【ゼノギアス×艦これ】提督「海上都市タムズに放り出された」

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362 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:39:47.17 ID:oWzCcvPxo
とりあえずここまで。
未だ繁忙期真っ只中のため、八月中はこのまま不定期投稿とさせてください。それでは。
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/07(日) 08:49:19.93 ID:uJLlQ576o
>>362


保守は任せろー
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/09(火) 07:05:08.59 ID:bcxGL9HmO
我の拳は保守の伊吹!
落ちたるスレをage、続きの種子を紡ぎ出す!

美しき、
    >>1乙のレスの力を!!
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 08:41:25.44 ID:7sZm4o0OO
伊吹は帰れ
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 09:25:30.89 ID:Y7OQfpP/o
船の方の伊吹だろうさすがに……
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/31(水) 15:17:24.84 ID:OIBoNUYOo
塵。
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/02(金) 10:20:11.20 ID:iSNcz1Qao
  _, ,_  しょおー
( ◎д◎)
  ⊂彡☆))Д´)>>367
369 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:49:45.92 ID:aR9T7yuko
お久しぶりです。八月中にどこかで一度くらい投稿したかったのですが、全く暇がありませんでした……。九月からはまた毎週更新していきますので、どうかよろしくお願いします。
それでは、今週の投稿を始めます。
370 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:52:33.22 ID:aR9T7yuko
〜王座〜


提督「ただいま」


大鳳「あ、おかえりなさい、提督。皆さんも。格納庫の方はどうでしたか?」


提督「何とか追っ払ったよ。それよりもこっちの様子はどうだ?さっき妙な振動があったが……」


大鳳「それが、その」


加賀「上空を偵察中に正体不明の大型ギアに遭遇しました。応戦したのですが、敵にダメージが通った様子はなく、こちらの艦載機はほとんどやられてしまいました」


提督「偵察中にって、ここは雲の上だぞ?こんな所まで飛べるギアがあるってのか」


ゼファー「驚くような事ではありません。地上のギアとは違い、我々シェバトやソラリスのギアはその程度の飛行能力を普通に有しています」


提督「へえ、流石にこの世界を牛耳ってるだけのことはあるな」


大鳳「すみません、提督。大鳳はもう戦う事も……」


提督「補給のめども立たない状態がずっと続いてたんだ、仕方ないさ。いつかはこうなってただろうし」


大鳳「提督……」


シタン「そうですね、それに、お陰様で敵の構成もある程度把握できましたし、彼らが上に戻るまでの時間も稼げました。そう悪いことばかりでもありませんよ」


大鳳「シタン先生まで……ありがとうございます」
371 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:53:15.13 ID:aR9T7yuko
ジェシー「そんなことよりもよ、俺ぁその『正体不明の大型ギア』ってのがさっきから気になってしょうがねえんだが。どうもいやな予感がしやがるからよ」


シタン「そうですね。そのあたりも含めて、今われわれが置かれている状況をまとめてお話しましょう」


フェイ「頼むよ、先生」


シタン「まず、先ほどの話にあった正体不明のギアを含め、ソラリスのギア部隊が急速でシェバトに接近しています。
連中の狙いは、まず4つのゲート・ジェネレーターとみていいでしょう。あれがなければ、シェバトは丸裸になりますからね」


夕立「さっきの人が言ってた『ダンス・パーティ』って言うのはこのことっぽい?」


シタン「恐らくそうでしょう。ドミニアの破壊工作で障壁の出力が弱まっている今、一気にケリをつけてしまうつもりなのかもしれません。
対するこちら側ですが、すでにシェバトの迎撃部隊が緊急発進したそうです。しかし……シェバトの人間はギア戦に慣れていませんからね、はたしてどこまでもつか……」


北上「あれ?この国ってソラリスとずっと戦ってたんじゃないの?」


ゼファー「ええ、しかし数年前に起こったソラリスとの最後の防衛戦の折、わが国の兵力はほとんど壊滅してしまったのです」


ジェシー「そういやそんなこともあったな。なあヒュウガ?」


シタン「え、ええ、そうですね」


フェイ「?」


提督「?」


シタン「そ、その話はともかく、このままいけばソラリス軍がシェバトに取り付くのは時間の問題です」


フェイ「ああ、わかってるよ、先生。俺達が、出る!ここの人たちをみすみす見殺しになんかできない」


ゼファー「フェイ……」
372 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:53:46.05 ID:aR9T7yuko
バルト「ただ働きはゴメンだが、連中の前で尻尾を巻いて逃げ出すのはもっとゴメンだ!どんなヤツが来るにせよ、俺様のブリガンディアでぶっ飛ばしてやらあ!」


ビリー「ボクたちでこの国の人たちを守りましょう」


リコ「ふん、連中にリコ様を怒らせるとどうなるか、たっぷり教えてやるとするか」


夕立「提督さん、夕立もお手伝いしたいっぽい!」


提督「だな」


金剛「さっきはあまりお役に立てなかったからネー、その分しっかり働きマース!」


ジェシー「おうおう、いいぞ!頑張れ若人!しっかり頼むぜ。なにせ、俺様の命も懸かってるんだ。まだ、こんなとこでくたばりたくねーからな」


ビリー「うるさいな、黙っててくれよ親父は!」


金剛「そうデース!酔っ払いは大人しく……ワワワワット!?」


ジェシー「へいへい、わかりやしたよ」


金剛「……テートクゥ、今、ビリーが親父っテ……」


提督「ああ見えて親子だからな。そりゃそうだろ」


金剛「と言う事は、プリメーラも……」


提督「ん?そりゃビリーの妹なんだから当たり前だろ」


金剛「……あのビーストなフェイスからあんなキュートなボーイとガールが……信じられないデース」


ジェシー「ちぇ、最近のガキゃどいつもこいつも可愛げがねえでやがる」
373 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:54:23.73 ID:aR9T7yuko
チュチュ「よーし、チュチュも頑張るでチュよぉ!」


北上「うわ、びっくりした!」


フェイ「……?頑張るでチュって……なんでチュチュがここにいるんだ?ユグドラシルに置いて来たはずだろ?」


エリィ「それがどうも、どさくさに紛れて付いてきちゃったみたいなの」


フェイ「まいったな、遊びじゃないんだぞ」

フェイ「危ないからユグドラシルに戻ってろよ。な、チュチュ?いい子だから」


チュチュ「ふっふっふー、チュチュ、いい子しゃんじゃないでチュよ。もう、危ないお年頃なんでチュ」

チュチュ「それにチュチュだって、ちゃんと頑張れるでチュ!みんなと一緒にいるでチュよ。ね?ね?」


フェイ「ちぇ、しょうがないな……。怖い目にあっても知らないぞ」


提督「ほー、いつもは割と脳筋度高いフェイにこんな保護者っぽい一面があるとはな」


フェイ「う、うるさいな、ほっといてくれよ」
374 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:54:54.18 ID:aR9T7yuko
マリア「あなたもチュチュって言うのね。この街には、あなたの仲間がいっぱい住んでるわよ。後で私と一緒に会いに行きましょう?」クスクス


チュチュ「ほ、ほんとでチュか?みんながここにいるでチュか?」


北上「ん、町の方に一杯いたよー?」


チュチュ「わーい、ついに見つけたでチュ!!チュチュの仲間、ちゃんといたでチュ!!」


榛名「……マリアさん、なんとか元気になったみたいですね」


金剛「ンー、まだわからないネー。無理してるだけかも知れないデース」


大鳳「あの、下で何かあったんですか?」


金剛「ソラリスのエージェントにお父さんのことを色々言われただけネー」


榛名「その前に提督が地雷も踏まれたようですし……」


大鳳「え、エージェント?地雷?」


チュチュ「さあ、気合入れて行くでチュよお。ガンバらなきゃダメでチュからねえ、みなしゃん!」


  ***
375 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:56:24.38 ID:aR9T7yuko
今回はここまで。ではまた来週。
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/04(日) 21:11:54.82 ID:prnIQC9Y0
ソイレント艦これ
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/04(日) 22:20:42.82 ID:prnIQC9Y0
いい話だ
378 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:24:33.35 ID:9tQpWsOoo
お待たせしました。昼休みの間にささっと投稿しておきます
379 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:25:11.47 ID:9tQpWsOoo
シタン「さて、それでは、敵のギア部隊についてですが……。先ほど説明したように、4部隊がそれぞれ個別にジェネレーターを目指して接近中です。
これらのギアに関しては、機体のタイプ、性能など、ある程度の事はシェバトの得た情報から分かるのですが……」


提督「問題は加賀さんと大鳳が当たった正体不明のギア、か」


シタン「ええ。どうもこのギアが敵の指揮官のようですね。接近してくる他のギア部隊の後方に控えているようです」


ゼファー「いま、映像を出しましょう」ブゥン


加賀「!!」


大鳳「よくも……!」ギリ


マリア「こ、これは……!?」


夕立「真っ赤っ赤でちょっとおっかないっぽい」


フェイ「こいつは、まさか!」


榛名「色こそ違いますけど、この機体の外見は……」


バルト「なんだあ、この薄っ気味悪いギアは?おまえ、何か知ってるのか、マリア?」


マリア「……アハツェン。父さんの設計したギアの2号機……」

マリア「ゼプツェンの、兄弟機なんです」
380 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:25:53.79 ID:9tQpWsOoo
バルト「なんだと!?」


リコ「なるほど、通りでゼプツェンとソックリなわけだぜ」


マリア「でもまさか、アハツェンが完成されていたなんて……!ゼプツェンの他にはもう二度とギアは造らないって、
父さんは設計図を燃やしたはず……!それがどうして……!?」


?『聞くがいい!シェバトの人間ども!』


マリア「この声……父さん!?」


提督「あのギアからか!」


ニコラ『おもしろいネズミどもが、そこに逃げ込んだと言う話だな。アハツェンのテストには丁度いい、シェバトもろとも叩き潰してやろう!
さあ、出てくるがいい。薄汚いネズミども、私の可愛いモルモット達よ」


マリア「そんな、父さんが、どうして!?」


ゼファー「落ち着きなさい、マリア!本当にあれにニコラ博士が乗っているとは限りません!」


マリア「でも、でも!父さんの声が!」


ゼファー「しっかりしなさい!あなたは戦う前から敗れるつもりですか!あなた達親子を苦しめたソラリスに?」


金剛「マリア、クイーンの言う通りデース」


加賀「……そうね。あの声の正体が何であれ、今の私たちにできるのはシェバトを守ることだけなのではないかしら」
381 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:26:30.96 ID:9tQpWsOoo
マリア「……だけど……」


シタン「さあ、いいですか。こちらの打つ手を考えましょう!何としてもギア部隊を迎撃して、ジェネレーターを守らなくてはなりません」

シタン「その為には、こちらも四手に別れ、攻めて来る敵を迎え撃つのが得策でしょう。我々のうちの4人は出撃し、
各自受け持ちのジェネレーターを単独で死守する!その間、残りの者はこちらで待機。これでいきましょう」


ゼファー「マリア、あなたはここで待機していなさい」


シタン「……。お願いします、マリアさん」


マリア「……はい。わかりました」


提督「何もそれぞれ単独で向かうことはないんじゃないか?ここの守りは俺達に任せてくれていいぜ」


シタン「いえ、あなた方にはその間に、下の町に残った市民の避難、及び町の防衛を行って頂きたい」


北上「んー?敵の狙いはじぇねれーたー?って奴ならさ、そっちを全力で守るべきだと思うんだけど」


シタン「それは確かですが、万が一がないとは言い切れませんからね。用心に越したことはありませんよ」


提督「……まあ、そういうことなら。よし、それじゃそっちは引き受けた」
382 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:27:01.82 ID:9tQpWsOoo
シタン「それでは、市街地での指揮は提督にお任せします。下層部に兵士が詰めているはずですので、そちらと協力してことに当たって下さい」


提督「了解だ」


ゼファー「皆さん、頼みます。シェバトの民をどうか守ってください」


榛名「はい!この榛名、お受けしたからには体を張ってでも守ってみせます!」


大鳳「大鳳も、出来る限りの事をして民衆を守ります!」


北上「私もそろそろいいとこ見せないとねー。ま、任せちゃってよ」


加賀「……決まったのなら、急いで出発しましょう。住民が避難する手間を考えると、あまり時間の余裕は無いでしょうから」


提督「だな。そんじゃ早速行くぞ、皆付いて来い!」ダッ


第一艦隊「おー!」ダダダ


シタン「……行きましたか。こちらも急いで準備を整えましょう。具体的な敵の部隊編成ですが……」


  ***
383 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:27:32.30 ID:9tQpWsOoo
とりあえずここまで。続きは土日のどちらかに投稿します。それでは。
384 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:02:12.86 ID:SqTZ10VJo
お待たせしました。投稿を始めます。
385 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:06:25.41 ID:SqTZ10VJo
〜アウラ・エーペイル〜


加賀「……静かね」


夕立「敵はまだ来てないっぽい?」


提督「そうみたいだな」


北上「それで、今回の作戦は?何か考えてあるの?」


提督「うーん、見ての通りだが、この町は南北の出入り口以外は道すらない、橋の上に造られた様な地形だ。とりあえず出入り口を固めとこう」


金剛「それなら!」


榛名「榛名たちの出番、ですね」


提督「そうだな、金剛は北、榛名は南を頼む。敵が来たら知らせてくれ」


金剛「ラジャ!」


榛名「提督は安心して住民の避難を指揮して下さい!」


提督「よし、残った4人は避難する住民の護衛だ。まずは……」
386 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:06:51.77 ID:SqTZ10VJo
『おおい、そこのあんた!あんたが提督か?』


提督「な、なんだあ?どっから聞こえてくるんだ?」


大鳳「う、上です!上空にギアが!」


夕立「っ!」ガチャ


加賀「待ちなさい」スッ


夕立「加賀さん邪魔っぽい!」


加賀「敵が提督の名前を呼ぶことはないと思うけれど」


大鳳「このギアはシェバトの制式ギア、でしょうか」


北上「白くて細くて鳥っぽいねえ」


提督「おーい!確かに俺が提督だが、あんたは?」


パイロット『やっぱりか!俺は反ソラリス部隊のモンだ。ゼファー女王直々の命令でな、あんたを手伝うようにってさ』


提督「そりゃ大助かりだ。今からここの住民を王宮に避難させるんだが、その為の人手を集めたくてな。ここに兵士が詰めてるって聞いたんだが」


パイロット『そういう事なら任せときな。俺がひとっ走り呼んできてやるぜ』


  ***
387 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:07:17.50 ID:SqTZ10VJo
  ガヤガヤ

大鳳「皆さん落ち着いて。まだ時間はあるのでゆっくり進んで下さい」


北上「先頭にうるさいお兄さんがいるからそれに付いて行ってねー」


反ソラリス兵「よおし、皆しっかり付いてこいよ!俺様が責任持って王宮まで送ってやるからな!
なあに、もしソラリスのヤツがやってきても大丈夫だ!この俺様のサイラス・パンチがありゃな!ワハハハハ!」


夕立「ほんとにうるさいっぽい……」


提督「目印としては分かりやすくていいんじゃねえか?」


夕立「あれを歩いてる間中ずっと聞かされるのは敵わないっぽい……」


提督「悪いが我慢してくれ。通信手段と戦闘力の兼ね合いがあるから他の奴に殿を頼むわけにもいかないんだ」


夕立「……しょうがないっぽい。行って来ます」トボトボ


提督「……戻ってきたら褒めてやるか」


パイロット『提督よお、今ので避難民は最後だ。町の住民は全員いなくなったぜ』


提督「本当か?同じことをあと3往復はしなきゃならんと思ってたんだが……ちょっと少なすぎないか?」


パイロット『マジで全員さ。元々こっちに住んでる人間はそこまで多くなかったからな』
388 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:07:52.51 ID:SqTZ10VJo
提督「わかった、ありがとう。後はそのギアで上空を見回っていてくれ」


