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廃墟と化した鎮守府の夜明け
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298 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/04/26(水) 02:35:20.47 ID:ADjjgfaL0
時雨「ところが、ここで少将の行動に異変が起こったんだ」
初霜「異変?」
時雨「不知火。僕と一緒に『少将の手記』を読み、執務室や提督の私室の様子を詳しく見ているのは、君だけだったよね?」
不知火「はい。そのはずですが」
時雨「不知火は、この手記の内容と着任後に少将が生活していた2つの部屋の様子を見て、何か感じたりしなかった?」
不知火「え……?」
不知火「…………いえ、特に気になることはなかったと思いますが」
時雨「僕はあの手記を読んだ後、執務室に入って……妙な違和感を感じたんだ」
阿武隈「妙な違和感?」
時雨「僕も最初はその違和感の正体が分からなかった……。だけど、後になって少将提督のことを思い出していた時に気付いたんだ」
吹雪「いったい何が気が付いたの?」
時雨「矛盾だよ。手記の内容と執務室の様子のね」
299 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/04/26(水) 02:39:07.47 ID:ADjjgfaL0
阿武隈「矛盾?」
時雨「そう。少将の手記の内容を読み解くと、少将は鎮守府内の捜索を行う為に艦娘たちに対して厳格な規則を課していたようだけど」
時雨「実はそれを除いても……少将個人としての性格や思想といった面においても、かなり神経質なところがあったみたいなんだ」
時雨「手記の中で少将は、仕事環境の整理整頓がどうとか、艦娘の公私混同がどうとか……そういう細かなことをかなり気にしていた」
不知火「そういえば……確かにそのような記述がありましたね」
時雨「おそらく少将が厳しい規則を課して風紀を徹底したのも、大本営命じられた任務の為の環境づくりという理由以外に、少将個人としての考え方に基づくところもあったんだろう」
時雨「少将は艦娘を兵器と割り切っていたような記述もあったし……入渠ドックの娯楽施設などの状態を見ても、彼は僕たち艦娘を人として見てはいなかったのかもしれない」
初霜「……」
時雨「それを踏まえた上で、執務室や提督の私室の様子を思い出してみると……何か引っかからない? 不知火」
不知火「私室や……執務室……」
不知火「どちらの部屋も荒れた形跡も少なく、比較的綺麗なままでしたが……」
不知火「…………あれ……ちょっと待ってください。そういえば、執務室の机……」
時雨「そう。僕と不知火が執務室に足を踏み入れたとき、執務室の中は綺麗なままだった」
時雨「だけど室内を探索した時にみた提督の執務机。その上は、本や書類がごちゃ混ぜになってて、かなり散らかった状態だった」
時雨「わざわざ愚痴を書き記すくらい神経質な性格が読み取れる手記の内容と、それとは裏腹に散らかったままの執務机……」
時雨「この2つの奇妙な矛盾が、僕はずっと引っかかっていたんだ」
300 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/04/26(水) 02:44:11.10 ID:ADjjgfaL0
時雨「もっと言えば、手記に関しても奇妙な点はある」
時雨「少将の手記は着任直後から毎日こまめに記されていたのに、9月12日を最後にぱったりとそれが途絶えていたんだ」
時雨「これも、窺い知れる少将の性格から考えてかなり不自然なことだ」
阿武隈「それが少将の異変?」
初霜「確かに妙な点は多いですけど……でも、それがいったい何を意味していると……?」
時雨「初霜。僕がさっき、少将提督は最後までこの地下施設を発見することは出来なかった。って言ったのを覚えてる?」
初霜「えっ?」
時雨「僕が……今、目の前にいるこの人が中将提督である。とする根拠の1つが、この少将の異変なんだ」
夕立「うーん……。時雨の言ってることの意味、よくわかんないっぽいぃ」
時雨「そうだね。なら単刀直入に言おう」
時雨「中将提督の後任として着任した少将提督。彼は途中からあなた――中将提督によって操られていたんじゃないかな?」
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/26(水) 06:52:49.79 ID:hNrEpic5o
なんかワクワク感が足りない。
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/26(水) 07:48:47.55 ID:YQjgU0zb0
乙
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/26(水) 08:22:40.26 ID:+gFbZqtxO
本人の前で滅茶苦茶喋ってると思うとちょっとシュールだな
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/26(水) 09:23:56.68 ID:v6FVFUcYo
そういえば怪物Aはなんで放置されてたんだろ
怪物BCにも襲いかかってくるほど危険なのに
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/26(水) 09:46:18.28 ID:q1LDMnDdo
間違ってないんだけど
なんか犯人の前で長々喋ってる姿は微妙ww
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/26(水) 11:38:03.88 ID:1dduJ2E0o
おつおつ
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/26(水) 12:08:20.51 ID:cyoDP5HEO
>>304
Aが多分ていと……
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/26(水) 12:28:15.26 ID:rEr44CI2O
サスペンスものとかでありがちだけど、これ敵さんの目の前で長々とくっちゃべってるのよね
その間に襲い掛かかってきたりしないのかしら
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/26(水) 22:30:14.74 ID:xER4avVD0
暇過ぎてスマホゲーでもポチポチやってるんじゃないか?
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 00:16:30.18 ID:dpJvB7wA0
多分、艦これプレーしているんじゃない?
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 09:50:38.71 ID:avZI7iu1o
敵対者の目の前でも任務消化する提督の鑑だったか
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 09:51:28.76 ID:iYkk49Tuo
途中にもう少し犯人?の行動を入れれば違うんじゃねぇかなぁー
スマホポチするとか、椅子に座りなおす表現とか…
313 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/04/27(木) 11:48:50.49 ID:9nf+rHuS0
やり直したほうがいい感じ?
