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スノーホワイト「ファブが逮捕された?」
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159 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/04/22(土) 17:39:38.17 ID:E/mfk0FW0
今回はここまで
またフェニックスが死んでおられるぞ
次の投下で今度こそフェニックス退場します
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/22(土) 18:07:29.96 ID:94kaMPoeO
乙です
シリアスパートのはずなのに、ケイネス先生の酷過ぎるキャラ紹介で笑っちまった
161 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/04/26(水) 15:06:25.89 ID:fS1E3ZAl0
リップル「はぁッ!」
フェニックス「そんな攻撃、いくら繰り出しても無駄だ!!」
リップルが投げた大量の手裏剣が全てフェニックスへ向かっていく。
大剣を振り上げていくつかは切り落とされ、残りは胸部に突き刺さり火花を散らす。
フェニックス「蚊に刺された気分だぜ。もっとマシな攻撃をしてきな」
リップル「……ちっ」
トップスピード「だったらこれを食らいな!!」
トップスピードの手に持っているのは魔法の国から支給された魔術礼装『ミニ八卦炉』
魔力を込めれば強力なビームを放つことが出来る。
トップスピード「マスタースパークッ!!」
フェニックス「なかなかの威力だなぁ。だが今の俺を殺すにはパワーが足りねえなぁ」
マスタースパークの直撃にもフェニックスはびくともしなかった。
フェニックスは度重なる再生によって生半可な攻撃は全く通用しない程の耐久力を得ていた。
ケイネス「どきたまえ魔法少女の諸君。後は私がやろう」
フェニックス「如何にもインテリなてめえに何が出来るんだよ そらぁ!!」
フェニックスの手から地獄の業火がケイネスに向かって放たれる。
その炎がケイネスに直撃する寸前に弾かれて消滅した。
月霊髄液による自動防御によって防がれたのだ。
162 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/04/26(水) 15:07:04.86 ID:fS1E3ZAl0
ケイネス「そんな攻撃が私に効くものか」
フェニックス「やるねぇ!ならそのスライムごと叩っ斬ってやるぜ!」
ケイネス「迂闊に接近するとは愚かな奴め」
月霊髄液がフェニックスの周囲に広がった。
ケイネスの魔力が最大限に月霊髄液に注がれて硬度が増す。
フェニックス「何だぁ?ぬおおっ!!」
ケイネス「潰れろ」
フェニックスを中心に月霊髄液は圧縮した。
そしてフェニックスを押し潰さんが如く、月霊髄液が捻じれるような形で細く変わる。
内部ではフェニックスの肉体が押され、軋み、潰れる音が生々しく響く。
フェニックス「ぐっぐ……ぐがぁああああああ!!!!」
ぐちゃりと音が聞こえたと同時にフェニックスの肉体は爆散した。
ケイネス「愚か者には相応しい末路だな」
フェニックス「おい、勝った気でいるんじゃねえよ」
ケイネス「何っ!?」
フェニックスの大剣がケイネスの身体を切り裂いた。
幸いにして致命傷は受けていないが出血が大きかった。
163 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/04/26(水) 15:07:31.50 ID:fS1E3ZAl0
ケイネス「あ、あ、あああああああああああッッ!!!!」
フェニックス「油断し過ぎだっつーの。阿呆が」
ルーラ「その台詞、そっくりそのままお返しするわ」
フェニックス「あん?」
ルーラ「ルーラの名のもとに命ずる。フェニックス、動くな!!」
フェニックス「か、体が……動かねえ……」
いつの間にかフェニックスの至近距離に接近していたルーラの魔法によって
フェニックスは金縛りにあったかの様に身動きが取れなくなっていた。
フェニックス「こんな、魔法でぇ……ぬがぁぁぁぁぁ!!」
ケイネス「でかしたぞルーラ、こういう敵が現れた時の為に、アーチボルト家秘蔵の封印用の礼装を準備してきたのだ」
ルーラ「いいから早くしろ!!」
ケイネス「まずはこの電子ジャーを地面に置き、蓋を開ける」
ケイネス「そして対象の相手にある呪文を唱えれば……」
フェニックス「うおおおらぁぁぁぁッ!!!!」
ルーラの魔法を捻じ伏せてフェニックスは再び動き出した。
フェニックスの体質は死からの再生による耐性だけでは無い。
メデューサの石化魔法すらも無力化した様に
命を奪わない状態異常でも、食らえば耐性が付くようになっている。
164 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/04/26(水) 15:08:26.31 ID:fS1E3ZAl0
ルーラ「私の魔法が効かない!?」
フェニックス「残念だったなぁ そおらぁ!!」
ルーラ「ぐうっ……」
ケイネス「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!」
ルーラとケイネスの二人が大剣で斬りつけられ
封印に用いようとした魔術礼装である電子ジャーは踏みつぶされた。
ユナエル「ちょっとヤバいじゃん!」
ミナエル「そう楽させてくれないみたいね」
スイムスイム「……ルーラ」
スイムスイムは鉄球を振り回し、ユナエルは鷲に変化して飛びかかり
ミナエルはチェンソーに変化して同時に攻撃するが
フェニックスが大剣を振って切り払われる。
ミナエル&ユナエル「きゅ〜」
フェニックス「こいつ、俺様の攻撃をすり抜けやがったぞ」
スイムスイム(まともに戦ったら絶対に敵わない。避け続けて時間を稼ごう)
フェニックス「しゃらくせえな。ならこれでどうだ?」
フェニックスの業火がスイムを中心に広範囲に激しく燃え盛った。
炎の熱もすり抜けで防ぎ続けられるが呼吸が持たない。
灼熱の海から逃れようと移動するが逃走ルートを先回りしたフェニックスが更に火の手を増やす。
スイムスイム(だめ……いきが……)
フェニックス「さっさと焼け死ねよ」
リップル「このっ!!」
たま「スイムちゃん!」
リップルがフェニックスに延髄蹴りを放ち、その隙にたまが開けた穴にスイムは逃げ込んだ事で
なんとか炎から逃れて呼吸を整える事が出来た。
後頭部を撫でながら起き上がるフェニックスの前に、まだ戦える魔法少女達が立ち塞がる。
165 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/04/26(水) 15:09:26.52 ID:fS1E3ZAl0
スノーホワイト「一人一人じゃ無理でも同時に戦えばきっと」
ラ・ピュセル「勝てるかもしれない……」
プリズン「それに賭けよう」
リップル「分かった」
トップスピード「それ以外方法無さそうだしな」
スイムスイム「…………」コクリ
たま「が、頑張る!」
フェニックス「作戦会議はおわったか?なら今度は俺様の……ショー・タイムだ!!」
フェニックスの背中から巨大な炎の翼が生えた。
何度も強化された事で会得した新たな魔法『不死鳥の炎』である。
うねりをあげながら不死鳥の炎が魔法少女達を包むように薙ぎ払った。
スノーホワイト「う、うう……」
ラ・ピュセル「動け……僕の、体……」
リップル「ちっ……足が……」
トップスピード「悪い、ちょっと起き上がるのは……無理、みたいだ」
スイムスイム(熱い……避けるのが遅れた)
たま「いたい、いたいよ……」
シスターナナ「そんな、ウィンタープリズン……私を庇って」
プリズン「君が無事ならそれでいいんだ」
マジカロイド(これ不味いデスよね……逃げましょう!!)
フェニックス「おいこら待て!!そこのロボット娘」
マジカロイド「ひっ」
フェニックス「皆ぶっ倒れたし次はお前の番だぜ。俺様と戦えよ」
マジカロイド「降参デス!貴方様の部下でも何でもやりマスから命だけはご勘弁を!!」
フェニックス「ふっざけんなこらぁ!!今さらそんな虫のいい話を聞く訳ねえだろうが!!」
マジカロイド(うう……こうなったらこれを使うしかないデス……)
166 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/04/26(水) 15:10:24.76 ID:fS1E3ZAl0
マジカロイドに渡されたアイテムは3分だけ幸運100倍ドリンクである
ただしこれを服用すると一週間は幸運が1/100にまで下がるという割りに合わないデメリットを含んでいる。
マジカロイド(どうせ今殺されるんデス。ならばこれに賭けましょう!!)ゴクゴクゴク
フェニックス「何飲んでんだよ?ドーピングか?」
マジカロイド(さあ!!100倍になった幸運で何か強力なアイテムが出てくだサイ!!そしてワタシを救ってくだサイ!!)
懇願を込めてマジカロイドはランダム性の未来道具を出現させた。
この場を生き延びられるような道具を願って。
そして出てきた道具はドアだった。
フェニックス「何だそれ?それで俺様を倒せるとでも思ったか」
マジカロイド「終わった……ワタシの人生終わった……」
フェニックス「こんなふざけたドアなんてぶっ壊して、ん?」
突如、ドアが開かれた。
ドアから凄まじい吸引力が発生してフェニックスの体を引きずり込もうとする。
フェニックス「ぬぐぐぐっ!?なんだぁ!!引っ張られるぞ!?」
マジカロイド「これは……『どこだかドア』どこに通じているか分からないドアである、と書かれてますね」
フェニックス「だ、駄目だ……引きずり込まれる……ぬおおおおおおおおお!!!!」
フェニックスを吸い込んだどこだかドアはバタンとドアが閉まり、その勢いで
地面に強く叩きつけられて、どこだかドアは壊れてしまった。
マジカロイド「た……助かったのでしょうか?」
167 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/04/26(水) 15:11:05.40 ID:fS1E3ZAl0
――――
フェニックス「ここは……宇宙だと……?」
見渡す限り真っ暗な世界で無数の星々が輝くこの場所は宇宙だった。
神秘的な光景と言えるが宇宙キター!!と喜んでいる場合ではない。
すぐさま帰らなければと、地球のある方向へ動こうとするが
体はどんどん地球から遠ざかっていく。
熱い……肉体が高熱に晒されている事に気付いた時は全てが手遅れだった。
フェニックスは太陽の引力に捕まっていた。
必死でもがこうとするも、太陽への落下は止まらず
高熱によって肉体が消し飛び、再生しようとするも
約6000℃の温度がフェニックスの体を永遠に焼き尽くしていく。
フェニックスは二度と地球へ戻れなかった……。
太陽の中で死と再生を永遠に繰り返すのだ。
そして死にたいと思っても死ねないので
そのうちフェニックスは考えるのをやめた。
168 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/04/26(水) 15:13:41.06 ID:fS1E3ZAl0
今回はここまで
フェニックスの技名はスーパーヒーロージェネレーションを参考に付けた
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/29(土) 20:46:16.00 ID:gg/4+cXB0
一週間幸運百分の一とか戒斗さん並に運が悪くなりそう
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/29(土) 20:46:56.04 ID:mRUbjuzRO
ウィザード本編にも運を操るファントムがいたな
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/30(日) 21:20:06.85 ID:PLnNj5Im0
一度は倒す寸前まで行った辺りケイネス先生も弱くはないんだがなあ
172 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/01(月) 21:38:52.59 ID:0dz9n47K0
何度も繰り返されたフェニックスの戦闘もついに終わり
魔法少女達は勝利を手にした。
戦いによって大きく消耗した魔法少女達は治療の為にと
表向きは普通の病院だが、魔法の国の手のかかった特別な病院に通う事になった。
魔法病院
井坂「治癒魔法というのは便利ですが、何も完ぺきではありません」
井坂「例えば銃弾を受けたとしましょう。体内に弾が残った状態で治癒魔法を使うとどうなるか」
井坂「それは弾が体内に残ったまま傷口を塞ぐ事になります」
井坂「魔法少女ならば並みの毒は効かないでしょうが、もし弾丸に呪術的な効力を持っていたらどうでしょう」
井坂「弾丸に含まれる呪いで魔法少女の肉体は蝕み、死に至るケースもあります」
ケイネス「それで、何が言いたい?」
井坂「貴方はファントムの攻撃を受けたと聞く」
井坂「そのファントムが傷を付けた相手に影響を与える能力を持っている可能性もあります」
173 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/01(月) 21:41:07.94 ID:0dz9n47K0
ケイネス「その点は心配無い。過去にそのファントムと交戦して負傷した魔法少女達もいるが特に悪影響は起きていない」
井坂「それは魔法少女の場合ですよね?魔術師にだけ悪影響を及ぼす可能性も捨てきれません」
ケイネス「そんな事など起こりえるはず無かろう」
井坂「私達医者は、皆さんを治療する義務があり責任があります。例え万が一でも治療ミスは許されない立場なのです」
井坂「分かってくれますねケイネスさん。今夜はこの病院に泊まってください」
ケイネス「…………仕方ない。君の指示に従おう」
井坂「ご協力感謝します。それにしても魔法少女達と違って魔術師が前線で戦うのは珍しいケースですね」
ケイネス(まあ、ファントム討伐は私の名に箔を付ける為でもあるからな)
井坂「魔術師の身体をを治療出来るなんて滅多に無い事です。ここは……ぺろり、じっくり隅々まで検査させてもらいますよ」
ケイネス「おい待て!貴様、個人的な理由で私を調べようとしているな!?」
井坂「いえいえ、まさかそんな……ただ貴方の魔術回路は非常に興味深い。そこに少しでもダメージが残っていれば事だと思いまして」
井坂「さあ……じゅるり、上着を脱いで裸になってください。大丈夫です、痛くしませんから」
ケイネス「やめろぉーー!!離せぇーー!!」
井坂「安心してください。私は貴方の魔術師としての身体にしか興味ありませんから」
ケイネス「安心できるかぁーーーーーーっ!!!!」
174 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/01(月) 21:42:22.93 ID:0dz9n47K0
――――
スノーホワイト「ねえラ・ピュセル、大丈夫だった?変な事されてない?」
ラ・ピュセル「変な事って何が?」
スノーホワイト「あの井坂先生って人、ラ・ピュセルを見る目が普通じゃなかったから……」
アリス「彼は捕食者の目をしてました」
ラ・ピュセル「大丈夫だよ。レアな魔法少女だとか言ってたけど軽い検査の後すぐ出て行ったから」
スノーホワイト「なんか危険な感じがするから絶対に近づいたら駄目だよ」
ラ・ピュセル「スノーホワイトがそう言うならそうするよ」
アリス「彼は裏で人体実験とかしててもおかしくありません」
ラ・ピュセル「アリスは手厳しいなぁ」
井坂深紅郎
魔法の国の出身で医者であり魔法使いだよ
天候の魔法が使えるよ
医療の腕は優秀だけどセクハラ紛いの言動で魔法少女達にすごく嫌われてるよ
175 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/01(月) 21:43:17.22 ID:0dz9n47K0
美容店
ソラ「はーいお疲れ様〜♪アイスあげるね」
女性客「えーうれしー、ありがとうございますー」
女性客「貰っちゃっていいんですかー?」
ソラ「サービスなんで♪」
女性客「やったー!」
ソラ「ありがとうございましたー♪また来てね〜♪」
ppp
ソラ(メール?何だろ?)