パイロット『あいよ!』


提督「聞いての通りだ、お前ら。残るはこの町の防衛のみ!」


北上「とは言ってもねえ、本当に敵来るの?」


金剛『敵の反応なんてずっとナッシンネー』ザザ


提督「さて、そいつは微妙なとこだな」


北上「微妙って……それなら今からでも向こうの助太刀に行った方がいいんじゃないの?」


榛名『私たち、やはり信用されてないのでしょうか』


提督「そいつは違うぞ。信用されてなかったらここの守りなんて任されてないだろうし、例え万が一でも攻撃される可能性があるならここは守らなきゃならん。
ねぐらを守るってのはそれだけ重要な事なんだよ。お前らが出撃したときの気持ちになって考えてみろ」


榛名「……なるほど、そう言われると理解できる気がします」


金剛『鎮守府が攻撃されそうなのに別の所に出撃しろなんて命令、聞けそうにないネー』


提督「そうだろうよ。分かったら金剛と榛名は引き続き警戒。空母2人は偵察機飛ばして上空から偵察。北上は夕立が戻るまで俺と町の中央で待機だ」

提督(後はなるようにしかならない、か。向こうの戦闘が気になるが……マリアは大丈夫かな)


  ***
389 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:10:05.57 ID:SqTZ10VJo
今週はここまで。ではまた来週。
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/19(月) 05:52:32.81 ID:raGLB76Qo
フェイ達以外の視点があると新鮮だな
391 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:25:06.42 ID:uvYU7E1wo
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
392 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:26:57.98 ID:uvYU7E1wo
北上「〜♪」


夕立「……」ソワソワ


提督「……」


夕立「金剛さん、敵は来てないっぽい?」


金剛『反応ナッシンネー』


夕立「榛名さん」


榛名『いえ、こちらにもまだ来ていませんよ』


夕立「……加賀さん、大鳳さん」


大鳳『上空にも変化はありません。何かあったら知らせますから、少し落ち着いてください、夕立さん』


夕立「ぶー、つまんないっぽい」


提督「何回目だよそのセリフ。いいから集中しとけよ、いつ敵が来てもおかしくないんだから」


夕立「はーい」
393 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:27:44.46 ID:uvYU7E1wo
提督「加賀さん、向こうの戦闘がどうなってるか見えるか?」


加賀『……4箇所とも破壊されてはいないわ。こちらが優勢のようね』


提督「よし、なんとかなりそうだな。また向こうで変化があったら知らせてくれ」


加賀『わかりました』


北上「結局、こうやって案山子みたいに立ってるだけで終わりかあ」


提督「それでいいじゃねえか。お前ら忘れてないだろうな、まだあのでっかい赤いギアが残ってるんだぜ」


夕立「もちろん忘れてるわけないっぽい」


榛名『……あのギア、マリアさんのお父様が乗っているかもしれないんですよね』


提督「どうだかな。人型ロボットを飛ばせる世界なんだし、声だけならどうとでもなるんじゃないか」


金剛『ヴォイスはそうかもしれないデース。けど、あのギアがマリアのファザーが設計したギアだって事は本当みたいネー。だとすると……』


北上「それだけでもあの子にはちょっとキツイかもねー」


金剛『ゥー、不憫な話デース。何とかしてあげたいネー』
394 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:28:10.57 ID:uvYU7E1wo
北上「そんなこと言ってもさ、私たちが出来る事なんてなくない?マリアの家族の問題なんだし」


夕立「簡単っぽい。あのギアを壊してお父さんだけ助け出してあげれば解決っぽい」


北上「そのお父さんが本当にあのギアに乗ってるかわかんないんだってば……」


提督「おいこら、いい加減真面目に警戒してねえと本当に不意打ち食らっちまうぞ」


金剛『ドンウォリィ!もちろんおしゃべりの間もちゃーんと周りをチェックして……』


大鳳『提督』


金剛『っ!?』ビクッ


提督「どうした大鳳」


大鳳『どうやらジェネレーター防衛に成功したようです。ソラリスの部隊が撤退していきます。こちら側に目立った損害は見当たりません』


提督「よしよし、なんとか凌いだな」


加賀『提督、シェバト直上に例の赤い機体が』


提督「何?真上って……」
395 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:28:38.27 ID:uvYU7E1wo
アハツェン「……」


提督「あそこか。部隊を下げといて今更何を……」


大鳳『て、提督!先ほど支援に来ていたギアが赤いギアに向かっていきます!』


パイロット『おおおおおおっ!』イィィィン


金剛『無茶ネ!スペックもよく分かってないエネミーに!』


榛名『何とかして制止しないと!』


提督「おい!聞こえてるか!おい!……ダメだ、無線が届かねえ」


大鳳『そんな!どうすれば……』


夕立「こっちも高いとこに昇るっぽい!」


榛名『王座の間まで戻りましょう!あそこが一番近いはずです!』


提督「よし、各自全速でエレベーターまで走れ!一応警戒は怠るなよ!」


  ***
396 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:29:03.89 ID:uvYU7E1wo
今回はここまで。ではまた来週。
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 08:52:56.99 ID:QbhwFISg0
乙、良いところで終わると続きが気になってしまうてはないですか…
398 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:11:58.32 ID:4cJMJssOo
遅れてしまい申し訳ありません。2週分の投稿を始めます。
399 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:12:51.70 ID:4cJMJssOo
〜王宮〜


バタァン!


提督「くそ、思ったより時間が……あのギアはどうなった!?」


マリア「あ、あ……」


ジェシー「野郎ッ……!ふざけやがって!」


提督(モニターには赤いギアしか映っていない。ってことは)


榛名「あの、先ほどシェバトのギアが……」


ジェシー「やられたよ。あの野郎に、一瞬で消し飛ばされて、な」


加賀「遅かった……」


金剛「シィット!」


マリア「どうして……?どうしてこんな……?」


ニコラ『みずからこのアハツェンの性能実験に付き合ってくれるとは、従順なモルモットもいたものだ』


大鳳「……っ!!」ギリ
400 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:13:44.24 ID:4cJMJssOo
ニコラ『それでは、次はこいつの実験台になってもらおうか』カッ


ジェシー「むっ!」


マリア「きゃっ!?」


提督「光!?今度は何だ!」


北上「うへえ、なんなのさ今の」


夕立「なんか一瞬気持ち悪い感じがしたっぽい!」


ジェシー「やべえな。今のは、ありゃ……」


ニコラ『アハツェンの新型兵器、対ギア用サイコ・ジャマーだ!』


フェイ『……!?ヴェルトールが動かない!?』


エリィ『ヴィエルジェも反応しないわ!』


バルト『ちっくしょー、なんだってんだ!?』


シタン『これは、ひょっとすると……』


ジェシー「ああ、強力な毒電波でギアの神経回路がおかしくなってるんだ。心配するねぇ、一時的なもんだ」
401 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:14:13.27 ID:4cJMJssOo
ビリー「だけどこれじゃ……」


ニコラ『それだけの時間があれば、おまえたちをこの地上から消去するには十分だ』


リコ「万事休す、か」


ニコラ『人間とは、なんと不完全で愚かな生命であることか……。最期に見せてやろう!完全なる生命の偉大さを!
人の知恵と、鋼の強さをそなえた、このアハツェンの力を!』


フェイ『このままじゃ、手も足も出ないぞ!黙ってやられるしかないって言うのか!?』


シタン『……そうとも限りません。ひょっとしたら、ゼプツェンなら……』


マリア「……!!」


ジェシー「アハツェンと兄弟機のゼプツェンなら……あのジャマーに対してのシールドがなされていても、ちっともおかしくねえってわけか……」


マリア「それは……」


ゼファー「……お聞きなさい、マリア。他のギアが動かないとなれば、おまえとゼプツェンが頼みの綱です。おまえには酷ですが……。
どうするかは自分自身で決めなさい」


金剛「ちょっと待つネ!あのギアとマリアを戦わせるなんて、そんなこと私は許せないデース!」


提督「金剛……」
402 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:15:01.09 ID:4cJMJssOo
ジェシー「そいつぁここにいる全員が思ってることだろうよ、嬢ちゃん。だが今は他に方法がねえんだ。全く情けねえことだがよぉ」

ジェシー「それによ、マリア。こんなことは言いたかねえんだが……。あそこにいるのは、もうおまえの親父さんじゃ……」


マリア「やめてっ!!利いた風なこと言わないでください!!」

マリア「たとえそうでも、わたしには、わたしには……」


ジェシー「……そうかい。それも、仕方ねえや。腹をくくるか」


マリア「……ゴメンなさい」


チュチュ「わたしが行くでチュよ」


マリア「な、何言ってるの、チュチュ!?」


チュチュ「だって、このままじゃみんなやられちゃうでチュ」


バルト『バカをいうな、お前一匹でギア相手に何ができるってんだよ!』


チュチュ「へっちゃらでチュよ。ちゃんと守り神しゃんが見てくれてるでチュ」

チュチュ「チュチュ、行くでチュ」コロコロ


提督「あっ、おい!」
403 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:16:06.33 ID:4cJMJssOo
金剛「シィット!テートクゥ!私もう我慢できないネー!」


北上「まさかこのまま黙って見てるだけなんて言わないよね?」


提督「……わかったよ。俺達も行こう」


シタン『いけません!ここであなたたちがギアとまともに戦えるはずが……』


夕立「それでも、何もしないよりはずっとましっぽい!」


榛名「私たち皆、チュチュさんと気持ちは同じです!」


大鳳「今度は負けません!やられてしまった艦載機の分、残った皆さんを守って見せます!」


加賀「……ここでやられるわけにはいきませんから」


金剛「皆さん、準備はいいですカー!?第一艦隊、チュチュの後に続くネー!」ダダダ


提督「おっと、俺も行かなきゃ」


マリア「提督……」


提督「そんな声出さないでくれ、俺達は俺達の都合だけで動いてるんだからよ、逆に申し訳なくなってきちまう」


マリア「都合……?」


提督「そう。ここで死んだら元の世界に帰れないっていう、分かりやすい事情。それに……」

提督「『親子が殺しあうのを黙って見てました』なんて土産話、鎮守府で留守番してる奴らに持って帰るのは嫌だっていうのもある。
まあ、こっちは俺個人の勝手な事情だけどな」


  ***
404 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:17:07.68 ID:4cJMJssOo
今回はここまで。2週かけたのにいつもと変わらないペースで申し訳ないです。
ではまた来週。
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/09(日) 22:18:32.82 ID:uDvAO7VwO
乙ツェン
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/10(月) 22:04:38.94 ID:gCo5W+rho
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/11(火) 00:47:40.11 ID:OekxAg7B0
408 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:20:14.11 ID:zL7CrICKo
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
409 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:24:30.66 ID:zL7CrICKo
  コロコロコロコロ


ニコラ「なんだ、天文学的なほどに知能レベルの低そうな、この下等生物は?」


チュチュ「下等生物じゃないでチュ。チュチュでチュ」

チュチュ「さあ、ほいじゃあ行くでチュよ、ワル玉しゃん!このチュチュしゃまが、お空の向こうへちゅらりーんとぶっ飛ばしてやるでチュから、
カクゴするでチュよお!!」


  ***


提督「おーおー、ギア相手に凄い度胸だな。これからはあいつの認識を改めてやらないと……とか言ってる場合じゃないな。
ああ、もしあのギアを墜とす事になったとしても、あいつらの事は恨まないでやってくれな。……それじゃ」タッ


マリア「……」


チュチュ『うきゃっ、やったでチュ〜!でかでか変身できまチュた!』


マリア「……っ!」タタ


  ***


ニコラ「……ほう。ただの低級な下等生物かと思ったが……。急激な巨大化に加えてこの戦闘力、なかなかやるな」


チュチュ「下等生物じゃないでチュ。チュチュでチュ。」


ニコラ「バカめ、死ね」ズドン


チュチュ「……痛かったでチュ」パタン


マリア「チュチュッ!!」


ニコラ「成る程。おまえ、この星の巨大原生動物だな……。ランカーの幼体……じゃないな。
学術名:ドテスカチュチュポリン(知能レベル、天文学的に低い)か!まだ絶滅していなかったとはな」


  ***
410 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:25:39.86 ID:zL7CrICKo
マリア「いけない、このままじゃ……」


ミドリ「お姉ちゃん……」


マリア「ミドリちゃん!?ダメよ、こんなところにいちゃ!危ないから中に……」


ミドリ「呼んでる、お父さん……」


マリア「えっ……?」フッ


ミドリ「ううん、ちがう……。あそこにいる……怖いヤツじゃ、ない」


マリア「……!!」バッ

マリア「……ゼプツェン!!」


  ***
411 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:27:05.00 ID:zL7CrICKo
チュチュ「きゅう〜……」


ニコラ「しかし、遺伝子操作で小型軽量化されていたはずだが……。シェバトの賢者共にリミッターを外されでもしたか。
面白い!モルモットとして、非常に価値のある生体だ。色々と実験して……」


ヒュン!

ニコラ「!!」ガィン

ニコラ「ゼプツェン……いや、違う。この状況でまだ動けるギアがあるとは。面白いじゃないか」


ヒュン!

ニコラ「そっちからか」スッ


金剛「今ネ!カガ、タイホー!!」ドォン

榛名「チュチュさんを!」ドンドン

夕立「あのギアはこっちで引き付けるっぽい!」ドドド

北上「ここが残弾の使い所……かねえ!」ドドド


ニコラ「何だ、あの連中は……?今の砲弾はあの女共からか」


加賀「……くっ、動きが」ギャリギャリギャリ


大鳳「チュチュさん!大丈夫ですか!?」ギャギャギャ


金剛「後にするネ!とにかく回収して離脱するデース!」


大鳳「は、はい!」ギャリギャリ
412 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:27:37.56 ID:zL7CrICKo
提督『どうだ、間に合ったか!?』ザザ


夕立「なんとかギリギリセーフっぽい!」


提督『よし、加賀さんと大鳳はチュチュを安全な所まで運んだら待機だ。いつでも攻撃機を出せるようにしといてくれ』


大鳳「そんな!大鳳も戦闘に参加します!」


提督『バカ言うな。お前たちの機動力で前に出ても何も出来ないだろ。金剛たちの機動力でも不安だってのによ。代わりにチュチュはしっかり守ってくれ』


大鳳「……わかりました」ググ


榛名「提督、次の指示は!何とか敵ギアを釘付けにできてはいますが……」ドォン


提督『とりあえずそのまま撃ち続けながら散開しろ。敵に的を絞らせないように動き回りつつ、とにかく時間を稼げ。
対ギア用ジャマーが切れるまでひたすら耐えるんだ』


北上「簡単に言ってくれるねえ」


提督『それしか手がないんだよ。金剛の主砲が直撃したの見ただろ。あのダメージ量じゃ正面からの撃ち合いでは絶対に勝てねえ。とにかく逃げだ』


夕立「要するに、撃ちながら避け続ければいいっぽい!」ドドド


提督『そういうことだ。ただし、ここが陸だってことを絶対に忘れるなよ!スキー板で砂利道を下ってるようなもんだからな。
いつもの40%も動けないと思え!』


榛名「榛名、了解です!」

金剛「オッケーイ!それじゃ皆さん!ムーヴ!」ギャィィィ


ニコラ「まさか、こいつら……エレメンツの報告にあった連中か!本当に実在したとはな……。水上用と聞いていたが、陸上でもこの機動性とは……実に興味深い。
持ち帰って研究材料にするとしよう!」ガシャン
413 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:28:34.10 ID:zL7CrICKo
榛名「!来ます!」

ニコラ「まずは火力の高いお前からだ」ブゥン

金剛「……シィット!」ヒョイ

夕立「思ってたより動きづらいっぽい!」ギャギャギャ


提督『北上、背後を取って撃て!金剛と夕立は回避運動を取りつつ距離を取れ!榛名はその場で牽制!』


北上「いただき!」ドンドン

ニコラ「ほう、中々いい動きをする」ガンッガンッ


北上「あちゃ、背中も抜けないか」ギャィィ


提督『無理にダメージを与えようと思うな!こちらがダメージを受けないことを最優先にしろ!足も使い潰すつもりで行け!』


北上「わかってます……よっと!」ヒョイッ


榛名「回り込みます!」ドォンドォン


夕立「北上さん、今のうちに下がるっぽい!」ドドド


ニコラ「……この統率された動き、どこかに指揮官がいるな」スゥ


夕立「急に動きが大きくなったっぽい!」

提督『無理に追うなよ。弾幕を濃くして対応しろ』

北上「もう、こんなことじゃすぐ弾切れになっちゃうかもよ」ドドドド

金剛「文句は言いっこなしネー!」ドォンドォン


ニコラ「遠距離の対応もできる、か。ならば」ガシャアン

榛名「変形した!?」

提督『回避だ!』
414 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:29:29.64 ID:zL7CrICKo
夕立「突っ込んでくるっぽい!」ギャィィ