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 11:59:26.77 ID:OKVwJ8030
真犯人とかの前で長々と真相を話すのは割と定番なので気にする必要はないかと
ただ小出しで次の日に持ち越ししているため一気に読みたい人が焦れてくるんじゃないかな
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 12:46:18.01 ID:UhsEfck2o
わいはそんまんまいってもええと思うけどん
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 12:52:45.33 ID:ilthLtgaO
気にくわないならスルーすればいいだけ
わざわざ文句言う奴のためにやり直す必要なし
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 13:15:06.35 ID:p4kcn0BW0
いいから続きを
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 17:33:54.01 ID:avZI7iu1o
お約束はお約束でいいんだよ
やり直すくらいならはよ続きをよこせください
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 19:13:14.25 ID:Lpi74An70
やり直さなくていいです。そのままやっちゃってください
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 20:06:31.60 ID:bFsbit5HO
そんなことより続きをくれ
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 20:12:56.22 ID:PxnMxN2p0
道中で情報を与える難易度を高く設定し獲得する内容を薄くした当然の結果がこの時雨オンステージだしな
次回作があるなら活かしてもらうとして今回はこのまま行くしかないでしょ
陳腐だろうがここで全部喋らせないと作者も読者も消化不良で終わる
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 20:46:08.43 ID:0UK1NnQe0
答え合わせしてるんだからこれで問題ない
これ否定したら崖の上で真相を話す探偵達が恥ずかしい事になるんですが
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 21:08:20.22 ID:HhqMKdhJ0
別に答え合わせパートなんだからなんでもいいだろ。カプコン製のヘリコプターに乗せるぞ
324 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 21:51:49.19 ID:bv/0d343O
うっせぇみんな家族にするぞ
325 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/27(木) 23:30:32.76 ID:Ms1ABZtDO
読者様湧いてんな
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/29(土) 22:16:17.93 ID:ysMoEHW40
4月中に完結するんかなぁ
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/30(日) 04:51:46.30 ID:scWrCn/Go
うん、明らかに今日中に終わりそうにはないね
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/01(月) 22:39:25.15 ID:jKvXIFBlo
>>326
無理だった。
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 20:34:25.75 ID:PKVuYnfNO
ここまで来たんだ
完結させてくれ
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/04(木) 21:46:13.88 ID:nwPm6rpoo
最初の最初辺り読んでた頃は吹雪が主人公かと思ったのにな
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/08(月) 08:24:29.17 ID:WfBLYRu0o
結局エタったか
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/08(月) 15:34:22.37 ID:RR2oE1FJ0
やっぱり今回も駄目だったよ
そうだな、次はこれを見ている奴にも付き合ってもらうよ
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/08(月) 15:51:27.76 ID:OyLEObzpo
仕事とイベントとかち合ってるんだろ
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/08(月) 18:01:03.56 ID:fgLmXac3O
正直、書いてる本人が白けきってるとこに寒い事言い出したらこうなるよな
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/08(月) 18:56:40.19 ID:hyP7s43Po
もう見る気すら起きんわ
どんな話かも忘れた
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/08(月) 19:06:12.36 ID:Ftug4Zovo
舞ってる
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/08(月) 19:34:24.94 ID:NuQLpVEso
豆腐メンタルかよ
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 09:53:48.44 ID:As4uXS+Co
なんだ、もうちょっと最後はさっくりで良かったのではないかと…
時雨の一人語りが長すぎて、よくある探偵ものの何でお前だけこんな詳しいの状態に…
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 10:06:15.75 ID:AUYdZFiD0
忙しいんだよきっと
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 10:36:25.63 ID:pficCjBSO
本当の解答編はこれからやろ
まだ時雨探偵の推理情報の共有をしてる段階
おっさんが語りだしてからが本番や
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 11:38:13.75 ID:08OjXv7N0
またE2で沼ってるかもしれん
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 12:47:06.27 ID:csRpqJhMO
GW期間に1回も来ないのは流石になあ
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 15:04:19.42 ID:RKraUTgVO
GW返上なんてブラック企業勤めのサラリマンにとってはチャメシ・インシデントよ
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/10(水) 16:23:05.58 ID:9ToPipDY0
ガッカリ
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/13(土) 02:56:53.06 ID:cx6M9xbOO
早漏ガイジ共に草
いつか更新されるから大人しく待ってろ
346 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/18(木) 10:15:45.30 ID:QIwMODv50
現実を見ろ
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/24(水) 23:36:04.47 ID:sk7OeJBHo
エタったかのう…
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/25(木) 10:24:18.87 ID:Ypv44vek0
エタったと言うか外野が潰したと言うか…
また気が向いた時に書いてくれることを祈るしかない
349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/25(木) 13:00:16.37 ID:+S/SmVifo
潰したというか、まあ読んだ側としてはなぁ
ただ時雨が一人で説明しているだけなのを
時々投下されてもなぁ
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/25(木) 13:40:13.76 ID:zAYjVFqDo
時雨の説明は一気に書いてくれた方が良かったな
地味なシーンを小出しにするもんだから読み手としてはどうしても退屈になったんだと思う
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/25(木) 18:27:30.66 ID:xgVgI52Q0
お、スレ潰した読者様の言い訳か?見苦しいぞ
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/25(木) 20:01:56.73 ID:5YlNYMDFo
つまんらんから批判されただけやで。
メンタル弱すぎ。自分の文体貫けばええだけやのに。気に入らん奴は無視すればええだけやのに。
353 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/25(木) 21:05:15.28 ID:YIBJy/FNo
何これコピペ?
