一夏「 こ れ は ひ ど い 」

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102 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/11(月) 00:53:28.50 ID:LhTWgluz0
セシリア(何も出なかった……)

セシリア(捉える間もなく、ここまで一方的に……)

セシリア(最初の内はわざと手を抜いて……戦っていらしたのですね……)

セシリア(織斑さんの言うとおり……最初から圧勝出来たのに……なのにわざと手を抜いて……)

セシリア(それなのに私は……それに気付かず戦い続け……勝てるものだと……)

セシリア(最後は……こんな……!)ジワッ

クロエ「本当に申し訳ありません!!」ペコペコ

セシリア「もう……結構です……」

クロエ「いえ、しかしーーー」

セシリア「結構です!!」

クロエ「ッ」ビクッ

セシリア「……あなたの勝ちですわ……織斑さんに……おめでとうございます、と……お伝えください……」

セシリア「では」

クロエ「待ってください!あのっ!!……ううっ……」

クロエ(何という失態を……一夏様に何と言えば言いでしょうか……)
103 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/11(月) 01:05:55.34 ID:LhTWgluz0
摩耶「お疲れ様です。クロニクルさん」

箒「よくやったな、クロエ」

千冬「クロニクル、お前はよくやった」

クロエ「あ、ありがとう……ございます……」

一夏「お疲れ、クロエ」

クロエ「一夏……怒ってませんか?」

一夏「何でだよ?」

クロエ「それは……あの……私が……」ゴニョゴニョ

一夏「やってしまったんだから仕方ないだろ?」

クロエ「確かに……そうです……けど……」

一夏「装甲の破損は引っ掻いた跡と最後の碗部のヒビのみ、ビットは飛行不能自己修復可能な程度の破損、ブルーティアーズの破損は軽かったんだし御の字だよ」

千冬「だが操縦者はどうだ?」

一夏「……それが問題かな」

クロエ「ううっ……申し訳ありません………」
104 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/11(月) 01:17:40.33 ID:LhTWgluz0
クロエ「余程ショックでしたのか……オルコットさんは少々取り乱していらしたのですが……もしかして……」

一夏「最後の最後でボコボコにしたお前が悪い」ビシッ

クロエ「そうですよねぇ……私が我を忘れたせいでぇ……」グスッ

箒「想定されていた最悪の事態じゃないか……」

一夏「本当にそうだよな」

クロエ「申し訳ありません……」グスッ

一夏「なーかしたなーかした、せーんせいに言っちゃーおー」

箒「ふざけてる場合か」ドゴッ

一夏「ぐふッ…!」

摩耶「何か大変な事になりましたね。イギリスに何て言い訳します?」

千冬「他人事では済みませんよ。山田先生」

摩耶「あははーそうですよねーどうします?」

千冬「下手に干渉するのは逆効果でしょう」
105 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/11(月) 01:36:08.84 ID:LhTWgluz0
一夏「よし、ここは何とか自分で立ち直ってもらうか!代表候補生様だし」

千冬「そうだ。この程度で崩れる者に国の代表など務まるものか」

一夏「厳しいなぁ、姉ちゃんは」

千冬「愚か者、事実だ」

一夏「いや、まあ…確かにそうだけどさ……大どんでん返しで完全にボコボコにしたから……」ポリポリ

一夏(悔し涙流しかけてるのを必死で我慢してたし……)

箒「クロエ、いい加減切り替えろ」

クロエ「わ……分かりました……」グスン

箒「そう思うのなら一夏、何かあればお前がセシリアをフォローしろ」

一夏「は?俺がぁ?何で?」

箒「いいな」ギロッ

一夏「……はい」

クロエ「私もお手伝いします……原因そのものですから……」

箒「いいや、一番の原因は一夏だ。そもそも一夏が戦っていればこんな事にはならなかったはずだ」

一夏「俺の方が酷かったと思うけど」

千冬「御託を並べるな。お前が何とかしろ」

一夏「はーい……」

摩耶「新学期早々大波乱の幕開け。いやぁ、これぞまさに青春ですねー」
106 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/11(月) 06:24:09.56 ID:pHCvuMdDO
クロエかわいい
107 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 17:20:54.53 ID:JJYagjt+0

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「という事でっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう!!」

オメデトー!!

パン,パパパパーン

一夏「はっはっはっ、ありがとう、皆さんどうもありがとう。この場を用いまして、私に清き一票を入れてくださった皆様方に感謝の意を表明したいと思います」

箒(どこの政治家だ。お前は)

一夏「そして、素晴らしい戦いを披露したクロエ・クロニクルとセシリア・オルコットに、皆さん盛大な拍手と賞賛を!」パンッパンッパンッ

バチパチパチパチパチ

セシリア「ありがとうございます」ペコッ

クロエ「皆さん……あ、ありがとうございます……」ペコリ

「いやー本当にすごかったよ。クロニクルさん」
「カッコよかったよ」
「あれだけ体柔らかいなら体操部に入らない?」
「バカ、めでたい席で何言ってんのよ」
「オルコットさんもクロニクルさんに負けず劣らず、凄い戦いっぷりだったと思う」
「本っ当、惜しかったよね〜相性の良し悪しが出たにせよ。あの突撃さえなければ勝ててたと思うけどけ〜」

セシリア「まだまだ私が未熟、だったと言うだけですわ」
108 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 17:35:05.45 ID:JJYagjt+0
セシリア「そう……未熟だっただけですわ……」

「ごめんごめん!ほら料理食べよ!」

セシリア「ありがとうございます」

一夏「……」

一夏(やっぱり、か……本当に天才の自信過剰ってのは難儀なもんだな……)

箒「一夏、お前の分だ」

一夏「お、悪いな」

箒「礼なら本音に言え」

本音「どうぞどうぞ〜」トテトテ

クロエ「布仏さん……あ、ありがとうございます……」

一夏「布仏さん、ありがとう」モグモグ

本音「どういたまして〜あとあと〜呼ぶのは〜本音だよ〜」ニパー

清香「ひゅんふいほはおほろひい… …!」

静寐「口一杯ほおばりながら何言ってるの」

「う〜ん、これでクラス対抗戦も華が増えたってもんだね。楽しみだぁ」
「そーだよね」
「ラッキーだったよねー織斑くんと同じクラスで」
「そーだよね」

一夏(何で二組の人がサラッと紛れ込んでるんだ?)
109 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 17:46:08.32 ID:JJYagjt+0

「ねえねえ、クロエさん。今度IS教えてっ」
「ずるーい、私も私もー」
「私もー!」
「アタシもー!」
「アタイも!」
「ウチもウチも!」

ガヤガヤワイワイ

クロエ「あの……私でよければ……ですが……」

「なに盛ってんだお前等はー!」
「全く、騒がしいったらありゃしないね」
「どこに来ておいて何ほざいてんだテメェは」

一夏「人気者だな。クロエ」

箒「一夏、良かったのか」

一夏「何が?」

箒「クラス代表になって、だ」

一夏「別に、カッとなって自ら挑戦を受けたんだ。今更勝っておいてやらない程、俺は無責任じゃないよ」

箒「その責任感を他のところでも発揮しろ」

一夏「……どうもすみません」ポリポリ

セシリア「……」
110 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 18:00:03.72 ID:JJYagjt+0
一夏(あー何か来た)

「はいはーい、どいたどいたー新聞部ですよー泣く子も黙る報道の自由様のお通りだー」

オオー!

「初めまして、私は二年の黛薫子。あ、これ名刺ね。よろしくねー!」ガシッ ブンブン

クロエ「こ……こちらこそ……よ、よろしく……お願いします……」ブンブン

クロエ(な、何故……私に……?)

薫子「さて、織斑君!クラス代表になった感想をビシッとズバッと、どうぞ!」

一夏「これからもスポーツマンシップに乗っ取り、正々堂々、卑怯の限りを尽くしたいと思います」

ドッ アハハハー!

