男「はぁ?ダンジョンに行ってこいって?」

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151 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/22(月) 22:42:13.60 ID:p7exulLn0
魔少女「今すぐにでも……強くならなきゃ……私が先輩を守らなきゃ……」


男「……はぁ?」


魔少女「昨日あのおじいさんの話を聞いて……少し怖くなったんです。やっぱりダンジョンっていうのは危険なところなんだって……一歩間違えれば命を落とすんだって……」


男「…………」


魔少女「思えば……先輩が昨日アリの大群に追いかけられた時も、もしかしたら死んじゃってたかもって思ったら……私怖くて……もっと先輩を守れるように強くならなきゃって……」


男「そぉい!!」ブンッ!!


魔少女「あ痛ッ!!」ビシィッ!!


男のチョップが、魔少女の頭へと突き刺さる。
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 22:43:26.52 ID:qrFfVhkqO
魔少女ちゃんかわいい
153 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/22(月) 22:46:30.95 ID:p7exulLn0
魔少女「な……何ですか?」オロオロ

男「昨日助けてくれたのは感謝してる。が!!お前に守られっぱなしになる筋合いはねぇ!!」

魔少女「……え?」

男「さっきから聞いてりゃー先輩を守らなきゃー守らなきゃーって、お前は俺のオカンか!!そんなもんあのクソババァで間に合っとるわ!!」

魔少女「だって……先輩実際まだ弱い」

男「うっせーバーカッ!バーカバーカッ!!」

魔少女「な……し、小学生みたいな事言わないでください」

男「その小学生にお前は助けられたんだよバーカ!!いいか?何の為に2人でダンジョンに入ってんだ?お互いに助け合う為にだろうが!!
勝手に上から見下してんじゃねーよこの馬鹿ガキ!」
154 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/22(月) 22:51:24.28 ID:p7exulLn0
魔少女「見下すって……そんな……つもりは……」

男「いーや!あるね!!お前は無意識に俺の事見下してんだよ」

魔少女「違……いま……す……」プルプル……


男「そりゃあダンジョンなんざ来たことないから今はお前に世話かけっぱなしだけどなぁ!俺だって今から」




魔少女「だから!!違うって言ってるじゃないですかぁぁぁあああああ"あ"あ"あ"っ!!!!!」

男「うぉっ!?」ビクゥッ!!


魔少女「う"ぁぁああああああ"あ"あ"ああ"あ"っ!!!!」


魔少女は泣き出した。

男は驚いている。



魔少女「わだしはぁあ!!○○くんに危ない目にあっでほしぐないからぁぁああ!!だがらいっしょうげんめい頑張ってるのにぃぃぃいいいい"い"い"い"」

男「え?ちょ、魔少女?」



魔少女は盛大に泣き出した。

男に効果は抜群だ。




魔少女「ぞれなのにぃみぐだしてるとかぁぁぁあ!!そんなわげないのにぃぃぃいいいい!!!むがじまもっでぐれだからぁ!づぎはわたじがぁぁぁあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"」


男「わ、わかった!ゴメン!俺が悪かったから!!な!?」


魔少女「ばがぁぁぁぁぁああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!」



ずっと魔少女のターンが続き、最終的には男が土下座し続けてようやく魔少女は泣き止んだ。
155 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/22(月) 22:59:49.62 ID:p7exulLn0
……………………




魔少女「…………」グスッ……

男「なぁ、機嫌直せよ魔少女」

魔少女「……嫌です……」

男「あーもー悪かったって。ありがとな、守ろうとしてくれて」

魔少女「…………歩きたくない…………」

男「え?」

魔少女「歩きたくないから……出口まではおぶってってください……」

男「はぁ……ハイハイわかりましたよ魔少女様っと」ヨッ




…………出口進行中…………



男「しっかし魔少女があんだけ泣くのを見るなんていつぶりだろうな。小さい頃はやんちゃでよくあんな感じでビービー泣いてたもんな」

魔少女「…………知りません…………」


男「んでしばらく会わなくなって、同じ高校目指してるからってまた会うようになって。久しぶりに見たらえらい大人しそうな子になっててびっくりしたなー」

魔少女「……先輩は……」

男「ん?」

魔少女「大人しくない……活発な私がいいですか?」

男「別にどっちでもー。どんな魔少女でも大事な妹分だからな」

魔少女「…………はい…………」ギュッ……



男「そういや久しぶりに魔少女に○○くんって呼ばれたな」

魔少女「……覚えてません……」



本日の成果

戦利品 無し(魔少女救出の為、草原に置いてきたまま)
スライムの心×7



修理代 残り1500ゴールド
所持金 残り17ゴールド
156 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/22(月) 23:04:03.07 ID:p7exulLn0
投下終了です。魔少女ガン泣き回でした。
とりあえず2人は恋愛関係ではなく親愛関係です。
そろそろチュートリアルダンジョンではなく、固定マップダンジョンやりたいですねー。
ではまた。
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 23:12:57.18 ID:a9VMChv60
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 23:30:59.89 ID:qrFfVhkqO
おつおつ
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/31(水) 15:31:16.37 ID:yw4Lo6pc0
保守
160 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 16:28:15.51 ID:O8GMexQM0
こんにちわ、1です。投下していきます。
161 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 16:29:17.00 ID:O8GMexQM0
オートマタ素材納品期限まであと12日




男「……しんどい……」


ダンジョン生活3日目。


2日連続でダンジョンに入り、前日は魔少女と色々あった為、男の疲労はピークに達していた。


♪ライ〜ン♪

男「んあー?魔少女からか?」ピッ


『今日はゆっくりしてください。昨日やった魔力操作の練習だけはお忘れなく』


男「流石にあのスパルタ魔少女も今日は休みか……よっと」


男はグラスに水を注ぎ、両手をそえて集中する。

魔少女いわく、この練習は反復して感覚を馴染ませることが重要だそうだ。

戦技を使うにしろ召喚を使うにしろ、素早く無駄な魔力消費を抑える事が魔物との戦いの分かれ目となる。

その為に、毎日欠かさず行う事を、魔少女に強く言われていた。
最終目標は、呼吸をするのと同じ感覚で魔力の操作が出来るようにする事である。

男「といってもずっとやり続けると腹減るんだよなぁ。今は金ないしクソババァは仕事だし。後でカップラーメンでも食うか」
162 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 16:30:26.50 ID:O8GMexQM0
市立図書館


魔少女「……ふむふむ……」

魔少女は、昨日やろうとした極大呪文の理論を勉強する為に、図書館で魔導書を読んでいた。

ちなみに魔導書は、ダンジョンで拾う事もある。
高いランクのダンジョンにもなると、未知なる魔法も記されている為、高値で取引されているのだ。

ちなみに、それらの魔導書の詳しい内容をネットに書き込もうとすると、何故か文字化けするらしい。
複製禁止の魔法でも掛けられているのだろうか。

魔少女「んー……やはり根本的に技術が足りないようですね……地道に練習するしか……」

小さい頃から何度も読んできた図書館の魔導書だ。
内容は完璧に覚えているが、技術が足りないのはどうしよもない。
昨日に男が言った通り、地道に練習するしかなさそうだ。


魔少女「しかし……あれくらいで取り乱すとは、私もまだまだですね……」ハァッ……

不意に昨日の失態を思い出す。
彼処まで感情を剥き出しにしたのは何年ぶりだろうか。
163 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 16:53:31.69 ID:O8GMexQM0
「あれ?魔少女じゃん!おっすおっす!!」イェーイ

魔少女「……おっす……」イェーイ

「何読んでるの?あ、また魔法の本?飽きないわねーアンタも」

魔少女「理解出来れば……結構面白いですよ」

「そんなもんなの?あ、そういえばアンタどうなったのよ例の先輩と。昨日も一緒にダンジョン入ったんでしょ?」

魔少女「……昨日は……怒られちゃいました」

「え?何それ。アンタ何かやらかしたの?」

魔少女「まぁ色々……でも仲直りはしました」

「ふーん……何でアンタ達付き合ってないの?」

魔少女「私と先輩は……そういうのじゃないですから」

「わかんないなー。……あ、じゃあもし先輩が別の誰かと付き合いそうになったら」

魔少女「じっくりその女性と話し合います」ゴゴゴゴゴゴッ…………

「あ、はい」

「図書館ですのでお静かに」

魔少女「あ……はい」
164 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 17:05:21.75 ID:O8GMexQM0
男「……暇だな……」