354 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/27(土) 13:17:20.46 ID:2kgkbJxX0
ほぼ死んだスレになお死体蹴りする無自覚な読者様に目を付けられたのが運の尽き…
完結がより絶望的になったのが残念だけど作者の気まぐれが起こる事を願うばかり
355 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/01(木) 21:41:37.51 ID:5AWuRc0N0
もう、6月やしなぁ…
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/23(金) 00:05:14.11 ID:R3195qQyO
おしまーい
357 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/23(金) 00:19:30.17 ID:mLwn3py0o
まだおわらんよ
358 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/23(金) 01:20:32.75 ID:SocHhnIxo
舞ってる
359 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/24(土) 00:41:19.80 ID:RYVs0lLMo
まだだ、まだ終わってない!
360 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/24(土) 01:47:17.80 ID:aaa4tT6yo
また最後の書き込みから2ヵ月が経とうとしてますね…
361 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/25(日) 02:38:50.02 ID:wgjORUddo
書かないなら落とせばいいのに
362 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/25(日) 09:44:34.39 ID:j9X7N0yb0
お前らが
>>1
を休ませないからだろ……クソめんどくさいだけの読者様なんか気にせずに書かないなら書かないで落として良いんだぞ
>>1
よ
363 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/26(月) 09:53:44.23 ID:eTKHVC11o
また引き続き時雨の話だけで終わるだけなのかなって
364 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/04(火) 20:18:17.18 ID:DytTWSaI0
皿仕上げ
365 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/10(月) 01:29:31.05 ID:lAcWiDrDO
だいたいのことは解ったが、まだ電の日記のこととかは解ってないまま
せめてそれだけでも明かしてくれんかね・・・
366 :
◆Paxl0Q5Mlk
[sage saga]:2017/07/15(土) 00:08:49.94 ID:CXFmgjhU0
吹雪「ええっ!?」
阿武隈「操られて……でも、いったいどうやって?」
時雨「『薬品保管庫』で見つけたメモに、自我を奪う効能を持つ試薬のような物を使っていたって記述があったのを覚えてる?」
時雨「おそらくその薬を使って実験に使っていた艦娘たちの自由を奪っていたんだろうけど、それを少将にも使っていたとしたら……」
不知火「待ってください。仮に少将がその薬とやらを使われていたとしても、疑問が残ります」
不知火「自我を喪失などして正常な行動なんて出来るとは思えません。仮に少将が薬で自我を奪われていたとしても、他の艦娘たちが異変に気付くはずでは?」
時雨「確かに。メモの中でも投与した対象は廃人化してしまうような事が書いてあった」
時雨「しかしメモの最後の方には問題点を改善した試薬の改良型に関する記述もあったから、もしかすると廃人化という点は改善されていたのかもしれない」
不知火「少々強引ではないですか?」
時雨「まあ……実際にその薬の現物も見つけられなかったし、正直確証があるかと問われると微妙な所であることは否めない」
時雨「あるいは少将を取り巻く環境も要因の1つって可能性も考えられるよ。ここの艦娘たちの少将への心証はかなり悪かったみたいだからね」
時雨「艦娘たちと少将の接触が少ない……いや、少なくなるように仕組んでいたのかもしれない」
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 00:18:01.40 ID:13rlb6bb0
待ってたー!
368 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/15(土) 00:18:30.55 ID:CXFmgjhU0
初霜「だとしても、どうやって少将提督に薬を盛ったんです?」
初霜「時雨さんの仰る通りだとして……中将提督は少将提督の目を逃れる為に地下に潜った」
初霜「そんな状況で地上に出るのはリスクが高過ぎると思います。仮に人目を避けて地上に出たとしても、提督に薬を盛るなんて芸当……とても実行できるとは思えません」
時雨「そうだね。せっかく潜伏したのに頻繁に出入りしていたら露見するリスクは高くなる。中将もそんな愚は犯さないだろう」
不知火「では、どうやって?」
時雨「中将が地下から動けない以上、地上にいる少将に接触を図る方法はただ1つ……。地上に協力者がいたんだ」
吹雪「協力者?」
時雨「うん。中将には、自分が地下に潜伏した後も鎮守府の状況を窺い、時にはコンタクトを取るための協力者が存在したんだ」
時雨「その人物を少将に接触させ、彼に最も近い位置である秘書艦の座に就かせて……薬を盛るチャンスを窺わせた」
阿武隈「じ、じゃあ……その協力者って」
時雨「そう。中将と最も付き合いが長い存在といわれ、さらに中将失踪後すぐに少将の秘書艦に抜擢された艦娘」
時雨「今もそこで眠っている電。彼女が中将の協力者だったんだ」
中将「……!」
電「――――」ゴポポッ
369 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/15(土) 00:26:59.53 ID:CXFmgjhU0
吹雪「電ちゃんが……」
初霜「中将提督の、協力者……」
時雨「少将の手記によれば、少将は着任後の秘書艦選びに難航していたらしいけど、前任の代でも秘書艦を務めていた電の手腕に着目し高評価していた」
時雨「対する電も、少将への不満などは口にせず彼に従っていた。長門さんら他の艦娘達が不審がるほど忠実にね……」
時雨「おそらく電は少将に接近する為に、彼に気にいられるよう演技していたんだ。秘書艦の日誌や他の資料等でも、この頃から電の様子が変わったことが示唆されていたしね」
時雨「そうやって電は見事に少将の信頼を得て彼の秘書艦に任命された。秘書艦になれば少将に薬を盛るチャンスはいくらでもあったはずだ」
時雨「少将が中将たちの手に落ちたのは、あの手記が途絶えた頃……9月の中旬頃には、既に操られていたんだろう」
不知火「しかし、どうしてそんなことを……?」
時雨「理由は大本営の捜索から逃れるため」
時雨「地上で自分の生死と地下施設を探っている少将は、中将にとって目下の脅威であり邪魔な存在だったんだろうけど、だからといって下手に手出しも出来ない」
不知火「強引に排除なんてすれば、それこそ大本営に怪しまれてしまいますね」
時雨「そこで薬を使って少将を操ることで、少将という存在は排除せず脅威だけを取り除くことを思いついた」
阿武隈「なるほどね。少将を操っていたのなら、少将を装って大本営に偽の報告を上げるなんて事も出来るだろうし……。始末するより利用価値があったって訳ね」
時雨「うん。そうやって目下の脅威を除き、さらには地上に便利な代理人を置くことまで成功した中将は、地下での研究に専念できる環境を手に入れた」
時雨「細部まで合ってるとは思ってないけど、だいたいの流れとしてはこんな感じのはずだ」
370 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/15(土) 00:40:52.85 ID:CXFmgjhU0
ピピーッ ピピーッ ピピーッ
時雨「!」
阿武隈「なに……?」
中将「……」カタカタ...ピタッ
時雨(機械の操作を止めた……?)
