男「はぁ?ダンジョンに行ってこいって?」

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1 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 20:46:35.03 ID:3CovM/k00
母「今月ちょっと厳しくてさぁ……アンタちょっと市役所の近くにあるダンジョンで、色々拾って売ってきてよ。
こないだ実習授業で許可証作ったんでしょ?来週までの食費にはなるし」


男「やだよメンドイ。ていうか、いくら危険度ランク1のダンジョンだからってそれなりに魔物もいるんだぜ?」


母「アンタこないだまで剣道部だったでしょ?お兄ちゃんがプロになる前に使ってた『銅の剣』あげるから。
剣道の部活も引退したんだから、少しは家の事も助けなさいよ。バイトもしてないんだし」


男「そりゃあ、先週引退したばかりだからバイトだって探し中なんだよ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1470915994
2 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 20:49:51.77 ID:3CovM/k00
母「そうだ、アンタもお兄ちゃんみたいにプロを目指せばいいのよ。稼ぎもいいんだしさー」


男「聞けよ!大体、稼ぎがいい代わりに危険な仕事じゃん。俺は平和にのんびり生きていきたいの!!
大体、兄貴からの仕送りもあるのに何で金がねぇんだよ」


母「いやぁー……ちょっと闘技場で稼いでこようと思ったら……テヘッ☆」


男「このクソババァッ!!!あれ程生活費まで持って行くなって言ってんだろうがぁぁぁああッ!!!!」


母「誰がババァだコラァッ!!!まだ36歳のイケイケだろうがぁぁああッ!!!」ギリギリギリギリ!!


男「イテテテテ痛い痛い!!ギブギブギブギブ!!!」バンッ!バンッ!!
3 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 20:53:17.67 ID:3CovM/k00
…………



母「とりあえず100ゴールドくらい稼いできてねー、いってらっしゃーい」


*1ゴールド→100円


男「クソォ……息子にコブラツイストなんざ極めやがって……イテテ……」

母「車には気をつけるのよー」

男「ダンジョンの魔物には気をつけなくていいんかい!!」


隙あらばギャンブルに勤しむ母親の愛(物理)に背中を押され、俺は家から1km程離れたところにある、市役所近くのダンジョンへと自転車で向かった。
4 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 21:01:07.84 ID:3CovM/k00
ダンジョンとは。


100年以上前から、世界中に現れ始めた不思議な不思議な迷宮である。
ダンジョンの入口には旅の扉と呼ばれるワープ装置のようなモノがあり、それを通る事で、異空間に作られたダンジョンへと挑む事が出来る。
中は、1つの大きなフィールドであったり、建造物であったり、迷路のようになっていたりと様々で、危険度ランクによってより広く、より深い作りになっていく。
また、各地に昔から伝わる伝説の地や遺跡などに出現したダンジョンは、その特色を強く引き継いでいるモノが多い。



ダンジョンには危険度というモノが設定されており、それは旅の扉から発せられる色によって判断出来る。
危険度の高いダンジョンには、強力な魔物やタチの悪いトラップ。難解な暗号や仕掛けなどがある。

ちなみに、魔物は現在に至るまでダンジョン内でしか確認されていない。



ちなみに現在最高危険度のダンジョンに認定されているのは、70年前にエジプト『アブ・シンベル大神殿』内に出現したダンジョンである。

設定された危険度ランクは『72』



世界中から冒険家、傭兵、軍隊などが投入され、死者38万人という大勢というにはあまりにも多すぎる犠牲者を出したそうだ。
が、ダンジョンより回収されたあらゆる資源やアイテム、文献や財宝により、人類は加速的に文明の発展を遂げる事となった。
と、歴史の授業で習った。神殿ダンジョンの写真見たけど凄い荘厳というか壮大というか、とにかく凄かった。

つまり、ダンジョンとは、資源やアイテム、古代文明の宝庫なのだ。


なお、この最高難度ダンジョンを制覇した青年は、世界の影の支配者と呼ばれるほどの富と権力と武力を手に入れたとかいないとか。

その辺の事は俺みたいな一庶民にはわからない事だ。
5 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 21:06:56.98 ID:3CovM/k00
男「あのー……すいません」

ガードマン「ん?あぁ、もしかしてダンジョンに入るの?学生さんみたいだけどいい銅の剣持ってるし、経験者?」

男「えっと……そうです。学校の授業以外では初めてですけど」

ガードマン「じゃあランク証明書見せてー。……うん、ランク2までの証明書だね。学校でダンジョンの中の事は教わってるよね?」

男「えぇまぁ。と言っても、授業用に整備されたダンジョンだったんで、ちょっと不安ですけど」

ガードマン「まぁランク1とは言え、魔物は出るからね。でも立派な銅の剣持ってるじゃない。それが使いこなせるならきっと大丈夫さ」

男「はぁ……」

ガードマン「じゃあ、入っていいよ。あ、あとコレ。『脱出の玉』。危なくなったらスグ使うんだよ?」
6 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 21:09:08.08 ID:3CovM/k00
男「え?でもコレお金いるんじゃ」

ガードマン「初めてなんでしょ?じゃあオジサンからのプレゼントさ。アイテム一杯持ち帰りたいかもしれないけど、無茶しちゃダメだよ」

男「あ、ありがとうございます!!いってきます!!」


脱出用の魔法アイテムをガードマンのお爺さんから受け取り、俺はいよいよ、本物のダンジョンへと足を踏み入れた。


シュインッ!!



