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男「はぁ?ダンジョンに行ってこいって?」
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190 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/03(土) 19:37:40.70 ID:VFdu222Y0
…………
カウボーイ「さて……たまにはのんびりと散歩でもするか」
銃をホルスターに直し、カウボーイはダンジョンの出口である山頂へと歩み始める。
トレント【】ヒョォォォォオオオオッ…………
その背後には、完全に凍てついた三体のトレントが、全く動かずにそびえ立っていた。
カウボーイ「3日もすれば動けるようになるだろ。その頃には怒りを忘れてくれればいいが……森を荒らして悪かったな」
191 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/03(土) 19:41:47.11 ID:VFdu222Y0
投下終了です。
ちなみにカウボーイは別次元に強いです。
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/03(土) 20:44:26.08 ID:j+fiR+H/o
乙
こういうの大好物だわ
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/04(日) 01:59:18.69 ID:ZYLhwuRko
乙
こういう強キャラといつか並ぶ日が楽しみ
194 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/04(日) 13:18:08.10 ID:lAHnQEwx0
こんにちは、1です。軽めに投下していきます。
>>192
>>193
ありがとうございます。引き続きヒマな時にどーぞ
195 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/04(日) 13:27:02.20 ID:lAHnQEwx0
……………………
男「おい……さっきから凄え音と振動が伝わってくるんだが」
蔓人形の群れを魔少女のエンチャントのおかげで楽に倒し、戦利品を回収している男達にも、カウボーイの戦闘の余波が伝わっていた。
魔少女「あの方角……恐らくトレントのテリトリーで誰かが戦っているのでしょう」
男「助けに行った方がいいんじゃないか?」
魔少女「いえ……その心配は無用かと」
男「何でわかんだよ」
魔少女「微かに……銃声が聞こえました。その後に爆発音と巨大な何かが倒れる音と振動……それが何度も。恐らくトレントは全滅しているでしょう」
男「マジか……あんなデカブツをそんなあっさり何匹も倒せるなんて人間技じゃねぇな」
魔少女「相当に……高ランクの探索者だと思われます。そして銃声……銃を使う強そうな人。さっき見ませんでしたか?」
196 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/04(日) 14:05:21.12 ID:lAHnQEwx0
男「さっき?……あ!!あのカウボーイか!!」
魔少女「あの人も……このダンジョンに来ていたようですね」
男「何でこんなランク2のダンジョンにいんのかな?」
魔少女「仕事か……または自分が使うモノでトレントの素材が必要だったのでしょう。このダンジョンは空間固定型なので、生態系が確立してますからね。
あの『森人の憩い場』に行けば高確率でトレントに遭遇出来るんでしょう」
男「ランク2ダンジョンなのにランク10のトレントが確定で出るっておかしくねーか?」
魔少女「トレント以外は……ランク2相当かそれ以下ですからね。それにトレントは森を無闇に荒らしたり敵意を持たない限り、人を無闇に襲う事はありません。
更に、固定型ダンジョンなのでテリトリーも決まっています。総合的に考えれば居ないのと同じなんでしょう」
197 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/04(日) 14:21:44.90 ID:lAHnQEwx0
男「あぁ成る程。お前森を荒らしまくったからたまたまいたトレントに襲われたんだもんな」
魔少女「……その節は……反省してます」
男「ま、心配なさそうなら俺らも先に進むか」
魔少女「そもそも……私はともかく先輩が助けにいったところでトレントの群れ相手には何も出来ませんけどね」ププッ
男「お前本当に反省してる?お前も流石に無理だろう」
魔少女「ふふ……私は今回から秘密兵器があるのです」ドヤッ
男「え?何それ超見たい」
198 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/04(日) 14:23:56.25 ID:lAHnQEwx0
1時間後
『水見の滝 山頂まで300m』
ザァァァァァアアアアッ!!
男「ふぅ……結構歩いたな」
魔少女「そうですね……」プルプル
男「お前足が産まれたての子鹿みたいになってんぞ?」
魔少女「少し疲れました……どこかで休みませんか?」プルプル
男「そうだなぁ……ん?」
男が周囲を確認すると、100mほど先に滝が見えた。
どうやらその周囲は開けた見通しの良い場所になっているようだ。
男「おい、あっちに滝があるぞ。どうせだから彼処までいって休憩しようぜ」
魔少女「……もう膝が……」プルプル
男「んだよだらしねぇなー。こんな山道でおんぶする訳にもいかねえし……蔓人形の心使うか?」
魔少女「いえ……もう少し秘密にしておきたかったのですが……出てきて!!」カッ !!
199 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/04(日) 14:26:22.58 ID:lAHnQEwx0
キングスライム『オッス』ボヨンッ
男「はぁっ!?」
魔少女の仲間として現れたのは、頭に被った王冠と普通のスライムより遥かに大きな体で、スライム達の王様っぽい風貌から名付けられたキングスライムであった。
ランクは15相当である。
男「いや待て。何でそんな魔物をお前が持ってんだ?」
魔少女「加工屋さんで作りました……裏技で」ニヤリ
男「裏技!?そんなのあんの!?」
キングスライ『アルデ』
男「喋った!?」
魔少女「前回……先輩スライムの心大量に拾いましたよね?」
男「あ?あぁ、全部で7個だな。お前が欲しいっていうから全部あげたけど」
魔少女「私が持っていたのと合わせて8個分……実はこれをある特定の組み合わせで強化していくと、キングスライムを作る事が出来るんです」ドヤッ
男「それ反則じゃね?低ランクのヤツなら無双状態じゃねーか」
キングスラ『ンナワケアラヘンヤロ』
男「うるせぇ!!」
200 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/04(日) 14:30:06.36 ID:lAHnQEwx0
魔少女「いえ……作り出したものの、戦闘に使うには魔力消費が凄まじいので、結局低ランクの人は使えないんです。
この私ですら、戦闘には今は10秒が限界……まさに切り札ですね」
男「そんなとっておきのモンを今出してどうすんだよバカ!」
魔少女「戦闘時以外なら……実は普通のスライム8体分程度しか消費しないんです。なので、通常はダンジョンでの荷物持ちに使ったり移動手段に使ったりします。
ダンジョン駆け出しの魔法使いや……魔物使い系の人には割と使える裏技なんですよ。昔トリビアの泉でも紹介されてました。
……加工代そこそこしましたけどね……お年玉使っちゃいました」ヨイショ
男「へぇ〜……うん、いや何ソイツの上に乗ってんのお前。何かそういう魔物いたよな確か」
魔少女「では……お先に滝まで行ってますね。あぁ……柔らかくて気持ちいい……」
キングス『オイテクデニイチャン』ボヨンッ!ボヨンッ!!
男「あ!待てこの野郎!!せめて俺も乗せろっつーの!!」ダッ!
201 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/04(日) 14:33:08.51 ID:lAHnQEwx0
投下終了です。
スライム8匹でキングスライムはドラクエネタです。現時点ではほぼ、宝の持ち腐れですね。
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/04(日) 17:04:40.60 ID:QmbLLtJ6O
オモロイデニイチャン
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/07(水) 12:38:46.79 ID:J8QF+87Ao
おつ
素晴らしい
204 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 18:48:06.65 ID:TgFXkO7Y0
こんばんわ、1です。
今日もほどよく投下していきます。
205 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 19:32:39.98 ID:TgFXkO7Y0
『水見の滝 中流の滝』
ザァァァァァァァアアアアッ!!!!
魔少女「キングス……ありがとです」ナデナデ
キングス『ホナマタ』ボゥンッ!!
