スノーホワイト「ファブが逮捕された?」

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84 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:03:00.75 ID:ntNEhCei0
いくら力を込めようとも、アリスの掴んだ錫杖から引き離す事が出来ない。
こんな華奢な体のどこにそんな力があるのか?
そう考えていた時、リブラの腹部に激痛と衝撃が走り吹き飛ばされた。
アリスがヤクザキックを放ったのだ。

カプリコーン「だらしねえなぁ天秤さんはよぉ…俺はそこらのファントムとは違うがな」

アリスに攻撃を放つモーションを見せたカプリコーンめがけて上空から剣が投擲され
カプリコーンの右腕を切り裂いた。
黄緑の体液が傷口から噴出する。

ラ・ピュセル「うおおおおお!!」

カプリコーン「ぐわあっ!」

剣と共に降りてきたラ・ピュセルが剣を拾い、追撃の斬撃をカプリコーンに食らわせた。
衝撃を受けたカプリコーンの体が宙を舞った。

スノーホワイト「そうちゃん!」

ラ・ピュセル「もう大丈夫だ小雪!君は僕が守る!」

アリス「私もいます」

ラ・ピュセル「そうだね。僕達で守るよ」

スノーホワイト「いえ、私も戦う。あれは放っておけない!」

リブラ「くっ……今度は三人も現れるとは予想を超える厄介さだな……だが」

オウル「…………」

両腕に鉤爪を付けた灰色の姿をしたファントムがアリスに飛びかかる。
鉤爪が錫杖を叩き落とし、真っ白な肌を切り裂いた。
追撃しようとするもラ・ピュセルの牽制で妨害され
更に先ほどアリスに与えた傷が塞がりつつある現状に警戒して大きく後退した。

リブラ「遅いぞオウル、仕方ないここは引くとしよう。だが次こそ上条恭介を絶望させてやる」

ラ・ピュセル「待て!!」

オウルの口から吐き出される煙幕が後を追おうとするラ・ピュセルの行く手を阻んだ。
煙幕が晴れた時には三体のファントムの姿が消えていた。

85 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:03:29.31 ID:ntNEhCei0
裏路地にて…


矢沢「あの騎士風の魔法少女め。よくも俺の体に傷をつけやがってよぉ……ああああああああ!!!!」

リブラ「落ち着くのだ。魔法少女が三体もいたのは想定外だが目的は順調に進んでいる」

リブラ「あいつらはダミーに釘づけとなり、ゲートへの対応が遅れるだろう」

オウル「…………」





スノーホワイト「ファントムはまた上条くんを狙ってくるはず」

ラ・ピュセル「そうだね。いつファントムが現れても対処できるように僕達で見張ろう」

アリス「……スノーホワイトさん、これ差し上げます」

スノーホワイト「このナイフはアリスの…」

アリス「私は武器が無くても戦えます。スノーホワイトさんが使った方が役に立ちます」

スノーホワイト「でも……じゃあこのパンと交換でどうかな?それぐらいしか渡せる物が無いけど」

アリス「嬉しいです。大事に使います」

スノーホワイト(本当は戦ったりなんてしたくない。けど皆の希望を守るためなら怖がっていられない)

ラ・ピュセル「小雪も戦う決意を固めたって顔してるね」

スノーホワイト「え?そうかな?」

ラ・ピュセル「うん、昔の小雪は喧嘩を見るだけでも泣き出す泣き虫だったけど、今は強い意志を感じる目をしてるよ」

スノーホワイト「もう!そんな昔の話をしないでよそうちゃん!」

アリス「クスクス」

86 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:04:48.96 ID:ntNEhCei0
次の日


音楽室


今日も和彦のレッスンに付き合う恭介、そこにさやかと小雪の姿もあった。
さやかは恭介の様子が気になっていたのと、小雪はファントムの襲来を警戒しての事である

〜♪

和彦「…先輩」

恭介「君……指を大事にしろよ。君の指は黄金の指だ」

小倉先生「素晴らしい!元々君には才能があると思っていましたが、とうとう開花したようですね」

和彦「先生!」

小倉先生「昔の上条くんに勝るとも劣らない」

小倉先生「君に足りないのはあと一つだけだ。それを達成すれば今の上条くんと同じになれるでしょう」

小雪(『今の』上条くんと同じ……?)

さやか「凄いじゃん恭介!弾くだけでなく教える才能もあったんだ」

恭介「僕は大した事してないよ。和彦くんの努力の成果だよ」

和彦「先輩……ありがとうございました!」

恭介「まだもう少し時間あるし、次はもっと難しい曲弾いてみようか」

和彦「はい!」


廊下


小雪「もういいの?さやかちゃん」

さやか「うん、恭介のあの楽しそうな笑顔見ちゃったら、これ以上心配する必要無いの分かったから」

さやか「ねえ小雪、これから一緒に買い物でもしない?」

小雪「ごめん、これからちょっと用事があるんだ」

さやか「そっか じゃあまた明日」

87 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:05:22.58 ID:ntNEhCei0
郊外駐輪場


小倉先生「…………」カチャカチャ

小雪「何をしているんですか?先生」

小倉先生「いや……あの……自転車の調子が悪くてね」

小雪「先生が自転車に乗るようには見えませんけど」

小倉先生「何がいいたいのかね?姫河くん」

小雪「また教え子の才能を潰す気ですか先生?」

小倉先生「……ッ!」

小雪「先生なんですよね?上条くんの自転車に細工をしたのも…」

小倉先生「……馬鹿なガキだ」

小倉先生の顔に紋章のような物が浮かび上がると共に
灰色のファントム、オウルへと姿を変えた。

小雪「小倉先生が……ファントム!?」

オウル「そうです。小倉一郎はサバトの日に既に死んでいる。それを知った君も死になさい!」

鉤爪が小雪に突き刺さる寸前、ピンクの光と花びらがオウルの視界を奪い、攻撃を躱される。
光が消えた先には小雪の姿はなく、白い魔法少女スノーホワイトが目の前に立っていた。

オウル「姫河、まさか君が魔法少女だったとはな」

スノーホワイト「許せません!ファントムを生み出すために皆の希望を奪う貴方達を!」

オウル「ククク……カカカッ!!君は一つ勘違いをしているよ」

スノーホワイト「え?」

オウル「もし上条くんがゲートだとしたら才能を奪った時点で絶望しファントムを生み出しているよ」

オウル「そして和彦くん、彼もゲートでは無い。絶望させた所でファントムは生まれない」

スノーホワイト「それならどうしてこんな事を!」

オウル「知りたいか。それは……」

88 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:06:10.82 ID:ntNEhCei0
その頃、音楽室の外では…


ラ・ピュセル「今の所はファントムの動きは無いね。アリスの所は?」

アリス「ファントムの姿は見当たりません」


ラ・ピュセルとアリスは恭介の周囲を見張り、ファントムを警戒していた。
だが敵は警戒していた所とは別の場所で現れていた。
少女達の悲鳴が校舎の外から聞こえていた。


ラ・ピュセル「アリス!」

アリス「はい」

二人の魔法少女が悲鳴の聞こえた方へ向かうと
二体のファントムが一人の少女を絶望させ、ファントムが生まれそうになっていた。
少女達の悲痛な叫び声が響き渡る。

さやか「恭介が……恭介が……」

まどか「さやかちゃん!!しっかりしてぇ!!」

杏子「嘘だろ……こんな所でくたばんじゃねえぞ!さやかぁ!!」

ほむら「美樹さん……お願い、元に戻って!」

ラ・ピュセル「お前ら!!初めからあの子が狙いだったのか!!」

カプリコーン「正解〜♪だけど遅かったなぁ。フォオオオオオオ!!」

リブラ「陽動にまんまと引っかかってくれて楽に絶望させる事が出来たよ」

アリス「あの子に何をしたんですか?」

リブラ「フフフ、彼女の愛しい相手の命が無残に奪われる幻覚を見せただけさ」

ラ・ピュセル「彼女をファントムになんてさせない!絶対にさせるもんか!」

カプリコーン「おっと〜ファントムが生まれるまでの間は俺達と遊んでもらうぜ」

89 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:06:39.77 ID:ntNEhCei0
――――


オウル「それは……趣味だよ」

スノーホワイト「趣味ってそんな事の為に!?」

オウル「私はね。才能に溢れた若者達を絶望させるのが趣味なのだよ」

オウル「ただ手にかけるだけではつまらない。才能を潰して惨めに生きてもらわなければ」

オウル「それに私が生まれた時に消滅した小倉一郎も他人の才能に嫉妬していたようですしね」

オウル「死者への良い手向けとなっているでしょう?ククククッ……ハハハハハ!!」

スノーホワイト「……知っていますか?夢って言うのは呪いと同じなんですよ」

スノーホワイト「途中で挫折した者はずっと呪われたまま……らしいです」

スノーホワイト「貴方の……罪は重い!」

オウル「…………」


体育館


かつてない程の怒りを露わにしたスノーホワイトの動きは今までと違っていた。
敵の反撃もさほど意に介せず、ナイフでオウルの体に次々と傷を与えていた。
オウルが距離を取るとガスを吐き出し、煙幕を作り出した。
敵の姿が煙幕で消えてもスノーホワイトは動じなかった。
オウルはスノーホワイトの猛攻に動揺している。
心の声は筒抜けであった。
スノーホワイトは声の聞こえる方向へ向けて、煙幕の闇の中でナイフを突き出した。

スノーホワイト「…………」

オウル「…………」

静寂の沈黙が続く中、煙幕が晴れた。
ナイフはオウルの胸に深々と突き刺さっていた。
青白い炎がオウルの身体から発せられ、灰となり崩れ落ちて消滅した。

90 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:07:40.74 ID:ntNEhCei0
――――


リブラ「行け!ダスタード!」

アリス「早く、助けないと…」

カプリコーン「フォオオオオオ!!」

ラ・ピュセル「くっ!」

須藤「そこの怪物、動かないでください!」

ダスタードの群れがアリスを囲い、カプリコーンの衝撃波がラ・ピュセルを吹き飛ばす。
焦りもあって苦戦してる所に刑事が現れ、ファントム達に銃口を向けた。
昨日、ここの近くでファントムが目撃された情報を知り
須藤刑事は周囲の張り込みをしていたのだ。

カプリコーン「そんな物が俺達に通用すると思ってるのか?刑事さんよぉ!」

須藤「くっ……仕方ありません!発砲します!」ズキューン ズキューン

カプリコーン「全然痛くな〜い。そらよ!」

須藤「ぐわぁ!」

カプリコーンの角ブーメランが須藤の右肩を切り裂いた。
ブーメランの衝撃で須藤は吹き飛び、アスファルトに頭部をぶつけて意識が沈んだ。

ラ・ピュセル「刑事さん!……アリス!伏せて!」

アリス「……!」

カプリコーン「ぎゃああ!!」

ラ・ピュセルは剣を巨大化させて横に薙ぎ払った。
それはダスタードの群れと須藤に気を取られていたカプリコーンを切り裂いた。
リブラだけは攻撃を回避し、迫りくるアリスの攻撃を待ち構えていた。
アリスのパンチがリブラに当たる。だがまるで手ごたえが無い。
気付くとアリスの背後から錫杖を振るリブラがいた

アリス「……?」

リブラ「幻影だ。死ね」

ラ・ピュセル「アリスーー!!」

リブラ「これでまずは一人」

錫杖がアリスの首を刎ね飛ばした。
切断面から鮮血を噴き出しながら倒れるアリスの体。
アリスは勝利を確信していたリブラの足を掴んで思いっきり投げ飛ばした。

リブラ「な、なぜだ……なぜ生きている!」

アリス「…………」

リブラ「ウワアァァァァァァァァァァァァァーー!!!」

首の無くなった状態で立ち上がるアリス
その姿に恐怖心を覚えたリブラは悲鳴を上げながら後ずさった。
91 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:08:15.02 ID:ntNEhCei0
カプリコーン「おい天秤!逃げんじゃ…」

ラ・ピュセル「うおおおおおおお!!」

カプリコーン「フォオオオオオオオオ!!」

リブラ「ひっ……ひぃいいい!!」

ラ・ピュセルの大剣がカプリコーンの体を両断し爆散させた。
一人残されたリブラは怯えながらそそくさと逃げていった。

さやか「きょう……すけぇ……」

ラ・ピュセル「急がなきゃ!アリスは見張りを頼む」

アリス「はい」

さやか「うう……」

ラ・ピュセル「僕が希望になる!だから諦めないで!」

ラ・ピュセルはさやかにエンゲージマジカルリングを装着させた。
さやかのアンダーワールドへと入っていく。
そこには巨大な人魚のような姿をしたファントムが暴れていた。

オクタヴィア「ウワアアアアアアアア!!」

ラ・ピュセル「君をここから出す訳には行かない!倒させてもらうぞ!」

唸り声を上げながらオクタヴィアは車輪を飛ばした。
車輪を躱しつつ接近したラ・ピュセルが空高く跳躍し
剣を巨大化させてオクタヴィアの体を切り裂いた。

さやか「あ、あれ?私は」

まどか「さやかちゃん!良かった無事で……」

杏子「全く、心配かけさせんじゃねえぞ!」

ほむら「美樹さんを助けてくれてありがとう。魔法少女さん」

ラ・ピュセル「これからはもう大丈夫だよ」

恭介「さやかー!良かった無事だった……」

仁美「さやかさんが怪物に襲われたと聞いた時は心臓が止まるかと思いましたわ」

さやか「恭介……って仁美は習い事があったんじゃ?」

仁美「友達が危険な目に会ってる時にそんなのやってられませんわ。抜け出してきましたわ」

さやか「もう、仁美って妙な所アグレッシブなんだから」

恭介「ねえさやか、こんな時に言うのもアレなんだけど……」

さやか「どうしたの?」

恭介「後で僕の家に来てくれないか?」

さやか「え?」///

ほむら「あら大胆」

まどか「それって部屋の中で二人っきりで……」///

仁美「上条くん……まだそういうのは早いと思いますの……」///

恭介「言っておくけどきっと皆、誤解してるからね!」

92 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:08:54.54 ID:ntNEhCei0
――――


