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一夏「 こ れ は ひ ど い 」
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166 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 20:00:36.72 ID:2QEqK7VR0
〜アリーナ〜
「セ、セシリアさん……本当にやるの?」
セシリア「ええ、もちろんです」
「……」
セシリア「あなたの応援、感謝します」
「あのっ……!無理にする必要ないんじゃ……ないかな……」
セシリア「……何故ですか?」
「だって……セシリアさん、何か変だよ……クロニクルさんに負ける前とは全然違うし……」
セシリア「……」
「ねえ、やっぱりやめようよ……こんなの無茶だよ……今からでもーーー」
セシリア「私は退けないのです!」
「ッ」
セシリア(そう……差し伸べられた手を払い除けるような……恥知らずな私は……)
167 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 20:15:51.63 ID:2QEqK7VR0
セシリア「お待たせして、申し訳ありません」
三年生「構いません。例え何が起ころうと結末は同じ」
セシリア「……」
セシリア(いつもと違う……何故……)
三年生「どうしました。どこからでも来なさい」
セシリア「……それでは!」
ピチュチュチュチュチュチュチュチュン
セシリア(最初から全力で……!!)
三年生「……」スッ
バチチチチチチチチィンッ
セシリア「ッ!?」
セシリア(ビットで全ての攻撃を防いだ!?)
三年生「それだけですか。この程度ならビットで充分です」
168 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 20:24:21.75 ID:2QEqK7VR0
セシリア「ッ……なら!」バシューンッ
三年生「……」バチィンッ
セシリア(包囲しましたわ!!これなら!!)
ピチュンッ ピチュチュチュチュン ピチュンッピチュンッ
三年生「……」ドンッッ
セシリア(突破されーーー)
バシーンッ
セシリア「あうっ……ッ!」チャキッ
三年生「……」ガシッ ググググッ
セシリア「ううっ……くうッ………この!!」ガコンッ
三年生「愚かな」スッ
169 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 20:41:14.30 ID:2QEqK7VR0
セシリア(しまった!?)
ドガガガガガガガガッ
セシリア「きゃあああぁぁぁっ!!」
三年生「はあッ!」ドゴッッ
セシリア「うあッ……!!」
三年生「……こうも容易く背中を取れるとは」
セシリア「けほっ……はあっ……はあっ……」
三年生「どうしました。威勢が良いのは最初だけですか」
三年生「私はまだ、薔薇を手放してはいません」スッ
セシリア「ッ……!!?」
セシリア(そんな……盾すら喚び出していない……!?)
三年生「貴女はまだ……私を敵に回すには未熟」
170 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 21:02:43.72 ID:2QEqK7VR0
箒(何をやっているんだ……戦い方があまりに盲進的過ぎるぞ……)
本音「あう〜お手玉だ〜」
静寐「ほら、やっぱりね……」
清香「やっぱりね、じゃないって!」
静寐「あそこ簡単に肉薄されちゃあこの先どうしようもないでしょ……」
清香「この薄情者〜!」
静寐「事実を言ってるだけだよ」
箒「静寐の言う事は確かに事実だ」
清香「篠ノ之さんまで〜!」
箒「爆発的な機転がなければ、セシリアは勝てない……」
本音「boom〜!」
清香「頑張れー!セシリアさーん!!」
箒(一夏……速く……気付いてくれ……)ギュッ
171 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 21:12:38.84 ID:2QEqK7VR0
三年生(無駄な事を……いくら包囲したところで)
バチチチチチィンッ
三年生(私にも、ビットがあるというのに)
バチチチィンッ バチィンッ バチチチチチチィンッ
セシリア「……!」チキッチキッ
『OVERHEAT』
三年生(熱管理を誤るとは……)
セシリア「ッ……!」ガコンッ ズドンッ
三年生「……」チュインッ
セシリア「……」ズドンッズドンッズドンッ
三年生「……」バッ
セシリア「ブルーティアーズ!!」ズドンッ
ピチュチュチュチュチュン ピチュンッ ピチュチュチュチュン
セシリア(ランサービットは戻っている最中……!!)
三年生(同じ事を)ドンッッ
バシーンッ
セシリア「ううっ……!!」
三年生「……」スッ
172 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 21:28:21.53 ID:2QEqK7VR0
セシリア「ッ……はあっ……はあっ……!」
セシリア(何故……攻撃は顔をはたくだけ……止めを差そうと思えば……いつでも出来るはずなのに……)
三年生「……」
セシリア(私は……あの薔薇を手放させる事すら出来ないのですか……)
セシリア「いいえ!そんな事は!」ズドンッ
ピチュチュチュチュチュチュチュチュン
三年生「……」バッ
バチチチチチチチチィンッ
セシリア「来るッ!?」
ドガガガガガガガガッ
セシリア「ううううっ!!くうぅぅぅぅっ!!」
ガシャシャシャシャシャシャシャシャ
三年生「己にすら打ち勝てぬものが、敵に打ち勝つ事など……不可能です」
セシリア「けほっ……こほっ……私にッ……恐れるものなど……ありません!!」
三年生「その意地……どこまで保てますか」
173 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 22:08:07.08 ID:2QEqK7VR0
〜織斑家〜
チョキン
一夏(あいつの癖……ずっとこれを触ってたんだな……)
一夏(大事にしてくれてたんだな……紐変えてまで……肌身離さず……)
一夏(なくしたと思ってたけど……まさかな……)
一夏(あいつに何て言おうかな……とりあえずお礼言わなくちゃな)
一夏「……」シュルッ
キュッ
一夏「よし……出来た……」
一夏(これで当分、千切れないだろうな)
クロエ「あの……一夏様……」
一夏「どうした?」
クロエ「箒様からの連絡は……よろしいのですか?」
一夏「あ、忘れてた」
174 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 22:22:12.23 ID:2QEqK7VR0
一夏「おーい、箒ー?」
箒『この馬鹿者ッ!今まで何をしていた!?』
一夏「何って……野暮用なんだけど……」キーン
クロエ(箒様……怒っていらっしゃいますね……)
箒『野暮用でも急用でも何でも、電話ぐらいすぐに出ろ!』
一夏「どうもすいません……」
箒『ッ〜!そんな話をしている場合ではない!セシリアが大変なんだ!』
一夏「セシリアが……?どうしたんだ?」
箒『円卓の騎士に戦いを挑んだんだ!しかしまともな戦いが出来ていない!』
一夏「だろうな……」
箒『他人事ではない!セシリアは文字通り当たって砕ける気だ!このままでは!!』
一夏「……」
175 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 22:32:14.11 ID:2QEqK7VR0
箒『相手もセシリアの事を見抜いている!だからあえて叩き潰す事はしていないがそれも時間の問題だ!!』
一夏「……」
箒『ここで挫けてしまったら、あいつは二度と立ち直れないかもしれない!!』
箒『おい一夏!!聞いているのか!!』
一夏「分かった。すぐ行く」
ピッ
クロエ「一夏様」
一夏「クロエーーー」
クロエ「施錠なら既に」
一夏「急いで学園に戻るぞ」
クロエ「了解しました」
176 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 22:44:22.28 ID:2QEqK7VR0
〜アリーナ〜
「セシリアさん……頑張って……」ギュッ
バシュンッ
一夏「クロエ!」
クロエ「はい」ピピピッ
「ちょ、ちょっと……」
一夏「ええい、もう俺が行くしかないよなぁ!ああ、そうだよな!ISでブッ飛んでまで来たんだ!こうなったらとことんやるしかないよなこん畜生!」
クロエ「準備完了。ハッチ解放」
「待って!二人とも!!」
一夏「待てるかよ!このままじゃセシリアがーーー」
「セシリアさんはまだ!!負けてない!!」
一夏「!!」
177 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 23:01:25.01 ID:2QEqK7VR0
三年生「まだ、戦いますか。セシリア・オルコット」
セシリア「……」バシューンッ
三年生「……」バッ
バチチチチィンッ バチチチィンッ バチチチィンッ
セシリア(そこ!!)
三年生「……」ヒュッ
バチィンッ
三年生「これが答えですか」シュウゥゥゥ…
セシリア「そんなッ……!!」
三年生「包囲した八つのビットで時間差攻撃を加え、回収すると見せかけ、残しておいた一発を背後で撃つとはいい考えです」
三年生「しかし、苦し紛れの技など盾を使うまでもありません」
セシリア(次は……次の攻撃は……どうすれば……)
三年生「何故、分からないのですか」
セシリア「そんな事……分かりたくもありません……」
178 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
:2016/01/18(月) 23:06:09.23 ID:YdltNi9V0
あ
179 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 23:13:57.52 ID:2QEqK7VR0
三年生「いい加減にしなさい!!そのような事で、誰も倒す事など出来ません!!」
セシリア「ッ!?」ビクッ
三年生「……考えないのも戦いと、私は言いました……しかし、このような事をさせる為にそう教えたのではありません」
セシリア「……」
三年生「何故分からないのです。貴女は、ただただ無為な事をしているのですよ」
セシリア「ですが……ですが私は!!」
三年生「ならば」
ビュゴォッッ!!
セシリア「きゃああぁぁぁっ!!」
三年生「私は貴女を、倒します」
セシリア(全く見えなかった……!?)
180 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 23:25:10.71 ID:2QEqK7VR0
ジャキッ
セシリア「ッ!?」
セシリア(迎撃ーーー間に合わない!!?)
ドガガガガガガガガガガガガガッ!!
セシリア「うああぁぁぁぁぁぁ!!!」
三年生「はあッ!!」ビュゴオォォォッッ
ガギャギャギャギャギャギャギャンッッ!!
三年生「うおぉぉッッ!!」
ドゴッッ!!
セシリア「かはッッ……!!」
181 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 23:36:12.56 ID:2QEqK7VR0
ズシャアァァァ
セシリア「う……あ……あぐっ……」
セシリア(意識が……駄目……ここで負ける訳には……)
セシリア(武器を……インター……セプター……)チャキッ
バチィンッ
セシリア「ッ……!?」
三年生「どうしました。立ちなさい、立って戦いなさい」
三年生「セシリア・オルコット」
セシリア(私の……攻撃は……何一つ……あの人に……届かないの……です……か……)
セシリア(私は……私は……!!)ジャリッ
三年生「……」
三年生「薔薇の花言葉は愛」スッ
182 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/18(月) 23:45:47.00 ID:2QEqK7VR0
グシャッッ
三年生「愛とともに、散りなさい」パラパラ…
セシリア(もうっ……駄目……!!)