男「ハァッ、ハァッ、デカイくせにめちゃくちゃ速いなチクショウ……」
魔少女「ちょうど見通しもいいですし……ここで休憩しましょう。電車で食べなかったお弁当もありますし」バサバサッ
男「ピクニックシートなんて持ってきたのかよ、完全にピクニックだな。てか何処から出した?」
魔少女「最近……こういう嵩張る旅の荷物を別空間の保管場所から取り寄せられるように空間魔法を勉強してるんですよね」ジジジッ……
魔少女が手を広げると、直径30cmくらいの穴が空間に開く。
どうやらこの中に色々な道具を保管しているようだ。
男「それ四○元ポケッ○じゃねーか魔法凄ぇ!!……あれ?それ使えばダンジョンの道具持ち帰り放題じゃねぇの?」
魔少女「いえ……ダンジョンの道具は出口から脱出するか、脱出道具を使う事でしか持ち帰れないようです」
男「なるほど……ズルはできねぇんだな」
魔少女「なんにせよ……自分もダンジョンから出なければいけませんからね。お弁当食べながら戦利品の確認でもしましょうか」
206 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 19:38:08.96 ID:TgFXkO7Y0
……………………
丈夫な蔓 10ゴールド分
赤い植物の種 5ゴールド分
目覚まし時計 10ゴールド
リュックサック 15ゴールド
リュックサックに入っていたお菓子 消費
リュックサックに入っていた安物のブレスレット(魔物付)20ゴールド
リュックサックにくくられていた木製バット(戦技付)20ゴールド
男「もうお菓子くらいなら驚かねーや」モグモグ
魔少女「リュックサックは一瞬……別の探索者の荷物かと思いましたが、ゲームや映画でいう宝箱的なモノのようですね」
男「ゲームじゃあるまいし、宝箱なんてわかりやすいもの流石に置いてないよなー」
207 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 19:46:04.51 ID:TgFXkO7Y0
魔少女「そして……新しく武器と装飾品を初めて拾いましたが……」
男「これ戦技とか魔物の力がもう入ってるよな?使ってもいいのかな?」
魔少女「安全策をとるなら……持ち帰って業者さんに鑑定してもらうのが一番です。使うには通常通り魔力を流せば発動はしますが、どんな事になるかはわかりませんからね」
男「よし、じゃあまずはバットの戦技から」ググッ……
魔少女「えぇ……わかってましたよ使うって」ハァッ……
男がバットを握り魔力を通すと、バット全体にある魔法が発動する。
男「お、何かきた。魔少女、どんな感じがする?」
魔少女「感じる魔力の種類としては……爆破系に近いような」
男「んじゃ試しに石ころでも打ってみるか。せーの!!」ブンッ!
しかし男の攻撃は外れた。
魔少女「先輩……ダサいです」
男「うるせぇ!んじゃ気を取り直して」ブンッ!!
カキーンッ!!
男が手頃な大きさの石を宙に上げ、それをバットで打つと石は滝壺の方へと飛んでいった。
男「あり?何も起こらねぇや」
そして、石が滝壺の奥の岩壁に当たった瞬間
208 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 20:07:18.83 ID:TgFXkO7Y0
ドォォオオオンッ!!!
男「ッ!?何だ!?」
石がそこそこ威力のある爆発を起こした。
魔少女「どうやら……バットで打ったモノを爆弾にする戦技のようですね。そして衝撃で爆発すると」
男「え?それってどんな強いヤツでも打てば倒せるんじゃね?」
魔少女「流石に……そんなに強力ではないでしょう。飛ばせるモノ。あるいは大きさ、生命体以外。そんな条件があるハズです。詳しくは……やはり鑑定ですね」
男「なるほど。野球部なら狙った方向に打てるんだろうが、俺には使いこなせそうにねぇな」
魔少女「単純に……当てれば爆発するとかならよかったですね。その場合は先輩もバットも吹き飛びそうですが」
男「怖いなそれ。よし、次はこのブレスレットを……ん?」
男はふと先ほど爆破した滝壺の奥の岩壁を見る。
大した威力ではなかったのだが、岩壁が崩れているようだ。
更にその先には
209 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 20:13:02.23 ID:TgFXkO7Y0
男「おい……何かあの奥に道が続いてねぇか?」
魔少女「そうですね……ガイドブックにもあの道の事は書いてありません。という事は……」
男「俺達……新しい採取エリアを見つけちゃったのか?」
魔少女「恐らく……よかったですね先輩。固定型ダンジョンの場合、新しいルートや採取エリアなどを市に報告すると、報奨金がもらえますよ」
男「マジで!?いくら!?」
魔少女「ランク2ですと……多分200ゴールドだったような……」
男「おぉ!!一気に資金が増えんじゃん!!」
魔少女「しかし……どれだけ運がいいんですか先輩……たまたま拾った武器の戦技でたまたま岩壁を破壊したら道を見つけるなんて……」
男「どうせなら宝クジ当たって欲しいけどな。とりあえず写真と場所だけ記録しとくか」
210 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 20:19:08.87 ID:TgFXkO7Y0
…………
魔少女「よし……位置記録は大体ですがとれました。まぁ滝という目印があるので報告も楽でしょう」
男「写真もOKだ。あとは水晶だけとって帰るか……そういえば水晶のある滝ってここじゃあなかったのか?」
魔少女「その滝は……もっと山頂の出口付近にあるようですね」
男「……そこの道……洞窟になってんなら水晶くらいあるんじゃねぇの?」
魔少女「先輩……危険は極力避けるといったのは先輩では……」
男「いや、そうだけどさ……気になるじゃん」
魔少女「はぁ……わかりました。先にラージアントにある程度探索してもらいます。危険な魔物が中にいたら知らせてくれますから」カッ!
ラージアント『キー!』
男「流石魔少女!じゃあ知らせが来るまでここで待ってるか」
211 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 20:37:48.50 ID:TgFXkO7Y0
…………
ザァァァァァァァアアアアッ!!!
男「あぁ……お茶がうめぇ……」ズズッ……
魔少女「滝の音が……いい感じで心が安らぎますね……」ズズッ……
ラージアントが滝壺の洞窟へと進入して5分。
男達は、ピクニックシートに座り、存分にくつろいでいた。
この間にもラージアントは単身大冒険の最中だがとくに語られる事はないだろう。
ガサガサッ…………
カウボーイ「ここにも滝があったのか……ん?」
男「え?」
魔少女「あ……こんにちは」ズズッ……
212 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 20:42:18.48 ID:TgFXkO7Y0
…………
カウボーイ「君達もこのダンジョンにいたのか。あの電車の中で見た時には、高校生くらいなのに珍しいなぁと思ってたんだが……あ、お茶ありがとう」ズズッ……
魔少女「いえ……こちらもジロジロ見てしまってすいません」
カウボーイ「ん?あー、いーよいーよ。目立つからねぇこの格好は」
男「何でそんな格好してんすか?」
カウボーイ「格好いいじゃない」
男「えぇー……」
カウボーイ「まぁそれは半分冗談として……僕はダンジョン探索請負の会社……まぁいわゆるギルドだね。そこに所属してるんだが、方針がとにかく目立て!なんだよね。その方が宣伝にもなるし。
僕の他にも数人所属しているけど、皆どんな戦闘スタイルかわかりやすい格好をしてるよ」
213 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 20:52:41.38 ID:TgFXkO7Y0
魔少女「何か……芸能事務所みたいですね」
カウボーイ「ハハッ、確かにそうだ。まぁ格好だけつけても実力がないと笑い者だからね。
ウチのギルドは少人数だが、皆それなりの実力者だと思うよ」
男「ほぇー、因みに何てギルドなんすか?」
カウボーイ「あぁ、それじゃあ名刺を渡しておくよ。もしダンジョン関係で相談があればウチに遊びにおいで。お茶くらいは出すよ」つ名刺
男「『ダンジョンギルド 【RPG】 カウボーイ』……」
魔少女「そんな気軽に……行ってもいいんですか?」
カウボーイ「んー、ウチは割とそういうのラフだから。他の連中も学生のお客なんて珍しいから喜ぶんじゃないかな?」
魔少女「わかりました……ありがとうござい……ッ!?」バッ!!
