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クマ「ゲッターロボ・クマー!」
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141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/05/03(火) 18:56:43.53 ID:zaQEqIbI0
マ゛ダ゛ー゛?゛
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:02:15.60 ID:0oKAVaRPo
>>140
鉄球からトマホークの流れは合理的だと思ったから採用しただけです。
リメイクゲッターと言う点でリスペクトパロディしている節はあるけど。ナガレの冒頭とか。
>>141
デギダー゙。
今更だけどゲッター1、ゲッター2のデザインは従来のゲッターと同じ姿で想像してもらえればいいです。
ちょこちょこディティールは違うけど、どうせ描写しないし。
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:02:50.41 ID:0oKAVaRPo
早乙女「『ゲッターロボ』とは、イーグル号、ジャガー号、ベアー号の三機のゲットマシンが合体して完成するスーパーロボットだ」
早乙女「ゲッターロボはゲットマシンの順番を入れ替える事で、三つの形態に変形できる」
早乙女「イーグル号がトップとなり、空陸戦を可能とするゲッター1」
早乙女「ジャガー号がトップとなり、地上及び地中での戦闘を得意とするゲッター2」
早乙女「そしてベアー号がトップとなり、三つの形態の中で最も装甲が固く、また水中戦を目的としたゲッター3」
早乙女「状況に応じて変幻自在に姿を変え、戦闘を有利にする事をコンセプトに設計したのがゲッターロボだ」
早乙女「ゲッター1はイーグル号、ジャガー号、ベアー号の順番でのゲッターチェンジ」
早乙女「ゲッター2はジャガー号、ベアー号、イーグル号の順番でのゲッターチェンジ」
早乙女「ゲッター3は……」
ナガレ「ジジイ、質問」
早乙女「質問する時間は後で設ける」
ナガレ「何だって今更そんな基礎的な事を学ばされてるんだ、俺たちは?」
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:03:32.39 ID:0oKAVaRPo
ジン「簡単な話よ。私たちはゲッターロボについて知らなさすぎる。その結果が、前々回での戦闘での参事よ」
ナガレ「あれはジン、テメエがうだうだ駄々を捏ねるからだろうが」
ジン「それは認めるわ。同時に、ゲッターに対する知識が無かったからこその無様だった」
ジン「信じられない……一回学習しておきながら、ゲッターの武装を全部忘れてただなんて」
ナガレ「そんなモンは戦いの中で体が覚えるもんだ。大体にして勉強なんて小学校の頃以来で嫌いだよ!」
ジン「なら出て行くと良い。その場合、今後の戦闘は私とクマちゃんだけでするから」
ナガレ「ざけんなクソアマ! また空を飛ぶメカザウルスが出たら、どう戦うってんだっ?」
ジン「いっその事、敵に合わせて搭乗するゲットマシンを変えても良いかもね。ナガレは置物で」
ナガレ「表に出ろ。ひん剥いて一晩中犯す」
ジン「真っ裸にされて貧相なモノをカラスに突かれたければ、付き合うけど?」
早乙女「止めんか、お前たち」
ナガレ「チッ……」
ジン「すみません、博士……」
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:06:05.85 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「と言うか、一番の疑問はなんで熊公がここにいねえのかって事だよ」
早乙女「クマは既にゲッターパイロットとして十分な知識を得ている。武装の追加等が無い限り、今更説明を受ける必要はない」
早乙女「この講習で一番重要なのは、お前たちをクマと同じ程度まで引き上げる事だ」
ナガレ「つまり俺たちは人間にして熊以下か」
ジン「仕方ないわ、その通りだもの……今のままじゃ、クマちゃんだけに負担を強いる事になる」
ナガレ「知った事かよ。あいつ今まで戦闘した事ねえじゃねえか。負担なんてねーだろ」
ジン「今後の話よ。戦いの中で成長できるなんて、都合が良すぎるわ。私たちは私たちで、努力しないと……」
ナガレ「……まあ、いつまでもアイツ頼りってのは癪だからな」
早乙女「忘れるな。お前たちが協力する事で、ゲッターはいくらでも強くなれる」
早乙女「協力するには、兎にも角にも情報の共有だ。続けるぞ」
ジン「お願いします」
ナガレ「早く終わらせてくれよ、もう……」
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:06:49.53 ID:0oKAVaRPo
―― 早乙女研究所・飛行訓練場 ――
クマ「みんな。やっと、ゲッターパイロットが三人揃ったクマ」
クマ「ナガレと、ジンって言うクマ。ナガレは、乱暴で自分勝手な奴クマ」
クマ「ジンは、冷静で強い女の人クマ。でも二人とも元々は一般人だから、多分、みんなが見たら怒るクマ」
クマ「「こんな奴らがゲッターに乗るのか!」って……言うと思うクマ」
クマ「それでも、クマたちが、これからはゲッターを動かしてハチュウ人類と戦うクマ」
クマ「だから……ちょっと我慢して、応援してほしいクマ」
カサッ……
クマ「……ケン、テツオ、ジョウ、モンジ」
クマ「トモカズ、ナルミ、ヤスノリ」
クマ「タカヒロ、ユウ、トシハル、ヒデオ、ナオヤ、キヨユキ」
クマ「……ミチル、タツヒト……」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:07:38.29 ID:0oKAVaRPo
ゲッターロボ・クマ
. 第 三 話
. 【クマ】
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:08:26.52 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「だあーっ……頭がパンクしそうだぜ……」
ジン「あの程度の情報量で何を情けない……」
ナガレ「黙っとけ。はーあ、無駄に頭を使ったから腹が減った。飯にしようぜ、飯!」
ジン(多分、食後には全部忘れてるわね)
キュムキュムキュム
クマ「ナガレー、ジンー」
ナガレ「あっ、熊公てめえ! どこに一人で行ってやがった!」
ナガレ「俺たちだけに講習なんか受けさせやがって、お前はお気楽に散歩か!」
クマ「野暮用クマ。二人は、ちゃんと憶えられたクマ?」
ジン「ええ。後は実践して、体に落とし込むだけよ」
クマ「ジンは流石クマー」
ナガレ「どうせテメエが操縦するゲッターの特性を憶えられればそれでいいんだ。後は知るか」
クマ「ナガレはそんな事だろうと思ったクマ」
ナガレ「熊鍋にしてやろうか!」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:09:11.55 ID:0oKAVaRPo
ガツガツガツガツ
ナガレ「んぐんぐんぐ……」ゴクン
ガツガツガツガツ
ジン「ナガレ、少し落ち着いて食べなさい」
ナガレ「はあん? おえあえうあうえうああうおおうおッ!?」
クマ「ナガレ汚いクマ、散ってるクマ」
ジン「最低……」
ナガレ「んぐっ……お前らいつハチュウ人類が来るかも分からねえってのに、ちんたら食ってる暇があると思ってんのか!」
クマ「いやあクマにはそんな深い意図はなくただがっついているようにしか見えなかったクマ。食べカス飛んでたクマ」
ナガレ「ンだと! テメエこそ熊公、肉食獣の分際で何をお上品に食ってやがる! 野菜じゃなくて肉食えよ、犬食いとかしろよ!」
クマ「クマがやると本気で見苦しいからやらないクマ。あと栄養バランスを考えた食事をしないとコンディションに影響が出るクマ」
ナガレ「お、おう……」
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:10:40.93 ID:0oKAVaRPo
クマ「と言うか、ナガレ。熊公って言うの止めてほしいクマ。クマはクマだクマ!」
ナガレ「生意気言ってんじゃねえよ、テメエなんて熊公以外になんて呼べってんだよ」
ジン「またそんな事を言う……名前くらい普通に呼びなさいよ。ナガレだってポケットモンキー呼ばわりされたら嫌でしょうが」
ナガレ「意味は分からねえが馬鹿にされてるのは分かるな。言った奴はぶっ飛ばすから安心しろよ」
ジン「話にならねー……。そう言えばクマちゃん、名前で呼ばれているのかそうじゃないのか、一応分かっているのね」
ナガレ「どっちも同じイントネーションの「くま」なのにな」
クマ「当たり前クマ」
ジン「クマちゃん」
クマ「名前クマ」
ナガレ「熊公」
クマ「馬鹿にしてるクマ」
ナガレ「若干呼んでる人間に引っ張られてねえか?」
クマ「そんな事ないクマ!」
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:11:56.04 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「しかし、何時までこんな青空食堂なんだ? テントすら張らねえで、しかも飛行訓練場の側ってよ」
クマ「早乙女博士が言うには、食堂を元通りにするまで二週間は掛かるらしいクマ」
ジン「跡形も無くなったものね……その程度の期間で元に戻せると考えられるのも凄いけれど」
クマ「早乙女博士が言うんだから間違いないクマ!」
ジン「クマちゃんは本当に博士が好きなのね」
ナガレ「お前みたいなのを置いとくんだから、あのジジイも相当変人だよな。お前、いつからここにいるんだ?」
クマ「四年前クマ。クマが1歳の頃クマ」
ナガレ「って事はお前今、5歳か」
ジン「人間換算だといくつなんだろ?」
クマ「普通のツキノワグマだと20歳ちょっとくらいクマ」
ジン「へえ、もう大人なんだ!」
