クマ「ゲッターロボ・クマー!」

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41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:19:03.12 ID:0BT7o3o/o
艦これの球磨が人気なので急遽内容を変更して艦これクロスSSスレにするわけねーだろ!
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:19:44.65 ID:0BT7o3o/o
クマ『ナガレ。このままじゃ研究所に入れないクマ。合体を解除するクマ』

ナガレ「ああしろこうしろって言われてもやり方が分からねえよ。どうすればいい?」

クマ『「オープン・ゲット」って言うクマ。トップのパイロットが言うだけで、音声認識で合体解除できるクマ』

ナガレ「オーケー。オープン・ゲット!」

ガチャン! バシュゥン!

クマ『それから正面のモニターパネルでオートパイロットモードに変更するクマ』

クマ『そうすれば、研究所の誘導で格納庫にオートで飛行するクマ』

ナガレ「正面のモニターで……これか」ピッピピッ

ナガレ「はーあ、詰まらねえな。慣れる事も必要なんだからよ、パーッと飛ばさせてくれよ」

クマ『実戦の後のメンテナンスは必要クマ! 予想外の動作不良を起こしていたら、そのまま木っ端微塵クマ!』

クマ『死にたくないから戦ったのに、勝った後で死にたいクマ?』

ナガレ「そう言う理詰めは嫌いだよ。分かった分かった!」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:21:36.01 ID:0BT7o3o/o
ヒュウゥン……ガシャン ガシャンガシャン

整備士『機体の安定を確認。降りてきて大丈夫です』

ナガレ「っぷう。あー……ちょっと体が軋みやがるな」

ナガレ「おい、もうちょっと乗り心地は良くならねえのか? ゲッターは最高なんだが、飛行機の方が退屈だな」

整備士「飛行中、機体の下を開けて座席をぶら下げますか? 自由にバタついてもらっていいですよ」

ナガレ「乗り心地の話をしてんだよ」


クマ「さ、早乙女博士っ!」


ナガレ「ん……? どうした、熊公!」ダッ

タタタッ

ナガレ「じ、ジジイ……血塗れじゃねえか!」

早乙女「かひゅっ……かひゅーっ……」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:23:26.31 ID:0BT7o3o/o
クマ「誰か医療班を呼ぶクマ! 担架でも良いクマ、早くするクマ!」

ナガレ「おい、ジジイ! てめえ乗る前はあんだけ威張り散らして、何だそのザマは……!」

クマ「 黙 っ て る ク マ !」

ナガレ「っ…………」

クマ「早乙女博士、早乙女博士……しっかりするクマっ……!」

ナガレ「ジジイ……」


クマ『クマは丈夫だからクマ。でも普通の人間は、ゲッターの負荷に耐え切れないクマ』


早乙女『確かにパイロットスーツはゲッターの常軌を逸した加速や、あり得ない行動による負荷を軽減するように設計されている』


ナガレ「耐えられないくせに、乗ったのかよ……そこまでする必要があるのかよ……!」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:24:21.70 ID:0BT7o3o/o
クマ「医療班はまだクマ!?」

整備士「今呼びました! 間もなく到着します!」

ナガレ「だああ! 待ってられるかァ!」

グイッ ドサッ

クマ「ナガレ!? 早乙女博士を背負ってどこ行くクマ!」

ナガレ「どっちに行けばいいんだよ! 教えろ熊公!」

クマ「……こっちクマ!」

ナガレ「おらおら、邪魔だ! 退きやがれーっ!」

ナガレ「ジジイ、何も話さねえでくたばりやがったら、骨の髄まで残らずハチュウ人類に食わせてやる……!」

早乙女「ナ、ガ……ぐふ……!」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:25:47.27 ID:0BT7o3o/o
 ―― 翌日 ――


ナガレ「よう、ジジイ」

クマ「早乙女博士っ」キュムキュム

早乙女「クマ、ナガレ」

ナガレ「頑丈なジジイだな。昨日あれだけズタボロになって、翌日には意識がはっきりしてやがる」

クマ「早乙女博士……大丈夫クマ?」

早乙女「ああ……すまんな、心配をかけて」

ナガレ「まったくだぜ。ジジイはジジイらしく、隠居してりゃいいんだ」

早乙女「そう言うわけにもいかんよ。まだやるべき事がワシには多すぎる」

ナガレ「だが、その様子じゃもうゲッターには乗れねえ。どうするんだ?」

クマ「ゲッターは三人での搭乗を前提としたスーパーロボットクマ……」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:26:49.16 ID:0BT7o3o/o
早乙女「それに関しては心配ない。既にパイロット候補を見つけている」

クマ「ほんとクマ?」

ナガレ「じゃあ、一緒にそいつもつれてくれば良かったじゃねえか。そうすりゃ、ジジイが無理する事も無かったぜ」

早乙女「そいつにはお前と違って人間としての生活があるからな。強硬手段には出られん」

ナガレ「ンだとっ……そりゃあ俺には人権もねえように聞こえるぜ!」

クマ「ちょっとナガレ黙ってるクマ、話がややこしくなるクマ」

クマ「早乙女博士、その候補はどんな人間クマ?」

早乙女「これだ……」ゴソゴソ

スッ……

ナガレ「写真?」

クマ「クマ」


ナガレ「……ジジイ、マジか。マジで言ってんのか?」

クマ「これ、女の人クマ」

早乙女「能力はお前たちにも劣らない。それに、ゲッター乗りとして相応しい性質を持っている」


早乙女「名を、橘 神(タチバナ ジン)。弁護士だ」

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:28:15.80 ID:0BT7o3o/o

 ゲッターロボ・クマ


.      第 二 話


.      【ジン】

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:29:06.66 ID:0BT7o3o/o
 ―― 橘法律事務所 ――


ジン「…………」カタカタカタカタ

ジン「……………………」カタカタカタカタ

ジン「………………………………」カタカタカタカタ

コンコン

助手「橘先生、失礼します」

ジン「あ、マイちゃん」

助手「お茶が入りました。どうぞ」コト

ジン「ありがと。丁度、休憩しようと思っていたのよ」

助手「嘘ばっかり。ずっと集中していたじゃないですか」

ジン「あら、ばれてた?」

助手「私がこうやって邪魔に入らないと、先生ってば何時までもパソコンと睨めっこしてるんだから」

助手「眼鏡、また度が上がったんですよね?」

ジン「ハイハイ。気を付けるわ」ズズ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:29:42.74 ID:0BT7o3o/o
ジン「あら、美味しいね。お茶っ葉、変えた?」

助手「分かります? 流石は橘 神、鋭い視点でズバッと切り込む凄腕弁護士!」

助手「その上ぷくっとボインなナイスバディ、男が振り向き女が妬む美貌の持ち主! いよっ!」

ジン「後半は関係ないでしょ。いつも飲んでるんだから、これくらいはね」

助手「ま、そうなんですけどね……」

ジン「…………」ズズ

ズズ……


ジン『ヒヒヒ……』

助手『や、止めて……』

ジン『フひゃあッ!』ヒュッ

ザシュッ!

助手『ぎゃああっ!』

ジン『ヒへははははは! ギヒ、ギヒイッ!』

グチャッ ドチャッ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:30:40.41 ID:0BT7o3o/o
助手「――――せい。先生?」

ジン「ッ…………あ。な、なに? どうかした?」

助手「それはこっちのセリフですよ。先生、カップに口付けたままボーっとするから」

ジン「あ……うん」カチャ

ジン「ゴメン。ちょっと、外に出るわ」

助手「あれ? 今日、何か予定がありましたっけ?」

ジン「ええ、ちょっとね。暫く戻らないから、後は頼むわ」イソイソ

助手「あ、はい……分かり、ましたー……」

バタン!


