召喚術師「安価で修業する」

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748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 16:02:40.46 ID:6ySJDLgKO


ッザギン
ガガガガガゥゥンンン


キンッ コロ

半狼「何してんだ ブス」slash bolt
半鳥「こっちの台詞なんだけど」quintuple quick draw

ロボット「(……撃つのが急に速すぎる おれのコンセントレートを真似したの?)」

半鳥「鏡見な? 顔の毛ヤバいよ」ズキ

半狼「ガリガリなのは飼料ばっか食ってっからなんだろトリ肌女?」

ドリアード「ハンター君パス」ブワァッ

ロボット「うわっとと」catch ×5

半鳥「傀儡の武器も剣だった」

半狼「剣じゃなくてカタナ 何にも知らねぇなカウガール」スラ

半鳥「犬の刃物なんかなんでもいい」
半鳥「なんでこんなことするの? 全部玩具屋のおじさんが手作りしてるんだよ」

半狼「の割りに平気で撃ち飛ばしてんな」

半鳥「全部ネジの頭掠らせただけ これくらいじゃビクともしない」

赤い傀儡「(坊っちゃんと重ねて使ったんで他人の魔力の通し方を擬似的に体験したわけだァ〜〜)」

赤い傀儡「(そりゃあ人間も魔力生物だから魔力の代謝? にアホな真似ができればおんなじ理屈かもしんないけど)」

赤い傀儡「(基本は五感も何も動き全部を魔力で賄う傀儡だから出来る荒業なんだよ〜〜 ハーフィちゃんにも後で注意しとくかなァ〜〜〜)」

半狼「(曲芸かよ サーカス行け)」
半狼「でも残念 一個撃ちきれなくて半分になっちゃったねー」kick

半鳥「うん それは後でおじさんに謝らなきゃ」残弾1

半鳥「でも犯人つきで話せば許してくれると思うから」チャキ

半狼「は 一発きりでどうやって」ス…

ザッ

半狼「?」


刑事「多分 七発きりでこうやってだな」aim

半狼「!」

半鳥「刑事さん? ラッキー」
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 16:06:41.12 ID:6ySJDLgKO

刑事「傀儡のじゃねぇ銃声したから来てみりゃハーフィかよ どういう状況だ」

刑事「と思ったがそっちのウルフガールを見りゃ一目瞭然だわなァ いくら毛深い犬顔ったって」
刑事「この帝都で仕込みギターなんざそうはお目にかかれん なあライカちゃん」

半鳥「有名人だねライカちゃん」

半狼「気安く呼ぶんじゃねェ殺すぞガキ ……よりによって組犯の賞金稼ぎ様かよ」

半狼「消えてな 今日は何もしてねえだろ」

刑事「抜き身の刀向けてるのを何もしてないとは言わないんじゃないのか」

半狼「正当防衛 ピストルで撃たれたから」
半鳥「正当防衛 カタナで斬られましたから」

刑事「(本当に召喚魔法じゃなくて銃頼んだなこの子 そっちのが速ぇから分かっけど)」

刑事「まあバックの差で鳥のお嬢ちゃんだな」

半鳥「イェー」

半狼「はあ? ふざけんなよ!」

刑事「現在進行形の脅しだ お前魔導鎧の対人機銃叩き落とすだろ 刀で」

半鳥「えっ」

刑事「本当に危ねえとこだったぜハーフィ 後で取り調べるから署来てもらうがここは任せろ」

半鳥「……き 機銃効かないの?」タジ

半狼「その機銃が効かねえアタシの剣も魔法も通用しねえのが隣の救急デカだよ」チン パタ

刑事「はいはいちょっと こういう手合いに言ってスムーズに済む事例が悲しいかな少な過ぎるんだが――――」
刑事「義務だから一応勧告するしかない 動くな手を上げろ」チャキ

半狼「黙秘権までやってていいよ」carry guitarcase

半狼「言えればだけどな」cast VOICE AMPLIFY

刑事「ハーフィ 耳を塞げッ」up coller

半鳥「耳っ――――?」


半狼「ッッッッッ××××××――――――――――ッッッッッ」RrrrrooooOoOOooOooooAaaaAaaaaAaAAAaAaAaarrrrrrR

750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 16:08:27.52 ID:6ySJDLgKO


ロボット「うわァうるッさ!」ビリビリビリ
赤い傀儡「あァ^〜ぶっ壊れた関節に響くゥ〜〜〜ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛」ビリビリビリ

ドリアード「(耳回りの実体化解除っ!)」deafed

刑事「(自腹切ってコートの襟に防音付呪加工した甲斐よ まだ大丈夫だがこの咆哮も出会す度強力になりやがる)」soundproof

刑事「(ドリアードはどうせ死なん ハーフィとあっちのオークは)」チラ

ブヅンン

半鳥「    」バタッ

豚鬼整備士「    」ドズン

 元より強靭な人狼の声帯を魔法で強化
 撃ち出された咆哮が大音量と衝撃波を以て一行を打擲

 そも影響を受けない傀儡二台 体から聴覚器官を無くした木精 対策万全の公務員はこれを凌ぐも約二名が即死
 そう即死した 耳朶から出血し完全に瞳孔が開ききったザマはショック死体のお手本と言える様相だった

 ライカンスロープの相貌に愉悦が浮かび それを認めた木精の魔力が猛る
 手近な地面から壁から棘の生えた蔦が迸り 突如吹き荒れる暴風が切れ味抜群の木の葉を孕んで半狼に殺到

 半狼は何かしら対処の当てがあったかさらなる魔法を撃たんと魔力を練りかけた
 しかし足を狙った刑事の射撃 跳躍で回避し頭数から形勢を不利と踏む
 そのまま亜人的脚力に任せ建物の壁を蹴り繋いで瞬く間に離脱した



 顛末の報告を受けたボスはさもおかしそうに大笑いして 俯く半狼の頭をくしゃくしゃと撫でた
 気分転換になっただろうと

 出された命令は次の仕事があるまで待機 遵守している
 していた
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 16:10:01.85 ID:6ySJDLgKO

――――――
――――
――


半狼「(手加減の声だしあの二匹はどうせ死んじゃいねえ あの場で新しい鼓膜張って蘇生措置すればすぐだ 今までも――)」
半狼「(真っ二つにしてやった途端あの刑事に即治されたことあるし あいつの前で新鮮な死体は死体じゃない)」

半狼「(あいつマジでなんで刑事やってんだ)」

半狼「(いいや あのフェザースキンはそのうチキちンと手羽先にしてやる 今は)」

半狼「……着いた」

 表通りから少し奥へ入った所 店や人通りが疎らになり始める辺り
 遠巻きに睨め付ける先には趣ある佇まいのステーキハウスが一件
 ドラゴンの肉が売りの繁盛店に半狼は行ったことがある
 肉は美味かったし接客は上々 調度や内装の雰囲気も落ち着いていて悪くはなかった

 合いさえすればここで副業の歌とギターをやるのも吝かでない 腕に自信はある
 気に入っていただけに今回こういう用向きで来たのは残念だった

 "閉店"の札がかかるドアを両側から塞ぐように立つ男達に近寄る
 毅然とした態度と口調で今日はやってない旨を半狼に伝えるドアマン然とした連中はここの店員ではない
 ドアマンはいないし ここの店員は半狼にこんな一般人にするような対応をしない この状況では尚更

 互いにフォーマルな装いの胸元には所属を表すバッジとブローチがあった

男1「第二学園の生徒さんですか?」

半狼「……警備会社ね」

男1「え?」
男2「ええそうですよ」

 二学の制服からブローチを外す
 石に宿す二年生の青色が変形しかかった掌に隠れる

警護員2「(この子 手大きいな)」
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 16:12:35.14 ID:6ySJDLgKO

半狼「要人警護とかもやってるだろ 知ってる バリア魔法のプロ一家が親族経営してんだよな」cast VOICE AMPLIFY

半狼「あー ア あー んんッ アタシの学校もお願いしようかって話出てるってさ 乾く暇無いねー。――――――――――」ECHO SCAN

警護員1「よくご存じで そうでしたか、それはどうも……」

 手持ち無沙汰な女生徒を気取って話しつつ窓から店の中を覗く
 警護員からは名残惜しげな食いしん坊の少女にしか見えなかろう 半開きの口など気にも止めない

 極微かな魔力を乗せた可聴域外の声を警護員二名にぶつける
 跳ね返ってきた音を聞き分けて脅威判定が完了 イルカか

半狼「(腰に警棒 銃は脇でセーフティかけっぱ)」
半狼「(内臓まで届いてねえのはこれチョッキか 防弾防刃に弱めの対魔付呪)」
半狼「(ホールは誰もいない 通行人無し……)」

半狼「自前の兵隊置いてねえなら大したこと知ってる奴でもないんだろうけど」

半狼「顔見られてるしな」

警護員2「えっ?」

 剥き出した牙が震える
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2018/04/04(水) 17:46:53.29 ID:E915A4yx0
ちょうと覗いてたら更新されてた、
754 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/05(木) 21:55:57.92 ID:ff2KdF+N0


翌日


755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/05(木) 21:56:50.25 ID:ff2KdF+N0



『"白昼襲撃 レストランで殺戮"』

『"「現代アート」教会大聖堂、落書きの清掃が完了 Q・S音沙汰無し"』

『"十三年式G型乗用魔導耕運機売りたし"』

『"学生乱闘 第二学園、教育者の質の低下"』

『"運河港湾区コンテナ崩壊 物流への影響は"』

『"ラジオドラマが数十年の時を経てリメイク 改良型対戦傀儡発表 再ブームなるか"』

『"市民団体がステーキハウス事件と歩行植物の関連性を指摘 「付け合わせは野菜だ」"』

『"数年越しの保存遺体が復活? 保存液の存在 「プライバシー保護」、信憑性低し"』

『"試製インペリアル・デバイス実験部隊 戦線へ"』


756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 09:02:29.97 ID:kG28T6re0
乙!
このニュース風記事欄、好きだけど 『付け合わせは野菜』 は草。流石にこじつけ過ぎww
みんな歩行植物の話すんの好きなんだなww
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 07:05:44.84 ID:q8ViyuS90
アリシアちゃん、復活したのか……?
そうだとして、なんでそんな秘匿されてる情報が漏れてんの……?
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/10(火) 13:21:33.01 ID:X5bZwbky0
乙〜
何だかんだ前回の書かれなかった部分をちょいちょい埋めてくれるから嬉しいな

それにしても、試製インペリアル・デバイスの戦場投入決定、か……戦地は荒れそうだ
759 :キャスティングもうちょっと! ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/14(土) 17:22:29.46 ID:N/tm8TpI0


【昼前 帝都総合病院】
【特別入院棟八階 入院費お高めの個室前】


短髪の女子「……」つ新聞

 帝都国営大病院 金かコネのある患者専用高層階の廊下を新聞読みながら早歩きする少女がいた
 紙面から視線を逸らさず器用にナースとすれ違う 行をなぞる眼差しは朝からずっと険しい
 そして似ていた

短髪「(……なんてことですか)」

短髪「(このレストランの担当者を切らなければ 懲戒免職にします!)」

短髪「(真っ当な評判があるとはいえ犯罪組織の運営店だったなんて! 知らなかったでは済まされません)」

短髪「(一族の人間こそいなかったものの大事な社員を二人も殺されたのです 三人目にしてもいいくらいッ……)」

短髪「(……また叔母さんや叔父さんが荒ぶるんでしょうね 一線を退いてるのに口だけほんと……はぁ あーぁ)」

短髪「(あー! ハゲそ)」げんなり

 少女はお嬢様学校として名高い女学院に通っている
 傍ら、現場を知るためにアルバイトとして警備業務に従事していた

 結界魔法の一族
 学究の徒 万象の改竄者 最優の兵器 何にせよ己を最も価値のある個人単位と定義し 一部は貴族然とした様相まで呈しふんぞり返る魔法使い共
 それと同列に扱われることを嫌った者達 の末裔
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:23:56.61 ID:N/tm8TpI0

 魔法は力無き人々のためという初代当主の理念、卓越した結界の魔法は一応受け継がれている
 時代に合わせ警備会社という形を取り シェアをほぼ独占しているのがその証左

 ただ肝心の魔法は血で継ぐのが手っ取り早いこともあり
 数世代を親等図と睨めっこしながら過ごしてきた結果として門閥化は避けられなかった
 血はすっかり青ざめた

 その宗家として次期当主と目されているのが彼女
 かかる期待に応えんとする意志は堅い

 直接そんな権限があるわけではまだないが当然ただのアルバイト待遇であるはずもなく
 彼女は当然進言する気だが そうでなくとも恐らく満場一致となる決定で担当者が路頭に迷うことは確実だろう


 この通り心身とも健康そのものなので病院には他人の見舞いに来た
 社員のではない 怪我人はいない では誰か

短髪「(……)」ツカツカ

コン コン

「……………………入ってま〜す」

短髪「あっ はい……」

 取っ手を掴む手を引っ込めかけた

短髪「……って トイレじゃないんですから!」ガチャ ガララ

「ちっ なんで鍵ついてないかなぁ病院のドアは……」

 広い病室にベッドが一つ
 頭に包帯を巻き片腕を吊った怪我人が古い型のラジオと格闘していた 髪がパイナップルに見える
 周波数が合わないのかアンテナが悪いのか ツマミを捻りながら人間アンテナを試している
 そんだけやって聞こえないならそもそも壊れているのでは