北上「うわっ!」ギャリギャリ

榛名「……くっ!」ギャギャ

金剛「また来るネ!」


提督『クソ、こっからじゃ見えねえ。各自で回避しろ!』


夕立「!」バッ


北上「あぶな!」ギャイイン


榛名「は、反撃します!」ジャコッ


金剛「ファイヤー!」ドォン


ニコラ「……回避が遅くなった。砲撃にも乱れがある。指揮官が状況を把握できていないな。つまり……」ヒュンヒュン


夕立「敵が離れたっぽい!」


榛名「今のうちに態勢を!」


ニコラ「指揮官はあの高台か!」ゴォ


北上「……ちっ、建物の裏に逃げ込まれちゃったよ」


金剛「あのビッグなボディでは不意討ちは難しいはずデース。一体何を……まさか!?」

榛名「……提督!!!」


  ***
415 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:29:57.81 ID:zL7CrICKo
提督「くそ、建物が邪魔で敵が見えん。あいつらからも死角になったようだし、移動したほうがいいか?もしくは加賀さんに偵察機を飛ばしてもらうか……」

榛名『提督!!!』


提督「どうしたはる」


ニコラ「そこか!」ブワ


提督「っ!?」


ニコラ「死ね」ドゴォ

提督(足場が……落ち……ッ!)グラ


ガラガラガラ


提督(くそ!死ねない!まだ死ねないぞ!なんかないのかよ!)ヒュゥゥ


ニコラ「なかなか手こずらせてくれたが、これで終わりだな」


夕立『そんな……』

金剛『テートクゥゥゥ!!!』

榛名『いやあああああっ!!!』

大鳳『え、提督がどうしたんです?提督、提督!』


提督(……無理だこれ。結局帰れずじまいか)


ドサッ


提督「いってぇ!くっそ……死ん……でない?どこだここ……!?ギアの手の上!?」


マリア「大丈夫ですか、提督!?」


提督「マリア?一体どこに……」


マリア「上です」
416 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:30:32.01 ID:zL7CrICKo
提督「上って」フッ

提督(ゼプツェンの頭の上で仁王立ちしてる……)

提督「そ、そうか。マリアが助けてくれたのか。ありがとうな」


マリア「そんな、お礼なんて……私がもっと早く来ていれば、皆さんに苦労をかけずに済んだのですから」


提督「……いいのか、マリア?」


マリア「……はい。私が、私とゼプツェンが、ソラリスの敵を倒します!」


提督「……そうか」


金剛『……ートク、テートク、テートクゥゥ!!返事するネ、テートクゥゥゥ!!!』


提督「っと、やべ。……金剛、すまん。まだ生きてるよ」


金剛『!!!テートクゥゥ!!』


提督「その話は後だ。全員チュチュの所まで撤退しろ」


金剛『ワ、ワット?それじゃあのギアは……』


提督「もう大丈夫だ。あとはマリアとゼプツェンがやってくれる。とにかく急いで皆をまとめて撤退しといてくれ。頼んだぞ」


提督「それじゃ悪いけどマリア、このまま向こうの広場まで運んでくれ」


マリア「わかりました。そこで皆さんが待っているんですね」ギュン


  ***
417 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:33:30.04 ID:zL7CrICKo
今週はここまで。やっとシェバト編も終わりが見えてきました。つまり、物語も序盤が終わりということですね。長い……。
私信になりますが、引越しのどさくさでなくなっていた設定資料集が見つかりました。これで色々と捗る。かも?
それではまた来週。
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 04:37:15.54 ID:MiPWuCMAO


あの設定資料集はすごいよね。今読んでも引き込まれる。
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 05:56:50.17 ID:1KZLI2ljo

この辺りの展開はBGMも相まって色々とこみ上げる
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 16:51:02.33 ID:MiPWuCMAO
ゼノギアスは出る時期があと数年遅ければ、PS2で出せてイベントバトルだらけだったら終盤もちゃんとゲームとして楽しめたのかな?

421 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/29(土) 17:44:11.16 ID:Zt+2cNX8o
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
422 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/29(土) 17:46:57.13 ID:Zt+2cNX8o
金剛「あっ、来たネ!」ブンブン


マリア「さあ、着きましたよ。提督」


提督「……おっとと。ありがとうな」ペタン


マリア「それでは、行ってきます」


提督「しっかりやれよ。マリア」


マリア「……はい!」


ギューン


提督「……」


金剛「テートクゥーー!!」ガバッ


提督「うぐぅ」


北上「おー、意外とピンピンしてるじゃん。あの高さから落ちたんだしさ、もっとボロボロだと思ってたよ」


榛名「ああ、提督。榛名、もう駄目かと……」


夕立「提督さんは生身なんだから、もっと気をつけないといけないっぽい!」


加賀「そうね。指揮官が真っ先に狙われるようでは、私達も安心して戦う事もできませんから」
423 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/29(土) 17:50:08.82 ID:Zt+2cNX8o
提督「た、確かに言い訳のしようもないな。心配かけてすまなかった」


大鳳「よかった。本当に良かった……」


提督「……さて、そろそろ離れろ、金剛」


金剛「ノウ!」スリスリ


提督「威勢だけよくっても駄目だ。大体まだ戦闘は終わってないんだぞ」


金剛「ハッ!そ、そうデース!マリアはどうなったネー!」バッ


提督「今まさに戦ってるんだろうよ。やる気満々の目してたしな」


大鳳「すぐに加勢しないと!」


北上「やめといたほうがいいと思うよー」


大鳳「ど、どうしてですか!?」


北上「さっき言ったっしょ?『親子の問題だ』ってさ」


大鳳「そんな悠長な……もしマリアさんが負けたらどうするんですか!」
424 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/29(土) 17:50:38.64 ID:Zt+2cNX8o
榛名「大鳳さん、お気持ちは分かりますが……今の私たちでは足手まといになるだけだと思います」


北上「そーそー。さっきの戦いだけでもう足周りがボロボロだよー」


夕立「このまま海に出たら動くどころかそのまま沈んじゃいそう」


加賀「……そうね、ここはあの子を信じましょう。大鳳さん」


北上「あら意外」


加賀「……何か?」


北上「いやあ、加賀さんなら援護に賛成だろうなーと思ってたからさ」


加賀「出来る事ならそうしたいところですけれど、気持ちだけではどうにもならないもの」


提督「ありがとよ加賀さん。ま、ここは抑えてくれよ、大鳳。仇ならきっとマリアが取ってくれるからよ」


大鳳「……わかりました。マリアさんにお任せします」


金剛「それじゃ、今のうちにチュチュを医務室に運びマース!」


榛名「ええ、榛名もお手伝いします!」


加賀「私は先に行って話をつけておくわね。大鳳さん」


大鳳「はい。お供します」


北上「それじゃ私達はどうしよっか」


提督「……あー、悪いけど肩貸してくれよ。実は腰が抜けちまってな」


夕立「提督さん、流石にちょっとかっこ悪いっぽい……」


  ***
425 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/29(土) 17:51:06.30 ID:Zt+2cNX8o
今回はここまで。それではまた次回。
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 19:03:19.87 ID:s154cwzqO
流石に乙っぽい
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 21:59:13.83 ID:yF03Dao80


スピーディーに進みながらも結局エタってしまうスレが多い中、ゆっくりではあるけど確実に更新されるスレの安心感よ
428 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:44:51.01 ID:FUDjl1IHo
お待たせしました、今週の投稿を始めます。
>>427
本当は毎週更新しなきゃいけないし、そうしたいんですけどね……。精進していきたいです。
429 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:47:20.79 ID:FUDjl1IHo
医務室


チュチュ「チュー……」


医師「……ええ、大丈夫です。見たところ大きな怪我もありませんし、命に別状はないでしょう」


提督「そうでしたか」


夕立「よかったあ……」


榛名「ひとまず安心、ですね」


提督「一人、いや一匹でギアと戦う、なんて無茶言い始めたときはどうなる事かと思ったけどな」


北上「まさかそのギアと同じくらいでっかくなるなんて思ってもみなかったからねー」


金剛「ギアに立ち向かうチュチュ、かっこよかったネー!」


提督(そういやあのギア、チュチュの事を『遺伝子操作で小型化した』って言ってたな。一体どれほど進んでるんだ、この世界は)


夕立「提督さん、どうしたの?なんか考え事?」


提督「ん、いや、なんでもない」

提督「さあ、チュチュの事は心配なくなったんだ。ここは医者の先生に任せて、俺達は補給と整備だ」
430 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:48:45.39 ID:FUDjl1IHo
榛名「となると、一度ユグドラシルまで戻らないといけませんね」


大鳳「間に合うでしょうか……」


提督「さあな。もしかしたら間に合わないかも知れないが、ジャマーが切れればまたさっきの部隊が攻めてくるだろうからな。せめて応急処置だけでも……」

マリア「……お父さーーーん!!」グラグラグラ


提督「うおお!?」

大鳳「こ、この揺れは……」

金剛「マリア……!」

医者「だ、大丈夫かしら。シェバトが落ちたりしないわよね……?」


提督「……」


榛名「……」


加賀「……収まりましたね」


提督「ああ。何だったんだ、今のは」


北上「周りにあんな衝撃を与えるような攻撃だったんだし、きっと決着が付いたって事だと思うよ」


夕立「どっちが勝ったっぽい?」


金剛「決まってるネー!マリアが負けるなんてありえないデース!」


加賀「……その理屈は分からないけれど、もし負けていたらこれほど静かなはずはないわね」


大鳳「ということは……!!」


提督「そうだな。ユグドラシル行きはなしだ。皆でマリアを迎えに行くか」


  ***
431 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:49:23.45 ID:FUDjl1IHo
  〜???〜


「……あの、その服装、もしかして新しい司令官さんですか?」


「ああ、よかった。お待ちしていました、なのです」


「こ、子供じゃないのです!こう見えても立派な駆逐艦なのです!」


「……え?司令官さん、何も聞かされてないのです?艦娘のこととか、深海棲艦のこととか……」


「そうだったのですか。それでは、鎮守府の中を案内しながらでも、その辺のお話を一緒にするのです。さ、ついてくるのです」


「はわあ!ご、ごめんなさいなのです!うっかりしていたのです!」


「このたび司令官さんの秘書艦として建造された、電なのです!これからよろしくお願いしますね、司令官さん!なのです!」


  ***
432 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:52:35.20 ID:FUDjl1IHo
提督「……くああ」ムクリ

提督「……」

提督「……はああ、夢か」ポリポリ


夕立「あ、提督さん、やっと起きたっぽい」ヌッ


提督「だあああああ!ゆ、夕立か!」


夕立「もう、提督さんったら寝起きからうるさいっぽい」


提督「悪い悪い。じゃなくて、何で夕立がここにいるんだ」


夕立「もちろん、お寝坊さんな提督さんを起こすためっぽい!」


提督「寝坊?今何時だ?」


夕立「もうすぐお昼っぽい。あんまり遅いから起こして来いって加賀さんに言われたの」


提督「げ、確かにそりゃまずいな。顔洗ってくるからちょっと待ってろ」


夕立「はーい、その間に上着とか用意しとくっぽい」


  ***
433 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:53:02.97 ID:FUDjl1IHo
提督(ソラリスの襲撃から二日が経った)スタスタ

提督(医務室を出た俺達が見たのは、跡形もなく消し飛び、僅かに残った破片と硝煙のみになった、マリアの父親の赤い機体と、それを見つめるマリアの後姿)

提督(こちらを振り返ったマリアが寂しそうに言った『ありがとうございました』の声が、未だに頭から離れない)

提督(結局、その後敵が追撃をかけてくるような事はなく、障壁発生器も無事だった。完全には直っていないらしいが……)


夕立「提督さん、そんな顔してどうしたの?」


提督「え?いや、まだちょっと寝ぼけててな」


夕立「ふーん、変な提督さん」


提督「そういや、チュチュの様子はどうだ?」


夕立「もうすっかり元気っぽい。さっきもその辺りを元気に跳ね回ってたっぽい」


提督「昨日の今日でもう全快したのか?随分とタフにできてるんだな」


夕立「おっきくなったりできる動物は一味違うっぽい」


提督「その治りの早さはちょっと分けてもらいてえなあ。昨日も全身痛くて中々寝付けなくてよ……」
434 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:53:44.18 ID:FUDjl1IHo
マリア「……あっ」


提督「うおっ」


夕立「あ、おはようございますっぽい」


マリア「おはようございます、夕立さん。提督、丁度良い所に」


提督「俺?何か用か?」


マリア「はい、女王様がお話があるそうで、時間がある時でいいので顔を出すように、だそうです」


提督「わかった。こちらからも丁度話すことがあったしな。加賀さん達の方に顔出したらすぐ向かうよ」


マリア「わかりました。女王様にはそのように伝えておきます」


提督「ああ、わざわざありがとう」


マリア「いえ……」


提督「……」


マリア「それと……」


提督「ん?」


マリア「この間はごめんなさい。色々と失礼な事を言ってしまって」


提督「この間って……ああ、いや、気にしてないから大丈夫だよ」


マリア「そうですか」


提督「……」

提督(き、気まずい……)


マリア「それでは、わたしはこれで……」スタスタ


提督「あ、ああ」
435 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:54:19.08 ID:FUDjl1IHo
夕立「……行っちゃったっぽい」


提督「やっぱりまだ元気がないな」


夕立「あんなことがあったばっかりだし、しょうがないっぽい」


提督「しばらくはほっといた方が良さそうだな」


夕立「早く元気になって欲しいね、提督さん」


提督「そうだな。まあ、俺達もあんまり人の心配していられる状況じゃないし……ん?」

提督「そういやさっきからどこに向かってるんだ、夕立?」


夕立「えーっとね、加賀さんが提督に確認したいことがあるんだって。艤装の事でシェバトの人と何か話してたよ」


提督「ほーう、大方艤装を調べさせてくれとか、そんなところだろうな」


夕立「ぽい」


提督「そういうことならあんまり待たせるのも悪いな、急ごうか、夕立」


夕立「わかったっぽい!提督さん、こっちこっち!」


  ***
436 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:56:09.66 ID:FUDjl1IHo
今回はここまで。一応最後のオチまで考えてはあるので、よっぽどのことがない限りは完結させます。させたいです。
それではまた来週。
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/12(土) 21:20:20.01 ID:GmpbduFDo
おつ
438 : ◆Idq7VgawO2 [sage]:2016/11/26(土) 17:38:21.10 ID:c3Qag1fto
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
439 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:40:00.22 ID:c3Qag1fto
〜王宮 客室〜


夕立「みんな!提督さん連れてきたっぽい!」


提督「連れられてきたが……なんだこりゃ」


北上「お、いい所に来たねえ、提督。ユイさん、提督と夕立来たよー」


ユイ「あら、こんにちは。貴方が提督さん?」


提督「え、ああ、はい。こんにちは」


ユイ「ふふ。ごめんなさいね、突然」


夕立「この人、だーれ?」


榛名「この方はユイさんと言って、この国では有名な方なんだそうですよ」


提督「……ええと、その有名人のユイさんとお前らは何してんだ?」


北上「やー、この人がお昼ご飯作ってきたって言うからさ」


夕立「ごはん!?お腹すいたっぽい!」


ユイ「主人がお世話になったようなので、是非お礼がしたくて。ご迷惑だったかしら?」


提督「いえ、そういうわけでは……って、主人?」


ユイ「ええ。改めて自己紹介するわね。シタンの妻で、ユイと申します」


提督「成る程、シタン先生の……ええええええええええ!?」
440 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:40:26.22 ID:c3Qag1fto
加賀「……」


金剛「ちょっと、テートクゥ、驚きすぎデース」


提督「いやだって、シタン先生って……」

提督(元ソラリス人だろ……一体いつ結婚したんだ)