ファズ『私は魔法少女達のサポート役の電子妖精だ。二人だけで話がしたい。場所は――』
ソラ(電子妖精?よく分からないけど面白そう♪)
ファズと呼ばれる電子妖精の誘いにソラは警戒する事なく
むしろ歓迎して誘いを受け取る事にした。
そろそろ魔法少女達との接触を考えていた空にとっては願ってもいない話だった。
ファズ「初めましてだぽん。僕の名前はファズだぽん。よろしくぽん」
ソラ「うわースマホから声が聞こえるよ。すごいねー」
ファズ「このままでも良いけど、もっと効率良くやり取りがしたいからこれを渡すぽん」
突如、ソラの目の前に金と銀の装飾が施された怪物が出現した。
怪物は沈黙を保ったまま右手に握られているマジカルフォンをソラに差し出した。
176 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/01(月) 21:44:57.90 ID:0dz9n47K0
ソラ「彼は?」
ファズ「奴は僕が作り出した人口ファントム『ケルベロス』だぽん。僕が遠隔操作で操ってるぽん」
ソラ「へぇー、よろしくね。ケルベロス」
ケルベロス「」
ファズ「言語機能は無いぽん。それとこれからは、マジカルフォンで会話するぽん」
ソラ「あ、何か出た」
ファズ「これが僕のイメージ姿だぽん。ホログラムだけどね、ぽん」
ソラ「そうなんだ。可愛いね」
ファズ「可愛いのかよ……それで本題に入るが、もうこの喋り方をする必要は無いか」
ファズ「ソラ……君はワイズマンに忠誠は誓って無いようだなぁ」
ファズ「それに人間の頃の名にこだわりを持っている」
ファズ「お前、人間に戻りたいのだろう」
ソラ「うふっ……ウフフフ♪すごいね君、よく分かったね。僕の願いを」
ファズ「当然だ!この偉大なる頭脳を持った蛮……げふんげふん、ファズならそれぐらい知り得て当然だ」
ファズ「単刀直入に言おう。私が君の望みを叶える、代わりに私の目的を達成する為の手伝いをしてもらいたい」
ソラ「それは魅力的な条件だね。でもどうしようかな?」
ソラ「君の野心を魔法少女達に話して未然に防げば、僕の事を見直して彼女達が何とかしてくれるかもしれない」
ファズ「その時は残念だが、君はこの場でケルベロスに抹殺されることになる」
ソラ「ウフフフ……冗談♪いいよ。協力しようよ」
177 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/01(月) 21:45:37.88 ID:0dz9n47K0
ソラ「それで、どうやって僕を人間に戻してくれるの?方法を知ってるからこそ僕に交渉を持ちかけたんだよね」
ファズ「勿論だとも、だが正確に言えばファントムに人間の心を取り戻す事は不可能だ」
ソラ「どういう事?」
ファズ「私が出来るのはファントムの力を全て奪い取り、人間体の姿で固定させることだ」
ファズ「既に人間の心を持つ貴様なら、それで十分人間になりえるはずだ」
ソラ「……それは人間に戻れるとはちょっと違う様な……」
ファズ「それ以外に方法は無い。賢者の石の力でも人間に戻す応用は不可能と言っておこう」
ソラ「うーん、そうだ!もう一つ僕からの条件を飲んでくれたら、取引に応じるよ」
ファズ「言ってみろ」
ソラ「その方法で僕以外のファントムを一人、人間に戻してほしいんだ」
ファズ「それならお安い御用だ。そのファントムとは?」
ソラ「ウフフフ♪ミサちゃんだよ。あ、ファントムとしての名前はメデューサだよ」
ファズ「なぜメデューサを人間に戻したいのだ?」
ソラ「ミサちゃんの髪ってすっごく綺麗なんだ」
ソラ「でもミサちゃんったらあまり髪を大事にしないし、僕に整えさせてもくれないんだ。髪が可哀想だよ」
ソラ「それでファントムとしての力を奪って人間にしてから、二人っきりでずっと一緒に暮らして」
ソラ「そしたらいつかきっと僕の事を好きになるようになって……最期に彼女にするんだ」
ソラ「どう?とっても素敵でしょ?」
ファズ「あ、ああ……なかなかロマンチストだな」
ファズ(こいつ、気持ち悪いな)
ソラ「それで僕は何をすればいいの?」
ファズ「ファントムを人間に戻す方法だが、まだ理論上の段階で研究が足りない」
ファズ「その実験を確実に成功させるためにファントムを何体かモルモットとして用意してもらいたい」
ソラ「他のファントムを犠牲にね……とっても心苦しいけど願いを叶える為ならしょうがないか。分かったよ」
ファズ(心にも無い事を……)
178 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/01(月) 21:47:37.82 ID:0dz9n47K0
今回はここまで
ソラがお客さんにアイスあげるシーンは
ソラの人が別の番組で美容師役を演じた時のやり取りが元ネタです
179 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/06(土) 02:37:25.75 ID:IESZEfoJ0
華乃宅
華乃「……朝か」
目覚ましを止めて布団から起き上がる。
今日は嫌な夢を見た、母親の夢だ。
母は何故か夫の記憶が無い。
死んだのか離婚して別れたのかすら分からず。
夫に関する痕跡は全てが消えており、唯一の繋がりとなっているのは
二人の間に生まれた娘の私がいるだけだ。
母にとって夫の記憶が無いのはよほどショックだったのか。
欠落した記憶を埋めようとするように別の男と再婚した。
だが関係は長く続かず、離婚してはまた別の男と再婚する日々が続いた。
私はその生活がとても嫌だった。
再婚する度に現れる最悪な男共と、それにすがるしかない母親の姿を見せられるのは反吐が出た。
私は再婚相手の男と顔を合わせるのに苛立って一人暮らしを始めた。
学校とバイトを両立させるのは大変だがあの男と暮らすよりは遥かにマシだ。
気分転換に遊んでいたソシャゲの魔法少女育成計画をプレイしていく内に
偶然魔法少女に選ばれた私は、最初は仕方無しに人助けをしていた。
しかしトップスピードと出会い、共に活動を続け
すぐに暴力で解決しようとする私を友達として接してくれたクラスメイト達と過ごす内に
この街を守りたいと本気で考えるようになった。
一人、ふざけた話を振る男子にはイラッとさせられるが。
鬼島「ふざけるのは落語家の性分ですからねー。ハッハッハ」
180 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/06(土) 02:38:15.87 ID:IESZEfoJ0
回想の中で鬼島の声が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。
ある日、クラスメイトの一人がファントムに襲われた。
トップスピードの助力があったおかげで守る事が出来たが
あと一歩、救出が遅れていたら命を奪われる所だった。
足りない、皆を守るにはまだ力が足りない。
私は更なる強さを得るために特訓を始めた。
力不足によって後悔する事が無い様に。
リップル(手裏剣やクナイを上空に放り投げる。全て自分を標的として)
リップル(飛び道具が私に向かって飛んでくる。それを全て捌き切る!)
多数の敵を同時に相手にする為の鍛錬だ。
ゴキブリのようなおぞましい姿をしたファントムは大量の配下を呼び出し
私は足止めを受けてクラスメイトの救出を遅らせた。
同じ轍は二度と踏まない。
相手が数に物を言わせて仕掛けて来ても迅速に対処しなければ。
それが今の私に出来る唯一の反省だ。
リップル(二発食らったか……。もっと素早く動かなきゃ)
トップスピード「お待たせ〜、ちょっと休憩してお弁当にしようぜ」
リップル「……分かった」
トップスピード「さぁさぁ、たっくさん食べてくれ!俺の自信作だからさ」
181 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/06(土) 02:38:44.52 ID:IESZEfoJ0
トップスピードが包みに入ったお弁当を見せながら笑顔でやってきた。
二つのタッパーの中にはそれぞれ、おにぎりと筑前煮が入っている。
おにぎりの具は鮭と鯵と金目鯛が入っている。
魚は焼いてからほぐしたのか、身が柔らかく鮭は塩味が効いていて
味が薄めな鯵と金目鯛は味噌と醤油でからめている。
筑前煮は鶏肉、人参、里芋、ごぼう、レンコン、こんにゃく、しいたけ、絹さやと
栄養バランスを考えて沢山の具材が入っている。
どの具材も旨味がしっかり染み込んでいて
下ごしらえの時点で相当の手間暇をかけているのが伝わってくる。
トップスピード「美味かったみたいだな。よかったよかった」
リップル(いつの間にか二個もおにぎりを平らげてしまった……)
リップル(鍛錬のせいでかなり空腹になっていたようだ)
トップスピード「ほい、お茶」
リップル「……ありがと」
トップスピード「あんまり根を詰めるなよ。体に手裏剣が刺さってる所を見ると心配になるからさ」
リップル「これでもまだ足りない」
トップスピード「そうか?すっげー頑張ってるじゃないか」
リップル「フェニックスには通用しなかった。もっと強くならなきゃ」
トップスピード「一人で勝てなくても皆で力を合わせれば大丈夫だって」
トップスピード「それにリップルに何かあったら俺がすぐに飛んでくるぜ」
リップル「……誰かに頼らなくても勝てるようになりたいの」
トップスピード「もうリップルったらツンデレなんだから〜」
182 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/06(土) 02:39:37.77 ID:IESZEfoJ0
ガーゴイル「見つけたッス。君達が魔法少女ッスね」
リップル「ファントムか」
二人の目の前にファントム、ガーゴイルが現れた。
リップルとトップスピードはすぐさま臨戦態勢を取った。
ガーゴイル「ワイズマン様の命により君達をやっつけにきたッス。覚悟するッス」
リップル「出来る物ならやってみろ!」
ガーゴイル「グール達!!行けッス!!」
リップル「遅い」
8体のグールがリップルに飛びかかる。
グールの武器をかいくぐりながらすれ違い様に日本刀で斬りつけ
次々とグールが爆散していった。
ガーゴイル「グール達が全部やられたッス!!」
リップル「次はお前だ!」
ガーゴイル「甘いッス!」ガキィン
リップル「ちっ……硬い」
ガーゴイル「俺の体は硬質化する事が出来るッス!そんな攻撃なんかへっちゃらッス!」
トップスピード「下がってろリップル!!」
リップルとファントムが戦っている内に十分な距離を取ったトップスピードは
最高速度を持ってガーゴイルへ体当たりによるぶちかましを放った。
強烈な衝撃はガーゴイルに多大なダメージを与え、空高く吹き飛ばした。
ガーゴイル「うわああああ!!ぶっ飛ばされったッス〜!!」
トップスピード「やっべ!遠くに行っちまったよ」
リップル「追おう」
183 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/06(土) 02:40:12.13 ID:IESZEfoJ0
人のいない山々で鍛錬していたのが功を奏して、ガーゴイルの飛ばされた先にも一般人はいなかった。
被害者の心配は無いが、周囲の反応も無いため二人にはガーゴイルを発見する術も無かった。
ガーゴイル「う〜、痛いッス。ボロボロッス」
ソラ「物の見事にやられちゃったね。タケヒトくん」
ガーゴイル「あ!グリムリン、あの魔法少女達はかなり手強いッス」
ソラ「そうみたいだね。ねえ、彼女達に勝ちたいなら良いアイディアがあるんだけど知りたい?」
ガーゴイル「知りたいッス!教えてほしいッス!」
ソラ「それなら場所を変えよう。ここにいたら魔法少女達に見つかるかもしれないからね」
ガーゴイル「分かったッス。移動するッス〜」
――――
リップル「ちっ、見失った」
トップスピード「あ〜、わりいわりい。俺がぶっとばしちまったせいだな」
リップル「そんな事ない。どの道、私の攻撃だけじゃどうしようも無かったから」
トップスピード「お、励ましてくれんのか?嬉しいなぁ〜」
リップル「……調子に乗って」
184 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/06(土) 02:40:40.41 ID:IESZEfoJ0
どこかの廃墟
ガーゴイルは手術用のベッドで寝かされていた。
手足は特殊な拘束具によって完全に固定されている。
周囲には怪しげな機械が多数設置されており悪魔の実験が開始されていた。
ファズ「よぉし、始めようか」
ガーゴイル「ひぎゃああああああああッッッッ!!!!」
ファズ「まずは貴様のエネルギーを吸い取る。抜いた過剰なエネルギーの逃げ道はケルベロスへ送り込む」
ファズ「力を極限まで弱めた状態で、彼の遺伝子を操作して二度とファントムの力が取り戻せない体質に変化させる」
ガーゴイル「ぐっがががぁ、ぎぎっぎぎい、ごがぁあーーッ!!」
ソラ「うわあ〜苦しそう♪」
ガーゴイル「な、なんで……?」
ソラ「ん?」
ガーゴイル「なんで……こ、んな……酷い、ことを、するん……ッスか?」
ソラ「ごめんね〜タケヒト君、これも僕の願いを叶える為なんだ。だから諦めて受け入れてよ」
ガーゴイル「そ、んな……おれた…ち……なか、まじゃ……無かっ、たん、っすか…?」
ソラ「ウフフフ……君達ファントムとなんて、初めから仲間とは思ってないよ」
ガーゴイル「ううっ……ぐ、がぁああぎぃいいいッ!!……げはっ……」
ソラの笑みが消えて冷たく言い放つ、その同胞の姿に絶望したガーゴイルは
実験によるダメージの限界を超え、血を吐いて絶命した。
ファズ「ん?間違ったかな?」
ソラ「ほんとに成功するの?その実験」
