叔母「今日からココに住んで」男「ラブホテルで?」

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153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 02:03:01.35 ID:A9ZYyl18o
超待ってた
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/23(日) 04:56:19.09 ID:38V5B8E7O
どんだけ待ったと思ってるんだよ!
エタってなくてよかった
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 10:49:41.49 ID:+gGjxSgpo
おおっ!!来てる!!
待ってなんか居なかったけどスレ覗いたら更新が!!
叔母さんと一緒に住む流れに見せ掛けてわくわくさせたのは許さん
責任持って叔母さんルートも書きたまえ
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 14:31:15.62 ID:UzCuB8vQO
えっと…これはつまり男と女は従兄弟?
従兄弟は結婚できるはず…
このまま女ルートに突入してほしい
でも受付ルートも…大穴でケルケルくんルートでも
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 03:53:38.38 ID:60CGWpVD0
諦めかけてた作品の更新を偶然知った時の嬉しさはパネエ

158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:40:18.51 ID:m7QS7m8KO
【今から時は遡り…『入学式前日』】


女姉「……」スタスタ

「今日も凛々しいよな、女姉先生」
「もう歩く姿も完璧すぎて笑える」
「大学生の頃にいかがわしいサークルを何件もぶっ潰したらしいぜ」

女姉(まったく、噂をするなら耳に届かない範囲でしなさいよ。まる聞こえじゃない)フゥ

女姉(まあ…悪い気はしないけれど、せっかくのプラス評価に水を差すきはさらさらないわ)スタスタ

「女姉先生。今日も一段と歩き方が美しいですねえ」

女姉「それ、軽度のセクハラですよ校長。おはようございます」ペコ

「これはこれは手厳しい。おはようございます」

女姉「それで、何かご用でも?」

「ええ、明日は新入生の入学式ですから。確か貴女の妹さんが入学されるとか…」

女姉「はい。不出来な妹ですが」

「またまたご謙遜を。期待していますよ」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:40:45.38 ID:m7QS7m8KO
女姉(……、そうだ。あの子がとうとう入学する──中学で問題ばかり起こしていた妹が、私が教鞭を執る学校へ…)

女姉「けれど…」

女姉(大丈夫よ、私。この私が居る限り、妹には決して問題行動を起こさせたりしないわ)

〜〜〜

「おい!? 聞いたか、入学早々に一年女子が一年男子に喧嘩ふっかけたらしいぜ!?」

「ああ、しかも周りに舐められんようにと、目立とうとして救急車を体育館に呼び込んだんだろ…!?」

「やべえなマジでやべぇの来ちゃったよ一年坊…」


女姉「……………」


「…聞いた話によると女姉先生の妹らしいぜ…」
「まだ騒いでるって、一年女子。凄い気迫で喚いてるらしい」
「先生が完璧主義者なのって、妹さんを更正させる為らしいぞ」


女姉「………………………」ピクピクピクピクビクビクッッッ


「女姉先生」ニコニコ

女姉「こ、校長…! 今回の不祥事、教員立場という以前に姉として──」

「ええ、ええ、わかっていますよ」ニコ

女姉「え、いや、あの、…一体なにを?」

「私の【期待】、裏切らないようお願いしますねえ」ニッゴリィ

女姉「……ハイ……」ダラダラダラ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:41:44.58 ID:m7QS7m8KO
〜〜

女姉(これじゃあ私の完璧な人生設計に傷、いや罅、ううんそれ以上の影響が出てしまう…)ギリッ

女姉(妹に、あの騒動の理由を問いつめても意味不明なことばかりいう。なによ、復活の呪文で起きあがったってッ!)

ダァンッ!

女姉「──私はいつだって完璧じゃないと駄目なのよッ!」

女姉(なんとしてでも、今後の妹の問題の芽を潰す手段を考えないと…)グググ


ガラララ


女姉(…! こんな時間に生徒っ? しまった、さっきの殴打を聞かれた可能性が──)

男「あの、すみません…」コソ

女姉「──君、一年代表に選ばれた生徒よね?」

男「え、あっ、はいっ! 覚えていただいてたなんて嬉しいです!」

女姉(忘れるわけがないでしょう! 馬鹿妹が喧嘩ふっかけた張本人、ただの生徒ならここまで問題にならなかったというのに…!)

男「その、えーっと…」キョロキョロ

女姉「君、もう下校時刻はとっくに過ぎているのよ」

男「す、すみません! 実は部活動の勧誘を遅くまで受けてまして…断るに断りきれずこの時間帯に…」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:42:20.38 ID:m7QS7m8KO
女姉(うぐッ、超良い子そう。まったまったくあの子はなんでまた、こんな子に喧嘩売ったわけ…?!)

男「その〜無理を承知でここに来たんです。実は個人的なことで先生に相談がありまして〜…」チラ

女姉「個人的相談?」

〜〜

男「──というワケなんです、ええ」シュン

女姉(嘘、まさか本当にこの子が原付二人乗り事故を? あの子が言っていた通りの展開が起こってた…?)

男「今更、周りに真実を話しても信じてもらえずに、むしろ庇ってあげる必要ないと言われる始末でして…」

男「だから、こうなったらもう公式的に教師の方々から俺が起こした真実を発表してもらいたいんです!」

女姉「……」

男「どうにか出来ないでしょうか? このままじゃ彼女が可愛そうで…」

女姉(──駄目だわ、学校側が認めた代表一年が起こした不祥事を発表するなんて認めるわけがない)

女姉(こうなってしまえば話は別。むしろ妹が話題を肩代わりしてくれて有り難いと言わんばかり)

女姉(それにしてもこの子。わざわざそれを教師に提案しに来るなんて、ただのお人好しにしては…不可解ね)

男「あの? 先生…?」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:43:15.22 ID:m7QS7m8KO
女姉「……。君は彼女に謝罪がしたいのかしら、それとも周りの誤解を解きたいのかしら」

男「…どちらもです」

女姉「賢明な判断ね。けれど、良心の呵責から出た行動だとしても【学校側はなにもしない】が私の見解よ」

男「っ!? ど、どうしてですか…!?」

女姉「【君がそういう立場だから】。わかるでしょう? 君が起こした罪は簡単に周囲は認知できない、してはならない」

男「……」

女姉「だから──どうしたの?」

男「そう、ですか」スッ

男「有り難うございます。教師として、言いにくいこと敢えて言ってもらえて、改めてふんぎりがつきました」

女姉「私は…」

男「──一人で、頑張ってみます。何とか誤解が解けるように」ニコ

女姉(この子…まさか、始めからそのつもりで…?)ハッ

女姉(これ、は。決まったわ、今さっき咄嗟に浮かんだ名案が。きっとこの子ならやり遂げてくれるかも知れない──)

男「では、これで…」ガタ

女姉「待ちなさい! ううん、待って…! どうか最後まで私の話を、いや願いを聞いてほしいの…!」

男「願い…?」

女姉「そう、お願い。貴方でしかきっと出来ない、やり遂げられないことを教師として、一人の人間として…ううん」

女姉「──一人の姉としてお願いしたい
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:44:04.80 ID:m7QS7m8KO
数日後

「えー、今日はこのクラスでの委員長二人決める。誰か立候補、また推奨する者はいるか」

女「は、はいっ! 私が委員長に立候補します!」バッ

ヒソヒソ ザワザワ

「え、あっいやぁーそのだね、君は…」

男「自分も委員長に立候補します」ガタ

「えぇっ? し、しかし、でも君は…」チラ

女「……っ」ビクッ

男「他に誰か立候補する人も、推薦する者も居ないみたいですし。どうでしょう、このまま決めてしまっては」

「ふぇぇ…?」

男「──何か問題でも?」

「そうだそうだー早く帰りたいつーの」
「先生ぇも中間テストの範囲決めで忙しいっしょー?」


キーンコーンカーンコーン


女姉「……」スタスタ チラリ


女「っ〜〜〜! 〜〜!?」

男「……、…、……」


女姉(無事に二人、どうやら委員長になれたようね。これからも頼んだわよ、男くん)スッ
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:44:54.35 ID:m7QS7m8KO
女姉(彼には妹の面倒を直で見てもらう。担任じゃない私では介入に限界がある、だから同士を見繕う必要性があった)

女姉「でも、よくこんな願いすぐさま承諾してくれたわね…」ハァ

女姉(──彼の謝罪と真実の露見、この件のお返しに私が手助けするとは言ったけど…彼にも無理に近いことは理解してるはず)


『もし、仮に君の願いが叶えられなかったら。また異なった願いを言って頂戴、出来る限りのことはするつもり』

『大人がそういうこと言わないで下さいよ。期待してます、先生』


女姉(大人、か。私もまだまだね、子供に諭されるなんて完璧主義者が聞いて呆れるわ)フッ

女姉「今更かもしれないけれど、立派な大人として、彼に良いところを見せなければ…」ツカツカ

〜〜

「聞きましたよ先生、あの問題の二人が委員長って話」
「ええ、今から胃がキリキリと…」

「やっかいごとは増やさないで欲しいもんですなあ。ただえさえ問題児が多い学校と噂されとるのに」
「過去にもいましたねぇ、繁華街のホテルで無断にバイトする生徒がおったりして」

「──まったく、学校にまで持ち込んで欲しくないもんですよ」

女姉「……」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:45:22.18 ID:m7QS7m8KO
〜〜

「女姉せんせーおはようございまーす」

女姉「あら。どうしたのかしら、今日は一段と良い挨拶ね」

「へへ、あのね? 一昨日からカレシと仲直り出来たんだぁ」

女姉「へぇ…」

「クラス中巻き込んでさ、変なフンイキになっちゃってたんだけど──ここだけの秘密だよ?」コソコソ

女姉「? なにかしら?」

(実はウチのクラスの委員長二人、付き合ってる噂で持ちきりなの。先生の妹さんでしょ? それって?)

