スノーホワイト「ファブが逮捕された?」

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184 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:40:40.41 ID:IESZEfoJ0
どこかの廃墟


ガーゴイルは手術用のベッドで寝かされていた。
手足は特殊な拘束具によって完全に固定されている。
周囲には怪しげな機械が多数設置されており悪魔の実験が開始されていた。


ファズ「よぉし、始めようか」

ガーゴイル「ひぎゃああああああああッッッッ!!!!」

ファズ「まずは貴様のエネルギーを吸い取る。抜いた過剰なエネルギーの逃げ道はケルベロスへ送り込む」

ファズ「力を極限まで弱めた状態で、彼の遺伝子を操作して二度とファントムの力が取り戻せない体質に変化させる」

ガーゴイル「ぐっがががぁ、ぎぎっぎぎい、ごがぁあーーッ!!」

ソラ「うわあ〜苦しそう♪」

ガーゴイル「な、なんで……?」

ソラ「ん?」

ガーゴイル「なんで……こ、んな……酷い、ことを、するん……ッスか?」

ソラ「ごめんね〜タケヒト君、これも僕の願いを叶える為なんだ。だから諦めて受け入れてよ」

ガーゴイル「そ、んな……おれた…ち……なか、まじゃ……無かっ、たん、っすか…?」

ソラ「ウフフフ……君達ファントムとなんて、初めから仲間とは思ってないよ」

ガーゴイル「ううっ……ぐ、がぁああぎぃいいいッ!!……げはっ……」


ソラの笑みが消えて冷たく言い放つ、その同胞の姿に絶望したガーゴイルは
実験によるダメージの限界を超え、血を吐いて絶命した。


ファズ「ん?間違ったかな?」

ソラ「ほんとに成功するの?その実験」

ファズ「心配するな。あと数体のファントムを犠牲にすれば確実に上手く行く」

ファズ「それよりも、この実験をワイズマンの奴に悟られて妨害されないようにする事を考えろ」

ソラ「その点は大丈夫だよ。ワイズマンには別の事で警戒せざるを得ない状況を作るからさ」

185 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:43:17.68 ID:IESZEfoJ0
ファントムのアジト


ファズの最初の実験が終わり、ファントム達のアジトへ帰ってきたソラは地下奥深くへと進んだ。
そこはワイズマンの許可無く侵入する事は許されない場所である。
長い階段を降りて扉を開けた、そこには一つの棺があった。


ソラ「ウフフフ、さぁ目覚めの時だよ」


棺の封印が解除され、眠っていた人物が目を覚ました。
彼は強大な力を保有しておきながら、底知れぬ野心を秘めており
ワイズマンにとって手に余るその存在は障害になると判断し、長きに渡る封印を施した。


その人物の名は――――剣聖ビルゲニアである。


ソラ「おはよう、クラモチさん」

ビルゲニア「私の封印を解いた、という事はワイズマンもよっぽど追い込まれている現状かな?」

ソラ「ああ、違うよ。クラモチさんの封印を解いたのは僕の独断なんだ」

ビルゲニア「ほう、面白い。説明してもらおう」

ソラ「うん、それはね……」


ワイズマン、ファズ、ソラ、そしてビルゲニア
魔法少女達の知らない場所で様々な思惑が交差していく。
186 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/06(土) 02:45:28.17 ID:IESZEfoJ0
今回はここまで
エキサイティング!のファントムは出ません
悪役たちが足を引っ張り合ったのが原因で主役に倒されるのは特撮でよくある話です
187 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:39:35.82 ID:VnMld+bP0
ビルゲニアが復活し、ファントム達の前に姿を現した。
招かれざるその存在に洞窟内にざわめきが広がった。


ビルゲニア「久しぶりですなぁ。ワイズマン、元気そうで何よりだ」

ワイズマン「こいつを蘇らせたのは誰だ?」

ソラ「ハロー、僕だよ♪」

メデューサ「グレムリン……覚悟は出来てるんでしょうね?」

ワイズマン「貴様は勝手な行動が目立つな」

ソラ「うぐっ……」

ワイズマン「このまま始末してくれようか」


ワイズマンの魔法によって出現した鎖がソラの体を締め上げる。
更に電撃の魔法を繰り出しソラを苦しめる。
その時、ビルゲニアが横から入り、ビルセイバーを振るって鎖を切り落とした。


ビルゲニア「今はファントム同士で憎み合っている場合ではない。それはワイズマンも理解している筈では?」

ワイズマン「何?」

ビルゲニア「この状況の中で権力争いにかまける程、私も愚かでは無いという事ですよ」

ビルゲニア「あのフェニックスも敗れる程の魔法少女達の存在、捨て置く訳には行かない」

ビルゲニア「そこでグレムリンは私の助力が必要だと考え、命令違反なのを承知で私を開放したのだ」

ビルゲニア「自らが処刑される覚悟でファントムの為に行動する。見上げた忠誠心ではありませんか」

リブラ「あいつは、グレムリンはそんな殊勝な男では無い!!」

リブラ「ワイズマン様!私に魔法少女討伐の許可を、ビルゲニアの力など必要ない事を証明してみせます!」

ワイズマン「そうか。ならば君に任せるとしよう、リブラよ」

ビルゲニア「ではでは、お手並み拝見といきましょうか。報告を期待しているよ」

リブラ「では行って参ります。ワイズマン様の期待に答えて見せましょう。星に願いを」

188 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:40:13.28 ID:VnMld+bP0
――――


ワイズマン「……なぜ、私の傍で待機している?ビルゲニア」

ビルゲニア「いつワイズマンの元に魔法少女達が襲撃に来るかも分からない。護衛がいた方が良いと思いましてな」

メデューサ「ワイズマン様は私が命に代えても守る。お前は必要無い」

ビルゲニア「それにワイズマンは私の事をいまいち信用なされていない様子」

ビルゲニア「それなら、不穏な動きを取らせない様、目の届く場所に置いた方が安心できるという物ではありませんか?」

ワイズマン「いいだろう。今は貴様のその言葉を信用してやる」

ワイズマン(ビルゲニアの野心は知っている。ファントムの王となるべく私の命を狙っているのは諦めていない筈だ)

ワイズマン(何か不穏なそぶりを見せた時、即始末すれば問題は無かろう)

ビルゲニア「その信用が長く続くように努力いたしましょう」

ビルゲニア(ワイズマンは自らの目的の為にファントム達を捨て駒にする算段だとグレムリンは言っていたな)

ビルゲニア(そのワイズマンに対抗できる唯一の戦力が私だと伝え、奴の監視を頼まれた)

ビルゲニア(ワイズマンがファントムを裏切るなら丁度いい。私が堂々と引導を渡してやろうではないか)

ビルゲニア「所でメデューサ、リブラの言っていた『星に願いを』とはどういう意味だ?」

メデューサ「……知らない」

189 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:40:47.59 ID:VnMld+bP0
――――


ソラ「ちょっと危険な賭けだったけど上手く行ったみたいだね」

ソラ「これでワイズマンはビルゲニアに警戒せざるを得なくなる」

ソラ「ファズの研究の妨害を受ける可能性は極力下がったよね」


その頃、華乃の通う学校では


速水「ふっふっふっ……私が新たに会得した魔法、ラプラスの瞳を使う時が来た」

速水「これは魔法少女に変身できる力を持った一般人を見つけられる魔法なのだ」

速水「過去にゲートを狙った時の魔法少女の出現の速さを考えると、この学校の人間の可能性が高い」

速水「まずは1つずつ、クラスを覗いて行くとしよう」


――――


速水(……このクラスもハズレ、なかなか見つからない物だな)

速水(ん?ここは前に襲ったゲートがいるクラスか)

烏丸先生「これでホームルームは終わりだ。お前ら気を付けて帰れよ」

カレン「提督、お疲れ様デース!!」

華乃(さて、帰るか)

こけし「華乃さん、帰りに一緒にお店に行きませんか?」

華乃「悪い、今日はバイトの日なんだ」

ココア「どこでバイトしてるの?」

華乃「……秘密、じゃあね」

陽子「おつかれー♪」

和菓子「ま、まさか華乃さんのバイトっていかがわしいお店なんじゃ……」

綾「何言ってるのよ千夜ったら、そんな訳無いでしょう」

アリス「ねー、シノは華乃さんをどこのお店に誘うとしたの?」

こけし「『フルール・ド・ラパン』というお店ですよ。実は割引チケットを沢山貰ったのです」

和菓子「あら、そこは私の親友が働いてるお店だわ」

ココア「美味しいハープティーが沢山あってとっても素敵なお店だよ」

カレン「オゥ!雑誌で紹介されているのを見た事あるデース!」

こけし「華乃さんが来ないのなら割引チケットが一枚余りますね……」

カレン「そうだ!ヘイ、鬼島ー!!」

鬼島「アタシに何かご用で?」

カレン「鬼島も一緒に行こうデース」

鬼島「そうだねぇ。気分転換にもなるしアタシもご一緒させてもらいましょう」

カレン「ヤッター」

190 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:41:20.19 ID:VnMld+bP0
――――


速水(まさか、細波華乃という生徒がくノ一の魔法少女だったとは、思わず声を出してしまう所だった……)

速水(今ここで襲撃すると騒ぎになり、また魔女の魔法少女が邪魔しに来る可能性がある)

速水(ここは人の少なくなった機会を狙って命を奪うとしよう)

速水(戦いとは冷静な判断力を持っている者こそが勝利を掴めるという物だ)


フルール・ド・ラパン


陽子「おー、オシャレなお店じゃん」

綾「本当、素敵ね〜」

シャロ「いらっしゃいませお客様」

こけし「金髪ぅーーーーッ!!!!」

シャロ「お、お客様ーー!?」

アリス「もうシノったら金髪を見るとすぐこれなんだから」

華乃「何かあったかシャロ?……って皆!?」

華乃(み、見られた……恥ずかしいから秘密にしてたのに……)

カレン「華乃ー!メイド姿がとっても似合うデース!」

ココア「うん、すっごく可愛い!!」

鬼島「アッハッハッハwwwアタシを笑わせるとは、華乃もなかなかやるねぇ」

華乃「…………」イラッ

和菓子「違うのよ華乃さん、鬼島さんは馬鹿にしてる訳じゃなくて笑顔になるほど綺麗って言いたいのよ」

鬼島「そうそう。普段のイメージからは想像も付かないほど綺麗な格好をしてたからさ……ぶははは!!」

華乃(……後で鬼島絞めよう)

ソラ「友達の言う通り、君の格好はとってもよく似合ってるよ」

華乃(誰こいつ?)

ソラ「初めまして、華乃ちゃん♪」

華乃(こいつ、私の名前を知って……)

カレン「二人は知り合いデスかー?」

ソラ「うーん、華乃ちゃんの身内の知り合いって所かな」

女性店員「キャー!ソラさん来てくれたんだー!」

ソラ「ハロ〜♪この前、お店に来てくれた時に割引チケットくれたからね」

ソラ「それにしてもここの制服可愛いね。僕は白い服が大好きだから気に入ったよ」

女性店員「そうなんですよ〜。私もこの制服が好きでここでバイトしてるんですよ〜」

華乃(この男、怪しい……)

191 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:41:50.07 ID:VnMld+bP0
――――


陽子「ここのお菓子美味いな〜」

綾「ハーブティーも良い香りで頭がすっきりしたわ」

こけし「はぁはぁ……その金髪モフモフしていいですかぁ?」

シャロ「ココアーー!彼女を何とかしなさいよーー!」

ココア「シノちゃんは金髪が大好きなんだよ」


美味しいお菓子とハーブティーにクラスメイト達は舌鼓を打ち
談笑をしばらく楽しんだ彼女達は華乃に別れの言葉を残して解散した。


華乃(もう少しで今日の仕事も終わり、あと一踏ん張りだ)

ソラ「ねえ、華乃ちゃん」

華乃「ご注文ですか?」

ソラ「そう警戒しないで、これ受け取って」


ソラがにっこりと華乃に微笑みながら名刺を差し出す。
どうやら彼は美容師らしい。


ソラ「今度、僕のお店に来てよ。安くするからさ。君の髪をもっと綺麗にしてあげる」


そう言ってソラは会計を済ませて店から出て行った。


女性店員「彼って素敵でしょ〜、でも惚れない方が良いよ。ライバル多いからね」

華乃「あんたも好きなの?」

女性店員「キャー!分かる〜?もしソラさんの彼女になれたら私死んでもいい!なんちゃって」

シャロ(私はリゼ先輩と……はっ!何考えてるのよ私ーーッ!!)

192 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:42:35.04 ID:VnMld+bP0
――――


華乃(今夜も魔法少女の仕事があるしさっさと帰って休まなきゃ)


バイトも終わり、店から出た華乃は自宅へと向かっていた。
その彼女の背後へ迫る敵の影がいた。


リブラ(ここなら人通りも少ない。やるなら今だ。死ねぇ!!)

華乃「ッ!?」


物音が気づいた時にはもう遅い。
リブラの錫杖が華乃の目の前に迫り、変身する時間が無かった。


ソラ「危ない!!」

華乃「あんたは!?」

リブラ「何ッ!?」


寸前でソラに突き飛ばされた事で華乃はリブラの錫杖の攻撃から外れた。
しかし庇った事でソラの腕が傷ついて血が流れる。


リブラ「ええい!!何をしているグレムリン、裏切ったか!?」

ソラ「彼女は……殺させないよ。誰にもね……」

華乃「グレムリン?あんた、ファントムか?」

リブラ「ファントムが魔法少女を庇うとは……罪が重いぞ。どけぇ!!」

ソラ「うわあああ!!」


リブラの攻撃を受けたソラの体は吹き飛ばされ、川へと転落していった。
思わぬ妨害に余計な時間を取られたリブラだったが頭を切り替えて、再び華乃へ狙いを定める。
華乃の姿は既にいなかった。リブラの目の前には変身を済ませた魔法少女、リップルが立っていた。

193 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:43:05.38 ID:VnMld+bP0
リブラ「しまった、既に変身済か!!」

リップル「お前は……あの時のファントム」


リップルの心は怒りに震えていた。
大切なクラスメイトの命を奪おうとしたファントム。
地面を蹴ってリブラへと斬りかかる。
日本刀の一撃は錫杖で防がれるも、意に介さず攻撃を繰り返した。


リップルはそれほど筋力を持った魔法少女ではない。
パワーよりスピード、一撃必殺よりも手数を駆使した攻撃を得意とする。
リブラを翻弄するように動き回りながら上下左右、様々な方向へ斬撃を繰り返した。


リブラ(馬鹿な……前に戦った時は、一対一では私が上手だった筈だ)

リップル「二度とゲートを狙わせない、覚悟しろぉ!!」

リブラ(人間を守ろうとする一心で成長したか。厄介だな)

リブラ「ここは引かせてもらおう。次こそ貴様の命を頂く」

リップル「待て!!ちっ、逃げられた」


リブラの幻影魔法がリップルを包み込み、晴れた時には本体の姿はどこかへと行ってしまった。


リップル(そうだ、あいつは……!?)