お礼を言いながら頭を下げていた魔少女が、何かを感じ取り滝の洞窟の方へと振り向く。
男「ん?どうした魔少女」
魔少女「ラージアントが……何かにやられました」
男「……やっぱ魔物がいるってことか」
魔少女「えぇ……中はかなり広いようですし、私達のレベルでは無闇に入らない方がよさそうです」
カウボーイ「ん?あの洞窟がどうかしたの?」
214 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 20:55:48.02 ID:TgFXkO7Y0
…………
カウボーイ「へぇ……新しい採取地をねぇ……凄いじゃない」
男「偶然っすけどね」
魔少女「ですが……中の形状も把握できず、未確認の魔物もいる為、探索はやめておこうかと」
カウボーイ「うん、確かにそれが賢明だね。碌に調査もせずに欲に目が眩んで死んでいった探索者なんて腐るほど見てきたよ」
男「中の魔物をある程度誘い出せればどんなのがいるかわかるんだけどなー」
魔少女「そうですね……やりますか?」
男「できんの!?」
魔少女「拾ったアイテムに……『目覚まし時計』がありましたよね。あれを『丈夫な蔓』で洞窟の入り口に吊るしておけば」
カウボーイ「音に釣られて姿を現わすと……しかも洞窟だから音は反響して奥まで届く……凄いね彼女」
男「いやー……ホント頼りになりますよ」
魔少女「」ドヤッ
魔少女クラフトアイテムNO.1『魔物こいこい』
使用アイテム
目覚まし時計 1個
丈夫な蔓 2メートル
215 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 21:03:54.41 ID:TgFXkO7Y0
ジリリリリリリリッ!!!!
男「いい具合にうるさい目覚ましだな」
魔少女「これなら……洞窟の中に響き渡ると思います。問題は、洞窟の外の魔物まで呼び寄せなければいいんですが……トレントとか」
カウボーイ「あぁ、トレントなら僕があらかた倒したから大丈夫だよ」
男「あ」
魔少女「やっぱり……あの音はあなたでしたか」
カウボーイ「ん?」
大ミミズ×5【キシャァァァアアッ】ウネウネ
男「うわ、洞窟からミミズ出てきた」
魔少女「多いと気持ち悪いですね……焼いていいですか?」
カウボーイ「いや……これは何かから逃げてきてるみたいだ。本命はコッチだな」
216 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 21:08:55.16 ID:TgFXkO7Y0
ズンッ!!
男「……何か重そうな足音が聞こえてくるんだけど」
ズンッ!!
魔少女「やはり……無闇に洞窟に入らなくて正解だったようです」
ズンッ!!!
カウボーイ「でもコイツがいるって事は、そこには大体お宝があるんだよね」
ジリリリリリリリッ!!!
グシャァッ!!!
ゴーレム【ゴォオッ……】
現れてすぐに、洞窟の入り口に吊るされた目覚まし時計を握り潰した魔物。
それは、ダンジョンに眠る宝を守る目的で、石材で作られたとされる人型魔導兵器。
通称『ゴーレム』である。
危険度『ランク8相当』
217 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/07(水) 21:11:33.03 ID:TgFXkO7Y0
投下終了です。
次回このダンジョンのボス戦です。
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/07(水) 21:43:42.95 ID:EcPkcv0+0
乙
面白いから勝手にダンいけの愛称付けて楽しんでるぜー
それはそうと初のボス戦期待してる
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/07(水) 23:57:55.02 ID:pY2M4TxSO
俺も男ダ行てって愛称つけて楽しんでる
おつ
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 00:21:08.21 ID:PXZpVlUf0
じゃあ俺は
男「はダにいいって?」
って愛称つけて楽しむわ
乙
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 09:49:49.53 ID:RtD1mV/fo
男「は?ジョンにこいって?」でいくわ
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 10:36:21.60 ID:3rt0TN+xO
いいぞ
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 10:46:08.51 ID:ZWbCCDyno
おだてて、で行くわ
224 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:11:06.26 ID:95AyM9Qw0
こんばんわ、1です。
皆さん色々な略称ありがとうございますw好きにお呼びください
今日もたらたらと投下していきます
225 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:28:09.24 ID:95AyM9Qw0
ザァァァァァァァアアアアッ!!!!
男「これって……結構ピンチだったりする?」
魔少女「恐らく……私と先輩が全力で立ち向かっても、勝率2割といったところでしょうか」
カウボーイ「逃げ場の無い狭い洞窟で出会わなくてよかったね」
ゴーレム【ゴォオッ……ォォォォォオオオッ!!!!】
ォォォォォオオオッ!!!!!!
ゴーレムの低い力強い雄叫びが辺りに響き渡る。
男達にとっては明らかに格上の相手。しかも、一体だけとは限らない。
もしかすると、まだ洞窟の中にいるかもしれないのだ。
男「さて……逃げる用意は出来てるよな?」
魔少女「それは大丈夫です……ただ……」
男「ただ?」
226 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:35:03.00 ID:95AyM9Qw0
魔少女「ゴーレムは……オートマタなどと原理は同じ、魔力結晶の魔力を原動力に動いているハズです」
男「魔力結晶って……エリスを直すのに必要な素材の1つだよな?まさか……」
魔少女「えぇ……ここであのゴーレムを倒す事が出来れば……その動力源である魔力結晶を得る事が出来るハズです」
男「だったら……なぁ?」ゴクリッ……
魔少女「えぇ……ですよね……」ゴクリッ……
男と魔少女は互いに覚悟を決める。
オートマタの少女、エリスを直す為にはいつかは通らなければならない道だ。
それをこんな開けた場所で相手は格上だが一体。
条件としては最高に整っている。
227 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:37:26.05 ID:95AyM9Qw0
カウボーイ「さて……どうする?逃げる?戦う?なんならお茶のお礼に俺がやってもいいけど」スッ……
先ほどまでののんびりとした空気とは一転し、空気を凍てつかせるような戦闘モードにスイッチを切り替えたカウボーイが、ホルスターに装備したリボルバーに手をかける。
トレントの群れを相手に何の苦もなく完勝したカウボーイならば、その格下であるゴーレム一体など瞬く間に倒してしまうだろう。
男「いや……」
魔少女「あの1体は……私達が……」
しかし、男と魔少女はそれを拒否する。
この先、こんなイレギュラーな事態が何度も起こるだろう。時には逃げられない戦いをあるかもしれない。
そんな時、何度も他人に助けてもらえる訳がないのだ。
2人は言葉を交わさずとも、その結論に達した。
ここで自分達が倒すと。
228 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:40:02.32 ID:95AyM9Qw0
カウボーイ「ふふん……いーね!いーよ君達!!それなら俺は君達とあのゴーレムとの戦いには一切手を加えない……あ、流石にマジで死にそうになったら助けるけどね。それが大人の役目だし」
カウボーイは、意気揚々とピクニックシートに座り、2人に話しかける。
カウボーイ「安心しなよ……君達の戦いを邪魔する魔物が来たら、俺が片付けてあげる……存分に戦いな」ニィ……
魔少女「ありがとうございます……」
男「邪魔が入らず死なないってだけでも破格の条件だろ」ザッ!
2人はそれぞれの前衛、後衛の戦闘スタイルに構え、ゴーレムと対峙する。
229 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:43:26.82 ID:95AyM9Qw0
男「魔少女、解説!」
魔少女「ガイドブックには情報がありませんでした……ただ、見たところアレは最も簡易的に造られたゴーレム。ランクは8相当で、石の身体のために防御に長けていると記憶しています」
男「よし……魔少女、アイツを仕留めるのは一番火力のあるお前だ。俺がお前の準備が終わるまで相手するから、終わったらデカイのを叩き込め!!」
魔少女「先輩……大丈夫ですか?」
男「かなり不安だから、お前が前使ってた身体能力上げる魔法をかけてくれると助かる」
魔少女「わかりました……『フィジカル』!」
魔少女が手をかざすと、男の全身を魔法が覆う。
男「おぉ!身体がめっちゃ軽い!!」
魔少女「効果時間は1回3分です……それまでに私も準備を終わらせます」ググッ……
男「3分ね……どうにかやってみるか」トントンッ
男は軽くジャンプして身体の感覚を確かめる。
そして
男「先手必勝ォッ!!」ダンッ!!
一気にゴーレムへと距離を詰めた。
230 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:46:52.13 ID:95AyM9Qw0
ゴーレム【ゴォオッ!!!】ブンッ!!
それを迎え撃つように、ゴーレムが右腕を振りかぶり右ストレートを放つ。
今の男の装備で当たれば、間違いなく骨折以上のダメージを負うだろう。
男「なんてな」ズザザァァアッ!!!