ラ・ピュセル「行こうか」

アリス「そうですね」

スノーホワイト「ラ・ピュセル!アリス!……ファントムは?」

ラ・ピュセル「一体は倒したよ。もう一体には逃げられたけどね」

スノーホワイト「私の所にもファントムが一体現れて」

ラ・ピュセル「大丈夫だった?」

スノーホワイト「うん。アリスがくれたナイフのおかげで倒せたよ」

アリス「……」///

須藤「つっ……」

須藤の意識が覚醒して起き上がる。
肩の傷が酷いが後遺症が残るほどではない。
すぐに病院へ行けば時期に現場復帰できるであろう傷だった。

須藤「あの怪物達は?」

スノーホワイト「安心してください。私達が倒しました」

須藤「君達が?……ネットで騒がれている魔法少女の都市伝説は本当だったのですね」

スノーホワイト「はい!私達、魔法少女が怪物達の手からこの街を守ります!だから任せてください!」

正義の魔法少女として皆に頼ってもらいたい。
そんな小雪の気持ちを伝えただけであり、何の悪意も無かった。
だが警察を正義と信じ続けた刑事に取って、その発言は彼に悪影響を与えた。
絶望の心の声がスノーホワイトに突き刺さる。

『魔法少女に任せろ……と、つまり警察は引っ込んでいろ、という訳ですか』

スノーホワイト「え?いや、ちが」

『そうですよね。力の無い者がウロウロした所で邪魔でしか無いですからね』

須藤「これからも頑張ってくださいね『正義』の魔法少女さん」

スノーホワイト「刑事さん!」

ラ・ピュセル「人が集まってきた。行こうスノーホワイト」

スノーホワイト(刑事さん……私、そんなつもりじゃ……)

須藤(『正義』は警察側には無かった。『力』を持つ魔法少女側にあったのですね)

須藤(警察官になって正義の味方になる。そんな夢を見ていた私が馬鹿でした)

93 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:09:33.80 ID:ntNEhCei0
恭介宅


さやか「それで用って何かな?」

恭介「最後に僕の曲を聞いてもらいたいんだ。少ししか弾けないけどさ」

恭介「本当はステージでさやかに聞かせる約束だったけど果たせなくなっちゃったからさ」

さやか「いいよ。恭介の曲、聞きたい」


〜♪


美しい音色が響き渡る。
さやかにとってとても懐かしい曲だった。
恭介が怪我をする前はよく聞いていた。
もし怪我が治った未来があったなら大きなステージで
沢山の観客に聞かせていたと思うと残念で胸が苦しくなる。
だけど曲を弾いてる恭介の顔には後悔も挫折も無い。
音楽を楽しんでいる表情をしていた。
曲が突如止まった、恭介の指が痙攣しこれ以上弾くことが出来なかった。

恭介「ここまでだ」

さやか「……恭介」

恭介「僕、ようやくヴァイオリンを捨てることが出来る」

恭介「僕の代わりに弾いてくれる人が出来たから」

さやか「あっ」

窓に立った恭介はヴァイオリンを外に投げ捨てた。
恭介の顔は呪いが解けたようにすっきりしていた。

94 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:10:08.28 ID:ntNEhCei0
次の日


校内にて

仁美「上条くん……」

恭介「何?話って」

仁美「実は私、上条くんの事、お慕いしてましたの……」

恭介「そうか。嬉しいよ!僕も志筑さんの事を愛してるよ」

仁美「え?本当ですか?」///

さやか「あ……ごめん。邪魔しちゃったかな……じゃあ」

恭介「待って!僕はさやかの事も愛してるよ!」

仁美「上条くんどういう事ですの!?さっき私の事愛してるって」

恭介「そうさ。僕は世界中の女性と恋愛して生きると決めたんだ!あの、紅音也さんのように!」

さやか(確か、紅音也って物凄いスケコマシという噂があったんだっけ)

恭介「鹿目さん〜!姫河さん〜!一緒に魔法少女トークしながらデートしようよ!」

恭介「もっと暁美さんの事も知りたいな〜土曜日にデートしよ〜」

恭介「ねえ佐倉さん。美味しいスイーツ奢るからさ日曜日にデート行こうよ」

さやか「こらー!女子に手当たり次第ナンパするなー!」


ファントムのアジトでは


フェニックス「なぁメドゥーサ、唯一帰ってきたリブラはどうなってる?」

メドゥーサ「さっきから怯えて使い物にならないからシュルトケスナー藻に入れてるわよ」

フェニックス「ああ、あのもずく風呂か」

リブラ「……恐怖心……私の心に恐怖心……」
95 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/10(金) 08:12:49.27 ID:ntNEhCei0
今回はここまで
登場するのはファントムという名の別物ばかり……
楽器を窓から放り投げるシーンは危ないだろ!とツッコミを入れた思い出


登場キャラ紹介

鹿目まどか
魔法少女に憧れる女の子だよ
もし魔法少女になってたら神になってたよ


暁美ほむら
クレイジーサイコレズだよ
もし魔法少女になってたら悪魔になってたよ


美樹さやか
恭介ラブその1な女の子だよ
もし魔法少女になってたら私って……本当に馬鹿……になってたよ


佐倉杏子
お菓子大好きな女の子だよ
もし魔法少女になってたらさやかに自爆特攻してたよ


上条恭介
天才ヴァイオリニストだよ
最後は音楽の情熱が全部異性に向かうようになったよ


志筑仁美
恭介ラブその2な女の子だよ
二次創作でワカメ呼ばわりされてるよ


須藤雅史
正義漢の強かった刑事さんだよ
ファントムを放置する警察へ落胆し、力を渇望するようになったよ


リブラ
幻覚の魔法が使えるファントムだよ
無駄にしぶといのは元ネタ通りだよ


カプリコーン
角ブーメランや衝撃波が使えるファントムだよ
レイザーラモンHGの真似をよくするよ


オウル
毒ガスを吐いて煙幕に出来るよ
スノーホワイトがまじおこする程の外道だよ


オクタヴィア
さやかのアンダーワールドのファントムだよ
さやか本体では無いから倒しても安心だよ
96 : ◆kJur2.rMxfRZ [ saga]:2017/03/23(木) 14:32:46.66 ID:8BpL/jcZ0
寂れた商店街

現在、この地でスノーホワイト、ラ・ピュセル、ハードゴアアリス、ウィンタープリズン、シスターナナの
五人の魔法少女が集まっていた。
スノーホワイト、ラ・ピュセル、ハードゴアアリスの三人はプリズンの指示の元で鍛錬を行っていた。
事の経緯はスノーホワイトがファントムとの戦いで己の力不足を痛感したこと。
ラピュセルやアリスの手を借りずとも戦えるほどの強さを欲するようになった。

本来、スノーホワイトは争い事を好まない。
だが以前に戦ったファントム、オウルのような人の心を持たない怪物達に対し激しい怒りを感じ
強い意志を持って戦う決意をしたのであった。


スノーホワイト「はぁはぁ……」

プリズン「今日はここまでにしよう」

スノーホワイト「大丈夫です。もう少しだけ」

プリズン「何事もやり過ぎはよくない。多少の余力を持たせた方が長続きするんだ」

スノーホワイト「分かりました。ありがとうございます」

ラ・ピュセル「アリスは凄いな。力ではとても敵わないよ」

アリス「ラ・ピュセルさんも攻撃を見切って動けるのは凄いです」

シスターナナ「皆さん、お茶の準備が出来ました。一緒に頂きましょう」

甘い香りの漂うハーブティーにスコーンやパイなど様々なお菓子を用意してくれた。
ハーブの刺激は疲労した肉体を癒すような気持ちにさせてくれた。

97 : ◆kJur2.rMxfRZ [ saga]:2017/03/23(木) 14:33:18.22 ID:8BpL/jcZ0
シスターナナ「そうですか……ファントムがそのような行動をなさっているとは嘆かわしい事です」

スノーホワイト「だから少しでも強くなってファントム達から市民を守りたいんです……傲慢な気持ちかもしれませんが……」

シスターナナ「いえ、それはとても素晴らしい考えです。自信を持ってください」

シスターナナ「ファントムと戦えるのは私達魔法少女にしか出来ない使命なのですから」

スノーホワイト「シスターナナさん……」


その時、スノーホワイトの耳から助けを求める声が次々と流れ込んでくる。
声のする方向を向くと、町の一部が赤く燃えていた。

『火、火がぁー!!』 『早く消防車を呼べ―!!』 『誰か助けてッ!!』



スノーホワイト「困ってる人達の声が…!」

プリズン「皆、行こう」

ラ・ピュセル「はい!」

98 : ◆kJur2.rMxfRZ [ saga]:2017/03/23(木) 14:33:49.21 ID:8BpL/jcZ0
火事現場


フェニックス「ハハハハ!!さあ、燃えろ燃えろぉ!!戦いの狼煙だぁ!!」

プリズン「あのファントムが火を付けていたのか」

フェニックス「お?早速魔法少女共が集まってきたか。そうだ、この俺様が火をつけてやったぜ」

シスターナナ「どうして?どうしてその様な酷い事をするのです?」

フェニックス「それは、てめえらを呼ぶためさ。目立つから見つけやすかっただろ?」

スノーホワイト「そんな事の為に街の皆を危険に晒して…許せない!」

プリズン「シスターナナ、スノーホワイト、アリスの三人は市民の救助を頼む」

プリズン「私とラ・ピュセルはこのファントムを倒す」

シスターナナ「分かりました。気をつけてください」

スノーホワイト「皆を避難させたらすぐに戻ります!」

アリス「……頑張って」

99 : ◆kJur2.rMxfRZ [ saga]:2017/03/23(木) 14:34:32.14 ID:8BpL/jcZ0

―――――


プリズン「行ったか……二人で奴を倒すぞラ・ピュセル」

ラ・ピュセル「はいプリズンさん!」

フェニックス「二人だけでいいのか?こっちとしては五人束になってかかってきてもよかったんだぜ」

プリズン「その減らず口、すぐ叩けないようにしてやるさ」

ラ・ピュセル「騎士として……魔法少女として……お前に勝つ!!」

フェニックス「面白ぇッ!!俺の名はフェニックス!!てめえら魔法少女共を狩りに来たファントムだ。覚えておけ!!」

名乗り口上の後、フェニックスは二人へ急接近する。
フェニックスが愛用する大剣カタストロフがラ・ピュセルへと振り下ろされる。
寸前で剣で受け止める物の衝撃は凄まじく後方へ弾き飛ばされて建築物に衝突した。

追撃をしようとしたフェニックスの側面をプリズンが殴りつける。
一撃目でフェニックスの動きが止まる。
二撃目でよろけさせ、三撃目を入れようとした所でフェニックスが拳を受け止めた。

フェニックス「なかなかのパンチだなぁ。だがそんな攻撃じゃ俺は倒せねえよ!」

プリズン「ぐ、ああああ!!」

掴まれた腕が火に包まれる。
火が腕だけじゃなくプリズンの体全体に燃え広がった。
100 : ◆kJur2.rMxfRZ [ saga]:2017/03/23(木) 14:35:19.76 ID:8BpL/jcZ0
ラ・ピュセル「こん、のおおおおおおッ!!」

フェニックス「おっとぉ!惜しいな騎士様よぉ」

フェニックスがプリズンの腕を離して下がる事でラ・ピュセルの斬撃を開始した。
ラ・ピュセルは続いてフェニックスに剣を振るうが避けられ、大剣で受け止められ致命打を与えられない。

ラ・ピュセル「このっ!このぉーーッ!!」

フェニックス「ほらほら!頑張れ、ちゃんと狙って来いよ、惜しいぞ、もっとこい!」

がむしゃらに剣を振り続けたラ・ピュセルだが疲労が蓄積し動きが徐々に鈍る。
攻撃が緩くなった所で今度はフェニックスが攻め始めた。

フェニックス「こっからは俺の攻撃だぜ!そおらぁ!!」

ラ・ピュセル「ぐっ!」

フェニックス「おら!しっかり防げよ、簡単にくたばんじゃねえぞ、右から斬るぞ、次は左からぁ!本気で躱さねえと死ぬぞ!」

ラ・ピュセル「あう!うう……」

上段、中段、下段、左右と次々に放たれる斬撃を必死にしのぐラ・ピュセルだが
その切れ味は重く、速く、全てを躱しきれる事は出来ずにいた。
全身に斬り傷が付けられ、白く綺麗な肌が赤く染まっていく。

フェニックス「この一撃を、防いでみろ!!」

ラ・ピュセル「うわああああああ!!」

フェニックスの大振りの横一線の一撃がラピュセルを襲った。
右腰から左肩にかけて斜め横に斬り裂かれて鮮血が吹く。
フェニックスの強力な斬撃を受けたラ・ピュセルは立つ事も出来ず、そのまま海へと落下していった。
101 : ◆kJur2.rMxfRZ [ saga]:2017/03/23(木) 14:35:45.87 ID:8BpL/jcZ0
プリズン「ラ・ピュセル!!」

フェニックス「まだ動けたか、だったらもっと楽しませてもらうぜ」

プリズン「邪魔をするな!」

フェニックス「壁だと!?それがてめぇの魔法か。そんな物、障害にならねえぜ!」

フェニックスの周囲に壁を生やし、行く手を塞ぐが
彼の斬撃にかかれば発泡スチロールを斬るかの如く次々と破壊して見せた。
得意げになっていたフェニックスだがプリズンの姿が消えてる事に気付く。

フェニックス「あのアマ、逃げやがったな!!」

フェニックス「まあいい、まだ獲物は三匹も残ってるんだからな」


――――


プリズン(死ぬなよ……ラ・ピュセル)

フェニックスから逃走したプリズンはラ・ピュセルを探しに海に潜っていた。
海水で火傷が痛むか。意に介してる暇など無い。
すぐに救助しなければ……。
102 : ◆kJur2.rMxfRZ [ saga]:2017/03/23(木) 14:37:41.88 ID:8BpL/jcZ0
今回はここまで
テンポを考えてゲート枠のゲストキャラは無しにした
103 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/26(日) 23:07:06.63 ID:yDBXins50
スノーホワイト「シスターナナさん、周辺の市民の救出は終わりました!」

シスターナナ「そうですか。ではすぐに二人を助けに行きましょう」

アリス「……はい」

火事現場での救出を終えた三人はすぐさまフェニックスと交戦している二人の元へと向かおうとした。
その時、爆発が起き、火柱のような巨大な炎が吹き荒れた。
フェニックスの仕業と気づいた三人は燃え盛るエリアへと移動した。

スノーホワイト「ファントム!!」

フェニックス「来たか。次はお前らが俺様の相手をしてもらうぜ」

スノーホワイト「二人は?二人はどうしたの!?」

フェニックス「あん?マントの女には逃げられたぜ。騎士の方は知らんな。多分くたばっただろうさ」

シスターナナ「なんという事を……」

スノーホワイト「そうちゃん……よくもそうちゃんを!!」

アリス「スノーホワイト、あいつは私が倒します」

フェニックス「やれるもんならやってみなぁ!!」

フェニックスの左腕から放たれた業火がアリスの身体を包んだ。
アリスは燃えたままフェニックスへと駆けた。
細腕から放たれる拳をフェニックスが軽々と避けると、お返しとばかりに大剣で斬り付けた。
ずるりとアリスの上半身が滑り落ち、ぺしゃりと地面に落下した。
104 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/26(日) 23:07:37.41 ID:yDBXins50
シスターナナ「きゃああ!!」

