クマ「ゲッターロボ・クマー!」

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194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:51:56.40 ID:0oKAVaRPo
『メカザウルスの襲撃での死者は、現在確認できている限りで二二三人、怪我人は三〇〇〇人に及ぶと言われています』

『この襲撃に対しイギリス政府は、他国との連携を強め――――』

「クマ……これがハチュウ人類のメカザウルス、クマ……?」

ミチル「そうよ。私たち人類の敵。私たち早乙女一家の、怨敵……」

達人「……親父、一つ確認するぞ」

早乙女「……なんだ」

達人「ゲッターロボが動かせれば、絶対に、ハチュウ人類は叩きのめせるんだよな?」

早乙女「……可能不可能の話ではない。「打ち倒す」のだ……!」

ミチル「お父さん、パイロット候補はまだ見つからないの!? これ以上もたもたしていたら、被害者が……」

ミチル「私たちと同じように悲しむ人たちが増える! それなのに、ただ待っているだけなんて……!」

ミチル「これじゃあ本当に、『ゲッターロボ』がただの玩具じゃない!」

達人「落ち着け、ミチル! 吠えたって……何もできやしないんだ、今の俺たちには……」

早乙女「……もう少し、待っていろ。必ず、探し出す」

「ミチル、タツヒト、早乙女博士……」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:52:38.74 ID:0oKAVaRPo
「…………」

ミチル「クマちゃん、どうしたの?」

「ミチル」

ミチル「ここはゲットマシンの格納庫よ。邪魔になっちゃうから、あっちに行きましょう」

「……ちょっと、考え事をしていたクマ」

ミチル「考え事?」

「クマは……どうして他の熊たちと違うのか、クマには何ができるのか」

「クマを助けてくれたミチルたちに、何か返せる恩は無いのか……考えていたクマ」

ミチル「……クマちゃん?」

「クマは、みんなが大好きクマ。ミチル、タツヒト、早乙女博士……だから」


「ミチル、クマは――――」

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:53:20.92 ID:0oKAVaRPo
達人「用ってなんだ、親父」

早乙女「ゲッターロボは、三人でなければ動かせない」

達人「何?」

早乙女「達人、ミチル、そしてあと一人……相応しい人間を探した。そして、ようやく見つけた」

達人「本当か!?」

早乙女「ああ。知力、体力、頑強さ、どれをとっても文句のない、パイロットに相応しい逸材だ」

達人「誰なんだ、それは! 早く一緒に訓練を初めて、ゲッターを……!」

早乙女「……ワシは、宿命と言うものを感じてならん。まるで、こうなる事が決まっていたかのように」

達人「親父!」


早乙女「達人、ワシは――――」

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:53:47.86 ID:0oKAVaRPo



「三人目のゲッターパイロットになるクマ」



早乙女「クマを、三人目のゲッターパイロットにする」


198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:54:33.44 ID:0oKAVaRPo
ミチル「な、何を言っているの、クマちゃん……駄目よそんなの、危険だわ!」

「分かっているクマ」

ミチル「そんな事をさせる為に、私はクマちゃんを助けたんじゃない! 認めないわ!」

「じゃあミチルは、お母さんの仇を討つために死にに行っても良いと思うクマ?」

ミチル「何よそれ……私は死なない、お兄ちゃんも死なせない。私たちは、絶対に復讐すると決めたんだから!」

「でも、危険クマ。ミチルが今、自分で言ったクマ」

ミチル「うぐっ……」

「危険な事は百も承知クマ。だけどそれなら、クマは黙ってミチルとタツヒトを送り出すなんてできないクマ」

「ミチルがクマを心配してくれるように、クマもミチルが心配クマ。死んでほしくなんかないクマ」

「他の誰でもないクマ自身が、二人の為に戦いたいクマ! 他の人になんて不安で任せたくないクマ!」

「だから、クマは、ミチルとタツヒトの二人と一緒に『ゲッターロボ』に乗るクマ!」
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:55:27.40 ID:0oKAVaRPo
ミチル「……ふふ。ここで言い返す言葉が思い付かない時点で、私の負けね」

「ミチル……」

ミチル「いつの間に、そんなに賢くなっちゃったのね。ちょっと悔しい」

ミチル「そうよね。クマちゃんも、家族だもんね。早乙女研究所の、早乙女の、家族だもんね」

ミチル「ごめんね、仲間外れにしようとして」

「怒ってないクマ。全然気にしてないクマ」

ミチル「知ってる。クマちゃん、一緒に戦おう」

「本当クマ?」

ミチル「ええ。そうと決まったら、お父さんとお兄ちゃんを説得しに行こう?」

ミチル「私、頭悪いから言い負かされちゃうだろうけど、その時は反論お願いね」

「クマ!」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:56:15.31 ID:0oKAVaRPo
達人「しょ……正気か親父。いくら規格外の存在と言っても、熊だぞ!?」

早乙女「だからこそだ。身体能力でクマを上回る人間などそういない」

達人「確かにそうだが……」

早乙女「お前たちにはこの二ヶ月間を共に過ごした絆がある。それはゲッターロボを動かすのに最も必要なものだ」

早乙女「ゲッターは三人で動かすスーパーロボットだ。それには互いの信頼と連携が必須となる」

早乙女「新しいパイロットを見繕い、それを作るまで、一体どれだけの時間がかかる?」

達人「だけど……クマは、俺たちと違って背負うものが無い。人間の俺たちに付き合わせて良い道理はない」

早乙女「クマは賢いぞ。それで特別扱いされてクマが喜ぶとでも思うか?」

達人「……怒るだろうな。実際に、本人に聞いてみない事には分からんが」

早乙女「あらゆる要素を加味し、ワシはクマこそが、ベアー号に乗りゲッター3を操るに相応しいと判断した」

早乙女「まだ、異論があるか?」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:56:55.27 ID:0oKAVaRPo
達人「……まったく、親父には勝てないな。何よりゲッターの製作者の言葉だ、従うしかあるまい」

早乙女「一つだけ確認する。お前は、クマが三人目で、戦えると思うか?」

達人「下手な奴と組まされるよりはよっぽど戦えるな」

早乙女「決まりだ。ゲッターパイロット三人目は、クマとする」

達人「それは良いんだけどよ、ゲットマシンにクマは乗れるのか? あいつ小さいから、多分レバーに手足が届かないぜ?」

早乙女「ゲットマシン内部をクマ仕様に改造すればいい」

達人「となれば、後はクマの承諾を得るだけか」

バタバタ

ミチル「お父さん、お兄ちゃん、いる?」

「早乙女博士、話があるクマ!」

達人「おっ、噂をすれば丁度良い。俺たちも話があるんだ」

早乙女「すまないが、こちらから話をさせてもらう。実はな――――」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:57:32.85 ID:0oKAVaRPo
ギュオン

「クマーーー! 飛んでるクマ、飛んでるクマーっ!」

ギュオン ギュオン

達人『はしゃぐなよ、クマ。これから飽きるほど飛ぶんだからよ』

ミチル『良いじゃない。お兄ちゃんだって、最初は大はしゃぎだったくせに』

「これがゲットマシン……ミチル、タツヒト! クマ、ちゃんと飛んでるクマ!」

達人『ああ、実際すごいよ、お前は。負荷再現装置の訓練でも平気だったからな』

ミチル『正直、私も最近慣れたばかりなのに……でも、これでやっと、晴れて三人揃ったって言えるわね!』

早乙女『喜ぶのはまだ早い。合体が出来て初めてゲッターチームが完成するのだ』

「じゃあ、早く合体するクマ、早乙女博士っ!」

早乙女『浮かれるな。合体は危険が伴うのだ。負荷に耐えられても、お前は操縦技術が圧倒的に足りていない』

「ご、ごめんなさいクマ」

ミチル『大丈夫よ。クマちゃんは頭が良いんだから、すぐに合体だってできるようになるわ!』

達人『その通り。親父、見ていろよ。すぐに、俺たちの手でゲッターを合体させてやる!』

早乙女『フッ。楽しみにしておこう』
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:58:17.83 ID:0oKAVaRPo
「ゲッター1は空戦、ゲッター2は地中戦、ゲッター3は水中戦、クマ……」

ミチル「クマちゃん。復習?」

「ミチル。基礎は大事クマ。特にクマは人間じゃないから、ちゃんと勉強しないと、ミチルたちに迷惑かけるクマ」

達人「迷惑なんて思った事は一度もないぜ。俺たちは、家族だ」

「タツヒト……嬉しいクマ」

「クマは変だから、お母さんに捨てられちゃったクマ……家族を知らないクマ」

「でも、熊の正しい家族観ではないけれど……それでもクマは、ミチルに見つけてもらって良かったクマ」

ミチル「えへへ、照れるな……クマちゃんが本当の家族と一緒に過ごせたならそれが良かったんだろうけど」

ミチル「だけど、クマちゃんと会えた事は、私も良かったと思うわ」

達人「クマ。男はこういう時、多くを語らないモンだ」

達人「明日、ゲッターチェンジの本番だ。俺たちはお前を、信じている。決めてやろうぜ」

「ミチル、タツヒト。……クマ! 頑張るクマ!」


早乙女「……和子。三人を、守ってやってくれ……」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:58:47.30 ID:0oKAVaRPo
ギュオン ギュオンギュオン

達人『イーグル号、達人! 好調だ』

ミチル『ジャガー号、ミチル。同じく問題なし!』

「ベアー号、クマ! 以下同文クマ!」

早乙女『三人とも、状態が安定しているな……これより、合体訓練を行う!』

早乙女『重ねて言うが、ゲッターチェンジは大きな危険を伴う! 成功を目指すな、失敗しない事だけに気を遣え』

達人『そんな弱腰、ハチュウ人類相手じゃ通じないぜ。了解!』

ミチル『大丈夫よ。私とお兄ちゃんは頭悪いから無茶するけれど、クマちゃんがいるもの』

「クマばかりに頼らないでほしいクマ、クマだっていっぱいいっぱいクマー……」

ミチル『わあー、ごめんごめんっ。お兄ちゃん、気を引き締めていきましょ!』

達人『気が緩んでるのはミチルだけだ。親父!』

早乙女『よし。ゲッター1にチェンジだ!』
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 08:59:36.20 ID:0oKAVaRPo
達人『よっしゃあ! こい、ミチル、クマ!』

ギュオン

「ミチル、行くクマ!」

ミチル『オッケー!』

ギュオン

ガシィン!