女姉「え、あ、うん…?」

「あの仲悪い二人がそっこーで仲良くなってる姿みたらさぁ、ウチも喧嘩してたのばからしくなっちゃってww」

「──だから先生もはやく、良い人みつけなよー?」

女姉「馬鹿ね。大人を心配する暇があったら将来を悩みなさい、今度の中間テスト期待してるわよ」

女姉「……」

女姉(……。そこまで近づけとは言ってないのだけど、私は)

〜〜
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:45:54.83 ID:m7QS7m8KO
『ええっ!? な、なりゆきですっ! 誤解ですってば!』

女姉「君、嘘が露骨に声に出るわね。電話越しでも動揺顔が手に取るようにわかるわよ」

『…はあ、まさかの予想外。でも、作戦は上手くいったみたいで安心しました』

女姉「作戦ですって?」

『ええ、クラス男女仲を良くする為に。仲の悪いと噂される二人が率先して一緒に帰宅すれば変わるかもと』

女姉「思い切ったことするものね。君からの提案かしら?」

『違いますよ、妹さんです。…煽ったのは俺ですけど、まあ、女姉先生から彼女の性格はよく聞いてましたし』

女姉「そう、なら油断しないことね。妹はどこで感情を爆発させるかわかったもんじゃないの、注意を怠らないように」

『あの、遅いですその助言…この数日でいやと言うほどわからされましたけどね…』

『──ぅーん、あ! こりゃナオンと電話中デショ! んな雰囲気だしてるー!──』
『ワオ! オトコってば手がはやーい──ちょっとお姉さんに変わってみ? 働け──ゴキィイインッ』

女姉「どうしたの? こんな夜中に騒がしいわね」

『ちょ、電話中だって言ったでしょさっき!? シッシッ! …い、いや、その親戚の人がお酒飲んで騒いでまして…』

女姉「? そう、なにか骨が折れた音も聞こえたような…」

女姉「まあいいわ。それよりも明日も学校なのだから早く寝なさい。良いわね」

『わかりました。では、これで』ピッ

女姉(順調そうでなにより。けど、まさか妹のほうから彼に提案するなんて少し変わったのかしら、あの子も)
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:47:20.82 ID:m7QS7m8KO
〜〜

女「……」ザッザッ…

女(ふぅー、目についたから気まぐれに掃除してみたものの)キョロ

女「…ヤバイわね、コレ、今日中に終わるのかしら」ズーン

男「大丈夫。終わらせよう」

女「おわーっ!? びっくりした!」

男「おわーってアンタ…もう少し繊細な驚き方が出来ないのか…」

女「う、うるさいわね! 良いでしょ別に、つか驚き方まで口出すんじゃない!」

男「はいはい。口うるさくてすみませんね」ザッザッ

女「…っ…な、なによ、一緒にしてくれるのっ?」チラリ

男「素直に手伝うと言えば怒るだろうから、勝手に始めただけだよ」

女「分かってるなら口に出・す・な!」ガァンッ

男「だァー!? なにも集めたゴミを蹴ることないだろ!」

女「いちいち突っかかってくるなら手伝わなくて良いわよ馬鹿!」

男「説明しないならしないで、意味がわからないからキレ始めるだろアンタは!」

女「きぃ〜〜〜!! 腹が立つ、なによわかったようなこと言って! ええそのとおりよバカ!」

ギャーギャー ワーワー

女姉「…ハァ…」

〜〜
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:48:13.29 ID:m7QS7m8KO
女姉「もう少し静かに活動できないかしら…人払いできるタイミングも限られてるのよ、私でも」

男「うぐ…すみません、どうにも彼女相手だと口が止まらないようで…」

女姉「相性が良いのか悪いのか、とんとわかりづらいわね貴方達」

男「相性、良いですか俺ら?」

女姉「あの娘相手に上手くやれてる方よ。…勘違いしないように、交友関係であって交際関係では無いから」ジィー

男「まだ疑ってるんですね…」ハァ

女姉「勿論。私の監視下である限り、そのような自体は認められないわ」

男「それ、妹さんを想っての発言ですか?」

女姉「変なことを聞くのね。どうしてそう思う?」

男「…いえ、なんとなくただ、」

男「──女さんと女姉先生が話してる姿が、全然思い浮かばなくて」

女姉「そう、私もそう思うわ」スッ

男「えっ?」

女姉「でも良いのよ別に。妹にとって私は壁でいい、辛い存在で良いの。私も望んでも居ないし、彼女だって望んでいないでしょう」

男「……」

女姉「今日はここまで。遅くなりそうなら車で送っていくけれど?」

男「い、いえっ、電車はまだあるので大丈夫です! それでは…」ガララ

女姉「そう。じゃあまた明日」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:49:15.33 ID:m7QS7m8KO
女姉(…そう、私は厳しい姉として居ればいいだけ)

〜〜

「女姉先生。おはようございます」

女姉「! 校長、おはようございます!」サッ

「いえいえ。そう堅くならず、私も少々言い過ぎたと反省しておるのですよ」

女姉「仰る意味が…」

「目まぐるしいばかりではないですか、妹さんのご活躍は私の耳にも届いてますよ」

「率先してでの委員長立候、風紀委員で自らゴミ拾いをし、挨拶運動にも自主的に取り組んでいると」

女姉「……。それは嬉しい限りですが、彼女が起こした問題が決して無かったことになるとは思いません」

「お厳しい言葉で。ですが、過ちもまた成長。何時かの機会に妹さんへ言葉を投げかけてみては如何でしょう」

女姉(…言葉を、投げかける)


第四講義室

女姉(甘い言葉なんて必要ない。私は妹にとって厳しく、現実を突きつける嫌な姉で良いのよ)

女姉(今更彼女に優しい言葉なんて──)

ガララ

女姉「ん、来たわね。今日は遅かったじゃない」

男「少し私用な用事があって、もう終わったので安心して下さい」


パタン
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:49:50.73 ID:m7QS7m8KO
女姉「? そう、ならいいわ。では早速始めましょう。今日は私の方から君へのお返しする件について──」

男「……そのことなんですが」

男「『あの件の願い』は撤回したいと思って、ここに来ました」

女姉「撤回…? 急にどうして…」

男「やはり自分の力で彼女が受けている誤解を解こうかと。その道も何とか見えてきましたし、わざわざ先生の力を借りなくても…」

女姉「……」

男「あ。でも、先生との取引は続けるつもりです。まあ、公私混同なことになりますけど…」

女姉「君は…」

女姉「ハア、なんというかお人好しという部類に入る人間ね」

男「です、かね」ポリポリ

女姉「敢えて私から言わせてもらうけれど、君がやってきたことは私の要望でもあったのよ。そして君もそれを受け入れた」

女姉「その結果、私の要望を限りなく成功させたのが君。それが事実」

男「でも…」

女姉「でもじゃない、あのね? 私が一人で成し遂げるべき私用に他人を巻き込むだけじゃなく、生徒一人を使ってやり遂げたの」

女姉「本来なら教えとくべき立場の君に、……無様にすがりついた」

女姉「こんな体たらくぶり許されるわけがない。なのに今まで嘆かず突き通せたのは、君へのお返しがあったからこそ」

女姉「それを今更になって要らないと言われたら、私はどう自分に落とし前をつけたらいいのよ」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:50:47.63 ID:m7QS7m8KO
男「どうといわれましても…」

女姉「勝手なことを言ってるのはわかってる。けど、君はそれだけの仕事をこなした、だったら見返りある報酬を受け取るべき」

男「仕事、なんですか?」

女姉「…!」

男「俺思ったんです。俺は報酬を受け取るから女さんと仲良くなったのかって、始まりはそうでも…今は違うと思ってます」

男「誤解を生んでしまったのは俺の責任です。解く方法があるならきちんとやり遂げるべきだとわかっているつもりです」

男「でも、こうじゃないって思ってしまって…結局、自分は最初から最後まで女さんを騙してるんじゃないかって…」

女姉(騙して、る…)ズキン

男「俺、ちゃんとやります」

男「先生との約束は守りますが結果としてそうなってるだけで、ちゃんと俺の意志で仲良くやっていきます」

男「だから報酬なんてものも要りません。でも、そうであっても先生が納得しないなら…」

男「…どうか女さんに一言あげてください。頑張ってるって、よくやってるねって」

女姉「な、なぜ、そんなことを私が…」

男「彼女が言ってくれたんです。頑張る理由が、駄目な大人にならない為には、」


『私、お姉ちゃんみたいにカッコいい女性になりたいの』


男「だから、どうか一言で良いので褒めて下さい。彼女を…」

男「もっと近くで見てあげて下さい。それが、俺の今の願いです」ペコリ
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:51:31.44 ID:m7QS7m8KO
〜〜

女姉(もっと近くに居て、褒めてあげて下さい。なんて、元より求められてなかったらどうするのよ)

女姉「……、ハァ…もう腹をくくろう」がらり

女「! ばかねっ、この私を待たせるなんて良い度胸じゃない!」バッ

女「今日という今日は堪忍袋の尾が切れたわ! 駅前クレープおごりジャンケン、受けて立ってもらうわよ──」チラ

女姉(…………。この子は本当に…)ズーン

女姉「ずいぶん楽しそうね、貴女」

女「──おね、ちゃ!?」サァーー

女姉「失言よ、それ。学校では絶対に姉と呼ばないよう散々注意したのに、まだ理解できてないの?」

女姉「ちゃんと先生と呼びなさい。良いわね」

女「ご、ごめんなさい先生…」シュン

女姉(どうしようもない娘ね、本当に。何度教えても覚えない、何度壁を作っても挫折する。なのに結局諦めない根性っぷり…)

女姉「もういいわ。無駄に残ってないで早く帰りなさい、折角、私が親に掛け合って塾を免除させてあげたのに」ハァ

女「…はい…」

女姉「貴女が自主勉強を頑張ると言い切ったの、忘れたのわけじゃないでしょうね」

女「……」コクリ

女姉(ああ、ほんとうに昔の私を見ているようで嫌になるわ。頑張れば報われるなんてそうあることではないのに)
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:52:15.13 ID:m7QS7m8KO
女姉(でも…)

女姉「──でも、今回の中間テストは良かった」

女「えっ?」

女姉「勉強したのね、ちゃんと。しかしまだ甘い、ニアミスの酷さが教員連中で話題のネタになるぐらい酷かったわ」

女「…ウッス…」

女姉(きちんと言うべきことは言う、厳しいことだけを見せつけても駄目。わかってる、そんなことは)

女姉(しかし、私はそうして失敗してきた)

女姉(成功だけに取り憑かれ、失敗を恐れなかった。過去に経験した苦い思い出を彼女にさせたくない)

女姉(──でもこの子にとっては大切な【今】じゃない)

女姉「けれど個人的に評価してあげる。貴女の頑張りは認めるわ。きっと良い──」

女姉「──良い、クラスメイトが居たのね」フッ

女「……!」

女姉「暗くなる前に帰りなさい。良いわね、絶対よ」

女「あ、おね、えぇと先生…!」

女姉「なに?」クル

女「あ…その…えと…これからも、頑張りますっ」ピシッ

女姉「くす。ええ、勿論。だって期待の妹ですから」ニコ


ガラリ パタン
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:53:03.62 ID:m7QS7m8KO
女姉(フゥー、慣れないことするもんじゃないわ。顔、熱い)パタパタ

女姉(これでよかったのか教えてほしいものだわ。はっ、教師が聞いて呆れる。心の折り合いをご教授願うなんて完璧主義者にもほど遠い、)チラ

男「……えっと〜」ポリポリ

女姉「趣味が悪いわね、覗き見? それとも聞き耳?」

男「ふっ、不可抗力です! というか教室にカバン置きっ放しですし!」ブンブン

女姉「認めないわよ。…だから、少し付き合いなさい」ツカツカ…

男「えぇっ?」

女姉「大人の私をここまで辱めた責任を取って」じぃー

男「えぇッ!? 言い方悪くないっすかそれッ!?」

〜〜

男(コーヒー奢り程度で良かったんだ。安心した…)ズズズ

女姉「……」コロコロ

男「あの、飲まないんですか?」

女姉「飲むと吸いたくなるのよ、煙草」

男「え、吸うんですか? なんだか意外ですね」

女姉「昔、煙草を格好良く吸う先輩に憧れて始めたの。まあその程度だったから、ぱったり止めれたりもできたんだけど…」

カシュッ

女姉「ふぅ、今日は色々と当時を思い出したから。コーヒー程度で吸いたくなりそうよ」ニコ

男「そ、そうっすか」ドキ
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:54:06.24 ID:m7QS7m8KO
女姉「ねえ、質問があるのだけれど。いいかしら」