ここ2日間が刺激的過ぎた為か、平和な日常が少し退屈に思えてきたようだ。
誰かの思惑通り、順調にダンジョンにハマっているようだ。

男「んー……そういやダンジョン系の学校ってどんなのがあるんだろうな」ピッ

おもむろに携帯を取り出し、ダンジョン専攻の大学や専門学校を探し始める。

男「うわ、偏差値高っ。今から入ろうと思うとかなり頑張らなきゃ無理だなぁ。専門は金めっちゃかかりそうだし……」

ダンジョン系の学科は、現地実習などが多い為に、授業料がバカ高い。専門学校ではなおさら高くなるだろう。


男「それに……条件が入試までに危険度ランク8以上の許可証が必要……か。これが一番しんどいんじゃないか?」


現在、男は学校の実習により、危険度ランク2までの許可を持っている。
これは、高校生以上ならば殆どの人間が持つ資格だ。
ダンジョンに入るにしろ入らないにしろ、とりあえずとっとけという制度である。


しかし、そこから上のランクに上がるには、国際ダンジョン協会の試験を受けなければならない。

試験はランクが1上がる毎に行われ、上に上がるにつれて要求される実力がどんどん上がっていく。


今の男の実力では、ランク3に上がれるかはよくて五分五分だろう。
なんせまだランク2のダンジョンにすら入った事がないのだから。


男「将来か……少し真面目に考えてみっかな……」
165 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 17:32:33.78 ID:O8GMexQM0
ダンジョン生活4日目

オートマタ素材納品期限まであと12日



『今日はエリスの修理素材を採りにいきましょう。13時に駅前集合です。お昼はしっかり食べてきてください、』


男「エリス?……あぁ、あのオートマタの事か。素材って何か取れるモンあったっけな?」ピッ

男は、携帯に保存していた修理材料リストを開く。





魔導回路用の水晶 150ゴールド 水見市のダンジョン ランク2

人皮樹脂 60ゴールド

冷却用オイル 40ゴールド

魔導コア用の魔力結晶ランク1
250ゴールド ダンジョン レア

オートマタの服(お好み)
オートマタの武装(付けたいなら)


男「こん中だったら……水晶か魔力結晶かな?他は買わなきゃいけないだろうし。そういや水晶のある水見市って何処だっけ?」ピッ


男は携帯で検索すると、どうやらここから電車で1時間ほど離れた山間の町だそうだ。

2人分の電車代だけで、所持金がちょうど底をつく。


男「あー……これだろうなー……探索失敗したら帰れねぇなこりゃあ」
166 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 18:01:45.25 ID:O8GMexQM0
駅前広場


魔少女「正解です……流石先輩」

男「お前なら考えそうな事だからなぁ。背水の陣ってヤツか」

行きの電車代だけで所持金が無くなる為、このダンジョン探索を失敗すれば、最悪交番でお金を借りて帰るしかない。

魔少女「先輩の昨日の動きを見た限り……ランク2でも通用するハズと考えました。昨日みたいなアクシデントがない限り……成功は7割を超えるかと」

男「まぁ、ここらでかなり稼がないとなぁ……1500ゴールドの道のりは険しいわ」ハァッ……

魔少女「1つランクが上がれば……稼げるお金もかなり違いますよ。では出発しましょう」

男「はいよー。しっかし1時間の電車とはちょっとした旅だな。金ないけど駅弁が欲しくなるわ」

魔少女「一応……お弁当なら作ってきました。食べたくなったら言ってください」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/31(水) 18:05:04.27 ID:0tDuFCpuO
これは美少女天使魔少女ちゃん
168 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 18:10:46.58 ID:O8GMexQM0
40分後


電車内


次は〜○○、次は〜○○

男「乗客えらい減ったな」

魔少女「この路線は……元々使用者が多いわけではないですからね。この先に向かうのは山の方のダンジョンに向かう人くらいです」

男「なるほどねー。じゃあ、この車両に残ってんのはダンジョン目的の人らって訳か」チラッ


男が周囲を見ると、大剣を側に置いたヘッドホンをつけた青年と、様々な召喚用装飾品を身にまとった女性のペアが見えた。
見る限り、かなりの上級者に思える。


魔少女「私達が向かっているダンジョンの他にも……高ランクダンジョンがいくつかあります。他の皆さんはそちらにいかれるかと」

男「そうなのか。確かにわざわざランク2のダンジョンに何て行きそうにない装備だよな。……ただ……」チラッ

男が再度周囲を見渡す。

そして乗車口の前に立っている1人の中年くらいの男を見る。
169 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 18:16:14.29 ID:O8GMexQM0
男「……何かカウボーイみたいなのがいるんだが……」ヒソヒソ

魔少女「見ては……ダメです」ヒソヒソ


カウボーイ「…………」


上はカウボーイハット、下はウエスタンブーツと全身西部時代からやってきたかのような装いの男は静かに外を眺めていた。

また、身長が高く割とダンディーな顔つきな為、カウボーイファッションが似合ってるっちゃ似合っている。
更に、両腰のホルスターに2丁、両脇ガンポケットに2丁、リボルバーが入っている。
恐らく、彼もダンジョン探検者なのだろう。


男「何で4丁も持ってんのかな?」ヒソヒソ

魔少女「それぞれに……違ったいくつもの魔力を感じます。恐らく戦技毎に使い分けているのではないかと」ヒソヒソ


武器にもよるが、1つの武器に取り付けられる戦技は基本、1つという訳ではない。
しかし有限には違いないので、武器を複数持つ者も多い。
170 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 18:17:27.94 ID:O8GMexQM0
男「へぇー……じゃああのカウボーイも強いのかな?」ヒソヒソ

魔少女「恐らく……もしもあの4丁全てを使いこなすのなら、とんでもない強さかと」ヒソヒソ


次は〜水見〜、次は〜水見〜、各ダンジョンへお降りの方は〜次でお降り下さい〜


男「あ、着いた。いよいよランク2のダンジョンかー」

魔少女「大丈夫です……今回は私が側にいますから」

男「あいよ、まぁー頼みにしてるわ」
171 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 18:20:10.83 ID:O8GMexQM0
水見駅前


ガヤガヤ
ガヤガヤ


男「おー、意外と人多いんだな。こんな山間の町なのに」

魔少女「そうですね……高ランクのダンジョンがある街は、物資と人の出入りが激しいですから」

男「そうなのか?」

魔少女「えぇ……外からくるダンジョン専門の業者や探検家、それらが回収してくる資源を買い取る小売業者や運輸業者。医療機関や武具の加工職人や露店、飲食店と、例を挙げればキリがないです。
それに……観光地としても活用出来ますからね」

男「なるほどなー。ちなみにこの町にはどんくらいダンジョンがあるんだ?」

魔少女「観光ガイドブックによると……全部で4つですね。高ランクから、24、21、12、2です。私達がこれから行くのはランク2の『水見の滝』ダンジョンですね」

男「ランク24か……それってどんくらい凄いんだろうな」

魔少女「この間……ダンジョンでトレントと遭遇しましたよね?アレがランク10相当の魔物です。
この町にいる大抵の探索者は、アレを簡単に倒せてしまうんでしょうね」

男「うっひゃあー、凄い人達ばっかなんだなー」

魔少女「ちなみに……日本の3大最高ランクダンジョンは60〜65で、富士山頂にあるダンジョン『高天原』、東京新宿にあるダンジョン『無限城』、屋久島にあるダンジョン『シシガミの樹海』です」

男「そんなとこに入ったら俺らなんか5秒で死ぬだろうな」

魔少女「私は……1分保ちます」ドヤッ
172 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 18:21:32.99 ID:O8GMexQM0
…………



