召喚術師「安価で修業する」

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168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:37:08.42 ID:ryenLA/GO


バハムート「……知ったのが喚ばれたらしい 同じような魔法で」

バハムート「私は陸の そいつは海の覇者として双璧を成す怪物なのだが 全力は出せなかったのだろう それにやられたようだ」

座敷童「陸ぅ?」

バハムート「呼び名 見方 扱われ方で有り様は移ろう 分からんか」

座敷童「……いや」

バハムート「もういいか?」

術師「ああ ご苦労だったな」

バハムート「あっちの姿を求められるのは珍しい 長く生きているがあんな使われ方をしたのは初めてのことだ」

バハムート「まだ腰が痛い…… 次喚ぶときはこっちの姿にしてくれ いいな」バリバリバリバリ


術師「まーた自分で帰ったか」

座敷童「あいつ腰って言ったぞ腰 どこにあるんだ」

術師「腰はくねらせるもんだ あれは全身腰だろ」

座敷童「マジか」

術師「知らん」

座敷童「……」


術師「さて というわけでこのままなんの処置もしなければお前はじき死ぬ 間違いない そこでだ」

術師「助けてやろうか?」

DPS「………………何を…………」


169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:38:34.42 ID:ryenLA/GO




連絡員「なんというザマだ、これ程の施設を与えられておきながら…… サーカスのように猛獣を射殺で済ませられる問題ではないのだぞ」

所長「しょ、初動対応によって被害は抑えられております……」

連絡員「そうだな。一匹逃がし数十人で済んだ。素晴らしい手腕だ 豚が」

所長「…………」

連絡員「まあ 起こってしまったことは仕方がない 筋書きは既に出来ている」

連絡員「ここで行われていた人造生物研究は 着服が高じ 横流す軍用生物兵器に手を出すに至った研究所の暴走によるものだった」

連絡員「秘密裏に情報を入手した召喚術師は兵器を簒奪 掌握 操作、人造生命体の危険性を世に知らしめるため今回の凶行に――」

所長「ま ま 待ってください! それではまるで私が」

連絡員「私が 何だ まさか把握していないとでも?」

所長「いいえ 私は決して!」

連絡員「放任は下への鞭捌きに一定の評価があり、そこから差し引いて尚貴様で利鞘があると判断してのこと そこを責めているのではない勘違いするなよ」

連絡員「現にこうして辻褄を合わせることが出来た やはり君は実に有能な――いいか勘違いするな誉め言葉だぞ――そう有能な 豚だ 実に」

連絡員「よく肥えてくれた ベーコンになって帝国の食卓に並んで欲しい」

所長「…………あ ああぁ……」ガク

コンコン

連絡員「どうした」

研究員「しょ、所長にお客様です……」

連絡員「所長? 呼んでいるよ応えてあげなさい まだ所長は君だ 」

所長「…………入れ……」


170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:41:59.73 ID:ryenLA/GO



ガチャ

術師「よう どうも」

術師「帝都で面白い噂が流れていると聞いてな 急ぎ戻った」

所長「!!」

連絡員「……これはこれは…… Mr.サモナー お早いお帰りで」

術師「フン そこの所長にパイプさせようかと考えていたが 話が早そうな展開だ」

術師「これが分かるな?」つ試験管

連絡員「触媒かね どうだ」

所長「…………いいえ これは…… 核です」

連絡員「核? 奴の?」

所長「は、はい…… 蠢いているでしょう 殺しきれなかったか生かしたか、一見する限り大分変質していますが……」

術師「何人も食ったと聞く 喚んでからそこまで削ぎ落とすのに大分苦労したぞ」

連絡員「……成る程 貴方が律儀に仕事をしてくれたおかげでそちらの方はスムーズに進みそうだ」

術師「律儀? ……スムーズだと?」チッ

連絡員「ええ」

術師「……糞野郎が…… ご託はいい このふざけた状況をとっとと元に戻せッ!」

術師「私は貴様らに言われた通りやっただけだ! これは一体どういう了見だッ!?」

連絡員「落ち着いて頂きたい Mr.サモナー…… 大変申し訳ないがこれはもう決定事項なのだ」

術師「ふざけるなァッ!!」バキッ

連絡員「……暴行も加えておくか? 話は最後まで聞け」ペッ

連絡員「早とちりをした落ち度は承知している 故に貴方にとって悪くない形で事を収める算段もついている これ以上荒立てたくないだろう?」

連絡員「皆が皆貴方のように強かでないんだ 色々な意味でな 貴方の周りだって例外はない そうだろう……」

術師「…………」

連絡員「ご苦労だった 帰りたまえ」

術師「……覚えていろよ……」バタン


171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:43:02.75 ID:ryenLA/GO


連絡員「……フ 成り上がった召喚魔法のエキスパート、もう少しクレバーな男かと思っていたのだが」

連絡員「底が知れた 所詮は学者畑か」

所長「…………飼うおつもりですか」

連絡員「互いに益がある こめかみに銃を突き付けられているとはいえ嫌とは言うまいよ 枠も一つ空くことだしな……」

所長「……」

連絡員「……もう外も暗い 今日は送ってやろう、上物の座席の感触を尻に覚えさせておくんだな」



「……」


172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:44:40.57 ID:ryenLA/GO



半鳥「はっ はっ はっ……」タタタタ

バッターン!

半鳥「すいませんJ教授の部屋はどこですかっ!?」

受付「病院ですよ 静かに」

半鳥「あ ごめんなさい……それで……」

ドリアード「はぁ、追い付いたっ……! 何の鳥なのよ 飛べる貧乳の癖にダチョウ? 少し落ち着いたらどうなのハーフィ」

半鳥「オイ今なんつった 飛べる何?」

受付「大学関係者の方? ひょっとして召喚魔法の……」

ドリアード「そうよ こっちが」どうどう

半鳥「それで どこですか?」ガルルル

受付「J教授なら二階よ 容態も安定してます、応急措置が良かったから」

半鳥「ありがとうございました!」ダッ

ドリアード「もう まだ走るの……?」


173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:45:52.93 ID:ryenLA/GO



J「……まさか治癒魔法が使えたとは おかげで助かったよ」

刑事「礼ならお弟子様に言いな クソのヘドロが剥がれたからそっちに手ェ回せたんだ」

刑事「正直あんたからの出世話以外は眉唾もんばっかだと思ってたんだが そうでもなくて感心したよ」

J「んー……?」

刑事「大学は帝立だろ 差っ引かれる税金への溜飲がちょびっとだけ」

J「それは光栄だ……ちゃんと上司への報告に入れておいてくれよ」

刑事「嫌だね」シュボ スパー

J「こら ……しかし腑に落ちない」

刑事「何だって刑事になんかって?」

J「そうとも あれ程の使い手なら引く手数多だ 即応性に特化した魔導医療は適性も希……」

J「出世も楽だぞ…… どこかへ口を利こうか……」

刑事「いらん 出世ならこれからする」

J「……そうか」

刑事「そうさ」

J「……何にせよ今回のことは恩に着る このJに出来ることがあればいつでも頼ってくれ 友よ」

刑事「あん? 誰が友だ、あんたと仲良しした覚えはねェ 出世に響くだろうが」

J「では出世に響かない程度に仲良ししようじゃないか なあ……」

刑事「……俺はもう行くからな 馴れ馴れしい猫だぜ――」ガチャ


174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:48:20.81 ID:ryenLA/GO


バッターン!


刑事「ぐぇぶ」ドゴォ

半鳥「J教授っ!」

J「……おお……どうしたんだい血相変えて……」

半鳥「よ……よかったあ、生きてたんですね……よかった……!」

刑事「……よくねェ……」ボタ

半鳥「刑事さん? どこ?」

ドリアード「はぁ、はぁ、はぁ、……ハーフィ ちょっと待ってってば……」

半鳥「ドリアードちゃん飛べるけど足遅い ってゆーか微妙に虚弱入ってるよね……」

ドリアード「……うるさいわね 魔力で作ってる体だから色々生身とは違うのよ……あーもう息が……ドアの裏にいるのは誰?」

刑事「俺だ クソ鼻血出てきやがった……ここは病院だぞ」プカァ

半鳥「そこにいたの? あ 病院で煙草吸ってる!」

刑事「こいつァご褒美だからいいんだよ 水浸しにするだけして後始末ほっぽり投げくさったどっかの羽亜人の尻拭いした分な!」

半鳥「だってドリアードちゃんがッ――」


看護婦's「オイコラウルッセーゾコラー! ナンオラー!? チェラッコラー!」
看護婦's「ここ病院だっつってんオラー! ドグサレッガー!」
看護婦's「患者さん他にもいるっつってんコラー! ウルルァッカラー!」

患者さん「アイエエエ……ミザリー……バブルヘッド……ウッアタマガ」Nurse Reality Shock

半鳥「アッハイ」
刑事「アッハイ」

ドリアード「ごめんなさい本当うるさくして……」


175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:49:39.55 ID:ryenLA/GO



ドリアード「大体 大丈夫って言ったじゃない どうして真っ先に大学へ来たのよ」

半鳥「ちゃんと助けと応援呼んでから行ったよ あんな風に消えられて平気なわけないじゃん!」

半鳥「だから即効で予備触媒の枝を取りに行ったの そしたら本当にピンピンしてんだもん……」

ドリアード「非常時にこそ落ち着かないでどうするの……その辺はプロフェッサー達を見習いなさい」

半鳥「何だよー 人が心配してたってのに小言ばーっか」

J「……分かってあげてもいいだろう と言うのは野暮かな」

刑事「知るかよ 木なんだろ? 気ィ難しいってか」

ドリアード「フン 貴方の用事は? 済んだのならさっさと行ったらどうなの 仕事はまだあるんでしょう」

刑事「可愛くねェな 造形も美少女じゃなくてしわくちゃのバァさんにしとけや」

コンコン

J「客の多い病室だ どうぞ」

ガチャ

看護婦「J教授! あ 皆さんもお揃いね 良かった!」

刑事「……俺は含まれてないよな」

看護婦「関係者なら好都合よ 大変なの!」


看護婦「今ラジオで流れたんだけど、またスライムが出たって!」

半鳥「……!!」



176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:52:26.70 ID:ryenLA/GO




「なんだ 何が起こった!?」
「昼間の魔物だ! こっちの方にまで逃げてきたんだ!」
「大通りにマンホールなんかねーぞ……」
「車が爆発したのよ、中から出てきたの!」
「白衣着たおっさんが倒れてる 誰か警察と救急と消防!」



DPS「ぐぐぐぐぐ 求められているのは迫真さ……」ズロロロロ

DPS「リアリティは何物にも優先されると 必要な犠牲だ そうだろ外道……」ChompChompChomp

通行人「うわあああやめr」グヂャ

DPS「逃げ回るなディナー共 体が大きいと小回りが利かないんだ」


DPS『ああ 外道というのはお前のことじゃあない ほら口を開けろ』

連絡員「グ――」ガボ

DPS『飲み込まなくていいぞ 勝手に進む』

連絡員「……ぐ ゲホッ ぅぶ…………しかも 口を利いただと……っ……体 が ……」ズルルルル

DPS『感覚がない? 痛みは? 痛みも? 良かった なら成功だ』

連絡員「一体 何故っ……封じられていたのではなかったのか――」

ゴグン ゾルルル

肉片「」now melting
連絡員「――!!!」

DPS『落ち着いて話せるかと思ったんだが、腹の中なんてクチャラーどころの話じゃあなかったな』

DPS『でも吐き気も臭いも痛みも何も無いだろう? オレの器用さに感謝しろよ』

連絡員「何 故 …… ……目的を……」

DPS『あれは オレの食事だ 返せ』

DPS『下らない共食いなんぞに貶める気だろう、断じて違う 捕食者の世代交代が来たんだよ』

連絡員「化物風情が一端に革命気取りか…… ぅうッ!」ズギン

DPS『どうした? やっぱり痛むか?』

連絡員「な…………ぅ……かっ……」ズギン ズギン

177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:54:49.08 ID:ryenLA/GO

DPS『……だが だからこそ無闇に食い散らかすのはもうやめることにしたんだ』

連絡員「い…………ぅ……ぐぎ ィ ぁ……」ズギン ズギン

DPS『今後は量より質を重視して…… おいちゃんと聞いているのか おかしいな……』

連絡員「胸が……ッ ……心臓が……裂け……」

DPS『ああそれか。難航している なんていうか リズム? がよく掴めなくて……』

連絡員「何を言 って……」

DPS『多分じき馴れると思うからもう少しの辛抱だ 暗黒物質の核はいいぞ……』

DPS『心臓は血液しか運べないけどこいつは違う ……あれ 血栓がいくつか出来てるかな……』

連絡員「ぐっぉあ……ッふざけるな化物! 私のカらダニ何をした!? ぅぐぁ」ゾルルル

DPS『心臓を喰って代わりを立てた』

DPS『訂正する、手術は順調だ 今の次点でちゃんと もう既に血液を巡らすだけじゃ生きられない体になってる』

連絡員「や――やめ やめろ! やめろッ!!」

DPS『目的と言ったな。至極単純だ 我が食友 主 召喚術師の手配を疾く取り下げろ』

連絡員「ある ジだと…… やはりッ……」

DPS『断じて違うと今言ったァ』ズロロロルルロロロ

連絡員「……っッぁあがッッ」ズギィッ

DPS『繊細な作業なんだ迂闊な返事で気を散らすな あと一回だけ喋っていいぞ』

連絡員「ごォ…… どわ る ッ……」
DPS『ぐぐぐぐぐ!』laugh

DPS『……ならずっとこのままだ 生命維持は得意なんだ ゆっくり喰ってやる』

DPS『減ったら外で喰った肉を付け足して喰い続けてやる 鼠でもゴキブリでもタンパク質からなら即作れる』

DPS『オレが生きる限りの余生を 腸壁にこびりついた糞にもなれない生きた食べ滓として過ごさせてやるぞ』

連絡員「………… ……………… ……」

DPS『……あ いや そうしよう それがいい! 手配なんかどうでもいいや』

連絡員「…………なん……」

DPS『これが非常食という概念なんだな? いいじゃないか! そうと決まればとっとと……』

連絡員「…………ま……待て……」

178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:56:13.58 ID:ryenLA/GO


DPS『どうした 備蓄腸内菌? いや勘違いしないでくれ 誉め言葉だ』

連絡員「分かった…………分かった 取り下げる ぅグ 手配を取り下げる! ぐぅぉ」

DPS『……は? なんだと?』

連絡員「ッ……取り下げると言っている! 今すぐこれをやめろぉぉ!! あぁアあ゛ッかっ」

DPS『何故だ? いい案だろう 考え直せ』

連絡員「ふざけるなぁぁあああッ!!!」

DPS『ふざけてなど……オレは大真面目にッ――』


ゴォォォォォアアアアアアアアアアアアアッッ


DPS『くッ いいところで……』

連絡員「!? ぎィああああ!! 熱い! 熱いィぃ!!」link

DPS『今体を焼かれた 喰われて血肉にならんとする以上お前はオレになる、オレの得はお前の得になるんだ!』

DPS『いいか終わるまでに考え直せよ まだ希望はある』

連絡員「やめろ! やめろ! やめろぉおお出せええええぇぇぇぇぇぇええ」

179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 11:59:09.05 ID:ryenLA/GO