男「…どうぞ?」コク

女姉「じゃあ遠慮なく。君、まったく大人を信用してないでしょう?」

男「ぶほぉっ!? けほ、こほっ、一体なにを急に…!?」

女姉「最初に私が聞いた君の相談、あれ、前提から教師の『公式発表なし』という言質を取るためだけに出向いてきたんでしょうし、」

女姉「他にも色々と、大人を行動基準に入れずに考えた末に出た答えが、見え隠れしているもの」

男「そんなワケ、」

女姉「じゃあ今回で私の報酬を要らない、と言い切った君なりの意見は?」

男「それ、は」

女「大人がやることを信頼してないからでしょう? だから良い落とし所を考えて私に提案した。まあ、穿った見方をすればね」

女姉「聞かせて。どうして、そこまで大人を信用出来ないのかしら?」

男「違いますよ、それは…」チャポ

男「信用してないとかじゃなく、俺に出来ることと大人が出来ることを把握してるだけです」

男「やれないことは俺にもあるし、むしろ子供の俺のほうが多いでしょう」

女姉「そう、そうなのね」

女姉「信頼してないじゃなく、大人を期待してないのね。貴方は」

男「…………」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:55:40.62 ID:m7QS7m8KO
女姉「そっちのほうが問題だわ。子供らしくない、まるで大人以上に未来に道がないと言わんばかりじゃない」

男「だって、あーしてくれこーしてくれと嘆いたってしょうがないじゃないですか」

男「大人だって暇じゃない、例え先生でも生徒一人一人の都合に合わせられるわけじゃないし」

男「だから頑張るんです。無理してるなんて言われても、俺のために無理して他人を付き合わせるほうがもっと面倒くさい」

女姉「君…」

男「──先生。俺は期待するより期待される人間に成りたいんです、きっと」ニコ

女姉「……! ねえ、本当に願いは無いの?」

男「えっ? な、なんですか急にっ?」

女姉「良いから言いなさい、馬鹿ね、そんな苦労は大人になってから考えれば良いの」

男「こ、高校生も既に大人の仲間入りなんじゃ…」

女姉「それ以前の問題」

女姉(一人でなんでも出来るか、なんて大人になっても望むかどうか)

女姉(完璧主義者をうたう私であっても、他人の大切は痛感している)

女姉(この子こそ誰よりも『認めてくれる人』が必要じゃない。なのに、これ以上誰かに認められようとしてるなんて)

男「せ、先生…?」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:56:38.58 ID:m7QS7m8KO
女姉「決めた。妹を褒めるという願いの件、やっぱ無しよ。君への報酬にはならないわ」

男「はいっ!? でもこれ以上俺が女姉先生に叶えて欲しいのなんてっ」

女姉「どんなことだって良い。私という人間が出来ること、なんだってするわ」

男「ちょっ、これ他の人に聴かれたらやばいんじゃ…」ソワソワ

女姉「どうなの? 無いの? あるの? 考えつかないなら私が考えるわよ?」

男「うぐッ、マズイ本気ですね先生…ッ! うーッん、えっとぉ〜…ッ」

女姉(やっぱり無いのね。ここまで言えば邪な望みぐらいでると思ったのだけれど、まあ私の考えすぎか…)

男「───…実はありました」ダラダラ

女姉「え? ある、の?」

男「だめでしょうか…?」

女姉「い、いえ、駄目じゃない、全然駄目じゃないわ。ドンときなさい、私を期待して」

男「わ、わかりました! じゃあ早速ながら今日にお願いしたいんですけど…」


男「今から俺とラブホテル行ってもらえません、か?」


第五話 中編 2/2 終
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 17:57:05.65 ID:m7QS7m8KO
四日後にノシ
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 18:57:41.52 ID:4PQ3fwqp0
ワロタwwwwww
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 19:33:05.00 ID:ZvQ5pRzMO
確かに家はラブホテルだが言い方ww
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/26(水) 13:11:53.79 ID:CD3OrBfR0
うん?男も根っこは馬鹿だったねw
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:57:05.52 ID:2abiLlXbO
男「今から俺とラブホテル行ってもらえませんか?」

女姉「あぁなんだ、その程度なら別に構わな──」ほっ

女姉(えっ)


──ガタン ゴトン プシュウウウ…──


女姉(えっ)


ワイワイ ガヤガヤ ニイチャン ヤスクシトクヨー


女姉(えっ)


【前回までのあらすじ 男は教師をラブホに誘った。】


男「先生、この路地裏ではぐれると厄介なんで気をつけて下さいね」

スタスタ

女姉「……」ピタ

女姉(──返事に窮していたら、とんでもない所まで着いてきてしまったわ)

ブンブンブン…

女姉(しっかり気を保ちなさい女姉。なにを戸惑っているの、バカね)
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:58:01.60 ID:2abiLlXbO
女姉(私と彼は教師と生徒)

女姉(きちんと言わないと駄目よ…例え懇意にしていた生徒の願いであっても…)

女姉(で、でも、私からああまで催促して今更無しと言うのも可愛そ、ばか! 何を考えてるの!)

男「先生? 大丈夫ですか?」ヒョコ

女姉「ひゃいっ!?」

男「……本当に大丈夫ですか?」

女姉「くっ、も、もちろん大丈夫に決まってるじゃない…っ」

男「やっぱりココは慣れない雰囲気ですよね…」

女姉「──あら、大人の女性にあまり失礼なことは言わない方が身の為よ?」キリッ

男「そ、そうですよね! ごめんなさい!」ペコペコ

女姉(あ〜〜〜っ! ここに来て見栄を張ってる場合じゃないのに!あ〜〜っ!)キリリッ

男「じゃああまり遅くなるとあれなんで、急いで行きましょうか」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:58:34.21 ID:2abiLlXbO
女姉「どこへかしら?」ニコ

男「ラブホテルです」

女姉「………………………」ダラダラダラダラダラ

〜〜〜

女姉(なんとか説得方法を考えなければ、考えろ考えろ考えろ…)ズモモモモモ

男(なにやら居心地悪そう。やっぱり生徒と一緒じゃ駄目な場所だよな)

男(まあ一応、人気少ない路地裏を選んでるつもりだけど…)スタスタ


男(──しかし、先生が知っていたとは。俺が住んでる場所がラブホテルだって)ウンウン


男(言い方マズッたかと思ったけど、案外、普通に着いてきてくれたし)

男(事前に調べてたのかな。まあ【あの部屋】ことは覚えてるか分からないけど…)

女姉「君はこの辺に随分と土地勘があるのね…」オドオド

男「え? ええ、この制服姿じゃやっぱり目立っちゃうので」

女姉「へ、へぇ〜…手慣れてるじゃない…」チ、チラ

男「頑張って探したんですよ、いつか友達を連れてきたいと思ってますので…」テレテレ

女姉「友達未満で!?」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:59:13.00 ID:2abiLlXbO
男「えっ、あっ、それはまだ早すぎますかねっ?」ビクッ

女姉「あったり前じゃないの! 今の発言は教師として聞き逃せないわ…!」

男(やはりそうだったのか…俺も友達を家に連れていくのハードル高いと思ってたんだよな…)

女姉(嘘、この子見た目によらず肉食系なの…そう、そうよ私を連れて行こうってぐらいだもの…)

男「じゃあ先生はどれぐらいなら友達を連れても良いと思いますか?」

女姉「ええっ!?」

男「是非、先生からご教授願いたいです」キラキラ

女姉(なんて澄んだ眼をして…ううん、そうよ、教師としてやることは一つ)

女姉(この子をこっち側に引き戻すのよ、私の教えで)グッ

女姉「えっと、その…まずはお互いの気持ちを知って、分かり合ってから、きちんとした段階を踏んで…」

男「はい先生、質問です」シュバァ

女姉「はい! 男くん!」ビシィイイ

男「すると段階が一発で分かる手段はなんでしょうか?」

女姉「良い質問よ。それはもちろん──キスでしょうっ」ピッ

男「キスですか!? キスが正解ですか先生!?」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:00:26.10 ID:2abiLlXbO
女姉「わわ私はそう思うのだけれどもっ!? ささ最近の子はそれとも違うのかしら!?」キョドキョドドド

男「俺もちょっと知らないですけどッ! キス〜〜ッ…てぇのは口、と口を…?」

女姉「く、くっつけて…そう、…互いの口を…」カァァ

女姉(わ、私は一体何を言って…でもこれで彼に清く正しい順序を教えられたはず…)

男「よし! 話を参考にして友達できそうになったら、なんとかやってみます!」

女姉「一切分かってないじゃない! 話し損よまったくッ!」

〜〜〜

男(友達作りって想像以上に大変なんだな…さらに不安になってきた…)ズーン

女姉(どうやったら清く正しい交際の仕方を教えられるのかしら…)ズーン

男「先生、どうやら俺には難しいみたいです。当分のところ諦めておきます…」

女姉「そう簡単に諦められちゃ困るのよ……!」

男「うぐッ、じゃ、じゃあ先生はどうやって(友達)作ったりしましたか?」

女姉「えっ…!? ど、どうやって(恋人)作ったか…!?」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:02:40.62 ID:2abiLlXbO
男「関係を深めるのがどうにも苦手なんですよね…」ハァ

女姉「き、君なりの悩みがあったのね…けれど教えられるほど私も経験が…」

男「え、もしかして(友達作りの)経験ないんですかっ?」

女姉「………、ハイッ!? えっ、あっ、えっ!? ちがっ」カァアアア

男「意外ですね…そうは見えないのに…」マジマジ

女姉「いやっ…そうと決まったわけじゃ…」キョドキョド

男「あ、失礼なこと言ってすみません…経験ないとか…」ペコペコ

女姉「そんなこと謝らなくても結構よ!? ていうかそうと決めつけないで!」

男「でも経験がないってさっき…」

女姉「さ・ほ・ど、よ! さほど! まるっきり無しとは言ってないじゃない!」

男「すみません! ではご教授のほどよろしくお願いします…!」

女姉(墓穴を掘ってしまった!)

男「あの、無理して嘘をつかなくても良いんですよ…?」チラ

女姉「なによその同情した顔は…ッ! 良いわよ、大胆不敵な過去話しに震えなさい!」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:03:08.00 ID:2abiLlXbO
女姉(こうなったら見栄っ張り上等でとことん上塗りした恋愛話をぶっちゃけて──)バッ


女「………」ヒョコ


女姉(───うん?)ダラダラダラダラ

男「先生? 後ろがどうかしましたか、ぱふぃっ!?」バチン!

