一夏「 こ れ は ひ ど い 」

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47 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 18:24:27.34 ID:wWkTJqVA0


バタン


一夏「さて、電気電気っと……」パチン

クロエ「あの……」ゴソゴソ

一夏「ん?どうした?」ゴソゴソ

クロエ「千冬様……あれだけの為にわざわざ私達のところに……?」

一夏「そうだよ。何てったって大事な家族だからな」

クロエ「家族……ですか……それなら私はーーー」

一夏「こら」コツン

クロエ「な、何ですかぁ……」

一夏「俺達は家族なんだよ。束姉ちゃんも箒も、クロエも皆……俺達の大事な家族なんだよ」

一夏「いいな?」

クロエ「は、はいっ!」
48 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga ]:2016/01/05(火) 18:31:22.50 ID:wWkTJqVA0
一夏「それで、だ」

クロエ「何ですか?」


一夏「自然に俺の布団に入ってくるなー!」グイッ


クロエ「で、ですがーーー」グイッ

一夏「問答無用だ!束姉ちゃんとこにいる時もそうしてるのか?!」グイグイ

クロエ「そ、そうです……!」グイグイ

一夏「俺は束姉ちゃんじゃない!」グイグイ!

クロエ「家族なら皆で寝るのが当たり前だと束様がーーー」グイグイ!

一夏「時と場合を考えろ!」グイグイ!!

クロエ「それはそれ、これはこれ、です……!!」グイグイ!!

一夏「そういう事じゃないだろおぉぉぉぉ!!」
49 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 18:45:32.78 ID:wWkTJqVA0

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一夏「朝から酷い目にあった」

箒「お、お前が悪いんだぞ!朝からクロエに破廉恥な事をだな……あんな……」ゴニョゴニョ

一夏「寝てる間に潜り込まれてたんだからどうしようもないだろ……」

クロエ「わ、悪いのは私なんです……!環境が変わった事により連日眠れていなかったもので……その……お恥ずかしながらあの様な事を……」

箒「そ、そうだったのか……」

一夏「それみろ、俺は無実だ」

箒「うるさいっ!……大体、姉さんのところでもあんな風に寝ていたのか?」

一夏「寝てたけど」

クロエ「お、お恥ずかし……ながら……」モジモジ

箒「……」プルプル

一夏「あっ、ヤバい」ダッ

箒「一夏ぁー!!」ダッ

クロエ「悪いのは私です!!ですから一夏様は!!」ダッ
50 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 18:57:16.30 ID:wWkTJqVA0
〜食堂〜

箒「朝から疲れた……」グッタリ

一夏「全く、何とか武者も大概にしろよな……」

箒「うるさい……誰のせいだ……」

一夏「まだ言うか」

クロエ「申し訳ありません……」

一夏「こいつの何とかでっかちの石頭っぷりには悩まされるよ」

箒「うるさい……いただきます……」

一夏「いただきますっと」

クロエ「い、いただきます」
51 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 19:12:46.08 ID:wWkTJqVA0
一夏「あ、この味噌汁美味い」ズッ

箒「本当だな……独特の風味だが味噌汁の味を損ねず、しっかりと引き立てている……」

一夏「後で何使ってるのか聞こうかな」

クロエ「……」グチャア…

一夏「スプーン、いるか?」

クロエ「はい……お願いします……」

一夏「待ってろよ」ガタッ

箒「流石に絹ごしは難しいか」

クロエ「キヌゴシ……?それは種類……ですか?」

箒「ああ、今食べているのが絹ごし豆腐でとても柔らかいが、木綿豆腐ならもう少し硬くて箸でも掴みやすい」

クロエ「キヌゴシにモメン……ですか……お箸は難しいです……」

箒「箸をそれだけ使えていれば御の字だと思うが」

クロエ「箒様は上手にキヌゴシ豆腐を掴むのですね」

箒「小さい頃からよく食べていたからな」
52 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 19:33:04.98 ID:wWkTJqVA0
一夏「お待たせ。ほらスプーン」ガタッ

クロエ「あ、ありがとうございます……」

箒「……後ろの三人はどうしたんだ」

一夏「一緒に飯食いたいって言うから席空いてるし別にいいかなって」

本音「私はね〜布仏本音だよ〜よ〜ろ〜し〜く〜」モソモソ

クロエ(何故……わ、私の隣に……?)アセアセ

静寐「私は鷹月静寐、よろしく」

清香「私は相川清香だよ。よろしくねっ」

箒「既に知っているとは思うが篠ノ之箒だ。よろしく」

クロエ「ク、クロエ……クロニクルです……よろしく、お願いします……」

一夏(心なしか周りからの目線が増したような増してもいないような)

本音「さあ〜みんなで食べよ〜お〜」

クロエ「そ、そうですね……」

清香「いきなり押し掛けてきてごめんねー」

箒「いや、別に気にしていない」

静寐(清香、織斑くんの隣はマズイでしょ)

一夏(箒から威圧感を感じる。クロエの横に座っておけばば良かった)
53 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 19:44:02.80 ID:wWkTJqVA0
本音「〜♪」パタパタ

クロエ「口からこぼれていますよ……」

本音「えへへっ、ありがとぉ〜」

静寐「ありがとう、クロニクルさん」

クロエ「いえ……」

清香「もう本音ったら甘えん坊さんなんだからー」

箒(着ぐるみの耳が動いている……)ジッ

本音「な〜に〜?しーのん?」

箒「何でもない……しーのん?」

本音「そうだよ〜しーのんはね〜しーのんだからしーのんなんだよ〜」

箒「そ、そうか……しーのんか……」

清香「気に入らないならごめんね。本音の癖、みたいなものだからね」

箒「いや、そんな事はないぞ」

静寐「あー本音!袖!袖!ご飯付いちゃうよ!」

本音「ありゃ?」

一夏(セシリアもこっち見てるな。飯ぐらい落ち着いて食えばいいのに)モグモグ
54 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 19:52:33.84 ID:wWkTJqVA0
清香「ねえ織斑くん!もう部活動は何に入るか決めた?」

静寐「清香ったら……」ヤレヤレ

本音「?」モキュモキュ

一夏「え?俺?そうだなぁ……特に決めてないな」

清香「篠ノ之さんは?」

箒「私も……まだ決めていないな」

清香「クロニクルさんは?」

クロエ「まだ決めていません」

清香「ならさ!三人ともハンド部に来ない?」

箒「ハンド部……」

クロエ「ハンドボールを知らないのですが……」

一夏「俺男なんだけど」

清香「いーのいーのっ、初心者でも何でも大歓迎だよ!」

清香「だからさ、ね?ね?来ない?」
55 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 20:02:07.04 ID:wWkTJqVA0
本音「はじめばっかりずるい〜私のところにも〜ねえねえ〜」クイクイ

クロエ「そ、そうします……」

静寐「清香、その辺にしときなよ。三人だって色々見て回りたいんだから」

清香「ちぇー分かった」

静寐「ちなみに三人は中学の時は何をしてたの?」

箒「私は部活に入ってなかった」

一夏「助っ人で転々としてた。後はバイト」

クロエ「私も……部活動には……入っていませんでした……」

静寐「ええー」

清香「なら丁度いーじゃんっ、放課後部活動を見て回ったら?」

本音「大賛成〜!」

一夏「いいな、それ」

箒「特にする事もないからな」

クロエ「私も構いませんが………」
56 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 20:16:40.78 ID:wWkTJqVA0
静寐「待って。クロニクルさん、オルコットさんとの決闘はいいの?」

清香「げッ、忘れてた」

本音「がびーん!」

クロエ「ええと……それはその……大丈夫と言いますか……その……」

一夏「大丈夫だって、残り6日で出来る事なんて限られてるんだからさ」

箒「そういう考え方もあるが……それでいいのか?」

清香「それもそうだねっ!」

本音「勝ちは勝ちで〜負けは負けで〜しょ〜がな〜い」ユラユラ

清香「そう、本音の言う通り!勝つ時は勝つ、負ける時は負けるんだから!」

静寐「はぁ……それでいいのか体育会系……」

クロエ「心構えとしては良いと思われますが……」

箒「まあ……そうかもな」

一夏「じゃあ今日から適当に見て回るかぁ」
57 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 20:31:30.39 ID:wWkTJqVA0

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クロエ「え、えいっ」ビュッ

「そっから投げるかぁー!!」バスンッ

「ナイスロングシュー!クロニクルさん」
「若いっていいわー羨ましいわー」

クロエ「皆さん、あ、ありがとうございます……」ペコリ

キャプテン「やるね、クロニクルちゃん」

クロエ「そ、そんな……私なんて……」

キャプテン「入っちゃいなよ。君なら即エースだよ」

クロエ「それは……過大評価だと……思いますが……」

キャプテン「まあ決めるの私じゃないけど」


一夏「おースカウトされてるな、クロエ」

箒「基礎を覚えただけでああも動けるとはな……」

清香「あっれー?二人とも何で見学してるの?」

二人「「ボールが上手く投げられない」」

清香「何言ってんのー!最初から上手い人なんていないよ!行くよっ、練習だー!!」グイグイ

一夏(当たったら結構マズイ勢いで投げるから、とは言えないよなぁ)

箒(ボールを壊してしまいそうなんだが……言えない……)

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58 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 20:43:16.52 ID:wWkTJqVA0

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静寐「そうそう、上手上手」パッカパッカ

箒「馬のおかげだ。私の腕ではない」パッカパッカ

静寐「そんな事ないよ。馬が人を選ぶから、篠ノ之さんは選ばれたんだよ」パッカパッカ

箒「そうなのか?」

白馬「ブルルッ」


クロエ「駆け抜けます!」

黒馬「ヒヒーン!!」パカラッパカラッパカラッ

部長「退けお前等コラー!!じゃじゃ馬様に轢かれんぞ馬鹿野郎この野郎!!」パカラッパカラッパカラッ

部長「って思ったより速いじゃねぇかよ手前この野郎!!」パカラッパカラッパカラッ


箒「……凄いな」

静寐「あの子、今まで誰も背中に乗せようとしなかったんだけどね」


一夏「だっ!誰か止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」ズリズリズリズリズリ


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59 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 21:59:39.31 ID:wWkTJqVA0