ダセエエエエエエエエエコココラダセエエエエエェエエエサモナアアアアアアアアアアアア


術師「はいはい聞こえてるよ 面白い腹の虫だな? お前」

DPS「腸内虫だ 求めに応じて食料となる 無限に」

術師「カタツムリにしては殻が見当たらねーが」

DPS「カルシウムが足りないんだよ 分かるだろう お前のを寄越せ」lick lips

術師「ほざけ カラスに啄まれる前に消毒してやるよ」

術師「私の召喚獣がな」


WPS「………………」


「召喚魔法の教授だ! あの小さいのはなんだ?」

「白いスライム……小さいな 勝てるのか」


術師「勝てるさ なあ? ギャラリーが不安がってる 気を利かせてやれ 何か芸でも」

WPS「……ミルクでも噴けと? 色々飲まされ過ぎてもたれてるんだよ 取引と言うから何かと思えば」

WPS「下らん 実に下らん茶番だ」

術師「じゃーやめるか お前を野に返して私が自分でやっても一向に構わん そしてお前は用済みになる」

WPS「あの送還先のどこが野だ 火口だろうが 火山の……」

術師「さっさとやれ」

WPS「条件 忘れるなよ」SplitSplitSplit

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:02:28.20 ID:ryenLA/GO


DPS「? なんだお前は 誰だ 別たれた仲間じゃないな」

WPS's「「違う 召喚師が街道で割った核から枝分かれして再生したんだからな」」

WPS's「「記憶に無いのは道理だが、まあ仲間だ お前はオレだ 数時間前の」」

DPS「何を言ってる お前が喰われてオレになるんだッ!」ズロロロロ

WPS's「「それも違う」」Bite

DPS「はっ お前もあの蛇のようにオレに食事で挑むのか!?」

BiteBiteBiteBiteBite

DPS「バカめ、逆に喰い殺して――」

ドクン ドクン ドクン ドクン……

DPS「――これは 何を…… !? 色がッ……」

WPS「薄くなってるな」

DPS「喰い付かれた箇所が痺れて……何をッ……」

WPS「だから 美白の為にもたれているんだ」
WPS「少し肩代わりしてくれ 注入希釈したところから食べてやるから痛くない」eat

WPS「ちょっとした麻酔さ ミルク、チーズ、ヨーグルト、生クリーム……」
WPS「砂糖、塩、重曹、バラムツ、石鹸、漂白剤、ワックス、蝋燭、大理石、風呂の泡、暖炉の灰 あとなんだったか」EatEat

DPS「ぅ……がぁああああッ 離れろ! オレを喰うなッ!」FRAME BLEATH

WPS「お前もオレになれ 分かってるだろ」BUBBLE BLEATH

DPS「やめろ やめ…………」MeltMeltMeltMelt




術師「腹一杯か」

WPS「満腹はない 何でも取り込むオレの核は常に空腹を訴えている」

術師「まるで使役されてるようだな 自分の一部なのに」

WPS「オレは寝なくていいし繁殖する必要もない お前達程使役されちゃあいない」

術師「ヘドロが」

WPS「白くしただろう」

術師「鳥の糞め」

WPS「お前を一番糞にしてやろうか?」


粘液骸「」ピク ピク


術師「あれか」

WPS「そうだ 腕が見えてるだろ」

術師「引っ張り上げろと 演出の妙だな」

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:04:55.58 ID:ryenLA/GO


グイ ズボッ


連絡員「……はぁ……はぁ……はぁ……」ズギン ズギン

術師「……生存者がいた! 誰か救急を呼んでくれ 衰弱している」

「呼んだわ、今来てる! 流石教授ね ありがとう!」

「こっちの白衣も助かりそうだ! 火傷があれだがブレスの爆発で放り出されて失神しとるだけみたいだのう」

「あ 警察来たぜ おーい、こっちだこっち……」


連絡員「…………貴、様……」

術師「喋るな 首を振るだけでいい」
術師「おい どうだ」

WPS「ペースメーカーはお気に召したか? 制御の引き継ぎは良好だ」

連絡員「……! 同じスライム なのか」ハァー ハァー

術師「こっちの要求は分かってるな? あんたの方はそれだけでいい」

連絡員「……ッ……」

術師「もう一つ交渉がある そいつだ」

連絡員「スライム……の 死体 が どうしたというのだ……」

術師「核だけ残させた あんたにやる 食欲に任せて急激に成長した濃縮暗黒物質だ」

術師「単なるサンプルとしてのみならず 人造生物研究への応用は計り知れん」

術師「あのままではじき再生するから、希釈――濃縮還元するといい 自我はもうない」

連絡員「………………」

術師「代わりに――」

182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:06:55.01 ID:ryenLA/GO


「教授、教授! 来ましたよ! こっちだお巡りさん!」

熱血警官「……居た! 居たぞ!」
平警官「あー ったく……」

ジャキッ

熱血警官「動くな! 召喚獣を送還しろ! 両手は頭の上、膝をつけ!」

平警官「Mr.サモナー 貴方には一連の生物兵器テロ首謀者の容疑がかかってます ご同行を」

熱血警官「抵抗するなよ 早くしろ!」

平警官「バカ空気読めって……」


「はぁ? 教授が何したってんだよ 見りゃ分かんだろ!」

「教授が来てあのヘドロ野郎を殺ってくんなきゃ被害もっとヤバかったのよ 何がテロよバーカ!」

「あんたら何にもできへんかったやろ ワイ見とったやで、見事な妖怪捌きやったわ」


術師「(妖怪?)」

熱血警官「邪魔をしないで下さいみなさん! 重要参考人です、公務執行妨害では済みませんよ! どいて!」

平警官「すいませんねこいつ典型的なアレでして こっちも仕事ですんでとりあえず来て貰えます?」

術師「ちょっと待ってくれ こいつを誰かに任せなきゃならん」

連絡員「…………」

術師「……危険な状態だ 一刻を争う すぐに死ぬかも、案外コロッと……」

ズギッ

WPS「大丈夫か 助かるといいな」

連絡員「…………くそ」

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:09:23.87 ID:ryenLA/GO

熱血警官「そちらの方はこちらで保護しましょう あなたは早く――」

連絡員「待て ……手配は誤解だ」

熱血警官「それはこちらで判断します お気持ちは分かりますが」

連絡員「その判断を下す直接の一助となるのが我々の仕事でな…… Mr.サモナー 上着のポケットを」

術師「……手帳か」ゴソ

熱血警官「?」
平警官「!」

連絡員「帝国情報局の上級騎士だ 今回のテロについては局の方でも調査していた」

連絡員「彼は首謀者ではない。私が保証する」

術師「これはこれは……」

連絡員「……事件の収拾に当たり人手がいる 追って正式な手続きを踏ませるから、一先ず人払いと現場の保存を頼みたい」

連絡員「最寄りの詰所は? 電話を貸して、欲 ぅ ゴボッ」ビチャ

平警官「大丈夫ですか!? スライム吐くなんて 体の中にまで……」

WPS「ぐぐぐぐ」ニタニタ

連絡員「……ッ……とにかく報告が先だ 頼む」ゴホゴホ

熱血警官「車を取ってきます!」ダッ

平警官「…… あっ おいお前カギ持ってんの俺だろ! 待てオイ、あーったく」

平警官「俺は分かってましたよ教授! 大変失礼しました、では!」ダッ


術師「スライム核は手切れ金だ 私に構うな」

連絡員「……心臓はどうなる」

WPS「もう自前の物は無い 完全に同化している ぐぐぐ」

WPS「その肉片で、お前のやっていることは見えているし聞こえている 血管という血管に栓をされたくなければ精々気を付けろ」

連絡員「く……」

術師「人造生物の研究ね 皇帝陛下がご病気なのと関係があるのかな?」

連絡員「…………覚えていろよ 召喚術師……!」

術師「いいや忘れよう お互いのためだ」

184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:11:29.11 ID:ryenLA/GO



術師「……」

WPS「終わったぞ」

術師「……心配するな…… 帝国では制度として――ましてや魔物相手になぞ採用されてねーが」

術師「約束は守ろう お前を召喚獣として使役してやる…… 共和国のやり方だ」

WPS「?」

術師「犯罪者を被害者より丁重に扱う まさに今回向けだろ なに女神は塞いでるんだ人かどうかなんて気にせん 平等平等」

術師「分かったら潜めてる分身を戻せ」

WPS「…………ぐぐ 何故?」

術師「私ならそうする もっとも既に掃除させてるから戻せないやも知れんが」

術師「いやまず無理だな 食欲だけじゃ手に余る」

WPS「ぐぐ ぐぐぐぐ……」

術師「分かりにくいから聞くが、それは笑ってるんだよな?」

WPS「勿論。オレはあんたを気に入ったぞサモナー 強いし 食い物の趣味も合うようだしな ぐぐぐぐ」

WPS「逆らえん間寝首は掻かん 食い散らかすのもやめよう 一ヶ月に一回の"給与"と引き換えに」

術師「……よろしい 早速だが大物二匹の同時召喚は非常に魔力を食う 食った」

術師「今日はもう別荘に帰ってハウスキーパーと仲良くしていてくれ あいつは喰うなよ」release

WPS「人型の人外はもう喰わないよ ほんの冗談だろう ぐぐぐぐ……」バリバリバリバリ

術師「そうかい」



術師「……」

術師「…………代わりは 務まらんだろうな」

術師「面白い生物だがつまらなさそうだ ペット どちらかと言えば」

術師「…………ふう」

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:12:49.06 ID:ryenLA/GO


術師「なあ」

野次馬「おっと……教授さんありがとう 何だい?」

術師「近場に電話が置いてあるところを知らないか」

野次馬「近いとこならそこの食堂かな 小銭はある?」

術師「ある どうも」

野次馬「いいって ヒーロー」


ガチャ チリンチリーン


店主「おうおうおう先生! 食堂の窓からカウンターに隠れて見てましたよ 流石ですなあ!」

客1「嘘つけボケ! このクソオヤジ、騒ぎで俺らが店の奥に行こうとしたら鍵かけて引きこもりやがったんだぜ!」

客2「潰れちまえこんな店ー! 明日から来てやんねーぞバカ」

店主「じゃあツケ分今ここで払うか? 時給換算でも都合明後日まで洗い場で皿ラスカることになるが」

客2「ケッ ビールだビール飲み直し! こうなりゃ朝までだ」

店主「先生もどうです? 一杯ならツケなんて言いませんよ」

術師「いやいい ありがとう 電話を使いたいんだが」

店主「ええどうぞどうぞ そっちです」

術師「…………私だ 総長を頼む……そうか ありがとう」ガチャ

術師「早上がりとはな 家に居ればいいが……」ジーコジーコ

186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:14:05.09 ID:ryenLA/GO




半鳥「うわ、凄い人集り…… スライムはどこ?」

ドリアード「上からじゃ分からないわね 下ろすわ」landing


半鳥「あのすいません スライムが出たって聞いたんですけどっ……」

野次馬「ん? おお、君は召喚教授の助手さんじゃないか それにそっちは!」

ドリアード「い゛ この反応は……」

野次馬「森林アイドルのドリアードちゃんじゃないか! 俺君のファンなんだ! ブロマイド良かったよ、今度雑誌に載るんだろ? 絶対買うから!」

ドリアード「悪化してるし…… 何森林アイドルって 何ブロマイドって 何 雑誌って何? 私そんなの知らないんだけど」

野次馬「それにしても凄いよなブラウン教授は、プロデュースの才能もあるなんてなぁ」

ドリアード「ハーフィ 急用を思い出したから一旦帰るわ 大丈夫よあの売女を殺してすぐ戻ってくるから」pray STORM

半鳥「…………程々にね…… それであの、スライムは?」

野次馬「スライム? ああ 教授がぶっ潰したよ 颯爽と現れてね!」

半鳥「え マジで……流石教授……」

野次馬「倒した後偉い人? と警官とやり取りしたらすぐ食堂に入ってったよ そこの」

半鳥「なんだぁ、杞憂かあ……ありがとうございました」

半鳥「あそこね…………えーと ごめんください……あ、いた 教授――」


術師「……そういう訳ですので 私は暇を頂きます」

術師「研究室が邪魔なようなら片付けてくれても構いませんよ 誰も使いませんしね 暫くは」


半鳥「…………え?」

187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:15:23.02 ID:ryenLA/GO



術師「派手に改築してありますが、部屋の新しい備え付けと思えば……」

術師「……ああ待った 接続を変えないと…… やっぱり片付けますので触らないでください 危険ですから」

術師「責任? 違います そういうものを何とも思わない人間だからこそ誘ったんでしょう大学に」

術師「Jの奴にはくたばれと伝えておいてください、お前のせいで萎えたと」

術師「ええ はい それでは――」


ドゴォォッ

術師「ごッふ――!?」


半鳥「……教授っ! どうして なんで大学辞めちゃうの!?」tackle

店主「ヒューヒュー」
客「いやあれハグの勢いじゃねーよ 入口から飛んでたろ 飛ぶ前フライングクロスチョップの構えだったじゃん」

188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:18:14.80 ID:ryenLA/GO

術師「……………………あー」

半鳥「教授のせいじゃないよ! テロとか絶対違うじゃん、勝手に言ってるだけでしょ!」

半鳥「責任なんかないよ そんなの 被害者のこととかだって何とも思ってないんでしょ!? いつも通り!」ギュゥゥ

術師「痛い ハーフィ痛い 今ので腰逝った」

半鳥「私まだ教授に教えて貰いたいこといっぱいあるもん! 陣に違う触媒落としちゃったり ランダム召喚も使いこなせなかったし 他にもまだいっぱいあるんでしょ何か!」ギゥゥゥ