グレムリンと呼ばれるファントムは川へと落ちたきり、浮かんでこない。
まさか溺れたのでは?とリップルの脳裏に不安がよぎる。
ファントムだというのが本当なら助けるべきではない。
でもなぜ自分を助けたのか、彼は本当にファントムなのか?
そんな不安で胸が一杯になったリップルは川へ飛び込まずにはいられなかった。

194 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:44:04.82 ID:VnMld+bP0
――――


ソラ「ん……君が僕を助けてくれたのかい?」

リップル「……さぁ」

ソラ「あっ!!帽子が無い!!僕の大事な……っつ!」

リップル「大丈夫か?」

ソラ「良いのかい?魔法少女がファントムなんか助けてさ」

リップル「どうして私を助けた?それが知りたかっただけ」

ソラ「女の子を助けるのに理由がいるのかな」

リップル「ふざけてるのか?」

ソラ「魔法少女達とお話したかったからさ。だから今死んでほしく無かったんだ」

リップル「ファントムなんかと話す事は無い」

ソラ「ウフフフ、前にケイネスと会った時もそう言われて追い出されたよ」

ソラ「だからファントムとしてじゃなく人間としてお話したかったんだけどなぁ」

リップル「なんで魔法少女と話したがってるんだ?」

ソラ「僕は他のファントムと違って人間の心が残ったまま生まれたんだ。だから魔法少女達と仲良くなれると思ってね」

ソラ「それでお話しして、お互い理解し合えれば戦わなくて済むかなって」

リップル「人間の心が残ってる?」

ソラ「嘘じゃないよ。今でも美容師として働いているし人間としての生活を続けてるんだよ」
195 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:47:49.28 ID:VnMld+bP0

リップル「……なんでお前たちはファントムを増やしている?世界征服でも企んでいるのか?」

ソラ「もう一度サバトを開く、日食の日しか開けないサバトをファントムの魔力を集めて無理やり開くのさ」

リップル「そんな事、絶対させない!コヨミのような犠牲者を出させない!」

ソラ「コヨミ?ああ、ケイネスの傍にいた魔力で動くお人形さんか」

リップル「コヨミは人形じゃない。人間だ!コヨミはファントムを産んで抜け殻になったゲートだと言っていた!」

ソラ「それは変だねぇ。ファントムを産んで体が残るなんてありえないよ」

リップル「何?」

ソラ「まあ、いずれ分かる事さ」

リップル「……あんたはこれからもファントムとして人を襲うのか」

ソラ「だからファントムじゃないってば 僕はソラ、今も昔も、そしてこれからもね」

リップル「答えになってない」

ソラ「はっきりしてるのは僕は君達魔法少女と同じく、人の心を持ってる……それだけさ」

ソラ「楽しかったよ。じゃあね」

リップル(……あいつの言ってる事は嘘だとは思えない、だけど信用していいのかも分からない)

リップル(一つだけ確信が持てるのは、あいつは他のファントムとは何かが決定的に違う)

リップル(あいつの本音を全て知り得るまで慎重に対処しなければ……)

196 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/12(金) 06:48:53.69 ID:VnMld+bP0
今回はここまで
ファントムの襲撃からリップルを助けるなんてソラって本当は良い人なのかな?
197 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/16(火) 23:57:50.28 ID:4H/fVOJM0
ファズのラボ


ソラ「ねえファズ」

ファズ「……なんだ?」

マンティコア「うぎゃああああああああーーーー!!!!」

ソラ「華乃ちゃんの事をもっと教えてよ」

ファズ「なぜそんな事を知りたがる……この臓器は慎重に切除して止血するっと……」

マンティコア「あががががぁーーーーー!!」

ソラ「僕ね……華乃ちゃんの事、好きになったかも♪」

マンティコア「」

ファズ「好きになっただと!?……実験体がくたばったか。良い線まで進んだが」

ソラ「だって華乃ちゃんって僕がファントムであるのを知ってて助けてくれた優しい子なんだよ」

ソラ「この高鳴る感情、まさに恋って奴だよ」ゾクゾク

ファズ「なら私が知っている情報を教えてやろう」

ソラ「ウフフフ……ありがとうファズ、はぁはぁ……」

ファズ(こいつ、なんか危ないクスリでもキメてるんじゃないのか?)

198 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/16(火) 23:58:28.95 ID:4H/fVOJM0
ファントムのアジト


ビルゲニア「おやおや、魔法少女を倒してみせると粋がっていた割りにこの結果とはな」

リブラ「一体どういうつもりだ!?グレムリンが私の妨害をするとは、ビルゲニアの策略か?」

ビルゲニア「ん?そんな命令はだしておらん。何があったか言ってみろ」

リブラ「私が魔法少女を追い詰めた所で奴が現れて魔法少女を庇ったのだ」

リブラ「そのせいで私は千載一遇のチャンスをふいにされてしまった」

メデューサ「分かったわ。貴方は引き続き任務を継続しなさい」

リブラ「……了解した」スタスタ

メデューサ「グレムリンの行動に何か心当たりはあるかしら?ビルゲニア」

ビルゲニア「さあ、知らんな」

メデューサ「一体何を企んでいる……グレムリン」

199 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/17(水) 00:03:55.27 ID:mmHuulrE0
――――


リブラ(やはり腹の虫が収まらない)

リブラ(グレムリンを追跡して何か弱みを握ってやらねば)

リブラ(私の邪魔をした罪の重さ、思い知らせてやる)

リブラ(それにしてもワータイガーと共にこんな寂れた場所まで移動して何をしているのだ?)


ファズのラボ


ソラ「ようこそイカワくん、ファズのラボへ」

ワータイガー「無駄話はいい。魔法少女達に勝つ作戦とやらをさっさと話してもらおうか」

ソラ「ウフフフ、その前に君には実験体になってもらうよ」

ケルベロス「ぐるるるる!!」

ワータイガー「なんだこいつは!?ぐほっ」

ファズ「さぁケルベロスにソラよ。奴を実験用のベッドに寝かせて拘束するのだ!」

ソラ「りょ〜かい♪」

ワータイガー「貴様ら、何のつもりだ!!」

ソラ「ごめんねぇ。魔法少女達に勝つ作戦を教えるってのは嘘、本当は君をここに招き入れたかっただけなんだ」

ワータイガー「おのれぇ!!俺を騙していたのかァーー!!」

ファズ「さっさと実験を始めるとしよう」

ワータイガー「許さん……絶対に貴様らをゆるさ ぐぎぎ、ぎぎゃああああァーーーー!!」

200 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/17(水) 00:04:27.51 ID:mmHuulrE0
――――


リブラ(恐ろしい事実を知ってしまった)

リブラ(すぐにワイズマン様に伝えなければ)パキ

ファズ「ん?」

ソラ「おや?」


リブラが後ろへと一歩下がった拍子に瓦礫の一部を踏んづけた。
運悪く、その音が悪魔の実験を繰り返している連中に感づかれた。


リブラ(気付かれた、気付かれた、気付かれた!!)


リブラは全力で走った。
戦っても勝ち目は無い、捕まったら殺される、と本能が危険信号を最大にして告げていた。
背後の様子を確認する余裕は無い。
ひたすら前のみに視線を向けて逃げた。
足元に何かが入り込み、リブラは受け身も取れずにぶざまに転がった。


リブラ「うぐ、ああ……」

ソラ「覗き見なんて趣味悪いよ。ハヤミ」

リブラ「来るな、近づくなァー!!」

ソラ「その怯えよう、やっぱり見っちゃったんだ。なら逃がす訳には行かないね」

リブラ「はぁ……はぁ……うわああああああ!!」

ソラ「僕と戦うつもり?良いよ。相手してあげる」

201 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/17(水) 00:05:34.11 ID:mmHuulrE0
――――


ソラ「ただいま」

リブラ「ぐぐっ……」

ファズ「帰ってきたか。そいつは生きているようだな」

ソラ「殺したら実験体にならないからね」

ファズ「こっちは丁度実験が終わった所だよ。惜しい所まで行ったが失敗だ」

ソラ「じゃあ、早速ハヤミを使おうよ」

ファズ「うむ、ファントムが一人で追跡に来るとは鴨にネギだよ」


――――


速水「うう、ぐっ、はぁはぁ……」

ファズ「実験は成功だ!!流石偉大なる天才科学者よ。己をひたすら称えたい気分だよ」

ソラ「へぇ〜。半信半疑だったけど本当に成功しちゃうなんて凄いんだね♪」

ファズ「もっと褒めてもいいぞ。後はそのミサと君の力を奪えば望みは叶うぞ」

ソラ「そうだけど、今のミサが僕の言う通りに来てくれるのは難しいと思うから」

ソラ「信用を取り戻す為の行動を見せなきゃね。それまで待っててよ」

ファズ「そうか」

ソラ「その前に、本当に実験が成功しているか確かめさせてね」

ファズ「私の腕を疑うのか」

ソラ「そうじゃないけど、万が一に力を取り戻して僕が返り討ちにされたらシャレにならないからね」

ソラ「念には念を入れないとね」


ラプチャーと呼ばれる双剣を持ったソラがゆっくりとリブラに近づく。
ファントムの力を奪われ、一般人同然の存在となった彼には抵抗する術がない。


速水「うわあああああ!!やめてくれェーーーー!!」

ソラ「苦痛によるショックでファントムの力が戻るかどうか試させてね。ハヤミ♪」


ラプチャーがリブラの左手の甲を突き刺した。
苦痛に悶えるリブラをソラは笑いながら何度も体を突き刺した。
長く苦痛を与える為に、死なない程度に加減をして何度も何度も……




リブラの悲鳴は一日中続いた――。



202 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/17(水) 00:06:28.08 ID:mmHuulrE0
次の日


ソラ「ハロ〜、華乃ちゃん♪」

華乃「またお前か。何の用だ?」

ソラ「つれないなぁ。今日は僕のサロンへ華乃ちゃんを招待しようと思って声をかけたんだ」

華乃「興味無い」

ソラ「僕が美容師なの知ってるよね?だから僕が人間らしく生きている事を見せたくてさ」

ソラ「美容師としての腕なら自信はあるし、もちろんタダだよ。僕の気持ちだと思って来てほしいんだ」

華乃「悪いけど魔法少女としての仕事があるから」

ソラ「そうなんだ……華乃ちゃんとなら僕と仲良くしてくれると思って誘ったんだけどな……」


陽気な笑顔を見せていたソラの表情が暗くなる。
まるで飼い主に捨てられた子犬のような寂しさを感じさせる悲しい表情を見せる。
罪悪感に胸が痛んだ華乃は、少しの間だけなら付き合ってもいいと考え直し
ソラに話しかけようとした所で、腹部に激痛が走った。


華乃「なっ……!?」

ソラ「ごめんね。華乃ちゃん、どうしても連れて行きたかったんだ」


華乃の意識が闇に沈んでいく。
ソラの顔はいつも通りの陽気な表情を浮かべていた。


ソラ「だってさ……白い服を着て、あんな綺麗な長い黒髪を見せられたらさ……」

ソラ「僕はもう、これ以上は我慢できそうに無いんだよね。ウフフフ、ウフフフフフ♪」


華乃の黒髪を手で絡める様に触れながら、ソラは華乃を抱えてサロンへ運んでいった。
過去に沢山の彼女を連れて行き、命を奪っていった処刑場とも言えるその場所へ。

203 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/17(水) 00:08:11.38 ID:mmHuulrE0
今回はここまで
次は対ソラ戦です。負けたらリップルがR18Gな事されそうで興奮する
204 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:28:59.75 ID:ExRm67P+0
ソラのサロン


華乃「……ううっ」

照明の光に照らされて華乃が目を覚ます。
簡素な固いベッドで寝かされてるのを理解し、起き上がろうとするが身体が動かない。
ベッドの四隅に手錠のような物が設置されており
華乃の手足はガッチリと固定されていた。


ソラ「起きたんだね。どう?素敵なサロンでしょ?」


四方を赤いカーテンで覆い、様々なオプジェが設置された部屋。
幻想的とも言える雰囲気を醸し出しているが
華乃にとっては、まるで悪魔の儀式に使われる祭壇のような不気味な空間としか思えなかった。


華乃「早くこれを外せッ!!」

ソラ「でも一番素敵なのは君の服装だよ。華乃ちゃん♪」


自分の格好を見て華乃は驚愕する。
学校の制服を着ていた筈の服装が白いワンピースに替えられていたのだから。


ソラ「やっぱりこの格好が似合うと思ったんだ。素材を生かしたシンプルな服装が清涼感あって素敵だ」

華乃「……まさか、私が意識を失っている間に……」

ソラ「うん!着替えさせてもらったよ。とっても綺麗なお肌だったよ」

華乃「きさまぁっ!!」

205 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:29:27.88 ID:ExRm67P+0
華乃の姿が変わり魔法少女リップルに変身する。
力を込めて抜け出そうとするが拘束具はビクともしない。


ソラ「あらら、服装が変わっちゃった。似合ってたのに、でもこの格好もなかなかキュートだよ」

リップル「ちっ、外せない」

ソラ「ウフフフ、そのベッドはね。有志の方に譲り受けた道具なんだ」

ソラ「例えファントムの力でも抜け出すのは不可能さ。外すにはこの装置にある赤いスイッチを押さないとね」

リップル(……それなら何か道具さえ投げればスイッチに命中させて外す事が出来る。何か無いか!)

ソラ「まだ諦めてない表情だね。そうこなくっちゃ、簡単に折れちゃ面白くないからね」


辺りを見渡すも手足が固定されてる状況では、手元に物を寄せる事が出来ない。
脱出を試みるリップルへとソラはゆっくり歩み寄り、手裏剣の形をした髪飾りを奪い取る。
結ばれた黒髪が解け、軽く一房作って掴んだソラはさわさわと黒髪の感触を楽しむ。


ソラ「こうした方が僕の好みだなぁ。あぁ〜いい香りだ」

リップル「……ッ!?このっ変態がぁ!!」

ソラ「あははっ、それってご褒美かな?ぞくぞくしちゃう」


懐から鋏を取り出し、刃の輝きをリップルに見せつけるように近づけた。
リップルの視線が鋏へ向けられるのを楽しみながら一房に纏められた髪へと運び
無造作にバッサリと切り落とした。

206 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:30:17.66 ID:ExRm67P+0
――――


トップスピード(おかしいぜ……待ち合わせ場所にリップルが現れないし連絡も取れやしない)

トップスピード「おい、ファズ!!」

ファズ「なんだぽん?」

トップスピード「リップルの居場所を教えろ!!今すぐにっ!!」

ファズ(ここで非協力的な意見を言うと、後々良からぬ疑いをかけられるかもしれん。ここは従うとしよう)

ファズ「分かったぽん。今送ったデータの場所にリップルのマジカルフォンがあるぽん」

トップスピード「恩に着るぜファズ。じゃあな!」

ファズ(この後はソラ自身が上手くやるだろう……多分)

207 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:30:54.96 ID:ExRm67P+0
――――


リップル「……っ!」

リップル(こいつは私を徹底的に苦しめてから殺す気だ)

リップル(ただ殺すだけなら、こんな周りくどい真似何かしない)

ソラ「いいねぇ〜。命を奪われる恐怖を必死に押し殺しながら耐えるその表情、苦痛で歪ませたくなるよぉ」

ソラ「安心していいよ。君はすぐには殺さないから、初めて出来た魔法少女の彼女だからね。じっくり丁寧に愛してあげる

リップル「いつ私がお前の彼女になった?」

ソラ「冷たいなぁリップルちゃん。僕達似た者同士なのにさ」

リップル「似ている?」

ソラ「だって君と君のお母さんはお父さんに捨てられたんだよね?」

リップル(あいつ、私の過去を知っているのか?)

