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俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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[sage]:2020/05/02(土) 22:08:12.64 ID:aExjX7YW0
八幡「 ――――――― おかしいとは思いませんでしたか?」
俺は言いながら、先程とは逆に、雪ノ下母の目を真っ直ぐ見つめ返す。
雪ノ下母「何が、かしら?」
主語のはっきりとしない俺の曖昧な問いかけに、雰囲気に呑まれでもしたのかははのんが応じてしまう。
八幡「葉山隼人と言えば、近隣でも名の通った好青年で、スポーツ万能、成績も優秀で常に学年トップクラス、そして教師受けもいい」
雪ノ下母「何が言いたの?」
八幡「そんなこいつに、なぜ今まで浮いた話ひとつ流れなかったと思いますか?」
雪ノ下母「それは …… 」
思い当る節でもあるのか、咄嗟に反駁しかけたははのんが口を噤み、その瞳がごく微かに揺れる。
八幡「こいつには、―――― 葉山には、誰にも言えず、ずっと心の奥底に秘めていた悩みがあるんです」
―――― 簡単な話だ。俺という存在が、外部から僅かな力を加える、ただそれだけで今までの関係は破綻し、終焉を迎える。
八幡「でもそれは、親同士が決めた約束が枷となって、今まで誰にも話すことができなかったんです」
―――― しかもそれは、たったひと言で済むはずだった。
八幡「実は葉山が、ずっと好きだったのは、 ――――――――――――――― 」
俺は皆の注目を集めるように芝居がかった仕草でわざと間を稼ぐ。
雪ノ下母は目を細めたまま、身動(みじろ)ぎもせず俺の次の言葉を待ち、
葉山は床に拳を固く握り、視線を床に落としたまま、黙って唇を噛み、
雪ノ下は未だ俺の意図を図りかねるかのように、こちらをまじまじと見つめている。
そして、陽乃さんは、これから俺の言わんとする事など最初から判り切っていたかのように、ひとり優雅な仕草でティーカップを口へと運ぶ。
その場に居合わせた三人のその様子を視界に収めながら、俺はハッキリと告げた。
八幡「 ―――――――――――――――――――― “男”なんです」
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