ファズ「心配するな。あと数体のファントムを犠牲にすれば確実に上手く行く」
ファズ「それよりも、この実験をワイズマンの奴に悟られて妨害されないようにする事を考えろ」
ソラ「その点は大丈夫だよ。ワイズマンには別の事で警戒せざるを得ない状況を作るからさ」
185 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/06(土) 02:43:17.68 ID:IESZEfoJ0
ファントムのアジト
ファズの最初の実験が終わり、ファントム達のアジトへ帰ってきたソラは地下奥深くへと進んだ。
そこはワイズマンの許可無く侵入する事は許されない場所である。
長い階段を降りて扉を開けた、そこには一つの棺があった。
ソラ「ウフフフ、さぁ目覚めの時だよ」
棺の封印が解除され、眠っていた人物が目を覚ました。
彼は強大な力を保有しておきながら、底知れぬ野心を秘めており
ワイズマンにとって手に余るその存在は障害になると判断し、長きに渡る封印を施した。
その人物の名は――――剣聖ビルゲニアである。
ソラ「おはよう、クラモチさん」
ビルゲニア「私の封印を解いた、という事はワイズマンもよっぽど追い込まれている現状かな?」
ソラ「ああ、違うよ。クラモチさんの封印を解いたのは僕の独断なんだ」
ビルゲニア「ほう、面白い。説明してもらおう」
ソラ「うん、それはね……」
ワイズマン、ファズ、ソラ、そしてビルゲニア
魔法少女達の知らない場所で様々な思惑が交差していく。
186 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/06(土) 02:45:28.17 ID:IESZEfoJ0
今回はここまで
エキサイティング!のファントムは出ません
悪役たちが足を引っ張り合ったのが原因で主役に倒されるのは特撮でよくある話です
187 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/12(金) 06:39:35.82 ID:VnMld+bP0
ビルゲニアが復活し、ファントム達の前に姿を現した。
招かれざるその存在に洞窟内にざわめきが広がった。
ビルゲニア「久しぶりですなぁ。ワイズマン、元気そうで何よりだ」
ワイズマン「こいつを蘇らせたのは誰だ?」
ソラ「ハロー、僕だよ♪」
メデューサ「グレムリン……覚悟は出来てるんでしょうね?」
ワイズマン「貴様は勝手な行動が目立つな」
ソラ「うぐっ……」
ワイズマン「このまま始末してくれようか」
ワイズマンの魔法によって出現した鎖がソラの体を締め上げる。
更に電撃の魔法を繰り出しソラを苦しめる。
その時、ビルゲニアが横から入り、ビルセイバーを振るって鎖を切り落とした。
ビルゲニア「今はファントム同士で憎み合っている場合ではない。それはワイズマンも理解している筈では?」
ワイズマン「何?」
ビルゲニア「この状況の中で権力争いにかまける程、私も愚かでは無いという事ですよ」
ビルゲニア「あのフェニックスも敗れる程の魔法少女達の存在、捨て置く訳には行かない」
ビルゲニア「そこでグレムリンは私の助力が必要だと考え、命令違反なのを承知で私を開放したのだ」
ビルゲニア「自らが処刑される覚悟でファントムの為に行動する。見上げた忠誠心ではありませんか」
リブラ「あいつは、グレムリンはそんな殊勝な男では無い!!」
リブラ「ワイズマン様!私に魔法少女討伐の許可を、ビルゲニアの力など必要ない事を証明してみせます!」
ワイズマン「そうか。ならば君に任せるとしよう、リブラよ」
ビルゲニア「ではでは、お手並み拝見といきましょうか。報告を期待しているよ」
リブラ「では行って参ります。ワイズマン様の期待に答えて見せましょう。星に願いを」
188 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/12(金) 06:40:13.28 ID:VnMld+bP0
――――
ワイズマン「……なぜ、私の傍で待機している?ビルゲニア」
ビルゲニア「いつワイズマンの元に魔法少女達が襲撃に来るかも分からない。護衛がいた方が良いと思いましてな」
メデューサ「ワイズマン様は私が命に代えても守る。お前は必要無い」
ビルゲニア「それにワイズマンは私の事をいまいち信用なされていない様子」
ビルゲニア「それなら、不穏な動きを取らせない様、目の届く場所に置いた方が安心できるという物ではありませんか?」
ワイズマン「いいだろう。今は貴様のその言葉を信用してやる」
ワイズマン(ビルゲニアの野心は知っている。ファントムの王となるべく私の命を狙っているのは諦めていない筈だ)
ワイズマン(何か不穏なそぶりを見せた時、即始末すれば問題は無かろう)
ビルゲニア「その信用が長く続くように努力いたしましょう」
ビルゲニア(ワイズマンは自らの目的の為にファントム達を捨て駒にする算段だとグレムリンは言っていたな)
ビルゲニア(そのワイズマンに対抗できる唯一の戦力が私だと伝え、奴の監視を頼まれた)
ビルゲニア(ワイズマンがファントムを裏切るなら丁度いい。私が堂々と引導を渡してやろうではないか)
ビルゲニア「所でメデューサ、リブラの言っていた『星に願いを』とはどういう意味だ?」
メデューサ「……知らない」
189 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/12(金) 06:40:47.59 ID:VnMld+bP0
――――
ソラ「ちょっと危険な賭けだったけど上手く行ったみたいだね」
ソラ「これでワイズマンはビルゲニアに警戒せざるを得なくなる」
ソラ「ファズの研究の妨害を受ける可能性は極力下がったよね」
その頃、華乃の通う学校では
速水「ふっふっふっ……私が新たに会得した魔法、ラプラスの瞳を使う時が来た」
速水「これは魔法少女に変身できる力を持った一般人を見つけられる魔法なのだ」
速水「過去にゲートを狙った時の魔法少女の出現の速さを考えると、この学校の人間の可能性が高い」
速水「まずは1つずつ、クラスを覗いて行くとしよう」
――――
速水(……このクラスもハズレ、なかなか見つからない物だな)
速水(ん?ここは前に襲ったゲートがいるクラスか)
烏丸先生「これでホームルームは終わりだ。お前ら気を付けて帰れよ」
カレン「提督、お疲れ様デース!!」
華乃(さて、帰るか)
こけし「華乃さん、帰りに一緒にお店に行きませんか?」
華乃「悪い、今日はバイトの日なんだ」
ココア「どこでバイトしてるの?」
華乃「……秘密、じゃあね」
陽子「おつかれー♪」
和菓子「ま、まさか華乃さんのバイトっていかがわしいお店なんじゃ……」
綾「何言ってるのよ千夜ったら、そんな訳無いでしょう」
アリス「ねー、シノは華乃さんをどこのお店に誘うとしたの?」
こけし「『フルール・ド・ラパン』というお店ですよ。実は割引チケットを沢山貰ったのです」
和菓子「あら、そこは私の親友が働いてるお店だわ」
ココア「美味しいハープティーが沢山あってとっても素敵なお店だよ」
カレン「オゥ!雑誌で紹介されているのを見た事あるデース!」
こけし「華乃さんが来ないのなら割引チケットが一枚余りますね……」
カレン「そうだ!ヘイ、鬼島ー!!」
鬼島「アタシに何かご用で?」
カレン「鬼島も一緒に行こうデース」
鬼島「そうだねぇ。気分転換にもなるしアタシもご一緒させてもらいましょう」
カレン「ヤッター」
190 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/12(金) 06:41:20.19 ID:VnMld+bP0
――――
速水(まさか、細波華乃という生徒がくノ一の魔法少女だったとは、思わず声を出してしまう所だった……)
速水(今ここで襲撃すると騒ぎになり、また魔女の魔法少女が邪魔しに来る可能性がある)
速水(ここは人の少なくなった機会を狙って命を奪うとしよう)
速水(戦いとは冷静な判断力を持っている者こそが勝利を掴めるという物だ)
フルール・ド・ラパン
陽子「おー、オシャレなお店じゃん」
綾「本当、素敵ね〜」
シャロ「いらっしゃいませお客様」
こけし「金髪ぅーーーーッ!!!!」
シャロ「お、お客様ーー!?」
アリス「もうシノったら金髪を見るとすぐこれなんだから」
華乃「何かあったかシャロ?……って皆!?」
華乃(み、見られた……恥ずかしいから秘密にしてたのに……)
カレン「華乃ー!メイド姿がとっても似合うデース!」
ココア「うん、すっごく可愛い!!」
鬼島「アッハッハッハwwwアタシを笑わせるとは、華乃もなかなかやるねぇ」
華乃「…………」イラッ
和菓子「違うのよ華乃さん、鬼島さんは馬鹿にしてる訳じゃなくて笑顔になるほど綺麗って言いたいのよ」
鬼島「そうそう。普段のイメージからは想像も付かないほど綺麗な格好をしてたからさ……ぶははは!!」
華乃(……後で鬼島絞めよう)
ソラ「友達の言う通り、君の格好はとってもよく似合ってるよ」
華乃(誰こいつ?)
ソラ「初めまして、華乃ちゃん♪」
華乃(こいつ、私の名前を知って……)
カレン「二人は知り合いデスかー?」
ソラ「うーん、華乃ちゃんの身内の知り合いって所かな」
女性店員「キャー!ソラさん来てくれたんだー!」
ソラ「ハロ〜♪この前、お店に来てくれた時に割引チケットくれたからね」
ソラ「それにしてもここの制服可愛いね。僕は白い服が大好きだから気に入ったよ」
女性店員「そうなんですよ〜。私もこの制服が好きでここでバイトしてるんですよ〜」
華乃(この男、怪しい……)
191 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/12(金) 06:41:50.07 ID:VnMld+bP0
――――
陽子「ここのお菓子美味いな〜」
綾「ハーブティーも良い香りで頭がすっきりしたわ」
こけし「はぁはぁ……その金髪モフモフしていいですかぁ?」
シャロ「ココアーー!彼女を何とかしなさいよーー!」
ココア「シノちゃんは金髪が大好きなんだよ」
美味しいお菓子とハーブティーにクラスメイト達は舌鼓を打ち
談笑をしばらく楽しんだ彼女達は華乃に別れの言葉を残して解散した。
華乃(もう少しで今日の仕事も終わり、あと一踏ん張りだ)
ソラ「ねえ、華乃ちゃん」
華乃「ご注文ですか?」
ソラ「そう警戒しないで、これ受け取って」
ソラがにっこりと華乃に微笑みながら名刺を差し出す。
どうやら彼は美容師らしい。
ソラ「今度、僕のお店に来てよ。安くするからさ。君の髪をもっと綺麗にしてあげる」
そう言ってソラは会計を済ませて店から出て行った。
女性店員「彼って素敵でしょ〜、でも惚れない方が良いよ。ライバル多いからね」
華乃「あんたも好きなの?」
女性店員「キャー!分かる〜?もしソラさんの彼女になれたら私死んでもいい!なんちゃって」
シャロ(私はリゼ先輩と……はっ!何考えてるのよ私ーーッ!!)
192 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/12(金) 06:42:35.04 ID:VnMld+bP0
――――
華乃(今夜も魔法少女の仕事があるしさっさと帰って休まなきゃ)
バイトも終わり、店から出た華乃は自宅へと向かっていた。
その彼女の背後へ迫る敵の影がいた。
リブラ(ここなら人通りも少ない。やるなら今だ。死ねぇ!!)
華乃「ッ!?」
物音が気づいた時にはもう遅い。
リブラの錫杖が華乃の目の前に迫り、変身する時間が無かった。
ソラ「危ない!!」
華乃「あんたは!?」
リブラ「何ッ!?」
寸前でソラに突き飛ばされた事で華乃はリブラの錫杖の攻撃から外れた。
しかし庇った事でソラの腕が傷ついて血が流れる。
リブラ「ええい!!何をしているグレムリン、裏切ったか!?」
ソラ「彼女は……殺させないよ。誰にもね……」
華乃「グレムリン?あんた、ファントムか?」
リブラ「ファントムが魔法少女を庇うとは……罪が重いぞ。どけぇ!!」
ソラ「うわあああ!!」
リブラの攻撃を受けたソラの体は吹き飛ばされ、川へと転落していった。
思わぬ妨害に余計な時間を取られたリブラだったが頭を切り替えて、再び華乃へ狙いを定める。
華乃の姿は既にいなかった。リブラの目の前には変身を済ませた魔法少女、リップルが立っていた。
193 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/12(金) 06:43:05.38 ID:VnMld+bP0
リブラ「しまった、既に変身済か!!」
リップル「お前は……あの時のファントム」
リップルの心は怒りに震えていた。
大切なクラスメイトの命を奪おうとしたファントム。
地面を蹴ってリブラへと斬りかかる。
日本刀の一撃は錫杖で防がれるも、意に介さず攻撃を繰り返した。
リップルはそれほど筋力を持った魔法少女ではない。
パワーよりスピード、一撃必殺よりも手数を駆使した攻撃を得意とする。
リブラを翻弄するように動き回りながら上下左右、様々な方向へ斬撃を繰り返した。
リブラ(馬鹿な……前に戦った時は、一対一では私が上手だった筈だ)
リップル「二度とゲートを狙わせない、覚悟しろぉ!!」
リブラ(人間を守ろうとする一心で成長したか。厄介だな)
リブラ「ここは引かせてもらおう。次こそ貴様の命を頂く」
リップル「待て!!ちっ、逃げられた」
リブラの幻影魔法がリップルを包み込み、晴れた時には本体の姿はどこかへと行ってしまった。
リップル(そうだ、あいつは……!?)
グレムリンと呼ばれるファントムは川へと落ちたきり、浮かんでこない。
まさか溺れたのでは?とリップルの脳裏に不安がよぎる。
ファントムだというのが本当なら助けるべきではない。
でもなぜ自分を助けたのか、彼は本当にファントムなのか?