クマ「でも、クマはちょっと普通じゃないし、自分でもそれほど大人だと思えないから、実際はもう少し下だと思うクマ」
ナガレ(普通だったら俺より年上だったのか……)
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:13:27.48 ID:0oKAVaRPo
ジン「ねえ、クマちゃん。クマちゃんがここに来るまでの経緯、詳しく聞いても良い?」
クマ「どうしてクマ?」
ジン「クマちゃんは私とナガレについて、もうそれなりに知っているけれど、私たちは何も知らないから」
ジン「一緒にゲッターに乗るんだから、それくらいは知っておきたいなって思って」
ナガレ「くっだらねえな。俺は要らねえ、テメエらで話してろ」ガタ
ジン「ちょっと、どこに行くのよっ」
ナガレ「腹ごなしの散歩くらい行かせろよ」
ジン「チームワークッ!」
ナガレ「ウンコと一緒に流してくる!」
ジン「全く……あいつには協調性がまるで無い。一人で戦うワケじゃないのに……」
クマ「それは同意クマ。ゲッターは三人の息が合ってこそ真の力を発揮するって、早乙女博士が言っていたクマ」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:13:55.44 ID:0oKAVaRPo
ジン「まあ、聞く気が無い奴に居てもらっても邪魔なだけだし、却って良かったかもね。私だけでも聞くから」
クマ「……大した事じゃないクマ。早乙女博士に見つけてもらって、育ててもらって、ゲッターパイロットになったクマ」
ジン「…………」
クマ「…………」
ジン「…………えっ、それだけ?」
クマ「それだけクマ」
ジン「人間の言葉とか、最初から喋れたわけじゃないんでしょ?」
クマ「……早乙女博士に教えてもらったクマ」
ジン「見つけてもらったって……じゃあ、どういう状況で?」
クマ「研究所側で野垂れ死にそうになっているところをクマ。クマはこんなのだから、満足にエサも確保できなかったクマ」
ジン「ああ、そう……」
クマ「ナガレやジンほど、ショッキングな出会いじゃなかったクマ。それでも、早乙女博士は恩人クマ!」
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:15:59.83 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「ふあーあ……食ったら眠くなっちまった。この上熊公の身の上話なんざ聞かされたら三秒で寝るぜ」
ナガレ「ったく、ジンの奴、余計な事を言いやがって……なんだって女ってやつぁ要らねえ詮索したがるんだか」
ナガレ「…………ン? なんだありゃ」
スタスタ……カサ
ナガレ「……花束? っていうか、摘んだ花を紐できったなく結んだだけだけど」
ナガレ「何だってこんなものがここに」
ナガレ(落とし物……じゃねえわな。人が通らない茂みの中に、隠すように「置かれている」)
ナガレ「飛行訓練場の近くの茂みに花束、ねえ……」
ナガレ「なるほど、間抜けへの手向けか。縁起悪ぃ」
ナガレ「あふ……なんか面倒な事ばかり起きやがるな。部屋に帰って寝るとすっか……」
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:16:34.45 ID:0oKAVaRPo
―― 翌日 ――
ナガレ『フゥーーー! ヒャッホォォォォウウゥッ!』
ギュオン
クマ『ナガレ、はしゃぎ過ぎクマー!』
ギュオン
ジン「これは飛行訓練よ! あなたが大好きな運動系なんだから、真面目にやりなさい!」
ナガレ『うっせえなぁ……ゲットマシンの動きに慣れるのも立派な訓練だろ!』
クマ『クマたちはもう十分にゲットマシンを動かせるんだから、あと必要なのはスムーズな合体クマ!』
ジン「時間の無駄よ。ほら、ゲッター1!」
ナガレ『チッ、優等生共が……』
クマ『ナガレ!』
ナガレ『わーったよ! チェーンジ、ゲッター 1 ! スイッチ、オンッ!』ポチッ
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:17:47.00 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「ふぅ、訓練終わり、っと。ン、ああー……やっぱ窓全開にしても、乗り心地はアレだなぁ」
クマ「ナガレ!」キュムキュム
ナガレ「だはぁ、うるせえのが来た……」
クマ「なにをぶつぶつ言ってるクマ。いい加減、訓練だからって真面目にやってもらわないと困るクマ!」
ナガレ「実戦で死んだら元も子もねえンだろ、分かってる分かってる」
クマ「実戦前に訓練で死んだら本当に下らないクマ! ゲッターチェンジは一番危険クマ!」
ナガレ「少しでも互いのタイミングがずれたら合体の衝撃でぺちゃんこになるんだろ、分かってる分かってる」
クマ「分かっていながら何でちゃんとやらないクマ」
ナガレ「嫌いなんだよ、規律なんてモン」
クマ「嫌いなのは勝手だけどクマたちを道連れにされたら困るクマ」
ナガレ「今までだって十分合体はできてただろうが! おんなじ事をブチブチ垂れんじゃねえ!」
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:19:10.24 ID:0oKAVaRPo
ジン「いい加減にしなさいよ、ナガレ」
ナガレ「出たようるせえ変態露出狂。いい加減って言うならテメエもパイロットスーツ新調しろよ」
ジン「まだ新しいのができてないんだから仕方ないでしょ!」
クマ「技術の粋を集めて開発したスーツ一着ができるまで、少なく見積もっても三週間は掛かるクマ……」
ジン「それは置いといて! 何時までも子供みたいな事言ってないで、協力しなさい」
ナガレ「あーあ、やれ一言目には「真面目にやれ」、二言目には「協力しろ」。息が詰まるぜ!」
クマ「クマたち、言ってる事の何か一つでも間違ってるクマ?」
ジン「間違ってないところでこいつは納得しないでしょうけど」
ナガレ「分かってるじゃねえか。話は終わりだなっ!」
クマ「ずぇんっぜん終わってないクマ! 待つクマー!」
キュムキュム
ジン「はあ……私たちじゃ駄目ね」
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:19:59.63 ID:0oKAVaRPo
カツカツカツ……
ジン「……あったあった。博士の研究室」
コンコン
ジン「早乙女博士、いますか?」
早乙女「ジンか。入れ」
ジン「失礼します」
カシュッ
ジン(自動ドア……)
早乙女「何の用だ?」
ジン「はい。ナガレの事で話があります」
早乙女「どうした」
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:21:42.07 ID:0oKAVaRPo
ジン「ナガレは……協調性に問題があります。三人で動かしてこそのゲッターに乗せるのは、危険過ぎます」
早乙女「その程度の事、放っておけ」
ジン「その程度って……ナガレの身勝手は常軌を逸しています」
ジン「実際、ナガレは前回の戦闘の際にも、敵メカザウルスに不利だったゲッター1から変えたがりませんでした」
ジン「状況に応じて変幻自在を活かす事こそが『ゲッターロボ』であれば、それは放置して良いものとは思えない! 博士から、何か一言」
早乙女「言ってどうにかなると思うか? あれくらいの屑でなければ、ゲッターは乗れん」
ジン「あんな調子のナガレと組まされたら、命がいくつあっても足りません!」
早乙女「所詮貴様らは消耗品だ。使えなくなれば、新しいものを探す。いくらでも死ねばいい」
ジン「……何ですか、その言い方は」
早乙女「話はそれだけか?」
ジン「そうですか。やはりあなたも、相当の狂人なのですね」
早乙女「まともな人間などゲッターには必要ない」
ジン「クマちゃんに対しても、同じように死ねと言えますか?」
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:22:27.52 ID:0oKAVaRPo
早乙女「…………」
ジン「あなたの事を恩人と慕うクマちゃんを、私たちと同じく扱えますか?」
ジン「死なせても良いのなら……もう、私は何も言いません」
ジン「ただ、元々からゲッターに乗せるためだけにクマちゃんを見つけたのなら……」
早乙女「クマを見つけたのはワシではない」
ジン「え……?」
早乙女「そして奴には、死を恐れない理由がある。だからワシは、クマにも同じように言えるし、その上で言いはしない」
ジン「待ってください。なら、クマちゃんは……誰が見つけたんです?」
早乙女「ワシの娘だ」
ジン「娘……お子さんがおられるんですね」
早乙女「ああ、二人な」
ジン「でも、会った事は無いような……?」
早乙女「どちらも、もうこの世にはおらん」
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:23:16.00 ID:0oKAVaRPo
ジン「…………すみません」
早乙女「気にせんよ……ゲッターチームの事は、ゲッターチームで解決しろ。三つで一つのお前たちに、部外者は口を出せん」
ジン「ですが、博士なら」
早乙女「ワシの口から言ったところで意味はない。生死を共にするお前たちだからこそ、お前たちで解決するのだ」
ジン「それまでに、死ななければ良いですが」
早乙女「お前たちは死なん。だからこそ選んだのだ」
ジン「我々は普通の人間です」
早乙女「普通の人間にゲッターは乗れん。肉体的にも、精神的にもな」
ジン「…………」
早乙女「話は終わりだ、出て行くがいい」
ジン「……はい」
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:24:15.71 ID:0oKAVaRPo
―― 早乙女研究所・ジンの部屋 ――
ジン「はあ……」
ジン(結局、何も解決できてないし……謎だけ増えたし……)
ジン(クマちゃんを拾ったのが早乙女博士でなく、早乙女博士の娘さんだった。それはいい)
ジン(どうしてクマちゃんは、そんな嘘を吐いたの?)