三年生「はあぁぁぁぁッッ!!」ビュゴオォォォッッ
ガアンッガアンッ
三年生「何ッ!?」バッ
セシリア「この……攻撃はッ……!?」
一夏「まさかの時にスペイン宗教裁判!!」
セシリア「なっ……!?」
三年生「!?」
一夏「我々の多様な武器は恐怖、唐突、未知、えーっと……以下省略だこの野郎!!」
183 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 00:08:21.82 ID:pFKHH7JQ0
クロエ「モルドレット様、突然の無礼を御許しください。我々は、再試合を申し出ます」ギョインッギョインッ
三年生「私達の決闘を邪魔するとは……許せません……」
一夏「決闘?『こんなの』が?」
一夏「力で相手を叩き潰すだけが決闘か!?ふざけんなよ!!こんなもの、もう決闘でも何でもないんだよ!!」
一夏「さっきから聞いてれば気持ちのいい事ばっかり言いやがって!!何様だよ!!円卓の騎士様がそんなに偉いのかよ!!?」
一夏「悩んでる奴を叩き潰すだけの奴のがそんなに偉いのかよ!!!」
三年生「ッ……」
一夏「どうなんだよ!!?」
セシリア「あ、あなた!!」ガシッ
一夏「おう……だ、大丈夫か?セシリア」
セシリア「自分のなさっている事が分かっていますの!?」グイグイッ
一夏「わ、分かってる!分かってるって!」ガクガク
セシリア「いいえ!分かってませんわ!!」
184 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 00:30:00.17 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「私はあなたの助けなど必要ありません!!余計な事をしないでくださいまし!!」
一夏「馬鹿言うなよ……」
セシリア「いいえ、馬鹿な事など言ってませんわ!!」
セシリア「大体あなたに……あなたなんかの助けがなくったって私は……私は……あの人に……!!」グスッ
セシリア「あの人にッ……ううっ……」ポロポロ
一夏「あーあー泣くなよ。ほら、これ持ってろよ。ほら」 スッ
セシリア「こ……これは……それにその言葉……!」
一夏「いいだろ。それはな、俺が姉ちゃんから貰ったやつなんだぜ」
セシリア「あなた……あの時の……!!」
一夏「お前もな」
一夏「すいませんねー!セシリアは再試合してもいいそうですー!そっちはどうですかー?」
三年生「……構いません」
クロエ「それでは御二方、ピットへ」
185 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 00:39:40.46 ID:pFKHH7JQ0
一夏「エネルギー補給が終わったらすぐに出ろよ」
セシリア「ええ……分かりました……」
一夏「クロエ、どうだ?」
クロエ「残り三十秒です」
一夏「はいはい、三十秒ね」
一夏「……」
セシリア「……」
セシリア「あの……」
一夏「詳しい事は後だ。今は試合に集中しろ」
セシリア「い、言われなくても分かってますわ!」
一夏「はははっ、それだけ強がりが言えるならまだ大丈夫だな」
『補給完了』
一夏「よし、行ってこい。セシール」
セシリア「セシリアですわ!!」
186 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 01:16:24.12 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「お待たせしました」
三年生「……」
三年生(恐怖が、なくなっている……?先程までとは別人……いや、これが彼女の本来の姿……なのでしょう……)
三年生(今までオルコットに纏わり付き続けていたものが……こうも簡単に……打ち払われるとは……)
一夏『セシリア、大丈夫だ。俺とそのお守りがついてるからさ』グッ
セシリア『はい!』
セシリア(私に……力を……)ギュッ
三年生(織斑一夏……私は……貴方に少し……)
三年生「ふふっ……」
セシリア「どうかなさいましたか?」
三年生「いえ、気にしないでください」
セシリア「そ、そうですか……」
三年生「それでは始めましょうか。今度こそ、決闘を」
セシリア「はい、互いに全力を尽くして!」
クロエ「それでは、試合開始」
187 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga sage]:2016/01/19(火) 01:21:30.04 ID:pFKHH7JQ0
続きは明日で。
ビット系ってどこかの監督の言う通り駄目なやつだと改めて認識した。
188 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/19(火) 01:32:15.63 ID:MrbyiZ3h0
乙、楽しみにしてる
189 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/19(火) 07:24:15.93 ID:MDohADYDO
やっぱりビット食ってるようなやつは駄目だな
190 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 20:36:06.26 ID:pFKHH7JQ0
クロエ『一夏様、本当に、これで宜しかったのですか?』
一夏『ああ、これでいいんだよ』
一夏『迷子には、誰かがついていてやるだけで』
クロエ『迷子、ですか?』
一夏『あいつさ、昔近所で迷子になって事があったんだよ。ずっと泣いててさ、一人が怖くて怖くて仕方ない、って感じだったんだよ』
一夏『クロエに負けてから、またあいつからそれが出てたんだよ』
一夏『本人が気付かない内に、あの出来事がトラウマになってたんだろうな』
クロエ『仰っていた不安感の原因は既視からきていたものでしたか』
一夏『気付くのに……かなり時間かかったけどな』
クロエ『ですが。彼女は今、その恐怖を捨て去り、戦っていらっしゃいます』
一夏『当然だろ。何てったってあいつは超天才の超秀才、風雲児セシリア・オルコットなんだからな』
191 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 20:53:13.94 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「ブルーティアーズ!!」
ドガガガガガガガガッ
三年生(私のビットが追い付きませんか……しかし、ソリッドシールドは破れません)ガガガガッ
セシリア「……」バシューンッ
チュインッ
セシリア「!」
セシリア(今の動きは……もしかして!!)
三年生「はあっ!」ビュゴオォォォッッ
セシリア「同じ手を!」バッ
三年生「いいえ!!」ブンッッ
セシリア(槍の軌道を変えた!?ですが受け止めてみせます!!)バッ
『BURST MODE』ジャパッ
セシリア「これは!?」
バシュウゥゥゥゥゥンッッ
三年生「ぐあぁぁッ!!……なッ……!?」
三年生(ブルーティアーズのビームが変わった……!?)
192 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 21:07:45.00 ID:pFKHH7JQ0
セシリア(ビットが合わさり放つビーム攻撃……これが……お父様が作った新しいブルーティアーズの力……)
セシリア(これならやれますわ!!)
セシリア「行って!!」バシュウゥゥゥゥゥンッッ
三年生「うおぉッ……!!」
三年生(この威力……ビットの放てるものではありません!)
セシリア「まだです!」ガコンッ
三年生(近接用のミサイルをこの距離で……?)
ジャキッ
セシリア「させません!」バシューンッ
ピチュチュチュチュチュチュチュチュン
三年生「はッ!!」
バシャッ ドドドドドドドガアァァァァンッ
三年生(弾頭を分裂させてしまいましたか……しかし狙いはこの爆煙を作り出す事でしょう……)
193 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 21:19:52.01 ID:pFKHH7JQ0
セシリア(狙い通り……後はインターセプターを!)ガチンッ ガコンッ
三年生(居場所は分かっています)ジャキッ
ピチュチュチュチュン ピチュチュチュチュチュンッ
三年生(この攻撃は全て陽動……本当の狙いは)
三年生「そこです!!」ビュゴオォォォッッ
セシリア「てやあぁぁぁ!!」ゴオオォォォッ
ガギャギャンッッ!!
セシリア「うぐッ……まだッ……!!」ガシィッ
三年生「何ッ!?」
ズドンッズドンッズドンッズドンッズドンッズドンッ
三年生「ぬッ……おおおッ……!!」
三年生(接射の為だけに突進を……!?)
セシリア(全てを一点に!!)ズドンッズドンッズドンッ
三年生「ッ!!」バッ
三年生「はあぁぁッッ!!」ドゴッッ
セシリア「きゃあぁぁぁっ!!」
194 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 21:32:50.29 ID:pFKHH7JQ0
ジャキッ
セシリア(ビットが来るッ……迎撃を……!!)
バシュウゥゥゥゥゥンッッ
セシリア「しまった!?」
セシリア(ビームを掻い潜られたッ!?)
ドガガガガガガガガッ
セシリア「きゃあああぁぁぁっ!!」
三年生(ビットを合わせたという事は、手数を減らし、機動力を殺し、射線は巨大な一つのみ……突破は容易い!!)
三年生「おおぉぉぉぉぉッッ!!」ビュゴオォォォッッ
ガギャギャギャギャギャギャギャンッッ!!
セシリア「うああぁぁぁぁ!!くうぅぅぅぅっ!!」
ガコンッ
三年生「何度も同じ手を!!」バッ
ピチュンッ ピチュチュチュチュン ピチュチュチュチュュン
セシリア「そこ!!」バシューンッ
195 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 21:44:34.14 ID:pFKHH7JQ0
ドガアァァァァンッ
三年生「同じ手は通用しません!!」ジャキッ
バシュウゥゥゥゥゥンッッ
三年生「う、うおぉぉぉッッ……そこです!!」
ズガガガガガッ
セシリア「ビットがッ……!?しかし!!」
バシューンッ バシューンッ
三年生(これでブルーティアーズはビットを全てを失いました!!)
三年生「おおぉぉぉぉぉッッ!!」ビュゴオォォォッッ
セシリア「!?」バシューンッバシューンッ
セシリア(レーザーを避けずに!?止められない!!)
ガギンッッ
セシリア「うあッ……!!」
三年生「はあぁぁッ!!」ビュッッ
セシリア「くうッ!!」ガシィッ
196 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 21:57:07.28 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「この!!」チャキッ ヒュッッ
三年生「ッ!!」バシィンッ
セシリア「ッ……!!」ポロッ
三年生「おおッッ!!」ドゴッッ
セシリア「うあッッ!!」
三年生「はあぁぁぁぁぁッ!!」バッ
ガギャギャギャギャギャギャギャンッッ!!