ミチル『グッ!? こ、これが、合体の衝撃ッ……!』

「ミチル、大丈夫クマっ?」

ミチル『へ、へーきよ……思ってたよりキツいだけっ! お兄ちゃん、行くよ!』

達人『ああ! チェンジ、ゲッター 1 !』ポチッ

ギュオン

ミチル『ウ、ググ……!』

「み、ミチル……?」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:00:16.42 ID:0oKAVaRPo
ギュオン

ガシィン!

達人『ぐおおっ!?』

ミチル『きゃああっ!』

「ミチル、タツヒトっ!」

早乙女『どうした!?』


グググ……


達人『これは、確かに想像より……ぐあああっ!』

ミチル『い、息が……でき、な……!』

「ミチルー! タツヒトー! しっかりするクマー!」


グワオン!
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:01:03.64 ID:0oKAVaRPo
早乙女『こ、これは……!』

「どうしたクマ、早乙女博士!?」

早乙女『ゲッター線の量が、異常に増えている。合体したゲッターの出力が上がっていく!』

ミチル『がっ……ああああアアアアアアッッ!』

達人『ミ、チル……! クマ……がはあっ!』

バシャッ

「た、タツヒト、血を吐いたクマ!?」

早乙女『い、いかん! オープン・ゲットするのだ! 急げ!』

達人『腕が、動かね……ぐああああ!』

ミチル『お兄、ちゃ……おと、さん…………!』

早乙女『くそっ、強制オープン・ゲットを……!』カチャカチャ

ピー!

早乙女『くっ、墜落の危険があるから解除できんだと……!? ミチル、タツヒト、クマ!』
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:01:42.77 ID:0oKAVaRPo
「ミチル! タツヒト! 頑張るクマ、操縦するクマ!」

達人『ぐふっ……む、無理だ……』

「タツヒト、タツヒトぉ! ミチルーーー!」

ミチル『く、クマちゃん……』


達人『…………ミチ、ル。クマだけ、は……』

ミチル『ウン……!』


「ミチル、タツヒト……? 何を話してるクマ!?」

「いや、クマ。ミチル、何してるクマ。タツヒト! 早乙女博士、二人を助けてクマ!」

早乙女『よせ、止めろ達人! ミチル!』


達人『クマ……人類の未来……頼む……』

ミチル『ごめん、ね……クマちゃん……!』
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:02:12.19 ID:0oKAVaRPo



達人『ぐおおおおおおおおッッッ!』カチッ

ミチル『うおおおおああああああッッッ!』カチッ


210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:02:42.69 ID:0oKAVaRPo

バシュウッ!


「オープン・ゲット……」


ガキッ

グシャアッ

ドガァァン!


早乙女『た、達人……ミチル……?』

「そ、そんな……うそクマ……こんなの……いやクマ……」


パラパラパラ……


早乙女『達人ーーーー! ミチルーーーー!』

「クマあああああああああああああああああ!」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:03:13.46 ID:0oKAVaRPo
早乙女「…………」

「…………」

早乙女「…………」

「…………」

早乙女「…………」

「…………」

プルルルル プルルルル ガチャ

早乙女「ワシだ…………構わん。それで進めろ。ああ」

「…………」

早乙女「それは任せる。ああ。では頼んだ」ガチャ

「…………」

早乙女「…………」

「…………」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:04:21.30 ID:0oKAVaRPo
早乙女「…………」

「…………」

早乙女「…………」

「…………」

早乙女「…………」

「…………ミチル」

早乙女「…………」

「うう、ぐす……タツヒトぉ……」

早乙女「…………」

「わああぁああん! うう、わあああ……!」

早乙女「…………クマよ」

「ぐすん、ぐすんっ……」

早乙女「まだ、ゲッターに乗れるか」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:04:47.60 ID:0oKAVaRPo
「さおとめ、はかせぇ……」

早乙女「我々に、足踏みしている余裕はない。ワシは次のパイロットを探す」

「そんな……だって……クマはぁ……」

早乙女「お前がもう乗らないと言うのであれば、それでいい。ベアー号含め、新たなパイロットを探す」

「クマ……クマ……」

早乙女「お前はここで考えていると良い」

「ま、待ってクマ!」

「乗る、クマ」

早乙女「……良いのか?」

「早乙女博士の言う通りクマ。クマたちが止まっている間に、ハチュウ人類はどんどん侵略してくるクマ……」

「クマがゲッターから離れたら、奴らはもっともっと暴れるクマ……それに」

「そんな事したら……ミチルとっ、タツヒトはぁ……無駄死にになっちゃうクマ!」

「だからっ……」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:05:54.89 ID:0oKAVaRPo
ギュッ

早乙女「もう、分かった……」

「えぐ、えぐっ」

早乙女「そうだ……死んでしまった我が子たちの為にも、我々は進み続けなければならないのだ……」

「ごめんなさいクマ、クマがちゃんとしていれば!」

早乙女「戦おう、共に……達人とミチルの想いを忘れずに」

「なんで、クマだけがっ……」

早乙女「済まない、クマ。何も知らない、何も分かっていなかった愚かなワシを赦してくれ……!」

「うわあああああん……!」

早乙女「赦してくれ、クマ……!」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:06:52.38 ID:0oKAVaRPo
「早乙女博士! ケンとテツオは!? どうなったクマ……!?」

早乙女「……即死だった」

「そ、そんな……」

早乙女「ゲットマシンの基礎的な性能に問題はない……だが、合体した瞬間にゲッター線量が爆発的に上昇する」

早乙女「それに伴い、ゲッターの負荷も比例して上がる……この関連性は何だ?」

早乙女「ゲッターの何が欠陥なのだ? 何が、どうなっているのだっ!」

ガンッ

「早乙女博士、落ち着いてクマ! 手から血が出てるクマ……!」

早乙女「……次の、パイロットだ。それまでにゲッターロボの出力を減らし、そうすれば負荷も減る……」

早乙女「設計構造から見直しだ……」フラ

カランカラン

「早乙女博士……」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:07:23.75 ID:0oKAVaRPo
「早乙女博士、どういう事クマ!? パイロット訓練を廃止するって……!」

早乙女「……無駄なのだよ。訓練など」

「それは……確かに、みんなゲッターの負荷に耐えられなかったクマ。でも、いつかきっと」

早乙女「いいや、ワシが間違っていたのだ。ゲッターを人間の器に収めようというのが、そもそもとして間違っていた」

早乙女「ゲッターロボの出力を下げた。だが合体する際に、それはリミッターを超えて臨界に達する」

早乙女「負荷を軽減するパイロットスーツも開発した。だが、それでも誰一人として合体に成功しない」

早乙女「何故だ?」

早乙女「簡単な理由だ。ゲッターを動かせるのは選ばれた存在のみ。そこに、人間の小細工など無意味だったのだ」

「選ばれた存在……? だ、だとしても、訓練もせずに乗せるなんて、人道的に間違ってるクマ!」

早乙女「だからどうした!」

「クマっ……」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:08:37.50 ID:0oKAVaRPo
早乙女「二年だ! 達人とミチルが死んで二年が経った! だのに、ワシは遅々として先に進めていない!」

早乙女「それもこれも、人間性と言う理性と固定観念が原因だ!」

早乙女「我々に必要なのはただの人間ではない! 死んでも良い屑で、死なない奴だけだ!」

早乙女「訓練など不要だ。所属機関など関係ない。素人だろうが誰だろうが、死んでも良い奴を片っ端から乗せる!」

「そんな事をして、ミチルとタツヒトが嬉しいと思うクマ!?」

早乙女「思わないだろう。だが、関係ない!」

早乙女「『ゲッターロボ』を動かすその日が訪れる前に諦めてしまえば、二人を殺した意味がない!」

「早乙女博士が殺したんじゃないクマ! あれは、事故だったクマ!」

早乙女「殺した罪の意識も背負わずに生きるくらいならば、ワシは悪魔に魂を売る!」

早乙女「誰でも良い、集めるのだ……人類最後の一人まで試し尽くす……」

「早乙女博士……恐いクマ……」

早乙女「……クマよ。お前だけは、そのままでいろ。ワシは悪魔に魂を売るが、お前だけは……」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:09:52.66 ID:0oKAVaRPo
―――――――――

――――――

―――

早乙女「……まあ、こんなものだろう。クマとゲッターの話は」

ジン「……ありがとうございました」

早乙女「構わん」

ナガレ「……なんだよ、長々付き合わせやがって、結局ジジイの身の上話とお涙頂戴かよ」

ナガレ「なるほどなあ、俺たちはジジイにとって換えの利くゲッターロボのパーツってわけだ。俄然やる気が出るね」

早乙女「珍しく物分かりが良いじゃないか」

ナガレ「チッ……あーあ、下らねえ。部屋に帰って寝るわ」

ジン「待ちなさい」

ナガレ「何だよ」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:10:19.16 ID:0oKAVaRPo
ジン「クマちゃんにとって、私たちはただの相乗り仲間じゃないわ」

ナガレ「アン?」

ジン「待ち侘びた掛け替えの無い友、家族って事よ」

ナガレ「…………だからどうしたってんだよ」

ジン「自分がクマちゃんに吐いた言葉、よく考えなさい」

ナガレ「気分じゃねえから説教垂れんな。家族だってんなら、俺にも優しくしてほしいもんだ!」

カシュッ

ジン「…………はあ。やっぱり無理です、博士。あいつ、どうしようもありません」

早乙女「どうだかな」

ジン「え?」

早乙女「ゲッターに選ばれたお前たちは、そう簡単に離れられん」

ジン「私はあいつと今すぐにでも離れたいですが。主にあいつを消す方向で」

早乙女「好きにしろ」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:12:13.67 ID:0oKAVaRPo
 ―― 早乙女研究所・飛行訓練場 ――


クマ「……なんだか、いろいろ思い出しちゃうクマ」

クマ「ここでクマが折れちゃったら、みんなに合わせる顔が無いクマ……」

クマ「みんな、ありがとうクマ。ミチル、タツヒト、クマは頑張るクマ」

クマ「だから、お願いクマ……クマたちを守ってほしいクマ」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:12:54.97 ID:0oKAVaRPo
 ―― 翌日 ――


ギュインギュイン! ギュインギュイン!