ジン(娘さんの死が関係しているのは間違いないけど……)
ジン(博士も、死んでも良いって言う割には、クマちゃんだけは特別視してるみたいだし……)
ジン「って言うか、今はそんな邪推してる場合じゃないからっ」
ジン(早乙女博士は、チームである私たちで解決しろと言う。実際、それは尤もな意見ではあるけれど……)
ジン「解決できないから他に丸投げしたいのよぉ〜〜〜、ナガレのバカ、ホントばか、マジ馬鹿……!」
ジン「んあーー、ムカついてきた……明日言う事聞かなかったら、ぶん殴ろ……」
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:25:13.42 ID:0oKAVaRPo
―― 翌日 ――
早乙女「ゲッター1の武装はゲッタートマホーク、ゲッターレザー、ゲッタービーム」
早乙女「外部武装でゲッターマシンガン、そして飛行を可能とするゲッターウィングがある」
早乙女「ナガレ。ゲッタートマホークはいくつ搭載されている?」
ナガレ「ジジイ、質問。一昨日も昨日も同じ事を聞いた気がするが、俺の気のせいか?」
早乙女「気のせいではなくなるまで続ける。答えろ」
ナガレ「マジかよ……えっと、三つ?」
早乙女「ジン」
ジン「両肩に二本ずつ、計四本です」
早乙女「正解だ。これは改良する際に、搭載できる数も増やす予定だが、現状はその数となっている」
早乙女「では、ナガレ。ゲッター2のドリルハリケーンの射程はどれくらいだ?」
ナガレ「……三〇〇mくらいだっけか?」
早乙女「ジン」
ジン「無風状態で六二〇mです」
早乙女「正解だ」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:26:13.88 ID:0oKAVaRPo
ダンッ
ナガレ「やってられるか!」
ジン「それを早乙女博士の前で言えばいい」
ナガレ「言って聞くようなジジイなら、元より俺はここにいねえよ」
ジン(同じ事言ってるし……)
ガツガツガツガツ
ナガレ「ふぁいふぁい、ほあおえっあーおほふへいあんえいあいうういひあいはお……」モシャモシャ
ジン「食べながら喋るな、散ってるし、汚いし……」
ナガレ「んぐ……なんで他のゲッターの特性なんて理解する必要があるんだよ」
ジン「他のゲッターがどのような性質を持つか、互いに情報を共有する事で、戦闘を優位に進める意味があるのよ」
ナガレ「そんな事知った事じゃねえよ」
ジン「もうそれ、五回目ね」
ナガレ「やってられるか!」
ジン「それも三〇回は聞いた」
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:26:58.78 ID:0oKAVaRPo
ジン「……ナガレ。本当に、真面目に言うわ。もうそろそろ、真剣に私たちに協力しなさい」
ナガレ「知らねえよ、もう飽きるほど聞いたぜ」
ジン「いい加減にして!」
ガシャンッ
ザワザワザワ……
ナガレ「冷静じゃねえな、珍しい事で」
ジン「私たちはただゲッターを動かすだけじゃない。それを動かす意味を背負っているのよ」
ジン「人類の未来、世界の平和、ハチュウ人類を殲滅する為、牙無き人の明日の為に戦う!」
ジン「そんな大義名分の上で私たちは戦っている! なのにあなたは、そんな子供みたいな事ばかり」
ナガレ「知ったこっちゃねえな、そんなモン! 俺は俺の為に戦う! 俺は俺がやりたいようにやる!」
ナガレ「元々乗りたくもねえものに無理矢理乗せられてンだ! それくらい自由にやらせてくれたっていいだろうが!」
ジン「そんな傍若無人が通るわけないでしょうが!」
ナガレ「それはお前らが邪魔なんだよ! お前らなんか要らねえんだ、ゲッターが一人で動かせたなら!」
ジン「いい歳してたらればで物事を語るな!」
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:27:51.23 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「ハチュウ人類嬲り殺してイっちまうようなド変態の気違いに説教されたかねえな!」
ジン「なっ……今はそれは関係ないじゃない!」
ナガレ「いいや、お前が俺に文句があるなら関係あるね」
ナガレ「今後毎回、あんな風に発情されたんじゃこっちだって安心できねえからよ!」
ジン「そうならないように努力はするわ! でも、ナガレはそれを欠かしている。一緒にしないで」
ナガレ「ハァー、出た出た。ヒス女特有の自分は特別ですって価値観。吐き気がする」
ジン「頭が悪い癖に話をすり替えるのは達者ね。どれだけ私を貶しても、あなたの立場は変わらないわ」
ナガレ「俺はお前と違って周りに媚びる必要ねえからな、知るか!」
ジン「このっ……!」
ジン「…………ああ、私、馬鹿だったわ。こんな奴に言葉なんて通じるわけないのに」
ナガレ「喧嘩売ってんのか? 買うぜ? こっちも甲高い声で耳が痛え。どっちが上か、はっきり分からせてやる」
ジン「一人じゃ何もできない小僧が、図に乗るな」
ナガレ「ぶっ殺す!」
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:29:42.93 ID:0oKAVaRPo
クマ「ナガレ、ジン!」
キュムキュムキュム
クマ「食事中に何を暴れているクマ!」
ナガレ「うるせえ。お前も殺すぞ、熊公」
ジン「クマちゃん。こいつ、一回本気で叩きのめさないと駄目」
クマ「落ち着くクマ! クマたちが争ったって良い事はないクマ!」
ジン「それは……そう、だけど」
クマ「ナガレ。ナガレの気持ちは分かるクマ。でも、嫌でも、ちょっとでいいから我慢して、頑張ってほしいクマ」
クマ「クマたちは三人しかいないゲッターチームクマ。だから仲良くして、信じ合って、助け合いたいと思……」
ガシャアンッ
ナガレ「黙ってろ! 熊の分際で人間様に口きいてんじゃねえ!」
クマ「クマっ……」
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:30:08.37 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「揃いも揃って仲良しこよしを要求してきやがって、虫唾が走る!」
ナガレ「大体テメエはいつもいつも上から目線で物言いやがって、ムカつくんだよ!」
ナガレ「自分は優秀なんですってか? だから俺を見下しても良いって、そういう事か?」
ナガレ「ゲッター線で進化したから何だってんだ。獣らしく四足歩行で這い蹲ってりゃいいんだ!」
シーン……
ジン「ナガレ……あなた、一緒にゲッターに乗る仲間になんて事を……!」
ナガレ「仲間? 笑わせんな! 喋る熊なんて気持ち悪いモンと一緒にされたかねえな!」
ナガレ「」
クマ「……ク、クマッー!」ダッ
キュムキュムキュム
ジン「あっ、クマちゃん!」
ナガレ「ヘッ、本当の事を言われて逃げやがった。畜生が俺に口答えするからだ」
ジン「……ナガレェ!」
ナガレ「やるか、来いよ! お前を降して、次はあのクソ熊を黙らせてやる!」
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:30:48.43 ID:0oKAVaRPo
ジン「……もう、いい。あなたの事なんか、知らない」
ナガレ「あん?」
ジン「ナガレ。あなたの事、最低な人間だと思っていたけど、訂正するわ」
ジン「クズよ、お前は……!」
ナガレ「ンだと……」
ジン「クマちゃん、待って!」ダッ
ナガレ「おい、逃げんのか! ジン!」
シーン……
ナガレ「……なんだよ、テメエら。何だその目は。文句があるなら言えよ、かかって来いよ!」
ナガレ「どいッつもこいつも、ざけやがってよオ!」
ドガッ ガシャアンッ!
ナガレ「俺の何が悪いってんだよ……」
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:31:45.46 ID:0oKAVaRPo
ジン「クマちゃん! どこにいるの、クマちゃん!」
ジン「クマちゃん!」
クマ「くすん、くすん……ミチル、タツヒト……」
ジン「……クマちゃん」
クマ「クマっ……ジ、ジン」
ジン「ごめんなさい。ついてくるべきでは無いと思っていたけど……どうしても、ね」
クマ「……みっともない所を見せちゃったクマ。恥ずかしいクマー」
ジン「クマちゃん。あんなクズの言う事なんて気にする必要ないわ。何だったら私がぶっ殺したって」
クマ「止めてほしいクマ! ジンにまで、そんな事を言ってほしくないクマ」
ジン「クマちゃん……」
クマ「確かに、ナガレはバカで、どうしようもない奴クマ。でも、クズ呼ばわりされるほどじゃないクマ」
ジン「私、弁護士やってきた中であいつほどのクズを見た事ないわ」
クマ「それでも、クマ」
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:32:20.49 ID:0oKAVaRPo
クマ「それに、ナガレの言っている事は正しいクマ。クマは、気持ち悪いクマ……」
ジン「そんな事ない! クマちゃんは気持ち悪くなんてないわ!」
クマ「違うんだクマ! これは自虐とか、そう言うのじゃなくて、客観的事実なんだクマ」
クマ「普通のツキノワグマは喋ったりしないクマ……あとクマは小さいし、人間たちと違って不器用クマ」
クマ「人間でもない、熊でもない……分類できない不完全な存在クマ。気持ち悪いって言われるのは当然クマ」
ジン「だからナガレは正しいの?」
クマ「……そうクマ」
ジン「なら私は間違っていてもいい。私はあなたを認める。きっと、早乙女博士も、研究所のみんなも」
クマ「分かってるクマ!」
クマ「みんな、優しくしてくれたクマ……だから、ナガレの言葉にショックを受けちゃったクマ」
クマ「ナガレが悪いと言うなら、クマだって悪いんだクマ」
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:32:51.69 ID:0oKAVaRPo
ジン「どうして、そこまで……」
クマ「クマたちは三つで一つ、代えられないゲッターチームだからクマ」
ジン「……分かった」
クマ「ありがとうクマ」
ジン「でも、許せるわけじゃない。その時が来たら、私は本当にナガレを、どうにかする」
クマ「その時が来ない事を祈るクマ」
ジン「それはナガレ次第ね」
クマ「クマ。……ジンは、先に戻っていてほしいクマ。クマはもう少しここにいるクマ」
ジン「ええ。その……本当に気にしないでね」
クマ「大丈夫クマ。クマはこれでも図太いクマ!」
ジン「ふふ。じゃあ……ね」
クマ「気を付けて戻るクマ」
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:34:01.84 ID:0oKAVaRPo
所員A「全く、アイツにも困ったもんだよな。なんだってあんな奴がゲッターロボに……」ガチャガチャ
所員B「暴れるならまだしも、せめて片づけていけってんだよなあ……」ガチャガチャ
ジン「手伝います。ごめんなさい、騒いでしまって」
所員A「た、橘さん! いえ、大丈夫です! 自分ら、男なんで!」
所員B「そんな事より、傍観してすみませんでした。クマをあんな風に馬鹿にされて、悔しかったのに……」
ジン「あんな奴に突っかかっていくだけ損です。それより、ナガレはどこに行きましたか?」
所員A「さあ……あの後、すぐにいなくなりました。部屋に戻ったのではないでしょうか」
ジン「そうですか。もう一つ……「ミチル」と「タツヒト」と言う名前に憶えはありますか?」
所員B「それは……言って、いいのかな?」
所員A「いや、でも、なあ……」
ジン「言い辛いのであれば、大丈夫です。ありがとうございます」
所員A「すみません、お役に立てず……」
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:34:54.10 ID:0oKAVaRPo
―― ナガレの部屋 ――
ナガレ「あーあ、酒も駄目タバコも駄目、ただでさえ娯楽が少ねえってのに、飯の時間まで腹の立つ」
ナガレ「…………何だってんだよ。どいつもこいつも、俺ばかり」
ナガレ「うおー……クソったれがぁ!」ドガッ
ドンガラガッシャン! カラカラ……
ナガレ「はっ、はっ……」
ガンッ!
