男「はぁ?ダンジョンに行ってこいって?」

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1 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 20:46:35.03 ID:3CovM/k00
母「今月ちょっと厳しくてさぁ……アンタちょっと市役所の近くにあるダンジョンで、色々拾って売ってきてよ。
こないだ実習授業で許可証作ったんでしょ?来週までの食費にはなるし」


男「やだよメンドイ。ていうか、いくら危険度ランク1のダンジョンだからってそれなりに魔物もいるんだぜ?」


母「アンタこないだまで剣道部だったでしょ?お兄ちゃんがプロになる前に使ってた『銅の剣』あげるから。
剣道の部活も引退したんだから、少しは家の事も助けなさいよ。バイトもしてないんだし」


男「そりゃあ、先週引退したばかりだからバイトだって探し中なんだよ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1470915994
2 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 20:49:51.77 ID:3CovM/k00
母「そうだ、アンタもお兄ちゃんみたいにプロを目指せばいいのよ。稼ぎもいいんだしさー」


男「聞けよ!大体、稼ぎがいい代わりに危険な仕事じゃん。俺は平和にのんびり生きていきたいの!!
大体、兄貴からの仕送りもあるのに何で金がねぇんだよ」


母「いやぁー……ちょっと闘技場で稼いでこようと思ったら……テヘッ☆」


男「このクソババァッ!!!あれ程生活費まで持って行くなって言ってんだろうがぁぁぁああッ!!!!」


母「誰がババァだコラァッ!!!まだ36歳のイケイケだろうがぁぁああッ!!!」ギリギリギリギリ!!


男「イテテテテ痛い痛い!!ギブギブギブギブ!!!」バンッ!バンッ!!
3 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 20:53:17.67 ID:3CovM/k00
…………



母「とりあえず100ゴールドくらい稼いできてねー、いってらっしゃーい」


*1ゴールド→100円


男「クソォ……息子にコブラツイストなんざ極めやがって……イテテ……」

母「車には気をつけるのよー」

男「ダンジョンの魔物には気をつけなくていいんかい!!」


隙あらばギャンブルに勤しむ母親の愛(物理)に背中を押され、俺は家から1km程離れたところにある、市役所近くのダンジョンへと自転車で向かった。
4 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 21:01:07.84 ID:3CovM/k00
ダンジョンとは。


100年以上前から、世界中に現れ始めた不思議な不思議な迷宮である。
ダンジョンの入口には旅の扉と呼ばれるワープ装置のようなモノがあり、それを通る事で、異空間に作られたダンジョンへと挑む事が出来る。
中は、1つの大きなフィールドであったり、建造物であったり、迷路のようになっていたりと様々で、危険度ランクによってより広く、より深い作りになっていく。
また、各地に昔から伝わる伝説の地や遺跡などに出現したダンジョンは、その特色を強く引き継いでいるモノが多い。



ダンジョンには危険度というモノが設定されており、それは旅の扉から発せられる色によって判断出来る。
危険度の高いダンジョンには、強力な魔物やタチの悪いトラップ。難解な暗号や仕掛けなどがある。

ちなみに、魔物は現在に至るまでダンジョン内でしか確認されていない。



ちなみに現在最高危険度のダンジョンに認定されているのは、70年前にエジプト『アブ・シンベル大神殿』内に出現したダンジョンである。

設定された危険度ランクは『72』



世界中から冒険家、傭兵、軍隊などが投入され、死者38万人という大勢というにはあまりにも多すぎる犠牲者を出したそうだ。
が、ダンジョンより回収されたあらゆる資源やアイテム、文献や財宝により、人類は加速的に文明の発展を遂げる事となった。
と、歴史の授業で習った。神殿ダンジョンの写真見たけど凄い荘厳というか壮大というか、とにかく凄かった。

つまり、ダンジョンとは、資源やアイテム、古代文明の宝庫なのだ。


なお、この最高難度ダンジョンを制覇した青年は、世界の影の支配者と呼ばれるほどの富と権力と武力を手に入れたとかいないとか。

その辺の事は俺みたいな一庶民にはわからない事だ。
5 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 21:06:56.98 ID:3CovM/k00
男「あのー……すいません」