男「んじゃ、早速その『水見の滝』ってところに行くか。どこにあんだ?」

魔少女「あの山の麓に……入り口があるそうです。ちなみに中は固定型のダンジョンになっており、出口に向かうには更に山を登っていきます」

男「うわ……山登りとかマジかよ……てか魔少女、お前の運動神経でクリアできんのか?」

魔少女「そうですね……こんな時の為に登山用の靴と、折り畳み杖を持ってきてますので」カチカチッ

男「準備万端じゃねーか。はぁ……明日もまた筋肉痛だなこりゃ」











水見市ダンジョン 『水見の滝』


出現時期 35年前

危険度ランク 2

主な魔物 ????
173 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/31(水) 18:22:47.76 ID:O8GMexQM0
投下終了です。いい嫁さんですよね魔少女。
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/31(水) 18:29:04.91 ID:0hoql3LkO
オホー乙乙

現実にもダンジョンが有れば…
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/31(水) 22:41:21.87 ID:NfF5BTZo0
乙、この設定大好き、なんか元ネタあるのか?
一見平和に見えるけどダンジョンが発生し始めた頃は結構な死人が出てるんだろうな
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/01(木) 02:05:51.86 ID:cvxC5q3uo
突然世界にダンジョンが発生し始めて…っていうのは割と聞く気もする
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/01(木) 13:32:51.68 ID:mlVt0DbXO
元ネタは不思議なダンジョン系だろうな。この世界なら仕事が楽しそう。命懸けだろうけど
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/01(木) 17:41:56.54 ID:vNgjGSWAO
不思議のダンジョンは知ってるが現代舞台とそれに合わせた魔物の心のダンジョン内限定仕様、魔導書の文字化けとかの細かい設定が好きなんだ
ひょっとしたら最近のなろう小説とかラノベに元ネタあるのかと思ったんだよ
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/03(土) 15:10:01.63 ID:VFdu222Y0
こんにちわ、1です。
投下していきます。

>>174
>>175
>>176
>>177
ありがとうございます。のんびり進めていきます。
>>178
元ネタは不思議なダンジョン以外は正直ないですねぇ……しいていうならシャドウハーツやペルソナかな?現代社会にダンジョンあったらどうすんのやろという感じなので。
細かい設定は大まかに考えて矛盾が見つかったら解決策を探す感じでできていきます。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 15:30:18.98 ID:be6c3QCGO
キター
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 17:39:30.98 ID:be6c3QCGO
........まだかな?
182 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/03(土) 17:51:21.81 ID:VFdu222Y0
『水見の滝 山の麓』









ザァァァァァァァァアアアアッ…………



男「いい具合に涼しいダンジョンだなー。虫に刺されそうだけど」

魔少女「こんな事もあろうかと……虫除けスプレーです」プシューッ

男「うぇっ!?いきなり人にかけんじゃねぇよ」ゴホッ!


麓付近にあった入り口から、2人はダンジョンに入る。
駅前にいた殆どの探索者は別にある高ランクのダンジョンへと向かったようで、周辺にはちょっとした素材を取りに来た者や、2人と同じ様にこのダンジョンの奥にある水晶を採りに来た者達が数人いる程度だ。


ダンジョンの中は、外と余り変わらない景色であった。

木々が生い茂り、川の水が流れる音が何処からか聞こえてくる。山頂までの道のりには、ある程度舗装された道。
草むらの中を突っ切るような事にはならないようだ。


外と違うのは、何処からか大きな滝の音が聞こえてきる事と













大ミミズ【ギシャァァアアアッ!!】

業者「戦技!『雷の杖』!!」バリバリバリッ!!!

大ミミズ【ギャァァァアアアッ!!】バリバリバリッ!!!


魔物が出て、探索者達との戦闘があちこちで始まってるくらいである。
183 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/03(土) 18:02:30.41 ID:N6RlCXYdO
男「おぉ!!流石プロの探索屋だな。2mくらいありそうなミミズを一撃で倒してるぞ。アレも戦技なのか?」

魔少女「そうですね……魔法とは違い、武器自体の力を使ってますので。威力は大したことがないですが、魔力の操作が出来れば誰でも使えます」

男「へぇー。俺のあの『何か凄い突き』よりは強そうだけどなー」

魔少女「合成戦技とはいえ……所詮ランク1相当の戦技ですから。先輩が剣道をやっていたのでそれなり有効に使えますが」

男「本来ならもうちょい弱い戦技なのね。てか思ったけど、プロの人らについてけば俺ら楽出来るんじゃね?」

魔少女「それでは……つまらないでしょ?」


男「まぁ確かに」
184 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/03(土) 18:34:14.13 ID:N6RlCXYdO

『立て看板』

左 静寂の小川
前 水見の滝
右 森人の憩い場(トレント注意!!)


魔少女「……どうします?」

男「右はダメだろ。絶対またトレントが出てくるパターンだろ」

魔少女「ですね……では換金素材を集める為にも左に寄り道しますか?」

男「いや、このまま真っ直ぐ水晶のある滝に向かう」

魔少女「ほう……それは何故?」

男「今回の遠征で資金は空っぽだろ?万が一にも失敗は許されないわけだ。
なら極力危険は避ける。最低限、エリスの為に水晶を取って帰るくらいの気持ちで丁度いいだろ。換金素材はその道中で戦ったり拾えるもので帰り賃くらいにはなる」

魔少女「先輩……考え無しに見えて意外に色々考えていたんですね……」

男「おいコラ」

魔少女「確かに……今回の最優先は無事に水晶を持ち帰る事です。それでは、できるだけ最短コースでクリアしましょう」



ガサガサガサッ!!


男「ッ!?おい、魔少女」

魔少女「えぇ……何か来ます」

進行ルートを決めた矢先、近くの茂みからガサガサと音が聞こえてくる。
どうやら、早速お出ましのようである。
185 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/03(土) 18:57:35.47 ID:VFdu222Y0
シュルシュルシュルシュルッ!!!!

男「植物?めっちゃ蠢いてるけど」

蔓人形【…………】シュルシュルッ……


男「植物の蔓が集まって人型になりやがった……魔少女!解説!!」

魔少女「ガイドブックによると……その姿そのままに、『蔓人形』と呼ばれる魔物のようです。
ダンジョンの魔力によって自由に動くようになった植物が集まって人型を模した魔物……弱点は火ですね。焼きますか?」

男「いや、1匹だけなら俺がやる」


蔓人形の大きさは男とほぼ同じくらい。
ダンジョン探索のウォーミングアップには丁度いい相手である。

蔓人形【】ググググッ……

ブンッ!!

男「おっとぉ!!」パシィインッ!!

蔓人形の腕がムチのように男へと振り下ろされ、男はそれを横に躱す。
植物のしなやかな蔓によって生み出される威力は、本物のムチのようにまともに当たれば悶絶するだろう。

男「振り下ろすのは速いけど、予備動作がノロすぎてバレバレだっつーの!!」ブンッ!!

躱すと同時に、男は銅の剣を振り下ろす。
加工屋のサービスによって丁寧に研がれた剣は、銅の剣とは思えない斬れ味で蔓人形の銅を真っ二つに分けた。

男「うっし!まぁこんなもんだな」

魔少女「流石に……動きはいいですね。でもまだですよ」
186 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/03(土) 19:20:31.79 ID:VFdu222Y0
蔓人形【】シュルシュルシュルシュルッ!!!

蔓人形の身体を構成する蔓が、分かれた胴体を再び繋ぎ合せようとする。
生命力の続く限り、蔓人形を倒しきることは出来ない。

男「よ!い!しょぉぉおお!!!」ブンッ!ブンッ!ブンッ!!