ナガレ「うおっ!?」ビクッ
ガンッ ドガッ
ナガレ(な、なんだ……何かが部屋のドアをどついている……?)
ナガレ「だ、誰だ! 今開けるから、そこで待ってろ……!」
バキャアッ!
ナガレ「だあああ、ぶっ壊れたアッ!?」
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:35:39.59 ID:0oKAVaRPo
ガシャンッ
カツカツ……
ジン「お邪魔するわ、ナガレ」
ナガレ「お邪魔じゃねーよ! テメエ何やってんだ、ドア蹴破って入ってくる奴があるか!?」
ジン「話がある。ついてきなさい」
ナガレ「話だあ? 馬鹿かお前は、こんな乱暴な奴についてくアホがいるかよ!」
ジン「嫌だって言っても、無理矢理にでも連れていく。要らないのは両腕? それとも両足?」
ナガレ「なんでどっちを選んでも揃って両方持ってこうとするんだお前は……」
ジン「大事な話だからよ」
ナガレ「…………」
ジン「無言って事はどっちも要らないのね?」
ナガレ「チッ……分かったよ、行きゃあ良いんだろうが」
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:36:28.17 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「って、なんだ。どこに連れていかれんのかと思えばジジイの部屋じゃねえか」
コンコン
ジン「早乙女博士、いらっしゃいますか?」
早乙女「入れ」
ジン「失礼します」
カシュッ
ナガレ(自動ドア……)
ナガレ「入るぜジジイ」
早乙女「ナガレも居たのか。何の用だ」
ジン「単刀直入にお尋ねします。「ミチル」と「タツヒト」とは何者ですか?」
ナガレ「誰だそいつら」
ジン「クマちゃんはどうして、ゲッターロボに乗ったのですか?」
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:37:02.15 ID:0oKAVaRPo
早乙女「……驚いたな。クマがそれを話すわけがない。所員も口を閉ざすだろう」
早乙女「となれば、僅かなヒントだけでたどり着いたか。流石だと言わせてもらおう」
ジン「ありがとうございます」
ナガレ「下らねー茶番は良いからさっさと話しな。帰るぞ」
早乙女「せっかちな奴だ……まあ、よかろう」
カチャカチャ スッ……
ナガレ「写真?」
早乙女「ゲッターロボ開発の初期メンバーだ」
ナガレ「どれどれ……おっ、これがジジイか。今とあまり変わらねえな!」
ナガレ「アッ! こいつ、あの整備士のヤローじゃねえか! 何だ意外と昔からいたんだなあ」
ジン「……博士。この女の子が、娘さんですか」
早乙女「ミチルだ。そしてその隣にいる男が、息子の達人」
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:37:47.16 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「ジジイ、子供がいたのか!? 堅物の分際でやる事やってんなあ」
ナガレ「なんだジン、お前の質問解決したじゃねえか。なんのこっちゃねえ、このジジイの子供だとよ」
ジン「そうね」
ナガレ「何だその気のねえ返答……ン? でも、こいつらに会った憶えは無いぜ?」
早乙女「死んだよ、二人とも」
ナガレ「あれま、ナンマンダブ。なんで死んだ?」
ジン「本当にデリカシー無いわね、ナガレ」
ナガレ「知らねえな、そんなモン」
早乙女「止めんか、お前たち。どうせ話す事だ」
ナガレ「だとよ」
ジン「チッ…………」
早乙女「……もう、四年にもなるか」
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:38:48.34 ID:0oKAVaRPo
―――
――――――
―――――――――
早乙女「いかんと言ったらいかん! 『ゲッターロボ』は玩具ではない!」
達人「俺が玩具で遊ぶほど子供に見えるか? 許してくれよ、親父!」
達人「帝王ゴール率いるハチュウ人類が最初に襲撃してきたその日、お袋は巻き込まれて死んだ……」
達人「親父はお袋の仇を取るために、ゲッターロボを作ったんだろう!」
達人「俺だって同じだ。親父がお袋の仇を討たせてくれ!」
早乙女「ゲッターロボには、作ったワシですら分からん謎が多い。殆ど偶然の産物だ」
早乙女「それどころか、ワシの半生を注いで研究したゲッター線ですら、解明できていない事ばかりなのだ」
早乙女「それがどれほどに危険か、分かっているのか、達人!」
ミチル「さっぱり分からないわね、お父さん」
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:39:29.38 ID:0oKAVaRPo
早乙女「ミチル……」
ミチル「私もお兄ちゃんと同じ気持ちよ、お父さん。小さかった私には、お母さんの記憶はそんなにない……」
ミチル「だけど、優しかったのは憶えている。幸せだった事は知っている」
ミチル「それを奪ったハチュウ人類を赦せない!」
ミチル「私たち早乙女一族の因縁は、早乙女一族で果たす! 違うの、お父さん!」
達人「俺たちは親父ほど頭の出来は良くない。だからゲッター開発にはまるで関われなかった……」
達人「なら、ゲッターに乗る事こそが、俺たちにできる唯一の事なんだ」
ミチル「お願いよお父さん……私たちをゲッターのパイロットにして」
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:40:17.22 ID:0oKAVaRPo
早乙女「……お前たちの気持ちは分かった。だが、だとしても駄目なのだ」
早乙女「ゲッターロボは三機のゲットマシンが合体する事で姿を現す……あと一人、足りん」
早乙女「急ぎ、そのパイロットを探し育成する。その間、お前たちもパイロットとして十分な訓練を積むのだ」
達人「親父、それじゃあ!」
ミチル「お父さん!」
早乙女「想定されるゲッターロボの負荷は並大抵ではない。それにハチュウ人類と戦うと言う事は、命を懸けると言う事!」
早乙女「その覚悟があるか!」
達人「上等だぜ!」
ミチル「当然じゃない!」
早乙女「……良かろう。ワシも、より安全にゲッターを動かせるよう、研究を進める!」
早乙女「見ていろ、ハチュウ人類共め……! 早乙女一家の執念を思い知らせてやる!」
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:41:05.32 ID:0oKAVaRPo
早乙女「――――ゲッター2の耐久度は低い。敵の攻撃を一度でも受ければ……」
達人「お、親父、ちょっと休憩させてくれ」
早乙女「なんだ、まだ三〇分も経っておらんぞ」
ミチル「私たちが勉強苦手なの知ってるでしょー!」
早乙女「勿論知っているとも。お前たちは一度として良い評価の通知表を持って帰って来た事がないからな」
早乙女「お前たちは揃って恵まれた肉体を持つ反面、頭の方はどうにも弱い。こんな事は時間の無駄かもしれん」
達人「い、いや! そんな事はない! いきなり車に乗せられて安全運転なんてできるわけがないからな」
ミチル「た、大切な事だっていうのは分かってるから、怒らないで……!」
早乙女「良い心掛けだ。では続けるぞ」
達人「うぐぐ……」
ミチル「お父さんの鬼ー……!」
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:41:52.67 ID:0oKAVaRPo
達人「親父、これがゲッターパイロット候補の情報か?」
早乙女「そうだ。自衛隊、アスリート、NISAR……あらゆる分野、機関に所属する人間の情報を集めた」
ミチル「色々な人がいるのね……」
達人「どうやって誘うんだ?」
早乙女「素直に言うしかあるまい」
ミチル「この人なんかいいんじゃない? 体格も良いし、有名大学卒業だって」
達人「28歳……だいぶおっさんだな。歳が離れすぎているとチームワークに支障が出るんじゃないか?」
ミチル「子供ばかりのチームより良いと思うわ。大人としての冷静な観察眼も欲しいもの」
達人「ほー……思ったより考えているじゃないか、ミチル」
ミチル「お兄ちゃんみたいな子供っぽい男の人が増えても仕方ないもん。あ、この人カッコイイ!」
達人「前言撤回だ。親父、パイロットの選別は親父に任せるよ」
早乙女「同感だ。ミチルにはまだ早い」
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:42:49.06 ID:0oKAVaRPo
タッタッタッ……
ミチル「ほっ、ほっ……」
ミチル「いくら体力と運動神経に自信があるからって、体力作りを欠かしちゃいけないもんねっ」
「くぅん……くるる……」
ミチル「……あれ?」ピタ
ミチル「なんだろ、今の……こっち?」
ガサガサガサ……
「くぅん……」
ミチル「く、熊だ! でも、子供……怪我をしているのね」
ミチル「待ってて、今助けるから! よっと!」グイッ
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:43:34.42 ID:0oKAVaRPo
ミチル「お父さん、大変!」
早乙女「どうした、ミチル?」
達人「ミチル、なんだその動物!」
ミチル「子供の熊よ。飛行訓練場予定地近くの森の茂みで倒れてたの……」
「くぅん……」
達人「熊……なのか、これ。親父?」
早乙女「いや、普通の熊とは違うな……」
ミチル「ええっ、熊じゃないの!?」
早乙女「しかし、確かに酷い怪我だ。それに痩せ細っている」
ミチル「お父さん、この子を助けてあげてっ」
早乙女「生物は専門外だが……やってみよう」
「くぅ……くるるる……」
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:44:34.65 ID:0oKAVaRPo
早乙女「ふむ……」
達人「どうした、親父?」
早乙女「ミチルが拾ってきたあの子熊……やはり、普通の熊とは違うようだ」
達人「見た目からして変だからな。具体的には何が違うんだ?」
早乙女「遺伝子構造的には二ホンツキノワグマそのものだが、骨格がやや異なる」
早乙女「股関節が長時間の二足歩行に対応し、足の平もやや細く広い。前足は人間の手と大差ないほどに自由に動かせるようだ」