ソラ「君が捨てられたように、僕も捨てられたんだ……大切な人にね」

ソラ「けど僕は捨てられたりしない……捨てるのは僕の方だ」

ソラ「丁度いい〜君が死ねばミサちゃんを誘い出すための信用も得られて一石二鳥だからさぁ」

208 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:32:55.04 ID:ExRm67P+0
――――


リップル「……っ!」

リップル(こいつは私を徹底的に苦しめてから殺す気だ)

リップル(ただ殺すだけなら、こんな周りくどい真似何かしない)

ソラ「いいねぇ〜。命を奪われる恐怖を必死に押し殺しながら耐えるその表情、苦痛で歪ませたくなるよぉ」

ソラ「安心していいよ。君はすぐには殺さないから、初めて出来た魔法少女の彼女だからね。じっくり丁寧に愛してあげる

リップル「いつ私がお前の彼女になった?」

ソラ「冷たいなぁリップルちゃん。僕達似た者同士なのにさ」

リップル「似ている?」

ソラ「だって君と君のお母さんはお父さんに捨てられたんだよね?」

リップル(あいつ、私の過去を知っているのか?)

ソラ「君が捨てられたように、僕も捨てられたんだ……大切な人にね」

ソラ「けど僕は捨てられたりしない……捨てるのは僕の方だ」

ソラ「丁度いい〜君が死ねばミサちゃんを誘い出すための信用も得られて一石二鳥だからさぁ」

209 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:34:15.43 ID:ExRm67P+0
帽子を脱いだソラの表情には笑顔が消え、獲物を狙う肉食獣の様な鋭い目付きへと変わる。
荒々しい息遣いとなり、リップルの頬へ手を伸ばした。


リップル「触るな……」

ソラ「最初は服装が変わって残念だと思ったけど……よく考えたらさ」

ソラ「人間時の華乃ちゃんと魔法少女になったリップルちゃんの二つの肉体を味わえるって事だよね」

ソラ「それってとってもお得だよねぇ。僕はやっぱりついてるなぁ」


髪の先から足のつま先まで舐めるように見つめるソラの視線が
リップルに羞恥心と恐怖心を植え付けていく。


リップル「……っ!?」


ソラの下半身の変化に気付いたリップルは小さな悲鳴が無意識の内に声に出てしまう。
下腹部からはズボン越しからでもくっきりと形が分かる程に
男のソレがそそり立っていた。


リップルが自身の下半身を見て怯えたのに気づくと
ソラはくくっと嘲笑い彼女の躰を撫で回す。
殺人衝動と性欲が混ざり合ったドス黒い欲望をリップルで発散出来ると考えただけで
彼の怒張は収まりそうにない。

210 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:35:06.58 ID:ExRm67P+0
ソラ「これだけ挑発的な格好をしている割りに男性経験は全く無かったのかな?」

ソラ「それともアレかな?本当はこういう事されたかったりとか?」

リップル「嫌っ!!」


ソラの手が彼女の豊満な胸を鷲掴む。
恐怖で身がびくんっと震え上がり、ソラの手から逃れようと身体を横に振った。
カチャカチャと拘束具の音が響くだけのささやかな抵抗もお構いなしに
ビキニの中まで指を忍び込ませていく。
ごつごつとした手の感触が、男に触れられているのを否応にも感じさせられ
抵抗も出来ずに男に身体を弄ばれて、悔しさの余り涙が溢れてきた。


リップル「ううっ、ぐすっ……」

ソラ「泣いちゃった。本当に未経験だったんだね。かわいいなぁリップルちゃん」

ソラ「僕が初めての男になるんだ。すごくそそられるよ」


ソラは大量の涙でぐしょぐしょに濡れたリップルの顔を優しく拭い。
両手で顔を押さえつけて、ソラの唇とリップルの唇を重ね合わせた。


リップル「っんん!!??」

リップル(そんな、無理やり……私の初めてのキスが、こんな男に……)


リップルの唇にむしゃぶりつくソラに恐怖し、目を閉じて身を縮みこませて
ソラの行為から逃れようとするも顔ががっちりと押さえつけられ固定されている。


リップル(ううう……いやぁ……)

リップル「っ!??」


気持ちの悪い何かが、唇の間を割って侵入してきた。
にゅるりとした、熱く長いモノが口内を這いずり回る。
これは、まさか……。


リップル「んっーー!!!!んん〜〜〜〜!!!!」


それがソラの舌だと気付いた時、私は必死に叫ぼうとして呻き声をあげた。
抵抗になる所かソラの情欲をただ掻き立てるだけの行為にしかならず
更に口内を蹂躙していく。

211 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:36:01.45 ID:ExRm67P+0
ソラの舌が、息が、唾液が、口内を汚していく。
男の味が体内まで浸み込まされていく。
私の舌とソラの舌がくっついて絡み合ってくる。


リップル(気持ち悪い、汚らしい、もう嫌だ……)

ソラ「はぁ……どうだった?初めてのキスの味は?」

リップル「…………」


不快感でしか無かった長い口付けが終わる。
威勢を張るだけの気力すら無かった。


ソラ「言葉にもならないほど嬉しかったみたいだね」

ソラ「じゃあ次はこっちの方も頂くよ」


ソラの手がスカートの中へと侵入してきた。
感触を楽しむ様に薄い布地を指で撫でくり回す。


リップル「……そこはっ!!いやあああ!!!!」

ソラ「その声、さいっこうだよぉ!!もっと絶望してよ。あっははははは!!」

リップル「やだぁ!やだよぉ!助けて、誰か助けてよっ!!!!」

ソラ「無駄だよ。いくら叫んでも助けなんて来ないんだからさぁ!!ひゃはははははっ!!」


絶対に弱音は吐かない。
そう貫いてきた意思がついに砕けた。
ファントムを討ち倒す強き魔法少女だったリップルは
恐怖に震え上がる、か弱き少女へと堕ちていった。


ソラ「さぁ、僕と一つになろうねリップルちゃん」

リップル(お願い、誰か……助けて……)


その時、恐怖に怯えるリップルの脳内に
相棒として共に活動していた魔法少女の姿が浮かび上がった。


リップル(トップスピード……トップスピード……)

リップル「助けてぇ!!!!トップスピィィドォーー!!!!」



リップルに支給されたマジックアイテム、ウサギの足が輝きを放った。
そして奇跡は叶った。


212 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:36:35.99 ID:ExRm67P+0
ソラ「だから無駄だって」

トップスピード「ここかぁっ!!!!」

ソラ「ぐあっ!?」


トップスピードの体当たりを受けてソラが吹き飛ばされる。
その隙にリップルの傍へ駆け寄った。


トップスピード「大丈夫かリップル!?」

リップル「……うん、あの赤いスイッチを押して」

トップスピード「これか」


赤いスイッチを押した途端、いくら引っ張っても外れなかった拘束具は呆気無く解除された。
自由の身になれた瞬間、リップルはトップスピードの胸に飛び込んで抱きついた。
その身体はガタガタと震えており、怯えた表情を見せていた。


リップル「……怖かった」

トップスピード「安心しな。俺が傍にいるよ」

ソラ「なんで……なんで僕の邪魔をするんだァーー!!?せっかく二人で愛し合っていたのにっ!!」

トップスピード「よくも俺の相棒を泣かしてくれたな。その落とし前はしっかり付けさせてもらうぜ」

ソラ「許さない。僕の邪魔をする奴は人間だろうが、ファントムだろうが、魔法少女だろうが、全て敵だッ!!」


ソラの姿が人間体からファントム体へと変化した。
連続殺人鬼ソラVS魔法少女の戦いが今始まる。
213 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/20(土) 15:42:06.00 ID:ExRm67P+0
今回はここまで
途中二重投稿してしまった
214 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:50:40.32 ID:JoMQdIZI0
リップル「うわああああああっ!!!!」


感情を爆発させたリップルが半狂乱じみた雄たけびをあげながら大量の飛び道具をソラへと投げつけた。
今までのソラの凶行からして彼の発言は全て有言実行で移す男であるのはその身で知った。
トップスピードを殺させまいとリップルは全身全霊を込めて戦いに挑んだ。


全ての飛び道具を双剣で叩き落としながら接近したソラの前蹴りがリップルの腹部に突き刺さりくの字に吹っ飛ぶ。
続いて横から放たれるミニ八卦炉の光線をくぐり抜けてトップスピードの顔面を斬りつける。


トップスピード「くぅっ!」

ソラ「君はいらない。死んでよ」

リップル「させないっ!!」

ソラ「そんな殺意剥き出しじゃせっかくの奇襲も通らないよ。はぁ!!」

リップル(おちゃらけた人間体だった癖に……速い)

ソラ「君は速さに自信があるようだけど、僕も結構速い方なんだよね」


ソラから繰り出される連撃にリップルは押し出され
廃墟の吹き抜けから一階へと落下していく。
受け身を取りながら移動してソラの追撃に備えると、ふと地面が柔らかくなった事に気付いた。


リップルのいる場所には一室分ほどのスペースのコンクリート部分が剥がされており
柔らかい土が露出していた。
土は僅かに盛り上がってる部分が数十ほどあり
落とし穴と呼ぶには浅いが、横になれば人間一人入りそうな穴が開いてある。

215 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:51:13.32 ID:JoMQdIZI0
ソラ「気が早いね。君がここに来るのはまだ後だよ」

リップル「なんだこれは?」

ソラ「ここは、僕の彼女達のお墓さ」

リップル「……!?」


凝視してリップルは気付いた。
盛り上がった部分をよく見ると線香が立てられた跡がある事に。
そして一人分のスペースのある穴が掘られている意味に。


ソラ「僕は47人の彼女をここに捨てて埋めたんだ」

ソラ「リップルちゃん。君は48人目の彼女としてここに埋められるんだよ」

リップル「……やっぱり、ファントムは誰一人信用出来ないっ!」

ソラ「違うよ!僕はファントムじゃない!僕がこんな身体になる前から繰り返してきた行為なんだから!」

リップル「まさか、お前は……」

ソラ「そうさ。彼女を鋏で切って、刺して、突いて、殺して捨てた感触を初めて味わったのは僕がまだ人間だった頃さ」

ソラ「彼女の身体を鋏で切る度に幸福感が蘇って、僕の心が何も変わっていない人間だって実感できるんだよぉ〜」

リップル「ここに埋められてる人全員にあんな酷い事を繰り返したのか!!」

ソラ「最初の彼女はそんな長くは無かったよ。何せ怒りに任せて鋏を振るったからね。すぐ死んじゃった」

ソラ「二人目の彼女はじっくり楽しみたいから手足をロープで縛って、ちょっとずつ切って時間かけて殺したなぁ。三人目は」

リップル「もういい黙れ、お前はこの場で殺す」

ソラ「ああ、僕も早く君を切り刻みたくてウズウズしてるんだ」
216 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:51:57.21 ID:JoMQdIZI0
トップスピード「このっ!」

ソラ「おっと」

リップル(壁をすり抜けた。それがあいつの魔法か……すると!?)

トップスピード「つう!」

リップル「このぉぉっ!」


壁から出現したソラがトップスピードの背中を切り裂く。
相棒が傷つけられ怒りに任せてリップルが飛びかかる。
その攻撃をソラは予測していた。
双剣を使い右手の剣で小太刀を弾いて、左手の剣でリップルの腹部を突き刺した。


リップル「……ごぼっ」

トップスピード「リップルぅぅ!!」

ソラ「くっははははは、直情的なのは良くないよリップルちゃん」

リップル「ひぐっ、うあああああああ!!」


腹部に刺さってない方の剣を使ってソラはリップルの左目を抉り出した。
リップルの悲鳴を子守唄のように心地よく聞きながら目玉を引き千切って宝石の様に見つめた。

217 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:52:47.24 ID:JoMQdIZI0
トップスピード「やめろぉぉぉぉ!!」

ソラ「邪魔だよ」

トップスピード「ああっ!……くっそぉぉ!!」

ソラ「ほらほらちゃんと狙って」


小太刀を拾い上げて走るトップスピードの攻撃を避けて
リップルとお揃いにしてあげると言わんばかりに右目を突き刺して抉った。
それでも攻撃の手を緩めないトップスピードがミニ八卦炉で光線を放つも避けられる。

その攻防の間に剣が突き刺さったままのリップルが起き上がって何かを投げつけた。
それは、叩き落そうと振るった剣をすり抜けてソラの顔面に付着した。
投げた物は血だった。
彼女の体から流れる血を掌で受け止めてソラへ投げつけたのだ。


ソラ(なるほど、液体なら叩き落とせない、ぐあっ!)

リップル「うおおおっ!!」


視界を奪った隙を逃さずにソラへ体当たりをした。
両手にはクナイが握りしめられておりソラの腹部へ深く刺し込んだ。


リップル(チャンスは逃さない!!)


引き抜いたクナイでソラの首を切り裂く。
返り血がリップルの顔を紅く染める。
心臓へ突き刺そうと振り下ろしたクナイを掴まれた。


ソラ「――――ッ」


首が切れているので声を発していないが調子に乗るなと言わんばかりにリップルを睨んでいる。
クナイから手を離したリップルは急いでソラから距離を取った、それから一秒も経たない刹那の間に。
拘束でリップルの横を通り抜ける物体がソラに激突し、轟音が響き渡る。

ソラと衝突した者の正体はラビッドスワローに乗ったトップスピードだった。
タイミングを合わせてリップルが回避した所に、最大加速の体当たりをぶちかました。


トップスピード「ナイスだぜ。上手く良く避けてくれてさ」

リップル「……チームプレイの練習をしておいて正解だった」

218 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:53:22.96 ID:JoMQdIZI0
トップスピードの必殺技を受けたソラは廃墟の壁を何度も何度もぶつかり
数百メートル離れた所でようやく止まった。


ソラ「ぐっ……がっ……」

リップル「ここで終わりにさせてもらう」

ソラ「……!?」


上空から声が聞こえて、ソラが見上げる。
そこには満月を背にラビッドスワローに乗ったトップスピードとリップルが見下ろしていた。
ソラを見下ろす二人の冷たい視線が、僕を捨てた彼女にとてもよく似ていた。


ソラ「僕を……そんな目で見るなぁぁぁぁ!!!!」

リップル「地獄へ落ちろ!!」


大量の手裏剣がソラへと降り注ぐ。
ダメージで体が動けず、叩き落せるような武器も無い現状でそれを防ぐ手立てが無かった。
まるでハリネズミの様に全身に刃が突き刺さる。


リップル「トップスピード、力を貸してくれ」

トップスピード「ああ、二人で決めようぜ」


二人でミニ八卦炉を掴み、魔力を限界まで注ぎ込んだ。
強力なエネルギーが夜空の星のように輝いた。
219 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:54:02.66 ID:JoMQdIZI0



僕が捨てられる?


違う!僕がリップルちゃんを捨てるんだ!!