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一夏「失礼しまーす」ガチャ

箒「失礼します」

クロエ「失礼します」ペコリ

一夏「体験入部という体験入会にきましたーよろしくお願いしまーす」

楯無「ようこそ、織斑一夏くん、篠ノ之箒くん、クロエ・クロニクルくん。我々は君達が来るのを待っていたのよ」

簪「……」コソッ

本音「新婚さ〜んいらっしゃ〜い!」

一夏「だってさ、新婚さん二人」ポンッ

クロエ「えっ……?」

箒「馬鹿な事を言っている場合か」

一夏「はいはい」

クロエ「……」ホッ

楯無(あらあら、見せつけてくれちゃって……)

虚「ふふっ、いらっしゃい。どうぞお掛けになって」

一夏「どうも」

箒「ありがとうございます」

クロエ「あ、ありがとう……ございます……」
60 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 22:18:56.62 ID:wWkTJqVA0
楯無「まずは初めまして、生徒会長の更識楯無よ。私は、この学園最強であるが故に生徒会長である、という事を覚えていてもらいたいわ」

簪「……」

楯無「簪、あなたも自己紹介なさい」

簪「は…初め……まして……更識…簪……です……」ボソボソ

一夏(うん?何かデジャヴが……)

虚「私は布仏虚、生徒会長に仕えている者です」

本音「妹の布仏本音だ〜よ〜よ〜ろ〜し〜く〜ってあれれ?」

本音「うむむ?」キョトン

虚「どうかしたの?」

本音「あのねあのね〜前にもあったんだけど〜前になかって〜なんか変〜変な感じ〜」ヒラヒラ

虚「何言ってるの、もう自己紹介はしていたんでしょ?」

本音「えへへ〜そうだった〜忘れてた〜」

虚「うっかりさんね」
61 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 22:31:56.74 ID:wWkTJqVA0
楯無「全く、結局本音ちゃんに崩されちゃうのよね」

本音「えへへっ、ごめんなさ〜い」

楯無「いいのよ。毎度の事だもの」

楯無「さて、堅っ苦しいのもここまでにしてと。三人とも楽にしていいわよ」

虚「お嬢様」

楯無「いいでしょ。それと、お嬢様はやめて」

虚「すみません、つい」

簪「……」

一夏(堂々と机に足乗せるって……随分型破りな人だなぁ)

箒(お嬢様?)

クロエ(何故会長以外は対面する形で座っていらっしゃるのでしょうか……)

虚「紅茶とケーキ、よければどうぞ」

一夏「お言葉に甘えて」

箒「いただきます」

クロエ「い、いただきます……」
62 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 22:42:30.45 ID:wWkTJqVA0
一夏「美味いな、これ……」

箒「甘過ぎす、上のイチゴとも紅茶とも良く合うな……」

クロエ「この紅茶の香りの深さも、ケーキに勝るとも劣らない……」

本音「でしょでしょ〜♪」

楯無「うん、流石は虚ね♪」

虚「恐れ入ります」

簪「……」

楯無「で、織斑くん」

一夏「はい?何ですか?」


楯無「私の簪ちゃん、彼女にどう?」


簪「お姉ちゃん!!?」ガタッ

箒「!?」

クロエ「?」

一夏「あっははーそっすねー」

楯無「どう?私に負けず劣らず結構素敵でしょ?」

一夏「ダメっすね。どう考えてもダメダメっす」

楯無「あら、つれないのね」
63 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 22:51:01.29 ID:wWkTJqVA0
簪「ほっ……」

箒(いきなり何を言い出すんだ。この人は……)

クロエ「??」

虚(お嬢様ったら)クスッ

本音「♪♪」モキュモキュ

楯無「訳を……聞かせてもらえないかしら?」

一夏「いやですね。さっきから簪さん、ちっともこっち側見てないんですよ。箒どころかクロエすら」

楯無「あら」

簪「……」

一夏「俺はこの手の人をもう一人知っていましてね。いやあ、それはもう苦労しましたよ。今でこそ大丈夫ですが最初はこんな風に近づく事すら出来なかったものですから」

楯無「へえ……それは大変だったのね」

一夏「今となっては良い笑い話ですけどね」

クロエ「……」モジモジ

箒「どうかしたのか?」

クロエ「何でもありません……」

クロエ(それって私の事ではないですか……やめてくださいよぉ……)
64 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 23:06:07.30 ID:wWkTJqVA0
一夏「その経験上、いきなり距離を縮めるのはダメっす。ましてや彼氏彼女なんてのは論外ッス。だから、簪さんとのいきなりの清く正しいお付き合いは無理ッス」ズズー

本音「めっ!」

虚(上手く断りましたね)

楯無「それにしても簪ちゃんの事をよく見てくれているわね?」

一夏「どうにもデジャヴを感じたもので」

簪「……」モジモジ

簪(恥ずかしい……)

クロエ(言われてみれば……どこか私に似ていらっしゃるような……)ジィー

箒(馬鹿馬鹿しい……嫌なら嫌とハッキリ言え……馬鹿者……)

楯無「そうねぇ……それじゃあ友達からお願いしようかしら♪」

一夏「クラスメイトからじゃ駄目っすか?」

楯無「駄目っすね♪」

一夏「なんと……」

簪「お…お姉ちゃん……もう……やめてよ……」
65 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga,]:2016/01/05(火) 23:21:58.25 ID:wWkTJqVA0
〜アリーナ〜

セシリア「はあっ……はあっ……」


ビーッ


セシリア「ブルーティアーズ!」ピチュチュチュチュン


ドガガガガガガガガ!!


『目標、残り68……52……36……』

セシリア(まだ……もっと……もっと……速く……!!)

セシリア「そこ!!」バシューン

『命中、目標沈黙』

セシリア「次は!!」ピチュチュチュチュン

『敵機接近』

セシリア「ブルーティアーズ!」

セシリア「はあっ!」シャキンッ
66 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 23:32:41.86 ID:wWkTJqVA0


ビュゴォッ!!


セシリア(後ろから!!?)バシューンッ

「……」チュインッ

セシリア「これは……!!」

パンッパンッパンッ

三年生「成る程、強く、そして美しくなりましたね。以前の貴女ならば私の槍を認識すら出来ていなかった」

セシリア「……お久しぶりです」

三年生「久しぶりです。オルコット」

セシリア「私に何か御用でしょうか」

三年生「特に用はありません。ただ、貴女の懐かしい姿を見て、少し思い出しましてね」

セシリア「今の私は、あの時の私とは違います」

三年生「そのようです。連日のあなたの鍛練がそれを物語ってくれています」
67 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/05(火) 23:47:47.24 ID:wWkTJqVA0
セシリア「……見ていらしたのですか」

三年生「ええ、見事なものでした。徐々に貴女はその美しさを増してきている……」

三年生「そして、今も」

セシリア「円卓の騎士であるあなたにお褒め頂けるとは光栄ですわ」

三年生「例え私でなくとも、貴女の姿は美しいと、誰もがそう思うでしょう」

セシリア「どういう事ですか?少なくとも私はまだ……貴女には程遠いはずです」

セシリア(そうです。私が目指すものには……私はまだ……)

セシリア(私は……もっともっと強く……)

三年生「薔薇は美しい……しかし、これが最も美しいという事ではありません」スッ

三年生「分かりますか」ヒュッ

セシリア「……」

三年生「なら来なさい。貴女を更に強く、美しくしてあげます」ガコンッ

セシリア「ありがとう…ございます!!」ピチュチュチュチュン
68 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/06(水) 00:05:16.00 ID:KQgl98UV0
三年生「明日は少し休んだ方が良いでしょう。貴女の体は貴女が思っている以上に酷使されている」

セシリア「ええ……分かりました……」

三年生「最も貴女の事ですから、言っても無駄ではありますが」

セシリア「……」

三年生「何故私を捉えられないか、そう考えていますね」

セシリア「……はい」

三年生「簡単な事です。貴女の動きは複雑に見えてその実単純だからです」

セシリア「……」

三年生「私は貴女の動きを読んで戦っているのではありません。何故なら、貴女の考えが手に取るように分かってしまうからです」

三年生「考えるのが戦いである、と言えるでしょう。しかし、考えないのも時に戦いでもあるのです」

セシリア「分かり……ました……」

三年生「では戦いの後の紅茶は如何ですか?珍しい茶葉が手に入りましてね」スッ

セシリア「はい、頂きます」
69 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 00:46:35.70 ID:dCOLnsye0
終わりかな?おつ
70 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 05:55:57.27 ID:3L7zrtU4O
おつおつ!
71 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 18:39:58.89 ID:x/OkSfnF0

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クロエ「あっ……あの……千冬様……?」

千冬「何だ」

クロエ「えっと……その……何故私を……隣に?」

千冬「私の隣は嫌か」

クロエ「い、いえっ……そういう事では……ないのですが……」

千冬「ふん……埒が開かんな」グイッ

クロエ「えっ!?なっ、なななっ、何を……!?」

千冬「家族、というものを教えてやる」ギュッ

クロエ「それと……これに……一体何の…関係が……何故私を……抱き締めるのですか……」

千冬「人の温もりは嫌いか?」

クロエ「嫌いでは……ありません……」

千冬「なら、こうされていろ」ギュッ

クロエ「はい……」

クロエ(千冬様は怖い人だと思っていました……けど、やはり一夏様と同じく、優しい方です……)
72 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 18:53:29.02 ID:x/OkSfnF0
一夏「まーた始まったよ。姉ちゃんの休日の過ごし方」パチッ

箒「む……」パチッ

千冬「……」ガスッ

一夏「いってぇ!……蹴る事ないだろ!」

千冬「ふん……」

一夏「はいはい、私が悪うござんしたっと」パチッ

箒「むっ……」

一夏「ほら、お前の番だぞ」

箒「……急かすな」

一夏「はいはい、なるべく速くな」

千冬(箒の事だ。金に気をとられて桂馬を失うな)

クロエ(少し……眠くなってきました……)

箒「……」パチッ

一夏「桂馬もーらいっと」パチッ

箒「なっ……!」

一夏「待ったはなし、だぞ」

千冬(やはりな……昔とちっとも変わらん対局だな)

