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【ガルパンSS】ガールズ&パンツァー 劇場版[大洗廃校ルート編]
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/02(日) 16:39:15.60 ID:54eUiu3K0
「大洗女子学園は8月31日をもって廃校となった」
会長がその言葉を口にしたとき、私も含めてみんな信じられないと言った顔をしていました。
みんなそれぞれに反論の言葉を叫びましたが、受け入れるしかありませんでした。
私たちの廃校撤回のため頑張った全国高校戦車道大会はなんだったんだろう...
私、西住みほは転校先の振り分けが決まるまでの仮住まいとなる学校へ向かうバスの中でぼんやりとそんなことを考えていました。
それからの日々は早いもので、各々転校の手続きのため実家に帰ったり、夏休みという事で旅行に行ったりして、あっと言う間に過ぎました。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1475393955
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/02(日) 16:45:29.66 ID:54eUiu3K0
二学期の始業の予定日だった一週間前、私も荷物をまとめて実家に帰ります。
沙織さん、華さん、優花里さん、麻子さん、戦車道のみなさんにお別れを告げ、戦車道から逃げた熊本へと帰ります。
短い期間だったけど、みなさん本当にありがとね...
熊本に着いて、最寄りの駅からの移動はお姉ちゃんに頼んでいます。
時間にうるさいお姉ちゃんだけど、今日はまだ来てません。
どうしたのかな...
ぼんやりとそんなことを考えていたら、家にある移動用の戦車が大きなエンジン音を立てて来ました。
「みほ」
戦車から出てきたのはお姉ちゃんじゃなくて、お母さんでした。
「お、お母...さん...」
喧嘩別れみたいな感じで大洗に飛び出して、数ヶ月...
ちょっと気まずいです。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/02(日) 16:50:50.58 ID:54eUiu3K0
「お帰りなさい」
でも、お母さんは何事も無かったようにちょっぴり微笑んで私を乗せてくれました。
家までの帰り道、私とお母さんの間には会話はありません。
聞こえるのは戦車のエンジン音だけ、すごく気まずいです。
勇気を出して口を開きます。
たわいもないことです。
「あ、あの…お姉ちゃん…は…?」
「まほは学校、あなたを迎えに行けなくてとても悔やんでいたわ。あの子が一番あなたを心配していたから」
そっか...
ありがとね、お姉ちゃん。
「あのねっ、お母さん...」
私はもう一度勇気を振り絞ります。
ありったけの勇気を振り絞ります。
でも、お母さんはそんな私を横目に視線さえも私に向けようとせず、真っ直ぐ正面を向いて帰路を急いでいるようです。
「心配かけて…迷惑かけて…ごめんなさい...」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/02(日) 17:05:29.72 ID:54eUiu3K0
私はそう伝えるとすぐに下を向きます。
膝の上に乗せていたバックに付けたボコのキーホルダーが戦車のエンジンの震度でブルブル震えています。
まるで私の心を映し出しているみたいに。
「そうね、心配したわ。すごく、すごく...」
その言葉はなんとなくずっしり重いものがありました。
私はギュッと唇を噛み締めます。
「でもね、みほ...私の方こそごめんなさい」
「…!?」
驚いて私は顔を上げて、お母さんを見ます。
相変わらず視線は戦車の主砲のように、真っ直ぐ正面を向いています。
「あなたの気持ちを分かってあげようともしないで...」
「そっ、そんな...」
「あなたたちが優勝した戦車道大会のあと、まほに言われたわ」
お母さんは少しだけ微笑んで続けました。
「『みほはみほの戦車道を見つけました、西住流とはまた違う新しい戦車道を...だから、私は私の戦車道、西住流を継ぎます』...ってね」
「お姉ちゃん...」
「だからあなたはあなたの戦車道を歩みなさい、それもまた戦車道だから...」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/02(日) 17:20:01.52 ID:r3m6d8Em0
正直まほってみほがしほさんと話そうと覚悟さてたのを無駄にしたよなしほさんも普通に気づいてたしあそこで和解できたずだったんじゃ
まあまほの気持ちも実際わかるし確実に和解できるって訳じゃなかったけどさ
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/10/02(日) 17:35:26.57 ID:54eUiu3K0
私はグッと涙を堪えます。
でも、すぐにあふれてしまいました。
その涙はお姉ちゃんへの尊敬の気持ち、お母さんへの申し訳ない気持ち、そして2人への感謝の気持ちが具現化した涙だったのかもしれません。
「それにしても、準決勝でのあの踊り?あれは無いわ」
「えぇー...!?」
お母さんはフフッと笑いながら、それでも運転を止めることなく走り続けました。
それからは、あったはずの蟠りのようなものはすっかりと無くなって、仲睦まじい親娘の会話が続きました。
戦車道の話、大洗での話、お姉ちゃんが犬を飼った話...
普通の話です。
そんな会話が幾つか続き、もうすぐ家と言うところでお母さんは運転をしながら私に尋ねました。
「みほ、あなたはこれからどうするの?」
お母さんは少しだけ私の方を見て聞きます。
私はすぐにその質問の意味を理解しました。
今後、戦車道を続けるのか、あるいは...
でも、私はすでに決めています。
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