あれ?何で君がいるの?最初に捨てたのに……。


皆が集まってる……僕が捨てた47人の彼女が……。


そんな目で見ないでよ。しょうがないじゃないか……君達が僕を捨てようとしたんだから。


僕はただ愛して欲しかっただけなのに……それ以外なら何もいらなかったのに……。


寂しかったんだよ。悲しかったんだよ。だから僕は捨てるしか無かったんだ。


お墓を作ったんだよ。線香を立てて黙とうもしたんだよ。ちゃんと供養したんだから恨まないでよ。


君達一人一人の思い出は今でも覚えてるんだ。それだけ愛しているんだよ。


だから僕を虐めないでよ。君達の事は死んでも愛してあげるからさ


だから――――



ソラ「安心して殺されてくれよぉぉぉぉ!!!!」

トップスピード&リップル「「いっけぇぇぇぇっ!!!!」」


巨大な光線がソラの身体を包んで焼き焦がした。
ソラはリップル達とは違う者を見つめながら、ただ叫んでいた。

220 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:54:52.11 ID:JoMQdIZI0
地面に降りた二人はソラの遺体を確認した。
黒焦げとなりピクリとも動かなくなっている。


トップスピード「終わったか……」

リップル「……これで、誰かがあいつに殺されることはもう無くなった」

トップスピード「行こうぜ。すっげーボロボロだぜお前」

リップル「お互いさまでしょ」

トップスピード「にひひ、そうだな」

リップル「ぐっ……あがっ……」


全身が炭化してもなお、起き上がったソラがリップルの首を締め上げる。
予想だにしていない状況にリップルもトップスピードも対応が遅れる。


ソラ「リップル、だけでも……死んで、もらうよ……ひゃはっ……はははははは……」


ザシュっと音が鳴りソラが崩れ落ちた。
背後には月霊髄液を操作したケイネスが呆れ顔をしながら立っていた。


ケイネス「全く、緊急連絡にも反応が無いから私、自らが様子を見に来てみればこうなっているとは……」

ケイネス「私の助力があれば、ここまで追い込まれる事は無かっただろうに」

リップル「…………」

トップスピード「おいしっかりしろ!!リップル、リップルーー!!」

ケイネス「……こいつら聞いとらんな」


塵となって消滅するソラを見て安心したリップルは蓄積した疲労により意識を手放す。
再び目が覚めた時には病室の中にいた。

221 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:55:28.36 ID:JoMQdIZI0
魔法病院


リップル「ここは……」

井坂「ファントムとの戦いの後、貴女は意識を失っていたのですよ」

リップル「……そうか。トップスピードは?」

井坂「もちろん無事ですよ。貴女より早く退院出来ます」

リップル「良かった」

トップスピード「おいリップル!目を覚ましたか。いや〜一時はどうなる事かと思ったよ」

井坂「念を押されましたからね。傷跡一つ残さずに治すようにと」

トップスピード「当然だ。こんな可愛い顔に傷なんて絶対付かせねえよ」

リップル「…………」

井坂「では、他の患者も診なくてはいけないので失礼します」

リップル「……ねえ、トップスピード。一つ頼みたいんだけど……」

トップスピード「ん?なんだ〜?おっ」

リップル「今だけでいいから、抱きしめてほしい。強く……」ギュウ

トップスピード「いいぜ。俺の胸で良ければいつでも貸してあげるよ」ギュウ

リップル「……ありがとう。助けに来てくれて……」

トップスピード「当然さ。俺達、魔法少女だろ」


ソラを倒し、安心したせいか。
張り詰めていた緊張や不安が無くなった弾みで涙が溢れた。
恐怖に震える少女を抱きしめるトップスピードはまるで聖母の様な温かみを感じられた。

222 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 05:56:17.03 ID:JoMQdIZI0
当病院内でリップル達と同じような時間帯で運び込まれた緊急患者がいた。
やっと検査が終わり、看護師に車椅子を押してもらいながら廊下へと移動した。


速水「…………」


彼こそファントムとしてリップル達と戦っていたリブラである。
全身が包帯に巻かれ、僅かに痙攣を繰り返し
焦点の合っていない瞳で遠くを眺め、唾液が垂れている。
ソラの拷問によって心身共に壊されていた。


医師A「あの患者か。例のファントム騒動の関係者というのは」

医師B「ああ、酷いもんだよ。脳神経がズタズタにやられている。一生あのまんまだそうだ」


病室へ戻る為に看護師が車椅子を押す。
カチャンと鉄格子の扉が閉まる。


速水「うわああああああああ!!!!助けてくれぇぇっ!!!!許してくれぇぇぇぇっっ!!!!」

看護師「落ち着いて!!大丈夫、大丈夫ですよ!!」


金属の音がソラの双剣の音と重なり、リブラの脳内でトラウマが蘇った。
彼は一生苦しむだろう。
ファントムとして死ぬことは無く、人間として一生苦しみ続けるのだ。
それが人間を絶望に落とそうとした罰なのかもしれない。
223 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/25(木) 06:03:10.92 ID:JoMQdIZI0
今回はここまで
原作でギャグみたいな死に方したリブラだが
このSSでは生存ルートです よかったよかった
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 20:57:24.13 ID:4nmUKkfnO
いやこれみんなのトラウマとして知られる、ジェットマンのトランザの末路だろ
リアルタイムで視聴していて、うわぁっ…ってなったよ(私45歳です)
225 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/29(月) 11:30:44.79 ID:hfcAtCu90
ケイネスのアパート


ケイネス(さて、魔法少女達全員へ連絡も終わった……)

ケイネス(これで忌々しいファントム共との戦いも終わりになる)


少し前に遡る。
ケイネスの元に白い魔法使いからの連絡が入った。
内容はファントム達のアジトを見つけ出したという物。

ケイネスと白い魔法使いは議論の末に目的地へ全魔法少女を終結させ。
一斉に奇襲を仕掛けてアジトにいる全てのファントムを殲滅させる作戦で決まった。
今夜、その作戦が決行される事になる。


ケイネス(リップルとトップスピードの二名は治療中の為に今回は不参加だ)

ケイネス(引き換えにあのファントムを討伐したのだから十分な働きと言えよう)

226 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/29(月) 11:31:18.06 ID:hfcAtCu90
ドサリ


ケイネス「何の音だ?」

コヨミ「うう……」

ケイネス「おいコヨミ!しっかりしろ!」

コヨミ「大丈夫……魔力不足でちょっと眩暈がしただけ……」

ケイネス「すぐに魔力を注ぐ」

コヨミ「はぁ……はぁ……」

ケイネス「何故だ?コヨミがの身体が回復しないぞ?」

コヨミ「休めば……きっとすぐに元気になるから……」

ケイネス「そんな蒼白した顔で言われても説得力など無いわ。おいファズ!!」

ファズ「何だぽん?」

ケイネス「白い魔法使いを呼んで来い!!大至急だ!!」

ファズ「分かったぽん」

ファズ(たかが人形が動かなくなった程度で狼狽えるとは大げさな奴め)

ファズ(それにしてもグレムリンの奴、糞の役にも立たなかったな)

ファズ(所詮ファントムはファントム、サバトの副産物で生まれる残りカスに過ぎなかったという事か)

227 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/29(月) 11:31:58.26 ID:hfcAtCu90
しばらくして……


白い魔法使い「これで大丈夫だ。しばらく安静にしていれば問題無い」

ケイネス「熱も呼吸も安定している。そのようだな」

コヨミ「ご飯の支度……しないと……」

ケイネス「いいから寝ていろ。食事は出前を取れば問題無い」

コヨミ「それと洗濯物も干さないと……」

ケイネス「……私が全部やっておく」

白い魔法使い(いよいよか……私の悲願が果たされる時が近づいてきた……)





白い魔法使い「よくぞ皆、集まってくれた。助力を感謝する」

スノーホワイト「この先にファントムがいるんですね?」

白い魔法使い「ああ、奴らは奥にある洞窟を根城にしている」

ラ・ピュセル「洞窟内にいるファントムを一掃すればこの戦いに決着が付く……」

アリス「必ず勝ちましょう」


228 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/29(月) 11:32:36.76 ID:hfcAtCu90
ルーラ「よくお聞き、私達チームが一丸となって行動すれば勝利は必然よ」

ルーラ「ファントムが現れても慌てずに己の役割を果たせば負けることは無い。それを肝に銘じておきなさい」

たま「はいにゃ」

スイムスイム「分かった」

ミナエル「へーい」

ユナエル「ほーい」



シスターナナ「あの、リップルさんとトップスピードさんの体調はどうでしょうか?」

ケイネス「問題無い。二人とも近い内に退院出来ると医者が言っていた」

シスターナナ「それを聞いて安心しました」

ウィンタープリズン「シスターナナ、今は私達の任務に集中しようじゃないか」

シスターナナ「そうですね。私達の出来る事をしましょう」

ケイネス(覚悟しろワイズマン、貴様はこのケイネス・ロード・エルメロイの名を輝かせる為の礎にしてやる)


229 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/29(月) 11:33:05.05 ID:hfcAtCu90
ねむりん「うーん、私がここに来ても役に立てるのかなぁ?」

マジカロイド「アナタ、夢の中じゃないと殆ど戦えないデスよね」

メアリ「だったら、あんたに渡されたアイテムをあたしに寄こしな。有効に活用してやるよ」

ねむりん「うん、いいよぉ〜あげる」

メアリ「そういう素直な所は嫌いじゃないよ。代わりにこれを使いな」

ねむりん「わぁ〜大きいナイフだね〜」

メアリ「アーミーナイフさ。それなら自分の身ぐらいは守れるだろ」

ねむりん「ありがと〜メアリィ〜」

マジカロイド「ワタシにも何か頂けると嬉しいのデスが……」

メアリ「あんたは自前の道具で何とかしな」

マジカロイド「世知辛いデス……」


白い魔法使い「では洞窟まで案内する。皆付いて来るのだ」

230 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/29(月) 11:33:58.42 ID:hfcAtCu90
ファントムのアジト前


白い魔法使い「ここだ」

ケイネス(私が先陣を切って内部へ侵入し、月霊髄液でワイズマンの居場所を見つけ出し始末するとしよう)

ケイネス「まずは私が」

メアリ「面倒だねぇ。あたしが行ってさっさとぶち殺してやろうか」

ケイネス「なっ!?」

シスターナナ「そんな危険です!それでしたら私達が先に行って中の様子を探ってきます」

スノーホワイト「待ってくださいシスターナナさん。探知なら私の魔法が役に立ちます」

アリス「私は攻撃を受けても平気です」

ラ・ピュセル「だから、ここは私達に……」

ルーラ「待ちなさい。複数での行動なら我らルーラチームこそが優れているわ」

ルーラ「貴女達は後方で私達の戦いぶりを参考にしながら付いてくるといいわ」

スイムスイム「ルーラの言う通り」

ケイネス「お前ら……悪の幹部みたいな手柄の取り合いをするんじゃない」

ケイネス「お前達の監督役である私こそが先んじて行くのがふさわ」

白い魔法使い「私が先に行く」

ケイネス「何ィ!?」

白い魔法使い「ファントムとの戦いは私が一番慣れている。爆発音の後に皆も続いてくれ」

スノーホワイト「分かりました。気をつけてください」

ケイネス(白い魔法使い……まさかワイズマン討伐の手柄を横取りするつもりか!?)

ケイネス(出世欲の無さそうな立ち振る舞いをしている割りに侮れん奴だ……)


白い魔法使いがアジト奥深くへと侵入してから数分後
彼の放たれた魔法による爆発音が外まで響き渡った。


ケイネス「よし、お前達行くぞ」

スノーホワイト「はい!」

231 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/29(月) 11:35:12.39 ID:hfcAtCu90
アジト内部


ビルゲニア「ん?何の音だ?」

ワイズマン「どうやら魔法少女達が攻めてきたようだな」

メデューサ「ワイズマン様。ここは私達にお任せを」

ワイズマン「うむ、期待しておるぞ」

ビルゲニア「久々の戦いだ。腕が鳴りますなぁ」

ビルゲニア(ククク……絶好の機会だ。騒ぎに乗じてワイズマンを討ち、私がファントムの王となろう)


ヘルハウンド「まさか魔法少女達の方からやってくるとは」

リザードマン「こちらから出向く手間が省けたぜ」

ケットシー「めんどくせーけどやるか〜」

ノーム「我々の力を見せてあげましょう」

ヴァルキリー「魔法少女達は全て血祭りですね」

ヒドラ「誰が相手だろうとぶっ潰す!」

スプリガン「不用心なのはいけませんよ。慎重に戦いましょう」

デュデュオンシュ「相手がどんなに強大だろうと皆で力を合わせればきっと勝てるはず。さぁ行くぞー!!」

アルゴス「お前、暑苦しいぞ」

ラーム「センソウダ、センソウダ」

バハムート「お前ら、あんまり殺しすぎるなよ。俺の楽しみが無くなっちまうからな」


ついにファントムのアジトを突き止めた魔法少女達。
アジトに乗り込んだ彼女達を待ち受けるのは恐るべきファントム軍団。
魔法少女はこの戦いに勝利する事が出来るのか?