クロエ「……」ウトウト
73 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 19:01:26.85 ID:x/OkSfnF0
箒「むっ……むむむ……」

一夏(うわー考えてる考えてる)

千冬(焦れったいな。そこに打てば良いものを)

箒「……」スッ

一夏「お?」

箒「いや……待てよ……」

一夏「何だよ……打つなら早く打てよ」

箒「うるさい、私は十手先を考えてから打っているんだ」

一夏「それを二手三手の内に崩されてどうするんだよ」

箒「うるさいっ!集中しているんだ!」

一夏「はいはい、分かったよ」

箒「……ここだ」パチッ

一夏「王手、と見せかけて飛車を頂く」パチッ

箒「しまった!角を忘れていた……!」

一夏(これは長くなるなぁ……)

千冬(全く、何をやっているんだ……)
74 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 19:14:57.71 ID:x/OkSfnF0
〜数十分後〜

一夏「長い戦いだったなー」ジャラジャラ

箒「……」ジャラジャラ

一夏「猪突猛進もいいけど、もう少し回りも見ろよ」

箒「……うるさい」

一夏「って、俺が言えた義理じゃないか」

千冬「一夏、箒、こっちに来い」ポンポン

一夏「はいはい、姉ちゃんの仰せの通りに」ゴロン

箒「はい……」ゴロン

千冬「さて、晩飯は何を食おうか」

一夏「もう晩飯の話かよ……さっき食べたところだろ……」

千冬「あんなもの、腹の足しにならんだろうが」

箒「自分で作ったものに……そんな言い方は……」

千冬「自分で作ったからこそ、だ」

千冬(一夏の飯の方が断然美味いからな)
75 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 19:23:31.23 ID:x/OkSfnF0
一夏「って、あれ?クロエ?」

クロエ「……」スースー

千冬「よく寝てるぞ。ふふふっ、可愛い奴め」ナデナデ

一夏「……やっぱりな」

千冬「何だ、寝不足だったのか」

一夏「環境が変わったのと、束姉ちゃんが抱き締めて寝てたせいで一人だと眠りにくかったんだってさ」

箒「……」ピクッ

千冬「全く、束の奴……」

一夏「子どもじゃないけどさ、その内一人で眠れるようになってもらわないとさ」

千冬「でないとお前の布団に潜り混むからな」

一夏「……何で知ってるんだ?」

一夏「あっ」

千冬「やはりか」

一夏「カマかけたな」

千冬「かかったお前が悪い」
76 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 19:32:42.67 ID:x/OkSfnF0
箒「……」

箒(姉さん……)

千冬「箒」ギュウッ

箒「ちっ、千冬さん……な、何を……」

千冬「さん付けはやめろ。むず痒い」

一夏「千冬さーん」

千冬「黙れ」ガスッ

一夏「ハウッ」

箒「千冬……姉さん……」

千冬「私達の仲だ。今更恥ずかしがる事もないだろ」

一夏(筋に入ったッ……!!)ジタバタ

箒「すみません……」

千冬「ッ〜……まあいい」

一夏(痛い痛い痛い痛い痛い)ジンジン
77 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 19:46:13.81 ID:x/OkSfnF0
千冬「束がいなくて、寂しいか?」

箒「……少し」

千冬「全く、あの阿呆は何をやっているんだ」

箒「姉さんには……姉さんなりの考えが……あるから……」

千冬「そうか……それにしても仕方のない姉だな。大切な妹にこんな思いをさせるとはな……」

箒「……」ギュッ

千冬「……」

千冬(家族と離れ離れになって十年……私達と離れて四年、か……)

千冬(見知らぬ土地、見知らぬ人の中でたった一人、今日まで……)

千冬「よく頑張ったな、箒」ナデナデ

箒「ッ……」ギュウッ

千冬「こら、余り強く掴んじゃない」

箒「ごめんなさい、今だけ……」

千冬「全く、仕方のない奴だ……」
78 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 19:54:25.17 ID:x/OkSfnF0
一夏(仕方のない姉、って点は姉ちゃんも人に言えた義理じゃないだろ)ジンジン

箒「もう……いい……」

千冬「もういいのか?」

箒「後は姉さんに甘えるから……」

千冬「そうか……」

一夏「……」

一夏(もっと……箒に構ってやらなくちゃな)

千冬「一夏、晩飯決めたぞ」

一夏「な、何だよ、いきなり」

千冬「焼肉だ。久々に豪勢にいくぞ」

一夏「入学式の前の日の二の舞はやめてくれよ」

千冬「愚か者、それぐらい分かっている」

一夏「本当かぁ……?」
79 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga ]:2016/01/07(木) 20:01:34.41 ID:x/OkSfnF0
箒「クロエはどうする」

一夏「寝かしといてやれよ」

箒「……途中で起きたら?」

一夏「書き置きしとくよ」サラサラ

千冬「起きるなよ……」ソッ

クロエ「……」スースー

千冬「ふう…さて、行くぞ」スクッ

一夏「えーっと、財布財布っと」ヒョコヒョコ

箒「歩き方が変だぞ」

一夏「足痛いんだよ」ヒョコヒョコ

箒「手を貸そうか?」

一夏「そこまでじゃないって」

千冬「置いていくぞー」

一夏「姉ちゃん速いって、誰のせいで足痛いと思ってるんだよ」ヒョコヒョコ

千冬「はて、知らんな」


クロエ「……」スースー
80 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 21:23:18.05 ID:x/OkSfnF0
〜IS学園〜

セシリア母『報告をなさい。セシリア』

セシリア「私の要望通り、ブルーティアーズの反応速度は三割向上しています。機体、武器共に以前と何ら変わりなく使用出来ています」

セシリア「後は、お手元の情報を見て頂ければ」ピッ

セシリア母『成る程……ビットはどうです』

セシリア「ビット……ですか?数の増加に伴い懸念されていた操作性については問題ありません」

セシリア「むしろ、私自身この強化は必要不可欠だったと思います」

セシリア母『そうですか』

セシリア母(あの人が妙な細工をしていなければ良いのですが)

セシリア「先日の改修の際、ビットを全て交換なさっていましたが……あれはどういう事ですか?」

セシリア母『あの人が設計した新開発の物を導入しました。説明の通りの性能を既に実感済みとは思いますが』

セシリア「はい、もちろんです」

セシリア母『現在、我が社では順次新装備を開発中です。速くて二ヶ月程で完成するでしょう』

セシリア「分かりました」
81 :艦これの一番のPLAY【自称流】 :2016/01/07(木) 21:27:04.60 ID:vqmuXXIO0
ヨウヤクダヴァネキブームでジャッカル

再びヒトラー提督憤怒

褌作戦で

処女膜の危機

半裸ちゃん【マダラ様ノン家クラス】
82 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 21:56:09.80 ID:x/OkSfnF0
セシリア母『それにしてもセシリア、少しやつれたのではないですか』

セシリア「そ、そうでしょうか……?」

セシリア母『新しい環境に順応するのは難しい事です。日頃の体調管理を怠ってはなりませんよ』

セシリア母『ブルーティアーズのデータ収集は二の次三の次でいい、とあの人は言いますが。データが収集出来なければ元も子もありません』

セシリア「……」

セシリア母『ブルーティアーズも一度や二度のの大破なら、こちらから予備パーツを送れば一週間とかからない内に元の状態に戻せるでしょう』

セシリア「……分かりました」

セシリア母『いいですか、お前をその学園に通わせたのはホームステイなどのつもりではありません』

セシリア母『我がオルコット家の次期当主として、学ぶべき事を学ぶ為です』

セシリア母『しかし、依然として確固たる目標を持ち続け、学生としての本文を果たす事もお前が為さねばならない事です』

セシリア「はい、分かっています。お母様」
83 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 22:14:22.61 ID:x/OkSfnF0
セシリア「あの……お母様、お父様はいらっしゃらないのでしょうか?」

セシリア母『あの人は今、新企画に夢中で手が放せません』

セシリア「そうですか……」

セシリア母『お前もあまり根を詰めすぎないようにしなさい』

セシリア母『では、私も仕事に戻ります。お休みなさい、セシリア』

セシリア「お休みなさい。お母様」


ピッ


セシリア「……」

セシリア(そうですわ……オルコット家の次期当主……ブルーティアーズのデータ収集……)

セシリア(私には、やらねばならない事が沢山ありますのよ……)

セシリア(失敗なんて許されない)

セシリア(そんな事になれば私はまた……あの時のように……)
84 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 22:47:53.24 ID:x/OkSfnF0

-----

一夏「ここだ」ピッ

クロエ「確かに、先程の映像と全く同じ動きをしています」

一夏「この隙だけは、絶対になくしたいはずなのにな……」

クロエ「初歩的なミスですね」

一夏「動揺…か?」

クロエ「この攻撃パターン後が条件なのでは?」

一夏「……他の映像も見てみるか」

クロエ「了解しました」

箒「前日の夜になってから対策を練るな、馬鹿者」

一夏「やらないよりかは万倍マシだろ?」

箒「昼に人を散々引っ張り回しておいて……夏休みの宿題じゃないんだぞ」

一夏「そんな楽な物かよ。公式映像ってなかなか見つからないんだぞ」

箒「そ、そうなのか…?」

クロエ「機密情報漏洩を避ける為に、国同士の戦闘を記録する事自体ありません。そして、記録した映像を一般公開する事はさらにありません」
85 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 23:24:29.26 ID:x/OkSfnF0
クロエ「それは国内のIS同士の戦闘においても例外ではありません。どこから機密が国外に漏れるか分かりませんので」

箒「なら機密情報が含まれていない映像ならいいのだろ?」

一夏「そう、その通り。だからこんな風に数少ないその限られた古い映像を探してるんだよ」

箒「そ、そうか……」

クロエ「しかし、このように映像が見つかったとしても参考になる可能性はかなり低いと思われます。世界中の各企業、各社が持てる技術の全てを惜しまず投入し、今やその技術の進歩は留まるところを知りません」