カツカツカツカツ

ジン「…………あ、もしもし。牧村メンタルクリニックですか?」

ジン「すみませんが、今すぐに診察をお願いしたいんです。ハイ、橘 神と……」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:31:28.63 ID:0BT7o3o/o
 ―― 牧村メンタルクリニック ――


牧村「また、妄想ですか」

ジン「……はい。今日は、助手の女の子を、私が、この手で……」

ジン「惨く、嬲り殺しにした幻を見て……!」

ジン「その前は、電車の中で知らない男性……その前は、兄を!」

牧村「誰かを目の前にすると、その人を惨殺する妄想を見る……前回と同じですね」

ジン「先生! 本当に私は真っ当な人間なのでしょうか! そんな妄想を無意識に見るなんて、普通じゃない!」

ジン「怖いんです……その残虐性が、誰かを傷付ける事に悦びを感じるのが、私の本性かもしれない事が!」

ジン「もう、頭がおかしくなりそうでっ……!」

牧村「落ち着いてください、橘さん」

ジン「うう、ううう……!」

牧村「ゆっくり、向き合っていきましょう」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:33:01.48 ID:0BT7o3o/o
ジン「すみません、先生……取り乱してしまって」

牧村「不安に駆られれば誰だってああなります」

牧村「ふむ……精神の不安はストレスが理由の事が多いです。そう言った妄想の原因は、実生活での抑圧かもしれませんね」

ジン「抑圧、ですか……」

牧村「弁護士、と言う仕事柄、法律に触れる事が多いでしょう」

牧村「あれをしてはいけない、これをしてはいけない、と言う知識がある半面、その状況がストレスでもある」

牧村「それが、「自由でない」と言う意識に繋がっている……と言う事も考えられます」

ジン「そんな……私は心から、この仕事を楽しんで!」

牧村「勿論、それを疑いはしません。可能性の一つです」

ジン「…………はい」

牧村「とは言え、仕事漬けと言うのも体に悪い」

牧村「実際、休暇を取ってみてはいかがでしょう? 同時に、少し遊んでみては?」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:33:35.63 ID:0BT7o3o/o
ジン「遊ぶ……ですか」

牧村「ええ。クラブで夜通し遊び倒す、とかね。要するに、開放的な気分になれる「遊び」をすればいいんです」

ジン「開放的な気分……」

牧村「人間は不安不満を抱える複雑な心理構造を持つ上で、何か一つで満たされればそれを解消できる単純な生き物なんです」

牧村「たとえ殺人欲求、嗜虐欲求があったとして、別方向で心を満足させれば良いんです」

牧村「それが、遊び。あなたの事だから、まさか犯罪に手を染めやしないでしょう」

ジン「そう言われても、何をすればいいのか……」

牧村「……そう言えば、ジムに通っていらっしゃるとか?」

ジン「ええ、ハイ。週に三回……体を動かすのが好きなので。今日も仕事帰りに行く予定でした」

牧村「でしたら、屋外スポーツなんてどうです? スキーとか、スカイダイビングとか、登山とか」

ジン「屋外スポーツ、ですか……」

牧村「気楽に考えていいんです。自由にいきましょう」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:34:36.21 ID:0BT7o3o/o
牧村「今日はこのくらいにしておきましょう。念のため、いつもの精神安定剤を出しておきます」

ジン「はい、ありがとうございました」

牧村「本当は、他の誰かに話せれば良いのですが……難しい話ですからね」

ジン「…………はい」

牧村「……では、お大事に」

ジン「ハイ……」

ジン「…………あの、先生。最後に一つ、いいですか?」

牧村「なんでしょう?」

ジン「気付いた事があって。妄想の私は、いつも、眼鏡を掛けていないんです。何か関係があるのでしょうか?」

牧村「…………この場では判断しかねますね。とりあえず、眼鏡は掛けたままで大丈夫でしょう」

ジン「分かり、ました。ありがとうございました……」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:35:40.89 ID:0BT7o3o/o
 ―― ジンの家 ――


ジン「ただいま……」ポイッ

ドサッ……ボフン

ジン「はあ……」ゴロン

ジン「私、どうしちゃったんだろ……昔はこんな事、なかったのに」

ジン(こんな事、誰にも相談できないし……お母さん、お父さん、お兄ちゃん……)

ジン(遊び、か……何をしたらいいんだろう。火遊び的なのは、したくないし……)

ジン「……この時点で、自由じゃないし……もう、やだ」

ジン「彼氏でも、作ろっかな……」

ジン「…………リモコン」モゾモゾ

ピッ

『――――ヨークに出現したメカザウルスを、ステルバー、テキサスマックのタッグで撃破……』

ジン「…………何かやるんだったらいっそ、ハチュウ人類共を根絶やしにしたい」

ジン「できるわけないよねぇ〜〜〜〜! ハァーン、もーーー、嫌っ!」ボフッ
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:37:09.78 ID:0BT7o3o/o
 ―― 数日後 ――


ジン「…………」カタカタカタカタ

助手「橘先生、お疲れ様でーすっ!」

ジン「うん、お疲れさま。気を付けて帰るのよ」

バタン

ジン「…………」カタカタカタカタ

ジン「……………………」カタカタカタカタ

ジン「…………ハッ! もうこんな時間かっ」

バタバタ

ジン「電気良し!」パチン

ジン「施錠良し!」カチャリ

ジン「駄目だぁ〜、仕事から離れて休めって言われたのにー……」

カツカツカツカツ……
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/01(金) 23:37:12.64 ID:8HDDQ1YUO
橘 神→「號」の橘翔と神隼人の名字を組み合わせたもの


牧村→デビルマンから

これで合ってる?
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:37:44.98 ID:0BT7o3o/o
ウィーン……

ジン「フッ、フッ、フッ、フッ」

インストラクター「よーし。橘さん、あと一キロで休憩にしますか」

ジン「ハイっ。フッ、フッ、フッ……」

ブルンブルンブルン……

インストラクター「まじ絶景……」

ジン「へっ? 今、何か言いましたっ?」

インストラクター「べっ……いえ、橘さん、良い腹筋してますねって」

ジン「ああ、はいっ。ありがとう、ございますっ」

ブルンブルンブルン……
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:39:20.52 ID:0BT7o3o/o
>>58
大正解。ナガレも同じ命名方法だけど。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:40:42.97 ID:0BT7o3o/o
インストラクター「…………橘さん、この後に予定とかあります?」

ジン「予定、ですか? 帰って、ゆっくりする、つもりですけどっ」

インストラクター「もしよければ、一緒に飯とかどうっすか?」

ジン「すみませんっ。明日の、仕事に、障ると、嫌なのでっ」

インストラクター「あ、はい……」

ジン「フッ、フッ、フッ、フッ」

インストラクター「…………あ、一キロっす。そこまでで」

ジン「はいっ。はー、はーっ……」

ジン(…………遊べないなあ、私)

インストラクター「ハイ、橘さん。水、どうぞ」

ジン「あ、ありが――――」


インストラクター『ぎゃああ!』

グシャッ バチュッ

ジン『ひゃは、ハアアアアッッ!』
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:41:39.99 ID:0BT7o3o/o
インストラクター「橘さん?」

ジン「…………あ」

インストラクター「大丈夫ですか? ぼーっとしてましたけど」

ジン「す、すみません。ちょっと、気分が悪くて」

ジン「帰ります」

インストラクター「ええっ? ああ、いや……それなら、分かりました。大丈夫ですか?」

ジン「大丈夫です。失礼します……」

インストラクター「……チッ、間接キス失敗」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:42:23.34 ID:0BT7o3o/o
カツカツカツカツ

ジン(早く帰ろう。帰って休もう。マイちゃんに連絡して、明日は休もう)

ジン(もう駄目だ。何かして気を紛らわそう)

カツカツ

ジン(……薄暗いし、人通りも無いからいつも通らない道だけど、こっちの方が駅に近い)

ジン「…………」グッ

カツカツカツカツ

チンピラ「よー姉ちゃん。そんなに急いでどこ行くんだぁい?」

ジン「ッ……」ピタ

ジン(最悪……一人だけなら戻れば何とか)
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:43:26.58 ID:0BT7o3o/o
カサッ……

ジン(後ろ――――!?)

チンピラB「よっとォ」ブオン

ジン「くっ!」バッ

チンピラA「うぉーい、外すなよばぁか」

チンピラB「外してねえよ避けられたんだよ。あーあ、避けなきゃ余計に痛い目に合わずに済んだのにー」

ジン「あなたたち……暴行罪よ」

チンピラB「いやいや、ハチュウ人類に滅ぼされるのに法律とか無意味っしょ」

ジン(二人……片方は木製バット。もう片方は折り畳みナイフ)

チンピラA「法律より大事な生命の存続ってのがあるからさあ。生き物って危険に晒されると生殖活動に躍起になるらしいし?」

チンピラB「お姉さんも人類存続のお手伝いしよーよぉ。元気な子供作ろうぜぇ?」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:44:09.30 ID:0BT7o3o/o
チンピラB「そんなわけでさ、ちょっと気絶しててヨッ!」ブン

ジン「ヒュッ……」スッ

スカッ

ジン(引いて、踏み込んで)

チンピラB「あ?」

ジン「ふっ!」

グチャ!

チンピラB「ぎょっ……!?」

カラン ドサッ

チンピラB「アッ……アッ……!?」ピクピクッ

チンピラA「きっ、金的……!?」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:45:08.04 ID:0BT7o3o/o
チンピラA「この、アマぁ!」チャキ

ヒュン

ジン(振ったナイフが返ってくる時に)

チンピラA「オオオアッ!」グン

ジン(腕を滑り込ませて防ぐ)

ガッ

チンピラA「うっ!」

ジン(そのまま鳩尾を殴る)スッ

ズガッ!