縮毛「来て早々で悪いんだけどナース呼んできてナース これダメだぁ全然聴こえねー」

縮毛「呼んでくれたら帰っていいからさ うん」

短髪「そうはいきません 兄さん!」

縮毛「んだよー……」

761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:25:12.82 ID:N/tm8TpI0


短髪「乱闘騒ぎ! また世間様にご迷惑をかけて! どうしてやめられないんですか!」

短髪「お友達と仲良くすることが悪いんじゃないです ちょっとガラの良くない人達でも個性ですからとやかく言いません」

縮毛「そーかそーかありがとうセンキュー最高妹ちゃん愛してるバイバイまたねさよならーーーーーーー」
短髪「言いません が!!」
縮毛「がァ……?」

短髪「器物損壊 窃盗 停学謹慎 未成年飲酒 ふしだらなあれやこれや」

短髪「その上今回は怪我まで! どうしてもっと自分を大事にしてくれないんですか!」

縮毛「ケガしてんのもあれだけどケガさせんのはいいのね? 暴行が抜けてる」

短髪「自治組織気取りの半端者はどうでもいいです、そこの生徒さんも 兄さんは強くなくてはいけませんから」

縮毛「出たよ……」sigh

短髪「これ以上兄さんが自分で自分を貶めることは許しません」

縮毛「戻れなくなるから?」

短髪「戻します」

短髪「黙らすのが面倒になるからです 品行方正を保っている宗家扱いの私にですら――」
短髪「傍流の人達はネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチ……〜っと」息継ぎ

縮毛「(自分で言ったよ)」

短髪「隙あらば 嫌み 小言 陰口をつけてくるんですよ?」

短髪「血と頭は十分 結界魔法の実力が物を言う家ですから あとは処世術さえ――」

縮毛「処世術??」

縮毛「あの家で生きるための????」

短髪「はい 兄さん」

縮毛「はいじゃないよはいじゃ」

縮毛「はいじゃない」

縮毛「はいじゃねェよ なあ妹ちゃん」

短髪「……」

縮毛「……」

縮毛「…………このさ」

短髪「はい」

縮毛「このケガだけど」

短髪「兄さん話は終わっていません!」

縮毛「ケ・ガ・は・だけど」
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:26:03.20 ID:N/tm8TpI0

縮毛「派手に巻き巻きしてっけど頭は大したことないって」

縮毛「手もこれ ヒビ入っただけだから 安静にしなって丁寧に言ってたよ お医者のセンセイがさ」

短髪「……良かった」

縮毛「ありがとな」

短髪「いいえこれぐらい」

縮毛「けど返事は変わらねぇっつったらやっぱ叩き出されんのかな?」

短髪「そんなことしません!」

縮毛「知ってる」ニヘラ

短髪「……」sigh

縮毛「ねえ いいんだよ気にしなくて」

縮毛「関わらないで欲しーな いい顔する奴なんてもう残ってねえだろうし 牛のデミのお手伝いさんとかさァ まだいんの?」

短髪「いますよ! 私が使わせて貰っている部屋の掃除とかもずっとそのままお願いしてます」

短髪「現場の方々だってみんな分かってるんです だからこれは私の勝手ってだけじゃないの!」

短髪「継ぐべきなのは――――」

縮毛「結界魔法守護衛術に長けた人間 でしょ?」

短髪「だからそれは」

縮毛「君だ 次期当主様」

縮毛「やめてほんと 暗殺部隊とか送り込んで来てもマジで不思議じゃねぇんだからさ お義母さんは」
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:27:12.64 ID:N/tm8TpI0

縮毛「俺をここに担ぎ込んだのだって全部妹ちゃんの給金なん? 違うっしょ」

縮毛「お小遣いの使い道間違えないで 無駄遣いしちゃダメだよ」

短髪「兄さん!!」

縮毛「親父は元気にしてる?」

短髪「……え……ええ お父様なら壮健ですが」

縮毛「こうしよう あのロクデナシを苦しませて死なせるんだ なんか毒とかがいいな」

短髪「何をっ……」

縮毛「毎日の食事にちょっとずつ盛ったりしてさ へへへ」ヘラヘラ

縮毛「そんで死ぬ間際に遺言で俺を――」

短髪「……っ!!」slap

バチン

縮毛「――――――……」ヒリ

短髪「……笑いながら人殺しの話なんてしないでください!!」

縮毛「ケガ人だっつーのに」いッた
縮毛「確実じゃん」

短髪「兄さんはそんなこと言う人じゃないでしょう!!」

短髪「どうしてそんな風に意地悪言うんですか!? 兄さんは優しい人なのに!!」 

短髪「ずっと尊敬してるんです!! こんっ こんなに兄さんのためを思ってるのに!!!」

縮毛「思ってる で 考えてる じゃないのがポイントだよね」

短髪「……!?」
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:27:55.36 ID:N/tm8TpI0

縮毛「いいからさ 帰って? 俺が家に戻ることはないよ ……あるとすれば」

縮毛「お袋と一緒に敷地を跨げるってんなら喜んで戻るよ」

短髪「っ……」

縮毛「バイバイ またね」

縮毛「ほら帰って」

短髪「……兄さん お義母さんは……」

縮毛「かーえー れッ」throw radio

短髪「っ!」cast BARRIER

 投げ付けられたラジオは即事展開された障壁に阻まれた
 衝突はしかし無音

 ラジオは跳ね返されることなく宙に浮いていた
 結界の魔法は衝突点周辺の硬度を柔らかく調整され、障壁はめり込ませるようにして投擲物を確保 威力を殺しきった
 魔法を解除 目を潤ませた妹がラジオを手に取って足元に置く

縮毛「もう完璧じゃん ね?」

短髪「でも これは」

縮毛「言っちゃダメよ あいつらに見せんのも禁止 もう忘れたって言いな」ゴロン

縮毛「寝るから じゃあね」

短髪「……」

765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:29:48.29 ID:N/tm8TpI0


ガララ バタム


短髪「…………」トボトボ

短髪「(……私は独り善がりなんですか?)」

短髪「(確かに一族は酷いことをしました 許せないのは私も同じです 嫌うのだって無理ない)」

短髪「(けど でも だからってあんな風にみっともなく荒れたままでいられたら嫌じゃないですか!)」

短髪「(兄さん 私一生懸命お手伝いしますから だから負けないで……)」

キコ キコ

病少年「……? わっ」キィッ

短髪「へ? あっ!」サッ


 車椅子の少年とぶつかりそうになる
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:30:49.88 ID:N/tm8TpI0

 短髪の少女とぶつかりそうになった


病少年「車椅子でドリフトの練習しといて良かった」

短髪「(どりふと?)」って何
短髪「ごめんなさい! 怪我はないですか?」

病少年「ぼーっとして歩いたら危ないよお姉ちゃん ここ病院なんだから」

病少年「何泣いてるの?」

短髪「!」はっ

短髪「な なんでもないの 気にしないd――――」
病少年「いや泣きたいのはこっちだよね」

短髪「……えっ」

病少年「誰か死んだ? それとも誰かに死ぬって言われた?」

病少年「めそめそ泣きながら人前に出てるのは慰めてほしいからなの 気持ち悪い」

病少年「みっともないからやめたほうがいいよ」

短髪「………………な」
短髪「何ですか突然 あなたには関係ないでしょ!?」ぐしぐし

病少年「気にしないでって言おうとした? ボクの台詞だってば 言う気無くしたけど」

病少年「気にしろよな 下半身不随なんだよ、転んだら起き上がるの大変なの」

病少年「ぶつかって受け身取れなかったらどうするの? 頭打ったりしたら責任取ってくれるんですか? ねえ?」

短髪「せ 責任って」タジ

「あ! 車椅子クンみっけ!」

病少年「!」

767 :セルウィウスさん並みにこの二人の資料が少ない [sage saga]:2018/04/14(土) 17:33:49.17 ID:N/tm8TpI0


 車椅子がもう一台現れた
 背の小さな金髪の少女と 少女が張り切って押す車椅子に座る女性
 親子である

 少年は病院内で何度かこの二人と会っていた
 母親の方は優秀な魔導技術者らしく 悪くした体を治療しながら仕事をしていると聞いた

技術者の娘「またイチャモンつけしてるな〜 少年!」カラカラ

魔導技術者「あら……こんにちは そっちの女の子はお友達かしら?」

短髪「いえ! あの 今この子とぶつかりそうになってしまっただけで」

短髪「私はもう行かないと あの、君――――」

病少年「うゎ あの子だ」turn

短髪「えっ?」

病少年「いいやもう じゃあねっ」キコキコキコキコ

技術者の娘「待て待てー!」カラカラ!

魔導技術者「そんなに急いだら危ないわ ふふ 病室は向こうでしょ?」ぐらぐら

技術者の娘「はーいママ ストップ!」ピタ

魔導技術者「っと……もう いきなり止まったら落ちちゃうわ」がく

魔導技術者「騒がしくしてごめんなさいね……」

短髪「正直言って助かりました……」

技術者の娘「あの子イジワルなの! いっつもいらいらしてて 看護婦さんも困ってるんだよ!」

技術者の娘「ダメだよって教えてあげても聞かないの ……私の方がお姉さんなのに!」

魔導技術者「……」

 母親が困ったように笑う
 さっきの偏屈な少年のことを言っているのだろうが背格好や口調からはそう見えない

 そういう年頃なのだろうと受け取って宗家妹も曖昧に笑い返し 軽く会釈して去る
768 :大人しく冬木の地に食人鬼を跳ばすべきだったか…… [sage saga]:2018/04/14(土) 17:35:15.98 ID:N/tm8TpI0

 去り際 明らかに病院関係者ではない技術者風の人間達とすれ違う
 和やかな母子のやり取りに水を差す慇懃な口調 つい振り向いて見た

「ミス・テスタロッサ こちらにおられましたか」
「姿が見えなかったのでお迎えに上がりました 体調の方は……」

「おかげさまで 少し用ができたから遅れていただけ」
「技術の提供、だったわね」

「条件です」

「? ママ、この人達誰?」

「気にしなくていいのよアリシア 私の新しいお仕事の話なの」
「さあ 行きましょうか」


「ママ早く帰ってきてね! 病院の周りお散歩しよ!」

「ええ 頑張るわ」

「リニスも早く帰ってこないかなぁ、ほんとにジユウ気ままなんだもん」
「一緒にいなさいってリニスとお話しできれば簡単なのにね!」

「…………そうね ええ」


短髪「(……)」

 ぼんやりと 偏屈少年にまた難癖をつけられそうな感じで背中を見送った

769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 18:49:35.73 ID:Ct8dY3nA0
いやー、色々と捌いて下さって、ありがたい限りです
7つの安価に付随する関連事項まで埋めてもらってますものね。本当にお疲れ様です
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/15(日) 07:41:14.00 ID:Wm58HgxK0
アリシアちゃん!?本当に復活したのか
というか俺らは描写を見せてもらえて嬉しいけど、>>1の負担が増し増し過ぎに……
プレシアさんは結局、親子水入らずでささやかに、幸せに……とはいかないみたいね
771 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/18(水) 17:06:51.25 ID:ojkc3VkCO


病少年「(なんなんだよあのちびっ子)」

病少年「(親の方はカゲがあって綺麗な感じなのに 髪も性格も全然似てないじゃん)」 

病少年「(ここでもガキかよ しかもあの子はガキ過ぎだし)」ガション

 昇降機に乗り込む レバーを操作して適当に上へ向かう
 目一杯で上げたからこのままなら屋上へ着く

病少年「はーぁ…………、ぅ」グ
病少年「けふっ……けほっ」

病少年「げほ げほッ」

病少年「ごホっ ゲホ ゴホ ァ゛ふッ ウぐぅっ……ガふッ!」

 咳が激しくなっていく
 疼痛に体ごと丸め 胸を押さえた

 車椅子でスピードを出させたのが良くなかったか
 絶対安静とは言われていなかったが しかし迂闊だったかも知れないと少年は歯噛みした

 そんなに裕福とは言えない家庭の彼がこの特別棟に入院できているのには訳がある

病少年「(なんだよッ……全部上手くいってたのにっ!)」cough cough

病少年「(勉強も運動も魔法もボクが一番 人気も信用も女子も全部総ナメにして飛び級までして)」cough

病少年「(中等部も頭を見せてやって特例作らせて一瞬で終わらせたのに なのにィ……)」ゼェ ゼェ

病少年「……なんだよ虚数化症候群って! 馬鹿みたいな病名しやがって!」

病少年「なにが突発性だy う゛ッぐ」ズ ギ
病少年「っ ぐうゥっウぁぁ がハ ゴホ」ズギン ズギン ズギン

 順風満帆の出だしを挫いたのは 帝国民で極々稀に見られる奇病中の奇病であった

 まったく何の兆候もなくある日突然体の一部分が消失する 魔導的見地から虚数化と呼ぶ次元系の現象を起こす魔法疾病
 少年の場合は臓器を幾つか、余波に巻き込まれる形で脊髄の一部を椎骨ごと削り取られこうなった
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/18(水) 17:08:11.93 ID:ojkc3VkCO

