一夏「 こ れ は ひ ど い 」

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206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 17:31:57.90 ID:vJNlPIEI0
一夏「ーーーって、あの人解説もなしに帰っちゃったよ」

クロエ「……」ジーッ

セシリア「あの人の事ですから……花言葉に意味があると思いますわ」

「えーっと、白い薔薇の花言葉は純潔と純粋」

一夏「は、はあ……純潔と純粋……?」

「深い尊敬」

クロエ「尊敬、ですか……?」

「えっ」

セシリア「どうかなさいましたか?」

「あのね……最後の一つなんだけどね……花言葉はーーー」



三年生(私は貴方に相応しい)

三年生(そう、いつの日か貴方達とも……)

三年生「フフフ……」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 17:53:38.49 ID:vJNlPIEI0
一夏「うわぁお……」

クロエ「……」

セシリア「宣戦布告、と受け取っていただいても結構ですが……あの人の意図は……」

一夏「闘争心の塊かよ……」

クロエ「人の内面は外見に伴わないものですね……」

一夏「おう、確かにそうだよな。セシール?」ニヤニヤ

クロエ(また始められましたか……)

セシリア「セ・シ・リ・ア!ですわ!」

一夏「ごめんなー昔お前が名前教えてくれた時にセシールって聞こえてたんだよー日本人耳悪いからさーごめんなー」

「昔?織斑くんとセシリアさんって知り合いだったの?」

一夏「よくぞ聞いてくれた。そう、あれは丁度こんな日のーーー」

セシリア「あー!ああー!旅行に来た時に偶然遊んだだけですわ!」

一夏「おーそうだなー楽しかったよなーあっちこっち駆け回ってなー」

セシリア「ええ、楽しい思い出ですわ」ニコッ

(聞いちゃマズイ事だったのかな……)
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga ]:2016/01/23(土) 18:13:20.12 ID:vJNlPIEI0
〜医務室〜

「お大事に、セシリアさん」フリフリ

セシリア「ええ、ありがとうございます」

バシュンッ

一夏「リンゴとか食うの久しぶりだな」シャクシャク ショリショリ

クロエ「食べながら皮を剥くのは危険かと思いますが……」

セシリア「……」

一夏「食うか?」シャクシャク ショリショリ

セシリア「はあ……結構です」

一夏「何だよ。そのため息は」ショリショリ

セシリア「別に、何でもありませんわ」

一夏「調子、戻ってきたな」

セシリア「戻るも何も……私はいつも通りでしたわ」

一夏「はいはい、そうでしたね」ショリショリ

クロエ「……」モグモグモグモグ
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 18:33:53.75 ID:vJNlPIEI0
一夏「良かったな。あれだけやられたのに二、三日安静にしてるだけで」

セシリア「あれだけ、とはどういう意味ですの?」

一夏「……食ってかかる奴だな」

セシリア「当然ですわ」ムスッ

一夏「何で怒ってるんだよ」

セシリア「あなたもご自分の名前を聞き間違える失礼な方がいらっしゃれば分かると思いますが?」

一夏「仕方ないだろ。あんなボソボソとネイティブな発音で名前聞かされてもガキは分からないだろ」

セシリア「……全く、今まで私がどんな気持ちでいたのかも知らずに……」

一夏「そこはお互い様、って事で」

セシリア「まさかあなたでしたとは夢にも思いませんでしたわ」

一夏「それもお互い様」

セシリア「はあ……」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 20:47:14.97 ID:vJNlPIEI0
セシリア「でも……」

ギュッ

セシリア「あなたがいなければ、私はあの人に何も出来ませんでしたわ」

一夏「そうか?いつも通りだったんだろ?」

セシリア「いいえ、あの最後の一撃もこのお守りがあったから……」

セシリア「あの時……あの人の攻撃を受け、全ての武器を失って……落ちていく中もう駄目だと思いました……」

一夏「……」

セシリア「でもその時、このお守りが私の目に入りました」

セシリア「そして……私はまだ負けていない、まだ戦える……そう思えたのです」

セシリア「ブルーティアーズも、その気持ちにに応えてくれました」

一夏「……お父様にちゃんと礼言えよ。後、手元が狂って紐が長めになって正解だったよ」

セシリア「もうっ……少しは素直になられたらどうです?」

一夏「俺はいつだって素直だよ。眠い時は特に」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 21:17:42.55 ID:vJNlPIEI0
セシリア「ありがとうございました」ペコッ

一夏「やめてくれよ……調子狂うなあ」ポリポリ

セシリア「何故です?あなたは人に感謝されるだけの事をしたのですから、当然の事ではありませんくて?」

一夏「いや、まあ……確かにそうだけどさ……」チラッ

一夏「あっ、ヤッベェ!もうこんな時間だ!ごめん、セシリア!俺今から約束あるからさ!」

セシリア「えっ……ええっ?」

一夏「ほら、クロエ行くぞ!」グイッ

クロエ「は、はい?約束などーーー」

一夏「ヤバイヤバイ、時間に遅れる!!本当にごめんな!!何か持ってまたお見舞いくるからさ!!じゃあな!!」ドタバタ

クロエ「そ、それではまたーーー」


バシュンッ


セシリア「……」ポカーン

セシリア「もうっ……何て素直でない人なのでしょう!」ムスッ

セシリア「でも……ふふっ♪」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 21:26:42.51 ID:vJNlPIEI0
一夏「あ"ーこそばゆかったー」

クロエ「いっ、一夏様?約束とは何でしょうか……?」

一夏「ないよ。そんなもん」

クロエ「で、では何故……」

一夏「お前もじゅーぶん知ってるだろ?」

クロエ「何がですか?」

一夏「ッ〜……」

クロエ「???」キョトン


千冬「おい」


一夏「ハイッッ!!?ねッ、姉ちゃんッッ!!?」ビックウゥッッ

クロエ「千冬様!!?」

千冬「姉ちゃんでも千冬様でもない。織斑先生だ」

クロエ「申し訳ありません……!」ペコリ

一夏「すいません!!何の御用でしょうか!?」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 21:43:56.04 ID:vJNlPIEI0
千冬「ステルス状態だったとはいえ学園内外でのISの無断使用。今回はセシリアに免じて目を瞑ってやる」

千冬「二度目はないぞ。いいな」

一夏「肝に命じておきます……」

クロエ「はい……」

千冬「分かればいい。ではな」

一夏「あれ?織斑先生、そっちは医務室……」

千冬「一組の生徒が怪我をしたんだ。担任である私が見舞いに行かなくてどうする」

一夏「指、切ったら駄目ッスよ」

千冬「黙れ」

一夏「……はい」

千冬「……誰が切るものか」ボソッ

一夏「はい?」

千冬「ではな」

一夏「あー何か不安の種残していったー」

クロエ「千冬様も……皮剥きが苦手なのですか……?」

一夏「下っ手くそだぞ。同じ刃物なのにねえ」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 21:50:17.99 ID:vJNlPIEI0

バシュンッ

千冬「失礼する」

セシリア「おっ、織斑先生!?」

千冬「何だ。担任である私に来られるのがそんなに嫌か」

セシリア「いえ、そうではありませんが……その……意外だったもので少し……」

千冬「まあ、そんな事などどうでもいい」ドカッ

千冬「どうだ。リンゴでも剥いてやろうか」ガサゴソ

セシリア「お気持ちは嬉しいのですが……結構です……」

千冬「……」ピタッ

千冬「そうか……」ガサゴソ

千冬「……そうか」

セシリア(な、何か申し訳ない気持ちがしますわ……)
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 22:14:07.08 ID:vJNlPIEI0
セシリア「あの……それで何の御用でしょうか……?」

千冬「良くやった。見事だったぞ」

セシリア「あ、ありがとうございます……」

千冬「……」

セシリア「……」

セシリア「そ……それだけですか?」

千冬「ああ、それだけだが?」

千冬「それとも何だ。たかだか相手の武装を一つを破壊するので精一杯で。しかもそれだけでエネルギー切れを起こす様な未熟者を、この私が、試合内容の一切合切を拍手喝采するとでも思ったのか」

セシリア「いえ……思ってません……すみません……」

千冬「そう気を落とすな。格上相手にお前は良くやったのは事実だ」

千冬「そうだろ?格上相手の自信を挫き、戦意を削いだんだ。それだけでも今は充分だ」

セシリア「あ……ありがとうございます!」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 22:29:29.39 ID:vJNlPIEI0
千冬「精進しろよ、オルコット。いずれ盾だけではなく相手すらも打ち砕く程にな」

セシリア「はい!」

千冬「その為に……まずは武器の展開速度でも上げる事だな」

セシリア「……はい」

セシリア(流石は一夏さんの姉君ですわ……)

千冬「そういえば……何やら私のお守りが大変世話になっていたそうだな」

セシリア「はい、こちらです」スッ

千冬「いらん」

セシリア「しかしーーー」

千冬「私が一夏にやって、一夏がお前にやったんだ。それはお前の物だ」

セシリア「そ、そうでした……」

セシリア「時にこのお守りは……何か由緒正しき物なのですか?」

千冬「昔家の倉庫で見つけた物だ。最早御利益があるかどうかすら分からん程の物だ」

セシリア「ゴ、ゴリヤク……?」

千冬「しまった……そこからだったか……」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 22:40:12.66 ID:vJNlPIEI0
〜食堂〜

一夏「こうして、英国女騎士乱闘薔薇贈呈事件はその幕を閉じたのである」

箒「人の決闘を乱闘扱いする奴がいるか、馬鹿者」

一夏「何でだよ。決闘にしたら事件にならないだろ」

箒「事件にするな」

一夏「充分事件だったと思うけどなあ」

箒「お前の中ではな」

一夏「取り乱してた奴がなーにを仰いますか」

箒「ふんっ……」サッ

一夏「あっ!お前こんにゃくいれるなよ」

箒「うるさい、食え、好き嫌いをなくせ」

一夏「正確に言うならば嫌いっていうかあんまり好んで食べないっていうか……」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 22:49:32.52 ID:vJNlPIEI0
クロエ「一夏……はコンニャクが苦手なのですか?」