早乙女「出たな、ハチュウ人類……出現場所は!」

オペレーターA「静岡県駿河湾沿岸! 近くの市街地には侵攻せず、その場に留まっています」

オペレーターB「衛星から静止画像来ます!」

早乙女「メカザウルス一機……ゲッターロボを誘い出すつもりだな」

早乙女「ゲッターパイロットをゲットマシンに呼び出せ!」

クマ『早乙女博士! クマ、ベアー号に搭乗したクマ!』

早乙女「クマ、他の二人はいるか?」

クマ『ナガレが居ないクマ。クマも今来たばかりクマ!』

ジン『ジン、ジャガー号に搭乗!』

早乙女「ナガレはまだか……」

ジン『そのようです……くそっ、こんな時にまでイラつかせる』

クマ『…………あっ、来たクマ!』
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:14:11.16 ID:0oKAVaRPo
バシュッ ドサッ

ナガレ「悪い、待たせたな!」

ジン『遅い! 何をしていたの!』

ナガレ「四六時中ハチュウ人類の襲撃になんて備えてられっか! テメエらだけゲットマシンで生活してろ!」

ジン『またそんな屁理屈を捏ねて……』

クマ『話が進まないクマ。早乙女博士、状況を教えてほしいクマ』

ナガレ「…………チッ」

早乙女『襲撃を受けた場所は静岡県沿岸だ。相手はメカザウルス一機』

ナガレ「余裕だな。さっさと行こうぜ!」

早乙女『三度に渡る交戦を、全て撃退してきた。ハチュウ人類にはまだゲッターロボの姿形は把握されていないはずだ』

早乙女『だが、今度はゲッターロボを引き摺り出す作戦に出たらしい。また斥候かもしれんが、気を付けろ!』
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:15:05.83 ID:0oKAVaRPo

早乙女『それぞれのゲットマシンに座標を送った。各員、モニターパネルを確認しろ』

ナガレ「光っている場所、ここに向かえば良いんだな?」

早乙女『そうだ。発進後、すぐにゲッター1に合体し、最高速で向かえ!』

クマ『了解クマ!』

ジン『了解です』

ナガレ「分かった分かった!」

早乙女『ゲッターチーム、出動!』

ナガレ「イーグル号、発進ッ!」

ジン『ジャガー号、発進!』

クマ『ベアー号、発進クマ!』

ギュオオ…バォン!

バシュゥン!
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:15:33.97 ID:0oKAVaRPo


ナガレ「チェーンジ、ゲッター 1 !」


ガシィン ガシィン

グググ……グワオン!

ナガレ「ゲッターウイィング! 飛ばすぜ!」

バオンッ!
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:16:02.55 ID:0oKAVaRPo
バオンッ

ナガレ「…………」

ジン『…………』

クマ『…………』

ナガレ「…………」

ジン『…………』

クマ『…………』

ナガレ「…………チッ」

ジン『何よ。何か文句あるなら言えば?』

クマ『戦闘前に喧嘩は駄目クマ』

ナガレ「だとよ。黙ってなアバズレ」

ジン『よく吠える……』

ナガレ「今すぐ決着付けるかァ!? 俺は良いんだぜ、どこの知らねえゴミが死んだってよ!」

クマ『ナガレ、ジン!』
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:16:30.68 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「でけえ声出すな熊公!」

ジン『……ごめんなさい、クマちゃん』

クマ『…………』

ナガレ「何だよ、何だその目は。一々人を小馬鹿にしやがって、言いたい事があるなら言え!」

クマ『もうすぐ目的地に着くクマ。その怒り、一時的でいいからメカザウルスに叩き付けるクマ』

ナガレ「誤魔化すんじゃねえ! この俺を、虚仮にしやがってぇ!」

クマ『ナガレ、何を怒っているクマ? 何が嫌クマ?』

ナガレ「テメエに分かるかよ……猿真似で人間できてると思ってる熊風情に!」

ジン『黙って聞いていれば、もう我慢できない! このクズが、本当にぶっ殺す!』

ナガレ「上等だ! オープン・ゲットだ、すぐに降りて――――」

クマ『二人とも!』

ナガレ「ア゙ア゙!?」

クマ『その暇はないクマ……メカザウルス視認!』
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:17:24.16 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオオオッッ!」


ナガレ「チッ……こんな時に! テメエら、このクソトカゲを始末した後、憶えておけよ!」

ジン『ヘボパイロットが倒せずに泣き付いてこないといいけど!』

ナガレ「ほざけ!」グイッ

バオンッ

ナガレ「何だこいつ……首が何本もありやがる!」

クマ『いや、違うクマ……首長竜の胴体から、首と同じ太さの触手が何本も生えてるクマ!』

ジン『細いのも数えきれないほどあるわ。その上、胴体だけでも六〇mは近い。馬力も相当ありそうね』

ナガレ「関係ねえよ。ゲッタービームで吹っ飛ばしゃあ済む話だ! その後はお前らで第二ラウンドだぜ」

ジン『いいからさっさとやりなさいよ』

クマ『油断は禁物クマ!』

ナガレ「片腹痛い!」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:18:04.92 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「気色悪いウニ野郎め。喰らいな……ゲッター――――」

メカザウルス「グオオオオオオオッッ!」

チャキッ

ジン『触手の先端をこっちに向けた……?』

クマ『あれは、触手の先が砲門クマ! ナガレ、回避クマッ!』

ナガレ「ばっ……できるかあ!」

メカザウルス「グオオオオオッ!」

チカッ チュチュンッ

ズガガガガッ!

ナガレ「どわあああああ!? ビームだと、嘗めた真似しやがって!」

ジン『良いから回避しなさい、馬鹿が!』

ナガレ「るせー! こンの……!」グイッ

バオンッ
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:18:39.87 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッ!」

チカッ チュチュンッ

ナガレ「うおおおおおおっ!」グイッ

ヒョイ ヒョイ

ジン『上手く躱しているけど、この調子じゃ攻撃できないわ!』

クマ『あの砲門をどうにかしないと話にならないクマ!』

ナガレ「もう少しで見切れるから黙って見てろ!」

メカザウルス「グオオオッ!」

ウィーン……バカンッ

クマ『メカザウルスの背中が開いたクマ!』

ジン『パターンからして、嫌な予感がするけど……!』

クマ『大正解クマ……ミサイルの発射口クマ! ナガレ、気を付けるクマ!』

ナガレ「黙って見てろよおおおおおっっ!」グイグイ
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:19:13.57 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッ!」

バシュバシュバシュッ

クマ『撃ったクマ!』

キィーン……

ジン『ナガレ!』

ナガレ「うおおお、ゲッタートマホークッ!」

ジャキンジャキンッ ガシッ

ナガレ「トマホーク、ブゥーメランッ!」グイッ

ブンッ

クルクルクル……ズバッ

ドワッ! バウッ! ズガァンッ!

ナガレ「どうだあ!」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:19:45.82 ID:0oKAVaRPo
……キィーン

クマ『まだクマ! 余ったのが来るクマ!』

チュチュチュンッ ピチュンッ!

ジン『ビームも止まらないし、どうするの!』

ナガレ「避けながら叩き落す! フンッ!」グイッ

バオンッ

ナガレ「ドリャアッ!」

ズバッ ズババッ

ナガレ「うおりゃあああああ!」グイ

バオンッ

ズガガガアアンッ!

ナガレ「よっしゃあ、上手くいったぜ!」

ジン『ぬか喜びするな、戦闘は終わってないのよ!』

ナガレ「チッ……観客は黙ってな!」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:20:49.35 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッ!」

チュチュチュチュンッ

クマ『遠距離戦じゃいい的クマ! 接近戦にシフトするクマ!』

ナガレ「命令するんじゃねえ! 言われなくてもやってやる!」

メカザウルス「グオオオオオオオオオッッ!」

ナガレ「このタコ野郎、足ィ全部斬り落としてタコ焼きにしてやらぁ!」グイッ

バオンッ

ジン『待ってナガレ! 水の上なら、ゲッター3にチェンジした方が……!』

ナガレ「聞こえねえなあ! ゲッタートマホーク!」

ジャキンッ ガシッ

ナガレ「オオオ!」

ばっしゃあぁぁぁん!

ナガレ「掛かってこいやァ!」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:21:35.07 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオオオッッ!」

ブワッ!

