろう。
各バンドが意見を言うことがあっても基本的には作曲先輩が形にする。作詞先輩の作詞も然りだ。

作曲「会長たちはロックスターに向けての曲作りがしたい。新曲を披露したいからって私に連絡してくれた」

恥ずかしいことに人を貶めてまで勝ちたいと思っていたのは俺だけだった。
遠回しに思い知らされた気分だった。俺は自分自身のことしか考えていなかったのだ。
愚直にやってきたつもりだった。競争を促して仮想敵を作り出すことによって奮起を促すことができればと考えていた。

作曲「とても良い曲ができたと思う。贔屓目なしにロックスターでの入賞も夢ではない……よ」
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