箒(はあ……何を言ってるんだ……)ヤレヤレ

薫子「あっはっはっ!面白い!じゃあ、次の戦闘もクロエちゃん任せで?」

クロエ「……」ジィーッ

一夏「とんでもない。この織斑一夏、是非ともクラスの代表として戦わさせて頂きますよ」

クロエ「ほっ……」

薫子「機体はやっぱり専用機?独占取材させてよー」

一夏「それは今度の試合のお楽しみ、という事で」
111 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 18:21:54.63 ID:JJYagjt+0
薫子「くうっ、つれないねーったくもーそれじゃあ期待の新人クロエちゃん!セシリアちゃんと戦ってどうだった?」

クロエ「期待……ですか?……えっと……その……貫手は危険……だったと思います……」オズオズ

クロエ(なるべく急所を狙うのは避けたのですが……それでも……)

薫子「一発キッツーいのが入っちゃったもんねーそして怒濤の如き攻撃でセシリアちゃんを見事、戦闘不能に!」

クロエ「お、お褒め頂き……ありがとう……ございます……」ペコリ

薫子「それじゃあ、あの白い機体の名前は?武装は?大きな特徴は?」

クロエ「名前は……零式、です……武装はリボルバーのみ……特徴は御覧の通り、一般的なISよりも少し大きい点と、露出部分が極端に少ない点と、スピードに優れている点です……」

薫子「ふむふむ……技術を注ぎ込んだ結果、大きくなっちゃったパターンだね」

クロエ「そう……考えて頂ければ……結構です……」

薫子「零式は誰が作ったの?どこ製?見たところどこの国のISとは似ても似つかないけど?」

クロエ「そっ、それは……その……機密なので……お教えする事は……出来ません……申し訳ありません……」ペコリ

薫子「っかあーまたかー!何だこの一年生は二人はー謎すぎんでしょー!っかあー!」

一夏「そりゃどうも」

クロエ「本当に……申し訳ありません……」ペコリ
112 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 18:49:30.93 ID:JJYagjt+0
薫子「仕方ない。腹びれから背びれに尾ひれまで、何から何まで色々と捏造しておくからいいとしようかな」

一夏「それは主に感想云々でお願いします」

薫子「よろこんでー!」

箒(それで良いのか……)

クロエ(捏造……娯楽としては必要ですが……過度なものは……)

薫子「さてさて、お待たせしました。セシリア・オルコット嬢、惜しくも敗れてしまいましたが……クロエちゃんはどうだった?」

セシリア(惜しくも、ですか……)

セシリア「最初は少し侮っていましたが、その考えはすぐになくなりました。機体性能の高さに加えクロニクルさんの実力も計り知れないものでしたわ」

薫子「ふむふむ……」

セシリア「八つのビットのオールレンジ攻撃を全て紙一重で回避、的確で精密な射撃にバーストショット、リボルバーを投擲なさってからの格闘戦、どこをどう取っても私で太刀打ち出来た相手とは思えませんわ」

薫子「まさかのべた褒め!あのセシリア・オルコットにここまで言わせるなんて!」

クロエ「そんな……私なんか……過大評価……ですよ……」

セシリア「いいえ、全て事実ですわ。例えブルーティアーズの性能を上げたところで叶うとは思えません」

クロエ「そうでしょうか……」モジモジ

薫子「ほうほう……」

セシリア(そう、全てのビットを同時射出とその撃墜……得意ではない近接戦に持ち込まれた挙げ句……あんな簡易か目眩ましを食らうとは……)

一夏「……」
113 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 19:02:30.88 ID:JJYagjt+0
薫子「ーーーそして、互いに全力を尽くし戦った、と……」

クロエ「そ……そうです……」

セシリア「ええ、そうです」

一夏(あいつ……ここに来てからよく胸元に手をやるな……癖か?)

薫子「くっはー!いいネタもらったー!私のイマジネーションが超特急だーっ!」

薫子「それじゃあ最後に二人並んで握手して、写真撮るから!」

クロエ「はい……し、失礼します……」スッ

セシリア「ええ、構いませんくてよ」スッ

薫子「はい、真ん中に織斑くんね」

一夏「えっ、俺ですか?」

薫子「パーティーの主役なんだからいないと駄目でしょうが、ほら」グイグイ

一夏「分かりましたから……押さないでくださいよ……」

薫子「よーし、それじゃあいくよー!」

一夏(気まずい……)

クロエ(どういう表情をすれば良いのでしょうか……)オロオロ

セシリア「しっかりしてください。私に勝ったのでしょう?」ボソッ

クロエ「も……申し訳……ありません……」ボソッ

一夏「セシリアの言う通りだぞ」ボソッ
114 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 19:12:11.62 ID:JJYagjt+0

パシャシャシャシャシャ

セシリア「あなた今……」

一夏「ごめんごめん、いきなり名前で呼ばれるのは嫌いだったか?」

セシリア「いえ……間違えずに言われたもので」

一夏「あーあの時はあまり寝てなくて苛立っててさ。ごめん、悪かったよ」

セシリア「こちらこそ……」

薫子「うげっ、何か集合写真みたいになっちゃった」

ワイワイガヤガヤ

クロエ(皆さん素早く後ろに入られましたから……)

一夏「何だよ。お前も写りたかったのか?」

箒「馬鹿を言え、引っ張られただけだ」

本音「にへへ〜」

清香「おのれ……」

静寐「何で私まで……」

セシリア「……」

セシリア(今の……何故か……)
115 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 20:51:34.07 ID:JJYagjt+0


バタン


一夏「ふーっ、ようやく終わったな」ドサッ

クロエ「流石に……疲れました……」

一夏「良かったじゃないか、色んな人と関われて」

クロエ「そうですが……あれほど多くの人とお話しするのは……」

一夏「何事も慣れだよ」

クロエ「わ、分かりました」

一夏「で、問題のセシリアだけど」

クロエ「懸念されていた通りだと思いますが……」

一夏「そうだよなぁ……」

クロエ「どうします?」

一夏「現状維持だ。最悪の場合は俺が何とかする」

クロエ「手を付けにくい場所で抜けた穴は……大き過ぎましたね」

一夏「その通りだよ。何て面倒な事をしたもんだよ、ったく……」

一夏「あーもう風呂入るのも面倒だ。このまま寝ようかな」ゴソゴソ

クロエ「いくらなんでもそれは駄目ですよ……」グイッ

一夏「分かってるって、冗談だから引っ張るな」
116 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 21:14:54.40 ID:JJYagjt+0
セシリア「……」


ギュッ


セシリア「……」

「あの……セシリアさん」

セシリア「は、はい、どうかなさいましたか?」ササッ

「電気消してもいい?」

セシリア「ええ……どうぞ」

パチッ

セシリア「……」

「セシリアさん……こんな事言うのも何だけど……私はその……セシリアさんは頑張ったと思うよ……何も恥ずかしい事なんてないぐらい……」

セシリア「……」

「確かに結果はああなっちゃったけどさ……でも、だからってセシリアさんが弱いって訳じゃないと思う……だって前の日まであんなに特訓してて……」

セシリア「……」

「相手が悪かったーーーじゃなくて……だからその……」

セシリア「そのお気持ちだけ、受け取られさせていただきますわ……お休みなさい」

「お休みなさい……」
117 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 21:28:25.46 ID:JJYagjt+0

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箒「おはよう、一夏」

一夏「おう、おはよう」モグモグ

クロエ「おはようございます」

箒「失礼するぞ」ガタッ

一夏「どうぞどうぞ、おー今日は鮭定食か」

箒「やらんぞ」

一夏「ここの焼き鮭は焼いてないからいらない」

箒「いちいち文句が大い奴だな……」

一夏「だから食べてないだろ。大体な、焼いてないの焼きって付くのはおかしいだろ」

箒「なら表記を蒸し鮭にしてもらうか?」

一夏「そこまでしてまで食べたいものじゃない」

クロエ(豆が掴めません……)ツルッ
118 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 21:43:11.52 ID:JJYagjt+0
クロエ(掴めました!後は……ゆっくり……ゆっくり……)

クロエ「……」プルプル

クロエ(もう少し……!)プルプル

クロエ「あっ!」カチャン

一夏「んぐっ!?」ピシーン

クロエ「すっ、すす、すみませんっ!」

一夏「何だ……煮豆?」

クロエ「お怪我はありませんか?」アセアセ

一夏「大袈裟だな……ほらスプーン」ヒョイ パクッ

クロエ「すみません……本当に……」

箒「何で箸で食べ難いものばかり食べているんだ……」

クロエ「料理の内容を充分把握せずに……購入していますので……」

一夏「だから俺は常にスプーンを持ってる」

箒「お前が料理を教えれば済む話だろ」

一夏「箸で掴み難い料理でも、クロエの大好物になるかもしれないだろ?」

箒「いちいちいちいち屁理屈を……!」イラッ

クロエ「喧嘩はやめてくださいよぉ……」
119 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 22:00:36.43 ID:JJYagjt+0
箒「全く……それでだ。セシリアはどうするんだ?」

一夏「別に、どうもしないかな」

箒「お前……」

一夏「どうどう、落ち着けよ……今のところは、だ。必要があればどうにかするよ」

箒「ふん……ならいいが」

一夏「自分で立ち直ってくれたら万々歳なんだけどな」

箒「原因の張本人が何を言うか」

一夏「あくまで俺の希望だよ……最近のセシリアは見てるだけで……こう、何というか……心配になるからさ」

箒「自信をなくしたんだ……無理もない」

クロエ「本当にそれだけなのでしょうか……?単なる自信の喪失のみであそこまで……」

一夏「ならない、よな。今回の一件がセシリアの個人的な部分に引っ掛かった事は確かなんだよ」

箒「だから手出し出来ない、という事か」

一夏「そういう事だ。だから俺はこうやっていつも通り飯食ってるって訳だよ」

箒「ッ〜……呆れた……」

クロエ「精神面はしようがありませんので……致し方ないかと……」
120 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 22:14:27.16 ID:JJYagjt+0

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千冬「ではこれより、ISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。クロニクル、オルコット。試しに上へ飛んでみろ」

クロエ「りょ……了解しました……」

セシリア「了解です」

一夏(姉ちゃん、何でそのチョイスをするかなぁ……)

ドンッッ

一夏「あっ」

摩耶「おー速いですねー」

エッ!?モウアンナトコロニ!?ゼンゼンミエナカッタヨ?