半鳥「っ……捕まえに来る言っても分かんない警察なんか全員殺せばいいじゃん! 代えなんていくらでも効くんだから 十人や百人くらい何」ギギギギ

半鳥「…………そーだよ……私にだって一区画水浸しにできたんだもん 教授にならできるよ」
半鳥「ねえリヴァイアサン喚ぼう? こんな街津波で流しちゃおう? 一生懸命頑張ってるのにテロリストなんて酷いよ」ギギギギギギギギギ

半鳥「国だっていっぱいあるもん 一つくらい何よ」ミシィッ…

術師「待て ハーフィ待て 今周りに人いるから」

店主「………………」
客「………………」

術師「もしもし総長? やっぱ今のナシで じゃっ」ガチャ

術師「どうもお騒がせしました 行くぞアホ」グイー

半鳥「……え? あれ? え?」ズルズル

189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:19:50.71 ID:ryenLA/GO



茶『……で、結局なんとかなったのね?』tell

術師「貧乏くじを引かせてすまなかったなブラウン 甲斐はあったということにしてくれ」

茶『あっちで説明 こっちで釈明 そっちで資料を元に論破 次はどっちかと思ったらあなたからだものサモナー』

茶『いきなりいつも遠征で使ってる飛行船をチャーターしてくれーなんて。おかげで今度船長と食事なのよ!』

術師「良かったじゃないか」

茶『よくない! あの人のクシャミ聞いたことある? いつ来るか知れないあれに怯えながらフルコースは至難の技よ!?』

術師「……ヘェックショォーイォイォイォイォイォーイってあれか うん まあ……」

茶『あのウルトラ下品なクシャミさえなければいい人なのに…… ああもう、サモナー怒ってるわ私! ちょっとだけど』

茶『この"食事に誘う"という条件で船長が私を意識してるということが分かってしまったわ 分かる?』

茶『今回の食事の結果がどうであれ 次の遠征の時ギクシャクしちゃうかも知れないじゃない!』

茶『以後デッキで黄昏て涼んでる私に「この前の店は云々」なーんて後ろから声をかけてきちゃったりなんかしちゃうんだわ……やだどーしよ ねえサモナーどーしよそーなったら!』

術師「乙女か」

茶『乙女よ!!!! 幾つになっても!!!!!!』
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:21:57.04 ID:ryenLA/GO


茶『あでも勘違いしないで 本当に仕事の付き合いとして困ってるの ほら私正直で素直だから!』

術師「…………普通に楽しめばいいだろ 無茶への礼と料理に集中してろ」

術師「つーか会食とか行かねーのお前? 魔導薬学はエロオヤジと縁無いのか」

茶『だって植物とかだもの』

術師「研究植物に手を付けた話は聞かんが」

茶『……まっ その内いい人が現れるわよ! 変わった私にぴったりの変わった人がね!』

術師「船長は選考外なのな……。楽しそうで羨ましいよ」

茶『いいでしょう! いつもは楽しい仕事だし、たまにはこんな日もあるわよね ……明日もこれ関係だけど』

茶『とにかく、まずはお疲れ様サモナー! ゆっくり休んでね!』

術師「改めて礼はするが 船長によろしく伝えてくれ」ガチャ

半鳥「終わった? 教授」なでなで
マンチカン「なーご」すりすり

術師「……」

半鳥「……」

ドリアード「……終わったの?」コト

術師「ああ キンキン声で分かったろ」

ドリアード「それはもう……私も改めて礼をしなきゃいけないから」

術師「?」

191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:24:12.06 ID:ryenLA/GO


術師「淹れれたんだなコーヒー」ズズ

ドリアード「どういう意味よ…… 料理の腕を披露する機会はあったけどスープ飲めなかったのは自業自得よ」

半鳥「あれ美味しかったー また作って!」

ドリアード「ええ もちろん」ニコ

術師「……」


半鳥「……食堂出てきてからずっと無視ってんのは何でよ?」

術師「…………なんで生きてる?」

半鳥「はっ?」

術師「スライムが言っていた お前が最初のご馳走だとかなんとか」

半鳥「ああー…… ああ うん なんか言ってたね」

ドリアード「手 かじられたってあれ?」

半鳥「それだと思うよ あれが無かったらあいつあそこで野垂れ死んでたと思うし」

半鳥「みんな 死なずに済んだと思うし……」

ドリアード「ハーフィ」

術師「…………アホが そんなことを気にしてたのか」

ドリアード「(ごまかす気ね 逆に情けなくない)」

術師「機会を得てやったのはあいつだ お前のせいじゃないだろうが」

術師「よしんばお前のせいだったとしてそれがどうした? 喰ったのはあいつ、あいつを造ったのは三流研究者、喰われたのは市民の皆々様だ」

術師「私に言わせりゃ一番悪いのは市民だ 喰われるようなとこにいたのが悪い」

ドリアード「いやそれはない」

半鳥「……」

ドリアード「……そうじゃなくって」

半鳥「ううん いいよ、大丈夫」

192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:25:21.77 ID:ryenLA/GO


術師「人間はそんなに色々背負えるように出来てない、こんな細いのが二本しかないんだぞ足なんか」

術師「しかもお前は鳥だろうが 軽くしなきゃ飛べなくなるぞ」

半鳥「……ぷっ」

術師「おい空気を吐くな 浮力が減る」

半鳥「……そうだね」

術師「そうだ」

半鳥「やったのはあいつ! 私のせいじゃない」

半鳥「機会を得たって私は人を喰ったりなんかしない コーヒーゼリーの作り方なんか知らない! それに 私は喰われたりしない」

半鳥「次は喰われる前にブッ殺す」

術師「その意気だ」

半鳥「……それじゃまた明日ね教授! ドリアードちゃん!」ガチャ

ドリアード「おやすみなさい」

術師「おやすみ」

半鳥「おやすみなさい!」バタン


193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:27:20.15 ID:ryenLA/GO




ドリアード「……それで どういうつもり?」

術師「おお やっぱ分かるか」summon

バリバリバリバリバリバリ

WPS「早速お呼びか」

術師「いや」

WPS「ん、お前は…… 太股は最悪だったぞ 枝っ切れのような味だった」ジュルリ

ドリアード「フン 味覚だけは正常のようね」
ドリアード「細切れにして駅前に放っておけば産まれてきた下水に帰れるんじゃない 白いお酒は強いから」

術師「立ち回りは狡猾 やられたら倍返し 意識の高いハングリー精神 帝都謹製の素朴な魔導特産品だ」

ドリアード「嫌よこんなお土産 どうしてこいつを生かしたの」

術師「初めは私に罪を被せようとした奴らに一泡吹かせようと思っていただけだったんだがな」

術師「思ってたより根が深そうだったんで袖の下に肥料を撒いてやったんだ」

WPS「分身を奴らへの手土産にし、本体のオレを支配下に置いてキツめの飴と鞭にと……しかしだ」

術師「言うと思った」

WPS「何故フリだけで済ませた ? 心臓に成り代わるくらいオレにならできる、何故やらせなかった」

ドリアード「何の話?」

術師「吐かせたのさ」

ドリアード「……いいわ 分かるように話す気ないのね」

WPS「確実だった」

術師「一先ずはそこがお前の課題かな ハングリー短気とでも呼ぼうか」

WPS「……何?」ボコッ…

術師「よせ」release

WPS「なんだ 大袈裟な……」バリバリバリバリ

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:29:51.14 ID:ryenLA/GO

術師「じき分かるさ 賢いプチスライムとして大人しくしていられれば」

WPS「……ありえん」バリバリバリバリ

術師「嫌なら舌でも噛め」
術師「噛んでも無駄だがな」

バリバリバリバリバリバリバリバリ


ドリアード「改心させる気なの」

術師「いや全く 単に面白そうだと思わんか? 愉快なレベルで歪なバランスの生き物」

術師「生きる為に喰うのが手段なのに あれは喰うためなら死ぬとまで言うぞ きっと」

ドリアード「まあ 実際食欲が高じて暴れた訳だものね いい迷惑だったわ」

術師「太股がどうこうっていうのは」

ドリアード「気になる? 変態」

術師「全然。外見サバ読み過ぎてて」

kick

術師「脛はやめろ」

ドリアード「……手綱はきちんと握っていなさい」

術師「なんだ 心配してるのか?」

ドリアード「あの子はいい子だから ……久しぶりに人間と接して新鮮なのよ 単にね」

ドリアード「つまらない事で楽しみをふいにしたくないわ 貴方達はすぐに死んでしまうもの」

術師「素直に言ったらどうだ「おばあちゃんはあんた達が心配だから気を付けなさい」だろ要するに はいはい分かったよ」

ドリアード「…………対象外よ貴方は」low kick

術師「脛はやめろ もしやハーフィにタックルを教えたのお前か 腰痛なんだぞ」

ドリアード「腰が痛いのは夜寝てないからでしょう 馬鹿なこと言ってないで早くそれ飲んで寝なさい」

術師「私の研究室なんだが……」ズ

ドリアード「先に寝るわ。おやすみ」スゥ…

術師「……花瓶に差した自分の枝を魔力のストック兼寝床にしてるのか 何でもありかよ」

術師「あんまり生意気言ってるとその水コーラにするからな」

pray wind

術師「……淹れておいてこぼす奴があるか 本当にやるぞ」

195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/30(金) 12:31:44.97 ID:ryenLA/GO

術師「さて 気を使ってくれて嬉しいが私は書き物がまだあるんでな、もう少し灯りを消せないが我慢してくれ」

術師「演出重視のやり方を採ったから 私も少し忙しくなるだろうな……あーあ」カリカリ

術師「だが楽しかった お前の言う通り我々はすぐに死ぬんだ、刺激が無くちゃ生きていけねーよ……」カリカリ


スゥ……


術師「お、戻ったか 兜とサンダル便利だな」

ペルセウス「……粘液のついた骸の処分は終わった」

術師「捏造証拠の隠滅に雑魚の掃討と雑用ばかりで申し訳ない、証拠の方は急にいらなくなってな」

術師「だがお前にしか頼めない仕事だった、本当によくやってくれた。ありがとう」

ペルセウス「構わない、私の世界で私のいる場所は退屈なんだ 美人が歌ってくれてたりはするんだが」

ペルセウス「あの鳥の子は元気か」

術師「会っていくか? 多分寝てるが跳ね起きるぜ」

ペルセウス「……ならまたの機会にしておこう 力が付けば自分で喚んでくれるだろうからね」

術師「ご苦労だった」release


『……眠れないんだけど』
『今度のは何? えらいイケメンだったわね』

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/30(金) 12:33:13.89 ID:ryenLA/GO

術師「スライムの粘液を郵便局員に付けさせていたんだ、下手人と結び付けさせるために」

術師「仲良くなったからこれ以上の証拠は邪魔になった 処分をえらいイケメンにな」

『……その人 無駄死にになったのね』

術師「そんなことはない 目の保養になったろ、紹介しようか?」

『申し分なさそうだけど遠距離ってレベルじゃなくなりそう』
『それに多分妻がいるわ』

術師「気にしないって」


『本当にどうでもいいのね 他人の生き死にが』

術師「?」

『知りたがりの虫を突き詰めた それは弊害? それとも恩恵なのかしら』

術師「不思議なことじゃない 誰に取っても自分の命は星より重い」

術師「公言しないのは星が死んだら自分も死ぬからだ 今のところは」

術師「他は砂粒」

『自虐的ね』

術師「察しのいい女は嫌いだ コーラの刑執行」

『お望みなら男の子の姿にもなれるわ 大分女の子っぽくなるけど』

術師「……面白そうだな それでハーフィ誘惑してみろよ、あいつ面食いだから違う一面が見れるかも知れんぞ」

『……………………もう寝る』

術師「今ちょっと面白そうって思っただろ? 思ったよな? え? やる時は言えよ 協力は惜しまん」

術師「人間なんてクソだ ああ楽しい……」




次は↓
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/09/30(金) 16:43:22.75 ID:PLnA5NHT0
呪怨と魔法少女リリカルなのはのコラボ、佐伯伽耶子(怨霊)vsフェイト・T・ハラオウン(魔法少女)

間違ってまた伽耶子を呼んでしまい襲われてピンチに、しかしリリカルなのはの世界から魔法少女のフェイトを召喚
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/30(金) 19:15:18.88 ID:Z3AKTsKr0
乙乙!
むっちゃ読み応えあったわ。いやースゴいな!
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/01(土) 07:50:14.92 ID:MBnGXPnvo
サキュバス
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/02(日) 02:59:56.88 ID:jmPOKBWT0
200ゲトー
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/04(火) 00:14:48.03 ID:DOr8NxFA0

生殺与奪を握るってのはやっぱデカいな。まぁ人にもよるが
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/05(水) 19:54:24.69 ID:K9sAiviQ0
ハラオウン氏もそこそこ重い生い立ちしてるよな。召喚術師氏はその辺どう思うのやら
しかしデバイスの概念は一般市民に知れ渡ると、今までのパワーバランスは少し揺らぎそうだよな。召喚術師とかのチートキャラだと、魔力やらを自在に扱え過ぎてむしろ邪魔になるレベルだろうが
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/06(木) 06:21:43.31 ID:mJGMmrb30
濃縮還元がここに来て出てくるか
乙!
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/06(木) 21:00:39.98 ID:wo8HHL4e0
ぐぐぐ笑いというか喋りというかは、ぷよとかのカーバンクルもしてたっけか
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/09(日) 19:26:43.36 ID:xdLxQapr0
キャベツ「世の中クソだな」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:01:50.95 ID:0HKk8nEhO


 ……いい フェイト……

 私にはどうしてもあれが必要なの……ジュエルシードが……

 ……分かるわね……


「……はい」


 あまり時間はないの

 急いで頂戴 私を失望させないで……


「……はい 母さん」

207 :一期しか見れなかった 何かおかしかったら申し訳ない [sage saga]:2016/10/13(木) 09:03:34.45 ID:0HKk8nEhO