ジン『チッ……ナガレ、触手が来る!』

ナガレ「見りゃ分かる! ドリャアッ!」グイッ

ズバッ ズバッ

ナガレ「次ぃ!」グイッ

ズバッ

メカザウルス「グオオオオオオオオオオッッッ!?」

ナガレ「ハハッ! 図体だけでかくても、懐に飛び込んじまえば大した事ねえな!」

ジン『図に乗るんじゃない!』

クマ『まだまだ来るクマ!』
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:22:28.48 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッッ!」

ブワッ!

ナガレ「バカの一つ覚えだな、欠伸が出るゼッ!」

ズバババッ

ナガレ「チョロいっ!」

メカザウルス「グオオオッ!」

グワァッ!

クマ『ナガレ、後ろから大物が来るクマ!』

ナガレ「口出すな、熊公!」グイッ

ズバッ!

ナガレ「お前らの手助けなんざ要らねえ!」

ズバッ
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:23:01.85 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッ!」

ナガレ「オラオラオラアッ!」

ズバッ ズバッ ズバッ

クマ『触手の量が多い…………ナガレ、上クマ!』

ナガレ「見てられるかアッ!」

クマ『ジン! メカザウルスの胴体の影、砲門が三つ、こっちを狙ってるクマ!』

キラッ

ジン『……見えた。つまりこの触手は陽動で、私たちを釘付けにするための罠!』

ナガレ「聞こえねえよ!」

ズバッ ズバッ

クマ『今すぐここを離れるクマ!』

ナガレ「お前の指図なんか受けるかよ! 黙ってろ熊公!」
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:23:47.64 ID:0oKAVaRPo
ジン『この期に及んで何をアホ抜かすか! さっさと逃げなさい!』

ナガレ「うるせえぞ外野ぁ! トマホークブーメランッ!」

ブンッ

クルクルクル……ズバババッ

ドワオッ!

メカザウルス「グオオオオオオオオッッッ!」

クルクルクル……ガシッ

ナガレ「叩き落せば良いんだろうが! オラアッ!」

ズバッ

ジン『……お見事』
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:24:18.16 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「しかし、次から次へとキリがねえ!」

クマ『触手を削り落としても本体へのダメージは殆どないクマ……』

ジン『でもこの量、いくらなんでも捌くだけで手一杯よ!』

クマ『近付けば触手、離れれば砲撃……まるで要塞クマ』

ジン『とにかく、この状況じゃ埒が明かないクマ! ナガレ、一旦ゲッター2にチェンジして離脱を……』

ナガレ「逃げ腰のクソ共は黙ってろ! 全部ぶっ飛ばしてやる!」

クマ『何をするつもりクマ!?』

ナガレ「消し飛べえっ! ゲッタァーー……!」

シュルシュル ガシッ

ジン『細い触手がゲッターの足に絡み付いてきたわ!』

ナガレ「何ィ!?」

グンッ

ナガレ「どわっ! 引っ張られてバランスが……!」

バシャッ

ズズゥゥン……
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:25:13.92 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「く……っそがあッ!」ガシャガシャ

クマ『あんな囲まれてる状態でのんびり大技撃とうとしたらこうもなるクマ!』

ナガレ「分かった口きいてんじゃねえ! このクソタコ足が、ぶった切ってやる!」グイッ

シュルシュル ガシッ

ナガレ「う、腕が! この、ゲッターレザー!」

ジャキンッ ズバッ

シュルシュル

クマ『駄目クマ、また新しい触手が別の所に巻き付いてきたクマ!』

ジン『ナガレ、お前じゃ話にならないわ! とにかく、オープン・ゲットよ!』

ナガレ「うるっせえーー! 乗ってるだけの置物が、ピーチクパーチク喚くな!」

ジン『マジお前ホントお前こんな時まで意地張ってんじゃないわよ!』


メカザウルス「グオオオオオオオッッ!」


グワァッ!

ドガッ

ナガレ「だはあっ!?」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:26:04.51 ID:0oKAVaRPo
ゴシャッ ズガッ

クマ『クマーーー!』

ジン『きゃああっ! な……ナガレ、早く!』

ナガレ「だ、黙れェーーーー! お前らなんかに、お前らなんかに頼って……!」ガッシャガッシャ

メカザウルス「グオオオオオオオッッッ!」

バシャバシャ

ズズズ……!

ナガレ「な、なんだ……?」

バシャバシャ

ズズズ……!

クマ『まさか……このまま海の中に引き摺り込もうとしてるクマ!?』
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:26:50.41 ID:0oKAVaRPo
ジン『まずいわ。ナガレ、早くオープン・ゲットを!』

ナガレ「クソが、離しやがれ! ゲッタービームッ!」カチッ

キィイン……キュオン

バオオォォォォオオオンン!

ジン『ゲッタービームじゃなくてオープン・ゲットしろってのよ! しかも外したし!』

ナガレ「クソったれがあ! お前らなんぞの言いなりになって堪るかッ!」ガッショガッショ

ジン『この屑が! クマちゃん、早乙女博士に繋いで強制オープン・ゲットを要請して!』

クマ『合体解除したところで、ナガレがゲッターチェンジに協力してくれなきゃ意味ないクマ……』

ジン『ナぁガぁレぇーーーーーーーー!』

ナガレ「うるせええええぇぇぇえええっ!」

メカザウルス「グオオオオオッ…………」

バシャバシャバシャ……

ザパーン!

ブクブク……

ブク……
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:27:28.89 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「くそっ、完全に海中だ!」ガンッ

クマ『まずいクマ……』

ナガレ「アアン!?」

クマ『この海域は近くが駿河湾クマ。その水深は一番深くて二〇〇〇mを超える深海クマ』

ナガレ「にせっ……」

クマ『そこまで連れていかれたら、ゲッター1のままだとゲッターはともかく中のクマたちは間違いなくぺちゃんこクマ』

クマ『それだけじゃないクマ。ゲッター1とゲッター2は水中だと性能が落ちるクマ』

ナガレ「何を冷静に御託並べてやがる! クソ、離しやがれこのトカゲ野郎!」グイ

ギギギ……

ナガレ「微動だにしねえ! ゲッタービーム!」カチッ

キィイン……キュオン

バオォォオオン……ブクブク

ナガレ「なんだこりゃ! 全然威力が出ねえ!」

クマ『ゲッタービームは単純に熱エネルギークマ。水中だと威力が半減するクマ……』
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:28:04.09 ID:0oKAVaRPo
シュルシュル……ガシィ!

ナガレ「だ、駄目だ、完全に覆われちまった……!」

ジン『まだよ、まだ間に合うわ! オープン・ゲットすれば振り解ける!』

ナガレ「お前らに頼るか!」グイグイッ

ジン『はあっ!?』

ナガレ「俺一人で、戦ってやる!」

ジン『もう……好きにしろ、馬鹿野郎!』

ナガレ「そうすらあ! このっ、このっ!」ガッシャンガッシャン

クマ『水深二〇〇m……』

ナガレ「うおおあああああっっ!」ガシャンッ

クマ『二一〇mクマ……』
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:28:46.09 ID:0oKAVaRPo
ガンッ!

ナガレ「何だってんだよ! 俺の何が、何が悪いんだよ!」

ジン『全部よ。お前の我が儘が、自らの不幸を招いただけ』

ナガレ「俺をこんな事に巻き込んだ世界こそが一番の我が儘じゃねえか!」

ナガレ「それでなんで、俺だけが、悪者扱いされなくちゃならねえんだよ!」グイグイ

ジン『だから屑なのよ。死んでも問題ない、死なないだけ厄介な、人間の屑』

ジン『まさか、ここまでとは思わなかった。お前なんかと心中する羽目になるなら、ゲッターになんて乗らなきゃ良かった……!』

ナガレ「お高く止まってんじゃねえ! どうせ同じ穴の狢じゃねえか、お前に俺を責める権利があるのかよ!」

ジン『誰の所為で死ぬと思ってるのよ!』

クマ『二人とも、喧嘩はやめるクマ』

ナガレ「おうおう流石獣様は覚悟が異なりますなあ! 自然界は厳しーからいつでも死ぬ準備ができていますってか!?」

ジン『八つ当たりの前に少しは協力してよ! あんたがそんなだからこんな事になったって言ってんでしょうが!』

ナガレ「喚くなクソ女!」

ジン『お前が一番喚き散らしてるだろうがあああああ!』ガンッ
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:29:30.48 ID:0oKAVaRPo
クマ『ジン!』

ジン『…………分かったわ、ごめんなさい』

ナガレ「おいおい、威勢良い事言って結局熊公の言いなりかよ。面白すぎるなア、オイ!」

ジン『フン…………』

ナガレ「それでいいんだよ! お前らは黙ってろ! 俺一人でどうだってできる!」

ナガレ「今までだってそうやって来た! 気に入らねえ奴はぶっ潰す! 全部一人でやった!」

ナガレ「欲しいモンは奪った! 逆らう奴は叩きのめした! 俺一人でだ!」

ナガレ「ヤクザなんて何人も返り討ちにした! ポリ公は俺を怖がって手出ししてこねえ!」

ナガレ「ハチュウ人類が何だってんだ! これからも変わらねえ! お前らなんか要らねえんだ!」

ガッシャンガッシャン

ナガレ「何が仲間だ……!」

ギギギ……ギギィ

ナガレ「なにがチームだ、笑わせるな……!」

ブクブクブク……

ナガレ「クソがッ!」

ガンッ!
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:30:12.39 ID:0oKAVaRPo
クマ『ナガレ……』