ガードマン「んー……男の子の旅立ちってのはいつ見てもいいもんだねぇ……」

少女「あのー……すいませーん」

ガードマン「あ、ダンジョンに入るの?じゃあ証明書をお願いね」
7 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 21:16:40.43 ID:3CovM/k00
投下終了です。
現代に不思議なダンジョンがあったら的なSSになります。サラリーマンもいれば、魔法使いや戦士やガンナーなどもいる世界です。でも皆、大体現代人です。
ゴールドは、全世界共通通貨で。アイテム、武器やモンスターなどは色んなゲームや神話的なモノから取っていきます。
ではまた。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 21:26:13.53 ID:6B8iOzZF0

期待
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 22:16:42.35 ID:1rZQrDU7O
おもしろそう
きたい
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 00:17:43.16 ID:oVVIMoEd0
期待
11 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 07:48:47.54 ID:YxbxKaex0










『一(はじめ)市 市役所前ダンジョン』




出現時期 12年前

危険度ランク 1

主な魔物 スライム ラージアント








12 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 07:50:26.93 ID:YxbxKaex0
1F 憩いの広場


シュインッ!!


男「さて……意を決して初ダンジョンへと踏み入れたところだが……まぁ1Fは大体こうらしいしな」


ワイワイガヤガヤ
イラッシャーセー


ダンジョンに入って一層目。
殆どのダンジョンは、この一層目には魔物がいないし、新しくも生まれない。
なので、ダンジョンの外で商売をする為の土地がない地元の人達や、旅の商人、露天商などが、この一層目に店を構えているのだ。
基本ダンジョンは入ったら、最下層まで行くか魔法やアイテムを使う以外は出られない。
しかし一層目には、国が各市町村に配っている脱出用の永続魔法道具が配置されている為、許可証さえ持っていれば買い物をする為だけにダンジョンを訪れる事も可能なのだ。



グー……

男「そういや昼メシ食ってなかったな……ここで食ってくか。すいませーん、たこ焼き1つ」

店主「あいよー。兄ちゃん学生かい?頑張ってこいよー」

男「どうもー。……アチッ、熱ッ」ハフハフ

「あれ……もしかして先輩?」
13 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:12:56.07 ID:YxbxKaex0
男「ん?……あれ?魔少女じゃん。何でこんなところに」ハフハフ

魔少女「私は薬の材料を取りに……先輩こそどうして?」


魔少女。
俺の通っている高校の一個下の後輩であり、魔法部の新しい部長兼、『魔法薬学研究会』会長だ。


家が魔法使いの家系であり、コイツ自身も魔法使いである。ちなみに家は漢方やダンジョンで取れる素材で作る、魔法薬局を営んでおり、店がウチのすぐ前にあるので、小さいときから知ってる仲ではある。

大きく分類すれば幼馴染だろうが、そこまでの深い付き合いはない。一緒の高校に行くからという事で、それから関わる事がかなり増えた程度だ。

性格は物静か。運動音痴。インドア派。ただし魔法使いなだけあって知識欲は半端ない。
14 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:24:20.33 ID:YxbxKaex0
ちなみに、薬にダンジョン内の素材をよく使う為、普通ならば高校3年で取得するダンジョン許可証を、1年の終盤には取得していたという、中々の秀才である。


男「俺はまぁ……アレだ。ちょっと極秘の仕事で」

魔少女「またママさんが……ギャンブルで負けたんですか?」

男「うっ!?」

魔少女「この間……学校の実習でランク証明書取りましたよね?それで……早速生活費を稼いでこいと追い出されたとか?」ニヤリ


ちなみに推理モノが好きなようで、昔からコナ○やら金田○やらが部屋にあるらしい。貸してと言ったら全巻まとめて渡してきやがった。置く場所ないわ。
15 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:29:27.26 ID:YxbxKaex0
男「そのドヤ顔と黒い笑みを混ぜたような表情やめろ。あーあーそうだよ。あのクソババァ、ギャンブルの才能ねぇのにまた生活費に手ェ出しやがって」