早乙女「気になるのが、声帯だ。大体の形はツキノワグマだが、人間と同じ個所も見られる」
達人「本当に熊なのか、あいつ……?」
早乙女「……どうだかな。あの熊の体から、膨大な量のゲッター線が確認された」
達人「どういう事だ? ゲッター線って、そんな代物だったか?」
早乙女「ワシにも分からんよ。ただ、ゲッター線は進化を促す放射線だ……」
達人「あの熊がゲッター線で進化した新種、もしくは突然変異って事か?」
早乙女「…………なんとも言えん」
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:45:23.01 ID:0oKAVaRPo
ミチル「クマちゃーん、ご飯だよ」
「きゅーん……」
ミチル「自分で食べられる? はい」
「くるるる……」マウマウ
ミチル「おー、良かったあ。ちょっとは体力が付いてきたみたいね」
ミチル「お父さんとお兄ちゃんがね、クマちゃんにあまり近寄らない方が良いって言うの」
ミチル「クマちゃんはこんなに大人しいのに。ねークマちゃん」ナデナデ
「くるる…………ク……」
ミチル「ん? どしたのクマちゃん?」
「グ……ク、マー……」
ミチル「…………ま?」
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:46:30.03 ID:0oKAVaRPo
ミチル「お父さん、お兄ちゃん!」ガンッ
早乙女「なんだ、どうしたミチル?」
達人「騒がしいな、ってお前なんでその熊持って来てるんだ!?」
ミチル「大変なの、クマちゃんが……喋った!」
早乙女「…………」
達人「気のせいだからその熊をよこせ。部屋に戻す」
ミチル「気のせいじゃないわ! 本当に喋ったの!」
達人「熊が喋るわけないだろうが! どこぞのマスコットキャラじゃあるまいし」
ミチル「本当だもん! ほらっ、クマちゃん!」
「クマー」
達人「…………お前腹話術上手いな」
ミチル「お兄ちゃん、現実逃避しないで」
早乙女「まさか…………」
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:46:57.93 ID:0oKAVaRPo
早乙女「ワシが指し示す平仮名を読め」スッ
「あ。さ。け。み。ろ。を」
早乙女「ではこの漢字を読んでみろ」
「いち。はやし。あお。くも。かお。ほそい」
早乙女「正解だ。次にこの算数テストをやってみろ」
「……かけざんがあるクマ」
早乙女「…………」
「クマー…………」カキカキ
「…………できたクマ」
早乙女「よし。戻っていい」
「わかったクマ」
キュム キュム キュム
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:48:54.66 ID:0oKAVaRPo
早乙女「一週間の学習で、小学一年生修了。二年生も問題ないか……」
達人「これが算数テストか。字は汚いが、ペンは持てているみたいだな」
達人「……ほー、一〇〇点満点の花丸じゃないか。おつむの出来も中々か」
早乙女「覚束ないが二足歩行もできつつある。発声も問題ない」
早乙女「見ろ。握力測定の結果だ。肉体こそ小さいが、普通のツキノワグマよりも高い数値を出している」
早乙女「指の構造の違いから強く握る事ができる分有利だとも考えられるが、それを差し引いても十分な値だろう」
達人「で、これが四足歩行での二〇〇m走のタイムか。一八秒六六……十分に速いな」
早乙女「これも体格や骨格の僅かな違いから出る差だろうが、実際に熊が出せる速度よりやや遅い程度だ」
達人「将来的に見て人間と同じ知能を持ち、身体能力は熊そのもの……本当になんなんだ、あの熊」
達人「これが、ゲッター線が齎す進化ってやつなのか?」
早乙女「……一つ言えるとするならば、あれは進化の一言で片付けられる代物ではない」
早乙女「進化よりも恐ろしい何か、かもしれん……」
達人「ハチュウ人類を相手に戦うってその前に、なんとも言えないババを引かされたな、俺たち」
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:49:37.28 ID:0oKAVaRPo
ミチル「クマちゃん、テストどうだった?」
「たぶん、できたとおもうクマ」
ミチル「クマちゃん、頭良いからね。大丈夫だよ」
「ありがとうクマ。ミチル」
ミチル「うふふ。すっかり口癖になっちゃったね。「クマ」」
「なんでかわからないけど、いいやすいクマ」
ミチル「憶えてるかなぁ。クマちゃんが最初に言った言葉、「クマー」だったんだよ」
「おぼえてるクマ。ミチルがなんども「クマ」「クマ」っていうから、まねしてへんじしたんだクマ」
ミチル「そうだったんだ。やっぱり頭良いなあ、クマちゃん。一ヵ月もしたら私やお兄ちゃんなんて抜かれるかも」
「それはないとおもうクマ」
ミチル「あり得るんだよねえ、私もお兄ちゃんも馬鹿だから……」
「ミっ、ミチル。おちこまないでクマ」
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:50:06.01 ID:0oKAVaRPo
「ミチルー、タツヒトー」
達人「おうクマ、どうした?」
「あれ、なにクマ?」
ミチル「あれは、『ゲッターロボ』よ」
「ゲッターロボ……」
達人「対ハチュウ人類用のスーパーロボット。親父が作ったんだ。と言っても、これはゲットマシン状態だけどな」
ミチル「これに、私とお兄ちゃんが乗って、ハチュウ人類と戦うのよ」
「ミチルとタツヒト、戦うクマ?」
達人「ああ。あと一人パイロットが見つかれば、そりゃもうハチュウ人類やメカザウルスなんざ挽き肉の泥団子に変えてやるのさ」
ミチル「ギタギタのメッタメタに叩き潰して、二度と蘇らないように纏めて活火山の溶岩の中に沈めてやるのよ」
「二人とも、こわいクマ……」
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:51:05.70 ID:0oKAVaRPo
達人『こちらゲッターイーグル号、達人! ミチル、調子はどうだっ?』
ミチル『こちらゲッターイーグル号、ミチル。想定負荷再現装置での訓練と比べるとちょっときついけど、問題ないわ!』
達人『同じくだ。親父、そっちから見てどうなっている?』
早乙女「機体は安定している。ただ、お前たちの心拍数が上がっているな」
達人『なあに、ガムでも食ってりゃ落ち着くだろうよ!』
早乙女「舌を噛んでも知らんぞ。それに機内は飲食禁止だ」
「二人とも、すごいクマー!」
ミチル『クマちゃん見ててね。カッコ良く決めるからっ』
早乙女「二人とも、話はそれまでだ。コマンドAの連携だ」
達人『ミチル、遅れるなよ!』
ミチル『お兄ちゃんこそ!』
「クマー……かっこいいクマ……!」
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:51:56.40 ID:0oKAVaRPo
『メカザウルスの襲撃での死者は、現在確認できている限りで二二三人、怪我人は三〇〇〇人に及ぶと言われています』
『この襲撃に対しイギリス政府は、他国との連携を強め――――』
「クマ……これがハチュウ人類のメカザウルス、クマ……?」
ミチル「そうよ。私たち人類の敵。私たち早乙女一家の、怨敵……」
達人「……親父、一つ確認するぞ」
早乙女「……なんだ」
達人「ゲッターロボが動かせれば、絶対に、ハチュウ人類は叩きのめせるんだよな?」
早乙女「……可能不可能の話ではない。「打ち倒す」のだ……!」
ミチル「お父さん、パイロット候補はまだ見つからないの!? これ以上もたもたしていたら、被害者が……」
ミチル「私たちと同じように悲しむ人たちが増える! それなのに、ただ待っているだけなんて……!」
ミチル「これじゃあ本当に、『ゲッターロボ』がただの玩具じゃない!」
達人「落ち着け、ミチル! 吠えたって……何もできやしないんだ、今の俺たちには……」
早乙女「……もう少し、待っていろ。必ず、探し出す」
「ミチル、タツヒト、早乙女博士……」
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:52:38.74 ID:0oKAVaRPo
「…………」
ミチル「クマちゃん、どうしたの?」
「ミチル」
ミチル「ここはゲットマシンの格納庫よ。邪魔になっちゃうから、あっちに行きましょう」
「……ちょっと、考え事をしていたクマ」
ミチル「考え事?」
「クマは……どうして他の熊たちと違うのか、クマには何ができるのか」
「クマを助けてくれたミチルたちに、何か返せる恩は無いのか……考えていたクマ」
ミチル「……クマちゃん?」
「クマは、みんなが大好きクマ。ミチル、タツヒト、早乙女博士……だから」
「ミチル、クマは――――」
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:53:20.92 ID:0oKAVaRPo
達人「用ってなんだ、親父」
早乙女「ゲッターロボは、三人でなければ動かせない」
達人「何?」
早乙女「達人、ミチル、そしてあと一人……相応しい人間を探した。そして、ようやく見つけた」
達人「本当か!?」
早乙女「ああ。知力、体力、頑強さ、どれをとっても文句のない、パイロットに相応しい逸材だ」
達人「誰なんだ、それは! 早く一緒に訓練を初めて、ゲッターを……!」
早乙女「……ワシは、宿命と言うものを感じてならん。まるで、こうなる事が決まっていたかのように」
達人「親父!」
早乙女「達人、ワシは――――」
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:53:47.86 ID:0oKAVaRPo
「三人目のゲッターパイロットになるクマ」
早乙女「クマを、三人目のゲッターパイロットにする」
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:54:33.44 ID:0oKAVaRPo
ミチル「な、何を言っているの、クマちゃん……駄目よそんなの、危険だわ!」
「分かっているクマ」
ミチル「そんな事をさせる為に、私はクマちゃんを助けたんじゃない! 認めないわ!」
「じゃあミチルは、お母さんの仇を討つために死にに行っても良いと思うクマ?」