大鳳「そう言われると、なんだかお二人は似ているような気がしますね。雰囲気というか、気性というか……」


ユイ「あら、そうかしら?そんなことないと思うけれど……」


提督「あの先生意外とおしゃべりだしなあ」


ユイ「そうなのよ。あの人ったらいつも余計な事まで話し出すから困っちゃうわ。私もよく言ってるのだけれどね、しつこいのはやめなさいって」


北上「なんか、言ってる姿が目に浮かぶよ」


榛名「ユイさん、火にかけてたスープの方、そろそろいいんじゃないでしょうか」


ユイ「あら、そうだったわ。提督さん、すぐお昼にしますから、ちょっとそこで座っててね」


提督「俺も手伝いますよ」


金剛「ノー!」ビシ


提督「こ、金剛?」


金剛「キッチンはレディのサンクチュアリィネー!いくらテートクと言えど、勝手に入ることは許さないデース!」


提督「いや、俺が間宮さんの飯作るの手伝ってたときはお前何も……わかった、分かったから睨むな!」


榛名「こっちは大丈夫ですから、提督はゆっくり待っててください。大鳳さん、食器を並べるのを手伝って貰えますか?」


大鳳「はい!お任せください!」


提督「……ったく、急になんだってんだ金剛のやつ」


北上「さあ、ユイさんと張り合ってるんじゃない?」グデー


提督「張り合う?なにで?」


北上「うーん……女子力、とか?」


提督「はー、訳分からん……」


  ***
441 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:40:56.35 ID:c3Qag1fto
ワイワイ


提督「へえ、娘さんがいらっしゃるんですか」


ユイ「ええ、名前はミドリって言ってね、父親に似なくて静かな子なんだけど。良かったら皆さん仲良くしてね」


提督「任せてください。ウチは夕立含めて子供も沢山いますからね。みんな子供の扱いには慣れてますよ」


夕立「あーっ!子供扱いしないで欲しいっぽい!」


提督「ほれ、言ってるそばから口の周り汚れてんぞ」


夕立「むー!提督さんのバカ!」


榛名「夕立さん、こっち向いてください。今拭いてあげますから」


ユイ「ふふ、ほんと、みなさん仲が良くていいわね」


提督「お陰で作戦もやりやすくて助かってますよ」


大鳳「こ、これは……」


提督「どうした、大鳳」


大鳳「このお肉、とってもおいしいです!」


金剛「ウーン、今まで食べた事のないテイストネー」モグモグ


ユイ「丁度下界からつちのこのお肉が届いたから使ってみたの。お口に合ったようで良かったわ」


大鳳「つちのっ……」
442 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:41:25.49 ID:c3Qag1fto
北上「え、それってアレだよね?UMAだか草の神様の使いだかって言う」


ユイ「ゆ、ゆうま?」


提督「まさか、たまたま同じ名前ってだけだろ」


北上「だ、だよねー」


ユイ「よくわからないけど……つちのこはキスレブ北東部にたくさんいるから、あっちではよく食用にされているのよ」


加賀「食用……たくさん……お腹が空きました」


提督「空いたも何も昼飯の真っ最中……もう食ったのか」


ユイ「大丈夫よ、おかわりなら沢山ありますから。皆さんよく食べるって聞いたものだから、多めに作ってきて正解だったわね」


加賀「やりました」


提督「いや何もやってねえよ」


大鳳「あの、私もスープのおかわりを……」


ユイ「もちろんいいわよ。今持ってくるわね」


提督「……なんかすいません」


ユイ「謝らなくていいのよ。沢山食べてくれたほうが作り甲斐もあるもの。はい、どうぞ」


大鳳「ありがとうございます!」


加賀「いただきます」


提督「……ま、なんだかんだ大変だったからな。好きなだけ食わせておくか。榛名」


榛名「はい、何でしょうか?」


提督「さっき艤装の事でシェバトの人間が訪ねてきたって夕立から聞いたんだが、どんな内容だったんだ?」
443 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:43:50.24 ID:c3Qag1fto
榛名「その事ですか。なんでも『シェバトを救ってくれたお礼に、是非我々の手でその艤装のメンテナンスをさせて欲しい』との事でした」


提督「ほう」


榛名「私達では決められないので、夕立さんに提督を連れてくるようお願いしたのですが……その方はその後すぐ帰ってしまわれて、入れ替わりにユイさんがやってきたんです」


提督「そうだったのか。しかし、艤装の整備ね」

提督(ありがたい話だし、ユグドラシルよりも遥かに設備はいいんだろうが……まず間違いなくデータを取られるだろうな)

提督(タムズやバルト達はともかく、これほどの技術力を持つ国に艤装のデータが渡ったら色々とマズイだろうし。そもそもこの申し出が誰の差し金かも……)

提督「でもまあ、どっちにしても艤装は修理しないとだからなあ」


榛名「提督?」


提督「話は分かった。その事はまた後で決めとくよ。ユイさん、どうもごちそうさまでした」


金剛「あ、テートクゥ!どこ行くんデース!まだ食後のティータイムが残ってるネー!」


提督「悪い、ちょっと女王様に呼ばれてるんでな。さっきの整備の話もあるし、すぐ出かけなきゃ」


ユイ「そういうことでしたら、後片付けは任せて。すぐ行った方がいいわ」


提督「いえ、食器ぐらいは流石に自分で」


ユイ「大丈夫よ。それよりも早く行きなさい。女王様をお待たせしては悪いでしょ」


提督「わ、わかりました。それじゃお願いします」


北上「いってらっしゃーい」


夕立「気をつけるっぽーい」


金剛「帰ってきたらティータイムに付き合うネー!」ブンブン


提督「わかったわかった。行ってくるよ」


  ***
444 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:44:16.65 ID:c3Qag1fto
今回はここまで。それではまた次回。
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 15:15:27.15 ID:BL8rMFfUo
先生の過去の時系列って先生自身の突拍子もない動きが多くて困る
敵国で敵の孫見初めたからって敵国を個人訪問した上に弟子入りするなよ、と
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 23:55:04.62 ID:urFrrME7o
元々かなり変人だからしょうがない
エレメンツのあのロボも完全に趣味の範疇だから
447 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:33:14.86 ID:DM61CYo9o
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
448 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:33:40.77 ID:DM61CYo9o
〜玉座〜


ゼファー「……確かな話ですか?ワイズマン」


ワイズマン「下界ではかの者達の話を聞いたことはありませんでした。あれほど目立つ者です、間違いないかと」


ゼファー「信じるほかありませんね、彼らの話を」


ワイズマン「しかし奇怪な話です。全く別の世界から来たなどと。やはり、『あれ』と何らかの関わりが……?」


ゼファー「……フェイ、エリィ、ファティマ家の王子、そして別世界からの者達。彼らが一堂に会した今、時代が再び動き出したのでしょう。恐らく……」


ワイズマン「では、かの者達の処遇は変えぬ、と?」


ゼファー「それが良いでしょう。彼らにとっても、われわれにとっても」


ワイズマン「おや、噂をすれば」


ガチャ


提督「失礼します。マリアからこちらに顔を出すよう言われて……うおっ!」

提督(フード付ローブに仮面!?怪しすぎる!誰だこいつ!)


ゼファー「よく来てくれました、提督。あれからゆっくり休むことはできましたか?」


提督「え、ええ、お陰様で。あんないい部屋で眠れたのは久しぶりでしたよ。ありがとうございます」


ゼファー「よい。この国を守る為に働いた見返りとしては安いものでしょう」
449 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:34:33.05 ID:DM61CYo9o
ワイズマン「女王、この男が?」


ゼファー「ええ。提督、紹介しましょう。こちらはワイズマン、わたしの忠実なる家臣です」


ワイズマン「お主らの話は聞いている。わが祖国を守ってくれたこと、感謝するぞ」


提督「いえ……」

提督(ワイズマン?どこかで聞いたような……)


ゼファー「さて、本題に入りましょう。提督」


提督「?はい、何でしょうか」


ゼファー「あなた方はこれからどうするつもりですか?」


提督「どうって……」


ゼファー「元の世界に戻る方法を探しにここまで来たのでしょう?実際にこの地に立った今、どうするつもりなのか、そう聞いているのです」


提督「……そうですね、まずはこの世界の歴史から当たってみようかな、とは考えていました。何かを調べようにも、俺達はこの世界の事を知らなさ過ぎる」


ゼファー「堅実ですね。しかし、その後は?この世界の事を知ったとして、そこからどのようにして手がかりを探すつもりなのです」


提督「それは、まだ特には。何せ今は何を調べればいいのか、それすら分からない状況ですから」


ゼファー「よろしい。その点に関して、我々から提案があります」


提督(弱ったな、どうもいいように話を進められてる気がする……伊達に女王様やってないって事か)
450 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:35:01.72 ID:DM61CYo9o
ゼファー「提督、あなたと部下達には、シェバトの工作員として、身分を隠し、地上であるものを探していただきたいのです。
承諾するなら、シェバトはあなた方が元の世界に戻るためのサポートを可能な限りすると約束します」


提督「……サポートとは、具体的には?」


ゼファー「まずはあなたの部下の艤装のメンテナンス。聞けば彼女達の幾人かは使用できる弾丸がまだ見つかっていないとか。
それについても何とかしましょう。下界に降りた後は補給物資を別の工作員に届けさせます。王宮にあるデータルームも自由に閲覧してよろしい」


提督「では、その探して欲しいものとは?」


ゼファー「その事についてはあなたがこの提案を受け入れてから答えましょう」


提督(成る程、至れり尽くせりの待遇に見合った、相当な代物って事か)

提督(しかし、待遇としてはこれ以上ない程であることもまた事実。というか、これ蹴ってもこれから行く所もないし、実質こちらに選択の余地はないな)


提督「わかりました。その提案、お受けします」


ゼファー「よいのですか?部下の者たちに相談も無しに」


提督「大丈夫です。こういうことを決めるのが俺の仕事なんで」


ゼファー「そうですか。それではあなたがたに命じる仕事についてお教えしましょう。提督、『ギア・バーラー』について聞いたことは?」


提督「ギア・バーラー?ギアの名前ですか?フェイのヴェルトールとか、シタン先生のヘイムダルみたいな」


ゼファー「違います。われわれが普段使っているギアは『ギア・アーサー』と呼ばれるもの、あくまで我々ヒトが作り出したものにすぎません。
それに対して、ギア・バーラーは『神の手によるもの』。遥か昔に神の知恵によって創られたと言われる、伝説のギアの事です」
451 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:35:33.66 ID:DM61CYo9o
提督「か、神?」


ゼファー「何か?」


提督「え?ええと、いや……。と、とにかく、我々の仕事というのは、そのギア・バーラーを捜す事ですか?」


ゼファー「いえ、少し違います。あなた方に命じる仕事は、ギア・バーラーの捜索ではなく、その素体ともいえる『アニマの器』の捜索です」


提督「アニマの器、ですか」

提督(またわからん単語が出てきた)


ゼファー「ギア・バーラーは、アニマの器とその適格者、この二つが揃って初めて生まれるのです」


提督「ということは、ギア・バーラーが神様が創ったものっていうのはやっぱりただの御伽噺ですか」


ゼファー「一概にそうとも言い切れないのですが……今は関係のないことです。これ以上の真実を知りたければ、あなた自身が調べるとよい」


提督「分かりました。とにかく、我々は地上に降りてアニマの器を捜索する。シェバトは我々の地上での活動を支援する。それでいいんですね」


ゼファー「その通りです。さしあたって、提督、貴方にシェバトの汎用ギアを授けましょう。地上に赴くまでの間、十分に訓練を積んでおくように」


提督「ありがとうございます。でも、いいんですか?シェバトの戦力だって余裕があるとは思えないんですが」
452 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:35:59.96 ID:DM61CYo9o
ゼファー「アニマの器にはそれだけの価値がある、そう理解してください。
たとえ適格者が見つからずとも、あれをソラリスの手に渡さないようにするだけでも意味があります」


提督「そんな大事な任務を、何故俺達に?」


ゼファー「……先の大戦から数百年、われわれはあらゆる手を使ってアニマの器を捜してきました。それはソラリスも同じでしょう。
それでもなお、残りのアニマの器の発見には至っていない。
しかし、貴方達なら、われわれと異なる目、異なる耳を持つ貴方達なら、あるいは……。そう考えたからです」


提督「……」


ゼファー「さあ、これで話は終わりです。戻って部下達に話をしておきなさい」


提督「わかりました。ではこれで失礼します」


ゼファー「期待していますよ、提督」


ガチャン


ワイズマン「……では、私も少し外させていただきます」


ゼファー「……『彼』ですか」


ワイズマン「ええ。しかし今回はそう長くはないでしょう。あやつらの旅立ちまでには一度戻ってくることにいたします。では」シュン


ゼファー「……苦労をかけます、ワイズマン」


  ***
453 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:36:25.67 ID:DM61CYo9o
提督「ただいま」


金剛「あ、テートクゥ!」ブンブン


北上「意外に早かったじゃん」


提督「思っていたよりもスムーズに話が進んだからな。ユイさんは?」


夕立「お昼ご飯の後にすぐ帰っちゃった」


提督「そうか。後でお礼言わないとな」


金剛「それで、クイーンとはどんなトークをしてきたんデース?」


提督「ああ、今後の動きについて、ちょっとな。結論から言うと、シェバトの傘下に入ることにした」


加賀「……詳しく聞かせてもらえるかしら」


提督「もちろんだ」


金剛「なら、今からティータイムにするネー!ハルナ、手伝ってくだサーイ!」


榛名「はい、榛名はお湯を沸かしますから、お姉さまは他の準備をして下さい」


  ***
454 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:36:55.08 ID:DM61CYo9o
提督「……と言うわけだ」ズズ


榛名「ギア・バーラー、ギアを越える、更に強力なギア、ですか」


北上「普通のギアでさえアレなのに、もっと強いヤツがいるんだねえ。確かにそれは相手したくないかも」


加賀「それを創るための、適格者とアニマの器。2つの大国が何百年も捜し続けているものをそう簡単に見つけられるとは思えないけれど」


夕立「なんだか難しい話っぽい」サクサク


大鳳「でも、整備を請け負ってもらえるのは非常に大きいですね。もしかしたら、艦載機を生産する方法が見つかるかも……」


北上「そだね。私の副砲ももうほとんど弾切れだったからねー、何とかして補給しないとって所だったし」


提督「まあ、そんなわけだから、明日からでもすぐに動いていくぞ。お前らはまず何よりも艤装のメンテを優先してくれ。
装備に関する情報は何でも話してしまって構わん」


榛名「わかりました。この後からでも早速装備をチェックして明日に備えます」


北上「提督はどうするのさ」


提督「俺はデータルームでこの世界の事を色々と調べてみる。それと平行してギアの操縦訓練だな」


北上「へー、提督も忙しくなりそうだね」


提督「俺だけ暇してるって訳にもいかないだろ。まあとにかく、明日からまた忙しくなるからな。今のうちにしっかり休んでおけよ」


一同「はーい(っぽい)」


  ***
455 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:37:21.11 ID:DM61CYo9o
今回はここまで。ではまた。
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/11(日) 06:24:46.78 ID:Oiwnd0U5o
原作だとフェイ達はここから息つく暇もない連戦だな……
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/12/11(日) 13:16:00.28 ID:AC7begmoo
自由に世界中を飛べる唯一の時間ですな…

海上の敵とエンカウントできないのが少し不満だったけど
(エリィのエアッドで開幕殲滅できるから)
458 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/25(日) 19:21:09.55 ID:Fgd9a84so
おまたせしました。今年最後の投稿を始めます。
459 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/25(日) 19:22:03.70 ID:Fgd9a84so
〜数日後 自室〜


提督「……」ペラ


提督「……」ペラ


提督「……」ペラ


提督「ふー」パタン


榛名「お疲れ様です、提督」コト


提督「お、サンキュー」ズズ


榛名「進捗の方はいかがですか?」


提督「ぼちぼちかな。800年前くらいまでの大まかな歴史は大体わかってきたよ」


榛名「800年前?」


提督「このシェバトの建国が大体それくらい前のことだったらしい。そこまでの記録はかなり詳細に残ってたよ。
それより前になると胡散臭い神話の類しか残ってなかったけどな。神の楽園がどうのこうのとか」