女姉「絶対に、振り向いちゃ、ダメ、わかった?」ミチミチミチ

男「ふぇ、ふぇい」コクコクコク

女姉(なぜにあの子が此処にッ!? 私たちの後を着いてきてた…? 一体どこから!?)チラ

男「…っ…っ…」ドキドキ

女姉(って不味い、この距離で近づいてたらあっちに勘違いされるっ)ぱっ

男「なんですか急に…びっくりしまたよ…」チラ

女姉「──行きましょうか」

男「えっ?」

女姉「さっさと行くのラブホテルに! 速攻で誰に見つかることもなく!」

男「声量考えて先生! いくら人気無くてもヤバい内容ですから!」

女姉「ごちゃごちゃいわずにさっさと行く…!」グイグイ

男「え、ええっ…やっぱり経験ないの誤魔化しにかかってるんじゃ…」

女姉「だまらっしゃい!!」ズンズンズン
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:03:57.66 ID:2abiLlXbO
女姉(あの子が居るなら悠長にしてられない! ろくに帰宅ルート覚えず来たから戻れないし…!)

女姉(手早くホテルに向かって姿をくらます。道中で妹を巻けばいいだけっ)

女姉「ほらっ! 貴方が行きたがってるホテルはどこにあるのっ?」

男「そこの通りまっすぐですけど、あの、少し声量を落として…」

女姉「今更恥ずかしがる神経持ってないでしょ貴方は!」


ずんずん ずんずん


男「ここ、です」

女姉「ここね! じゃあ早く入店して───」


『スィートランドホテル』


女姉「──ふええ?」キョトン

女姉(ここって、確か。え、あれ、見覚えあるけど、あれっ? あれれっ?)

女姉「…っ…」カツン

男「──先生」がしぃっ

女姉「ひいっ!? お、男くん!?」

男「今、逃げようとしましたよね? ダメですよ、逃がしませんから」ギュウ
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:04:30.23 ID:2abiLlXbO
女姉「まっ、待ってくれない? え、どうしてこのラブホテルに…!?」

男「何を今更知らないふりをしてるんですか」

男「俺にはどうしても解決しなければならない事があるんです。ご覚悟を」

女姉「解決…なにそれ、待ってちょっと!? やだやだやだやだ! ここはやだ!」グイグイ

男「あ! やっぱり今の今まで部屋のこと忘れてたんですね!」

男「でも諦めませんよ! これが俺の願いです! しっかり解決させてもらいます!」グイグイ

女姉「やめてやめて! ほかのラブホテルだったら良いから! 着いていくからここだけはイヤ!」

男「ここまできてなに意味不明なこと言って、るんッ、ですか…っ」ギリギリギリ

女姉「いぃ〜〜〜〜やぁあ〜〜〜〜っ」ギリギリギリ


「──大声でうちのホテルを大否定するな、迷惑だろ」シュボッ


女姉「ひぃいっ!?」ビックゥウウン

叔母「ん? あれ、お前…」フゥー

女姉「あっ…あぁあ…っ…! せ、せんぱ…っ」

叔母「とうとう生徒に手を出したのか?」

男「ちがう!! もう叔母さんは黙っててください! ややこしくなるから…!」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:05:50.61 ID:2abiLlXbO
叔母「いや普通の心配だと思うんだけど…」

女姉「叔母…さん…?」

男「と、取りあえず店に入りましょうっ? このまま目立つよりましですから!」

女姉「え、ええ…は、はい…?」ス、スタスタ

叔母「というか会うの久しぶりだな、元気してた?」チョンチョン

男「中でやってくれ中でッ!」


スタッフルーム

女姉「──先輩の甥っ子ですって?」

叔母「言っただろ、以前に。私の甥っ子がそっち入学するって」

女姉「言ってましたねえ…街角で『来月、甥っ子がお前の所向かう』と後ろから唐突に…」ピクピク

男「なんで暗殺者みたいな報告するんですか…」

叔母「面と向かえば逃げるのが目に見えてたから?」

女姉「恐ろしさに振り返ったら、誰も居ないよりマシだと思いませんか!?」

叔母「おあいこだろ」フゥー

女姉「ど・こ・が! ですか! まったく本当に昔から先輩は変わってなさ過ぎです!」

叔母「そういうお前もまったく変わってないよな、特に胸とか」

女姉「きぃーーー!!!」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:06:22.79 ID:2abiLlXbO
男(やっぱ姉妹だなあ。女さんと怒り方が一緒だ)

男「こほん、では早速ながら先生にお願いを叶えて欲しいんです」

叔母「まさか君…44号室の謎を…?」

女姉「えっ!? ちょ、ちょっとまだあの部屋あるんですか!?」

叔母「うん。というかこの子を住まわせてる」

女姉「当時から何も変わってないなあこん人はーッ!」

女姉「っていうか、一体なにを考えてるんですかっ?! 年端もいかない子供を住まわせるなんて…!」

叔母「ここまできたやつが言うセリフじゃないぞ」

男「そういえばここが家だと知らずどう納得して来たんですか…?」

女姉「わ、わぅ忘れなさい! いいのよもうそれは…っ」

叔母(きっとエロい勘違いしてたんだろう)ひそひそ

男(じ、実はわかってますけど黙ってて下さいっ)ひそひそ

女姉「聞こえてるわよそこの一家…ッッ!」ぴくぴく

男「と、ともかく! 俺の願いを聞いて下さい! 先生!」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:06:55.58 ID:2abiLlXbO
【一方、その頃】


女「……」ヒョコ

清掃「……」ヒョコ


女「じゃ、じゃあ本当にさっき言ってたとおりなのね…?」

清掃「うん! ボクは見た、オトコが嫌がる女性を無理やりホテル連れってたトコロ!」フンスー

女「なんて…なんて悪辣非道なやつなの…!」ワナワナ

女(この私に近づいたのは、私のお姉ちゃんを手中に収めんが為の行動だったのね…ッ!)

清掃「ボス? どうしやすか?」わくわく

女「無論! 乗り込んでとっちめてやるわ!」

女「──大切なお姉ちゃんは私が守ってみせる! 行くわよ、手下ケルケル!」バッ

清掃「らじゃー!」ダダッ


【数十分前】

女「ひぐ、えぐ…がえりがだ…わがんばい…」ヒックヒック

女(どうしよう、このまま黒い服の人に拾われて外国に売られちゃうんだ私…っ)トボトボ

女「うぅ〜っ…これも全部、アイツのせい…あの男のせいじゃない…っ」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:07:34.86 ID:2abiLlXbO
ごしごし

女(あ。そう考えだしたら腹が立ってきた…なによお姉ちゃんといつの間に仲良くなってたワケ!?)

女「こ、この私を弄んだ挙句にそーいうところ向かっちゃうなんて上等ねッ!」クルッ


清掃「……」じぃー


女「部屋に乗り込んでとっちめて、きゃーーーーーーーー!!??」

女(あ、あれってどう見ても以前に校門前で事故ってた外国人…!?)チラ

清掃「……」じぃーーー

女(見てる! どうしてこっち凝視してるの…!? やだ、このままじゃ本当に売られちゃう…?)

清掃「アノー?」ニコニコ

女「ひいいっ!? お、おいしくにゃいから! 食べても私おいしくない…!」ガクガクガク

清掃「もしかしてオトコのトモダチなの?」

女「…え? 友達…?」ぐす

清掃「だって同じ制服きてるから、同じかなあって、トモダチかなあって」ニコ

清掃「もしや迷子してる? ならケルケルが駅に連れてってあげ──」

女「馬鹿ねッ! アイツと友達なわけ無いじゃない! 生涯かけての敵よ、ライバルよ!」

清掃「Rival…?」キョトン
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:08:05.11 ID:2abiLlXbO
女「そう! 決して心許す友じゃない…
  もっとこう複雑で、心がぽかぽかして、とにかくそんな気安い関係じゃなことは確かね!」

清掃「ほほー…凄い…トモダチなくってRival…凄い…」キラキラキラ

女「ふ、ふん! そんな敵の味方の言葉にほいほいついて行くものですか…っ」チ、チラリ

清掃「ううん、ボクはもうオトコの味方ちがう」フルフル

女「えっ!? な、なぜ…?」

清掃「ボクは見た。信じてたオトコが女性むりやりホテル連れていくトコロ!」

女「それはもしや…」

清掃「相手は大人の女性だったよ。キリリってしてCoolな人だった」

清掃「──でも、オトコはワガモノ顔で引っ張ってったの! ぶんすかだよケルケル!」プンスカプン

女(お、お姉ちゃんの事だわ! あああっ、遠くで顔が見えなかったけど嫌がってたのねお姉ちゃん…!)ポロポロ

清掃「ケルケルは裏切られた…きっとオトコは優しくて格好いい素敵なオトコ思ってた…」

女「そう、そうよ。奴は人の心を弄んで悦に浸る最低最悪の人間なの!」

清掃「くッ…なんてやつなんだオトコは…!」

女「賛同してくれて有り難いわ! よし、そうと分かれば私についてきなさい!」

清掃「ワオ! ボクもパーティ入り決定しちゃった!?」パン

女「もちのロンよ! よぉーーしッ! 悪の魔の手からお姉ちゃん奪還作戦、開始よ!」
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:09:37.51 ID:2abiLlXbO
44号室前

女「覚悟して突っ込んだ割に結構、普通に入れちゃったわ…」

清掃「ケルケルここの清掃員だから! それで、オトコ達はここに居ると思うよ」

女「な、なるほど。こっ、この部屋にお姉ちゃんとアイツが…」ゴクリ

清掃「さっそく乗り込むワケですかボス?」キラキラ

女「まずは聞き耳よ! 中でどうなってるか確認しないとマズイ気がする…!」ソソソ

『──先生、覚悟は決まりましたか?』

女「こ、これって…あわわわ…」

清掃「もう始まっちゃってた?」

女「まだ…決定的な単語を聞くまではまだ…っ」ブルブル

『──ま、待って…少し準備させて、シャワーの方だってまだ…』

女「ひゃわー!?」

清掃「オトコってばせっかちさんね」ニコニコ

女「せっかちひゃん!?」


室内

男「いい加減覚悟決めて目を開けてくださいよ、先生」

女姉「いやよ…この部屋はトラウマなの、もう二度と訪れないと心誓ったのよ…」ブンブンブン
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:10:07.10 ID:2abiLlXbO
男「気持ちはわかりますが、さっさと終わらせたいのなら手短に済ませたほうが…」

女姉「うん…わかってる、わかってるのよ…!」ギュウウ

男「手洗い場だけじゃなく、シャワールームにだって超常現象起こるんですからね」ガチャ

女姉「ひっ!? ど、どこにいるの男君!? そばにいて頂戴…!」オロオロ

男「はいはい、ここですよ先生」ギュッ

女姉「うん…」ギュッ

男(なんだこの状況…)ポリポリ


女「手を握ってとか! そばにいて頂戴とか!」ボッ

清掃「意外とラブラブ? ケルケル勘違いしてた?」

女「そ、そんなしおらしいコトいうお姉ちゃんじゃない…! きっと脅されて、そうアイツに弱み握られてるんだわ…!」

清掃「オッケ! じゃあ開けて確認しちゃおう!」ガチャ

女「待って何、その突然の決断力!? もしお姉ちゃんが恥ずかしい格好だったらどうするつもりよ!?」

清掃「大丈夫。ボク、小さいお胸興味ないから」ケラケラー

女「お姉ちゃんがどう思うかの話してんのよコッチは!」

女(でも、このままじゃ埒が明かない…強行突破もやむなしかしら…!?)