 今やリソースのおよそ三分の一を周辺の弱国及び他次元への侵攻・征服で賄う侵略国家たる"帝国"
 病というよりは現象
 国家ぐるみで次元的干渉・操作・歪曲を行っていることによる弊害ではないか という説も出ているが騒ぎ立てる声はない
 どこぞの召喚術師の下半身事情とは訳が違う 国家反逆罪がいつでもウェルカムなのは周知の常識とするところ

 かくして大っぴらにならんことから認知度が低く 症候群の研究は進んでいない
 少年の提供したほんの数ヵ月が医学の発展に貢献したかどうかはなんとも言えないが 特殊症例患者を失った医師は悲しむだろう

病少年「   」ガタン

 声が出なくなる
 床に転がった体がいやに弾んだ 体腔が広がっていくのが分かる
 見えない蛇が体を喰って掘り広げているような激痛に意識が明滅した

 失神しなかったのは 果たして幸運だったのか

「死にたくない?」

 昇降機のものなのか 魂が引っ張り上げられているからなのか
 えも言われぬ浮遊感に苛まれ嘔吐するも食道を蠕動させる筋肉が動かない というか無い これも消えた
 頭上から降った声に少年は気が付かない

 苦悶で捩った体が横向けになり、そこへぐいと顔が近付けられる

狂人「死に たく ない?」

 霞む視界に映り込むニヤけ面
 見世物を楽しむかの如き耳障りな声

 愉快そうな声音に乗せてどちらにも取れる言い回しを死んでみないかねと誘う死神の声と受け取った少年は戦慄する

 実際シチュエーションは完璧な死神だが
 生きたくないかと切り出した
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/18(水) 17:10:59.35 ID:ojkc3VkCO

狂人「エレベーター。ああ昇降機ったっけ? 屋上着くまでに決めて 死ぬから」

狂人「俺さ それ全部治して君を生かす当てがあるんだよね」

狂人「俺と取引しよう 一緒に遊んでくれれば助けてあげるよ」

病少年「……!?」

狂人「な」

病少年「……っっ……」

 扉の上 針で示される階数がジリジリと端へ振れていく
 ジリジリと

狂人「あと 四階」グイ

病少年「っ っ! ッっ!」パクパク

 髪を掴まれ見上げさせられる 恐怖と痛みに具体的な焦燥が加わった
 そんな風に演出を凝らずとも少年の答えは決まっていたのだが返答が声にならない

 掴まれた髪房を引き千切らんばかりの勢いで頷いて漸くそれは成った

狂人「決まりだ! あはハはは」

 笑い声が引いていく
 髪が放され昇降機の床に再び転がる少年
 死神はいなくなっていた 存在の残滓か、光の粒子が漂って消える

病少年「(なんだよ……っ)」cOUgh couGh

病少年「(……なんだよぉっ……バカにしてぇえっ……!!)」vomit blood

 今際の幻覚と断じざるを得ない
 激痛がやむ気配はない それどころか増えている
 右手の甲だ

 燃えるように熱い――――

774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/18(水) 18:56:07.77 ID:kQ89OQKD0
乙乙!
虚数化とやらを治せる狂人ねぇ……見た事はあるのかも知れないけど、思い当たらないな
775 :私が上手く書けるかはともかくとして 絶対に知っているはずです ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/18(水) 20:21:03.12 ID:eY6sYvIt0
 
776 :知名度補正なら誰にも負けないはず! :2018/04/18(水) 20:22:29.71 ID:eY6sYvIt0
 
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 06:49:37.69 ID:oUyDTgSz0
何だか病少年は経歴が真逆のウェイバー君みたいだな
778 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/19(木) 08:41:21.25 ID:ixg8Rk3eO


【同時刻 中流層住宅街】
【召喚術師宅 二階 書斎】

【の 破壊された隠し棚の中】


ゴソ……ゴト
モソ

「…………っ!!」バッ

バガァアッ

棚の扉「」ドガシャァン

「ぅ、ぐっ……いった〜……ふぁ」

「ふぁ ふぅぇ あ ぁあ〜〜ッ、」

 薬液 埃 古い紙の匂いに鼻孔を撫ぜられ

半鳥「ぁ〜〜ぁぅぶぇェっくしぇい!!」vulgar

 盛大にぶっ放されたクシャミは少女の声
 声以外はオヤジ入ってる

半鳥「くっそ 自分ちなんだから掃除しといてよ教授汚いよ……じゃなくて」ガバッ

半鳥「どうなったの? 教授はっ……!」タッ

 魔導グッズの満載されていた小物の隠し棚にハーフィは気絶させられて押し込められていた

 棚の扉を蹴り飛ばしたのは落ちる寸前の記憶と不意な圧迫からの反射的な行動だった
 壁一面に設えられた本棚にぶつかった扉は砕け散って原型を留めていない 人が喰らえば骨の何本かが召される威力
 火事場がさせる底力は単なる寝起きのそれではない

 間取りを思い出しながら階下へ
 家の中は至るところに真新しく荒らされた跡が残る 戦闘の痕跡である

 窓から差し込む光で日を跨いだことを悟ったハーフィ
 玄関ホールからリビングに飛び込み そして立ち止まった

半鳥「これって……」



 話は昨日へと遡る

 乗客にしんねりと睨まれ大人しくしていたハーフィはバスを降り
 召喚術師の家へ辿り着いた
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 21:18:37.54 ID:mFbqkqy00
某家の土蔵的な事になるんだろうか?
780 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/26(木) 13:31:24.85 ID:AhmUSqCCO


 戸建てが並ぶ静かな住宅地に師の家はあった

 時折 散歩する老夫婦やボールで遊ぶ子供らなどと行き違いながら 区画を隔てるだけでこれだけ様変わりするものなのかと舌を巻く
 住み居心地は良さそうだが
 今 居心地良いかといえばそうではなかった


ヒソ ヒソ

「ねえ見て……見て あれ」
「亜人? ピストル持ってるぞ 若い賞金稼ぎかな」
「ええっ 犯罪者が逃げ込んできてるとか?」
「嫌ですよお父さん 戸締まりしっかりしなきゃ……」
「この辺は警察官もよく回ってくれている 心配しなくても大丈夫だよ」


半鳥「……すごい警戒されてるなぁ」

半鳥「でもこんだけ平和なとこだし 堂々とさげてる亜人ってだけであれなのかなやっぱ」

 視線を感じつつ目的地へ到着 他の家とさして変わらない一軒家
 家主がそれなりに稼いでいることがパッと見で分かる 広いは広いが辛うじて一人住みで手を入れられないこともなさそうな二階建て
 想像とは違ったが それでも田舎の鳥娘からすれば十分にデカい家だった

半鳥「おおう庭あるし木ぃ植わってる ……ここの辺みんなそんな感じだけど」すげえ

 ノックする 出ない
 もう一度ノックする 反応無し
 蹴ってみるか考え始めた辺りで横の呼び鈴に気付いた

 鳴らす
 出ない

半鳥「………………」

 鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす
 出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない

半鳥「…………教授ーっ! 教授 いないのーっ?」ドンドンドンドン

半鳥「むゥーかァーえェーにィー来ィーまァーしィーたァー! 面倒見てくれないとグレるぞ師匠!!」

半鳥「週刊紙に"サモナーをよく知る人物・H氏"のインタビュー載っけたくなかったら連絡ちょうだい!」

半鳥「……」

 出ない
 小金を稼ぐ方向で決まりかと背を向けた時だった

 勘
 居る
 ドアに鍵はかかっていない?

ガチャ

半鳥「……流石私 教授ー?」そろり
半鳥「!」

 玄関ホールに足を踏み入れた途端 異様な気配が噴出した
 魔力の残滓だけではない 様々なものが混ざったような濃厚な――――なんと形容したものかと思い直すが
 ハーフィにはどうでも良い とにかく未熟者にも感じ取れる残り香があった

 漏れずにいたのは扉がそれを封じ込めていたのだろう その辺りの細工は面目躍如といったところか

 いつの間にか抜いていた拳銃の撃鉄を起こし
 リビングへのドアを押す
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/26(木) 14:48:39.43 ID:AhmUSqCCO

 一角に客間を備え 暖炉を中心として 品に過不足ない家具調度は色合いを暖色で纏めている
 人を呼ぶにも一人で過ごすにも合わせられそうな印象を受けた 適度に広く落ち着いたリビングだったのだろう

 今は違う
 空間を演出していた家具は その悉くが 捲られたカーペットごと壁際に追いやられていた

 剥き出しになった床は中央にだけ大理石が嵌め込まれている
 磨き込まれた光沢を湛える冷たい白亜の上に はたして家主は立っていた


術師「――――――……」


 背を向けて棒立ちする師に あれだけ騒いだハーフィはすぐに話しかけることができなかった
 硬直した手は拳銃を収めたがらない 撃つ気はない
 撃つ気はないが引き金に指がかかる
 沈黙はすぐに破られた

半鳥「……教授?」

術師「……」

半鳥「きょ 教授……えー、と」

半鳥「ご ご機嫌うるわしゅう?」
半鳥「(私は何を言っているんだ……)」

術師「……ハーフィか」

半鳥「教授 あはは 聞こえてないのかと思った」

術師「聞こえてはいたさ 初めから」

 二の句まで間があった

術師「このアホが」

半鳥「あー えへへ」ビクッ

術師「随分と騒いでくれやがったな 何がインタビューだ んなことしてみろ」

術師「速攻で握り潰して村に叩き返してやる 土産つきでな 図に乗るなよ」

半鳥「冗談だってば……」

 そう返しはしたものの 師の口振りからはどうにもいつもの余裕が感じられない
 本気で気分を害したのかと不安になり歯切れが悪くなるハーフィ

 ここでやっとサモナーが体を向けてくる
 背格好と声だけ似た別人だったらどうしようなどと一瞬考えたがその線は外れた
 胸を撫で下ろしかける

術師「何をしてる?」ジロ

半鳥「え? あっ」つ拳銃

半鳥「や ほら なんかタダゴトじゃない感じがしてましたので……つい」スチャ

術師「……」ピク

 サモナーが身動ぎした
 魔力が渦を巻く

術師「……待て……待て 待ておい」ブツ

術師「どうしてそうなる? 物の数じゃないことくらい分かるだろうが ……クソ」

術師「ちっ 神経質なアザだな」
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/26(木) 16:29:28.78 ID:5i/y7XO7O

半鳥「どうしたの 教授……」

術師「ハーフィ」ビキ

 また間が空いた
 魔力の気配の嵩が増す 今度はハーフィも感知できた
 励起されたそれは魔法発動の前兆

 師が歯を食い縛ったまま続ける

術師「頼みがある」ス…

半鳥「……頼み」

術師「今 帝都で――――」ガシ

 サモナーは奇妙な動きをしていた
 魔法陣を描こうと動きかけた腕を もう片方の手で思いきり掴んで押さえている

術師「…………帝都で……」ギリ

半鳥「ねえ それ 手……何してるの?」

術師「大規模な儀式魔法の準備が 帝都で進められている ……いや儀式"魔術"か」ギギギギギギ

術師「この儀式魔術を妨害し 術者を無力化するんだ……」dRaw cccccCcCii

半鳥「儀式っ……む、無力化って ちゃんと説明してよ!」

術師「聞け」summon CHAIN

ジャララララララララララ ギシィッ

半鳥「(自分の腕にっ――)」

術師「時間と余裕がない 今私は半身でお前を殺そうとしている」グギギギギギギギ

半鳥「はァ? なんでっ!? 意味分からないよ全然!」

術師「いいから聞け! ただでさえズタズタなのに――――」
術師「抵抗しながら話してるだけで 気をやりそうなんだこっちはッっ……ッ」ギリギリギリギリ

半鳥「ええ……?」

術師「……Jには既に非常事態を伝えてある 昔 ヒットマンが格好良いと思ってた頃作ったヤツで」draw circle

術師「手伝いをつけよう……事情の説明は……ついでに陣へ書き込んどくから心配するな」ス ス

術師「グ 勝手に書き換えようとするんじゃないッ……言うことを聞け クソ」circle ready

 喚び出しの基部となっている魔法陣の方を動かし 腕を戒める鎖を操り糸にしてなんとか召喚陣を描き上げる
 宙空に幾何学の光芒が現れ そのまま発動させようとしない

 陣を一つ組んだ時点で異変は激化
 蒼白となった顔に幾条もの血管が浮き走り 嫌な汗が吹き出す
 明らかに尋常ではなかった

術師「使え」drAw ciRcLE

半鳥「その召喚陣? だ 大丈夫なの……?」

術師「問題ない まだ」

半鳥「っ……」バチッ

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

術師「では行けハーフィ」

半鳥「行くってまだ召喚中……ていうか魔力スゴい持ってかれるんだけど何これ!」
半鳥「すぐは喚べないよ 行くってどこに!」

術師「当然敵のいないところへだ 逃げるとも言う」summon

術師「殺すつもりでやるだろうからそのつもりで」equip PROTOTYPE IMPERIAL-DEVICE

半鳥「逃げるって 教授から!?」バッ

術師「死なんでくれよ」SPEAR FORM
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 15:31:58.45 ID:AfbUXPxN0
乙!
って、あわわわ……かなり激マズな事になってるんじゃないですか?コレぇ……一体何処にある(もしくは居る)何をどうすりゃあ良いってんでぇ
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 06:25:47.60 ID:OXuMcLhy0
何故ハーフィを殺そうという事に……?操られてる的な事なのは分かるけど。うむむ、解せぬ
785 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/05/04(金) 11:56:32.11 ID:wciJdeb6O

 インペリアル・デバイス その試製機群の内 何名か個々人毎に独自調整を施して配られた一つがこれ
 一見してただの金属製の棒
 しかしサモナーが手に取った瞬間に各部が展開・変形・延長 物質化した魔力の穂先を有す槍が現れる

 鎖を解き構える 彼我の間は数m 槍型デバイスは微妙に届かない
 そのまま距離を詰めに来ると踏んだハーフィは反応が遅れかけた
 突きが虚空へ向けその場で放たれる 届かない
 違う 師は何の練達だった?