ナガレ「こんッな時に何だクソ熊アァッ!」

クマ『クマは、ナガレがゲッターに乗るって言ってくれた時、すごく嬉しかったクマ』

ナガレ「あン……?」

クマ『ナガレは、ゲッターを信用したクマ。早乙女博士を信じてくれたんだクマ。それが嬉しかったクマ』

クマ『初めて一緒に、ゲッターを動かせるんだと思って……嬉しかったんだクマ!』

ナガレ「そんな与太言聞いてられるか、後にしろっ!」

クマ『ナガレ……クマはそれこそ、ここでナガレやジンと一緒に死んでも構わないくらい幸せクマ』

ナガレ「俺は死にたかねえし、お前の幸せで俺を不幸にするんじゃねーーーーっ!」

クマ『なのに、クマの事は信じてくれないクマ?』

ナガレ「ッ…………」

クマ『ナガレにとって、人間じゃないクマは、そんなに信用できないクマ?』
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:30:49.13 ID:0oKAVaRPo






ナガレ「黙れェーーーーーーーー!」





247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:31:17.89 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「……どの口が……どの口が、お前に詫び入れらるんだよ」

ナガレ「家族が死ぬ悲しみなんて、俺自身がよぉっく知ってるってのに……」

ナガレ「お前にでかい口叩いて、その後お前の生い立ち知って、悪い事したなあって……!」

ナガレ「そんな都合の良い事、俺が、どうやって、言えばいいんだよ!」

ナガレ「誰にも謝った事がねえ、諂った事もねえ、我を貫くしかできねえ、クソみたいな人生送ってきた俺が!」

ナガレ「どうやって、お前とヘラヘラ笑えってんだ!」

ナガレ「どうやって、お前たちに仲間って認めてもらえるんだよ!」

ナガレ「言ってみろよ熊公! その賢い頭で、ジジイの息子娘に貰った知識で、俺に!」

ナガレ「言えよ、クソ熊……!」
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:32:12.08 ID:0oKAVaRPo
クマ『……早乙女博士から、ミチルとタツヒトの事を聞いたクマ?』

ナガレ「ああ……!」

ジン『ごめんなさい、クマちゃん』

クマ『良いクマ。どうせいつかは話そうと思っていたクマ。早晩クマ』

クマ『…………ナガレ、ジン』

ナガレ「なんだよ」

ジン『うん』

クマ『大丈夫クマ。クマたち、お互いが好きクマ。大好きクマ』

ジン『……うん』

クマ『……………………ナガレ聞いてるクマ?』

ナガレ「聞いてるよ!」

クマ『良かったクマ』
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:33:19.84 ID:0oKAVaRPo
クマ『だから、いがみ合う必要ないクマ。信じて良いクマ。そう確信したクマ』

クマ『一蓮托生とか、家族とか、友とか、重いものは背負わなくていいクマ』

クマ『喧嘩しても良いクマ。仲良くなくたっていいクマ』

クマ『クマたちはクマたちのやり方で、戦っていけばいいクマ』

クマ『クマたちはゲッターチーム、三人で一つのゲッターチームクマ』

クマ『…………違うクマ。言葉が多いクマ。二人だったら、もっと分かりやすく言うクマ』

クマ『ナガレ……やっぱり無理クマ。クマはうまく言葉を纏められなかったクマ』

ジン『大丈夫、私には伝わった。ナガレはどう?』

ナガレ「…………さっぱり、分からねえ」

クマ『じゃあもうちょっと頑張るクマ』

ナガレ「もう良い、聞き飽きた」


ナガレ「このクソウニ野郎のメカザウルス、お前に任せるわ、クマ」

クマ『任せるクマ!』
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:34:23.15 ID:0oKAVaRPo
クマ『ナガレ、ジン! ゲッターロボは今、メカザウルスの触手に完全に覆われているクマ』

クマ『まずはそれを解くクマ。ゲッタービームを撃ち、即座にオープン・ゲットクマ』

ジン『了解よ、クマちゃん!』

ナガレ「ゲッタービームは水中じゃ威力が落ちるんじゃねえのか?」

クマ『少しでも良いから触手を剥がせればいいクマ。問題は、その後クマ』

ナガレ「その後?」

クマ『迅速なゲッターチェンジをしなければ、また触手に捕まって今度こそ一巻の終わりクマ!』

クマ『更に言えば、水深七〇〇mクマ! 水圧の変化でゲットマシンの挙動がいつもと違っているクマ』

ジン『普段通りに合体しようとすれば、事故は確実……早さだけじゃない、繊細さも必要なわけね』

ナガレ「マジかよ、自信ねえぞ、俺」

ジン『普段から訓練を真面目にしないからよ』

ナガレ「うぐっ……」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:34:55.59 ID:0oKAVaRPo
ジン『元を辿れば、ナガレがごねたのが原因だし、自業自得ね』

ナガレ「うぐぐっ……今それを言うなぁ!」

クマ『大丈夫クマ! クマは……二人を信じているクマ!』

ジン『フッ……私もよ』

ナガレ「…………やるぜ、熊公、ジン!」

クマ『クマ!』

ジン『ええ!』


ナガレ「ゲッターチャージ、完了!」


ナガレ「ゲッタアアアァァアアッ! ビイイィーーーーーンンムッッ!」カチッ

キィイイン……キュオン

バウッ――――


バオオォォォォオオオンン!
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:35:33.50 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオオオオオオオオオッッッ!?」

ナガレ「ザマぁ見やがれ! オープン・ゲットォ!」カチッ

ガチャン! バシュゥン!

ぶわあっ!

ギュオンギュオン ギュオン

ジン『脱出成功よ!』

クマ『今クマ! ナガレ、ジン!』

ナガレ「行くぜ、ジンッ!」グイッ

ジン『口より、手を動かしなさいっ!』グイッ

ギュオン……

ガシィン!

ナガレ「来い、クマ!」

ジン『クマちゃん!』
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:36:21.47 ID:0oKAVaRPo

クマ「チェンジ、ゲッター……!」


クマちゃん!

クマ、人類の未来、頼んだぜ。


クマ(ミチル、タツヒト……)



クマ「――――ゲッター 3 クマ!」カチッ



ガシィン!


グググ……


ガキョンッ!
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:37:26.67 ID:0oKAVaRPo
ジン『ゲッターチェンジ、成功』

ナガレ『これが、ゲッター3……なんか、魚に人間の上半身が生えたみたいな形状だな』

クマ「待ちに待った出番が、やってきたクマ……」

ナガレ『アン? 今、何か言ったか?』

クマ「……なんでもないクマ!」


メカザウルス「グオオオオオオオオオオッッッ!」

バシュバシュバシュッ


ジン『メカザウルス旋回、同時にミサイルを発射したわ!』

ナガレ『熊公!』

クマ「ナガレ、ジン、ちょっと痛いクマ!」

ジン『えっ!?』

ナガレ『お前、まさか、あれだけ俺に言っておきながらマジか!?』


ドワオッ……!

255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:38:13.82 ID:0oKAVaRPo
ナガレ『ずわああああっ! 直撃ィ!?』

クマ「大丈夫クマ! ゲッター3の装甲はそう簡単に傷付かないクマ!」

ナガレ『俺らにはダメージが通ってるじゃねえか!』

ジン『我慢よ!』

ナガレ『チッ……付き合ってやるよ、地獄の底まで!』


メカザウルス「グオオオオオオオッッ!」

クマ「ぶちかましクマァーーーー!」グイッ


ズガアアアアンッ!


メカザウルス「グオオオオオオオオオオオオオッッッ!」

シュルシュルッ ガシィッ

ナガレ『この野郎、触手を伸ばして……右腕が封じられたぞ!』

ジン『今の体当たりで怯みもしないなんて、こいつ、見た目通りタフネスだわ!』

クマ「想定内クマ!」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:38:54.16 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッッッ!」

グワァッ!

ナガレ『熊公、大物だ!』

クマ「分かってるクマ!」グイ

ガシッ!

クマ「掴まえたクマ!」

ジン『でも、あっちの「手」はまだまだ沢山あるわ……!』

メカザウルス「グオオオッ!」

ブワッ!

ズガッ ドガッ ガガガッ

ジン『クッ、触手を使った乱打……掴まれてるから逃げられない!』

ナガレ『なに遊んでやがる、熊公!』

クマ「大丈夫クマ!」

ナガレ『当たり前だ!』
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:39:46.32 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオオオオッ!」

ガコォンッ ガァンッ……!

クマ「頑丈なのは認めるクマ……でも、ゲッター3は「水中要塞」クマ。そっちよりも固いし、パワーもあるクマ!」グイ

ググッ……ガンッ!

メカザウルス「グオオオオオオッ!?」

ジン『掴まれている方の腕で殴った!? なんてパワーなの!』

メカザウルス「グオオオオオオオオオッッ!」スイー

ナガレ『こいつ、逃げるぞ!』

クマ「無駄クマ!」グイッ

ギシィッ

メカザウルス「グオオオオッ!?」

クマ「お前がゲッターを逃がさないために腕を縛ったように、クマもお前を逃がさない為に掴まえたクマ!」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:40:35.65 ID:0oKAVaRPo
クマ「ミサイルはそっちだけの専売特許じゃないクマ!」

クマ「喰らえクマ、ゲッターミサイルッ!」カチッ

ガションッ……バシュンバシュンッ!

ズガッ バオォオオンッ!

メカザウルス「グオオオオオオオオオッッッ!」

バシュバシュバシュッ

ナガレ『熊公、またミサイルだ!』

クマ「自爆覚悟クマ……ならお望み通りにしてやるクマ!」

グイッ

メカザウルス「グオオオオオッッ!」

ドワオッ……!