次回 ファントム軍団滅亡


ご期待ください。
232 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/05/29(月) 11:40:07.28 ID:hfcAtCu90
今回はここまで
誰かとは言わないが、いちいち変化して移動して演じ分けするのは大変だろうな
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/05/30(火) 20:46:05.57 ID:6LAHp/Ne0
土管社長も出してほしい
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 10:31:02.61 ID:gulfp7Iq0
俺が(じゃねえ)トップスピードが生存してるぅ〜!
235 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:06:11.13 ID:WgNUs0+L0
アジトへと侵入した魔法少女達
内部には大量のグールが待ち受けていた。


グール「グォオオ!!」

グール「ギャオオ!!」

グール「オォン!アォン!」

ケイネス「雑魚が集まった所で私に勝てると思ったか」


グール達を掃討して先へ進むと、途中から道が三つに分かれている。
思案した後、ケイネスは戦力を三分割させて攻略する事にした。


ケイネス「ならば左側はルーラチームの5名に任せよう」

ルーラ「分かったわ」

ケイネス「右側はスノーホワイト達とシスターナナ達の5名で行け」

スノーホワイト「はい!」

シスターナナ「承りました」

ケイネス「残りは私と共に中央の道を行くぞ」

メアリ「あいよ」

ねむりん「がんばろ〜」

ケイネス(こういう場合は中央に総大将が居座っているのが定石というものよ)

236 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:06:51.84 ID:WgNUs0+L0
右エリア


ノーム「アバ―ッ!」

ヴァルキリー「アバ―ッ!」

ヒドラ「アバ―ッ!」


ラ・ピュセル、ウィンタープリズン、アリスの一撃がそれぞれのファントムを撃破する。
残りの一体がスノーホワイトに向かって飛びかかった。

スノーホワイト「くっ」

ラーム「マホウショウジョ、コロチュ、コロチュ」

ラ・ピュセル「やらせない!」

ラーム「アバ―ッ!」

スノーホワイト「ありがとう、ラ・ピュセル」

シスターナナ「皆無事ですね。では気を付けて先へ進みましょう」

237 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:07:29.73 ID:WgNUs0+L0
――――


バハムート「ここに来たって事は4体のファントムを屠ったという事か。面白い」

プリズン「気を付けろ、こいつは他のファントムより相当強い……」

バハムート「ほう、なかなか察しが言いな。じゃあ行くぞ!!」


魔法少女達に向かって駆けだしたバハムートが連撃を放つ。
前衛に立ったラ・ピュセル、ウィンタープリズン、アリスは猛攻に耐え切れずに吹き飛んだ。


シスターナナ「皆さん……!」

ラ・ピュセル「つ、強い!」

プリズン「なんて凄まじいパワーだ」

アリス「私が攻撃を受け続けて相手を消耗させます……」


アリスは姿勢を低くしてバハムートの足元にタックルを仕掛けた。
バハムートは、ふんと鼻で笑い、アリスの顔面に膝蹴りを叩き込んだ。
アリスの顔面はぐちゃりと潰れて勢いよく転がった。


バハムート「攻撃が単調過ぎるぞ。そらぁ!」

シスターナナ「あうっ…」


バハムートが腕を振るい、斬撃が放たれる。
シスターナナの脇腹を切り裂いて血が噴き出た。

238 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:08:15.02 ID:WgNUs0+L0
プリズン「ナナぁ!!」

ラ・ピュセル「うおおお!!」

スノーホワイト「はぁぁぁ!!」

アリス「…………」

バハムート「どうしたどうしたぁ?お前達の力はその程度か!!」


魔法少女達が次々と攻撃を繰り出すも全てが捌かれ
カウンターの打撃によって殴り伏せられる。


プリズン「アリス、スノーホワイト、奴の攻撃を一時的に凌いでくれ」

プリズン「私は頃合いを見て大量の壁で奴を押し潰す。その隙にラ・ピュセルが決めてくれ」

スノーホワイト「はい!」

アリス「分かりました」

ラ・ピュセル「やってみます」

バハムート「魔法少女の相手は他にもいるんでな。ここで終わらせるぞ!!」

アリス「……させない」

スノーホワイト「やぁぁぁああ!!」


バハムートの進撃を止めるべくスノーホワイトとアリスが駆けだす。
二人を殴り飛ばした瞬間、四方八方から大量の壁がバハムートに向かって衝突した。


ラ・ピュセル(薄く……細く……そして強度は最大に……)

ラ・ピュセル「くらえええええええええ!!!!」

バハムート「ぬぐわぁああああああっ!!」


面積を減らしたラ・ピュセルの剣が多数の壁の隙間をくぐり抜けてバハムートの胸を貫いた。
バハムートの顔が苦痛に歪み、諦めた様な表情に変わり、そして笑みを浮かべた。


バハムート「くっ……くくっ、くくく、ははははは!!楽しかったぞ。魔法少女達ィ!!」

バハムート「一足先にあの世へ行ってくるぜ。せいぜい頑張れよ、この先どんな絶望が待っていようとなァ!!」


強敵との戦いを楽しんだバハムートは声高々に笑いながら塵となって消滅した。

239 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:09:14.74 ID:WgNUs0+L0
中央エリア



スプリガン「こいつら……強い」

アルゴス「厄介な奴らだぞ!」

デュデュオンシュ「大丈夫か!わが友よ!」

メアリ「この私に歯向かって勝てると思ってるのかい?」

マジカロイド「そーデスそーデス。降伏するなら今の内デスよ」

ねむりん「やっちゃえ〜」

デュデュオンシュ「皆諦めるな。先の戦いで散っていった仲間達の無念、ここで晴らすのだ!!」

メアリ「あんたみたいな青臭い台詞を吐く奴は大っ嫌いだよ」

デュデュオンシュ「ぬおおおおおお!!」

メアリ「はん!」


特攻を開始するファントム達に銃口を向けるメアリ。
銃弾が放たれるより前に月霊髄液の水圧カッターが三体のファントムを切断した。


スプリガン「ちにゃ!!」

アルゴス「ひでぶっ!!」

デュデュオンシュ「あべし!!」
240 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:10:05.76 ID:WgNUs0+L0
ケイネス「よくやったカラミティ・メアリ。君が注意を引かせたおかげで容易く隙を付けたぞ」

メアリ「私が仕留めてやってもよかったんだけどねぇ」

マジカロイド「いやはや、見事なお手前で」

ねむりん「ケイネスさんって簡単にファントムを倒しちゃう魔術師なんだね。すご〜い」


ビルゲニア「なかなかやりすまなぁ。では一つ、その術が私に通用するか試しては如何かな?」


不敵に笑うファントムが姿を現した。
剣と盾を持ち、海洋生物を思わせる甲冑に身を包み
人間と殆ど変わらない様な青白い素顔が、反って不気味さを引き立たせていた。


ねむりん「またファントムが出たぁ〜」

ビルゲニア「我が名は剣聖ビルゲニア、いずれファントム達を統べる王となる物だ」

ビルゲニア「私の剣にかかって死ぬ事を光栄に思うがいい」

ケイネス「ほざけ!!」


月霊髄液がビルゲニアにとびかかり全身を包んだ。
ケイネスが魔力を込めて押し潰そうとした瞬間。
ビルセイバーの斬撃によって月霊髄液が四散した。


ビルゲニア「その程度の攻撃など、我が剣技の前では無力ですなぁ」

ケイネス「馬鹿な!?私の月霊髄液がこうも容易く突破されるとは……」

ビルゲニア「次はこちらの番ですな。ビルセイバーデモントリック!!」

241 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:10:42.51 ID:WgNUs0+L0
分身を作り出したビルゲニアが魔法少女達に斬りかかる。
メアリが銃弾をばら撒いて牽制するもビルテクターの前にはダメージを与えることが出来ない。


ねむりん「ひえ〜!」

メアリ「面倒だね……」

ビルゲニア「もう少し足掻いてくれないとこちらとしても張り合いが……ん?」


ビルゲニアの足元に、よちよちと進むネジ巻き式の小さな黒い玩具が歩いていた。


ビルゲニア「なんだこれは?」

ボム兵「」チチチチ


ドゴォォォォォオン!!!!


ビルゲニア「ぬぐぅ!」

メアリ「チャンス!」

ケイネス「今だ!」


怯んだビルゲニアに向かって、メアリの銃撃とケイネスの月霊髄液の斬撃が降り注いだ。
ビルゲニアの身体が光の粒子となって消えていった。


メアリ「やるじゃないかマジカロイド」

ねむりん「お手柄だよ〜」

マジカロイド「ワタシの道具が珍しく役に立って良かったデス」

ケイネス「休んでいる暇は無い。先へ行くぞ」


ビルゲニア(くくく……こいつらめ、私が死んだと思っているな)

ビルゲニア(奴らはいつでも殺せる。今はワイズマンを追跡するとしよう)

242 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:11:16.05 ID:WgNUs0+L0
左エリア


ヘルハウンド「グワ―!」

リザードマン「ヤラレター!」

ケットシー「うぼぁー!」


三体のファントムが爆散する。
倒したのはミナエル、ユナエル、たまの三人である。
ただ様子がいつもと違っている。


ミナエル「おいちぃ……」

ユナエル「おいちぃ……」

たま「おいちぃにゃ……」

ルーラ「……このお菓子、何か危ない成分でも入ってるんじゃないの?」

スイムスイム「三人ともゾンビみたい」


ユナエルに支給された元気の出るお菓子は
戦闘能力が増加する代わりに思考力が低下するデメリットを持ったマジックアイテムだ。
そのお菓子を食べた三人は単独でファントムを撃破する力を得たが目つきが明らかに普通じゃない。


ミナエル「ルーラ、もっとそれ欲しいよぉ〜」

ユナエル「お願い、もう我慢できないの〜」

たま「ふにゃーーーー!!」

ルーラ「こら、たま!勝手に袋を取ろうとするな。お預け!!」

たま「おいちぃお菓子ちょうだい!ちょうだい!」

ルーラ「駄目よ。消耗品なんだから使い所は考えないと、スイムスイムはこれを食べないようにね」

スイムスイム「分かった」

243 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:11:55.94 ID:WgNUs0+L0
――――


メデューサ「来たか。ここがあんた達の墓場よ」

ルーラ「その言葉、そっくりそのままお返ししてやるわ。さぁ行きなさい!!」

ミナエル「おいちぃ!」

ユナエル「おいちぃ!」

たま「おいちぃ!」

メデューサ「そんな攻撃、私には通用しないわ」


同時に三人が飛びかかる。
メデューサの杖によって攻撃は防がれ、カウンターの一撃が
三人を吹き飛ばして転げ回った。


ルーラ(瞬時に三人を叩き伏せるなんてやるわね。だけど……)

スイムスイム(その隙を付いて地中から背後に回った私が攻撃を仕掛ける)

メデューサ「分かっているぞ」

スイムスイム「……っ!?」

メデューサ「攻撃がすり抜けた……ならこれでどう?」


メデューサの眼が妖しく輝く。
その瞳を見たスイムスイムは身体が動かなくなった。

244 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:12:51.26 ID:WgNUs0+L0
スイムスイム(身体が……石に……)

ルーラ(スイムスイム!?……だけど透明外套で姿を消した私が魔法であいつを自害させれば私達の勝ちよ)

ルーラ(痛っ……え?足元に蛇が!?)

メデューサ「地面に潜ませた蛇がソナーの役割を果たしているわ。だからどんな小細工も無駄よ」

ルーラ「うああ!!魔力が……吸われて……」

たま「ルーラ!」

ミナエル「こいつめー!」

ユナエル「よくもー!」

メデューサ「全員、石になりなさい」


瞳から強力な呪いが発せられ残りの4人も石化された。
メデューサが彼女達にトドメを刺すべく杖を構える。


メデューサ「あとは砕けば魔法少女5人はこの世から消える」

白い魔法使い「それは困るな」


一筋の光弾がメデューサの身体を貫いた。


メデューサ「あうっ……お前は白い魔法使い……」

白い魔法使い「彼女達にはまだ役割がある。ここで死なす訳にはいかん」

メデューサ「おのれ……ワイズマン様の為にここでお前を倒す!」

白い魔法使い「その、ワイズマンというのは……」

ワイズマン「私の事かな?メデューサ」


白い魔法使いの身体が魔法によって別の姿に変化した。
それはファントム達を統べる首領、ワイズマンだった。

245 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:13:33.88 ID:WgNUs0+L0
メデューサ「そんな……貴方が、ワイズマン様だったなんて……」

ワイズマン「今までよくやってくれたよメデューサ、おかげで私の悲願がもうじき達成される」

メデューサ「そんなの嘘です!嘘とおっしゃってください!ワイズマン様……」

ワイズマン「お前の役割はもう終わりだ。ゆっくりと休むがいい」


ワイズマンの一撃を受けたメデューサは嘆き悲しみ、絶望して消滅した。
塵となって消えゆく様を見ているワイズマンに向かって黒い突風が吹き荒れた。
ビルゲニアの剣技、ダークストームである。


ワイズマン「ぬぅ…」

ビルゲニア「驚きましたなぁ。まさかワイズマンが我々ファントムの裏切者だったとは」

ワイズマン「魔法少女とファントムの戦いの隙を付いて私の命を狙ってきたか。ご苦労な事だな」

ビルゲニア「大義名分も出来て丁度良いわ!逆賊ワイズマンを討ち、私がファントムの王となってくれよう!」

ワイズマン「フフフ、面白い……」

白い魔法使い「ファントム風情が私に反逆とはな」


ワイズマンの姿が白い魔法使いへと変化した。
ビルゲニアは盾であるビルテクターを前面に構えながら間合いを詰めていく。


ビルゲニア「死ねぇ!!」

白い魔法使い「ふん!」


カキンッと金属の衝突音が響き渡った。
ビルゲニアの振るったビルセイバーが白い魔法使いによって弾き飛ばされる。
追撃に放ったハーメルケインの斬撃がビルテクターごと、ビルゲニアの身体を切り裂いた。


ビルゲニア「馬鹿、な……ファントムの、王となるべき……この、私が……」

白い魔法使い「お山の大将を気取りたいのなら地獄でやるがいい」

ビルゲニア「おの、れぇ〜……我らファントムは、貴様の目的を叶える為の道具に過ぎなかったというのかぁ……」

白い魔法使い「ようやく理解したか。その為だけにファントムを生かしていたという事を……」

白い魔法使い(……そして魔法少女達も同様にな)


246 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:14:11.10 ID:WgNUs0+L0
ルーラ「うっ……」

白い魔法使い「気が付いたか」

スイムスイム「蛇のファントムは?」

白い魔法使い「安心するがいい。奴は私が倒した」

ミナエル「さすが白い魔法使い!やるじゃん」

ユナエル「白い魔法使いマジクール」

たま「すごいにゃ!」

白い魔法使い「動けるなら先へ進もう。ワイズマンはまだ生きている」

ルーラ「そうね。ぐずぐずなんてしてられないわ」


大広間


シスターナナ「あら?」

ケイネス「ぬ?」

ルーラ「どうやらここで道が繋がってるようね」

スノーホワイト「この先に道が無いという事は……」

白い魔法使い「一足遅かったか。どうやらワイズマンは既に立ち去った後らしい」

ケイネス(ワイズマンめ。私と戦うのをよっぽど恐れたと見える。ファントムなど所詮そんな物よ)

ラ・ピュセル「くそ!ワイズマンを倒さなきゃ、またゲート達が狙われる!」

ミナエル「親玉の癖に逃げるなんてだっせーの」

ユナエル「どうせならここで白黒はっきり決着付ければいいのにねー」

プリズン「ワイズマンは一体どこへ行ったのか……」

247 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:14:49.58 ID:WgNUs0+L0
ゴゴゴゴゴッッッ!!!!


ねむりん「わわわわっ」

白い魔法使い「いかん、ワイズマンは私達を生き埋めにする気だ。急いで脱出するんだ」

メアリ「イラつかせるねぇ」

マジカロイド「すたこらさっさデス」

アリス「急ぎましょうスノーホワイトさん」

スノーホワイト「うん!」


魔法少女達は急いで来た道を引き返し、洞窟が脱出した。
その直後、凄まじい大爆発が巻き起こり、洞窟は崩壊した。


たま「あ、危なかった……」

ルーラ「よし、全員揃ってるわね」

ケイネス「はひっ……はひっ……疲れた……」

白い魔法使い「私はすぐさま、ワイズマンを捜索する。君達は帰って休んでくれ」

スノーホワイト「疲労は大丈夫なんですか?」

白い魔法使い「問題無い。それにワイズマンを見つけても、君達への報告を優先して戦いは避けるさ」

ラ・ピュセル「気を付けてください」

白い魔法使い「では先に失礼する」


そう言って白い魔法使いはテレポートで消えて行き。
魔法少女達は戦いの疲れを癒すために帰って行った。




ファントム達を滅ぼした魔法少女達、だがワイズマンの行方は知れず。
その頃、帰宅したケイネスは体調が再び悪化していくコヨミの姿を見て動揺する。
そこに白い魔法使いから緊急招集が入った。
集まった魔法少女に白い魔法使いが衝撃の真実を話す。
彼の言う『魔法少女育成計画』とは何か?