一夏「昔食べた時に喉に詰まらせたんだよ。それ以来ちょっとな」

箒「お前は落ち着きがないからだ」

一夏「そう言うお前はガキの時にお転婆過ぎて俺入ってる風呂にーーー」

箒「姉さんが!突撃してきて災難だったな。あの時は」

一夏「……」

箒「何だ。その顔は」

一夏「いや、別に……何でもありません」

クロエ「家族で入浴するのは当然なのでは?」

箒「はあ……」

クロエ「???」

一夏「あのね、束姉ちゃんから教わった事を何でも鵜呑みにしちゃあ駄目だよ?束姉ちゃんたまにとんでもなく突拍子のない事言うから」

クロエ「そ、そうなのですか……分かりました……」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 23:01:50.53 ID:vJNlPIEI0
楯無「あらあら〜いい事言うじゃないクロエちゃん」ムギュ

一夏「わー最近来ないなー思ってたら楯無さんこんばんわー」

クロエ「こ、こんばんわ……」

箒「こんばんわ」

楯無「はい、三人ともこんばんわ〜」

一夏「で?何の御用でございましょうか?愛しの妹さんですか?」

楯無「ん〜そうねぇ〜?当たってるけど、外れてるわね〜」

一夏「は、はあ……さいですか……」

楯無「知・り・た・い?」

一夏「知りたいのは山々なんですけど……今の体勢はちょっと……」

楯無「何故かしら?もしかしてお姉さんの魅力にメロメロになっちゃうから、かしら?」

箒(あの三人が来ないと思ったらこういう事だったのか)チラッ


本音「おーい!しーのん!おりむー!くろにーん!」ブンブン

静寐「……」フリフリ

清香「……」フリフリ
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 23:25:42.27 ID:vJNlPIEI0
楯無「試合への割り込みと代表生に対するあの物言い、お姉さんますますあなたに惹かれちゃった……なんてね」クスッ

一夏「は、はあ……さいですか……」

楯無「つれないわね。このっ」ツンッ

一夏「どうにも魚じゃないもので」

一夏「で?楯無さんの後ろにいらっしゃいます簪さんをば我々はいかがいたしますれば?」

楯無「よくぞ聞いてくれたわね。ほら、簪ちゃん♪」

簪「お……お姉ちゃん……」

一夏「これだけ言うのもあれだけど、自分の意見をーーー」

楯無「だーめっ」ピトッ

一夏「……」

楯無「その手は食わないわよ?」

一夏「別に狙ってませんけど、ってそんなに逃げなくても大丈夫ですから、本当に何にもしませんから」

簪「……本当?」

一夏「何だこの信用の無さ」

箒「当然の報いだ」

クロエ(煮卵が……取れません……)ツルッ
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 23:30:31.78 ID:vJNlPIEI0
一人のヒロインにどんだけレス使ってんだよハゲ
続きはまた(戒め)明日で
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/23(土) 23:32:14.52 ID:QWwAU8czo
乙です
セシリーがチョロリーになるの楽しみ
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 21:53:20.32 ID:5eMEgk870

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セシリア母『セシリア、どうしたのですか』

セシリア「お母様、これをご覧下さい」

セシリア母『こッ、これは……!?』

セシリア「ご存知ないのですか?」

セシリア母『あなた!少しこちらへいらしてください!』

セシリア父『どうしたんだい?そんなに怒って……』

セシリア母『これはどういう事なのですか!?』バンッ

セシリア父『ああ、これか。ちょっとセシリアを驚かせてやろうと思ったんだけど……マズかったかい?』

セシリア母『何故私に黙っていたのです!』

セシリア父『だって君に教えてしまったら、うっかり口を滑らせてしまうだろ?』

セシリア母『そんな事はありません!』

セシリア父『それにしても、セシリアがバーストとフルドライブを使えたとはね……』
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 22:46:40.06 ID:5eMEgk870
セシリア父『ん?これセシリアと通話してるのかい?おーい、セシリアー?』

セシリア「お父様、説明願えますか?」

セシリア母『そうです。説明してください』

セシリア父『そんな二人がかりで言わなくても……分かったよ。説明するよ』

セシリア父『八つのビット全てを収束させ、巨大なビームを形成するバーストモード。これは元々ビット攻撃に欠けていた瞬間火力を補う為のものではあるが同時に、複数のビットを使用不可能にするという欠点もあるモード』

セシリア父『これの発現が遅かったのは……機体に馴染むのに時間がかかっていたのかもしれないね』

セシリア父『フルドライブは……全ビットの出力を最大まで引き上げ、発射されるビームは恐らく操縦者の思い通りに湾曲するのではないか……とは思ってはいたんだけどね』

セシリア母『開発者であるあなたが、そんな曖昧な理解でどうします』

セシリア父『これはブルーティアーズ自身が作り出した機能なんだ。だから詳しい事は私にも分からなかったんだ』

セシリア母『そして、セシリアはそれを』

セシリア「発現させた、という事ですね」

セシリア父『そういう事になるかな』
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 23:15:32.89 ID:5eMEgk870
セシリア母『一切の説明もなくこんな新機能を実戦で、テストもなしに使わせるとは何事ですか』

セシリア母『しかも、あのモルドレット卿相手にしていたといいますのに』

セシリア父『バーストモードは何度も何度も失敗を重ねて作り出したから託したんだ。実際、役に立っただろう?』

セシリア「はい、その通りです」

セシリア母『もし万が一、ビットが暴発でもしてセシリアが……』

セシリア父『その追及を行うのなら、私達はISを使う事を放棄せざるを得なくなるよ』

セシリア母『……』

セシリア父『それにしても凄いじゃないかセシリア、あのモルドレット卿に勝つなんて』

セシリア母『よくやりました。セシリア』

セシリア「お父様のおかげです」

セシリア父『ここを見てみなよ。フルドライブでビームをソリッドシールドへ一転集中させて破壊し、更には操縦者まで攻撃したよ』

セシリア母『これ程とは……よくここまで扱えましたね』

セシリア「この時は……無我夢中でしたから」

セシリア母『モルドレット卿の猛攻を受けても尚、戦う意思を失わなかったあなたに、ブルーティアーズが応えてくれたのでしょう』
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 23:36:46.19 ID:5eMEgk870
セシリア「確かにブルーティアーズが私に応えてくれたのかもしれません。しかし、私が戦う意思を失わなかったのはこれのおかげです」スッ

セシリア母『そのお守りが、ですか』

セシリア「はい!」

セシリア父『十年前の彼に……また感謝しないといけないね』

セシリア「いえ、もう感謝はしました」

セシリア父『どういう事だい?』

セシリア母『まさか……彼に会ったのですか?』

セシリア「はい、同じ学園の同じクラスにいる。ブリュンヒルデ、織斑千冬の弟、織斑一夏でしたから」

セシリア母『織斑一夏……あの少年が……』

セシリア父『本当だ。ほらこの画像……十年前とほとんど変わらない。むしろ男らしくなっている』

セシリア母『……成る程』
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/25(月) 20:14:12.74 ID:YDupgEDm0


セシリア母『セシリア、彼を必ずものにしなさい』


セシリア「お母様!?」

セシリア父『やっぱりか……』

セシリア母『当然でしょう。あなたがあれ程まで恋い焦がれていた殿方が、この織斑一夏なのでしょう?』

セシリア「そ…そうですが……」

セシリア母『ならば学生の間に首根っこを掴んででも自分の方へと振り向かせ。卒業後は首に縄を付けてでも我がオルコット家へ迎え入れれば良いだけの事です』

セシリア「そ……そんな……」

セシリア父『セシリア、一般人だった私が何故名門オルコット家の婿養子になったのかを教えよう』

セシリア父『それは私が、捕まったからなんだよ』

セシリア「捕まった……?」

セシリア父『そう、素敵なお姫様にね』ソッ

セシリア母『ふふふっ、そうですね。あなた』
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/25(月) 20:48:59.31 ID:YDupgEDm0
セシリア父『少し昔話をしようか。大学生の頃、私は色々なサークルの助っ人をやりながらも幼い頃から続けていたフェンシングに打ち込んでいた』

セシリア父『ある日、フェンシング女子優勝者の彼女がやってきてこう言ったんだ。私の相手になるような者はいませんの?とね』

セシリア「お母様がそのような事を……?」

セシリア母『若気の至り、というものです……そして、この人が私の前に渋々出てきたのです』

セシリア父『当時彼女は様々なところへ殴り込みをしていたものだから、皆まさかとは思っていたが実際彼女を目の前にすると中々出ていけない』

セシリア父『そうしている内に何故か私がサークルを代表して出る羽目になってね。彼女と一騎討ちさせられたんだよ』

セシリア母『私はふざけた人が出てきたものだと思いました。助っ人の噂は常々耳にはしていましたが、実際見てみれば浮わついた冴えない男性だ、とね』

セシリア母『しかし、結果は開始数秒で私の負け』

セシリア「えっ……?」

セシリア父『驚きのあまりしばらく立ち尽くし、エペを投げ捨て、余程悔しかったのか涙を目に浮かべながら私の負けですわ、と言って立ち去った』

セシリア母『愚かでした。私がこんな男に断じて負けるはずがない、そんな傲慢な考えが生んだあまり軽率で、短絡的で、恥知らずで、無礼な行動でした』

セシリア「意外です……お母様がそのような事をなさったなんて……」

セシリア母『間違いは万人にあり得る事です。故に人はそれを正さねばならない義務があるのです』

セシリア「義務……」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/25(月) 21:38:46.33 ID:YDupgEDm0
セシリア父『話を続けるよ。それから一ヶ月後、お嬢様泣かせの渾名を貰い、彼女のファンクラブのメンバーに何かと勝負を挑まれるようになっていた私の前に、再び彼女が現れて私に決闘を申し込んできたんだ』

セシリア父『もちろん私は断らなかった。決闘が始まると彼女は一ヶ月前とは比べものにならない見事な剣撃で、私と激しく打ち合い続け、最後にはお互いのエペが折れてしまい結果は引き分け』

セシリア父『そして、それが君の猛アピールの始まり、だったんだよね?』

セシリア母『ええ、その通りです。結果こそ引き分けでしたが私はあの決闘に充足感を感じていました。それと同時に……あなたという人に強く、心惹かれていました』

セシリア父『それからもう大変だったんだよ、セシリア。彼女ったら何かにつけて私を追いかけてくる、迫ってくるで……休日には私のいる寮にまで来るようになったんだからね』

セシリア「ふふふっ、お母様ったら……」

セシリア母『当然です。あなたという人を深く知り、私をより知って貰いたかったのですから』

セシリア父『家に招待する、なんて言われた時はもう心臓が口から出そうだったよ』

セシリア母『何ですか、もう……あの時、私はあなたが喜んでいるものだとばかり……』

セシリア「交際はいつ頃から始まったのですか?」

セシリア父『そうだね……気が付いたら始まっていたね。今思えば……全て君の思惑通りだったのかもしれないね』

セシリア母『ええ、結果としては、ですが』
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/25(月) 22:30:43.72 ID:YDupgEDm0
セシリア母『それから私達は二人で多くの時間を共有し、共に笑い、怒り、泣き………様々な事を見て、聞いて、経験しました』