男は更に3度の斬撃を加え、蔓人形の生命力を尽きさせる。

シュゥゥウッ……

男「おっし撃破!コイツも1匹なら問題ねぇな」

魔少女「えっと……『丈夫な蔓』ゲットです」ゴソゴソ

男「お、それいくら?」

魔少女「1メーターで2ゴールドです……荷造り用の紐に使われますね」

男「……乱獲しまくるか?」

魔少女「持てる量も限られますし……落ちてるアイテムを拾った方が効率よさそうです。あ、『目覚まし時計』ゲットです」ヒョイ

男「山の中に目覚まし時計……謎だな。流石ダンジョン。……ん?」

蔓人形×4【】シュルシュルッ……

男「本格的においでなすったな……魔少女、何か手ある?」

魔少女「そうですね……先輩がまだまだ頑張れるなら……『エンチャント・ファイア』」ボゥッ!

男「おぉ、銅の剣が燃えた」

魔少女「とりあえず……簡単な魔法剣です。これでさっきより楽に倒せますよ」

男「よっしゃあ!!んじゃあ、片っ端からやってやるか!!」
187 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/03(土) 19:22:10.40 ID:VFdu222Y0
『水見の滝 森人の憩い場』



カウボーイ「…………」

トレントA【ボォォオオオッ…………】

男と魔少女と共に電車に乗っていたカウボーイは、同じダンジョンのトレントのテリトリーにいた。

どうやら男達より先にダンジョンに入っていたようだ。




トレントB【ボォォオオオッ……】ズンッ!

更にもう一体のトレントが現れる。

トレントはテリトリーに入った森を荒らすを追い払う森の守り人。森に対して敵意がなければ特に警戒する必要はない。


しかし、敵意ある者がそのテリトリーで囲まれると、命に関わる。


カウボーイ「……戦技……」スッ……

カウボーイが、4つの拳銃の1つ、リボルバーを片手に持つ。

そして、もう片方の手を撃鉄に添え



カウボーイ「『炸裂弾』」ダダダァァアアアンッ!!!!



限りなく1つに近い、3つの銃声が辺りに鳴り響く。
188 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/03(土) 19:33:20.22 ID:VFdu222Y0
カッ!!

ドドドォォォオオオオオオンッ!!!!

その瞬間、正面のトレントの巨体から、閃光と共に大きな爆炎が生まれる。

トレントA【ッ…………】ズズゥゥゥウンッ!!!

内側から爆発したかのようにトレントの巨体は燃え盛り、そのままその場に倒れる。


トレントB【ボォォオオオッ!!!】ブンッ!!

カウボーイ「」チャキッ


直後怒り狂ったように、もう一体のトレントが腕のように太く巨大に編み込まれた枝を、拳のようにカウボーイへと振り下ろす。

同時にカウボーイは、別の拳銃を自分のこめかみに当てる。

ドォォォオオオオオオンッ!!!

トレントの一撃が地に突き刺さる。
ただそれだけで、ダンジョン内に地震が起きたと錯覚しそうな地響きが辺りに鳴り響いた。


カウボーイ「『転移弾』」チャキッ


カウボーイは何事も無かったかのようにトレントの巨体の肩辺りに乗り、再びリボルバーを構え

ダァンッ!!!

1発の銃声が鳴り響くと共に、再び巨体が倒れたような地響きが辺りに鳴り響いた。
189 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/03(土) 19:35:54.48 ID:VFdu222Y0
カウボーイ「『巨木の心』……依頼達成だな。2体で済んだのは運が良かったな、お前達」

2体目に倒したトレントから、カウボーイは魔物の心を得る。
その目の前には


トレント×3【ボォォオオオッ!!!!!】ズズゥゥゥウンッ!!!!

仲間を倒され、怒り狂ったトレント達が立ち塞がっていた。




カウボーイ「他の探索者達に矛先を向けられるのも迷惑な話だな……少し疲れるが」チャキッ

再び、カウボーイは片手をリボルバーの撃鉄に添える。

カウボーイ「『極氷弾』」

ダダダァァアアアンッ!!!
190 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/03(土) 19:37:40.70 ID:VFdu222Y0

…………


カウボーイ「さて……たまにはのんびりと散歩でもするか」


銃をホルスターに直し、カウボーイはダンジョンの出口である山頂へと歩み始める。



トレント【】ヒョォォォォオオオオッ…………



その背後には、完全に凍てついた三体のトレントが、全く動かずにそびえ立っていた。


カウボーイ「3日もすれば動けるようになるだろ。その頃には怒りを忘れてくれればいいが……森を荒らして悪かったな」
191 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/03(土) 19:41:47.11 ID:VFdu222Y0
投下終了です。
ちなみにカウボーイは別次元に強いです。
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 20:44:26.08 ID:j+fiR+H/o


こういうの大好物だわ
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/04(日) 01:59:18.69 ID:ZYLhwuRko

こういう強キャラといつか並ぶ日が楽しみ
194 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/04(日) 13:18:08.10 ID:lAHnQEwx0
こんにちは、1です。軽めに投下していきます。

>>192
>>193
ありがとうございます。引き続きヒマな時にどーぞ
195 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/04(日) 13:27:02.20 ID:lAHnQEwx0
……………………


男「おい……さっきから凄え音と振動が伝わってくるんだが」

蔓人形の群れを魔少女のエンチャントのおかげで楽に倒し、戦利品を回収している男達にも、カウボーイの戦闘の余波が伝わっていた。

魔少女「あの方角……恐らくトレントのテリトリーで誰かが戦っているのでしょう」

男「助けに行った方がいいんじゃないか?」

魔少女「いえ……その心配は無用かと」

男「何でわかんだよ」

魔少女「微かに……銃声が聞こえました。その後に爆発音と巨大な何かが倒れる音と振動……それが何度も。恐らくトレントは全滅しているでしょう」

男「マジか……あんなデカブツをそんなあっさり何匹も倒せるなんて人間技じゃねぇな」

魔少女「相当に……高ランクの探索者だと思われます。そして銃声……銃を使う強そうな人。さっき見ませんでしたか?」
196 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/04(日) 14:05:21.12 ID:lAHnQEwx0
男「さっき?……あ!!あのカウボーイか!!」

魔少女「あの人も……このダンジョンに来ていたようですね」

男「何でこんなランク2のダンジョンにいんのかな?」


魔少女「仕事か……または自分が使うモノでトレントの素材が必要だったのでしょう。このダンジョンは空間固定型なので、生態系が確立してますからね。
あの『森人の憩い場』に行けば高確率でトレントに遭遇出来るんでしょう」

男「ランク2ダンジョンなのにランク10のトレントが確定で出るっておかしくねーか?」

魔少女「トレント以外は……ランク2相当かそれ以下ですからね。それにトレントは森を無闇に荒らしたり敵意を持たない限り、人を無闇に襲う事はありません。
更に、固定型ダンジョンなのでテリトリーも決まっています。総合的に考えれば居ないのと同じなんでしょう」
197 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/04(日) 14:21:44.90 ID:lAHnQEwx0
男「あぁ成る程。お前森を荒らしまくったからたまたまいたトレントに襲われたんだもんな」

魔少女「……その節は……反省してます」

男「ま、心配なさそうなら俺らも先に進むか」

魔少女「そもそも……私はともかく先輩が助けにいったところでトレントの群れ相手には何も出来ませんけどね」ププッ

男「お前本当に反省してる?お前も流石に無理だろう」

魔少女「ふふ……私は今回から秘密兵器があるのです」ドヤッ

男「え?何それ超見たい」
198 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/04(日) 14:23:56.25 ID:lAHnQEwx0
1時間後


『水見の滝 山頂まで300m』



ザァァァァァアアアアッ!!