次回 サバト再び


ぶっちぎるぜぇ!!
248 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/02(金) 12:18:11.27 ID:WgNUs0+L0
今回はここまで

白い魔法使い「ファントム用済みになったので在庫一斉処分なう」

>>233
まだ未把握なのでゴーストとエグゼイドからのゲストキャラは出さない予定かな

>>234
生きているというか、生かされているというか
249 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:32:19.05 ID:HFSz1lMJ0
ケイネスのアパート


ケイネス「ふう……ただいま」

ケイネス(ワイズマンめ、手こずらせおって……)

ケイネス(早く任務を終えてソラウに会いたい……)

ケイネス「コヨミ、体調はどうだ?……コヨミ?」

コヨミ「…………」

ケイネス「まずい、意識が無い。しっかりしろ!今魔力を」

ケイネス「先ほどの戦闘のせいで魔力は殆ど残っていなかった。ならばこの宝石の魔力を使おう」

ケイネス「……おかしい、これで並みの魔法少女一人分の魔力は流れ込んだ筈、何故目覚めない!?」


ケイネスの必死の応急処置の甲斐も無くコヨミの意識は戻らない。
その時、ケイネスの背後からテレポートが起こり、白い魔法使いが出現した。


白い魔法使い「心配になって戻ってきたが正解だったか……」

ケイネス「白い魔法使い!!コヨミを何とかしてくれ!!」

白い魔法使い「コヨミは今から私の研究施設へ連れて行く」

白い魔法使い「そこならば適切な治療を行うことが出来る」

ケイネス「問題無いのだろうな?」

白い魔法使い「ファントムへの知識を持たない医者に連れて行くよりは遥かに安全だ」

ケイネス「そうか。頼んだぞ」

白い魔法使い「任せろ。コヨミは何としても助け出す。絶対にな」


その言葉は鬼気迫る程に信念が籠っていた。
それを聞いたケイネスは安心してコヨミを預けることにした。


ファズ(人形をそんな大事そうに扱うとは、まるでおっさん共がおままごとをしているようで滑稽だぽん)

250 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:32:53.99 ID:HFSz1lMJ0
翌日


ケイネス(……なんだろうな)

ケイネス(一人で食べる朝食がとても寂しく感じる)

ケイネス(コヨミがいなくなっただけでこうも変わる物なのか……)

ケイネス(単身赴任でソラウとしばらく会っていないせいで人恋しくなってきたのかもしれん)

ケイネス(……情けない。そんな女々しい考えでは魔法の国でトップの魔術師になるのは夢のまた夢だ)

ケイネス(コヨミやソラウに頼らなくてもきちっとしなければな)

ファズ「へいマスター!白い魔法使いから連絡が来てるぽん」

ケイネス「そうか。読み上げろ」

ファズ「ワイズマンの居場所を特定したから皆を指定した場所に集めてほしい。集合時間は○○時○○分……ぽん」

ケイネス「もう見つけたのか。よし、皆に場所と時間を伝えるのだ」

ファズ「合点承知だぽん」

ファズ(最終バトルキター!!ぽん)


集合地点


ケイネスと魔法少女全員がこの地に集結した。
ファントムとの最後の決戦もあって、治りたてのリップルやトップスピードも来ていた。


シスターナナ「二人とも体調は大丈夫ですか?あまり無理をなさらない方が」

リップル「平気」

トップスピード「この通り!大復活だぜ!」

ウィンタープリズン「もし少しでも痛みを感じたらすぐに下がってくれ」

スノーホワイト「これで本当に最後……」

ラ・ピュセル「何としてもワイズマンを倒さなきゃね」

アリス「そうですね」

251 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:33:27.45 ID:HFSz1lMJ0
時間になったと同時にテレポートによって白い魔法使いが現れた。
両手にはコヨミを抱えて歩いている。


ケイネス「コヨミ?なぜここに連れてきた」

白い魔法使い「これから説明する」

ルーラ「それでワイズマンはどこから出てくるっていうの?」

白い魔法使い「それも合わせて説明しよう」

たま「うう……緊張してきた……」

ミナエル「そんな時は深呼吸だよ。ひっひっふー」

ユナエル「お姉ちゃんそれ間違ってるよ」

スイムスイム(お姫様だっこいいな……私もルーラにされたい)

ねむりん「ワイズマンってどんな姿してるのかな〜」

メアリ「ふふっ……」

マジカロイド「…………」


魔法陣の描かれた場所へコヨミを寝かせる。
振り返り、魔法少女達の方へ顔を向ける。
それぞれ魔法少女の顔を見渡しながら満足げな表情をして口を開いた。


白い魔法使い「魔法少女達の皆、今までよくぞ戦ってきた。私は君達に本当に感謝している」

白い魔法使い「サバトによって大量のファントムが出現し、ゲートが襲われるようになった」

白い魔法使い「だがワイズマンにとってこのサバトは失敗であった。魔力が不十分で賢者の石が完成しなかったのだ」


ケイネス「……?何を言っている?」

252 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:34:11.85 ID:HFSz1lMJ0
白い魔法使い「そこでワイズマンは次の計画を実行した。それが『魔法少女育成計画』だ」

白い魔法使い「丁度、この街には新人の魔法少女が多数在留していた。この場所が適任だと確信した」

白い魔法使い「魔法少女達とファントムを戦わせる事で経験を積ませ、成長し、魔力を増幅させていった」


スノーホワイト(何か……おかしい!)


白い魔法使い「十分な魔力を保有した魔法少女、本来は半数ほど生き残れば十分に完遂出来る計算だが」

白い魔法使い「君達15人全員生き残ったのは嬉しい誤算だ。これなら間違いなく賢者の石が完成するだろう」


リップル「まさか……あんたが!!」


白い魔法使い「そうだ!!私がワイズマンだ!!」

白い魔法使い「君達、魔法少女達を人柱として再びサバトを起こす」

白い魔法使い「それで私の『魔法少女育成計画』は完遂する!!」


コヨミ「……うっ」

コヨミ「み……皆!!逃げてーーー!!」

ケイネス「コヨミ!?目が覚めたか!」

白い魔法使い「もう遅い」

スノーホワイト「……指輪が?きゃああああああっ!!!!」


皆既日食が起こり、巨大な魔法陣がN市に出現した。
魔法少女達が装着していたマジカルリングが妖しく輝き、彼女達を蝕んでいった。
肉体が拘束され、強制的に魔力が吸い出される激痛による悲鳴が響き渡る。

253 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:35:13.57 ID:HFSz1lMJ0
コヨミ「うあああああああ!!!!」

ケイネス「コヨミ!!ぐぐぐっ……コヨミに何をしている!?」

白い魔法使い「サバトによって集めた魔力を賢者の石に流しているのだ。暦を蘇らせるためにな」

ケイネス「コヨミを蘇らせる?どういう意味だ?」

白い魔法使い「私の愛する娘、暦は既に病死している。私は暦そっくりのホムンクルスを作り、体内に賢者の石を埋め込んだ」

白い魔法使い「賢者の石を完成させ、暦の魂をこの器に定着させるのだ」

メアリ「くっだらないねぇ」

メアリ「娘を生き返らせる為?ガキなんて邪魔な物いっそ無くなった方がせいせいするじゃないか」

白い魔法使い「何故だ!?何故お前のマジカルリングは起動しない!?」

メアリ「誰かさんに細工してもらったのさ。経験の浅い魔法少女だと思って甘く見てたようだね」

マジカロイド「ちなみにワタシも同様の理由で助かってマス」

白い魔法使い「貴様ぁ……役に立たない魔法少女など私が始末してくれる!!」

メアリ「ふん!正義の味方ごっこは嫌いだけどさ。あんたの邪魔をするのは最高にスッキリするよ!」


メアリがGXランチャーを用いて引き金を引いた。
大量にばら撒かれた弾丸は白い魔法使いを狙わずに背後にいる少女を狙った。


白い魔法使い「まずい!!」

コヨミ「ああ……」


弾丸とコヨミの間に割り込んだ白い魔法使いがバリアを展開する。
放たれた弾丸を一切躱そうとせずに全て防御で耐え続けている。


白い魔法使い「ぐっ……ぐぐっ……」

メアリ「やっぱりね。あんたみたいなタイプは直接狙うよりも娘さんを狙った方が効果的だよ」


メアリの魔法によって強化された弾丸の威力は高く。
バリアの強度は徐々に弱まり、何発かが体内を貫いた。


メアリ「これでしまいさ」


ロケット弾頭が放たれる。
バリアは砕かれ、爆風が白い魔法使いを飲み込んだ。
衝撃によって白い魔法使いは吹き飛び、ハーメルケインが転がり落ちる。


254 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:35:43.78 ID:HFSz1lMJ0
ラ・ピュセル「ま、マジカロイド……」

マジカロイド「何デスか?」

ラ・ピュセル「また、便利な道具を出してよ……フェニックスに、勝ったようにさ……」

マジカロイド「幸運100倍ドリンクデスか?嫌デスよ!!あれ飲んでから一週間ほんと酷い目にあったんデス」

トップスピード「そう言わずに……頼むよ……」

スノーホワイト「お願い……このままじゃ街の皆が……」

マジカロイド(街の人達……父さん、母さん、おっちゃんが……)

マジカロイド「何でワタシが他人何かの為に……!!今回っきりデスよ!!」


N市の住人達の命がサバトによって奪われる。
自分さえ助かればいいと考えていたマジカロイドだったが
親しい人達の顔が脳裏に浮かんだ瞬間、動かずにはいられなかった。


マジカロイド「ゴクゴクゴク!!一週間どころか一か月分の運もあげちゃうからお願い!!」

マジカロイド「この状況を何とか出来る道具を出して!!」


出てきたのは歪な形をした短剣だった。
とても切れ味が有る様には見えない形状と言えるが
マジカロイドはそれを気に掛けるよりも早く説明書を読んだ。
名称はルールブレイカーで『刃で突いた対象のあらゆる魔術を破戒することができるよ』と書かれている。
ルールブレイカーを持ったマジカロイドはすぐに飛び、巨大な魔法陣に向かう。


マジカロイド「うおおおおおおお!!!!」

マジカロイド「これでどうデスかぁああああ!!!!」


ルールブレイカーで魔法陣を突き刺した。
刺さった個所から亀裂が走り、それが魔法陣全体へと広がっていく。
パリンと魔法陣が砕け、日食が収まり、サバトは消滅した。

255 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:36:19.74 ID:HFSz1lMJ0
白い魔法使い「馬鹿な……こんな事が……」

白い魔法使い「まさか、魔法少女如きが……」

白い魔法使い「貴様ぁ、よくも私の希望を、許さんぞ……絶対に!!」

白い魔法使い「恐怖に絶望して死ぬがいい!!」

ケイネス「白い魔法使い、いやワイズマン、お前を拘束する」

白い魔法使い「黙れ黙れ黙れ!!!!」

白い魔法使い「お前達、魔法の国の連中はクラムベリーが行った殺戮を何度も止められなかった癖に!!」

白い魔法使い「私の娘を救いたいという純粋な願いを踏みにじる資格などある物かぁ!!」

ケイネス「確かにそれは私達の不手際である。だがこの街を犠牲にして良い理由にはならん」

白い魔法使い「その程度の犠牲など、私の絶望に比べれば小さな事に過ぎん!!」

白い魔法使い「愛した妻を亡くし、唯一愛していた娘すら失った私がどれほど絶望した事か!!」

白い魔法使い「賢者の石を使って娘を蘇らせる。それが私の唯一の希望……希望だったのだ!!」


ザシュ


ハーメルケインの刃が白い魔法使いを貫いた。
白い魔法使いの背後には人造ファントム、ケルベロスが立っている。

256 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:36:57.17 ID:HFSz1lMJ0
白い魔法使い「ごふっ……何だ貴様は……?」

ファズ「ふはははは!!無様だなぁ〜ふぅぅぅえぇぇきぃぃぃぃぃ!!!!」

電脳妖精ファズが出現した。
普段のぽん口調の愛らしい喋り方とは想像も付かない悪意に満ちた口調になっている。


ファズ「この時を待っていたのだ。貴様が絶望して死んでいく様をなぁ!!」

ケイネス「ファズ!?一体どうした?」

白い魔法使い「その声は……まさか貴様は死んだ筈の……」

ファズ「そうだ。私の本当の名は蛮野天十郎……かつては笛木と共に活動をしていた研究者だ」


次々と明かされる衝撃の真実。
戦いはクライマックスへと進む。
257 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/04(日) 16:40:01.23 ID:HFSz1lMJ0
今回はここまで
フェニックスの時もそうだが解決策が強引過ぎると思う
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 19:55:16.37 ID:atMjVOQz0
フェニックスの末路は、むしろ晴人が静かにキレててるのが伝わってきて良かったと思う
「お前にフィナーレはない」はちょっと怖かった
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 19:56:25.33 ID:B2oJs8f1O
マヨネーズがサバト止めたシーンはウィザードでも屈指の名場面
260 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:06:32.85 ID:ikf63dqr0
ケイネス「蛮野天十郎だと!?処刑された筈じゃ……」

ファズ「そうさ。私は処刑された……あの笛木に嵌められてな!」

ファズ「教えてやろう。それはまだ私が科学者として生きていた頃……」


回想、魔法の国の研究所


私と笛木は禁忌とされる賢者の石の研究を行っていた。
二人とも悲願を秘めており、非合法な手段を用いなければ叶えられる願いでは無かった。
お互い利害が一致した我らは共通の目的の中で活動を続けていた。


勿論、事が公になれば極刑は免れないだろう。
表向きには全く別の研究をしている様に見せかけて
法の番人達の警戒網から上手く誤魔化す事に成功していた。


研究は着々と進んでいき、賢者の石の完成まであと僅かまで迫った時
笛木が本性を現して私を裏切った。


蛮野(いいぞ……もうじき全ての人間をデータと化する私の計画を遂行する事が出来る)

蛮野(この世界は全て私の物、それを理解できない馬鹿共を思い知らせてやるのだ!!)

エスデス「そこまでだ。蛮野天十郎、貴様を国家反逆罪の容疑で拘束する。下手な真似はするなよ」

蛮野「これはこれはエスデス将軍殿、私が国家反逆?何かの間違いでは?」

エスデス「言い逃れしても無駄だ。他の研究者から告発を受けている。証拠も揃っているぞ」

蛮野(告発だと!?私の目的を知っているのは笛木だけ……おのれぇ、裏切りおって!!)