ガードマン「ん?あぁ、もしかしてダンジョンに入るの?学生さんみたいだけどいい銅の剣持ってるし、経験者?」

男「えっと……そうです。学校の授業以外では初めてですけど」

ガードマン「じゃあランク証明書見せてー。……うん、ランク2までの証明書だね。学校でダンジョンの中の事は教わってるよね?」

男「えぇまぁ。と言っても、授業用に整備されたダンジョンだったんで、ちょっと不安ですけど」

ガードマン「まぁランク1とは言え、魔物は出るからね。でも立派な銅の剣持ってるじゃない。それが使いこなせるならきっと大丈夫さ」

男「はぁ……」

ガードマン「じゃあ、入っていいよ。あ、あとコレ。『脱出の玉』。危なくなったらスグ使うんだよ?」
6 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 21:09:08.08 ID:3CovM/k00
男「え?でもコレお金いるんじゃ」

ガードマン「初めてなんでしょ?じゃあオジサンからのプレゼントさ。アイテム一杯持ち帰りたいかもしれないけど、無茶しちゃダメだよ」

男「あ、ありがとうございます!!いってきます!!」


脱出用の魔法アイテムをガードマンのお爺さんから受け取り、俺はいよいよ、本物のダンジョンへと足を踏み入れた。


シュインッ!!



ガードマン「んー……男の子の旅立ちってのはいつ見てもいいもんだねぇ……」

少女「あのー……すいませーん」

ガードマン「あ、ダンジョンに入るの?じゃあ証明書をお願いね」
7 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/11(木) 21:16:40.43 ID:3CovM/k00
投下終了です。
現代に不思議なダンジョンがあったら的なSSになります。サラリーマンもいれば、魔法使いや戦士やガンナーなどもいる世界です。でも皆、大体現代人です。
ゴールドは、全世界共通通貨で。アイテム、武器やモンスターなどは色んなゲームや神話的なモノから取っていきます。
ではまた。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 21:26:13.53 ID:6B8iOzZF0

期待
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 22:16:42.35 ID:1rZQrDU7O
おもしろそう
きたい
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 00:17:43.16 ID:oVVIMoEd0
期待
11 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 07:48:47.54 ID:YxbxKaex0










『一(はじめ)市 市役所前ダンジョン』




出現時期 12年前

危険度ランク 1

主な魔物 スライム ラージアント








12 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 07:50:26.93 ID:YxbxKaex0
1F 憩いの広場


シュインッ!!


男「さて……意を決して初ダンジョンへと踏み入れたところだが……まぁ1Fは大体こうらしいしな」


ワイワイガヤガヤ
イラッシャーセー


ダンジョンに入って一層目。
殆どのダンジョンは、この一層目には魔物がいないし、新しくも生まれない。
なので、ダンジョンの外で商売をする為の土地がない地元の人達や、旅の商人、露天商などが、この一層目に店を構えているのだ。
基本ダンジョンは入ったら、最下層まで行くか魔法やアイテムを使う以外は出られない。
しかし一層目には、国が各市町村に配っている脱出用の永続魔法道具が配置されている為、許可証さえ持っていれば買い物をする為だけにダンジョンを訪れる事も可能なのだ。



グー……

男「そういや昼メシ食ってなかったな……ここで食ってくか。すいませーん、たこ焼き1つ」

店主「あいよー。兄ちゃん学生かい?頑張ってこいよー」

男「どうもー。……アチッ、熱ッ」ハフハフ

「あれ……もしかして先輩?」
13 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:12:56.07 ID:YxbxKaex0
男「ん?……あれ?魔少女じゃん。何でこんなところに」ハフハフ

魔少女「私は薬の材料を取りに……先輩こそどうして?」


魔少女。
俺の通っている高校の一個下の後輩であり、魔法部の新しい部長兼、『魔法薬学研究会』会長だ。


家が魔法使いの家系であり、コイツ自身も魔法使いである。ちなみに家は漢方やダンジョンで取れる素材で作る、魔法薬局を営んでおり、店がウチのすぐ前にあるので、小さいときから知ってる仲ではある。

大きく分類すれば幼馴染だろうが、そこまでの深い付き合いはない。一緒の高校に行くからという事で、それから関わる事がかなり増えた程度だ。

性格は物静か。運動音痴。インドア派。ただし魔法使いなだけあって知識欲は半端ない。
14 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:24:20.33 ID:YxbxKaex0
ちなみに、薬にダンジョン内の素材をよく使う為、普通ならば高校3年で取得するダンジョン許可証を、1年の終盤には取得していたという、中々の秀才である。