中将「…………」
中将「……お前は駆逐艦時雨か?」
時雨「! ああ……そうだよ」
中将「大したものだ。まるで見てきたかのようだ」
阿武隈「じゃあ、やっぱり……!」
時雨「僕の推理は正解だった。ってことでいいのかな?」
中将「ああ。まさか時雨がここまで頭が切れるとは……」
中将「私の元にいた時雨はすぐに使ってしまったが……惜しいことをした。いや、個体ごとの差かもしれんがな……」
時雨「!」
不知火「こいつ……っ!」
時雨「なるほどね……。この艦隊の僕は、既にあなたの実験に使われていたから居なかったのか」
夕立「……!」
中将「そこまで分かっているのなら、その先のことも突き止めているのか?」
時雨「……ああ。だいたいのことは、ね」
371 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/15(土) 00:51:50.37 ID:CXFmgjhU0
時雨「少将を支配下に置き、大本営の目をかわせるようになったあなたは、本格的に研究を進め始めた」
時雨「その研究とはさっきも言った『深海棲艦を絶滅させる』為の研究」
時雨「たぶん最初は深海棲艦を倒す糸口を探る為に、深海棲艦に関する研究から始めたんだろう」
不知火「『検体保管室』にあった深海棲艦の標本や資料は、やはり深海棲艦のことを調べていた痕跡だったのですね」
時雨「少将を介して艦隊にも指示を出せるようになったことを利用して、艦娘たちに深海棲艦の残骸等の実験に使う素材を集めさせていたんだろう」
時雨「実際、執務室に残されていた『極秘命令書』にも、それを匂わせる記述があったからね」
時雨「だけど深海棲艦の残骸程度の素材で研究が捗っていたとも思えない……。おそらく研究は直ぐに暗礁に乗り上げたはずだ」
時雨「そこであなたが目をつけたのが……」
吹雪「鎮守府の艦娘、だね?」
372 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/15(土) 00:56:06.71 ID:CXFmgjhU0
時雨「そう。生物の生死に関わる研究なら当然生きた素材が必要になるはずだ。あなたはその素材に艦娘を利用することを思いついた」
時雨「少将を操っていたなら、地上の艦娘たちを秘密裏に攫うことくらいそう難しくはないはず」
時雨「しかも鎮守府では、少将が敷いた厳格な行動規定が設けられていたんだから尚更さ」
吹雪「そうか。任務以外の鎮守府内での行動が制限されてて、人が居ない状況を作り易い環境だったなら」
不知火「他の艦娘たちに知られることなく、特定の艦娘を攫うことも可能……」
初霜「少将提督が敷いた体制を逆に利用したんですね」
時雨「うん。僕の予想通りなら、少将は比較的早い段階で操られ始めたはず」
時雨「しかしその後も鎮守府の自由は制限されていった……これは少将に成り替わった中将の思惑で、実験に使う艦娘を攫い易くする環境を作ることが目的だったんだ」
阿武隈「つまり地上で起きていた『神隠し事件』の真相は、中将によって艦娘たちが次々と拉致され……地下で実験に使われていたってことね」
中将「……ふん」
373 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/15(土) 01:10:21.59 ID:CXFmgjhU0
夕立「でも深海棲艦を絶滅させることと、艦娘への実験っていうのにどういう関係があるの?」
時雨「それに関しては、検体保管室にあった記録から考えることが出来るけど……夕立と初霜は実際に見てはいないね」
夕立「ぽい」
時雨「検体保管室には『深海棲艦細胞に関する記録』が残されていたんだけど、その内容を見ると中将は深海棲艦の細胞に注目していたようなんだ」
時雨「同時にその記録の中には、深海細胞を素に何かを生成したという記述も残っていた」
初霜「何かを生成……?」
時雨「その記録から分かる限りでは『γ17』って名称の物質が実際に深海細胞から生成されたらしい」
吹雪「γ……あれ、これってどこかで……」
時雨「気付いたかい? そう……僕たちが見つけてきた資料の中にもう1つ。同じγという記号の入った物について書かれている資料があるんだ」
時雨「それは……ここにある『真新しい手記』。ここに書かれているγ-13号弾という物にも同じγの記号が使われているんだよ」
時雨「この手記に書かれているγ-13号弾という物は、おそらく『開発室』で研究されていた深海棲艦に対する新型の特殊弾。それの完成品だ」
時雨「そしてこの特殊弾の名称に使われているγという記号が、深海細胞から生成したというγという物質を示すものだとしたら……」
阿武隈「まさか……中将提督が作っていたのって」
時雨「深海細胞を使った対深海棲艦用の生物兵器。これが中将が目論んでいた『深海棲艦の根絶やし』の鍵。その正体だよ」
時雨「地下に連れてこられた艦娘たちは、この兵器を作るための人体実験に使われたんだ」