某次元 帝国首都 某所
某年 某月 某日 深夜某時


「支店長。商品の点検確認と施錠、終わりました」

宝石商「ご苦労様、先に帰っていてくれ」

「支店長は?」

宝石商「もう少ししたら帰るよ。来客の予定があってね」

「こんな夜更けにですか……?」

宝石商「古馴染みなんだ」

「そうでしたか…… ではお先に失礼します」

宝石商「ああ」

宝石商「もうじき私も隠居だからね。支店長になれば、君ならこんな遅くまで拘束されることもなくなるよ」

「そんな、私なんて……」

宝石商「ははは。じゃ、おやすみ」

「……はい」


宝石商「……遅いな」

宝石商「電話ではもう少し早い時間だったんだが、何を……」


コンコン


宝石商「!」


208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:04:21.08 ID:0HKk8nEhO


ガチャ


宝石商「……やあ、来たか 変わっていないな」

泥棒「そういうおめえは変わったなァ 仲間売って 足洗って――」

泥棒「小綺麗になったじゃねぇか ええ 大旦那……」

宝石商「ビジネスの話だと言わなかったかい」

宝石商「それにそう だからこそアポを受けたんだ 昔の仲間の好でな」

泥棒「ふざけやがって どうせこの店の宝石も全部どっかからガメたやつなんだろうが ……いや」

泥棒「そういうクソだから今回は信用できると踏んだんだ そうだ 仕事の話だけをしようじゃねぇか」

泥棒「こいつだ」

宝石商「これは……?」


209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:05:07.12 ID:0HKk8nEhO


泥棒「……」

宝石商「……」鑑定

泥棒「……どうなんだ」

宝石商「……上物だ」

宝石商「とてもな ……異質な魔力も感じられる……整えられているが人の手で加工された石ではないな」

宝石商「小箱越しでなく手に取って見られればもっと分かるんだが」

泥棒「それは駄目だ」

宝石商「何故?」

泥棒「この青い菱形の宝石は呪われてる」

宝石商「何故分かる」

泥棒「こいつは突然現れた。何の拍子もなく、空間から染み出るみてぇに……本当にいきなり」

泥棒「魔法使いの前に現れたんだ。そいつは凄まじい使い手だった」

泥棒「一目見てヤバいと睨んだんだろう 凄い魔力と大袈裟な魔法陣と長い呪文を唱えて、この箱に封印したのさ」

宝石商「……伝承の類をお前が信じるとは思わなかったな」

泥棒「違う 話はまだ終わってねぇ」

泥棒「そこに通りかかったんだよ 俺がな 消耗していたから楽に手に入った」

宝石商「モットーは捨てたと」

泥棒「殺しちゃいねぇよ 何発かぶん殴っただけ」

宝石商「……」

泥棒「どうだ?」

宝石商「何が?」

泥棒「いくらで買うんだよ 決まってんだろ」


210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:06:52.67 ID:0HKk8nEhO



宝石商「…………」

泥棒「……おい」

宝石商「……話にならんな やはりお前の取り柄は逃げ足だけだ」

泥棒「なんだと?」

宝石商「お前の話が本当だとして……お前はバカだ 何故殺さなかった? 殺して隠さなかった」

宝石商「こんな足がつくものを買うことはできない 論外だ」

泥棒「……てめぇ……」

宝石商「……だが、石は本物のようだ 認めるよ」

宝石商「俺が捌いてやろう」

泥棒「!」

宝石商「で 取り分だが」

宝石商「お前のは無しだ」RDY GUN

泥棒「ッこの……ふざけるなチクり野郎! このクズが!」

宝石商「何とでも言え 泥棒としては三流だったからな」

宝石商「お前達のおこぼれに肖りながら必死で研鑽した結果がこの今というだけだ」

宝石商「お前の優しさと友情に免じて命だけは勘弁してやる 箱を置け」

泥棒「クソ野郎……クソったれ……!」

宝石商「自首しろ。兄弟。そうすればもう明日の飯の為に駆けずり回らなくてよくなる よくなるんだ」

宝石商「あの日も抵抗しなければ皆捕まるだけで済んだ やり直すチャンスを俺はやったんだ」

泥棒「どの口が言いやがるンだボケが! 何がチャンスだ!」

泥棒「……やっぱりてめぇはクソカス野郎だった……どうかしてたぜ……こんな野郎に……」

宝石商「よせ撃ちたくない」

泥棒「お前はもう 引き金を引いたんだよッ!」throw

宝石商「ッ 投げ――」


ガシャァァッ
ガッ ゴッ
ズギュゥーン

ピシッ

211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:07:26.15 ID:0HKk8nEhO


ドクン


212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:08:37.80 ID:0HKk8nEhO



「……ジュエルシードの気配だ」

「どこだろう この国のどこか……」

『フェイト、この世界は次元が不安定過ぎるよ 魔力素も何も酷く荒れてる……早く集めて帰ろう』

『一つ目からこんな世界だなんて ついてないよ……』

「大丈夫だよアルフ 私頑張るから」

「行こう 母さんが待ってる」

『…………』


213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:09:18.01 ID:0HKk8nEhO



「……くっ! ダメだ……また跳べなかった」

「なんて世界だ、次元断層と虚数空間に囲まれていて転移が繋がらない……あんなところに散らばるなんて……けど後回しになんかできない」

「最初の一つ……! 早く封印しなくちゃ……!」


214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:10:26.10 ID:0HKk8nEhO




泥棒「……はぁッ、はぁッ、はぁッ、はぁッ……クソッ」

泥棒「クソ野郎が……成り下がりやがって……」


宝石商「」


泥棒「そうだ宝石は……! 箱にヒビが入っただけか、良かった」

泥棒「…………あばよ クズのダチ公……銃だけいただいてくぜ……」


ガチャッ


泥棒「!?」

「支店長、今の銃声は――き、貴様! 支店長を!!」

泥棒「クソッ! こんなところで終わってたまるかよ!!」ズギューン ズギューン




215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:11:37.30 ID:0HKk8nEhO





車掌「申し訳ございません、当乗合は今のお客様で満員でして……」

おっさん「なんだと、じゃあ会社まで窓の外に掴まってろってのかよ! 二階席は!」

車掌「はい、二階席もです……」


半鳥「……」バサッ

『"宝石店強盗殺人事件 支店長殺害 犯人逃走中"』朝刊

半鳥「(うわぁ おっかな……見つけたら殺そう)」


おっさん「ふざけやがって……おいそこの亜人! 亜人のメスガキ! お前降りろよ!」

半鳥「……は? 私のこと?」

おっさん「他にいねーだろ 朝帰りのお前と違ってこっちは今から仕事なんだよ!」

おっさん「夜まで仕事はないんだろ? いいよな ヨがってるだけで金貰えんだから」

半鳥「車掌さん車掌さん」

車掌「は、はい 大変ご迷惑を……」

半鳥「違うよ いいから」

半鳥「ズレたら手伝って欲しいってだけ」

車掌「?」

半鳥「席譲るのをさ」summon


216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:13:11.50 ID:0HKk8nEhO



術師「……で、ゴーレムでボッコボコにして席に運んで放置したと」

半鳥「アッパーで席まで飛ばさせただけだよ、時間かかったら迷惑だし。死んではないよ」

術師「まあ証人がいるだろうしな 警察沙汰になってもそこまでの不安はないか」

半鳥「10:0でしょ また顔見たらリヴァイアさん喚んで髪の毛で流しソーメンやってやる」

術師「形だけでもまずは口でかかれよ 話さなきゃ分からんこともある」

半鳥「なんで私を娼婦扱いしたのか とか? 通ってるからじゃないの 死ねばいいのに」チッ

ドリアード「……段々獰猛になってきてない? ハーフィ……」

術師「お使いを頼むんじゃなかったな」

半鳥「…………ゴメン 朝から感じ悪いよね」

半鳥「うん…… ブッ飛ばしたし……泡吹いて漏らしてんの見たからスッキリした。もう忘れる。はい! 忘れた!」

術師「鳥頭……」

半鳥「一日中グチグチ言ってた方がいいの? はいこれ備品ね」ドサ

術師「ん メモ通り」

ドリアード「……インク、羊皮紙、チョーク、スクロールに、銃弾……のバラしたやつ? 妙な買い物ね」

ドリアード「わざわざ早朝に買わなくても」

術師「弾以外どれも召喚用品だ 老舗の魔導雑貨屋は一日中開いてるから、欲しい時に行けるんだよ」

ドリアード「行ったの貴方じゃないでしょう……」

術師「これも修行よ修行」

半鳥「まあ、いいとこだったよ 店の人優しいし、色んな物あったし。普通にまた行きたいかな。……正直時間だけは納得いかないけど」

術師「変なのに絡まれない時間なんだよ」

ドリアード「変なの ねぇ」


217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:15:23.71 ID:0HKk8nEhO



術師「ところで新聞は頼んでないが」

半鳥「あ それ私の」

ドリアード「大衆紙なんか読んでるの」ペラ

半鳥「元々字の勉強目当てだったからね 触りだけ分かればいいし内容は気にしてないよ」

術師「……宝石店強盗? 単独でか 余程自信があったんだろうな」

ドリアード「……随分でかでかと書き立てるのね……ふうん……」ペラ

術師「人は毎日多くのことを忘れる その内の一つにならないように頑張ってるのさ」

ドリアード「…………」ペラ

半鳥「新聞取られちゃった」

術師「足元に猫助が行ってるのに撫でもしないとは ほっといてやろう」

半鳥「ていうか今の決め台詞っぽいの何? 超クサかった」

術師「引用だ、そういう台詞があるんだよ。はい! 忘れろ!」


術師「今日の実験はお前の案だ 数重ねなきゃだろうから根気がいる、集中しろよ」

半鳥「実験っつーか工作だけどね これ好きだから大丈夫 頑張る」

術師「ならいい 言っとくが次はマッサージとリップサービスじゃ済まないからな」

半鳥「どういう意味ぃ〜?」

術師「十年早いわアホ」

術師「……それじゃ、もうそろそろいい時間だし攻性魔法の研究室から色々物を借りてくる のと ついでに一仕事片付けてくるから」つ鞄 

術師「……流石に重いな…… とりあえず弾頭の方だけ始めてててくれ」

半鳥「あー 下準備めんどいからって逃げたな」

術師「行ってきまーす」ガチャ バタン

半鳥「ええい…… 猫実と蛇子だけだよ私の癒しはー」モフモフスベスベ

マンチカン「にぃ」
髪蛇「シュー……」

半鳥「……」スー…

ドリアード「……ハーフィ悪いんだけど今触らないで 読んでるから」ぱし

半鳥「ほらねー! 二人とも膝おいで!」ぎゅむー

マンチカン「に゛ぃ」hold
髪蛇「……」escape


218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:17:30.53 ID:0HKk8nEhO



ガチャ


古物商「おお、お待ちしており……む? 君は誰だね」

少年「お待ちしておりましたと言おうとしたのですか? 困りましたな、では奴はまだ」

古物商「……灰髪の少年、すまないが大事な商談があるんだ」

少年「把握しております。それでは貴方から先にこちらを。書面にサインをお願いしますね」さっさ

少年「失礼ながら多忙の身です故、今日はこれでもう失礼致します。では」ガチャバタン

古物商「いや、ちょっと待っ…… 行ってしまったか」

コンコン ガチャ

術師「……お待たせして申し訳ありません、只今……ん?」

古物商「サモナー殿。いえ、こちらこそご多忙の中お声かけいただきましてありがとうございます」

古物商「この度は――」

術師「ああ ああ 前置きはその辺でいい なんだ入れ違いか、相変わらず忙しない……」

古物商「……」

術師「失礼 書類は? ある よし早速話に入ろう」ドサ

古物商「……はい と言ってもすぐに済むと思いますが」

術師「こちらでは単なる触媒として使うにとどまっていたが これに関しては単なる付呪品の類と一緒くたにされたくないそうでね」ゴソゴソ

219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:19:29.89 ID:0HKk8nEhO


術師「まずはそう…… 見ての通り形状はただの日記だ かなり古びた」

古物商「すると保管環境は古書類と同じような?」

術師「この革帯型の封印が無事なら多少朽ちようが破けようが問題ない その辺りは任せる」

術師「大事なのは封印だ これは恒久的に魔力やそれに類する超常的エネルギーを――」

術師「仕掛けた対象から吸い取って空気中へ発散させる仕組みになっている うちの付呪魔法教授謹製だ」

古物商「存じ上げております 対魔法犯罪者向けの拘束具を発明された……」

術師「そう、そのインテリドワーフ作だ 中を読んでもいいがこれだけは絶対に外さないようにしてくれ」

古物商「至難の技ですな」ハハハ

術師「いやまあ つまり」パラリ

古物商「ちょっ」

術師「こうして帯の一部でも接していれば問題ないということだ」パラパラ

古物商「…………肝を潰しかけましたよ 勘弁して下さい」

術師「危険性は伝わってるようで安心した まず一つ」

古物商「こういう物に以前 痛い目に遭わされましたから……」

術師「それはまた」resealing

古物商「……帯に細心の注意を払うと 他には?」

術師「取扱いは以上 あ 中身は聞いてるのか」

古物商「恐ろしい怨霊 だと……」

術師「そう 力は殆ど頂いたからこの状態で一先ずは安全だと思う」

古物商「日記というからには……読めませんが この これが書き手の名前」

術師「これだ 東方の島国で使われている文字に似ているが、この世界の文字ではなかったからな 解読には成功した」

術師「カヤコだ ヤバくなったら目を見て名前を呼んで お友達になればいい」

古物商「ははは……」

術師「それじゃ 小切手を」


220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:20:47.77 ID:0HKk8nEhO




泥棒「…………う…… 眠ってたのか」

泥棒「家に寄って 酒を煽って……それからどうしたっけか クソ 頭痛ぇ……」

泥棒「小箱はちゃんとあるな……捌けなきゃただの石だぞ」

泥棒「故買屋はそんなに多くねぇしな……ここどこだよ……」

乞食「……」

泥棒「……ああ? 何見てんだ若造! ぶっ殺されてぇのか!?」チャキッ

乞食「……」ダッ

泥棒「そうだ! てめぇみてーな小汚ぇボケは一生そうやって薄汚くしてりゃあいいんだよ! ボケ! ボォーケ!!」


221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:24:05.14 ID:0HKk8nEhO


刑事「で こいつはチクる決心をしたんだとよ」ドガッ

泥棒「げぶっ……」

乞食「おい……おい、ちゃんと教えたぜ 後尾けて確かめてまでよォ 金をくれよォ」

刑事「待ってな 腹減ってんなら車の後ろに昼用のハンバーガーあっからそれとりあえず食ってろ」

乞食「旦那! あ ありがてぇ」ガチャ ムシャモグ

刑事「コーヒーもあるぞ 座席は汚すな捜査車両だから! おい聞いてんのか? ……さァてと」

泥棒「くたばれ――」draw GUN…

刑事「あ? 大人しくしろよ 死にてェのか爺さん危ねえな」disarm

刑事「根性と気合いは拍手モンだがそのすっトロさじゃな 引退だよ 手錠すんだから伏せろって大人しくしな」StompStompStomp

泥棒「ち くしょォが……」ボロッ

乞食「ムシャムシャモグモグバリバリズルズルゴクゴククチャクチャバクバクズビズヒゴクン ……ッ旦那流石っすねぇ! お会いしたの初めてっすけど俺感服しましたっすよォ!」