メカザウルス「グオオオオオ…………!」

ググッ

ブチィッ
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:41:11.12 ID:0oKAVaRPo
ジン『あっ! 触手が千切れた!』

ナガレ『おい、逃げるぞ!』

メカザウルス「グオオオオオオッ……」スイー

ジン『こいつ……逃げるためにミサイルに触手を巻き込んで、強引にぶっ千切ったわ!』

ナガレ『生意気な真似しやがって! 熊公!』

クマ「逃がさないクマ!」グイ

ギュオオッ

クマ「ゲッター3は水中戦を任されているんだクマ、その機動力を侮るなクマ!」

メカザウルス「グオオオッ!」

ブワッ!

クマ「遅いクマ!」グイ

ギュオオッ ヒョイ

メカザウルス「グオオオオオオッ!」

バシュバシュバシュッ

ジン『ミサイルよ……!』

クマ「突っ込むクマーーー!」

ズガガガガガァン…………!
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:41:54.09 ID:0oKAVaRPo
ゴポゴポゴポ……

メカザウルス「グオオオオオオッ……!」スイー


ギュオオオッ!

クマ「そんな攻撃、通じないクマー!」

ナガレ『だからって突っ切る奴があるかーっ!』


メカザウルス「グオオオオオッ!?」

クマ「喰らえクマ! ハンマーパンチ・ラッシュ!」グイッ

ガンッ!

メカザウルス「グオッ……!」

クマ「クマクマクマクマクマクマクマクマーーーーッッ!」

ガンガンガンガガガガガガガッ!

ガガガガガガガガガガッ――ズガァンッ!

メカザウルス「グオッ……グオオオッ……」ピクピクッ
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:42:29.28 ID:0oKAVaRPo
クマ「とどめクマ! ゲッタートライデント!」カチッ

シュコッ ジャコンッ! ガシッ

ナガレ『槍……三叉槍ってやつか!』

クマ「スパークチャージ!」

キィイン……パチパチッ

ジン『槍の穂先が帯電している……確かゲッタートライデントはゲッター線をエネルギー変換して穂先に集中させる事が出来る』

ナガレ『溜めたエネルギーは、ゲッタービームとは異なる方法で放出する事もできる、だったか!?』

バチバチッ……!

クマ「大正解クマ! ナガレ、意外と憶えているクマ」

ナガレ『伊達に何度も聞かされてねえよ!」

クマ「それもそうクマ。……臨界、到達クマ!」
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:43:43.61 ID:0oKAVaRPo
メカザウルス「グオオッ……グオオオオオオオオオオオッッッ!」

ナガレ『こ、こいつ! あれだけ叩きのめしてまだ動きやがる!』

ジン『なんてしぶとい奴……!』

メカザウルス「グオオオオオオオオオオオオオッッッ!」

バシュバシュバシュッ! ブオワァッ! プスプスッ……

ナガレ『使えねえレーザー光線まで動員しての最後の悪足掻きか……熊公!』

クマ「大丈夫クマ!」

ナガレ『これで大丈夫じゃなかったら帰った後にどつき回す!』

ジン『やっちゃって、クマちゃん!』


クマ「ゲッター……スパークネット!」

263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:44:29.29 ID:0oKAVaRPo

バリバリッ……パンッ

バッシャアアァァァァアアアンッ!


メカザウルス「グオオオオオオオオオオッッッ!?」


ドガァン! バゴォ! ズババババババアッ!


ナガレ『穂先から放たれたエネルギーが四方八方に拡散して、網のように広がってやがる……』

クマ「海中での有効範囲の直径は実質無限、この技から逃れる術はないクマ!」

バリバリバリッ……!

メカザウルス「グオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!」ビキッ

バキバキ……!

どかああぁぁぁぁああン!
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:46:42.26 ID:0oKAVaRPo
ゴポゴポ……

クマ「メカザウルスの撃破、確認クマ」

ジン『倒し、た……?』

ナガレ『つっ、疲れた……』ドサッ

ジン『まったく、ナガレが駄々を捏ねなきゃこんな苦労する事も無かったのに』

ナガレ『うるせぇ。もうそれは言うな……』

ジン『やだ。未来永劫事ある毎に言ってやる』

ナガレ『ふざけんな!』

クマ「二人とも、そこまでクマ」

ナガレ『チッ……へいへい、わーったよ』

クマ「他、敵性の存在は認められずクマ。状況終了――――」

クマ「ゲッターチーム、これより帰還するクマ!」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:47:17.10 ID:0oKAVaRPo
バオンッ

ナガレ「…………」

ジン『…………』

クマ『…………』

ナガレ「…………」

ジン『…………』

クマ『…………』

ナガレ「…………」

ジン『…………』

クマ『そう言えばナガレ』

ナガレ「なんだよ」

クマ『戦闘前に言ってた喧嘩の決着、付けるクマ?』

ナガレ「ブッ!?」

ジン『アハハハハハハハハッ!』
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:47:59.58 ID:0oKAVaRPo
ナガレ「お前あの会話の後でそれを言うか!? やらねーよ! 疲れた、帰ったらすぐ寝る!」

クマ『そりゃあ良かったクマ』

ナガレ「熊公お前、次に同じ事言ったらマジでぶっ飛ばすからな!」

ジン『アハハハハハハハ! ひー、面白すぎるっ……』

ナガレ「テメーはテメーで何笑ってんだ!」

クマ『あとさっき、クマの事、名前で呼んだクマ?』

ナガレ「呼んでねーよ!」

クマ『それは嘘クマ! 絶対呼んでたクマ、クマには分かるクマ!』

ナガレ「俺はいつも通り「熊」って言っただけだぜ!」

クマ『ナガレは意地っ張りで本当に困るクマ』

ナガレ「うるせーー!」

ジン『アハハハハハハハッ!』

ナガレ「何時まで笑ってんだよ!」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:48:56.73 ID:0oKAVaRPo
 ―― 早乙女研究所・飛行訓練場 ――


クマ「みんな、心配かけたクマ。クマたち、ちゃんと仲直りできたクマ」

クマ「研究所のみんなの前でクマに当たり散らしたから、ナガレの印象は最悪で大変だったクマ」

クマ「しかもナガレはナガレで絶対謝らないから……クマとジンでみんなを説得したクマ」

クマ「でも、あれから講習と飛行訓練は前と比べて真面目にやってたクマ」

クマ「……前と比べて、だけどクマ」

クマ「ジンも、ちょっとだけナガレの事を許すって言ってたクマ」

クマ「…………みんな、不安かもしれないけれど、クマたちを応援してほしいクマ」

クマ「地球と人類の未来は、絶対に、守るクマ」

クマ「ミチル、タツヒト……クマたち、頑張るクマ!」


ナガレ「あっ! こんなところに居やがった。おいクマ! ジジイが呼んでるぜ!」

クマ「分かったクマ!」


キュムキュムキュム……
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/07(土) 09:53:21.74 ID:0oKAVaRPo
第三話【クマ】終。

次回、第四話【変幻】。投下日未定。でも次回は早く投下できるはず。俺の気分次第だけど……

ゲッター3の形状はダークネスに近い。ジャガー号が地上だとキャタピラ出すくらい。
両腕は伸びる。胸にツキノワグマと同じように月の模様がある。この設定に意味は無い。
このシーン分かり辛いから補足欲しいって人は言ってください。説明します。
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/07(土) 18:19:25.01 ID:z74b1vCZ0
乙ー
偽書ゲッターは中学生の時に買って学校で開いたら大変なことになった思い出が
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/11(水) 02:02:47.20 ID:ebSquGYio

このナガレは書籍や映像の流よりも一等荒れてるなぁ
でも、比較的珍しい知的な3号パイロットや真っ当な価値観を持ってる2号パイロット等、良いチームだと思う
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/07(火) 17:30:06.30 ID:OMFNcUOc0
はよ
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:26:08.94 ID:5nca6B9+o
>>269
なぜ学校で開く前に家で読まなかったのか。
そういえば最近、ゲッターをそんなに知らない友人に偽書を押し付けたんだけど大丈夫でしょうか?
俺は多分だめだと思う。

>>270
イーグル号 → クズ
ジャガー号 → 潜在的キチガイ型クズ
ベアー号 → クマ
どうよこの完璧な布陣。


投下前に修正
>>168
ナガレの空白のセリフは消し忘れです。なかった事にしてください。
本当はもっと貶す言葉を入れるつもりだったけど思いつかなry

>>179
>達人「俺だって同じだ。親父がお袋の仇を討たせてくれ!」  ×

○ 達人「俺だって同じだ。親父がしたいように、俺にもお袋の仇を討たせてくれ!」

なんで抜けたのかはわかんね。あともう一つあったような気がしたけど忘れた。
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:26:44.29 ID:5nca6B9+o
 ―― マシーンランド ――


???「ガレリイ長官! ガレリイ長官は居られるか!」

ガレリイ「何事ですかな、バット将軍」

バット「地上奪還について、お話ししたい事がある。会議に同席して頂きたい」

ガレリイ「ククク、この老骨に手伝える事など無いとは存じますがの」

バット「何を仰られるか。メカザウルスの設計、開発の全てを指揮する貴方だからこそ、頼んでいるのだ」

ガレリイ「バット将軍にそこまで煽てられては、行かぬわけにも参りますまい」

バット「感謝する」

ガレリイ「してバット将軍。あれだけ声を荒げるからには、尋常では無いと存じますが」

バット「如何にも! 我々の侵略を危ぶむ事態となっている……!」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:27:36.21 ID:5nca6B9+o
バット「ガレリイ長官は、先日出撃させたメカザウルス・ガラを憶えておられるか?」