男「ふぅ……結構歩いたな」

魔少女「そうですね……」プルプル

男「お前足が産まれたての子鹿みたいになってんぞ?」

魔少女「少し疲れました……どこかで休みませんか?」プルプル

男「そうだなぁ……ん?」

男が周囲を確認すると、100mほど先に滝が見えた。
どうやらその周囲は開けた見通しの良い場所になっているようだ。

男「おい、あっちに滝があるぞ。どうせだから彼処までいって休憩しようぜ」

魔少女「……もう膝が……」プルプル

男「んだよだらしねぇなー。こんな山道でおんぶする訳にもいかねえし……蔓人形の心使うか?」

魔少女「いえ……もう少し秘密にしておきたかったのですが……出てきて!!」カッ !!
199 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/04(日) 14:26:22.58 ID:lAHnQEwx0
キングスライム『オッス』ボヨンッ

男「はぁっ!?」

魔少女の仲間として現れたのは、頭に被った王冠と普通のスライムより遥かに大きな体で、スライム達の王様っぽい風貌から名付けられたキングスライムであった。

ランクは15相当である。


男「いや待て。何でそんな魔物をお前が持ってんだ?」

魔少女「加工屋さんで作りました……裏技で」ニヤリ

男「裏技!?そんなのあんの!?」

キングスライ『アルデ』

男「喋った!?」

魔少女「前回……先輩スライムの心大量に拾いましたよね?」

男「あ?あぁ、全部で7個だな。お前が欲しいっていうから全部あげたけど」

魔少女「私が持っていたのと合わせて8個分……実はこれをある特定の組み合わせで強化していくと、キングスライムを作る事が出来るんです」ドヤッ

男「それ反則じゃね?低ランクのヤツなら無双状態じゃねーか」

キングスラ『ンナワケアラヘンヤロ』


男「うるせぇ!!」
200 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/04(日) 14:30:06.36 ID:lAHnQEwx0
魔少女「いえ……作り出したものの、戦闘に使うには魔力消費が凄まじいので、結局低ランクの人は使えないんです。
この私ですら、戦闘には今は10秒が限界……まさに切り札ですね」

男「そんなとっておきのモンを今出してどうすんだよバカ!」

魔少女「戦闘時以外なら……実は普通のスライム8体分程度しか消費しないんです。なので、通常はダンジョンでの荷物持ちに使ったり移動手段に使ったりします。
ダンジョン駆け出しの魔法使いや……魔物使い系の人には割と使える裏技なんですよ。昔トリビアの泉でも紹介されてました。
……加工代そこそこしましたけどね……お年玉使っちゃいました」ヨイショ

男「へぇ〜……うん、いや何ソイツの上に乗ってんのお前。何かそういう魔物いたよな確か」

魔少女「では……お先に滝まで行ってますね。あぁ……柔らかくて気持ちいい……」


キングス『オイテクデニイチャン』ボヨンッ!ボヨンッ!!


男「あ!待てこの野郎!!せめて俺も乗せろっつーの!!」ダッ!
201 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/04(日) 14:33:08.51 ID:lAHnQEwx0
投下終了です。
スライム8匹でキングスライムはドラクエネタです。現時点ではほぼ、宝の持ち腐れですね。

202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/04(日) 17:04:40.60 ID:QmbLLtJ6O
オモロイデニイチャン
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/07(水) 12:38:46.79 ID:J8QF+87Ao
おつ
素晴らしい
204 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 18:48:06.65 ID:TgFXkO7Y0
こんばんわ、1です。
今日もほどよく投下していきます。
205 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 19:32:39.98 ID:TgFXkO7Y0
『水見の滝 中流の滝』









ザァァァァァァァアアアアッ!!!!


魔少女「キングス……ありがとです」ナデナデ

キングス『ホナマタ』ボゥンッ!!

男「ハァッ、ハァッ、デカイくせにめちゃくちゃ速いなチクショウ……」

魔少女「ちょうど見通しもいいですし……ここで休憩しましょう。電車で食べなかったお弁当もありますし」バサバサッ

男「ピクニックシートなんて持ってきたのかよ、完全にピクニックだな。てか何処から出した?」

魔少女「最近……こういう嵩張る旅の荷物を別空間の保管場所から取り寄せられるように空間魔法を勉強してるんですよね」ジジジッ……

魔少女が手を広げると、直径30cmくらいの穴が空間に開く。
どうやらこの中に色々な道具を保管しているようだ。

男「それ四○元ポケッ○じゃねーか魔法凄ぇ!!……あれ?それ使えばダンジョンの道具持ち帰り放題じゃねぇの?」

魔少女「いえ……ダンジョンの道具は出口から脱出するか、脱出道具を使う事でしか持ち帰れないようです」

男「なるほど……ズルはできねぇんだな」

魔少女「なんにせよ……自分もダンジョンから出なければいけませんからね。お弁当食べながら戦利品の確認でもしましょうか」
206 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 19:38:08.96 ID:TgFXkO7Y0

……………………




丈夫な蔓 10ゴールド分
赤い植物の種 5ゴールド分
目覚まし時計 10ゴールド
リュックサック 15ゴールド
リュックサックに入っていたお菓子 消費
リュックサックに入っていた安物のブレスレット(魔物付)20ゴールド
リュックサックにくくられていた木製バット(戦技付)20ゴールド



男「もうお菓子くらいなら驚かねーや」モグモグ

魔少女「リュックサックは一瞬……別の探索者の荷物かと思いましたが、ゲームや映画でいう宝箱的なモノのようですね」

男「ゲームじゃあるまいし、宝箱なんてわかりやすいもの流石に置いてないよなー」
207 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 19:46:04.51 ID:TgFXkO7Y0
魔少女「そして……新しく武器と装飾品を初めて拾いましたが……」

男「これ戦技とか魔物の力がもう入ってるよな?使ってもいいのかな?」

魔少女「安全策をとるなら……持ち帰って業者さんに鑑定してもらうのが一番です。使うには通常通り魔力を流せば発動はしますが、どんな事になるかはわかりませんからね」


男「よし、じゃあまずはバットの戦技から」ググッ……

魔少女「えぇ……わかってましたよ使うって」ハァッ……

男がバットを握り魔力を通すと、バット全体にある魔法が発動する。

男「お、何かきた。魔少女、どんな感じがする?」

魔少女「感じる魔力の種類としては……爆破系に近いような」

男「んじゃ試しに石ころでも打ってみるか。せーの!!」ブンッ!

しかし男の攻撃は外れた。

魔少女「先輩……ダサいです」

男「うるせぇ!んじゃ気を取り直して」ブンッ!!

カキーンッ!!

男が手頃な大きさの石を宙に上げ、それをバットで打つと石は滝壺の方へと飛んでいった。

男「あり?何も起こらねぇや」

そして、石が滝壺の奥の岩壁に当たった瞬間
208 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 20:07:18.83 ID:TgFXkO7Y0
ドォォオオオンッ!!!

男「ッ!?何だ!?」

石がそこそこ威力のある爆発を起こした。

魔少女「どうやら……バットで打ったモノを爆弾にする戦技のようですね。そして衝撃で爆発すると」

男「え?それってどんな強いヤツでも打てば倒せるんじゃね?」

魔少女「流石に……そんなに強力ではないでしょう。飛ばせるモノ。あるいは大きさ、生命体以外。そんな条件があるハズです。詳しくは……やはり鑑定ですね」

男「なるほど。野球部なら狙った方向に打てるんだろうが、俺には使いこなせそうにねぇな」

魔少女「単純に……当てれば爆発するとかならよかったですね。その場合は先輩もバットも吹き飛びそうですが」

男「怖いなそれ。よし、次はこのブレスレットを……ん?」

男はふと先ほど爆破した滝壺の奥の岩壁を見る。
大した威力ではなかったのだが、岩壁が崩れているようだ。

更にその先には
209 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 20:13:02.23 ID:TgFXkO7Y0
男「おい……何かあの奥に道が続いてねぇか?」

魔少女「そうですね……ガイドブックにもあの道の事は書いてありません。という事は……」

男「俺達……新しい採取エリアを見つけちゃったのか?」

魔少女「恐らく……よかったですね先輩。固定型ダンジョンの場合、新しいルートや採取エリアなどを市に報告すると、報奨金がもらえますよ」

男「マジで!?いくら!?」

魔少女「ランク2ですと……多分200ゴールドだったような……」

男「おぉ!!一気に資金が増えんじゃん!!」

魔少女「しかし……どれだけ運がいいんですか先輩……たまたま拾った武器の戦技でたまたま岩壁を破壊したら道を見つけるなんて……」

男「どうせなら宝クジ当たって欲しいけどな。とりあえず写真と場所だけ記録しとくか」
210 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 20:19:08.87 ID:TgFXkO7Y0

…………


魔少女「よし……位置記録は大体ですがとれました。まぁ滝という目印があるので報告も楽でしょう」

男「写真もOKだ。あとは水晶だけとって帰るか……そういえば水晶のある滝ってここじゃあなかったのか?」

魔少女「その滝は……もっと山頂の出口付近にあるようですね」

男「……そこの道……洞窟になってんなら水晶くらいあるんじゃねぇの?」

魔少女「先輩……危険は極力避けるといったのは先輩では……」

男「いや、そうだけどさ……気になるじゃん」

魔少女「はぁ……わかりました。先にラージアントにある程度探索してもらいます。危険な魔物が中にいたら知らせてくれますから」カッ!