男「俺はまぁ……アレだ。ちょっと極秘の仕事で」

魔少女「またママさんが……ギャンブルで負けたんですか?」

男「うっ!?」

魔少女「この間……学校の実習でランク証明書取りましたよね?それで……早速生活費を稼いでこいと追い出されたとか?」ニヤリ


ちなみに推理モノが好きなようで、昔からコナ○やら金田○やらが部屋にあるらしい。貸してと言ったら全巻まとめて渡してきやがった。置く場所ないわ。
15 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:29:27.26 ID:YxbxKaex0
男「そのドヤ顔と黒い笑みを混ぜたような表情やめろ。あーあーそうだよ。あのクソババァ、ギャンブルの才能ねぇのにまた生活費に手ェ出しやがって」

魔少女「……ママさん……まだ伝えてないんですね……」ボソッ

男「ん?どうした?」

魔少女「いえ……何でもないです。それで……先輩も行くんですか?ダンジョン……」

男「あぁ、止む終えなくって感じだけどな。まぁランク1だし武器もそこそこいいの持ってるし大丈夫だろ」

魔少女「よかったら……一緒に行きませんか?」

男「へ?マジで?いやーそれなら凄い助かるわー。お前の魔法があれば、ランク1くらいの魔物くらいは余裕だろ」



実際、魔少女の魔法は中々凄い。
間違いなく、並の高校生のレベルでは無いだろう。去年はもう少しで全国大会にいけるところだったとか。

ただ……
16 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:31:32.90 ID:YxbxKaex0
魔少女「いえ……じゃあその代わりに……ハイ」つボストンバック

男「へ?バックを俺に?何で?」

魔少女「荷物持ちです……それ一杯に薬草入れて帰りたいので」

男「ゲッ……まぁ、心強い味方がそれで出来るならいっか……」

魔少女「 では……出発進行で」ガッ!!「へぶっ!!」

魔少女が何も無いところで盛大に転ぶ。
そう……彼女は運動音痴。超が3つ付くレベルのだ。


魔少女「……失礼しました。……では」


男「おい……お嬢さんパンツ。スカートめくれ上がってパンツ見えてますから」


魔少女「ッ!?」バッ!!


ピンクの何かヒラヒラふわふわした可愛らしいパンツを大サービスの魔少女は、その運動音痴に似合わぬ反応速度でスカートを戻す。


ちなみに、現役高校生である俺が、JKのパンツを見てなんでこんなに冷静かだって?
こんな全開のパンツ見せられても、全く何にも思わんわ!隠されてるからいいのだパンツは。
17 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:43:05.67 ID:YxbxKaex0
魔少女「……ダンジョンに入る前に……『フィジカル』!!」カッ!!

男「おぉ、身体能力を上げる魔法だっけ?」

魔少女「……フフッ……これで私の身体能力は、普段の倍」ガッ!!「へぶっ!!」


男「まぁ……0に0に何を掛けても……0なんだよなぁ」

どうしよも無い現実に、俺は魔少女から目を背ける。仕方ないんだ。それが現実なんだから。


魔少女「…………」グググッ……

俺「もういい……もう休め、魔少女……」

魔少女「……魔力……もってくださいよ……」

魔少女「4倍だぁぁぁああああ」カッ!!

男「何っ!?」

普段出さない大きな声……まぁ別に大きくはない声と共に、魔少女の身体を青白い魔力が覆っているが見えた。
18 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:44:20.05 ID:YxbxKaex0
ォォォオオッ…………

魔少女「さぁ……これならそうそう転びません。……その代わり、魔力の節約の為に他の魔法が使えなくなりますが」

ォォォオオッ…………



男「それ弱体化してんじゃねぇか!!いつもどうやって採取してんだよ」

魔少女「いつもはお父さんと一緒ですので……魔物は全部お父さんが」

男「俺荷物持つだけでメリットないじゃねぇーか。まぁいーや、ホラッ、さっさと行くぞ」

魔少女「待ってください……魔力の使いすぎで、お腹が減って……」ゼェッ、ゼェッ

男「お前もう、その魔法解けよ!デメリットしかないわ!!」
19 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:46:17.40 ID:YxbxKaex0