ガレリイ「勿論ですとも。確か日本に向かわせて、撃破されたはずですな」

バット「あの時現れた謎のスーパーロボット……手古摺りながらも、メカザウルスを撃破した!」

ガレリイ「しかし映像を見る限りでは、大した問題ではないと存じます」

バット「『ゲッターロボ』」

ガレリイ「なっ……バット将軍、今、なんと! あの忌々しきエネルギーの名を、仰られたか!」

バット「聞き間違いではない。そのロボットの名は、『ゲッターロボ』!」

バット「我らが最も忌むべき、その力の名を冠するロボットが、メカザウルス・ガラを、ゼバを、バマとバオを、ザイを!」

バット「日本に送り込んだ我らのメカザウルスを打ち破っていたのだ!」

ガレリイ「つまり、奴らサル共は、ゲッター線を操る術を身に着けたと言う事か!」

バット「そうであろう。そしてこの男が!」

ウィーン……ピッ

『――――先日、静岡県駿河湾沿岸に出現したメカザウルスを撃退したスーパーロボット、ゲッターロボを開発したとされる』

『早乙女博士が、間もなくこの会見場にお見えになるとの事です。ゲッターロボは、未知のエネルギー・ゲッター線を……』

バット「ゲッター線を、解き明かしたのだ……!」
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:28:20.28 ID:5nca6B9+o

 ゲッターロボ・クマ


.     第 四 話

       
.     【変幻】

276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:29:12.17 ID:5nca6B9+o
ガヤガヤ……ザワザワ……

「日本で三機目のスーパーロボットか……」

「国が開発した前二機は、あっさりメカザウルスに破壊されたからな。今回もどうだか……」

「でも今回の襲撃の実績は確かですよ。それに、噂では浅間山周辺で何度か撃退もしたとか……」

「放射線由来のエネルギーって、安全なのか……?」

「変形合体で三つの姿を持つらしい……」

「開発までに、何十人ものテストパイロットが犠牲になったって本当かな……?」

「パイロット情報を公開しないのは、ハチュウ人類やスパイ対策ですかね……?」

「これでアメリカへの借りが増えなくなるならいいけどな……」

ガヤガヤ……ザワザワ……


カラン カラン カラン……


「……あっ。来たぞ、早乙女博士だ!」

早乙女「…………」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:30:08.32 ID:5nca6B9+o
「皆さま、お待たせ致しました。ただいまより、早乙女博士によるゲッターロボ発表記者会見を行います」

早乙女「この度は、記者並びに有権者の方々にはご足労頂き、またこの場を設けて頂いた事に、誠に感謝致します」

パシャ パシャ

早乙女「その理由としましては、元々ゲッター線を研究していたのですが……」

早乙女「その最中にゲッター線をエネルギー転用できる事に気付き、新たなスーパーロボット開発に着手、そして完成させ」

早乙女「それを『ゲッターロボ』と命名し、実戦投入した結果、メカザウルスの撃破に成功した事の報告」

早乙女「及び、ゲッターロボの発表を目的としたものでございます」

パシャパシャ パシャ

早乙女「ゲッターロボは、我々がゲットマシンと命名した三機の飛行機形状の乗り物が合体する事で姿を現します」

早乙女「また、合体するゲットマシンの順番を入れ替える事で、三種類の姿に変形する事も可能です」

早乙女「ゲットマシンにはそれぞれパイロットが一人ずつ登場し、合体時に…………」

―――

――――――

―――――――――
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:31:23.43 ID:5nca6B9+o
早乙女「…………以上が、ゲッターロボの解説となります」

早乙女「ここまでの事で、皆さまからのご質問を受け付けたいと思うのですが、何かご質問はございますか?」

バッ!

早乙女「……では、手前左から順にどうぞ」

記者A「A新聞のアカシです。三機の飛行機が合体するとの事ですが、安全面の方は大丈夫なのでしょうか?」

記者A「戦闘時には高速で移動するでしょうし、実際に映像でも激しい挙動が見られます。事故の可能性などは?」

早乙女「勿論、安全面には最大限の注意を払っています。優秀なパイロットにも恵まれました」

早乙女「しかし可能性と言う話となれば、決してゼロではないとしか言えません」

パシャパシャ ザワザワザワ……

早乙女「その点に関しては、戦闘データを重ねると共に、できる限り改善していく所存です。次の方、どうぞ」

記者B「B社のカシマです。ゲッターロボのパイロットは、最初から変わらずに現在搭乗する三名のみですか?」

記者B「控えのパイロット、もしくは、今までに事故などで搭乗不可になったパイロットなどは居ませんか?」

早乙女「パイロットは、ゲッター戦闘チームは搭乗する三名のみです」

早乙女「後者の質問ですが、二桁では語れない数の候補が死亡した事実を認めます」

ザワザワザワ……!
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:32:44.17 ID:5nca6B9+o
記者B「それはゲッターロボと言う存在の危険性そのものを語っている事に他ならないと思うのですが!」

早乙女「パイロットは全員、死亡のリスクを覚悟して搭乗し、命を落としました」

早乙女「その犠牲の上で、ゲッターロボは完成した。事実はそれだけです」

パシャパシャパシャ!

早乙女「次の方、どうぞ」

記者B「待ってください! 質問はまだ終わっていません! 人が死ぬ可能性を考慮しておきながら……!」

早乙女「全員分の質問を問答で繰り返していてはどれだけの時間がかかるか分かったものではない」

早乙女「どの道、あなたが尋ねずとも他の記者が問う事です」

パシャパシャ

早乙女「次の方、どうぞ」

記者C「Cテレビのアサヒです。ゲッターロボのエネルギー源となっているゲッター線ですが」

記者C「解明されていない放射線を扱うにあたり、その安全性は保証されるものでしょうか?」

記者C「原子力のように放射能汚染などの危険性の有無の開示をお願いします」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:33:13.30 ID:5nca6B9+o
早乙女「…………」

記者C「…………早乙女博士? ゲッター線の安全性は」

早乙女「下らんな」

記者C「え?」

ザワザワ……!

早乙女「時間を割いて説明しに来たというのに、口を開けば安全性、危険性……下らん」

早乙女「帰らせてもらう」

カラン カラン

記者C「ま、待て! ゲッターロボが危険な乗り物なら、国民が黙っちゃいないぞ!」

記者B「人を殺しておきながら下らないの一言で済むと思っているのか!」

記者A「開発者として、きちんとした情報開示をしろ!」


早乙女「黙れ」

281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:34:16.33 ID:5nca6B9+o
シーン……

早乙女「お前たちがいくら吠えようと、戦いは起こり、誰かが死ぬ。これは戦争なのだ」

早乙女「誰も犠牲にならない戦いなどない。その手前で安全だの危険だの、反吐が出る」

早乙女「我々に戦うための武器や手段を選ぶ余地があると思っているのか?」

早乙女「ゲッター線の安全性だと? 知った事ではない」

早乙女「安全であろうが危険だろうが、生き残る為には我々はそれに縋るしかないのだ」

早乙女「ハチュウ人類に対抗する為には、ゲッターロボしかないのだ」

早乙女「お前たちにできる事は、ゲッターロボを受け入れて自らの命運を委ねるか」

早乙女「或いはゲッターを否定し、人類全てが皆殺しになるか。その二つだけだ」

早乙女「お前たちがどのような選択をしようとそれは構わん。我々は、ゲッターと言うスーパーロボットで戦う」

早乙女「憎き悪のハチュウ人類を赦さない」

早乙女「それだけだ」

カラン カラン カラン……
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:35:07.09 ID:5nca6B9+o
 ―― 早乙女研究所 ――


クマ「あわわわ、早乙女博士……!」

ナガレ「あーあ。全国放送でナニやらかしてんだ、ジジイ。大ブーイングだぞ」

ジン「まあ、この記者会見ですら乗り気じゃなかったものね。国民感情なんて関係ないって言って」

ナガレ「当然の判断だな。ジジイの言葉は尤もで、あの場に居た記者共は揃ってアホだ」

ナガレ「癪だが、ジジイの意見に賛成するぜ。死にたくなければ戦うしかねえんだからな」

クマ「でも、こんな事したら、ゲッターロボが悪者扱いされちゃうクマ!」

ナガレ「ならねえよ」

クマ「どうしてクマ?」

ナガレ「俺たちが、ハチュウ人類のクソトカゲ共に勝つからに決まってんだろ」

ジン「勝てば官軍負ければ賊軍、なんて言葉は容易く認めたくもないけど、贅沢言ってられないのも事実だし」
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:36:27.88 ID:5nca6B9+o
ジン「……でも、クマちゃんにとっては、ゲッターロボはそう言うものじゃないのよね」

ナガレ「止めてくれ辛気臭ぇ。俺はそう言うのガラじゃねえんだよ」

クマ「…………死んじゃったみんなの想いを、悪者みたいに言うのは許せないクマ」

クマ「正しいと信じて、平和な世界にする為にみんなが乗ろうとしたゲッターは、一片の曇りも無く正義クマ」

ジン「うん。だから、私たちが、ゲッターロボを認めてもらえるようにするのよ」

ジン「ちゃんとゲッターロボを動かして、ハチュウ人類を蹴散らして……」

ナガレ「都合良く祭り上げられて晴れてヒーロー、ってわけだ」

ジン「違う違う、そんな捻くれた見方じゃない」

ナガレ「ハッ! 世間の意見なんか知るかよ。要はそう言う事だろうが」

ジン「極端……」

クマ「……ジン、ナガレ。励ましてくれてありがとうクマ!」

ナガレ「励ましてねー」

ジン「フッ、照れてる……」

ナガレ「照れてねえっ!」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/24(金) 20:37:11.46 ID:5nca6B9+o
ナガレ「なあに気負ってんだよ! オラ、合体訓練するぞ!」