ミチル「何よそれ……私は死なない、お兄ちゃんも死なせない。私たちは、絶対に復讐すると決めたんだから!」
「でも、危険クマ。ミチルが今、自分で言ったクマ」
ミチル「うぐっ……」
「危険な事は百も承知クマ。だけどそれなら、クマは黙ってミチルとタツヒトを送り出すなんてできないクマ」
「ミチルがクマを心配してくれるように、クマもミチルが心配クマ。死んでほしくなんかないクマ」
「他の誰でもないクマ自身が、二人の為に戦いたいクマ! 他の人になんて不安で任せたくないクマ!」
「だから、クマは、ミチルとタツヒトの二人と一緒に『ゲッターロボ』に乗るクマ!」
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:55:27.40 ID:0oKAVaRPo
ミチル「……ふふ。ここで言い返す言葉が思い付かない時点で、私の負けね」
「ミチル……」
ミチル「いつの間に、そんなに賢くなっちゃったのね。ちょっと悔しい」
ミチル「そうよね。クマちゃんも、家族だもんね。早乙女研究所の、早乙女の、家族だもんね」
ミチル「ごめんね、仲間外れにしようとして」
「怒ってないクマ。全然気にしてないクマ」
ミチル「知ってる。クマちゃん、一緒に戦おう」
「本当クマ?」
ミチル「ええ。そうと決まったら、お父さんとお兄ちゃんを説得しに行こう?」
ミチル「私、頭悪いから言い負かされちゃうだろうけど、その時は反論お願いね」
「クマ!」
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:56:15.31 ID:0oKAVaRPo
達人「しょ……正気か親父。いくら規格外の存在と言っても、熊だぞ!?」
早乙女「だからこそだ。身体能力でクマを上回る人間などそういない」
達人「確かにそうだが……」
早乙女「お前たちにはこの二ヶ月間を共に過ごした絆がある。それはゲッターロボを動かすのに最も必要なものだ」
早乙女「ゲッターは三人で動かすスーパーロボットだ。それには互いの信頼と連携が必須となる」
早乙女「新しいパイロットを見繕い、それを作るまで、一体どれだけの時間がかかる?」
達人「だけど……クマは、俺たちと違って背負うものが無い。人間の俺たちに付き合わせて良い道理はない」
早乙女「クマは賢いぞ。それで特別扱いされてクマが喜ぶとでも思うか?」
達人「……怒るだろうな。実際に、本人に聞いてみない事には分からんが」
早乙女「あらゆる要素を加味し、ワシはクマこそが、ベアー号に乗りゲッター3を操るに相応しいと判断した」
早乙女「まだ、異論があるか?」
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:56:55.27 ID:0oKAVaRPo
達人「……まったく、親父には勝てないな。何よりゲッターの製作者の言葉だ、従うしかあるまい」
早乙女「一つだけ確認する。お前は、クマが三人目で、戦えると思うか?」
達人「下手な奴と組まされるよりはよっぽど戦えるな」
早乙女「決まりだ。ゲッターパイロット三人目は、クマとする」
達人「それは良いんだけどよ、ゲットマシンにクマは乗れるのか? あいつ小さいから、多分レバーに手足が届かないぜ?」
早乙女「ゲットマシン内部をクマ仕様に改造すればいい」
達人「となれば、後はクマの承諾を得るだけか」
バタバタ
ミチル「お父さん、お兄ちゃん、いる?」
「早乙女博士、話があるクマ!」
達人「おっ、噂をすれば丁度良い。俺たちも話があるんだ」
早乙女「すまないが、こちらから話をさせてもらう。実はな――――」
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:57:32.85 ID:0oKAVaRPo
ギュオン
「クマーーー! 飛んでるクマ、飛んでるクマーっ!」
ギュオン ギュオン
達人『はしゃぐなよ、クマ。これから飽きるほど飛ぶんだからよ』
ミチル『良いじゃない。お兄ちゃんだって、最初は大はしゃぎだったくせに』
「これがゲットマシン……ミチル、タツヒト! クマ、ちゃんと飛んでるクマ!」
達人『ああ、実際すごいよ、お前は。負荷再現装置の訓練でも平気だったからな』
ミチル『正直、私も最近慣れたばかりなのに……でも、これでやっと、晴れて三人揃ったって言えるわね!』
早乙女『喜ぶのはまだ早い。合体が出来て初めてゲッターチームが完成するのだ』
「じゃあ、早く合体するクマ、早乙女博士っ!」
早乙女『浮かれるな。合体は危険が伴うのだ。負荷に耐えられても、お前は操縦技術が圧倒的に足りていない』
「ご、ごめんなさいクマ」
ミチル『大丈夫よ。クマちゃんは頭が良いんだから、すぐに合体だってできるようになるわ!』
達人『その通り。親父、見ていろよ。すぐに、俺たちの手でゲッターを合体させてやる!』
早乙女『フッ。楽しみにしておこう』
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:58:17.83 ID:0oKAVaRPo
「ゲッター1は空戦、ゲッター2は地中戦、ゲッター3は水中戦、クマ……」
ミチル「クマちゃん。復習?」
「ミチル。基礎は大事クマ。特にクマは人間じゃないから、ちゃんと勉強しないと、ミチルたちに迷惑かけるクマ」
達人「迷惑なんて思った事は一度もないぜ。俺たちは、家族だ」
「タツヒト……嬉しいクマ」
「クマは変だから、お母さんに捨てられちゃったクマ……家族を知らないクマ」
「でも、熊の正しい家族観ではないけれど……それでもクマは、ミチルに見つけてもらって良かったクマ」
ミチル「えへへ、照れるな……クマちゃんが本当の家族と一緒に過ごせたならそれが良かったんだろうけど」
ミチル「だけど、クマちゃんと会えた事は、私も良かったと思うわ」
達人「クマ。男はこういう時、多くを語らないモンだ」
達人「明日、ゲッターチェンジの本番だ。俺たちはお前を、信じている。決めてやろうぜ」
「ミチル、タツヒト。……クマ! 頑張るクマ!」
早乙女「……和子。三人を、守ってやってくれ……」
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:58:47.30 ID:0oKAVaRPo
ギュオン ギュオンギュオン
達人『イーグル号、達人! 好調だ』
ミチル『ジャガー号、ミチル。同じく問題なし!』
「ベアー号、クマ! 以下同文クマ!」
早乙女『三人とも、状態が安定しているな……これより、合体訓練を行う!』
早乙女『重ねて言うが、ゲッターチェンジは大きな危険を伴う! 成功を目指すな、失敗しない事だけに気を遣え』
達人『そんな弱腰、ハチュウ人類相手じゃ通じないぜ。了解!』
ミチル『大丈夫よ。私とお兄ちゃんは頭悪いから無茶するけれど、クマちゃんがいるもの』
「クマばかりに頼らないでほしいクマ、クマだっていっぱいいっぱいクマー……」
ミチル『わあー、ごめんごめんっ。お兄ちゃん、気を引き締めていきましょ!』
達人『気が緩んでるのはミチルだけだ。親父!』
早乙女『よし。ゲッター1にチェンジだ!』
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 08:59:36.20 ID:0oKAVaRPo
達人『よっしゃあ! こい、ミチル、クマ!』
ギュオン
「ミチル、行くクマ!」
ミチル『オッケー!』
ギュオン
ガシィン!
ミチル『グッ!? こ、これが、合体の衝撃ッ……!』
「ミチル、大丈夫クマっ?」
ミチル『へ、へーきよ……思ってたよりキツいだけっ! お兄ちゃん、行くよ!』
達人『ああ! チェンジ、ゲッター 1 !』ポチッ
ギュオン
ミチル『ウ、ググ……!』
「み、ミチル……?」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:00:16.42 ID:0oKAVaRPo
ギュオン
ガシィン!
達人『ぐおおっ!?』
ミチル『きゃああっ!』
「ミチル、タツヒトっ!」
早乙女『どうした!?』
グググ……
達人『これは、確かに想像より……ぐあああっ!』
ミチル『い、息が……でき、な……!』
「ミチルー! タツヒトー! しっかりするクマー!」
グワオン!
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:01:03.64 ID:0oKAVaRPo
早乙女『こ、これは……!』
「どうしたクマ、早乙女博士!?」
早乙女『ゲッター線の量が、異常に増えている。合体したゲッターの出力が上がっていく!』
ミチル『がっ……ああああアアアアアアッッ!』
達人『ミ、チル……! クマ……がはあっ!』
バシャッ
「た、タツヒト、血を吐いたクマ!?」
早乙女『い、いかん! オープン・ゲットするのだ! 急げ!』
達人『腕が、動かね……ぐああああ!』
ミチル『お兄、ちゃ……おと、さん…………!』
早乙女『くそっ、強制オープン・ゲットを……!』カチャカチャ
ピー!
早乙女『くっ、墜落の危険があるから解除できんだと……!? ミチル、タツヒト、クマ!』
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:01:42.77 ID:0oKAVaRPo
「ミチル! タツヒト! 頑張るクマ、操縦するクマ!」
達人『ぐふっ……む、無理だ……』
「タツヒト、タツヒトぉ! ミチルーーー!」
ミチル『く、クマちゃん……』
達人『…………ミチ、ル。クマだけ、は……』
ミチル『ウン……!』
「ミチル、タツヒト……? 何を話してるクマ!?」
「いや、クマ。ミチル、何してるクマ。タツヒト! 早乙女博士、二人を助けてクマ!」
早乙女『よせ、止めろ達人! ミチル!』
達人『クマ……人類の未来……頼む……』
ミチル『ごめん、ね……クマちゃん……!』
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:02:12.19 ID:0oKAVaRPo
達人『ぐおおおおおおおおッッッ!』カチッ
ミチル『うおおおおああああああッッッ!』カチッ
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:02:42.69 ID:0oKAVaRPo
バシュウッ!
「オープン・ゲット……」
ガキッ
グシャアッ
ドガァァン!