チンピラA「がっ……」

ジン(落としたナイフを拾って、太腿に刺す)チャキ

ヒュン ドスッ!

チンピラA「ぎっ……ゃああああああぁぁっっ!?」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/01(金) 23:45:51.32 ID:z7kGbrQvo
牧村って名前でさらにクラブで夜通しって言われたら、デーモン召還しか浮かばないw
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:46:02.55 ID:0BT7o3o/o
チンピラA「いでえ、いでえッ!? ぐあああああああ……!」

ジン「自業自得よ。ちゃんと左脳と下半身は別けておくべきだったわね」

ジン(嫌だけど警察呼んで、さっさと証言して帰ろう)


ナガレ「見事だな、女」


ジン「ッ……まだ一人!?」バッ

ナガレ「似たようなもんだが、そいつらと一緒にされるのは癪だな」

ジン「なら、なんだって言うのよ……」

ナガレ「ただの使いっ走り。面倒臭ェと思っていたが……ま、流石ジジイが目を付けただけはある」

ジン(何なのよ、もう……今日は厄日か何かなの?)
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:46:45.90 ID:0BT7o3o/o
ナガレ「金的に、鳩尾に一発、ナイフを奪って太腿にブスリ」

ナガレ「動きの一々に迷いがない。ジジイが欲しがるわけだ」

ジン「あなた、何を言って……」

ナガレ「相手を傷付ける事に躊躇いが無い、筋金入りのクズか」

ジン「うっ…………」

ジン(そうだ、私は何を考えていたんだろう)

ジン(正当防衛が成立する状況だったとはいえ、どうして、ここまで)

ジン(いえ、私は、その事すら考えていなかった! 私は……!)


ジン『ヒャハハハハハハハッッッ!』


ジン「ヒッ!」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/01(金) 23:47:41.24 ID:8uGNcy160
どういうことなの…
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:50:07.13 ID:0BT7o3o/o
ジン「ちっ、違うのよ。この男たちが、私を襲ってきて」

ナガレ「否定するなよ。そんな中途半端なモンは要らねえって話なんだからよ」

ジン「…………あなた、何者なの……」

チンピラA「あああ! いてえ、ぐそおお!」

ナガレ「うるっせえよ、黙ってろ!」

ゴシャッ!

チンピラA「びっ――――」

ナガレ「寝てろ、ボケが」

ジン(だ、駄目……尋常じゃないわ。警察、警察を……)ゴソゴソ

ナガレ「テメエも!」

ブンッ

バキィッ!

ジン「ッ――――!」(携帯を破壊されたっ!)

ナガレ「余計な真似をするんじゃねえ」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:51:08.61 ID:0BT7o3o/o
ジン「……私に、何の用?」

ナガレ「テストだとさ」

ジン「テスト?」

ナガレ「このボンクラ共を一方的に叩きのめした時点で合格っちゃ合格だが……」

ナガレ「個人的な意見として、女を一緒に乗せてピーチクパーチク喚かれても困るんでな」

ナガレ「第二テストって事だ。構えろ、橘 神」

ジン(…………何なのよ、もう)

ジン(なんで私が、こんな目に合わなくちゃいけないのよ。なんで私が、こんな……)

ジン(どいつもこいつも、私の事を……!)


ポイッ ドサッ……

ジン「…………」

ナガレ「ヒュー。おっかねえ目をしやがる。なら、遠慮なくやらせてもらうぜ!」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:52:32.27 ID:0BT7o3o/o
ナガレ「おらあッ!」ブン

ジン「…………」スッ

スカッ

ナガレ「フッ! どりゃアッ!」

スカッ スカッ

ナガレ(この女、軽い動きでかわしやがる! 運動好きなド素人なんじゃねえのかよ、ンな生温いモンじゃねえって事ぁ分かってたけど!)

ナガレ「ゥンのッ……!」ブン

ガシッ

ナガレ「なっ……掴まれた!?」

ジン「…………」グッ

ギリギリギリ……

ナガレ「ぐうぅっ!」

ナガレ(何だ、この握力は! 手が、砕かれる!?)
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:53:09.63 ID:0BT7o3o/o
ナガレ「オオオオッ!」

グワッ!

ジン「…………」スッ

ガッ

ナガレ(渾身の上段蹴りまで簡単に……!)

ジン「…………」グイッ

ナガレ「どわっ!?」

ダンッ ドン

ナガレ(まずい! 倒されて上に乗られた! マジで何だこの女、めちゃくちゃ強ェぞ!?)

ジン「…………」スッ

ナガレ(胸ポケットから、ペンを出した……!?)

ナガレ「まっ、ちょ待っ」

ヒュッ
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:54:17.22 ID:0BT7o3o/o
ピタ

ナガレ「ぐっ…………」

ジン「…………」

ナガレ(は、反撃できねえ。下手な真似すりゃ目ン玉に容赦なく刺すつもりだ)

ジン「答えなさい。テストって何? 何の目的で私に近づいたの?」

ナガレ「この状態でお喋りなんてできるかよ……」

ジン「まずは左目ね?」

ナガレ「わーった、話す! アンタが『ゲッターロボ』パイロットに相応しいかどうかをテストしたんだよ」

ジン「ゲッターロボ?」

ナガレ「ゲッターってのはな、ハチュウ人類に本当の意味で対抗できるスーパーロボットなんだとよ」

ジン「聞いた事が無いわ。つまり最新型?」

ナガレ「どうだか。俺もよく知らねえからな。それの開発者が、お前をパイロットにしようと企んでるわけだ」

ジン「荒唐無稽ね。それよりも頭のおかしい男が、与太話で女性を襲った、の方がまだ釈然とする」

ナガレ「同感だぜ」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:55:55.59 ID:0BT7o3o/o
ジン「その開発者って言うのは誰? 名前と風貌、細部まで情報を教えなさい」

ナガレ「早乙女……下の名前は知らねえや。ジジイ。下駄」

ジン「私は別に、今後一生あなたが両目の視力を失っても構わないのよ?」

ナガレ「この状況で適当ぶっこけると思う方がどうかしてるな」

ジン「……いいわ。とりあえず、今の発言は後で警察に証言してもらいます」

ジン「傷害罪、略取未遂、監禁未遂の各現行犯……そんなところかしら」

ナガレ「冗談じゃねえな。とりあえずお前にはまだ用があるから」

ぷすっ

ジン「つっ……!?」バッ

ナガレ「その続きはポリ公じゃなくて、ウチでしてもらうぜ」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:56:29.89 ID:0BT7o3o/o
ジン「何を……うっ」クラ

バタリ……

ナガレ「……本当に大丈夫かよ、これ。アフリカゾウも三秒で眠る劇薬だっつってたけど」

ナガレ「と言うか、こんなモンの世話になるたァな……絶対使わねえって決めてたのに」

ジン「…………」ビクンビクン

ナガレ「腹立つが、認めるしかねえか」

ナガレ「ご愁傷さま、ジャガー号パイロットに決定だとよ、橘 神」

ピッピッ

ナガレ「……俺だ。終わったから回収役をよこせ、ジジイ」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:57:45.84 ID:0BT7o3o/o
 ―― 早乙女研究所 ――


ジン「…………う……」

ジン「ここ、は…………」

ギシィ

ジン「う……動けないっ……!」

ジン(拘束具……? なんで私が、こんなものを!)