乞食「他のデカじゃ多分協力させるだけしてゴミ扱いっすけど、ちゃんと報酬くれるんすもん! 器が違うんすね!」

刑事「お前も俺の情報屋になるか? この辺りの奴らはまだ少ねぇ、気ィ向いたらこっそりとよろしく頼むぜ」チャリン

乞食「はい! んじゃまた!」ダッ

刑事「(スラムとはいえ往来でふん縛っといてこっそりもクソもねぇけどな)」ガチャリ

刑事「支店長殿ご自慢のピストルも押収と……共和国の銃は変わってんな すぐ壊れそうだ」

刑事「他には……」

乞食「……! そいつに触るんじゃねぇッ!」ジタバタ

刑事「うるせぇっつってんだろジジィ」ゴス

刑事「……宝石? 盗まれた物は無いって話だったが……」

乞食「返せ! 返せ! そいつは俺のだ!!」

刑事「そうだな。でも今からは警察のだ 悪く思うなよ」ヒョイ

乞食「ぐがぁぁ……ッ……かァえせぇぇええええッ!! 返せぇええ!!」

刑事「車の窓開けて運ばないとな……」



ドクン



222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:28:10.32 ID:0HKk8nEhO



刑事「……?」

泥棒「返せってんだァ!!」

刑事「今こいつ 脈打ったような……」


「……見つけた」


《Scythe slash》

刑事「!」バッ

ズシャアッ

刑事「あッぶねぇ……何モンだ!」RDY GUN


黒衣の少女「……」


刑事「……随分キまった格好をしてるなお嬢ちゃん おい あんたの孫娘か?」

泥棒「し……知らねぇ 俺は独り身だ こんなメスガキは知らん」

刑事「だろうな」

泥棒「俺は独り身だ 独り身なんだ……」

黒衣の少女「バルディッシュ」
斧槍《Device from, set up》

刑事「だがやる気は満々らしい」

斧槍《Photon lancer, get set》

刑事「うるせぇな 何語だよ!」BANG BANG

黒衣の少女「……」shield

刑事「ちっ 車の裏だ!」グイッ
泥棒「ぬおっ」

斧槍《Full auto fire》バシュッ

泥棒「うああああっクソッ!」ズガガガガガガガ

刑事「落ち着け 捜査車両は防弾装甲・対魔付呪が基本だ いいから中にいろ」ガガガガガガガガ

223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:30:05.59 ID:0HKk8nEhO


刑事「(あの喋る杖で攻撃、自身は即応のシールド魔法で防御と 手慣れてやがんな)」

刑事「(鳥の小娘より一二回りは下だろうに直接攻撃にも全く躊躇が無かった なんだこの子は……)」

「余所見かい?」

刑事「あァ?」

ドゴォッ

犬女「やるじゃないか」knuckle

刑事「亜人の姉ちゃん まだ若いがその歳なら分別はついてるよな」guard

刑事「知ってるか? 子供に手を染めさせるのはこの国じゃ重罪なのだぜ」kick and fire

犬女「……どこでもそうだよ」shield

バチィッ ズザッ

黒衣の少女「アルフ 大丈夫?」

犬女「私は平気だよ ジュエルシードは車の中だね」

黒衣の少女「あのお爺さんが持っているみたい」

刑事「ジュエルシード?」


ドルルン ドルルゥン


刑事「! てめぇどうやって」

泥棒「どけェ ポリ公ォ!!」ベタ踏み

ギャルルルル ドガァァッ

刑事「つゥッ――轢き逃げも追加だな くそったれ」BANGBANGBANG

泥棒「うおおお!!」tire burst

ゴオオォォ…

斧槍《order?》
黒衣の少女「追うよ。アルフ」

犬女「こっちは任せといて!」

黒衣の少女「ううん ジュエルシードを追って」

犬女「? ……分かった」バッ

刑事「逃がすかよ!」ギシ
刑事「ッ んだこれっ……!」bind


バヂバヂバヂバヂバヂバヂ


黒衣の少女「……」ジャキッ

刑事「おいおい――」

刑事「(殺戮マシーンかよ こんなのを擁してる組織がいたのか? あの宝石はなんだってんだ……)」

刑事「お前 何なんだ……」pray regeneration


黒衣の少女「ごめんね」

刑事「謝んならよせッ――」


斧槍《Thunder smasher》


224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/13(木) 09:35:22.29 ID:0HKk8nEhO




乞食「……ァ! 旦那! 旦那ァ! しっかりしろよォ!」

刑事「……炭にはならずに済んだか…………いッてぇな クソ……」healing

乞食「いや殆ど炭だったよ すぐ治ってったけど……」

刑事「脳と心臓が止まってなきゃ治癒か再生が使えっからな ヤバかったぜ」

刑事「しかしあいつ 車にピッキングかましやがったのか? 鍵はちゃんと抜いてた」

乞食「あの爺さん鍵開けは達人だからな 魔導車も出来たのは知らねーかったけど」

刑事「……とりあえず報告に戻らねぇとな 手配者追加だ 背後関係も洗わなきゃならなくなった」

刑事「機動隊の要請もいる 普通の装備に人員じゃ勝てねぇ」

乞食「じゃあ 今回は独断行動ナシでやるんすか」

刑事「ホントに俺をよく知ってんだな もう誰かのネズミなのか?」

乞食「いやいやいやいえいえいえそォんなァ ハングリーなだけっすよォ」

刑事「ハングリーは嫌いだ」

乞食「えっ?」

刑事「何でもねぇ ま 俺のスタンスは変わらんとだけ言っとこう」

刑事「要するにお巡りさんらしからぬ戦力がいるってだけの話だ」


225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/13(木) 11:46:38.89 ID:IqQJPXRJ0
警察さんも面倒な事に巻き込まれたね。よりにもよって別次元の案件とは
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/10/14(金) 00:20:43.06 ID:5XhEOwWl0
伽耶子vsフェイト、どっち勝つかな?フェイトも魔法少女としても天才だけど伽耶子能力も割とチートだからな、対決まだ見たいですけど続きを楽しみにしてます
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/14(金) 15:11:05.62 ID:RhJ09jYs0
あの石は、この世界ではどんな面倒事を引き起こすのやら
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/14(金) 20:53:17.57 ID:Kl+emg5C0
幽霊……なのは……リリカルおもちゃ箱……うっ記憶が
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 09:42:34.37 ID:UvluY9f4O


ブロロロ……


後輩警官「先輩、今日から復帰ですね。もう体はいいんですか?」driver

警官1「おう。何でか復活した体も全く問題ねぇし絶好調よ 今度表彰もされちゃうんだぜ」co-driver

後輩警官「身を呈して情報源守ったんですもんね しかもホームレスなんかを! なかなかできることじゃないですよ」

警官1「たまたまだよ」

後輩警官「またまた パトロール中暇ですからその辺詳しく聞かせてください」

警官1「いや悪ぃ 実はスライム事件唯一の生存者ってことで自伝にしないかって話が来ててさぁ〜 言いふらせなくなっちまってんだわ」

後輩警官「いいなぁ副業……あれ? なんですかあの魔導車 凄ぇスピード」

警官1「待て ありゃ警察車両だ」


ゴオオォォォォォォォ

泥棒「ちッ スラムを出ちまったか…… あいつは?」

橙犬「人通りが多いところだ 手こずらせてくれるね……!」galop run

泥棒「クソのイヌアマが! タンクの魔力も少ねぇ どうするか……ッ」ギャギャギャギャ


警官1「行け行け 鳴らして」

後輩警官「はいッ!」ファンファンファン

警官1「あれは魔物か? 運転手はどう見ても警官じゃねぇな 〈そこの魔導車 止まりなさい!〉」拡声

後輩警官「魔物は轢きますか?」

警官1「後ろ付いとけ」

警官1〈パンクしてんだろ 止まれボケ! 人轢く前に止まれ!!〉

橙犬「くっ、狙いはこれか……」

泥棒「税金泥棒共が群がりやがって るせぇんだよ!!」BLAMBLAMBLAM

橙犬「今だ!」バッ

泥棒「飛び付きやがったのか!? 降りろ!! うおおああ!」zigzag


ガシャァ パリィン
ザリザリザリザリザリ
ドゴシャッ

街頭「ぎにゃああああ!!」break

子供「ぁッ――」run over

「暴走車だ!! 銃撃ってんぞ!」
「子供が轢かれた 足が潰れてる!」
「うわあああふざけんな歩道は広くねーよ!!」


後輩警官「あの野郎何考えてんだ!」

警官1「"2号車より本部へ 暴走車を発見 応援要請 探知魔法で位置確認願います――」police radio

警官1「轢き逃げ 器物破損等被害甚大 現在追跡中 どうぞ" 離されるなよ」

後輩警官「はい!」ブロロロロロ

『"了解 付近の車両を急行させる どうぞ"』

警官1「"了解 追跡続行します 以上"あークソ 表彰取り消しかな」

230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 09:45:14.62 ID:UvluY9f4O


ファンファンファンファン ファンファンファンファン


橙犬「ガルルルルルルルル!」bite arm

泥棒「腕がッ……離れやがれこの犬!! 俺には金が必要なんだよ!!!」
泥棒「う ぐ ぉぉおおおお!!」turn right

ブチィッ

橙犬「!!」ズザァァァ

泥棒「そのまま犬挽き肉になれよ ぐッ」

泥棒「! しまった 曲がり切れ――」


CRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAASH



キィッ キキィッ

「"1号車現場到着 どうぞ"」
「"4号車合流 確認した どうぞ"」

警官2「来たぜ あれか!?」ジャキッ

警官1「どっかの間抜けポリスからぶん取った車で爆走して壁ドン あのワンコに追われてたよーに見えた」

警官1「見ろ 実際腕食いちぎってやがる お友達って感じじゃあねえだろ」

橙犬「……」ペッ

橙犬「(次から次へと……銃撃は威力こそ無いけど数が多すぎる ジリ貧だ……)」
橙犬「(おまけにこの世界の粘つくみたいな嫌な魔力! やりにくいったらありゃしない)」チラ

泥棒「ぅ……ぐ……」

橙犬「(逃がす心配はない 速攻でいく!)」

橙犬「悪いねぇお兄さん達」metamorphose

犬女「邪魔するならタダじゃおかないよ あの石を渡す訳にはいかないんだ」

警官1「変身した お前魔人か」

後輩警官「抵抗するな 地面に伏せろ!」

犬女「伏せるのはそっちだよッ!」


231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 09:46:35.93 ID:UvluY9f4O



泥棒「ぁあ…… ハァ ハァ ハァ……」ハァー ハァー

泥棒「…………ダメだ…… ダメだ」

泥棒「寝るなッ……寝るんじゃねえ……こんなもん…………」

泥棒「痛くも痒くもねぇ ……決めたろ……しっかりしやがれ……」ググ

泥棒「……起きろ 起きろ起きろ…… 一ヵ所ダメだったからなんだ あの野郎は 駄目元だったろ」

泥棒「寝るなぁ……」

泥棒「起きろぉッ……」

泥棒「おおおおッ……!」


ドクン


泥棒「……あ?」

泥棒「? ……!!」


カッ


232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 09:48:53.00 ID:UvluY9f4O



犬女「……! まずいッ!」

後輩警官「何の光!?」

バゴォッ


ジュエル・シーフ「………………」


警官1「今度はなんだ…… あの暴走野郎も変身したのか こっちは宝石の化物かよ」

警官2「ドアをぶち破ったぞ 魔法犯罪者だ、おいショットガンに対魔鎮圧弾!」

JT「……宝石の腕が生えて……それに 傷もなんともねえ 鎧みてえに……」

JT「こんなに体軽ぃのは何十年振りだ…… これなら逃げられる!」

警官1「仕方ねえ 女ごと……」

chain bind

警官1「うぉっ!」ジャララララ ギシィッ
警官2「鎖ッ? 拘束魔法か! おい隠れろ!」ドサッ

後輩警官「援護します!!」BANGBANG

犬女「頭数を!」shield and
犬女「減らすッ!」Photon Lancer Multishot

後輩警官「な 魔力弾――」

ズドドドドドドドドドドドドドドドド

警官1「炸裂させやがっ……おい 無事か!」

犬女「自分の心配をするんだね!」draw and throw

警官2「がはッ……」ドガシャアッ

犬女「あんたも!」chain bind more

JT「……魔法の鎖だァ?」grip

犬女「くっ、なんて力……」ギギギギ

JT「邪魔なんだよォあ!」バギィン

犬女「(バインドを力で!? これがジュエルシードの影響かっ……)」

JT「失せろ雌犬!!」Photon Bullet

犬女「ちっ!」shield

JT「おらおらおらおらおら!!」BulletBulletBulletBulletBullet

犬女「初級のだけど射撃魔法まで 埒が明かないじゃないかッ……!」shieeeeeld

Photon Lancer

犬女「!」

JT「あァ? 何だ!」resist

黒衣の少女「アルフ」

犬女「フェイト! さっきの男は?」

黒衣の少女「終わったよ」

犬女「(……)」
犬女「ジュエルシードはあの爺サンが取り込んだ」

黒衣の少女「分かった サポートお願い」
斧槍《Scythe form, Arc Saber》

犬女「オッケー!」

JT「俺は生き残るんだ……金を……」

JT「宝石を売るんだよ! 金がいるんだ! 消えろッ!!」

233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/10/18(火) 10:31:29.05 ID:52fZKjDI0
しかしフェイトて子供バージョン何ですね、ハラオウンの性を名乗ってるならハラオウン家の養子になった後だからてっきり大人バージョンで来るものと予想してました
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 11:30:17.38 ID:UvluY9f4O
>>233
二期以降はアルフの出番が減る上にロリ化しやがると聞いたので継続視聴の予定はありません
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/10/18(火) 11:54:54.60 ID:52fZKjDI0
回答感謝、別にフェイトが子供である事に不満あった訳ではありませんでしたので、だだ少し疑問思ったので言ってみただけです
続きを楽しみしてます頑張ってください
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 12:40:30.13 ID:aWjHq83y0
宝石を売る……ねぇ。自分がその宝石になってちゃ身売りじゃねぇか
乙!
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 19:06:48.54 ID:UvluY9f4O