セシリア(……ライフルと……インターセプターが……それにもうミサイルもビットも……ありません……)
セシリア(もう戦う術が……私には……ありません……)
セシリア(私の負け……ですね……)
セシリア(やはり私は……まだあの人には届かないのですね……)
カサッ
セシリア「!!」
セシリア(いいえ、まだ……私は……負けてはいません)
セシリア(ブルーティアーズはまだ……戦えます!!)
197 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 22:10:10.91 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「ブルー……ティアーズッ……!!!」
『BLUETEARS FULL-DRIVE』
キュイィィン……バシュウゥゥゥゥゥンッッ!!
三年生「ビームが曲がった!!?うおぉぉぉぉッッ……!!」
三年生(これさえ……これさえ凌げれば……!!)
ピキピキピキ
三年生「そんな!!?」ピキピキピキ
三年生「ばッ、馬鹿なッ……!?ソリッドシールドが……!!?」
バキィンッッ
三年生「うああぁぁぁぁぁぁッッ!!」
セシリア「やった……砕けた……!!」
198 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga ]:2016/01/19(火) 22:40:26.01 ID:pFKHH7JQ0
三年生「まさか……あなたは……最初からこれを狙って……」
セシリア「あなたのソリッドシールドは……今まで一度も交換した事はありません……」
三年生「その通りです」
セシリア「しかし、いくら頑強な盾だったとしても『絶対に壊れない』という事はありません……いつか必ず壊れる時が来ます……」
セシリア「今日の戦いに至るまで蓄積されてきたダメージに加え……ビットでは防ぐ事の出来なかった私の攻撃……」
三年生「あの無茶な接射や……ミサイル攻撃……私を狙ったビーム攻撃も……」
セシリア「はい、そうです……持てる火力を集中させ、あなたのソリッドシールドを破壊する為に……」
三年生「私の傲りが、仇になりましたか……」
三年生「見事です……セシリア・オルコット」
セシリア「ありがとうございます……ですが」
『ENERGY EMPTY』
セシリア「私の負け、です……」
199 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 23:04:21.54 ID:pFKHH7JQ0
三年生「いいえ、勝ったのは貴女です」
三年生「私の傲りである……ソリッドシールドを打ち砕いたのですから」
セシリア「しかし!」
パチ…パチパチパチ……パチパチパチパチパチパチ!!
三年生「ほら、この場にいる誰もが貴女を勝者だと認めていますよ」
セシリア「み、皆さん……」
清香「いいぞー!!セシリアさーん!!」
本音「よっ、日本一ぃ〜!!」パタパタ
静寐「格好良かったよー!!」
箒「良い戦いだった……」
クロエ「御見事です」
一夏「……」グッ
パチパチパチパパチパチパチパチパチパチパチパチッ!!
セシリア「皆さん……ありがとうございます!!」
200 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/19(火) 23:32:22.57 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「え……あっ……」フラッ
三年生「おっと」トンッ
セシリア「あ、ありがとう……ございます……」
三年生「言ってたでしょう?貴女は無茶をし過ぎです」
セシリア「……」
三年生「まるで、昔の私を見ているようですがね……」クスッ
セシリア「えっ……?」
三年生「意外ですか?」
セシリア「は、はい……少し……」
三年生「よく言われます」
三年生「……まずはピットへ戻りましょうか」
セシリア「はい」
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 16:00:24.96 ID:vJNlPIEI0
「セシリアさん!大丈夫!?」
セシリア「はい……見た目より、幾分か軽いものですから」
「良かった……本当に良かった……セシリアさん……」グスンッ
セシリア「そ……そんな……泣かないでくださ……い」オロオロ
「だって……あんなに頑張ってるのに……私……ここで見てる……事しか出来なくて………」グスッ
三年生(……素晴らしき隣人ですね)
三年生(実に、美しい……)
一夏「……」
クロエ「……」チラッ
一夏「何だよ」
クロエ「いえっ……何でもありません……」
一夏「流石の俺でもここは茶化さないよ」
クロエ「そ、そうですね……」
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 16:18:49.18 ID:vJNlPIEI0
「ご、ごめんね……本当は……笑顔で迎えなくちゃって……思ってたのに……駄目だよね……」
セシリア「そんな事はありません!」
一夏「そう、セシリアの言う通り。この中で一番セシリアを信じ続けてたんだからな」
三年生「ほう……」
セシリア「私を……」
「お、織斑くん……」
一夏「俺とクロエはもっと早く戦いに水を指せてたんだよ。でも『セシリアさんはまだ負けてない』って俺達を止めてくれた」
一夏「誰よりも、セシリアの強さを信じてたから」
クロエ「その通りです。一部始終を知らずに、冷静さを欠いていた私達には出来なかった事です」
「やめてよ……そんな事ないよ……」
三年生「いいえ、貴女は誇るべきです」
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 16:30:13.52 ID:vJNlPIEI0
三年生「この……薔薇の様な美しさを」スッ
「えっ……あ、ありがとうございます……」
三年生「いえ、礼など結構です」
(赤い薔薇……これが私かぁ……ちょっと恥ずかしいな)テレッ
三年生「フフフッ……」
セシリア(何故こちらまで恥ずかしくなるのでしょうか……)
一夏(独特な人だな……何か宝塚とかにいそうだな)
クロエ(何処から薔薇を……?)
三年生「そして、オルコット。あなたにはこの蒼い薔薇を」スッ
セシリア「私に……ですか?」
三年生「そうです。この薔薇は貴女にこそ相応しい」
セシリア「ありがたく、頂戴させて頂きます」
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 16:57:04.68 ID:vJNlPIEI0
セシリア(私のブルーティアーズと同じ色の薔薇……これを……私に……)
三年生「その薔薇の花言葉は奇跡、神の祝福ーーー」
三年生「不可能な事を成し遂げる」
セシリア「!」
三年生「しかしその蒼い薔薇の美しさも、闘う貴女と貴女のブルーティアーズの前には霞んで見える事でしょう」
三年生「それ程までに、貴女は美しい」
セシリア「ありがとうございます!」ペコッ
三年生「いいえ、事実を言ったまでです」
「とっても綺麗だねっ。セシリアさん」
セシリア「ええ、本当に綺麗な薔薇です……」
セシリア(あの人が……初めて認めてくださった……)
セシリア(私が……美しい……)
セシリア「ふふっ♪」
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 17:17:28.01 ID:vJNlPIEI0
三年生(そうです。蒼い薔薇よりも、です)
三年生(私は貴女に、己が中に蔓延っていた傲慢さを教えて頂いたのですから……)
一夏(そういえば青い薔薇って絶対に無理だって言われてて、作るのにかなり手間取った奇跡の代物って聞いたな)
クロエ(一体何本薔薇を持っていらっしゃるのでしょうか……?)ウーン
三年生「クロニクルさん、織斑さん。貴方達にはこれを」スッ
クロエ「あ……ありがとう……ございます……」
一夏「えっ、俺もですか?」
三年生「ええ、そうです。貴方達にです」
一夏「ありがとうございます……」
一夏(白い薔薇?何で俺とクロエに?)
クロエ(何か意味あっての事なのでしょうか……)
三年生「それでは、皆さん御機嫌よう」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 17:31:57.90 ID:vJNlPIEI0
一夏「ーーーって、あの人解説もなしに帰っちゃったよ」
クロエ「……」ジーッ
セシリア「あの人の事ですから……花言葉に意味があると思いますわ」
「えーっと、白い薔薇の花言葉は純潔と純粋」
一夏「は、はあ……純潔と純粋……?」
「深い尊敬」
クロエ「尊敬、ですか……?」
「えっ」
セシリア「どうかなさいましたか?」
「あのね……最後の一つなんだけどね……花言葉はーーー」
三年生(私は貴方に相応しい)
三年生(そう、いつの日か貴方達とも……)
三年生「フフフ……」
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 17:53:38.49 ID:vJNlPIEI0
一夏「うわぁお……」
クロエ「……」
セシリア「宣戦布告、と受け取っていただいても結構ですが……あの人の意図は……」
一夏「闘争心の塊かよ……」
クロエ「人の内面は外見に伴わないものですね……」
一夏「おう、確かにそうだよな。セシール?」ニヤニヤ
クロエ(また始められましたか……)
セシリア「セ・シ・リ・ア!ですわ!」
一夏「ごめんなー昔お前が名前教えてくれた時にセシールって聞こえてたんだよー日本人耳悪いからさーごめんなー」
「昔?織斑くんとセシリアさんって知り合いだったの?」
一夏「よくぞ聞いてくれた。そう、あれは丁度こんな日のーーー」
セシリア「あー!ああー!旅行に来た時に偶然遊んだだけですわ!」
一夏「おーそうだなー楽しかったよなーあっちこっち駆け回ってなー」
セシリア「ええ、楽しい思い出ですわ」ニコッ
(聞いちゃマズイ事だったのかな……)
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga ]:2016/01/23(土) 18:13:20.12 ID:vJNlPIEI0
〜医務室〜
「お大事に、セシリアさん」フリフリ
セシリア「ええ、ありがとうございます」
バシュンッ
一夏「リンゴとか食うの久しぶりだな」シャクシャク ショリショリ
クロエ「食べながら皮を剥くのは危険かと思いますが……」
セシリア「……」
一夏「食うか?」シャクシャク ショリショリ
セシリア「はあ……結構です」
一夏「何だよ。そのため息は」ショリショリ
セシリア「別に、何でもありませんわ」
一夏「調子、戻ってきたな」
セシリア「戻るも何も……私はいつも通りでしたわ」
一夏「はいはい、そうでしたね」ショリショリ
クロエ「……」モグモグモグモグ
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 18:33:53.75 ID:vJNlPIEI0
一夏「良かったな。あれだけやられたのに二、三日安静にしてるだけで」
セシリア「あれだけ、とはどういう意味ですの?」
一夏「……食ってかかる奴だな」
セシリア「当然ですわ」ムスッ
一夏「何で怒ってるんだよ」
セシリア「あなたもご自分の名前を聞き間違える失礼な方がいらっしゃれば分かると思いますが?」