フェニックス「おっと、あっさり殺しちまったか?まあ、あと二匹をじっくり痛めつければそれでいいか」

アリス「…………」

フェニックス「ぐがぁッーー!!?」

フェニックスが二人へ視線を向けた隙を付いたアリスが足を掴むと
ゴキリと足首を折り曲げ、バランスを奪った。
思わぬ激痛を受けたフェニックスが足元にいるアリスを睨みつける。

その時、フェニックスは気づかなかった。
視線を下に向けたと同時に飛びかかるスノーホワイトの存在に。
スノーホワイトの影を見てようやく気付いた時には、既に彼女は眼前に迫り。

スノーホワイト「…………ッ!!」

フェニックス「がぁあああああああーーーー!!!!」

スノーホワイトの右手に持ったナイフがフェニックスの左目を突き刺し。
全力を持って、深く抉り込むように押し込んだ。
痛みに耐えながらもフェニックスがスノーホワイトの右腕を掴むと炎を発して腕を焼いた。
焦げた臭いを発しながらもナイフを離さないスノーホワイトに業を煮やしたフェニックスは
腕を引っ張り力づくでナイフを引き抜かせた後。
スノーホワイトの腹部を蹴り飛ばして、一旦距離を取った。
蹴りを受けたダメージが大きいのか、スノーホワイトが咳き込み血を吐いた。

スノーホワイト「うっ、ごほっごほっ……」

フェニックス「なかなか根性あるじゃねえか白い魔法少女!!殺しがいがあるぜ!!」

105 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/26(日) 23:08:18.01 ID:yDBXins50
――――


プリズン(どこだ……ラ・ピュセル、ん?あれは……)

颯太「…………」

プリズン(男の子が溺れてる。先に彼を助けないと)


防波堤


プリズン「心臓は……動いているな。おい、しっかりしろ!」

颯太「う……」

プリズン「よかった。気づいたようだな」

颯太「助けてくれたんですか?ありがとう。ウィンター・プリズンさん」

プリズン「ッ!?もしかしてラ・ピュセル」

颯太「……?そうですけど、………あああ――ッッ!!??」

プリズン「話は後だ。私はファントムを追う。君はここで休んでくれ」

颯太「待ってください!僕も、つっ……」

プリズン「無理はするな。回復するまで休んでいるんだ」

颯太「……はい」

プリズン「良い子だ」

颯太の頭を撫で、プリズンは爆発の起こっている方向へと駆けて行った。

106 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/26(日) 23:09:05.44 ID:yDBXins50
――――


フェニックス「そらぁ!!」

アリス「…………」

大剣がアリスを斬り裂く、どんな怪我でも治る魔法によってフェニックスを相手に一歩も引かずに戦うが
再生速度はそれほど速くは無く、フェニックスは遠距離からの炎とリーチのある大剣を使い
アリスは一方的に攻撃を受け続けていた。

スノーホワイト「はぁ!!」

フェニックス「読めてるぜ!!」

スノーホワイト「ぐぅっ……」

左目を失ったフェニックスの死角となる部分から攻撃を仕掛けるスノーホワイトだが
そこから仕掛けてくるのは予想済み、フェニックスの陽動にまんまと釣られる形になった。
左手から放たれる地獄の業火がスノーホワイトの身体を焼き、怯ませる。

フェニックス「くたばれや!」

スノーホワイト「――ッ!?」

大剣を振り下ろす寸前、二人の間に誰かが割って入った。
シスター服の魔法少女、シスターナナであった。

シスターナナ「ああ……」

スノーホワイト「シスターナナさん!!」

フェニックス「お仲間を守ったって訳か。なら仲良くあの世に行かせてやるぜ!」

プリズン「ナナァ―ーー!!」

フェニックス「さっき戦った魔法少女か。今さら一匹駆けつけても遅いぜ!!」

プリズン「貴様ァ!!」

フェニックスの周囲から壁が次々と生え、彼を押しつぶさんと迫る。
壁同士が衝突を起こす前にフェニックスは上空へ飛んで回避した。

フェニックス「上空からなら壁は届かねえだろ?食らいなぁ!!」

プリズン「ぐはっ……」

上空から大きな火球を作り出し。プリズンへ投げ落とした。
移動して直撃は避けるが、地面に接触した火球は大きく燃え広がってプリズンを包んだ。
炎で身動きが取れない所に、落下速度を勢いに利用したフェニックスの振り下ろしの斬撃がプリズンの身体を裂いた。
107 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/26(日) 23:10:01.35 ID:yDBXins50
フェニックス「うぉっ!」

アリスがフェニックスの胸に飛び込み、腕を背中に回して力いっぱい締め上げた。
鯖折りでフェニックスの背骨をへし折ろうとしているのだ。
みしみしと身体が軋む音を立ててる中、フェニックスは全身を炎で包んだ。
アリスの身体が焼け続けるも締め上げる力は緩まない。

直接引きはがそうとした所でスノーホワイトが飛びかかる。
頭部に向けられたナイフを左腕に刺させる事によりガードをした。
更にアリスの頭部を掴んで握り潰し、拘束から抜け出した。

スノーホワイト「はぁ……はぁ……」

フェニックス「ここまで俺に傷を負わせるとはなぁ。予想以上に楽しめたぜ、ありがとよ」

左目を失い、背骨にヒビが入るほどの負傷を受けるのはフェニックス本人にも想定外であった。
それだけ骨のある相手に感謝をしつつも終わらせる時が来た。
ナイフを引き抜いた後、フェニックスはスノーホワイトにトドメを刺すべく近づき
左手で彼女の喉を締め上げ、持ち上げた

スノーホワイト「あっ、ぐ、うっ……」

フェニックス「あばよ」

ラ・ピュセル「やめろォオオオオオオオオッッッ!!!!」

トドメを刺す寸前にラ・ピュセルがフェニックスの前に現れた。
瀕死のダメージを負っていたが、彼に支給されたアイテム、アヴァロン・レプリカにより
治癒能力が向上して動けるようになるまで回復する事が出来た。

スノーホワイト「そう……ちゃん……」

フェニックス「騎士様の登場か。だが少し遅かったなぁ。そぅら!!」

スノーホワイト「んぐぅーーーッ!!!」

大剣がスノーホワイトの腹部を貫いた。
彼女の柔らかい内臓の感触を楽しみながらずぶずぶと深く刺した。

ラ・ピュセル「小雪ぃいいいいいッ!!!!」

フェニックス「お姫様を守れなかったなぁ……はははっははぁはっはっはぁ!!」

ラ・ピュセル「許さない……お前だけは絶対許さない!!」

フェニックス「俺もてめえを生かすつもりは無いがなぁ」

ラ・ピュセル「うおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!」

ラピュセルの体内に何かが爆発したような感覚が起こり、魔力が急上昇した。
体中から力が溢れ出る、ラ・ピュセルはその力をフェニックスへの怒りに一点集中させ
剣をビルほどの巨大なサイズへと変えていった。
108 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/26(日) 23:10:47.14 ID:yDBXins50
フェニックス「面白れぇ!!その馬鹿みてえにでけえ剣を正面から叩き割ってやるぜ!!」

ラ・ピュセル「よくも小雪をォーーーーッ!!!」

ラ・ピュセルの巨大な剣がフェニックスの頭上へと振り下ろされる。
フェニックスは高笑いをしながら大剣で受け止めた。

ラ・ピュセル「ぐっぐぅううう!!!!」

フェニックス「どうしたぁ?この程度か!」

ぴしっと亀裂が走った。
フェニックスの持つ大剣カタストロフに亀裂が。
パキンッとカタストロフが砕けた。
抑えてた物が無くなったラ・ピュセルの剣はフェニックスの身体を真っ二つに切断した。

フェニックス「あ……?」

フェニックスが自分の死を悟ったのは、真っ二つになってから数秒もかかった。
なぜ俺が負けた?と思った。
さっきまで自分が一方的に嬲り殺しにしていた魔法少女に負けるはずがない。
自分が倒された真実はとても納得できる事では無かった。

フェニックス「この、俺様が……てめえら如きに倒されるとは、うぐぐ……ぐがああああああああああッッッ!!!!」


フェニックスの身体が爆散して消滅する中、遠くで見つめる一人の男がいた。

白い魔法使い「……これでいい。この調子で力を付けるのだ」

109 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/26(日) 23:11:46.06 ID:yDBXins50
――――

ラ・ピュセル「小雪ぃ……小雪っ!!」

白い魔法使い「下がっていろ」

ラ・ピュセル達の前にテレポートした白い魔法使いがスノーホワイトに向けて手を差し出した。
するとスノーホワイトの傷は見る見る内に塞がり、彼女は意識を取り戻した。

スノーホワイト「……あれ?そうちゃん?」

ラ・ピュセル「小雪……よかったぁ!!」

ラ・ピュセルは目を覚ましたスノーホワイトの体を抱きしめた。
照れも恥ずかしさも何もない。
小雪が生きていて良かったと心の底で想ったからこその抱擁である。
その気持ちはスノーホワイトの心にも聞こえていて
心がとても温かい気持ちになった。

スノーホワイト「そうちゃん……」

ラ・ピュセル「小雪……」

シスターナナ「ありがとうございます白い魔法使いさん。私達の治療をして頂いて」

白い魔法使い「いや、私が来るのが遅かったせいで君達に怪我を負わせることになって済まないと思っている」

白い魔法使い「君達は私の『希望』なのだ。生きていて本当に良かった」

プリズン「……一つ気になったんだが」

白い魔法使い「何だ?」

プリズン「ラ・ピュセルがファントムと戦った時、急激に力を引き出せた理由が知りたい」

アリス「私も気になります」

白い魔法使い「それはスノーホワイトを想う意思だ」

シスターナナ「意思ですか?」

白い魔法使い「そうだ。大切な人を想う意思が大きければ大きいほど、力を引き出す事が出来るのだ」

プリズン「なるほど、だから剣で貫かれたスノーホワイトを見て、ラ・ピュセルはこれほどの力を……」

白い魔法使い「君達はもっと強くなれる。これからもファントムと戦い、街の平和を守ってほしい」

シスターナナ「もちろんです。それが魔法少女の使命ですから」

白い魔法使い「では私は引き続き、ワイズマンの調査を続ける。さらばだ」

110 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/26(日) 23:12:17.24 ID:yDBXins50
――――


ラ・ピュセル「……あの、ウィンター・プリズンさん」

プリズン「分かってるよ。君の元の姿の事は誰にも言わないよ」

ラ・ピュセル「ありがとうございます」

プリズン「スノーホワイトは君の正体を知ってるのかい?」

ラ・ピュセル「知っています。コンビを組んですぐ伝えました」

プリズン「そうか。スノーホワイトの事、大切にしなよ」

ラ・ピュセル「はい」

111 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/26(日) 23:14:35.88 ID:yDBXins50
今回はここまで
幹部ファントムを倒したよ やったねそうちゃん
魔法少女達が希望なのも、大切な人を想う意思が強さになるのも白い魔法使いにとっては本心なのでしょう
112 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 03:59:27.39 ID:B8XPwOb20
ファントムのアジト

メデューサ「貴方が負けるなんてね フェニックス」

フェニックス「うっせえ!!次は負けねえ!!」

ラ・ピュセルの斬撃によって一度、死を迎えたフェニックスだが
彼は不死身であり、どんな攻撃を受けても復活するのだ。

リブラ「フフフ……恐怖を乗り越えた私は新たなる能力『ラプラスの瞳』を手に入れる事が出来たぞ!」

リブラ「二人とも私の能力が知りたいですか?どうしてもと言うなら教えても」

メデューサ「興味無いわ」

フェニックス「どうでもいいぜ」

リブラ「」ショボーン

ソラ「ハロー♪みんな、お久しぶり〜」


新たなファントムが軽快な声で挨拶をしてやってきた。
陽気で人懐っこい性格をしたファントム、グレムリンである。

113 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:00:02.62 ID:B8XPwOb20
フェニックス「あん?グレムリンか」

ソラ「僕の事は『ソラ』って呼んでよ。ユウゴ」

フェニックス「だったら俺の事もフェニックスって呼べよ」

ソラ「えー、ユウゴはユウゴじゃん。僕は人間の時の名前で呼びたいんだよ」

フェニックス「だったら俺もお前の事はグレムリンとしか呼ばねえぜ」

ソラ「もう、つれないなぁ」

メデューサ「何しにきたの?グレムリン」

ソラ「何だか魔法少女達に苦戦してるみたいだからさ。僕がお手伝いしようと思ってね」

フェニックス「あいつらは俺の獲物だ!!てめえらは手出しするんじゃねえ!!」

ソラ「そこまで言うならユウゴに任せるよ。それにここに来た本心は……」

メデューサ「ッ!?」

ソラ「ミサちゃんに会いたかったからさ」

ソラはメデューサの髪へ手を伸ばし、感触を楽しむような手つきで触れた。
メデューサの長く美しい髪は一目見た時からソラを魅了していた。
髪を持ち上げて、自身の鼻先まで持っていくと、髪から放つ甘い香りをすぅっと吸い込んだ。

ソラ「相変わらず綺麗な髪だね。とっても素敵だよ」

メデューサ「気持ち悪い、離れろ!!」

ソラ「いてて……いきなり突き飛ばすなんて酷いじゃないか」

フェニックス「おいグレムリン、あんまメデューサ怒らせんなよ」

ソラ「今日はミサちゃんの顔も見れたし、これで失礼するよ。じゃあね〜ウフフフ」

リブラ「得体が知れない奴だ……グレムリン」

メデューサ「彼は信用出来ないわね」

114 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:00:50.79 ID:B8XPwOb20
――――


ソラ「ミサちゃん……いつか白い服を着させたいなぁ……そして、あれ?」

ふと自分の右手を見ると髪の毛が一本絡まるように付いている事に気付いた。
メデューサに突き飛ばされた時の衝撃で毛が一つ抜けたのだ。
その髪の毛を食いつくように見つめるソラの息遣いは徐々に速く、荒くなっていく。
髪をつまむとゆっくりと口元へと運び……咥えた。

ソラ「ん、くちゅ……ちゅ、ちゅぱっ……はぁっ、んむ……ふぅ、ぷはぁ……ごちそうさま ミサちゃん♪」

髪を飲み干したソラは恍惚な表情を浮かべていた。

115 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:01:25.56 ID:B8XPwOb20
――――


電脳空間

ファズ「やぁ♪このSSを呼んでる諸君、僕はファズだぽん」

ファズ「あの禿げ、じゃなくてケイネスさんの為に色々お手伝いしてるぽん」

ファズ「それにしても魔法少女達のデータをチェックしているけど、まさかリップルの変身者があの子とは因果だぽん」

ファズ「あと気になるのが相手の心を読むスノーホワイトの魔法だぽん」

ファズ「電子妖精である僕の心も読めるのかは疑問だけど用心の為に接触は出来る限り避けるぽん」

ファズ「……まあ、この偉大なる頭脳を持った私なら動揺せず、心を読ませないようにするのも容易いだろうがなぁ!!」

ファズ「ヒャーハハハハハハハハハハハ!!!!……こほん」

ファズ「今、気がかりなのはファントムの探索すらまともにしていないマジカロイド44とカラミティ・メアリの二人だぽん」

ファズ「面倒だけど、電子妖精の立場として行動しておかないと不自然に思われるぽん 行ってくるぽん」

116 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:01:56.44 ID:B8XPwOb20
――――


ファズ「ヘイ!マジカロイド44!!」

マジカロイド「なんデスか?」

ファズ「ちゃんとファントム退治に精を出すぽん!そうじゃないと正式な魔法少女になれないぽん!」

マジカロイド「色々やってマスよ。メアリさんと協力して」

ファズ「それはただの金儲けじゃないかぽん ファントムとは全然関係無いぽん」

マジカロイド「細かいデスね。お金を儲けつつ捜索してるんデスよ」

ファズ「正式な魔法少女になればちゃんと給料が支払われるぽん。それまではちょっと我慢してファントム退治してほしいぽん」

マジカロイド「分かりましたよ。まあ今日のアイテムはハズレデスし、ファントム討伐は次の日になりマスね」

ファズ「ハズレぽん?」

マジカロイド「はい、こんな変な斧じゃファントムを倒せまセン」マッテローヨ!