ジリリリリリリン

術師「コーヒー美味しいねぇドリアードさん」ゴクゴク

ドリアード「そうねぇ もう片方の手でクッキー食べちゃってるから受話器汚れちゃうものねぇ」モグモグ

半鳥「じゃあマグ置けばいいでしょーが! まったくもう作業中だっつーのに二人して」ガチャ

半鳥「はい召喚魔法研究室です! ……え? あ、分かりました。教授外からだって ざまあ」はい

術師「ちっ おいクッキーとっとけよ」

ドリアード「うーん美味しい」モグモグモグモグ

術師「いいぞ! 太れ 糖分で根腐りしろ」ガチャ

術師「もしもし ああ ああ 構わないが誰からだ? 何?」

術師「分かった 大丈夫だ繋いでくれ」

半鳥「誰だったの」

術師「帝国警察の刑事だ お前達は会ったよな」

半鳥「刑事さん? ああ あのミントの効かない?」

ドリアード「ああ刑事ね あのミントの効かない」

術師「はあ?」

刑事『……もしもし?』

術師「もしもし……初めまして 先日はうちの者が世話になった その節はどうも」

刑事『こちらこそ 後処理がちょい大変だったが』

術師「なんでも ミント? が効かないとか?」

ドリアード「ぶふッ けほ ぇほっ」ケフケフ

半鳥「ねえズレると危ないから笑わせないでくんない!?」ゲラゲラ

刑事『………………電話越しでも伝わるモンなのか』

術師「何が?」

刑事『だァー んなことはいい! ちょっと厄介なことになってましてね、お力添えを頂きたいんで』

238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 19:07:34.18 ID:UvluY9f4O

刑事『引っ括めて恐らくスライムクラスのヤバい奴が出たんだ また』

術師「機動隊はどうした? その一件で出し易くなったと聞いてる」

刑事『以前に比べりゃね それでも集団のフットワークだ お偉いさんが言う迅速じゃ遅ぇんだよ』

術師「美辞麗句に聞こえる」

刑事『聞こえる?』

術師「公的な頼みなら直接私に来るのは妙だ」

刑事『あんた分かってそうだな』

術師「ふふん」

刑事『失点を取り返すついでに署内ケツ持ちの機嫌を過不足なく取っときたい』

術師「自分で呼んだ機動隊より迅速に?」

刑事『そう迅速に』

術師「……」チラ


ドリアード「ところでこの工作機械は何?」

半鳥「ガションってやって弾作んの。ドリアードちゃんそれ取って」

ドリアード「はい このメタル化蚯蚓の環帯みたいなのは?」

半鳥「薬莢。ドリアードちゃんあれ取って」

ドリアード「はい この変な臭いのするザラッとしたのは?」

半鳥「火薬。ドリアードちゃんこれ取って」

ドリアード「はい この小さいボタンみたいなのは?」

半鳥「雷菅。ドリアードちゃん……」

ドリアード「弾丸ね?」

半鳥「は持ってるからもういいよ ありがとークッキー食べてて」

ドリアード「……どういたしまして」


術師「……話を聞こう」

刑事『決まりだな 来てくれ』

術師「どこへ」

刑事『スラムは分かるか? そこ近くの――』


239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 19:11:17.21 ID:UvluY9f4O



JT「がああぁぁああああッッ!!」Photon BBBBBBBBBBBBBBBBullet


ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

斧槍《Defencer》

黒衣の少女「(……近付けない)」

黒衣の少女「(それに)」Photon Lancer Multishot

JT「ぐぅぅおおぉぉ……ッぉぉぉおおおお!!!」ガガガガガガガガガガ

黒衣の少女「(あの宝石の外殻 硬い アークセイバーもランサーも通らなかった ……なら)」

JT「効かねェよ 降りてこい殺してやる!! 邪魔をしやがって死神のガキ!!」

橙犬「ガァァァアアゥッ!」Bite

JT「うるせぇえッ!!」Gem knuckle

橙犬「グルゥァアアッ!」Barrier Break

ピシッ

JT「この クソ…… なんだ!?」

橙犬「よしッ……」

240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 19:11:53.97 ID:UvluY9f4O

橙犬「(((フェイト こいつの宝石の殻、バリアと似た感じみたいだ!)))」telepathy

黒衣の少女「(((破れる?)))」

橙犬「(((やってみる!)))」バヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂ

黒衣の少女「……時間が稼げる バルディッシュ 行くよ」

斧槍《yes sir》


黒衣の少女「アルカス・クルタス・エイギアス……」chant


JT「石が 割れっ……!」バヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂ

橙犬「そうだ! 待ってなよ 今に粉々にしてやるから!」バヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂ

JT「ふ……ふざけんな」

JT「ふざけんなァァァアッ!!」Gem tackle

橙犬「ぐあっ!」

JT「売れなく 売れなくなる 価値が 価値が 金が ヒビ」ブツブツ

JT「そうだ……俺ァ何をやってる 宝石で戦ったりなんざしたら割れちまう ダメだ ダメだ ダメだそんなの」ブツブツブツブツ

橙犬「こいつ……」

JT「…………割ろうとしやがったな」Photon Bullet

黒衣の少女「! 疾風なりし天神……」

shield

橙犬「抑える! 集中してフェイト」

黒衣の少女「……今 導きのもと撃ちかかれ……」


バヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂ


JT「……その雷の玉で 割るのか 宝石をォ……」

JT「俺の宝石をォォ……!!」

橙犬「あんたのじゃない……!」バヂバヂバヂバヂ

JT「俺のだ オレのだ おれのだ!」

JT「俺の宝石に触るなッッッッ!!!!」Photon Burst full power

橙犬「!!!」


ゴバァァァアアアアアアアアアアッ


黒衣の少女「……! アルフ!」


241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 19:15:38.56 ID:UvluY9f4O



数十分後
同区画


「周辺の封鎖を完了しました 目撃者が多数……」
「死傷者も多数だ! いくつ家屋がぶっ壊されたと思ってる 下敷きだけで30人は下らないぞ」
「あの魔導車の辺りが特に酷い、車が爆発したんじゃないようだが 鑑識待ちだな」
「しかし警官までやるとは どんだけキれた連中なんだ……」


警官2「クソ……クソ クソ いい後輩だったのに……」

警官1「その辺にしとけ ……やれることをやるぞ」

警官2「ああ ……ああ」


刑事「よう」

警官1「! お疲れ様です」ビシ
警官2「お疲れ様です」ビシ

刑事「復帰早々かお前 大変だな」

警官1「面目ないです」

警官2「……あの車……」

警官1「おい」

刑事「そうだ俺んだ ブン取られた」

刑事「失態だな また制服に戻ったら仲良くしてくれや」

警官2「……すんません 何でもないっす すいません」

刑事「いいや」

警官1「あっちです 例の教授が先に来てます」

刑事「おう じゃまたな」


242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 19:16:31.63 ID:UvluY9f4O



刑事「俺の名前出して現場に入ったのか?」

術師「他にどうやる もう一つ名前に肖りたいんだが」

刑事「何だよ」

術師「封鎖で交通規制が滅茶苦茶になったせいだ 切符なんとかできないか」

刑事「金あんだろ払えよ」

術師「断る 狙い撃ちしてるのは分かってるんだ」

刑事「常連のお客様でございましたか」

術師「フン」


刑事「で 勝手に入った感想は」

術師「控えめに言って 凄まじい使い手だ」

刑事「ほう」

術師「Jは知ってるな 方向性は違うが奴並みの魔法使いと見える」

術師「警官から聞いたよ 数々の攻性魔法もそうだが 常に飛行していたというのがまず一番だ」

刑事「飛行魔法の使い手は少ないからな」

術師「分かったことは色々ある が 私を呼んだのは現場検証のためじゃないんだよな」

刑事「そうだ ここは待ち合わせ場所に過ぎねぇ 電話と違うが多分こっち来ると思ってたからな」

小男「旦那 旦那!」

刑事「おっと ああこいつは俺の情報屋の一人ね」

術師「随分と小綺麗にしてるじゃないか」

小男「はは 面白ぇ兄さんだ あんた程じゃあねぇよ」

刑事「で」

小男「見付けましたぜ 例の!」

刑事「どっちだ」

小男「どっちもです」

刑事「案内しろ 行きがてに報告しながら」

術師「走るのか? タクシー捕まえようぜ奢るから」

小男「ブルジョアは違うねぇ 路地の奥でさァそんなもん邪魔邪魔」

刑事「おい! ちょっと付き合ってくれ」

警官1「えっ?」
警官2「いやだって俺ら」

刑事「やれることをやるんだろ?」

警官1「……はい」


243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 19:17:40.00 ID:UvluY9f4O



JT「はぁ……はぁ……はぁ……ぁぁあぐ……」

ズ… ズ…

JT「……ここ……ここだ」

JT「買い取ってくれる……捌ける……奴」

JT「金……上等だとあいつは……売れる……金」

JT「待ってろ 待ってろよ……」

JT「くそ 痛みがぶり返してきやがった……ぐぅぅ」


ゴン ゴン


「……はい 開いてますが……ここは倉庫として使ってましてね 少し待ってください」

「もっと丁寧にノックしてくれると嬉しいんですがね……」

ガチャ

古物商「はい 買い取りなら店で―― ぅぐ!?」choke

JT「宝石を買い取れ」


244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 19:19:09.72 ID:UvluY9f4O





黒衣の少女「アルフ しっかりして!」

橙犬「ごめんよ、フェイト……私は大丈夫 なんとかシールドが間に合ったから……割られちゃったけど」ハァ ハァ

橙犬「行こう……ぅっ」

黒衣の少女「アルフは休んでて 後は私がやるよ」

橙犬「もう一息なんだ あの一発で……大分魔力を使わせたからね」ハァ ハァ

橙犬「殻も脆くなってるハズ もう一回バリアブレイクをかければっ……」

黒衣の少女「…………」

橙犬「今度はしくじらないよ フェイトをファランクスシフトに集中させる……」

黒衣の少女「……分かった」

橙犬「ありがとう フェイト……」ハァ ハァ

黒衣の少女「休んで 少しでも …… 広域探索かけてくるね」

橙犬「……」ハァ ハァ


『知ってるか? 子供に手を染めさせるのはこの国じゃ重罪なのだぜ』


橙犬「……いや 何を動揺してるんだ」

橙犬「フェイトが あの鬼ババア……あの人の役に立ちたいって 頑張ってるんだ……さっさと……」

橙犬「……さっさと 全部集めればいいだけの話じゃないか 何を……」


『……どこでもそうだよ』


橙犬「……フェイト……」

橙犬「……」

橙犬「…………使い魔が 主人の決定に迷っちゃ、ダメさね……」


ド グ ン


橙犬「!!」

橙犬「(気配……! でも何だい この…… このおぞましい感じは……?)」

ダッ

黒衣の少女「アルフ 行けるっ?」

橙犬「……勿論!」


245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/10/18(火) 20:14:01.18 ID:52fZKjDI0
早速続き書いてくれましたか、感謝です、伽耶子が出てくるのも近そうですね
次回当たりフェイトと伽耶子が対峙する所まで行くでしょうか 続き頑張ってください
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 20:35:26.30 ID:vKU85pYp0
乙!
今日も楽しませて頂きました!
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/18(火) 21:13:52.18 ID:/8+bSoJL0
ミントクソワロタ
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 02:11:53.58 ID:jy0UH00oo
良い作者で良い作品ではあるのにな
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 12:38:48.57 ID:EnVdYxxCO

古物商「かはッ……ぎ……」ギギギギ

JT「早くしろ……」ハァ ハァ

古物商「は 放し て ください……っ!」

JT「逃がさねぇ 早くやれ 金を用意しろ」

JT「あんだろ倉庫なんだからよォ あんだろオイ! なあッ!!」

古物商「はッ……放すのが先です 放すのが……」

古物商「普通に考えれば分かるでしょうがッ…… このままなら窒息死が先 だ……!」

JT「……そうだ 拘る必要ねぇ 金を直接奪えや良かったんじゃねぇか ああ……」パッ

古物商「ゲホ ゴホ ……いいでしょう 金庫はあそこです そのけったいな腕で好きに壊せばいい……」

古物商「しかしその瞬間 中の紙幣は使えなくなる……複合魔導錠が錠前破りに反応して内側に染料を撒き散らす」

古物商「光る緑色のね…… この意味がお分かりか?」

JT「ああ……?」ハァ ハァ

古物商「貴方がどうするにせよ"これは盗んだ金です"と喧伝しながら使う羽目になる」

古物商「誰も相手にしませんよ 通報されてお終いだ……」

JT「……クソが……じゃあいい 分かった いい 売る」

JT「開けろ 金を出せよ!」

古物商「……盗品の換金ですか……」キリキリキリ

JT「黙れ 喋るんじゃねぇ ぶっ殺されてぇのかッ!? 違う いや違ぇ 俺は強盗しに来たんじゃあねぇんだよ……」

JT「盗品じゃあ……ない 歴とした俺の物だ 今持ってる」

古物商「……見せてください」open safe

JT「金が先だ!」

古物商「いいえ 先に物を見せていただきますよ」sawed-off shotgun

JT「……効くと思ってんのか そんなチャチな散弾なんざ」ハァ ハァ

250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 12:48:04.12 ID:EnVdYxxCO