千冬「……クロニクル、ISの展開と急上昇は同時に行うな。これは授業だ」

クロエ『も、申し訳ありません!!』

一夏(本人からすれば一応遅くやってるんだろうけど……)

千冬「まあいい。オルコット、準備はいいな?」

セシリア「はい、もちろんです」

千冬「よし、飛べ」
121 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 22:30:26.43 ID:JJYagjt+0
千冬「よし、飛行はもういい。クロニクル、オルコット、次は急降下と地表数センチでの完全停止をやってみせろ」

クロエ『了解しました……お先にどうぞ……』

セシリア『了解です。私から行きます』

一夏(一見、問題なさそうに見えるんだけどなぁ……なんでこんな心配になるんだろうな……)

ギュンッ

セシリア「……」ピタッ


オオー!


千冬「……次、クロニクル」

……ォォォォオオオオッッ

クロエ「……」ビタッッ


オオー!!


千冬(十一センチと四センチ……らしくもないミスだな。オルコット)

一夏(あちゃー……)
122 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 22:56:43.35 ID:JJYagjt+0
千冬「では次は武装の展開だ。クロニクル、まずはお前だ」

クロエ「あっ、あの……織斑……先生……」

千冬「何だ」

クロエ「私の機体に……武装は右足にあるリボルバーしか……ないのですが……」

千冬「……本当にそれだけか」

クロエ「はい、これだけです……ISの展開ではなく……ただのクイックドロウだと……思います……申し訳ありません……」

一夏(まあ、実際そうなるよな。そもそも武装なんて後付けの外付けなんだし)

千冬「謝る必要はない。オルコット、武装を展開しろ」

セシリア「はい」チャッ

千冬「流石だな。次は近接用の武装を展開しろ」

セシリア「……」

シャキンッ

千冬「……いいだろう」

クロエ(ここまで影響が……)

一夏(はあ……流石に罪悪感が……)
123 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 23:09:15.99 ID:JJYagjt+0
千冬「時間だな。次の授業に遅れるなよ」

ハーイ!

千冬「オルコット、少し話がある」

セシリア「はい、何でしょうか?」

千冬「お前も気付いているとは思うが武装の展開時間が落ちている」

セシリア「……」

千冬「今までは違ったがいずれは動作の一つ一つですらコンマの世界になる。このまま落ち続けるという事のないようにしろよ」

セシリア「分かりました……」

千冬「ではーーー山田先生?」

摩耶「お願いします。クロニクルさん……持つだけでも……せめて持つだけでも……!」

クロエ「ですから……その……これは……零式専用の物ですので……」

千冬「ッ〜持病が出たか……」

摩耶「そう言わずに、そこを何とかお願いしますよ……ね?ね?ちょっとだけですから……そう、ちょっとだけ……」

摩耶(そしてあわよくばその十三ミリを……うへへ)

クロエ『一夏様……どうすれば……?』

一夏『やめといた方がいいな。山田さんなら撃ちかねない』
124 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/12(火) 23:28:28.22 ID:ly9GGiWko
ISの武装って持ち主が許可しないとセーフティが働いて撃てないんじゃなかったっけ
125 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 23:28:52.04 ID:JJYagjt+0
千冬「山田先生」ガシッ

摩耶「へ?あ、織斑先生?」

千冬「次の授業の、用意があります。戻りますよ」

摩耶「まっ、待ってください!まだ十三ミリをーーー」

千冬「問答無用」グイッ

摩耶「待って!まだ撃ってないんですよ〜!せめて!せめて持つだけでも!!」ズリズリ

千冬「トリガーハッピーが何を言おうと説得力がありません」ズリズリズリ

摩耶「待ってぇぇぇ!!私に十三ミリを撃たせてぇ!!十三ミリを!!!」ズリズリズリ

千冬「また今度にしてください。教師がみっともない……」ズリズリズリズリ

摩耶「クロニクルさぁぁぁん!!」ズリズリ少し

クロエ「も……申し訳ありません……」ペコリ

千冬「そういう事ですから」ズリズリズリズリズリズリ

摩耶「撃たせてえええぇぇぇぇぇ!!うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ズリズリズリズリズリズリ

一夏「やっぱりな……」

クロエ「え、えーっと……これで良かったのですか……?」

一夏「いいんだよ。姉ちゃん曰く山田さんの病気らしいから」

クロエ「……山田先生からはよく……火薬の匂いがしますが……病気……」
126 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 23:40:22.51 ID:JJYagjt+0
>>>124

オリジナルIS、零式のリボルバーは一夏の台詞通り後付けです。
「リボルバーをISで扱うサイズにしただけの物」ですからセーフティが組み込まれておらず、持てるのなら発射は可能な設定です。
127 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 20:38:27.78 ID:ZzBi0VDg0

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セシリア「はい!」ヒュッ

「ッシャアァ!食らえオラァァァ!!」パシッ ヒュッ

セシリア「あっ!」

ピーッ

「チェイス!」
「追え追えー!!」

セシリア「……」

エース「ほら、ボサッとしてんじゃないよ」トンッ

セシリア「申し訳ありません……」

エース「パス捕られたぐらいでいちいち何凹んでんだい。とっとと走りな」

セシリア「はい……」タッ

エース(らしくもないミスだね……パスをアタッカーに捕られて決められるなんて)

エース(本当頼むよ。イギリスのお嬢ちゃん)
128 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 20:49:06.29 ID:ZzBi0VDg0
セシリア(何をやっていますの……これ以上失敗出来ませんのに……)

セシリア(取り返さないと……何とかして……!)

セシリア(私が……!)

「パス!」ヒュッ

セシリア(これなら!) バッ

「ちょっ、セシーーー」

セシリア「あっ!?」ガッ

「うわっとっとっとおぉぉぉぉぉ!!」バターンッ ポロッ

ピッピー

「セシリア、パーソナルファール。三分のマンダウン」

エース「……」

セシリア「もっ、申し訳ありません!大丈夫ですか!?」

「何とかね……痛ってて……」サスリサスリ

セシリア「申し訳ありません……」
129 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 20:59:21.93 ID:ZzBi0VDg0

「気にしない気にしなーい。よっと、こんなの全然へっちゃらなんだから」スクッ ヒョコッヒョコッ

セシリア「そんな……肩をお貸しします」スッ

「おっ、悪いね。お嬢」ヒョコッヒョコッ

セシリア「いえ、当然の事です……」

エース「セシリア、マンダウン終了と同時にあんたは交代よ」

セシリア「はい……」

エース「頭を冷やしな。今のあんたは危なっかしくて困んのよ」

セシリア「……分かりました」

エース「そんで、あんたは休んでな。セシリアかばって無茶な着地してんだから」

「もーこんなのへっちゃらだってば。唾付けとけば治るって」

エース「塩で傷口揉まれたくなけりゃ黙ってベンチに行きな」

「あいあいさー」

セシリア「……」
130 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 21:12:03.29 ID:ZzBi0VDg0
一夏「ったく、何やってるんだよあいつは…思いっきりぶつかってんじゃんか……」

クロエ「あ、あの……一夏様?」

一夏「あーあ、しかも交代か?相手もまともに歩けてないし……」

クロエ「一夏様……?」

一夏「ラクロスってあんな激しいもんなのか…流石はラグビーとかアメフトの類いだな…恐ろしい」

クロエ「いっ、一夏様!」

一夏「さっきから何だよクロエ、ちゃんと聞こえてるよ」

クロエ「なら返事をしてくださいよぉ……」

一夏「はいはい、何だよ」

クロエ「屋上から男子生徒が……部活動中の女子生徒を監視しているのは……少しどうかと思うのですが……」

オリムラクーン!