榛名「それじゃあ、800年前にはもうこんな大きなものを飛ばす技術ができていたんですね。凄いです」


提督「それがどうも違うらしい。ほら、バベルタワーってのがあったろ」


榛名「ええ、確かタムズの方がそんな名前の建物があると」


提督「このシェバトは元々そのタワーのてっぺんにくっついていたんだそうだ。それが500年前の大戦に負けた後、
ソラリスの支配から逃れるために最上部だけを切り離されたのが、今浮かんでいるこの国だって話だ」
460 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/25(日) 19:22:33.01 ID:Fgd9a84so
榛名「その大戦については、何か分かったのですか?」


提督「おうよ、色々と分かったぜ。まず、正確にはシェバトはソラリスに負けたわけじゃないらしい」


榛名「え?」


提督「大戦末期、ソラリスの本拠地にシェバト率いる地上の連合軍が攻め入ったとき、思わぬ第三勢力が現れた。記録にはそう残ってる」


榛名「それでは、いきなり現れたその敵に、シェバトは負けたということなんですか?」


提督「ああ、『ディアボロス』と呼ばれたその軍団は、現れるなりソラリス、シェバトの区別なく全てを破壊し始めたそうだ。
それがまたとんでもなく強かったらしくてな、シェバトどころかソラリスの部隊も全く歯が立たなかったらしい。一時期は本当に人類が絶滅するところまで来てたらしいぞ」


榛名「そんな、一体何の為に……」


提督「さあな。その辺のことはわからずじまいだったみたいだ」


榛名「……あれ?ですが提督、今こうしてシェバトがあるということは、結局その敵は倒されたと言う事ですよね?
それなのにどうしてシェバトは負けたのでしょう?」


提督「お、さすが榛名。いい所に気がついたな。実はそこが俺達にとっては一番大事なんだ」


榛名「と、言いますと?」


提督「このディアボロス軍団を撃退したのが、まさに今から俺達が関わろうとしているギア・バーラーってヤツだったらしい。
なんとか数機がかりでディアボロスの中核を倒す事に成功したんだそうだ」


榛名「そうだったんですか」
461 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/25(日) 19:23:03.12 ID:Fgd9a84so
提督「その後は戦争どころじゃなくなったシェバトもソラリスも兵を引いた。シェバトの方は自分たちの事で手一杯だったが、
多少余力のあったソラリスはそのまま地上を支配し、負けたシェバトは空に逃げた。それから500年、状況は今も変わらないって事だ」


榛名「もしそれが事実だとしたら、地上に降りるのはかなり危険なのではないでしょうか?」


提督「そうでもないさ。どうも地上の監視は『教会』の仕事だったみたいだからな。その『教会』がなくなった今の時期、
俺達7人の動向まで敵が気にしていられる訳はないだろ」


榛名「うーん、そうなのでしょうか」


提督「そういうもんだって。地上ったって広いんだし、下りた途端にソラリスに目を付けられるなんてことは絶対ないから、安心しろ」


榛名「……そうですね。榛名、提督を信じます」


提督「それでいい。……よし、いい加減座りっぱなしもきつくなってきたし、そろそろギアの訓練でもしてくるか」


榛名「はい、榛名もお供します!」


提督「お供します!って、そういやお前整備のほうはいいのか?なんかナチュラルに朝から俺の手伝いしてくれてるけど」


榛名「もちろんです!榛名が不在の間は金剛お姉様にお願いしてあります」


提督「俺が言うのもなんだが、よく金剛が承諾したな」


榛名「当然です。そもそも言いだしっぺはお姉様でしたし、正々堂々『お話し合い』で私が勝ちましたから!」


提督「……周りのもの壊したりしてないだろうな」


  ***
462 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/25(日) 19:24:18.14 ID:Fgd9a84so
今回はここまで。シメなのに短くて申し訳ないです。年末ほんと忙しい……。
それでは皆さん、良いお年を。
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/30(金) 01:05:40.98 ID:0jblX3/u0
お疲れ様

ちょっとずつでも確実に進行してくれるから好きよ
464 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 18:13:13.58 ID:aJQ8XMU9o
あけましておめでとうございます。年明け早々の仕事の不定休化+風邪のダブルパンチで闇墜ちしてました。更新再開します。
465 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 18:49:28.93 ID:aJQ8XMU9o
〜格納庫〜


提督「おーす、やってるか?」


金剛「テートクゥゥゥ!」ダダダ


提督「あらよっと」ヒョイ


金剛「フンッ!」カクッ


提督「ぐえ」ドゴォ


榛名「ああっ!提督が曲がってはいけない方向にくの字を描いてしまっています!榛名はどうすれば……」


提督「あいででで、なんだよ今の物理法則無視した直角コーナリングは……。急に飛び込んでくるのはやめろっていつも言ってんだろ」


金剛「目を離したらノーって私もいつも言ってるネー!なのに最近テートクとは全然会えなかったし、だからこれはテートクが悪いんデース!」グリグリ


加賀「……何を遊んでいるのかしら」


金剛「何を言うネー!これは戦意高揚の為に必要不可欠な……」


提督「か、加賀さん、こっちの仕事がひと段落着いたから様子を見に来たんだが、どんな調子だ?」


加賀「そうね、まずはきちんと立ってもらえないかしら。格納庫の入り口でずっとそうしているのはみっともないわ」


提督「そうしたいのは山々なんだが……金剛、いい加減どいてくれ」グイ


金剛「ノー!ここ数日分の戦意を取り戻すまでは絶対離れないネー!」グググ


榛名「お姉様、あまり提督を困らせてはいけませんよ」ガシ


金剛「ハルナはモーニングからテートクと一緒にいたからそんなことが言えるんデース!」
466 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:05:36.34 ID:aJQ8XMU9o
加賀「……はあ、話が進まないのですが」


提督「ああもう、しょうがねえ、なあっ!」ガバ


金剛「ワット!?」


榛名「わあ、提督すごいです!あの体勢からお姉様を無理矢理おんぶするなんて!」


提督「お、おも……」


金剛「アーハン?」


提督「すまん、なんでもない。頼むからしばらく背中で大人しくしててくれ」


金剛「しょうがないネー」


加賀「遊ぶなら外にしてもらえないかしら」


提督「悪いけど我慢してくれ。それで、整備の状況なんだけど」


加賀「そうね、実際に見てもらう方が早いと思いますので、艦種別の整備区画にそれぞれ案内します」


提督「え、そんなに大掛かりで整備してもらってるのか、すごいな」


金剛「それならまずは私達の所から行くネー!びっくりする事間違いなしデース!」


  ***
467 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:07:33.05 ID:aJQ8XMU9o
〜戦艦整備区〜


加賀「こちらが戦艦の整備用に割り当てていただいたスペースです」


提督「広いな」


金剛「タムズやユグドラよりも整備しやすくて大助かりデース!」


整備士「あ、金剛さん!」


提督「あの人は?」


榛名「榛名達の艤装を整備していただいている主任の方です」


金剛「ヘーイ!何かあったネー?」


整備士「何かあったじゃないでしょう!作業中に勝手に抜け出したりして!」


金剛「オーウ、ソーリー。テートクの気配がしたのでついついネー」


整備士「ということは、あなたが?」


提督「うちの金剛が迷惑かけているようで申し訳ない……」


整備士「いや、わざわざ謝られるほどでは……こちらとしても彼女達の艤装は大変興味深いですし、苦労に見合う体験はさせてもらえてますよ、ははは」


提督「それで、今日はその体験の成果を見に来たのですが」
468 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:08:16.44 ID:aJQ8XMU9o
金剛「フッフーン、テートクがいない間に色々と良くなりましたヨー!」


整備士「そうですね、金剛さん、榛名さんご両人だけでなく、他の方全ての艤装に関して、今回通常のメンテナンスの他に、動力系の調整を行いました」


提督「動力って言うと……スレイブジェネレータに?」


整備士「ええ。スレイブジェネレータと周囲の接続が無茶苦茶だったので、そちらを最適化しました。というかよくあれで今まで動けましたね」


提督「そんなにやばかったのか」


整備士「それはもう。まるで元々別の何かが入っていたスペースに、無理矢理ジェネレータを押し込んだような形になっていましたから。まあ、皆さんの話を聞く限り、実際にその通りだったのかも知れませんが」


提督「そういうことは俺達じゃ手の出しようがなかったからなあ。それで、使用感は変わったのか?」


加賀「何度か試運転しましたが、出力の上がりにかなり違いを感じました」


金剛「今までの何倍かは上がっている感じがしたネー」


提督「そりゃ凄いな」


整備士「それに伴い、『アタックレベル』と呼ばれるシステムも使用可能になっています」


提督「アタ……え?」


整備士「アタックレベルです。戦闘機動を取っている時間に比例して、ジェネレータの出力が最大3段階まで上昇する、スレイブジェネレータに搭載された制御システムの通称です」


提督「えーと、つまり、戦っていると段々出力上限が上がっていくって事か」


整備士「そうなりますね。もっとも、一度戦闘機動をやめてしまうと初期状態に戻りますが。ああ、短時間に負荷を掛け過ぎても同様にリミッターがかかりますよ」
469 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:09:29.38 ID:aJQ8XMU9o
金剛「なんだかややこしいネー」


提督「俺はいいシステムだと思うけどな。他には何か?」


整備士「今の所は何も。ただ、現行の足回りでの陸上戦は不可能なので、ホバリング機能を搭載できないかと試行しているところです」


提督「そんなこと可能なのか?確かにその問題はこないだの戦闘から気にしてたことだが……」


整備士「ブリガンディアのホバースラスターをモデルに、色々と試している最中です。なに、必ずやってみせますよ。シェバトの技術を以ってすればできないはずありません!」


提督「じゃあ、よろしくお願いします」


加賀「提督、そろそろ行きましょう。次は駆逐艦と軽巡の区画です」


榛名「あ、榛名は艤装のチェックをしたいのでここに残ります」


提督「わかった。頑張ってくれよ。金剛もいい加減下りてくれないか、そろそろ腰と肩と周りの視線が痛くなってきたんだが」


金剛「まだノーデース」ギュウウ


提督「絞まってる!絞まってるから!」バタバタ


加賀「……置いていきますよ」


  ***
470 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:27:04.04 ID:aJQ8XMU9o
〜駆逐、軽巡区画〜


加賀「着きました」


提督「ひい、ひい」


金剛「テートクゥ、こんな程度で息切れなんてしちゃって、トレーニングが足りてないヨー!」


提督「好き勝手言ってくれるなあちくしょう」ゼーゼー


北上「あれ、提督じゃん、お久しぶりー。元気だった?」


提督「ま、まあな、こっちも中々忙しくてな、様子を見に来る暇もなかったんだよ。つっても久しぶりって程ではないと思うけどな」


北上「そうだっけ?まー私も色々やってたからねー。こないだユイさんの料理を食べたのがもう一月くらい前の気がするねえ」


提督「流石にそれは盛りすぎだろ……」


夕立「あー!金剛さんずるいっぽい!」


提督「げ」


夕立「夕立も提督さんに遊んで貰いたいっぽい!」ダダダ


提督「待て、夕立、ストップ!」ビシ


夕立「!」ピタァ
471 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:28:10.30 ID:aJQ8XMU9o
提督「後で遊んでやるから、頼むから飛び込んでくるのは辞めてくれ、な。これ以上負担がかかったらマジで死ぬから」


夕立「ぶー、しょうがないっぽい」


提督「夕立は偉いなあ」ナデナデ


金剛「……何か私、損した気がしマース」


提督「そう思うんなら下りたほうがいいんじゃないか?というかマジで下りてください」


金剛「ンー、そこまで言うなら下りてあげマース。これからは目を離したらノー!ですからネー!」


提督「へえへえ、善処します」


加賀「……そろそろいいかしら。こちらの作業の進捗を報告してもらいたいのですけれど」


北上「へへ、実は提督の事待ってたんだ。ちょっとこれ見てよ」


提督「ん?こりゃ副砲の弾だろ。これがどうかしたのか」


北上「ただの弾じゃないよー?なんとこれ、ここの工廠で一から作ってもらったんだよ」


提督「嘘ぉ!?こんな短期間でか」


北上「ホントだってー。いやあ、ここの技術力ってば凄まじいよねー。ちょっとの残弾からすぐに同じもの生産しちゃうんだもん。
これはまだ試作品だけど、すぐに量産できるようにしてくれるってさ」
472 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:29:05.77 ID:aJQ8XMU9o
提督「それじゃ、ようやっと北上もまともに戦えるようになるのか」


北上「ほんと、ようやくって感じだよー。魚雷も海戦以外でも使えるように何とかしてくれるらしいし、これからの北上様の活躍、期待してくれちゃっていいよー?」


提督「ああ、そのときはしっかり働いてもらうから安心しろ」


北上「うーん、楽しみで待ちきれないねえ。あ、そうだ。提督、今から私の演習付き合ってよ」


提督「今から?悪いけどまだ空母の方の様子も見ておきたいし」


北上「まあまあ、そんなの後でいいじゃない。提督だってギアの操縦訓練しなきゃいけないんでしょ?一石二鳥ってことでさ、ほらほら」グイグイ


提督「おい、ちょっと押すなって!」


金剛「ウーン、カガも大変ネー。私、同情するデース」


加賀「……貴女には言われたくないです」


  ***
473 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:30:55.57 ID:aJQ8XMU9o
今回はここまで。冒頭の理由につき、しばらくは不定期に投稿していく事になります。なるべく毎週更新できるようにはしていきますのでよろしくお願いします。それではまた。
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 23:42:06.30 ID:T7Zbhp7R0
あけあめ〜そして更新乙
気長に待つから無理の無いペースでええんやで
リアル大事に後、体も大事に
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/29(日) 01:37:01.46 ID:GcD0B1/40

レス1ヶ月
>>1が2ヶ月だっけか気長に待つでな
476 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:41:59.40 ID:a9PPEwz4o
お待たせしました。書き溜め分投稿します。土日休みが欲しい……。
477 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:52:27.59 ID:a9PPEwz4o
〜空母整備区画〜


技師「お疲れ様でした。今回も上手くいきませんでしたね」


大鳳「……仕方ありません」


技師「それにしても悔しいですね。データは十分に揃っているのに実現できない。我々の技術の限界を思い知らされているようだ」


大鳳「私も悔しいです。あの子達の事、もっと分かっているつもりだったのに……」


技師「大鳳さんはよくやってくれていますよ。お陰様で有用なデータがかなり取れているんですから」


大鳳「エアッドの技術を利用した艦載機の生産、本当に可能なのでしょうか」


技師「……正直なところ、まだどうなるかは……。大鳳さんのおっしゃるとおり、少しずつ前進を見てはいるんです。もう少し、我々にエアッドの知識があれば……!」


大鳳「そう、ですか」


技師「しかし、まだ諦めてはいません。必ずや、われわれシェバトの技師の誇りにかけて……!」


シタン「あの、ちょっとよろしいですか?」


技師「あなたは……」


大鳳「シタン先生?」


  ***
478 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:52:53.88 ID:a9PPEwz4o
〜また数日後 屋外フロア〜


提督「ここと、ここと、ついでにこのボタンで、起動、と」カチャカチャウィーン


北上『どうなのさ、提督?ちゃんと起動した?』


提督「ああ、今立ち上がった所だ。機体を起こすぞ」ガチャガチャ


夕立『おお、動いたっぽい!』


提督「危ないから離れとけよ」


整備士『流石に下界のギアに乗ってただけあって、基本的なことはすぐできますね』


提督「まあ動かすだけならタムズのギアとあまり違いはないみたいだからな。問題はここからだ」ガチャガチャ


整備士『では早速ですが、飛行訓練の方に行ってみましょうか。打ち合わせどおりにお願いします』


提督「了解。まずは飛行ユニットを吹かして微上昇……おお」フワッ

提督「飛んでる!すげえ!」


北上『なんかすごい今更感ある感想じゃない?』


提督「いやあ、実際自分で飛ぶとなると実感が湧くと言うか」グラ

提督「おわあ!?」
479 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:53:30.02 ID:a9PPEwz4o
整備士『気を抜いちゃダメですよ。初飛行ですがオートバランサーは切ってありますので』