魔少女「……ママさん……まだ伝えてないんですね……」ボソッ

男「ん?どうした?」

魔少女「いえ……何でもないです。それで……先輩も行くんですか?ダンジョン……」

男「あぁ、止む終えなくって感じだけどな。まぁランク1だし武器もそこそこいいの持ってるし大丈夫だろ」

魔少女「よかったら……一緒に行きませんか?」

男「へ?マジで?いやーそれなら凄い助かるわー。お前の魔法があれば、ランク1くらいの魔物くらいは余裕だろ」



実際、魔少女の魔法は中々凄い。
間違いなく、並の高校生のレベルでは無いだろう。去年はもう少しで全国大会にいけるところだったとか。

ただ……
16 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:31:32.90 ID:YxbxKaex0
魔少女「いえ……じゃあその代わりに……ハイ」つボストンバック

男「へ?バックを俺に?何で?」

魔少女「荷物持ちです……それ一杯に薬草入れて帰りたいので」

男「ゲッ……まぁ、心強い味方がそれで出来るならいっか……」

魔少女「 では……出発進行で」ガッ!!「へぶっ!!」

魔少女が何も無いところで盛大に転ぶ。
そう……彼女は運動音痴。超が3つ付くレベルのだ。


魔少女「……失礼しました。……では」


男「おい……お嬢さんパンツ。スカートめくれ上がってパンツ見えてますから」


魔少女「ッ!?」バッ!!


ピンクの何かヒラヒラふわふわした可愛らしいパンツを大サービスの魔少女は、その運動音痴に似合わぬ反応速度でスカートを戻す。


ちなみに、現役高校生である俺が、JKのパンツを見てなんでこんなに冷静かだって?
こんな全開のパンツ見せられても、全く何にも思わんわ!隠されてるからいいのだパンツは。
17 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:43:05.67 ID:YxbxKaex0
魔少女「……ダンジョンに入る前に……『フィジカル』!!」カッ!!

男「おぉ、身体能力を上げる魔法だっけ?」

魔少女「……フフッ……これで私の身体能力は、普段の倍」ガッ!!「へぶっ!!」


男「まぁ……0に0に何を掛けても……0なんだよなぁ」

どうしよも無い現実に、俺は魔少女から目を背ける。仕方ないんだ。それが現実なんだから。


魔少女「…………」グググッ……

俺「もういい……もう休め、魔少女……」

魔少女「……魔力……もってくださいよ……」

魔少女「4倍だぁぁぁああああ」カッ!!

男「何っ!?」

普段出さない大きな声……まぁ別に大きくはない声と共に、魔少女の身体を青白い魔力が覆っているが見えた。
18 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:44:20.05 ID:YxbxKaex0
ォォォオオッ…………

魔少女「さぁ……これならそうそう転びません。……その代わり、魔力の節約の為に他の魔法が使えなくなりますが」

ォォォオオッ…………



男「それ弱体化してんじゃねぇか!!いつもどうやって採取してんだよ」

魔少女「いつもはお父さんと一緒ですので……魔物は全部お父さんが」

男「俺荷物持つだけでメリットないじゃねぇーか。まぁいーや、ホラッ、さっさと行くぞ」

魔少女「待ってください……魔力の使いすぎで、お腹が減って……」ゼェッ、ゼェッ

男「お前もう、その魔法解けよ!デメリットしかないわ!!」
19 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:46:17.40 ID:YxbxKaex0

魔少女「……ほひほうははへふ(ごちそうさまです)」モグモグ

男「いいよ別に。その代わり、ヤバイ時は魔法頼むぞ」


結局、俺は魔少女にたこ焼きを奢り、消費した魔力を回復させてから、いよいよ本格的なダンジョンへと続く旅の扉の前に立った。


男「この旅の扉をくぐれば、いよいよ本番か……」

魔少女「大丈夫です……ここには大ケガするような魔物はいませんよ。……アチチッ」ハフハフ

男「それでも、端金目当てでケガしたくないからな。うし、行くか!」

魔少女「はい」


そして一歩。
俺は新たな世界に足を踏み入れた。
20 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:52:20.09 ID:YxbxKaex0
投下終了です。とりあえず魔法使いをパーティーに追加で。
魔少女は、物静かだけどノリはいいみたいな優しい子です。


>>8
>>9
>>10
ありがとうございます。暇なときに見てやってください。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/12(金) 09:29:20.31 ID:5pYva6GHo
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 10:41:36.31 ID:QKLPssrCO

ダンジョンってワクワクするよな
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 18:35:46.04 ID:EbvurFgJ0
乙。これは楽しみ
24 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 08:43:25.17 ID:2rToSM7B0
おはようございます。>>1です。軽く投下していきます。
>>21
>>22
>>23
ありがとうございます。引き続き暇なときにどうぞ。
25 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 08:51:47.59 ID:2rToSM7B0
ダンジョンエリア『始まりの草原』