一夏「おー!部活頑張れよー!」ヒラヒラ

クロエ「ちゃんと聞いてくださいよぉ……!」
131 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 21:31:28.70 ID:ZzBi0VDg0
一夏「監視なんて人聞きの悪い事言うなよ。俺はただ、屋上でボーッとしてるだけだよ」

クロエ「ISを使ってこのような事をしているのが千冬様に知れたら……どうなるか分かりませんよ……」

一夏「ないない。箒ならまだしも、姉ちゃんは忙しいから」

クロエ「なら良いのですが……」

一夏「意外と山田さんが現れたりしてな」

クロエ「それは……その……困りますーーー三人、来ます」


バーンッ


楯無「目標発見!確保よー!!」ブンブンブンッ

本音「逮捕だ〜!ルパ〜ン!」

簪「……」コソッ

一夏「あっはっはっはっ、予想外の三人が来た」

楯無「おりゃあー!」ブーンッ

一夏「ほいっと」スルッ

本音「年貢の納め時だ〜!」ジャラジャラ

一夏「ワッパは勘弁!」スパーン
132 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 21:42:03.98 ID:ZzBi0VDg0
本音「ありゃりゃ?」ガチャーン

楯無「ちょっと!柵に繋がれちゃったじゃないの!」ガチャーン

一夏「クロエ、逃げるぞー!」ダッ

クロエ「はい……!」ダッ


簪「ま……待って!」バッ



一夏「!?」ピタッ

クロエ「……」ピタッ

簪「く……だ…さい……」

一夏「……これも予想外」

楯無「ナイス簪ちゃん!ほ、ほらっ、本音ちゃん早く鍵!」

本音「待て待て待て、駄目ですよ〜鍵さんどちら〜手のなる方へ〜」バラバラ

楯無「えー…これ?違う……これ…でもないし……あーもう、どうしていっぱい投げたのよ!」ガチャガチャ

本音「戦いは数なのだ〜」ガチャガチャ
133 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 21:50:27.94 ID:ZzBi0VDg0
一夏「……」スススッ

簪「……!」スススッ

一夏「……」ススススッ

簪「……!」ススススッ

一夏「……あのさぁ」

簪「ご……ごめん……なさい……でも…お姉ちゃんが……」

一夏「はあ……」

クロエ「どうしますか……?」ヒソヒソ

一夏「無論、一転突破だ」ヒソヒソ

クロエ「了解」ヒソヒソ

一夏「なあ、簪ちゃん」ズイッ

簪「えっ……いや……近い……」スススッ

一夏「俺は君の事をよく知らない。だから君のお姉さんの申し出を断ったんだよ?」ズズイッ

簪「うぅ……ううぅ……」スススッ
134 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 22:04:24.55 ID:ZzBi0VDg0
一夏(このいじり甲斐…久しぶりだ…!!)ワクワク

クロエ(嫌な顔をしていらっしゃいます……)

楯無「来た?来たのね?お姉さんの思惑通りなのね?なっちゃうのね?本音ちゃん早く〜!」ガチャガチャ

本音「えーっと、えーっと」ガチャガチャ

一夏「……」ジリジリ

簪「……」ジリジリ

トンッ

簪「あっ……」

一夏「もう逃げるのはなしだ。聞かせてくれ、俺はもっと君の事を知りたい。君はどうなんだ?」

簪「あ……あっ……あああ……あの……!!」アタフタ

一夏「お姉ちゃんは関係ない。本当の気持ちを聞かせてくれ、簪」ズイッッ

簪「あうあうあうあう〜!!」ワタワタ

本音「う、うわ〜!簪ちゃん……!」モジモジ

楯無「きたぁぁぁぁぁ!!」
135 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 22:13:48.59 ID:ZzBi0VDg0


簪「……」ボンッッ


楯無「えっ」

本音「あっ」

一夏「仕方ないなーまた今度な!」ダッ

クロエ「失礼します……!」ペコリ ダッ

簪「……」プシュー

本音「簪ちゃん…オーバーヒートしちゃった……」

バキーンッ

楯無「待てえぇぇぇ!!逃がすかぁぁぁぁぁ!!」ダッ

本音「うんしょっ……」カチャン トテトテ

簪「……」プシュー

本音「簪ちゃん、簪ちゃん」ユサユサ

簪「……」プシュー

本音「駄目だこりゃ〜」
136 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 22:29:33.70 ID:ZzBi0VDg0
一夏「という事が今日あったんだよ」モグモグ

箒「一夏」

クロエ「お、落ち着いてください……」

一夏「正直言って、何か間違えかもしれないかなーとは思わないでもない」

箒「何かではない。全部だ、全部」

一夏「孫子だって言ってるだろ?戦いとはーーー」

箒「孫子に謝れ」

一夏「何で怒ってるんだよ。いいだろ、知りたいのは事実なんだし」

箒「言い方を考えろ」

一夏「だから考えに考え抜いーーー」

箒「……」グリッッ

一夏「いってえぇぇー!!」

箒「ふんっ……馬鹿……」

クロエ「ああ……もう……」
137 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 22:40:58.41 ID:ZzBi0VDg0
一夏「お……おおぉぉぉ……痛ぇ……」ジンジン

箒「自業自得だ」モグモグ

クロエ「……」オロオロ

一夏「ブーツは駄目だろ……骨が砕ける……」ジンジン

箒「なら砕いてやろうか」

一夏「けっ…結構です……うぉぉぉぉ……」ジンジン

クロエ「大丈夫……ですか?」

一夏「足の指…繋がってるかな……」ゴソゴソ

クロエ「そんな……!」

箒「いちいち大袈裟だ」

一夏「はーい……」

クロエ「ほっ……」
138 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 23:02:39.42 ID:ZzBi0VDg0
一夏(しかし何でだろうな……何かずっと俺の中で引っ掛かってるんだよな……何で引っ掛かってるんだ?)

一夏(いつからこの感じがしてたんだ?)

一夏(この感じ……何か……忘れちゃいけないぐらい……大事な事を……忘れてる……ような……)

一夏(大事な事?忘れてる?)

一夏(何だ……何を……)

一夏「……」

箒「一夏……?」

一夏「あ、ああ…どうしたんだ?」

箒「どうしたんだじゃない。お前がどうしたんだ」

クロエ「難しいお顔をなさっていましたよ……」

一夏「え、あれ?おかしいなーちょっと考えただけだからそんなに難しい顔した覚えないんだけどなー」ジョバババー

クロエ「あの……それは醤油ではなくソースですよ……」

一夏「うわっ!?本当だ……刺身にソースって……」ガクッ

箒「何をやっているんだ……」ヤレヤレ
139 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 23:14:54.46 ID:ZzBi0VDg0
楯無「お・り・む・ら・くぅ〜ん♪」ムニュ

一夏「あ、楯無さん、こんばんわ」

箒「こんばんわ」

クロエ「こんばんわ……」ペコリ

楯無「はい、三人ともこんばんわ〜ねえ〜織斑くん、お姉さんはとっても悲しいわ〜」ツツー

一夏「何が…ですか?」

楯無「今日の事よ〜はあ……お姉さんはてっきり織斑くんが簪ちゃんを、と思ったのに……ふーっ」

一夏「は、はあ……」

箒(何をやっているんだこの人は……)

楯無「おかげで簪ちゃんは茹で蛸よ〜ほら、あそこ」


簪「……」プシュー


一夏「わーほんとうだー……ん?」

楯無「他人事じゃあ済まないわよ〜?」

一夏「ちょっと、すいません」グイッ

楯無「あん……いけず」
140 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 23:35:30.63 ID:ZzBi0VDg0
セシリア「……」

セシリア(日に日に状況が悪化していますわ……)

セシリア(原因は……あの敗北以来……私が……不安定だから……)

セシリア(情けない……この程度で揺らいでいて……代表候補生は務まりません……)

セシリア(イギリス代表も……オルコット家の……当主も……)

セシリア「はあ……」

セシリア(思い詰めても始まりません。今日はもう部屋にーーー)カツン

セシリア「あっ!」

一夏「おっと!」パシッ

セシリア「あなた……」

一夏「ん〜ナイスキャッチ……気を付けろよ」

セシリア「ありがとうございます…助かりましたわ」

一夏「いえいえ、どういたしまして」
141 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/14(木) 23:49:28.99 ID:ZzBi0VDg0
セシリア「私に何か用ですの?織斑さん」

一夏「いや、別に用って程の事じゃないんだけどさ……」ポリポリ

セシリア「何ですの?」

一夏「何というか……今のお前、危なっかしくて……見てると心配なんだよ」

セシリア「危なっかしい……?私が?」

一夏「さっきだって、お前心ここにあらず、って感じでさ……フォーク落としかけてたし」

セシリア「……」

一夏「いらない世話かもしれないけどーーー」

バンッ

セシリア「結構ですわ!あなたの情けなど必要ありません!」

一夏「いや、別に情けって訳じゃーーー」

セシリア「結構てす。部屋に帰らせてもらいます」スタスタ

一夏「待てって!話は最後まで聞けよ!」

セシリア「来ないでください!」
142 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 00:07:40.24 ID:KRlv1f3w0