セシリア父『そして数年たったある日、私はこんな事を考えたんだ。プロポーズをしよう、とね』

セシリア父『しかし、大学を卒業しエンジニアとしての道を進んだ一般人の私が、名門オルコット家の令嬢である彼女に普通に指輪を渡すだけでは何とも心許ない』

セシリア父『だから彼女が最も得意とするビッグ・ボア・ライフルで勝利し、満を持して指輪を渡す事にしたんだ。もちろん、御父様や御母様も承認してくださった』

セシリア母『幸いにも、ライフルは私があなたに同じ競技をしてもらいたい一心で、専用の物を作らせていましたから練習するのには困らなかったでしょう』

セシリア父『いいや、大変だったんだよ?私が練習にしている事や、弾薬を買っている事が絶対に君の耳に入らないようにしておいてもらわないといけなかったからね』

セシリア父『そうやって三ヶ月程たった頃かな、彼女のエントリーした国内で行われた男女ビッグ・ボア・ライフルの大会に私もエントリーし、私は順調に勝ち抜いていった』

セシリア母『最初は私も決勝戦来れるとは思っていませんでした。しかし、その決勝戦で私はあなたから決闘を申し込まれ、それを快諾しました』

セシリア父『互いに持てる力の全てを出し切り、結果は私の勝利……呆然とする君へ私は指輪を差し出してプロポーズをした』

セシリア父『あまりの出来事に君は泣いていたね。今でも、あの時の君の顔を良く覚えているよ』

セシリア母『やめてください……恥ずかしい』

セシリア父『そうして私達は結婚し、御父様の呆気ない一言で私は婿養子となり、オルコット社の一流エンジニアとして働き始めた』

セシリア母『社長になる事も出来たものを何故……』

セシリア父『言っただろう?私は社長という柄ではないよ』
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/27(水) 21:23:01.70 ID:1jyzlDSz0
セシリア母『そしてセシリア、あなたが産まれたのです』

セシリア父『君が産まれてきてくれて、こうしてどんどん成長していくだけで私達は嬉しいよ』

セシリア母『ええ、そうです』ニコッ

セシリア「お母様……お父様……」

セシリア父『オルコット家なんて関係ない。セシリア、君は君の思うがままに生きればいいんだよ』

セシリア「しかし、お母様は私をオルコット家の次期当主として……」

セシリア母『それは誇り高く、人として恥じぬ行いをし、成すべきを成す立派な女になりなさいという意味です』

セシリア母『あなたが望むのなら、無理に次期当主になる必要はありません。好きな道へと進みなさい』

セシリア「そ、そうでしたか……」

セシリア父『どうやら……余罪が色々と出てきそうだね』

セシリア母『失礼な事を、余罪とは何ですか』

セシリア父『ブルーティアーズのデータ収集はあまりに気にしなくていいよ。その学園で得られるものは充分過ぎるから』

セシリア「はい……分かりました」

セシリア母『あなたはそうやって……』

セシリア父『君は少し心配性過ぎるんだよ。セシリアなら大丈夫だよ』
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/27(水) 21:23:01.70 ID:1jyzlDSz0
セシリア母『そしてセシリア、あなたが産まれたのです』

セシリア父『君が産まれてきてくれて、こうしてどんどん成長していくだけで私達は嬉しいよ』

セシリア母『ええ、そうです』ニコッ

セシリア「お母様……お父様……」

セシリア父『オルコット家なんて関係ない。セシリア、君は君の思うがままに生きればいいんだよ』

セシリア「しかし、お母様は私をオルコット家の次期当主として……」

セシリア母『それは誇り高く、人として恥じぬ行いをし、成すべきを成す立派な女になりなさいという意味です』

セシリア母『あなたが望むのなら、無理に次期当主になる必要はありません。好きな道へと進みなさい』

セシリア「そ、そうでしたか……」

セシリア父『どうやら……余罪が色々と出てきそうだね』

セシリア母『失礼な事を、余罪とは何ですか』

セシリア父『ブルーティアーズのデータ収集はあまりに気にしなくていいよ。その学園で得られるものは充分過ぎるから』

セシリア「はい……分かりました」

セシリア母『あなたはそうやって……』

セシリア父『君は少し心配性過ぎるんだよ。セシリアなら大丈夫だよ』
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/27(水) 21:43:46.91 ID:1jyzlDSz0
セシリア母『そうでしたね……何故なら、私の娘ですから』

セシリア父『ああ、君と私の娘なんだから』

セシリア母『私は学生時代……人として学ぶべき多くの事を学び、夫となるこの人と出会い、更に多くの事を学びました』

セシリア母『私と全く同じ生き方をしろ、とは言いません。しかしあなたにも、そんな素晴らしい学生生活を送って欲しいのです』

セシリア「はい!お母様!」

セシリア母『まずは何としても、織斑一夏を捕まえなさい。いいですね』

セシリア「はい!」

セシリア父『結局、そうなるんだね……』

セシリア母『当然です。十年前からあなたが思い描いていた通りの、素敵な殿方なのでしょう?』

セシリア「はい……少し素直ではありませんが……それを補って有り余る強くて優しい……素敵な殿方です」

セシリア母『なら大丈夫ですね』

セシリア父『私はセシリアが彼に君と同じ事をしないか心配になってきたよ』

セシリア母『あなたは心配性過ぎます』

セシリア父『自分が何をやったのか覚えているからそう言えるのかい?』
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/27(水) 22:07:29.71 ID:1jyzlDSz0
セシリア(私が一夏さんと恋人に……)

セシリア母『どれがおかしかったと言うのです。決闘の次の日のランチで突然隣に座った事ですか?』

セシリア父『それもあるよ。でもまだあるだろ?朝、私の寝ている寮にまで起こしに来た事もあったじゃないか』

セシリア(あんな事や……こんな事まで……ファーストキスも……)

セシリア母『朝から私の顔が見れて嬉しくなかったのですか?』

セシリア父『いや嬉しかったよ。でも寮の皆が君が色々と気にしなさ過ぎるからすごく驚いてたんだよ?後、常日頃私の行動を監視させていただろ?』

セシリア(そしてお父様やお母様に認められ……オルコット家に……)

セシリア母『当然です。あなたにもしもの事があった場合には護衛も兼ねていましたから』

セシリア父『大袈裟過ぎるよ……しかも君、私がよく話す女の子の事までも徹底的に調べてただろ?』

セシリア(私達の子供が産まれて……名前はどうしましょうか……)

セシリア母『もしもの場合に備えて予防線は張っておかなくては安心して眠れもしません。それ程までに、あなたは引く手余多でしたから』

セシリア父『今でも彼女達が君と仲良くしてくれてるのが不思議なぐらいだよ』
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/27(水) 22:24:53.44 ID:1jyzlDSz0
セシリア父『セシリア、聞いてたかい?彼への猛アピールも程々にね』

セシリア「は、はいっ!大丈夫です!」

セシリア(どうしましょう……聞いてませんでしたわ……)

セシリア母『夏休みになったら一度こちらへ帰ってきなさい。彼を連れて来れるのならそうしなさい。協力は惜しみません』

セシリア父『それは一旦置いておいて……御父様や御母様、父さんや母さん、久しぶりに家族皆で料理を食べに行こう』

セシリア父『学校の話や彼の話をたくさん聞かせてくれないかい?』

セシリア「もちろんです。楽しみに待っててください」

セシリア父『それじゃあセシリア、お休みなさい』

セシリア母『お休みなさい。セシリア』

セシリア「お父様、お母様、お休みなさい」

ピッ

セシリア「……」ギュッ

セシリア(一夏さん……私の……白馬の王子様)

セシリア「ふふふっ♪」
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/27(水) 22:45:33.17 ID:1jyzlDSz0
セシリア母「織斑一夏、ですか……」

セシリア父「彼を探して何度私達は日本に行ったかな」

セシリア母「年間二回のペースでしたから、セシリアがISを使い始めた十五才までで十八回……しかし彼は見つからなかった」

セシリア父「なのにまさかこんな形で再開するとはね……人の縁というのは分からないものだ」

セシリア母「ブリュンヒルデ、あの織斑千冬の弟……どのような少年でしょう」

セシリア父「私はこの目で見るのが楽しみだよ。十年前、セシリアが迷子になって気が立ってた君に物怖じ一つせずに話しかけたんだからね」

セシリア母「それでいて、言葉も通じない怯えるセシリアを励まし続けていたのも彼ですから」

セシリア父「セシリアの御眼鏡に適ったんだ。きっと素晴らしい少年なんだよ」ソッ

セシリア母「ふふっ、そうですね……心配など不要ですね」ギュッ

セシリア父「さて、セシリアはどれぐらいで彼を家に招くのかな」

セシリア母「今に招いて来ますよ」

セシリア父「そうだろうね。昔の君にそっくりだからね」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/27(水) 22:57:49.51 ID:1jyzlDSz0
一夏「おぉう……」ゾワワッ

クロエ「どうかなさいました?」

一夏「こういうのを虫の知らせって言うんだろうかこう……何かが動き出したような気が……」

クロエ「虫の知らせ、とは何ですか?」

一夏「悪い予感がする、って事だよ」

クロエ「そうなのですか……虫の…知らせ……」

一夏「近々何か起きるのかな……」

一夏「俺って虫が良いからこういうのだけは当たるんだよな……あーやだやだ。世の中ラブアンドピース」

クロエ「……」

一夏「おーい、クロエ?」

クロエ「は、はい?何でしょうか?」

一夏「真面目に考えるなよ」

クロエ「す、すいません……」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/27(水) 23:16:57.15 ID:1jyzlDSz0
一夏「今頃セシリアは父さんにお礼言ってるんだろうな……」

クロエ「それがどうかしたのですか?」

一夏「……」

一夏「いや、何でもない」

クロエ「?」

一夏(父さん母さんがいて、お爺さんお婆さんがいる……それってどんな感じなんだろうな……)

一夏(セシリアの家族……セシリアがいなくなって寂しがってるんだろうな……)

一夏(束姉ちゃんや、箒だって……)

一夏(姉ちゃんなんか、俺にちょっと会えないだけで寂しい寂しいって言うんだからな)