男「……これがダンジョンか……」

魔少女「ダンジョンの中は……魔力に満ちてますから好きです」スー、ハー


ダンジョンには様々なタイプがある。


広い開けたエリアを1つの階層とするモノ。

壁に阻まれた迷宮。

全階層が連なった、巨大な建造物を探索するモノ。

1つの都市がダンジョンと化しているモノ。



今回挑んだこのダンジョンは、広い開けた空間のタイプのようだ。

男「綺麗な草原だな……何だか旅行に来た気分だ」

見渡す限り、草原と丘の世界。
気持ちのいい風が吹き、シートを広げて弁当でも食べたい気分になる。

26 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 08:53:52.08 ID:2rToSM7B0
男「そうだ、実習用じゃない初ダンジョンだし写メっとくか。魔少女はいいのか?」パシャッ

魔少女「私は……このダンジョンには何度も来てますから。よかったら撮りましょうか?」

男「マジで?じゃあよろしく。後でRINEで送ってくれよ」

魔少女「じゃあいきます……ハイチーズ。……あ」パシャッ

男「どうした?」

魔少女「先輩……横、気をつけた方がいいですよ」

男「え?」

携帯を持った魔少女が、男の横を指差している。その指の方を見てみると

スライム【……】プルプルッ

男「…………」

そこには膝下くらいの大きさの青い生き物。
スライムが俺の隣でジッとこっちを見ていた。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 08:55:05.06 ID:z2s1A0PCo
壁紙みたい
28 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 08:59:42.63 ID:2rToSM7B0
男「…………ッ!?やべッ!!」バッ!!

スライム【ピキー!!】ダンッ!!

男「ぐはぁぁぁああああっ!!!」ズザァァァアアアッ!!

咄嗟に銅の剣を身構えるが、スライムの方が一歩早く、体ごと体当たりされてそのまま吹っ飛ばされる。

男「痛ってぇぇえええ!!出てくるの早すぎんだろ魔物!!」

魔少女「先輩……油断し過ぎです。ここはもうダンジョンの中ですから」ボゥッ!!

男「ッ!?手から火の玉が……マジか!!」ダッ!!

スライムの体当たりの痛みが残りながらも、魔少女の魔法を目の当たりにし、それを放つ前に急いでスライムから離れる。


魔少女「『プチファイヤーボール』」バッ!!


スライム【ピー!!】ボンッ!!


放たれた野球ボール程度の大きさの火球がスライムに当たると、スライムは2、3回ほどはねながら吹き飛んでいった。
29 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 09:01:52.91 ID:2rToSM7B0
男「イテテ、何だ……火力抑えてたのか。流石だな」

魔少女「先輩……大丈夫ですか?回復いりますか?」

男「いや、大したダメージじゃないよ。剣でガードしたし、精々1発ガード上から殴られた程度」イテテ

魔少女「すいません……私がもっと早く気付けばよかったんですが」シュンッ……

男「いやー俺が初ダンジョンに浮かれてただけだし。助けてくれてありがとな魔少女」

正直浮かれていた。
実習の時は、引率の先生や他の生徒も大勢いたから全く危険はなかったが、今は自分と魔少女だけなのだ。
観光気分に浸るのも程々にしなければ。

男「ん?スライムがいつの間にか消えて、何か落ちてんだけど」

魔少女「魔物は……ダンジョンの魔力によって生まれた魔法生物ですから。倒せば消えるんです」

魔少女は、スライムの跡に残った3つのアイテムを拾い上げる。
30 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 09:12:50.93 ID:2rToSM7B0
魔少女「これは『青い液体』……服の染料などに使われてます。それとこれは『スライムゼリー』……そのまま食べてもいいですが、料理に使うと片栗粉みたいにとろみがでて、あんかけチャーハンなどが美味しいですよ」


魔物には、物体にダンジョンの魔力が注がれる事によって生まれるタイプと、生態系に魔力が影響を及ぼしたタイプ。
そして、別の次元から現れるタイプが存在する。
スライムは一番目のタイプだ。


ダンジョンに落ちているアイテムなども、魔力によって生み出されたモノや、元の資源が変質したモノである。

従ってダンジョン内の魔力レベルが高ければ高いほど、比例して強力なアイテムや魔物が生まれる。
魔力レベルが高いイコール危険度が高いという事だ。ダンジョンの危険度ランクもこうやって決められている。


男「そういや、その辺は実習で習ってたな。でも、残りの1つは何だ?何かの原石みたいに見えるけど」


魔少女「これは……『魔物の心』と呼ばれる、魔物が時々落とす結晶です。持ち帰り加工すれば、様々な効果がありますが……このままでも使う事は出来ます」ポイッ

魔少女は、手にした結晶にホンの少しの魔力を込め、それを地面に落とす。すると



ボンッ!!