術師「(ふむ 私は運動音痴に見られていたのか)」JUMP THRUST

半鳥「ッ!!」チッッッ

 動作に合わせ魔法発動 出現した陣に穂先が突き込まれる 出口はハーフィのこめかみ近くに開いた空間陣
 跳躍した突きをつんのめって回避 殺意を孕む風圧が襟足を撫ぜた

 掠った数本の毛髪を残像にハーフィはバック転で後退 する勢いで腹を下にしたドロップキックを扉に見舞って開く
 落着点の床から追撃の槍が飛び出し 速贄にされるところを羽ばたいて避け なんとかリビングからまろび出た
 はらと舞った髪が床に落ちる

半鳥「玄関っ!」ダッ

 のドアを掴みにかかる 見越していた召喚陣がホールで多重展開
 幾本も射出される枷付きの鎖が口を開いた鉄の蛇の如く襲い掛かった 一波目は避け切る
 二階へ行ける階段が目に入って踏み出した足を 第二陣の鎖に捕まった


ガキィッ

半鳥「うぇあッ!?」shackled

ジャララララララララララ
ビィィンッ

半鳥「ひ 引き倒された ら 終 わる……!」tTttuuuuuUuuggGg

跳躍槍「  」thrust

半鳥「ぅわ!!」バッ

半鳥「(……首とか心臓とかしか狙ってこない分少ない動きでいいから 縛られても躱せてる)」draw GUN
半鳥「(教授はどー見てもノリ気じゃなかった 狙いがストレートなのはわざとなのかなコレ)」チャキ

ガゥンガゥンガゥンガゥン バギィン

半鳥「よし!」ダッ

術師「(魔法使えよ)」SummonSummonSummon

術師「(僅かな生体魔力を嗅ぎ付けて目視同然に振る舞う"こいつ"も大概だが そうでなくとも騒ぎ過ぎだぞ)」CHAIN more

ジャララララララララララララララララララララララララララララララララララ

半鳥「!! さっきより鎖が増えッ――――」ギヂィィッ

術師「(捕らえた…… 槍がいく)」ヒュヒュン
術師「(速贄になるかハーフィ? これでも抑えてるんだ 気張れ)」JUMP SLASH

半鳥「(――――循環魔力 流量解放)」

半鳥「(オーバークロック・コンセントレーション ver.H!)」cast ARTIFICIAL TACHYPSYCHIA

 それは第二の血液たる
 体内の魔力に向け発動する

 魔法 というよりは呼吸法や歩法といった特殊技術に近い
 コツを掴めば誰でもできる、普通は誰にもコツが掴めない技
 彼女は"直接"教わったことで会得した
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/04(金) 12:33:01.73 ID:sb4+nYKaO


 迫る枷の速度がどんどん遅くなり 鎖の鳴る音が鈍く間延びする
 時が煮詰まってゆく

 思考の処理速度を跳ね上げ 体感時間を遅くする

 要は 危機に陥った人間が危機回避のために起こす"インパルスの火事場力"
 これを人為的にやる 対戦傀儡が流し込む魔力を増量すれば動きが良くなるという理屈を人間で試みる荒業

 普通に使えばただ全てがスローモーションになるだけ
 しかしハーフィには精神の加速に着いていけるだけの身体能力があった


半鳥「(……二歩踏み込んで捻り跳び!)」evade accelerated


 階段へ走る翼の亜人を魔法陣が四方八方から囲い 大銀行金庫室に設置されるような光線遮断警報器よろしく槍型デバイスが突き荒れる
 一本だけの槍型デバイスでどうやってるのかは不明

 魔法陣から穂先が覗く出がかりの一瞬で角度を見極め 跳ぶ
 体のバネと両腕の翼で姿勢制御 滞空中に重心をズラし飛距離を伸ばす
 一突きも掠らせず階段へ到達した

半鳥「(……ちょっと神経がビリビリするかな 魔力の回しを速くするだけで――――)」バッ
半鳥「(使う訳じゃないからケーザイ的だし 赤い人の言ってた通り使い過ぎだけ気を付けなきゃ)」タタタタタタ

術師「(なんだ今の? 時間操作系の魔法ではないようだ ほほう……)」

術師「(階段に差し掛かった じゃあこういうのはどうだ?)」equip THE PICKAXE
術師「(あ 死なない程度に)」summon LONG DRAGON's NECK


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


半鳥「!」ザッ

 踊り場まではほんの数段 階下に大型の召喚陣が展開する

 部分召喚で半端に喚び起こされたそれは ぬ と連なった緑色の巨影をもたげ
 ハーフィと目が合った

半鳥「ど ドラゴンっ!?」

ロングドラゴン「    」スゥゥゥウゥウゥゥゥ

半鳥「ヤバいヤバいヤバいヤバいってそれは家の中で教授!!!」シュタタタタ タンッ


バッゴォオオオォオオンン


 撃ち吐かれた炎弾が炸裂 バーベキューグリルと化す踊り場
 ハーフィは間一髪三角跳びで上階へ逃れる 壁材の破片が掠めた

術師「(まだだぞ……)」

 陣が駆動し召喚物の残りを迫り出しにかかる 炎弾を撃ったドラゴンが首を伸ばす
 伸ばす
 伸ばす まだ伸びる
 破壊された踊り場に届いて尚伸びる

 その体を表し過ぎた名に相応しい長大な首は 優れた柔軟性も持ち合わせ
 折り返して伸び、

半鳥「ッ何あれ! あり得ないでしょ逃げろって言っときながr」クル

長竜「   」inhaaAaaaale

半鳥「」

 また目が合った
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/05(土) 15:24:33.95 ID:eJYZC78V0
乙!
おいサモナー、ハーフィが意外とやるから、投げっぱなし系スパルタ気質なのもあって、イジメるのが楽しくなってきてるだろw
788 :※前レス鎖と槍の描写がごっちゃになってて捕まってんのに避けてますね ミスです 槍じゃなくて鎖 ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/05/07(月) 00:17:28.85 ID:eGHUwpbI0
 
789 :超速で間接でも外したことにしてください [sage saga]:2018/05/07(月) 00:19:06.72 ID:eGHUwpbI0
 
790 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/05/07(月) 11:36:38.87 ID:bh0l/C/BO

 吸気 口の端に陽炎

 超速で外した間接を超速で嵌め直した傷みも冷めやらぬ中
 ハーフィの硬直は一瞬

 握り込んでいた物を投げ付ける 空を切るのは硬化魔法を帯びた己の髪
 数本程度ずつであれば"操れるようになった"髪の鍼

 操作して軌道を調整 甲殻を避け鱗と鱗の間隙を縫って竜の眉間に計五本が刺中 これ自体には威力など無い
 突き立った髪の鍼を頂点として 象られるのは五芒

 竜が開口 喉奥に熾きる焦熱

術師「(それでどうする?)」チラ
術師「……お」

 サモナーが床を見遣る
 初撃で散ったハーフィの髪が硬化し 同じように突き立っていた

 文字通り針の先ほどの五つ星を得た二つの陣が輝きだす
 紡がれる魔法の気配は独特の歪みと揺らぎ 親しき空間干渉のそれ 即ち

半鳥「とんでけッ!」バチッ

長竜「――――■■ッ?」バリバリバリバリ

 ドラゴンの額で極小の転移陣が起動
 物体を転送する転移陣はその影響範囲を 陣から立ち上る光の柱の如く見える発動光で以て定義する
 その中に居れば次の瞬間には別の陣へ跳ぶ

 ドラゴンの額に光の角が見映える

 ことはなく
 転移魔法の輝きは額から頭蓋を通り 顎の下より貫通して上り段の一つへと差し込んだのだった

半鳥「(火の玉の芯ごと!)」


カッッッ


長竜「」stop breath

術師「こっちの陣には――」


カッッッ


鱗の一部「」s
頭蓋一部「」u
脳の一部「」m
不発炎芯「」m
舌の一部「」o
鱗の一部「」n

ドベチャッ

術師「(陣を裏向きに張って ドラゴンの頭でクッキーの型抜きをやったか)」more summon

術師「(えげつないことを考えるなサイコパスめ 終わったらうんと褒めてやらねば)」

791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/08(火) 14:56:09.64 ID:XT5r5mey0
褒めてやるんだwww
まぁ実際、ブレス吐く寸前の竜族相手によく思い付いて咄嗟にやれたなってレベルの話だしね
792 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/05/10(木) 01:00:59.66 ID:mP9rZ0Th0


ドズゥン…

長竜「  」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

半鳥「よっし上出来! あとは窓探して飛んでくだけ!」タタッ

長竜「      」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

半鳥「飛んでくだけ」dash

 様子がおかしいドラゴンの死体から目を背け走るハーフィ
 魔力とはまた別種の奔流

 白目を剥く伏竜は奇跡を呼んだか
 意思ある傀儡サモナーが担う 更なる召喚は喚び出したロングドラゴンが触媒だった
 階段下に開く 首の大本たる魔法陣が輝きを強め 玄関ホールで更なる陣がもう二つ出現する

術師「(程度を確認できたのは良かった これならそこまでみっともないことにはならんだろう)」

術師「(奴が来た これで少しはマシになる……さて手を講じなければならないがどーしたもんかな)」

 サモナーの召喚魔法を使い始めたそれに拮抗していたため 意識を向けていなかった腕が再びデバイスを振るおうとする
 "命令違反"の激痛は既に閾値を越え感覚が失せるところまできていた サモナーは説いた

術師「私の弟子は尻尾を巻いた お前がヒステリーを起こすところの驚異ないし弊害ではなくなった 元からだが」ギギギギギギギ

術師「もっとヤバいのが来るぞ もてなしの準備もしてやったんだ、集中しろ」ググググググ

術師「それでも気になるというなら任せてもらおうか ……よしいい子だ」ググ グ

術師「合わせろよ コンポスト」jump knock

 恭順と取ったか強制力が緩まる すかさずサモナーは空間陣を開きデバイスを突き込んだ
 狙いは二階を走るハーフィの頭

半鳥「窓 あった――――」ゴスッッ

 後頭部に鈍い衝撃
 デバイスの石突きが脳を揺らす 一度の反応加速の効果時間は短い

半鳥「っッ……!!」ドサッ

 倒れ伏す 先程までと違い昏倒させる一撃
 音と感覚が遠退く 殴られた鈍痛で酷い耳鳴りが響き リビングの召喚陣に魔力を吸われている感覚が漠然とまだ続く
 故に 横へ向けた視界の半分を占める床に新たな影が現れても すぐには意識が反応しなかった

半鳥「(――――う)」

半鳥「(なに さっきのドラゴン? やば 食べられちゃうかな……)」

ペタン ペタ

半鳥「(……影が 跳ねてる?)」

 影ではなかった
 というか影は白かった 黒く見えたように感じたのは勘の冴えか

WPS「やあ!」howdy
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/10(木) 18:24:57.95 ID:K1Si3jo00
挨拶がクソ花じゃねーか!
まぁ確かに似たような性質で性格だけど
794 :実際にヘドロくんはフラウィーをモチーフにしてました ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/05/10(木) 23:49:51.94 ID:mP9rZ0Th0
 
795 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/05/11(金) 12:29:37.88 ID:OrR2tXooO


半鳥「……!!」

WPS「その、顔! 漂白されてても分かってくれるなんて! 久しぶりだなぁハーフィ我が愛しの鳥肉!」

WPS「オレも会えなくて寂しかったんだァ ぐぐぐぐぐぐぐぐ」ズルルルルルル

半鳥「さ わん なあッ……」ジタバタ

WPS「ぐぐぐg」touch
WPS「ぐ?」rune active

半鳥「っ?」

ッパァァアンッッ

半鳥「!!?」ビクッ

 ハーフィの脚に触手を触れさせた瞬間 弾け飛んだ
 久しぶりの再会はスライムの自爆で終わった

半鳥「な なんなの……?」

「……それはオレのセリフだ……!」ウゾゾゾゾ

 再会が再開

粘液片「歯が爆発しやがった……こないだの虫歯治療の時だなサモナーめ! なにが"ペットの体調管理は飼い主の務め"だ!」ネチョグチョヌチョベチョ

粘液塊「歯医者もやるとかいう傭兵を呼んで削らせた上で コーティングまで甲斐甲斐しく丁寧にやらせてたから可笑しいとは思ってたが」ヌロヌロヌロヌロ

WPS「無許可食人で炸裂するルーン 首輪かよ! こういうことだったとはァ゛ッ……!!」再生

半鳥「……」draw gun

WPS「本体の歯に施されたからもう手遅れだ……オレのカニバルライフが……ズルいぞあいつだけ……!!」

半鳥「……そうなの カワイソーにね」グイ

WPS「モごァ」ズボッ
WPS「ァてあてアてぁつんだォんアでゃれあってぅひあなあった」モゴモゴ

半鳥「何言ってっか分かんないや」ズギュゥーン

WPS「ええい」ギュバァッ

 撃った 躊躇なし だが核を撃ち抜くことは叶わず
 銃火が瞬いた一瞬 スライムはバケツからぶちまけられたミルクのようにばっと体積を拡散させた
 かと思えばまばたきする間に拳銃ごとハーフィの腕へ収縮
 そこから生成された触手が体に絡まり 哀れハーフィは白い粘液生物によって簀巻きにされた