一夏「本当、姉バカだよな……」ボソッ

クロエ「千冬様の事ですか?」

一夏「……」

ズイッッ

一夏「姉ちゃんには絶っっっ対に言うなよ」

クロエ「わ…分かりました……」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/27(水) 23:35:52.42 ID:1jyzlDSz0
一夏「それにしても凄いよな。この薔薇……二日も花瓶に入れてないのにな」ツンツン

クロエ「全く枯れる気配がしませんね」

一夏「良く育った薔薇なんだろうな……最初は造花かと思ったけど」

クロエ「込められた意味を……その身で示しているのでしょうか……」

一夏「私はあなたに相応しい、か」

クロエ「いずれ彼女とも戦われますか?」

一夏「嫌でもそうなる気がするんだけど」

クロエ「また虫の知らせ、ですか」

一夏「かもな」

クロエ「……」

一夏「どれどれ円卓の騎士の……えーなになに、モルドレット卿は……」

一夏「あっ」

クロエ「どうかしましたか?」

一夏「実家、薔薇農園だ」

クロエ「な……なるほど……それで薔薇をあれだけお持ちなのですね……」

一夏「華麗なる薔薇の騎士、って……さりげなく実家の宣伝してるし……」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/01(月) 20:51:41.41 ID:yWM38mO10

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「お嬢、パス」ヒュッ

セシリア「えいっ!」パシッ ヒュッ

「ッシャアアァァァ!届かねぇ!!」

ピーッ

「チェイス!」

「試合終了!」ピピーッ

「最後の最後でどんでん返し。やったね、お嬢」トンッ

セシリア「いえ、あなたのおかげです」

「またまたご謙遜を」

エース「どうやらいい感じに吹っ切れたみたいだね。お嬢ちゃん」

セシリア「そうですか?」

エース「ああ、そうだよ」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/01(月) 21:02:44.16 ID:yWM38mO10
エース「ま、何はともあれあんたがいちいち萎れてなくて何よりさ」

「ついでにラクロスに力入れてくれた方がもっと何よりなんだけどね」

エース「こら、余計な事言うんじゃないよ」

「へい、お頭」

エース(確かに、これだけの選手を放っておくのは勿体無いね)

エース「悪いね」

セシリア「いえ、事実ですから」

エース「頭固すぎんのよ、あんたは。もっと馬鹿になっても損なんてありゃしないよ?」

「へい、キャプテン」

エース「あんたは馬鹿過ぎ」

「何でだぁ……」

セシリア「馬鹿に……ですか?」

エース「そう、この前の試合の時みたいにね」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/01(月) 21:21:26.35 ID:yWM38mO10
一夏「おー調子出てるみたいだなー」

クロエ「あ、あの……一夏様……?」

一夏「相変わらずラクロスって恐ろしいな……」

クロエ「一夏様……?」

一夏「やっぱり軽いラフプレーは多発するんだな……流石はラグビーとかの親戚」

クロエ「いっ、一夏様!」

一夏「聞こえてるって、これで二度目だぞ?」

クロエ「返事をしてくださいよぉ……」

一夏「はいはい、分かったよ。それで、何だよ?」

クロエ「千冬様に……ISの無断使用は禁止だと言われていましたよね……?」

オリムラクーン!

一夏「部活頑張れよー!」ヒラヒラ

クロエ「ちょっとぉ……!」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/01(月) 21:48:15.98 ID:yWM38mO10
一夏「それも言っただろ?箒ならまだしも姉ちゃんは忙しいからありえないって」

クロエ「そ……そうだと良いのですが……」

一夏「今度こそ山田さんが現れたりしてな」

クロエ「今回は……誰も来ませんね」

一夏「そう毎回来られても困るけどな」ペタペタ

クロエ「何をなさっているのですか?」

一夏「紙飛行機だよ。ちょっと待てよ……ほら」ヒュッ

クロエ「なるほど……風に乗って空を飛ぶのですね」

一夏「面白いよな。紙が風に乗るだけであんなに飛べるんだよ」

クロエ「ジェネレーターもスラスターもないのに……こんなに簡単にも空を飛べるのですね」

一夏「ISとは違ってな」

クロエ「まだ飛んでいきますね」

一夏「おー上手く海風に乗ったな」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/01(月) 22:00:42.80 ID:yWM38mO10
千冬「ほう、確かに良く飛んだな」

ガシッ

一夏「ヒッ!!ねッ、ねねねッ、姉ちゃんッ!!?」

クロエ「千冬様!!?」

千冬「私は言ったはずだ。二度目はないぞ、とな」

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

一夏「ごッ、ごめんッ!!姉ちゃん!!」ジタバタ

千冬「姉ちゃんではない織斑先生だ」ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

一夏「いだだだだだだだだ!!ごめんなさい織斑先生!!!」ジタバタ

千冬「いいや、許さんぞ。この愚か者め」ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!

一夏「こめかみがなくなるうぅぅぅぅぅ!!!」ジタバタジタバタ

千冬「言う事を聞かないのはここか?ん?」ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!!

一夏「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ジタバタジタバタ

クロエ「……」オロオロ
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/01(月) 22:13:47.18 ID:yWM38mO10
一夏「」チーン

千冬「全く、この愚か者めが……」

クロエ「……」オロオロ

千冬「安心しろ。お前にはない」

クロエ「そ、そういう事ではないのですが……一夏様が……」

千冬「それも安心しろ、何せ私に似て頑丈だからな。心配の必要はない」

クロエ「は、はあ……一夏様?一夏様?」ユサユサ

一夏「」

千冬「起きろ」ガスッ

一夏「」ビクッ

一夏「!?」ガバッ キョロキョロ

クロエ「どうかしました……?」

一夏「ぼくずぼんはいてる」

クロエ「一夏様ッ!!?」

千冬「この愚か者めが」ガスッッ

一夏「すんませんッッ!!」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/08(月) 19:50:03.74 ID:B5WGrPFi0
一夏「あー……晩飯だってのにまだ痛いよ……」ジンジン

クロエ「大丈夫ですか?」

箒「……」モグモグ

一夏「まあ……何とか」ジンジン

箒「今度は何をやったんだ」

一夏「屋上で紙飛行機折ってた」ジンジン

箒「……」

一夏「何だよ。嘘は言ってないぞ?」ジンジン

箒「どうかな」

セシリア「一夏さん、お隣よろしくて?」

一夏「お、おう……よろしくてよ?」

セシリア「失礼しますわ♪」ストッ

一夏「あ、本当に隣座るのね」

セシリア「いけませんか?」

一夏「べっつうにぃ、俺は、構わないけど?」
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/08(月) 20:22:22.25 ID:B5WGrPFi0
箒「何の用だ」

セシリア「あら、皆さんと夕食をご一緒にしたいだけですわ。構いませんか?」

箒「……ああ、構わない」

箒(なら隣に座らなくてもいいだろう……)ミシミシ

クロエ(ほ、箒様の箸が……)オロオロ

セシリア「クロニクルさん、構いませんか?」

クロエ「わ、私ですか?」

箒「……」ジロッ

クロエ「え……ああ……ううっ……構い……ません」

一夏「あのさぁ…飯食うのにそんなに引っ付かないでくれない?」

セシリア「あら、この私に引っ付かれるのがそんなにお嫌ですか?」

一夏「この前までこの世の終わりみたいな顔してた奴はどこに行った事やら……」

セシリア「さあ?どこに行ったのでしょうね♪」

箒「……」

クロエ「……」オロオロ
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/08(月) 20:49:19.65 ID:B5WGrPFi0
一夏「なあ、セシリー」

セシリア「セシリア、ですわ」

一夏「ツェツィーーー」

セシリア「セシリア♪」

一夏「……オルコットさん」

セシリア「もうっ、何でそう素直でないのですか」

一夏「いやいや、素直だよ?俺は仲良くなった奴はまずアダ名で呼ぶから」

セシリア「あら、そうでしたの?」

一夏「おう、そうでしたんだよ」

クロエ「本当ですか?」ヒソヒソ

箒「経験あるか?」ヒソヒソ

クロエ「ないです……」ヒソヒソ

箒「ならそういう事だ」ヒソヒソ
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/08(月) 21:03:05.32 ID:B5WGrPFi0
一夏「って、さっきお前俺の事……」

セシリア「名前で呼ばれるのはお嫌いでしたか?一夏さん♪」

一夏「いや、まあ……別に好きでも嫌いでもないけどさ。そんなに喜んで呼ぶ程でもないと思うけどな」

セシリア「そんな事はありませんわ。だって……あなたはーーー」

セシリア「私の王子様ですもの♪」

一夏「」

箒「……」ピクッ

クロエ「???」

セシリア「十年前から……その……ずっと、あなただけを思っていましたわ……」モジモジ

一夏「」

箒「……」バキャッ

クロエ「!?」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/08(月) 21:15:43.15 ID:B5WGrPFi0
一夏「」

セシリア「一夏さん?」

一夏「え"っ、あ、はッ、はいッ、何でしょうか!?」

セシリア「例え……あなたが忘れていても……私は覚えていましたから……その……えっと……」モジモジ

一夏「……」ダラダラ

一夏(考えろ。考えろ考えろ考えろ。考えるんだ。俺、考えろ)

一夏(この状況を打破出来る起死回生の答えを。考えるんだ)

一夏(正直言って十年も思われてたなんて嬉しいしいどころじゃないけど目の前にいる奴がもう誰だか分からねぇくらいに何かもう別人だし)

一夏(箒!クロエ!)チラッ

箒「……」ギロリッッ

一夏(不動明王か!!何て顔してんだお前は!!!)