スライム『ピキー』
31 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 09:17:04.23 ID:2rToSM7B0
男「おぉ!?スライムが出てきた!!」

魔少女「このように……このダンジョンの中でのみ、魔力を込めた人間に従う魔物が現れます。戦力が足りない時に、探索者が臨時でよく使う方法ですね」ヨシヨシ

男「へー、それは知らなかったな。俺もスライム倒して集めてみようかな」

魔少女「わかりました……じゃあ私はこの子とこの辺りの薬草を集めてますから、先輩はあの子達の相手をしてて下さい」

男「へ?……うぉ!?」

ふと視線を移すと、そこには8匹程のスライムの群れが、男と魔少女の目の前に現れていた。

魔少女「先輩なら……油断しなければ勝てるハズです。頑張って」ファイト

男「頑張ってって……いきなりこの数かよ。マジかー……」

魔少女「ちなみに……このくらいの数だと、青い液体が売れば5ゴールド。スライムゼリーで10ゴールド分くらいは最低でも稼げますよ先輩」ボソッ

男「よっしゃぁぁああ!!かかって来いや魔物共めが!!」


母親からのノルマ金額、100ゴールドを達成すべく、男は修羅の道へと向かう。
32 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 09:19:52.50 ID:2rToSM7B0
投下終了です。スライムはドラクエです。魔物の心もドラクエです。アイテムもドラクエです。まぁ王道ですからね。
多分また夜にでも投下します。
ではまた。
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 09:20:53.12 ID:A0B2ii3HO
期待ゥー!
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 09:22:35.33 ID:k/zjO3tDO


超期待してる!
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 11:06:29.32 ID:SG7VtJjQO

いいねのんびり続けてくれ
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 12:36:47.62 ID:XELrDDQFo
>>35
sageろks
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 13:24:26.51 ID:SG7VtJjQO
すまん 何故か消えてた
38 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:12:40.60 ID:2rToSM7B0
こんばんわ、>>1です。軽めに投下していきます。

>>33
>>34
>>35
ありがとうございます。引き続きどうぞ。
39 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:14:24.22 ID:2rToSM7B0
魔少女「ママさん……いつまで先輩に秘密にしてるんですかね……」

スライム『ピー』

魔少女「薬草……集めてきてくれてありがとう」ナデナデ

魔少女「お金がないからダンジョン行けなんて……わざわざ回りくどい事をしなくてもいいですのに」




…………





男「うっし、7匹目。一気に襲いかかられない限り、やられる事はねぇな」ブンッ!!

スライム7【ピー!】パコーンッ!

銅の剣を横に倒し、野球のスイングでスライムを吹っ飛ばす。
囲まれないように逃げながら、一体ずつ仕留めていき、スライムの残りは3体となっていた。

スライム8【ピキー!!】ダンッ!!

スライムの一体が、先ほどのように勢いよく体当たりを仕掛ける。

男「真っ直ぐ体当たりだけじゃあ、当たりもしねぇよ!」スッ
40 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:16:07.98 ID:2rToSM7B0
男はそれを最小限の動きで横に避ける。
男は引退したものの、元々は剣道部である。幼少の頃から続けていた事により、身体の使い方は熟知していた。


よって魔物との戦いも、剣道の要領で対峙している。


剣道には基本的な技として面、小手、胴、突きとあるが、スライムの体当たりはただ単純に面を打ちにきているだけのような攻撃だ。
スピードも大してなく、一対一なら小学生でも勝てるだろう。


男「オラァァアアッ!!」ブンッ!


スライム8【ピー】パコーンッ!


男「ハイ8匹目ー。これで15ゴールドか、バイトよりは割がいいかもな」

男「あとはスライムが落としたのを回収してっと……お、さっきの魔物の心とかいうのもあんじゃん」ゴソゴソ
41 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:29:53.14 ID:2rToSM7B0
魔少女「あ……戻ってきましたね」


男「おーい魔少女。とりあえずさっきのスライム達は全部倒したぞー。で、魔物の心も2つ拾ったけど、これどうやってスライムを出すんだ?」


魔少女「お疲れ様です……結晶に魔力を込めれば出てきますよ。スライムならホンの少しの魔力で大丈夫です」


男「へー。……で、魔力ってどうやって込めんの?」


魔少女「……はぁ……」


男「おい、そんな憐れむような目で見んなよ」

魔少女「先輩……学校でもそれくらいは習うハズなんですが。いいです……私がやります」
42 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:34:33.73 ID:2rToSM7B0
スライム's『ピー!!』

男「おぉー出た出た!よーしお前ら!ここら辺に落ちてるアイテムを、片っ端から取って来い!!」

スライム's『……』


男「……あれ?言うこと聞かないんだけど……」


魔少女「魔物は……魔力を注いだ人の言うことしか聞きません。皆、お願いします」

スライム's『ピー!!!』ダッ!!