魔少女「……ほひほうははへふ(ごちそうさまです)」モグモグ

男「いいよ別に。その代わり、ヤバイ時は魔法頼むぞ」


結局、俺は魔少女にたこ焼きを奢り、消費した魔力を回復させてから、いよいよ本格的なダンジョンへと続く旅の扉の前に立った。


男「この旅の扉をくぐれば、いよいよ本番か……」

魔少女「大丈夫です……ここには大ケガするような魔物はいませんよ。……アチチッ」ハフハフ

男「それでも、端金目当てでケガしたくないからな。うし、行くか!」

魔少女「はい」


そして一歩。
俺は新たな世界に足を踏み入れた。
20 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/12(金) 08:52:20.09 ID:YxbxKaex0
投下終了です。とりあえず魔法使いをパーティーに追加で。
魔少女は、物静かだけどノリはいいみたいな優しい子です。


>>8
>>9
>>10
ありがとうございます。暇なときに見てやってください。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/12(金) 09:29:20.31 ID:5pYva6GHo
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 10:41:36.31 ID:QKLPssrCO

ダンジョンってワクワクするよな
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 18:35:46.04 ID:EbvurFgJ0
乙。これは楽しみ
24 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 08:43:25.17 ID:2rToSM7B0
おはようございます。>>1です。軽く投下していきます。
>>21
>>22
>>23
ありがとうございます。引き続き暇なときにどうぞ。
25 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 08:51:47.59 ID:2rToSM7B0
ダンジョンエリア『始まりの草原』



男「……これがダンジョンか……」

魔少女「ダンジョンの中は……魔力に満ちてますから好きです」スー、ハー


ダンジョンには様々なタイプがある。


広い開けたエリアを1つの階層とするモノ。

壁に阻まれた迷宮。

全階層が連なった、巨大な建造物を探索するモノ。

1つの都市がダンジョンと化しているモノ。



今回挑んだこのダンジョンは、広い開けた空間のタイプのようだ。

男「綺麗な草原だな……何だか旅行に来た気分だ」

見渡す限り、草原と丘の世界。
気持ちのいい風が吹き、シートを広げて弁当でも食べたい気分になる。

26 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 08:53:52.08 ID:2rToSM7B0
男「そうだ、実習用じゃない初ダンジョンだし写メっとくか。魔少女はいいのか?」パシャッ

魔少女「私は……このダンジョンには何度も来てますから。よかったら撮りましょうか?」

男「マジで?じゃあよろしく。後でRINEで送ってくれよ」

魔少女「じゃあいきます……ハイチーズ。……あ」パシャッ

男「どうした?」

魔少女「先輩……横、気をつけた方がいいですよ」

男「え?」

携帯を持った魔少女が、男の横を指差している。その指の方を見てみると

スライム【……】プルプルッ

男「…………」

そこには膝下くらいの大きさの青い生き物。
スライムが俺の隣でジッとこっちを見ていた。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 08:55:05.06 ID:z2s1A0PCo
壁紙みたい
28 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 08:59:42.63 ID:2rToSM7B0
男「…………ッ!?やべッ!!」バッ!!

スライム【ピキー!!】ダンッ!!

男「ぐはぁぁぁああああっ!!!」ズザァァァアアアッ!!

咄嗟に銅の剣を身構えるが、スライムの方が一歩早く、体ごと体当たりされてそのまま吹っ飛ばされる。

男「痛ってぇぇえええ!!出てくるの早すぎんだろ魔物!!」

魔少女「先輩……油断し過ぎです。ここはもうダンジョンの中ですから」ボゥッ!!

男「ッ!?手から火の玉が……マジか!!」ダッ!!

スライムの体当たりの痛みが残りながらも、魔少女の魔法を目の当たりにし、それを放つ前に急いでスライムから離れる。


魔少女「『プチファイヤーボール』」バッ!!


スライム【ピー!!】ボンッ!!