 ミルクと洗剤とチョークの体臭に包まれた人間の末路を知る身として半狂乱で暴れるが解放には至らない
 握っている感触のあるリボルバーは どうやってかこれで押さえられているらしく引き金が動かない

 簀巻きに触手の足が生える
 シロアリ色のゴキブリっぽい足をしたウジ虫型の粘液生物がクモのように脇の部屋へと入っていく
 そこがそう 例の部屋だった
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/12(土) 18:15:23.96 ID:3wfCWyFV0
乙乙!
シロアリ色のゴキブリっぽい足をしたウジ虫型の粘液生物 ← こいつぁまた酷く、某創作神話の存在の如く冒涜的な描写だぁ(汗
797 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/05/17(木) 16:42:28.61 ID:Q0trqdR1O


半鳥「放せ!!」

WPS「少し待つんだ」ガチャ

WPS「いいぜ そうら」ポイッ

 ずかずか というかべちゃべちゃと書斎に侵入 スライムは勝手知ったる風で本棚仕込みの隠し棚を開きハーフィを放り込む
 
 半ば死蔵されていた魔法関連の道具が騒々しい音を立てた ハーピィ族が華奢といえど薄い棚は割れ落ち 瓶類は幾つか割れ砕ける 小物やら本やらが落ち資料が舞い――――

WPS「一度は仮死状態で出しつけといて死蔵だとさ」

 薬液 埃 古い紙の匂いが鼻腔を撫ぜる

半鳥「いッつ このっ――――」ヒュルル バシッ
半鳥「っ ッんー! んンーーっ!!」gag

WPS「あの首長肉を倒すとは流石だなァハーフィ ぐぐぐぐ 熟成が進んできたようで嬉しいぞ」close door

WPS「それならおかしなことになってたのも気付いたハズ 静かにしろ」shhhhh

半鳥「ンンンーーーーっっ!!」ジタバタ

WPS「オレは喰わない 喰えない 見ただろ! また簀巻きだなこれは」ズュルルルルルル ギチィ


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


半鳥「(召喚反応 それもかなりデカいやつ……!)」ピタ

WPS「応援を呼んだのは聞けたのか?」ゴソゴソ

半鳥「  」首肯

WPS「Jな もう近くまで向かってきてるのだ 明確な目的を持って呼んだという時点で既に引っ掛かってるだろうが……」ガチャ ゴト ガサゴソ

 潜めた声で喋りながら 荒らした棚を探るスライム

WPS「全くクソ飼い主めどこにある? ……引っ掛かってるだろうが……あー……多分見た瞬間に殺り合うことになる "奴"は手段を選ばない……」

WPS「息苦しいか 騒ぐなよ」ユル

半鳥「ぷはっ ねえ ねえちょっと待って」

半鳥「なんで……生きてんのとかは後で聞くからいいよ 今は後……」

半鳥「教授 どうしちゃったの?」

WPS「サーヴァントになった」

半鳥「…………さ サーヴァント(奴隷)?」

WPS「頭にデミがつくけどな ぐぐぐぐ」
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/17(木) 16:43:48.43 ID:Q0trqdR1O

半鳥「亜人ってこと? 私達みたいなデミ・ヒューマン? 普通に純人間の帝国人でしょ教授は」

半鳥「の 奴隷? えー待って意味不明……」

WPS「降霊魔法のかなり上等なやつだと この場合は神降ろしと言えば伝わるかも知れんとも」

半鳥「! 巫女さんの必殺技でしょ 私の村にあるよ分かる」

WPS「必殺技ぁ? ぐぐぐぐ お」find

WPS「見付けたぞ 話は後だな」チャプン

半鳥「?」

 スライムが目当ての物を見付けた ラベルの貼られた小瓶 割れていない
 ぬらつく触手で取り上げると 触手の先端がワームの口吻のように開き そのまま蓋も開けず飲み込んだ
 何らかの薬液入りの小瓶だった これでスライムは能力として薬効を獲得したことになる

 嚥下したばかりの触手がハーフィに向いた

WPS「ぐぐぐぐぐぐぐぐ」spray

 吸収 分析 獲得 精製 麻痺毒と睡眠薬の混合薬液であることを把握する
 どこぞの薬学教授が作り出した特製の魔導薬であった

 手に入れたそれの濃度を調整し噴霧

半鳥「!? 何し」バッ
半鳥「た……」クラ
半鳥「……の……」ぐて

 あっという間に全身が弛緩し昏睡 用途の気になる出来と効き目である

 隠し棚の奥へとハーフィを押し込み スライムも後に続いて棚を閉ざす
 どういう訳か内側からも閉められるようになっていた
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/17(木) 16:51:31.59 ID:Q0trqdR1O


 大至急の呼び出しを食らった客人が到着
 路肩に愛車を停めた

 開け放たれている玄関に入る
 リビングへ 姿を認めるや、立ったままのサモナーはヤバい顔色で不敵に笑った

術師「遅いぞ」

J「これでも急いできたんだ みんな君みたいだと思わないでくれ 友よ」
J「トラクター売約?」

術師「滞りなく 次は讃美歌にするか」

J「問題はリクエストを読んでくれるかということになるが」

術師「帝都魔法大学教授 帝国工廠魔導部門顧問魔術師団筆頭 歩く大量殺戮破壊殲滅蹂躙民族浄化兵器 二足歩行猫 他多数」
術師「立派な肩書きの数々にハガキ職人を加えてみる気はないか?」

J「今までで最高の肩書きじゃないか」

術師「ネタはいくらでもある」

J「残念ながら 刺激的な話の殆どは部外秘なんだよ」cast AURA of VIBGYOR

術師「目立ちたがりが話放り込むような所に本物を供することもなかろう 脚色脚色」summon HYDRA's HEAD

 極光を放つ戦術級魔法 即応待機魔力塊が展開
 幾重にも補助魔法陣が接続 召喚魔法陣が多重起動

 Jは一瞬考えた

J「(基本クソ忙しいこの私に それを分かっていながら――――)」
J「(暇潰しの果たし状なんかに緊急招集の合図を使ったのかい サモナー?)」
J「(その割にはなんというか……)」cast CHAIN RUNE

術師「行け」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

 両手にそれぞれ 触媒のツルハシと槍型デバイスを携え サモナーがけしかける
 傍らに引き寄せた特大の魔法陣三基から召喚されたのは漆黒の巨影 血色の眼光は六つ 打って変わり焼き付くされ炭と化した家々のような闇色 光を吸う邪悪な竜鱗
 ロングドラゴンに多大な魔力を与え進化させた多頭の魔竜
 種をハイドラ

ヒドラ首s「GRRRrrRrRrrrr……」フシュゥウウ

 瘴気めいた吐息が床を這って漂い
 Jが纏う 輝く魔力塊に触れた側から掻き消える

 虹色の球光が輝きを増した

J「(正気ではないと)」
J「(では何べんか死なせてみるかな)」cast VX GAS

シュオオォオォオォオオオオオオオオオ

術師「(何か発動した 視認できない)」

首A「……?」クン クン

術師「! そうか匂うか 神経ガスだな?」order breath

首B&C「「■■■□□■□ーーーッ!!」」FIRE BAAAAAaaaaaaaaaaaLL

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

J「(ああ壁が……自分ちだろう君 リビングとホールがぶち抜きになってしまったぞ)」cast INVISIBLITY

首A「 ■□  っ 」グラ

術師「視界を塞がせ透明化 常套戦術だな 容赦ない」

術師「資源世界の蛮族共に使う"聖なる浄化魔法"じゃないのかこれは」gate active VACUUM SPACE
術師「クソ人道主義の穏健派とラリってる教会シンパにはそう言って売り込んだんだろ」

J『何? デバイス部隊の指針定義は上層部のみ呼んだ極秘だったぞ』
J『ブラウンと一緒に魔法組みつつ 私が一人で一生懸命考えた宣伝文句をなんで君が知ってる』

術師「見っけ」DETECTED!

summon HYDRA HEAD×2

J『あっやばい」cast SHOCK WAVE

首4&5「■■■■■□■ッッ!!!」CRUuuuuuuuuuuuuuuuuuuNCH
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 06:27:32.04 ID:um8+cMBi0
ああー、デミサバ化か……そりゃまた厄介で面倒な事だわな
801 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/05/23(水) 17:10:15.55 ID:XS0N8OXjO


 新たに召喚された双頭が位置を指示され迫る 首Dは放たれた衝撃波によって上顎を吹き飛ばされ舌と下顎だけになった
 もう片方 Eはクリーンヒットならず鱗を剥いだのみ

 仕留め損なったEは骨付き肉にありつく野蛮人めいて首を寝かせ 歪んだ空間に喰らいついた
 硬質の咬合音
 バリアーが牙を阻む 看破を受け透明化は解除

 出力調整に歯を食い縛り歯列を剥き出す様は猫と言うより虎 笑みも混じればむべなるかな
 なんだかんだ楽しそうなJだが 前編を描写過多によるスタミナ切れで終わらせくさった近接工兵との時のように遊んでばかりもいられない

J「とッ……ころで」ギャギリリギギギギ

J「顔色が優れないようだなあ友よ それにまたぞろヘンな魔法をかけられたと見え――――」

術師「魔術だ 二度と間違えるな」pull order

首E「  」グイィッ
J「るっ!?」グンッ

術師「あ いや 今のは気にしないでくれ 口が勝手に」cast REALITY MARBLE

J「魔法も魔術も呪術も奇跡も呼び名が違うというだけの筈だが?」cast STEEL LANCE URCHIN

術師「やめろ こいつを刺激するな」sending MP

J「こいつ?」thunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunk

首E「」ブシュゥウウウウッ

ドズン……

J「ウニの如く 外からどう見える? 新種のカクタスハイドラとかいって学会に提出するか!」
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/23(水) 17:11:23.58 ID:XS0N8OXjO

術師「おっと そのままだとマズいかもしれんぞ」manipulate AGREEMENT BIND CHAIN

J「(! 召喚契約拘束魔法を魔力の鎖に……)」

死首A「」connect
死首D「」connect
死首E「」connect

死首ADE「「「    」」」ググググググググ

グアァァァアアアアァアアッ

J「死霊術は好かなんだのではなかったのか!? マリオネットだ!」cast BARRIER LAMINATE

ガギィ ガギィ ガギィ

J「(バリアに噛み付いて……待て 何を開いている? このまま異界流刑でもさせる気か?)」

J「……ッうむ……挨拶も済んだことだし 要点に入ってもいいかい?」ギリギリギリギリギリギリギリギリ

術師「いいとも 手というか発動中のは勝手に動くが」

J「要件は?」

術師「助けてくれ」

J「具体的に」

術師「召喚魔法からのアプローチでかなり大規模な降霊術をやらされてる 首謀者は霊体 格は無いが非常に厄介なタイプの"英霊"だ」

術師「どうやったのか私の魔力関連神経系やら循環系やらをズタズタにして弱らせ そこへさらに英霊をおっ被せて――――」

術師「被せた霊ごと契約拘束術式の一種で命令を遵守させている 意志にまでは及ばんようだが実情は見ての通りだ」

J「ふうむ ……私を殺せというのがか」

術師「違う 偶然ハーフィも来たが同じようにした」

J「なんだって?」

術師「程度の差はあるがな 逃がすつもりだったがお前が来たんで上に待たせているよ」

術師「命令は一つ "降霊術の完遂" これも魔法が拡大解釈をしている一環なんだ」

J「つまり そいつの邪魔になる=排除しようと ああ させようとしているのか 何故我々がそうだと……」

術師「……」ニヤリ

J「…………助けを求めたからか……」sigh

術師「そういうことだな ふふふふ」

術師「持つべきものは友と弟子だなぁジェ〜〜イ 詳細はそいつに書き込んであるから後は頼むぞ まあ……」sending complete

死首s「「「   」」」ググググググググ

J「バリアごと引きずり込む気か……!」

 異界転移魔法
 サモナーがよく使う転移魔法陣 その極致と言える絶技
 門陣が開く
 それは招き入れるための魔法陣ではなかった

 繋がる先は異界 そこは間違いない
 おぞましい気配が邸宅に這い出てくる
 陣の先に深淵が覗いた
 どこまでも広がる薄暗い空間 空は無く 一枚一枚に夥しい行数の数式を書き詰め込んだタイル張りの地平線

 心情風景を孕んだ魔法陣が
 音を立てて侵食を始める

術師「こいつを突破するのが先になるが」

J「なんだ それは――――」



803 :※首4&5→首D&E [sage saga]:2018/05/23(水) 17:13:49.85 ID:XS0N8OXjO
 
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/24(木) 14:40:33.80 ID:+LhZzm8s0
無限の法式……ってとこか?
乙!
805 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/05/30(水) 18:24:56.60 ID:pEpxlynjO