タッタッタッタッ


セシリア「はっ……はっ……」

セシリア(何ですの……どうせ私を嘲りにでも来たのでしょう……)

セシリア(敗者の私を……!)ギュッ

一夏「待てよ!」ガシッ

セシリア「離してください!」バシッ

セシリア「何ですの?勝者の余裕ですか?!あなたは善意のつもりでも私にとっては屈辱に他ならないのですよ!」

セシリア「試合の時だって、クロニクルさんに最初は手を抜くように指示なさったのもあなたでしょう!!分からないとお思いでしたでしょうが違いますのよ!!」

一夏「確かに……俺がそう言ったけど……」

セシリア「いい身分ですわね。努力も何もせずに優秀な能力を手に入れて、それ盾に出来ますものね」

セシリア「楽しかったですか?面白かったですか?人の気持ちや自信を踏みにじって!!そうやってヘラヘラと人を嘲笑って!!」

一夏「違う……違うって……俺はそんなつもりじゃない」

セシリア「そうやってあなたは!!無自覚に人を傷付けているのです!!何故分からないのですか!!」

一夏「違うんだ……聞いてくれ……」
143 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 00:29:58.05 ID:KRlv1f3w0
セシリア「違う?……とぼけるのもいい加減にしなさい!!あなたのせいで苦しんでいる人がいないと思うのですか!!?」

セシリア「思い上がりも甚だしい!!恥を知りなさい!!!」

一夏「だから違うんだ!!!」

セシリア「ッ……」

一夏「ごめん……俺が悪かったよ……確かに手を抜けって言ってお前の気持ちとか……敬意とか誇りとかを踏みにじった……ごめん……」

一夏「でも……だから俺……その……上手く言えないけど……何とかしたいんだよ……」

一夏「お前の力に……なりたいんだよ……」

一夏「クソッ……何なんだよ……ずっと何とかしたいから考えてたのに、いざその時になったら全然お前の為になる事出来なくて……」

一夏「こうやって……聞いてもらうのだけで精一杯で……」

一夏「ごめん……でもお前を笑おうなんて気はないんだ!」

セシリア「そッ……そんな……そんな言葉!!信じられると思うのですか!!?」

一夏「思わない。でも……信じてほしい……」

セシリア「この期に及んで……!!」

一夏「頼む……セシリア……」

セシリア「こッ、この〜!!」

一夏「頼む、セシリア」
144 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 00:36:47.53 ID:KRlv1f3w0
セシリア「無理です!!あなたは信じられません!!」クルッ

一夏「待ってくれ!!」ガシッ

セシリア「離して!!!」ブチッ ポトッ


パシーンッ


一夏「セ、セシリア……」

セシリア「はあっ……はあっ……はっ!」

一夏「ごめん……」

セシリア「ッ〜!」クルッ


スタスタ


一夏「……」ヘタッ

一夏「は……ははっ……カッコ悪いな……俺……何本気になってるんだろ……」カサッ

一夏「これって!!」
145 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 00:49:09.00 ID:KRlv1f3w0
〜寮長室〜

千冬「こんな時間に外出許ーーーどうした、その顔は」

一夏「いや、その……まあ……不名誉の負傷、かな?」

千冬「……箒をからかうのも大概にな。それで、明日の外出許可はどこに行くんだ?」

一夏「家…かな」

千冬「掃除ならこの前しただろ」

一夏「違う違う、ちょっと野暮用が出来て……」

千冬「野暮用……?何だ、詳しく聞かせろ」

一夏「いや……だから野暮用なーーー」

千冬「黙れ、聞かせろ」

一夏「ッ〜……これだよ」スッ

千冬「……どこで見つけた」

一夏「知りたい?」

千冬「ああ……知りたいな」

一夏「……」

千冬「……」

一夏「教えない」

千冬「この愚か者めが」ガスッッ

一夏「ハウッッ」
146 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 01:01:27.52 ID:KRlv1f3w0
〜廊下〜

セシリア「……」

セシリア(私にはもう……迷う暇などありません……)

セシリア「……」スッ

ガチャッ

三年生「さあ、入りなさい」

セシリア「!……私が来るのを知っていたのですか?」

三年生「……」

三年生(成る程……)

三年生「いいえ、知りませんでした。来る頃だろうとは思っていただけですが」

セシリア「そ、そうですか……」

三年生「ですのでローズティーを入れていたのですが……どうやら、それも必要なかったようですね」
147 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/15(金) 01:20:06.28 ID:KRlv1f3w0
三年生「私に、決闘を申し込みに来たのでしょう」

セシリア「はい……そうです」

三年生「いいでしょう。受けて立ちます」

セシリア「あ、ありがとうございます」

三年生「場所は第三アリーナ、日時は明日の午後一時……で、構いませんね」

セシリア「はい、構いません」

三年生「では、お休みなさい。オルコット」

セシリア「あの!」

三年生「……どうかしましたか?」

セシリア「……いえ……お休みなさい」

バタン

三年生「……」

三年生「セシリア・オルコット……」スッ


グシャッッ パラパラ……


148 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 15:47:32.36 ID:JBRnUHnDO
しえ
149 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 15:59:59.04 ID:2QEqK7VR0
〜織斑家〜

ガサガサゴソゴサ

一夏「あっれー?どっかに置いといたはずなんだけどなーどこやったー?」

クロエ「……」ガサゴソ

一夏「これ……じゃないな」

クロエ「……」ガサゴソ

一夏「そういえば前に姉ちゃんがこの辺いじくってたような……」ウーン

クロエ「こちらですか?」

一夏「いや、違う。もうちょっと古びた箱」

クロエ「了解しました」ガサゴソ

一夏「……なあ、別について来なくても良かったんだぞ。箒だって来てないんだし」ガサゴソ

クロエ「そういう訳にはいきません……お手伝いさせてください……」ガサゴソ

一夏「そんなに部活のお誘いが嫌か?」ガサゴソ

クロエ「そ…そういう……事では……ありませんが……その……苦手、と申しますか……不得意と申しますか……」
150 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 16:08:47.99 ID:2QEqK7VR0
一夏「嫌なら嫌って素直にーーーん?あっ!」グイッ

一夏「おわあぁぁぁ!!」ドンガラガッシャーン

クロエ「いっ、一夏様!?大丈夫ですか!?」

一夏「げほっ……お……おう……何とかな……」

クロエ「ほっ……」

一夏「悪い、クロエ……ちょっと手を貸してくれ」

クロエ「は、はい」ガシッ

一夏「せーの、よっと!」スポーン

一夏「ふう……織斑選手無事復活っと」

ガラガラ……ゴトン

クロエ「……用事が……増えましたね」

一夏「それを言うなよ」

クロエ「す、すみません……」
151 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 16:17:52.95 ID:2QEqK7VR0
一夏「ま、何はともあれ目的は達成したから、とりあえずは良しとするか」スッ

クロエ「目的の物はそちら……ですか?」

一夏「おう、まさかこんな奥にしまってたなんてな」パカッ

クロエ「……」ジィー

クロエ(針と布に……様々な物が入っています……何の為の物なのでしょう……)

一夏「さて、お目当ての物はと」

一夏「ん〜ん、ん、ん、ん〜……」


パタン


一夏「なかった」

クロエ「ええ……」

一夏「丁度切らしてた」

クロエ「では……調達に参りますか……?」

一夏「もちろん。でもその前に、ここを片付けなくちゃな」

クロエ「りょ、了解しました」

一夏「ゴミ袋取ってくる」
152 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 16:29:25.01 ID:2QEqK7VR0
〜IS学園〜

清香「あっ、いたいたー篠ノ之さーん!」パタパタ

本音「あ〜!しーのんだ〜」トテトテ

箒「清香に本音か……部活はどうしたんだ?」

清香「今日はオフなんだ♪」

本音「おふこ〜す〜」

箒「なら静寐だけが部活か」

本音「そ〜なのだ〜」

清香「そういう篠ノ之さんは何でシャワー室から?」

箒「少し汗をかいたものでな」

本音「どれどれ〜?」ヨジヨジ

箒「!?」

清香「本音!?」

本音「くんくん……いい匂い〜」ニパー

箒「そ、そうか……ありがとう」
153 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 16:38:54.02 ID:2QEqK7VR0
清香「でさでさっ、そろそろお昼だし一緒にどう?」