ゴーレム【ッ!?】
しかし、男はゴーレムの射程圏内から10cmほど離れたところで踏みとどまり、ゴーレムの右拳は空を切る。
そして
男「突きぃぃぃぃいいいいいいッ!!!!」ダンッ!!
ドォンッ!!!
一度踏みとどまり、溜まった慣性の力に更に前に踏み込む力を加え、男の唯一最大の戦技である『なんか凄い突き』をゴーレムへと放つ。
しかし
男「……硬ぇ……」ググググッ……
ゴーレム【ゴォォオオッ……】
渾身の一撃をゴーレムの胸へと突き刺すも、石の身体を持つゴーレムは想像以上に堅牢であった。
更に、重量故か銅の剣の先から放たれた衝撃波をゼロ距離で喰らっても少し体勢が崩れる程度である。
トレントと違い大きさは2mほど。重心も安定しているからだろう。
そして
231 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:48:30.00 ID:95AyM9Qw0
カウボーイ「単純に火力不足だねぇ……ちょっと研いだくらいの銅の剣とランク1の戦技。それに彼の魔力操作の拙さ。
身体の使い方は十分合格点だが、上乗せするパワーが弱い弱い」
魔力。あるいは気力。
名前は違えど本質は同じ、人間の内に秘められた力である。
それを使いこなす事が、人間が魔物に生身で相対する方法。
例え幼稚園児でもそれが出来れば凄まじい力をダンジョンでは発揮する事が出来るのだ。
現に、世界には小学生でランク50という天才としか言いようの無い魔法使いの少年が存在する。
カウボーイ「魔力の基本すら覚えたのは最近だね?学校の授業では寝てたのかな」フフッ
232 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:51:06.91 ID:95AyM9Qw0
ゴーレム【ゴォォオオッ!!】ガシッ!
ブンッ!!
男「うぉっ!!」ズザザァァアッ!!
銅の剣を掴み取られ、剣ごと男は投げ捨てられる。
単純な力の差は歴然である。
ゴーレム【ゴォオッ!!】ブンッ!
男「ヤバッ!!」ゴロンッ
ズンッ!!
すかさずゴーレムは倒れている男へと拳を振り下ろすが、男は横に転がりそれを避ける。
ゴーレム【ォォォオオッ!!!】ブンッ!!
ズンッ!
ズンッ!!
ズンッ!!!
更にゴーレムは追い打ちをかけてきたが、男は転がり続けて、連撃の隙を見て体勢ゴーレムから離れた。
魔少女の魔法で身体能力が上がっていなければ、この時点で終わっていただろう。
潰されたカエルの如く。
233 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:55:11.65 ID:95AyM9Qw0
男「やっぱまともには敵わねぇな……だったら!!」ダンッ!!
魔法によって動きにブーストがかかっているため、男は容易くゴーレムの背後へと入り込む。
ゴーレム【ゴォォオオッ!!】ブォンッ!!
男「うぉっ!?」サッ!!
しかしゴーレムは腕を広げながらその場で回転し、男を寄せ付けない。
カウボーイ「彼だけでは絶対にゴーレムには勝てない。これは絶対だ。それならどうするか……」
男「近付くのも難しいか……どうしたもんかな」
魔少女「先輩……もっと離れてください」ググググッ……
後方に立つ魔少女の側に浮かぶ魔法球の数は3つ。
どれも属性は違う。
そしてそれらを維持しながら、反発しないように集中しながら混ぜ合わせる。
カウボーイ「お……いいね」
魔少女「火球……光球……風球……」ググググッ!!!
そして
234 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:58:05.96 ID:95AyM9Qw0
男「撃て!魔少女ッ!!」ダッ!!
魔少女「三種複合魔法……『レイ・スラスト』ッ!!!」カッ!!
魔少女が複合魔法を放った瞬間、何十もの小さな光の刃がゴーレムへと放たれた。
ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!】ドドドドドドッ!!!!
小さな光の刃は、1つ1つが凝縮された高熱を帯びている。
その高熱は、ゴーレムの石の身体をも溶かすように斬り刻むほど。
何十もの刃は、男の攻撃で傷つくことのなかった石の身体へと確実にダメージを与えていく。
しかし
235 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 21:59:33.62 ID:95AyM9Qw0
ゴーレム【ゴォオッ……】
魔少女「くっ……ハァッ……ハァッ……」ドサッ
光の刃を放出し続けていた魔少女が、突然地面に膝をつく。
魔法を発動させる為の魔力はまだ残っている。
だが、魔法を放出し続けるだけの体力が尽きたのだ。
ゴーレムの身体はいくつもの切り傷を受けているが、変わらず健在である。
魔少女「ハァッ……ハァッ……」
カウボーイ「知識は素晴らしい。技術も年の割には十分にある。だけど、体力が無いな。
発動させるだけならズバ抜けているが、それを維持させるだけのスタミナが足りない。魔法を使うにはその器である術者の体力は重要だよ?」
カウボーイは冷静に観察を続けている。
若い高校生の少年と少女。
素材は悪くない。
しかし、まだまだ足りて無いモノが多すぎる。
恐らくは、まだまだ実戦に慣れていない事が原因だろう。
目立った欠点を直すだけでも一気に成長すると見える。
カウボーイ「ま、今はここが限界か。手遅れになる前にここらで」スッ……
236 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:01:37.12 ID:95AyM9Qw0
魔少女「舐めないで……くださいッ!!!」ザッ!!
魔少女が声を張り上げ、再び立ち上がる。
237 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:07:15.74 ID:95AyM9Qw0
魔少女「水・氷複合魔法……『フリージング』ッ!!」カッ!!
魔少女が魔法を練り合わせた右手を、滝から流れてくる大量の水に向ける。
ゴーレム【ッ!?】バシャアッ!!
その水の一部は魔少女によって操作され、ゴーレムの身体へとかけられる。
魔少女「魔力も体力も足りなければ……周りを利用します!」ググググッ!!
ゴーレム【ゴッ……】ピキピキピキッ!!
ゴーレムにかけられた水が、一気に熱を失い凍り始める。
魔少女「『クイックフリーズ』……」ググググッ……
本来なら魔少女が空気中から生み出した水を、かけられたモノが急速に凍り出す魔法であるが、大量の水源を利用する事でその消費魔力を大幅に減らす事が出来たのだ。
238 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:17:06.93 ID:95AyM9Qw0
ピキピキピキッ!!パリィッ!!
ゴーレム【ゴッ……ゴォオッ!!】ズンッ!ズンッ!!
ゴーレムは身体の自由を氷結によって失いながらも、無理矢理身体を動かしながら魔少女の元へと向かってくる。
痛覚が無いため、無理な動きをしようが問題はないのだろう。
魔少女「キングスッ!!『キングストライク』ッ!!」カッ!!
魔少女は、キングスライムのキングスを封じ込めたキーホルダーを握り締め、残った全ての魔力を込める。
魔少女「維持する体力が無いのなら……一撃に込めます!!」
キングス『マカシトキ』ボヨンッ!!
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 22:18:51.46 ID:m/CQAI6fO
キングのあんちゃんキターーーーーーーー
240 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:19:17.16 ID:95AyM9Qw0
何処からか降ってきたキングスは、その勢いそのままにゴーレムへと突進し
ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!】ズドォォォオオッ!!!
ゴーレムはそれを全身で受け止めた。
キングスライムの召喚。
本来の威力なら、ゴーレムを粉砕する事が出来ただろう。
更に強力な別の技を使う事も出来ただろう。
キングス【ヤルヤナイカ】ググググッ!!
ゴーレム【ゴォオオオオオオッ!!!!!】ググググッ!!
しかし、魔少女にはただでさえキングスライムを召喚として扱うには圧倒的に魔力が足りない上に、2度の複合魔法によって消費した分、ゴーレムにトドメを刺すには至らなかった。
241 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:24:19.68 ID:95AyM9Qw0
ピキピキッ…………
しかしその巨体を受け止めた為、高熱の刃と冷気の複合魔法によってダメージを受けた石の身体に亀裂が走る。
いわゆる熱疲労というやつだ。
キングス【ホナ】シュンッ!!