ラージアント『キー!』



男「流石魔少女!じゃあ知らせが来るまでここで待ってるか」
211 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 20:37:48.50 ID:TgFXkO7Y0

…………


ザァァァァァァァアアアアッ!!!


男「あぁ……お茶がうめぇ……」ズズッ……

魔少女「滝の音が……いい感じで心が安らぎますね……」ズズッ……

ラージアントが滝壺の洞窟へと進入して5分。
男達は、ピクニックシートに座り、存分にくつろいでいた。

この間にもラージアントは単身大冒険の最中だがとくに語られる事はないだろう。


ガサガサッ…………



カウボーイ「ここにも滝があったのか……ん?」

男「え?」

魔少女「あ……こんにちは」ズズッ……
212 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 20:42:18.48 ID:TgFXkO7Y0

…………


カウボーイ「君達もこのダンジョンにいたのか。あの電車の中で見た時には、高校生くらいなのに珍しいなぁと思ってたんだが……あ、お茶ありがとう」ズズッ……

魔少女「いえ……こちらもジロジロ見てしまってすいません」

カウボーイ「ん?あー、いーよいーよ。目立つからねぇこの格好は」

男「何でそんな格好してんすか?」

カウボーイ「格好いいじゃない」

男「えぇー……」

カウボーイ「まぁそれは半分冗談として……僕はダンジョン探索請負の会社……まぁいわゆるギルドだね。そこに所属してるんだが、方針がとにかく目立て!なんだよね。その方が宣伝にもなるし。
僕の他にも数人所属しているけど、皆どんな戦闘スタイルかわかりやすい格好をしてるよ」
213 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 20:52:41.38 ID:TgFXkO7Y0
魔少女「何か……芸能事務所みたいですね」

カウボーイ「ハハッ、確かにそうだ。まぁ格好だけつけても実力がないと笑い者だからね。
ウチのギルドは少人数だが、皆それなりの実力者だと思うよ」

男「ほぇー、因みに何てギルドなんすか?」

カウボーイ「あぁ、それじゃあ名刺を渡しておくよ。もしダンジョン関係で相談があればウチに遊びにおいで。お茶くらいは出すよ」つ名刺


男「『ダンジョンギルド 【RPG】 カウボーイ』……」



魔少女「そんな気軽に……行ってもいいんですか?」

カウボーイ「んー、ウチは割とそういうのラフだから。他の連中も学生のお客なんて珍しいから喜ぶんじゃないかな?」

魔少女「わかりました……ありがとうござい……ッ!?」バッ!!

お礼を言いながら頭を下げていた魔少女が、何かを感じ取り滝の洞窟の方へと振り向く。

男「ん?どうした魔少女」

魔少女「ラージアントが……何かにやられました」

男「……やっぱ魔物がいるってことか」

魔少女「えぇ……中はかなり広いようですし、私達のレベルでは無闇に入らない方がよさそうです」

カウボーイ「ん?あの洞窟がどうかしたの?」
214 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 20:55:48.02 ID:TgFXkO7Y0
…………


カウボーイ「へぇ……新しい採取地をねぇ……凄いじゃない」

男「偶然っすけどね」

魔少女「ですが……中の形状も把握できず、未確認の魔物もいる為、探索はやめておこうかと」

カウボーイ「うん、確かにそれが賢明だね。碌に調査もせずに欲に目が眩んで死んでいった探索者なんて腐るほど見てきたよ」

男「中の魔物をある程度誘い出せればどんなのがいるかわかるんだけどなー」

魔少女「そうですね……やりますか?」

男「できんの!?」

魔少女「拾ったアイテムに……『目覚まし時計』がありましたよね。あれを『丈夫な蔓』で洞窟の入り口に吊るしておけば」

カウボーイ「音に釣られて姿を現わすと……しかも洞窟だから音は反響して奥まで届く……凄いね彼女」

男「いやー……ホント頼りになりますよ」

魔少女「」ドヤッ








魔少女クラフトアイテムNO.1『魔物こいこい』

使用アイテム
目覚まし時計 1個
丈夫な蔓 2メートル
215 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 21:03:54.41 ID:TgFXkO7Y0
ジリリリリリリリッ!!!!


男「いい具合にうるさい目覚ましだな」

魔少女「これなら……洞窟の中に響き渡ると思います。問題は、洞窟の外の魔物まで呼び寄せなければいいんですが……トレントとか」

カウボーイ「あぁ、トレントなら僕があらかた倒したから大丈夫だよ」

男「あ」

魔少女「やっぱり……あの音はあなたでしたか」

カウボーイ「ん?」


大ミミズ×5【キシャァァァアアッ】ウネウネ

男「うわ、洞窟からミミズ出てきた」

魔少女「多いと気持ち悪いですね……焼いていいですか?」

カウボーイ「いや……これは何かから逃げてきてるみたいだ。本命はコッチだな」
216 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 21:08:55.16 ID:TgFXkO7Y0
ズンッ!!


男「……何か重そうな足音が聞こえてくるんだけど」


ズンッ!!


魔少女「やはり……無闇に洞窟に入らなくて正解だったようです」


ズンッ!!!


カウボーイ「でもコイツがいるって事は、そこには大体お宝があるんだよね」


ジリリリリリリリッ!!!

グシャァッ!!!







ゴーレム【ゴォオッ……】







現れてすぐに、洞窟の入り口に吊るされた目覚まし時計を握り潰した魔物。

それは、ダンジョンに眠る宝を守る目的で、石材で作られたとされる人型魔導兵器。


通称『ゴーレム』である。


危険度『ランク8相当』
217 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/07(水) 21:11:33.03 ID:TgFXkO7Y0
投下終了です。
次回このダンジョンのボス戦です。
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/07(水) 21:43:42.95 ID:EcPkcv0+0

面白いから勝手にダンいけの愛称付けて楽しんでるぜー
それはそうと初のボス戦期待してる
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/07(水) 23:57:55.02 ID:pY2M4TxSO
俺も男ダ行てって愛称つけて楽しんでる
おつ
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/08(木) 00:21:08.21 ID:PXZpVlUf0
じゃあ俺は
男「はダにいいって?」
って愛称つけて楽しむわ
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/08(木) 09:49:49.53 ID:RtD1mV/fo
男「は?ジョンにこいって?」でいくわ
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/08(木) 10:36:21.60 ID:3rt0TN+xO
いいぞ
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/08(木) 10:46:08.51 ID:ZWbCCDyno
おだてて、で行くわ
224 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:11:06.26 ID:95AyM9Qw0
こんばんわ、1です。
皆さん色々な略称ありがとうございますw好きにお呼びください

今日もたらたらと投下していきます
225 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:28:09.24 ID:95AyM9Qw0
ザァァァァァァァアアアアッ!!!!



男「これって……結構ピンチだったりする?」

魔少女「恐らく……私と先輩が全力で立ち向かっても、勝率2割といったところでしょうか」

カウボーイ「逃げ場の無い狭い洞窟で出会わなくてよかったね」



ゴーレム【ゴォオッ……ォォォォォオオオッ!!!!】


ォォォォォオオオッ!!!!!!