【現在 サモナー邸リビング】


 自分を収納に押し込めたスライムがいなかったことは気になったが それより魔力の装填が終わっていた方に気がいった

 破壊されたリビングには発動を終了した魔法陣と 
 それから先客

J「やあ……ハーフィ 寝ていたのかな」ボロッ

半鳥「J教授 と……そっちの……こないだの傀儡大会みたいな格好の人は……」

J「こんな趣味の悪いマスクを被っていた奴がいたのかい?」ハハハ

黒マント仮面「趣味の悪いとは 言ってくれるじゃないか……」カポ

半鳥「いやぁそのデザインは……って!?」

ペルセウス「久しぶり よく成長しているようだ」

半鳥「ペルセウス様!」

ペルセウス「様?」

J「神話生物の気配がする よその世界の英雄か」
J「黒マントと趣味の悪い仮面以外は軽そうな若者にしか見えないが やれるか?」

ペルセウス「ふ またこの世界で戦う羽目になろうとは……ってね」

J「? ああ」

半鳥「格好もそうですしイケメンは不変ですけど なんかお顔が変わってませんか?」

ペルセウス「うん 喚び出すに当たり、この前とは違う前提知識というか……解釈の元に召喚したようだね」

ペルセウス「兜がマントになっている この仮面も飾りではないけれど私の元々の持ち物ではないな」ジャキ

半鳥「あっ 鎌」

ペルセウス「また お前の相手をすればいいのか?」

J「臭うな どこだろう」

半鳥「床下」draw gun

「……ぐぐぐぐぐ 状況は陣に書き付けてあったんじゃないのか? スっトボけるなよ首狩り族が」ズロロロロロ

WPS「第一オレをあの時と同じだと思うな 茹でた海藻みたいな頭しやがって」ドロォ

J「  」standby VIBGYOR
半鳥「  」aim core

ペルセウス「出る幕はないらしい」

WPS「いや待て 待って つーかハーフィはお前ちゃんと説明したじゃんオレ昨日」
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 18:27:52.28 ID:pEpxlynjO

WPS「首長肉に見付かんないように隠せって命令されて張り切ったんだぞ」

半鳥「眠り薬は何」

WPS「ただの睡眠薬じゃない ブラウンとかいうのが作った、催眠薬と仮死薬と筋弛緩剤を混ぜた拉致の特効薬だ」

半鳥「は?」
WPS「匂いや音だけじゃない ドラゴンというか蛇は熱を視れるからああするしかなかった」

半鳥「赤い人みたいなこと言ってる……」

J「熱源探知の魔法を素でやるというのだろう 実際言われるまで君がいると分からなかったしな」

J「炎熱の魔法に関しては私達にも劣らぬエキスパートだった あのパイロゴーストが今居てくれたらどんなに楽か……」

半鳥「(というか傭兵側ガチの人多すぎ案件だったような)」

ペルセウス「では軽いコントも済んだところで いいだろうか」
WPS「オレの上位体ストックの危機がコントだと?」

ペルセウス「私は今召喚者として魔力を使ったハーフィに従っている形だが――――」

ペルセウス「陣形成は ヒy んんっ」ゴホン
ペルセウス「陣形成はサモナーが行った よって奴ともごく僅かながら魔力のパスが設けられているのだが」

ペルセウス「そこから鑑みるに あまり時間が無いようなのだ」スッ

J「どこへ?」

ペルセウス「移動しながら話そう」

半鳥「どこに行くんですか?」

ペルセウス「場所は知らない だが君達は知っているのだと思う」

WPS「通訳してやろう『運転手をやれ猫肉 ぐぐぐぐぐ』」ペタン ペタン

J「奴の案内でなくて良かったと思うべきか」

半鳥「?」

J「師の運転を知らないのかい? いやはやラッキーというかなんというか 羽があるのはいいな」

807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 18:32:53.23 ID:pEpxlynjO


【数分後 路上走行中】
【Jの魔導車内】


J「4ドアので来ていて良かった」driver

半鳥「イス二つでも全然いいですけど私ー なんちゃって」後部座席

WPS「……」後部座席足元(着席禁止)

ペルセウス「儀式の応用で付与された霊体化とかいう能力がある 迷惑はかけないよ」助手席

半鳥「そーいうこと言ってんじゃねェーんですけどねー」

WPS「(ちょッろ)」
半鳥「  」stomp
WPS「へぶ」グリュィ

J「一息吐こう 付呪か何かか、玄関を開け放していたのに騒ぎにもならずに済んだし」

半鳥「そういえば服とか毛並みとかちょっと傷んだり荒れたりしてますけど 大丈夫だったんですか?」

J「ああ 少し手間と時間がかかったがへっちゃらさ 君と我が友には悪いがね」

J「自慢じゃないが 火力と殺傷の魔法で私を凌ぐ人間はこの国に五人もいない 伊達に軍部へ出向してはいないのだよ」ふふん

半鳥「よーーーーく知ってます ドリアードちゃんの傀儡フレームごと溶かしててハンター君と一緒にビビってましたから」

WPS「J教授スゴーい! 今度ぼくにも魔法を見ーせて!」

J「本体を全部集めてくれればとっておきの殲滅魔法GRB180530XXを教えてあげよう その身をもって」

WPS「なんて?」

J「では始めて欲しい 首狩りの」

ペルセウス「(首狩りの……)」
ペルセウス「……サモナーを引き入れた首魁は戦争をしたがっている」

J「戦争……」

半鳥「帝国とってこと? 軍隊が要るから教授を誑かしたの?」

WPS「死体が沢山出るな」ジュルリ

J「涎を垂らすなよスライム それで」

ペルセウス「あくまで戦争を模したという儀式の話だが 有り様はまさにそう 成り行きによっては被害者も出よう」

ペルセウス「土地に蓄積した膨大な魔力を用い 術者であるマスターが英霊であるサーヴァントを召喚」

ペルセウス「組んで殺し合う 斃れたサーヴァントの魂と延いては魔力を用意した器へと貯めてゆく」

J「貯めてどうする」
J「何処ぞの英雄を再現する魔力となればそれは確かに相当な量になるだろうが」

半鳥「塊にして売るとか? 工業用の魔力って 工場でなんかやって純度上げて固めるんだよね」

ペルセウス「違う ここのような魔導技術の知識とその膾炙が前提にある世界の儀式ではないんだ」

ペルセウス「端的に言えばその魔力を使って生き残った一組の願いを叶える」

ペルセウス「おおよそどんな願いでも叶うだろう 貯めておく器を"聖杯"と呼称することから一連の儀式はこう呼ばれる」

ペルセウス「聖杯戦争と」

808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 18:35:09.15 ID:pEpxlynjO


【帝都 随所にて】

809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 18:36:07.43 ID:pEpxlynjO


【帝都総合病院 特別入院棟】
【エレベーター】


病少年「ぁあっ……はァッ……がゥうグっ……ッ!!」ズギン ズギン


「寄る辺に従い……って 坊主 おい少年?」

「おい おいボウズ マスター! 起きろよ どうした立てねえのか? しっかりしろ!」


病少年「た……助 け」

病少年「助け て……」

病少年「だれか……!」


「……魔力が消えてってる? 循環系が死んでるのか」

「ったくしょうがないな……あー……よし 電力は魔力に置き換わってるみたいだし」

「スーツの生命維持装置でイケんだろ 俺の発明に不可能はねェ」

「コイツでどうだ……!」

810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 18:41:30.75 ID:pEpxlynjO


【同所 上層階】


『あなたのことは知ってる プレシア・テスタロッサ! やっぱり美人だ、本当に会えるなんて、しかもこんなところで!』

『優秀な魔法使い 魔導士 いいや魔術師を探してるんだ あなたなら完璧だよ!』

『これを 是非! 受け取ってくれ! いいよいいよ陣もやっとくよ任せて!』

プレシア『ちょっと、何を――――』


プレシア「(……)」チラ

 "少々の用事"があるとして仕事の前に病院へ寄った
 かつて『条件付きSS』という 実際の扱いに比して肩書きだけは至極妥当な評価を得ていた魔導技術者 プレシア・テスタロッサ
 濡れ羽色の髪を揺らし 訝しげに目をやるのは右手

 そう右手 右手の甲

 突如現れた変人に焼き付けられたこの紋様の解析自体は 実はとうに済んでいる 高純度に結晶化された魔力と精緻な制御魔法
 使いの者からしてまた体制側の仕業なのかとカマをかける意味でこの病院には検査に来た

 結果そうではないことが判明した
 医者の返答は、

医者『先日の検査ではコンシーラーか何かで隠しておられたのですか?』

医者『タトゥー消しをご希望であれば 整形外科に紹介状を――』

 素っ頓狂なものだった

 ただ予想通りではあったのだ 辻褄が合わなかった

プレシア「…………ボディガードの番犬にしては」

プレシア「手間がかかり過ぎているし 強いし」

プレシア「それに 明らかに必要の無い自由意志を持っているものね」

プレシア「ねえ 貴女?」

「(((まあ 特に願うものもなく喚ばれるまま応えたわたしの側にも責任の一端はあるのだろうが)))」telepathy

「……でも せめて後の世のローマがどうなってるか見たかったなあー!」霊体解除

「いくら平行世界を跨いで座に繋がるとはいえ 全然違う世界に喚ばれるってどういうあれなのだ?」

プレシア「霊体化 忘れないで頂戴……病人なのよ」

「(((ああすまないマスター けどローマの話はしたでしょう?)))」霊体化

プレシア「素晴らしい国だったそうね でもどこかの世界の古代文明の話でしょう? 時代が下りすぎていると思うわ というか」

プレシア「マスターと呼ばないでとも言ったはず 私をそう呼んでいい者はもういないわ」

「(((代わりを探すという約束だったな マスター権限を移譲する)))」

プレシア「追々ね」

「(((まだ済んでいないから無効だなぁ マスター? フフフフ 追々わたしもミス・テスタロッサに変えてあげよう)))」

プレシア「本当に皇帝だったの 貴女……?」

 呆れるプレシア 待たせていた娘の元へ向かった
 また検査ということで心配そうな顔をする愛娘を宥める

プレシア「(戦って 願いを叶える?)」

 柔らかく微笑み その髪を撫ぜ

プレシア「(精一杯戦った そしてもう叶ったわ そんなものは必要ない……)」なで

 ぼんやりと視線を投げた先で、
 泣き腫らした顔の短髪の少女と目が合った

811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 18:49:37.42 ID:pEpxlynjO

【帝都 スラム街某所】
【半狼の隠れ家】


半狼「……」circle ready

 捕まっているボスにも明かしていない隠れ家に人の立ち入った形跡があった
 居を移してから瞬く間にゴミと生活用品で溢れた古い空き家

 メインで使っているコーヒーテーブルの上にあった食べかけの朝食はハエの飛び回る台所へ勝手に退かされていて
 出来たスペースに謎の置き手紙と謎の荷物がドサリ

 罠を調べてから手紙と荷物を開けた
 そして 隠れ家を荒っぽく掃除

 今は 汚い床に鶏の血で 手紙に書かれた指示通りの陣を描き終わったところであった


手紙『ライカ 突然だがこちらは君の現状を知っている 上司を助けたいそうだね』

手紙『手の令呪は気に入ってくれたかな? それが参加チケットだから大事にしてね』

手紙『まあ胸と腹と尻に入れてるタトゥーに比べれば飾り気に欠けるだろうが』(ここで一度握り潰したせいでグシャグシャになった)

手紙『同封している鶏の血とハケで陣を描き 触媒にはプギオ 変な形のナイフを使ってくれ』

手紙『あみだクジで君のはそれになった』

手紙『それで喚べる英霊を使えば大抵の犯罪は上手くいくだろう ただし――――』


半狼「……他の六組をブチ殺せば好きな願いが叶う その方がてっとり早くて」

半狼「しかも そいつらも同じことを狙っていやがるだ? アホらしい」

半狼「……だが コイツはアタシのことを把握してやがる "嫌ならここへ"とかご丁寧に連絡先まで書いて」

半狼「しかも調べたらこれ警察署の番号じゃねえか……舐めやがって……」GrrrrrrrR

半狼「舐めやがッて!!!」ガシャァアン

 部分獣化させた腕で鶏血の入っていたバケツを窓へ投げた
 窓枠ごとぶち砕ける 苦労して描いた陣へは当たり散らそうとしない
 つまり 臨む気でいた
 裏切り者の方も 散発的に当たっている連中からはこれといった情報を得られていない
 実際手に窮しているところではあったのだ

半狼「…………呪文……んだよ」カサ

半狼「召喚使いの連中 こんなハズいの毎回やってんのか……?」たじ

半狼「……ええと……スに銀と鉄 ソに石と契約のダイコウ……」wrong


 何度か読み直し 八つ当たりで壊すものが無くなった頃
 漸く召喚陣が光りだした

「……ここは……この世界は?」

半狼「よう 色男」スッ

半狼「レージュで命令する アタシに逆らうな」First Command Seals active

「これは 令呪? 唐突すぎる マスター これはッっ……ッ!?」キィィィィン

半狼「三回までで二回だったよな お前堅そうだしもう一回キメさせとくか」

半狼「絶 対 逆らうな 絶対服従 裏切ったら殺す ミスったら殺す 邪魔したら犯す」
半狼「勃てろやって命令して犯しながら頭から喰ってやるから」Second Command Seals active

半狼「分かった?」キィィィィィィィィィィン
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 18:55:52.51 ID:pEpxlynjO