早乙女『た、達人……ミチル……?』
「そ、そんな……うそクマ……こんなの……いやクマ……」
パラパラパラ……
早乙女『達人ーーーー! ミチルーーーー!』
「クマあああああああああああああああああ!」
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:03:13.46 ID:0oKAVaRPo
早乙女「…………」
「…………」
早乙女「…………」
「…………」
早乙女「…………」
「…………」
プルルルル プルルルル ガチャ
早乙女「ワシだ…………構わん。それで進めろ。ああ」
「…………」
早乙女「それは任せる。ああ。では頼んだ」ガチャ
「…………」
早乙女「…………」
「…………」
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:04:21.30 ID:0oKAVaRPo
早乙女「…………」
「…………」
早乙女「…………」
「…………」
早乙女「…………」
「…………ミチル」
早乙女「…………」
「うう、ぐす……タツヒトぉ……」
早乙女「…………」
「わああぁああん! うう、わあああ……!」
早乙女「…………クマよ」
「ぐすん、ぐすんっ……」
早乙女「まだ、ゲッターに乗れるか」
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:04:47.60 ID:0oKAVaRPo
「さおとめ、はかせぇ……」
早乙女「我々に、足踏みしている余裕はない。ワシは次のパイロットを探す」
「そんな……だって……クマはぁ……」
早乙女「お前がもう乗らないと言うのであれば、それでいい。ベアー号含め、新たなパイロットを探す」
「クマ……クマ……」
早乙女「お前はここで考えていると良い」
「ま、待ってクマ!」
「乗る、クマ」
早乙女「……良いのか?」
「早乙女博士の言う通りクマ。クマたちが止まっている間に、ハチュウ人類はどんどん侵略してくるクマ……」
「クマがゲッターから離れたら、奴らはもっともっと暴れるクマ……それに」
「そんな事したら……ミチルとっ、タツヒトはぁ……無駄死にになっちゃうクマ!」
「だからっ……」
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:05:54.89 ID:0oKAVaRPo
ギュッ
早乙女「もう、分かった……」
「えぐ、えぐっ」
早乙女「そうだ……死んでしまった我が子たちの為にも、我々は進み続けなければならないのだ……」
「ごめんなさいクマ、クマがちゃんとしていれば!」
早乙女「戦おう、共に……達人とミチルの想いを忘れずに」
「なんで、クマだけがっ……」
早乙女「済まない、クマ。何も知らない、何も分かっていなかった愚かなワシを赦してくれ……!」
「うわあああああん……!」
早乙女「赦してくれ、クマ……!」
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:06:52.38 ID:0oKAVaRPo
「早乙女博士! ケンとテツオは!? どうなったクマ……!?」
早乙女「……即死だった」
「そ、そんな……」
早乙女「ゲットマシンの基礎的な性能に問題はない……だが、合体した瞬間にゲッター線量が爆発的に上昇する」
早乙女「それに伴い、ゲッターの負荷も比例して上がる……この関連性は何だ?」
早乙女「ゲッターの何が欠陥なのだ? 何が、どうなっているのだっ!」
ガンッ
「早乙女博士、落ち着いてクマ! 手から血が出てるクマ……!」
早乙女「……次の、パイロットだ。それまでにゲッターロボの出力を減らし、そうすれば負荷も減る……」
早乙女「設計構造から見直しだ……」フラ
カランカラン
「早乙女博士……」
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:07:23.75 ID:0oKAVaRPo
「早乙女博士、どういう事クマ!? パイロット訓練を廃止するって……!」
早乙女「……無駄なのだよ。訓練など」
「それは……確かに、みんなゲッターの負荷に耐えられなかったクマ。でも、いつかきっと」
早乙女「いいや、ワシが間違っていたのだ。ゲッターを人間の器に収めようというのが、そもそもとして間違っていた」
早乙女「ゲッターロボの出力を下げた。だが合体する際に、それはリミッターを超えて臨界に達する」
早乙女「負荷を軽減するパイロットスーツも開発した。だが、それでも誰一人として合体に成功しない」
早乙女「何故だ?」
早乙女「簡単な理由だ。ゲッターを動かせるのは選ばれた存在のみ。そこに、人間の小細工など無意味だったのだ」
「選ばれた存在……? だ、だとしても、訓練もせずに乗せるなんて、人道的に間違ってるクマ!」
早乙女「だからどうした!」
「クマっ……」
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:08:37.50 ID:0oKAVaRPo
早乙女「二年だ! 達人とミチルが死んで二年が経った! だのに、ワシは遅々として先に進めていない!」
早乙女「それもこれも、人間性と言う理性と固定観念が原因だ!」
早乙女「我々に必要なのはただの人間ではない! 死んでも良い屑で、死なない奴だけだ!」
早乙女「訓練など不要だ。所属機関など関係ない。素人だろうが誰だろうが、死んでも良い奴を片っ端から乗せる!」
「そんな事をして、ミチルとタツヒトが嬉しいと思うクマ!?」
早乙女「思わないだろう。だが、関係ない!」
早乙女「『ゲッターロボ』を動かすその日が訪れる前に諦めてしまえば、二人を殺した意味がない!」
「早乙女博士が殺したんじゃないクマ! あれは、事故だったクマ!」
早乙女「殺した罪の意識も背負わずに生きるくらいならば、ワシは悪魔に魂を売る!」
早乙女「誰でも良い、集めるのだ……人類最後の一人まで試し尽くす……」
「早乙女博士……恐いクマ……」
早乙女「……クマよ。お前だけは、そのままでいろ。ワシは悪魔に魂を売るが、お前だけは……」
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:09:52.66 ID:0oKAVaRPo
―――――――――
――――――
―――
早乙女「……まあ、こんなものだろう。クマとゲッターの話は」
ジン「……ありがとうございました」
早乙女「構わん」
ナガレ「……なんだよ、長々付き合わせやがって、結局ジジイの身の上話とお涙頂戴かよ」
ナガレ「なるほどなあ、俺たちはジジイにとって換えの利くゲッターロボのパーツってわけだ。俄然やる気が出るね」
早乙女「珍しく物分かりが良いじゃないか」
ナガレ「チッ……あーあ、下らねえ。部屋に帰って寝るわ」
ジン「待ちなさい」
ナガレ「何だよ」
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:10:19.16 ID:0oKAVaRPo
ジン「クマちゃんにとって、私たちはただの相乗り仲間じゃないわ」
ナガレ「アン?」
ジン「待ち侘びた掛け替えの無い友、家族って事よ」
ナガレ「…………だからどうしたってんだよ」
ジン「自分がクマちゃんに吐いた言葉、よく考えなさい」
ナガレ「気分じゃねえから説教垂れんな。家族だってんなら、俺にも優しくしてほしいもんだ!」
カシュッ
ジン「…………はあ。やっぱり無理です、博士。あいつ、どうしようもありません」
早乙女「どうだかな」
ジン「え?」
早乙女「ゲッターに選ばれたお前たちは、そう簡単に離れられん」
ジン「私はあいつと今すぐにでも離れたいですが。主にあいつを消す方向で」
早乙女「好きにしろ」
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:12:13.67 ID:0oKAVaRPo
―― 早乙女研究所・飛行訓練場 ――
クマ「……なんだか、いろいろ思い出しちゃうクマ」
クマ「ここでクマが折れちゃったら、みんなに合わせる顔が無いクマ……」
クマ「みんな、ありがとうクマ。ミチル、タツヒト、クマは頑張るクマ」
クマ「だから、お願いクマ……クマたちを守ってほしいクマ」
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:12:54.97 ID:0oKAVaRPo
―― 翌日 ――
ギュインギュイン! ギュインギュイン!
早乙女「出たな、ハチュウ人類……出現場所は!」
オペレーターA「静岡県駿河湾沿岸! 近くの市街地には侵攻せず、その場に留まっています」
オペレーターB「衛星から静止画像来ます!」
早乙女「メカザウルス一機……ゲッターロボを誘い出すつもりだな」
早乙女「ゲッターパイロットをゲットマシンに呼び出せ!」
クマ『早乙女博士! クマ、ベアー号に搭乗したクマ!』
早乙女「クマ、他の二人はいるか?」
クマ『ナガレが居ないクマ。クマも今来たばかりクマ!』
ジン『ジン、ジャガー号に搭乗!』
早乙女「ナガレはまだか……」
ジン『そのようです……くそっ、こんな時にまでイラつかせる』
クマ『…………あっ、来たクマ!』
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:14:11.16 ID:0oKAVaRPo
バシュッ ドサッ
ナガレ「悪い、待たせたな!」
ジン『遅い! 何をしていたの!』
ナガレ「四六時中ハチュウ人類の襲撃になんて備えてられっか! テメエらだけゲットマシンで生活してろ!」
ジン『またそんな屁理屈を捏ねて……』
クマ『話が進まないクマ。早乙女博士、状況を教えてほしいクマ』
ナガレ「…………チッ」
早乙女『襲撃を受けた場所は静岡県沿岸だ。相手はメカザウルス一機』
ナガレ「余裕だな。さっさと行こうぜ!」
早乙女『三度に渡る交戦を、全て撃退してきた。ハチュウ人類にはまだゲッターロボの姿形は把握されていないはずだ』
早乙女『だが、今度はゲッターロボを引き摺り出す作戦に出たらしい。また斥候かもしれんが、気を付けろ!』
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:15:05.83 ID:0oKAVaRPo
早乙女『それぞれのゲットマシンに座標を送った。各員、モニターパネルを確認しろ』
ナガレ「光っている場所、ここに向かえば良いんだな?」
早乙女『そうだ。発進後、すぐにゲッター1に合体し、最高速で向かえ!』
クマ『了解クマ!』
ジン『了解です』
ナガレ「分かった分かった!」
早乙女『ゲッターチーム、出動!』
ナガレ「イーグル号、発進ッ!」
ジン『ジャガー号、発進!』
クマ『ベアー号、発進クマ!』
ギュオオ…バォン!
バシュゥン!
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:15:33.97 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「チェーンジ、ゲッター 1 !」
ガシィン ガシィン
グググ……グワオン!
ナガレ「ゲッターウイィング! 飛ばすぜ!」
バオンッ!