魔少女「クッ……」
ゴーレム【ゴォォォォォオオオオオオオオオッ!!!!!】
カウボーイ「最後の意地か……いい根性じゃない。そういうの好きだよ俺は」
キングスの召喚が解け、全てを出し切った魔少女は今度こそ、力尽きて地面に倒れていく。
魔少女「……あとは……お願いしますね……」フラッ……
魔少女「……先輩……」ドシャアッ!!
242 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:26:18.30 ID:95AyM9Qw0
男「ウォォォォォォォオオオッ!!!!!!」ダッ!!!
その瞬間、戦技を発動した男がゴーレムへと全力で突っ走っていた。
243 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:31:32.91 ID:95AyM9Qw0
ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!】ブォンッ!!
ゴーレムはすかさず右腕を振りかぶり、向かってくる男へと右ストレートを繰り出す。
一回目の衝突と同じ展開だ。
先ほどは、男が踏みとどまりその拳を空振らせた。
男「ラァァァアアアアッ!!!」ブンッ!!
しかし、次はその右拳に突きを当てる。
ゴバァァアッ!!!
ゴーレム【ッ!?】
男「ガァッ!!」グラァッ……
激突の瞬間、ゴーレムの右腕は、突きとそれと同時に発動した衝撃波によって粉砕される。
突きの戦技の威力。ゴーレムの右ストレートに対するカウンター。
そして何より魔少女によって石の身体全体ににヒビが入るほどに蓄積されたダメージが、この結果に結びついたのだ。
しかし同時に男の銅の剣も折れ、男は衝撃でそのまま背後に勢いよく倒れ込む。
が。
244 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:39:05.31 ID:95AyM9Qw0
ダンッ!!!
男「ラストォォォオオッ!!!!」ブチブチブチッ!!!
男は全身の力を使い踏み止まり、全身を捻りながら無理やり倒れ込むのを阻止する。
全身からは筋肉が切れるような嫌な音が聞こえてくる。
男「オオオオオオオオオッ!!!!」
ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!!】
その捻れを戻す勢いのまま、折れた銅の剣で戦技を発動させる。
男の一度の戦闘で発動できる戦技は2回。
その限界を超え、文字通り最後の一撃である。
そして
ドゴォォォォォォォオオオッ!!!!!
ゴーレム【ゴッ……ゴ…………】ビキビキビキッ!!!
折れた銅の剣は、そのままひび割れたゴーレムの胴体を貫き、亀裂が全身に走ったゴーレムは、そのまま全身が砕けた。
245 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:41:11.25 ID:95AyM9Qw0
男「よ……しゃあ…………」フラッ……
ドシャアッ!!!
カウボーイ「……最高……」パチパチッ……
全ての魔力を使い果たし、男が地に沈むのを見届けた後。
カウボーイは、男と魔少女へと静かに賞賛の拍手を贈る。
1つ、大きな壁を乗り越えた少年と少女へと。
246 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:46:03.70 ID:95AyM9Qw0
『戦闘終了』
魔少女はレベルが上がった
魔少女は特性『女の意地』を会得した
男はレベルが上がった
男は特性『猪突猛進』を会得した
『ゴーレムの心』を手に入れた
ゴーレムの核である『魔力結晶(ランク1)』を手に入れた
247 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/08(木) 22:48:10.86 ID:95AyM9Qw0
投下終了です。
対ゴーレム戦でした。
ゴーレムはドラクエのゴーレムを想像してもらえれば。
あと
>>1
的にカウボーイは、野原ひろしの人の声をイメージしてます。FF15のアーデンというおっちゃんみたいなキャラな感じで。
ではまた。
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 23:03:43.70 ID:fCVY4fnaO
おつ、いいぞ
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/09(金) 01:27:13.23 ID:taHsjAirO
まぁこればっかりはしょうがないけどご都合主義がくるのかやっぱり…
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/09(金) 07:53:30.70 ID:B5Fq8DzgO
ひろしやんけ!
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/09/09(金) 07:54:00.58 ID:5tqyacECO
むしろご都合主義じゃない作品がこの世のどこにあるというのだ
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/09(金) 08:22:42.90 ID:XIMTe5Kv0
エロ→ご都合主義
アクション→ご都合主義
感動→ご都合主義
ホラー→ご都合主義
日常系→ご都合主義
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/09(金) 12:55:26.11 ID:oDffsIbho
ご都合主義ってどれのこと?魔翌力結晶持ちのゴーレムが来たこと?
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/09(金) 14:50:14.53 ID:GcDqxAaMo
ゴーレム倒せたことじゃね
別にご都合主義とは思わんけど
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/09(金) 15:07:32.03 ID:CM6VduHb0
都合でいえば最初からここまで全部そうだよ
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/09(金) 17:04:49.94 ID:YSjFfJWHo
乙
面白ければそれで良い
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/09(金) 18:37:52.12 ID:cie2BC8qo
乙
男は大学か専門学校で彼女見つけないと、魔少女のいいようにされそう
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/16(金) 16:35:02.01 ID:NYz2aDLko
支援
259 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 10:44:07.07 ID:tTfDZAmE0
おはようございます、1です。
軽くのんびりと投下していきます。
ご都合主義で揉めておりますが、まぁ1の実力不足という事で。
260 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 10:55:08.71 ID:tTfDZAmE0
…………
魔少女「先輩……先輩!」
男「…………魔少女か…………」
目を開けると、魔少女が心配そうな顔でこちらを覗いている。
どうやら、あのゴーレムを何とか倒した後、気絶していたようだ。
男「お前は……大丈夫なのか?」
魔少女も魔力を使い果たして倒れていたのを覚えている。
魔少女がゴーレムの石の身体に亀裂を与えていなければ、絶対に勝てなかった相手だった。
魔少女「はい……カウボーイさんがレッ○ブルくれたので魔力は全快です」
男「え!?○ッドブルで魔力回復すんの!?ッ!!イテテ!!」ビキビキッ……
魔少女「まだ……動いちゃダメです。全身の筋肉が痛んでますから」ポゥッ……
そういいながら、魔少女は鈍く光る両手を男の身体に向ける。どうやら、ずっと回復魔法をかけ続けてくれていたようだ。
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/18(日) 10:55:26.92 ID:8smR8yIJo
ご都合主義は気にならんです
ところで魔少女のヒステリーはこの先も治りませんか?