クロエ「……」アタフタ

一夏(落ち着け、考えろ、考えるんだ……口で何とかしようにもセシリアの独壇場……ならテーブル)

一夏(そうか、今日の晩飯にはこれがあった!!)
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/08(月) 21:27:01.68 ID:B5WGrPFi0
箒(一夏の奴、何か思い付いたな)

一夏「そうだな……まずはこの冷奴を箸で掴めたら俺の素直な気持ちをセシリア、お前にだけ聞かせるよ」

セシリア「ほ、本当ですか?」

一夏「ああ、本当だ。俺は約束は守る男だ」

箒(そもそもその約束自体が間違っているがな)

クロエ(作った声色と雰囲気……何とか誤魔化そうとしていらっしゃいますね)

セシリア「この程度の事、私にとっては造作も……」ツルッ

セシリア「造作も……」ツルッ

セシリア「造作……」ツルッ

セシリア「……」ツルッ

ツルッツルッツルッツルッツルッ

セシリア「この……!」グチャッ

一夏「あーあ、崩れちゃったよ」

セシリア「ま、まだ掴める部分はありますわ!」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/08(月) 21:46:25.90 ID:B5WGrPFi0
セシリア(落ち着いて……落ち着いて取れば……必ず……)プルプル

セシリア(慎重に……慎重に……)プルプル

セシリア「あっ」ツルッ

セシリア「くっ……まだです、まだ終わりではありませんわ……!」

一夏「……ふう」

一夏(勝ったな。それと、豆腐相手にそんなに格好いい台詞言えんのは君だけだろうなぁ……)

クロエ(恐ろしい……何と的確な作戦なのでしょう……)

箒(ふんっ、馬鹿馬鹿しい……)モグモグ

セシリア「……」プルプル

セシリア「あっ」グチャッ

セシリア「この……!」

一夏(難しいよなぁ……ただでさえ箸が使いにくいのに加えて絶妙な力加減で柔らかい絹豆腐をいきなり挟めってんだもんなぁ……)

一夏(よーし、今の内に逃げーーーってモルドレットさんがめっちゃこっち見てる)
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/08(月) 21:51:22.68 ID:B5WGrPFi0
箒「……」モグモグ

クロエ「……」ジーッ

ツルッツルッツルッツルッツルッツルッ

セシリア「……」ツルッ

セシリア「……」イラッ

セシリア(あと少しのところを何故こうも……!!)

セシリア「……」ソーッ

セシリア「!」プルプル

セシリア(なるほどこれぐらいの力で持てば豆腐は挟めるのですね)

セシリア(後はこれを一夏さーーー)

ツルッ……ポチャンッ

セシリア「……」

クロエ「あっ」

箒「……まずは木綿から練習した方がいいぞ」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/08(月) 22:07:12.39 ID:B5WGrPFi0

バンッッ

セシリア「何ですか豆腐なんて!大体この様に柔らかい物はスプーンで掬えばいい話でしょう!!」

セシリア「ほら!!」スッ

箒「私に言うな。一夏に言え」

セシリア「一夏さーーーあら?一夏さんはどこへ?」キョロキョロ

クロエ「あの……それが……豆腐を取ろうと試みていらっしゃっる間にどこかへ……」

セシリア「……」ポカーン

箒「まんまと一夏に一杯食わされたな」

クロエ「えっと……その……申し訳ありません……」

セシリア「もう!!一夏さんったら!!」


三年生「フフフ……」

三年生(オルコット……豆腐も掴めないとは、あなたもまだまだですね……)スッ
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 22:50:02.73 ID:PJUZLoqRO
エースさん指摘そこかよ
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 23:25:19.31 ID:KIhfTqaso
アギトとはまた懐かしいものを
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 18:29:41.37 ID:uMB18n4O0

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千冬「織斑、まさかとは思うが自分のISを忘れた訳ではないだろうな」

一夏「いやいや、ちゃんと持ってますって。ほら」スッ

千冬「よろしい」

摩耶(ついに織斑くんのISを見れます)ワクワク

箒(一夏のIS……どんな姿なんだ……)

一夏(本当は打鉄使おうと思ってたんだけどなぁ……ま、仕方ないか)

セシリア「……」ジィーッ

千冬「オルコットは既に展開している。早くしろ」

一夏「了解しました。アレでいくぞ、クロエ」

クロエ「はい、アレですね」

箒「?」

バッバババッ

一夏クロエ「「着装!」」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 18:48:24.41 ID:uMB18n4O0

オオー!!

一夏「織斑一夏及びクロニクル・クロニクル。準備完了しました。織斑先生」バサァッ

千冬「パフォーマンスは余計だ」

一夏「いやぁ、すんません」

箒(あれが……零式と同じ様だが……マントに加えて肩の盾や全体的に鎧の印象が強いな……武器は刀ではないのか?)

セシリア(零式と同じ大きさであの重装甲……細身の零式で傷が付かなかった程ですからあの機体の防御力は相当あるはず……)

摩耶「……」キラキラ!!

千冬「……山田先生?」

摩耶「何ですか!?」キラキラ!!

千冬「落ち着いてください」

摩耶「あっ、すみません。つい……えへへっ」

千冬「全く……」ヤレヤレ

クロエ『一夏様』

一夏『皆まで言うなよ』

クロエ『分かりました』

クロエ(一夏様が零式とツヴァイフォーミュラを出したがらなかったのはこのせいだったのですね)

一夏(武器を展開する授業じゃありませんように……)
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 19:13:44.16 ID:uMB18n4O0
一夏「ゆっくり、焦らず、一歩ずつ歩くんだ。自分の足と同じ感覚で」ズシンッズシンッ

静寐「こ、こう……?なんか竹馬に乗ってるみたいだね」ガシャッガシャッ

一夏「んー……そんな感じなのか。ま、竹馬よりは設置面積が広いからそうそうバランスは崩さないのと、打鉄は操縦に同調する専用機じゃないから気を付けないと……」

静寐「あっ!」ガッッ

一夏「おっと、こういう事になるんだよな」ハシッ

静寐「あ、ありがとう……織斑くん」

一夏「いえいえ、どういたしまして」


清香「おとっ……おっとと……危ない危ない」フラフラ

クロエ「まずは風に乗って動くのが、IS特有の飛行感覚を覚えられますよ」

清香「風に乗る?風を……感じて……むむむっ……」ピタッ

クロエ「どうですか?」

清香「ごめん、全っ然分からない」

クロエ「そうですか……」
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 19:27:57.80 ID:uMB18n4O0
箒「こうか」ガシャッガシャッガシャッ

一夏「おー流石、飲み込みが速いな」ズシンッズシンッズシンッ

箒「……動きが気持ち悪い」

一夏「そりゃあ、こいつ等はどうやったって自分の思い通りに動いてくれないからな」

箒「お前のは違うのか」

一夏「さーて、どうだか」

箒「……」ブンッ

一夏「はい残念でしたー余裕綽々で受け止められまーす。強いて言うなら」グイッ

キャーッ!ウラヤマシーイ!

静寐(片手でISを軽々持ち上げてお姫様抱っこ……)

箒「お、降ろせっ!」ジタバタ

一夏「こんな事だって出来るのが俺達の機体、かな」

箒「やめろッ、馬鹿ッ!早く降ろせッ!」ジタバタジタバタ

一夏「はいはい、仰せの通りに」スッ

箒「この……馬鹿!」ブンッ

一夏「……」ガシッ

箒「ッ……このッ、離せッ!」

一夏「……」ニヤッ
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 19:45:53.98 ID:uMB18n4O0
本音「きゅーん、きゅーん♪私の彼は〜ぱいろっとぉ〜♪」

クロエ「上手ですね。以前に操縦した経験があるのですか?」

本音「ニャイよ〜だから〜なんとな〜くでやってる〜のだ〜」

本音「けどけど〜くろにんのみたいに〜おっきなが羽が付いてれば〜きっと楽チンなのだ〜」

クロエ「そうでもありません。零式もIS、この羽だけで飛行の全てを行っている訳ではありません。これはあくまで飛行補助の為の物です」

本音「ど〜ゆ〜こと〜?」

クロエ「基本は同じ、という事です」

本音「にゃるほど〜そ〜いうことか〜」

クロエ「っと、機体が傾いていますよ」

本音「およよ?ほんとだ〜」

クロエ「飛ぶ事に慣れていない間は、一度地面を水平の基準とすら設定を行う事を推奨します」

本音「わかった〜すいへいり〜べ〜ぼくのふね〜」フラフラ

クロエ「ああっ、他の方にぶつかりますよ!」
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 21:18:42.52 ID:uMB18n4O0

キーンコーンカーンコーン

千冬「打鉄をきちんと片付けてから更衣室に向かえ。次の授業に遅れる事のないようにな」

ハーイ!

一夏「何で俺だけ砂運び……」

クロエ「お手伝いします」

一夏「悪いな。砂を入れたところから均していってくれ」

クロエ「了解しました」

セシリア「私もお手伝いいたしますわ」

一夏「おう、ありがとうな。セシリー」

セシリー「当然の事ですわ」フンス

麻耶「織斑くんっ♪」

一夏「げっ、山田先生……」

麻耶「山田先生なんてそんな余所余所しい……私達の仲じゃないですか麻耶さんで結構ですよっ」ニコッ

一夏「は、はあ……さいですか……」
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 21:30:43.90 ID:uMB18n4O0
一夏(やっぱりこうなるのかぁ……姉ちゃんは打鉄の片付け手伝いに行っちゃったしなぁ……)

摩耶「それで良かったら織斑くんの機体の武装を持たせてくれませんか?ね?ねっ?」ズイッ

一夏「落ち着いてくださいよ……それでじゃないですよ、話に脈絡なさすぎですよ」

摩耶「ちょーっと持たせてくれるだけでいいんです!」ガシッ

一夏「あのー……僕の話聞いてます?山田先生?」

摩耶「何ならクロニクルさんのでもいいんですよっ!」クワッ

一夏「」

クロエ「……」オロオロ

一夏「あーもう……分かりました。はい」スッ

摩耶「ありがとうござーーーって、あれ?何ですか、これ」

一夏「シェルタープラッテ、俺の機体の肩に着いてる盾です。こうやって自由自在に飛ばせるから飛び道具にもなるんですよ」シュバッ

ギュルルルルル

一夏「どうです?すごいでしょ?」パシッ

摩耶「……」プルプル
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 21:51:47.94 ID:uMB18n4O0
摩耶「何が肩の盾ですか!私の目は誤魔化せませんよ!!その機体は銃持ってますよね!?銃ですよ!!ドイツ語でゲヴェーアですよ!!分からない訳ないですよね!!?」ガシィッ

一夏「ちょっと、そんな機体出したまま掴みかからないでくださいよ……」

摩耶「お願いします!!持たせてくださいよ!!私に!!篠ノ乃博士の作った銃を!!!」

千冬「お願いしますからもう少し自重して頂けませんか」グイッッ

摩耶「いたたたたっ、お、織斑先生!!?」

千冬「わざわざ機体まで展開して……そんな事をしなくたって私が言えば持つぐらい……」ヤレヤレ

摩耶「本当ですか!?はい!!」スタッ

千冬「さて、次の授業の用意に行きますよ」グイッッ

摩耶「うわあぁぁぁぁ!!嘘つきいいいぃぃぃぃぃぃ!!」ズルズルズル

千冬「こっちの身にもなってください」ズルズルズルズルズルズル

摩耶「これが大人のやる事ですかぁぁぁぁぁぁぁ!!」ズルズルズルズルズルズル

千冬「その言葉、一字一句そのまま返します」ズルズルズル!!