ゴーレムの低い力強い雄叫びが辺りに響き渡る。
男達にとっては明らかに格上の相手。しかも、一体だけとは限らない。
もしかすると、まだ洞窟の中にいるかもしれないのだ。




男「さて……逃げる用意は出来てるよな?」

魔少女「それは大丈夫です……ただ……」

男「ただ?」
226 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:35:03.00 ID:95AyM9Qw0
魔少女「ゴーレムは……オートマタなどと原理は同じ、魔力結晶の魔力を原動力に動いているハズです」

男「魔力結晶って……エリスを直すのに必要な素材の1つだよな?まさか……」

魔少女「えぇ……ここであのゴーレムを倒す事が出来れば……その動力源である魔力結晶を得る事が出来るハズです」


男「だったら……なぁ?」ゴクリッ……

魔少女「えぇ……ですよね……」ゴクリッ……



男と魔少女は互いに覚悟を決める。
オートマタの少女、エリスを直す為にはいつかは通らなければならない道だ。


それをこんな開けた場所で相手は格上だが一体。

条件としては最高に整っている。
227 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:37:26.05 ID:95AyM9Qw0
カウボーイ「さて……どうする?逃げる?戦う?なんならお茶のお礼に俺がやってもいいけど」スッ……

先ほどまでののんびりとした空気とは一転し、空気を凍てつかせるような戦闘モードにスイッチを切り替えたカウボーイが、ホルスターに装備したリボルバーに手をかける。

トレントの群れを相手に何の苦もなく完勝したカウボーイならば、その格下であるゴーレム一体など瞬く間に倒してしまうだろう。



男「いや……」

魔少女「あの1体は……私達が……」



しかし、男と魔少女はそれを拒否する。
この先、こんなイレギュラーな事態が何度も起こるだろう。時には逃げられない戦いをあるかもしれない。

そんな時、何度も他人に助けてもらえる訳がないのだ。
2人は言葉を交わさずとも、その結論に達した。


ここで自分達が倒すと。
228 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:40:02.32 ID:95AyM9Qw0
カウボーイ「ふふん……いーね!いーよ君達!!それなら俺は君達とあのゴーレムとの戦いには一切手を加えない……あ、流石にマジで死にそうになったら助けるけどね。それが大人の役目だし」

カウボーイは、意気揚々とピクニックシートに座り、2人に話しかける。


カウボーイ「安心しなよ……君達の戦いを邪魔する魔物が来たら、俺が片付けてあげる……存分に戦いな」ニィ……



魔少女「ありがとうございます……」

男「邪魔が入らず死なないってだけでも破格の条件だろ」ザッ!


2人はそれぞれの前衛、後衛の戦闘スタイルに構え、ゴーレムと対峙する。
229 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:43:26.82 ID:95AyM9Qw0
男「魔少女、解説!」

魔少女「ガイドブックには情報がありませんでした……ただ、見たところアレは最も簡易的に造られたゴーレム。ランクは8相当で、石の身体のために防御に長けていると記憶しています」

男「よし……魔少女、アイツを仕留めるのは一番火力のあるお前だ。俺がお前の準備が終わるまで相手するから、終わったらデカイのを叩き込め!!」

魔少女「先輩……大丈夫ですか?」

男「かなり不安だから、お前が前使ってた身体能力上げる魔法をかけてくれると助かる」

魔少女「わかりました……『フィジカル』!」

魔少女が手をかざすと、男の全身を魔法が覆う。

男「おぉ!身体がめっちゃ軽い!!」

魔少女「効果時間は1回3分です……それまでに私も準備を終わらせます」ググッ……

男「3分ね……どうにかやってみるか」トントンッ

男は軽くジャンプして身体の感覚を確かめる。
そして




男「先手必勝ォッ!!」ダンッ!!

一気にゴーレムへと距離を詰めた。
230 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:46:52.13 ID:95AyM9Qw0
ゴーレム【ゴォオッ!!!】ブンッ!!

それを迎え撃つように、ゴーレムが右腕を振りかぶり右ストレートを放つ。

今の男の装備で当たれば、間違いなく骨折以上のダメージを負うだろう。


男「なんてな」ズザザァァアッ!!!


ゴーレム【ッ!?】

しかし、男はゴーレムの射程圏内から10cmほど離れたところで踏みとどまり、ゴーレムの右拳は空を切る。


そして

男「突きぃぃぃぃいいいいいいッ!!!!」ダンッ!!


ドォンッ!!!


一度踏みとどまり、溜まった慣性の力に更に前に踏み込む力を加え、男の唯一最大の戦技である『なんか凄い突き』をゴーレムへと放つ。


しかし








男「……硬ぇ……」ググググッ……

ゴーレム【ゴォォオオッ……】

渾身の一撃をゴーレムの胸へと突き刺すも、石の身体を持つゴーレムは想像以上に堅牢であった。

更に、重量故か銅の剣の先から放たれた衝撃波をゼロ距離で喰らっても少し体勢が崩れる程度である。
トレントと違い大きさは2mほど。重心も安定しているからだろう。

そして
231 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:48:30.00 ID:95AyM9Qw0
カウボーイ「単純に火力不足だねぇ……ちょっと研いだくらいの銅の剣とランク1の戦技。それに彼の魔力操作の拙さ。
身体の使い方は十分合格点だが、上乗せするパワーが弱い弱い」

魔力。あるいは気力。
名前は違えど本質は同じ、人間の内に秘められた力である。

それを使いこなす事が、人間が魔物に生身で相対する方法。
例え幼稚園児でもそれが出来れば凄まじい力をダンジョンでは発揮する事が出来るのだ。



現に、世界には小学生でランク50という天才としか言いようの無い魔法使いの少年が存在する。



カウボーイ「魔力の基本すら覚えたのは最近だね?学校の授業では寝てたのかな」フフッ
232 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:51:06.91 ID:95AyM9Qw0
ゴーレム【ゴォォオオッ!!】ガシッ!

ブンッ!!

男「うぉっ!!」ズザザァァアッ!!


銅の剣を掴み取られ、剣ごと男は投げ捨てられる。
単純な力の差は歴然である。


ゴーレム【ゴォオッ!!】ブンッ!

男「ヤバッ!!」ゴロンッ

ズンッ!!

すかさずゴーレムは倒れている男へと拳を振り下ろすが、男は横に転がりそれを避ける。


ゴーレム【ォォォオオッ!!!】ブンッ!!

ズンッ!
ズンッ!!
ズンッ!!!


更にゴーレムは追い打ちをかけてきたが、男は転がり続けて、連撃の隙を見て体勢ゴーレムから離れた。

魔少女の魔法で身体能力が上がっていなければ、この時点で終わっていただろう。

潰されたカエルの如く。
233 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:55:11.65 ID:95AyM9Qw0
男「やっぱまともには敵わねぇな……だったら!!」ダンッ!!

魔法によって動きにブーストがかかっているため、男は容易くゴーレムの背後へと入り込む。

ゴーレム【ゴォォオオッ!!】ブォンッ!!

男「うぉっ!?」サッ!!


しかしゴーレムは腕を広げながらその場で回転し、男を寄せ付けない。



カウボーイ「彼だけでは絶対にゴーレムには勝てない。これは絶対だ。それならどうするか……」


男「近付くのも難しいか……どうしたもんかな」








魔少女「先輩……もっと離れてください」ググググッ……


後方に立つ魔少女の側に浮かぶ魔法球の数は3つ。
どれも属性は違う。

そしてそれらを維持しながら、反発しないように集中しながら混ぜ合わせる。


カウボーイ「お……いいね」


魔少女「火球……光球……風球……」ググググッ!!!


そして
234 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:58:05.96 ID:95AyM9Qw0
男「撃て!魔少女ッ!!」ダッ!!

魔少女「三種複合魔法……『レイ・スラスト』ッ!!!」カッ!!

魔少女が複合魔法を放った瞬間、何十もの小さな光の刃がゴーレムへと放たれた。



ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!】ドドドドドドッ!!!!