ファズ「あ……あ……」ガクガクブルブル

マジカロイド「どうかしましたか?あ、手が滑りました」イッテイーヨ!

ファズ「ぎゃああああああああああああああああ!!!!……って、私の体はホログラムだった」

マジカロイド「……大丈夫デスか?」

ファズ「ふざけているのか!!このクソガキぃいいいいいい!!ショックで私の心臓が止まったらどう責任取るつもりだぁあああ!!」

マジカロイド「心臓あるんデスか?」

ファズ「はっ……ただのジョークぽん!電子ジョークぽん!」

ファズ「では他にも用事があるのでこれで失礼するぽん」



マジカロイド「……明らかに感情ありマスよね?この電子妖精」

117 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:03:23.74 ID:B8XPwOb20
―――


メアリ「このアタシに何の用だい?」

ファズ「真面目にファントム退治をしてほしいぽん」

メアリ「正義の魔法少女として街を守れってかい?」

メアリ「はん!そんな物は青臭いガキ共に任せとけばいいんだよ」

ファズ「そう言えばマジカロイドもカラミティ・メアリもマジカルリングを装着してないぽんね」

メアリ「アタシの感が言うんだよ。あの白い魔法使いは信用するなってね」

ファズ「くくくっははははははは!!!!面白い……面白いぞ!!カラミティ・メアリぃ……」

メアリ「何がおかしいんだ?」

ファズ「確かに君の言う通りだ。あいつは信用してはならん存在だ」

メアリ「白い魔法使いの事を知っているような口ぶりだねぇ」

ファズ「くくっ知っているさ。あいつを忘れた事など一度も無い!」

メアリ「それで何を知っているんだい?正直に白状しな」

ファズ「そう急くな。私は君が気に入った。だから教えてやろう」
118 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:04:08.11 ID:B8XPwOb20
ファズ「あいつの目的はファントムの殲滅ではない。賢者の石だ」

メアリ「賢者の石だって?」

ファズ「それさえあればあいつは願いを叶える事が出来る」

メアリ「それでどんな願いを叶えようって言うんだい?」

ファズ「その願いは……くだらない。本当にくだらない願いさ」

ファズ「あいつは自分の娘を生き返らせたいんだとよ」

メアリ「世界征服でも無く永遠の命でも無く、娘の命とは随分とまぁ甘い願いだねぇ」

ファズ「ああ、だからこそ自分の娘を何とも思わないあんたこそ!!」

ファズ「白い魔法使いの願いを踏みにじるのに相応しい存在だと確信したのだよ!!」

メアリ「だったら今始末しちまった方が速いんじゃないのかい?」

ファズ「白い魔法使いの力は強大だ。殺すにはタイミングが必要だ。それに……」

ファズ「ただ殺すだけでは私の憎しみは消えない。あいつにはあと少しで賢者の石が手に届きそうな所で」

ファズ「横から掻っ攫い、希望から絶望へ叩き落して殺害してこそ、私の復讐が完遂するのだ!!」

メアリ「あんたは一体何者なんだい?そこまで白い魔法使いを目の敵にするなんてさ」

ファズ「私は被害者だよ。奴のせいでこんな体にされたのさ」

メアリ「へえ、じゃあさ。その白い魔法使いをぶっ殺したら賢者の石はどうするんだい?」

ファズ「好きにするがいい。私は奴に復讐さえ出来ればそれでいい」

メアリ「そうかい」

ファズ(嘘だけどなぁ。私が電脳世界の神として君臨する為に賢者の石は利用させてもらう)

ファズ(本来ならケイネスしか使えないマスター権限だがシステムは既に掌握済みで私が自由に使う事が出来る!!)

ファズ(魔法少女達が歯向かった所で私の指示一つでいつでも命を奪うことが出来るのだ!!ははははははは!!)

119 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:04:48.34 ID:B8XPwOb20
――――


美容院


女性客「ソラくーん」///

ソラ「あ、○○さん 本当にこの服着てくれたんだね。嬉しいなぁ♪」

女性客「だってソラくんがお勧めしてくれた服だもん」///

ソラ「僕の思った通り、○○さんの綺麗な黒髪にその白い服はベストマッチだよ。これから彼氏もイチコロだ」

女性客「もー、彼氏なんていないわよ〜」

ソラ「それじゃあ僕が彼氏に立候補しちゃおうかなー」

女性客「やだもう〜!」///

ソラ「じゃあいつものカットでいいよね」

女性客「うん、お願いねー♪」

120 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:05:17.20 ID:B8XPwOb20
――――


ソラ「はい、おしまい」

女性客「やっぱソラくんのカット最高♪また来るね〜」

ソラ「そうだ。本当は内緒なんだけど、これどうぞ」

女性客「住所の書かれた紙?」

ソラ「実はここ、僕の知り合いが経営してる秘密の美容サロンがあってね」

ソラ「そこに通うとお肌がすっごく綺麗になれて愛用してる有名人も多いんだ。実は僕もよくそこに通ってるんだ♪」

女性客「へぇ〜」

ソラ「今度、時間ある時でも一緒に行こうよ」

女性客「それなら今日、私休みだから言っちゃおうかな〜」

ソラ「ほんと!じゃあ僕が案内してあげるよ!」

女性客(やった♪今夜はソラくんとデートだ)///



ソラ(ミサちゃんの髪を味わったせいかな……もう抑えが効かなくなってきちゃった)

ソラ(君で46、いや47人目かな。僕が捨てる恋人になってくれるのは♪)
121 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/03/31(金) 04:07:36.44 ID:B8XPwOb20
今回はここまで
ソラはファントムの中で唯一、性欲残ってそう
そういえばリップルの変身前の姿も黒髪ロングヘア―だね


思いついたネタ

ソラ「ワイズマンなんかより僕の事を好きになってよミサちゃん!」

メデューサ「お断りよ。貴方なんかワイズマン様の足元にも及ばないわ」

ソラ「うう……ワイズマンのどこがいいんだよ〜」

ねむりん「どうしたの?」

ソラ「ミサちゃんがね。僕よりもワイズマンの方が好きだって言うんだ」

ねむりん「それなら君がワイズマンになったら」

ソラ「僕が……ワイズマンに……?」

ねむりん「ファントムは誰だって、ワイズマン候補なのさ〜」


これが発端となり、ソラがワイズマンを裏切る事になりましたとさ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 17:28:45.35 ID:B8XPwOb20
ファントム編までは書き切る予定だけど読者おるんかな?
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 18:16:08.32 ID:8OFpiWFuO
ここにいるぞ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/31(金) 20:16:18.51 ID:vvt4bgWe0
気にせず書くがよろし
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 12:37:30.60 ID:gwMfqTZaO
魔法の国は手抜きしないで貴虎兄さん辺りを派遣しろよと思う
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 17:23:12.84 ID:iVokQmJd0
貴虎兄さんとルーラは足して2で割ればちょうどいい気がする
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 00:12:16.32 ID:/1/fRr0U0
兄さんが混ざったら甘くなりすぎるだろ
128 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:28:47.21 ID:vk+h2UDc0
それは、まだ僕が新米の美容師だった頃かな
その時に彼女と出会ったんだ。
まだ拙い腕前だったけど、彼女は僕のカットを褒めてくれたんだ。


とても、とっても嬉しかった。
僕は必死になって腕を磨いた、彼女にもっと褒められたかったんだ。
彼女の笑顔が見たい、笑顔を見れたら僕も同じように笑顔になれる。
すごい、上手、才能がある、彼女に言われる度に僕は自信が持てた。


僕は彼女に告白した。
今の関係が崩れるかもしれないと怖かったけど
彼女に貰った自信のおかげで告白する勇気が湧いた。
僕の告白を聞いた彼女は首を縦に振った、告白を受け入れてくれたんだ。


僕は幸せだった、今まで生きてきて最も幸福に包まれた時間だった。
同じ家に暮らし、同じ物を食べ、同じ場所で寝る。
彼女とずっと生きていけるなら他には何もいらない。
全てを彼女に捧げたっていい。
僕は彼女を愛し続け、その身を尽くしてきた。


至福だった日々が唐突に崩れ去った。
彼女は「もう付き合えない さよなら」と言い放った。
どうして?僕が何か悪い事したの?嫌な所があったら直すから!!
だから……僕を捨てないで……!!


僕の言葉を聞いても彼女は去ろうとする足を止めない。
一方的に拒絶された僕は、あまりの悲しみに嘆き、絶望し、そして憎しみが沸き上がった。
無意識の内に、仕事用のハサミを手に持った僕は、本能のままに彼女を襲った

129 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:29:34.74 ID:vk+h2UDc0
彼女を突き飛ばして、馬乗りになった僕は髪を乱暴に掴みあげて、がむしゃらにハサミで切り落とした。
髪は女の命って言うよね、ザクザクと切っていく感触がまるで彼女の命を少しずつ削り取っていくような気持ちにさせた。
長く美しかった長髪が、醜い短髪へと変化していく。
泣き叫ぶ彼女の怯えた姿を見て、僕のそれはズボンの上からでもくっきりと分かる程に怒張していた。


僕は欲情をしていた。
命を奪われようとしている彼女の姿が、今まで見たどの姿よりも官能的に感じた。
彼女のわき腹に向かってハサミを振り下ろした。
刺した箇所から純白の服に赤い染みが広がっていく。
苦痛で悶絶する彼女はとても綺麗だった。


お腹、胸元、腕、太もも、首と色んな個所を突き刺した。
そして動かなくなった彼女を見て冷静さを取り戻した時に下腹部に違和感を覚えた。
どうやら僕は彼女を刺し続けている内に、達したらしい。


彼女のまだ温かい唇に口づけをした。
これは別れのキスだ。
とても悲しいけど彼女はあんなに愛した僕を捨てようとした。
だから僕は彼女を捨てることにした。


僕は彼女の亡骸を人の立ち寄らない場所へ運んで埋めた。
僕を捨てようとした彼女だけど、彼氏として最期の後始末はしたかった。
亡骸を埋めて黙祷して供養する、それを怠ったら僕はただのケモノになり果てる、気がしたから。


その後、僕は新しい彼女を作った。
その子にも僕はひたすら愛情を向け続けた。
だけど、新しい彼女も再び僕を捨てようとした。
そして同じように僕は彼女を捨てて、お墓に埋めた。


僕は彼女を捨てる度に性的興奮を覚えるようになった。
そして彼女を捨てる度に思う。
僕を受け入れてくれる女性なんて現れない事を。


いくら彼女達の身体を辱めて捨て去ろうとも、心までは自分の物には出来ない。
一人なんて嫌だ!一人なんて寂しいよ!そんな僕の心の溝を埋めようと彼女を作っては捨てていく。
そしてある日の事、僕はサバトに巻き込まれて、その身を怪物に変えさせられた。

130 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:30:16.29 ID:vk+h2UDc0
現在、お手製のサロンで僕は47人目の彼女を捨てた。
サロンは四方を赤いカーテンで覆われている。
最初の彼女を捨てた時に気付いたんだ。
白と黒に赤を足した時の色合いの美しさに。
だから僕は赤も好きなったんだ。


全身をハサミで切り刻まれた47人目の彼女に別れの口づけをして
僕は彼女をお姫様だっこで持ち上げて、サロンの外に出た。
サロンの外は風化した廃ビルであり、誰一人近づくことはない。


彼女をお墓まで運び、掘っておいた穴の中に置いてから土を被せた。
お墓の中には47人の彼女がいる。
だから寂しくなんて無いはず、安心して成仏してね。

131 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:30:47.01 ID:vk+h2UDc0
ファントムのアジト


フェニックス「やっと魔力が回復したぜ。これで魔法少女達をぶっ殺しにいける」

ソラ「ハロ〜 ねえユウゴこれあげる。プレゼントだよ」

フェニックス「花だぁ?んなもんいらねえよ」


そう言ってユウゴは花束を燃やした。
ファントムになる前は、花を愛する優しい青年だったらしく
花を見て、人間だった頃の心が戻ると思ったけど無理みたいだ。


ソラ「ミサちゃんには白いドレス。今度来てみてよ」

メドゥーサ「私はこの服で十分よ」


ミサちゃんも服を受け取ってくれなかった。
何度も服をプレゼントしてるのに一向に着てくれない。
どうしたら着てくれるんだろう?