374 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/15(土) 01:15:39.78 ID:CXFmgjhU0
吹雪「生物、兵器……」
初霜「そんな物を作っていたなんて……しかも実験の為に艦娘たちを……失踪する以前には一緒に戦ってきたはずの艦娘を使うなんて……」
不知火「この男も少将と同類……我々艦娘のことなど、消耗品程度にしか思っていなかったのでしょう」
中将「……」ピクッ
時雨「……だけど、その兵器が完成するまでの間にもう1つ。事件が起きていたんだ」
阿武隈「もう1つの事件?」
時雨「この手記にも書かれている通り、この生物兵器はまだ最終実験というものも済んでいない。完成に至ったのは本当にごく最近のことなんだろう」
時雨「つまり、生物兵器の開発にはかなりの時間が掛かっていた。その間に起きたのさ……この鎮守府を廃墟に変える出来事が」
375 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/15(土) 01:24:53.96 ID:CXFmgjhU0
時雨「操った少将を使って大本営に偽の報告を送り追及をかわし続けていたんだろうけど、やがてそれにも限界が来てしまったんだ」
時雨「不知火、執務室のゴミ箱に捨てられていた命令書を覚えてる?」
不知火「ええ。あのクシャクシャにされた……何かの催促状のような書類ですね」
時雨「そう。不知火の言った通りあの命令書は、大本営から送られてきた少将への報告の催促だったのさ」
時雨「命令書の日付は2014年の1月。この頃にはもう少将を使った時間稼ぎは限界を迎えていたんだろうね」
時雨「一向に調査に進展を見せない少将を不審に思い始めた大本営は、たぶん少将に代わる新たな人間の派遣か、もしくは本格的な調査の手を入れるくらいの検討に入っていたんだろう」
時雨「もしそうなれば、せっかく作り出した研究環境は台無し。それどころか生物兵器が完成する前に全てが露呈してしまう危険すらあった」
阿武隈「進退窮まった、ってことね……」
時雨「追い詰められたあなたは、遂に最悪の手段に打って出た……それが『終末計画』だ」
376 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/15(土) 01:39:28.81 ID:CXFmgjhU0
初霜「終末計画?」
時雨「『オフィス』に残されていた書類の中に、そういう名称の作戦書があったんだ」
時雨「おそらく終末計画とは、大本営に中将の企みを察知された場合を想定した最終手段」
時雨「全てが露見する前に、全てを巻き添えに自爆する計画ってところだろう」
吹雪「じ、自爆!?」
時雨「正確には、自爆した風を装うのが目的。って言うべきか」
時雨「この頃にはまだ生物兵器自体は完成してはいなかったのだろうけど、試作品くらいは出来上がっていたんだろう」
時雨「開発室にあった報告書によると、特殊弾の実験自体は既に何度か行われていたみたいだしね」
阿武隈「じゃあ……それを使って」
時雨「試作段階の生物化学兵器を使い、大本営の手がこの施設に及ぶ前に鎮守府ごと崩壊させたんだ」
時雨「もちろん単なる事故――生物兵器が誤って使用されてしまった可能性も考えられるけど」
時雨「この計画の存在を考えれば、事故ではなく意図的なものだったとみてほぼ間違いないはずだ」
時雨「全ては大本営の目を今度こそ完全に逸らせる為……その為に地上で未知の生物化学兵器が使用されたんだ」
不知火「では、地上に残っていた艦娘たちは……」
時雨「開発室の報告書では、試作の段階でも艦娘と深海棲艦に対して何らかの強力な破壊作用が認められていたみたいだからね」
時雨「詳しい作用は分からないけど地上の惨状を見るに……鎮守府に残っていた艦娘たちは為す術もなく全滅したんだろう」
初霜「なんてことを……」
時雨「結果として計画は成功し、大本営も鎮守府は完全に崩壊したものと判断したんだろう」
時雨「後に大本営が調査の手を入れたかどうかは分からないけど、今日までこの地下施設が閉ざされていたことから、遂に発見されることはなかったんだろう」
時雨「あるいは、ここが崩壊した時点で下手に手出しせず、存在自体を本当に無かった事にしようとしたのかもしれない」
時雨「この地の存在そのものが、大本営にとってかなり都合の悪いものだったみたいだからね」
中将「……」
時雨「これが僕の考えるこの鎮守府で起きた異変の真相。そして鎮守府が廃墟と化した理由だ」
377 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 08:44:20.59 ID:qdW64reb0
良いところで……続きが気になる
378 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/07/15(土) 09:28:22.46 ID:Bd1adNLjo
待っててよかった......