摩耶「お"り"い"い"む"う"う"う"う"ら"あ"あ"あ"く"う"う"う"う"ん"ん"ん"んんん!!!」ズルズルズル

一夏「南無三」ナムナム

摩耶「撃たせてえええぇぇぇぇぇ!!うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ズリズリズリズリズリズリ
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 22:00:31.89 ID:uMB18n4O0

ウワァァァァァァァァァ……

セシリア「……」ポカーン

一夏「ふうー……いつもの事だけど姉ちゃんも大変だな」

クロエ「そうですね……しかしツヴァイフォーミュラが銃を持っている事を見抜かれるとは……」

一夏「さっきの通り、山田さんは銃になると怖いからな。色々と」

クロエ「そうですね……」

一夏「あ、しまった」

クロエ「どうかしましたか?」

一夏「地面、機体で普通に踏んだ」スタッ

クロエ「ああ……」

一夏「また均さなきゃ……ん?」

箒「……」

一夏「トンボなんか持って何してんだ?」
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 22:14:07.10 ID:uMB18n4O0
箒「先に戻る」

一夏「嘘だって!ありがとうな!手伝いに来てくれたんだよな!」

箒「もう終わりだろ?なら私がいなくてもいいだろ」

一夏「ごめんなー急いで着替えて手伝いに来たら終わってたから恥ずかしかったんだよなーごめんなー」

箒「そっ、そんな訳あるかっ!」

セシリア「はっ!篠ノ乃さん、いつの間にいらしてたのですか?」

箒「……うるさい」

一夏(おーやっと復活したか)

セシリア「いきなりうるさいとはどういう事ですの!」

一夏「はいはい、プリプリしないの。とりあえず、セシリーと箒は先に戻っててくれ、残りはこの足跡二つだけだからさ」

クロエ「道具はこちらで片付けておきます」

箒「ほら、戻るぞ」

セシリア「……分かりましたわ」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 22:31:17.95 ID:uMB18n4O0
箒「全く……せっかく手伝いに行ったのにあれでは……」ブツブツ

セシリア「あの……」

箒「大体一夏はいつも……」ブツブツ

セシリア「篠ノ乃さん?」

箒「何だ」

セシリア「あなたへの……謝罪がまだでしたわ」

箒「謝罪?何のだ?」

セシリア「クラス代表決定の際、私はあなたの名を利用しようとしてましたから」

箒「何だ、そんな事か」

セシリア「そんな事って……怒ってませんの?」

箒「ああ、一夏が勝手に怒っただけだ。一夏らしいと言えば一夏らしいがな」

セシリア「そうでしたか……」
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 22:50:26.04 ID:uMB18n4O0
箒「それに、あんなのにはもう慣れた。苗字を聞いて言ったんだろう?」

セシリア「ええ、そうですわ。もしや、と思いまして」

箒「ならいい。それぐらいなら、まだ可愛い程度のものだからな」

箒(人質にしようとしないからな)

セシリア「……」

セシリア(篠ノ乃さん……やはり……篠ノ乃博士のご家族だけあって……かなりの苦労をされていたのですね……)

セシリア「篠ノ乃さん!」ハシッ

箒「な、何だ?」

セシリア「私に何か出来る事があるなら遠慮なく言ってくださいまし」

セシリア「是非とも、このセシリア・オルコットがお手伝いいたしますわ!」

箒「そ、そうか……急にどうしたんだ?」

セシリア「どうもしていませんわ。困っている人を助けるのは当然の事ですわ」

箒「別に今は困っていないんだがな……」
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/11(木) 23:14:10.66 ID:uMB18n4O0
箒「そういえば……セシリア、一夏の事を王子様、と言っていたが……あれはどういう意味だ?」

セシリア「そのままの意味ですが?」

箒「……なら、十年前に一夏とお前の間に何があった?」

セシリア「それは……私と一夏さんだけの秘密ですわ♪」

セシリア「一つ言えるのは、一夏さんは十年前と変わらず優しくて素敵な殿方だと言う事ですわ♪」

箒「ほう……そうかそうか、十年前か。そうか」

箒「ならその首にかかっているのは千冬さんの御守りか」

セシリア「なッ、何故それを!?」

箒「まさかお前だったとはな。そういえば一夏は昔言っていたな、金髪で外国の言葉を話す女の子に千冬さんの御守りを渡した、とな」

箒(可愛いかったも言っていたがな)イラッ

セシリア「これは渡せませくてよ!」

箒「今更誰がそんなものいるか!」

セシリア「なるほど……どうやら、あなたとはとてもとても良い関係が築けそうですわね。篠ノ乃さん」

箒「ああ、そうだな。セシリア」


一夏「Ohhh……my……」

クロエ「どうかなさいました?」
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/18(木) 21:21:18.29 ID:UPrNuVII0

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一夏「やっぱり何でもかんでも度が過ぎる、っていうのは良くないよな。全くしないのは駄目だけどし過ぎても駄目、何にせよその中間の程よいところを見つけないとな」

箒「何の話だ」

一夏「野菜は炒め過ぎちゃいけないって話だよ」

セシリア「私はしっかりと火が通されていると思いますわ」

一夏「さいですか……って、何で俺と一緒の食べてるんだ?」

セシリア「いけませんくて?」

一夏「別にぃ……俺はいいけど」

クロエ「今回の料理は……少し炭化した部分が目立ちますね」

一夏「火力強過ぎなんじゃないか?だから中に火が通る前に外が焦げちゃってるんだよ」

箒「半生よりはいいだろ」

一夏「いや確かにそうだけどーーーって箒も野菜炒めなのか」

箒「何だ、私が野菜を食べてはいけないのか」

一夏「別にぃ……」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/18(木) 21:32:43.53 ID:UPrNuVII0
クロエ「……」モグモグ

一夏「あ、クロエ、ちょっと止まれ」

クロエ「何ですか……?」ピタッ

一夏「米粒」ヒョイ

クロエ「あ、ありがとうございます……」

一夏「また器用なところに」パクッ

クロエ「いつ付着したのでしょうか……?」

一夏「さあな」

クロエ「……」ウーン

一夏「気にすんなよ。飯が冷めるぞ」

クロエ「分かりました」

箒(……懐かしいな、昔は私がああやっていたのにな)

箒「……」

セシリア(う、うらやましいですわ……一夏さんにあんな風に……)

セシリア「……」
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/18(木) 21:41:47.86 ID:UPrNuVII0
一夏「ん?」ピクッ

一夏(何か視線が……)

箒「……」ジィーッ

一夏(何?俺の顔にも米粒あるのか?)サササッ

クロエ「どうかしました?」

一夏「いや、何でもない」

箒「……」ジィーッ

一夏「???」

セシリア「……」ソーッ

一夏(米粒を顔に……何やってるんだ?)

箒「おい」ガシッ

セシリア「!?」ビクッ

箒「食べ物で遊ぶな。行儀が悪い」

セシリア「あ、遊んでなどいませんわ!」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/18(木) 22:03:14.33 ID:UPrNuVII0
箒(頬の米粒を一夏に取ってもらおうという魂胆だろうがそうはいかんぞ……)

セシリア(篠ノ之さん……私の考えを見抜いて……)

箒(やはり隣に座って正解だったな)

セシリア(やりますわね……)

箒「……」

セシリア「……」ニコニコ

クロエ「どうかなさいましたか?」

箒「何でもない。なあ?セシリア」

セシリア「ええ、何でもありませんわ。篠ノ之さん」

クロエ「???」

クロエ(何故手を放さないのでしょうか?)

一夏(何か急に仲良くなったよな。隣に座ってるし、この二人)

一夏(うわぁ……何か怖いなぁ……)
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/18(木) 22:38:16.86 ID:UPrNuVII0
セシリア「そうですわ!一夏さん、今日の放課後、お時間頂けますか?」

一夏「放課後?何するんだ?」

セシリア「ISの特訓をお願いします」

一夏「特訓?何で?」

セシリア「何でって……一夏さんはクロニクルさんより強いのでしょう?」

一夏「いや、弱いよ」

セシリア「へ?」

クロエ「えっ?」

一夏「そうだろ?クロエ」

クロエ「は、はい……現状から判断すれば……そうですが……」

箒(現状?)
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/18(木) 23:02:57.76 ID:UPrNuVII0
一夏「あ、そっか。じゃあクロエがやればいいんじゃないか」ポンッ

クロエ「え、わっ、私ですか?」

一夏「戦った相手の方がいいだろ。戦った仲だからこそ分かる事もあるしな」

一夏「という事だ。セシリー」

セシリア「ええ……そ……そう……ですね」

一夏「はい決定っと」

箒「一夏、お前も行け」

一夏「はあ?俺がぁ?」

箒「部屋でゴロゴロしているよりはいいんじゃないか」

一夏「失礼な、誰がゴロゴロしてるってんだよ」

箒「じゃあ何をしているんだ?」

一夏「そりゃあ、まあ……色々と……」

箒「……」ジトー

一夏「ま、とにかく。断じてゴロゴロはしてない。学園内をうろついて色々としてるだけだ」
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/18(木) 23:21:36.70 ID:UPrNuVII0
クロエ(極秘行動をなさっている事は伏せておくべきですね)

一夏(どこで姉ちゃんが聞いてるか分からないからな……迂闊な事は言えないな)

箒「……色々と、か?」

一夏「うん」

箒「……」ジトー

一夏「はい、この話はこれで終わり。放課後はアリーナに全員集合」

セシリア「来てくださるのですか?」

一夏「あれだけ言われたら仕方ないだろ」

セシリア「ふふっ♪楽しみですわ♪」

一夏「そりゃ良かったね」

一夏(ま、俺は見てるだけだけどな)

クロエ「箒……もいらっしゃるのですか?」

箒「打鉄の使用許可で少し遅れるかもしれないがな」

クロエ「そ、そうですか……」

クロエ(存外……ISに対して意欲的でいらっしゃるのですね……)
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/18(木) 23:36:59.57 ID:UPrNuVII0
〜アリーナ〜