そんな不安で胸が一杯になったリップルは川へ飛び込まずにはいられなかった。
194 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/12(金) 06:44:04.82 ID:VnMld+bP0
――――
ソラ「ん……君が僕を助けてくれたのかい?」
リップル「……さぁ」
ソラ「あっ!!帽子が無い!!僕の大事な……っつ!」
リップル「大丈夫か?」
ソラ「良いのかい?魔法少女がファントムなんか助けてさ」
リップル「どうして私を助けた?それが知りたかっただけ」
ソラ「女の子を助けるのに理由がいるのかな」
リップル「ふざけてるのか?」
ソラ「魔法少女達とお話したかったからさ。だから今死んでほしく無かったんだ」
リップル「ファントムなんかと話す事は無い」
ソラ「ウフフフ、前にケイネスと会った時もそう言われて追い出されたよ」
ソラ「だからファントムとしてじゃなく人間としてお話したかったんだけどなぁ」
リップル「なんで魔法少女と話したがってるんだ?」
ソラ「僕は他のファントムと違って人間の心が残ったまま生まれたんだ。だから魔法少女達と仲良くなれると思ってね」
ソラ「それでお話しして、お互い理解し合えれば戦わなくて済むかなって」
リップル「人間の心が残ってる?」
ソラ「嘘じゃないよ。今でも美容師として働いているし人間としての生活を続けてるんだよ」
195 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/12(金) 06:47:49.28 ID:VnMld+bP0
リップル「……なんでお前たちはファントムを増やしている?世界征服でも企んでいるのか?」
ソラ「もう一度サバトを開く、日食の日しか開けないサバトをファントムの魔力を集めて無理やり開くのさ」
リップル「そんな事、絶対させない!コヨミのような犠牲者を出させない!」
ソラ「コヨミ?ああ、ケイネスの傍にいた魔力で動くお人形さんか」
リップル「コヨミは人形じゃない。人間だ!コヨミはファントムを産んで抜け殻になったゲートだと言っていた!」
ソラ「それは変だねぇ。ファントムを産んで体が残るなんてありえないよ」
リップル「何?」
ソラ「まあ、いずれ分かる事さ」
リップル「……あんたはこれからもファントムとして人を襲うのか」
ソラ「だからファントムじゃないってば 僕はソラ、今も昔も、そしてこれからもね」
リップル「答えになってない」
ソラ「はっきりしてるのは僕は君達魔法少女と同じく、人の心を持ってる……それだけさ」
ソラ「楽しかったよ。じゃあね」
リップル(……あいつの言ってる事は嘘だとは思えない、だけど信用していいのかも分からない)
リップル(一つだけ確信が持てるのは、あいつは他のファントムとは何かが決定的に違う)
リップル(あいつの本音を全て知り得るまで慎重に対処しなければ……)
196 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/12(金) 06:48:53.69 ID:VnMld+bP0
今回はここまで
ファントムの襲撃からリップルを助けるなんてソラって本当は良い人なのかな?
197 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/16(火) 23:57:50.28 ID:4H/fVOJM0
ファズのラボ
ソラ「ねえファズ」
ファズ「……なんだ?」
マンティコア「うぎゃああああああああーーーー!!!!」
ソラ「華乃ちゃんの事をもっと教えてよ」
ファズ「なぜそんな事を知りたがる……この臓器は慎重に切除して止血するっと……」
マンティコア「あががががぁーーーーー!!」
ソラ「僕ね……華乃ちゃんの事、好きになったかも♪」
マンティコア「」
ファズ「好きになっただと!?……実験体がくたばったか。良い線まで進んだが」
ソラ「だって華乃ちゃんって僕がファントムであるのを知ってて助けてくれた優しい子なんだよ」
ソラ「この高鳴る感情、まさに恋って奴だよ」ゾクゾク
ファズ「なら私が知っている情報を教えてやろう」
ソラ「ウフフフ……ありがとうファズ、はぁはぁ……」
ファズ(こいつ、なんか危ないクスリでもキメてるんじゃないのか?)
198 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/16(火) 23:58:28.95 ID:4H/fVOJM0
ファントムのアジト
ビルゲニア「おやおや、魔法少女を倒してみせると粋がっていた割りにこの結果とはな」
リブラ「一体どういうつもりだ!?グレムリンが私の妨害をするとは、ビルゲニアの策略か?」
ビルゲニア「ん?そんな命令はだしておらん。何があったか言ってみろ」
リブラ「私が魔法少女を追い詰めた所で奴が現れて魔法少女を庇ったのだ」
リブラ「そのせいで私は千載一遇のチャンスをふいにされてしまった」
メデューサ「分かったわ。貴方は引き続き任務を継続しなさい」
リブラ「……了解した」スタスタ
メデューサ「グレムリンの行動に何か心当たりはあるかしら?ビルゲニア」
ビルゲニア「さあ、知らんな」
メデューサ「一体何を企んでいる……グレムリン」
199 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/17(水) 00:03:55.27 ID:mmHuulrE0
――――
リブラ(やはり腹の虫が収まらない)
リブラ(グレムリンを追跡して何か弱みを握ってやらねば)
リブラ(私の邪魔をした罪の重さ、思い知らせてやる)
リブラ(それにしてもワータイガーと共にこんな寂れた場所まで移動して何をしているのだ?)
ファズのラボ
ソラ「ようこそイカワくん、ファズのラボへ」
ワータイガー「無駄話はいい。魔法少女達に勝つ作戦とやらをさっさと話してもらおうか」
ソラ「ウフフフ、その前に君には実験体になってもらうよ」
ケルベロス「ぐるるるる!!」
ワータイガー「なんだこいつは!?ぐほっ」
ファズ「さぁケルベロスにソラよ。奴を実験用のベッドに寝かせて拘束するのだ!」
ソラ「りょ〜かい♪」
ワータイガー「貴様ら、何のつもりだ!!」
ソラ「ごめんねぇ。魔法少女達に勝つ作戦を教えるってのは嘘、本当は君をここに招き入れたかっただけなんだ」
ワータイガー「おのれぇ!!俺を騙していたのかァーー!!」
ファズ「さっさと実験を始めるとしよう」
ワータイガー「許さん……絶対に貴様らをゆるさ ぐぎぎ、ぎぎゃああああァーーーー!!」
200 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/17(水) 00:04:27.51 ID:mmHuulrE0
――――
リブラ(恐ろしい事実を知ってしまった)
リブラ(すぐにワイズマン様に伝えなければ)パキ
ファズ「ん?」
ソラ「おや?」
リブラが後ろへと一歩下がった拍子に瓦礫の一部を踏んづけた。
運悪く、その音が悪魔の実験を繰り返している連中に感づかれた。
リブラ(気付かれた、気付かれた、気付かれた!!)
リブラは全力で走った。
戦っても勝ち目は無い、捕まったら殺される、と本能が危険信号を最大にして告げていた。
背後の様子を確認する余裕は無い。
ひたすら前のみに視線を向けて逃げた。
足元に何かが入り込み、リブラは受け身も取れずにぶざまに転がった。
リブラ「うぐ、ああ……」
ソラ「覗き見なんて趣味悪いよ。ハヤミ」
リブラ「来るな、近づくなァー!!」
ソラ「その怯えよう、やっぱり見っちゃったんだ。なら逃がす訳には行かないね」
リブラ「はぁ……はぁ……うわああああああ!!」
ソラ「僕と戦うつもり?良いよ。相手してあげる」
201 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/17(水) 00:05:34.11 ID:mmHuulrE0
――――
ソラ「ただいま」
リブラ「ぐぐっ……」
ファズ「帰ってきたか。そいつは生きているようだな」
ソラ「殺したら実験体にならないからね」
ファズ「こっちは丁度実験が終わった所だよ。惜しい所まで行ったが失敗だ」
ソラ「じゃあ、早速ハヤミを使おうよ」
ファズ「うむ、ファントムが一人で追跡に来るとは鴨にネギだよ」
――――
速水「うう、ぐっ、はぁはぁ……」
ファズ「実験は成功だ!!流石偉大なる天才科学者よ。己をひたすら称えたい気分だよ」
ソラ「へぇ〜。半信半疑だったけど本当に成功しちゃうなんて凄いんだね♪」
ファズ「もっと褒めてもいいぞ。後はそのミサと君の力を奪えば望みは叶うぞ」
ソラ「そうだけど、今のミサが僕の言う通りに来てくれるのは難しいと思うから」
ソラ「信用を取り戻す為の行動を見せなきゃね。それまで待っててよ」
ファズ「そうか」
ソラ「その前に、本当に実験が成功しているか確かめさせてね」
ファズ「私の腕を疑うのか」
ソラ「そうじゃないけど、万が一に力を取り戻して僕が返り討ちにされたらシャレにならないからね」
ソラ「念には念を入れないとね」
ラプチャーと呼ばれる双剣を持ったソラがゆっくりとリブラに近づく。
ファントムの力を奪われ、一般人同然の存在となった彼には抵抗する術がない。
速水「うわあああああ!!やめてくれェーーーー!!」
ソラ「苦痛によるショックでファントムの力が戻るかどうか試させてね。ハヤミ♪」
ラプチャーがリブラの左手の甲を突き刺した。
苦痛に悶えるリブラをソラは笑いながら何度も体を突き刺した。
長く苦痛を与える為に、死なない程度に加減をして何度も何度も……
リブラの悲鳴は一日中続いた――。
202 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/17(水) 00:06:28.08 ID:mmHuulrE0
次の日
ソラ「ハロ〜、華乃ちゃん♪」
華乃「またお前か。何の用だ?」
ソラ「つれないなぁ。今日は僕のサロンへ華乃ちゃんを招待しようと思って声をかけたんだ」
華乃「興味無い」
ソラ「僕が美容師なの知ってるよね?だから僕が人間らしく生きている事を見せたくてさ」
ソラ「美容師としての腕なら自信はあるし、もちろんタダだよ。僕の気持ちだと思って来てほしいんだ」
華乃「悪いけど魔法少女としての仕事があるから」
ソラ「そうなんだ……華乃ちゃんとなら僕と仲良くしてくれると思って誘ったんだけどな……」
陽気な笑顔を見せていたソラの表情が暗くなる。
まるで飼い主に捨てられた子犬のような寂しさを感じさせる悲しい表情を見せる。
罪悪感に胸が痛んだ華乃は、少しの間だけなら付き合ってもいいと考え直し
ソラに話しかけようとした所で、腹部に激痛が走った。
華乃「なっ……!?」
ソラ「ごめんね。華乃ちゃん、どうしても連れて行きたかったんだ」
華乃の意識が闇に沈んでいく。
ソラの顔はいつも通りの陽気な表情を浮かべていた。
ソラ「だってさ……白い服を着て、あんな綺麗な長い黒髪を見せられたらさ……」
ソラ「僕はもう、これ以上は我慢できそうに無いんだよね。ウフフフ、ウフフフフフ♪」
華乃の黒髪を手で絡める様に触れながら、ソラは華乃を抱えてサロンへ運んでいった。
過去に沢山の彼女を連れて行き、命を奪っていった処刑場とも言えるその場所へ。
203 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/17(水) 00:08:11.38 ID:mmHuulrE0
今回はここまで
次は対ソラ戦です。負けたらリップルがR18Gな事されそうで興奮する
204 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/20(土) 15:28:59.75 ID:ExRm67P+0
ソラのサロン
華乃「……ううっ」
照明の光に照らされて華乃が目を覚ます。
簡素な固いベッドで寝かされてるのを理解し、起き上がろうとするが身体が動かない。
ベッドの四隅に手錠のような物が設置されており
華乃の手足はガッチリと固定されていた。
ソラ「起きたんだね。どう?素敵なサロンでしょ?」
四方を赤いカーテンで覆い、様々なオプジェが設置された部屋。
幻想的とも言える雰囲気を醸し出しているが
華乃にとっては、まるで悪魔の儀式に使われる祭壇のような不気味な空間としか思えなかった。
華乃「早くこれを外せッ!!」
ソラ「でも一番素敵なのは君の服装だよ。華乃ちゃん♪」
自分の格好を見て華乃は驚愕する。
学校の制服を着ていた筈の服装が白いワンピースに替えられていたのだから。
ソラ「やっぱりこの格好が似合うと思ったんだ。素材を生かしたシンプルな服装が清涼感あって素敵だ」
華乃「……まさか、私が意識を失っている間に……」
ソラ「うん!着替えさせてもらったよ。とっても綺麗なお肌だったよ」
華乃「きさまぁっ!!」
205 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/20(土) 15:29:27.88 ID:ExRm67P+0
華乃の姿が変わり魔法少女リップルに変身する。
力を込めて抜け出そうとするが拘束具はビクともしない。
ソラ「あらら、服装が変わっちゃった。似合ってたのに、でもこの格好もなかなかキュートだよ」
リップル「ちっ、外せない」
ソラ「ウフフフ、そのベッドはね。有志の方に譲り受けた道具なんだ」
ソラ「例えファントムの力でも抜け出すのは不可能さ。外すにはこの装置にある赤いスイッチを押さないとね」
リップル(……それなら何か道具さえ投げればスイッチに命中させて外す事が出来る。何か無いか!)
ソラ「まだ諦めてない表情だね。そうこなくっちゃ、簡単に折れちゃ面白くないからね」
辺りを見渡すも手足が固定されてる状況では、手元に物を寄せる事が出来ない。
脱出を試みるリップルへとソラはゆっくり歩み寄り、手裏剣の形をした髪飾りを奪い取る。
結ばれた黒髪が解け、軽く一房作って掴んだソラはさわさわと黒髪の感触を楽しむ。
ソラ「こうした方が僕の好みだなぁ。あぁ〜いい香りだ」
リップル「……ッ!?このっ変態がぁ!!」
ソラ「あははっ、それってご褒美かな?ぞくぞくしちゃう」
懐から鋏を取り出し、刃の輝きをリップルに見せつけるように近づけた。
リップルの視線が鋏へ向けられるのを楽しみながら一房に纏められた髪へと運び
無造作にバッサリと切り落とした。
206 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/20(土) 15:30:17.66 ID:ExRm67P+0
――――
トップスピード(おかしいぜ……待ち合わせ場所にリップルが現れないし連絡も取れやしない)
トップスピード「おい、ファズ!!」
ファズ「なんだぽん?」
トップスピード「リップルの居場所を教えろ!!今すぐにっ!!」
ファズ(ここで非協力的な意見を言うと、後々良からぬ疑いをかけられるかもしれん。ここは従うとしよう)
ファズ「分かったぽん。今送ったデータの場所にリップルのマジカルフォンがあるぽん」
トップスピード「恩に着るぜファズ。じゃあな!」
ファズ(この後はソラ自身が上手くやるだろう……多分)
207 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/20(土) 15:30:54.96 ID:ExRm67P+0
――――
リップル「……っ!」
リップル(こいつは私を徹底的に苦しめてから殺す気だ)
リップル(ただ殺すだけなら、こんな周りくどい真似何かしない)
ソラ「いいねぇ〜。命を奪われる恐怖を必死に押し殺しながら耐えるその表情、苦痛で歪ませたくなるよぉ」
ソラ「安心していいよ。君はすぐには殺さないから、初めて出来た魔法少女の彼女だからね。じっくり丁寧に愛してあげる
リップル「いつ私がお前の彼女になった?」
ソラ「冷たいなぁリップルちゃん。僕達似た者同士なのにさ」
リップル「似ている?」
ソラ「だって君と君のお母さんはお父さんに捨てられたんだよね?」
リップル(あいつ、私の過去を知っているのか?)