提督「何で!?」


整備士『なるべく早く飛行技術をマスターするようにという加賀さんの要望でして』


提督「む、無茶苦茶だ……」ドキドキ


整備士『本当に墜落しそうになったらオートパイロットが働くので大丈夫ですよ。さあ、次のステップです』


提督「ええと、王宮フロアあたりまで上昇、と」ゴオオ


北上『お、いい調子じゃん』


提督「……よし。次は新型無線機のテストか。あーあー、金剛、榛名、聞こえるか?」


榛名『はい、こちら格納庫より榛名です!無線の感度良好ですね、提督!』


金剛『ばっちり聞こえてマース!訓練の方は順調ですカー!?』


提督「ああ、なんとか生きて空を飛んでるところだ。しかし凄いなこの無線。この距離でこれだけの障害が間にある通信にほとんどノイズが入ってない」


榛名『通信可能な範囲はもっと広いと言う話ですから、戦闘中の通信に困ることはなさそうですね』


提督「だな」
480 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:54:31.11 ID:a9PPEwz4o
提督「んで、そっちの進捗はどうなんだ?」


榛名『はい、ホバー機能の件の方は上手くいきそうです。現在、榛名とお姉様の艤装をモデルにしてのテストが最終段階に入っています』


提督「そうか。それじゃ引き続きそちらの整備担当とよく協力してくれ。俺達も今や名実共にシェバトの一員だからな」


金剛『そんなこと言われるまでもないネー!ところでテートクゥ!そちらはランチタイムまでにはフィニッシュしそうですカー?市街地にジュークボックスのあるアダルティーなお店があったネー!』


提督「いや、こっちは結構かかりそうだ。悪いけどまた今度にしてくれ」


金剛『ぬぐぐ、仕方ないデース。代わりにマリアを誘ってみマース……』


榛名『お姉様、そろそろお時間ですよ』


金剛『ワット?もうそんな時間ですカー!?』


榛名『提督、整備士の方に呼ばれているのでそろそろ失礼します。飛行訓練の方、頑張ってくださいね。榛名、応援してます!』


金剛『あ、ちょ、離すネハルナー!テ、テートクゥ!せめてアフタヌーンティは一緒に』ブツッ


提督「……仮にもテストなんだから真面目にやって欲しかったんだが……まあいいか」


北上『提督、通信テスト終わったー?』


提督「はいはい、終わりましたよ」


北上『なんで敬語?』
481 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:55:05.04 ID:a9PPEwz4o
整備士『ではいよいよ本番、戦闘機動訓練に入ります。安全策は施していますが、下手をすると怪我ではすまないかもしれません。集中を切らさないように』


提督「げ、もうかよ。せめてもうちょっと心の準備を……」


夕立『へーきへーき、提督さんならきっとやれるっぽい』


北上『そうそう。シミュレーションではちゃんとできたんでしょ?大丈夫だって』


提督「あん時はオートバランサーがあったからだよ!風にちょっと煽られるだけでも大忙しなんだぞ今!」ガコガコ


北上『なに弱音吐いてんのさ。私達と一緒に前線に立つって言うならこれくらい出来なきゃダメでしょ』


夕立『こないだみたいな事はもうイヤっぽい』


提督「うぐ、それを言われると確かにそうだけど」


整備士『さあ、愚痴っている暇はありませんよ。まずは障壁ギリギリの所を所定の時間で周回してもらいます』


提督「ああもう、なるようになれだクソォ!」ビュン


  ***
482 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:55:34.66 ID:a9PPEwz4o
〜しばらくして〜


整備士「……うん、想定より上達が早いですね。やはりギア搭乗経験ありという事が大きいのでしょうか」


北上「いやあ、案外加賀さんのスパルタ作戦が効いてるのかもよ?提督もああ見えて士官学校出てるだけあって体育会系だし」


夕立「さすが加賀さん。提督の事良く分かってるっぽい。けど……ふああ、いい加減提督さんの訓練見てるだけじゃ飽きてきちゃった」


整備士「では、そろそろ次のステップへと進みましょうか」


北上「お、いよいよ私達の出番だね」


夕立「待ってました!っぽい!」


整備士「あーあー、提督、そろそろ次のステップに移ります。一旦こちらに戻ってください」


提督『了解』ギューン


北上「お、もう来た」


提督『ん、というか次のステップって何だ?打ち合わせじゃ今日はこれ以上のことはやらないって話だったが』


整備士「ええまあ、すぐに分かりますよ。お二方」


夕立「バッチリっぽい」ガシャ
483 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:56:15.45 ID:a9PPEwz4o
北上「それじゃ私から……よいしょ!」ドォン


提督『ぎゃあああああ!』ビュン

提督『何撃ってんだ!冗談でもやめろ!』フラフラ


北上「大丈夫だって、模擬弾だから当たっても爆発はしないから」ガシャ


提督『あんな質量が機体にぶつかるだけでもあぶねえだろ!第一、周りの建物に当たったらどうするんだ!』


北上「その辺は事前に対策してるからへーきだよ」


整備士「と言う事です。これが本日の最終メニューになります」カキカキ


提督『って事はこれも……』


整備士「ええ、加賀さんの要望です」


提督『鬼か!』


夕立「そろそろ夕立も撃っちゃうっぽい!てー!」ドン


提督『あああああ!』


北上「それそれ」ドォンドォン


提督『なああああああああ!!!』ビュンビュン
484 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:56:45.56 ID:a9PPEwz4o
整備士「……うん、これは興味深い。異世界人を名乗るだけあって採れる機体データが我々とは全く違う」


提督『ちっくしょう、付き合ってられるか!』ビュン


夕立「あー!逃げちゃダメっぽい!」ドン


提督『あっぶねえ!』


夕立「夕立と北上さんの射撃訓練も兼ねてるんだから、提督さんはちゃんと避けてくれてないと」


提督『ひっでえ』


北上「それじゃ、そろそろこれも試してみましょうかね!』ガション


提督『は?』


北上「新型五連装酸素魚雷、発射ぁ!」バシュ


提督『そんなの聞いてな』ガイン


夕立「あ、命中したっぽい」


提督『ああああああああああああああああ』ヒュウウ


夕立「あ、墜ちたっぽい」


北上「あちゃあ、もしかしてやりすぎた?」


整備士「問題ありません。ほら」
485 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:57:41.97 ID:a9PPEwz4o
夕立「あ、持ち直したっぽい」


整備士「あの動きはオートパイロットですね」


北上「提督、生きてる?」


提督『……たぶん。昼飯前だったのが不幸中の幸いだ……』ゼエゼエ


北上「いやあ、まさかこれほどの性能とは。ハイパー北上様はご機嫌ですよ」


提督『今の砲撃、魚雷発射管から飛んできたように見えたんだが』


北上「そうだよ?地上でも使えるように改造してもらったんだー♪」


提督『それもう魚雷じゃなくて無誘導ミサイルのような……おえ』


夕立「提督さん、大丈夫?」

北上「やー、訓練とはいえ、流石にやりすぎたかもね。ごめんね提督」


提督『いや、お陰で初日とは思えないくらいには飛べるようになったからな。一応本当に安全確保もされてたし……』


大鳳『提督!!!』


提督『な、なんだ!?大鳳か?』


大鳳『提督!大変なんです!すぐこちらに来てください!』


提督『あ、ああ、分かった。場所は格納庫の整備ブロックでいいんだよな?』


整備士「それでしたら提督、本日の訓練の締めとして、そこまでギアで飛行していってください。どうせギアも格納庫に収容する予定でしたから」


提督『了解。すぐ向かうからな!』ギュン


夕立「……行っちゃったっぽい。どうしたんだろ、大鳳さん」


北上「さあ?」


  ***
486 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:58:22.08 ID:a9PPEwz4o
今回はここまで。次回もいつになるか未定です。なるべく2週間以上空けないようにします。それでは。
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/03(金) 09:27:42.32 ID:/U65rEaS0
乙乙
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/04(土) 14:58:21.93 ID:1n+aNbnj0
乙、この前アーカイブス買っちゃったぜ!
vitaでプレイしてるけどストーリー結構忘れてるな……タムズに到着するのって中盤の方だったんだな
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/05(日) 08:04:37.93 ID:3UWcDkojO
まだかぁー
490 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/07(火) 23:49:32.08 ID:kbarzlgbo
お待たせしました。スレ落ちてない……ですよね?
491 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/07(火) 23:51:57.20 ID:kbarzlgbo
あ、落ちてないみたいで良かったです。お待ちいただいた方には本当にごめんなさい。投稿始めます。
492 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:00:57.32 ID:fIAZGYz2o
〜格納庫〜


提督「ふう。あっという間に到着、と。おーい大鳳、どこだー?」


大鳳「ていとくー!」


提督「おお、いたいた。さっきはどうしたんだよ」


大鳳「いいから来てください!」グイ


提督「なんだなんだ?」


  ***


大鳳「これです、見てください提督!」


ブーン


提督「これ、艦載機か?」


大鳳「はい!ついに成功したんです!こちらでの艦載機の生産に!」


提督「へ、へえー。それは良かった」


大鳳「これで散っていった妖精さんも帰ってこられます。本当に良かった……」


シタン「ええ、まさかここまで上手くいってしまうとは。私にも予想外でした」


提督「シタン先生?」


大鳳「今回開発が成功したのは、何といってもシタン先生のお陰なんです。先生のエアッドの知識が無ければとても……」


シタン「いえいえ、私はちょっとばかり設計に口を出しただけですよ」
493 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:01:24.99 ID:fIAZGYz2o
提督「……うーん」


大鳳「提督?さっきからあまり浮かない顔をしてらっしゃいますけど、どうかしたんですか?」


提督「いや、この艦載機なんだけどさ」


大鳳「はい?」


提督「めっちゃデザイン変わってね?」


大鳳「え、ええ、そうですね。シタン先生の設計ですから」


シタン「エアッドを設計の基盤にしていますから、必然全体のフォルムが流線型になりましたね。何か問題がありましたか?」


提督「いや、このデザイン、ヲ級が使ってた艦載機にすごく似てるんだけど……。表面のつるつる具合とか」


大鳳「え、そうでしょうか……?あれほど禍々しい形ではないと思いますよ」


提督「うーん、色が結構違うから分かりにくいかもしれないけど、やっぱり似てると思うぞ」


シタン「ヲ級というのは、あなた方が向こうの世界で戦っていた敵ですか?」


提督「ああ、まあ。うーん、考えすぎかな」


大鳳「きっとそうですよ。そんな偶然ある訳ないです」


シタン「そうですね。あまりに様変わりしすぎたものですから、以前見たことのある別の物との類似性を無意識に見つけようとしたのでしょう」


提督「そうかもなあ。まあとにかく、良かったな大鳳。加賀さんには知らせたのか?」


大鳳「はい。加賀さんは今開発チームと一緒に最終調整をしています。頑張っている提督には負けられないって意気込んでましたよ」


提督「はー、あの加賀さんがね」


大鳳「それで、提督にも色々とやって頂きたいことがあるのですが……」


提督「ん、色んなとこの許可貰ったり書類書いたりだろ?ちょっと前に弾薬の件で散々やったからな。そこは任せとけ」


大鳳「お願いします。まずは加賀さんと合流しましょう」


提督「オッケー。それじゃシタン先生、今回はどうもありがとう」


シタン「礼には及びません。丁度ヒマを持て余していたところですから」
494 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:01:51.09 ID:fIAZGYz2o
提督「ヒマだったって、ユグドラシルの方で色々やることがあるんじゃ?」


シタン「いやあ、それがそうでもないんですよ」


提督「え?」


シタン「ユグドラは若くんの部下だけで元々回るようになってますし、私の仕事といったらヘイムダルの整備くらいで……。
そんなところをジェサイア先輩に見られたら酒盛りに付き合わされますし、こちらで設計を手伝わせてもらえてむしろ感謝していますよ」


提督「ははは、お互い人間関係には苦労が絶えないようで……」


シタン「いや全く……。と言っても、提督はあまりそういう苦労をされているようには見えませんが」


提督「まあ、金剛とか大鳳とかは比較的マシな方だからなあ。酷いと長いこと付き合っててもクソ提督呼ばわりしてくるのとか、
怒るとすぐ執務室に爆撃かけようとしてくるヤツとか、そりゃもう色々と……」


大鳳「あの、提督。そろそろ行かないと」


提督「え、ああ。そうだな」


シタン「ああ、申し訳ない。私としたことが、無駄に引き止めてしまいましたね。いやあ、妻にしつこいとよく怒られるのですが、
いやはや、性分というのは中々直らないものですねえ」


提督「とんでもない、久々に昔話ができて嬉しかったよ」


シタン「では私もこの辺で。夕食までミドリと遊ぶ事にしますよ。たまには父親らしい事もしてやらないと、本格的に口を利いてくれなくなりそうですからね。それでは」スタスタ


提督「……妻子持ちって大変だな」


大鳳「?シタン先生と何の話をされてたんですか?」


提督「まあちょっと、男の話だよ」


  ***
495 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:02:44.03 ID:fIAZGYz2o
マリア「……こちらパトロール中のゼプツェン、シェバト南方に異常ありません。予定通り帰投します」

マリア(今日もソラリスの襲撃はなし。一体やつらは何処に……ソラリス本国の位置さえ分かれば、私だけでも……)

マリア(いけない!私はまた同じ失敗を……私がもっとしっかりしていれば、シェバトの被害はもっと少なかったかもしれないのに。
アハツェンに、父さんの機体に、あんなことさせずに済んだかもしれないのに……)

マリア「……父さん」

マリア(……ソラリスを倒すため、今私にできることは、シェバトを守ること。フェイさんや金剛さん達が戦い準備をしている間、
私がシェバトを守る!それがソラリスを倒す一番の道。女王さまだってそう言っていたんだから。だから……)


マリア「……帰りましょう、ゼプツェン」


〜17格納庫〜


マリア「……ふう」カチャカチャ


整備員「お疲れ様、マリア。仕上げは俺達でやっておくから、後は任せてくれていいぞ」


マリア「え?でも……」


整備員「まあまあ、じつはマリアに客が来ててな。あっちに待たせてあるんだよ。そっちの相手をしてくれ」


マリア「あっち?ええと……」


金剛「マーリーア!」バッ


マリア「きゃあ!」


金剛「パトロールお疲れ様デース!突然ですガー?私とハルナのランチのお誘いに来たネー!」


マリア「え、遠慮します!もう、驚かすのはやめて下さいっていつも言ってるじゃないですか!」


金剛「細かいことはいいんデース!さあ、ハルナが待ってマス!レッツゴーネー!」ズルズル


マリア「ちょっと、人の話を聞いてください!」


  ***
496 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:03:15.18 ID:fIAZGYz2o
金剛「〜♪」


マリア「ちょっと……もう、離してください!」グイグイ


金剛「ノー!今日という今日は逃がさないネー」


マリア「どうしてそこまで私に付きまとうんですか!」


金剛「勿論、今のマリアを放っておく事なんてできないからデース」


マリア「何ですか、それ。同情で言っているなら……」


金剛「ンー、ちょっと違うネー」


マリア「……」


金剛「マリアは思ってることとかを表に出さずに溜め込んじゃうからネー。それじゃ良くないと思ったんデース」


マリア「……会って間もない貴女が、私の何を知っているんですか」


金剛「オーウ、私にはお見通しデース!何てったって私、お姉ちゃんですからネー」


マリア「意味が分かりません」


金剛「鎮守府にも色んな子がいるって事デース。その中にはマリアみたいな子もいるネー。頑張り屋で、何でも自分の力で解決しようとして……。
そういう子はいつもこうやって無理矢理にでもお話するチャンスをメイクしてるんデース」


マリア「父さんやソラリスのことは私の問題です。それを私が何とかしようとして、何がいけないんですか」


金剛「今はもうそうはいかないネー。ソラリスは私達の共通の敵デース。それに、マリアが出る前に私達があのギアを止めていればマリアが悩むことは無かったネー。
そういう意味では私達にも責任がありマース」


マリア「そんな、皆さんはシェバトを守るために全力を尽くしてくださいました。父さんを助けられなかったのは私の力不足です」


金剛「それを言うなら、シェバトを最後に守ったのはマリアデース」


マリア「……」
497 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:03:52.16 ID:fIAZGYz2o
金剛「つまり、マリアのファザーの事は私達とマリア、それにシェバトのせいだし、ここにいる皆を守れたのも、やっぱり私達みんなのおかげデース」


マリア「……それで、金剛さんは私にどうして欲しいんですか」


金剛「ンー、マリアはもうちょっと皆と話をするといいと思うネー。今のシェバトには私達はもちろん、フェイ達だっているネー。
こんなに沢山人がいるのに、自分だけで何かしようなんてもったいないに決まってマース!」

金剛「そーれーに!」ギュ


マリア「きゃあ!」


金剛「こーんなキュートな子を一人で戦わせるなんて、そんなことしたらキリシマやヒエイがカンカンになるデース!」


マリア「その方達は、元の世界にいる方なのですか?」


金剛「イエース!二人とも私の自慢の妹ネー!」


マリア「そのお話……提督も、似たような事をおっしゃっていました。私と父さんが戦うのを黙って見ていたら、元の世界に置いて来た方たちに申し訳が立たない、って」


金剛「え、テートクが?」


マリア「ええ。ですから、皆さん同じように考えているのかなって……違うんですか?」


金剛「ンー、まさかテートクがそんな事言うなんて思ってなかったネー」


マリア「くす、金剛さんも提督とお話したほうがよろしいのでは?」


金剛「ウー、テートクはテートクだから、いつも皆の話を聞く側デース。そういえばテートクのお話はあんまり聞いた事がないネー……」


マリア「金剛さんも、もっと提督とお話しなきゃいけませんね」


金剛「イエース。でもその前にマリアとお話したいデース!」


マリア「そう、ですね。私も、金剛さんのお話がもっと聞きたいですわ」


金剛「……!!そうと決まれば急ぐネー!街でハルナが待ってるヨー!」グイ


マリア「あっ!そんなに急がなくてもお昼は逃げませんよ!」


金剛「ゆっくりなんてしてられないデース!あ、私のことは遠慮なく『お姉ちゃん』って呼んでくだサーイ!」


マリア「いや、それはちょっと……」


  ***
498 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:06:01.79 ID:fIAZGYz2o
今回はここまで。いい加減更新頻度がヤバイので次回は必ず来週投稿にします。それでは。
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 00:40:04.47 ID:Q7emRNTcO
おつ
見てるよん
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 10:15:52.75 ID:QKUbaYKlO
金剛型五番艦マリア!出ます!