放たれた野球ボール程度の大きさの火球がスライムに当たると、スライムは2、3回ほどはねながら吹き飛んでいった。
29 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 09:01:52.91 ID:2rToSM7B0
男「イテテ、何だ……火力抑えてたのか。流石だな」

魔少女「先輩……大丈夫ですか?回復いりますか?」

男「いや、大したダメージじゃないよ。剣でガードしたし、精々1発ガード上から殴られた程度」イテテ

魔少女「すいません……私がもっと早く気付けばよかったんですが」シュンッ……

男「いやー俺が初ダンジョンに浮かれてただけだし。助けてくれてありがとな魔少女」

正直浮かれていた。
実習の時は、引率の先生や他の生徒も大勢いたから全く危険はなかったが、今は自分と魔少女だけなのだ。
観光気分に浸るのも程々にしなければ。

男「ん?スライムがいつの間にか消えて、何か落ちてんだけど」

魔少女「魔物は……ダンジョンの魔力によって生まれた魔法生物ですから。倒せば消えるんです」

魔少女は、スライムの跡に残った3つのアイテムを拾い上げる。
30 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 09:12:50.93 ID:2rToSM7B0
魔少女「これは『青い液体』……服の染料などに使われてます。それとこれは『スライムゼリー』……そのまま食べてもいいですが、料理に使うと片栗粉みたいにとろみがでて、あんかけチャーハンなどが美味しいですよ」


魔物には、物体にダンジョンの魔力が注がれる事によって生まれるタイプと、生態系に魔力が影響を及ぼしたタイプ。
そして、別の次元から現れるタイプが存在する。
スライムは一番目のタイプだ。


ダンジョンに落ちているアイテムなども、魔力によって生み出されたモノや、元の資源が変質したモノである。

従ってダンジョン内の魔力レベルが高ければ高いほど、比例して強力なアイテムや魔物が生まれる。
魔力レベルが高いイコール危険度が高いという事だ。ダンジョンの危険度ランクもこうやって決められている。


男「そういや、その辺は実習で習ってたな。でも、残りの1つは何だ?何かの原石みたいに見えるけど」


魔少女「これは……『魔物の心』と呼ばれる、魔物が時々落とす結晶です。持ち帰り加工すれば、様々な効果がありますが……このままでも使う事は出来ます」ポイッ

魔少女は、手にした結晶にホンの少しの魔力を込め、それを地面に落とす。すると



ボンッ!!

スライム『ピキー』
31 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 09:17:04.23 ID:2rToSM7B0
男「おぉ!?スライムが出てきた!!」

魔少女「このように……このダンジョンの中でのみ、魔力を込めた人間に従う魔物が現れます。戦力が足りない時に、探索者が臨時でよく使う方法ですね」ヨシヨシ

男「へー、それは知らなかったな。俺もスライム倒して集めてみようかな」

魔少女「わかりました……じゃあ私はこの子とこの辺りの薬草を集めてますから、先輩はあの子達の相手をしてて下さい」

男「へ?……うぉ!?」

ふと視線を移すと、そこには8匹程のスライムの群れが、男と魔少女の目の前に現れていた。

魔少女「先輩なら……油断しなければ勝てるハズです。頑張って」ファイト

男「頑張ってって……いきなりこの数かよ。マジかー……」

魔少女「ちなみに……このくらいの数だと、青い液体が売れば5ゴールド。スライムゼリーで10ゴールド分くらいは最低でも稼げますよ先輩」ボソッ

男「よっしゃぁぁああ!!かかって来いや魔物共めが!!」


母親からのノルマ金額、100ゴールドを達成すべく、男は修羅の道へと向かう。
32 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 09:19:52.50 ID:2rToSM7B0
投下終了です。スライムはドラクエです。魔物の心もドラクエです。アイテムもドラクエです。まぁ王道ですからね。
多分また夜にでも投下します。
ではまた。
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 09:20:53.12 ID:A0B2ii3HO
期待ゥー!
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 09:22:35.33 ID:k/zjO3tDO


超期待してる!
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 11:06:29.32 ID:SG7VtJjQO

いいねのんびり続けてくれ
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 12:36:47.62 ID:XELrDDQFo
>>35
sageろks
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 13:24:26.51 ID:SG7VtJjQO
すまん 何故か消えてた
38 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2016/08/14(日) 20:12:40.60 ID:2rToSM7B0
こんばんわ、>>1です。軽めに投下していきます。

>>33
>>34
>>35
ありがとうございます。引き続きどうぞ。
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