小さな光の刃は、1つ1つが凝縮された高熱を帯びている。
その高熱は、ゴーレムの石の身体をも溶かすように斬り刻むほど。


何十もの刃は、男の攻撃で傷つくことのなかった石の身体へと確実にダメージを与えていく。


しかし
235 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 21:59:33.62 ID:95AyM9Qw0
ゴーレム【ゴォオッ……】


魔少女「くっ……ハァッ……ハァッ……」ドサッ


光の刃を放出し続けていた魔少女が、突然地面に膝をつく。
魔法を発動させる為の魔力はまだ残っている。
だが、魔法を放出し続けるだけの体力が尽きたのだ。

ゴーレムの身体はいくつもの切り傷を受けているが、変わらず健在である。


魔少女「ハァッ……ハァッ……」


カウボーイ「知識は素晴らしい。技術も年の割には十分にある。だけど、体力が無いな。
発動させるだけならズバ抜けているが、それを維持させるだけのスタミナが足りない。魔法を使うにはその器である術者の体力は重要だよ?」


カウボーイは冷静に観察を続けている。

若い高校生の少年と少女。
素材は悪くない。
しかし、まだまだ足りて無いモノが多すぎる。

恐らくは、まだまだ実戦に慣れていない事が原因だろう。
目立った欠点を直すだけでも一気に成長すると見える。





カウボーイ「ま、今はここが限界か。手遅れになる前にここらで」スッ……


236 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:01:37.12 ID:95AyM9Qw0














魔少女「舐めないで……くださいッ!!!」ザッ!!


魔少女が声を張り上げ、再び立ち上がる。















237 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:07:15.74 ID:95AyM9Qw0
魔少女「水・氷複合魔法……『フリージング』ッ!!」カッ!!

魔少女が魔法を練り合わせた右手を、滝から流れてくる大量の水に向ける。

ゴーレム【ッ!?】バシャアッ!!

その水の一部は魔少女によって操作され、ゴーレムの身体へとかけられる。

魔少女「魔力も体力も足りなければ……周りを利用します!」ググググッ!!

ゴーレム【ゴッ……】ピキピキピキッ!!


ゴーレムにかけられた水が、一気に熱を失い凍り始める。



魔少女「『クイックフリーズ』……」ググググッ……



本来なら魔少女が空気中から生み出した水を、かけられたモノが急速に凍り出す魔法であるが、大量の水源を利用する事でその消費魔力を大幅に減らす事が出来たのだ。
238 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:17:06.93 ID:95AyM9Qw0
ピキピキピキッ!!パリィッ!!

ゴーレム【ゴッ……ゴォオッ!!】ズンッ!ズンッ!!


ゴーレムは身体の自由を氷結によって失いながらも、無理矢理身体を動かしながら魔少女の元へと向かってくる。

痛覚が無いため、無理な動きをしようが問題はないのだろう。




魔少女「キングスッ!!『キングストライク』ッ!!」カッ!!

魔少女は、キングスライムのキングスを封じ込めたキーホルダーを握り締め、残った全ての魔力を込める。



魔少女「維持する体力が無いのなら……一撃に込めます!!」

キングス『マカシトキ』ボヨンッ!!



239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/08(木) 22:18:51.46 ID:m/CQAI6fO
キングのあんちゃんキターーーーーーーー
240 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:19:17.16 ID:95AyM9Qw0
何処からか降ってきたキングスは、その勢いそのままにゴーレムへと突進し

ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!】ズドォォォオオッ!!!

ゴーレムはそれを全身で受け止めた。

キングスライムの召喚。

本来の威力なら、ゴーレムを粉砕する事が出来ただろう。
更に強力な別の技を使う事も出来ただろう。


キングス【ヤルヤナイカ】ググググッ!!

ゴーレム【ゴォオオオオオオッ!!!!!】ググググッ!!



しかし、魔少女にはただでさえキングスライムを召喚として扱うには圧倒的に魔力が足りない上に、2度の複合魔法によって消費した分、ゴーレムにトドメを刺すには至らなかった。
241 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:24:19.68 ID:95AyM9Qw0
ピキピキッ…………

しかしその巨体を受け止めた為、高熱の刃と冷気の複合魔法によってダメージを受けた石の身体に亀裂が走る。
いわゆる熱疲労というやつだ。


キングス【ホナ】シュンッ!!


魔少女「クッ……」


ゴーレム【ゴォォォォォオオオオオオオオオッ!!!!!】



カウボーイ「最後の意地か……いい根性じゃない。そういうの好きだよ俺は」

キングスの召喚が解け、全てを出し切った魔少女は今度こそ、力尽きて地面に倒れていく。


魔少女「……あとは……お願いしますね……」フラッ……






















魔少女「……先輩……」ドシャアッ!!
242 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:26:18.30 ID:95AyM9Qw0















男「ウォォォォォォォオオオッ!!!!!!」ダッ!!!


その瞬間、戦技を発動した男がゴーレムへと全力で突っ走っていた。















243 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:31:32.91 ID:95AyM9Qw0
ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!】ブォンッ!!


ゴーレムはすかさず右腕を振りかぶり、向かってくる男へと右ストレートを繰り出す。

一回目の衝突と同じ展開だ。
先ほどは、男が踏みとどまりその拳を空振らせた。


男「ラァァァアアアアッ!!!」ブンッ!!

しかし、次はその右拳に突きを当てる。



ゴバァァアッ!!!


ゴーレム【ッ!?】

男「ガァッ!!」グラァッ……


激突の瞬間、ゴーレムの右腕は、突きとそれと同時に発動した衝撃波によって粉砕される。

突きの戦技の威力。ゴーレムの右ストレートに対するカウンター。
そして何より魔少女によって石の身体全体ににヒビが入るほどに蓄積されたダメージが、この結果に結びついたのだ。


しかし同時に男の銅の剣も折れ、男は衝撃でそのまま背後に勢いよく倒れ込む。



が。
244 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:39:05.31 ID:95AyM9Qw0
ダンッ!!!


男「ラストォォォオオッ!!!!」ブチブチブチッ!!!




男は全身の力を使い踏み止まり、全身を捻りながら無理やり倒れ込むのを阻止する。
全身からは筋肉が切れるような嫌な音が聞こえてくる。



男「オオオオオオオオオッ!!!!」
ゴーレム【ゴォォオオオオオオッ!!!!】


その捻れを戻す勢いのまま、折れた銅の剣で戦技を発動させる。
男の一度の戦闘で発動できる戦技は2回。
その限界を超え、文字通り最後の一撃である。



そして



ドゴォォォォォォォオオオッ!!!!!


ゴーレム【ゴッ……ゴ…………】ビキビキビキッ!!!




折れた銅の剣は、そのままひび割れたゴーレムの胴体を貫き、亀裂が全身に走ったゴーレムは、そのまま全身が砕けた。
245 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:41:11.25 ID:95AyM9Qw0
男「よ……しゃあ…………」フラッ……


ドシャアッ!!!






カウボーイ「……最高……」パチパチッ……







全ての魔力を使い果たし、男が地に沈むのを見届けた後。
カウボーイは、男と魔少女へと静かに賞賛の拍手を贈る。



1つ、大きな壁を乗り越えた少年と少女へと。
246 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:46:03.70 ID:95AyM9Qw0





『戦闘終了』






魔少女はレベルが上がった

魔少女は特性『女の意地』を会得した

男はレベルが上がった

男は特性『猪突猛進』を会得した





『ゴーレムの心』を手に入れた
ゴーレムの核である『魔力結晶(ランク1)』を手に入れた
247 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/09/08(木) 22:48:10.86 ID:95AyM9Qw0
投下終了です。
対ゴーレム戦でした。
ゴーレムはドラクエのゴーレムを想像してもらえれば。

あと>>1的にカウボーイは、野原ひろしの人の声をイメージしてます。FF15のアーデンというおっちゃんみたいなキャラな感じで。

ではまた。
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/08(木) 23:03:43.70 ID:fCVY4fnaO
おつ、いいぞ
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/09(金) 01:27:13.23 ID:taHsjAirO
まぁこればっかりはしょうがないけどご都合主義がくるのかやっぱり…
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/09(金) 07:53:30.70 ID:B5Fq8DzgO
ひろしやんけ!
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