蛮野(国家反逆罪で捕まれば処刑は免れない。この場は何としても)


私は逃走を図ろうと動いた瞬間、鮮血が飛び散るのが見えた。
一歩動くよりも速く、エスデス将軍の斬撃が私の身体を斬り裂いていた。


エスデス「下手な真似はするな。と忠告したはずだぞ」

蛮野(このままじゃ済まさん……ぞ。ふえ、き……)


そして私の肉体は死んだ。
だが偉大な頭脳を持つこの私は、この様な状況を警戒していた。
この肉体が死ぬ時、魂をある電子妖精に移し変わる処置を施していた。

261 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:07:23.90 ID:ikf63dqr0
そう、この時、私は電子妖精ファズになり、人知れずに活動をしていたのだ。
全ては笛木に復讐し、賢者の石を奪い返す為にな。


ファズ「これが今までの私の経緯だよ。笛木、よくも私を裏切ってくれたな」

ファズ「私は別に君の願いを邪魔する気は無かったのだぞ」

白い魔法使い「ぐっ……貴様が支配する世界で暦が蘇っても安心して暮らす事が出来ないからだ」

ファズ「ふん、裏切者が……よく見ているがいい!!」

白い魔法使い「がはっ……な、何をする!?やめろぉおおおお!!!!」

コヨミ「……っ!?」


ハーメルケインを引き抜いたケルベロスがコヨミの方へ向かった。
白い魔法使いの静止の言葉を無視してコヨミの身体をハーメルケインで突き刺した。


コヨミ「あっ……ぐっ……うぁああ!!」

白い魔法使い「暦……暦ィィィィィィィ!!!!」

ケイネス「貴様っ!?」

ファズ「いいぞ笛木、貴様の希望が砕け、絶望する姿が見たかったのだ!」

ファズ「私を裏切った罰を思い知るがいい!!ひゃぁぁぁはっはっはっはぁ!!!!」

ケイネス「蛮野……お前と言う奴は……」

ファズ「ケイネス、心配するな」

ケイネス「何っ!?」

ファズ「ただ……コヨミが死んだだけだ。あぁ〜ああぁぁぁはっはっはっはっはっは!!」

ケイネス「この腐れ外道がぁぁぁ!!」

ファズ「ふぁぁぁぁはっはっはっはっは!!へぁ、へぁあ、はははなぁっはははははは!!」

262 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:08:46.05 ID:ikf63dqr0
ハーメルケインを使い、コヨミの身体から賢者の石を抉り取った。
コヨミの肉体が塵となって消えゆく。


スノーホワイト「心の声が……聞こえる……」


『賢者の石なんて必要無い』 『お願い、賢者の石を破壊して!!』 『私は生き返りたくない』


スノーホワイト「分かった……コヨミの願いは必ず叶えるから」

ラ・ピュセル「なんて言ってたの?」

スノーホワイト「賢者の石を壊してって……きっと悪用されたくないんだと思う」

アリス「スノーホワイトが望むなら私も戦います」

ファズ「無駄だ魔力が吸われて疲弊した貴様ら如きでは、私のケルベロスの相手にはならんわ」

白い魔法使い(暦……くっ、ここで私が死ぬわけにはいかない)テレポート

ファズ「逃げたか。まぁいい、致命傷は与えた。死に場所ぐらいは選ばせてやろう、私は寛大だからな」

メアリ「おいファズ、さっさとその賢者の石を私に寄こしな」

ファズ「ああ、そう言えばそんな約束もしてたなぁ……それは」

メアリ「嘘なんだろ、分かってるよ!!」


メアリの手からスタングレネードが投げられ眩い光が周囲の視界を奪った。
その隙を付いてメアリはケルベロスから賢者の石を強奪し距離をとった。
僅か数秒の出来事で賢者の石の所有者が変わった。

263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/06(火) 12:09:35.39 ID:ikf63dqr0
ファズ「な……それを返せ!!貴様には使い道のない道具だ!!」

メアリ「そう言われて素直に返してくれるとでも?」

ファズ「……馬鹿な女だ。私がなぜ真っ先に笛木を狙ったのか知っているのか?」

ファズ「それは魔法少女達の命はいつでも簡単に奪えるから優先順位が低かっただけということ」

ファズ「このマスター端末は、貴様ら魔法少女達の生殺与奪の権を握っているのだ!!」

ケイネス「それはマスター権限を持つ私以外では機能しない。そんな真似はさせんぞ」

ファズ「そこは既に改良済みよ。マスターがいなくても私の意思で自由に操作する事が出来る!!」

ミナエル「それってヤバくね?」

ユナエル「私達超ピンチじゃん!」

ケイネス「その前に破壊してくれる!」

ファズ「無駄だ!貴様ごときでは壊せんよ。[ピーーー][ピーーー][ピーーー]ぇぇぇぇ!!!!」

マジカロイド「ひぃぃぃぃぃぃ!!」

ファズ「はぁーーーーはっはっはっはっはっはっはぁ!!!!」


ファズの操作によって魔法少女全員の心肺停止ボタンが押された。
勝利を確信したファズの高笑いが響き渡る。


たま「うう……あれ?生きてる?」

ルーラ「どういうこと?」

スイムスイム「故障?」

メアリ「なんだい、こけおどしか」

ファズ「は?ちょっと待て、そんな筈は……エラー?アクセス権限が存在しない……だとぉ!?」

???「間に合ったか。悪いけどハッキングさせてもらったよ」

ファズ「こんなふざけた真似をする奴は誰だぁ!?」
264 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:10:05.76 ID:ikf63dqr0
ファズ「な……それを返せ!!貴様には使い道のない道具だ!!」

メアリ「そう言われて素直に返してくれるとでも?」

ファズ「……馬鹿な女だ。私がなぜ真っ先に笛木を狙ったのか知っているのか?」

ファズ「それは魔法少女達の命はいつでも簡単に奪えるから優先順位が低かっただけということ」

ファズ「このマスター端末は、貴様ら魔法少女達の生殺与奪の権を握っているのだ!!」

ケイネス「それはマスター権限を持つ私以外では機能しない。そんな真似はさせんぞ」

ファズ「そこは既に改良済みよ。マスターがいなくても私の意思で自由に操作する事が出来る!!」

ミナエル「それってヤバくね?」

ユナエル「私達超ピンチじゃん!」

ケイネス「その前に破壊してくれる!」

ファズ「無駄だ!貴様ごときでは壊せんよ。死ね死ね死ねぇぇぇぇ!!!!」

マジカロイド「ひぃぃぃぃぃぃ!!」

ファズ「はぁーーーーはっはっはっはっはっはっはぁ!!!!」


ファズの操作によって魔法少女全員の心肺停止ボタンが押された。
勝利を確信したファズの高笑いが響き渡る。


たま「うう……あれ?生きてる?」

ルーラ「どういうこと?」

スイムスイム「故障?」

メアリ「なんだい、こけおどしか」

ファズ「は?ちょっと待て、そんな筈は……エラー?アクセス権限が存在しない……だとぉ!?」

???「間に合ったか。悪いけどハッキングさせてもらったよ」

ファズ「こんなふざけた真似をする奴は誰だぁ!?」
265 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:11:26.05 ID:ikf63dqr0
デューク「私の仕業だ。はっはっは!!」


ステルス機能を解除して姿を現す。
彼こそマジックアイテム、レモンエナジーアームズを使い
魔法使いデュークへと変身した戦極凌馬である。


ケイネス「凌馬!?いつの間に……」

デューク「ある不審な点を見つけてN市に不法侵入してきたのさ」

デューク「まずファズという電子妖精だがデータを改ざんしてN市に送られた形跡を見つけてね」

デューク「あの電子妖精は何か臭うと直感で判断した私は独自に動いたのさ」

ケイネス「なぜ私に知らせなかった?」

デューク「通信機能を使えば電脳空間を行き来するファズに知られて対策を打たれる危険性があったからね」

デューク「おかげでファズに気付かれる事なく悪だくみを妨害出来たわけだ」

ファズ「良い気になるな!!マスター権限が使えないのなら直接殺せば済む話だ!!」

ケイネス「ぐわっ」

ファズ「端末は頂くぞケイネス、これをケルベロスの体内に埋め込む」

ケイネス「何をしている!?」

ファズ「笛木と真逆の発想よ。奴は自身の体内にファントムを埋め込む事で強大な力を手にした」

ファズ「私は本体をファントムの内部に取り込ませる事によって圧倒的な力を持つ肉体を手にしたのだ!!」
266 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:11:58.82 ID:ikf63dqr0
デューク「なかなか面白い事をするね。それにしても気がかりなのは君が今、魔法少女達を殺そうとしたことだ」

ファズ「それがどうした?」

デューク「リップル、彼女は蛮野天十郎の娘である事は既に知っている筈じゃないか。愛情が湧かないのか?」

リップル「な、何!?」

トップスピード「あいつが……リップルの父親だって!?」

デューク「リップルも疑問に思っていた筈だ。旦那の記憶を持たない母親に関して」

リップル「そんな……馬鹿な……あんな奴が……?」

ファズ「家族……?……愛?そんな物は無い」

ファズ「私にとって家族とは支配すべきものでしかない!!」

ファズ「愛などというものは存在しない!!」

シスターナナ「なんて酷い……実の娘にそんな言い方を……」

ウィンタープリズン「ここまで性根の腐った男は初めて見たよ」

ファズ「世界を支配するべきこの私がそんな小さな事にこだわるはずがない」

ファズ「娘にすがっていた笛木は所詮、賢者の石を手にする器では無かったのだよ」

ファズ「だが、せっかくだリップル。娘であるお前だけには特別に生きるチャンスを与えよう」

リップル「…………」

ファズ「周りにいる魔法少女達を殺せ!!そうすればお前だけ生かしてやろうではないか」

リップル「ふざけるな!!そんな事するなら死んだ方がマシだ!!」

ファズ「私の寛大な情けを無下にするとはな。私が作ったものの中でお前が一番、不出来だったよリップル」

リップル「蛮野ぉ!!」

ファズ「小賢しい!!」


リップルが跳躍し小太刀で斬りかかる。
ケルベロスの持つハーメルケインで防がれ、弾かれる。

267 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:12:33.84 ID:ikf63dqr0
リップル「うっ」

ファズ「死ね!」

トップスピード「危ない!!」

リップル「と……トップスピードぉおおお!!!!」

トップスピード「よかった……リップルが無事で……」

リップル「どうして……どうして私なんかを庇って……」

トップスピード「へへっ、自然に体が動いちまったぜ……」

ファズ「他人を庇って自分が犠牲になるとは何と愚かな女だ」

リップル「黙れ!!トップスピードを悪く言うな!!」

ファズ「すぐにお前達もあの世へ送ってやるよ」


ケルベロスから光弾や火炎弾が次々と放たれた。
サバトの影響で消耗している魔法少女達は躱すか防御するかで凌ぐのが限度だった。
唯一、魔力を温存していたメアリだったが笛木との戦いでGXランチャーの弾数が減っている。


メアリ「くっ、弾切れか!」

ファズ「食らえ!」


光弾がGXランチャーに直撃し、爆散した。
メアリは代わりに拳銃を抜き出して応戦する。
接近戦に持ち込もうとしたケルベロスの身体が一瞬で消える。


ファズ「何だ?」

たま「ええええええええい!!」

ファズ「こいつの魔法は、ヤバい!」


たまの支給アイテムはホワイトゴレイヌ&ブラックゴレイヌ
ブラックゴレイヌとケルベロスの位置を入れ替える事によって一瞬でたまの射程内に移動させた。
急いで防御したケルベロスの右手に爪が引っかかれ、右手が消滅しハーメルケインがこぼれ落ちた。

268 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:13:09.06 ID:ikf63dqr0
ファズ「この虫けらがぁ!!」

たま「ぎゃん!」


ケルベロスの左手でたまをぶん殴り、発射された光弾が
ホワイトゴレイヌとブラックゴレイヌを破壊した。


ミナエル「空知ィィィィ!!」

ユナエル「それ違うゴリラだよお姉ちゃん」

ファズ「後はお前だけだぁメアリ!!」

メアリ「――ッ!?しまった」


弾幕でメアリが怯んだ隙を狙って、ケルベロスの身体から触手が伸び
メアリの持つ賢者の石に絡みついた。
賢者の石を体内に取り込むと黄金の輝きが放たれ
ケルベロスの姿が変化していった。


ケイネス「こ、これは……」

デューク「ちょっとまずいかもね」

ファズ「ふぁはははは……ひゃははははははは!!ひひ、ひはっ、ふひゃはははははっ!!」

ファズ「見るがいい!!これが超進化を遂げた私の姿だ!!」

ファズ「これからは……ゴルドケルベロスと呼べっ!!」

リップル「蛮野ぉおおおおおおお!!」




賢者の石を取り込み、圧倒的な力を手にした蛮野天十郎。
この世界は蛮野の手に落ちてしまうのか?


次回 魔法少女大勝利!希望の明日へレディ・ゴーッ!!


スノーホワイト「やった♪」

ファズ「……え?」
269 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/06(火) 12:16:34.16 ID:ikf63dqr0
今回はここまで >>263のsagaが消えてたのでもう一度投稿しました

>>258
解決策が強引と思ったのは自分のSSの事ね
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 12:38:28.63 ID:G3x46kR1O
おかしいな、この場面だけ見るとプロフェッサーが正義の味方みたいだ
自分の脳をハカイダーに移植するようなマッドなのに
271 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:08:13.47 ID:KH9ZSJdJ0
ファズ「素晴らしいパワーだ!!これだけの魔力があれば私の研究を完成させる事が出来る」


賢者の石から供給される無尽蔵の魔力がケルベロスの傷を癒し、右腕を再生させた。
ゴルドケルベロスから発せられるオーラが圧倒的力の差をこれでもかと見せつけていた。
だが、それでも魔法少女達は諦めなかった。


リップル「蛮野……」

スノーホワイト「はぁ……はぁ……」

ファズ「何度立ち上がろうとも無駄だ!私を倒す事など不可能だ!」

デューク「それはどうかな?」

ファズ「ぬ?」

デューク「魔法少女の諸君、リンクステッキだ!!」


凌馬の言葉を聞いて魔法少女達はマジカルフォンを確認した。
二つのマジックアイテムが支給されている。
エリクサーとリンクステッキだ。


デューク「エリクサーを飲んでリンクステッキで皆の力を合わせれば蛮野にきっと勝てるはずだ」

マジカロイド「これデスか」

トップスピード「つっ……やろうぜリップル」

リップル「トップスピード……無事だったんだ……」

トップスピード「ちょっと気絶してただけさ。だから泣くなよ」

リップル「……泣いてない」

デューク「ケイネスさん、君の分だ」

ケイネス「私もそれを使えと?」

デューク「君もこの戦いに終止符を打つのに相応しい役者さ」

ケイネス「ここはありがたく使わせてもらおう」

ファズ「そんな余計な真似を許すと思うか?」


光弾を放とうとするゴルドケルベロスの両目に矢が突き刺さる。
デュークが弓を構えて矢を放っていた。

272 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:08:54.87 ID:KH9ZSJdJ0
ファズ「ぐぎゃあああ!!おのれ凌馬ぁ!!」