262 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:08:30.34 ID:tTfDZAmE0
>>261
魔少女の男にたまに出るアレはヒステリーではなくただの駄々っ子です。親兄弟にする感じのヤツです。
263 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:09:17.86 ID:tTfDZAmE0
男「サンキュー……しっかし強かったなーゴーレム。魔少女の魔法をあんだけ喰らっても倒れもしないなんて」
魔少女「ランク8相当ですから……今の私達にとってはボスキャラです」
男「だよなー。あんなのをアッサリ倒せる日がくんのかな?……あれ?カウボーイのおっちゃんは?」
ふと周りを見渡すと、カウボーイの姿が無い。
代わりに
男「何か魔物からの戦利品みたいなのが山積みなんだけど……寝てる間に何があったの?」
洞窟の入口側辺りには、大量の魔物を倒して得るようなアイテムが山積みになって置いてあった。
魔少女「カウボーイさんが……ゴーレムがいるって事は何かしらお宝があるって事で洞窟に入っていったんです。
そしたら中には魔物が大量にいたみたいで」
男「片っ端から倒しては持ちきれないアイテムをここに持ってきてるって事か……やっぱ入らなくて良かったな俺たち」
魔少女「そうですね……」
男「しっかしあのおっちゃんもちょっと白状だなー。魔少女こんなとこに残して1人で洞窟探索なんて」
魔少女「いえ……あの人はちゃんと護衛の魔物を置いていってます……充分すぎるくらいのを」
男「え?どこ?」キョロキョロ
魔少女「向こうです……」
男「向こう?……何あれ……」
264 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:11:49.92 ID:tTfDZAmE0
キラーマシン『ケイカイチュウ……ケイカイチュウ……』ウィンッ、ウィィインッ
男が魔少女の指す方を見ると、そこには3m近いロボットのような魔物が、男達の周囲を警戒していた。
魔少女「『キラーマシン』……という魔物だそうです。いわゆる『異界』からダンジョンに来たロボットのようで、見た事も聞いた事もありませんが……魔物のランクは覚えてないけど大体40くらいだとか……」
男「40って……世界的にも上位プロ並みなんじゃねーの?しかも覚えてないって事は本人は軽く上を行くんだよな?……何者なんだよあのカウボーイ……」
265 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:16:15.29 ID:tTfDZAmE0
…………
カウボーイ「いやぁー大漁大漁。ちょっとした小遣い稼ぎにはなったかなぁ」
洞窟を隅から隅まで探索しつくしたカウボーイの横には様々な装備品やアイテム、戦利品が山積みにされていた。
男「……これで大体いくらぐらいになるんだ?」
魔少女「少なく見積もっても……2000ゴールドにはなるかと」
1ゴールド→100円
カウボーイ「未発見のエリアでも、流石にランク2だと1エリア取り尽くしても5000超えもないよね。最近金銭感覚狂いそうだから僕みたいな庶民出にはちょうどいい金額だよ」
男「ちなみにランク40くらいの探索って一回の探索でどれくらいの儲けなんだ?」ヒソヒソ
魔少女「昔見たプロジェクトDという番組では……5万ゴールドは軽く超えると言ってましたね。ランクが上がるにつれて得られる資源やアイテムは、大企業の生産原料や文化遺産、美術品や貴重な金属類などにもかなり関わりますから」ヒソヒソ
男「ひょっとして、俺らとんでもない人と一緒にいるんじゃねーの?」
魔少女「今更すぎますよ……」
266 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:22:23.15 ID:tTfDZAmE0
男「あ、でもこんだけの荷物どうやって持って帰るんだ?」
カウボーイ「ん?あぁ、知らないのかい?世の中にはこんなモノがあるんだよ」ゴソゴソ
カウボーイがポケットから何かの指輪を取り出す。
男「指輪?何かのダンジョンアイテムすか?」
カウボーイ「これは『保管の指輪』って言ってねぇ。こういうダンジョンで入手した大量のアイテムを、指輪の力で作り出した空間に保管する事が出来るのさ。そこそこレアだねぇ。
ダンジョンの中でしか物を入れる事は出来ないし、指輪のランクごとに保管出来る容量は決まっているけどねぇ」
そう言いながらカウボーイが指輪をアイテムの山に翳すと、山は綺麗さっぱり指輪の作った空間の中へと入っていった。
魔少女「上のランクのダンジョンには……こんな空間魔法のアイテムもあるんですね」
カウボーイ「ランクの低い保管の指輪なら専門店でも売ってるよ?そこそこ値が張るからダンジョンで拾った方がいいと思うけどね」
男「どれくらいっすか?」
カウボーイ「んー……一番下でこれくらいかなぁ」スッ
カウボーイは片手の平を広げて男の前に翳す。
男「500ゴールドか……ちょっと頑張ればエリスの修理代ついでに何とか買えそうだな」
カウボーイ「ん?違う違う。5万ゴールドだよ」
男「買えるかチクショウッ!!」
魔少女「私が……頑張っていつか同系統の魔法を覚えますので……」
少量だがダンジョンの外から空間魔法で物を持ち込む事の出来る魔少女でも、ダンジョンの物を別空間に入れる事はまだ出来ない。
いわゆるプロテクト的なモノがダンジョンアイテムには備わっているようだ。
恐らく正規の手順以外でのダンジョンアイテムの持ち出しを防ぐ為。魔法とはいわゆる、如何にバレないようにズルをするかという手段なのだ。
267 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:24:32.10 ID:tTfDZAmE0
カウボーイ「あーそうそう、そういえばこれは保管せずにとって置いたんだ」
カウボーイが地面に落ちているアイテムを拾いあげる。
どうやら『鉄の剣』のようだ。銅の剣よりも1ランク上の武器である。
カウボーイ「少年はゴーレムとの戦闘で銅の剣が折れちゃったから……この武器なんてどうかな?戦技も何かついてるよ」つ鉄の剣
男「え?いや、俺は……」
魔少女「先輩……武器は手に入れられる時に手に入れた方がいいですよ」
カウボーイ「貰っておきなよ。力はつけられる時につけた方がいい」
男「じゃあ……折角なんで。……そういや折れちゃったんだな、俺の銅の剣……」
男はゴーレムとの死闘によって折れた銅の剣を見る。
ダンジョン初日に母親が渡した、兄のおさがり。
使用期間も短く特段思い入れがあるわけではないが、初めてのダンジョンから使い続けていたので何とも言えない気持ちになる。
男「短い間だったけど……ありがとな」
男は折れた銅の剣をしまい、引き続き魔少女の治療を受ける。
268 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:31:12.71 ID:tTfDZAmE0
…………
魔少女「身体の調子は……どうですか?」
男「おう、だいぶ痛みが和らいだな。歩いていく分には問題ねぇや」
30分ほど魔少女の回復魔法を受け続けて、男の身体はどうにか動くようになった。
といってもあくまで応急処置。帰ったらゆっくり休ませなければならない。
明日も痛みが続くなら部活時代に世話になっていた整体にでも行くとしようか。
魔少女「それでは……山頂に向かいましょう。出口の近くにある滝に、目的の水晶があります。あ、それといい報告が1つ」
男「ん?どうした?」
魔少女「ダンジョンで……入手する予定でしたもう1つの素材『魔力結晶』をゴーレムから、無事に得ることが出来ました」
男「あ、そういえば……え!?マジで!?」
魔少女「えぇ……先輩がゴーレムの核ごと壊してないか心配でしたが……ゴーレムだった石の中にちゃんとありましたよ」
男「そっか……一時は不安だったけど先が見えてきたな。後は資金を集めて残りの材料を買えば……」
カウボーイ「そういえば君達は何でこのダンジョンに来たんだい?」
269 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:32:20.00 ID:tTfDZAmE0
……説明中……
カウボーイ「えぇ子らや……」ホロリ……
男「おい、いい歳した中年のおっさんが泣いてるぞ」ヒソヒソ
魔少女「年をとると……涙もろくなるともいいますし……」
カウボーイ「要はそのオートマタの少女を直したいわけだ。だったら、さっき拾ってきたアイテムの山は君達に」
男「それはノーセンキュー」
魔少女「こういうのは……自分でやる事に意味があると思います」
カウボーイ「そうなの?僕だったら喜んでもらってくけどねぇ。手間が省けるし、ちまちまダンジョンに潜るのめんどくさいし」
男「とても最低でもランク40以上の探索者とは思えない発言だな」
魔少女「案外……こういう人に大物の素質があるんですよね」
カウボーイ「ま、せめてダンジョンの出口までは一緒についてあげるよ。少年はまともに動けないだろ?」
魔少女「それは……ありがたいです。先輩は今お荷物にしかなりませんから」
男「さらっとヒドイな魔少女」
270 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:37:28.07 ID:tTfDZAmE0
カウボーイ「そういえば君達、手に入れたゴーレムの心の使い道はどうするんだい?」
男「どうって……どうする魔少女?」
魔少女「そうですね……キングス程ではないですが、私達に扱いきれるランクではないので……使えるまで保管しておくか、売却して資金の足しにするのがいいと思います」
カウボーイ「君達もしかして……『武器召喚』の事知らない?」
男「武器召喚?何すかそれ?」
魔少女「一応……魔物の心の特殊加工の1つとして聞いています。ですが、アレを使いこなすには相当な技量がいると聞きますが」
カウボーイ「まぁそうだね。でも使いこなす事が出来ればかなり強力な力になる。
少年……君のような魔力の少ない前衛タイプには特にね」
男「え?俺?」
271 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:42:09.94 ID:tTfDZAmE0
『武器召喚とは!!』
魔物の心を用いた召喚術の1つ。
魔少女の使うモノは、魔物自身を呼び出し、魔物の力に使い手の魔力を上乗せして強力な一撃を放つ通常の召喚である。
非常に強力だが攻撃に使うには魔力を放出しっ放しなので消費量が激しく、基本的に魔少女のように後衛タイプの者が使う。
それに対し、武器召喚は魔物の力を武器という形に圧縮し、それを用いて戦う前衛向きの召喚である。
魔力を大きく放出するのは、通常武器で戦技を使う時と同じく、武器召喚にて戦技を使った時のみ。それなんてオーバーソウrとか言わない。
どちらも発動には装飾品に魔物の心を加工する必要がある。
ここらで簡単に各技を、物凄く簡単に数値化して比べよう。
例として術者のHP、MPをそれぞれ100、ランク1スライムの魔物の心を使っているとする。
通常武器攻撃(銅の剣)
ダメージ10
通常戦技
一回MP消費5
ダメージ30
合成戦技(+ラージアント)
一回MP消費35
ダメージ250
武器召喚
召喚時MP20消費
武器召喚攻撃
武器召喚後、継続的にMP・HP消費1
ダメージ35
武器召喚戦技
一回MP消費60
ダメージ500
仲間メンバーとして召喚
一回MP消費1
スライムの強さ変わらず(ダメージ2程度)
通常召喚
一回MP消費20
ダメージ100
継続召喚
通常召喚後、継続的にMP・HP消費5
継続的にダメージ50
極大召喚
1回MP消費100 魔物の心消滅
ダメージ1000
ちなみに魔法に関しては通常召喚・継続召喚と仕組みはほぼ同じである。
勿論、術者の技量・装飾品の質・特殊アイテムの装備・魔物との相性によって数値は大きく上下するが、基本は大体こんなモンである。それなんてオーバーソウrとか言わない。
272 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:46:08.28 ID:tTfDZAmE0
カウボーイ「とまぁ、大体こんな感じだ。理解できたかい?」
男「まぁ大体は……ちなみにかなり技量が必要ってのは」
カウボーイ「そりゃあ常に一定量の魔力を放出しないといけないからな。今の君じゃあハッキリ言って無理」ビシッ!!