ジン「予定時間じゃないけど?」

ナガレ「ぅるっせえ! 喚くしかできねえクソ雑魚共に文句も言えねえほど見せつけてやるんだよ!」

ジン「強がりも下手になったわね、ナガレ」

クマ「それ以上茶化したら可哀想クマ。早乙女博士が言い張った手前、クマたちが情けなかったら駄目なのは確かクマ」

ナガレ「そう言うこった!」

ジン「言い出しっぺなんだから、ちゃんと訓練してよね。また以前みたいに」

ナガレ「あーあー聞こえねー!」

クマ「聞こえていない人間がする行動じゃないクマ」キュムキュム

ナガレ「黙っとけクマ公!」

ジン「ほら聞こえてる」

ナガレ「ぶっ飛ばされてえかテメエら!」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 20:38:51.40 ID:5nca6B9+o
 ―― マシーンランド ――


ガレリイ「ゲッターロボ……開発者の早乙女と言う男の言葉が確かならば、忌まわしきゲッター線をエネルギーとしているようだ」

バット「くっ……何たる事だ! ここにきて、尚も立ちはだかると言うのか……!」

バット「願わくは勘違いであってほしかった……偶然であろうと、思いたかった!」

バット「ぬあああああ!」チャキッ

ズバッ

ゴシャッ バチバチッ……

バット「あり得ぬ……あり得てなるものか……!」

ガレリイ「バット将軍! お気持ちは甚く分かりますが、玉座の前です、刃を収められよ!」

バット「ぬう……」チャキッ


???「貴方が取り乱すとは、珍しいな、バット将軍」

286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 20:39:24.37 ID:5nca6B9+o
バット「ラプト大臣……!」

ガレリイ「ラプト大臣。倒れられた帝王ゴール様に代わり、大臣のご意見をお聞きしたいですな」

ラプト「騒いだ所で事態は変わるまい。それにゲッターロボ、あの様では恐れるに足らずと見た」

バット「何を呑気な事を! 遥か昔、我らの祖先は、宇宙から降り注ぐゲッター線に滅ぼされた!」

バット「残った祖先は地中に逃れ、このような、命の一つも生み出せないマグマ層まで追いやられた!」

バット「知力を手に入れ、作り上げたマシーンランド……だが、このような生活がいつまで続く!?」

バット「故に、地上の奪還は我々の悲願! それを、今になって、またもやゲッター線が阻もうとしているのですぞ!」

バット「それを…………恐れるに足らず、だと!?」

ラプト「…………ほう?」

ガレリイ「バット将軍!」

ガレリイ「ラプト大臣、お許し下さい。大臣もご存じの通り、我々は遺伝子レベルで、ゲッター線への恐怖を抱いております」

ガレリイ「如何な武勇に優れるバット将軍に、この私ガレリイとて例外ではございません」

ラプト「勿論存じているとも。何、たとえそれで貴方たちが私に息巻いたからと言って、首を刎ねたりはせん」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 20:39:58.50 ID:5nca6B9+o
ガレリイ「寛大なお言葉、感謝します」

バット「クッ……!」

ガレリイ「さてラプト大臣。ご意見の続きを頂きたいのですが、よろしいですかな?」

ラプト「先ほどの中継を見る限り、あの男はゲッター線をエネルギー変換できただけで、それ以外は解明できていないらしい」

ラプト「つまり、真にゲッター線として扱えているわけではないのだ。それは果たして、我々が恐れるゲッター線であろうか?」

ガレリイ「なるほど。一理あるお考えでありますな」

ラプト「我々が追い求める未来、恐竜帝国繁栄の道は、ゲッター線如きで閉ざされて良いものではない」

ラプト「今は伏しておられるゴール様の御意志を、我らが引き継ぎ、目を覚まされるその日までに、必ずや地上を奪い返す!」

ラプト「ゲッター線が何するものぞ。そうであろう、バット将軍、ガレリイ長官?」

ガレリイ「御尤もでございます。ゴール様の下、同じ志に我らは集い申した」

バット「……グッ、如何にも」

ラプト「そうだ。だからこそ、何も変わりはしない。倒すべき存在が、不確定なエネルギーから実物に代わっただけの事」
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 20:40:32.67 ID:5nca6B9+o
ガレリイ「その志、お見事でございます。なれば我々はこれに失礼致します」

ガレリイ「地上奪還に向けて、対ゲッターロボ作戦をバット将軍と練らせていただきます」

ラプト「うむ。期待しておるぞ、ガレリイ長官。ゴール様へ善き報告ができるよう、全霊を尽くすのだ」

ガレリイ「御意に。バット将軍、参りましょうぞ」

バット「う、うむ……!」

カツ カツ カツ カツ

ウィーン カシュッ


ラプト「…………フン。技術屋風情が謀りよる」

ラプト「まあ良い。ゴールが倒れた今、恐竜帝国はこの私の物だ」

ラプト「後は隙を見てゴールを殺し、スーパーロボットを駆逐し、バットとガレリイを追放すれば……」

ラプト「フフフ……ラプト帝国の設立は近い! フハハハハハ!」

ラプト「足掻くが良い人類。そのような玩具で、我が野望を止められると思うなよ……?」
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 20:41:39.48 ID:5nca6B9+o
カツ カツ カツ カツ

バット「…………」

ガレリイ「……感謝します、バット将軍。よくぞ堪えられた」

バット「……いや、こちらこそ、礼を言う。ガレリイ長官が言葉を繋いでくれなければ、あのコソ泥に斬りかかっていた!」

バット「おのれ、ラプトめ! ゴール様に毒を盛った分際で、よくもあのような口が叩ける!」

ガレリイ「お静かに。どこにラプトの間諜が潜んでいるか分かりませんぞ」

ガレリイ「奴が毒を盛った確たる証拠は無い。そしてゴール様が倒れられた後、手際良く民の動揺を抑えた」

ガレリイ「勿論それは奴の保身だろうが、故に民から信用も得ている。下手に手を出せば、逆賊として処刑されてしまうでしょう」

バット「なればこのまま、ゴール様の恐竜帝国をラプトの玩具にしても良いと……!?」

ガレリイ「ゴール様の意識は無いが、御存命でおられる限り、未来はありましょう」

ガレリイ「今は堪え、地上奪還を進めるのです。ゴール様の為に」

バット「…………そうであるな。奴の言葉を借りるようで癪だが、我々は何も変わらない」

バット「帝王ゴール様と恐竜帝国、全てのハチュウ人類の為に、その悲願を果たす」
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 20:42:12.88 ID:5nca6B9+o
バット「何、処刑されようと追放されようと、いざとなればこの命に代えてもラプトを殺せばよい」

バット「その時はガレリイ長官、貴方にゴール様の御意志を継いで頂きたいものだ」

ガレリイ「ククク、滅多な事を申されますな。貴方がそのような事で斃れられる事を、ゴール様は望まれないでしょう」

ガレリイ「それに、私も指揮官には向かない性格ですので、その指名は実に困ります」

バット「フッ……なれば、共に戦うしかないようだ」

ガレリイ「そのようですな」

バット「しかし、ゲッターロボは由々しき問題だ。一筋縄ではいくまい」

ガレリイ「そうとも限りませんぞ?」

バット「何? まさか、既に策を思い付かれたのか?」

ガレリイ「映像を見て、一つ思い浮かびましたので。ですがまだ、情報が足りません」

ガレリイ「二週間ほど時間を頂けますか? その間、バット将軍には二機のメカザウルスを出撃させて頂きたい」

バット「任された。戦う事しかできぬこの身が役に立てるのであれば!」
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 20:44:02.05 ID:5nca6B9+o
 ―― 数日後 ――


メカザウルス「グルルルルルルッ…………!」

ギュウゥウウン……!


ナガレ「おおりゃアアアッ! ゲッターキィーックッ!」グイッ

ガァン!

メカザウルス「グルルルルルッ! グラアアッ!」

グンッ……バァンッ!

どがあっ!

ナガレ「どぅわっ!?」

ガン ガン

ナガレ「このっ……ゲッタートマホーク!」

ジャキンッ ガシッ
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 20:45:24.10 ID:5nca6B9+o
ナガレ「これならどうだぁーーー!」

ブンッ


ガキィンッ!


ナガレ「かっ、固えっ……!」

メカザウルス「グラアアアッ!」ダッ

グワッ

ナガレ「こっ、のお!」グイッ

ヒョイ スカッ

ジン『ナガレ、一回離れて!』

ナガレ「くっ……分かってらあ!」

バオンッ……
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 20:46:15.37 ID:5nca6B9+o
メカザウルス「グルルルルルッ……!」

ギュウゥウウン……!


ナガレ「ゲッターの攻撃が悉く通用しねえ……また頑丈野郎かよ!」

クマ『ゲッタートマホークを弾く装甲に、ゲッターパワーに動じない内部の衝撃吸収性能……』

クマ『多分、ゲッター3のパワーでも簡単には倒せないクマ』

ジン『ブースターで加速を得ての体当たりも厄介ね……動きの緩急に対応できないわ』

ジン『このまま市街地にまで突っ込まれたら大変よ!』

ナガレ「別に誰を巻き込んだって構いやしねえよ!」

ジン『あほか! ただでさえ世間の風当たりが強いのに、そんな事になったら暴動が起きるっての!』

クマ『どうにかして、市街戦は避けるクマ!』

ナガレ「当然だ! クソトカゲ共なんぞに手古摺るなんて何より気に入らねえ!」

ナガレ「このトゲトゲクソ亀野郎、ゲッタービームでドロッドロに溶かしてやる!」
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