ソラ「君が捨てられたように、僕も捨てられたんだ……大切な人にね」
ソラ「けど僕は捨てられたりしない……捨てるのは僕の方だ」
ソラ「丁度いい〜君が死ねばミサちゃんを誘い出すための信用も得られて一石二鳥だからさぁ」
208 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/20(土) 15:32:55.04 ID:ExRm67P+0
――――
リップル「……っ!」
リップル(こいつは私を徹底的に苦しめてから殺す気だ)
リップル(ただ殺すだけなら、こんな周りくどい真似何かしない)
ソラ「いいねぇ〜。命を奪われる恐怖を必死に押し殺しながら耐えるその表情、苦痛で歪ませたくなるよぉ」
ソラ「安心していいよ。君はすぐには殺さないから、初めて出来た魔法少女の彼女だからね。じっくり丁寧に愛してあげる
リップル「いつ私がお前の彼女になった?」
ソラ「冷たいなぁリップルちゃん。僕達似た者同士なのにさ」
リップル「似ている?」
ソラ「だって君と君のお母さんはお父さんに捨てられたんだよね?」
リップル(あいつ、私の過去を知っているのか?)
ソラ「君が捨てられたように、僕も捨てられたんだ……大切な人にね」
ソラ「けど僕は捨てられたりしない……捨てるのは僕の方だ」
ソラ「丁度いい〜君が死ねばミサちゃんを誘い出すための信用も得られて一石二鳥だからさぁ」
209 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/20(土) 15:34:15.43 ID:ExRm67P+0
帽子を脱いだソラの表情には笑顔が消え、獲物を狙う肉食獣の様な鋭い目付きへと変わる。
荒々しい息遣いとなり、リップルの頬へ手を伸ばした。
リップル「触るな……」
ソラ「最初は服装が変わって残念だと思ったけど……よく考えたらさ」
ソラ「人間時の華乃ちゃんと魔法少女になったリップルちゃんの二つの肉体を味わえるって事だよね」
ソラ「それってとってもお得だよねぇ。僕はやっぱりついてるなぁ」
髪の先から足のつま先まで舐めるように見つめるソラの視線が
リップルに羞恥心と恐怖心を植え付けていく。
リップル「……っ!?」
ソラの下半身の変化に気付いたリップルは小さな悲鳴が無意識の内に声に出てしまう。
下腹部からはズボン越しからでもくっきりと形が分かる程に
男のソレがそそり立っていた。
リップルが自身の下半身を見て怯えたのに気づくと
ソラはくくっと嘲笑い彼女の躰を撫で回す。
殺人衝動と性欲が混ざり合ったドス黒い欲望をリップルで発散出来ると考えただけで
彼の怒張は収まりそうにない。
210 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/20(土) 15:35:06.58 ID:ExRm67P+0
ソラ「これだけ挑発的な格好をしている割りに男性経験は全く無かったのかな?」
ソラ「それともアレかな?本当はこういう事されたかったりとか?」
リップル「嫌っ!!」
ソラの手が彼女の豊満な胸を鷲掴む。
恐怖で身がびくんっと震え上がり、ソラの手から逃れようと身体を横に振った。
カチャカチャと拘束具の音が響くだけのささやかな抵抗もお構いなしに
ビキニの中まで指を忍び込ませていく。
ごつごつとした手の感触が、男に触れられているのを否応にも感じさせられ
抵抗も出来ずに男に身体を弄ばれて、悔しさの余り涙が溢れてきた。
リップル「ううっ、ぐすっ……」
ソラ「泣いちゃった。本当に未経験だったんだね。かわいいなぁリップルちゃん」
ソラ「僕が初めての男になるんだ。すごくそそられるよ」
ソラは大量の涙でぐしょぐしょに濡れたリップルの顔を優しく拭い。
両手で顔を押さえつけて、ソラの唇とリップルの唇を重ね合わせた。
リップル「っんん!!??」
リップル(そんな、無理やり……私の初めてのキスが、こんな男に……)
リップルの唇にむしゃぶりつくソラに恐怖し、目を閉じて身を縮みこませて
ソラの行為から逃れようとするも顔ががっちりと押さえつけられ固定されている。
リップル(ううう……いやぁ……)
リップル「っ!??」
気持ちの悪い何かが、唇の間を割って侵入してきた。
にゅるりとした、熱く長いモノが口内を這いずり回る。
これは、まさか……。
リップル「んっーー!!!!んん〜〜〜〜!!!!」
それがソラの舌だと気付いた時、私は必死に叫ぼうとして呻き声をあげた。
抵抗になる所かソラの情欲をただ掻き立てるだけの行為にしかならず
更に口内を蹂躙していく。
211 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/20(土) 15:36:01.45 ID:ExRm67P+0
ソラの舌が、息が、唾液が、口内を汚していく。
男の味が体内まで浸み込まされていく。
私の舌とソラの舌がくっついて絡み合ってくる。
リップル(気持ち悪い、汚らしい、もう嫌だ……)
ソラ「はぁ……どうだった?初めてのキスの味は?」
リップル「…………」
不快感でしか無かった長い口付けが終わる。
威勢を張るだけの気力すら無かった。
ソラ「言葉にもならないほど嬉しかったみたいだね」
ソラ「じゃあ次はこっちの方も頂くよ」
ソラの手がスカートの中へと侵入してきた。
感触を楽しむ様に薄い布地を指で撫でくり回す。
リップル「……そこはっ!!いやあああ!!!!」
ソラ「その声、さいっこうだよぉ!!もっと絶望してよ。あっははははは!!」
リップル「やだぁ!やだよぉ!助けて、誰か助けてよっ!!!!」
ソラ「無駄だよ。いくら叫んでも助けなんて来ないんだからさぁ!!ひゃはははははっ!!」
絶対に弱音は吐かない。
そう貫いてきた意思がついに砕けた。
ファントムを討ち倒す強き魔法少女だったリップルは
恐怖に震え上がる、か弱き少女へと堕ちていった。
ソラ「さぁ、僕と一つになろうねリップルちゃん」
リップル(お願い、誰か……助けて……)
その時、恐怖に怯えるリップルの脳内に
相棒として共に活動していた魔法少女の姿が浮かび上がった。
リップル(トップスピード……トップスピード……)
リップル「助けてぇ!!!!トップスピィィドォーー!!!!」
リップルに支給されたマジックアイテム、ウサギの足が輝きを放った。
そして奇跡は叶った。
212 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/20(土) 15:36:35.99 ID:ExRm67P+0
ソラ「だから無駄だって」
トップスピード「ここかぁっ!!!!」
ソラ「ぐあっ!?」
トップスピードの体当たりを受けてソラが吹き飛ばされる。
その隙にリップルの傍へ駆け寄った。
トップスピード「大丈夫かリップル!?」
リップル「……うん、あの赤いスイッチを押して」
トップスピード「これか」
赤いスイッチを押した途端、いくら引っ張っても外れなかった拘束具は呆気無く解除された。
自由の身になれた瞬間、リップルはトップスピードの胸に飛び込んで抱きついた。
その身体はガタガタと震えており、怯えた表情を見せていた。
リップル「……怖かった」
トップスピード「安心しな。俺が傍にいるよ」
ソラ「なんで……なんで僕の邪魔をするんだァーー!!?せっかく二人で愛し合っていたのにっ!!」
トップスピード「よくも俺の相棒を泣かしてくれたな。その落とし前はしっかり付けさせてもらうぜ」
ソラ「許さない。僕の邪魔をする奴は人間だろうが、ファントムだろうが、魔法少女だろうが、全て敵だッ!!」
ソラの姿が人間体からファントム体へと変化した。
連続殺人鬼ソラVS魔法少女の戦いが今始まる。
213 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/20(土) 15:42:06.00 ID:ExRm67P+0
今回はここまで
途中二重投稿してしまった
214 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/25(木) 05:50:40.32 ID:JoMQdIZI0
リップル「うわああああああっ!!!!」
感情を爆発させたリップルが半狂乱じみた雄たけびをあげながら大量の飛び道具をソラへと投げつけた。
今までのソラの凶行からして彼の発言は全て有言実行で移す男であるのはその身で知った。
トップスピードを殺させまいとリップルは全身全霊を込めて戦いに挑んだ。
全ての飛び道具を双剣で叩き落としながら接近したソラの前蹴りがリップルの腹部に突き刺さりくの字に吹っ飛ぶ。
続いて横から放たれるミニ八卦炉の光線をくぐり抜けてトップスピードの顔面を斬りつける。
トップスピード「くぅっ!」
ソラ「君はいらない。死んでよ」
リップル「させないっ!!」
ソラ「そんな殺意剥き出しじゃせっかくの奇襲も通らないよ。はぁ!!」
リップル(おちゃらけた人間体だった癖に……速い)
ソラ「君は速さに自信があるようだけど、僕も結構速い方なんだよね」
ソラから繰り出される連撃にリップルは押し出され
廃墟の吹き抜けから一階へと落下していく。
受け身を取りながら移動してソラの追撃に備えると、ふと地面が柔らかくなった事に気付いた。
リップルのいる場所には一室分ほどのスペースのコンクリート部分が剥がされており
柔らかい土が露出していた。
土は僅かに盛り上がってる部分が数十ほどあり
落とし穴と呼ぶには浅いが、横になれば人間一人入りそうな穴が開いてある。
215 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/25(木) 05:51:13.32 ID:JoMQdIZI0
ソラ「気が早いね。君がここに来るのはまだ後だよ」
リップル「なんだこれは?」
ソラ「ここは、僕の彼女達のお墓さ」
リップル「……!?」
凝視してリップルは気付いた。
盛り上がった部分をよく見ると線香が立てられた跡がある事に。
そして一人分のスペースのある穴が掘られている意味に。
ソラ「僕は47人の彼女をここに捨てて埋めたんだ」
ソラ「リップルちゃん。君は48人目の彼女としてここに埋められるんだよ」
リップル「……やっぱり、ファントムは誰一人信用出来ないっ!」
ソラ「違うよ!僕はファントムじゃない!僕がこんな身体になる前から繰り返してきた行為なんだから!」
リップル「まさか、お前は……」
ソラ「そうさ。彼女を鋏で切って、刺して、突いて、殺して捨てた感触を初めて味わったのは僕がまだ人間だった頃さ」
ソラ「彼女の身体を鋏で切る度に幸福感が蘇って、僕の心が何も変わっていない人間だって実感できるんだよぉ〜」
リップル「ここに埋められてる人全員にあんな酷い事を繰り返したのか!!」
ソラ「最初の彼女はそんな長くは無かったよ。何せ怒りに任せて鋏を振るったからね。すぐ死んじゃった」
ソラ「二人目の彼女はじっくり楽しみたいから手足をロープで縛って、ちょっとずつ切って時間かけて殺したなぁ。三人目は」
リップル「もういい黙れ、お前はこの場で殺す」
ソラ「ああ、僕も早く君を切り刻みたくてウズウズしてるんだ」
216 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/25(木) 05:51:57.21 ID:JoMQdIZI0
トップスピード「このっ!」
ソラ「おっと」
リップル(壁をすり抜けた。それがあいつの魔法か……すると!?)
トップスピード「つう!」
リップル「このぉぉっ!」
壁から出現したソラがトップスピードの背中を切り裂く。
相棒が傷つけられ怒りに任せてリップルが飛びかかる。
その攻撃をソラは予測していた。
双剣を使い右手の剣で小太刀を弾いて、左手の剣でリップルの腹部を突き刺した。
リップル「……ごぼっ」
トップスピード「リップルぅぅ!!」
ソラ「くっははははは、直情的なのは良くないよリップルちゃん」
リップル「ひぐっ、うあああああああ!!」
腹部に刺さってない方の剣を使ってソラはリップルの左目を抉り出した。
リップルの悲鳴を子守唄のように心地よく聞きながら目玉を引き千切って宝石の様に見つめた。
217 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/25(木) 05:52:47.24 ID:JoMQdIZI0
トップスピード「やめろぉぉぉぉ!!」
ソラ「邪魔だよ」
トップスピード「ああっ!……くっそぉぉ!!」
ソラ「ほらほらちゃんと狙って」
小太刀を拾い上げて走るトップスピードの攻撃を避けて
リップルとお揃いにしてあげると言わんばかりに右目を突き刺して抉った。
それでも攻撃の手を緩めないトップスピードがミニ八卦炉で光線を放つも避けられる。
その攻防の間に剣が突き刺さったままのリップルが起き上がって何かを投げつけた。
それは、叩き落そうと振るった剣をすり抜けてソラの顔面に付着した。
投げた物は血だった。
彼女の体から流れる血を掌で受け止めてソラへ投げつけたのだ。
ソラ(なるほど、液体なら叩き落とせない、ぐあっ!)
リップル「うおおおっ!!」
視界を奪った隙を逃さずにソラへ体当たりをした。
両手にはクナイが握りしめられておりソラの腹部へ深く刺し込んだ。
リップル(チャンスは逃さない!!)
引き抜いたクナイでソラの首を切り裂く。
返り血がリップルの顔を紅く染める。
心臓へ突き刺そうと振り下ろしたクナイを掴まれた。
ソラ「――――ッ」
首が切れているので声を発していないが調子に乗るなと言わんばかりにリップルを睨んでいる。
クナイから手を離したリップルは急いでソラから距離を取った、それから一秒も経たない刹那の間に。
拘束でリップルの横を通り抜ける物体がソラに激突し、轟音が響き渡る。
ソラと衝突した者の正体はラビッドスワローに乗ったトップスピードだった。
タイミングを合わせてリップルが回避した所に、最大加速の体当たりをぶちかました。
トップスピード「ナイスだぜ。上手く良く避けてくれてさ」
リップル「……チームプレイの練習をしておいて正解だった」
218 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/25(木) 05:53:22.96 ID:JoMQdIZI0
トップスピードの必殺技を受けたソラは廃墟の壁を何度も何度もぶつかり
数百メートル離れた所でようやく止まった。
ソラ「ぐっ……がっ……」
リップル「ここで終わりにさせてもらう」
ソラ「……!?」
上空から声が聞こえて、ソラが見上げる。
そこには満月を背にラビッドスワローに乗ったトップスピードとリップルが見下ろしていた。
ソラを見下ろす二人の冷たい視線が、僕を捨てた彼女にとてもよく似ていた。
ソラ「僕を……そんな目で見るなぁぁぁぁ!!!!」
リップル「地獄へ落ちろ!!」
大量の手裏剣がソラへと降り注ぐ。
ダメージで体が動けず、叩き落せるような武器も無い現状でそれを防ぐ手立てが無かった。
まるでハリネズミの様に全身に刃が突き刺さる。
リップル「トップスピード、力を貸してくれ」
トップスピード「ああ、二人で決めようぜ」
二人でミニ八卦炉を掴み、魔力を限界まで注ぎ込んだ。
強力なエネルギーが夜空の星のように輝いた。
219 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/25(木) 05:54:02.66 ID:JoMQdIZI0
僕が捨てられる?