379 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/15(土) 22:16:39.75 ID:as2Fl4bmo
お疲れさんデース
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/16(日) 01:15:25.68 ID:L6MlvDiyo
更新待ってました
381 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/16(日) 01:59:02.64 ID:gilXGWMN0
阿武隈「でも、あたしたちを襲ったあの怪物は……」
阿武隈「あれは一体何だったの? やっぱり、実験に使われた艦娘の成れの果てだったとか……?」
時雨「少なくとも初霜と夕立に化けていた2体に関しては、中将が意図的に作り出した物だろう」
時雨「だけどもう1体……。地上からずっと僕たちを襲ってきたあの怪物は、全く異なる経緯から生まれた文字通りの怪物だったんじゃないかな?」
吹雪「ど、どういうこと?」
時雨「地下の『資料室』で阿武隈さんと不知火が見つけたレポートに、あの怪物たちのことと思われる記述があったのを覚えてる?」
阿武隈「うん、覚えてるわ」
時雨「あの記述をよく読むと……深海棲艦化するパターンや、生身の人間に深海の力が作用するとどうなるか? ってことが書かれていると読み取れたんだ」
初霜「生身の人間……」
時雨「仮定だけど、これがもし終末計画実行後に確認されたものだったとしたら?」
吹雪「えっ」
時雨「生身の人間なんて鎮守府の環境上限られるよね。ここにいた人間は2人だけ……今目の前にいる中将でないとすれば、残るのは1人」
不知火「あの怪物の正体は……少将司令、だと……?」
時雨「おそらく終末計画が実行された際、既に用済みになった少将も他の艦娘と共に生物兵器によって始末される計画だったんだ」
時雨「だけどそこで生身の人間だった彼は、中将も予想していなかったような未知の変化を遂げ……結果、あの怪物に変貌した」
阿武隈「じゃあ、あれは少将提督の成れの果て……」
中将「……」パチ...パチパチパチ
382 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/16(日) 02:06:20.63 ID:gilXGWMN0
時雨「!」
中将「見事だ。まさか部外者の艦娘にそこまで突き止められるとはな」
中将「本当に大したものだ。仮に大本営の手の者がこの場にまで辿り着くことが出来たとしても、そこまで突き止めることは当的無いだろうと思っていたが……」
中将「やはり艦娘にはまだまだ可能性がある。あるいはこの場を……人間ではなくお前たち艦娘が突き止め、足を踏み入れたことも……奇妙な宿縁なのかもしれないな」
阿武隈「何なの……この人」
不知火「イカレてる……」
時雨「……」
初霜「時雨さん、1つ聞いてもいいですか?」
時雨「なんだい?」
初霜「今までの話でこの鎮守府で起きていたことは分かりました。だけどまだ気になることがあります」
初霜「最初に言っていた『この地に初めからあったという前身の施設』という存在……。それは一体何なんですか?」
時雨「ああ、まだそれが残っていたね」
383 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/16(日) 02:15:28.79 ID:gilXGWMN0
時雨「ここが鎮守府になる以前から存在していたもう1つの施設。鎮守府になった後もリスクを承知でわざわざ残しておく程に重要な存在だったことは間違いない」
時雨「正直、この部分に関しては僕自身まだ半信半疑……確証といえるものが無いんだけど。ここにあったのは恐らく……」
夕立「恐らく?」
初霜「……時雨さん?」
時雨「……」
中将「その様子では、お前は既に察しているのだろう? お前は頭が切れるようだ。何よりあの金庫の中身を見たのであれば、辿り着いているはずだ」
中将「この地で行われてきた悪魔の研究のことに。お前たち艦娘の原点に」
時雨「! それじゃあ……まさか……」
吹雪「艦娘の原点……?」
不知火「この男は、いったい何を言って……」
中将「言うなればここは始まりの場所。お前たちにとっては生まれ故郷ともいうべき場所なのさ」
阿武隈「生まれ……故郷……?」
時雨「やはりそうか……。ここは……ここにあったのは……」
時雨「艦娘の、開発施設」
中将「……素晴らしい」
384 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/16(日) 02:21:15.48 ID:gilXGWMN0
阿武隈「艦娘の……開発って……」
不知火「待っ、待ってください……時雨さん……何を言って……」
時雨「僕だってまだ信じられない……信じたくない……でもあの金庫……」
時雨「あの中に入っていた10年以上も前の日付が記された資料……。あれはどう考えても、今まで僕が話したこの鎮守府での出来事とは辻褄が合わないんだ」
時雨「資料に書かれていた内容に、この地下施設の設備……それに地下施設で見たあの本……このことから考えられるのは……」
中将「そう……ここは全て元々はお前たち艦娘を生み出す為に用意されたもの。そしてあの金庫の中の資料は、その記憶なのさ」
時雨「!」
中将「お前たちも知りたいだろう? 自分たちがなぜ今ここに存在するのか? どうやって作り出されたのか?」
中将「せっかくここまで辿り着いたのだ……知りたいのなら教えてやろう」
中将「大義の名のもとに狂気の実験に手を染めた、罪深き人間たちの話を。その果てにお前たち艦娘が生み出された……血の歴史をな」
385 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/16(日) 03:54:42.29 ID:AlpkXBud0
おうふ…中々にヤバそうな内容来たな…
死ぬしかないじゃない展開に発展しなければいいが…
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/16(日) 19:35:46.67 ID:kv9HpIic0
誰かがマミって全滅エンド?