アリだな…
501 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:22:03.13 ID:S0fTDCMUo
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
502 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:38:53.07 ID:S0fTDCMUo
〜別の日 アウラ・エーペイル〜


提督「へー、ここがそうなのか」


北上「そーそー。中々いいところでしょ?」


提督「ああ。まさか街の中央塔の屋上が芝生の庭になってるなんてな。立派な木まで生えてるし、一体どうなってんだ」


北上「ほら、ここからだと街が一望できるんだー。提督ってばここの所こういう景色も楽しんだり出来てなかったんじゃない?」


提督「ギアの訓練で上空を飛んではいるんだけどな。確かにまだ操縦に手一杯で景色を楽しむ余裕はないな」

提督「……おー、こりゃすごいな。誰に聞いても満点と答えそうな絶景だ。ああ、いや、大鳳を除いてかもしれんが」


北上「んー、そうでもないと思うよ。あの人もうここの足場に慣れてるっぽいし。今朝だって朝ごはんの前にこの辺でランニングしてたし」


提督「そういえばこないだ大鳳に呼び出されたときもすっかり慣れてる様子だったな。一体いつの間に成長したんだ?」


北上「シェバト防衛戦の後にはもう大丈夫だったみたいだよ?『必死に戦ってたら、いつの間にか怖くなくなってました!』って言ってた」ウラゴエ


提督「今の大鳳のモノマネか?」


北上「似てたでしょ?」


提督「まあまあな」


北上「へへー」ゴロ
503 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:39:33.93 ID:S0fTDCMUo
提督「服汚れるぞ」


北上「最近よく来るから慣れてるし」


提督「最近ったって、お前らもずっと忙しかったんじゃないのか?」


北上「そうそう。薄暗い地下ドックでずっと装備の相手してたからねえ。たまの休憩にちょくちょく来てたって訳」


提督「今日もそんな所で良かったのか?折角だからもっと色んなところ回ったっていいんだぞ」


北上「いーのいーの。タムズにいたときに一番乗りだったご褒美って言ったって、ここ最近のどたばたで私もすっかり忘れてたし、
どうせすぐまた忘れそうだったからねー。それに、いつもはここでのんびりしてると怒った加賀さんがすぐ来ちゃってあんまりゆっくりできないんだよねー」


提督「休憩じゃなくてサボってるだけじゃねえか」


北上「まあまあ」


提督「あんまり加賀さんに負担かけるんじゃないぞ」


北上「はいはい、お説教も無しでしょ。今日は私のための休みなんだし」


提督「……しょうがねえな」


北上「よろしい。ほら、提督ももっとこっちに座んなよ」ポンポン


提督「はいはい、よっと」


北上「……ふー、風が気持ちいいねえ」
504 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:40:00.50 ID:S0fTDCMUo
提督「ああ、そういやこんな高度なのに全然寒くないな。障壁のお陰なのかね」


北上「さあ、それはどうでもいいけど。うーん、こうやって風に当たってると、鎮守府の潮風を思い出すねえ」


提督「やっぱさ、北上もたまに寂しくなったりするのか?」


北上「急にどうしたのさ、真面目な顔になっちゃって」


提督「いや、いつか聞こうと思ってた事なんだけどな、こっちに飛ばされてきてから結構経つから、不安とか無いかなーと」


北上「んー、大井っちとかの顔が見たいなーってたまに思うけど、それくらいかなー」


提督「……本当に大丈夫か?」


北上「んー?何か提督、いつもより優しいんじゃない?」


提督「いや、いつもと変わらないつもりだけど」


北上「じゃあ仮にさ、ほんとに寂しいから今すぐ帰りたいって私が言ったらどうするのさ」


提督「う、それは……」


北上「あはは、だから大丈夫だって。あんまり心配してないってのは本当だよ。向こうの事も、こっちの事も、なんとかなるでしょ」


提督「……そうか、それならいい。それじゃ今日は存分にのんびりしてくれ」ペラ
505 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:40:29.13 ID:S0fTDCMUo
北上「ん?何の本?」


提督「シェバトギアの構造の本。整備士連中にギア乗るなら勉強しとけって渡された」


北上「はい没収ー」ヒョイ


提督「あ、何すんだ」


北上「うへー、最初のページから何書いてあるか全然わかんないや」ペラペラ


提督「まあ、俺も半分分からないまま読んでるからなあ。とりあえず返してくれ」


北上「ダメですー。今日は私に付き合う日なんだから、提督も休まなきゃ駄目でしょ」


提督「……お前もしかして、俺の息抜きも考えてここにしてくれたのか?」


北上「まさか、そんなわけないでしょ?せっかく大手を振ってのんびりできるのに、一緒にいる提督が勉強なんてしてたらこっちが落ち着かないじゃん」


提督「まあ、そういうことにしといてやるよ。ありがとな」


北上「だから提督のためじゃないってば。それよりほら、何か面白い話してよ」


提督「おう、それじゃこないだ偶々目撃したリコとバルトの喧嘩の話でもするか」


  ***
506 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:40:58.88 ID:S0fTDCMUo
〜次の日〜


マリア「……ですから、空中で格闘戦を行う場合、より高い高度にいた側が有利に立てるのです」


提督「うーん、理屈は何となく分かるんだが、あんまり実感が湧かないな。第一、まだまだ空中での行動も覚束ないのにそんな事気にして動けるのだろうかね」


マリア「そんな甘い事は言っていられません。ソラリスのギアはいつ攻めてきてもおかしくないのですから、提督には一刻も早くギア戦に熟達していただきますわ。
それを皆望んでいます」


提督「は、はい。精進します」


マリア「では、今日の座学はここまでとしましょう。午後からは実戦形式で今覚えた内容を理解してもらいますので、そのつもりで」


提督「よし、その前に昼飯だな。良かったら一緒に食べるか?」


マリア「いえ、折角ですが先約があるので……」


金剛「マールィアー!迎えに来たネー!」ネイティブ


マリア「金剛さん。時間には間に合うから待ってて下さいと言ったじゃないですか」


金剛「私もそのつもりだったけど、ちょっと時間が空いたからこっちまで……オーウ、今日はテートクと何かしてたんですカー?」


提督「ああ。マリアにギア戦のいろはを教えてもらってたんだ。こっちに関しちゃマリアは大先輩だからな」


金剛「ウー、何か楽しそうネー。私も混ざりたかったデース」


提督「いや、頼むから自分の仕事をしてくれ……」


マリア「では提督、金剛さんとお昼をご一緒する約束でしたので、また午後に」


提督「ん、ならしょうがないな。一人で食ってくるわ」


金剛「そういう事ならテートクも一緒に行くネー!」


提督「え、いいのか?」


金剛「オフコース!マリアもいいですよネー?」


マリア「ええ、私も構いませんわ」


提督「ならまあ、一緒に行くか」


  ***
507 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:41:25.57 ID:S0fTDCMUo
提督「……それで訓練中に近くを飛んでた鳥があんまり大きくてさ、びっくりしすぎて危うくドックに突っ込むところだったよ」


金剛「へー、そんなビッグな鳥がいるなら実際に見てみたいネー。マリアは見たことありますカー?」


マリア「ええ、パトロール中にたまに見かけますよ。遠くを飛んでいるグリフォンとか」


金剛「それだけ大きかったら食べ応えありそうデース」


マリア「いえ、実際はそうでも……。シェバトの食糧問題解決の為にそういう試みがあったらしいのですが、
食べられたものではなかったそうですよ」


金剛「オーウ、夢の無い話ネー……」


提督「なんか二人とも、いつの間にかすっかり仲良しになってるな」


マリア「ええ、今では金剛さんは大事なお友達です」


金剛「そこは『お姉ちゃん』って言って欲しいネー。もう、ずっとそう言ってるのに全然呼んでくれないんだかラー」

提督「……」

提督(まさか、金剛がずっとマリアに構ってたのって……)


マリア「ふふ、それは諦めてください」


金剛「しょんぼりデース」


提督「全く、あんまり無茶言うんじゃない。悪いなマリア。いつも迷惑掛けてるかもしれないけど、良かったらこれからも金剛と仲良くしてくれ」


マリア「もう慣れました。それに、金剛さんが本当は良い人だって、私、分かってますから。提督も、これからよろしくお願いします」


提督「ああ、もちろんだ」
508 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:41:54.62 ID:S0fTDCMUo
マリア「なんだか、提督って皆さんの保護者みたいですね」


提督「保護者というか……まあ、ある意味そうではあるかもしれないけど」


金剛「あ!それならテートクの事を『お兄ちゃん』って呼ぶのはどうですカー!?」


マリア「……ええ!?」


提督「おい、なんでそうなる」


マリア「そ、そうです!さっきの話と全然関係ないじゃないですか!」


金剛「そんな事ないデース!テートクがお兄ちゃんなら、私は『お義姉ちゃん』って事になるネー!これならパーフェクトデース!」


提督「何も完璧じゃないんだが」


マリア「そ、そうですよ、もう!いい加減からかうのは止めて下さい、金剛さん!」


金剛「え、私は本気で……」


マリア「知りません!ほら、早く行かないと午後のお仕事に間に合いませんよ!」


金剛「あっ!待ってくだサーイ!


提督(……うーん、マリアにお兄ちゃんと呼ばれるのか……)

提督「……アリだな!」


金剛「テートクゥ!急がないと置いて行かれマース!」


提督「あ、ああ!」タッタッタ

提督(……)


  ***
509 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:42:27.57 ID:S0fTDCMUo
〜数日後 王宮〜


ガチャ


夕立「おはようございまーす。女王様、お話ってなあに?」


フェイ「遅かったじゃないか。あんたたちで最後だぜ」


提督「すまない。ちょっと準備に手間取って……って、ユグドラシルの面子も召集されてたのか?」


ビリー「ええ、なんでも女王様自ら大事なお話があるとかで……」


ゼファー「全員揃ったようですね」


フェイ「それで女王、話っていうのは?」


ゼファー「ではまず……、ありがとうございました、みなさん。ジェネレーターの修理も完了し、障壁も従来通り展開されています」


榛名「結局、あれ以来一度もソラリスが攻めてくることはありませんでしたね」


バルト「へっ、奴らもまさかあの赤いギアがやられるなんて思ってなかったんだろうよ。いい気味だぜ」


マリア「……」


バルト「あ、わ、わりい。お前の親父さんの事を悪く言うつもりは無かったんだ」


マリア「分かってます、大丈夫です」
510 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:43:00.83 ID:S0fTDCMUo
ゼファー「……マリア、先の戦いではよく頑張ってくれましたね。ニコラ博士の事は、本当に無念です……。
博士をあそこまで追いやったソラリスを倒して、真の自由を取り戻さなくては」


マリア「……はい」


金剛「マリア、元気出すネー」


マリア「ありがとうございます、金剛さん」ソモソモソラリスハイッタイドコニ……

マリア「他の皆さんも、私なんかを気にかけて頂いて、とても励みになりました。でも、もう大丈夫です」


北上「大丈夫って……どういう意味さ」ゲートノヒトツハキョウカイノチカニ……


マリア「私、決めました」


ゼファー「それと、先ほど気になる知らせが入りました」


提督「知らせ?」


ゼファー「ニサンにアヴェの軍隊が侵攻したとの事です」


バルト「なんだって……!?シャーカーンの野郎!!」


大鳳「ええと、アヴェ王国はイグニス大陸の一大国家だったと思いますが、ニサンというのは?」


提督「ニサンは同じくイグニスにある宗教国家だ。アヴェとはトップが血縁関係なのもあってかなり仲が良かったはずだが」


バルト「そんなもんはとっくの昔、シャーカーンのハゲがクーデターを起こす前の話だ!あの野郎、アヴェの次はニサンにも手を出そうってのか!!」


北上「ちょっとちょっと、急にどうしたのさ」


シタン「……若君は、クーデターで亡くなった前国王、エドバルト4世の実子、つまりはアヴェの王子なんですよ」


榛名「!?」


北上「冗談……じゃなさそうだねえ。提督は知ってたの?」


提督「いや、俺も知らなかったぞ……」


榛名「と言うことは、シャーカーンと言う方はバルトさんの……」


シグルド「ああ、そうだ。若様にとっての、いや、我々にとっての最大の敵だ。やつを倒すために、我々は今まで力を蓄えて来たのだ」


提督「しかし、ちょっといきなり過ぎないか?一体何が目的なんだ」


ゼファー「シャーカーンの目的は、恐らくかの地に眠るアヴェ王家の秘宝。ロニ・ファティマの封印したギア・バーラー!」


金剛「ギア・バーラーって……」


提督「ああ、こないだ話したばっかのアレだな」
511 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:43:33.66 ID:S0fTDCMUo
バルト「ちくしょう!!こんなとこでグズグズしてられないぜ!俺は行くぜ、ニサンに!シャーカーンの野郎の好きにさせてたまるかッ!」


フェイ「そうだな。ニサンの人たちを見殺しには出来ない。ニサンへ急ごう!」


ゼファー「あなた方の艦には、飛行ユニットを取り付けておきました。元々は、バルトの先祖、ロニの船で使用されていたものです。
遠慮なく使ってください」

ゼファー「それと、提督」


提督「はい?」


ゼファー「良い機会です、あなた方もフェイと共に地上へ降り、任務を開始しなさい」


提督「わかりました」


金剛「言われるまでもないネー!」

北上「これは早くも新装備のお披露目ができそうで……腕が鳴るねえ」

加賀「準備はできています」

大鳳「行きましょう、提督!」

夕立「また新しいところっぽい?」

榛名「がんばりましょうね、夕立さん」


マリア「あのう、ユグドラシルの皆さん……」


金剛「マリア?……アッ!マリアとお別れするのは……」


マリア「私もあなた方と一緒に連れて行ってもらえませんか?もう、じっと待っているのはイヤなんです」


金剛「ワット!?」


ゼファー「……私からもお願いします。フェイ、マリアを連れていってやってください。この子は、幼くして運命と戦わざるを得なくなってしまった。
自分なりの決着がつかぬ限り、先へは進めないでしょう」」