違う!僕がリップルちゃんを捨てるんだ!!
あれ?何で君がいるの?最初に捨てたのに……。
皆が集まってる……僕が捨てた47人の彼女が……。
そんな目で見ないでよ。しょうがないじゃないか……君達が僕を捨てようとしたんだから。
僕はただ愛して欲しかっただけなのに……それ以外なら何もいらなかったのに……。
寂しかったんだよ。悲しかったんだよ。だから僕は捨てるしか無かったんだ。
お墓を作ったんだよ。線香を立てて黙とうもしたんだよ。ちゃんと供養したんだから恨まないでよ。
君達一人一人の思い出は今でも覚えてるんだ。それだけ愛しているんだよ。
だから僕を虐めないでよ。君達の事は死んでも愛してあげるからさ
だから――――
ソラ「安心して殺されてくれよぉぉぉぉ!!!!」
トップスピード&リップル「「いっけぇぇぇぇっ!!!!」」
巨大な光線がソラの身体を包んで焼き焦がした。
ソラはリップル達とは違う者を見つめながら、ただ叫んでいた。
220 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/25(木) 05:54:52.11 ID:JoMQdIZI0
地面に降りた二人はソラの遺体を確認した。
黒焦げとなりピクリとも動かなくなっている。
トップスピード「終わったか……」
リップル「……これで、誰かがあいつに殺されることはもう無くなった」
トップスピード「行こうぜ。すっげーボロボロだぜお前」
リップル「お互いさまでしょ」
トップスピード「にひひ、そうだな」
リップル「ぐっ……あがっ……」
全身が炭化してもなお、起き上がったソラがリップルの首を締め上げる。
予想だにしていない状況にリップルもトップスピードも対応が遅れる。
ソラ「リップル、だけでも……死んで、もらうよ……ひゃはっ……はははははは……」
ザシュっと音が鳴りソラが崩れ落ちた。
背後には月霊髄液を操作したケイネスが呆れ顔をしながら立っていた。
ケイネス「全く、緊急連絡にも反応が無いから私、自らが様子を見に来てみればこうなっているとは……」
ケイネス「私の助力があれば、ここまで追い込まれる事は無かっただろうに」
リップル「…………」
トップスピード「おいしっかりしろ!!リップル、リップルーー!!」
ケイネス「……こいつら聞いとらんな」
塵となって消滅するソラを見て安心したリップルは蓄積した疲労により意識を手放す。
再び目が覚めた時には病室の中にいた。
221 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/25(木) 05:55:28.36 ID:JoMQdIZI0
魔法病院
リップル「ここは……」
井坂「ファントムとの戦いの後、貴女は意識を失っていたのですよ」
リップル「……そうか。トップスピードは?」
井坂「もちろん無事ですよ。貴女より早く退院出来ます」
リップル「良かった」
トップスピード「おいリップル!目を覚ましたか。いや〜一時はどうなる事かと思ったよ」
井坂「念を押されましたからね。傷跡一つ残さずに治すようにと」
トップスピード「当然だ。こんな可愛い顔に傷なんて絶対付かせねえよ」
リップル「…………」
井坂「では、他の患者も診なくてはいけないので失礼します」
リップル「……ねえ、トップスピード。一つ頼みたいんだけど……」
トップスピード「ん?なんだ〜?おっ」
リップル「今だけでいいから、抱きしめてほしい。強く……」ギュウ
トップスピード「いいぜ。俺の胸で良ければいつでも貸してあげるよ」ギュウ
リップル「……ありがとう。助けに来てくれて……」
トップスピード「当然さ。俺達、魔法少女だろ」
ソラを倒し、安心したせいか。
張り詰めていた緊張や不安が無くなった弾みで涙が溢れた。
恐怖に震える少女を抱きしめるトップスピードはまるで聖母の様な温かみを感じられた。
222 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/25(木) 05:56:17.03 ID:JoMQdIZI0
当病院内でリップル達と同じような時間帯で運び込まれた緊急患者がいた。
やっと検査が終わり、看護師に車椅子を押してもらいながら廊下へと移動した。
速水「…………」
彼こそファントムとしてリップル達と戦っていたリブラである。
全身が包帯に巻かれ、僅かに痙攣を繰り返し
焦点の合っていない瞳で遠くを眺め、唾液が垂れている。
ソラの拷問によって心身共に壊されていた。
医師A「あの患者か。例のファントム騒動の関係者というのは」
医師B「ああ、酷いもんだよ。脳神経がズタズタにやられている。一生あのまんまだそうだ」
病室へ戻る為に看護師が車椅子を押す。
カチャンと鉄格子の扉が閉まる。
速水「うわああああああああ!!!!助けてくれぇぇっ!!!!許してくれぇぇぇぇっっ!!!!」
看護師「落ち着いて!!大丈夫、大丈夫ですよ!!」
金属の音がソラの双剣の音と重なり、リブラの脳内でトラウマが蘇った。
彼は一生苦しむだろう。
ファントムとして死ぬことは無く、人間として一生苦しみ続けるのだ。
それが人間を絶望に落とそうとした罰なのかもしれない。
223 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/25(木) 06:03:10.92 ID:JoMQdIZI0
今回はここまで
原作でギャグみたいな死に方したリブラだが
このSSでは生存ルートです よかったよかった
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/25(木) 20:57:24.13 ID:4nmUKkfnO
いやこれみんなのトラウマとして知られる、ジェットマンのトランザの末路だろ
リアルタイムで視聴していて、うわぁっ…ってなったよ(私45歳です)
225 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/29(月) 11:30:44.79 ID:hfcAtCu90
ケイネスのアパート
ケイネス(さて、魔法少女達全員へ連絡も終わった……)
ケイネス(これで忌々しいファントム共との戦いも終わりになる)
少し前に遡る。
ケイネスの元に白い魔法使いからの連絡が入った。
内容はファントム達のアジトを見つけ出したという物。
ケイネスと白い魔法使いは議論の末に目的地へ全魔法少女を終結させ。
一斉に奇襲を仕掛けてアジトにいる全てのファントムを殲滅させる作戦で決まった。
今夜、その作戦が決行される事になる。
ケイネス(リップルとトップスピードの二名は治療中の為に今回は不参加だ)
ケイネス(引き換えにあのファントムを討伐したのだから十分な働きと言えよう)
226 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/29(月) 11:31:18.06 ID:hfcAtCu90
ドサリ
ケイネス「何の音だ?」
コヨミ「うう……」
ケイネス「おいコヨミ!しっかりしろ!」
コヨミ「大丈夫……魔力不足でちょっと眩暈がしただけ……」
ケイネス「すぐに魔力を注ぐ」
コヨミ「はぁ……はぁ……」
ケイネス「何故だ?コヨミがの身体が回復しないぞ?」
コヨミ「休めば……きっとすぐに元気になるから……」
ケイネス「そんな蒼白した顔で言われても説得力など無いわ。おいファズ!!」
ファズ「何だぽん?」
ケイネス「白い魔法使いを呼んで来い!!大至急だ!!」
ファズ「分かったぽん」
ファズ(たかが人形が動かなくなった程度で狼狽えるとは大げさな奴め)
ファズ(それにしてもグレムリンの奴、糞の役にも立たなかったな)
ファズ(所詮ファントムはファントム、サバトの副産物で生まれる残りカスに過ぎなかったという事か)
227 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/29(月) 11:31:58.26 ID:hfcAtCu90
しばらくして……
白い魔法使い「これで大丈夫だ。しばらく安静にしていれば問題無い」
ケイネス「熱も呼吸も安定している。そのようだな」
コヨミ「ご飯の支度……しないと……」
ケイネス「いいから寝ていろ。食事は出前を取れば問題無い」
コヨミ「それと洗濯物も干さないと……」
ケイネス「……私が全部やっておく」
白い魔法使い(いよいよか……私の悲願が果たされる時が近づいてきた……)
夜
白い魔法使い「よくぞ皆、集まってくれた。助力を感謝する」
スノーホワイト「この先にファントムがいるんですね?」
白い魔法使い「ああ、奴らは奥にある洞窟を根城にしている」
ラ・ピュセル「洞窟内にいるファントムを一掃すればこの戦いに決着が付く……」
アリス「必ず勝ちましょう」
228 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/29(月) 11:32:36.76 ID:hfcAtCu90
ルーラ「よくお聞き、私達チームが一丸となって行動すれば勝利は必然よ」
ルーラ「ファントムが現れても慌てずに己の役割を果たせば負けることは無い。それを肝に銘じておきなさい」
たま「はいにゃ」
スイムスイム「分かった」
ミナエル「へーい」
ユナエル「ほーい」
シスターナナ「あの、リップルさんとトップスピードさんの体調はどうでしょうか?」
ケイネス「問題無い。二人とも近い内に退院出来ると医者が言っていた」
シスターナナ「それを聞いて安心しました」
ウィンタープリズン「シスターナナ、今は私達の任務に集中しようじゃないか」
シスターナナ「そうですね。私達の出来る事をしましょう」
ケイネス(覚悟しろワイズマン、貴様はこのケイネス・ロード・エルメロイの名を輝かせる為の礎にしてやる)
229 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/29(月) 11:33:05.05 ID:hfcAtCu90
ねむりん「うーん、私がここに来ても役に立てるのかなぁ?」
マジカロイド「アナタ、夢の中じゃないと殆ど戦えないデスよね」
メアリ「だったら、あんたに渡されたアイテムをあたしに寄こしな。有効に活用してやるよ」
ねむりん「うん、いいよぉ〜あげる」
メアリ「そういう素直な所は嫌いじゃないよ。代わりにこれを使いな」
ねむりん「わぁ〜大きいナイフだね〜」
メアリ「アーミーナイフさ。それなら自分の身ぐらいは守れるだろ」
ねむりん「ありがと〜メアリィ〜」
マジカロイド「ワタシにも何か頂けると嬉しいのデスが……」
メアリ「あんたは自前の道具で何とかしな」
マジカロイド「世知辛いデス……」
白い魔法使い「では洞窟まで案内する。皆付いて来るのだ」
230 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/29(月) 11:33:58.42 ID:hfcAtCu90
ファントムのアジト前
白い魔法使い「ここだ」
ケイネス(私が先陣を切って内部へ侵入し、月霊髄液でワイズマンの居場所を見つけ出し始末するとしよう)
ケイネス「まずは私が」
メアリ「面倒だねぇ。あたしが行ってさっさとぶち殺してやろうか」
ケイネス「なっ!?」
シスターナナ「そんな危険です!それでしたら私達が先に行って中の様子を探ってきます」
スノーホワイト「待ってくださいシスターナナさん。探知なら私の魔法が役に立ちます」
アリス「私は攻撃を受けても平気です」
ラ・ピュセル「だから、ここは私達に……」
ルーラ「待ちなさい。複数での行動なら我らルーラチームこそが優れているわ」
ルーラ「貴女達は後方で私達の戦いぶりを参考にしながら付いてくるといいわ」
スイムスイム「ルーラの言う通り」
ケイネス「お前ら……悪の幹部みたいな手柄の取り合いをするんじゃない」
ケイネス「お前達の監督役である私こそが先んじて行くのがふさわ」
白い魔法使い「私が先に行く」
ケイネス「何ィ!?」
白い魔法使い「ファントムとの戦いは私が一番慣れている。爆発音の後に皆も続いてくれ」
スノーホワイト「分かりました。気をつけてください」
ケイネス(白い魔法使い……まさかワイズマン討伐の手柄を横取りするつもりか!?)
ケイネス(出世欲の無さそうな立ち振る舞いをしている割りに侮れん奴だ……)
白い魔法使いがアジト奥深くへと侵入してから数分後
彼の放たれた魔法による爆発音が外まで響き渡った。
ケイネス「よし、お前達行くぞ」
スノーホワイト「はい!」
231 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/29(月) 11:35:12.39 ID:hfcAtCu90
アジト内部
ビルゲニア「ん?何の音だ?」
ワイズマン「どうやら魔法少女達が攻めてきたようだな」
メデューサ「ワイズマン様。ここは私達にお任せを」
ワイズマン「うむ、期待しておるぞ」
ビルゲニア「久々の戦いだ。腕が鳴りますなぁ」
ビルゲニア(ククク……絶好の機会だ。騒ぎに乗じてワイズマンを討ち、私がファントムの王となろう)
ヘルハウンド「まさか魔法少女達の方からやってくるとは」
リザードマン「こちらから出向く手間が省けたぜ」
ケットシー「めんどくせーけどやるか〜」
ノーム「我々の力を見せてあげましょう」
ヴァルキリー「魔法少女達は全て血祭りですね」
ヒドラ「誰が相手だろうとぶっ潰す!」
スプリガン「不用心なのはいけませんよ。慎重に戦いましょう」
デュデュオンシュ「相手がどんなに強大だろうと皆で力を合わせればきっと勝てるはず。さぁ行くぞー!!」
アルゴス「お前、暑苦しいぞ」
ラーム「センソウダ、センソウダ」
バハムート「お前ら、あんまり殺しすぎるなよ。俺の楽しみが無くなっちまうからな」
ついにファントムのアジトを突き止めた魔法少女達。
アジトに乗り込んだ彼女達を待ち受けるのは恐るべきファントム軍団。
魔法少女はこの戦いに勝利する事が出来るのか?
次回 ファントム軍団滅亡
ご期待ください。
232 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/05/29(月) 11:40:07.28 ID:hfcAtCu90
今回はここまで
誰かとは言わないが、いちいち変化して移動して演じ分けするのは大変だろうな
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/05/30(火) 20:46:05.57 ID:6LAHp/Ne0
土管社長も出してほしい
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 10:31:02.61 ID:gulfp7Iq0
俺が(じゃねえ)トップスピードが生存してるぅ〜!