一夏「仕方ないだろ。あんなボソボソとネイティブな発音で名前聞かされてもガキは分からないだろ」
セシリア「……全く、今まで私がどんな気持ちでいたのかも知らずに……」
一夏「そこはお互い様、って事で」
セシリア「まさかあなたでしたとは夢にも思いませんでしたわ」
一夏「それもお互い様」
セシリア「はあ……」
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 20:47:14.97 ID:vJNlPIEI0
セシリア「でも……」
ギュッ
セシリア「あなたがいなければ、私はあの人に何も出来ませんでしたわ」
一夏「そうか?いつも通りだったんだろ?」
セシリア「いいえ、あの最後の一撃もこのお守りがあったから……」
セシリア「あの時……あの人の攻撃を受け、全ての武器を失って……落ちていく中もう駄目だと思いました……」
一夏「……」
セシリア「でもその時、このお守りが私の目に入りました」
セシリア「そして……私はまだ負けていない、まだ戦える……そう思えたのです」
セシリア「ブルーティアーズも、その気持ちにに応えてくれました」
一夏「……お父様にちゃんと礼言えよ。後、手元が狂って紐が長めになって正解だったよ」
セシリア「もうっ……少しは素直になられたらどうです?」
一夏「俺はいつだって素直だよ。眠い時は特に」
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 21:17:42.55 ID:vJNlPIEI0
セシリア「ありがとうございました」ペコッ
一夏「やめてくれよ……調子狂うなあ」ポリポリ
セシリア「何故です?あなたは人に感謝されるだけの事をしたのですから、当然の事ではありませんくて?」
一夏「いや、まあ……確かにそうだけどさ……」チラッ
一夏「あっ、ヤッベェ!もうこんな時間だ!ごめん、セシリア!俺今から約束あるからさ!」
セシリア「えっ……ええっ?」
一夏「ほら、クロエ行くぞ!」グイッ
クロエ「は、はい?約束などーーー」
一夏「ヤバイヤバイ、時間に遅れる!!本当にごめんな!!何か持ってまたお見舞いくるからさ!!じゃあな!!」ドタバタ
クロエ「そ、それではまたーーー」
バシュンッ
セシリア「……」ポカーン
セシリア「もうっ……何て素直でない人なのでしょう!」ムスッ
セシリア「でも……ふふっ♪」
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 21:26:42.51 ID:vJNlPIEI0
一夏「あ"ーこそばゆかったー」
クロエ「いっ、一夏様?約束とは何でしょうか……?」
一夏「ないよ。そんなもん」
クロエ「で、では何故……」
一夏「お前もじゅーぶん知ってるだろ?」
クロエ「何がですか?」
一夏「ッ〜……」
クロエ「???」キョトン
千冬「おい」
一夏「ハイッッ!!?ねッ、姉ちゃんッッ!!?」ビックウゥッッ
クロエ「千冬様!!?」
千冬「姉ちゃんでも千冬様でもない。織斑先生だ」
クロエ「申し訳ありません……!」ペコリ
一夏「すいません!!何の御用でしょうか!?」
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 21:43:56.04 ID:vJNlPIEI0
千冬「ステルス状態だったとはいえ学園内外でのISの無断使用。今回はセシリアに免じて目を瞑ってやる」
千冬「二度目はないぞ。いいな」
一夏「肝に命じておきます……」
クロエ「はい……」
千冬「分かればいい。ではな」
一夏「あれ?織斑先生、そっちは医務室……」
千冬「一組の生徒が怪我をしたんだ。担任である私が見舞いに行かなくてどうする」
一夏「指、切ったら駄目ッスよ」
千冬「黙れ」
一夏「……はい」
千冬「……誰が切るものか」ボソッ
一夏「はい?」
千冬「ではな」
一夏「あー何か不安の種残していったー」
クロエ「千冬様も……皮剥きが苦手なのですか……?」
一夏「下っ手くそだぞ。同じ刃物なのにねえ」
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 21:50:17.99 ID:vJNlPIEI0
バシュンッ
千冬「失礼する」
セシリア「おっ、織斑先生!?」
千冬「何だ。担任である私に来られるのがそんなに嫌か」
セシリア「いえ、そうではありませんが……その……意外だったもので少し……」
千冬「まあ、そんな事などどうでもいい」ドカッ
千冬「どうだ。リンゴでも剥いてやろうか」ガサゴソ
セシリア「お気持ちは嬉しいのですが……結構です……」
千冬「……」ピタッ
千冬「そうか……」ガサゴソ
千冬「……そうか」
セシリア(な、何か申し訳ない気持ちがしますわ……)
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 22:14:07.08 ID:vJNlPIEI0
セシリア「あの……それで何の御用でしょうか……?」
千冬「良くやった。見事だったぞ」
セシリア「あ、ありがとうございます……」
千冬「……」
セシリア「……」
セシリア「そ……それだけですか?」
千冬「ああ、それだけだが?」
千冬「それとも何だ。たかだか相手の武装を一つを破壊するので精一杯で。しかもそれだけでエネルギー切れを起こす様な未熟者を、この私が、試合内容の一切合切を拍手喝采するとでも思ったのか」
セシリア「いえ……思ってません……すみません……」
千冬「そう気を落とすな。格上相手にお前は良くやったのは事実だ」
千冬「そうだろ?格上相手の自信を挫き、戦意を削いだんだ。それだけでも今は充分だ」
セシリア「あ……ありがとうございます!」
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 22:29:29.39 ID:vJNlPIEI0
千冬「精進しろよ、オルコット。いずれ盾だけではなく相手すらも打ち砕く程にな」
セシリア「はい!」
千冬「その為に……まずは武器の展開速度でも上げる事だな」
セシリア「……はい」
セシリア(流石は一夏さんの姉君ですわ……)
千冬「そういえば……何やら私のお守りが大変世話になっていたそうだな」
セシリア「はい、こちらです」スッ
千冬「いらん」
セシリア「しかしーーー」
千冬「私が一夏にやって、一夏がお前にやったんだ。それはお前の物だ」
セシリア「そ、そうでした……」
セシリア「時にこのお守りは……何か由緒正しき物なのですか?」
千冬「昔家の倉庫で見つけた物だ。最早御利益があるかどうかすら分からん程の物だ」
セシリア「ゴ、ゴリヤク……?」
千冬「しまった……そこからだったか……」
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 22:40:12.66 ID:vJNlPIEI0
〜食堂〜
一夏「こうして、英国女騎士乱闘薔薇贈呈事件はその幕を閉じたのである」
箒「人の決闘を乱闘扱いする奴がいるか、馬鹿者」
一夏「何でだよ。決闘にしたら事件にならないだろ」
箒「事件にするな」
一夏「充分事件だったと思うけどなあ」
箒「お前の中ではな」
一夏「取り乱してた奴がなーにを仰いますか」
箒「ふんっ……」サッ
一夏「あっ!お前こんにゃくいれるなよ」
箒「うるさい、食え、好き嫌いをなくせ」
一夏「正確に言うならば嫌いっていうかあんまり好んで食べないっていうか……」
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 22:49:32.52 ID:vJNlPIEI0
クロエ「一夏……はコンニャクが苦手なのですか?」
一夏「昔食べた時に喉に詰まらせたんだよ。それ以来ちょっとな」
箒「お前は落ち着きがないからだ」
一夏「そう言うお前はガキの時にお転婆過ぎて俺入ってる風呂にーーー」
箒「姉さんが!突撃してきて災難だったな。あの時は」
一夏「……」
箒「何だ。その顔は」
一夏「いや、別に……何でもありません」
クロエ「家族で入浴するのは当然なのでは?」
箒「はあ……」
クロエ「???」
一夏「あのね、束姉ちゃんから教わった事を何でも鵜呑みにしちゃあ駄目だよ?束姉ちゃんたまにとんでもなく突拍子のない事言うから」
クロエ「そ、そうなのですか……分かりました……」
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 23:01:50.53 ID:vJNlPIEI0
楯無「あらあら〜いい事言うじゃないクロエちゃん」ムギュ
一夏「わー最近来ないなー思ってたら楯無さんこんばんわー」
クロエ「こ、こんばんわ……」
箒「こんばんわ」
楯無「はい、三人ともこんばんわ〜」
一夏「で?何の御用でございましょうか?愛しの妹さんですか?」
楯無「ん〜そうねぇ〜?当たってるけど、外れてるわね〜」
一夏「は、はあ……さいですか……」
楯無「知・り・た・い?」
一夏「知りたいのは山々なんですけど……今の体勢はちょっと……」
楯無「何故かしら?もしかしてお姉さんの魅力にメロメロになっちゃうから、かしら?」
箒(あの三人が来ないと思ったらこういう事だったのか)チラッ
本音「おーい!しーのん!おりむー!くろにーん!」ブンブン
静寐「……」フリフリ
清香「……」フリフリ
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 23:25:42.27 ID:vJNlPIEI0
楯無「試合への割り込みと代表生に対するあの物言い、お姉さんますますあなたに惹かれちゃった……なんてね」クスッ
一夏「は、はあ……さいですか……」
楯無「つれないわね。このっ」ツンッ
一夏「どうにも魚じゃないもので」
一夏「で?楯無さんの後ろにいらっしゃいます簪さんをば我々はいかがいたしますれば?」
楯無「よくぞ聞いてくれたわね。ほら、簪ちゃん♪」
簪「お……お姉ちゃん……」
一夏「これだけ言うのもあれだけど、自分の意見をーーー」
楯無「だーめっ」ピトッ
一夏「……」
楯無「その手は食わないわよ?」
一夏「別に狙ってませんけど、ってそんなに逃げなくても大丈夫ですから、本当に何にもしませんから」
簪「……本当?」
一夏「何だこの信用の無さ」
箒「当然の報いだ」
クロエ(煮卵が……取れません……)ツルッ
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/23(土) 23:30:31.78 ID:vJNlPIEI0
一人のヒロインにどんだけレス使ってんだよハゲ
続きはまた(戒め)明日で
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/01/23(土) 23:32:14.52 ID:QWwAU8czo
乙です
セシリーがチョロリーになるの楽しみ
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/24(日) 21:53:20.32 ID:5eMEgk870
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セシリア母『セシリア、どうしたのですか』
セシリア「お母様、これをご覧下さい」
セシリア母『こッ、これは……!?』
セシリア「ご存知ないのですか?」
セシリア母『あなた!少しこちらへいらしてください!』
セシリア父『どうしたんだい?そんなに怒って……』