『──俺は何処にも行きませんよ、側に居ますから』
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:10:50.34 ID:2abiLlXbO
『男くん…』

女(っ! お姉ちゃん騙されちゃダメ──)

『うん、今だけは貴方に素直な気持ちで告白するわ…』

女「──…!」

〈自分も委員長に立候補します〉
〈? なにしてるの? 早く一緒に帰ろう、確か同じ方向の駅だったよね〉

女(…なによ、それ)

女(誰にだって言うんじゃない。誰でも、アンタにとっちゃ【そーなのね】)

女(ふん、どーせそういうことだろうと思ったわよ。私みたいなやけっぱちな人間なんて、)


〈──良い、クラスメイトが居たのね〉


女(…誰からの評価も、得られないんだって)クル

清掃「ボス?」

女「いいの、もう。だってわかっちゃったから、私が頑なに認めたくなかっただけ」

女「二人は何処か遠くまでとってもとっても仲良くなってたの。…私が知らないうちに」

スタスタ

女(私はただ認めてほしかっただけ。ただ憧れの人に「頑張ったね」と言ってほしかっただけ)
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:11:45.37 ID:2abiLlXbO
女(なのに私はひとりぼっち)グス

女(お姉ちゃんも、貴方も。二人だけでどこか遠くにいってしまった)ゴシゴシ

女「…結局何がしたかったのかしらね、私ってば」

清掃「……」

女「もう帰る。あとお願い、駅まで送ってくれる?」ニコ

清掃「オトコは本当にサイテーだ」

女「うん? その話はもう…」

清掃「違うよ。ボスは今、オトコのせいで泣いてる。ケルケルそれがわかっちゃう」

女「えっ?」

清掃「はっきりとボクはオトコがサイテーだって思った。ケルケルはきっとそんなオトコを困らせたい!」

女「こ、困らせたい? 一体何を言ってるの?」

清掃「オトコ好きなんでしょ?」

女「ぶぅぅぅぅッ! ゲホゴホッ、急になに言い出した!?」

清掃「なら立ち向かう! 諦めちゃそこで試合終了だよーーー!」ダダァッ!

女「えっ、ちょまっ、引っ張らないでやあああああああ!!」ズルルルルルッ


ガチャッ!!

女「待って、いや! ごめんなさいッ──」ギュウウ
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:12:41.99 ID:2abiLlXbO
男「ナマイダブナンマイダブ…」ブツブツ…

女姉「ドーマンセーマン、ナンミョウホウレンゲッキョウ…」シャラン…シャラン…


女「…………、なにやってんのお姉ちゃん達」ドンビキ

女姉「え? きゃあ!? な、なぜ貴女がここまで来てっ!?」

男「一体どうやって…!?」

清掃「それはケルケルだよ〜」フリフリ

男「余計に意味不明なったよケル君?!」

女「待ってお姉ちゃん、何、さっきの『ここまで来て』って…」ハッ

女「──私が追ってきてたの知ってて、ここまで来たの?」

男「え、そうだったんですか?」

女姉「かっ、勘違いされると思ったからよ! だって、二人でこんな繁華街に居たら絶対に貴女勘違いするでしょう…!?」

女「その妙な様子じゃ違う目的だったみたいだけど、じゃあどうして逃げたの…?」ブルブル

女姉(私がやらしい勘違いしてたなんて説明できるわけ無いじゃないッ!)

女「説明してくれれば良かったじゃない…やっぱり期待、とか嘘だったんだ…」ポロポロ

女姉「な、泣かないでっ?」

女「だから誤解よ、ここに来たのは初めてだもの。だからそんなワケない、私はちゃんと貴女のことを思って…」

女「本当に…? 嘘ついてない…? ぐすっ」
201 :ていせい :2016/10/30(日) 21:13:38.95 ID:2abiLlXbO
女姉「そのとおりよ、私は変わったの。他意無く素直に向かうって心に誓ったのよ…」

女「お姉ちゃん…」

男(いい話だけど全然ラブホテルでやる内容じゃない…)


受付「ねえねえ聞いてー! 霊の人を外で見つけたんだけどー!」ガチャア

受付「──さっき男君に路上チュー迫ってるの見ちゃったけどアレなに、…ん?」キョロ


受付「あれ? 居るじゃん、霊の人!」ビシッ

女姉「え? 私?」

女「例の人って、どういうことお姉ちゃん…? そう呼ばれるぐらい、ここに通ってたの…?」

女姉「えっ!? 私っ!?」

女「しかも路上チューって…それっ…もう、もうっ…!」

女姉「知らない全く知らない! 例の人って呼ばれるの今日が初めてだけど!?」

清掃「ワオ! よく見ると本当に霊の人だァー!」ガー!

女「ほら従業員の人まで呼んじゃった! うそつき! お姉ちゃんのうそつき! 生徒に手を出しまくる変態教師ぃー!」

女姉「誤解よ全くの誤解よ!」ブンブンブンブン
202 :ていせい :2016/10/30(日) 21:14:10.98 ID:2abiLlXbO
女姉「違うったら違うの! き、君からも説明して頂戴…!」

男「……俺がどう、貴女が勘違いしてここまできたか説明しろと……?」

女姉「あ、うん…それはちょっと肩の荷が重すぎる、かな…」ズーン

女「なによ二人して分かりあった雰囲気出しちゃって! もう、もういいわ! おめでとう! 結婚式にはちゃんと呼んでよね!」ダダッ

女姉「ま、待ちなさい妹! 貴女はとんでもない勘違いをしてるのー!」

ガシッ

女「…っ…!」バッ

男「待ってくれ! 先生の誤解はともかく、俺からはちゃんとした説明はできるっ」

女「な、なによ…アンタだって私をダシにしてお姉ちゃんに近づいただけでしょ…っ」キッ

男「とんでもねえ誤解されてるね! 違うっ、それは違うんだよ女さん…!」

男(みんな騒いでて気づいてないが、俺達の後ろでは凄いことが起こってる……!)

ぼごぉん ボゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ

男(お風呂場から凄まじい水漏れ音、やはり女姉先生の戸惑いがリンクしてるんだ…!)

男「これを見てくれ。見てくれれば一発で分る、今の不思議な状況がね」スッ

女「どういうことよ…っ?」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:14:43.35 ID:2abiLlXbO
男「あ、開けるよっ? どんな状態なのか俺に教えてくれればいい、それだけだ」ガチャ

女「……?」チラ

男「行くよ──」ガッパァアア

女「……!」


ほかほか ほかほか ほわわん


男「………」

女「……お言葉に甘えて、言わせてもらうけど……」

女「──超準備万端じゃないッ!!!」カッッ


叔母「もう用事済んだ?」ヒョコ


男(タイミング考えて叔母さァーーーーーんッッ!)

女姉「」ちーん

受付「あ。ピンと来た、幽霊的なの今抜けてったな」

清掃「わーい!」


【誤解はすぐに解けました。】
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:15:13.26 ID:2abiLlXbO
【オマケ:ケル君と男で女を駅まで見送り中】


女「とんでもない日だったわ…お姉ちゃんのこと、あと宜しくね…」スタスタ

男「叔母さんと受付さんが責任持って朝まで飲み付き合うってさ…」スタスタ

清掃「にしてもボス、今日は頑張りましたデスネ!」

女「ふ、ふふん。そうよ? これも貴方が誤解を招くようなことをするからよ…!」

男「そうであっても、よくここまでこれたもんだ。怖くなかった?」

清掃「トモダチだからだよ、心配だからきっと追いかけてきたと思う」

男「トモダチ…?」トクン

女「ばっ!? 違う違う違う、ライバルよライバル! 友達はちょっと…私達的に見合わないじゃない…?」チラチラ

男「ま、まあ、そうだね。だから友達どころか親しい人間かも怪しいよ、ケル君」

女「…そう?」ズキン

女(なによ、そうまで言い切らなくても良いじゃない…これでも私だって少しは貴方のこと…)

男「だってキスしなきゃいけないんだよ? 友達同士で」

清掃「エッ…!」

女「一瞬たりとも認めたことないわ! [ピーーー]変態ッ!」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 21:15:44.42 ID:2abiLlXbO
ちょっと過ぎてすんませんした

気まぐれに更新ノシ
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 21:37:55.08 ID:2JgjZbf0o
おつおつ
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 23:01:09.09 ID:k0UyR42Co
清掃「エッ…!」///
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 01:09:13.85 ID:pOVqluLAO
受付「いいじゃんいいじゃんちゅーくらいしちゃいなよー」ケラケラケラ
と受付さんなら言いそう
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 05:58:28.80 ID:IyBpxZ36o
よく考えたらまともな部屋に戻ったら客室に使えるから従業員が使う訳にはいかないな
男が使う部屋無くなっちゃったから叔母さんと住むしかないな
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 20:33:58.35 ID:wnofLWokO
>>209
まともな部屋になったところで男用に改造されてるからどちらにしろ客室には使えないぞ
それにもうホテルで生活させると兄に電話しちゃったし
今更一緒にとかなったら兄が引き取ることになる
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/02(水) 18:01:01.12 ID:ifdLcY3m0
住民票とかどうなってんだろ
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/12(土) 18:06:13.49 ID:tebPm15QO
マダー?
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:36:13.49 ID:WpcBWA3KO
男(あ。シャンプー切れてる)シャコ シャコ

男「まあ一日ぐらい洗わなくても気にしないけど…」ギトギト

男「………、うん! 無理だな!」

〜〜

男(そういや今日、女さんの校外掃除手伝ったせいで汗かいたんだった)スタスタ

受付「おんやー? こんな時間からお出かけかね青少年?」ヒョコ

男「ええ、実はシャンプーが切れたのに気づいてしまって」

受付「ありゃりゃ、ならホテルの据え置き使いなよ。沢山あるから使ってもバレやしないし」

受付「それにボディソープから石けんまで完備してるよー? げへへ、ご輿望あればヌゥルンヌルンのローションもあるけど?」

男「………」ボーゼン

受付「なにかねその顔は?」

男「まさか受付さん…金がもったいないからと、ここのホテルのシャンプー使用してないですよね…?」

受付「普通にやるけど」

男「いやぁーーーーーーーーーーー!!!」ギャー

受付「わ! 出た出た、君がたまに見せる乙女系反応だ」

男「信っっっじられないです! 不可解です! どうして使うんですか、意味不明過ぎてもうもうっ」

受付「突如どうしたのさ、急に」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:41:16.92 ID:WpcBWA3KO
男「あのですね!? 安価なシャンプーは逆に汚れるどころか髪を傷めるんですよ…!?」