ソラ「ハヤミにはこれだよ♪」

リブラ「パズル……?まあ貰ってやろう」


なんとなくハヤミはパズルのピースを飲みそうな気がしたのでチョイスした。
受け取ってはくれたけど、期待とは裏腹にピースを飲み込む事は無かった。


フェニックス「グレムリンよぉ。俺達にプレゼント渡して何を企んでやがる?」

ソラ「僕はただ、皆と仲良くしたいだけだよ♪」

メドゥーサ「貴方は余計な真似せずに大人しく待機してなさい」

リブラ「あまり軽薄な態度を取っていると、扱いがどんどん軽くなるぞ」

ソラ「あまり喜んでもらえないようで残念だよ〜ウフフフ♪」

132 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:31:17.52 ID:vk+h2UDc0
僕はファントムになった後も僕のままだ。
だけどその例は、僕だけだった。
他のファントムは全て人間の心が消滅して、ファントムとしての人格が宿っていたのだ。


僕はファントムの中でも、孤立した存在になっていた。
誰も僕の事を、滝川 空(ソラ)として見てくれない。
ファントムであるグレムリンとしか扱われないんだ。


人間にも愛されない。
ファントムにも愛されない。
僕と言う『個』は誰にも受け入れてくれない。


そうだ、この世界には魔法少女という。
人間達の希望となる存在がいるんだよね。
それなら人間である僕の事を全て、受け入れた上で
拒絶する事無く、ずっと愛し続ける彼女になってくれる魔法少女もいるのかな?


僕に本当の彼女が出来たらもう、彼女を捨てることも
捨てた後に訪れる空虚な感情も消えて、至福の日々に戻れるかもしれない。


ソラ「魔法少女達なら僕の理解者になってくれるのかなぁ?会いたいな……ウフフフフフフフ」

133 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/04(火) 01:34:33.60 ID:vk+h2UDc0
今回はここまで
ソラを好き勝手に書いてたら原作よりエロい奴になった

>>125
他者の悪意に鈍感なメロンの兄さんでは不幸な事になりそう

>>126
どっちみち部下に裏切られるイメージしか湧かない
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 12:20:09.02 ID:LkVVdLmmO
魔法少女がソラを倒せそうなビジョンが見えない...
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 16:51:06.76 ID:/1/fRr0U0
むしろフェニックスの方がヤバいかな
ウィザードがいないから太陽に蹴り飛ばせないし
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 22:56:31.90 ID:ZBMLxqmTO
ライダーからの登場人物が軒並み悪党しかいない件
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/04/14(金) 21:32:34.30 ID:vNmThPwz0
おかしいな、最初はギャグだったのに本編以上に殺伐としてるぞ
138 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:25:43.98 ID:R4ADrii20
都会の上空にて


マジカロイド「ファントムと戦え、とは言われましたケド……」

マジカロイド「そんな金にもならない面倒な事はしたくないデス」

マジカロイド「適当に探索だけでもして体裁を取り繕えば、それで十分でしょう」

ユウゴ「おい!!」

マジカロイド「おや?下から声が聞こえマスね」

ユウゴ「おい!!そこの飛んでる奴!!」

マジカロイド「どうやらワタシを呼んでいるようデスね。仕方ないデスから降りるとしましょう」


――――


ユウゴ「お前、魔法少女という奴だよなぁ?」

マジカロイド「そうデスよ。ワタシに何か用デスか?」

フェニックス「やっぱりそうか!!お前、この俺様と戦えよ」

マジカロイド「げげげ!?その姿はファントムデスか!」

マジカロイド「冗談じゃありません!私は帰らせてもらいマスよ!」

フェニックス「逃げんじゃねえ!!」

マジカロイド「ギャーッ!!」

空を飛んで逃げようとするマジカロイドだったが
フェニックスの手から放たれた地獄の業火によって撃ち落とされた。
139 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:26:47.71 ID:R4ADrii20
フェニックス「おいこら!何逃げようとしてんだよ。ファントムと戦うのが魔法少女の使命じゃないのか?」

マジカロイド「ワタシはそんな強くないんデスよ。デスから荒事は他の魔法少女達に任せているのデス」

フェニックス「そうかい。てめえみたいな腑抜けを相手にしてもつまらなそうだからさっさと殺して次に行くか」

マジカロイド「待ってくだサイ!!ワタシが知る中で一番強い魔法少女を紹介するので命ばかりは見逃してくだサイ!!」

フェニックス「お前……ほんとに魔法少女かよ……てめえが助かりたいからって仲間を売るなんてよ」

マジカロイド「世の中で一番大事なのは自分の命デスよ!自分が助かる為なら処女だって捧げマスよ」

フェニックス「……まあいい、その正直さに免じてお前を殺すのは後回しにしてやるよ」

マジカロイド「本当デスか!?」

フェニックス「俺は嘘なんか付かねえよ。おら、さっさと案内しろや」

マジカロイド「は、はい!!」


――――


ネオン街


フェニックス「この辺りにいるのか?その強い魔法少女ってのは」

マジカロイド「はい!もちろんデス!」


マジカロイドに運ばれる形でフェニックスは魔法少女のいる街まで飛行して移動をした。
フェニックスからは「手を離したら真っ先に殺す」と念を押されていたが
彼の逆鱗に触れる事を出来る限り避けたかったので、そもそも地面に落とす選択肢などマジカロイドには無かった。

140 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:28:09.36 ID:R4ADrii20
マジカロイド「カラミティ・メアリさん!!助けてくだサイ!!」

メアリ「そいつは……なんでアタシの所にファントムなんか連れて来てんのさ?」

マジカロイド「案内しなければ殺すと、あのファントムに強制されたのデス!」

フェニックス「おいおい、お前が連れて…」

マジカロイド「お願いデス。あのファントムをやっつけてくだサイ」

メアリ「はぁ、かったるいねえ」

フェニックス「まあいいか。お前、強いんだってな。俺様の相手をしてもらうぜ」


銃声が響いた。
メアリの拳銃から放たれた弾丸がフェニックスの額へ命中した。
「カラミティ・メアリをムカつかせるな。煩わせるな」を口癖にしてる彼女の性格からして
癪に障る相手に対しては一切の躊躇無く引き金を引けるほどの凶暴性を持っている。


フェニックス「そのピストルは試合開始のゴング代わりって事でいいよなぁ?」

メアリ「効いてないようだねぇ」

フェニックス「グール共ならそれで殺せただろうが、この俺様には通用しねえよ」

メアリ「そうかい、なら丁度いい。これを試す相手が欲しかったのさ!!」

フェニックス「なんだぁ?」

マジカロイド「ヤバい予感がしマス!急いで離れなくてハ!」


メアリの手元に大型のガトリンクガンが現れる。
それは人ならざる存在を殺害する為に戦極凌馬が開発した試作兵器であり
元々強力な兵器であったそれはメアリの魔法によって更に威力を増幅させた。

141 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:28:44.16 ID:R4ADrii20
『解除シマス』


フェニックス「はん!そんな玩具で俺様に勝てると思ったか!?」

メアリ「その舐めた態度、二度とみせられなくしてあげるよ」ドガガガガガガガガガ

フェニックス「ぬ、ぐぅおおおおおおおおおおおお!!!!」


1秒間に付き30発放たれる特殊徹甲弾がフェニックスの肉体を貫き、少しずつ削り取っていく。
数秒ほど経って撃ち尽くした後、更にロケット弾頭を装着させ
全身が穴だらけになったフェニックスに向けて射出した。


メアリ「グッバイ」

フェニックス「ぐわあああああああああああああッッッッ!!!!」


フェニックスの五体はバラバラに砕け、灰となって風に流されて消えていった。


マジカロイド「流石カラミティ・メアリさん!貴女様なら勝てると信じていまシタ!」

メアリ「それで、アンタの代わりにアタシが戦ってやったんだ。その見返りはどう支払うつもりだい?」

マジカロイド「う……それは……」

メアリ「そうだねぇ。アンタだって生身は女なんだろ?体で稼ぐってのなら金払いのいいソープでも紹介しようか?」

マジカロイド(命が助かる為なら処女を捧げてもいいとは言いまシタが、出来る限りなら避けたいデス……)

マジカロイド(私だって好きな殿方と恋に落ちて、そこで初めてを捧げたいデス……)

???「糞がッ!!!」


男の怒鳴り声が聞こえたので二人が外を覗くと、チンピラ風の男が怒りを露わにしながら
ヨロヨロとした足取りで歩いていた。

142 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:29:23.48 ID:R4ADrii20
メアリ「酔っ払いかい?騒々しいねえ」

マジカロイド「あ……あ……あれは、さっきメアリさんが倒したファントムデス!」

マジカロイド「あのファントムが人間に化けてる時の姿デスよ!」

メアリ「あいつ死んだんじゃ無かったのか……よしマジカロイド、お前がそいつを何とかしな」

マジカロイド「そんなの不可能デスよ!100%殺されマス!」

メアリ「今すぐアタシに殺される方が望みなら叶えてあげてもいいぜ」

マジカロイド「うう……」

メアリ「別にアンタ一人だけで倒せとは言わないさ」

メアリ「他の魔法少女を利用して倒させる事ぐらいの知恵はあるだろ?」

メアリ「それで今回の件はチャラにしといてやるよ。お買い得じゃないか」

マジカロイド「……分かりまシタ。何とかしてみせマス」

メアリ「終わるまでアンタの面見せんじゃないわよ」

143 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:29:54.76 ID:R4ADrii20
ファントムのアジト


フェニックス「あんのガンマンの女がぁ!!よくもこの俺様をッ!!」

メデューサ「また負けて帰ってきたようね、フェニックス」

フェニックス「次は負けねえ!!今は俺様に構うなメデューサ!!」

メデューサ「ワイズマン様からの命令よ。貴方はしばらくの間、魔法少女討伐の任から解かれる事になったわ」

メデューサ「だから魔法少女には手を出さない事、いいわね?」

フェニックス「なんだと!?ふざけるんじゃねえ!!このままじゃ俺の腹の虫が収まらねえよ!!」

メデューサ「ワイズマン様の命に背いたらどうなるか、貴方は忘れていないでしょうね」

フェニックス「ちっ!!」


ワイズマンに反抗的な態度を取り続けた結果、封印されて未だ出られないファントムもいる。
フェニックスにとって納得のいかない命令でも従わなければならないのだ。


フェニックス「分かったよ、大人しくしてやるよ」

メデューサ「どこへ行く?」

フェニックス「寝るんだよ。起こすんじゃねえぞ」

メデューサ「そう」

ソラ「ミ〜サちゃんは僕と一緒に寝ようよ。優しくするからさ」

メデューサ「死ね」

リブラ「懲りないな……グレムリンの奴」
144 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/15(土) 13:32:11.02 ID:R4ADrii20
今回はここまで
ラ・ピュセルの斬撃とメアリの武器に耐性が付いて、魔法少女の気配察知を覚えたフェニックス

>>134
賢者の石で強化されてないソラ相手ならきっと魔法少女でも倒せるさ

>>135
他の強敵相手の時も太陽に落とせば解決じゃん、と思ってしまうのは野暮だろうね

>>136
ヒーローの役割を魔法少女達が受け持ってるから悪役多めになっちゃう
善人キャラもいつか主要人物で出したい

>>137
それでもファントム編では理由があって出来る限りギャグを入れるように書いています
ウィザードクロスがメインのおかげでまほいく勢が中々死なないから平和かも
145 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:38:08.03 ID:0dLRqfQQ0
公園内


ケイネス(なぜ私が荷物持ちをせねばならんのだ…)

コヨミ「クレープ買ってきますね、ケイネスさん」


ショッピングの帰りで休息を取っているコヨミとケイネス。
コヨミの為に洋服や日用品などを買っていたのだ。


ケイネス(どうせならソラウと二人っきりでデートがしたかった)

ケイネス(早くファントムを討伐して魔法少女試験を終わらせて帰りたい……)


――――

シャロ「どうぞ、お客様」

コヨミ「ありがとう」

ソラ「ハロ〜。可愛いお人形さん♪」


二人分のクレープを買い、ケイネスの元へと戻ろうとした時、そいつが現れた。
爽やかな笑顔を振りまく整った容姿の男性、コヨミは一目で見て理解した。
そいつはファントムであると。

146 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:39:05.10 ID:0dLRqfQQ0
コヨミ「貴方は……ファントム!」

ソラ「さっすがお人形さん!分かっちゃうんだね。ウフフフ〜♪」

ケイネス「おい!貴様……」

コヨミ「ケイネスさん!」

ソラ「ウフフフ、凄いね〜コヨミに何かあるとすぐに駆けつけられるんだね」

ケイネス「この私を舐めるなよファントム、コヨミの命を狙いに来たか」

ソラ「勘違いしないでよ。僕はただ君達と会いに来ただけなんだ」

ケイネス「ファントムの言葉など信用出来ると思うか?」

ソラ「信じてほしいなぁ〜それに今、争うのはそっちに取って都合が悪いんじゃないのかな〜?」

ケイネス「何を馬鹿な事を……なんならすぐにでも」

ソラ「だってこれ……」


ソラが指を指してる方向にはコヨミの手に持つ二つがあった。


ソラ「僕と争ったりなんかしたらクレープが溶けちゃうよ」

ケイネス「たかがクレープの一つや二つ、また買えば済む事だ」

ソラ「ダメダメ、食べ物は粗末にしてはいけません!ってお母さんに言われなかったの?」

ソラ「それに、ここは子供たちが楽しく遊んでる場所なんだから騒ぎは無しにしようよ」

ケイネス「ファントム風情が良識人ぶるな。虫唾が走る」

ソラ「さっきからファントム、ファントムって僕には滝川 空という名前があるんだよ。ちゃんとソラって呼んでよ」

ケイネス「ファントムが人間の真似事など……」

ソラ「ソラって呼んでよ」

ケイネス「…………」

ソラ「ソラって呼ばないとケイネスの事をハゲって呼ぶよ」

ケイネス「誰がハゲだ!妙なファントムだな……ソラは」

ソラ「よし♪じゃあそこのベンチにでも座って三人でお話しようよ」

ソラ「そこの可愛い店員さん、チョコバナナクレープ一つくださいな♪」

シャロ「は、はい」

コヨミ「なんなのよ、彼は……」

ケイネス「態度が軽薄過ぎて凄く怪しい奴だ」

147 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:39:52.19 ID:0dLRqfQQ0
――――