セシリア母『これはどういう事なのですか!?』バンッ
セシリア父『ああ、これか。ちょっとセシリアを驚かせてやろうと思ったんだけど……マズかったかい?』
セシリア母『何故私に黙っていたのです!』
セシリア父『だって君に教えてしまったら、うっかり口を滑らせてしまうだろ?』
セシリア母『そんな事はありません!』
セシリア父『それにしても、セシリアがバーストとフルドライブを使えたとはね……』
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/24(日) 22:46:40.06 ID:5eMEgk870
セシリア父『ん?これセシリアと通話してるのかい?おーい、セシリアー?』
セシリア「お父様、説明願えますか?」
セシリア母『そうです。説明してください』
セシリア父『そんな二人がかりで言わなくても……分かったよ。説明するよ』
セシリア父『八つのビット全てを収束させ、巨大なビームを形成するバーストモード。これは元々ビット攻撃に欠けていた瞬間火力を補う為のものではあるが同時に、複数のビットを使用不可能にするという欠点もあるモード』
セシリア父『これの発現が遅かったのは……機体に馴染むのに時間がかかっていたのかもしれないね』
セシリア父『フルドライブは……全ビットの出力を最大まで引き上げ、発射されるビームは恐らく操縦者の思い通りに湾曲するのではないか……とは思ってはいたんだけどね』
セシリア母『開発者であるあなたが、そんな曖昧な理解でどうします』
セシリア父『これはブルーティアーズ自身が作り出した機能なんだ。だから詳しい事は私にも分からなかったんだ』
セシリア母『そして、セシリアはそれを』
セシリア「発現させた、という事ですね」
セシリア父『そういう事になるかな』
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/24(日) 23:15:32.89 ID:5eMEgk870
セシリア母『一切の説明もなくこんな新機能を実戦で、テストもなしに使わせるとは何事ですか』
セシリア母『しかも、あのモルドレット卿相手にしていたといいますのに』
セシリア父『バーストモードは何度も何度も失敗を重ねて作り出したから託したんだ。実際、役に立っただろう?』
セシリア「はい、その通りです」
セシリア母『もし万が一、ビットが暴発でもしてセシリアが……』
セシリア父『その追及を行うのなら、私達はISを使う事を放棄せざるを得なくなるよ』
セシリア母『……』
セシリア父『それにしても凄いじゃないかセシリア、あのモルドレット卿に勝つなんて』
セシリア母『よくやりました。セシリア』
セシリア「お父様のおかげです」
セシリア父『ここを見てみなよ。フルドライブでビームをソリッドシールドへ一転集中させて破壊し、更には操縦者まで攻撃したよ』
セシリア母『これ程とは……よくここまで扱えましたね』
セシリア「この時は……無我夢中でしたから」
セシリア母『モルドレット卿の猛攻を受けても尚、戦う意思を失わなかったあなたに、ブルーティアーズが応えてくれたのでしょう』
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/24(日) 23:36:46.19 ID:5eMEgk870
セシリア「確かにブルーティアーズが私に応えてくれたのかもしれません。しかし、私が戦う意思を失わなかったのはこれのおかげです」スッ
セシリア母『そのお守りが、ですか』
セシリア「はい!」
セシリア父『十年前の彼に……また感謝しないといけないね』
セシリア「いえ、もう感謝はしました」
セシリア父『どういう事だい?』
セシリア母『まさか……彼に会ったのですか?』
セシリア「はい、同じ学園の同じクラスにいる。ブリュンヒルデ、織斑千冬の弟、織斑一夏でしたから」
セシリア母『織斑一夏……あの少年が……』
セシリア父『本当だ。ほらこの画像……十年前とほとんど変わらない。むしろ男らしくなっている』
セシリア母『……成る程』
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/25(月) 20:14:12.74 ID:YDupgEDm0
セシリア母『セシリア、彼を必ずものにしなさい』
セシリア「お母様!?」
セシリア父『やっぱりか……』
セシリア母『当然でしょう。あなたがあれ程まで恋い焦がれていた殿方が、この織斑一夏なのでしょう?』
セシリア「そ…そうですが……」
セシリア母『ならば学生の間に首根っこを掴んででも自分の方へと振り向かせ。卒業後は首に縄を付けてでも我がオルコット家へ迎え入れれば良いだけの事です』
セシリア「そ……そんな……」
セシリア父『セシリア、一般人だった私が何故名門オルコット家の婿養子になったのかを教えよう』
セシリア父『それは私が、捕まったからなんだよ』
セシリア「捕まった……?」
セシリア父『そう、素敵なお姫様にね』ソッ
セシリア母『ふふふっ、そうですね。あなた』
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/25(月) 20:48:59.31 ID:YDupgEDm0
セシリア父『少し昔話をしようか。大学生の頃、私は色々なサークルの助っ人をやりながらも幼い頃から続けていたフェンシングに打ち込んでいた』
セシリア父『ある日、フェンシング女子優勝者の彼女がやってきてこう言ったんだ。私の相手になるような者はいませんの?とね』
セシリア「お母様がそのような事を……?」
セシリア母『若気の至り、というものです……そして、この人が私の前に渋々出てきたのです』
セシリア父『当時彼女は様々なところへ殴り込みをしていたものだから、皆まさかとは思っていたが実際彼女を目の前にすると中々出ていけない』
セシリア父『そうしている内に何故か私がサークルを代表して出る羽目になってね。彼女と一騎討ちさせられたんだよ』
セシリア母『私はふざけた人が出てきたものだと思いました。助っ人の噂は常々耳にはしていましたが、実際見てみれば浮わついた冴えない男性だ、とね』
セシリア母『しかし、結果は開始数秒で私の負け』
セシリア「えっ……?」
セシリア父『驚きのあまりしばらく立ち尽くし、エペを投げ捨て、余程悔しかったのか涙を目に浮かべながら私の負けですわ、と言って立ち去った』
セシリア母『愚かでした。私がこんな男に断じて負けるはずがない、そんな傲慢な考えが生んだあまり軽率で、短絡的で、恥知らずで、無礼な行動でした』
セシリア「意外です……お母様がそのような事をなさったなんて……」
セシリア母『間違いは万人にあり得る事です。故に人はそれを正さねばならない義務があるのです』
セシリア「義務……」
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/25(月) 21:38:46.33 ID:YDupgEDm0
セシリア父『話を続けるよ。それから一ヶ月後、お嬢様泣かせの渾名を貰い、彼女のファンクラブのメンバーに何かと勝負を挑まれるようになっていた私の前に、再び彼女が現れて私に決闘を申し込んできたんだ』
セシリア父『もちろん私は断らなかった。決闘が始まると彼女は一ヶ月前とは比べものにならない見事な剣撃で、私と激しく打ち合い続け、最後にはお互いのエペが折れてしまい結果は引き分け』
セシリア父『そして、それが君の猛アピールの始まり、だったんだよね?』
セシリア母『ええ、その通りです。結果こそ引き分けでしたが私はあの決闘に充足感を感じていました。それと同時に……あなたという人に強く、心惹かれていました』
セシリア父『それからもう大変だったんだよ、セシリア。彼女ったら何かにつけて私を追いかけてくる、迫ってくるで……休日には私のいる寮にまで来るようになったんだからね』
セシリア「ふふふっ、お母様ったら……」
セシリア母『当然です。あなたという人を深く知り、私をより知って貰いたかったのですから』
セシリア父『家に招待する、なんて言われた時はもう心臓が口から出そうだったよ』
セシリア母『何ですか、もう……あの時、私はあなたが喜んでいるものだとばかり……』
セシリア「交際はいつ頃から始まったのですか?」
セシリア父『そうだね……気が付いたら始まっていたね。今思えば……全て君の思惑通りだったのかもしれないね』
セシリア母『ええ、結果としては、ですが』
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/25(月) 22:30:43.72 ID:YDupgEDm0
セシリア母『それから私達は二人で多くの時間を共有し、共に笑い、怒り、泣き………様々な事を見て、聞いて、経験しました』
セシリア父『そして数年たったある日、私はこんな事を考えたんだ。プロポーズをしよう、とね』
セシリア父『しかし、大学を卒業しエンジニアとしての道を進んだ一般人の私が、名門オルコット家の令嬢である彼女に普通に指輪を渡すだけでは何とも心許ない』
セシリア父『だから彼女が最も得意とするビッグ・ボア・ライフルで勝利し、満を持して指輪を渡す事にしたんだ。もちろん、御父様や御母様も承認してくださった』
セシリア母『幸いにも、ライフルは私があなたに同じ競技をしてもらいたい一心で、専用の物を作らせていましたから練習するのには困らなかったでしょう』
セシリア父『いいや、大変だったんだよ?私が練習にしている事や、弾薬を買っている事が絶対に君の耳に入らないようにしておいてもらわないといけなかったからね』
セシリア父『そうやって三ヶ月程たった頃かな、彼女のエントリーした国内で行われた男女ビッグ・ボア・ライフルの大会に私もエントリーし、私は順調に勝ち抜いていった』
セシリア母『最初は私も決勝戦来れるとは思っていませんでした。しかし、その決勝戦で私はあなたから決闘を申し込まれ、それを快諾しました』
セシリア父『互いに持てる力の全てを出し切り、結果は私の勝利……呆然とする君へ私は指輪を差し出してプロポーズをした』
セシリア父『あまりの出来事に君は泣いていたね。今でも、あの時の君の顔を良く覚えているよ』
セシリア母『やめてください……恥ずかしい』
セシリア父『そうして私達は結婚し、御父様の呆気ない一言で私は婿養子となり、オルコット社の一流エンジニアとして働き始めた』
セシリア母『社長になる事も出来たものを何故……』
セシリア父『言っただろう?私は社長という柄ではないよ』
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/27(水) 21:23:01.70 ID:1jyzlDSz0
セシリア母『そしてセシリア、あなたが産まれたのです』
セシリア父『君が産まれてきてくれて、こうしてどんどん成長していくだけで私達は嬉しいよ』
セシリア母『ええ、そうです』ニコッ
セシリア「お母様……お父様……」
セシリア父『オルコット家なんて関係ない。セシリア、君は君の思うがままに生きればいいんだよ』
セシリア「しかし、お母様は私をオルコット家の次期当主として……」
セシリア母『それは誇り高く、人として恥じぬ行いをし、成すべきを成す立派な女になりなさいという意味です』
セシリア母『あなたが望むのなら、無理に次期当主になる必要はありません。好きな道へと進みなさい』
セシリア「そ、そうでしたか……」
セシリア父『どうやら……余罪が色々と出てきそうだね』
セシリア母『失礼な事を、余罪とは何ですか』