古物商「この間のスライム事件でみんな縮み上がりましたからな 私も備えましたよ」

古物商「警察用対魔鎮圧弾 魔物への自衛が特需になって高騰しましたが、ふんだくられた甲斐があったというものです これには右のがそうです」

JT「……一発か……」

古物商「左はドラゴンブレスという弾です 腕をどかしたら次は貴方の体を焼きます こっちはもっと高かった」

古物商「どうします 試してみますか この距離なら誰だって外しませんよ」

JT「…………」ハァ ハァ

古物商「それとも 帰りますか!」

JT「…………いや……帰らない」

JT「帰れない 金を手に入れるまでは……」

古物商「……」

JT「待ってくれ……本当に……売りたいだけだ それだけなんだよ」ハァ ハァ

JT「頼む信じてくれ 見せる だから金を……金を用意してくれ お願いだ……」ハァ ハァ

古物商「……物は」

JT「言ってるだろ……宝石だ こいつだ 今 俺の腕になってる……これ」

古物商「……一体化しているように見えますが どうやって売られるので……?」

JT「……」ハァ ハァ

JT「(……頼む 石…… お前さっき 俺が生き延びたいって思ったのに応じて腕を栓してくれたんだろ)」

JT「(逆が出来ない理屈はねぇだろ…… 剥がれて 元の石に戻ってくれ)」

JT「(俺の事ぁいい 金に替えられてくれ……)」


put out Jewel Seed


泥棒「……!!! ぐぅぅおぉ……ッ」ブシュゥッ

古物商「……これは…… なんと……」

泥棒「ぐ どうだッ……分かっただろ……これが石だ これがッ……」ドクッ ドクッ

古物商「その魔法の宝石を 無くした腕に取り込んでいたんですか……?」

泥棒「……は 早くしてくれ……! 物は見せたッ……早 く……!」ハァ ハァ

古物商「……」

泥棒「金を 金をくれ! これしかないんだッ……う……」

古物商「……貴方の気概は分かりました」

古物商「とにかくすぐにはご用意できないんです ここは取り扱ってる品の倉庫ですから 嘘じゃない」

泥棒「…………」ハァ ハァ

古物商「……一旦 それを戻せますか?」

泥棒「……わ からねぇ……こうか……」pray capture

JT「はぁ はぁ……出来た」

古物商「馴染んでいるようですね お体に……」

251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 12:50:10.70 ID:EnVdYxxCO

古物商「電話 いいですか? 部下に取って来させましょう 金を」

古物商「怪しい動きをしたと思ったのなら私を殺せばいい 私もそうさせていただきます」チャキ

JT「……信じてくれんのか…… 俺を……」

古物商「言葉と床の血を一先ずは信じましょう そこのです 歩きますよ いいですね?」

JT「……ああ」

古物商「……」ジーコ ジーコ

古物商「……私です 至急倉庫に現金を持ってきて下さい 額? いつもの緑色の鞄に入るだけ……ええそうです 取引です 宝石の」

古物商「はい はい用意を はい 頼みましたよ」ガチャ

JT「…………用意?」

古物商「鑑定書は? お持ちでないでしょう 腕のことを鑑みて素早く済ませますが――」

古物商「こちらで鑑定をさせていただきますよ きちんとした値を付けるためにも その用意です……」

JT「もうやってる 確かな筋の人間だ……」

古物商「では 問題ありませんね」

JT「…………好きにしな……」ドサッ

JT「……ぁあ……椅子もねぇのか ここはよ……年寄りにゃキツいぜ……」ハァ ハァ

古物商「……その箱で良ければ」

JT「……あぁ 悪ぃな……」ギシ

古物商「……痛むようですが 腕は何故?」

JT「そいつも鑑定に入んのか 野良犬に食い千切られたんだ ……いや一応飼い犬なのか……」

JT「こんな小さな女の子がだぜ 俺にけしかけて来やがったんだ あれはマトモじゃなかった……」

古物商「……」

JT「その子から盗んだんじゃねぇぞ 本当だ あの子からは無理だ」

JT「横取りされそうになったんだ…… 死んでも渡すつもりなかったがよ」

古物商「……どうしてそこまでして」

古物商「すぐにぱっととは勿論言いませんが 纏まった金を稼ぐ手段なら他にもある 腕を失ってまでなんて」

JT「…………」

JT「時間がねぇんだ」

古物商「時間……?」

JT「おい あんた 本当に金を運ばせてるのかよ」

古物商「……電話を聞いたでしょう はい」

JT「……そうだな」

JT「……娘がいるんだ……妻はいねぇが」


252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 12:51:45.80 ID:EnVdYxxCO



術師「病気?」

小男「病気。自分の血ぃ引いてるたぁ思えねぇくらいよくできた娘なんだ って近い仲間内じゃあ触れ回ってたみてぇでして」

刑事「独り身だっつってたぜ」

小男「そこはほら 旦那はマッポですから……迷惑かけたくなかったんでしょ あの人なりに」

刑事「面識があんのか」

小男「いーえ でも鍵開けの腕前じゃちょっと有名でして 慎重な爺さんで空き巣の鑑だって言う奴もいやすね」

術師「慎重ね…… 騒ぎを聞くとそんな印象は受けないが」

術師「つまり例の宝石を売ろうとしてると 娘の治療費のために?」

小男「夫もいるそうなんだが厳しいみてぇでよ それを知ってからピリピリしだして、ここ最近は帝都を離れてたんだと」

術師「当てが見つかって戻ってきたのか 泣ける話だな 現状も含めて」

刑事「それでこっちが近道?」

小男「奴が向かったのは古物商の倉庫だそうでさぁ 十ナン分か前で これァ今そこに最短で行ってる道です」

術師「……古物商?」

刑事「この辺を倉庫にしてるのは別段珍しくねぇんだ まぁ訳有りの品扱う界隈でって話だがよ」

術師「ああ……はいはい」

刑事「心当たりある」

術師「今朝 総長の指示で大学の物を売ってな 取引した奴でないことを祈る」

刑事「……こういう仕事じゃ そういう嫌な予感ってのは往々にして当たるもんでね」

術師「楽しい職場だな」

刑事「代わるか?」


ド グ ン


術師「…………いや 教授気に入ってるから」

刑事「脈打つ感じ……まただ 何かヤバげになってる気がしやがる」

小男「??」

術師「こいつはいい 魔法使いかどうか一発で判別できるな」

刑事「クソったれが おい急ぐぜ、あとどれくらいだよ?」

小男「もうすぐです!」


253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 12:54:23.33 ID:EnVdYxxCO