一夏「さながら生き馬の目を抜く状態なんだよ。おかげで産業スパイは企業や会社を飛び交ってる……らしい」

箒「らしい?」

一夏「俺が産業スパイを見た事ある訳ないだろ」

箒「……そうだな」

一夏「もしかしたら公式発表されてた機体と違う、って場合もあるかもしれないな」

クロエ「その可能性は否定出来ません」

箒「なら今無駄な事をしているんじゃないか?」

クロエ「その可能性も、否定は出来ません」

一夏「それは明日になってからのお楽しみ、って事で」
86 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/07(木) 23:46:36.88 ID:x/OkSfnF0
一夏「箒、そろそろ部屋に戻った方が良いんじゃないか?」

箒「もうそんな時間か……仕方ない」スクッ

箒「ではな、お休み」ガチャッ

一夏「お休みーまた明日な」

クロエ「お休みなさい」


バタン


一夏「さて、いよいよ明日は俺達の初試合、特に何事もなく終わると思うか?」

クロエ「一夏様が想定されるような事態はまだ起こらない、と思います」

一夏「まだ、ね……」

クロエ「はい、起こらないはずはありません。その為の私達です」

一夏「なら別に明日はそう気張る必要もないか」

クロエ「私は気張る必要がありますが……」

一夏「それよりも手加減する必要があるけどな」

クロエ「必要です……よね?」

一夏「多分な」
87 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/08(金) 00:06:14.18 ID:0eJh2bLB0
セシリア(明日はいよいよ……決闘の日……)

セシリア(機体のチェックは完璧、体調も万全)

セシリア(後は……あのクロエ・クロニクルさんが一体どんなISを使うか)

セシリア(専用機持ち……ですわよね。まさか学園の打鉄で専用機持ちの私と戦うとは思えませんが……)

セシリア(彼女は何者なのでしょう。専用機持ちなら所属からプロフィールを閲覧出来るはずですのに彼女の名前はどこの国にも存在していない……)

セシリア(未知のIS……未知の操縦者……)スッ


ギュッ


セシリア(いいえ、弱気になってはいけませんわ。セシリア・オルコット)

セシリア(戦う前から負けていては、勝てるものも勝てませんわ)

セシリア(私ったらまた思わずこれを……)

セシリア(しかし、今日の為にしてきた事は決して無駄ではありません)

セシリア(勝利の凱歌をあげるのは私ですわ!)
88 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/08(金) 00:08:16.40 ID:0eJh2bLB0
訂正

セシリア(しかし、今日の為にしてきた事は決して無駄ではありません)

セシリア(しかし、明日の為にしてきた事は決して無駄ではありません)
89 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga ]:2016/01/10(日) 21:35:08.11 ID:NPIEESV90
〜アリーナ〜

一夏「この前の焼肉、美味かったなー」

クロエ「何故……今そのお話を……?」

一夏「いや、何となく」

クロエ「確かに美味しかったのですが……私は……」

一夏「クロエはさぁ…本当に間が悪いんだよな。何で全部人が取ろうとしたのしか取れないんだろうな……」

クロエ「ううっ……」

千冬「戦いの前に意気消沈させる奴がいるか、この愚か者」

一夏「でも姉ちゃんーーー」

千冬「デモもストもない」

一夏「はーい……」

一夏(姉ちゃんが人の肉まで取るから……)

摩耶「へーこの前焼肉だったんですかーいいですねー」
90 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/10(日) 21:44:17.26 ID:NPIEESV90
箒「クロエ、頑張れよ」

クロエ「あ…ありがとう……ございます。頑張ります……!」

摩耶「今度は私も呼んでくださいね。一人は寂しいんです……」ヨヨヨ

千冬「休みが合ったらそうしよう」

摩耶「やったぁ!」

一夏「えっ」

一夏(また酒盛りするつもりだこの二人……!)ダラダラ

箒「一夏、お前からも何か言ってやれ。一緒に修行したんだろ」

一夏「クロエ、程よく弾に当たっていかにも接戦っぽく見せろよ」グッ

クロエ「分かりました……頑張ります……」

箒「馬鹿者が」ドゴッ

一夏「うげ……ッ!」

箒「そんな応援をする奴があるか」

一夏「お……おう……ぐふッ……」

千冬「ほう……腕を上げたな……」
91 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/10(日) 22:02:19.91 ID:NPIEESV90

キュランキュラン ヒイィィィィィィィィィン…

クロエ「クロエ・クロニクル、準備完了。ハッチ解放を、お願いします」

摩耶「分かりました。カタパルト、スタンバイ」

クロエ「行きます」ギョイン

バキィッ

摩耶「えっ」

千冬「はあ……」

箒「あっ」

一夏「あーあ」

クロエ「すっ、すみませんっ!!」

一夏「こーわしたこーわした、せーんせーーーぐはッッ!!」ドゴォッ

千冬「やかましい」

一夏「」ピクピク…

摩耶「まさか踏み割るなんて……き、機体が思いの外大き過ぎましたね……」

クロエ「本当にすいません〜!!」

箒「姉さんもなんて機体を作ったんだ……」
92 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/10(日) 22:18:16.48 ID:NPIEESV90
摩耶「えーっと、それじゃあ自力で発進してもらえますか?」

クロエ「りょ、了解……クロエ・クロニクル、行きます!!」バンッ

一夏「やべっ、対ブラスト姿勢っと」グイッ

箒「やめろッ、引っ張るな……!」


ドンッ!……ゴオォォォォォッ!


摩耶「きゃあっ!あっ、メガネ!」

一夏「おー滑るー」ズリズリズリー

箒「ぐッ……何て推力だッ……!!」

千冬「全く、また面倒な物を作りよって……」ヤレヤレ
93 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/10(日) 22:39:37.86 ID:NPIEESV90
クロエ「お待たせしました……」

セシリア「待ってましたわ。クロニクルさん」

クロエ「お、お相手になれるよう……頑張ります……」ペコリ

セシリア「こちらこそ」

クロエ「え…えーっと、初め……ますか……?」

セシリア「ええ、よろしくてよ」

セシリア「お互い正々堂々、力の限り」チャッ

クロエ「了解しました」チュイイイイン

『試合開始、5秒前』

クロエ(なるべく接戦っぽく見せないと……)

セシリア(あなたの実力、拝見させていただきますわ!)
94 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/10(日) 22:57:56.42 ID:NPIEESV90


『試合開始』


セシリア「……」バシューンバシューン

ピチュチュチュチュン バシューン バシューン

クロエ(レーザー射撃、ビットを展開……予想通りです)バッ

セシリア「踊りなさい、ブルーティアーズ!」

ドガガガガガガガッ

セシリア(やるべき事はいつもと同じ!!)バシューン

クロエ「うわっ……」チュインッ

クロエ(三次元かつ四方向からのビット攻撃に加えライフルでの狙撃)

クロエ「ですが……!」ヒュッ

ドガガガガガガガッ

セシリア「………」バシューンバシューン

セシリア(当たらない……私の攻撃を読んでいますの……)

クロエ(なるべく、当たりかけで回避を……)
95 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/10(日) 23:09:54.77 ID:NPIEESV90

ドガガガガガガガッ

セシリア「ちょこまかと!」バシューンバシューンバシューン

クロエ(右……上……左……次は……)

ピチュチュチュチュン

クロエ(四つによる方位攻撃……)

セシリア「ええい!」ガコンッ ズドンッズドンッ

クロエ(実弾への切り替え、レーザーの冷却開始されましたか)

セシリア「逃げるだけでは戦いになりませんくてよ!」ズドンッ

クロエ(優先順位の高い回避コースにビット攻撃……)バッ

ドガガガッ

セシリア(そんな……あの巨体で避けれるはずは……!?)

クロエ「最後は!」シュッ


バチィッンッ


セシリア「なっ……!!」

クロエ「あっ!」
96 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/10(日) 23:22:28.79 ID:NPIEESV90
セシリア(死角からの攻撃を弾いた!?)

クロエ(いつもの癖でついやってしまいましたが……今のは当たるべきでした……)

セシリア「ならば!!」バシューンバシューン


ピチュチュチュチュチュチュチュチュン


クロエ「予想通り、ビットを増やしてましたか……!」

セシリア「八つのビットによるオールレンジ攻撃、受けなさい!!」バシューン

クロエ「……」シャッ


ガァンッガァンッ


セシリア「おっと」バッ

セシリア(腕を伸ばして脚部からリボルバーを……ならもう片方に同じ物がもう一丁……?)

クロエ(上手く避けてくださいましたか)
97 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/10(日) 23:36:18.17 ID:NPIEESV90
一夏「あちゃーやっぱり増えてたか」

箒「呑気な事を言っている場合か、あんなもの一丁で応戦出来るか!」

一夏「あんなものって確かに一丁しか……ま、いいや。クロエはちゃんと見て避けてるから大丈夫だって」

千冬「その通りだ。よく見てみろ箒、クロエは数発わざと当たりに行っているぞ」

一夏「流石は姉ちゃん」

箒「……」ジィーッ

千冬「全く…つまらん戦いをしよって」

一夏「でも、どう戦おうが結果は変わらないよ」

千冬「そういう問題ではない」

一夏「敬意を払って完膚なきまでにブチのめして差し上げるよりかは万倍マシだよ」

摩耶(何て会話しているんですか、この兄弟は)

箒(確かに……よく見ているな……かわしている間ですら目を離してはいない………)
98 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/10(日) 23:50:51.32 ID:NPIEESV90
セシリア「なかなかやりますわね……!」バシューン

ピチュチュチュチュン

クロエ(オールレンジ攻撃も傾向を把握しました。私がわざと当たりに行っているのを見抜かれるのも時間の問題でしょう)

クロエ(顔にめがけて……リボルバーを投げて、その隙に)

クロエ「……」クルッ


ブンッ!!


セシリア「きゃっ…!」バッ

クロエ「今です!」シュッ

セシリア(あの一瞬で接近された!?)


ガギャッッ


セシリア「くあっ……この!!」ガコンッ

クロエ(迎撃用の多弾頭ミサイルですか)
99 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/11(月) 00:06:14.83 ID:LhTWgluz0
クロエ「ですが……!」パシッ ガァンッ


ドガアァァァァンッ


クロエ(弾頭を射出する前に撃ち落としてしまえば問題ありません)ジャッ

セシリア(投げたリボルバーでミサイルを!?)