セシリア父『ブルーティアーズのデータ収集はあまりに気にしなくていいよ。その学園で得られるものは充分過ぎるから』
セシリア「はい……分かりました」
セシリア母『あなたはそうやって……』
セシリア父『君は少し心配性過ぎるんだよ。セシリアなら大丈夫だよ』
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/27(水) 21:23:01.70 ID:1jyzlDSz0
セシリア母『そしてセシリア、あなたが産まれたのです』
セシリア父『君が産まれてきてくれて、こうしてどんどん成長していくだけで私達は嬉しいよ』
セシリア母『ええ、そうです』ニコッ
セシリア「お母様……お父様……」
セシリア父『オルコット家なんて関係ない。セシリア、君は君の思うがままに生きればいいんだよ』
セシリア「しかし、お母様は私をオルコット家の次期当主として……」
セシリア母『それは誇り高く、人として恥じぬ行いをし、成すべきを成す立派な女になりなさいという意味です』
セシリア母『あなたが望むのなら、無理に次期当主になる必要はありません。好きな道へと進みなさい』
セシリア「そ、そうでしたか……」
セシリア父『どうやら……余罪が色々と出てきそうだね』
セシリア母『失礼な事を、余罪とは何ですか』
セシリア父『ブルーティアーズのデータ収集はあまりに気にしなくていいよ。その学園で得られるものは充分過ぎるから』
セシリア「はい……分かりました」
セシリア母『あなたはそうやって……』
セシリア父『君は少し心配性過ぎるんだよ。セシリアなら大丈夫だよ』
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/27(水) 21:43:46.91 ID:1jyzlDSz0
セシリア母『そうでしたね……何故なら、私の娘ですから』
セシリア父『ああ、君と私の娘なんだから』
セシリア母『私は学生時代……人として学ぶべき多くの事を学び、夫となるこの人と出会い、更に多くの事を学びました』
セシリア母『私と全く同じ生き方をしろ、とは言いません。しかしあなたにも、そんな素晴らしい学生生活を送って欲しいのです』
セシリア「はい!お母様!」
セシリア母『まずは何としても、織斑一夏を捕まえなさい。いいですね』
セシリア「はい!」
セシリア父『結局、そうなるんだね……』
セシリア母『当然です。十年前からあなたが思い描いていた通りの、素敵な殿方なのでしょう?』
セシリア「はい……少し素直ではありませんが……それを補って有り余る強くて優しい……素敵な殿方です」
セシリア母『なら大丈夫ですね』
セシリア父『私はセシリアが彼に君と同じ事をしないか心配になってきたよ』
セシリア母『あなたは心配性過ぎます』
セシリア父『自分が何をやったのか覚えているからそう言えるのかい?』
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/27(水) 22:07:29.71 ID:1jyzlDSz0
セシリア(私が一夏さんと恋人に……)
セシリア母『どれがおかしかったと言うのです。決闘の次の日のランチで突然隣に座った事ですか?』
セシリア父『それもあるよ。でもまだあるだろ?朝、私の寝ている寮にまで起こしに来た事もあったじゃないか』
セシリア(あんな事や……こんな事まで……ファーストキスも……)
セシリア母『朝から私の顔が見れて嬉しくなかったのですか?』
セシリア父『いや嬉しかったよ。でも寮の皆が君が色々と気にしなさ過ぎるからすごく驚いてたんだよ?後、常日頃私の行動を監視させていただろ?』
セシリア(そしてお父様やお母様に認められ……オルコット家に……)
セシリア母『当然です。あなたにもしもの事があった場合には護衛も兼ねていましたから』
セシリア父『大袈裟過ぎるよ……しかも君、私がよく話す女の子の事までも徹底的に調べてただろ?』
セシリア(私達の子供が産まれて……名前はどうしましょうか……)
セシリア母『もしもの場合に備えて予防線は張っておかなくては安心して眠れもしません。それ程までに、あなたは引く手余多でしたから』
セシリア父『今でも彼女達が君と仲良くしてくれてるのが不思議なぐらいだよ』
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/27(水) 22:24:53.44 ID:1jyzlDSz0
セシリア父『セシリア、聞いてたかい?彼への猛アピールも程々にね』
セシリア「は、はいっ!大丈夫です!」
セシリア(どうしましょう……聞いてませんでしたわ……)
セシリア母『夏休みになったら一度こちらへ帰ってきなさい。彼を連れて来れるのならそうしなさい。協力は惜しみません』
セシリア父『それは一旦置いておいて……御父様や御母様、父さんや母さん、久しぶりに家族皆で料理を食べに行こう』
セシリア父『学校の話や彼の話をたくさん聞かせてくれないかい?』
セシリア「もちろんです。楽しみに待っててください」
セシリア父『それじゃあセシリア、お休みなさい』
セシリア母『お休みなさい。セシリア』
セシリア「お父様、お母様、お休みなさい」
ピッ
セシリア「……」ギュッ
セシリア(一夏さん……私の……白馬の王子様)
セシリア「ふふふっ♪」
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/27(水) 22:45:33.17 ID:1jyzlDSz0
セシリア母「織斑一夏、ですか……」
セシリア父「彼を探して何度私達は日本に行ったかな」
セシリア母「年間二回のペースでしたから、セシリアがISを使い始めた十五才までで十八回……しかし彼は見つからなかった」
セシリア父「なのにまさかこんな形で再開するとはね……人の縁というのは分からないものだ」
セシリア母「ブリュンヒルデ、あの織斑千冬の弟……どのような少年でしょう」
セシリア父「私はこの目で見るのが楽しみだよ。十年前、セシリアが迷子になって気が立ってた君に物怖じ一つせずに話しかけたんだからね」
セシリア母「それでいて、言葉も通じない怯えるセシリアを励まし続けていたのも彼ですから」
セシリア父「セシリアの御眼鏡に適ったんだ。きっと素晴らしい少年なんだよ」ソッ
セシリア母「ふふっ、そうですね……心配など不要ですね」ギュッ
セシリア父「さて、セシリアはどれぐらいで彼を家に招くのかな」
セシリア母「今に招いて来ますよ」
セシリア父「そうだろうね。昔の君にそっくりだからね」
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/27(水) 22:57:49.51 ID:1jyzlDSz0
一夏「おぉう……」ゾワワッ
クロエ「どうかなさいました?」
一夏「こういうのを虫の知らせって言うんだろうかこう……何かが動き出したような気が……」
クロエ「虫の知らせ、とは何ですか?」
一夏「悪い予感がする、って事だよ」
クロエ「そうなのですか……虫の…知らせ……」
一夏「近々何か起きるのかな……」
一夏「俺って虫が良いからこういうのだけは当たるんだよな……あーやだやだ。世の中ラブアンドピース」
クロエ「……」
一夏「おーい、クロエ?」
クロエ「は、はい?何でしょうか?」
一夏「真面目に考えるなよ」
クロエ「す、すいません……」
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/27(水) 23:16:57.15 ID:1jyzlDSz0
一夏「今頃セシリアは父さんにお礼言ってるんだろうな……」
クロエ「それがどうかしたのですか?」
一夏「……」
一夏「いや、何でもない」
クロエ「?」
一夏(父さん母さんがいて、お爺さんお婆さんがいる……それってどんな感じなんだろうな……)
一夏(セシリアの家族……セシリアがいなくなって寂しがってるんだろうな……)
一夏(束姉ちゃんや、箒だって……)
一夏(姉ちゃんなんか、俺にちょっと会えないだけで寂しい寂しいって言うんだからな)
一夏「本当、姉バカだよな……」ボソッ
クロエ「千冬様の事ですか?」
一夏「……」
ズイッッ
一夏「姉ちゃんには絶っっっ対に言うなよ」
クロエ「わ…分かりました……」
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/27(水) 23:35:52.42 ID:1jyzlDSz0
一夏「それにしても凄いよな。この薔薇……二日も花瓶に入れてないのにな」ツンツン
クロエ「全く枯れる気配がしませんね」
一夏「良く育った薔薇なんだろうな……最初は造花かと思ったけど」
クロエ「込められた意味を……その身で示しているのでしょうか……」
一夏「私はあなたに相応しい、か」
クロエ「いずれ彼女とも戦われますか?」
一夏「嫌でもそうなる気がするんだけど」
クロエ「また虫の知らせ、ですか」
一夏「かもな」
クロエ「……」
一夏「どれどれ円卓の騎士の……えーなになに、モルドレット卿は……」
一夏「あっ」
クロエ「どうかしましたか?」
一夏「実家、薔薇農園だ」
クロエ「な……なるほど……それで薔薇をあれだけお持ちなのですね……」
一夏「華麗なる薔薇の騎士、って……さりげなく実家の宣伝してるし……」
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/01(月) 20:51:41.41 ID:yWM38mO10
-----
「お嬢、パス」ヒュッ
セシリア「えいっ!」パシッ ヒュッ
「ッシャアアァァァ!届かねぇ!!」
ピーッ
「チェイス!」
「試合終了!」ピピーッ
「最後の最後でどんでん返し。やったね、お嬢」トンッ
セシリア「いえ、あなたのおかげです」
「またまたご謙遜を」
エース「どうやらいい感じに吹っ切れたみたいだね。お嬢ちゃん」
セシリア「そうですか?」
エース「ああ、そうだよ」
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/01(月) 21:02:44.16 ID:yWM38mO10
エース「ま、何はともあれあんたがいちいち萎れてなくて何よりさ」
「ついでにラクロスに力入れてくれた方がもっと何よりなんだけどね」
エース「こら、余計な事言うんじゃないよ」
「へい、お頭」
エース(確かに、これだけの選手を放っておくのは勿体無いね)
エース「悪いね」
セシリア「いえ、事実ですから」
エース「頭固すぎんのよ、あんたは。もっと馬鹿になっても損なんてありゃしないよ?」
「へい、キャプテン」
エース「あんたは馬鹿過ぎ」
「何でだぁ……」
セシリア「馬鹿に……ですか?」
エース「そう、この前の試合の時みたいにね」
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/01(月) 21:21:26.35 ID:yWM38mO10
一夏「おー調子出てるみたいだなー」
クロエ「あ、あの……一夏様……?」
一夏「相変わらずラクロスって恐ろしいな……」
クロエ「一夏様……?」
一夏「やっぱり軽いラフプレーは多発するんだな……流石はラグビーとかの親戚」
クロエ「いっ、一夏様!」
一夏「聞こえてるって、これで二度目だぞ?」
クロエ「返事をしてくださいよぉ……」
一夏「はいはい、分かったよ。それで、何だよ?」
クロエ「千冬様に……ISの無断使用は禁止だと言われていましたよね……?」
オリムラクーン!