【帝都第二学園 新聞部部室】


後輩「うーん 見出しがイマイチかなあ どーするっスかねえ」サラサラ

後輩「あーあ 退屈ー 何か事件でも起こってくれればなあ ハデなやつ……」ぐでー

 集中していて額に汗をかいていたことに気付き
 右手で拭う

 ペンだこを除いて女子らしい綺麗な手だった
 爪は切られてヤスリ掛けで丸く磨かれ 馴染ませたハンドクリームで保湿は常に完璧
 よく手入れが行き届いている 傷やシミはおろか 妙なアザさえどこにもない

 もし手フェチの猟奇殺人者がいれば手だけ放って置かれない程の逸材であった

後輩「そんなに期待してないけど……あ」

後輩「けどあの先輩 なんか勘に引っかかるのよね……」

 手持ち無沙汰にマイ資料という名の雑多な本棚を漁る

 "魔法大学総長著 魔導生物図鑑" "スライム事件自伝本" "ヤス・ザ・ポートピアン" "気になった事件新聞欄のスクラップブック" "対戦傀儡ラジオドラマ第一期台本"
 "切り裂き刑事パルド" "赤黒色の暗殺者が描かれたパルプコミック" "伝説の雑誌記者アサカワ 解呪体験手記" "悪魔の屁を轢け消防車"
 "帝国資源獲得戦線 戦地インタビュー" "フォイエット〜二丁拳銃と黒仮面〜" "古びた赤い装丁の本" "点字の教会聖書" "栗色の長髪の女性と 水面に写る藍色の長髪の女性がヌードで座り込んでいる表紙の本"

 全部一度は目を通している 当然目新しいものはない
 適当にパラパラやって満足すると ファイルを整理しながらまた机に向かう

813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/30(水) 19:00:53.97 ID:pEpxlynjO


【繁華街 古い大衆酒場】
【二階居住スペース 生徒会長の部屋】


 当然本気にはしていなかった
 しかし実際に召喚は成功 仰々しい血色の光と共にそれが現れてしまう

 授業を空けて設けた平日休暇は終了
 呆気に取られて口は半開きのまま 思い付いたように眼鏡を掛け直す
 実家の稼業である酒場の余り物として食ってたピザから具がこぼれ落ち 大女はそれで正体を取り戻した

生徒会長「……あ しまった サラミ」ポロ

 床を汚すのはあれだったので 捨てる予定だったトラックの古幌を自室に広げて陣は書いていた ピザをアテとしていたビールの成せる荒業である

 玄関先に届けられた荷物 菌糸がどうのとメモに謳う新興宗教(?)のまじないを アルコール入った頭の悪ふざけにせよ生徒会長はやったのだ
 彼女がそうしてみた理由があり 理由を醸成した背景がある
 だがそれはこうして箍の緩んだ時くらいにしか表出しない些細な冗談話程度のものであり 本当に実行したいと考えたことはない

 しかし部屋に登場した異文明風の兵士然とした女性と 手の甲に焼き入れられた印が
 それを実行する具体的な手段を得たのだということを如実に表していた

生徒会長「…………サーヴァント?」

「はいサーヴァントです あなたがマスター?」
「なんかゴッツイ方……これは期待できそうかもですよ」

生徒会長「マスター うん そうなるみたいね……そうなるみたい その」headache

 歯切れ悪くメモ書きを見る カンペか

生徒会長「聖……セイハイの その取り合いの あー 戦争をやるの?」

「他にどういう用件でサーヴァントを喚ぶんですか」

生徒会長「……ビールの勢いで……?」

「は?」

生徒会長「待って ちょっと待って……水を……」のそ

「ちょちょっ 私の召喚酔っ払いながらやってたんですか!?」

「ってゆーかよく見たら女性……ッ? ……マネーレンダーのボスみたいな貫禄……」

生徒会長「酔っ払いながら じゃない 酔っ払ってやったの あと金貸しじゃないぞ……」

生徒会長「待ってくれ本当……待って 状況整理したい頭の」open fridge

「ええー……マスターやる気は」

生徒会長「何への……?」take water

「何へって 聖杯戦争で優勝するんでしょう??」

生徒会長「ああ聖杯戦争への……ああ そうねちょっと 聖杯戦争へ臨む心構えとかあればレクチャーしてもらってもいい?」

「…………マジですか……ええーうっそ……」

生徒会長「……飲む? 水 硬水だけど」

「……瓶入りの水……」
「あの失礼ですけど……この世界の衛生的なあれってどーいう感じなんでしょうか」

生徒会長「買った水だよ 買えば真水は手に入る国って答えれば察せるんじゃないか」つ栓抜き

「……なるほど まあいただきます」キュポン

814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/01(金) 19:13:43.16 ID:Xj6gWJtp0
更新乙です!
とりあえず出揃った感じですかね?
様々な境遇はどの様にぶつかりあい、そして収束してゆくのか...
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/02(土) 05:22:22.12 ID:NVGCghpV0
あー、病少年が召喚したのってもしかして……
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/06(水) 10:25:52.51 ID:mCP5Qdl90
乙!
巻き込まれ系妙齢淑女と化したプレシアさん
しかし、令呪の移植って腕切り落とすとか何とか見た気がするけど、その辺大丈夫なのかね
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/09(土) 11:17:53.96 ID:TLyhvodDO


【帝都 工業地区路上】
【運送屋トラック 走行中】


ブロロロロロロ……


ソバカス面の先達「上がり昼過ぎンなっちまったべなァ 大丈夫かおめぇ」driver

青年「え?」うつらうつら

ソバ先「学校行ってんだろ? 時間」

青年「あ……大丈夫っス今日夕方からなんで 社長それ知ってて」

青年「だから回してんだと思います ありがとうございます」

ソバ先「ちゃんと行けよォ? 一杯勉強してダチ作れェ? でねぇと俺みたいにつまんねーおっさんになっちまうぞォ」

青年「はは……」

ソバ先「まァーまずぁその眉間のシワだぁなァ こえーぞおめぇそれ、ムショ上がりに見えっからよォたまに ええ?」

ソバ先「ニコッといけ! ニコッと! エガオが一番のお化粧よォ〜〜ぉ↓ォ↑〜〜っと」sing

青年「もう呑んでんすか?」

ソバ先「終わったからァ!」げははは

青年「程々にしてくださいよ 肝臓」

ソバ先「カカァみてーなこと言うなよぉ〜」

青年「はは お 着きますね」

ソバ先「あとやっとっからよ シャワー浴びてサッパリしてけな ヒゲも剃っとけな」

青年「ありがとうございます お疲れ様です」

ソバ先「おーう」
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/09(土) 11:24:04.74 ID:TLyhvodDO

【運送会社 更衣室】


青年「(明日は休みか……夕方まで寝てよ 飯は豆缶でいいや)」着替え
青年「(ああダメだ洗濯溜まってっから洗い行かねーと……ダリー)」

青年「あ お疲れ様です」

「おうお疲れー」
「お疲れさんですー」

青年「(寝るのはそれからだな……)」

「社長 お疲れ様です」

運送社長「おゥお疲れ コマイヌいるか?」

青年「!」

「戻ってます 着替えてましたけど その社長がよく言ってるコマイヌってそれなんなんすか?」

運送社長「東の島国に居る犬の魔物 石像がたくさんあってよ こう グッとこう眉間に皺がめちゃ寄ってんだ」

「なるほど ははは……」

運送社長「まーコマでイヌなのはお前ら全員そうだけどな」ガチャ

青年「社長」

運送社長「よォコマイヌお疲れ お前明日夜出ろ」

青年「夜便ですか?」

運送社長「段取り組みてえから電話してんのに昨日からこっちハゲが捕まらねェ バックレやがった」

運送社長「奴ぁ懲戒免職だ 他で強化魔法使える奴は出払ってる 行け」

青年「俺 まだ習得しきれてないですよ 魔導炉にかけれるレベルのやつ……」

運送社長「そうだな ほら」つアンプル

青年「……」

運送社長「八時からだから 早退して来いよ」

運送社長「まだ単位に影響しない程度には休めるだろ? 大丈夫だよちゃんと卒業できる程度には考えてやるから」

青年「(それは俺がなんのアクシデントもなく体調も崩さず 仕事以外に休みを使わない場合の だろ……)」

運送社長「手当ては弾む 分かったな 以上」

バタン

青年「あ〜〜 マジか」

「うーわ ご指名かァ〜……」
「災難だったなコマよぉ ほら コーラ買ってやっから気張んな」vending machine
「俺にもくれ貧乏なんだ」
「スったからだろ? 修道院か公園に行くといいことがあるよ」buy cola
「ボコされるわ」ホームレスに
「コマ ほれ」つコーラ

青年「すんませんありがとうございます でもコマはやめてくださいって……」ギャリン グビ

「いや結構しっくり来てんぜ呼びやすいし」
「犬の魔物だってよ」
「こないだ警官殺りまくった奴じゃねえの オレンジの犬っつってなかったかラジオで」
「いや魔人だったらしいぞ 巨乳のデミ女になったって見た奴が言ってた」
「デミかよ ねーわ」
「毛ジラミ確定だっていうじゃん」
「それ以前に食い千切られんぞおめー」ハハハハ
「心配ねェ。俺の皮は鉄壁だ」キリッ

ギャハハハハハハハ

青年「毛ジラミよりやべーやつじゃないっすかそれ 早く医者行った方がいいスよ」アハハハ

「うるせー!」

青年「はははは…… じゃ お先失礼しまーす」

「うーい」
「お疲れー」

819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/09(土) 20:40:55.77 ID:g2oplJlV0
うわ何その辛い現実……乙
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 08:13:59.68 ID:8cwhEoQl0
乙!
で、この苦学生さんはどうなってしまうのか……
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/12(火) 23:49:57.41 ID:fMt6Qg6nO


【数時間後 路上某所】


ペラ ペラ


バイカー1「リーダー? リーダー! またそれ見てんすか 赤い本」

バイカーリーダー「おう」

バイカー2「……読めねえな……ルーンってやつですか? サッパリ分かんねえ」

Bリーダー「俺にも分からん だが貴重品だっていうしな、終わった後で値打ちモンなら気になんだろ それより遅ぇぞ」パタン

バイカー2「もうそろそろ……あ 来ました」

ロロロロロロロロルルルルルドルルルドルンドルンドルン

バイカー3「遅くなりやした」キキッ

Bリーダー「獲物は?」

バイカー3「どうぞ リストっす」つ紙

Bリーダー「リストだと? いつもは口頭だろうが、何件もあるってことか」check

バイカー3「どうもそうみてえで」

Bリーダー「……あー こいつぁ参ったな」カキカキ

Bリーダー「明らかに"ダンナ"に出張ってもらうのを前提にしてる 頭数だけじゃキツい仕事だ」

バイカー4「ダンナか……」

バイカー1「いいじゃないスか! 帝都入ってからこっち、派手なのはご無沙汰だったじゃないすか」

バイカー3「渡りに船って具合だよな 渡されて試しでしか喚んでませんし、いっぺん見とく方がいいんじゃないですか?」

Bリーダー「……」

バイカー1「お前はどうだよ」

バイカー2「リーダーに従う どうしますリーダー」

Bリーダー「いや一応考えを聞いておきてェ どう思う? 参考までに――――」

Bリーダー「俺達ゃ国外からの労働者扱いでここ帝国に入って来てる 二十八人全員な 目的は帝国での足掛かり作りだが……出国期限が迫ってる」

Bリーダー「現状 拠点を築くにゃ至ってねえ が とりあえずシノギの当ては見付かった」

バイカー2「車ドロ(車泥棒) 大陸中央で生きてきた俺達には朝飯前っす」
822 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/06/12(火) 23:51:17.92 ID:fMt6Qg6nO

Bリーダー「そうだ そもそも手を出してねぇ分野だったようだが ここへきて"地元の連中"が浮き足立った 発端のイベントがよく分からんかったが……」

Bリーダー「とにかく流れが来てると思う センセイは大口の客になる ダンナを寄越したのも俺らを見てる、試してるんだ」

バイカーs「…………」

Bリーダー「聞いておきてェ このままスゴスゴと中央に帰って――――」
Bリーダー「またクソ共和国と帝国のタコのおこぼれに預かる生活に戻るか? 戻りたいのか? あ? どうなんだ?」

Bリーダー「俺ァ嫌だね!!」

Bリーダー「なんとしてもここで一旗揚げんだ! 故郷ごと負け犬にされ続けた今までにケリをつける!」

Bリーダー「俺らの故郷は修羅の国だァ! 甘ったれたハナ垂れインペリアルどもが来りゃ三分でケツの毛まで毟られる無法地帯だ!」

Bリーダー「そこでイワした俺達の、そん中でも選りすぐりの精鋭がここにいるお前らだ! いいか お前らは俺の子分でも手下でも ましてやコマでもねェ――――」

Bリーダー「おらァ! 俺達はなんだ!?」

「兄弟だ!」
「家族!」「家族」
「家族だァー!」
「兄弟姉妹だ!!」
「運命共同体っす!!」

Bリーダー「そォだ運命共同体だ! いいこと言ったぜ、そう家族なんだ! この世界のどこに居ても心は一つよ!!」
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/12(火) 23:55:17.21 ID:fMt6Qg6nO