箒「ああ、そうさせてもらう」

清香「やたっ!」

本音「ごはんっ♪ごはんっ♪」

箒「……いつまで背中に乗ってるんだ?」

本音「だめ……?」ジィー

箒「いや……だからその……」

本音「……」ジィーッ

箒「……構わないよ」

本音「わ〜い、ありがとーしーのん」

清香「何て甘え上手ッ……恐ろしい子……!」

静寐「三人とも何してるの?」

清香「静寐!丁度良かった〜皆でお昼食べない?」

静寐「いいけど」

箒「結局、勢揃いか」

本音(しーのんの髪が当たる〜!)クシクシ
154 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 16:50:06.41 ID:2QEqK7VR0
〜商店街〜

一夏「おばあちゃーん、いるー?」ガラッ

クロエ「失礼します」ペコリ

店主「いらっしゃい。おや、その隣の子は……外人さんかい?」

クロエ「初めまして……クロエ・クロニクルと申します……い、一夏には……お世話になってます……」

店主「そうかいそうかい……良かったねえ、一夏は昔から優しい子だからねえ……」

一夏「いやいや、そんな事ないよ」

店主「殺生が嫌い嫌いで、蟻一匹殺そうとしなかったもんねえ……」

クロエ「そうだったのですか……?」

一夏「いや、まあ……そうだったけどさ」ポリポリ

店主「さて、立ち話も何だし二人ともお上がんな」

一夏「お言葉に甘えまーす」

クロエ「あ……ありがとうございます……」ペコリ
155 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 16:58:32.83 ID:2QEqK7VR0
店主「それで、学校の方はどうだい?」

一夏「そりゃもう楽しくやってるよ。そういうおばあちゃんは?」

店主「いつも通り、楽しくやらせてもらってるよ」

クロエ「……」モグモグ

店主「饅頭、美味しいかい?」

クロエ「はい!このお菓子……とても美味しいです……!」

店主「まだまだ、たーんとあるからねえ」

クロエ「ありがとうございます……!」モグモグ

店主「元気だねえ……昔連れてきた子とは大違いだねえ……」

一夏「ああ、そういえばそんな事もあったあった」

店主「あの子、今頃どうしてるんだろうねえ」

一夏「……楽しくやってるんじゃない?」

店主「そうだといいんだけどねえ……」

クロエ「……」モグモグモグ
156 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 17:07:13.33 ID:2QEqK7VR0
一夏「で、おばあちゃん。頑丈な紐ってある?」

店主「頑丈な紐ねえ……少し待っときなよ」スクッ

一夏「はーい」

クロエ「……」モグモグモグモグ

一夏「……」

クロエ「……」モグモグモグモグ

一夏「なあ、クロエ」

クロエ「はい、何でしょうか?」ピタッ

一夏「食べ過ぎじゃないか」

クロエ「そっ……そうでしょうか……?」

一夏「昼飯前だぞ?」

クロエ「昼食に支障のない程度に食べていますが……」

一夏「だからって二箱も食べるなよ……」

クロエ「す、すみません……」
157 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 17:19:24.60 ID:2QEqK7VR0
店主「はい、お待たせ。うんと頑丈なの持ってきたよ」

一夏「おーありがとう、別にうんと頑丈なのじゃなくても良かったんだけど」

店主「いいじゃないかい……ほら、試しに引っ張ってごらん」

一夏「千切るだけど思うけど……ふんっ!あれ!?」グイッ

一夏「んんっ!ふうんぬぐぐぐぐぅっっ!!」グイーッ

一夏「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!!」グイーッ!!

クロエ「!?」

一夏「だあっー!何だこれ……本気で引っ張ってもちっともびくともしない……!」

店主「どうだい?うんと頑丈だろ?」

一夏「これ切れるの?」

店主「そりゃあ、紐なんだから鋏で切れば切れるさ。ほら」チョキン

一夏「……昔の人の知恵は恐ろしいや」

クロエ(どう紡げばあのような強度に……?)ジィーッ
158 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 17:33:21.98 ID:2QEqK7VR0
〜食堂〜

静寐「今度クロニクルさんと一緒に来てくれない?あの子達寂しがってるから」

箒「そ、そうなのか……余程気に入られたのだな……私達は」

静寐「織斑くんは……あんまり乗り気になってくれないと思うけどね」

箒「市中引きずり回しの刑を食らった挙げ句、蹴り飛ばされかけ、轢かれかけたからな……」

本音「な、なんだって〜!?」

清香「ねえ……それ大丈夫だったの?」

静寐「それがかなりの距離を引き摺られてたのに織斑くんは無傷、蹴りも当たりかけただけ、轢かれるのも上手く逃げてくれたから大丈夫だったんだけど……」

本音「窮鼠に一票を得たのだ〜」

静寐「それを言うなら九死に一生、でしょ?」

本音「そうそう〜それそれ〜」

箒「一夏本人はじゃじゃ馬だな、と笑ってたがな」

清香「なぁんだ……良かった……」
159 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 17:44:38.74 ID:2QEqK7VR0
箒「しかし何故あんなにも馬に嫌われるんだろうか……」

静寐「クロニクルさんが乗った黒馬以外は知らない人でも乗せてくれるんだけどね……」

清香「もしかして織斑くんって、動物に嫌われるタチなんじゃないの?」

箒「いや、逆に動物が寄っていっていた。野良犬野良猫なんかは特に」

清香「じゃあ何で……?」ウーン

静寐「謎は深まるばかりね……」ウーン

箒「野生の勘で、何か邪な気持ちを感じ取ったのか……それとも……」

本音「馬が合わない?」

清香「本音……」ガクッ

本音「あり?違った?」キョトン

静寐「確かにその言葉の通りだけどね」

箒「正しいと言えば正しいが……」
160 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 17:59:20.70 ID:2QEqK7VR0

ガヤガヤワイワイ

箒「何だ、向こうが騒がしいな」

清香「何かあるのかな?」

静寐「イベント?そんなのなかったと思うけど」

本音「このあとあと〜一時からから〜セシリア・オルコットががが〜円卓の騎士の一人と決闘するんだてだて〜」

箒「セシリアが!?」

清香「円卓の騎士って……代表集団じゃん!」

静寐「そんなーーーって本音、知ってたの?」

本音「ううん〜聞こえた〜」

静寐「聞こえたって……」

本音「えっへん!私は出来るの子なのだ〜」

清香「恐ろしい子……!」

箒(一夏に教えなければ……)
161 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 18:36:41.15 ID:2QEqK7VR0


『御用の方は発信音の後に』ブツッ


箒「あの馬鹿……何をしている……」

清香「どうしたの?」

箒「いや、気にしないでくれ」

静寐「いくら代表候補生だからって言っても代表相手は無理じゃないかな……」

本音「でもでも奇跡は分からない〜」

清香「そう、本音の言う通り!ってそうじゃなくて!」

本音「?」キョトン

静寐「この学園にいる円卓の騎士は一人だけ……駄目、セシリアさんと最も相性が悪い……」

箒「どんな人なんだ?」

静寐「円卓の騎士の中では最年少で日も浅い……けど、円卓の騎士の実力は全員ほぼ互角……そしてーーー」

本音「武装は〜八つのランサービットに〜槍と盾だけ〜」

清香「えっ?それだけ?なら大丈夫なんじゃない?」

静寐「馬鹿、それだけなのに円卓の騎士になってるのよ」
162 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 18:54:28.24 ID:2QEqK7VR0
本音「絶断オールオーバーは〜装甲は豆腐で〜絶壁ソリッドシールドは〜今まで傷がなくて〜二つともちょ〜おっきくて〜」

箒「近接戦闘……駄目だ、近付かれたら終わりだ」

清香「あわわわ……ど、どうなるのかな?」

静寐「セシリアさんには悪いけど、結果は目に見えてるね。流石に相手が悪過ぎる」

本音「でもでもお互い様様〜」

箒「相性が悪いのはお互い様だ。しかし、実力がそれを帳消しにする」

静寐「そういう事、相手の人に賭けるのが利口だね」

箒(何故セシリアはそんな相手に勝負を……?嫌な予感がする……まさか……セシリアは……)

清香「何薄情な事言ってんの!クラスメイトなんだから応援してあげようよっ!」

本音「お〜!ふれーふれー!セッシー!」

静寐「ここで応援しても仕方ないでしょ……」


『御用の方は発信音の』ブツッ


箒(馬鹿……何をしている……早く出ろ!)
163 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 19:04:53.08 ID:2QEqK7VR0
〜織斑家〜

一夏(箒から電話?ま、いっか)ジュージュー

一夏「クロエーもうすぐ出来るからなー」ジュージュー

クロエ「はい……!」

クロエ「一夏様、先ほどから携帯に着信が来ていますよ」

一夏「いいの、いいの。今は飯が先」

クロエ「は、はあ……そうですか……」

クロエ(恐らく緊急事態だと思うのですが……先程から何度も発信なさってますのに……)