男「うぐっ」
カウボーイ「魔少女ちゃんは、キングスライムで継続召喚も出来てたからねぇ。まぁ魔法使いならその点は問題ないかな。優秀優秀」
魔少女「はぁ……ですが、私が武器を持ったところで」
カウボーイ「武器だって色々あるさ。魔少女ちゃんの魔法をブーストしたり仲間のサポートをしたり遠距離攻撃したり。魔力容量の多い魔法使いは、比較的ダンジョンにおいて有利なんだよ?」
魔少女「そう……なんですか?」
カウボーイ「そう!!さっきのゴーレム戦みたいに、少年が前に出て魔少女ちゃんの準備が出来るまで戦い、準備が出来たら大火力で攻撃。これが最もスタンダードな戦い方さ。
さっきの戦いは2人のどちらかが……特に魔少女ちゃんが居なかったら絶対に勝てなかったからねぇ」
男「それは確かに」ウンウン
魔少女「そんな……先輩がいたから魔法に集中出来たんですから……」
273 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:46:54.58 ID:tTfDZAmE0
カウボーイ「ま、武器召喚も1つの戦い方って事で覚えておいてよ。何なら山頂までの道のり……俺が武器召喚を使って君達を護衛してあげよう。百聞は一見にしかずってねぇ」チャリ……
カウボーイは、首にぶら下げた十字架のネックレスに魔力を込める。
カウボーイ「武器召喚『キラーマシン』」カッ!!
274 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:48:22.15 ID:tTfDZAmE0
『水見の滝 山頂の滝』
ザァァァァァ!!!!
ガサゴソガサゴソ
男「よっと……ホイ、これで水晶もゲットと……」
魔少女「何か……割とあっさり取れちゃいましたね」
男「しょうがねぇだろ……ここまで来る途中の魔物、全部カウボーイのおっちゃんが倒しちまったんだから」
カウボーイ「おっ、中々品質のいい水晶だねぇ。ギルドの奴等のお土産に僕も少し貰って帰ろうかな」
男「あの戦技……1体を……いや、あの数の1グループを一瞬てっておかしくね?」
魔少女「文字通り……何もかもが一瞬でしたよね……」
山頂までの道のり。
それなりに魔物は出てきたのだが、武器召喚を発現したカウボーイが全ての戦闘をこなしていた。
その戦う様は正に圧巻の一言であった。
というより、魔物達にとってはもはや虐殺であった。
275 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:51:19.53 ID:tTfDZAmE0
…………
男「これが……武器召喚……」
魔少女「魔力が……信じられない程の魔力が発せられています……ただ余波のようなモノが流れているだけなのに……」
カウボーイがキラーマシンを武器召喚すると、カウボーイの手には大きなボウガンのような武器が現れた。
カウボーイ「『ビッグボウガン』。まぁキラーマシンが装備している武器の1つだね。僕のような銃士に適した武器と言えば、やはり銃タイプだからねぇ」スッ……
バシュゥッ!!
蔓人形【】ズンッ!!
カウボーイがビッグボウガンの引き金を引くと、大きな矢が放たれ何処からか現れていた蔓人形が爆散する。
あまりの矢の威力に、着弾した衝撃によるモノのようだ。
そして矢はボウガンに自動装填される。
276 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:53:15.83 ID:tTfDZAmE0
トレント【ボォォォオオオオオッ!!!!】ズンッ!!ズンッ!!!
蔓人形×50【】シュルシュルシュルッ!!!
男「うわ、多っ!!何だコイツ等!?」
カウボーイ「あー……多分僕のせいだろうね。トレントの討ち漏らしが追いかけてきたんだろうねぇ」
魔少女「完全に囲まれていますね……とはいえ、あの蔓の魔物程度ならば、一方向に集中して攻撃すれば退路は開けると思います」
カウボーイ「いやぁ……別にいいよ?俺が全部ヤるから。君達にこの召喚武器の戦技の1つを見せてあげる。俺から離れちゃあ……ダメだよ?」スッ……
カウボーイの纏う空気が変わる。どうやら戦闘体勢に入ったようだ。
ブゥンッ……
魔少女「アレは……空間魔法?」
同時に、空中に幾つもの黒い穴が開く。
見たところ、魔少女が荷物を取り出すのに使った空間魔法に酷似している。
カウボーイ「召喚戦技……『レイニーエビル・ビッグボウガン』」
そしてカウボーイが引き金を引いた瞬間
277 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:56:14.49 ID:tTfDZAmE0
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!
空中に現れた幾つもの黒い穴から、大きく太いボウガンの矢……というよりもはや槍が、正確に魔物達の群れを貫いていく。
蔓人形はともかく、トレントの巨体すらも一瞬で爆散していくその様は、正に虐殺であった。
カウボーイ「ふぅ……とまぁ、これが召喚武器ってヤツさ。参考になったかな?」ニコッ
男「正直レベルの次元が違いすぎて……現実じゃなくて映画見てる気分っすね」ゴクリッ……
魔少女「こんなの……例え私の極大魔法が完成しても足元にも及びませんね……」
ザァァァァァ…………
静かに流れていく滝の音。
眼下には数十の魔物とその数倍の槍のようなボウガンの矢の雨の跡。
初めて見る世界上位クラスの実力者の戦いに、男と魔少女はただただ呆然とし、同時に戦慄していた。
278 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:58:13.95 ID:tTfDZAmE0
ダンジョン『水見の滝』入り口
男「ふぅ……無事に戻ってこれたな」
魔少女「何だかんだで……今日は危ない橋を渡ってしまいましたね。リターンは十分にありましたけど」
無事に目的の水晶に、おまけの魔力結晶まで手に入れた2人は、山頂の出口からダンジョンの外へと抜け出した。
カウボーイ「まだ夕方か……どうせだから荷物を換金した後に、駅前でご飯でも食べていくかい?」
男「お、いいっすねぇ。あ、俺らは役所に新エリアの報告もしないと」
魔少女「そうですね……色々戦い方について聞きたい事もありますし」
ブゥンッ……
カウボーイ「よーし。そうと決まれば早速」ガシィッ!!
その瞬間、唐突に発生した空間の穴から、カウボーイの腕を掴む両手が現れた。
279 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 11:59:48.62 ID:tTfDZAmE0
カウボーイ「ゲッ!?マズイ」
ォォォォォォオオオォォォォオオオッ…………
「社ァァァアア長ォォォォォオオオッ!!!!」ズォオオッ!!