受付「ふーん」

男「ふーん!?!?! なんだその興味ない反応、本当に女性ですか貴女…!?」

受付「気にし過ぎだってば。別に髪傷んでないしいい匂いするよ、ほれほれ」コショコショ

男「へっぷし! やめてください! 匂いが移る!」ぺしっ

受付「匂いが移る!?」

男「まったく、じゃあ安くて良いシャンプー選んであげますから、今度一緒に買いに行きましょうよ…」

受付「あれれ? お姉さんもしやデート誘われちゃったカナ?」ニママ

男「一分そこらの周辺店舗で売ってますけど? 舐めるな市販品を」

受付「なーんだツマンナイのっ! ふーんだ、どーせお姉さんはお酒臭いラブホ従業員ですよーだ」

男「色々きにしてるなら気を使ったら良いじゃないですか…」

受付「自分が気にしたって、気にしてくれる人が居なきゃ意味ねーでしょうが」ブーブー

男「身だしなみ人のせいにする人初めて見た…」

受付「あ、そうだった忘れる所だった」ポン

受付「男くん。これから大人の女性的なエチケットタイムなので、そろそろ出かけたらどうデショ?」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:41:43.43 ID:WpcBWA3KO
受付「まあ見たいのなら見ていっても良いのよ、うふ」

男「た、頼まれたって見ませんよっ」

男(俺も悠長に話してる暇なんて無いんだ。店が閉まる前に買い物済ませないと)

シュッシュッ

男(ん…? 何だこの音、それに匂いは…)チラ

受付「〜♪」シュッシュッ

男(ファ!? ファブリーズ!? 己の身体にファブリーズ!?!)ズガァーン

受付「ふんふーん♪」ゴシゴシ

男(お、おおおしおしおしっおしぼりででででっ身体をふいッ…拭いてっ!?)ガクガクガクガク

受付「よしっと。あ…ヤダッ! 何見てるの男君ってば! えっち!」キャー

男「………」

男「黙れ馬鹿野郎」

受付「考えた上での返答が罵倒だなんて!」

男「アンタ本当に…っ…なんでそうなっちゃったんですか…ッ! 俺なんか悲しくなってきましたよ…っ!」

受付「まあまあ落ち着いて。事情があって仕方なくよ、普段はちゃんと一式用意してるから」

男「本当にですか…?」チラ

男(……なぜスタッフルームに寝袋や食い散らかったカップラーメンの空容器があるのだろう……?)
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:43:31.75 ID:WpcBWA3KO
男「どういう状況なんですか、コレ」ドンビキ

受付「そろそろ帰らないと駄目だよね。オーナーにバレたらどやされちゃう」キャピ

男「何か帰れない理由でも…?」

受付「え、面倒だから?」

男「さっさと帰れ!」

〜〜〜

男(まさかここまでとは思ってもなかった。だらしない人だとは分かってたつもりだったけど)

カチャカチャ じゅわわ〜

男「…むしろ普段、なにしてるんだろあの人」

叔母「私はゲームだよ」もぐもぐ

清掃「ボクもゲームだよっ!」もぐもぐ

男「うん。だいたい知ってます、貴方達のことは」

叔母「まあ全てケルケルくんのおすすめばかりだけど」

清掃「ownerのみこみ早くて助かるですよ? ゲー友としてバッチリ!」ニコニコ

叔母「折角やるなら一番目指さないと」

清掃「ほわあ〜…かっこよすですなあ〜…」キラキラ

男(この人達もブレないな…私生活が目に見える…)

男「ケル君おかわりいる?」

清掃「たべるよー! さっきのヒトリゴト、フォクシーのこと言ってた?」コテン
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:44:10.85 ID:WpcBWA3KO
男「了解。そうそう、受付さんって普段なにしてるんだろーって思ってさ」

叔母「…」

清掃「…」

男「な、なんですか二人変な顔して…」

叔母「変なこと気にするんだね、君」

清掃「と、トモダチになるつもりなの…っ? フォクシィ狙ってるのっ?」ドキドキ

男「いやっ、だって、知ってるようで全然知らないのが不思議だなあって…!」

叔母「ふーん。とりあえず部屋がきたなそう」モグモグ

男「俺もそう思いますけど、貴女が言える立場じゃないのわかってます?」

男「じゃあケルくんは何かしらない?」

清掃「……、ボク知らない」プイ

男「え? そ、そうなの?」

清掃「……」じぃー

男「? っ??」

清掃「せっかちでせっそうないオトコきらいだもん」

男「本当に待って、何を言ってるのケル君?」

清掃「ウソついたってボクにはわかるよーッ!」プンスカプン

叔母「ケルケル君。彼はね、胸の小さい女性に興味がないんだ」

清掃「そうなの?」

男「ちょっと黙っててもらえます!?」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:45:00.93 ID:WpcBWA3KO
清掃「なーんだ、だったらイイヨ! 気になるならココに言ってみればおけーよ!」ピッピッ

男「どれどれ、…あ、そうか」


神社


男(繁華街の近くに神社があったなんて…)キョロキョロ

男(44号室の幽霊騒動の時も、現職巫女さんだって言ってたし、確かにココに来れば…)

男「……。今更だけど、なんでラブホで受付やってんだあの人」


巫女「お参りですか?」


男「ひゃいっ!? え、あっ、はいっ!」

巫女「でしたらこのまま真っ直ぐ向かって本堂の方へ」

巫女「くじを引かられるのなら本堂手前で販売しております」

男「ど、どうも…」ペコリ

巫女「いえ」スタスタ

男(びっくりしたぁー、まったく気配が感じなかった)

男「そりゃそうだよな、受付さん意外にも巫女さんはいるか」スタスタ

男(今日が休みとかじゃなかったら良いんだけど、無事に会えるかな)



クジ売り場


受付「くじは一回百円になります。…お」

男「あ!」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:45:42.77 ID:WpcBWA3KO
受付「なになに、その行動力は。まさか君が来るなんてさ。オーナーに頼まれて監視にでも来たの?」

男「受付さん…! その格好…!」

受付「おや? もしかしてぇ? お姉さんの巫女姿見に来ちゃった感じ?」ウフ

男「本当に巫女の格好してる…! おしぼりで身体拭いてた人が…!」ワナワナ

受付「君、本当になにしに来たの」

男「ご、ごめんなさい衝撃が凄くて…少し落ち着きます…」

受付「まあこの時期なら人いないし別いいけどね。今日は単なるお参り?」

男「え? いや、その…」

受付「だったら本堂でお金ポーンしてきちゃいな。縁ありで五円とかなしで千円ぐらい」

男「んな余裕あるわけないでしょう! こっちも切り詰めて日々過ごしてるんですから」

受付「くふふ。お家お金持ちのクセしてね、そーゆうところ好印象よ? お姉さん的に」

男「物は言いようですね…自分でもけち臭いって思ってますよ…」

受付「あ、そうだ。参拝の仕方わかる? 教えてあげよっか?」

男「うっ、実はちょっと不安があって。でも仕事中なんじゃ無いんですか?」

受付「巫女だぞ巫女! 参拝者に説法説いて何が悪いのかね?」

〜〜
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:46:10.77 ID:WpcBWA3KO
受付「御手洗で手を洗ってね。あ、口はゆすがなくていいよばっちいから」

男「えらくぶっちゃけますね…」

受付「手を洗うだけでも意味あるし、最近はなしの方向も全然ありだよ」

受付「んでもって本題の参拝方法だ。まずは一礼」スッ

男「は、はい!」スッ

受付「次にお賽銭ぶっこんで、鈴を鳴らす。そして二礼二拍一礼、この時に願い事!」ムムム

男(願い事…! なんだっ、覚悟せず来たから願い事考えてなかった! どうしよう!?)

受付「──なんでもいいよ。君が思ったように、好きに願えばいいから」

男(なんでも、良い。俺が叶えて欲しい、いや…)

男「──……」スッ

受付「終わった?」じー

男「うぇっ? あ、はい…!」

受付「ずいぶんと真剣に願ってたから、お姉さんじっくり観察しちゃったよ」

男「…た、大したこと願ってませんよ別に…」フィ

男(少しびっくりした。受付さんの雰囲気、がらりと変わったような気がする)

男(参拝の教え方はざっくばらんだったけど、きちんと教えてくれたし。普段からこうだったら良いのに)
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:46:50.89 ID:WpcBWA3KO
受付「じゃあ最後に小さく一礼して、はい、これで参拝方法しゅうりょー」ワー

男「なんだか凄い緊張しました…! ヘンですよね、日本人なら手慣れてきゃいけないのに」

受付「いや普通知らないデショ。知ってても忘れるし。行く度にケータイで調べ直してるんじゃない?」

男「そ、そういうモンなんですかね?」

受付「だって私がそうだもの。ウィキペディアって便利よね」ピッ

男「今のところ見た目だけっすね、巫女さん要素」

受付「にしてもびっくりした、急にくるんだもん。前もって言ってくれれば色々用意したのに」

男「いやいや、参拝客に何を用意するんですか」

受付「定番なのは甘酒とか? あとはーそうそう! 特別に大吉引かせてあげたりとか!」

男「有り難み一切無し!」

受付「Twitterで拡散していいよ? ここの神社は大吉超当たるって」ケラケラー

男(まったくもって巫女さんがいうことじゃない…)

受付「あ。そうだそうだ」ポン

受付「そろそろお姉さんも仕事終わりだし、帰りに商店街に寄ってシャンプー買っちゃおっか」

男「え、憶えてたんですか? 俺の約束…」

受付「君、たまに本気でお姉さん事アホだと思ってない?」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:47:26.85 ID:WpcBWA3KO
男「ち、違いますよ! どーでもいいことだと思われたかなって!」


「──受付さん…」カタン


受付「む?」

巫女「………」ワナワナ

受付「なんだミコ。変な顔して」

男「あ。さきほどはどうも…」ペコリ

巫女「……。これは、どういうことなのです、か?」

受付「どーもこーも巫女として仕事全うしただけじゃんか、何か問題あった?」

巫女「……」ちょいちょい

受付「? どったの?」スタスタ


ガシィイイイイ!!


受付「ごぇっ!?」

巫女(いつの間に年場もいかない子供に手を? なぜそれを私に黙って?)

受付(ちょ、タンマタンマ閉まってるから首…ッ!)