Bリーダー「故郷の兄弟達にでっけえ土産持ってくぞ! おいお前 どうなんだ! やる気はあっか!?」

バイカー2「アぃリーダー! 家族のために! リーダーに従う!! やりましょうでっけえのを!!」

ウオオォオオオオオオォオオォオォォオォオォオォオォオォォォォ
ドルルゥン ドルルゥン ドルルゥン ドルルゥンドルルゥンドルルンドルルンドルルン

Bリーダー「リストを回せ! 小隊ごとに獲物を振った、どいつもこいつも骨がありゃあがるがいつも通りやれば問題ねェ!」ドルルンドルルンドルルンドルルン

Bリーダー「一号から四号は情報管制! 俺が先陣を切る、ついてこいてめえら!!」ドルルルロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
Bリーダー「繋いだか? 繋げ!」biker radio

バイカー1『一号隊感度良好』
バイカー2『OK二号』
バイカー3『三号繋ぎました』
バイカー4『四号オーバー!』

Bリーダー「狙いは公共車両だ! パトカー 消防車 ミートワゴン 交通機関!!」

『交通機関ってのは!』

Bリーダー「路面電車だ」

『ヒューーー!』
『マジっスか!? うおおっしゃ!!』
『腕が鳴るわァァア!』

Bリーダー「冗談だよォ どうやって掻っ払うんだよんなモン!? ガハハハハ ゆくゆくは頂くがなァ!」

Bリーダー「今日はバスを狙え! 二階建てのやつがいい、挨拶代わりにゃ丁度良かろうよ!!」

『リーダーの隊がサツ行くんスか!?』
『危ねェ 俺らに任せてください!』

Bリーダー「誰にモノ言ってんだァ最強は俺だ! 最強のヤツが最強のヤツに当たンだろが!!」

Bリーダー「四号! 寄れ!!」ヒュンッ

バイカー4「!」パシッ

Bリーダー「客が居る! 殺しは無しってのがセンセイからの絶対条件だ!」
Bリーダー「上手く使えよ! 暴れっぷりを後で聞かせてくれや!!」

バイカー4「アぃリーダー!!」


ドルルルロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ブロロロロロロロルルルルロロロロロロロロロロロドロロルロロロロロ……

824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 05:05:39.00 ID:x2X9W7OI0
乙!
まー、やる気に満ち溢れたファミリーです事
825 :チッ!! やられた 予想がつかなすぎる のんびりしてられないってか…… ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/06/14(木) 00:51:59.63 ID:iHVkAgn1O
 
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/16(土) 18:56:05.60 ID:IuHZwy1G0
電車なんてどうやって盗むんだろな。いや、魔法を使えるんなら空を飛ばせて?
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/17(日) 19:51:26.35 ID:ZGxXZvvL0
ワープゲート魔法とか使えりゃ楽?
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/19(火) 12:35:49.34 ID:LEbxW9Pj0
ポートピアとかwwwってかそっちにもあんのかいw
829 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/06/25(月) 16:43:43.58 ID:KgDByhkmO


【数分後 夕方前】
【夜学生主要登校時間帯】

【某所路上 乗合バス二階席】


青年「……」read textbook
青年「ん〜」difficult

青年「(いかん いかん 眠い……シャワー浴びてちょっとでも仮眠しときゃあよかった)」yawn
青年「(目覚まし時計のネジ変なんだよな 一時間早く四時に起こされた時は イラっときた後でヒヤっときた……)」
青年「(一時間遅かったらヤバかった 働かなきゃすぐに死んじまう 誰も助けてくれないんだから)」

青年「……」
青年「何のために通ってんだろうな」

 暗澹としたダウナーな哲学に思考が引き込まれそうになった矢先
 それは来た

 始めは単に 魔導単車が集まっているだけなのだと思った
 交通量が多く また道路が入り組んでいる都市部では 小さな荷物の輸送他 個人の移動手段としても重宝されている乗り物
 何も珍しいことはない

ウオン ウオン ウォオン……

青年「(……んだようるせえな またかよ)」
青年「(鳥の次は バイクか――――)」

 苦学生が座席越しに振り返るのと
 艦船のそれ程ある巨大なアンカーが 冗談みたいに馬鹿太い鎖を曳いて 二階の手摺に引っ掛かったのは同時だった

ガキィィッ

「アンカー行ったァ!」ギャギャギャギャギャ
「後方二ヶ所オーケー 次ィィ!」
「強化急げやああぁ!!」
「玉ぁあ掛けぇえぇええ!」

 エンジンに掻き消されないよう 絶叫でやり取りされる作業手順
 単純に聞き取れなかったというのもあるが 乗客の殆どは連中のやりたいことと その言葉の意味を理解できずにいた
 ただ一人を除いて

青年「……玉掛けっつった?」

 二階席の他の乗客は一階へ引っ込んだ 苦学生は残った ヒーロー願望があるわけではない 決してない しかしその視線はアンカーに釘付けになっていた

青年「(このアンカー クレーン車の魔導フックを改造してんだ)」
青年「(付呪が起動してる……これは……工業用の強化魔法だ)」

 その辺の悪漢でないことを雰囲気で察し 車内は騒然とする
 車掌は混乱を抑えようと声を張った が その車掌が非常事態に冷静でいられない
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/25(月) 16:44:24.98 ID:KgDByhkmO

バス運転手「(なんだ畜生ッ こいつら何する気だ? チェーン掛けるだけ掛けて随走してきやがる 暫くは直進するしかないが……)」
バス運転手「(ひいふうみいよの ええい 何台持ってこようがバイクなんぞで綱引きできるわきゃねえだろう)」

 大型車両の図体では 点々と通りに接続されている路地には入れない
 進めば随行 曲がるのは不可
 ならばブレーキを踏めばいい
 運転手の足がペダルに乗り 踏み込む前に窓が鳴る ノック音

 二人乗りのバイクだった
 細長い車体 巨大なタイヤ 魔導排煙を吹き出す太いマフラー 乗り手の風体からしていかにも暴走族ですイェァーといった見た目

 外を見た運転手の顔を睨め付けるものが四つ
 飛行帽を被った後ろのアホがニヤけて向ける 遮光ゴーグルのレンズと 切り詰められた水平二連散弾銃 眼光と銃口が運転手を射竦めた
 散弾銃が縦に振られる "窓を開けろ"

運転手「………………」freeze

 "開ァ"
 "けェ"
 "ろ!"

運転手「っ……」open window

「遅ェぞ死ぬかァ!?」ジャキ
「やめろバーロー!! おい速度ォ落とすなよ死にたくなきゃあな」
「殺しに来たんじゃねえ! 指示に従えや全員生きて降りられるぜェェ?」

運転手「わ 分かった」

 固唾を飲んで見守る乗客は これで自分達が白昼堂々目立つ見世物の登場人物と相成ったのだということを ハッキリと理解させられた

 並走してショットガンを突き付けられた運転席 鎖でバスと散歩するバイク 護送するかのように群がる暴走族風ライダーズ
 否が応でも目立ちまくる 周囲の人間が事態に気付きだし 公衆電話と警官を探し始めた
 それが分かり切っているから連中の仕事も速い

青年「ここを こうして……」カチャカチャ

ジャララララララララ ガキィン

青年「前の手摺もか これはちょっとヤベェかも……警察は何してんだ」コソッ

 後方に続き それぞれ左右脇からバスの前に出たバイクが二階席の手摺にアンカーを射出 これで四方から鎖がかかった
 青年の姿は下から見えていない 道路の直進ももうすぐ終わる
 すると運転席からホールドアップ係が離れた
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/25(月) 16:46:36.69 ID:KgDByhkmO

運転手「……?」

「行け! 行け! 上げろ!」

 号令で鎖を繋いだバイクが一斉に 変形

 両輪が車体正面に対してきりもみに半回転 ホイールを路面へ向ける形になる
 どうやってるのかタイヤは空転したまま ホイールがローターの役目を果たしているとでもいうのか これで揚力を得ているらしい
 魔導垂直離着陸機 バイカーの集団が一転して空賊に変わった

青年「(クレーンはねえだろうと思ってた やっぱ連邦製の変態メカだったか……だが 細工は粒々)」
青年「(吊り下げてバスごと持ってく気なら もう上にいるのはマズいよな)」コソコソ

 アンカーから離れ 苦学生は手摺に隠れたまま一階へ降りようとした
 その時だった

パチッ

青年「っ? ちっ んだよ静電気かよ脅かしやがって」

 階段を降りきり まず目に入るのは運転席
 運転手の様子がおかしい

 眠気と戦っているかのように船を漕いだかと思うと そのままハンドルに顔からいって突っ伏した
 クラクションがけたたましく響き渡り バスのコントロールが失われる

青年「ちょッ……!」バッ

ガクンン……ッ

青年「! 浮いて……早いな」

 あわや激突 はたまた横転かと思われたが それより先にバスが浮かんだ

 吹き抜けになっている二階席の手摺に構造強化魔法をかけ堅牢化し無理矢理吊り金具に
 狂暴な唸り声をあげる魔導炉の尋常ならざる馬力と 四隅から吊り上げる四台の一糸乱れぬ操縦が織り成す 曲芸犯罪
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/25(月) 16:48:03.40 ID:KgDByhkmO

 バランスを崩した苦学生が壁に掴まり 顔を上げた拍子に客席が視界に入る

青年「!」

 乗客達は運転手と同様 突然魂を抜かれたかのように 異様に脱力して座席や通路に倒れ付していた
 そういえば悲鳴の類いを聞いていない

青年「ちょっと どうしたんですか? なあ! 起きて! 全員か」
青年「何をしやがっ――――」

 揺れる車内 座席に手をつきながら通路を最後尾まで歩き声を掛けていく 十数名の乗客は完全に沈黙していた
 手口はまったく分からない 何故自分だけ無事だったのかも 二階席に隠れていたことが関係していそうだがそれはいい どうせ知らない魔法だ

 だが
 だが原因は分かった
 こいつだ 間違いない


フルフェイスのバイカー「――――――――」


 空も走る以上視界確保のためなのか 理由は定かでないが バイカー共はどいつもこいつもまともなヘルメットを被っていなかった
 そんな中にあって一人 バスの真後ろを走っていたフルフェイスヘルメットのバイカーと目が――――バイザー越しに恐らく――――合った


ファンファンファンファン ファンファンファンファン

警官1〈お前達何をしてる!? バスを降ろせ!〉拡声

FFバイカー「   」cruise

警官2〈止まれ! おい一番後ろのお前!!〉拡声

FFバイカー「   」中指

警官2〈てめッ 警察舐めんなよコラ!!〉


 バスの高度は上がり 背後からは後れ馳せながらもパトカー数台 誰がどう見ても撤収時
 しかしそのバイカーだけは飛ぼうとしない バイクを変形させる素振りすらない

 振り返りもせず丁寧に返事を返すバイカーの 視線は苦学生に固定されたまま
 ショットガンを向けられた訳でもなし だのに釘付け 蛇に睨まれた蛙のように 見下ろす苦学生は動けない

 してやった と小さく得意気になっていたところへ 鏡面加工の視線だけで冷や水をぶっかけられたような

 得体の知れない感覚があった
 なんとなしに苦学生は直感する こいつは人間じゃない?
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/26(火) 06:50:51.76 ID:aMOA4A0D0
乙!
っはー、豪快にやるなぁ
謎のリーダー的存在も気になりますね
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/06/26(火) 20:49:43.25 ID:Lg8YMDHr0
中指、立てるんだ♪(ポプテピED感
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/19(木) 06:01:10.84 ID:Ua5KIGZB0
しっかし、飛行機形態バイク複数機でバスを引っ張り上げるなんて、それぞれが高度で精密な飛行技術を持ったうえで、完璧な
チームワークを発揮しないと出来ない曲芸飛行を、ろくに訓練なんてできる環境にない筈の盗っ人集団がやってのけるとか凄いな
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/13(月) 08:31:57.60 ID:P3VdEGeP0
警察さん達、大体毎回のストーリーで出ずっぱりだよな。お疲れさんだな
俺、次にストーリー安価踏めたら、絶対小ネタにするんだ
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/15(水) 06:04:28.07 ID:jKViEB4J0
>>1さん、生きてんかな?
838 :死んだように生きてる ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/08/15(水) 12:17:39.13 ID:fyjgHEEsO
 
839 :ごめんなさい 待ってて……暑くて死にそうなんです真面目に…… ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/08/15(水) 12:18:47.59 ID:fyjgHEEsO
 
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/16(木) 17:22:13.12 ID:LzsRP7v60
生存報告感謝!
いや、今年の夏は本当、エグい酷暑が多いですもんね。
しっかり養生(軽作業じゃなくて)するべきそうするべき
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/16(火) 20:28:11.83 ID:bMxI1nbt0
ようやく秋ですな〜
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/23(金) 08:41:51.91 ID:N7n09kXf0
く〜ろ〜ま〜く〜
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 11:32:30.13 ID:6WvUcszY0
いや〜、陽がないと冷えるね〜
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/24(月) 12:17:35.01 ID:UuWIC/vF0
クリスマス……そういえばこのスレにも聖人喚ばれてたな
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 08:36:45.92 ID:xDpYMXqC0
あけおめー
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 08:32:42.69 ID:zHVFtv0K0
う〜ん……まだ来て下さるかねぇ?
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/04(土) 15:51:49.04 ID:T/xKmjGZ0
いやー、更新来なくてつ令和
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