金剛「それなら私達と一緒に……」

提督「やめとけ」


金剛「なんで止めるんデース、テートクゥ!」


マリア「……ごめんなさい、金剛さん。私、自分の手でソラリスとの決着を付けたいんです」


提督「俺達よりフェイ達の方が目的により近いからな。しょうがねえよ」


フェイ「よし、わかったよ。一緒に行こう、マリア。今日からは俺達の仲間だ、君と……、君のゼプツェンも」


マリア「はい!」


金剛「ウゥ、マリアァ……」グス


提督「まだ泣くには早いだろ……少なくともニサンの事は俺達も協力するんだから」


金剛「マ゛リ゛ア゛ァァァ!地上に降りるまでいっぱいお喋りするネ゛ェ゛ェ゛!」ギュウウ


  ***
512 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:44:09.34 ID:S0fTDCMUo
今回はここまで。次回も来週投稿します。それでは。
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 11:02:27.80 ID:GVLB+p/eO
乙。
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/19(日) 19:26:01.49 ID:EdcmrA+UO


金剛も妹分欠乏症にかかっるな・・・
515 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:16:21.91 ID:1FEgC3NPo
またもお待たせしました。更新再開します。
516 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:17:11.87 ID:1FEgC3NPo
〜翌日 ニサン 東街道〜


アヴェ歩兵A「……」スタスタ

アヴェ歩兵B「……?」カサッ

アヴェ歩兵B「おい、今何か」ガサ

アヴェ歩兵B「っ!?」


加賀「シッ!」ドゴォ

アヴェ歩兵B「おぐぇ!」ドサッ


アヴェ歩兵A「な、何だ!?」カチャ


榛名「はあっ!」ドゴォ

アヴェ歩兵A「ぐあ!」ドサ


加賀「……」キョロキョロ


榛名「……こちらは大丈夫です」


加賀「……こちら側も確認したわ。提督」


提督「よし、よくやってくれた。こっちの南側は制圧したな」ガサ

提督「北上、夕立、北側はどうだ?」


北上『んー、今二人で茂みの中から偵察してるけど、こっちに敵はいないみたい』


夕立『このまま街道に出てもいいけど、西側全体が湖だから敵がいたら丸見えっぽい。提督さん、どうしたらいい?』


提督「そうだな、しばらくそのままで北から敵が来ないかだけ見張っててくれ」


夕立『お任せっぽい!』

北上『このまま?あちこち虫だらけで泣きそうなんだけど』

夕立『北上さん、それくらい我慢するっぽい』
517 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:18:21.17 ID:1FEgC3NPo
提督「大鳳、金剛、外の方はどうだ?」


大鳳『特に異常ありません』

金剛『同じく、ギアの影は引っかかってこないデース』


提督「よし。シグルド副長、街の東側は固めた。次の指示は?」


シグルド『よくやった。間もなく若様とフェイ君達が市街を制圧する。それが終わるまでは東側の防衛を任せる。それと……』


提督「それと?」


シグルド『ないとは思うが、万が一マルー様がそちらに居られたら、保護してくれ』


提督「マルーが?どういう事だ?」


シグルド『すまないが時間がない。今はただそうしてくれ』


提督「あ、ああ。了解した」

提督「聞いての通りだ。各自警戒そのままでよろしくな」


榛名「……マルーさんが来るかも知れないって、どういうことなんでしょう?」


提督「いや、俺もよくわからん。あの子がニサンの関係者だから……とかか?」


夕立『あ、それなら心当たりあるっぽい』


提督「知っているのか夕立」


夕立『マルーちゃんはニサンのだいきょうぼ?なんだって。提督さん、だいきょうぼってなに?』


提督「だいきょ……!?」


加賀「提督、お静かに」


提督「す、すまん」


夕立『提督さん?』


提督「ああ。夕立、大教母ってのはな、ニサン教の一番偉い人の事だ。そりゃいてもたってもいられないだろうな」
518 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:19:01.24 ID:1FEgC3NPo
榛名「ええっ!?」


北上『アヴェの王子様の次はニサンの偉い人?ソラリス人もいるし、ここの人たちは一体どういう集まりなのさ……』


金剛『案外、キスレブの凄い人も実は混ざってたりするかもしれないネー』


提督「まさか、流石にそんなことはないだろ」


榛名「!提督、市街地の方から爆発音を確認しました」


提督「始まったか」


夕立『夕立たちは加勢しなくてもいいっぽい?』


提督「市街地で主砲なんて使えないだろ。それよりも周辺の警戒怠るなよ。フェイ達の討ち漏らしがこっちに逃げてくるかもしれないからな」


夕立『はーい』


  ***
519 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:19:28.28 ID:1FEgC3NPo
提督「……」キョロキョロ


加賀「……」


提督「……」ガサ

提督「……っ」ガチャ


加賀「落ち着いて下さい、提督。ただの風よ」ハア


提督「わ、悪いな。どうにも慣れてなくてよ」


榛名「いつも通りで大丈夫ですよ、提督。いざとなったらしっかり榛名がお守りしますから」


加賀「こんな事ならいつも通り隠れて指揮に徹していたほうがよかったのではないかしら」


提督「うーん、見張りなら目が多いほうがいいと思ったんだが……逆に足引っ張る事になっちまってるなあ」キョロキョロ


夕立『提督さん、市街地の方が静かになったっぽい』


提督「お、あっちは片付いたか」


加賀「こちらが片付けられた可能性もあるわ」


提督「それならもっと騒がしくなってるはずだ。敵がこちらに捜索の手を伸ばしてくるはずだからな」ピピピ


シグルド『こちらシグルドだ。聞こえるか提督』


提督「ああ、聞こえてる。市街地の方は?」
520 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:20:33.77 ID:1FEgC3NPo
シグルド『無事制圧した。住民の姿はないが、恐らく避難した後だからだろう』


提督「それで、こちらはどうすればいい?」


シグルド『現状を確認するために、一度集合したい。念のため街道を北にある大聖堂の裏まで確認した後、市街地にある集会所に来てくれ』


提督「了解」

提督「それじゃ言われたとおり行くぞ。俺達は街道を歩いて北上と夕立に合流する。金剛と大鳳もそっちに合流してくれ」


大鳳『了解しました!』


  ***
521 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:21:04.42 ID:1FEgC3NPo
〜ニサン市街〜


提督「へー、ここがニサンの町か」


榛名「なんだか面白い形の屋根が多いですね」


夕立「想像してたよりも小さい町っぽい」


大鳳「私もそう思いました。あるのはこの町と湖が一つ、それと教会だけなんて、国と言うには規模が小さすぎるような」


提督「ここは一応一国家として認知されているが、実態はニサン教の総本山ってだけらしいからな。
重要なのはそこだけで、産業や領土を発展させる必要もないんだろうさ」


夕立「……ん。提督さん、この建物だけ人の気配がするっぽい」


提督「うん?ならここが集会所なんじゃないか?」ガチャ


エリィ「誰!?」


金剛「私デース!」


バルト「おう、やっとご到着か!遅かったじゃねえか」


シグルド「向こう側の様子はどうだ?」


提督「敵の姿はなかった。こちらはどうなったんだ?」


シグルド「見ての通り、市街地一帯の制圧は完了した。だが肝心のシャーカーンの方は……」


夕立「どこにもいなかったっぽい?」


シタン「いえ、居場所は判明しています。その事に関してなのですが……」


〜先生説明中〜
522 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:21:44.65 ID:1FEgC3NPo
提督「シャーカーン不在の隙を突いてアヴェを奪還!?」


北上「ひええ、また随分と大胆な計画だねえ」


シグルド「王都奪還は我々の悲願だ。シャーカーンの暴走によって国内は混乱し、ゲブラー部隊も既に王都からは撤退している。
この機を逃す手はない」


加賀「しかしその場合、こちらの戦力を分散する事になります。その点はどうするのかしら?」


バルト「そこは心配ねえ。こっちに残ってシャーカーンの野郎を追うのは……そうだな、俺含めて三人で十分だ」


大鳳「三人!?」


榛名「流石に無茶なのではないでしょうか……?」


バルト「さっき先生が言ったが、奴が逃げ込んだのはアヴェの至宝が眠る地下の大霊廟だ。ご先祖様の墓を大人数で歩き回りたくもないからな」


大鳳「そんな事言ってる場合では!」


シタン「それだけではありませんよ。霊廟自体がアヴェの至宝、ギア・バーラー封印の為にあるのだとしたら、内部はかなり入り組んでいると思われます」


北上「狭い通路ばっかりなら人数差は関係ないって事?」


バルト「ま、そういう事だ」


大鳳「大丈夫でしょうか……?」


提督「シタン先生の言う事にも一理ある。ここは個々の戦力を信じてみよう」


バルト「時間が惜しい。そうと決まったらすぐに二手に分かれよう!霊廟へは俺とフェイと……」


フェイ「先生はどうだい?」
523 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:22:13.19 ID:1FEgC3NPo

シタン「私は、できればシグルドと共に王都奪還に加わりたいと思います。以前、ソラリスにいた者二人が『教会』の人間を追い落とす……。
これはなかなかの皮肉だと思うんですよ」


バルト「なるほどそいつはいいや。それじゃ、シグのこと助けてやってくれ!」


提督「教会の人間?シャーカーンの事か?」


リコ「ああ。ヤツはどうも『教会』の元教皇だったらしい」


北上「へえー初耳」


バルト「となるとこっちは……」


マリア「私にお手伝いさせて下さい。太古に封印された遺跡の事なら、おじいちゃんの知識が役に立つかも知れません」


フェイ「そうか、バルタザールのじいさんはそっち方面も詳しかったな。それじゃ頼むよマリア」


バルト「よぉーし、これで決まりだ!他のみんなはシグに協力してやってくれ!」


マルー「ちょっと待って、ボクも行くよ!」


バルト「ええ!?お前は来なくて……ああ、そうか。すまないマルー。一緒に来てくれ」


バルト「じゃあ、みんなよろしく頼むぜ!今度こそやつの息の根を止めてやる!」


提督「地上に降りてきたと思ったらいきなり国家争奪戦か。なんかどんどん話が大きくなってきてるな」


北上「あれ、アヴェって砂漠ばっかって話だよね?どんなところなんだろ」


榛名「榛名も砂漠は初めてです。砂浜が何倍にも拡がったような場所なんでしょうか?」


夕立「艤装が砂詰まり起こしそう……」


金剛「マリア!お互い頑張るネー!」


マリア「ええ、金剛さんもどうかご無事で。次はアヴェの町中で堂々とお会いしましょう!」


 ***
524 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:24:23.15 ID:1FEgC3NPo
今回はここまで。本編もこのあたりに入るとやっと中盤って感じがします。まだ先は長いですが、よろしければお付き合いください。
次回はなるべく早く投稿します。それでは。
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 00:22:00.60 ID:X6ccvZao0
乙。

金剛はマリア大好きだな
526 : ◆Idq7VgawO2 [sage]:2017/05/25(木) 04:39:13.61 ID:mwHma9r0o
お待たせしました。夜勤終わったので寝る前に投稿します。
527 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/05/25(木) 04:39:55.72 ID:mwHma9r0o
〜アヴェ砂漠 上空〜


 ドォン ドォン

夕立「さっきより対空砲の着弾が近くなってきたっぽい」


大鳳「アヴェ本国にかなり近くまで来たという証拠でしょう」


榛名「もうすぐですね」


加賀「提督、そちらの準備は?」


提督(inギア)『大丈夫だ。作戦開始には間に合う』


北上「ちゃんとやっといてよ提督。私達も一緒に乗って降下するんだから」


提督『分かってるって。それよりお前達も作戦内容を確認しとけ』


夕立「もー、さっき聞いたばっかりなんだから忘れてるわけないっぽい」


榛名「ユグドラシルから発艦後、榛名達は左翼に展開」

大鳳「防衛戦を維持しつつ、敵の注意をこちらに引き付ける」

北上「その間に別働隊がアヴェ本国に潜入、直接王都を奪還する、でしょ。なんだか大雑把な作戦だよねえ」

夕立「そんな面倒くさいことしなくても、この艦ごとアヴェに乗り込んじゃった方が早いと思うっぽい」
528 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/05/25(木) 04:40:21.48 ID:mwHma9r0o
提督『そんなことしたら町中ででっかい戦闘が始まっちまう。国を取り返そうって時にそんな事になれば後々禍根を残すだろうよ』


加賀「こちらの主戦力がフェイさん一行のギアである以上、戦術的にもあまり得策ではないわね」


榛名「この作戦は勝つためだけじゃなく、勝った後の事まで考えられているという事ですね」


提督『多分な』


北上「それはいいんだけどさ、なんか私達の負担が大きくない?左翼に付くのってほとんど私達だけなんでしょ?」


金剛「それ私も思ってたネー。正面にはリコとエリィ、右にはビリーとシタン。おまけにユグドラのギアがそれぞれガードに付いてるらしいデース。
それに比べるとちょっと厳しい気がするネー」


提督『そんな事はない。俺達は加賀さんと大鳳と俺で完全に制空権を握れるはずだ。それだけでかなり有利になれるだろ』


加賀「そう簡単に……」


金剛「いくとは思えないネー」


提督『シグルド副長から聞いたんだが、向こうの対空兵装はかなり原始的なものばかりらしい。それこそ今飛んできている対空砲がせいぜいな程度に、な。
こいつの機動性なら大丈夫だよ。と、よし。最終チェック完了』


加賀「そうは言っても……」


シグルド『こちらシグルド、そろそろ出てもらう事になるが、そちらの準備は?』


提督『今終わったところだ。いつでも行ける』


シグルド『了解、それならすぐにでも出てもらおう。左側面ハッチから出撃してくれ』


提督『了解だ。さあ、聞いての通りだ。今更どうこう言ってもしょうがない。皆移動するぞ』


金剛「しょーがないネー。その代わりテートクゥ、この間みたいな無茶は絶対にノーだからネー!」


提督『わかってるって。指揮を疎かにしたりはしないから安心しろ』


北上「そういうことじゃないんだけどなあ」


  ***
529 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/05/25(木) 04:40:49.45 ID:mwHma9r0o
〜ギア用側面ハッチ〜


提督「……」ゴォォ


榛名『……ここから降りるんですか?』


提督「ああ」


夕立『この対空砲火の中?』ドォン


提督「ああ」


大鳳『ギアの手に乗って、ですか?』


提督「……ああ」


北上『……提督の操縦で?』


提督「しょうがねえだろ。もう作戦は始まってるし、シタン先生たちももう下で戦ってるんだ。今更やめられないだろ」


北上『大井っちじゃないけど、流石にこの作戦はどうかと思うなあ』


金剛『私はテートクを信じてマース!』


榛名『あ、榛名ももちろん提督を信頼してます!榛名は大丈夫です』


北上『いやそういう問題じゃないでしょ』


加賀『……出るなら早い方がいいと思いますが』


提督「あ、ああ。もうやるしかないな。行くぞ!」ギューン
530 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/05/25(木) 04:41:15.51 ID:mwHma9r0o
北上『うわ!』


榛名『そ、外に出ました!』


夕立『わっぷ、砂で何も見えないっぽいー!』


提督「よし、すぐに降下するからしっかり掴まっててくれよ!」ヒュン

提督「おわ!」

北上『ひええ』

大鳳『至近弾!?』

提督「ユグドラ狙いの弾が逸れただけだ!とっとと離れるぞ!」

提督(当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように)


 ***
531 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/05/25(木) 04:41:46.09 ID:mwHma9r0o
今回はここまで。
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 12:21:02.07 ID:hL0NVckzo
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 22:57:43.20 ID:UPBw9YCoo
やっと追い付いた乙
せっかくだからメモリアルアルバムで情景を確認しながら読ませてもらってる
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/04(水) 10:40:15.33 ID:AtPt/aGIo
(´・ω・`)
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/23(月) 13:48:43.67 ID:+cK8BMdbO
止まるんじゃねえぞ・・・
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/07(木) 16:02:08.06 ID:JS5qw3ux0
(´・ω・`)
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:04:22.06 ID:1gq37DbZ0
保守
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/05(月) 22:03:52.16 ID:9XiRYeGg0
保守
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/07(月) 19:15:33.67 ID:ejLDjNz10
保守
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/03(火) 07:08:59.22 ID:Qk5mhn/80
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