387 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/16(日) 21:39:53.52 ID:wajQ+S3Z0
待ってた
388 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/16(日) 23:41:12.23 ID:Td20OLGGo
乙カレー
389 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/07/19(水) 20:50:44.88 ID:WxEICQEo0
待っとったで〜
390 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/22(土) 00:48:50.68 ID:qx7bPAFX0
中将「全ての始まりは、ある日突然海の底から現れた謎の艦艇――後に深海棲艦と呼ばれる存在の出現」
中将「人類の持つあらゆる武器の効力を受け付けぬ未知なる存在を前に、人類は成す術なく世界中の制海権を失い、滅亡の危機に立たされた」
中将「その脅威に対抗できる唯一の存在。それが在りし日の戦船の魂を持つ娘――艦娘」
中将「その力と活躍により、人類は制海権奪還に向けた最後の希望を艦娘に託した」
中将「世に広く知られるこの戦争の経緯、お前たちも当然知っていよう?」
時雨「……」コクリ
中将「では不思議に思ったことはないか? 劣勢に立たされていた人類側に突然現れた深海棲艦への対抗手段……艦娘とは一体何なのか? いつ、どのような経緯で誕生したのかと」
中将「お前たち自身答えられるかね? 自分たちが一体何者なのか。どうやって生まれたのか?」
吹雪「そ、それは……」
阿武隈「……確かに、あたしたちは知らないわ。艦娘として今の鎮守府に着任した事以外……それ以前の事も、何も……考えたことも無かった」
中将「だろうな。知るはずがない。何せ今となってはそのことを知る者は殆どいない。お前たちの指揮官である提督も知り得ぬことなのだから」
初霜「何だって言うの……あなたは、何を知っているというんです!?」
391 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/22(土) 00:58:02.34 ID:qx7bPAFX0
中将「きっかけは些細な、誰も予期していなかった小さな出来事だったそうだ」
中将「その出来事の詳細は既に伝承が途切れ、もはや誰も知り得ぬことだが……劣勢に立たされていた人類はある事件をきっかけに、嘗て世界に巻き起こった大戦で用いられた戦船。その魂というべき物の存在と、それが深海棲艦に対する有効手段に成り得ることを知った」
中将「希望を得た人類はすぐに研究を始め、在りし日の戦船の魂を用いた兵器の開発を急いだ」
時雨「……」
中将「当初こそ開発は順調に進み、戦船の魂を機械を通じて伝達させる技術の確立や、それを用いた試作第1号の開発にまでこぎ着けた」
中将「だが開発計画は直ぐに暗礁に乗り上げた。1号を始め、試作される兵器はどれも戦闘での実用性はおろか安定した運用すらままならない失敗作ばかりだったからだ」
初霜「失敗作……」
中将「何故だと思う?」
吹雪「なぜって……」
時雨「……わからないね」
中将「器だよ」
阿武隈「器?」
中将「それまで開発計画を進めていた者たちは、戦船の魂を機械の器――人工物に適応させることで対深海棲艦用の兵器を作ろうとしていた。それ自体が誤りだった」
中将「戦船の魂という大いなる存在を収めるには人工物などでは到底不可能な話。つまりは器となる存在が重要だったのだよ」
初霜「! まさか……」
時雨「……っ、そういう…ことか」
中将「その結果考案されたのが人間を器とした兵器の開発。お前たち艦娘の原型となる研究が始まったのだ」
392 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/22(土) 01:03:54.76 ID:qx7bPAFX0
不知火「人間の……器……」
吹雪「それが……私たち艦娘の……?」
中将「そう、原点だ。そして思った通り人間を器に作り出した試作品はこれまでにない成績を叩き出した」
中将「これにより開発計画の方針が確定し、開発推進の為にさらに多数の人間が器として研究に投じられ、開発は飛躍的に進んだ」
阿武隈「……」
中将「だが計画はまたしても大きな問題に直面した。研究の為に必要不可欠な素材――器となる人間が不足したのだ」
吹雪「……!」ゾクッ
中将「それまでは国家が戦時動員した挺身隊と呼ばれる志願者たちが主に使われていたが、そんな人材はすぐに底を尽きた」
中将「何せまだ手探り状態だった研究では、使用した素材はほぼ使い捨て……再利用率が極めて低かったからな」
初霜「素材……再利用率……っ!?」
不知火「人をどこまで……どこまで愚弄すれば……ッ!」プルプル
中将「……ふん。その台詞はそれを勧めた国家に言うべきだな。我々は国家の命に従ったまでなのだから」
不知火「……貴様はッ!」
阿武隈「不知火ちゃん! 落ち着いて!」
時雨「……」
中将「フッ、フフフ……。この程度で頭を熱くしていては、この先の話はまともには聞けないぞ」
中将「この先こそ……人という愚かな生き物の業の極み。本当の地獄が始まるのだからな……」
393 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/22(土) 01:07:57.20 ID:qx7bPAFX0
中将「素材となる人間の不足により開発計画は中断寸前にまで追い込まれ、より多くの素材の確保は急務になった」
中将「だが自ら進んで生贄になるような志願者はそうそう居るはずがない。追い詰められた国家は、遂に禁忌に触れる決断を下した」
阿武隈「禁忌に触れる……?」
時雨「……それが、あのリストに書かれていた子供たちなのか……!?」
吹雪「リストって、あの」
初霜「金庫の中にあった……まさか、あの資料は……」
中将「そう。あれは狂気に駆られ禁忌に触れた国家により犠牲となった無数の命を記した唯一の記録であり、記憶」
中将「深海棲艦の脅威から国を護るという大義の為と銘打ち、この国は秘密裏に戦災孤児や重病等で回復の見込みがないと判断された子供を集め、兵器開発に利用するという悪魔の手段を計画したのだ」