一夏「おっとと、焦げる焦げる」カンカンカン

一夏「仕上げのマヨネーズを入れてよく混ぜてっと」サッサッサッ

一夏「ほいっと」ボンッ

一夏「それとこっちもフライパンに皿を当てて……よっと」クルッ

一夏(何回かけてくるんだ?いい加減、留守電っていうシステム使えよ……)
164 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 19:17:14.26 ID:2QEqK7VR0
一夏「よっしゃ、お待たせ。特製餃子と特製炒飯だ」

クロエ「お、美味しそうです」

一夏「それじゃあ、いっただきまーす」

クロエ「いただきます」

一夏「うん、やっぱり料理は出来立てに限る」モグモグ

クロエ「……」モグモグ

一夏「あれ?口に合わなかったか?」

クロエ「そ、そんな事ありませんよ……!どちらも手作りとは思えない味です……!」モグモグ

一夏「そうかー何てったって直伝だからなースーパーで買った食材が店の味になるんだよ」モグモグ

一夏「ま、若干アレンジ足してあるけど」

クロエ「それでも美味しいです……」ホクホク

一夏「うん、我ながら惚れ惚れする出来だな」モグモグ

クロエ「着信、止まりましたね……」

一夏「箒も観念したか」
165 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 19:37:39.12 ID:2QEqK7VR0
一夏「もう一時前か……早いもんだな」モグモグ

クロエ「そうでしょうか……?」

一夏「ああ、俺の体感の話だから、気にしない気にしない」

クロエ「探し物が予想以上に時間がかかってしまったからだと思うのですが……」

一夏「確かに……それもあるな」ヒョイ パクッ

一夏(ま、俺が食材選ぶのに時間かかったのもあるんだけど……)モグモグ

一夏(何時にIS学園に戻るかな……晩飯食べてからでもいいけど箒が寂しがるだろうし……)モグモグモグモグ

クロエ「……」モグモグ

クロエ(先程一夏様は直伝、と言っていましたが……誰に教わったのでしょうか……)モグモグ

クロエ(千冬様、でしょうか……?)モグモグ

一夏(そうだな……それでいいかな。後で晩飯の買い物に行くのも面倒だし)モグモグ

一夏「もーらいっ」ヒョイ

クロエ「あっ……」スカッ
166 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 20:00:36.72 ID:2QEqK7VR0
〜アリーナ〜

「セ、セシリアさん……本当にやるの?」

セシリア「ええ、もちろんです」

「……」

セシリア「あなたの応援、感謝します」

「あのっ……!無理にする必要ないんじゃ……ないかな……」

セシリア「……何故ですか?」

「だって……セシリアさん、何か変だよ……クロニクルさんに負ける前とは全然違うし……」

セシリア「……」

「ねえ、やっぱりやめようよ……こんなの無茶だよ……今からでもーーー」

セシリア「私は退けないのです!」

「ッ」

セシリア(そう……差し伸べられた手を払い除けるような……恥知らずな私は……)
167 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 20:15:51.63 ID:2QEqK7VR0
セシリア「お待たせして、申し訳ありません」

三年生「構いません。例え何が起ころうと結末は同じ」

セシリア「……」

セシリア(いつもと違う……何故……)

三年生「どうしました。どこからでも来なさい」

セシリア「……それでは!」

ピチュチュチュチュチュチュチュチュン

セシリア(最初から全力で……!!)

三年生「……」スッ


バチチチチチチチチィンッ


セシリア「ッ!?」

セシリア(ビットで全ての攻撃を防いだ!?)

三年生「それだけですか。この程度ならビットで充分です」
168 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 20:24:21.75 ID:2QEqK7VR0
セシリア「ッ……なら!」バシューンッ

三年生「……」バチィンッ

セシリア(包囲しましたわ!!これなら!!)


ピチュンッ ピチュチュチュチュン ピチュンッピチュンッ


三年生「……」ドンッッ

セシリア(突破されーーー)


バシーンッ


セシリア「あうっ……ッ!」チャキッ

三年生「……」ガシッ ググググッ

セシリア「ううっ……くうッ………この!!」ガコンッ

三年生「愚かな」スッ
169 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 20:41:14.30 ID:2QEqK7VR0
セシリア(しまった!?)


ドガガガガガガガガッ


セシリア「きゃあああぁぁぁっ!!」

三年生「はあッ!」ドゴッッ

セシリア「うあッ……!!」

三年生「……こうも容易く背中を取れるとは」

セシリア「けほっ……はあっ……はあっ……」

三年生「どうしました。威勢が良いのは最初だけですか」

三年生「私はまだ、薔薇を手放してはいません」スッ

セシリア「ッ……!!?」

セシリア(そんな……盾すら喚び出していない……!?)

三年生「貴女はまだ……私を敵に回すには未熟」
170 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 21:02:43.72 ID:2QEqK7VR0
箒(何をやっているんだ……戦い方があまりに盲進的過ぎるぞ……)

本音「あう〜お手玉だ〜」

静寐「ほら、やっぱりね……」

清香「やっぱりね、じゃないって!」

静寐「あそこ簡単に肉薄されちゃあこの先どうしようもないでしょ……」

清香「この薄情者〜!」

静寐「事実を言ってるだけだよ」

箒「静寐の言う事は確かに事実だ」

清香「篠ノ之さんまで〜!」

箒「爆発的な機転がなければ、セシリアは勝てない……」

本音「boom〜!」

清香「頑張れー!セシリアさーん!!」

箒(一夏……速く……気付いてくれ……)ギュッ
171 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 21:12:38.84 ID:2QEqK7VR0
三年生(無駄な事を……いくら包囲したところで)

バチチチチチィンッ

三年生(私にも、ビットがあるというのに)

バチチチィンッ バチィンッ バチチチチチチィンッ

セシリア「……!」チキッチキッ

『OVERHEAT』

三年生(熱管理を誤るとは……)

セシリア「ッ……!」ガコンッ ズドンッ

三年生「……」チュインッ

セシリア「……」ズドンッズドンッズドンッ

三年生「……」バッ

セシリア「ブルーティアーズ!!」ズドンッ

ピチュチュチュチュチュン ピチュンッ ピチュチュチュチュン

セシリア(ランサービットは戻っている最中……!!)

三年生(同じ事を)ドンッッ


バシーンッ


セシリア「ううっ……!!」

三年生「……」スッ
172 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 21:28:21.53 ID:2QEqK7VR0
セシリア「ッ……はあっ……はあっ……!」

セシリア(何故……攻撃は顔をはたくだけ……止めを差そうと思えば……いつでも出来るはずなのに……)

三年生「……」

セシリア(私は……あの薔薇を手放させる事すら出来ないのですか……)

セシリア「いいえ!そんな事は!」ズドンッ

ピチュチュチュチュチュチュチュチュン

三年生「……」バッ

バチチチチチチチチィンッ

セシリア「来るッ!?」

ドガガガガガガガガッ

セシリア「ううううっ!!くうぅぅぅぅっ!!」

ガシャシャシャシャシャシャシャシャ

三年生「己にすら打ち勝てぬものが、敵に打ち勝つ事など……不可能です」

セシリア「けほっ……こほっ……私にッ……恐れるものなど……ありません!!」

三年生「その意地……どこまで保てますか」
173 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 22:08:07.08 ID:2QEqK7VR0
〜織斑家〜

チョキン

一夏(あいつの癖……ずっとこれを触ってたんだな……)

一夏(大事にしてくれてたんだな……紐変えてまで……肌身離さず……)

一夏(なくしたと思ってたけど……まさかな……)

一夏(あいつに何て言おうかな……とりあえずお礼言わなくちゃな)

一夏「……」シュルッ

キュッ

一夏「よし……出来た……」

一夏(これで当分、千切れないだろうな)

クロエ「あの……一夏様……」

一夏「どうした?」

クロエ「箒様からの連絡は……よろしいのですか?」

一夏「あ、忘れてた」
174 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 22:22:12.23 ID:2QEqK7VR0
一夏「おーい、箒ー?」

箒『この馬鹿者ッ!今まで何をしていた!?』

一夏「何って……野暮用なんだけど……」キーン

クロエ(箒様……怒っていらっしゃいますね……)

箒『野暮用でも急用でも何でも、電話ぐらいすぐに出ろ!』

一夏「どうもすいません……」

箒『ッ〜!そんな話をしている場合ではない!セシリアが大変なんだ!』

一夏「セシリアが……?どうしたんだ?」

箒『円卓の騎士に戦いを挑んだんだ!しかしまともな戦いが出来ていない!』

一夏「だろうな……」

箒『他人事ではない!セシリアは文字通り当たって砕ける気だ!このままでは!!』

一夏「……」
175 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 22:32:14.11 ID:2QEqK7VR0
箒『相手もセシリアの事を見抜いている!だからあえて叩き潰す事はしていないがそれも時間の問題だ!!』