一夏「いいか、考えるな、感じろ」

セシリア「その様に抽象的な事を言われても分かりませんわ!」

一夏「代表候補生たる者が何をおっしゃるんだよ。次の動きを予想するんじゃなくてーーー」

セシリア「大体、お二人のレベルがおかしいのですわ!」

一夏「そうか?」

クロエ「そ、そうでしょうか……?」

セシリア「お二人はそれで当然と思っていらっしゃるかもしれませんがそれは当然と呼べるレベルではありませんわ!」

セシリア「何ですか……もう……」イジイジ

一夏「あーごめんごめん、拗ねるなよ」

セシリア「拗ねてなんかいませんわ!」

クロエ「……」オロオロ

箒(いつまでやってるんだ)
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/18(木) 23:55:29.09 ID:UPrNuVII0
一夏「ほーら、セシリーちゃんは良い子良い子、やれば出来る子」

セシリア「もう!からかわないでください!」

一夏「からかってなんかないぞー」

箒「クロエ、手合わせ願えるか」

クロエ「は、はい、構いませんが……」

一夏「おお、久しぶりに篠ノ之流にお目にかかれるのか」

箒「そんな大層なものじゃない。ただ刀を振るだけだ」

一夏「またまたご謙遜を」

クロエ(篠ノ之流剣術……束様や一夏様は使われなかったのですが……一体どんな剣術なのでしょうか……)

セシリア(長刀と短刀の二刀流……見た事のない剣術ですわ……)

一夏「それじゃあいくぞー両者、構え」

箒「……」スッ

クロエ「……」ヒィィィィン

一夏「始め」
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/19(金) 00:12:39.70 ID:ePR/fcur0
〜校門付近〜

?「一夏んはあっち?」

?「いやいやこっちじゃない?」

?「じゃああっち?」

?「ならこっち?」

??「「もうどっちも行っちゃおう!」」

?「先にどっち行く?」

?「ここに手頃な棒があります。そしてこれをこうして立てます」コンッ

?「ほうほう、なるへそ。そして?」

?「せーのっ」

?「「尋ね人ステッキ!」」カランカラン

?「うむ、進路は北北東!」

?「うむ、いざ行かん!」

??「「待っててね!一夏ぁーん!!」」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/19(金) 00:25:58.02 ID:ePR/fcur0
新キャラの正体やいかに(すっとぼけ)
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/24(水) 20:24:59.13 ID:jSsEqi790
セシリア『篠ノ之さん、あなたに会わせますわ!』

箒『頼んだぞ!』

箒「はッ……せいッ……!!」ヒュンッヒュヒュンッ

クロエ「……」カァンッカカァンッ

セシリア(篠ノ之さんの剣撃の隙間を……)

ピチュチュチュチュンッ

クロエ「……」バッ

箒「もらった!」ヒュッ

クロエ「……」カァンッ

箒「!?」

箒(あんなに簡単に死角からの攻撃を防いだ!?)
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/24(水) 20:29:44.72 ID:jSsEqi790

バシューンッ

クロエ「……」バチィンッ

箒「畳み掛けるぞ!!」ヒュッ

クロエ「……」カァンッ

ピチュンッ ピチュンッピチュンッ

箒「せいッ……はあッ……!!」ヒュヒュンッ ヒュンッ

クロエ「……」バッ

ピチュンッ ピチュピチュピチュンッ

セシリア「そこですわ!」バシューンッ

クロエ「……」スッ

箒「なッ!?」バチィンッ

セシリア「すッ、すみまーーー」
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/24(水) 20:46:05.66 ID:jSsEqi790


ガガァンッ


箒「うわッ……!?」ポロッ

セシリア「きゃあッ……!?」ポロッ

クロエ「……」チュイィィィンッ

パンパンパンッ

一夏「はい、残念でしたー本日五回目の箒とセシリーの負けでーす。残念無念また来週ー」

箒「……流石だな、クロエ」

クロエ「そんな……私などまだ未熟です……」

セシリア「何故謙遜なさるのです。もっと胸を張っても誰も文句はいいませんわ」

クロエ「そ、そうですか……?」

一夏「そうだぞークロエ」

セシリア「一夏さんは!いつまでISを展開もせずにそこで見ているつもりですの!」

一夏「別にいいだろー俺はクロエより弱いんだし」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/24(水) 21:14:58.45 ID:jSsEqi790
一夏「そもそも、俺はアリーナで集合とは言ったけど『ISの特訓する』とは一言も言ってなかったからな」

一夏「ついでに俺、クロエより弱いし」

箒「いちいち屁理屈を……」ワナワナ

セシリア「お、落ち着いてくださいまし!」ガシッ

箒「放せ、あいつの根性を叩き直してやる」

一夏「生身の人間に対してISの武器を向ける事に関してはまだジュネーブ条約に何も出来てなかったっけ?」

クロエ「現時点では条約と呼べるものに含まれていません」

一夏「おお怖っ」

箒「いいから放せ」ジタバタ

セシリア「駄目です!」

一夏『どうにも打鉄は箒に付いていけてないな』

クロエ『それを無理矢理使われていますね』

一夏『本人は気付いてないみたいだけどな』

クロエ『そのようですね』
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/24(水) 21:31:18.45 ID:jSsEqi790
一夏「はいはい、気を取り直して六回目を始めるぞー」パンパンッ

一夏「今度こそクロエに手を出させる事が出来るよう頑張れよー」

箒「言われなくても」

セシリア「やってみせますわ!」

クロエ「お二人とも頑張ってください」

箒「……余裕だな」ジトー

クロエ「えっ?い、いえ……そんな事はありません……」

セシリア「……」ジトー

クロエ「あの……その……ううぅっ……申し訳ありません……」

一夏「その威勢は最初だけの為に取っとけよ」

箒「誰が威勢がいいのは最初だけだ」ギロリッ

セシリア「失礼な、そんな事などありませんわ!」

一夏「はいはい、それじゃあいくぞー」

箒「……」スッ

セシリア「……」チャッ

クロエ「……」チャキッ

一夏「始め」
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/24(水) 21:50:28.48 ID:jSsEqi790


ドンッッ!!


一夏「おっとっとっと、危ない危ない」

一夏「さて、この床綺麗かな……」サッサッ

一夏「うーん、微妙だなぁ……うん?」

??「「……」」

一夏「何だお前等?」

??「「……」」バッ バババッ スーッ

タンッ

一夏(ん?二人?それにその一連の動作は……)


??「「ドラゴンライダーキーック!!」」


一夏「やっぱりな!ライダーパーンチ!!」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/24(水) 22:03:17.01 ID:jSsEqi790
??「「……」」スタッ

一夏「いってててっ、久しぶりにだからってもうちょっと加減しろよな」

??「「一夏ぁーん!!」」ピョーン

一夏「鈴!清!」ガシッ

鈴清「「このクソゴミ面だけは見たくなかったんだからー!!」」クルクル

一夏「クソチビ野郎共が言うなよー!」クルクル

鈴清「「言ったなーウスラトンカチのオタンコナスの大根ー!」」クルクル

一夏「おう言ったぜ!こんのチャイナボカンシリーズがー!」

一夏鈴清「「「アッハハハハハハ!!」」」クルクルクルクル


セシリア「何のですの、アレ」

箒「……さあな」

クロエ「???」

クロエ(発言と行動が一致していません)
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/24(水) 22:16:56.51 ID:jSsEqi790
一夏「ほい、じゃあ二人の自己紹介をどうぞ」

鈴「リュウレンジャー!」バッ バッバッ

鈴「天風星、凰鈴音!!」

清「同じくリュウレンジャー!」バッ バッバッ

清「天雷星、凰清音!!」

鈴「天に輝く!」

清「二つ星!」

鈴清「「二星戦隊!!ダイレンジャー!!」」

一夏「はい、拍手!」パチパチ

クロエ「?」パチパチ

セシリア「?」パチパチ

箒「……」パチパチ

鈴「皆ありがとー!」

清「ありがとー愛してるよー!」
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/24(水) 22:32:20.51 ID:jSsEqi790
箒「そうじゃないだろ」

鈴清「「何がー?」」

箒「何者だ、お前等は。一夏とはどういう関係だ」

鈴「よくぞ聞いてくれたー!」

清「あたし達は何と!一夏の〜!」


鈴清「「幼馴染みでマブのダチ公で将来のお嫁さんなのだー!!」」


クロエ「そ、そうなのですか……」

鈴清「「そうだよーだからそこんとこよろしく!!」」ビシッ

セシリア「一体どういう事ですの〜!!」ガクガク

一夏「ギブギブギブ!!ISを展開したまんまはやめてくれ!!頭もげるから!!!」

箒「そのまま、持っていろ。セシリア」

一夏「お前は更に何をする気だ!!!」

セシリア「一夏さん〜!!」ガクガク

一夏「説明するからやめてくれ〜!!!」
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/29(月) 22:07:52.26 ID:hij7xZFi0
一夏「だから鈴と清は五年生から中学三年までつるんでた悪友の、ダチ公なんだよ。別に将来の伴侶とかそんなんじゃないんだよ」

一夏「分かったか?お二方?」

箒「……ああ、よく分かった」

セシリア「分かりましたわ……」

一夏「ったく……まだ滅茶苦茶痛いよ……」ゴキゴキッ

クロエ(一夏様、少し苛ついていらっしゃいますね……)

鈴「ちょっと、ちょっとちょっと」

清「あたし達をお嫁さんにしないって」

鈴清「「どーいう事?」」

一夏「……鈴、清」

鈴清「「なーに?」」

一夏「うるさい」

鈴清「「はーい……」」ショボン

一夏「ったく……あ痛っ……」ゴキゴキッ
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/29(月) 22:19:56.90 ID:hij7xZFi0
一夏「何か俺に言うことは?」

箒「ごめんなさい」

セシリア「申し訳ありません」

一夏「はい、二人ともよく出来ました」

鈴「一夏ん、あーん」

清「ずるーい、あたしもあたしも」

一夏「ちょっ……左右からラーメンを押し付けてくるな……」

鈴清「「あーん!」」

一夏「あー!」グイッ

鈴清「「ふみゃっ!」」

一夏「頼むから飯ぐらい落ち着いて食わせてくれっての」

鈴「今更何照れてんのよー」

清「あたし達の仲じゃないかよー」

一夏「さっきから汁がこっちに飛んでるんだよ」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/29(月) 22:34:40.69 ID:hij7xZFi0
一夏「鈴も清もちょっとはクロエを見習え。ほら」