巫女(ああ…っ)ぱっ

巫女(なんとうことでしょう。私という友人を持っていながらなんたる意地悪)ヨヨヨ

巫女(しゃんぷーを買いに手を繋いで仲良くお帰りデートなんて、なんてもう羨ましい)

受付「うん、アンタがウチらの会話聞いてないのよくわかった」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:52:47.97 ID:WpcBWA3KO
巫女(これは罰としてお聞かせ願わないと駄目でしょう)

巫女(──やはり、性を知ったばかりの少年は毎夜毎夜と求められますか? 一夜で何回ほど…?)キラキラ

受付「口閉じろ変態巫女。今から紹介するから」

〜〜〜

巫女「はじめまして。わたくしこの神社の巫女を務めさせて頂いております」

男「はじめまして! その、俺は男といいます…!」ペコペコ

受付「あとバイト先のオーナーの甥っ子ね」

巫女「まああの方の甥っ子…」

男(なにげに有名だな、叔母さん)

巫女「それはそれはあの方に似て聡明なのでしょうね、何処か雰囲気も似てらっしゃる」

男「そうでしょうかっ?」テレ

巫女「…ところで、今年でお幾つで?」

男「こ、高校一年になります!」

巫女「まあ。見た目以上に大人なのですね、すみません。勝手に中学生辺りかと…」

男「あはは。よく言われます、はやく立派な雰囲気を持ちたいですけどね」

巫女「……もったいないこと仰る……」ボソリ

男「はい?」

巫女「いえ。独り言です、お気になさらず」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:59:13.59 ID:WpcBWA3KO
巫女「では。唐突で恐縮なのですが、よろしければライン交換などしませんか?」スッ カチャアアッ

受付「はいはーい! じゃ紹介は済ませたから帰ろっか男くん!」バッ

男「でも巫女さんが何か今…」

巫女「受付さん」

受付「な、なによ?」

巫女「………」じぃー

男「っ? …っ??」テレテレ

巫女「……むしろ美味しい時期、でしょうか……」ホウ…

受付「うん。すまんかったよ、出来れば早急に写メ等送るべきだった。唐突な出会いにタガ外れてるね?」

巫女「ええ、あなたの言う通り貴女とは親密関係ではないご様子。むしろ経験すら感じられない無垢さ加減――」

巫女「──もしや我が神社への貢物ですか?」ハッ

受付「その突発具合、嫌いじゃないがどうにかならないかなあ!? あと会話全然繋がってない!」

男「あ、あのさっきからなんのお話を…?」

巫女「失礼しました。わたくし、受付さんとは大学生からの付き合いなのですよ」

受付「そうそう、だからたまーに二人の世界に入っちゃんだよねー!」

男「え、あっ、なるほど…大学生からの友達の方でしたか…」

巫女「? なにか?」

男「あ、いえ! すると巫女さんからの紹介でここで働いてる感じ何ですか?」

受付「えらい詮索するね、お姉さんのこと」キョトン

男「いえ別にぃ!?」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:59:42.09 ID:WpcBWA3KO
巫女「すみません、わたくしのことは『巫女おねえちゃん』と呼んでくださいませんか?」

受付「突然なに言い出したこの娘!?」

男「えっ、あ〜〜…巫女おねえちゃん…?」

受付「君も人当たりの良さ加減考えたらどうかなあ!?」

巫女「……なんて尊い……」フルフル

受付「待って、本当にこのまま私が突っ込み続けるの!?」


〜〜〜


巫女「こちらが我が神社のご神木になります。樹齢百年以上、正確な数字は分かっておりません」

男「へえ…」

受付「君も物好きだね、ほんっと。わざわざ付き合わなくてもいいのに、こんなの興味ないデショ」

男「そん、なことありませんよ!」

巫女「申し訳ありません。刺激満たす程の派手なものなど無い殺風景な神社でして」

男「文句なんてこれっぽっちも! 全然かまいませんよ俺!」

巫女「まあ…」

巫女「ならば本堂の裏手にこぢんまりとした畳部屋がありまして、そこをご見学されては如何でしょう」

男「そこには何があるんですか?」

巫女「もちろん楽しいひと時を過ごせるものが…貴方はなにもしなくてもよいのです…全てお姉ちゃんにおまかせを…」ススス
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:00:15.53 ID:WpcBWA3KO
受付「がっつき過ぎだからね、アンタ」グイッ

巫女「妬かなくても参加ご自由なのですが?」

受付「それが何の言い訳になるとお思いなのかな?」

男「あはは。仲いいですねお二人とも」

受付「普段のキレのいい察しの良さはどこ行った!」

男「え? ええ?」キョトン

受付(この子本当にわかってないのか。こいつのヤバさを…)チラ

巫女「フーッ フーッ」キラキラ

受付(あんなんだけど、見た目と雰囲気はお上品だからなあ。それに知り合いじゃないと深くつっこめないか)

受付(ここはいっちょ知り合いとして頑張るか)グイッ

男「うわっとと!」

受付「ごめん、ミコ。ああはいったけどこの子、ウチがツバつけてるから」

男「は? ちょっとやめてもらいます? そういう冗談好きじゃないんで」

受付「逆に知り合いだと容赦ないね君!」

巫女「やはり手を出してたのですね…」

受付「アンタも一切疑わないのもどうなの?!」

巫女「しかし受付さん。私は思うのです」

受付「な、なにがどうしたって?」

巫女「それは…それで…良くも悪くもあり…多数でも案外イケるかなって」

受付「守備範囲おっそろしいなあお前っ!?」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:00:42.79 ID:WpcBWA3KO
巫女「先ほどの招待、ご冗談だと思ってました? 友の痴態を知っておきたい。友ならば当然の帰結では? ねえ?」

男「エッ…!」

受付「この子に振るなよ馬鹿か!」バッ

巫女「ふふ…年上女性が高校生男子を庇う姿…ふふふ…」

受付(し、しまった! コイツ他人のシチュでイケる口だった! いかがわしい妄想の肥やしにされる…!)

受付「おい、ミコ。煩悩塗れやがって、神様に使える身として恥ずかしくないのっ?」

巫女「姿とはまさに一見の美。体裁のみ整えれば、煩悩など些細な誤差ですよ」

受付(ぐ…! 中身が変態クセして完璧主義者だったなそういや…! 自堕落な私じゃ言い分に欠ける…っ)

男「う、受付さん! もしかしてあの人って…」

受付「っ! 気づいた男くん!? そう言ってやってよズッバりと! 何時ものように切れ味ある突っ込みでさ!」

男「ええっでも、いいんですか? こんな事を言ったら失礼になるんじゃ」

巫女「私に不備はありません、完璧なのです、だからこそ好きなものを好きといえるのです!」ぺかー

受付「変態なのにぃ…変態なのに神々しさでそうは見えないぃ〜…っ!」

男「言ってる意味まったくわかりませんが覚悟を決めました!」ビシッ

巫女「ふふふ。貴方のような少年に何がわかるとでも?」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:03:29.45 ID:WpcBWA3KO
男「せ、世間知らずの俺だって間違ってることぐらいわかってるんですよ―――」

受付(一体どんな言葉で突っ込みするつもり…っ!?)ゴクリ


男「――貴女が着ている巫女服、襟が左右反対だって!」


巫女「……」チラ

巫女「……お見事……」ガッ

受付「真正面から正当に心をブチ折ったァー!」

男「巫女さん!? 急に座り込んでいったい…!?」

巫女「完敗ですわ…知らぬうちにわたくしは身も心も煩悩塗れとなっていたのですね…」

受付「いや、全然いつもどおりだったから」

巫女「有り難うございます。貴方の言葉で無事、元のわたくしへと戻るきっかけを得ることができました」

男「感謝なんてそんな…」

巫女「このご恩は生涯忘れません…ところでこのご恩をお返ししたいのですが、現住所はどちらに…?」ワクワク

受付「復活はえーなアンタ、口閉じてなさい」

男「その先を真っすぐ行って、繁華街辺りの…」

受付「君もだよお人好し小僧!」

〜〜〜
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:06:10.73 ID:WpcBWA3KO
男「なんだか面白い方でしたね」

受付「疲れたよ…君はもう今後、ここには来ない方が身のためだよきっと…」

男「やっぱりお邪魔でしたか…?」

受付「あん? いや、別に邪魔だとは言わないよ。ただ君の貞操がヤバイって話で…」

受付(人生経験としては重要か? いやでもなあ、うーん、まあラブホに住んでる時点で経験値ヤバそうだけど)

男「今日は来れてよかったです」

受付「……。まあ顔だけは良いしね、アイツ」

男「え? いやいや、そうじゃなくて…」スッ

受付「ん? わたし?」

男「言い忘れてましたけど、今日ここに来たのって受付さんに会う為なんです」

男「ほら、ホテルじゃよく会うのに普段の姿見たことないなぁーっと、ふと思いまして」

受付「変なこと考えるのね、君」

男「あはは。叔母さんとケル君にも言われましたよ、それ」

受付(でも会いに来たんだ、わざわざ)

男「俺思うんです。知らない方が良いことが多い、でも、知ってる方がもっと楽しくなるんだって」

男「受付さん。そーいうの共感できません?」

受付「……、わかるけど、そーゆうことはお姉さん相手にすることじゃないと思う」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:07:12.15 ID:WpcBWA3KO
男「? どうしてですか?」

受付「はぁ〜、君がたまにみせるそーゆうユルいところ。一体誰に似たんだろうね、まったく」ガシガシ

男「?」

受付「取り敢えずシャンプー、買いに行こっか」

男「え、あ、はい! 行きましょうか!」

受付(……こわいなあ、この子。家族でもない奴にそこまで近づこうとしてさ)

受付(ラブホテルで寝泊まりなんてどうかと思ってたけど、案外、知り合いに囲まれた生活が嵌ってるのかも)

受付「でもその知り合いがお姉さんだよ君、アハハ」


『言い忘れてましたけど、今日ここに来たのって受付さんに会う為なんです』



受付「……そんなん言われたの初めてだよ」クス

男「受付さーん!」

受付「はいはーい、今すぐ行くってば」

受付(ま。そこまで私はやさしーお姉さんじゃないけどねー)
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:07:38.59 ID:WpcBWA3KO
後日談 神社


巫女「最近、私のおとうとくんから世話を焼かれる? 自慢ですか?」サッサッ

受付「受け取り方やべーなアンタ。ていうか勝手に彼を血縁関係にすんな」サッサッ

巫女「懐かれたのでは? 羨ましくて腹たちますけど、応援しますよ」ハフゥ…

受付「嫌だよ面倒くさーい。私的には自由を束縛されたくないの」グテー

ピロローン

受付「噂をすれば彼から電話だ、もしもーし」

巫女「まあ。後でわたくしにも変わって下さい」

『ちょっと受付さんッ!? なんで俺の洗濯かごに下着入れてるんですか!?』

巫女「ちょっと引きました私」

受付「はぁ? そんなことするわけないじゃん、誰かのと間違えてない?」

『ああ確かに…こんなド派手なの持ってませんもんね』

巫女「ん?」

受付「失礼なッ! 君に見せてない超ド派手な奴もあるわッ!」

巫女「待ってくれませんちょっと?」


【叔母の下着でした。】

第六話 終
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 17:09:39.36 ID:WpcBWA3KO
三日後ノシ