ソラ「僕達ファントムと戦ってる魔法少女の事だけど、一体どんな子達がいるの?」

ケイネス「わざわざ敵に情報を与えると思うか?」

ソラ「じゃあ違う質問をするね。ファントムを人間に戻せる魔法少女はいるのかな?」

ケイネス「ファントムを人間に、だと?知らんな。それにファントムは例外なく全て駆除対象だ」

ケイネス「ファントムを助けるような指示は一切受けていない。運が良くても実験動物として利用されるだけだ」

ソラ「それは残念だなぁ。僕達と魔法少女達が争わなくても済むならそれに越したことは無いと思ったんだけどなぁ」

ケイネス「先ほども言ったが私はファントムを信用していない。例え、ソラがどんな考えを持とうが始末する事には変わりないぞ」

コヨミ「ねえ、ソラ」

ソラ「なんだい?お人形さん」

コヨミ「何で私の事を人形と呼ぶの?」

ソラ「ウフッ……ウフフフ♪それは、内緒」

コヨミ「…………」

ソラ「そう怒らないでよ。いずれ分かるからさ、いずれね」

ケイネス「なぜ貴様は私達に干渉をする?自分だけ助かりたいからか?」

ソラ「違うよ!君達なら僕の望みを叶えられるか気になったからさ。それと個人的に魔法少女達に興味あってね」

ケイネス「興味だと?」

ソラ「魔法少女の中には、僕の好みの子がいるかもってね。ウフフフ♪」

ケイネス「ふざけているのか?」

ソラ「真面目だよ。魔法少女の恋人は今までいなかったからさ。一度付き合ってみたいなって前々から考えてたんだよ」

ケイネス「イカれてる……ファントムなんかと付き合う魔法少女などいるものか」

ソラ「恋愛には国境も種族も関係無いんだよ。じゃあ僕はもう行くね」

ケイネス「そうか。さらばだ」


別れの言葉を言い終えると同時にケイネスの操操作による月霊髄液の高圧カッターが繰り出される。
ソラの座っていたベンチが綺麗に切断されたが狙っていた対象はいつの間にか消えていた。
背後でウフフフと笑う声が聞こえ、振り向くとそこにソラが手を振っていた。


ソラ「危ないなぁもう、不意討ちなんてずるいよケイネス」

ケイネス(私の魔術礼装を上回る速度で避けただと!?なんて速さだ……)

ソラ「じゃあねお人形さん。お体を大切に、ね♪」

コヨミ「あのファントム……何を知ってるの?」

ケイネス「奴め、次会ったら私が必ず誅罰を与えてやる」

ファズ(コヨミを人形と呼ぶとは……知っているようだなコヨミの秘密を)

ファズ(ソラとかいうファントム、これは使えるかもしれん)


ケイネスの持つ端末の中でファズはまた何か良からぬ事を考えていた。


ソラ(ウフフフ♪あのお人形さんも長くて綺麗な髪をしていたなぁ)

ソラ(でもあの子は彼女には出来ない。壊してはダメな存在だからね)

ソラ(あの子は、僕の望みを叶えてくれるかもしれないんだ)

ソラ(楽しみだなぁ。僕が人間に戻れるその日が)

148 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:40:42.01 ID:0dLRqfQQ0
ファントムのアジト


リブラ「フェニックスは眠りに付き、ソラの奴は出かけてやっと静かになったな」

リブラ「ここは優雅にティータイムを楽しむとしよう」

ユウゴ「ぐごー ぐごー」


フェニックスの夢の中


ユウゴ「ああっイラつくぜぇ!!何もかもぶっ壊してやるー!!」

ねむりん「ねーねーお兄さん。どうしてそんなに荒れてるの?何か嫌な事でもあったの?」

ユウゴ「ああん?なんだてめえは」

ねむりん「魔法少女のねむりんで〜す。よろしく〜、私でよかったら相談に乗るよぉ」

ユウゴ「魔法少女だと!?ぐ……夢の中でも我慢しなきゃならねえのか……」

ねむりん「何を我慢してるのかなぁ?ねむりんに教えてほしいなぁ」

ユウゴ「……俺様はなぁ、同僚が仕事をしやすい環境になるように働いていたわけよ」

ねむりん「ふむふむ」

ユウゴ「そしたらよお、上司がそれをやめろって言うんだ。特に理由も無しでよ」

ねむりん「それは酷いね〜、皆の為にがんばってたのにねぇ」

ユウゴ「おうよ、俺がやりたい仕事ってのもあるが、他の連中にとってもプラスになる事なんだよ」

ねむりん「だったらさぁ。我慢せずにやっちゃおうよ」

ユウゴ「上司に歯向かう事になってもか?」

ねむりん「我慢して溜め込んでても辛いだけだからさ。自分にとって一番やりたい仕事をやるのが幸せなんだと思うよ」

ユウゴ「そういう物か?」

ねむりん「私も最初は大手会社に勤めるのが幸せだと思ってスマートブレインやユグドラシルやアンブレラ社の面接を受けたけど」

ねむりん「全部落ちちゃって、それから魔法少女になったんだ」

ねむりん「魔法少女の仕事はとっても楽しくて、ねむりんは魔法少女を続けて良かったと今でも思ってるよぉ」

ユウゴ「そうか。やりたい事をやるのが幸せか……ありがとよ、俺様の考えが決まったぜ」

ねむりん「……へっ?」

フェニックス「魔法少女狩りの再開だぁ!まずはねむりん、てめえから殺させてもらうぜ」

ねむりん「ふぁっ……ファントムだったのぉ!?」

149 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:41:30.57 ID:0dLRqfQQ0
現実世界


フェニックス「ぐごー!ぐごー!」

リブラ「何だ!?寝ながらファントム体になったぞ!」


夢の世界


フェニックス「ククッ 前までは復活してから回復まで時間がかかったが今回はすぐにでも戦えるぜ」

ねむりん「これ以上、誰かを襲うのはやめようよ〜。そんな事しても悲しいだけだよ」

フェニックス「ああ?てめえがやりたい事やれって言ったんだろうが!いいから俺様と戦いやがれ!!」

ねむりん「しょうがない。悪い事を続けるならねむりんがやっつけるよ!ねむりんキーック!!」

フェニックス「ぐおっ!!とろそうな見た目の割りになかなかつええじゃねえか!!」

ねむりん「くらえぃ!!ねむりんビィーーーム!ビビビビビビ」

フェニックス「ぐっぐぐぐっ!!」


ねむりんの額から極太のビームが放たれる。
大剣カタストロフを使い、ビームを抑えるが刃の部分に亀裂が走り砕け散る。


フェニックス「ぐぎゃあああああああああッッッッ!!!!」


ねむりんビームがフェニックスの身体を包み、原子レベルにまで分解し消滅した。


現実世界


フェニックス「ぐぎゃあああああああああッッッッ!!!!」

リブラ「爆散したーッ!?」

フェニックス「ぐごー!ぐごー!」

リブラ「再生した!?一体、何がどうなっているんだ……」

150 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:42:14.67 ID:0dLRqfQQ0
夢の世界


フェニックス「ハハハハッ!!待たせたなぁ、ねむりん」

ねむりん「生き返った!?それならもう一度!ビビビビビビ!!」

フェニックス「もうお前の攻撃は効かねえよ!」

ねむりん「ひゃああ、逃げなきゃ〜」

フェニックス「なっ!?おいまてこら、戻ってこい!!くそっ、なんで俺そっちにいけねえんだよ!!」

ねむりん「まさか夢の中でねむりんより強いのがいたなんて……役に立たなくて皆、ごめんねぇー!!」


ねむりんの攻撃への耐性を付けたフェニックスだが、夢の中を自在に行き来する能力を持たない彼は
自分の夢の先から進む事が出来ずに、ねむりんをみすみす取り逃がしてしまう結果に終わった。
そしてねむりんがいなくなった事でフェニックスは夢から目覚め、起き上がった。


フェニックス「ああ〜不完全燃焼な夢だったぜ」

リブラ「大丈夫か?寝ながら身体が爆散してたぞ」

フェニックス「あれ夢だけじゃなかったのか……まあいい、リブラ、俺様決めたぜ」

リブラ「何を?」

フェニックス「ワイズマンの命令何か知った事じゃねえ。俺様は魔法少女狩りを続けるぜ」
151 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/17(月) 14:43:22.81 ID:0dLRqfQQ0
今回はここまで
戦闘描写が分かり易く伝わっているかな
152 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:32:56.51 ID:E/mfk0FW0
リブラ「貴様!ワイズマン様を裏切るのか!?」

フェニックス「だったらどうするよ?」

リブラ「ここで貴様を断罪させてもらう」

フェニックス「はっ!天秤野郎の分際で俺に楯突くとはいい度胸じゃねえか」

リブラ「私を甘く見るなよ、フェニックス」

リブラ「恐怖を乗り越えて進化した私の戦闘力は増幅しているのだ」

フェニックス「だったら見せてもらうぜ。その進化した強さとやらをよ!」

リブラ「ワイズマン様を裏切ったその重み……思い知るがいい!!」


10秒後


メデューサ「騒々しいわね、何をしている?」

リブラ「め、メデューサ……フェニックスが謀反を……がくっ」

フェニックス「はぁ……こいつ弱すぎだろ」


フェニックスの足元には身体がボドボドになったリブラが倒れていた。
リブラの頭には大きなタンコブが出来上がっている。

153 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:33:28.83 ID:E/mfk0FW0
メデューサ「何のつもりだ?フェニックス!」

フェニックス「見たら分かるだろ。もうワイズマンの命令に従うのに嫌気が差したぜ」

メデューサ「そう。それならどうなるか分かってるわよね?」

フェニックス「いいねぇ〜その殺意、俺様は一度、お前とガチで戦ってみたかったんだよ」

メデューサ「この戦闘狂がッ!!」


フェニックスの大剣とメデューサの杖が衝突し火花を散らす。
大ぶりな斬撃を躱したメデューサの蹴りがフェニックスの腹部に刺さる。
のけぞったフェニックスの頭部を杖で殴りつけ、更に喉元を突いた。


フェニックス「ごふっ!はぁはぁ……やっぱ強えわメデューサ。楽しいねぇ」

メデューサ「これで終わりよ」

フェニックス「うぐっ……」


蛇となっているメデューサの髪が触手のように伸びてフェニックスの身体を拘束する。
メデューサの眼が妖しく輝き、フェニックスの眼を見つめた瞬間
フェニックスの全身が石化し動かなくなった。


メデューサ「例え殺さなくても貴方を止めることが出来るのよフェニックス」

フェニックス「…………」ピシピシ パリーン

メデューサ「何ッ?」

フェニックス「もうお前の攻撃も通用しないぜ」

メデューサ「まさか……私の石化を解くなんて……」

フェニックス「分かっただろ?もう俺様を止められる奴はいない。じゃあな」

メデューサ「フェニックス……」

154 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:34:08.45 ID:E/mfk0FW0
その頃――採石場では


シスターナナ「マジカロイドさん……貴女の話が本当だとしたら、そのファントムは……」

プリズン「間違いないな。我々と戦ったフェニックスというファントムだろう」

ラ・ピュセル「だけどフェニックスは私が倒したはずです」

マジカロイド「不死身なんデスよきっと!どうにかして完全に滅ぼさないといけまセン!」

スノーホワイト「ねえ、チャットでねむりんがそのファントムに夢の中で襲われたって……」

マジカロイド「夢の中でも戦えるなんてデタラメな強さじゃないデスか!!」

マジカロイド「お願いデス!フェニックス討伐に協力してくだサイ!」

マジカロイド「先ほどトップスピード達やルーラチームにも助力を頼みまシタ。皆で袋にすればどうにかなるはずデス!」

ラ・ピュセル「頭上げてよマジカロイド、勿論協力するからさ」

プリズン「なあ、マジカロイド……そこまでしてフェニックスの討伐にこだわるのは何故なんだ?」

アリス「怪しい……」

マジカロイド「それは……ワタシはあのファントムに狙われているからでシテ……」

スノーホワイト「カラミティ・メアリさんに倒してくるように言われたんだって」

スノーホワイト「フェニックスを倒さないと自分がメアリさんに殺されるんだって」

マジカロイド「なんで分かるんデスかー!?」

ラ・ピュセル「大丈夫だよ。フェニックスは必ず私が倒すからさ」

マジカロイド「さすが騎士様デス!」

スノーホワイト(そうちゃん……マジカロイドさんには妙に優しいよね)


???「みぃぃぃぃつけたぁぁぁぁぁぁ!!!!」


上空から獣の唸り声のような男の声が響き渡った。
炎の翼を広げたフェニックスが魔法少女の気配を読みながら飛び回り
ついにスノーホワイト達を発見したのだ。

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/22(土) 17:34:49.28 ID:E/mfk0FW0
フェニックス「よお!俺の知ってる魔法少女達が何人もいるじゃねえか丁度いい」

マジカロイド「で、で、で……でたぁーッ!!」

フェニックス「また会ったな ロボット娘」

シスターナナ「貴方はラ・ピュセルさんに斬られて命を落とした筈では?」

フェニックス「俺様は死と再生を繰り返す度に強くなる不死身のファントムなのさ」

ラ・ピュセル「何度復活しようとも私が地獄へ送ってやる!うおおおおッ!!」


スノーホワイトを嬲る様に傷つけたフェニックスはラ・ピュセルにとって許せない存在だ。
自分達の前に再び、立ち塞がるならスノーホワイトを守る剣としてフェニックスを討つ。
雄々しく立ち向かうラ・ピュセルに対して、フェニックスは構えもせず余裕の表情を見せていた。
ラ・ピュセルの剣がフェニックスを斬り付けた。
だが剣が弾かれて、傷一つ付けられなかった。


ラ・ピュセル「何ッ!?」

フェニックス「なってねえな。こうやって斬るんだよ!」


ラ・ピュセルへ急接近したフェニックスが、瞬時に二発の斬撃を繰り出し
みぞおちに前蹴りを放ち、膝を付いたラ・ピュセルへ追撃のジャンプ斬りを放って右肩を斬り裂き
最後に大振りの薙ぎ払いで吹き飛ばす連続技を放った

156 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:36:22.53 ID:E/mfk0FW0
ラ・ピュセル「がはっ……」

スノーホワイト「ラ・ピュセルッ!!血が……」

フェニックス「ハッハッハ!不甲斐ねえな。騎士様よぉ」

スノーホワイト「よくもラ・ピュセルを!」

プリズン「下がっているんだスノーホワイト、私が戦う」

フェニックス「マントの女か。てめえは俺様に一度負けてるのを忘れたのか?」

プリズン「なら見せてあげよう。私達の力を、頼むよナナ」

シスターナナ「はい、気を付けてください」

プリズン「行くぞフェニックス!!」

フェニックス「ぬおっ!?なんだこいつ……前に戦った時とはまるで別人のパワーだぜ」

プリズン「私達を甘く見るなよ」

フェニックス「いいねえ!やっぱ戦いはこうでなくっちゃなァ!」

プリズンの打撃とフェニックスの斬撃がぶつかり合った。
シスターナナの強化魔法によって格段に強くなったプリズンだが
度重なる復活によってフェニックスもまた以前とは比べ物にならない強さを得ていた。