クロエ(この煙を利用させてもらいます!)ゴオォッッ

セシリア「来る……!?」チャキッ

クロエ「そこです!」ドガァッ

セシリア「きゃッ………くッ……!!」

クロエ「……」ガシィッ

ブンッ

セシリア「ッ……ブルーティアーズ!!」

クロエ「……」ガァンッガァンッ
100 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/11(月) 00:21:07.39 ID:LhTWgluz0
セシリア(銃声は2つなのに6つも落とされた!?)

クロエ(ペースを崩され、動揺するとあなたはビットを一斉に展開させる。残るは二つ)

クロエ「……」シュッ

ガシャアァッ

クロエ(これでビットはなくなりました)

セシリア「まだぁ!!」バシューン

クロエ(位置は私が上を。そして)

バシューン

クロエ「……」ヒュッ


カッッ


セシリア「しまった……!!」

セシリア(太陽の光が……こんなミスを……!!)

クロエ「……」ゴオォッッ

101 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/11(月) 00:35:36.14 ID:LhTWgluz0


ガシィッッ


セシリア「!!?」

クロエ「……」グググッ

セシリア「また……後ろに……!?」ポロッ

セシリア(関節をッ……早く拘束から抜け出さないと……!!)

クロエ「……」ググググッ

セシリア「あうっ……!!」ズシャアッ


『試合終了 勝者 クロエ・クロニクル』


一夏『クロエ、もういいぞ』

クロエ「はっ!もっ、申し訳ありませんっ!お怪我はありませんか?!」パッ

セシリア「え……ええ……何とか……」

クロエ「本当に申し訳ありません!つい我を忘れてしまい危険な攻撃を!」ペコペコ
102 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/11(月) 00:53:28.50 ID:LhTWgluz0
セシリア(何も出なかった……)

セシリア(捉える間もなく、ここまで一方的に……)

セシリア(最初の内はわざと手を抜いて……戦っていらしたのですね……)

セシリア(織斑さんの言うとおり……最初から圧勝出来たのに……なのにわざと手を抜いて……)

セシリア(それなのに私は……それに気付かず戦い続け……勝てるものだと……)

セシリア(最後は……こんな……!)ジワッ

クロエ「本当に申し訳ありません!!」ペコペコ

セシリア「もう……結構です……」

クロエ「いえ、しかしーーー」

セシリア「結構です!!」

クロエ「ッ」ビクッ

セシリア「……あなたの勝ちですわ……織斑さんに……おめでとうございます、と……お伝えください……」

セシリア「では」

クロエ「待ってください!あのっ!!……ううっ……」

クロエ(何という失態を……一夏様に何と言えば言いでしょうか……)
103 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/11(月) 01:05:55.34 ID:LhTWgluz0
摩耶「お疲れ様です。クロニクルさん」

箒「よくやったな、クロエ」

千冬「クロニクル、お前はよくやった」

クロエ「あ、ありがとう……ございます……」

一夏「お疲れ、クロエ」

クロエ「一夏……怒ってませんか?」

一夏「何でだよ?」

クロエ「それは……あの……私が……」ゴニョゴニョ

一夏「やってしまったんだから仕方ないだろ?」

クロエ「確かに……そうです……けど……」

一夏「装甲の破損は引っ掻いた跡と最後の碗部のヒビのみ、ビットは飛行不能自己修復可能な程度の破損、ブルーティアーズの破損は軽かったんだし御の字だよ」

千冬「だが操縦者はどうだ?」

一夏「……それが問題かな」

クロエ「ううっ……申し訳ありません………」
104 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/11(月) 01:17:40.33 ID:LhTWgluz0
クロエ「余程ショックでしたのか……オルコットさんは少々取り乱していらしたのですが……もしかして……」

一夏「最後の最後でボコボコにしたお前が悪い」ビシッ

クロエ「そうですよねぇ……私が我を忘れたせいでぇ……」グスッ

箒「想定されていた最悪の事態じゃないか……」

一夏「本当にそうだよな」

クロエ「申し訳ありません……」グスッ

一夏「なーかしたなーかした、せーんせいに言っちゃーおー」

箒「ふざけてる場合か」ドゴッ

一夏「ぐふッ…!」

摩耶「何か大変な事になりましたね。イギリスに何て言い訳します?」

千冬「他人事では済みませんよ。山田先生」

摩耶「あははーそうですよねーどうします?」

千冬「下手に干渉するのは逆効果でしょう」
105 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/11(月) 01:36:08.84 ID:LhTWgluz0
一夏「よし、ここは何とか自分で立ち直ってもらうか!代表候補生様だし」

千冬「そうだ。この程度で崩れる者に国の代表など務まるものか」

一夏「厳しいなぁ、姉ちゃんは」

千冬「愚か者、事実だ」

一夏「いや、まあ…確かにそうだけどさ……大どんでん返しで完全にボコボコにしたから……」ポリポリ

一夏(悔し涙流しかけてるのを必死で我慢してたし……)

箒「クロエ、いい加減切り替えろ」

クロエ「わ……分かりました……」グスン

箒「そう思うのなら一夏、何かあればお前がセシリアをフォローしろ」

一夏「は?俺がぁ?何で?」

箒「いいな」ギロッ

一夏「……はい」

クロエ「私もお手伝いします……原因そのものですから……」

箒「いいや、一番の原因は一夏だ。そもそも一夏が戦っていればこんな事にはならなかったはずだ」

一夏「俺の方が酷かったと思うけど」

千冬「御託を並べるな。お前が何とかしろ」

一夏「はーい……」

摩耶「新学期早々大波乱の幕開け。いやぁ、これぞまさに青春ですねー」
106 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/11(月) 06:24:09.56 ID:pHCvuMdDO
クロエかわいい
107 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 17:20:54.53 ID:JJYagjt+0

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「という事でっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう!!」

オメデトー!!

パン,パパパパーン

一夏「はっはっはっ、ありがとう、皆さんどうもありがとう。この場を用いまして、私に清き一票を入れてくださった皆様方に感謝の意を表明したいと思います」

箒(どこの政治家だ。お前は)

一夏「そして、素晴らしい戦いを披露したクロエ・クロニクルとセシリア・オルコットに、皆さん盛大な拍手と賞賛を!」パンッパンッパンッ

バチパチパチパチパチ

セシリア「ありがとうございます」ペコッ

クロエ「皆さん……あ、ありがとうございます……」ペコリ

「いやー本当にすごかったよ。クロニクルさん」
「カッコよかったよ」
「あれだけ体柔らかいなら体操部に入らない?」
「バカ、めでたい席で何言ってんのよ」
「オルコットさんもクロニクルさんに負けず劣らず、凄い戦いっぷりだったと思う」
「本っ当、惜しかったよね〜相性の良し悪しが出たにせよ。あの突撃さえなければ勝ててたと思うけどけ〜」

セシリア「まだまだ私が未熟、だったと言うだけですわ」
108 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 17:35:05.45 ID:JJYagjt+0
セシリア「そう……未熟だっただけですわ……」

「ごめんごめん!ほら料理食べよ!」

セシリア「ありがとうございます」

一夏「……」

一夏(やっぱり、か……本当に天才の自信過剰ってのは難儀なもんだな……)

箒「一夏、お前の分だ」

一夏「お、悪いな」

箒「礼なら本音に言え」

本音「どうぞどうぞ〜」トテトテ

クロエ「布仏さん……あ、ありがとうございます……」

一夏「布仏さん、ありがとう」モグモグ

本音「どういたまして〜あとあと〜呼ぶのは〜本音だよ〜」ニパー

清香「ひゅんふいほはおほろひい… …!」

静寐「口一杯ほおばりながら何言ってるの」

「う〜ん、これでクラス対抗戦も華が増えたってもんだね。楽しみだぁ」
「そーだよね」
「ラッキーだったよねー織斑くんと同じクラスで」
「そーだよね」

一夏(何で二組の人がサラッと紛れ込んでるんだ?)
109 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 17:46:08.32 ID:JJYagjt+0

「ねえねえ、クロエさん。今度IS教えてっ」
「ずるーい、私も私もー」
「私もー!」
「アタシもー!」
「アタイも!」
「ウチもウチも!」

ガヤガヤワイワイ

クロエ「あの……私でよければ……ですが……」

「なに盛ってんだお前等はー!」
「全く、騒がしいったらありゃしないね」
「どこに来ておいて何ほざいてんだテメェは」

一夏「人気者だな。クロエ」

箒「一夏、良かったのか」

一夏「何が?」

箒「クラス代表になって、だ」

一夏「別に、カッとなって自ら挑戦を受けたんだ。今更勝っておいてやらない程、俺は無責任じゃないよ」

箒「その責任感を他のところでも発揮しろ」

一夏「……どうもすみません」ポリポリ

セシリア「……」
110 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 18:00:03.72 ID:JJYagjt+0
一夏(あー何か来た)

「はいはーい、どいたどいたー新聞部ですよー泣く子も黙る報道の自由様のお通りだー」

オオー!

「初めまして、私は二年の黛薫子。あ、これ名刺ね。よろしくねー!」ガシッ ブンブン

クロエ「こ……こちらこそ……よ、よろしく……お願いします……」ブンブン

クロエ(な、何故……私に……?)

薫子「さて、織斑君!クラス代表になった感想をビシッとズバッと、どうぞ!」

一夏「これからもスポーツマンシップに乗っ取り、正々堂々、卑怯の限りを尽くしたいと思います」

ドッ アハハハー!