早乙女「目が覚めたか」

ジン「誰!」

早乙女「18時間52分……驚異的な代謝能力だ。常人では死亡、予測でも丸二日は眠るだろうと想定していたが」

ジン(何を言っているの、この人……白衣の壮年、下駄……)

ジン「……まさか、サオトメ」

早乙女「察しが良い。あの馬鹿とは大違いだ」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:58:24.82 ID:0BT7o3o/o
ジン「解放しなさい。権利を持たない略取に逮捕監禁は立派な犯罪よ」

早乙女「橘 神。26歳。女。家族構成は父、母、兄が一人。ごく普通の家庭に生まれ、不自由無く育つ」

早乙女「聖チャペル学園を卒業後、浅間大学法学部に進学。在学中に弁護士の資格を取得し、一年のアメリカ留学を経験」

早乙女「二年間、弁護士の許で勉強し、24歳の若さで個人事務所を設立。以後、敏腕弁護士として活躍」

早乙女「運動は好きだが、スポーツの実績はこれと言って無し……これだけならば、特筆する事はない」

ジン「……私をどうするつもり?」

早乙女「ゲッターに乗ってもらう」

ジン「嫌よ」

早乙女「乗るのだ」

ジン「嫌よ!」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:59:21.07 ID:0BT7o3o/o
ジン「どうして私なのよ……なんで私が、そんな得体の知れないものに乗らなければならないの!」

ジン「ハチュウ人類と戦う? つまり、死ぬかもしれないって、そう言う事じゃない!」

ジン「私は普通の女なのに……どうして、私ばかりがこんな目に……」

早乙女「早晩、ハチュウ人類によってお前は死ぬ。ワシも死ぬ」

早乙女「どの道死ぬのであれば、お前たちに選ぶ余地などない」

ジン「そんな事、知らないわ!」

早乙女「……我々に時間はない。これだけは言っておこう」

早乙女「お前には、ゲッターに乗るに相応しい素質がある」

早乙女「肉体、そして、本能がな……」

カランカランカラン……

ジン「私が、何をしたって言うのよおッ!」


ジン「あああああああああああアアアアアアアアアアアアアアッッッ!」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:00:52.82 ID:mZvQ5q5So
ジン「…………」

ナガレ「よう、元気か?」

ジン「…………」

ナガレ「睨むなよ。飯だ」

ジン「…………食べられるワケ、ないでしょう。こんなものを、着けて!」

ギシッ

ナガレ「そうやって暴れるからそんなモン着けられるんだろうが」

ナガレ「まあ……多分、お前が本気を出したらそんなモン普通にぶっ千切ると思うけどな」

ジン「私をゴリラか何かだと思っているのね。できるならさっさとそうしてるわよ……」

ナガレ「そう思うのは自由だけどな、例として一つ見せてやる」

ジン「例?」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:01:36.91 ID:mZvQ5q5So
ナガレ「こいつはステンレス製のスプーンだ。何の変哲もない普通のスプーン」

ナガレ「ほっ、と」

ぐにゃぐにゃっ ぶちっ

ナガレ「こんな感じで簡単に曲げて引き千切れる」

ジン「それはあなたが馬鹿力だからでしょ……何を簡単にステンレスを千切ってるのよ」

ナガレ「じゃあその俺を真っ向から倒したお前は? 憶えてない、とか言うなよ?」

ジン「それ、は……」

ナガレ「どうであれ、ここにいる以上は認めるしかねえのさ」

ジン「だって私は、普通の人間なのに……」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:02:18.14 ID:mZvQ5q5So
キュムキュムキュム

クマ「ナガレの馬鹿クマ!」

ジン「えっ……く、熊!?」

ナガレ「誰がバカだ、熊公!」

クマ「どうしてスプーンを壊しちゃうクマ。それじゃあこの人がご飯食べられないクマ!」

ナガレ「あっ……いや、これは……まあ、つい、だな」

クマ「ついの一言で備品を壊していいルールはないクマ。こんな事もあろうかと、もう一本持ってきて正解クマ」

ナガレ「チッ……気の利くこった」

ジン「なんで、どうして……熊が、喋って……!」

クマ「ジン、初めましてクマ。クマはクマだクマ」

ナガレ「こればっかりは俺も嘘だと思うがな。どうも、事実らしい。こいつは喋る熊だ」

ジン「は、アハハハ……頭が、おかしくなりそう」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:03:13.04 ID:mZvQ5q5So
クマ「とりあえず、そのままじゃ食べられないクマ。ちょっと待つクマ」

キュムキュム

ジン「えっ……?」

クマ「んー、ここをこうするクマ……」カチャカチャ

ジン「ちょ、ちょっと……解放してとは言ったけど、勝手に外していいの……?」

クマ「手が使えないと食べられないから仕方ないクマ。ここ、難しいクマー……」

カチャカチャ

ジン「……良いの?」

ナガレ「知らねーよ。そいつがやりたいって言うならやらせるしかねえし。お前からすれば悪くないだろ?」

ジン「そうだけど……」

カチャリ

クマ「できたクマ! さ、これで脱げるクマ」

ジン「あ、ありがとう」

クマ「どういたしましてクマ」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:03:45.78 ID:mZvQ5q5So
ジン「…………」モグモグ

ナガレ「…………」

クマ「…………」

ジン「…………」ゴクン

ジン「……話の大筋は、分かったわ。でも、それでも納得できない。私より相応しい人間なんて、たくさんいるはずよ」

ジン「それこそ他のスーパーロボットと同じように、軍人やスポーツ選手、常日頃から体を鍛えている人間から選定した方が、よっぽど」

ナガレ「俺は知らん。俺も、お前と同じくワケも分からん内に連れてこられたからな」

ナガレ「分かっている事は、必要なのは乗っても死なない人間で、死んでもいい奴だけって事くらいか」

クマ「ゲッターは、理屈で動かせるモノじゃないクマ」

クマ「早乙女博士が言ってたクマ。「人類最後の一人まで試し尽くす」って……きっと、そう言う事クマ」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/02(土) 00:04:15.08 ID:zA84XlRbo
クマが登場すると一気に和む不思議
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:04:32.54 ID:mZvQ5q5So
ジン「……やっぱり、無理よ。そんなモノ、私には扱えない。乗れない」

ナガレ「くどいなァ、さっさと頷いて乗っちまえばいいのによ」

ジン「私はあなたほど脳筋じゃないのよ」

ナガレ「役に立たねえならさっさと乗ってくたばっちまえ! そうすりゃ、お前なんざ諦めて別の奴を探せらぁ!」

クマ「止めるクマ、ナガレ!」

ナガレ「チッ……使える奴がウジウジしやがって、腹が立つ」

クマ「……ジン。クマは、ジンが乗らなくても良いと思うクマ」

ジン「どうして? あなただって同じパイロットなら、早く仲間が見つかった方が良いんじゃないの?」

クマ「クマは、何人ものパイロット候補を見てきたクマ。さっきジンが言った、エキスパートや恵まれた運動神経を持つ人たちクマ」

クマ「みんな、強そうだったクマ。でも、みんな、ゲッターの負荷に耐えられなくて死んじゃったクマ……」

クマ「多分、ジンは本当にゲッターに乗れるクマ。でも、ジンが嫌だって言うなら、乗らない方がいいクマ」

クマ「死んじゃうより、絶対にその方がいいクマ」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:05:33.16 ID:mZvQ5q5So
ジン「…………」

ナガレ「…………ケッ」

クマ「もしそうするなら、クマが早乙女博士を説得するクマ」

ジン「優しいのね、クマちゃん……」

クマ「そんな事無いクマ」

ナガレ「事なかれ主義ってやつだろ。吐き気がする」

ジン「次に余計な事言ったらその舌引っこ抜くから。クマちゃん、悪いけど、お願いできるかしら」

ジン「私には、私の生活があるの……それを失えない。だから、ゲッターには乗れない……」

クマ「分かったクマ。残念だけど、仕方ないクマ」

ナガレ「あーあ、目ン玉抉られそうになったってのに結果がこれか。やってられねえな!」

クマ「うるさいクマ。拗ねるんじゃないクマ」

ナガレ「テメエが乗せる方向で説得すれば良かったんだろうが!」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:06:16.13 ID:mZvQ5q5So
ジン「…………」

ジン「何だったのかしら、あの二人……一人と一頭?」

ジン「拘束具を着け直さないで帰るし……片方は馬鹿だからって言うので分かるけど」

ジン「熊の方は、良い子……なのよね、うん」

ジン(…………だって、無理よ。急に命を懸けて戦え、なんて言われても)

ジン(家族に何も言ってないし、事務所の事だってあるし……)

ジン(……あ。そう言えば、19時間は経ってるって言ってたっけ……連絡してない。やばい)

ジン(携帯……は、あの馬鹿男に壊されたんだった。思い出したらムカついてきた)

ジン(…………私の生活だとか、事務所だとか、何言ってんだか)

ジン「人を殺す妄想する気違いのくせに……」

―――

――――――

―――――――――
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:06:51.56 ID:mZvQ5q5So
ジン?『…………』

ジン『……血塗れの、私?』

ジン?『…………』スッ

ジン『や、やめて、来ないで……』

ギュッ

ジン『え……?』

ジン?『…………』ナデナデ

ジン『い、嫌っ……』

ドンッ

ジン?『…………』

ジン『……どうして、悲しそうな顔をするの?』

ジン『『あなた』は、私の何なのよ……』
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:07:25.46 ID:mZvQ5q5So
ギュインギュイン ギュインギュイン

ジン「んあっ…………?」

ジン「何、なにっ……!?」

ジン(いつの間にか寝ていた……それはいいけど、このサイレンは何!)