あと五話です
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 18:25:43.14 ID:VPSMoht90
おつ
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 22:24:44.12 ID:thMRdcv3o
遅れる毎に一話追加で
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 23:36:47.05 ID:MCowT84eO
神社なら本堂じゃなく本殿じゃね
あるいは拝殿か
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 09:29:56.01 ID:h9p7bDFPO
こまけえこたあいいんだよ
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/16(水) 22:28:23.07 ID:k+OjldpvO
すんません明日でよろしくお願いします

そんで六話に変更ノシ
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/17(木) 03:27:45.77 ID:G1sWv9kfo
了解
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/17(木) 17:44:40.81 ID:rhPcie67o
早く来ないと俺の中で勝手に男が性に目覚める
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/21(月) 21:13:05.96 ID:VMh3CnZlO
明日とは一体
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/06(火) 05:10:30.04 ID:DSDxXY1x0
こういうノリの会話ってつまらないやつの方が圧倒的に多いのにこれは面白いわ。
ただ俺の叔母上ルートへの期待とは裏腹にまだ誰にもなびいてないな男は。
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 01:01:20.65 ID:I+qQXgqQO
一ヶ月過ぎたし今年ももうすぐで終わるし残り一ヶ月もないぞ
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/01(日) 17:47:20.62 ID:cAbZbjNA0
まだかあ
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/10(火) 22:19:39.20 ID:USDwawpo0
まだぁ?
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:45:36.79 ID:QbgMpNKJO
『《――ケルディ、聞いてるのか?》』

清掃「《聞いてるってば、お父さん》」

『《大事な話をしてるんだ。家族にとって重要なことなんだよ》』

清掃「《……》」

『《今すぐ決めてくれとは言わない。ただ…》』

「《…父さんはもう、心に決めてるつもりだ》」

清掃「《ボクは…》」

「《良い返事をまってる》」

プツン

清掃「…」パタン


「……あたらしい、お母さん。か…」


〜〜〜


ウィーン ガチャン

男「疲れたな今日も…」ポチ

男(冷蔵庫に食材の買い置きあるし、今日はケル君から借りた漫画でものんびり読もうかな)
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:46:30.79 ID:QbgMpNKJO
ウィーン

男「ふんふーん」スタスタ…

清掃(女装)「ヤッホ! お帰りオトコ!」シュビッ

男「やあケルケル君。今日もお疲れ様」

清掃(女装)「オッツ! カツカレーご飯大盛り!」たたっ


すたすた


男(フフ…また新しい挨拶思いついたんだな…)

男「って、ええッ!? 待ッ、ちょっとケル君ッ!?」ババッ!

清掃「ホワイ?」クル

男「その格好どういうこと!? じょ、女性みたいなカツラかぶって、というかっ、そのメイド服は!?」

清掃「なにか問題です?」キョトン

男「一方的に戸惑われた?! わけがわからないのは俺のほうなのにッ!」

清掃「もぉーオトコってば静かによ? 大きな声禁止、メッ! だからね?」ピッ

男「うぉおぉおぉっ?」パクパクパク

清掃「じゃケルケルまだ仕事あるから、あとでコミック感想プリーズねー! バーイ!」ブンブン

男「……あ、ハイ」


44号室


男(あ、あれは一体どういうことなんだ…)ドサ

男(彼の趣味…仕事中にあんなふざけた格好許される、かもなあ…叔母さんだしなあ…)
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:48:29.02 ID:QbgMpNKJO
男「――イヤイヤイヤ…! とにかくケル君にあんな趣味とか、無い無いッ、きっと無い!」

男(きっと理由があって、あのような格好をせざるを得なかったのだろう…!)

男「……。にしても、一瞬見逃すぐらい違和感無かったなメイド服…」

こんこん

男「ひゃあいっ!?」ビックーン

「オトコー? いるー?」

男「居ますがぁ!? なんのご用でしょう!?」

「なぜに他人行儀なのオトコー?」

男「ごほんっ! き、気にしないで! 鍵かかってないから入れるよ!」

清掃「あ。本当だ、ヤホー! …着ちゃったっ」テヘ

男「………、もしかしてわざとやってる?」

清掃「なんのこと?」ニコニコ

男「その格好のことだってば…実は受付さんが隠し撮りしてて、ドッキリ企ててたりとか…」バッ

男「あれ、居ない?」

清掃「ねえねえオトコ」ちょんちょん

男「うッ!? ど、どうしたの…?」ソロー

清掃「そんなメイドめずらし?」

男「え? いや、実家にも家政婦さん何人か居たし…でも、君が、」チラ

清掃「ウン?」キラキラキラ
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:49:29.38 ID:QbgMpNKJO
男「…笑えるぐらい似合ってるね、メイド服…」

清掃「ワオ! 今のケルケルはオモシロイ!? だからオトコはイヤ?」

男「う、うーん、待ってケル君。ここはハッキリしとこうと思う。だから言っておくよ」スッ

清掃「?」ポン

男「――その格好はなに? 急にメイド服やらカツラなんて、どうしたのさっ?」

清掃「………」じぃー

男(候補として受付さん悪ふざけ、叔母さんの趣味、ケル君の漫画やゲームのイベントやらでコスプレと見たが、一体どれだ!?)

清掃「ねえ、オトコ」スッ

男「う、うん?」

清掃「えへへー」ぎゅぅ〜〜


男「―――」(抱きつかれ思考停止中)


清掃「オトコは身体おおきいね。同じぐらいなのに、ボクより頭いっこ分おおきい」クスクス

清掃「普段なにイートしてるです? ケルケルに教えてくれたら好き!」

清掃「あ! でも最近ボクも一緒のゴハン食べてない!?」ハッ!

清掃「ならいつの日か、ケルケルもオトコと一緒の景色みられるね。とても楽しみっ」


男(―――ハッッ!!??!)ビクンッッッ
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:50:03.60 ID:QbgMpNKJO
男(なんっ、だ? 数秒の記憶が無い! なにがあった!? とても許容しきれない現実だった気がす、)チラ

清掃「オトコ…」ぎゅう

男「どぅわああああーーーーーーーー!!!」ズサササーァッ!

清掃「わお!」パッ

男「はっ…はっ…! (ケル君フルネーム)!!」

清掃「なぜ貴様がその名を!?」ハッ!

男「そういうの今は無理! 無視します! もうもう何なんだよーッ! それはーッ! わけがわかんないよーッ!」

清掃「一体どうしたのオトコ?」キョトン

男「こっちのセリフだよまったくもってさぁ!?」


受付「って見つけたーッ! やっぱ男くんの部屋来てたな!? 容疑者ケルケルー!」


清掃「ムッ」ババッ

受付「もう逃げ場なし観念おしッ! 大人しく投降しなさい! いや、その超越ミニスカ逃亡劇は非常に眼福だったけどネ!」

受付「しかァーしッ! 私が一介のラブホ従業員である限り、貴殿の狙い撃ちフェチズムテロは見逃せんッ! いざお縄に頂戴!」

清掃「くッ、ケルケルもここまでか…っ」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:50:52.62 ID:QbgMpNKJO
清掃「だが! ボクには最愛の友! マクリマルゥ・オトコ・デラックスが居ますカラ!」ササッ

男「オトコデラックス!?」

受付「なぬッ!? 既にソッチ趣向に開拓されてしまったというの!? ほんの数分目を離した隙に、なんてテクニシャン!」

男「誰か助けてくれーーッ! この状況から誰か救い出してくれーーー!!」


数十分後


男「よ、酔ってるんですか? ケル君が?」

叔母「そう。酒のんでスタッフルームから飛び出したらしい、以前から酒癖悪いとは聞いてたけど」

叔母「…よほどテンションが上がったんだろうね、ここまで派手に騒動になったのは初めて見る」

男「え、えーっと、じゃあ何故メイド服を着てたんですか…?」

叔母「ん? ああ、あれは単なる趣味だよ、何かのイベントで着る機会があったらしい」フゥー

男「………」

叔母「……、ちなみに」グリグリ

叔母「酒癖の悪さは彼自身、悩んでる――ところは一切見てないが、わざとじゃないのは確か」

男「! すみません、変な表情してましたかね、俺…」

叔母「いいや。ただ、雰囲気が少し思い悩んでた気がして」

男(うぐッ、ちょっと引いてたの気づかれてる…)
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:51:47.45 ID:QbgMpNKJO
叔母「君に害があったなら怒れば良いし、特に気にしないなら笑って冗談で済ませばいい」チラ

受付「」ちーん

叔母「この馬鹿のように、馬鹿騒ぎして、馬鹿みたいにホテル内で、馬鹿に遊ぶのも馬鹿っぽいけどいい手だとは思う」

受付「…そんなにバカバカ言われちゃ本当に馬鹿になっちゃぅぅ…」

叔母「もう手遅れだろ」シュボッ

男「そ、それでケル君は?」

叔母「受け付け横のスタッフルーム」

受付「男くぅ〜ん…今のケルケル君、多分、素面になって落ち込んでるから慰めてやっておくれ〜…」

男「ええっ? お、俺がですか? ケル君も会いにくいんじゃ…」

受付「うんにゃ、酒の過ち程度でケルケル君はへこたれないって。よっと!」シュタ

受付「なにやら悩み事があるらしいのよ、それでヤケ酒したっぽいのよね…」

男「悩み事?」

叔母「ん。実は私からも頼みたい」

叔母「天真爛漫な彼がここまで大荒れしたんだ。我々年上より、年の近い君の方が話しやすいだろう」

受付「んだからお願い! 今度なにかおごってあげるから! これでケルケル君に辞められたらシフト増えちゃう! そんなのヤダーッ!」

男「優しいのか身勝手なのかハッキリして下さいよ…」

男(でも、俺自身も気になってるのは事実だし…)
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:52:17.43 ID:QbgMpNKJO
〜〜〜

清掃「……………」ズゥウウウン…

男(しゃれにならないぐらい落ち込んでる…まるで見たこと無い表情をして…)

清掃「ぁ…オトコ…」ビクッ

清掃「ごっ、ごめんね! 本当にごめんなさいです!」ペコペコ

男「いや、うん、叔母さんから話は聞いたし、俺としては全然平気だから…」

清掃「………」ギュッ

男「あ、あのさ、ケル君?」

清掃「ハイッ!」バッ

男「………」ピク

清掃「…っ…っ…」

男「ゲーム、しよっか?」

清掃「エ?」

男「最近ハマってる奴ある? 俺、ゲーム苦手だけどケル君がやってるの見てるだけで楽しいんだよね」

男「どう? やる? 疲れてるなら、今日はもうやめとく?」

清掃「……………」ぽけー

男「うん?」ニコ
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