一夏「部活頑張れよー!」ヒラヒラ
クロエ「ちょっとぉ……!」
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/01(月) 21:48:15.98 ID:yWM38mO10
一夏「それも言っただろ?箒ならまだしも姉ちゃんは忙しいからありえないって」
クロエ「そ……そうだと良いのですが……」
一夏「今度こそ山田さんが現れたりしてな」
クロエ「今回は……誰も来ませんね」
一夏「そう毎回来られても困るけどな」ペタペタ
クロエ「何をなさっているのですか?」
一夏「紙飛行機だよ。ちょっと待てよ……ほら」ヒュッ
クロエ「なるほど……風に乗って空を飛ぶのですね」
一夏「面白いよな。紙が風に乗るだけであんなに飛べるんだよ」
クロエ「ジェネレーターもスラスターもないのに……こんなに簡単にも空を飛べるのですね」
一夏「ISとは違ってな」
クロエ「まだ飛んでいきますね」
一夏「おー上手く海風に乗ったな」
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/01(月) 22:00:42.80 ID:yWM38mO10
千冬「ほう、確かに良く飛んだな」
ガシッ
一夏「ヒッ!!ねッ、ねねねッ、姉ちゃんッ!!?」
クロエ「千冬様!!?」
千冬「私は言ったはずだ。二度目はないぞ、とな」
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
一夏「ごッ、ごめんッ!!姉ちゃん!!」ジタバタ
千冬「姉ちゃんではない織斑先生だ」ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
一夏「いだだだだだだだだ!!ごめんなさい織斑先生!!!」ジタバタ
千冬「いいや、許さんぞ。この愚か者め」ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!
一夏「こめかみがなくなるうぅぅぅぅぅ!!!」ジタバタジタバタ
千冬「言う事を聞かないのはここか?ん?」ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!!
一夏「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ジタバタジタバタ
クロエ「……」オロオロ
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/01(月) 22:13:47.18 ID:yWM38mO10
一夏「」チーン
千冬「全く、この愚か者めが……」
クロエ「……」オロオロ
千冬「安心しろ。お前にはない」
クロエ「そ、そういう事ではないのですが……一夏様が……」
千冬「それも安心しろ、何せ私に似て頑丈だからな。心配の必要はない」
クロエ「は、はあ……一夏様?一夏様?」ユサユサ
一夏「」
千冬「起きろ」ガスッ
一夏「」ビクッ
一夏「!?」ガバッ キョロキョロ
クロエ「どうかしました……?」
一夏「ぼくずぼんはいてる」
クロエ「一夏様ッ!!?」
千冬「この愚か者めが」ガスッッ
一夏「すんませんッッ!!」
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/08(月) 19:50:03.74 ID:B5WGrPFi0
一夏「あー……晩飯だってのにまだ痛いよ……」ジンジン
クロエ「大丈夫ですか?」
箒「……」モグモグ
一夏「まあ……何とか」ジンジン
箒「今度は何をやったんだ」
一夏「屋上で紙飛行機折ってた」ジンジン
箒「……」
一夏「何だよ。嘘は言ってないぞ?」ジンジン
箒「どうかな」
セシリア「一夏さん、お隣よろしくて?」
一夏「お、おう……よろしくてよ?」
セシリア「失礼しますわ♪」ストッ
一夏「あ、本当に隣座るのね」
セシリア「いけませんか?」
一夏「べっつうにぃ、俺は、構わないけど?」
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/08(月) 20:22:22.25 ID:B5WGrPFi0
箒「何の用だ」
セシリア「あら、皆さんと夕食をご一緒にしたいだけですわ。構いませんか?」
箒「……ああ、構わない」
箒(なら隣に座らなくてもいいだろう……)ミシミシ
クロエ(ほ、箒様の箸が……)オロオロ
セシリア「クロニクルさん、構いませんか?」
クロエ「わ、私ですか?」
箒「……」ジロッ
クロエ「え……ああ……ううっ……構い……ません」
一夏「あのさぁ…飯食うのにそんなに引っ付かないでくれない?」
セシリア「あら、この私に引っ付かれるのがそんなにお嫌ですか?」
一夏「この前までこの世の終わりみたいな顔してた奴はどこに行った事やら……」
セシリア「さあ?どこに行ったのでしょうね♪」
箒「……」
クロエ「……」オロオロ
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/08(月) 20:49:19.65 ID:B5WGrPFi0
一夏「なあ、セシリー」
セシリア「セシリア、ですわ」
一夏「ツェツィーーー」
セシリア「セシリア♪」
一夏「……オルコットさん」
セシリア「もうっ、何でそう素直でないのですか」
一夏「いやいや、素直だよ?俺は仲良くなった奴はまずアダ名で呼ぶから」
セシリア「あら、そうでしたの?」
一夏「おう、そうでしたんだよ」
クロエ「本当ですか?」ヒソヒソ
箒「経験あるか?」ヒソヒソ
クロエ「ないです……」ヒソヒソ
箒「ならそういう事だ」ヒソヒソ
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/08(月) 21:03:05.32 ID:B5WGrPFi0
一夏「って、さっきお前俺の事……」
セシリア「名前で呼ばれるのはお嫌いでしたか?一夏さん♪」
一夏「いや、まあ……別に好きでも嫌いでもないけどさ。そんなに喜んで呼ぶ程でもないと思うけどな」
セシリア「そんな事はありませんわ。だって……あなたはーーー」
セシリア「私の王子様ですもの♪」
一夏「」
箒「……」ピクッ
クロエ「???」
セシリア「十年前から……その……ずっと、あなただけを思っていましたわ……」モジモジ
一夏「」
箒「……」バキャッ
クロエ「!?」
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/08(月) 21:15:43.15 ID:B5WGrPFi0
一夏「」
セシリア「一夏さん?」
一夏「え"っ、あ、はッ、はいッ、何でしょうか!?」
セシリア「例え……あなたが忘れていても……私は覚えていましたから……その……えっと……」モジモジ
一夏「……」ダラダラ
一夏(考えろ。考えろ考えろ考えろ。考えるんだ。俺、考えろ)
一夏(この状況を打破出来る起死回生の答えを。考えるんだ)
一夏(正直言って十年も思われてたなんて嬉しいしいどころじゃないけど目の前にいる奴がもう誰だか分からねぇくらいに何かもう別人だし)
一夏(箒!クロエ!)チラッ
箒「……」ギロリッッ
一夏(不動明王か!!何て顔してんだお前は!!!)
クロエ「……」アタフタ
一夏(落ち着け、考えろ、考えるんだ……口で何とかしようにもセシリアの独壇場……ならテーブル)
一夏(そうか、今日の晩飯にはこれがあった!!)
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/08(月) 21:27:01.68 ID:B5WGrPFi0
箒(一夏の奴、何か思い付いたな)
一夏「そうだな……まずはこの冷奴を箸で掴めたら俺の素直な気持ちをセシリア、お前にだけ聞かせるよ」
セシリア「ほ、本当ですか?」
一夏「ああ、本当だ。俺は約束は守る男だ」
箒(そもそもその約束自体が間違っているがな)
クロエ(作った声色と雰囲気……何とか誤魔化そうとしていらっしゃいますね)
セシリア「この程度の事、私にとっては造作も……」ツルッ
セシリア「造作も……」ツルッ
セシリア「造作……」ツルッ
セシリア「……」ツルッ
ツルッツルッツルッツルッツルッ
セシリア「この……!」グチャッ
一夏「あーあ、崩れちゃったよ」
セシリア「ま、まだ掴める部分はありますわ!」
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/08(月) 21:46:25.90 ID:B5WGrPFi0
セシリア(落ち着いて……落ち着いて取れば……必ず……)プルプル
セシリア(慎重に……慎重に……)プルプル
セシリア「あっ」ツルッ
セシリア「くっ……まだです、まだ終わりではありませんわ……!」
一夏「……ふう」
一夏(勝ったな。それと、豆腐相手にそんなに格好いい台詞言えんのは君だけだろうなぁ……)
クロエ(恐ろしい……何と的確な作戦なのでしょう……)
箒(ふんっ、馬鹿馬鹿しい……)モグモグ
セシリア「……」プルプル
セシリア「あっ」グチャッ
セシリア「この……!」
一夏(難しいよなぁ……ただでさえ箸が使いにくいのに加えて絶妙な力加減で柔らかい絹豆腐をいきなり挟めってんだもんなぁ……)
一夏(よーし、今の内に逃げーーーってモルドレットさんがめっちゃこっち見てる)
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/08(月) 21:51:22.68 ID:B5WGrPFi0
箒「……」モグモグ
クロエ「……」ジーッ
ツルッツルッツルッツルッツルッツルッ
セシリア「……」ツルッ
セシリア「……」イラッ
セシリア(あと少しのところを何故こうも……!!)