ジン「只事じゃない事しか分からない……誰か! 何があったの!」

ギュインギュイン ギュインギュイン

ジン「こんな独房染みた場所に来る職員なんて居ないってわけね……」

ジン「このっ……!」ドンドン

ジン「だああっ!」ガンッ

バキィッ!

ガシャン……

ジン「……壊しちゃった。ら、ラッキーって事にしておきましょうっ!」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:07:58.14 ID:mZvQ5q5So
ギュインギュイン ギュインギュイン

ジン「鳴り止まないわ……まだ事態の解決ができていないのかしら」

キュムキュムキュム

クマ「ジン!」

ジン「クマちゃん!」

クマ「どうしてここにいるクマ? 閉まっていたドアはどうしたクマ?」

ジン「ごめんなさい、壊してしまったの……このサイレンは何?」

クマ「そうクマ! 合流できたなら関係ないクマ、まずい事になったクマ!」

クマ「ハチュウ人類が襲ってきたクマ!」

ジン「何ですって!」

クマ「こっちに来るクマ!」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:09:16.40 ID:mZvQ5q5So
オペレーターA「ゲッター光線砲台三機が損壊! ハチュウ人類歩兵と交戦中のトゥルーパー1が全滅!」

オペレーターB「敵、飛行型メカザウルス、無傷です!」

早乙女「小手先の武装など無意味か……」

クマ「早乙女博士!」キュムキュム

ジン「これはどう言う状況なの、ハチュウ人類って……!」

早乙女「……どうもこうも無い。ハチュウ人類がゲッターロボの存在を感知し、襲撃を仕掛けてきた。それだけだ」

ジン「それだけって……」

クマ「早乙女博士、脱出経路は見つかったクマ?」

早乙女「ハチュウ人類の歩兵をどうにかせん限りには、人一人逃げられんだろうな」

ジン「そ、そんな」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:10:10.37 ID:mZvQ5q5So

ナガレ『オラオラオラ! 邪魔だクソトカゲ共があっ!』

バララララララ バキッ バラララララ


クマ「ナガレ!? あいつ何してるクマ!?」

早乙女「ゲッターが出せないと知って、銃を持って飛び出していきよった。だが奴なら問題あるまい」

クマ「ナガレがいないと尚更ゲッターを動かせないクマ! 本当に何を考えているクマ!」

ジン「待ってよ! どうしてゲッターロボとやらを出さないのよ?」

早乙女「ゲッターロボは三人で乗るロボットだ。二人は勿論、一人でなど論外だ」

クマ「オートパイロットじゃあ合体もできないクマ……」

ジン「ここの人たちは、他に誰か乗れないの!?」

早乙女「できるのならばそうしている。できないからこそ、お前を連れてきたのだ」

ジン「うっ……」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:11:12.39 ID:mZvQ5q5So
ズガアァァァン!

ジン「きゃあっ!」

クマ「クマーッ!」

早乙女「ぐっ……被害状況!」

オペレーターA「所員食堂が全壊! 居住区域にも被害小!」

早乙女「重要箇所は免れたか……」

ジン「居住区域って……避難は終わってるの?」

早乙女「…………この場にいる人間は、皆覚悟している。勿論、あそこにいた所員も残らずだ」

ジン「そんな……!」


ナガレ『ッの……野郎ォ! オオオォォラアァッ!』

バララララララララララ


クマ「誰かあのバカに弾の無駄だと伝えるクマ! え? 無線持って行ってないクマ? ほんとに馬鹿クマ!」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:12:15.91 ID:mZvQ5q5So
クマ「早乙女博士、もう駄目クマ、逃げるクマ!」

早乙女「ゲッターロボを残したままで逃げられん。ゲットマシンに乗って、お前たちだけでも逃げろ」

クマ「ゲットマシンを持って逃げても早乙女博士が一緒じゃないと意味ないクマ!」

早乙女「ワシには役目がある。お前たちが逃げた後、地下のゲッター炉心を暴走させる」

早乙女「少なくとも、奴らを道連れにできる」

クマ「それは逃げる事も出来なくなった後の本当の最終手段クマ! まだ打つ手はあるクマ!」

早乙女「橘 神がゲッターに乗るとでも言うのか?」

ジン「っ…………」

クマ「それは、駄目クマ!」

ジン「クマ、ちゃん?」

クマ「ジンはゲッターに乗りたくないクマ! ジンの本能がそうさせているクマ!」

クマ「本能は理性よりも優先される大事なものクマ! だからクマは、絶対にジンをゲッターに乗せないクマ!」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:13:28.41 ID:mZvQ5q5So
早乙女「クク……本能か。本能が何よりも優先されるならば、既に答えは一つなのだ」

クマ「クマ?」

早乙女「どうするのだ、ジン」

ジン「……腹の底から、そんな事はお断りよ」

ジン「でも…………」

ジン「三人乗れば動くって言うなら、乗るだけ乗ってやる!」

クマ「ジン!」

ジン「乗るだけよ! 私は何もしない、何もできないんだから!」

早乙女「クマ! ジンをゲットマシン格納庫に連れていけ。ナガレは外で回収する」

クマ「分かったクマ! ジン、こっちクマ!」

ジン「ええ!」

キュムキュム……


早乙女「そうだ。本能こそが、お前たちを突き動かす……」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:14:29.75 ID:mZvQ5q5So
ナガレ「ウォオオオオオ! オラオラオラァ!」

バララララララララララ

恐竜兵士A「ギャッ!」

ナガレ「死ねぇっ!」

バキッ

恐竜兵士B「グバッ!」

ナガレ「くそったれ……! 次から次へと沸いてきやがる!」

ナガレ「その上、真上のメカザウルスには攻撃が届かねえ!」


メカザウルス「ギョアアアアッッ!」バサバサッ


ナガレ「負けたんじゃねえか、これ……フン!」

ガスッ

恐竜兵士C「げえっ!」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:15:17.95 ID:mZvQ5q5So
ギュオン……

ナガレ「ん……この音は、ゲットマシン!?」

バシュウ!

ナガレ「イーグル号がこっちに来る! 乗れって事か!?」

ナガレ「へっ……無茶言いやがる、ゼッ!」タンッ

ガシッ

ギュオン!

ナガレ「うおおお! 落ちるかああああ!」グイッ

ガシッ ガシッ

バシュッ

ゴロン ドカッ

ナガレ「ぷはっ! 流石に、死ぬかと思った……!」ピッ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:16:08.17 ID:mZvQ5q5So
クマ『ナガレ! 大丈夫クマ?』

ナガレ「ああ? 余計な心配するんじゃねえよ、熊公!」

クマ『元気そうで何よりクマ』

ナガレ「どうするんだよ。ゲットマシンを出したって、合体出来なけりゃメカザウルスは倒せねえ」

ジン『だから、合体できればいいんでしょ?』

ナガレ「ジン! テメエ、乗らねえんじゃ……なんだその恰好!?」

ナガレ「パイロットスーツのサイズ合ってねえじゃねえか! すげえエロいぞ!」

ジン『うっさい! スーツが一着しかないんだから仕方なかったのよ!』

クマ『来るかどうかも分からないパイロットの体系に合わせてスーツの数を用意するのは難しいクマー』

ジン『とにかく、さっさと合体して、あのメカザウルスを叩いてハチュウ人類を蹴散らす! そして私は帰る!』

ナガレ「面白れぇ。このゲッター、乗ったら最後の地獄行き超特急だって事、思い知りな!」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:17:16.46 ID:mZvQ5q5So
クマ『ゲッター以外で対処できないメカザウルスを先に破壊するクマ! 合体するクマ!』

ジン『いきなりね……でも合体するだけなら!』

クマ『さっき説明した通りにするクマ! ジンならできるクマ!』

ナガレ「励まし合いなんざ要らねえ! 行くぜ!」

ギュオン

ジン『クマちゃん!』

クマ『行くクマ、ジン!』

ギュオン……

ガシィン!

ジン『ぐうっ! た、確かにこれは、キツいっ……!』

ナガレ「へこたれるな、本番はここからだぜ!」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:17:48.35 ID:mZvQ5q5So
メカザウルス「ギョアアアアアアアッッッ!」ギュン


クマ『メカザウルスがこっちに来るクマ!』

ジン『か、回避を!』

ナガレ「そんな暇あるか! 行くぜえええーーーッ!」



ナガレ「チェーーンジ! ゲッタァーーー 1 !」ポチッ



ギュオン

ガシィン!

グググ……グワオン!