デューク「こう見えてね。弓の腕前は良い方なんだ」


デュークの援護によって時間を稼いだ隙に、魔法少女達の回復は完了した。
HP、MP共にMAXになった彼女達はリンクステッキを掲げた。


スノーホワイト「これ以上、賢者の石の悪用はさせません!」リンクステッキ

ラ・ピュセル「蛮野、お前の野望もここまでだ!」リンクステッキ

アリス「これで終わりです」リンクステッキ

シスターナナ「行きましょう。ウィンタープリズン」リンクステッキ

ウィンタープリズン「ああ、シスターナナ」リンクステッキ

ルーラ「しっかりやるのよ貴女達!!」リンクステッキ

スイムスイム「ルーラの言う事は絶対……」リンクステッキ

たま「がんばるにゃ!」リンクステッキ

ミナエル「蛮野を倒したら私達の人気もうなぎ登りだね」リンクステッキ

ユナエル「ピーキーエンジェルズは永遠だねお姉ちゃん」リンクステッキ

ねむりん「たまには現実でも役に立って見せるんだからね〜」リンクステッキ

メアリ「皆と協力するのは癪だが今回は特別だよ」リンクステッキ

マジカロイド「まるで元気玉みたいデスね」リンクステッキ

ケイネス「コヨミの命を奪った貴様は絶対に許さん!」リンクステッキ

トップスピード「さぁリップル、一緒に……」リンクステッキ

リップル「……うん」リンクステッキ


16人全ての魔力がリンクして増幅する。
その広大な魔力のエネルギーがゴルドケルベロスに向かって放たれた。

273 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:10:17.85 ID:KH9ZSJdJ0
ファズ「ば、馬鹿な……賢者の石の力を手にしたこの私が貴様らなんぞに……ぐわああああああああ!!!!」


ゴルドケルベロスの肉体が分子レベルにまで蒸発して爆散した。
余波によって賢者の石も消失し、マスター端末が転がり落ちた。


ファズ「こんな、はずは……今はとにかく消えかかっているデータの再構築を……」

リップル「…………」

デューク「待ちたまえリップル、そんな武器ではこれは壊せないよ」

ケイネス「これを壊せるとすれば……」

ファズ「……あっ!?」


三者の視線が一つに集まる。
それはビルゲニア、コヨミ、笛木と複数の命を奪った武器、ハーメルケインである。
この剣ならばマスター端末を破壊する事が出来る。


リップル「これね……」

ファズ「待て!待つのだ華乃!」

リップル「あんたは、私の大切な友を侮辱した。絶対に許さない!」

ファズ「い、偉大な私の頭脳をこの世から消してはならない」

トップスピード「やっちまえ、リップル」

ファズ「華乃!」

リップル「やっちまえ……ってさ」

ファズ「待ってくれ!華乃ォオオ!待て!落ち着け、やめろぉ!!」

ファズ「やめろ!華乃!あぁ…ぬぁあああああ!!」

ファズ「ぬぉおおおおおおおおおおおおおおぁああああああああああああああああああああ!!!!」


ハーメルケインが振り下ろされ、マスター端末は粉々に砕け散った。


リップル「さよなら……父さん……」


こうしてファントム事件は完全に終わった。

274 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:10:46.86 ID:KH9ZSJdJ0
笛木の研究所


ここはN市のどこかに存在する隠された研究所である。
そこでは蛮野ですら知らない、もう一つの研究が行われていた。
テレポートでここに来た笛木は、血を零しながらも歩き続ける。


笛木(まだだ……まだ暦は救える……)

笛木(サバトと比べて、不確定要素が多く後回しにしたが、もうこれに頼るしかない……)

笛木(この儀式を起動させ……私の願いを叶えさせるのだ……)


研究所の地下奥にある一室に巨大な鏡が設置されていた。
笛木は鏡に手を伸ばした後、力尽きて塵になって消滅した。
鏡は不気味なほど眩く輝き、笛木の塵が鏡の中へ吸い込まれた
輝きを失った鏡は何も反応せず、ただ静寂に包まれていた。

275 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:11:24.14 ID:KH9ZSJdJ0


N市に甚大な被害をもたらしたファントム事件

それを起こした犯人が魔法の国の人間であった事実。
他にも国家反逆罪として処刑された大罪人がデータと化して悪事を働いていた事件も合わさり。
魔法の国の管理のずさんさが浮き彫りとなり、役所は多忙を極める現状となっていた。


事実が発覚後、すぐに魔法の国から使者がやってきた。
この事件に対する謝罪と、その後の処遇に付いて語った。


イオク「魔法少女達よ!私はクジャン家の当主、イオク・クジャンである!」

イオク「今回の事件に付いては私達の不手際が招いた事、本当にすまない!!」

イオク「君達の決死の戦いで笛木や蛮野の野望を阻止した英雄的活躍は我が国の上層部にも届いている!」

イオク「その功績を聞いて大変、感激しておられたラスタル様から伝言を預かっている」

イオク「N市の魔法少女達の勇敢さは素晴らしく、これこそ清く正しい魔法少女そのものである!」

イオク「君達15人の魔法少女を全員、正式な魔法少女として採用したい、との事だ」

イオク「君達の返答を期待しているぞ。我々と共にこの世界を守って行こうでは無いか!」


そう伝えて帰って行った。
無駄に自信と正義感の強い使者であった。
その後、使者からの伝言を聞いた彼女達は正式な魔法少女として契約を交わした。

276 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 00:14:18.53 ID:KH9ZSJdJ0
一旦、ここまで
今日中にエピローグを投下して終わらせる予定
まほいくキャラが誰も死なずに済んでよかった

>>270
欲望に忠実な人だから迂闊に信用するべき相手では無いのは確か
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/07(水) 00:17:23.13 ID:lDiZP5WyO
突然のイオク様に吹いたwww
このSSでは原作よりまともな存在だな
278 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:32:31.01 ID:KH9ZSJdJ0
エピローグ


華乃の高校


カレン「オハヨウゴジャイマース!!」

こけし「おはようございます」

華乃「おはよう」

ココア「やった♪今日の占い、私一位だよ♪」

アリス「私最下位だった……」

陽子「そんな気にすんなよ」

和菓子「ねえ聞いた?この前の事件、魔法少女の活躍で食い止めたらしいわよ」

鬼島「日食が突然起こった事件ですか」

綾「驚いたわよね。急に身体が動かなくなったんですもの」

カレン「魔法少女凄いデース!私も魔法少女になりたいデース!」

カレン「動物と仲良くなれる巫女服のヤマトナデシコな魔法少女がいいデース!」

陽子「えらく具体的だなぁ」

綾「魔法少女ね。私は……」

カレン「あややは機械を改造する黒ナースな魔法少女が似合いマス!」

綾「何で!?」

カレン「何となくデス。ちなみに鬼島は怪人蟹男デス」

鬼島「ええ〜」

華乃(この平和な日常生活を守る事が出来た)

華乃(私は魔法少女になれて本当に良かったと心の底から思えるよ)


奈緒子の家


奈緒子「…………」モグモグ


カラミティ・メアリこと山元奈緒子は昼食を取りながらニュース番組を見ていた。
内容は有罪確定と言われていた暴力団幹部の裁判で無罪を勝ち取ったという物。
担当した弁護士は黒を白に変えると言われている天才弁護士だった。


奈緒子「……ふん」


いかにも『人生勝ち組です』と言わんばかりに余裕に満ちた笑みを浮かべながら
記者達のインタビューに答えている弁護士を見て不快になり、番組を変えた。

279 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:33:21.88 ID:KH9ZSJdJ0
スーパー


つばめ(さて、今夜は豚の生姜焼きでも作るか♪)


トップスピードこと室田つばめは晩御飯の食材を買っていた。
彼女の隣には大男が食材をかごに入れている。
かごにはどれも、つばめの手に届かないような高級食材が入っていた。


つばめ(うひゃー!すっげー金持ちなんだな〜)

秘書(今日は先生が難しい裁判に勝った記念だから、いつもより豪勢なフランス料理を作ろう)


路上


占い師「そこのあんた」

早苗「何よ」


ルーラこと木王早苗が街を歩いていると街角にいる占い師に声をかけられた。


占い師「これからあんたに良くない事が起こる。特に頭上に注意した方がいい」

早苗「余計なお世話よ」

占い師「俺の占いは当たる」

早苗(変な奴ね。頭上に注意って……)


ふいに上を見上げると、住宅の二階に設置されている花瓶がぐらぐらと揺れていた。
固定されていた器具が外れ、早苗の目の前に花瓶が落下して割れた。


早苗(これって足を止めなかったら、私の頭に……)

占い師「俺の占いは当たる」キリッ

早苗「二回言うな」


大学


美奈「なんか私達の人気変わらず低いんですけどー」

優奈「低いんですけどー」

美奈「これだけ頑張ったのにねー」

優奈「ねー」

大学生「あんた達、まだそんなソシャゲやってんの?」

美奈「何で遊んだって私達の自由でしょ」

優奈「そーだそーだ!」

大学生「そんなゲームが好きだったらさ。もうすぐ俺のサークルで作ってるゲームが完成するからプレイしてみる?」

美奈「えー、素人が作ったゲームなんか絶対つまんないじゃん」

優奈「そうだよ。絶対クソゲ―じゃん」

大学生「言っておくけど、かなりの自信作だから、控えめに言って大手ゲーム会社が作るゲームの100倍は刺激的だよ」

美奈「ふーん、そこまで言うならプレイしてもいいよ」

優奈「つまんなかったら飯奢らせるからね」

大学生「決まりだね。完成したら教えるから楽しみに待っててよ」

280 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:33:54.93 ID:KH9ZSJdJ0
橋の下


真琴「おっちゃーん」

おっちゃん「おう、まことちゃん久しぶりだなぁ」


マジカロイド44こと安藤真琴は久しぶりにホームレスのおっちゃんの所へ戻ってきた。
普段と変わり映えしないおっちゃんの姿に真琴の顔に安堵の笑みがこぼれる。


真琴「最近は結構忙しくて中々会いに行けなかったのよね」

おっちゃん「そうかそうか。真琴ちゃんが相変わらず元気で良かった」

真琴「それにしてもおっちゃん、何の写真を見てたの?」

おっちゃん「女房と娘さ。どうだ、女房も娘も美人だろ」

真琴「確かに、おっちゃんには勿体無いくらい綺麗じゃん」

おっちゃん「はっはっは!言ってくれるじゃない」

真琴「よりを戻したいって思ってる?」

おっちゃん「……まぁな。その願いを叶えるにはまず仕事を見つけないといかねえけどな」

真琴「おっちゃんなら良い仕事見つかるって、じゃあ私、そろそろ行くね」

おっちゃん「おう、またな」


夢の世界


中年男性「……なんだここは?」

ねむりん「やっほ〜、魔法少女のねむりんで〜す」

中年男性「魔法少女?こんなくだらん夢を見るとは俺も疲れてきたか」

ねむりん「むう……魔法少女はくだらなくないよ!皆に夢と希望を運ぶ素敵なお仕事なんだから」

中年男性「それがくだらないと言っているんだ。世の中は競争だ。誰かを蹴落として生きているんだ」

ねむりん「争うよりも皆で仲良く協力し合って生きた方が楽しいと思うけどな〜」

中年男性「そんなおめでたい思考を持った甘ちゃんが利用され淘汰されるんだよ」

中年男性「現に俺は、沢山の人間を利用してここまで上り詰めてきたんだ」

ねむりん「それだけ偉くなれたのなら今度は皆を助ける側に回ってもいいんじゃないの?」

中年男性「足りるかよ。権力、財力、暴力、力はいくら増やしても多すぎる事は無いんだよ」

ねむりん「その生き方って辛くならない?いくら強くなっても皆に嫌われたら悲しいよ」

中年男性「それは社会の負け犬の発想だ。他人に憎まれる事を恐れていたら人の上になんて立てんよ」

中年男性「これ以上、お前と話す事は無い。さっさと消えろ」

ねむりん「……分かったよ、じゃあね」

281 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:34:49.29 ID:KH9ZSJdJ0
小学校前、下校時間


綾名(本から色んなお姫様のお話を読んできた)

綾名(お姫様の多くは王子様と結婚して幸せに暮らしている)

綾名(ルーラも王子様と結婚するのかな?……私も王子様と?)ゴツン

青年「大丈夫……だよね?」

綾名「…………」コクリ


スイムスイムこと坂凪綾名は考え事をしながら歩いていると青年とぶつかった。
青年は綾名とどこか似た雰囲気を持ったダウナー系の男だった。
綾名に怪我が無いのを知るとそのまま立ち去って行った。


ショッピングモール


珠(ルーラのプレゼント、何がいいかなぁ)

警備員(何か楽して稼ぐ方法無いかなぁ〜毎日好きな様にお金が使える暮らし、憧れるよなぁ〜)


たまこと犬吠埼珠は日々、お世話になっているルーラのプレゼントを探していた。
珠の近くにいたショッピングモールの警備をしているこの男は、楽に稼げる方法が無いかと
しょうもない考えをしていた。

282 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:35:24.25 ID:KH9ZSJdJ0
アンティーク店前


ケイネス(報告書の作成も終わったし、そろそろ魔法の国へ帰るとしよう。ソラウも私を心配しているだろう)

ケイネス(よし、ここでソラウに土産でも買っておこう)

店長「いらっしゃい」

ケイネス「なかなか良い品揃えじゃないか。少し見せてもらうぞ」

店長「いいですとも、うちの商品は品質にはかなり自信がありますから」

店長(さて……次の取引からは俺の分け前を増やしてもらうとするか)

店長(奴の立場からして、あの刑事が俺の要求を断る事は無いだろうからな)


小雪の高校前


小雪(よし!今日も魔法少女活動、頑張ろうっと)

刑事(押収品を横流しするだけでこうも楽に稼げるとは笑いが止まりませんね)

刑事(正義などと言うくだらない幻想から目を覚まさせてくれた、あの白い魔法少女には感謝したいぐらいですよ)

小雪「……?」


スノーホワイトこと姫河小雪は、目の前を通り過ぎる男に既視感を覚えつつも
人目の映らない所で魔法少女に変身してラ・ピュセルとアリスのいる場所に合流した。


スノーホワイト「二人とも、お待たせ」

ラ・ピュセル「じゃあ早速行こうか」

アリス「はい」


正式に魔法少女になったスノーホワイト
今日も清く正しい魔法少女として困っている人達を助けに向かう。
彼女の魔法少女の活動はまだ始まったばかりなのだ。



283 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/06/07(水) 16:36:05.69 ID:KH9ZSJdJ0
平和な日々が続くと思っていた。
ファントム達の脅威を取り除いたN市にもう敵は現れない、そう誰もが思っていた。
その考えは間違っていたと気付かされる事になる。


人通りの多い街中


菜々「あら、一つ買い忘れてしまいました。少し待っていてください」

雫「それなら一緒に行こう」

菜々「大丈夫ですよ、お店はすぐ傍にありますから」

雫「奈々がそこまで言うならここで待っているよ。気を付けてね」


シスターナナこと羽二重菜々とヴェス・ウィンタープリズンこと亜柊雫は買い物帰りの途中だった。
買い忘れに気付いた菜々はスーパーへと戻っていった。
この事を雫は今でも後悔している。
あの時、無理にでも菜々と一緒に行動をしていれば防ぐ事が出来た事件だったと。


菜々「……あれは?」

通り魔「…………」


菜々の目の前にふらふらと歩く男がいた。
蛇柄のシャツを着ており、長身で痩せ型、ぎょろりとした目つきが菜々を睨みつける。
菜々は気付いた、男の右手には鉄パイプが握られている事を。
右腕を持ち上げた男は手に持った武器を菜々に向かって振り下ろした。


ドサリと菜々が倒れ伏す。
今度は傍にいたサラリーマンの青年に向かって鉄パイプを振るい、また一人倒れる。
三人目は肥満体質のおばちゃんを殴りつける。
左目の眼球が飛び出してアスファルトに叩きつけられて潰れた。

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