男「おぉ、行った行った。しかし便利だなー魔力が使えると。後で俺にも魔物の出し方教えてくれよ」

魔少女「先輩……もしダンジョン関係の仕事をするなら、ちゃんとした魔力の使い方くらい覚えておいた方がいいですよ?」

男「仕事なぁ〜。言ってもダンジョンって稼げるけど危険もあるだろ?こういう小銭稼ぎならまだしも仕事としてはなぁ〜」
43 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:36:09.57 ID:2rToSM7B0
魔少女「お兄さんも……第一線で活躍されてるんですから、先輩もそっちに進むんじゃないんですか?」

男「兄貴は別だよ別。剣道やってた時から別格だったからなぁー成績もいいし。あーゆう人間しか続けられないなら俺には向いてないだろ」

魔少女「そんなこと……ないです。先輩だって……」

スライム's『ピー!!』

男「お、戻ってきた。結構色々落ちてるモンなんだなー。どれどれ」

魔少女「先輩だって……」









『戦利品』

色んな薬草 魔少女のバック満タン分
青い液体 10ゴールド分
スライムゼリー 20ゴールド分
壊れた腕時計 3ゴールド
錆びた銅の剣 3ゴールド
うまい棒10本入り 1ゴールド
皮のベルト 10ゴールド
壊れたゲームボーイ 3ゴールド
洗濯板 1ゴールド

計50ゴールド
44 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:42:36.92 ID:2rToSM7B0
男「……なぁ……ゲームボーイやらベルトやらは百歩譲って置いとくんだが……」

魔少女「なんですか?」

男「うまい棒ってなんだよ!なんでうまい棒がこんなダンジョンの草原に落ちてんだよ!!しかも10本セットの奴!!」

魔少女「ダンジョンですから」モグモグ

男「食うな!落ちてたモンを食うな!!女の子が!!」

魔少女「大丈夫です……封はされてましたから。ダンジョンでは食料の現地調達も必要不可欠です」サクサク

男「なんだよ……なんなんだよ、謎すぎんぞダンジョン……ていうか初代ゲームボーイ初めてみたわ。めちゃくちゃデカイな……」


…………




魔少女「とりあえず……この辺りのアイテムは大体拾ったみたいですね。後は出口に向かいながら探しましょう」

男「おう。……そういえば、他の人全然見ないな。いくらこの草原が広いとはいえ、1人くらい見てもいいだろ」

魔少女「ダンジョンの一層目の入り口からは……一定時間毎に転送される空間が変化してますから。
このダンジョンだと……1時間毎に変化します。私達の前後に入った人がいないか少ないということでしょう」
45 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:51:24.02 ID:2rToSM7B0
ダンジョンの仕組みについて!!



1.ダンジョンは一定時間毎に、旅の扉からの転送先の空間が変化する。
転送される空間は各ダンジョン無数に存在し、同じ地形や形状の迷宮などは存在しない。その為、入る度にダンジョンが変化しているのだ。

ただし、建築物や遺跡、1つの街がダンジョンと化しているタイプのものは、空間が変化する事はない。
その為、何度も同じダンジョンに入ることとなる。が、基本的にそのタイプのダンジョンは危険度が高い。


また、無数にあるダンジョン空間から、最終的に行き着く空間は同じ。これが、ダンジョンの最奥地となる。
ただし、途中で空間が確定しているダンジョンもある。そこには大体露店や休憩所などがある。
たまに、とんでもない強敵やお宝が眠っていたりするが、クリア済みのダンジョンなら大体クリア者や先行組が退治・入手している。
故に、クリアされていない新しいダンジョンや危険度の高いダンジョンには、ダンジョン関係の仕事に就く者達が大勢挑戦しているのだ。



2.ダンジョン内に落ちているアイテムや素材は、魔少女が集めている薬草などのように、そのダンジョンに行けば必ず採取出来るモノと、ダンジョンの魔力によってランダムに生まれた・どこかの次元から転送されたモノに分けられる。

落ちているモノの金銭的な価値は、基本的にダンジョン魔力の高さ。危険度の高いダンジョンほど価値がある。


3.ダンジョン内で怪我を負って動けなくても、運が悪ければ誰も同じ空間内にいない。
そして死ねば、基本的に死体は見つからない。
故に、ダンジョンの出入りは厳重に管理されている。
46 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:53:09.66 ID:2rToSM7B0
男「要するに、道のりは無数にあるけど、中継地点や最後に行き着く先は一緒って事だな」