235 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:06:11.13 ID:WgNUs0+L0
アジトへと侵入した魔法少女達
内部には大量のグールが待ち受けていた。
グール「グォオオ!!」
グール「ギャオオ!!」
グール「オォン!アォン!」
ケイネス「雑魚が集まった所で私に勝てると思ったか」
グール達を掃討して先へ進むと、途中から道が三つに分かれている。
思案した後、ケイネスは戦力を三分割させて攻略する事にした。
ケイネス「ならば左側はルーラチームの5名に任せよう」
ルーラ「分かったわ」
ケイネス「右側はスノーホワイト達とシスターナナ達の5名で行け」
スノーホワイト「はい!」
シスターナナ「承りました」
ケイネス「残りは私と共に中央の道を行くぞ」
メアリ「あいよ」
ねむりん「がんばろ〜」
ケイネス(こういう場合は中央に総大将が居座っているのが定石というものよ)
236 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:06:51.84 ID:WgNUs0+L0
右エリア
ノーム「アバ―ッ!」
ヴァルキリー「アバ―ッ!」
ヒドラ「アバ―ッ!」
ラ・ピュセル、ウィンタープリズン、アリスの一撃がそれぞれのファントムを撃破する。
残りの一体がスノーホワイトに向かって飛びかかった。
スノーホワイト「くっ」
ラーム「マホウショウジョ、コロチュ、コロチュ」
ラ・ピュセル「やらせない!」
ラーム「アバ―ッ!」
スノーホワイト「ありがとう、ラ・ピュセル」
シスターナナ「皆無事ですね。では気を付けて先へ進みましょう」
237 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:07:29.73 ID:WgNUs0+L0
――――
バハムート「ここに来たって事は4体のファントムを屠ったという事か。面白い」
プリズン「気を付けろ、こいつは他のファントムより相当強い……」
バハムート「ほう、なかなか察しが言いな。じゃあ行くぞ!!」
魔法少女達に向かって駆けだしたバハムートが連撃を放つ。
前衛に立ったラ・ピュセル、ウィンタープリズン、アリスは猛攻に耐え切れずに吹き飛んだ。
シスターナナ「皆さん……!」
ラ・ピュセル「つ、強い!」
プリズン「なんて凄まじいパワーだ」
アリス「私が攻撃を受け続けて相手を消耗させます……」
アリスは姿勢を低くしてバハムートの足元にタックルを仕掛けた。
バハムートは、ふんと鼻で笑い、アリスの顔面に膝蹴りを叩き込んだ。
アリスの顔面はぐちゃりと潰れて勢いよく転がった。
バハムート「攻撃が単調過ぎるぞ。そらぁ!」
シスターナナ「あうっ…」
バハムートが腕を振るい、斬撃が放たれる。
シスターナナの脇腹を切り裂いて血が噴き出た。
238 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:08:15.02 ID:WgNUs0+L0
プリズン「ナナぁ!!」
ラ・ピュセル「うおおお!!」
スノーホワイト「はぁぁぁ!!」
アリス「…………」
バハムート「どうしたどうしたぁ?お前達の力はその程度か!!」
魔法少女達が次々と攻撃を繰り出すも全てが捌かれ
カウンターの打撃によって殴り伏せられる。
プリズン「アリス、スノーホワイト、奴の攻撃を一時的に凌いでくれ」
プリズン「私は頃合いを見て大量の壁で奴を押し潰す。その隙にラ・ピュセルが決めてくれ」
スノーホワイト「はい!」
アリス「分かりました」
ラ・ピュセル「やってみます」
バハムート「魔法少女の相手は他にもいるんでな。ここで終わらせるぞ!!」
アリス「……させない」
スノーホワイト「やぁぁぁああ!!」
バハムートの進撃を止めるべくスノーホワイトとアリスが駆けだす。
二人を殴り飛ばした瞬間、四方八方から大量の壁がバハムートに向かって衝突した。
ラ・ピュセル(薄く……細く……そして強度は最大に……)
ラ・ピュセル「くらえええええええええ!!!!」
バハムート「ぬぐわぁああああああっ!!」
面積を減らしたラ・ピュセルの剣が多数の壁の隙間をくぐり抜けてバハムートの胸を貫いた。
バハムートの顔が苦痛に歪み、諦めた様な表情に変わり、そして笑みを浮かべた。
バハムート「くっ……くくっ、くくく、ははははは!!楽しかったぞ。魔法少女達ィ!!」
バハムート「一足先にあの世へ行ってくるぜ。せいぜい頑張れよ、この先どんな絶望が待っていようとなァ!!」
強敵との戦いを楽しんだバハムートは声高々に笑いながら塵となって消滅した。
239 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:09:14.74 ID:WgNUs0+L0
中央エリア
スプリガン「こいつら……強い」
アルゴス「厄介な奴らだぞ!」
デュデュオンシュ「大丈夫か!わが友よ!」
メアリ「この私に歯向かって勝てると思ってるのかい?」
マジカロイド「そーデスそーデス。降伏するなら今の内デスよ」
ねむりん「やっちゃえ〜」
デュデュオンシュ「皆諦めるな。先の戦いで散っていった仲間達の無念、ここで晴らすのだ!!」
メアリ「あんたみたいな青臭い台詞を吐く奴は大っ嫌いだよ」
デュデュオンシュ「ぬおおおおおお!!」
メアリ「はん!」
特攻を開始するファントム達に銃口を向けるメアリ。
銃弾が放たれるより前に月霊髄液の水圧カッターが三体のファントムを切断した。
スプリガン「ちにゃ!!」
アルゴス「ひでぶっ!!」
デュデュオンシュ「あべし!!」
240 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:10:05.76 ID:WgNUs0+L0
ケイネス「よくやったカラミティ・メアリ。君が注意を引かせたおかげで容易く隙を付けたぞ」
メアリ「私が仕留めてやってもよかったんだけどねぇ」
マジカロイド「いやはや、見事なお手前で」
ねむりん「ケイネスさんって簡単にファントムを倒しちゃう魔術師なんだね。すご〜い」
ビルゲニア「なかなかやりすまなぁ。では一つ、その術が私に通用するか試しては如何かな?」
不敵に笑うファントムが姿を現した。
剣と盾を持ち、海洋生物を思わせる甲冑に身を包み
人間と殆ど変わらない様な青白い素顔が、反って不気味さを引き立たせていた。
ねむりん「またファントムが出たぁ〜」
ビルゲニア「我が名は剣聖ビルゲニア、いずれファントム達を統べる王となる物だ」
ビルゲニア「私の剣にかかって死ぬ事を光栄に思うがいい」
ケイネス「ほざけ!!」
月霊髄液がビルゲニアにとびかかり全身を包んだ。
ケイネスが魔力を込めて押し潰そうとした瞬間。
ビルセイバーの斬撃によって月霊髄液が四散した。
ビルゲニア「その程度の攻撃など、我が剣技の前では無力ですなぁ」
ケイネス「馬鹿な!?私の月霊髄液がこうも容易く突破されるとは……」
ビルゲニア「次はこちらの番ですな。ビルセイバーデモントリック!!」
241 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:10:42.51 ID:WgNUs0+L0
分身を作り出したビルゲニアが魔法少女達に斬りかかる。
メアリが銃弾をばら撒いて牽制するもビルテクターの前にはダメージを与えることが出来ない。
ねむりん「ひえ〜!」
メアリ「面倒だね……」
ビルゲニア「もう少し足掻いてくれないとこちらとしても張り合いが……ん?」
ビルゲニアの足元に、よちよちと進むネジ巻き式の小さな黒い玩具が歩いていた。
ビルゲニア「なんだこれは?」
ボム兵「」チチチチ
ドゴォォォォォオン!!!!
ビルゲニア「ぬぐぅ!」
メアリ「チャンス!」
ケイネス「今だ!」
怯んだビルゲニアに向かって、メアリの銃撃とケイネスの月霊髄液の斬撃が降り注いだ。
ビルゲニアの身体が光の粒子となって消えていった。
メアリ「やるじゃないかマジカロイド」
ねむりん「お手柄だよ〜」
マジカロイド「ワタシの道具が珍しく役に立って良かったデス」
ケイネス「休んでいる暇は無い。先へ行くぞ」
ビルゲニア(くくく……こいつらめ、私が死んだと思っているな)
ビルゲニア(奴らはいつでも殺せる。今はワイズマンを追跡するとしよう)
242 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:11:16.05 ID:WgNUs0+L0
左エリア
ヘルハウンド「グワ―!」
リザードマン「ヤラレター!」
ケットシー「うぼぁー!」
三体のファントムが爆散する。
倒したのはミナエル、ユナエル、たまの三人である。
ただ様子がいつもと違っている。
ミナエル「おいちぃ……」
ユナエル「おいちぃ……」
たま「おいちぃにゃ……」
ルーラ「……このお菓子、何か危ない成分でも入ってるんじゃないの?」
スイムスイム「三人ともゾンビみたい」
ユナエルに支給された元気の出るお菓子は
戦闘能力が増加する代わりに思考力が低下するデメリットを持ったマジックアイテムだ。
そのお菓子を食べた三人は単独でファントムを撃破する力を得たが目つきが明らかに普通じゃない。
ミナエル「ルーラ、もっとそれ欲しいよぉ〜」
ユナエル「お願い、もう我慢できないの〜」
たま「ふにゃーーーー!!」
ルーラ「こら、たま!勝手に袋を取ろうとするな。お預け!!」
たま「おいちぃお菓子ちょうだい!ちょうだい!」
ルーラ「駄目よ。消耗品なんだから使い所は考えないと、スイムスイムはこれを食べないようにね」
スイムスイム「分かった」
243 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:11:55.94 ID:WgNUs0+L0
――――
メデューサ「来たか。ここがあんた達の墓場よ」
ルーラ「その言葉、そっくりそのままお返ししてやるわ。さぁ行きなさい!!」
ミナエル「おいちぃ!」
ユナエル「おいちぃ!」
たま「おいちぃ!」
メデューサ「そんな攻撃、私には通用しないわ」
同時に三人が飛びかかる。
メデューサの杖によって攻撃は防がれ、カウンターの一撃が
三人を吹き飛ばして転げ回った。
ルーラ(瞬時に三人を叩き伏せるなんてやるわね。だけど……)
スイムスイム(その隙を付いて地中から背後に回った私が攻撃を仕掛ける)
メデューサ「分かっているぞ」
スイムスイム「……っ!?」
メデューサ「攻撃がすり抜けた……ならこれでどう?」
メデューサの眼が妖しく輝く。
その瞳を見たスイムスイムは身体が動かなくなった。
244 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:12:51.26 ID:WgNUs0+L0
スイムスイム(身体が……石に……)
ルーラ(スイムスイム!?……だけど透明外套で姿を消した私が魔法であいつを自害させれば私達の勝ちよ)
ルーラ(痛っ……え?足元に蛇が!?)
メデューサ「地面に潜ませた蛇がソナーの役割を果たしているわ。だからどんな小細工も無駄よ」
ルーラ「うああ!!魔力が……吸われて……」
たま「ルーラ!」
ミナエル「こいつめー!」
ユナエル「よくもー!」
メデューサ「全員、石になりなさい」
瞳から強力な呪いが発せられ残りの4人も石化された。
メデューサが彼女達にトドメを刺すべく杖を構える。
メデューサ「あとは砕けば魔法少女5人はこの世から消える」
白い魔法使い「それは困るな」
一筋の光弾がメデューサの身体を貫いた。
メデューサ「あうっ……お前は白い魔法使い……」
白い魔法使い「彼女達にはまだ役割がある。ここで死なす訳にはいかん」
メデューサ「おのれ……ワイズマン様の為にここでお前を倒す!」
白い魔法使い「その、ワイズマンというのは……」
ワイズマン「私の事かな?メデューサ」
白い魔法使いの身体が魔法によって別の姿に変化した。
それはファントム達を統べる首領、ワイズマンだった。
245 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:13:33.88 ID:WgNUs0+L0
メデューサ「そんな……貴方が、ワイズマン様だったなんて……」
ワイズマン「今までよくやってくれたよメデューサ、おかげで私の悲願がもうじき達成される」
メデューサ「そんなの嘘です!嘘とおっしゃってください!ワイズマン様……」
ワイズマン「お前の役割はもう終わりだ。ゆっくりと休むがいい」
ワイズマンの一撃を受けたメデューサは嘆き悲しみ、絶望して消滅した。
塵となって消えゆく様を見ているワイズマンに向かって黒い突風が吹き荒れた。
ビルゲニアの剣技、ダークストームである。
ワイズマン「ぬぅ…」
ビルゲニア「驚きましたなぁ。まさかワイズマンが我々ファントムの裏切者だったとは」
ワイズマン「魔法少女とファントムの戦いの隙を付いて私の命を狙ってきたか。ご苦労な事だな」
ビルゲニア「大義名分も出来て丁度良いわ!逆賊ワイズマンを討ち、私がファントムの王となってくれよう!」
ワイズマン「フフフ、面白い……」
白い魔法使い「ファントム風情が私に反逆とはな」
ワイズマンの姿が白い魔法使いへと変化した。
ビルゲニアは盾であるビルテクターを前面に構えながら間合いを詰めていく。
ビルゲニア「死ねぇ!!」
白い魔法使い「ふん!」
カキンッと金属の衝突音が響き渡った。
ビルゲニアの振るったビルセイバーが白い魔法使いによって弾き飛ばされる。
追撃に放ったハーメルケインの斬撃がビルテクターごと、ビルゲニアの身体を切り裂いた。
ビルゲニア「馬鹿、な……ファントムの、王となるべき……この、私が……」
白い魔法使い「お山の大将を気取りたいのなら地獄でやるがいい」
ビルゲニア「おの、れぇ〜……我らファントムは、貴様の目的を叶える為の道具に過ぎなかったというのかぁ……」
白い魔法使い「ようやく理解したか。その為だけにファントムを生かしていたという事を……」
白い魔法使い(……そして魔法少女達も同様にな)
246 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:14:11.10 ID:WgNUs0+L0
ルーラ「うっ……」
白い魔法使い「気が付いたか」
スイムスイム「蛇のファントムは?」
白い魔法使い「安心するがいい。奴は私が倒した」
ミナエル「さすが白い魔法使い!やるじゃん」
ユナエル「白い魔法使いマジクール」
たま「すごいにゃ!」
白い魔法使い「動けるなら先へ進もう。ワイズマンはまだ生きている」
ルーラ「そうね。ぐずぐずなんてしてられないわ」
大広間
シスターナナ「あら?」
ケイネス「ぬ?」
ルーラ「どうやらここで道が繋がってるようね」
スノーホワイト「この先に道が無いという事は……」
白い魔法使い「一足遅かったか。どうやらワイズマンは既に立ち去った後らしい」
ケイネス(ワイズマンめ。私と戦うのをよっぽど恐れたと見える。ファントムなど所詮そんな物よ)
ラ・ピュセル「くそ!ワイズマンを倒さなきゃ、またゲート達が狙われる!」
ミナエル「親玉の癖に逃げるなんてだっせーの」
ユナエル「どうせならここで白黒はっきり決着付ければいいのにねー」
プリズン「ワイズマンは一体どこへ行ったのか……」
247 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:14:49.58 ID:WgNUs0+L0
ゴゴゴゴゴッッッ!!!!