セシリア「……」ソーッ
セシリア「!」プルプル
セシリア(なるほどこれぐらいの力で持てば豆腐は挟めるのですね)
セシリア(後はこれを一夏さーーー)
ツルッ……ポチャンッ
セシリア「……」
クロエ「あっ」
箒「……まずは木綿から練習した方がいいぞ」
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/08(月) 22:07:12.39 ID:B5WGrPFi0
バンッッ
セシリア「何ですか豆腐なんて!大体この様に柔らかい物はスプーンで掬えばいい話でしょう!!」
セシリア「ほら!!」スッ
箒「私に言うな。一夏に言え」
セシリア「一夏さーーーあら?一夏さんはどこへ?」キョロキョロ
クロエ「あの……それが……豆腐を取ろうと試みていらっしゃっる間にどこかへ……」
セシリア「……」ポカーン
箒「まんまと一夏に一杯食わされたな」
クロエ「えっと……その……申し訳ありません……」
セシリア「もう!!一夏さんったら!!」
三年生「フフフ……」
三年生(オルコット……豆腐も掴めないとは、あなたもまだまだですね……)スッ
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/08(月) 22:50:02.73 ID:PJUZLoqRO
エースさん指摘そこかよ
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/08(月) 23:25:19.31 ID:KIhfTqaso
アギトとはまた懐かしいものを
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/11(木) 18:29:41.37 ID:uMB18n4O0
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千冬「織斑、まさかとは思うが自分のISを忘れた訳ではないだろうな」
一夏「いやいや、ちゃんと持ってますって。ほら」スッ
千冬「よろしい」
摩耶(ついに織斑くんのISを見れます)ワクワク
箒(一夏のIS……どんな姿なんだ……)
一夏(本当は打鉄使おうと思ってたんだけどなぁ……ま、仕方ないか)
セシリア「……」ジィーッ
千冬「オルコットは既に展開している。早くしろ」
一夏「了解しました。アレでいくぞ、クロエ」
クロエ「はい、アレですね」
箒「?」
バッバババッ
一夏クロエ「「着装!」」
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/11(木) 18:48:24.41 ID:uMB18n4O0
オオー!!
一夏「織斑一夏及びクロニクル・クロニクル。準備完了しました。織斑先生」バサァッ
千冬「パフォーマンスは余計だ」
一夏「いやぁ、すんません」
箒(あれが……零式と同じ様だが……マントに加えて肩の盾や全体的に鎧の印象が強いな……武器は刀ではないのか?)
セシリア(零式と同じ大きさであの重装甲……細身の零式で傷が付かなかった程ですからあの機体の防御力は相当あるはず……)
摩耶「……」キラキラ!!
千冬「……山田先生?」
摩耶「何ですか!?」キラキラ!!
千冬「落ち着いてください」
摩耶「あっ、すみません。つい……えへへっ」
千冬「全く……」ヤレヤレ
クロエ『一夏様』
一夏『皆まで言うなよ』
クロエ『分かりました』
クロエ(一夏様が零式とツヴァイフォーミュラを出したがらなかったのはこのせいだったのですね)
一夏(武器を展開する授業じゃありませんように……)
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/11(木) 19:13:44.16 ID:uMB18n4O0
一夏「ゆっくり、焦らず、一歩ずつ歩くんだ。自分の足と同じ感覚で」ズシンッズシンッ
静寐「こ、こう……?なんか竹馬に乗ってるみたいだね」ガシャッガシャッ
一夏「んー……そんな感じなのか。ま、竹馬よりは設置面積が広いからそうそうバランスは崩さないのと、打鉄は操縦に同調する専用機じゃないから気を付けないと……」
静寐「あっ!」ガッッ
一夏「おっと、こういう事になるんだよな」ハシッ
静寐「あ、ありがとう……織斑くん」
一夏「いえいえ、どういたしまして」
清香「おとっ……おっとと……危ない危ない」フラフラ
クロエ「まずは風に乗って動くのが、IS特有の飛行感覚を覚えられますよ」
清香「風に乗る?風を……感じて……むむむっ……」ピタッ
クロエ「どうですか?」
清香「ごめん、全っ然分からない」
クロエ「そうですか……」
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/11(木) 19:27:57.80 ID:uMB18n4O0
箒「こうか」ガシャッガシャッガシャッ
一夏「おー流石、飲み込みが速いな」ズシンッズシンッズシンッ
箒「……動きが気持ち悪い」
一夏「そりゃあ、こいつ等はどうやったって自分の思い通りに動いてくれないからな」
箒「お前のは違うのか」
一夏「さーて、どうだか」
箒「……」ブンッ
一夏「はい残念でしたー余裕綽々で受け止められまーす。強いて言うなら」グイッ
キャーッ!ウラヤマシーイ!
静寐(片手でISを軽々持ち上げてお姫様抱っこ……)
箒「お、降ろせっ!」ジタバタ
一夏「こんな事だって出来るのが俺達の機体、かな」
箒「やめろッ、馬鹿ッ!早く降ろせッ!」ジタバタジタバタ
一夏「はいはい、仰せの通りに」スッ
箒「この……馬鹿!」ブンッ
一夏「……」ガシッ
箒「ッ……このッ、離せッ!」
一夏「……」ニヤッ
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/11(木) 19:45:53.98 ID:uMB18n4O0
本音「きゅーん、きゅーん♪私の彼は〜ぱいろっとぉ〜♪」
クロエ「上手ですね。以前に操縦した経験があるのですか?」
本音「ニャイよ〜だから〜なんとな〜くでやってる〜のだ〜」
本音「けどけど〜くろにんのみたいに〜おっきなが羽が付いてれば〜きっと楽チンなのだ〜」
クロエ「そうでもありません。零式もIS、この羽だけで飛行の全てを行っている訳ではありません。これはあくまで飛行補助の為の物です」
本音「ど〜ゆ〜こと〜?」
クロエ「基本は同じ、という事です」
本音「にゃるほど〜そ〜いうことか〜」
クロエ「っと、機体が傾いていますよ」
本音「およよ?ほんとだ〜」
クロエ「飛ぶ事に慣れていない間は、一度地面を水平の基準とすら設定を行う事を推奨します」
本音「わかった〜すいへいり〜べ〜ぼくのふね〜」フラフラ
クロエ「ああっ、他の方にぶつかりますよ!」
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/11(木) 21:18:42.52 ID:uMB18n4O0
キーンコーンカーンコーン
千冬「打鉄をきちんと片付けてから更衣室に向かえ。次の授業に遅れる事のないようにな」
ハーイ!
一夏「何で俺だけ砂運び……」
クロエ「お手伝いします」
一夏「悪いな。砂を入れたところから均していってくれ」
クロエ「了解しました」
セシリア「私もお手伝いいたしますわ」
一夏「おう、ありがとうな。セシリー」
セシリー「当然の事ですわ」フンス
麻耶「織斑くんっ♪」
一夏「げっ、山田先生……」
麻耶「山田先生なんてそんな余所余所しい……私達の仲じゃないですか麻耶さんで結構ですよっ」ニコッ
一夏「は、はあ……さいですか……」
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/11(木) 21:30:43.90 ID:uMB18n4O0
一夏(やっぱりこうなるのかぁ……姉ちゃんは打鉄の片付け手伝いに行っちゃったしなぁ……)
摩耶「それで良かったら織斑くんの機体の武装を持たせてくれませんか?ね?ねっ?」ズイッ
一夏「落ち着いてくださいよ……それでじゃないですよ、話に脈絡なさすぎですよ」
摩耶「ちょーっと持たせてくれるだけでいいんです!」ガシッ
一夏「あのー……僕の話聞いてます?山田先生?」
摩耶「何ならクロニクルさんのでもいいんですよっ!」クワッ
一夏「」
クロエ「……」オロオロ
一夏「あーもう……分かりました。はい」スッ
摩耶「ありがとうござーーーって、あれ?何ですか、これ」
一夏「シェルタープラッテ、俺の機体の肩に着いてる盾です。こうやって自由自在に飛ばせるから飛び道具にもなるんですよ」シュバッ
ギュルルルルル
一夏「どうです?すごいでしょ?」パシッ
摩耶「……」プルプル
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/11(木) 21:51:47.94 ID:uMB18n4O0
摩耶「何が肩の盾ですか!私の目は誤魔化せませんよ!!その機体は銃持ってますよね!?銃ですよ!!ドイツ語でゲヴェーアですよ!!分からない訳ないですよね!!?」ガシィッ
一夏「ちょっと、そんな機体出したまま掴みかからないでくださいよ……」
摩耶「お願いします!!持たせてくださいよ!!私に!!篠ノ乃博士の作った銃を!!!」
千冬「お願いしますからもう少し自重して頂けませんか」グイッッ
摩耶「いたたたたっ、お、織斑先生!!?」
千冬「わざわざ機体まで展開して……そんな事をしなくたって私が言えば持つぐらい……」ヤレヤレ
摩耶「本当ですか!?はい!!」スタッ
千冬「さて、次の授業の用意に行きますよ」グイッッ
摩耶「うわあぁぁぁぁ!!嘘つきいいいぃぃぃぃぃぃ!!」ズルズルズル
千冬「こっちの身にもなってください」ズルズルズルズルズルズル
摩耶「これが大人のやる事ですかぁぁぁぁぁぁぁ!!」ズルズルズルズルズルズル
千冬「その言葉、一字一句そのまま返します」ズルズルズル!!
摩耶「お"り"い"い"む"う"う"う"う"ら"あ"あ"あ"く"う"う"う"う"ん"ん"ん"んんん!!!」ズルズルズル
一夏「南無三」ナムナム
摩耶「撃たせてえええぇぇぇぇぇ!!うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ズリズリズリズリズリズリ
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/11(木) 22:00:31.89 ID:uMB18n4O0
ウワァァァァァァァァァ……
セシリア「……」ポカーン
一夏「ふうー……いつもの事だけど姉ちゃんも大変だな」
クロエ「そうですね……しかしツヴァイフォーミュラが銃を持っている事を見抜かれるとは……」
一夏「さっきの通り、山田さんは銃になると怖いからな。色々と」
クロエ「そうですね……」
一夏「あ、しまった」
クロエ「どうかしましたか?」
一夏「地面、機体で普通に踏んだ」スタッ
クロエ「ああ……」
一夏「また均さなきゃ……ん?」
箒「……」
一夏「トンボなんか持って何してんだ?」
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