魔少女「先輩……実習真面目に受けてましたか?」

男「え?あ……まぁそれなりにな。ハハハ……」




男「という事は、魔少女もこの草原ダンジョンの出口はわからないんだな」

魔少女「はい……ダンジョンの種類が草原エリアという事と、探索エリアがこの階層のみというのは固定なのですが、それ以外は変化してますので」

男「という事は、誰も見つけていない超レアなアイテムが落ちている可能性もあるってわけだ。結構広いしな」

魔少女「まぁ……0ではありませんが。でも所詮は危険度1ですので……期待はしないほうが」

男「なんだよ冷めてんな魔少女。折角なんだしとことん探索しようぜ」

魔少女「私は……門限までに帰れれば大丈夫ですので付き合ってもいいですよ」

男「おう、サンキュー。お、あっちにデカイ森があんじゃん。行ってみようぜ」
47 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:54:59.97 ID:2rToSM7B0
投下終了です。
不思議なダンジョンでも何でパンなりおにぎりなり落ちてんの?って感じですよね。まぁダンジョンだから何でもありということで。
ではまた。
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 20:56:31.87 ID:DJZuQr1kO
おつつつ
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 21:12:37.74 ID:OMFwZRC/O
乙乙☆

次も期待して待ってる
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 22:24:59.29 ID:hY3NDlq0O
これは期待、もっとたくさん読みたい
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/15(月) 10:29:41.63 ID:TD9HrkN1O
期待してたけど頭悪い系主人公なのわかった途端ダメだ
なんで学校で習う魔力の込め方知らないんだよ
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/15(月) 11:14:45.35 ID:3OQLjxBWo
53 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/15(月) 13:44:09.48 ID:MWaHUmGiO
こんにちわ、1です。引き続き軽く投下します。


>>48
>>49
>>50
>>52
ありがとうございます。引き続きゆるくいきます。

>>51
言われてみればそうですね。ちょっと描写が甘かったです。
とりあえず男は成績はだいたい主要教科は中の上くらいですが、ダンジョン系の実習は適当にやってました。ダンジョン関係の仕事に就く考えはなかったので。

54 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/15(月) 13:44:54.77 ID:MWaHUmGiO
ガードマン「今日はお客さん少なかったねぇ〜。あの学生2人は大丈夫かな?」

男達がダンジョンへ突入してから3時間後。

辺りはそろそろ夕方になろうとしていた。

このガードマンの老人は、このダンジョンを担当してから色々な人間を見てきた。

初めて挑戦する若者が、再起不能レベルの重傷を負う姿を見た事もあった。

入っていったきり、もう二度と戻らなかった者達もいた。

ぜひ、あの学生2人にはそんな事になって欲しくないモノだ。
まぁ、あの少女は何度も入っているから問題無いだろうが。


ガードマン「あれからもう、20年近く経つのか……歳は取りたくないモノだねぇ……」
55 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/15(月) 13:46:14.05 ID:MWaHUmGiO
『始まりの草原西 森林エリア』


男「よし。んじゃ各自ココから離れすぎない程度にアイテム探しで。魔物がいるかもだから、スライムは3匹行動な。3匹なら簡単にやられねぇだろ」

スライム's『……』

男「あー……魔少女」

魔少女「……ゴー」

スライム's『ピー!!』ダッ!!

男「……何か悲しいな……年上としては……」

魔少女「先輩が……ちゃんと実習やらずに魔力を使えないのが悪いんです。じゃあ私も探してきます」ガサガサ

男「魔力なぁ……帰ったらマジで練習しよっかな。お、早速見っけ」ゴソゴソ



…………

10分経過



男「んー……色々見つけたけど大したモンはねぇなー」

花火セット 5ゴールド
壊れかけのラジオ 5ゴールド
自転車のサドル 2ゴールド
携帯灰皿 2ゴールド
2年前のカレンダー 1ゴールド
56 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/15(月) 13:46:57.06 ID:MWaHUmGiO
男「……もう深く考えんのはやめよう。ダンジョンなんだ。自転車のサドルや花火セットくらい落ちてるさ。うん」



男は考えるのはやめた。
『ダンジョンだから』
それで全ては解決するのだ。いいじゃないかダンジョンなんだから。


男「他の奴らも同じくらい集めてくるとしたら……うん、とりあえずノルマは達成出来そうだな。今度魔少女に何か奢ってやんなきゃなー……ん?」

ガサガサ

男「……何かこっちに来てるっぽいな。魔物か?」

茂みを掻き分けるような音を聞き取り、男は銅の剣を構える。
油断さえしなければ、このレベルのダンジョンなら対処出来る事は確認済み。先手さえ取られなければ大丈夫と、男は音の主を待つ。

ガサガサ ガサガサ
57 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/15(月) 13:47:44.68 ID:MWaHUmGiO
ラージアント【】ガサッ!!