JT「……学校にも行かせてやれた……食うのにも困らせなかった……」

JT「死産だったから……裏切られてフケなきゃなんなくなっちまった時は寂しい思いさせちまったが……」

JT「それでもどうにか大人んなって……俺に似ない 母親みてぇないい女に育った 結婚もした」

古物商「ならお婿さんに任せればいいのでは」

JT「……あんた 癌って分かるか」

古物商「名前だけは 不治の奇病だとか 診断すら難しい、発覚した時にはほぼ手遅れの難病だと……」

JT「そうよ……義理の息子はできた奴で 良い医者と病気を突き止めるまでは溜めた金で上手くやったんだ だがあのクソ医者ァ……」

JT「不治の病ってのは違うんだ 魔導医療でその悪い部分を消しちまえば完璧に治せはするらしい……」

古物商「治療費ですね」

JT「そうだ 家一軒買える額を払えと言ってきやがったんだ! う ぐ……」ズキ

古物商「……」

JT「幾ら幾らかかりますが払えますかねっつった時の医者のあの顔 あれは忘れらんねぇ いいや」

JT「朦朧としてきやがった今だからこそ 瞼に張り付いて瞬きする度浮かんできやがるんだ 分かるか? 分かるかよ……」

JT「払うさ!!!」ガッシャァァアアッ


パサッ


古物商「ッ……」aim

JT「ハァ ハァ……病気は進んでる……俺は娘を助ける 何としても……父親だからな」

JT「この宝石をやる 命もやるよ だから 俺の宝石を奪わねぇでくれ……」

古物商「……」

古物商「……私にも家内が 子供はおりませんが」

JT「……」ハァ ハァ

古物商「家族の為なら他の何ものをも……という貴方達の気持ち 理解できない訳はありませんよ」

古物商「そこまでがむしゃらになるのもね 尊敬の念すら覚えます 一人の男として」

古物商「本当ですよ 世辞じゃありません、おもねる必要はありませんから……」

JT「俺は その金食い虫が効かねぇ方に賭けるがね……」

古物商「……そういうことを言っているのではないんですよ」チラ

古物商「そろそろ時間です 彼が来ます」

JT「……?」


コンコン


古物商「どうぞ ドアの前です」

JT「……!」

254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:00:10.11 ID:EnVdYxxCO


BANG


JT「がッ……ドア越しに、てめ――」Photon B…

古物商「ええ」FIRE dabble trigger

バゴァッ

JT「ぎ ぐあああああ!!」ドシャッ

バキィン コロ…

古物商「……恐ろしい弾だ どちらも…… あの腕を砕け飛ばし 一瞬で体を焼き焦がした」

泥棒「あぁああッ あづい 熱い クソ ぐぁぁああぁ……ぁぁあぁッ……」ゴロゴロ

「……まだ生きてるのか それは殺さない弾なんですか?」

古物商「いえどちらも抜群の筈です 彼のしぶとさでしょう」

「この ゴキブリめ……!」BANG BANG

泥棒「ぐぅゥおぉぉお ぎぃぃィ……ッッ」

255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:02:53.67 ID:EnVdYxxCO


「両膝を砕かれてもか 痛みで死んでもおかしくないだろうに ゴミめ」

「このゴミクズめ! そうだ苦しめ! 痛いか! 痛いか!? どうだ! どうだッ!」グリィッ

泥棒「あぁぁああああ!! がぁああああ!! ごのクソッタレ野郎共がぁあ!!! あぁああがぁぁあああ!!」ギリリリリ

古物商「"緑色の鞄"はそういう符丁でしてね 身内で使ってる物を今回は貸し出す形になっていたのです 何かあればと」

泥棒「どォおぉ……ぃうゥ……ッ!」

古物商「狭い上 自衛が求められる街ですからな 友人 知人 同業者 畑違いの者にも 貴方の所業は一夜で駆け巡った」

「……」

古物商「貴方が痛め付けて撃ち殺した宝石商さんのね」

古物商「今 貴方を痛め付けているそこの彼は 一人息子なんですよ……」

泥棒「……!!」

「軽く撃ち合っただけで あの暗い中で よく覚えていたな か? 当たり前だ」

「支店長の……父さんを殺した奴のナリだ 銃火に照らされた一瞬で 目に刻むには十分すぎる……!!」

泥棒「………………」ゼェー ハァー

「やっとだ! 公人の父さんがやっと やっと俺を認めて店を任せてくれるとまで……お前は――」

「お前はその機会を 父さんに貰った物を返す機会を俺から永遠に奪ったッ!!」

「お前みたいな薄汚い 持たざる老害がだ!!」ドガッ

泥棒「ぅぎぁああッ!」

古物商「……」

泥棒「……ぁあぁ……ぁぁあああ」ズリ ズリ

泥棒「俺は…… 俺の 宝石……俺の……!」ズリ ズリ

「……呆れた野郎だ お前の宝石なんてどこにもない」

古物商「息子さん」

「父さんの宝石店のは無論のこと この世のどこにもそんな物はない 見ることもだ いいか」

「お前はクズだ 聞けクズ野郎、身の程を弁えなかったクズの行く末はいつだって決まってる」

泥棒「宝……石……宝石……」

「ふん これか……?」kick

カツッ コロコロ…

泥棒「か……返……せ…… 返……」ズリ

256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:06:12.60 ID:EnVdYxxCO


泥棒「(切り……抜けなきゃ……ならねぇ……)」ズリ ズリ

泥棒「(もう一度 腕を…… 今度は 足も 作らせ……ねぇと……)」ズリ ズリ

stomp

泥棒「ぐゥ ぐぅぅう……」ググググ

「殺してやろうと思っていた けれどやめた」

「お前の卑小さを見て少し冷静になったよ そんなことをしても父さんは戻らない」

「それに父さんなら言う筈だ「賢くあれ」と そう言い聞かされて育った」

泥棒「足を……どけ ろ……」

「お前を警察に引き渡す」

「ブタ箱送りは確実だ そして一生そこにいさせてやる」

泥棒「…………な んだと……」

「……店で見たことのない石だ 恐らく古馴染みと言っていた方の物だろう」グイ

泥棒「返せ…………」

「これは然るべき人へお返ししておく お前の物では絶対にない」

「終わりだ 身の程知らず」

泥棒「ふ ざけんな……」

古物商「通報を 私が見張っておきますから」

「……お願いします」ジーコ ジーコ


泥棒「……」ハァー ハァー

古物商「……語ってくれた動機が」

古物商「嘘でないなら どうか受け入れて 時間はあります」

古物商「貴方の救いはそれしかない……」

泥棒「…………」ゼェ ゼェ

泥棒「(たのむ 石 こいつらを……)」ゼェ ゼェ

泥棒「(ポリシーなんざかなぐり捨てる 捨てた 今日だけで今日まで避けてきた分の殺しを一辺にやったんだ)」ゼェ ハァ

「……はい ……はい そうです 場所は……」

泥棒「(てめぇのせいでな)」

泥棒「(責任を取れよ こいつらを殺させろ もう一回だ もう一回……)」


ペラ…


泥棒「(殺す 殺さなきゃ逃げられねぇ 殺すしかねぇ)」

泥棒「(あいつを助けるにはそれしかねぇ 娘を……)」

泥棒「(殺す 殺す 殺す 殺す 殺す)」

泥棒「(あいつを殺させやしねぇ 娘を 俺の娘を……)」


ド グ ン


古物商「……! 日記……」

「どうかしたんですか?」

古物商「封印が……勝手に、開いて……」



「    ァ゛ 」

257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:10:42.61 ID:EnVdYxxCO



小男「ここだ つきやした ここですここ!」

刑事「よしお前は帰んな 残りは後日だ で生きてたらそん時ビールもやるよ」pay advance

刑事「お前 ここを知らせに行け 機動隊もだ 急げ!」

警官1「了解です」
小男「気ぃ付けて旦那 ツマミ持って行きやすかんね」

術師「私も呼べ」summon

刑事「インテリは一人で高い酒飲んでろよ」ジャキ

術師「つれないな こいつの紹介もしたい」バリバリバリバリ

刑事「あァ?」

summon Wise Petit Slime

WPS「ぐぐぐぐぐ 出番だ」

刑事「……例の白い奴か なあ 双子か何か?」

術師「頼もしいだろ ククククク」

刑事「ああ あんたとか 笑いの文字数とかクリソツ」

WPS「どういたしましょう」

術師「ドアボーイが居る」

WPS「よし」FRAME BLEATH

刑事「おい待t」


ボゴァァァアアアアァアアアアア


刑事「ボヤ騒ぎ!!」

術師「なんだよ」
WPS「なんだよ」ぼごぁー

刑事「俺は出世がしてえんだよ 放火魔んなったら閉ざされッだろが馬鹿かてめェらは」

術師「大丈夫だ 大丈夫だよな?」

WPS「炙れば出てくるだろう 出なければ蒸し焼きになるだけだ 大丈夫」ジュルリ

刑事「そいつ やっぱ……おい説明しろ」

術師「後でな 他のでやれるか」

WPS「なら鍵穴だ」ヌロロロロ

チキ チキ カチン

術師「どこで練習した」

WPS「分かってるだろ オレの家でさ」picking form

刑事「……バカしたら撃つかんな 核の話は鳥のから聞いてる」

術師「好きにしろ」

WPS「やれるものならな まぁ安心するといい、証人保護は早すぎる概念かも知れないが ぐぐぐぐ」

刑事「黙れ 行くぜ」

ガチャ
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:13:01.87 ID:EnVdYxxCO


術師「……」

WPS「……」

刑事「……」

術師「……狭い、大人二人で廊下がつかえる……見たことのない造りの内装だが この辺の建物はみんなこんな感じなのか?」

刑事「いや…… こんなのは初めてだ なんだこりゃ……」

ギィ…

術師「!」

バタム

刑事「んだオイ チクショー開かねぇぞ、ドアが鍵付きのに変わってる……ドアだけじゃねぇ」ドン ドン

刑事「暖炉みてぇに凹んだ玄関 妙な壁 妙な板張り 狭っ苦しい間取り……ありゃ階段じゃねぇか、ここに二階は無ぇ筈だぜ」

術師「呼び出しと取り寄せの専門柄 転移魔法には明るいつもりでいるが ドアをくぐっても何も感じられなかった」

術師「そいつが家族愛で目覚めたスーパー魔法使い人なのか 私がヘボなのか 魔法じゃないのかのどれかだ それか――」

刑事「それか?」

術師「当たるんだろ」

刑事「……何かヤバいモンが? 具体的には」

術師「一個だけな 世話にもなったが……」

WPS「おい ご主人と再生肉」

刑事「殺すぞ」

WPS「奴がそうか」

術師「……」


JT「…………」


刑事「帝国警察だ 武器を捨てろ 手を頭の後ろで組んで膝を付け」aim

術師「なんてったか 発言は裁判で不利になる可能性がある、検事さんが楽になるのでどんどんどうぞ だっけ?」

術師「黙秘権が欲しければこいつが担当する」

WPS「完璧な沈黙を約束しよう」

刑事「次 余計な口利いたら黙秘拳な」

刑事「おい! 妙な真似すんなよ しまえんなら腕とその脚甲もしまえ」

JT「もう そんな必要はねぇ」フラ

刑事「動くな撃つぞ 動くな」

JT「手ぇ貸してくれるってよ 必要なら 上手くいったぜ」

JT「あちらさんも良い子だ あえば娘も仲良くしてくれるだろ」

JT「手助けしてくれる 逃げなきゃならねえ でも だから手伝だってくれって 当然だ 取引だ」

刑事「誰と喋ってる どうしちまった」

術師「見れば分かるだろ 壁と喋ってる」

JT「逃げる 殺せ って」

JT「分かってるよ奥さん 分かってる分かってる ちゃんと手伝う」

JT「そしたら俺は逃げる」

刑事「……逃げられない お前は終わりだ」

JT「逃げられない? 逃げられない?」

JT「誰が?」

259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:18:52.94 ID:EnVdYxxCO



「ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」


シュルルルル ギシィッ

刑事「!? 髪の毛 上――」choke


伽耶子「ァ゛ ァ゛ァ゛  ァ゛」


刑事「う うぉわああッ!!」BANGBANGBANG

伽耶子「   」スゥ

刑事「消え…… 息が……」ギギギギ

術師「スラ゛イム」choke

WPS「その腕美味そうだな くれよ」WATER CUTTER

JT「へへへへ」Round Shield

フッ

俊雄「…………」

WPS「お 子供は好きだ」ガパ

術師「下がれ こっちを切れ!」

WPS「?」

バシュ

WPS「……!?」ベチャッ

刑事「(スライムが急に小さく? 違う 体を削り取られたのか どうやった!?)」

WPS「く 血抜きされた身でまだ抵抗しくさるのか」tentacle whip

俊雄「  」スッ…

WPS「チッ」whip slash

ズバァッ ドサ ドサ

術師「女の髪を躊躇なくとは」

WPS「タコとイカを喰った甲斐があった ゲブ お前達は羽を毟らずに鳥を食べるのか……」

WPS「再生肉 再生を頼む……」ゴボ

刑事「命令するんじゃねぇホワイトゲロ 触るが喰うなよ」pray HEAL

術師「ドリアードも同じような感想だった」draw circle

WPS「ぅ ぐ 鳥肉が喰いたい……」ドロ…

術師「終わったらな」ガリガリガリガリ

WPS「本当か! 約束だぞ」

術師「まだか」ガリガリガリガリ

刑事「OKだ いいかあっちを狙えよ」

術師「よし、警戒しながら聞いてくれ 状況が分かった 簡潔に説明する」ガリガリガリ

術師「ドア越しに違う次元へ飛ばされた」ガリガリ

刑事「何?」

260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:22:07.29 ID:EnVdYxxCO


術師「隔離されたと言った方が正確だな 奴のホームグラウンドへ招かれたらしい 大分力が増幅されてる」ガリガリ

術師「魔力の当てが付いたんだろう ここ というかこの家はわざわざ倉庫があった場所の内側を張り替える形で――」ガリガリ

術師「また別の世界から喚び出されてる 要するに地縛霊が家しょってリベンジマッチに来たと」ガリガリ

WPS「誰にリベンジするというんだ」

術師「分かんない?」

刑事「とんだとばっちりじゃねぇか! なんとかしろよ!」

術師「やってる とりあえず今は空間に亀裂を――」


シュルルルルル


WPS「髪の数が多いな 触手が足りない」シュバババババババ

刑事「どこを狙えばいい 髪の根元か!」

術師「本体が出てきた時だけ撃て サロン・ド・ゲロがまた空間操作攻撃をやられた時に備えて回復の準備を」ガリ

刑事「で怨敵のアンタは?」

術師「空間に亀裂を入れるために陣を書き込んでる 今これで一つ出来た」

刑事「一つ出来た? 一つ? 一つっつったのか? 二つ三つと続く言い方に聞こえるぜ天才召喚魔法教授殿」

術師「間取りが分からんから何とも言えねーが規模的にあと四つ五つはいるだろうな 援護しろ」

刑事「ッざけやがって」

スゥゥゥ…

刑事「!!」


伽耶子「 ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ ァ゛ ァ゛」

俊雄「…………」

JT「くくく へへへ ひひひ」ユラ


術師「移動だ 廊下の奥に押し込んで脇の部屋へ行くぞ」

刑事「簡単に言いやがる!」BANGBANGBANGBANG

WPS「幽霊の血は何味だ?」split

刑事「くそッたれが 猫にしときゃあ良かった!!」reload


261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:26:29.37 ID:EnVdYxxCO



橙犬「この辺りだ」

黒衣の少女「降りよう 空は目立つ」

landing

橙犬「……いない 感知できない」

黒衣の少女「強い反応だった 間違える筈ないのに」

橙犬「魔力流を弄らなくてもいいくらい密度の濃い世界だしね 隠れた?」

黒衣の少女「暴走体状態でそんなに器用なことができるのかな 普通じゃなかった」

橙犬「そんなに時間は無かったし 隠すか封印されたかのどちらかじゃない」

黒衣の少女「この世界の人達が封印を?」

橙犬「分からないけど 少なくともあっちもあれを追っててこっちの仲間じゃない あたし達にはそれで十分さね」

黒衣の少女「そうだね」

黒衣の少女「……アルフ あれ」


小男「こっちだ こっち!」

警官1「道が入り組みすぎてんだよ ああもうったく!」

小男「それも旦那のリクエストだろが! 一番早くて入り組んでる道って」

警官1「分かってるよ 極力――」


スタッ


犬女「ハァイ お兄さん」

警官1「…………空を飛べるこいつらに見付からねーようにってことだったんスけど」ジャキッ
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:27:03.60 ID:EnVdYxxCO

小男「この別嬪さんと 変なカッコした可愛い嬢ちゃんが?」

警官1「見た目に騙されんな 既に警官が何人も殺られてる……」

小男「っ……」

警官1「そこをどけよ こんな狭いとこじゃ弾は避けれねーし 鎌なんざ振れねーだろ?」

黒衣の少女「そうだね」
斧槍《Device form》ガシャッ

黒衣の少女「でも大丈夫」ジャキ

警官1「大丈夫じゃない」

犬女「どこだ? 吐きな」

犬女「自分で吐くか 私らに吐かされるかだ……」

警官1「クソまたかよ おっさん行け!」BLAMBLAMBLAM

犬女「まあそうだろうね 仕事だ 同情するよ」shield

警官1「何してる行け 行け! ボケッとしてんな走れ!」BLAMBLAMBLAM

小男「いいや あんちゃんも一緒だ」smoke grenade


ブシュゥゥウウウウゥウウウウウウウウウゥゥウウウ


警官1「煙幕……?」

犬女「ごほっ この煙ッ……!」

小男「離れなさんなっ!」ダッ

斧槍《Arc Saber》

バシュッ

小男「ぐッ……!」

警官1「おっさん!」

小男「喋るな こっちだっ」タッ

犬女「待て! ちっ……」flying

犬女「(((路地中に煙が回ってる 目に鼻じゃ追えないね)))」telepathy

黒衣の少女「(((この煙、魔力を撹乱して探知を欺くようになっている)))」flying

犬女「(((どうする?)))」

黒衣の少女「(((晴らす 用意して)))」

263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:31:18.90 ID:EnVdYxxCO


黒衣の少女「アルカス・クルタス・エイギアス 煌めきたる天神よ いま導きのもと降りきたれ――」

黒衣の少女「バルエル・ザルエル・ブラウゼル 撃つは雷、響くは轟雷――」

黒衣の少女「アルカス・クルタス・エイギアス……!」Thunder Fall


……ゴロ……

ゴロ ゴロゴロ……


警官1「あ……? 雷雲?」

小男「……なんてこった ついてないねェ……」


ザァァアアァアアアアアアアア

ピシャァァアアアッ ゴロ ゴロゴロ……


小男「……雷神様とは恐れ入った あの嬢ちゃん何者だい」

小男「天候を操作するレベルの魔法をサンドイッチ作るみてぇにパパッと……」

ズガァァアアアアアアッ

警官1「うおお!」

小男「あんちゃん 腹括らなきゃならねぇかもだ」

警官1「諦めんな! 天才魔法使いがなんだ、俺達の帝都でこれ以上好きにさせてたまっかよ!」

警官1「それにな 腹なら警察入った時とっくに括ってんだッ」バッ

犬女「(((煙が晴れて……見つけた 行ってくる)))」

黒衣の少女「(((暴走体を補足次第サンダーレイジを撃つ 援護がいるなら言って)))」バチバチバチバチバチバチバチバチ

犬女「(((了解!)))」バッ

警官1「来やがったかッ……」

犬女「銃で来るかい? 弾くよ。それともその警棒で殴りかかるのかい? 届かないよ」

犬女「こっちだって楽しんでるわけじゃないんだ さっさと言うんだね」

警官1「おっさん 他になんかないのか」

小男「貧乏削り鉛筆 マスク 角砂糖 下水道の地図 硬貨 ガチンコは無理でさァ」

警官1「く……」

犬女「行くよ」

黒衣の少女「(((アルフ待って! 必要なくなったみたいだ)))」

犬女「なんだって?」


黒衣の少女「バルディッシュ!」

斧槍《Sealing form》ガシャッ

黒衣の少女「(見つけた 微かな綻び……ジュエルシードがある あの建物!)」

黒衣の少女「(それからあそこの二人 殺しはしないけど大人しくしていてもらう)」bind

警官1「!!」ギシ
小男「……南無三……っ」ギシッ

黒衣の少女「(ロックオン……!)」


黒衣の少女「サンダー……レイジーッ!」

264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/09(水) 13:35:46.56 ID:EnVdYxxCO



伽耶子「ァ゛ ァ゛ァ゛  ァ゛」ギリギリギリギリ

刑事「なん つゥ 馬鹿力 だッ……!」ギギギギ


WPS「待て! 消えるな! 触手を食らえ! 逃げるんじゃない 喰わせろ!!」シュバババババババ

俊雄「………………」シュンシュンシュンシュン


JT「待ってろ 待ってろよ もうすぐだからな」ブツブツブツブツ

術師「邪魔をするな」summon GOLEM FIST

バギャアアッ

JT「ぐぶっ……」ドシャアッ

術師「腕はいる お前はいらん」and GOLEM LEG

グラァッ……

術師「……空間が揺らいだ…… そうか お前が魔力の供給元の窓口になってるわけだからな」stomp order

ドゴッ

JT「ご ふッ」

術師「死ね」summon PERSEUS's SCYTHE


ビシィッッ


伽耶子「……!!」

術師「(亀裂がもう? 陣はまだ足りない となると外からだ、楔を打った僅かな気配を察したか)」ブォンッ


バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


刑事「家が崩れる!!」

術師「いやそれは問題ない 力業で歪められてた次元が元に戻ろうとしているだけだ 大事にならなくて良かったな」

刑事「俺を犯しにかかってるこの女を見ても同じことが言えんのかコラァッ!!」グギギギギ

術師「楽しめよ さあ崩れるぞ……」circle active


バギィィイイイィイイン

265 :小説を読んでしまった なんだよリニスさんってあんな良い人おったらこんなんなるわけないやんおぼぼぼぼぼぼぼごごごごごごごご [sage saga]:2016/11/09(水) 13:40:13.14 ID:EnVdYxxCO



シュタッ

刑事「うおおおおおお…… あっ?」

術師「二つの機能を持たせた陣を書くのは構成が面倒だが 見事な転移陣捌きだろ」

術師「まあ――」


JT「……ハァー……ハァー……ハァー……ハァー」

伽耶子「ァ゛  ァ゛ァ゛」


犬女「おや 自分から出てきたかい……」

黒衣の少女「……」


刑事「……三つ巴か」reload

術師「一網打尽のチャンスと考えろ」

266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 19:12:34.79 ID:7ZhD9WrF0
こんなんなる訳<「世界はいつだって、こんなはずじゃないことばっかりだよ!ずっと昔から、いつだって、誰だってそうなんだ!ry 悲しいけど、こういう訳なんだよなぁ

ともかく乙乙!
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/11/10(木) 00:17:31.83 ID:gRGu8pNh0
再開待ってました、とうとう伽耶子とフェイトが対峙する所まで来ましたね
次回はいよいよ怨霊(伽耶子)vs魔法少女(フェイト)の直接対決ですね果たしてどちらが勝つか?

続きを楽しみにしています
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