ォォォォォォオオオォォォォオオオッ………
男「ひぃぃぃいいいっ!!!!」
魔少女「 」( ゚д゚)
そしてすぐに、その穴から1人の女性が這い出てきた。まるで某TVから出てくるあの人のように。
その風貌は、顔の上半分が見えない程の長い黒髪に羽織った黒いローブ。
誰もがこの女性を見てこの名をイメージするだろう。
『魔女』と。
280 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 12:02:57.67 ID:tTfDZAmE0
魔少女「ダ……ダンジョンの外なのに……自分自身を空間移動させるなんて……」
魔女「やぁっと見つけた!!アンタ一体、たかがランク2のダンジョンから帰ってくるのにどれだけ時間かかってんだよ!!」
カウボーイ「いや、魔女ちゃん。これには深い理由がね……」
魔女「言い訳すんな!!大体、社長のアンタが何で勝手に依頼を受けてんだ!?しかもタダで!!大方今日の夜の会食から逃げ出そうって魂胆なんだろうがそうはさせねぇぞ!?」
カウボーイ「いや、だってね?ギルドにこのっくらいの小さい女の子がなけなしのお小遣い持ってきて、『だんじょんでがんばってるおとうさんのためにつよいまものがほしい』なんて頼んでくるんだよ?そりゃあ男としていくしかないでし」
魔女「社長のテメェが行く理由になってねぇだろうがぁぁあああっ!!!!」ブンッ!!
カウボーイ「ぐはぁぁあああっ!!!」グシャァッ!!!
見た目は完全に陰キャラな魔女から繰り出された豪快な右ストレートによって、カウボーイは回転しながら地面へと倒れこむ。
281 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 12:05:07.83 ID:tTfDZAmE0
魔女「全くこのおっさんは……あ!?あ、えっと……わ、わたくし株式会社『RPG』で社長秘書をやらせていただいております魔女ともうします」ペコッ!ペコッ!!
男「あ……ど、どうも……」
魔少女「あんな細い身体から……凄いパワーです……」
カウボーイ相手に凄んだ時とは一転、?然としてその光景を見ていた2人に対し、魔女は全力で腰を低くしながら社会人っぽい挨拶をしてきた。
魔女「えっとえっと、初めて会う人には名刺名刺、あれ!?」アタフタ
カウボーイ「ふふふ……彼女は昔、日本でもトップを争うレディースチーム『魔慈餓瑠(マジカル)☆』の総長だったんだがね……昔、僕がスカウトして立派な秘書兼探索者に育てあげたんだよ。
これがまたいわゆる丁寧語のコミュ障ってヤツで、今でもお客さんとか社外の人への丁寧な応対が不器用で一生懸命で拙いのが可愛くて可愛ぐ」グシャァッ!!
魔女「社長ォォォォォオオオッ!!!テメェ昔の話はすんなって何べん言ったらわかんだゴラァァァァアアアッ!!!」
魔少女「今……髪に隠れた顔が見えましたが、物凄い美人ですよ」ヒソヒソ
男「え?マジ?超見てぇ」
282 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 12:09:58.17 ID:tTfDZAmE0
…………
男「ていうかおっちゃん社長だったんすか?ギルドなのに?」
カウボーイ「うん。ウチは小さなギルドから始めて今じゃあダンジョン発掘・貿易・アイテム開発・若手探索者育成と幅広くやってるからねぇ。で、名目上社長って枠に僕がいるってわけ」
魔少女「じゃあ……その格好も……」
カウボーイ「そー、僕の指示。やっぱり幅広い層から依頼を得るには目立ってなんぼの世界だからねぇ」
魔女「お陰でアタシまでこんな格好……マジで動き辛いったらありゃしない……」ブツブツ……
魔少女「魔女さんも……魔法使いなんですね。私もなんです」
魔女「え!?あ、えっと、そそうです!わたくしも僭越ながら魔法を少々取り扱っておりまして」アセアセ
魔少女「あの……普通に喋っていただければ……」
カウボーイ「彼女……言っとくけど強いよ?何ていうか……火力バカってヤツだから」
男「凄い魔法を使えるってことですか?でも……失礼かもすけどそんな凄い知識を持った人には見えないなー」
カウボーイ「まぁ元ヤンだからねぇ。使える魔法も基本的なのかシンプルなモノばかりで複合魔法も精々2種複合を数種類が限界。
だけどさ……彼女反則的な魔力容量と出力を持っててね?ただの初歩魔法が並の上位魔法より火力出るんだよ」
男「え?それ完全にチートじゃないですか」
カウボーイ「もしもあの子が極大魔法なんて覚えて使ったら、世界は簡単に消滅しちゃうだろうねぇ」ハッハッハ
男「よかった……失礼だけど馬鹿でよかった……」
魔少女「ダンジョンの外なのに……人間を移動させる空間魔法。凄いです!一体どれだけ複雑かつ強力な魔法が」キラキラ
魔女「あ、いやえと、わわたくしはですね!ただ思いっきり力を込めているだけででして、あまり術式とかそそういうのはちょっと」アセアセ
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/18(日) 12:10:32.82 ID:8smR8yIJo
前科持ちでも冒険者にとっては箔付けになるか
284 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 12:12:27.47 ID:tTfDZAmE0
…………
カウボーイ「というわけで、そろそろ僕はギルドに戻るとするよ。僕の名刺渡したよね?それがあれば多分ウチのギルドや会社にフリーパスだから、いつでも遊びに来て痛い!痛いって魔女ちゃん!!」
魔女「ほら!早く行けってんだよ!!一体どんだけ予定が詰まってると思ってんだ!!」ゲシッ!ゲシッ!!
魔女が絶大な魔力量で無理矢理開けて何処かに繋いだ空間の穴……いわゆる『ゲート』に、カウボーイが尻を蹴飛ばされながら魔女に詰め込まれる。
魔女「えっとえっと……そ、それでは失礼いたしまふる!!」ブゥンッ!!
恐らく噛んだのであろう魔女が穴に入ると、空間に空いた穴は消え、残されたのは男と魔少女の2人となった。
魔少女「嵐のような……すごい人達でしたね」
男「そうだな……さて、役所で換金して新しいエリアの報告をして、飯でも食ったら帰るか」
魔少女「そうですね……今日の遠征は大成功と言えるでしょうし、報告の報奨金で美味しいモノを食べましょう」
285 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 12:15:31.60 ID:tTfDZAmE0
ダンジョン生活4日目
水見の滝 クリア
リザルト
水見の滝の水晶 材料納品
魔力結晶ランク1 材料納品
丈夫な蔓 8ゴールド
赤い植物の種 5ゴールド
蔓人形の心×2 10ゴールド
鉄の剣 お持ち帰り
リュックサック お持ち帰り
木製バット(戦技:爆破?)お持ち帰り
安物のブレスレット(未鑑定品)お持ち帰り
ゴーレムの心 お持ち帰り
新エリア発見報酬 180ゴールド
水見駅前定食屋『滝処ろ』
店長オススメセット×2 30ゴールド
みたらし団子×5 15ゴールド
帰りの電車賃15ゴールド
『143ゴールド獲得』
男「お前団子食いすぎだろ」
魔少女「先輩の……回復に魔力を使ってお腹減ってましたから……」モグモグ
男「そういや何でレッドブ○で魔力全回復出来んの?」
魔少女「カフェイン飲料や栄養ドリンクは……一時的な魔力回復にかなり効果的ですよ。今反動がきてますけど」モグモグ
286 :
◆A.DGm5tRfU
[saga]:2016/09/18(日) 12:21:29.97 ID:tTfDZAmE0
投下終了です。
魔女さんが初歩魔法を使えば敵がヤバイ。
魔女さんが複合魔法を使えばダンジョンがヤバイ。
魔女さんが極大魔法を使えば世界がヤバイ。
そんな感じの人です。ではまた。
>>283
ダンジョン関係の仕事は実力が全てなのでアウトローな方達も活躍しております。
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/18(日) 12:23:17.31 ID:6laB6BcoO
カウボーイすこ
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/18(日) 12:28:46.45 ID:8smR8yIJo
乙でしたー
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/18(日) 17:22:24.10 ID:dPg0W4910
おつ
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