プリズン(強さはほぼ拮抗している……力で捻じ伏せるのは不可能か。それなら)

フェニックス「もらったァ!!」

フェニックスの斬撃を受け止め切れなかったプリズンはバランスを崩し、膝を付いた。
その隙を突くべく、フェニックスは大きく斬り込みに入った。

プリズン(かかったな)

それは相手を誘い込むためのブラフだった。
モーションの大きい振り下ろしを躱したプリズンは素早く背後に回り込み
スリーパーホールドでフェニックスの首を絞めた。

フェニックス「てめえッ!!はなしやが」ゴキ


鈍い音が響いた。
首の骨をへし折られてフェニックスの身体は糸の切れたマリオネットのように倒れた。

157 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:36:49.85 ID:E/mfk0FW0
マジカロイド「流石デス!プリズンさん」

プリズン「奴の首を折るのに魔力をかなり使わされたよ」

スノーホワイト「……まだです!」


炎がフェニックスの身体を包み込み、再構築されていった。
再生が終わり炎が消えると、そこには完全に傷の癒えたフェニックスが立っていた。


フェニックス「やるじゃねえかマントの女、俺を殺せるなんてよぉ」

プリズン「厄介な奴め……」

フェニックス「せいぜい足掻いてくれよ……ん?」


どこからともなく飛んできた複数のクナイや手裏剣がフェニックスの身体に突き刺さった。
飛んできた方向には複数の魔法少女達がいた。

158 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:37:17.37 ID:E/mfk0FW0
リップル「こいつがマジカロイドの言っていたファントムか」

トップスピード「お待たせ〜今度は俺達に任せとけ!」

ミナエル「主役は遅れて登場するってね」

ユナエル「こいつをやっつけたら私達ピーキーエンジェルの人気もうなぎ登りだねお姉ちゃん」

たま「あのファントム強そう……勝てるのかなぁ?」

ルーラ「私達のチームが敗北なんてありえない。絶対に勝つのよ」

スイムスイム「ルーラが望むなら絶対に勝たないと……」


魔法少女達の中に一人の男がいた。
太陽の光を浴びたおでこが眩しく輝く、幸低そうな顔をした超一流の魔術師、その名も……


ケイネス「全く、お前たちはもっと早く私を頼るべきなのだ」

ケイネス「アーチボルト家当主である、このケイネス・エルメロイ・アーチボルトをな」


フェニックス「ハハハッ!ハハハハハッ!!面白い、面白いぜ!!俺様を倒す為にここまで集まったのか!!」


自分を倒すべく集結した錚錚たる顔ぶれにフェニックスは高揚感を抑えきれない。
これからお前達を討ち取ってやると言わんばかりに大剣カタストロフを掲げ
魔法少女達を睨みつけて一喝した。


フェニックス「俺様を倒せる物なら倒してみろ!!この不死身のファントム、フェニックス様をよッ!!!!」


魔法少女VSフェニックスのラストバトルがここに始まった。

159 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/22(土) 17:39:38.17 ID:E/mfk0FW0
今回はここまで
またフェニックスが死んでおられるぞ
次の投下で今度こそフェニックス退場します
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/22(土) 18:07:29.96 ID:94kaMPoeO
乙です
シリアスパートのはずなのに、ケイネス先生の酷過ぎるキャラ紹介で笑っちまった
161 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:06:25.89 ID:fS1E3ZAl0
リップル「はぁッ!」

フェニックス「そんな攻撃、いくら繰り出しても無駄だ!!」


リップルが投げた大量の手裏剣が全てフェニックスへ向かっていく。
大剣を振り上げていくつかは切り落とされ、残りは胸部に突き刺さり火花を散らす。


フェニックス「蚊に刺された気分だぜ。もっとマシな攻撃をしてきな」

リップル「……ちっ」

トップスピード「だったらこれを食らいな!!」


トップスピードの手に持っているのは魔法の国から支給された魔術礼装『ミニ八卦炉』
魔力を込めれば強力なビームを放つことが出来る。


トップスピード「マスタースパークッ!!」

フェニックス「なかなかの威力だなぁ。だが今の俺を殺すにはパワーが足りねえなぁ」


マスタースパークの直撃にもフェニックスはびくともしなかった。
フェニックスは度重なる再生によって生半可な攻撃は全く通用しない程の耐久力を得ていた。


ケイネス「どきたまえ魔法少女の諸君。後は私がやろう」

フェニックス「如何にもインテリなてめえに何が出来るんだよ そらぁ!!」


フェニックスの手から地獄の業火がケイネスに向かって放たれる。
その炎がケイネスに直撃する寸前に弾かれて消滅した。
月霊髄液による自動防御によって防がれたのだ。

162 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:07:04.86 ID:fS1E3ZAl0
ケイネス「そんな攻撃が私に効くものか」

フェニックス「やるねぇ!ならそのスライムごと叩っ斬ってやるぜ!」

ケイネス「迂闊に接近するとは愚かな奴め」


月霊髄液がフェニックスの周囲に広がった。
ケイネスの魔力が最大限に月霊髄液に注がれて硬度が増す。


フェニックス「何だぁ?ぬおおっ!!」

ケイネス「潰れろ」


フェニックスを中心に月霊髄液は圧縮した。
そしてフェニックスを押し潰さんが如く、月霊髄液が捻じれるような形で細く変わる。
内部ではフェニックスの肉体が押され、軋み、潰れる音が生々しく響く。


フェニックス「ぐっぐ……ぐがぁああああああ!!!!」


ぐちゃりと音が聞こえたと同時にフェニックスの肉体は爆散した。


ケイネス「愚か者には相応しい末路だな」

フェニックス「おい、勝った気でいるんじゃねえよ」

ケイネス「何っ!?」


フェニックスの大剣がケイネスの身体を切り裂いた。
幸いにして致命傷は受けていないが出血が大きかった。

163 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:07:31.50 ID:fS1E3ZAl0
ケイネス「あ、あ、あああああああああああッッ!!!!」

フェニックス「油断し過ぎだっつーの。阿呆が」

ルーラ「その台詞、そっくりそのままお返しするわ」

フェニックス「あん?」

ルーラ「ルーラの名のもとに命ずる。フェニックス、動くな!!」

フェニックス「か、体が……動かねえ……」


いつの間にかフェニックスの至近距離に接近していたルーラの魔法によって
フェニックスは金縛りにあったかの様に身動きが取れなくなっていた。


フェニックス「こんな、魔法でぇ……ぬがぁぁぁぁぁ!!」

ケイネス「でかしたぞルーラ、こういう敵が現れた時の為に、アーチボルト家秘蔵の封印用の礼装を準備してきたのだ」

ルーラ「いいから早くしろ!!」

ケイネス「まずはこの電子ジャーを地面に置き、蓋を開ける」

ケイネス「そして対象の相手にある呪文を唱えれば……」

フェニックス「うおおおらぁぁぁぁッ!!!!」


ルーラの魔法を捻じ伏せてフェニックスは再び動き出した。
フェニックスの体質は死からの再生による耐性だけでは無い。
メデューサの石化魔法すらも無力化した様に
命を奪わない状態異常でも、食らえば耐性が付くようになっている。

164 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:08:26.31 ID:fS1E3ZAl0
ルーラ「私の魔法が効かない!?」

フェニックス「残念だったなぁ そおらぁ!!」

ルーラ「ぐうっ……」

ケイネス「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!」


ルーラとケイネスの二人が大剣で斬りつけられ
封印に用いようとした魔術礼装である電子ジャーは踏みつぶされた。


ユナエル「ちょっとヤバいじゃん!」

ミナエル「そう楽させてくれないみたいね」

スイムスイム「……ルーラ」


スイムスイムは鉄球を振り回し、ユナエルは鷲に変化して飛びかかり
ミナエルはチェンソーに変化して同時に攻撃するが
フェニックスが大剣を振って切り払われる。


ミナエル&ユナエル「きゅ〜」

フェニックス「こいつ、俺様の攻撃をすり抜けやがったぞ」

スイムスイム(まともに戦ったら絶対に敵わない。避け続けて時間を稼ごう)

フェニックス「しゃらくせえな。ならこれでどうだ?」


フェニックスの業火がスイムを中心に広範囲に激しく燃え盛った。
炎の熱もすり抜けで防ぎ続けられるが呼吸が持たない。
灼熱の海から逃れようと移動するが逃走ルートを先回りしたフェニックスが更に火の手を増やす。


スイムスイム(だめ……いきが……)

フェニックス「さっさと焼け死ねよ」

リップル「このっ!!」

たま「スイムちゃん!」


リップルがフェニックスに延髄蹴りを放ち、その隙にたまが開けた穴にスイムは逃げ込んだ事で
なんとか炎から逃れて呼吸を整える事が出来た。
後頭部を撫でながら起き上がるフェニックスの前に、まだ戦える魔法少女達が立ち塞がる。

165 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:09:26.52 ID:fS1E3ZAl0
スノーホワイト「一人一人じゃ無理でも同時に戦えばきっと」

ラ・ピュセル「勝てるかもしれない……」

プリズン「それに賭けよう」

リップル「分かった」

トップスピード「それ以外方法無さそうだしな」

スイムスイム「…………」コクリ

たま「が、頑張る!」


フェニックス「作戦会議はおわったか?なら今度は俺様の……ショー・タイムだ!!」


フェニックスの背中から巨大な炎の翼が生えた。
何度も強化された事で会得した新たな魔法『不死鳥の炎』である。
うねりをあげながら不死鳥の炎が魔法少女達を包むように薙ぎ払った。


スノーホワイト「う、うう……」

ラ・ピュセル「動け……僕の、体……」

リップル「ちっ……足が……」

トップスピード「悪い、ちょっと起き上がるのは……無理、みたいだ」

スイムスイム(熱い……避けるのが遅れた)

たま「いたい、いたいよ……」

シスターナナ「そんな、ウィンタープリズン……私を庇って」

プリズン「君が無事ならそれでいいんだ」


マジカロイド(これ不味いデスよね……逃げましょう!!)

フェニックス「おいこら待て!!そこのロボット娘」

マジカロイド「ひっ」

フェニックス「皆ぶっ倒れたし次はお前の番だぜ。俺様と戦えよ」

マジカロイド「降参デス!貴方様の部下でも何でもやりマスから命だけはご勘弁を!!」

フェニックス「ふっざけんなこらぁ!!今さらそんな虫のいい話を聞く訳ねえだろうが!!」

マジカロイド(うう……こうなったらこれを使うしかないデス……)

166 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:10:24.76 ID:fS1E3ZAl0
マジカロイドに渡されたアイテムは3分だけ幸運100倍ドリンクである
ただしこれを服用すると一週間は幸運が1/100にまで下がるという割りに合わないデメリットを含んでいる。


マジカロイド(どうせ今殺されるんデス。ならばこれに賭けましょう!!)ゴクゴクゴク

フェニックス「何飲んでんだよ?ドーピングか?」

マジカロイド(さあ!!100倍になった幸運で何か強力なアイテムが出てくだサイ!!そしてワタシを救ってくだサイ!!)


懇願を込めてマジカロイドはランダム性の未来道具を出現させた。
この場を生き延びられるような道具を願って。
そして出てきた道具はドアだった。


フェニックス「何だそれ?それで俺様を倒せるとでも思ったか」

マジカロイド「終わった……ワタシの人生終わった……」

フェニックス「こんなふざけたドアなんてぶっ壊して、ん?」


突如、ドアが開かれた。
ドアから凄まじい吸引力が発生してフェニックスの体を引きずり込もうとする。


フェニックス「ぬぐぐぐっ!?なんだぁ!!引っ張られるぞ!?」

マジカロイド「これは……『どこだかドア』どこに通じているか分からないドアである、と書かれてますね」

フェニックス「だ、駄目だ……引きずり込まれる……ぬおおおおおおおおお!!!!」


フェニックスを吸い込んだどこだかドアはバタンとドアが閉まり、その勢いで
地面に強く叩きつけられて、どこだかドアは壊れてしまった。


マジカロイド「た……助かったのでしょうか?」

167 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:11:05.40 ID:fS1E3ZAl0
――――


フェニックス「ここは……宇宙だと……?」


見渡す限り真っ暗な世界で無数の星々が輝くこの場所は宇宙だった。
神秘的な光景と言えるが宇宙キター!!と喜んでいる場合ではない。
すぐさま帰らなければと、地球のある方向へ動こうとするが
体はどんどん地球から遠ざかっていく。


熱い……肉体が高熱に晒されている事に気付いた時は全てが手遅れだった。
フェニックスは太陽の引力に捕まっていた。
必死でもがこうとするも、太陽への落下は止まらず
高熱によって肉体が消し飛び、再生しようとするも
約6000℃の温度がフェニックスの体を永遠に焼き尽くしていく。


フェニックスは二度と地球へ戻れなかった……。
太陽の中で死と再生を永遠に繰り返すのだ。
そして死にたいと思っても死ねないので
そのうちフェニックスは考えるのをやめた。

168 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/04/26(水) 15:13:41.06 ID:fS1E3ZAl0
今回はここまで
フェニックスの技名はスーパーヒーロージェネレーションを参考に付けた
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 20:46:16.00 ID:gg/4+cXB0
一週間幸運百分の一とか戒斗さん並に運が悪くなりそう
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 20:46:56.04 ID:mRUbjuzRO
ウィザード本編にも運を操るファントムがいたな
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 21:20:06.85 ID:PLnNj5Im0
一度は倒す寸前まで行った辺りケイネス先生も弱くはないんだがなあ
172 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:38:52.59 ID:0dz9n47K0
何度も繰り返されたフェニックスの戦闘もついに終わり
魔法少女達は勝利を手にした。
戦いによって大きく消耗した魔法少女達は治療の為にと
表向きは普通の病院だが、魔法の国の手のかかった特別な病院に通う事になった。


魔法病院


井坂「治癒魔法というのは便利ですが、何も完ぺきではありません」

井坂「例えば銃弾を受けたとしましょう。体内に弾が残った状態で治癒魔法を使うとどうなるか」

井坂「それは弾が体内に残ったまま傷口を塞ぐ事になります」

井坂「魔法少女ならば並みの毒は効かないでしょうが、もし弾丸に呪術的な効力を持っていたらどうでしょう」

井坂「弾丸に含まれる呪いで魔法少女の肉体は蝕み、死に至るケースもあります」

ケイネス「それで、何が言いたい?」

井坂「貴方はファントムの攻撃を受けたと聞く」

井坂「そのファントムが傷を付けた相手に影響を与える能力を持っている可能性もあります」
173 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:41:07.94 ID:0dz9n47K0