ナガレ「よっしゃあ、かかってきやがれ!」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:18:38.75 ID:mZvQ5q5So
メカザウルス「ギョアアアアアアッッ!」

ドガッ

ナガレ「ぬおおっ!」

ジン『があっ!?』

ナガレ「いってえな……だがこれで!」グイ

ガシッ

メカザウルス「ギョアアッ!?」

ナガレ「捕まえたぜェ! 食らえ、ゲッター……!」

メカザウルス「ギョアアアアアアッッ!」

バサバサ

ナガレ「ぬわ! この、暴れるんじゃねえ!」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:19:17.89 ID:mZvQ5q5So
メカザウルス「ギョアアアッ!」パカッ

ナガレ「何だ、口を開けて……!?」

クマ『ナガレ、手を放すクマ! 攻撃してくるクマ!』

ナガレ「なにぃ!?」


キィン……パウッ

ズガガガガガ!


ナガレ「どわああああっ!」

ジン『あ、熱い!』

クマ『超高熱のビーム攻撃……! ナガレ、早く手を放すクマー!』

ナガレ「クソったれえーー!」パッ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:19:51.71 ID:mZvQ5q5So
ヒュー……ズガァン!

ナガレ「ハアっ、ハアっ……クソ、ゲッターの装甲が軽く溶けてやがる……!」

クマ『あのまま受け続けていたら、クマたちが蒸し焼きになっていたクマ……』

ジン『ほ、本当に地獄行く……!』


メカザウルス「ギョアアアアアアッ!」バクンッ

バシュンバシュンバシュン!


ナガレ「ぐっ……今度はミサイルかよ!」

キイィィン……ドワオ!

バキィッ!

ナガレ「ぐわあっ! なんだこいつ、前の奴より滅茶苦茶強ぇぞ!?」

クマ『多分、前のは斥候クマ……こっちこそが、ハチュウ人類の真の戦力クマ!』

ジン『ちょ、ちょっと……倒せるの、本当に!?』

ナガレ「うるせぇーッ! 客は黙ってろ!」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:21:04.66 ID:mZvQ5q5So
クマ『ナガレ、落ち着くクマ!』

ナガレ「落ち着いたらあいつに攻撃が届くのかよ! 空を飛んでるんじゃ、こっちが一方的にやられるだけじゃねえか!」

クマ『昨日あれだけ説明したのにもう忘れたクマ!? ゲッター1は空中戦も視野に入れたゲッタークマ!』

ナガレ「だったら飛ばしてみろよ!」

クマ『「ゲッターウィング」クマ! 音声認識で出るクマ!』

ナガレ「思い出したぜ! ゲッターウイィングッ!」

ブワッ……バサッ!

バオン!

ナガレ「なるほどなあ、こいつは良い!」

クマ『はしゃいでないでメカザウルスをちゃんと見るクマ! またミサイルが来るクマ!』
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:22:48.47 ID:mZvQ5q5So
キイィィン……

ナガレ「あらよっと!」グイ

ヒョイ ヒョイ

ナガレ「もう当たりゃしねえよ!」

メカザウルス「ギョアアアアアアッッ!」パカッ

ジン『ナガレ、またビーム攻撃よ!』

ナガレ「分かっている! 見切って一気に接近してやる!」

キィン……パウッ

ズガガガ!

ナガレ「ぐおおおおっ! クソが、避けられねえ!」

ジン『ばっ……何をやってるの!』

クマ『発射から着弾までが早すぎるクマ! 撃つのを見てからじゃ避けられないクマ!』
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:23:43.21 ID:mZvQ5q5So
バオンッ

ナガレ「カハッ……ハアっ、ハアっ! おい、どうする熊公! 近付こうにもあのビームを避けられねえんじゃ話にならんぞ!」

ナガレ「言っておくが、こんな距離からゲッタービームを当てる自信なんざ無ェからな!」

クマ『何を威張っているクマ……』

ジン『何か他に武器はないの? もしくは、囮にできるものは!』

ナガレ「おとり……イーコト思い付いたぜ! ゲッタートマホークッ!」

ジャキンジャキン ガシッ

ジン『肩から出た鉄球が斧に……でも、それで何をするつもり?』

ナガレ「見てろよー……!」グイ

バオンッ

メカザウルス「ギョアアアアッ!」バサバサ
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:24:47.28 ID:mZvQ5q5So
ナガレ「トマホーゥク……ブゥーメラン、ダブルッ!」

ブンッ ブンッ

ギュルギュルギュル……!

メカザウルス「ギョアアッ!」パカッ

キィン……パウッ!

ジュワッ……

ナガレ「貰ったぁ!」グイッ

バオンッ

ガシィッ!

メカザウルス「ギョアアアッ!?」

クマ『うまいクマ! ゲッタートマホークを囮にしてビームを撃たせている間に、後ろを取ったクマ!』

ジン『真後ろならビームの範囲外だし、ミサイルも届かない……やるじゃない』

ナガレ「褒めても何も出ねえよっ」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:26:16.92 ID:mZvQ5q5So
ナガレ「さぁて……よくも散々手古摺らせてくれたなァ?」

メカザウルス「ギャアアアアッッ!」ジタバタ

ナガレ「終わりだ! 喰らえェ……ゲッター、ビーーームッ!」

キィイン……


メカザウルス「ギョアアッ!」ガチッ

バカンッ


ナガレ「何っ!?」

ジン『メカザウルスがっ……!』

クマ『分離したクマッ!?』

キュオン

バオオォォオオンン!
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:27:05.06 ID:mZvQ5q5So
ナガレ「くっそおおおお! 必殺のゲッタービームを外したァ!」

クマ『奴らは……分離したメカザウルスはどこ行ったクマ!』

ジン『下よ、落下している!』


ズガァン! ズズゥン!

メカザ「ギョアアアッ!」

ウルス「ゲシャアアアッ!」


ナガレ「なんだありゃあ、分離した上半身と下半身がそれぞれ動いてやがる!」

ジン『つまり、最初から合体していた二機のメカザウルスだったって事!?』

クマ『多分そうクマ……』
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:28:10.45 ID:mZvQ5q5So
ナガレ「合体できるのはこっちだけじゃねえってか……面白くねえ真似しやがって!」グイッ

バオンッ

クマ『待つクマ! 相手が二機に増えたなら、無暗に突っ込むのは危険クマ!』

ナガレ「うるっせえよ熊公! こうなったらさっさとどっちかを叩き潰すしかねえだろうが!」

メカザ「ギョアアアアッ!」ガチャガチャ

ナガレ「まずはテメエだ! ゲッターパァンチ!」

ブンッ

メカザ「ギョアアアッ!」ヒョイ

ナガレ「甘ェ! ゲッタートマホーク!」

ジャキンッ ガシッ

ナガレ「オオオオオリャアアアッ!」

ジン『――――ナガレ、後ろ!』

キィイイン……ドワオ!
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:28:44.34 ID:mZvQ5q5So
ナガレ「だああっ! なんだあっ!」

クマ『もう一機のメカザウルスクマ! ミサイルを撃ってきたクマ!』


ウルス「ゲシャアアアアッ!」


ジン『片方に気を取られていたらもう片方にやられる……!』

ナガレ「やりやがったなァ! このっ――――」

メカザ「ギョアアアッ!」パカッ

ナガレ「しまっ……!」

キィン……パウッ!

ズガガガガガガガガガ!

ナガレ「ウオオオオオオオッ!」

ジン『きゃああああああ!』

クマ『クマーーーーー!』
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:30:19.27 ID:mZvQ5q5So
ズズゥン……

ナガレ「ま、まずい……んじゃねえか、これ……!」

クマ『だ、だから言ったクマ……人の話を聞かないでからこうなるクマ!』

ナガレ「うるっせえ!」

ジン『ナガレ……下半身の方が来るッ!』

ウルス「ゲシャアアアッ!」

ガシッ

ナガレ「クソッ……!」グイグイ

ウルス「ゲシャアアッ!」バクンッ

ジン『こ、この距離でミサイルを撃つ気だわ』

クマ『ナガレ! 振り解くクマ!』

ナガレ「やってんのが見えねえのかクソ熊公!」ガッチョンガッチョン

バシュンバシュンバシュン

ドワオ! ドガァン! バゴォン!
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:31:11.52 ID:mZvQ5q5So
クマ『クマーーー!』

ナガレ「こ……の……!」

メカザ「ギョアアアッ!」パカッ

キィン……パウッ

ズガガガガガガガ!

ジン『アアアアアアアアッッ!』


ナガレ「うおおアアアッ……ゲェッター! ビィーーームッ!」


キィイン……キュオン

バオオォォオオンン!