箒(はあ……何を言ってるんだ……)ヤレヤレ

薫子「あっはっはっ!面白い!じゃあ、次の戦闘もクロエちゃん任せで?」

クロエ「……」ジィーッ

一夏「とんでもない。この織斑一夏、是非ともクラスの代表として戦わさせて頂きますよ」

クロエ「ほっ……」

薫子「機体はやっぱり専用機?独占取材させてよー」

一夏「それは今度の試合のお楽しみ、という事で」
111 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 18:21:54.63 ID:JJYagjt+0
薫子「くうっ、つれないねーったくもーそれじゃあ期待の新人クロエちゃん!セシリアちゃんと戦ってどうだった?」

クロエ「期待……ですか?……えっと……その……貫手は危険……だったと思います……」オズオズ

クロエ(なるべく急所を狙うのは避けたのですが……それでも……)

薫子「一発キッツーいのが入っちゃったもんねーそして怒濤の如き攻撃でセシリアちゃんを見事、戦闘不能に!」

クロエ「お、お褒め頂き……ありがとう……ございます……」ペコリ

薫子「それじゃあ、あの白い機体の名前は?武装は?大きな特徴は?」

クロエ「名前は……零式、です……武装はリボルバーのみ……特徴は御覧の通り、一般的なISよりも少し大きい点と、露出部分が極端に少ない点と、スピードに優れている点です……」

薫子「ふむふむ……技術を注ぎ込んだ結果、大きくなっちゃったパターンだね」

クロエ「そう……考えて頂ければ……結構です……」

薫子「零式は誰が作ったの?どこ製?見たところどこの国のISとは似ても似つかないけど?」

クロエ「そっ、それは……その……機密なので……お教えする事は……出来ません……申し訳ありません……」ペコリ

薫子「っかあーまたかー!何だこの一年生は二人はー謎すぎんでしょー!っかあー!」

一夏「そりゃどうも」

クロエ「本当に……申し訳ありません……」ペコリ
112 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 18:49:30.93 ID:JJYagjt+0
薫子「仕方ない。腹びれから背びれに尾ひれまで、何から何まで色々と捏造しておくからいいとしようかな」

一夏「それは主に感想云々でお願いします」

薫子「よろこんでー!」

箒(それで良いのか……)

クロエ(捏造……娯楽としては必要ですが……過度なものは……)

薫子「さてさて、お待たせしました。セシリア・オルコット嬢、惜しくも敗れてしまいましたが……クロエちゃんはどうだった?」

セシリア(惜しくも、ですか……)

セシリア「最初は少し侮っていましたが、その考えはすぐになくなりました。機体性能の高さに加えクロニクルさんの実力も計り知れないものでしたわ」

薫子「ふむふむ……」

セシリア「八つのビットのオールレンジ攻撃を全て紙一重で回避、的確で精密な射撃にバーストショット、リボルバーを投擲なさってからの格闘戦、どこをどう取っても私で太刀打ち出来た相手とは思えませんわ」

薫子「まさかのべた褒め!あのセシリア・オルコットにここまで言わせるなんて!」

クロエ「そんな……私なんか……過大評価……ですよ……」

セシリア「いいえ、全て事実ですわ。例えブルーティアーズの性能を上げたところで叶うとは思えません」

クロエ「そうでしょうか……」モジモジ

薫子「ほうほう……」

セシリア(そう、全てのビットを同時射出とその撃墜……得意ではない近接戦に持ち込まれた挙げ句……あんな簡易か目眩ましを食らうとは……)

一夏「……」
113 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 19:02:30.88 ID:JJYagjt+0
薫子「ーーーそして、互いに全力を尽くし戦った、と……」

クロエ「そ……そうです……」

セシリア「ええ、そうです」

一夏(あいつ……ここに来てからよく胸元に手をやるな……癖か?)

薫子「くっはー!いいネタもらったー!私のイマジネーションが超特急だーっ!」

薫子「それじゃあ最後に二人並んで握手して、写真撮るから!」

クロエ「はい……し、失礼します……」スッ

セシリア「ええ、構いませんくてよ」スッ

薫子「はい、真ん中に織斑くんね」

一夏「えっ、俺ですか?」

薫子「パーティーの主役なんだからいないと駄目でしょうが、ほら」グイグイ

一夏「分かりましたから……押さないでくださいよ……」

薫子「よーし、それじゃあいくよー!」

一夏(気まずい……)

クロエ(どういう表情をすれば良いのでしょうか……)オロオロ

セシリア「しっかりしてください。私に勝ったのでしょう?」ボソッ

クロエ「も……申し訳……ありません……」ボソッ

一夏「セシリアの言う通りだぞ」ボソッ
114 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 19:12:11.62 ID:JJYagjt+0

パシャシャシャシャシャ

セシリア「あなた今……」

一夏「ごめんごめん、いきなり名前で呼ばれるのは嫌いだったか?」

セシリア「いえ……間違えずに言われたもので」

一夏「あーあの時はあまり寝てなくて苛立っててさ。ごめん、悪かったよ」

セシリア「こちらこそ……」

薫子「うげっ、何か集合写真みたいになっちゃった」

ワイワイガヤガヤ

クロエ(皆さん素早く後ろに入られましたから……)

一夏「何だよ。お前も写りたかったのか?」

箒「馬鹿を言え、引っ張られただけだ」

本音「にへへ〜」

清香「おのれ……」

静寐「何で私まで……」

セシリア「……」

セシリア(今の……何故か……)
115 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 20:51:34.07 ID:JJYagjt+0


バタン


一夏「ふーっ、ようやく終わったな」ドサッ

クロエ「流石に……疲れました……」

一夏「良かったじゃないか、色んな人と関われて」

クロエ「そうですが……あれほど多くの人とお話しするのは……」

一夏「何事も慣れだよ」

クロエ「わ、分かりました」

一夏「で、問題のセシリアだけど」

クロエ「懸念されていた通りだと思いますが……」

一夏「そうだよなぁ……」

クロエ「どうします?」

一夏「現状維持だ。最悪の場合は俺が何とかする」

クロエ「手を付けにくい場所で抜けた穴は……大き過ぎましたね」

一夏「その通りだよ。何て面倒な事をしたもんだよ、ったく……」

一夏「あーもう風呂入るのも面倒だ。このまま寝ようかな」ゴソゴソ

クロエ「いくらなんでもそれは駄目ですよ……」グイッ

一夏「分かってるって、冗談だから引っ張るな」
116 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 21:14:54.40 ID:JJYagjt+0
セシリア「……」


ギュッ


セシリア「……」

「あの……セシリアさん」

セシリア「は、はい、どうかなさいましたか?」ササッ

「電気消してもいい?」

セシリア「ええ……どうぞ」

パチッ

セシリア「……」

「セシリアさん……こんな事言うのも何だけど……私はその……セシリアさんは頑張ったと思うよ……何も恥ずかしい事なんてないぐらい……」

セシリア「……」

「確かに結果はああなっちゃったけどさ……でも、だからってセシリアさんが弱いって訳じゃないと思う……だって前の日まであんなに特訓してて……」

セシリア「……」

「相手が悪かったーーーじゃなくて……だからその……」

セシリア「そのお気持ちだけ、受け取られさせていただきますわ……お休みなさい」

「お休みなさい……」
117 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 21:28:25.46 ID:JJYagjt+0

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箒「おはよう、一夏」

一夏「おう、おはよう」モグモグ

クロエ「おはようございます」

箒「失礼するぞ」ガタッ

一夏「どうぞどうぞ、おー今日は鮭定食か」

箒「やらんぞ」

一夏「ここの焼き鮭は焼いてないからいらない」

箒「いちいち文句が大い奴だな……」

一夏「だから食べてないだろ。大体な、焼いてないの焼きって付くのはおかしいだろ」

箒「なら表記を蒸し鮭にしてもらうか?」

一夏「そこまでしてまで食べたいものじゃない」

クロエ(豆が掴めません……)ツルッ
118 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 21:43:11.52 ID:JJYagjt+0
クロエ(掴めました!後は……ゆっくり……ゆっくり……)

クロエ「……」プルプル

クロエ(もう少し……!)プルプル

クロエ「あっ!」カチャン

一夏「んぐっ!?」ピシーン

クロエ「すっ、すす、すみませんっ!」

一夏「何だ……煮豆?」

クロエ「お怪我はありませんか?」アセアセ

一夏「大袈裟だな……ほらスプーン」ヒョイ パクッ

クロエ「すみません……本当に……」

箒「何で箸で食べ難いものばかり食べているんだ……」

クロエ「料理の内容を充分把握せずに……購入していますので……」

一夏「だから俺は常にスプーンを持ってる」

箒「お前が料理を教えれば済む話だろ」

一夏「箸で掴み難い料理でも、クロエの大好物になるかもしれないだろ?」

箒「いちいちいちいち屁理屈を……!」イラッ

クロエ「喧嘩はやめてくださいよぉ……」
119 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 22:00:36.43 ID:JJYagjt+0
箒「全く……それでだ。セシリアはどうするんだ?」

一夏「別に、どうもしないかな」

箒「お前……」

一夏「どうどう、落ち着けよ……今のところは、だ。必要があればどうにかするよ」

箒「ふん……ならいいが」

一夏「自分で立ち直ってくれたら万々歳なんだけどな」

箒「原因の張本人が何を言うか」

一夏「あくまで俺の希望だよ……最近のセシリアは見てるだけで……こう、何というか……心配になるからさ」

箒「自信をなくしたんだ……無理もない」

クロエ「本当にそれだけなのでしょうか……?単なる自信の喪失のみであそこまで……」

一夏「ならない、よな。今回の一件がセシリアの個人的な部分に引っ掛かった事は確かなんだよ」

箒「だから手出し出来ない、という事か」

一夏「そういう事だ。だから俺はこうやっていつも通り飯食ってるって訳だよ」

箒「ッ〜……呆れた……」

クロエ「精神面はしようがありませんので……致し方ないかと……」
120 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 22:14:27.16 ID:JJYagjt+0

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千冬「ではこれより、ISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。クロニクル、オルコット。試しに上へ飛んでみろ」

クロエ「りょ……了解しました……」

セシリア「了解です」

一夏(姉ちゃん、何でそのチョイスをするかなぁ……)

ドンッッ

一夏「あっ」

摩耶「おー速いですねー」

エッ!?モウアンナトコロニ!?ゼンゼンミエナカッタヨ?

千冬「……クロニクル、ISの展開と急上昇は同時に行うな。これは授業だ」

クロエ『も、申し訳ありません!!』

一夏(本人からすれば一応遅くやってるんだろうけど……)

千冬「まあいい。オルコット、準備はいいな?」

セシリア「はい、もちろんです」

千冬「よし、飛べ」
121 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 22:30:26.43 ID:JJYagjt+0
千冬「よし、飛行はもういい。クロニクル、オルコット、次は急降下と地表数センチでの完全停止をやってみせろ」

クロエ『了解しました……お先にどうぞ……』

セシリア『了解です。私から行きます』

一夏(一見、問題なさそうに見えるんだけどなぁ……なんでこんな心配になるんだろうな……)

ギュンッ

セシリア「……」ピタッ


オオー!