ケイネス「その点は心配無い。過去にそのファントムと交戦して負傷した魔法少女達もいるが特に悪影響は起きていない」

井坂「それは魔法少女の場合ですよね?魔術師にだけ悪影響を及ぼす可能性も捨てきれません」

ケイネス「そんな事など起こりえるはず無かろう」

井坂「私達医者は、皆さんを治療する義務があり責任があります。例え万が一でも治療ミスは許されない立場なのです」

井坂「分かってくれますねケイネスさん。今夜はこの病院に泊まってください」

ケイネス「…………仕方ない。君の指示に従おう」

井坂「ご協力感謝します。それにしても魔法少女達と違って魔術師が前線で戦うのは珍しいケースですね」

ケイネス(まあ、ファントム討伐は私の名に箔を付ける為でもあるからな)

井坂「魔術師の身体をを治療出来るなんて滅多に無い事です。ここは……ぺろり、じっくり隅々まで検査させてもらいますよ」

ケイネス「おい待て!貴様、個人的な理由で私を調べようとしているな!?」

井坂「いえいえ、まさかそんな……ただ貴方の魔術回路は非常に興味深い。そこに少しでもダメージが残っていれば事だと思いまして」

井坂「さあ……じゅるり、上着を脱いで裸になってください。大丈夫です、痛くしませんから」

ケイネス「やめろぉーー!!離せぇーー!!」

井坂「安心してください。私は貴方の魔術師としての身体にしか興味ありませんから」

ケイネス「安心できるかぁーーーーーーっ!!!!」

174 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:42:22.93 ID:0dz9n47K0
――――


スノーホワイト「ねえラ・ピュセル、大丈夫だった?変な事されてない?」

ラ・ピュセル「変な事って何が?」

スノーホワイト「あの井坂先生って人、ラ・ピュセルを見る目が普通じゃなかったから……」

アリス「彼は捕食者の目をしてました」

ラ・ピュセル「大丈夫だよ。レアな魔法少女だとか言ってたけど軽い検査の後すぐ出て行ったから」

スノーホワイト「なんか危険な感じがするから絶対に近づいたら駄目だよ」

ラ・ピュセル「スノーホワイトがそう言うならそうするよ」

アリス「彼は裏で人体実験とかしててもおかしくありません」

ラ・ピュセル「アリスは手厳しいなぁ」


井坂深紅郎

魔法の国の出身で医者であり魔法使いだよ
天候の魔法が使えるよ
医療の腕は優秀だけどセクハラ紛いの言動で魔法少女達にすごく嫌われてるよ

175 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:43:17.22 ID:0dz9n47K0
美容店


ソラ「はーいお疲れ様〜♪アイスあげるね」

女性客「えーうれしー、ありがとうございますー」

女性客「貰っちゃっていいんですかー?」

ソラ「サービスなんで♪」

女性客「やったー!」

ソラ「ありがとうございましたー♪また来てね〜♪」

ppp

ソラ(メール?何だろ?)

ファズ『私は魔法少女達のサポート役の電子妖精だ。二人だけで話がしたい。場所は――』

ソラ(電子妖精?よく分からないけど面白そう♪)


ファズと呼ばれる電子妖精の誘いにソラは警戒する事なく
むしろ歓迎して誘いを受け取る事にした。
そろそろ魔法少女達との接触を考えていた空にとっては願ってもいない話だった。


ファズ「初めましてだぽん。僕の名前はファズだぽん。よろしくぽん」

ソラ「うわースマホから声が聞こえるよ。すごいねー」

ファズ「このままでも良いけど、もっと効率良くやり取りがしたいからこれを渡すぽん」


突如、ソラの目の前に金と銀の装飾が施された怪物が出現した。
怪物は沈黙を保ったまま右手に握られているマジカルフォンをソラに差し出した。

176 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:44:57.90 ID:0dz9n47K0
ソラ「彼は?」

ファズ「奴は僕が作り出した人口ファントム『ケルベロス』だぽん。僕が遠隔操作で操ってるぽん」

ソラ「へぇー、よろしくね。ケルベロス」

ケルベロス「」

ファズ「言語機能は無いぽん。それとこれからは、マジカルフォンで会話するぽん」

ソラ「あ、何か出た」

ファズ「これが僕のイメージ姿だぽん。ホログラムだけどね、ぽん」

ソラ「そうなんだ。可愛いね」

ファズ「可愛いのかよ……それで本題に入るが、もうこの喋り方をする必要は無いか」

ファズ「ソラ……君はワイズマンに忠誠は誓って無いようだなぁ」

ファズ「それに人間の頃の名にこだわりを持っている」

ファズ「お前、人間に戻りたいのだろう」

ソラ「うふっ……ウフフフ♪すごいね君、よく分かったね。僕の願いを」

ファズ「当然だ!この偉大なる頭脳を持った蛮……げふんげふん、ファズならそれぐらい知り得て当然だ」

ファズ「単刀直入に言おう。私が君の望みを叶える、代わりに私の目的を達成する為の手伝いをしてもらいたい」

ソラ「それは魅力的な条件だね。でもどうしようかな?」

ソラ「君の野心を魔法少女達に話して未然に防げば、僕の事を見直して彼女達が何とかしてくれるかもしれない」

ファズ「その時は残念だが、君はこの場でケルベロスに抹殺されることになる」

ソラ「ウフフフ……冗談♪いいよ。協力しようよ」
177 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:45:37.88 ID:0dz9n47K0
ソラ「それで、どうやって僕を人間に戻してくれるの?方法を知ってるからこそ僕に交渉を持ちかけたんだよね」

ファズ「勿論だとも、だが正確に言えばファントムに人間の心を取り戻す事は不可能だ」

ソラ「どういう事?」

ファズ「私が出来るのはファントムの力を全て奪い取り、人間体の姿で固定させることだ」

ファズ「既に人間の心を持つ貴様なら、それで十分人間になりえるはずだ」

ソラ「……それは人間に戻れるとはちょっと違う様な……」

ファズ「それ以外に方法は無い。賢者の石の力でも人間に戻す応用は不可能と言っておこう」

ソラ「うーん、そうだ!もう一つ僕からの条件を飲んでくれたら、取引に応じるよ」

ファズ「言ってみろ」

ソラ「その方法で僕以外のファントムを一人、人間に戻してほしいんだ」

ファズ「それならお安い御用だ。そのファントムとは?」

ソラ「ウフフフ♪ミサちゃんだよ。あ、ファントムとしての名前はメデューサだよ」

ファズ「なぜメデューサを人間に戻したいのだ?」

ソラ「ミサちゃんの髪ってすっごく綺麗なんだ」

ソラ「でもミサちゃんったらあまり髪を大事にしないし、僕に整えさせてもくれないんだ。髪が可哀想だよ」

ソラ「それでファントムとしての力を奪って人間にしてから、二人っきりでずっと一緒に暮らして」

ソラ「そしたらいつかきっと僕の事を好きになるようになって……最期に彼女にするんだ」

ソラ「どう?とっても素敵でしょ?」

ファズ「あ、ああ……なかなかロマンチストだな」

ファズ(こいつ、気持ち悪いな)

ソラ「それで僕は何をすればいいの?」

ファズ「ファントムを人間に戻す方法だが、まだ理論上の段階で研究が足りない」

ファズ「その実験を確実に成功させるためにファントムを何体かモルモットとして用意してもらいたい」

ソラ「他のファントムを犠牲にね……とっても心苦しいけど願いを叶える為ならしょうがないか。分かったよ」

ファズ(心にも無い事を……)
178 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/01(月) 21:47:37.82 ID:0dz9n47K0
今回はここまで
ソラがお客さんにアイスあげるシーンは
ソラの人が別の番組で美容師役を演じた時のやり取りが元ネタです
179 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:37:25.75 ID:IESZEfoJ0
華乃宅

華乃「……朝か」


目覚ましを止めて布団から起き上がる。
今日は嫌な夢を見た、母親の夢だ。
母は何故か夫の記憶が無い。


死んだのか離婚して別れたのかすら分からず。
夫に関する痕跡は全てが消えており、唯一の繋がりとなっているのは
二人の間に生まれた娘の私がいるだけだ。


母にとって夫の記憶が無いのはよほどショックだったのか。
欠落した記憶を埋めようとするように別の男と再婚した。
だが関係は長く続かず、離婚してはまた別の男と再婚する日々が続いた。


私はその生活がとても嫌だった。
再婚する度に現れる最悪な男共と、それにすがるしかない母親の姿を見せられるのは反吐が出た。
私は再婚相手の男と顔を合わせるのに苛立って一人暮らしを始めた。
学校とバイトを両立させるのは大変だがあの男と暮らすよりは遥かにマシだ。


気分転換に遊んでいたソシャゲの魔法少女育成計画をプレイしていく内に
偶然魔法少女に選ばれた私は、最初は仕方無しに人助けをしていた。
しかしトップスピードと出会い、共に活動を続け
すぐに暴力で解決しようとする私を友達として接してくれたクラスメイト達と過ごす内に
この街を守りたいと本気で考えるようになった。
一人、ふざけた話を振る男子にはイラッとさせられるが。


鬼島「ふざけるのは落語家の性分ですからねー。ハッハッハ」

180 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:38:15.87 ID:IESZEfoJ0
回想の中で鬼島の声が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。
ある日、クラスメイトの一人がファントムに襲われた。
トップスピードの助力があったおかげで守る事が出来たが
あと一歩、救出が遅れていたら命を奪われる所だった。


足りない、皆を守るにはまだ力が足りない。
私は更なる強さを得るために特訓を始めた。
力不足によって後悔する事が無い様に。


リップル(手裏剣やクナイを上空に放り投げる。全て自分を標的として)

リップル(飛び道具が私に向かって飛んでくる。それを全て捌き切る!)


多数の敵を同時に相手にする為の鍛錬だ。
ゴキブリのようなおぞましい姿をしたファントムは大量の配下を呼び出し
私は足止めを受けてクラスメイトの救出を遅らせた。


同じ轍は二度と踏まない。
相手が数に物を言わせて仕掛けて来ても迅速に対処しなければ。
それが今の私に出来る唯一の反省だ。


リップル(二発食らったか……。もっと素早く動かなきゃ)

トップスピード「お待たせ〜、ちょっと休憩してお弁当にしようぜ」

リップル「……分かった」

トップスピード「さぁさぁ、たっくさん食べてくれ!俺の自信作だからさ」

181 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:38:44.52 ID:IESZEfoJ0
トップスピードが包みに入ったお弁当を見せながら笑顔でやってきた。
二つのタッパーの中にはそれぞれ、おにぎりと筑前煮が入っている。
おにぎりの具は鮭と鯵と金目鯛が入っている。
魚は焼いてからほぐしたのか、身が柔らかく鮭は塩味が効いていて
味が薄めな鯵と金目鯛は味噌と醤油でからめている。


筑前煮は鶏肉、人参、里芋、ごぼう、レンコン、こんにゃく、しいたけ、絹さやと
栄養バランスを考えて沢山の具材が入っている。
どの具材も旨味がしっかり染み込んでいて
下ごしらえの時点で相当の手間暇をかけているのが伝わってくる。


トップスピード「美味かったみたいだな。よかったよかった」

リップル(いつの間にか二個もおにぎりを平らげてしまった……)

リップル(鍛錬のせいでかなり空腹になっていたようだ)

トップスピード「ほい、お茶」

リップル「……ありがと」

トップスピード「あんまり根を詰めるなよ。体に手裏剣が刺さってる所を見ると心配になるからさ」

リップル「これでもまだ足りない」

トップスピード「そうか?すっげー頑張ってるじゃないか」

リップル「フェニックスには通用しなかった。もっと強くならなきゃ」

トップスピード「一人で勝てなくても皆で力を合わせれば大丈夫だって」

トップスピード「それにリップルに何かあったら俺がすぐに飛んでくるぜ」

リップル「……誰かに頼らなくても勝てるようになりたいの」

トップスピード「もうリップルったらツンデレなんだから〜」
182 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:39:37.77 ID:IESZEfoJ0
ガーゴイル「見つけたッス。君達が魔法少女ッスね」

リップル「ファントムか」


二人の目の前にファントム、ガーゴイルが現れた。
リップルとトップスピードはすぐさま臨戦態勢を取った。


ガーゴイル「ワイズマン様の命により君達をやっつけにきたッス。覚悟するッス」

リップル「出来る物ならやってみろ!」

ガーゴイル「グール達!!行けッス!!」

リップル「遅い」


8体のグールがリップルに飛びかかる。
グールの武器をかいくぐりながらすれ違い様に日本刀で斬りつけ
次々とグールが爆散していった。


ガーゴイル「グール達が全部やられたッス!!」

リップル「次はお前だ!」

ガーゴイル「甘いッス!」ガキィン

リップル「ちっ……硬い」

ガーゴイル「俺の体は硬質化する事が出来るッス!そんな攻撃なんかへっちゃらッス!」

トップスピード「下がってろリップル!!」


リップルとファントムが戦っている内に十分な距離を取ったトップスピードは
最高速度を持ってガーゴイルへ体当たりによるぶちかましを放った。
強烈な衝撃はガーゴイルに多大なダメージを与え、空高く吹き飛ばした。


ガーゴイル「うわああああ!!ぶっ飛ばされったッス〜!!」

トップスピード「やっべ!遠くに行っちまったよ」

リップル「追おう」

183 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:40:12.13 ID:IESZEfoJ0
人のいない山々で鍛錬していたのが功を奏して、ガーゴイルの飛ばされた先にも一般人はいなかった。
被害者の心配は無いが、周囲の反応も無いため二人にはガーゴイルを発見する術も無かった。


ガーゴイル「う〜、痛いッス。ボロボロッス」

ソラ「物の見事にやられちゃったね。タケヒトくん」

ガーゴイル「あ!グリムリン、あの魔法少女達はかなり手強いッス」

ソラ「そうみたいだね。ねえ、彼女達に勝ちたいなら良いアイディアがあるんだけど知りたい?」

ガーゴイル「知りたいッス!教えてほしいッス!」

ソラ「それなら場所を変えよう。ここにいたら魔法少女達に見つかるかもしれないからね」

ガーゴイル「分かったッス。移動するッス〜」


――――


リップル「ちっ、見失った」

トップスピード「あ〜、わりいわりい。俺がぶっとばしちまったせいだな」

リップル「そんな事ない。どの道、私の攻撃だけじゃどうしようも無かったから」

トップスピード「お、励ましてくれんのか?嬉しいなぁ〜」

リップル「……調子に乗って」

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