メカザ「ギョアアアアッ!」バッ

ウルス「ゲシャアアアッ!」バッ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:32:22.13 ID:mZvQ5q5So
シュウウウウッ……

ナガレ「ハアーッ、ハアーッ……!」

クマ『ク、クマー……』

ジン『し、死ぬ……熱い……!』


早乙女『ナガレ、クマ、ジン。聞こえるか?』


ナガレ「そ、その声……ジジイ……!」

クマ『早乙女、博士……ごめんなさいクマ、あいつら強いクマ……』

ジン『ひゅー……ひゅー……』
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:33:24.20 ID:mZvQ5q5So
早乙女『ナガレ。今のお前では二機以上のメカザウルスを相手にできない。ゲッターを活かしきれていない』

ナガレ「るっ、せぇ……だったらテメエが乗ってみやがれってんだ……!」

早乙女『勝つには一つだ。奴らの攻撃を受けないほどの速さで翻弄し、殲滅する』

早乙女『速さに特化した「ゲッター2」へとゲッターチェンジするのだ』

ナガレ「ゲッターチェンジ……だと!?」

クマ『さ、早乙女博士っ! でも、それは……!』

ジン『ひゅー……ひゅー……がはっ』

早乙女『ジン。お前が戦うのだ』

ジン『げほっ!? げほげほっ、がはっ! ごほごほっ!』

早乙女『むせている場合ではない。今すぐに合体を解除し、お前が操縦者となって戦え!』
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:35:05.98 ID:mZvQ5q5So
クマ『早乙女博士、それは約束と違うクマ! ジンを戦わせない、それを条件にジンはゲッターに乗ったクマ!』

早乙女『ならばお前が戦うか? 確かに「ゲッター」はあの熱光線を耐えられるだろう』

早乙女『だがその熱によって、お前たちは確実に死ぬ』

クマ『でも、ジンは……』

早乙女『戦わない為に乗ったのではない。死なない為に乗ったのだ!』

ナガレ「だとよ、ジン……どうする?」

ジン『ど、どうもこうも……』

クマ『……ジン。このままナガレに任せたままだと、負けるクマ』

ナガレ「ぐっ……ムカつくが、その通りだ。俺はこんなところで死にたくはねえ」

クマ『だけど、嫌なら、クマが頑張るクマ。ナガレよりはできるクマ』

ジン『クマちゃん……』


メカザ「ギョアアアアアアアッッッ!」

ウルス「ゲシャアアアアアアアアッッッ!」


早乙女『時間はないぞ、選べ!』
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:35:37.69 ID:mZvQ5q5So
ジン「…………結局、こうなるのかー」

ジン「どうなったって、知らないんだから! あなたたち全員、死んでも私を恨むのだけはやめてよね!」

ジン「戦えばいいんでしょうが!」

クマ『ジン!』

ナガレ『判断が遅いんだよ、オープン・ゲット!』

ガチャン! バシュゥン!

クマ『ジン、ナガレ! 順番が入れ替わるクマ! ジャガー号が先頭、クマが真ん中で、イーグル号が一番後ろクマ!』

ジン「ええ!」

ナガレ『つまり俺が後ろから突っ込むわけか。熊公、容赦なくやるぜ!』グイッ

クマ『事故だけは嫌クマ!』グイッ

ギュオン……

ガシィン!
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:36:47.09 ID:mZvQ5q5So
ナガレ『どんなモンだ!』

クマ『ジン、スピードを落とすクマ!』

早乙女『合体の前に叫べ、「チェンジ・ゲッター2」だ!』

ジン「え、ええ……!」

ナガレ『ビビるなよ、諸共に死ぬぜ!』

ジン「脅かすんじゃない!」

ジン「すー……はー……!」

グッ



ジン「…………チェンジッ! ゲッター 2 !」



ガシィン!


グググ……


グイーン


ガキョン!


ヒュー……ズザザザザ

121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:37:28.46 ID:mZvQ5q5So
ジン「…………せ、成功した?」

クマ『やったクマ! すごいクマ、ジン!』

ナガレ『テメエ今、目ェ瞑りながら合体しやがったな!? マジで殺す気か!』

ジン「だ、だって……恐いんだから仕方ないじゃない!」

早乙女『口喧嘩なら後でやれ! ジン、手元のレバーが腕に連動し、足元のレバーが脚に連動している!』

ジン「そんなので大丈夫なの? 本当に動くのよね!?」

ナガレ『俺はそれで操縦していたんだからできる! 四の五の言うんじゃねえ!』

早乙女『知識を捨てろ、自由に動かせるはずだ!』

ジン「ま、待ってよ……このレバーが腕だから……」グイッ

ウィーン

ジン「それで、足が……」グイッ

ウィーン
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:38:52.01 ID:mZvQ5q5So
ウルス「ゲシャアアアアッッ!」ズンズン

ドガァアン!

ジン「きゃああっ!」

カシャン……パキッ

ジン「あっ、め、眼鏡が……!」

ナガレ『当たり前だぁ! じっと止まってたら攻撃されるに決まってんだろうが!』

ジン「待って、眼鏡が……前がよく見えない!」

ナガレ『ンなモン心の目だか何だかでどうにかしやがれ!』

クマ『何を意味の分からない無茶言ってるクマ!』

ウルス「ゲシャアアアッ!」

ガンッ ズガァン

ジン「きゃあああっ!」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:40:21.55 ID:mZvQ5q5So
ガンッ ガンッ

ジン「うぐっ、ぐうぅ…………」

ナガレ『何してんだバカが、反撃しろ!』

ジン「でも、見えない……! 何がどうなっているのか、分からない!」

クマ『落ち着くクマ! ナガレ、クマたちで補佐するクマ!』

ナガレ『補佐も何も目の前にいるじゃねえか、とりあえずそいつをどうにかしろ!』

クマ『助言もできないなら騒いでないで黙ってるクマ!』

ウルス「ゲシャアアッ!」グワッ

ガキッ バキバキバキッ

ジン「か、噛み砕かれてる!」

クマ『ゲッター2は速さに特化してる半面、装甲が薄くなるクマ!』

ナガレ『それを早く言えよ熊公!』
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:41:08.01 ID:mZvQ5q5So
バキバキッ

ジン「ヒッ…………!」

ジン(こんなところで、死ぬ?)

ジン(死ぬ。死ぬ。死ぬ。死ぬ。死ぬ。死ぬ。死ぬ。死ぬ)

ジン「い、嫌ァーーーー!」グイッ

ギュイイイーーーン!

ジン「喰らえエエェーーーー!」

ドスッ

ウルス「ゲシャアアッ!?」

ジャリジャリジャリズババババババッ!

ウルス「ゲシャアアアアアアアアアッッッ!」

ズバアッ!
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:42:07.00 ID:mZvQ5q5So
バラバラバラ……

ナガレ『うわあっ、汚ェ!』

クマ『やったクマ! ジン、あと一機クマ!』

ジン「ハッ、ハッ、ハッ……!」


ズズゥン……ドシャッ


ジン「ハッ、ハッ、ハッ……!」


ジン『ヒヒヒャヒャハ、ハアアアッ!』


ジン「ハッ、ハッ――――!」ゾクゾク
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:43:06.51 ID:mZvQ5q5So
メカザ「ギョアアアアアアアアアッッッ!」パカッ

クマ『ジン! 熱光線攻撃クマ!』

キィン……パウッ

ジン「ハアッ!」グイッ


ザザ――――

ザザザザザ!


メカザ「ギョアアアッ!?」

ナガレ『だあああ、速ェぞ!?』

クマ『クマっ……流石のクマも、ちょっとキツいクマー……!』

ジン「あああああッ!」

ザザザザザ

メカザ「ギョアアアッ! ギョアアアアアッッ!?」キョロキョロ

ズサッ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:44:16.22 ID:mZvQ5q5So
クマ『後ろ、取ったクマ!』

ナガレ『やれぇ、ジン!』

ジン「やアアアアアッ!」グイッ

ゾブッ ズバアッ!

メカザ「ギョアアッ!? ギョアアアアアアアアアッッッ!」

ナガレ『バカ野郎、この距離で急所を外すかあ!?』

クマ『ジン、焦っちゃ駄目クマ!』


メカザ「ギョアアアッ……!」ジタバタ


ジン「――――フヒッ」

ギュイィーン!

ズブッ ズバアッ!

メカザ「ギョアアアアアッッ……!」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:45:45.70 ID:mZvQ5q5So
クマ『また急所を外した……いや、これは、わざと外しているクマ?』

ナガレ『おい、ジン! 何を考えてやがる、さっさととどめを……!』


ジン「ギヒッ、フヒャハハハハッ!」

クマ『ジ、ジン!?』


ギャリギャリギャリギャリ!