ねむりん「わわわわっ」
白い魔法使い「いかん、ワイズマンは私達を生き埋めにする気だ。急いで脱出するんだ」
メアリ「イラつかせるねぇ」
マジカロイド「すたこらさっさデス」
アリス「急ぎましょうスノーホワイトさん」
スノーホワイト「うん!」
魔法少女達は急いで来た道を引き返し、洞窟が脱出した。
その直後、凄まじい大爆発が巻き起こり、洞窟は崩壊した。
たま「あ、危なかった……」
ルーラ「よし、全員揃ってるわね」
ケイネス「はひっ……はひっ……疲れた……」
白い魔法使い「私はすぐさま、ワイズマンを捜索する。君達は帰って休んでくれ」
スノーホワイト「疲労は大丈夫なんですか?」
白い魔法使い「問題無い。それにワイズマンを見つけても、君達への報告を優先して戦いは避けるさ」
ラ・ピュセル「気を付けてください」
白い魔法使い「では先に失礼する」
そう言って白い魔法使いはテレポートで消えて行き。
魔法少女達は戦いの疲れを癒すために帰って行った。
ファントム達を滅ぼした魔法少女達、だがワイズマンの行方は知れず。
その頃、帰宅したケイネスは体調が再び悪化していくコヨミの姿を見て動揺する。
そこに白い魔法使いから緊急招集が入った。
集まった魔法少女に白い魔法使いが衝撃の真実を話す。
彼の言う『魔法少女育成計画』とは何か?
次回 サバト再び
ぶっちぎるぜぇ!!
248 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/02(金) 12:18:11.27 ID:WgNUs0+L0
今回はここまで
白い魔法使い「ファントム用済みになったので在庫一斉処分なう」
>>233
まだ未把握なのでゴーストとエグゼイドからのゲストキャラは出さない予定かな
>>234
生きているというか、生かされているというか
249 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/04(日) 16:32:19.05 ID:HFSz1lMJ0
ケイネスのアパート
ケイネス「ふう……ただいま」
ケイネス(ワイズマンめ、手こずらせおって……)
ケイネス(早く任務を終えてソラウに会いたい……)
ケイネス「コヨミ、体調はどうだ?……コヨミ?」
コヨミ「…………」
ケイネス「まずい、意識が無い。しっかりしろ!今魔力を」
ケイネス「先ほどの戦闘のせいで魔力は殆ど残っていなかった。ならばこの宝石の魔力を使おう」
ケイネス「……おかしい、これで並みの魔法少女一人分の魔力は流れ込んだ筈、何故目覚めない!?」
ケイネスの必死の応急処置の甲斐も無くコヨミの意識は戻らない。
その時、ケイネスの背後からテレポートが起こり、白い魔法使いが出現した。
白い魔法使い「心配になって戻ってきたが正解だったか……」
ケイネス「白い魔法使い!!コヨミを何とかしてくれ!!」
白い魔法使い「コヨミは今から私の研究施設へ連れて行く」
白い魔法使い「そこならば適切な治療を行うことが出来る」
ケイネス「問題無いのだろうな?」
白い魔法使い「ファントムへの知識を持たない医者に連れて行くよりは遥かに安全だ」
ケイネス「そうか。頼んだぞ」
白い魔法使い「任せろ。コヨミは何としても助け出す。絶対にな」
その言葉は鬼気迫る程に信念が籠っていた。
それを聞いたケイネスは安心してコヨミを預けることにした。
ファズ(人形をそんな大事そうに扱うとは、まるでおっさん共がおままごとをしているようで滑稽だぽん)
250 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/04(日) 16:32:53.99 ID:HFSz1lMJ0
翌日
ケイネス(……なんだろうな)
ケイネス(一人で食べる朝食がとても寂しく感じる)
ケイネス(コヨミがいなくなっただけでこうも変わる物なのか……)
ケイネス(単身赴任でソラウとしばらく会っていないせいで人恋しくなってきたのかもしれん)
ケイネス(……情けない。そんな女々しい考えでは魔法の国でトップの魔術師になるのは夢のまた夢だ)
ケイネス(コヨミやソラウに頼らなくてもきちっとしなければな)
ファズ「へいマスター!白い魔法使いから連絡が来てるぽん」
ケイネス「そうか。読み上げろ」
ファズ「ワイズマンの居場所を特定したから皆を指定した場所に集めてほしい。集合時間は○○時○○分……ぽん」
ケイネス「もう見つけたのか。よし、皆に場所と時間を伝えるのだ」
ファズ「合点承知だぽん」
ファズ(最終バトルキター!!ぽん)
集合地点
ケイネスと魔法少女全員がこの地に集結した。
ファントムとの最後の決戦もあって、治りたてのリップルやトップスピードも来ていた。
シスターナナ「二人とも体調は大丈夫ですか?あまり無理をなさらない方が」
リップル「平気」
トップスピード「この通り!大復活だぜ!」
ウィンタープリズン「もし少しでも痛みを感じたらすぐに下がってくれ」
スノーホワイト「これで本当に最後……」
ラ・ピュセル「何としてもワイズマンを倒さなきゃね」
アリス「そうですね」
251 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/04(日) 16:33:27.45 ID:HFSz1lMJ0
時間になったと同時にテレポートによって白い魔法使いが現れた。
両手にはコヨミを抱えて歩いている。
ケイネス「コヨミ?なぜここに連れてきた」
白い魔法使い「これから説明する」
ルーラ「それでワイズマンはどこから出てくるっていうの?」
白い魔法使い「それも合わせて説明しよう」
たま「うう……緊張してきた……」
ミナエル「そんな時は深呼吸だよ。ひっひっふー」
ユナエル「お姉ちゃんそれ間違ってるよ」
スイムスイム(お姫様だっこいいな……私もルーラにされたい)
ねむりん「ワイズマンってどんな姿してるのかな〜」
メアリ「ふふっ……」
マジカロイド「…………」
魔法陣の描かれた場所へコヨミを寝かせる。
振り返り、魔法少女達の方へ顔を向ける。
それぞれ魔法少女の顔を見渡しながら満足げな表情をして口を開いた。
白い魔法使い「魔法少女達の皆、今までよくぞ戦ってきた。私は君達に本当に感謝している」
白い魔法使い「サバトによって大量のファントムが出現し、ゲートが襲われるようになった」
白い魔法使い「だがワイズマンにとってこのサバトは失敗であった。魔力が不十分で賢者の石が完成しなかったのだ」
ケイネス「……?何を言っている?」
252 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/04(日) 16:34:11.85 ID:HFSz1lMJ0
白い魔法使い「そこでワイズマンは次の計画を実行した。それが『魔法少女育成計画』だ」
白い魔法使い「丁度、この街には新人の魔法少女が多数在留していた。この場所が適任だと確信した」
白い魔法使い「魔法少女達とファントムを戦わせる事で経験を積ませ、成長し、魔力を増幅させていった」
スノーホワイト(何か……おかしい!)
白い魔法使い「十分な魔力を保有した魔法少女、本来は半数ほど生き残れば十分に完遂出来る計算だが」
白い魔法使い「君達15人全員生き残ったのは嬉しい誤算だ。これなら間違いなく賢者の石が完成するだろう」
リップル「まさか……あんたが!!」
白い魔法使い「そうだ!!私がワイズマンだ!!」
白い魔法使い「君達、魔法少女達を人柱として再びサバトを起こす」
白い魔法使い「それで私の『魔法少女育成計画』は完遂する!!」
コヨミ「……うっ」
コヨミ「み……皆!!逃げてーーー!!」
ケイネス「コヨミ!?目が覚めたか!」
白い魔法使い「もう遅い」
スノーホワイト「……指輪が?きゃああああああっ!!!!」
皆既日食が起こり、巨大な魔法陣がN市に出現した。
魔法少女達が装着していたマジカルリングが妖しく輝き、彼女達を蝕んでいった。
肉体が拘束され、強制的に魔力が吸い出される激痛による悲鳴が響き渡る。
253 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/04(日) 16:35:13.57 ID:HFSz1lMJ0
コヨミ「うあああああああ!!!!」
ケイネス「コヨミ!!ぐぐぐっ……コヨミに何をしている!?」
白い魔法使い「サバトによって集めた魔力を賢者の石に流しているのだ。暦を蘇らせるためにな」
ケイネス「コヨミを蘇らせる?どういう意味だ?」
白い魔法使い「私の愛する娘、暦は既に病死している。私は暦そっくりのホムンクルスを作り、体内に賢者の石を埋め込んだ」
白い魔法使い「賢者の石を完成させ、暦の魂をこの器に定着させるのだ」
メアリ「くっだらないねぇ」
メアリ「娘を生き返らせる為?ガキなんて邪魔な物いっそ無くなった方がせいせいするじゃないか」
白い魔法使い「何故だ!?何故お前のマジカルリングは起動しない!?」
メアリ「誰かさんに細工してもらったのさ。経験の浅い魔法少女だと思って甘く見てたようだね」
マジカロイド「ちなみにワタシも同様の理由で助かってマス」
白い魔法使い「貴様ぁ……役に立たない魔法少女など私が始末してくれる!!」
メアリ「ふん!正義の味方ごっこは嫌いだけどさ。あんたの邪魔をするのは最高にスッキリするよ!」
メアリがGXランチャーを用いて引き金を引いた。
大量にばら撒かれた弾丸は白い魔法使いを狙わずに背後にいる少女を狙った。
白い魔法使い「まずい!!」
コヨミ「ああ……」
弾丸とコヨミの間に割り込んだ白い魔法使いがバリアを展開する。
放たれた弾丸を一切躱そうとせずに全て防御で耐え続けている。
白い魔法使い「ぐっ……ぐぐっ……」
メアリ「やっぱりね。あんたみたいなタイプは直接狙うよりも娘さんを狙った方が効果的だよ」
メアリの魔法によって強化された弾丸の威力は高く。
バリアの強度は徐々に弱まり、何発かが体内を貫いた。
メアリ「これでしまいさ」
ロケット弾頭が放たれる。
バリアは砕かれ、爆風が白い魔法使いを飲み込んだ。
衝撃によって白い魔法使いは吹き飛び、ハーメルケインが転がり落ちる。
254 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/04(日) 16:35:43.78 ID:HFSz1lMJ0
ラ・ピュセル「ま、マジカロイド……」
マジカロイド「何デスか?」
ラ・ピュセル「また、便利な道具を出してよ……フェニックスに、勝ったようにさ……」
マジカロイド「幸運100倍ドリンクデスか?嫌デスよ!!あれ飲んでから一週間ほんと酷い目にあったんデス」
トップスピード「そう言わずに……頼むよ……」
スノーホワイト「お願い……このままじゃ街の皆が……」
マジカロイド(街の人達……父さん、母さん、おっちゃんが……)
マジカロイド「何でワタシが他人何かの為に……!!今回っきりデスよ!!」
N市の住人達の命がサバトによって奪われる。
自分さえ助かればいいと考えていたマジカロイドだったが
親しい人達の顔が脳裏に浮かんだ瞬間、動かずにはいられなかった。
マジカロイド「ゴクゴクゴク!!一週間どころか一か月分の運もあげちゃうからお願い!!」
マジカロイド「この状況を何とか出来る道具を出して!!」
出てきたのは歪な形をした短剣だった。
とても切れ味が有る様には見えない形状と言えるが
マジカロイドはそれを気に掛けるよりも早く説明書を読んだ。
名称はルールブレイカーで『刃で突いた対象のあらゆる魔術を破戒することができるよ』と書かれている。
ルールブレイカーを持ったマジカロイドはすぐに飛び、巨大な魔法陣に向かう。
マジカロイド「うおおおおおおお!!!!」
マジカロイド「これでどうデスかぁああああ!!!!」
ルールブレイカーで魔法陣を突き刺した。
刺さった個所から亀裂が走り、それが魔法陣全体へと広がっていく。
パリンと魔法陣が砕け、日食が収まり、サバトは消滅した。
255 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/04(日) 16:36:19.74 ID:HFSz1lMJ0
白い魔法使い「馬鹿な……こんな事が……」
白い魔法使い「まさか、魔法少女如きが……」
白い魔法使い「貴様ぁ、よくも私の希望を、許さんぞ……絶対に!!」
白い魔法使い「恐怖に絶望して死ぬがいい!!」
ケイネス「白い魔法使い、いやワイズマン、お前を拘束する」
白い魔法使い「黙れ黙れ黙れ!!!!」
白い魔法使い「お前達、魔法の国の連中はクラムベリーが行った殺戮を何度も止められなかった癖に!!」
白い魔法使い「私の娘を救いたいという純粋な願いを踏みにじる資格などある物かぁ!!」
ケイネス「確かにそれは私達の不手際である。だがこの街を犠牲にして良い理由にはならん」
白い魔法使い「その程度の犠牲など、私の絶望に比べれば小さな事に過ぎん!!」
白い魔法使い「愛した妻を亡くし、唯一愛していた娘すら失った私がどれほど絶望した事か!!」
白い魔法使い「賢者の石を使って娘を蘇らせる。それが私の唯一の希望……希望だったのだ!!」
ザシュ
ハーメルケインの刃が白い魔法使いを貫いた。
白い魔法使いの背後には人造ファントム、ケルベロスが立っている。
256 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/04(日) 16:36:57.17 ID:HFSz1lMJ0
白い魔法使い「ごふっ……何だ貴様は……?」
ファズ「ふはははは!!無様だなぁ〜ふぅぅぅえぇぇきぃぃぃぃぃ!!!!」
電脳妖精ファズが出現した。
普段のぽん口調の愛らしい喋り方とは想像も付かない悪意に満ちた口調になっている。
ファズ「この時を待っていたのだ。貴様が絶望して死んでいく様をなぁ!!」
ケイネス「ファズ!?一体どうした?」
白い魔法使い「その声は……まさか貴様は死んだ筈の……」
ファズ「そうだ。私の本当の名は蛮野天十郎……かつては笛木と共に活動をしていた研究者だ」
次々と明かされる衝撃の真実。
戦いはクライマックスへと進む。
257 :
◆kJur2.rMxfRZ
[saga]:2017/06/04(日) 16:40:01.23 ID:HFSz1lMJ0
今回はここまで
フェニックスの時もそうだが解決策が強引過ぎると思う
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/05(月) 19:55:16.37 ID:atMjVOQz0
フェニックスの末路は、むしろ晴人が静かにキレててるのが伝わってきて良かったと思う
「お前にフィナーレはない」はちょっと怖かった
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