394 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/22(土) 01:17:40.30 ID:qx7bPAFX0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『これまでの研究の結果、器には大人の人間よりむしろ子供――特に少女に適性が高いことが判明しています』
『それはむしろ好都合だ。深海棲艦の襲撃により親を亡くし孤児となった子供、重傷を負った子供は国家が保護しているだけでも数百と居る』
『それだけ居れば、研究もより進展するだろう?』
『正気ですか? いくら何でもそのようなことは……』
『今は戦時下だ。それも国家……いや、人類存亡の危機といっていい情勢。人道だ人権だ等と平和だった時代の価値観を持ち出すのは筋違いもいいところだ』
『よいかね。これは必要な犠牲だ。子供たちには人類の生存と未来の為、今出来る最大の貢献を果たしてもらうのだ』
『それに使うのは身寄りのない孤児や、脳死などで植物状態になり回復の見込みもない子ばかり。未来の無い子供たちが人類の未来のための礎となる……素晴らしいことではないか』
『しかし……』
『海路を寸断され、これまで国家の生命線を他国との貿易に依存していた我が国に時間がないことくらい、君にも分かるだろう?』
『このままでは深海棲艦共の侵攻を待つ前にこの国は終わりだ。下らない議論で時間を費やす余裕は無い』
『…………』
『君とて自ら望んでこの研究に携わったのだろう? 人間を器にするという案も、君が発案したのではないか』
『……』
『実験に使う子供たちと必要な設備の手配は我々が何とかする。軍にも協力を仰ぐ手筈だ』
『君たちは一刻も早く、奴らに対抗しうる兵器の開発に全力を注ぐのだ。無駄な情など捨てたまえ』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
395 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/22(土) 01:28:51.79 ID:qx7bPAFX0
中将「そして造られたのがこの施設」
中将「表向きは孤児や重篤な障害を持つなど様々な理由で身寄りのない子供たちの為の保護施設を装い、裏ではその子供たちを使った人体実験を行う『艦娘開発施設』それがこの島の正体」
中将「ここは正に、人間の狂気を具現化したような、呪われた聖域」
中将「艦娘という未来を生み出すために……この地では数えきれない程の小さな命が、身勝手な国家と浅ましい人間の都合で無残に奪われたのだ」
吹雪「そん……な……」
中将「駆逐艦時雨。先ほどお前は、この地下施設を閉鎖したあと地上に鎮守府を造ったと推理していたが、それは正確ではない」
時雨「!」
中将「地上の施設自体は元からあった物なのだよ。この島に連れてこられた子供たちは、地上に設けられた施設で普通に生活していた……順番が来るまではな」
阿武隈「順番?」
時雨「……なるほど。あなたが鎮守府の艦娘たちに行っていたのと同じことを、前身の施設でも行っていたのか」
夕立「同じって……」
時雨「つまり、地上には連れてきた子供たちを収容するための施設が、地下には本来の目的である研究施設がそれぞれ存在していたんだ」
時雨「地上の子供たちは何も知らず普通に生活し、実験の順番が来ると地下に移され実験に使われた」
中将「そう。あの子たちは地下に連れられるまで、真実を知らされてはいなかった……」
396 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/22(土) 01:34:32.43 ID:qx7bPAFX0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『ねぇ先生。今日の健康診断って、注射とかもあるの……?』
『……注射は嫌いかい?』
『うん……痛いし、きらい』
『……大丈夫。今日の健康診断に注射はないよ』
『ほんと!?』
『ああ……。だけど、注射の代わりにお薬を飲む必要があるんだ。それは平気かな?』
『うん! 注射に比べたらお薬飲むのなんてへっちゃらだもん!』
『……いい子だ』
『心拍数が急上昇しています。血圧も――』
『ユニットの出力が強すぎるんだ! 出力を弱めろ!』
『出力40まで低下。検体の心拍数、依然戻りません』
『くっ……もっと下げろ! 急げ!!』
『! 主任、検体の脳波が――――』
『やはり今の出力では検体がとても耐えられないようですね』
『……ああ。1度ユニットのほうを調整する必要があるな』
『わかりました。では今回の実験はこれで……この遺体はいつものように処理を――』
『…………』
『主任?』
『…………』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
397 :
◆Paxl0Q5Mlk
[saga]:2017/07/22(土) 01:39:36.27 ID:qx7bPAFX0
中将「自分たちが元から殺される為に集められたということ……屠られる家畜のように生かされていたことを、子供たちはこの場所に連れられて初めて知らされた」
初霜「っ、なんて……酷いことを……」
中将「唯一救いと言えるのは、脳死や重篤な障碍を持つ者でも艦娘として適合すれば新たに健常な生を受けられるということ……。その場合は未来を与えられると言える」
時雨「……」
中将「そうして作り出されたのがお前たち、艦娘。数多の命の犠牲の果てに生み出された存在。それがお前たちの正体だ」
阿武隈「犠牲の、果て……」
不知火「馬鹿な……そんな与太話……信じるとでも」
中将「信じられぬかね? 私の言う事など」
中将「なら、そこの名探偵に聞いてみればいい。私の話は全て口からのでまかせ、妄言なのか? とな」
不知火「! 時雨さん!?」
時雨「……不知火」
不知火「なっ……そ……そん、な……」
中将「フッ、フフフフ……」
吹雪「それじゃあ、私たち……元は人間から……」ブルブル
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