ジン「なんで気付かなかったのかしら! ハチュウ人類が相手なら、何をしても構わないじゃない!」

ギャリギャリギャリギャリ

ズババババババッ ブシャアッ

メカザ「ギョアアアアアアッ!?」ジタバタ

クマ『ジン、どうしたクマ!?』

ナガレ『こいつ、メカザウルスを……嬲ってやがる……!』
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:46:13.66 ID:mZvQ5q5So
ジン「ハチュウ人類相手なら刑法204条・傷害罪に問われない!」

ジャリジャリジャリズババババババッ

ジン「殺人罪に問われない!」

ズバッ ドチャッ

ジン「ぐちゃぐちゃにしても死体損壊にならないッ!」

グチャッ

ジン「目を抉り出しても、耳を千切っても、鼻を削いでも、何をしても許される!」

ジン「あれだけ『夢』見た事が、全部、デキルッ!」

ギュイイイーーーン!

ジャリジャリジャリ……

バシャアッ!

ジン「ッ――――――――!」ビクビクビクッ

ジン「さいっ……こぉ……」プシャア
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:47:12.86 ID:mZvQ5q5So
ナガレ『な、なんて女だ……メカザウルスを嬲り殺して、イってやがる……!?』

クマ『ジン……』


早乙女「……クマ。強制オープン・ゲットし、帰投しろ」

クマ『分かったクマ』

ガチャン バシュゥン

早乙女「オートパイロットでジャガー号を拾え」

オペレーターA「は、はい」

早乙女「トゥルーパー4を出撃させろ。残っているハチュウ人類歩兵を全滅させるのだ」

カランカラン

早乙女(本能こそが、生き物を生かす。それでいいのだ、ジン)


ジン「あーっ……」ビクビクッ
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:48:39.50 ID:mZvQ5q5So
 ―― 早乙女研究所 ――

所員A「おーい、誰かペンチを貸してくれー」

所員B「せーので持ち上げるぞ、せーのっ!」

ナガレ「こっちは危ねえからお前らは来んな。俺が渡す!」


ジン「…………」

クマ「ジン」

ジン「…………クマちゃん」

クマ「隅っこで体育座りなんかしてどうしたクマ?」

ジン「ちょっとね……自己嫌悪」

クマ「嫌な事、あったクマ?」

ジン「自分の事を、最悪だって思う」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:49:31.87 ID:mZvQ5q5So
ジン「私、よく妄想するのよ。白昼夢って言った方が、近いかもしれないけど」

ジン「人を殺す妄想……それも惨く殺して、私がそれを喜ぶ妄想」

ジン「私は自分の事をまともな人間だと思ってた。だから、それが嫌で、それが自分の本当の姿だなんて認めたくなくて」

ジン「……でも、それが本性だった。もう、ほんと、嫌でね……」

クマ「クマは、あの時のジンは、とても生き生きしていたと思うクマ」

クマ「あの時のジン、すごく綺麗だったクマ!」

ジン「お世辞なんていいのよ」

クマ「お世辞なんかじゃないクマ、本当だクマ」

クマ「ジンは、それが本性だって言うクマ。でも、それは嫌クマ?」

ジン「当然じゃない。そんなの、人としておかしいわ……」

クマ「クマはそうは思わないクマ」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:51:16.52 ID:mZvQ5q5So
クマ「自然界では、さっきのジンみたいに獲物を弄ぶなんてしょっちゅうクマ」

クマ「それは強い生き物が持つ特権みたいな物クマ。別におかしくはないクマ」


ジン「でも私は、野生動物じゃなくて理性のある生き物なのよ?」


クマ「野生動物にだって理性はあるクマ。さっきもクマは言ったけど、それより大事なのが本能クマ」

クマ「ジンは戦いたくないからゲッターに乗ったクマ。死にたくないから、結局ゲッターに乗ったクマ」

クマ「その結果、ジンの本性が出てきたクマ」

クマ「本性は、即ち本能クマ。本能は全ての生き物がすべからく持つ物クマ。つまりジンの行動は、全て本能クマ」

クマ「生き物は本能に従って生き残るクマ。ジンは本能に従って動いただけクマ」

クマ「なのに本能に従うのが駄目だなんて、それじゃあまるで、人間だけが生き物じゃないみたいクマ」


ジン「……人間界じゃ、そんなのは通用しないのよ」

クマ「じゃあ人間界に通用するように言うクマ」

クマ「ジンのおかげでクマは助かったクマ。みんな助かったクマ。ありがとうクマ」

ジン「……本当に優しいのね、クマちゃん」

クマ「そんな事無いクマ。今のはちょっとずるい言い方だったクマ」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:53:00.94 ID:mZvQ5q5So
クマ「ジン。本能は、もう一人の自分クマ。ちゃんと、仲良くしてあげるクマ」

クマ「そうしたら、いざと言う時、絶対に助けてくれるクマ」

ジン「……仲良くなんて、できるかしら。今まで散々否定してきたのに」

クマ「できるクマ。そうじゃなくちゃ、野生じゃ生き残れないクマ」

ジン「……ええ、頑張ってみるわ」

ナガレ「オイ、熊公! サボってんじゃねえぞ、働け!」

クマ「手伝ってほしいならそうだって言うクマー!」

ナガレ「るせー! テメエの不器用な手なんざ要らねえよ!」

クマ「……かと言ってナガレみたいに本能と口が直結した生き方はしなくていいクマ」

ジン「そうね。それには、賛成だわ」

クマ「今行くクマ!」

キュムキュムキュム

ジン「……待って、私も手伝う!」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:53:53.08 ID:mZvQ5q5So
 ―― 橘法律事務所 ――


助手「橘先生、事務所をたたむって、本気ですか?」

ジン「一時休業するだけよ。ちょっと私用でね。安心して、私の弁護士の先生にマイちゃんを紹介しておいたから」

ジン「あ、勿論マイちゃんさえ良ければの話だけどね。ここの代わりにそこで働いて」

助手「それは、ありがたいんですけど……何があったんですか?」

助手「この前だって、急に休んで、連絡も取れなかったし……」

ジン「だから言ったでしょう。急に熱出して、動けなかったんだって」

ジン「連絡しなかったのは悪いと思うけれどね。ハイこれ、先生の事務所の住所」

助手「……橘先生。本気ですか? 予約が入ってる状態で、突然休業なんて……」

助手「復職したとして、そんな信用を失った状態で、まともに仕事なんて……!」

ジン「そうね。そうなったら、別の仕事を探すわ」

助手「そんな適当な」

ジン「先方への謝罪の連絡、手伝って?」

助手「……はい」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:55:52.76 ID:mZvQ5q5So
 ―― 早乙女研究所 ――


ナガレ「で、仕事を辞めてきたわけか」

ジン「ええ」

ナガレ「アホだな。二足の草鞋って選択肢もあったろうに」

ジン「弁護士って仕事を馬鹿にしてるでしょ。それこそ何年にも渡って、一つの案件に関わることもあるのよ」

ジン「そうでなくても何日も拘束されるのに、同時にゲッターパイロットなんてできるわけないじゃない」

クマ「頑張ってやっとなれた夢の仕事でもクマ……?」

ジン「そうだけど……天職は一つだけとは限らないわ」

ジン「それに私がいなくても裁判はできるけど、『ゲッターロボ』は動かせない」

ジン「考えるまでもないの」

ナガレ「あれほど嫌がっていたのに、心変わりが早い事で」

クマ「でも、これでやっと三人揃ったクマ!」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:57:00.28 ID:mZvQ5q5So
ギュインギュイン ギュインギュイン

ナガレ「おっと……トカゲ共が来やがったか」

クマ「のんびり言ってる場合じゃないクマ。ゲットマシンに乗って待機クマ!」

キュムキュムキュム

ジン「そうね、急ぎましょう」スッ

カチャ……

ナガレ「眼鏡、外して良いのか?」

ジン「ええ……大丈夫」

ナガレ「また「前が見えなぁい」とか言いやがったらそのままコックピットから叩き落すからな」

ジン「そんな言い方してないんだけど」

クマ「二人とも何をしているクマ、急ぐクマ!」

ナガレ「うるせえぞ熊公! どうせテメエは一番遅ェんだから先に行ってろ!」

クマ「クマはクマだクマー! 本気出したらクマが一番早いクマ!」


ジン「…………フヒ」ニィ
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 01:01:02.64 ID:mZvQ5q5So
第二話【ジン】終。

次回、第三話【クマ】。投下日未定。

なんか長引いたわ。戦闘シーンが実質二回あるのが原因に違いない。

>>67
それが思い浮かんだのならこっちは満足。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/02(土) 10:03:46.54 ID:CCpW+xmn0
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/22(金) 20:42:57.73 ID:WCy4Ca0z0
鉄球からトマホークに変形するってことは新ゲッターのに近いのかな?
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