千冬「……次、クロニクル」

……ォォォォオオオオッッ

クロエ「……」ビタッッ


オオー!!


千冬(十一センチと四センチ……らしくもないミスだな。オルコット)

一夏(あちゃー……)
122 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 22:56:43.35 ID:JJYagjt+0
千冬「では次は武装の展開だ。クロニクル、まずはお前だ」

クロエ「あっ、あの……織斑……先生……」

千冬「何だ」

クロエ「私の機体に……武装は右足にあるリボルバーしか……ないのですが……」

千冬「……本当にそれだけか」

クロエ「はい、これだけです……ISの展開ではなく……ただのクイックドロウだと……思います……申し訳ありません……」

一夏(まあ、実際そうなるよな。そもそも武装なんて後付けの外付けなんだし)

千冬「謝る必要はない。オルコット、武装を展開しろ」

セシリア「はい」チャッ

千冬「流石だな。次は近接用の武装を展開しろ」

セシリア「……」

シャキンッ

千冬「……いいだろう」

クロエ(ここまで影響が……)

一夏(はあ……流石に罪悪感が……)
123 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 23:09:15.99 ID:JJYagjt+0
千冬「時間だな。次の授業に遅れるなよ」

ハーイ!

千冬「オルコット、少し話がある」

セシリア「はい、何でしょうか?」

千冬「お前も気付いているとは思うが武装の展開時間が落ちている」

セシリア「……」

千冬「今までは違ったがいずれは動作の一つ一つですらコンマの世界になる。このまま落ち続けるという事のないようにしろよ」

セシリア「分かりました……」

千冬「ではーーー山田先生?」

摩耶「お願いします。クロニクルさん……持つだけでも……せめて持つだけでも……!」

クロエ「ですから……その……これは……零式専用の物ですので……」

千冬「ッ〜持病が出たか……」

摩耶「そう言わずに、そこを何とかお願いしますよ……ね?ね?ちょっとだけですから……そう、ちょっとだけ……」

摩耶(そしてあわよくばその十三ミリを……うへへ)

クロエ『一夏様……どうすれば……?』

一夏『やめといた方がいいな。山田さんなら撃ちかねない』
124 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/12(火) 23:28:28.22 ID:ly9GGiWko
ISの武装って持ち主が許可しないとセーフティが働いて撃てないんじゃなかったっけ
125 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 23:28:52.04 ID:JJYagjt+0
千冬「山田先生」ガシッ

摩耶「へ?あ、織斑先生?」

千冬「次の授業の、用意があります。戻りますよ」

摩耶「まっ、待ってください!まだ十三ミリをーーー」

千冬「問答無用」グイッ

摩耶「待って!まだ撃ってないんですよ〜!せめて!せめて持つだけでも!!」ズリズリ

千冬「トリガーハッピーが何を言おうと説得力がありません」ズリズリズリ

摩耶「待ってぇぇぇ!!私に十三ミリを撃たせてぇ!!十三ミリを!!!」ズリズリズリ

千冬「また今度にしてください。教師がみっともない……」ズリズリズリズリ

摩耶「クロニクルさぁぁぁん!!」ズリズリ少し

クロエ「も……申し訳ありません……」ペコリ

千冬「そういう事ですから」ズリズリズリズリズリズリ

摩耶「撃たせてえええぇぇぇぇぇ!!うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ズリズリズリズリズリズリ

一夏「やっぱりな……」

クロエ「え、えーっと……これで良かったのですか……?」

一夏「いいんだよ。姉ちゃん曰く山田さんの病気らしいから」

クロエ「……山田先生からはよく……火薬の匂いがしますが……病気……」
126 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 23:40:22.51 ID:JJYagjt+0
>>>124

オリジナルIS、零式のリボルバーは一夏の台詞通り後付けです。
「リボルバーをISで扱うサイズにしただけの物」ですからセーフティが組み込まれておらず、持てるのなら発射は可能な設定です。
127 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 20:38:27.78 ID:ZzBi0VDg0

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セシリア「はい!」ヒュッ

「ッシャアァ!食らえオラァァァ!!」パシッ ヒュッ

セシリア「あっ!」

ピーッ

「チェイス!」
「追え追えー!!」

セシリア「……」

エース「ほら、ボサッとしてんじゃないよ」トンッ

セシリア「申し訳ありません……」

エース「パス捕られたぐらいでいちいち何凹んでんだい。とっとと走りな」

セシリア「はい……」タッ

エース(らしくもないミスだね……パスをアタッカーに捕られて決められるなんて)

エース(本当頼むよ。イギリスのお嬢ちゃん)
128 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 20:49:06.29 ID:ZzBi0VDg0
セシリア(何をやっていますの……これ以上失敗出来ませんのに……)

セシリア(取り返さないと……何とかして……!)

セシリア(私が……!)

「パス!」ヒュッ

セシリア(これなら!) バッ

「ちょっ、セシーーー」

セシリア「あっ!?」ガッ

「うわっとっとっとおぉぉぉぉぉ!!」バターンッ ポロッ

ピッピー

「セシリア、パーソナルファール。三分のマンダウン」

エース「……」

セシリア「もっ、申し訳ありません!大丈夫ですか!?」

「何とかね……痛ってて……」サスリサスリ

セシリア「申し訳ありません……」
129 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 20:59:21.93 ID:ZzBi0VDg0

「気にしない気にしなーい。よっと、こんなの全然へっちゃらなんだから」スクッ ヒョコッヒョコッ

セシリア「そんな……肩をお貸しします」スッ

「おっ、悪いね。お嬢」ヒョコッヒョコッ

セシリア「いえ、当然の事です……」

エース「セシリア、マンダウン終了と同時にあんたは交代よ」

セシリア「はい……」

エース「頭を冷やしな。今のあんたは危なっかしくて困んのよ」

セシリア「……分かりました」

エース「そんで、あんたは休んでな。セシリアかばって無茶な着地してんだから」

「もーこんなのへっちゃらだってば。唾付けとけば治るって」

エース「塩で傷口揉まれたくなけりゃ黙ってベンチに行きな」

「あいあいさー」

セシリア「……」
130 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 21:12:03.29 ID:ZzBi0VDg0
一夏「ったく、何やってるんだよあいつは…思いっきりぶつかってんじゃんか……」

クロエ「あ、あの……一夏様?」

一夏「あーあ、しかも交代か?相手もまともに歩けてないし……」

クロエ「一夏様……?」

一夏「ラクロスってあんな激しいもんなのか…流石はラグビーとかアメフトの類いだな…恐ろしい」

クロエ「いっ、一夏様!」

一夏「さっきから何だよクロエ、ちゃんと聞こえてるよ」

クロエ「なら返事をしてくださいよぉ……」

一夏「はいはい、何だよ」

クロエ「屋上から男子生徒が……部活動中の女子生徒を監視しているのは……少しどうかと思うのですが……」

オリムラクーン!

一夏「おー!部活頑張れよー!」ヒラヒラ

クロエ「ちゃんと聞いてくださいよぉ……!」
131 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 21:31:28.70 ID:ZzBi0VDg0
一夏「監視なんて人聞きの悪い事言うなよ。俺はただ、屋上でボーッとしてるだけだよ」

クロエ「ISを使ってこのような事をしているのが千冬様に知れたら……どうなるか分かりませんよ……」

一夏「ないない。箒ならまだしも、姉ちゃんは忙しいから」

クロエ「なら良いのですが……」

一夏「意外と山田さんが現れたりしてな」

クロエ「それは……その……困りますーーー三人、来ます」


バーンッ


楯無「目標発見!確保よー!!」ブンブンブンッ

本音「逮捕だ〜!ルパ〜ン!」

簪「……」コソッ

一夏「あっはっはっはっ、予想外の三人が来た」

楯無「おりゃあー!」ブーンッ

一夏「ほいっと」スルッ

本音「年貢の納め時だ〜!」ジャラジャラ

一夏「ワッパは勘弁!」スパーン
132 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 21:42:03.98 ID:ZzBi0VDg0
本音「ありゃりゃ?」ガチャーン

楯無「ちょっと!柵に繋がれちゃったじゃないの!」ガチャーン

一夏「クロエ、逃げるぞー!」ダッ

クロエ「はい……!」ダッ


簪「ま……待って!」バッ



一夏「!?」ピタッ

クロエ「……」ピタッ

簪「く……だ…さい……」

一夏「……これも予想外」

楯無「ナイス簪ちゃん!ほ、ほらっ、本音ちゃん早く鍵!」

本音「待て待て待て、駄目ですよ〜鍵さんどちら〜手のなる方へ〜」バラバラ

楯無「えー…これ?違う……これ…でもないし……あーもう、どうしていっぱい投げたのよ!」ガチャガチャ

本音「戦いは数なのだ〜」ガチャガチャ
133 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 21:50:27.94 ID:ZzBi0VDg0
一夏「……」スススッ

簪「……!」スススッ

一夏「……」ススススッ

簪「……!」ススススッ

一夏「……あのさぁ」

簪「ご……ごめん……なさい……でも…お姉ちゃんが……」

一夏「はあ……」

クロエ「どうしますか……?」ヒソヒソ

一夏「無論、一転突破だ」ヒソヒソ

クロエ「了解」ヒソヒソ

一夏「なあ、簪ちゃん」ズイッ

簪「えっ……いや……近い……」スススッ

一夏「俺は君の事をよく知らない。だから君のお姉さんの申し出を断ったんだよ?」ズズイッ

簪「うぅ……ううぅ……」スススッ
134 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 22:04:24.55 ID:ZzBi0VDg0
一夏(このいじり甲斐…久しぶりだ…!!)ワクワク

クロエ(嫌な顔をしていらっしゃいます……)