クロエ「私を、ですか……?」

鈴清「「ほうほう、クロちんを」」

クロエ「?」

鈴清「「じぃーっ」」

一夏「クロちんって……」

セシリア「見習う、という点では私はどうでしょうか?」

一夏「アリーナで俺に何した?」

セシリア「……はい」

箒「そういった点は私もセシリアと同じだな」

一夏「……いつになく素直だな」

箒「うるさい、事実を言ったまでだ」

一夏「はいはい」
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/29(月) 23:01:42.20 ID:hij7xZFi0
鈴清「「じぃーっ」」

箒「何だ?私に何か付いているか?」

鈴清「「あんたが一夏んの幼馴染み?」」

箒「そうだが」

鈴清「「へーそうなんだー」」

箒「言いたい事があるならハッキリ言え」

鈴清「「別にないよー」」

一夏「頼むから一悶着起こさないでくれよ」

清「心配御無用!」

鈴「ノープロブレム!」

一夏「本当かよ……前科あるだろ……」

鈴清「「知ーらないっ」」

セシリア「むむむっ……」

セシリア(私だけ蚊帳の外ですわ……)
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/29(月) 23:34:13.78 ID:hij7xZFi0
クロエ「お二人は何故IS学園にいらっしゃったのですか?」

鈴清「「当然、一夏をブッ倒す為!」」

クロエ「は、はあ……ブッ倒す為、ですか……」

鈴清「「いえすあいあーむ!」」

箒「単純明快な答えだな」

鈴清「「でしょでしょー?」」

一夏「……」

セシリア「どうかしました?」

一夏「いや、別に……」

一夏(頼むからあの事だけは言わないでくれよ……)
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/29(月) 23:51:16.45 ID:hij7xZFi0
セシリア「何かあればどうぞ遠慮なさらずに、このセシリア・オルコットに申してくださいまし、一夏さん」

一夏「何かあったそうさせてもらうよ」

清「おうおう、セっちゃんよーい」

セシリア「セっちゃん……!?」

鈴「イギリス代表候補生がどうして無名の一夏んにベットリな訳ー?」

セシリア「あら、いけませんくて?」

鈴「おうおう、一夏んはあたし達のシマなんだからさー」

清「何の断りなしにベットリしようたぁいい度胸してんじゃねぇかよー」

鈴清「「まずは出すもん出してもらおうじゃねぇかよー」」

一夏「誰がお前等のシマだ」

鈴清「「何だよーノリ悪いぞー」」

一夏「はいはい、そりゃ悪うござんした」
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/01(火) 00:06:18.35 ID:f1SzzqZb0
セシリア「私の事をご存知ですのね」

鈴清「「もちこーす!敵を知る事は戦いの基礎中の基礎って兵法も言ってるからね!」」

セシリア「ええ、その通りですわね」

鈴清「「でしょでしょー?」」

クロエ(ヘイホー?)

箒(意外と頭を使う奴なんだな)

一夏(箒のやつ、何関心してるんだ?)

鈴清「「で?何で一夏んにベットリな訳?」」

セシリア「それはこの私が、一夏さんと赤い糸で結ばれているからですわ!」

一夏「御守り渡した時、紐って赤かったっけ?」

セシリア「そういう事ではありません!」

一夏「ジョークだって、ジョーク」

セシリア「もうっ……」
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga ]:2016/03/01(火) 00:18:34.97 ID:f1SzzqZb0
鈴「御守り?」

清「持ってんの?」

セシリア「ええ、この通り」

清「じゃあじゃあ一夏の言ってた」

鈴「金髪少女ってのはもしかして」

セシリア「そう、この私の事ですわ」

鈴清「「おおー!」」

セシリア「私と一夏さんの出会い、それは十年前のーーー」

鈴清「「カァーット!!」」

セシリア「ちょっと!」

箒「……誰にでも話してたんだな」

一夏「誰にでもって……数えれる程の人数にしか話してないぞ」

箒「本当か?」ジトー

一夏「嘘ついてどうなるんだよ」

箒「……ふんっ」

クロエ(何故少し不愉快そうなのでしょうか……)
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/01(火) 21:23:02.30 ID:f1SzzqZb0

バタン

鈴「うーむ、セっちんに」

清「箒ちん、か……」

鈴「あたし達の一夏んが危ないよ!清!」

清「セっちんはともかく箒ちんは幼馴染みとか言う強ポジだよ!鈴!」

鈴「落ち着け、まだ慌てる様な時間じゃない」

清「ほうほう?して、その理由は如何に?」

鈴「孫子曰く“幼馴染みは負けフラグ”である」

清「つ〜ま〜り〜?」

鈴清「「ダチ公のあたし達が有利なり!!」」

鈴「けどけど〜ここはあたし達の一夏んを揺るぎなきものにする為にもう一手欲しいところ……」

清「あたし達の一夏んだって見せびらかす必要があるね……」

鈴清「「うーん、どーしたものかー」」
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/01(火) 21:42:34.21 ID:f1SzzqZb0
清「あーっ!コレとかどう?」ピラッ

鈴「ほうほう、これはこれは……」

鈴清「「つ〜ま〜り〜」」ニヤリ

清「あたし達がクラス代表になってー」

鈴「代表戦で一夏んをブッ倒してー」

鈴清「「俺の物宣言をする!!」」

鈴「何という完っ璧な作戦!」

清「もうこれしかない!」

鈴「その為の第一歩は〜?」

清「二組のクラス代表になろう!」

鈴清「「よっしゃあー!」」パチン
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/01(火) 22:06:30.73 ID:f1SzzqZb0
鈴「ここで孫子の言葉!戦争は国家の一大事で、国民の生死や」

清「国家の存亡にも関わってくるから、細心の注意を払って検討に検討を重ねなければならない」

清「そして〜戦争というのは、相手を傷つけずに、降伏させるのが良い
相手をブッ飛ばして降伏させるのは、その次」

鈴「だから、百回戦って百回勝っても、それは良い事じゃなくて、戦わないで降伏させるのが最も善いのである!」

鈴清「「なるほど!」」

鈴「とりあえず変わってもらえるか聞こっか!」

清「それが無理ならやっちゃおう!」

鈴「ええ?やっちゃう?」

清「ええ?やらないの?」

鈴清「「もちのロン!やるに決まってるでしょ!」」

鈴「この神が授けた龍の子!」

清「凰鈴音と凰清音の前に〜!」

鈴清「「敵はない!!」」

鈴清「「いざ、二組のクラス代表さんの部屋へー!」」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/01(火) 22:42:39.22 ID:f1SzzqZb0
セシリア(もうっ、何なんですのあの二人は!)

セシリア(一夏さんの幼馴染みである篠ノ之さん一人ですら強敵ですのに……)

「セシリアさん?」

セシリア(悪友……というのは少し分かりませんがそれなりに親しい仲だった事は確かですわ!)

セシリア(このままでは十年前に一度会ったきりの私では手も足もでなくなってしまいますわ!!)

「おーい?セシリアさん?」

セシリア(打開策が必要ですわね……)

「セシリアさん!」

セシリア「へっ?は、はいっ!何ですの!?」

「お茶、いいの?」

セシリア「ああっ!ありがとうございます!」カチャカチャ

「大丈夫?ボーッとしてたよ?」

セシリア「な、何でもありませんわ。ちょっと考え事をしてただけですから……熱っ」

「……本当に大丈夫?」

セシリア「ご心配には及びませんわ!!」
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sapa]:2016/03/01(火) 23:18:43.18 ID:f1SzzqZb0
箒(凰鈴音に凰清音か……)

箒(……)モゾモゾ

箒(私もあんな風に一夏に接すれればな……)

箒(私が……あんな風に……一夏に……)

箒(……)

箒(いや、やっぱり駄目だ……恥ずかしくて出来ない……)

箒(第一そんな事をしたところで一夏にからかわれて終わりだ)

箒(大体、一夏の奴はいつもいつも……)イラッ

箒(昔はああではなかったのに私がいない数年の間に何があったんだ)

箒(姉さんは何をしていたんだ)

(篠ノ之さんから……負の感情が……する……)ビクッ

箒(最早セシリアも鈴も清も関係ない。私が一夏を……)

箒(そうだ。私は一夏の幼馴染みなんだからな)
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/01(火) 23:36:16.35 ID:f1SzzqZb0
一夏「はあぁぁぁ〜疲れた〜……冷たっと」ペタッ

クロエ「本当に大丈夫ですか?かなりの負荷が首にかかっていましたが……」

一夏「大丈夫大丈夫、こんなの湿布張って寝ればアラ不思議って具合に……冷たっ」ペタッ

クロエ「ならよろしいのですが……」

一夏「ったく、セシリーも箒も加減ってもんを覚えて欲しいよ」

クロエ「一夏様が過度にからかわれるのが原因なのでは……」

一夏「聞こえなーい。よーし、じゃあ俺は寝るぞ。クロエも早く寝ろよ」モソモソ

クロエ「あの……チェックはよろしいのですか……?」

一夏「もうやったから気にせず寝ろよ」

クロエ「わ、分かりました」

一夏「俺の布団に入ってくるなよ」

クロエ「……分かってます」モソモソ

一夏「何だ今の間は」

クロエ「何でもありません……」
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/02(水) 21:10:58.88 ID:kVlE9lQ80

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箒「おはよう、一夏、クロエ」ガタッ

クロエ「おはようございます」ペコリ

一夏「おう……」

箒「一夏……大丈夫か?」

一夏「おう……」

セシリア「おはようございます。一夏さん、クロニクルさん、篠ノ之さん」

箒「おはよう」

クロエ「おはようございます」ペコリ

一夏「おう……」

セシリア「一夏さん?」

一夏「おう……」
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/02(水) 21:31:07.59 ID:kVlE9lQ80
箒「目の下のクマが凄いぞ」

一夏「おう……まあ……大丈夫だ……」モグモグ

箒「おい、それはソースだぞ」

一夏「ん?ああ、悪い……」

箒「待て!それはラー油だ!」

セシリア「一夏さん、どうしましたの?何やら様子が変ですが……」

クロエ「寝返りの度に首の痛みで目が覚めてしまい……あまり寝付けなかったとの事です」

セシリア「……申し訳ありません」

一夏「いいよいいよ。目が覚めたって言っても数回だけだし」

一夏「大丈夫だって、後半時間ぐらいあれば俺のこのシワの少ない脳みそもフル稼働するからさ」

箒「それは七味唐辛子だぞ」

一夏「あれ?醤油どこだ?」

セシリア「どうぞ」サッ

一夏「おう……悪いな」

クロエ(今日のお味噌汁はほうれん草ですか……)モグモグ
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