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:16:02.55 ID:0oKAVaRPo
バオンッ
ナガレ「…………」
ジン『…………』
クマ『…………』
ナガレ「…………」
ジン『…………』
クマ『…………』
ナガレ「…………チッ」
ジン『何よ。何か文句あるなら言えば?』
クマ『戦闘前に喧嘩は駄目クマ』
ナガレ「だとよ。黙ってなアバズレ」
ジン『よく吠える……』
ナガレ「今すぐ決着付けるかァ!? 俺は良いんだぜ、どこの知らねえゴミが死んだってよ!」
クマ『ナガレ、ジン!』
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:16:30.68 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「でけえ声出すな熊公!」
ジン『……ごめんなさい、クマちゃん』
クマ『…………』
ナガレ「何だよ、何だその目は。一々人を小馬鹿にしやがって、言いたい事があるなら言え!」
クマ『もうすぐ目的地に着くクマ。その怒り、一時的でいいからメカザウルスに叩き付けるクマ』
ナガレ「誤魔化すんじゃねえ! この俺を、虚仮にしやがってぇ!」
クマ『ナガレ、何を怒っているクマ? 何が嫌クマ?』
ナガレ「テメエに分かるかよ……猿真似で人間できてると思ってる熊風情に!」
ジン『黙って聞いていれば、もう我慢できない! このクズが、本当にぶっ殺す!』
ナガレ「上等だ! オープン・ゲットだ、すぐに降りて――――」
クマ『二人とも!』
ナガレ「ア゙ア゙!?」
クマ『その暇はないクマ……メカザウルス視認!』
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:17:24.16 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオオオッッ!」
ナガレ「チッ……こんな時に! テメエら、このクソトカゲを始末した後、憶えておけよ!」
ジン『ヘボパイロットが倒せずに泣き付いてこないといいけど!』
ナガレ「ほざけ!」グイッ
バオンッ
ナガレ「何だこいつ……首が何本もありやがる!」
クマ『いや、違うクマ……首長竜の胴体から、首と同じ太さの触手が何本も生えてるクマ!』
ジン『細いのも数えきれないほどあるわ。その上、胴体だけでも六〇mは近い。馬力も相当ありそうね』
ナガレ「関係ねえよ。ゲッタービームで吹っ飛ばしゃあ済む話だ! その後はお前らで第二ラウンドだぜ」
ジン『いいからさっさとやりなさいよ』
クマ『油断は禁物クマ!』
ナガレ「片腹痛い!」
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:18:04.92 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「気色悪いウニ野郎め。喰らいな……ゲッター――――」
メカザウルス「グオオオオオオオッッ!」
チャキッ
ジン『触手の先端をこっちに向けた……?』
クマ『あれは、触手の先が砲門クマ! ナガレ、回避クマッ!』
ナガレ「ばっ……できるかあ!」
メカザウルス「グオオオオオッ!」
チカッ チュチュンッ
ズガガガガッ!
ナガレ「どわあああああ!? ビームだと、嘗めた真似しやがって!」
ジン『良いから回避しなさい、馬鹿が!』
ナガレ「るせー! こンの……!」グイッ
バオンッ
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:18:39.87 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッ!」
チカッ チュチュンッ
ナガレ「うおおおおおおっ!」グイッ
ヒョイ ヒョイ
ジン『上手く躱しているけど、この調子じゃ攻撃できないわ!』
クマ『あの砲門をどうにかしないと話にならないクマ!』
ナガレ「もう少しで見切れるから黙って見てろ!」
メカザウルス「グオオオッ!」
ウィーン……バカンッ
クマ『メカザウルスの背中が開いたクマ!』
ジン『パターンからして、嫌な予感がするけど……!』
クマ『大正解クマ……ミサイルの発射口クマ! ナガレ、気を付けるクマ!』
ナガレ「黙って見てろよおおおおおっっ!」グイグイ
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:19:13.57 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッ!」
バシュバシュバシュッ
クマ『撃ったクマ!』
キィーン……
ジン『ナガレ!』
ナガレ「うおおお、ゲッタートマホークッ!」
ジャキンジャキンッ ガシッ
ナガレ「トマホーク、ブゥーメランッ!」グイッ
ブンッ
クルクルクル……ズバッ
ドワッ! バウッ! ズガァンッ!
ナガレ「どうだあ!」
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:19:45.82 ID:0oKAVaRPo
……キィーン
クマ『まだクマ! 余ったのが来るクマ!』
チュチュチュンッ ピチュンッ!
ジン『ビームも止まらないし、どうするの!』
ナガレ「避けながら叩き落す! フンッ!」グイッ
バオンッ
ナガレ「ドリャアッ!」
ズバッ ズババッ
ナガレ「うおりゃあああああ!」グイ
バオンッ
ズガガガアアンッ!
ナガレ「よっしゃあ、上手くいったぜ!」
ジン『ぬか喜びするな、戦闘は終わってないのよ!』
ナガレ「チッ……観客は黙ってな!」
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:20:49.35 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッ!」
チュチュチュチュンッ
クマ『遠距離戦じゃいい的クマ! 接近戦にシフトするクマ!』
ナガレ「命令するんじゃねえ! 言われなくてもやってやる!」
メカザウルス「グオオオオオオオオオッッ!」
ナガレ「このタコ野郎、足ィ全部斬り落としてタコ焼きにしてやらぁ!」グイッ
バオンッ
ジン『待ってナガレ! 水の上なら、ゲッター3にチェンジした方が……!』
ナガレ「聞こえねえなあ! ゲッタートマホーク!」
ジャキンッ ガシッ
ナガレ「オオオ!」
ばっしゃあぁぁぁん!
ナガレ「掛かってこいやァ!」
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:21:35.07 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオオオッッ!」
ブワッ!
ジン『チッ……ナガレ、触手が来る!』
ナガレ「見りゃ分かる! ドリャアッ!」グイッ
ズバッ ズバッ
ナガレ「次ぃ!」グイッ
ズバッ
メカザウルス「グオオオオオオオオオオッッッ!?」
ナガレ「ハハッ! 図体だけでかくても、懐に飛び込んじまえば大した事ねえな!」
ジン『図に乗るんじゃない!』
クマ『まだまだ来るクマ!』
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:22:28.48 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッッ!」
ブワッ!
ナガレ「バカの一つ覚えだな、欠伸が出るゼッ!」
ズバババッ
ナガレ「チョロいっ!」
メカザウルス「グオオオッ!」
グワァッ!
クマ『ナガレ、後ろから大物が来るクマ!』
ナガレ「口出すな、熊公!」グイッ
ズバッ!
ナガレ「お前らの手助けなんざ要らねえ!」
ズバッ
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:23:01.85 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッ!」
ナガレ「オラオラオラアッ!」
ズバッ ズバッ ズバッ
クマ『触手の量が多い…………ナガレ、上クマ!』
ナガレ「見てられるかアッ!」
クマ『ジン! メカザウルスの胴体の影、砲門が三つ、こっちを狙ってるクマ!』
キラッ
ジン『……見えた。つまりこの触手は陽動で、私たちを釘付けにするための罠!』
ナガレ「聞こえねえよ!」
ズバッ ズバッ
クマ『今すぐここを離れるクマ!』
ナガレ「お前の指図なんか受けるかよ! 黙ってろ熊公!」
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:23:47.64 ID:0oKAVaRPo
ジン『この期に及んで何をアホ抜かすか! さっさと逃げなさい!』
ナガレ「うるせえぞ外野ぁ! トマホークブーメランッ!」
ブンッ
クルクルクル……ズバババッ
ドワオッ!
メカザウルス「グオオオオオオオオッッッ!」
クルクルクル……ガシッ
ナガレ「叩き落せば良いんだろうが! オラアッ!」
ズバッ
ジン『……お見事』
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:24:18.16 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「しかし、次から次へとキリがねえ!」
クマ『触手を削り落としても本体へのダメージは殆どないクマ……』
ジン『でもこの量、いくらなんでも捌くだけで手一杯よ!』
クマ『近付けば触手、離れれば砲撃……まるで要塞クマ』
ジン『とにかく、この状況じゃ埒が明かないクマ! ナガレ、一旦ゲッター2にチェンジして離脱を……』
ナガレ「逃げ腰のクソ共は黙ってろ! 全部ぶっ飛ばしてやる!」
クマ『何をするつもりクマ!?』
ナガレ「消し飛べえっ! ゲッタァーー……!」
シュルシュル ガシッ
ジン『細い触手がゲッターの足に絡み付いてきたわ!』
ナガレ「何ィ!?」
グンッ
ナガレ「どわっ! 引っ張られてバランスが……!」
バシャッ
ズズゥゥン……
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:25:13.92 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「く……っそがあッ!」ガシャガシャ
クマ『あんな囲まれてる状態でのんびり大技撃とうとしたらこうもなるクマ!』
ナガレ「分かった口きいてんじゃねえ! このクソタコ足が、ぶった切ってやる!」グイッ
シュルシュル ガシッ
ナガレ「う、腕が! この、ゲッターレザー!」
ジャキンッ ズバッ
シュルシュル
クマ『駄目クマ、また新しい触手が別の所に巻き付いてきたクマ!』
ジン『ナガレ、お前じゃ話にならないわ! とにかく、オープン・ゲットよ!』
ナガレ「うるっせえーー! 乗ってるだけの置物が、ピーチクパーチク喚くな!」
ジン『マジお前ホントお前こんな時まで意地張ってんじゃないわよ!』
メカザウルス「グオオオオオオオッッ!」
グワァッ!
ドガッ
ナガレ「だはあっ!?」
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:26:04.51 ID:0oKAVaRPo
ゴシャッ ズガッ
クマ『クマーーー!』
ジン『きゃああっ! な……ナガレ、早く!』
ナガレ「だ、黙れェーーーー! お前らなんかに、お前らなんかに頼って……!」ガッシャガッシャ
メカザウルス「グオオオオオオオッッッ!」
バシャバシャ
ズズズ……!
ナガレ「な、なんだ……?」
バシャバシャ
ズズズ……!
クマ『まさか……このまま海の中に引き摺り込もうとしてるクマ!?』
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/05/07(土) 09:26:50.41 ID:0oKAVaRPo
ジン『まずいわ。ナガレ、早くオープン・ゲットを!』
ナガレ「クソが、離しやがれ! ゲッタービームッ!」カチッ
キィイン……キュオン
バオオォォォォオオオンン!
ジン『ゲッタービームじゃなくてオープン・ゲットしろってのよ! しかも外したし!』
ナガレ「クソったれがあ! お前らなんぞの言いなりになって堪るかッ!」ガッショガッショ
ジン『この屑が! クマちゃん、早乙女博士に繋いで強制オープン・ゲットを要請して!』
クマ『合体解除したところで、ナガレがゲッターチェンジに協力してくれなきゃ意味ないクマ……』
ジン『ナぁガぁレぇーーーーーーーー!』
ナガレ「うるせええええぇぇぇえええっ!」
メカザウルス「グオオオオオッ…………」
バシャバシャバシャ……
ザパーン!
ブクブク……
ブク……
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