楯無「来た?来たのね?お姉さんの思惑通りなのね?なっちゃうのね?本音ちゃん早く〜!」ガチャガチャ

本音「えーっと、えーっと」ガチャガチャ

一夏「……」ジリジリ

簪「……」ジリジリ

トンッ

簪「あっ……」

一夏「もう逃げるのはなしだ。聞かせてくれ、俺はもっと君の事を知りたい。君はどうなんだ?」

簪「あ……あっ……あああ……あの……!!」アタフタ

一夏「お姉ちゃんは関係ない。本当の気持ちを聞かせてくれ、簪」ズイッッ

簪「あうあうあうあう〜!!」ワタワタ

本音「う、うわ〜!簪ちゃん……!」モジモジ

楯無「きたぁぁぁぁぁ!!」
135 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 22:13:48.59 ID:ZzBi0VDg0


簪「……」ボンッッ


楯無「えっ」

本音「あっ」

一夏「仕方ないなーまた今度な!」ダッ

クロエ「失礼します……!」ペコリ ダッ

簪「……」プシュー

本音「簪ちゃん…オーバーヒートしちゃった……」

バキーンッ

楯無「待てえぇぇぇ!!逃がすかぁぁぁぁぁ!!」ダッ

本音「うんしょっ……」カチャン トテトテ

簪「……」プシュー

本音「簪ちゃん、簪ちゃん」ユサユサ

簪「……」プシュー

本音「駄目だこりゃ〜」
136 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 22:29:33.70 ID:ZzBi0VDg0
一夏「という事が今日あったんだよ」モグモグ

箒「一夏」

クロエ「お、落ち着いてください……」

一夏「正直言って、何か間違えかもしれないかなーとは思わないでもない」

箒「何かではない。全部だ、全部」

一夏「孫子だって言ってるだろ?戦いとはーーー」

箒「孫子に謝れ」

一夏「何で怒ってるんだよ。いいだろ、知りたいのは事実なんだし」

箒「言い方を考えろ」

一夏「だから考えに考え抜いーーー」

箒「……」グリッッ

一夏「いってえぇぇー!!」

箒「ふんっ……馬鹿……」

クロエ「ああ……もう……」
137 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 22:40:58.41 ID:ZzBi0VDg0
一夏「お……おおぉぉぉ……痛ぇ……」ジンジン

箒「自業自得だ」モグモグ

クロエ「……」オロオロ

一夏「ブーツは駄目だろ……骨が砕ける……」ジンジン

箒「なら砕いてやろうか」

一夏「けっ…結構です……うぉぉぉぉ……」ジンジン

クロエ「大丈夫……ですか?」

一夏「足の指…繋がってるかな……」ゴソゴソ

クロエ「そんな……!」

箒「いちいち大袈裟だ」

一夏「はーい……」

クロエ「ほっ……」
138 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 23:02:39.42 ID:ZzBi0VDg0
一夏(しかし何でだろうな……何かずっと俺の中で引っ掛かってるんだよな……何で引っ掛かってるんだ?)

一夏(いつからこの感じがしてたんだ?)

一夏(この感じ……何か……忘れちゃいけないぐらい……大事な事を……忘れてる……ような……)

一夏(大事な事?忘れてる?)

一夏(何だ……何を……)

一夏「……」

箒「一夏……?」

一夏「あ、ああ…どうしたんだ?」

箒「どうしたんだじゃない。お前がどうしたんだ」

クロエ「難しいお顔をなさっていましたよ……」

一夏「え、あれ?おかしいなーちょっと考えただけだからそんなに難しい顔した覚えないんだけどなー」ジョバババー

クロエ「あの……それは醤油ではなくソースですよ……」

一夏「うわっ!?本当だ……刺身にソースって……」ガクッ

箒「何をやっているんだ……」ヤレヤレ
139 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 23:14:54.46 ID:ZzBi0VDg0
楯無「お・り・む・ら・くぅ〜ん♪」ムニュ

一夏「あ、楯無さん、こんばんわ」

箒「こんばんわ」

クロエ「こんばんわ……」ペコリ

楯無「はい、三人ともこんばんわ〜ねえ〜織斑くん、お姉さんはとっても悲しいわ〜」ツツー

一夏「何が…ですか?」

楯無「今日の事よ〜はあ……お姉さんはてっきり織斑くんが簪ちゃんを、と思ったのに……ふーっ」

一夏「は、はあ……」

箒(何をやっているんだこの人は……)

楯無「おかげで簪ちゃんは茹で蛸よ〜ほら、あそこ」


簪「……」プシュー


一夏「わーほんとうだー……ん?」

楯無「他人事じゃあ済まないわよ〜?」

一夏「ちょっと、すいません」グイッ

楯無「あん……いけず」
140 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 23:35:30.63 ID:ZzBi0VDg0
セシリア「……」

セシリア(日に日に状況が悪化していますわ……)

セシリア(原因は……あの敗北以来……私が……不安定だから……)

セシリア(情けない……この程度で揺らいでいて……代表候補生は務まりません……)

セシリア(イギリス代表も……オルコット家の……当主も……)

セシリア「はあ……」

セシリア(思い詰めても始まりません。今日はもう部屋にーーー)カツン

セシリア「あっ!」

一夏「おっと!」パシッ

セシリア「あなた……」

一夏「ん〜ナイスキャッチ……気を付けろよ」

セシリア「ありがとうございます…助かりましたわ」

一夏「いえいえ、どういたしまして」
141 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 23:49:28.99 ID:ZzBi0VDg0
セシリア「私に何か用ですの?織斑さん」

一夏「いや、別に用って程の事じゃないんだけどさ……」ポリポリ

セシリア「何ですの?」

一夏「何というか……今のお前、危なっかしくて……見てると心配なんだよ」

セシリア「危なっかしい……?私が?」

一夏「さっきだって、お前心ここにあらず、って感じでさ……フォーク落としかけてたし」

セシリア「……」

一夏「いらない世話かもしれないけどーーー」

バンッ

セシリア「結構ですわ!あなたの情けなど必要ありません!」

一夏「いや、別に情けって訳じゃーーー」

セシリア「結構てす。部屋に帰らせてもらいます」スタスタ

一夏「待てって!話は最後まで聞けよ!」

セシリア「来ないでください!」
142 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 00:07:40.24 ID:KRlv1f3w0


タッタッタッタッ


セシリア「はっ……はっ……」

セシリア(何ですの……どうせ私を嘲りにでも来たのでしょう……)

セシリア(敗者の私を……!)ギュッ

一夏「待てよ!」ガシッ

セシリア「離してください!」バシッ

セシリア「何ですの?勝者の余裕ですか?!あなたは善意のつもりでも私にとっては屈辱に他ならないのですよ!」

セシリア「試合の時だって、クロニクルさんに最初は手を抜くように指示なさったのもあなたでしょう!!分からないとお思いでしたでしょうが違いますのよ!!」

一夏「確かに……俺がそう言ったけど……」

セシリア「いい身分ですわね。努力も何もせずに優秀な能力を手に入れて、それ盾に出来ますものね」

セシリア「楽しかったですか?面白かったですか?人の気持ちや自信を踏みにじって!!そうやってヘラヘラと人を嘲笑って!!」

一夏「違う……違うって……俺はそんなつもりじゃない」

セシリア「そうやってあなたは!!無自覚に人を傷付けているのです!!何故分からないのですか!!」

一夏「違うんだ……聞いてくれ……」
143 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 00:29:58.05 ID:KRlv1f3w0
セシリア「違う?……とぼけるのもいい加減にしなさい!!あなたのせいで苦しんでいる人がいないと思うのですか!!?」

セシリア「思い上がりも甚だしい!!恥を知りなさい!!!」

一夏「だから違うんだ!!!」

セシリア「ッ……」

一夏「ごめん……俺が悪かったよ……確かに手を抜けって言ってお前の気持ちとか……敬意とか誇りとかを踏みにじった……ごめん……」

一夏「でも……だから俺……その……上手く言えないけど……何とかしたいんだよ……」

一夏「お前の力に……なりたいんだよ……」

一夏「クソッ……何なんだよ……ずっと何とかしたいから考えてたのに、いざその時になったら全然お前の為になる事出来なくて……」

一夏「こうやって……聞いてもらうのだけで精一杯で……」

一夏「ごめん……でもお前を笑おうなんて気はないんだ!」

セシリア「そッ……そんな……そんな言葉!!信じられると思うのですか!!?」

一夏「思わない。でも……信じてほしい……」

セシリア「この期に及んで……!!」

一夏「頼む……セシリア……」

セシリア「こッ、この〜!!」

一夏「頼む、セシリア」
144 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 00:36:47.53 ID:KRlv1f3w0
セシリア「無理です!!あなたは信じられません!!」クルッ

一夏「待ってくれ!!」ガシッ

セシリア「離して!!!」ブチッ ポトッ


パシーンッ


一夏「セ、セシリア……」

セシリア「はあっ……はあっ……はっ!」

一夏「ごめん……」

セシリア「ッ〜!」クルッ


スタスタ


一夏「……」ヘタッ

一夏「は……ははっ……カッコ悪いな……俺……何本気になってるんだろ……」カサッ

一夏「これって!!」
145 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 00:49:09.00 ID:KRlv1f3w0
〜寮長室〜

千冬「こんな時間に外出許ーーーどうした、その顔は」

一夏「いや、その……まあ……不名誉の負傷、かな?」

千冬「……箒をからかうのも大概にな。それで、明日の外出許可はどこに行くんだ?」

一夏「家…かな」

千冬「掃除ならこの前しただろ」

一夏「違う違う、ちょっと野暮用が出来て……」

千冬「野暮用……?何だ、詳しく聞かせろ」

一夏「いや……だから野暮用なーーー」

千冬「黙れ、聞かせろ」

一夏「ッ〜……これだよ」スッ

千冬「……どこで見つけた」

一夏「知りたい?」

千冬「ああ……知りたいな」

一夏「……」

千冬「……」

一夏「教えない」

千冬「この愚か者めが」ガスッッ

一夏「ハウッッ」
146 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 01:01:27.52 ID:KRlv1f3w0
〜廊下〜

セシリア「……」

セシリア(私にはもう……迷う暇などありません……)

セシリア「……」スッ

ガチャッ

三年生「さあ、入りなさい」

セシリア「!……私が来るのを知っていたのですか?」

三年生「……」

三年生(成る程……)

三年生「いいえ、知りませんでした。来る頃だろうとは思っていただけですが」

セシリア「そ、そうですか……」

三年生「ですのでローズティーを入れていたのですが……どうやら、それも必要なかったようですね」
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