男「ッ!?デカイ蟻だなオイ」

現れたのは、全長60cmほどの黒アリ、ラージアントである。
単純に、地上にいるアリがデカくなっただけ。
しかし、アリと言う生き物は自身の大きさの何倍何十倍の大きさのモノを運ぶ力がある。

たった60cmだが、このラージアントをそれに当てはめると、かなりの強敵だ。

ラージアント【キィッ!!】ザッ!!

男「おっとぉ!!」ギィンッ!!


ラージアント【ギギギギギッ!!!】グググッ!!

男「クッ……結構力あんじゃねぇか……」グググッ!!


ラージアントが男に?みつこうとするのを、銅の剣で防ごうとすると、その銅の剣をラージアントが?みつき、力比べとなった。

大きめのアリに指を噛まれた経験はないだろうか?かなりの力で噛み付いてきたと思う。

それが60cmもの大きさである。顎の力、首の力共に、人間にも引けを取らないだろう。
58 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/15(月) 13:48:24.11 ID:MWaHUmGiO
男「な……めんなぁぁぁあああッ!!!」ググッ!!

ラージアント【ギィッ!?】

力は強いが、所詮は60cmの虫。重量はそこまで重くはない。プロレスの神様カールゴッチの如く、男はラージアントごと、銅の剣を振り上げる。

そしてそのまま

男「オラァァアアッ!!!」ブンッ!!

ラージアント【ギッ】グシャアッ!!

銅の剣を思いっ切り振り下ろし、噛み付いている顎ごと、ラージアントの頭を砕いた。

シュゥゥウウッ……

ちょっとグロい光景だが、そこはダンジョン。
グロい光景ごとラージアントは消えていった。

男「ふぅ……今のはちょっと危なかったんじゃねーかな。大ケガしないって魔少女は言ってたけど、あの顎は危ねぇだろ」

高校生男子と互角の力を持つ顎の力だ。?みつかれれば痛いでは済まないだろう。

男「あれが群れで来たらヤバイなぁ。っと、今のアリのアイテム落ちてねぇかな?」ガサゴソ
59 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/15(月) 13:49:13.58 ID:MWaHUmGiO
蟻のフェロモン 3ゴールド
ラージアントの顎 3ゴールド

男「顎……使い道あんのか?あとは……フェロモンねぇ」

魔少女に借りた、このダンジョンについて書かれたガイドマップを片手に、アイテムの名称を確認する。

男「……そう言えばアリってフェロモンで仲間の位置がわかるんだよな?」

男はふと思った。もしさっきのアリが戦闘中に、フェロモンを出していたとしたら。




ラージアントの群れ【】ガサガサッ!!





予想は的中し、男の周囲にはラージアントの群れが集まっていた。
その数は10匹以上。
フェロモンにより、まだまだ増えていくだろう。



男「やっべ……こんなの絶対やられるじゃねぇかよぉぉおおおっ!!!」ダッ!!

ガサガサガサガサッ!!!

男は何の迷いもなく、一目散にその場から逃げ出す。
囲まれる事はなかったが、ラージアントの群れは男を追いかけていく。
振り向かなくても、音でわかる。追付かれれば割と冗談じゃすまない。


男「うぉぉおおおおッ!!!魔少女お助けぇぇええええっ!!!!」ダッ、ダッ、ダッ、ダッ!!
60 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/15(月) 13:51:04.55 ID:MWaHUmGiO
…………



オタスケェェェエエエエッ…………



魔少女「あ……先輩何かやらかしましたね。大方、ラージアントの群れにちょっかい出したのでしょう」スッ……

少し離れた位置で、のんびりとアイテムを探していた魔少女の耳に、男の叫びが聞こえてきた。

ラージアントは、というかアリは基本群れで行動している。先頭がフェロモンを所々で出しながら移動しているのだ。
その先頭のラージアントと戦えば、後列の群れとかち合うのは当然である。


魔少女「しょうがないですね……たこ焼きを奢ってもらいましたし。……『チェイス』!」カッ!


魔少女は追跡探知魔法を使い、男の行方を追う。闇雲に逃げているらしく、意外と距離は離れてはいなかった。


魔少女「この距離なら……これが使えそうですね。……『ファイヤーボール』」ボゥッ!!


魔少女の周囲に、15個ほどの火球が現れる。大きさはバスケットボール程のであろうか。


魔少女「そして更に……自動追跡魔法『オートチェイス』を『ファイヤーボール』に追加。先輩の後方、1mから10m辺りの生体反応に着弾設定」グググッ……


ドンッ!!!


火球が魔少女から放たれ、上空へと飛び上がる。
そして自動追跡魔法によって、目標を逃げている男の後方に設定。



魔少女「複合魔法……『メテオフォール(偽)』!!」



そして火球は上空から凄まじい速度で、男の後方目掛けて発射される。
61 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/15(月) 13:53:15.94 ID:MWaHUmGiO
投下終了です。アリはホントならもっと強いでしょうが、弱めに設定しとります。
ではまた。
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