一夏「……」

箒『ここで挫けてしまったら、あいつは二度と立ち直れないかもしれない!!』

箒『おい一夏!!聞いているのか!!』

一夏「分かった。すぐ行く」


ピッ


クロエ「一夏様」

一夏「クロエーーー」

クロエ「施錠なら既に」

一夏「急いで学園に戻るぞ」

クロエ「了解しました」
176 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 22:44:22.28 ID:2QEqK7VR0
〜アリーナ〜

「セシリアさん……頑張って……」ギュッ


バシュンッ


一夏「クロエ!」

クロエ「はい」ピピピッ

「ちょ、ちょっと……」

一夏「ええい、もう俺が行くしかないよなぁ!ああ、そうだよな!ISでブッ飛んでまで来たんだ!こうなったらとことんやるしかないよなこん畜生!」

クロエ「準備完了。ハッチ解放」

「待って!二人とも!!」

一夏「待てるかよ!このままじゃセシリアがーーー」


「セシリアさんはまだ!!負けてない!!」


一夏「!!」
177 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 23:01:25.01 ID:2QEqK7VR0
三年生「まだ、戦いますか。セシリア・オルコット」

セシリア「……」バシューンッ

三年生「……」バッ

バチチチチィンッ バチチチィンッ バチチチィンッ

セシリア(そこ!!)

三年生「……」ヒュッ


バチィンッ


三年生「これが答えですか」シュウゥゥゥ…

セシリア「そんなッ……!!」

三年生「包囲した八つのビットで時間差攻撃を加え、回収すると見せかけ、残しておいた一発を背後で撃つとはいい考えです」

三年生「しかし、苦し紛れの技など盾を使うまでもありません」

セシリア(次は……次の攻撃は……どうすれば……)

三年生「何故、分からないのですか」

セシリア「そんな事……分かりたくもありません……」
178 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/18(月) 23:06:09.23 ID:YdltNi9V0
179 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 23:13:57.52 ID:2QEqK7VR0


三年生「いい加減にしなさい!!そのような事で、誰も倒す事など出来ません!!」


セシリア「ッ!?」ビクッ

三年生「……考えないのも戦いと、私は言いました……しかし、このような事をさせる為にそう教えたのではありません」

セシリア「……」

三年生「何故分からないのです。貴女は、ただただ無為な事をしているのですよ」

セシリア「ですが……ですが私は!!」

三年生「ならば」


ビュゴォッッ!!


セシリア「きゃああぁぁぁっ!!」

三年生「私は貴女を、倒します」

セシリア(全く見えなかった……!?)
180 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 23:25:10.71 ID:2QEqK7VR0

ジャキッ

セシリア「ッ!?」

セシリア(迎撃ーーー間に合わない!!?)


ドガガガガガガガガガガガガガッ!!


セシリア「うああぁぁぁぁぁぁ!!!」

三年生「はあッ!!」ビュゴオォォォッッ


ガギャギャギャギャギャギャギャンッッ!!


三年生「うおぉぉッッ!!」


ドゴッッ!!


セシリア「かはッッ……!!」
181 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 23:36:12.56 ID:2QEqK7VR0


ズシャアァァァ


セシリア「う……あ……あぐっ……」

セシリア(意識が……駄目……ここで負ける訳には……)

セシリア(武器を……インター……セプター……)チャキッ


バチィンッ


セシリア「ッ……!?」

三年生「どうしました。立ちなさい、立って戦いなさい」

三年生「セシリア・オルコット」

セシリア(私の……攻撃は……何一つ……あの人に……届かないの……です……か……)

セシリア(私は……私は……!!)ジャリッ

三年生「……」

三年生「薔薇の花言葉は愛」スッ
182 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/18(月) 23:45:47.00 ID:2QEqK7VR0


グシャッッ


三年生「愛とともに、散りなさい」パラパラ…

セシリア(もうっ……駄目……!!)

三年生「はあぁぁぁぁッッ!!」ビュゴオォォォッッ


ガアンッガアンッ


三年生「何ッ!?」バッ

セシリア「この……攻撃はッ……!?」


一夏「まさかの時にスペイン宗教裁判!!」


セシリア「なっ……!?」

三年生「!?」

一夏「我々の多様な武器は恐怖、唐突、未知、えーっと……以下省略だこの野郎!!」
183 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 00:08:21.82 ID:pFKHH7JQ0
クロエ「モルドレット様、突然の無礼を御許しください。我々は、再試合を申し出ます」ギョインッギョインッ

三年生「私達の決闘を邪魔するとは……許せません……」

一夏「決闘?『こんなの』が?」

一夏「力で相手を叩き潰すだけが決闘か!?ふざけんなよ!!こんなもの、もう決闘でも何でもないんだよ!!」

一夏「さっきから聞いてれば気持ちのいい事ばっかり言いやがって!!何様だよ!!円卓の騎士様がそんなに偉いのかよ!!?」

一夏「悩んでる奴を叩き潰すだけの奴のがそんなに偉いのかよ!!!」

三年生「ッ……」

一夏「どうなんだよ!!?」

セシリア「あ、あなた!!」ガシッ

一夏「おう……だ、大丈夫か?セシリア」

セシリア「自分のなさっている事が分かっていますの!?」グイグイッ

一夏「わ、分かってる!分かってるって!」ガクガク

セシリア「いいえ!分かってませんわ!!」
184 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 00:30:00.17 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「私はあなたの助けなど必要ありません!!余計な事をしないでくださいまし!!」

一夏「馬鹿言うなよ……」

セシリア「いいえ、馬鹿な事など言ってませんわ!!」

セシリア「大体あなたに……あなたなんかの助けがなくったって私は……私は……あの人に……!!」グスッ

セシリア「あの人にッ……ううっ……」ポロポロ


一夏「あーあー泣くなよ。ほら、これ持ってろよ。ほら」 スッ


セシリア「こ……これは……それにその言葉……!」

一夏「いいだろ。それはな、俺が姉ちゃんから貰ったやつなんだぜ」

セシリア「あなた……あの時の……!!」

一夏「お前もな」

一夏「すいませんねー!セシリアは再試合してもいいそうですー!そっちはどうですかー?」

三年生「……構いません」

クロエ「それでは御二方、ピットへ」
185 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 00:39:40.46 ID:pFKHH7JQ0
一夏「エネルギー補給が終わったらすぐに出ろよ」

セシリア「ええ……分かりました……」

一夏「クロエ、どうだ?」

クロエ「残り三十秒です」

一夏「はいはい、三十秒ね」

一夏「……」

セシリア「……」

セシリア「あの……」

一夏「詳しい事は後だ。今は試合に集中しろ」

セシリア「い、言われなくても分かってますわ!」

一夏「はははっ、それだけ強がりが言えるならまだ大丈夫だな」

『補給完了』

一夏「よし、行ってこい。セシール」

セシリア「セシリアですわ!!」
186 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 01:16:24.12 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「お待たせしました」

三年生「……」

三年生(恐怖が、なくなっている……?先程までとは別人……いや、これが彼女の本来の姿……なのでしょう……)

三年生(今までオルコットに纏わり付き続けていたものが……こうも簡単に……打ち払われるとは……)

一夏『セシリア、大丈夫だ。俺とそのお守りがついてるからさ』グッ

セシリア『はい!』

セシリア(私に……力を……)ギュッ

三年生(織斑一夏……私は……貴方に少し……)

三年生「ふふっ……」

セシリア「どうかなさいましたか?」

三年生「いえ、気にしないでください」

セシリア「そ、そうですか……」

三年生「それでは始めましょうか。今度こそ、決闘を」

セシリア「はい、互いに全力を尽くして!」

クロエ「それでは、試合開始」
187 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga sage]:2016/01/19(火) 01:21:30.04 ID:pFKHH7JQ0
続きは明日で。
ビット系ってどこかの監督の言う通り駄目なやつだと改めて認識した。
188 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 01:32:15.63 ID:MrbyiZ3h0
乙、楽しみにしてる
189 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 07:24:15.93 ID:MDohADYDO
やっぱりビット食ってるようなやつは駄目だな
190 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 20:36:06.26 ID:pFKHH7JQ0
クロエ『一夏様、本当に、これで宜しかったのですか?』

一夏『ああ、これでいいんだよ』

一夏『迷子には、誰かがついていてやるだけで』

クロエ『迷子、ですか?』

一夏『あいつさ、昔近所で迷子になって事があったんだよ。ずっと泣いててさ、一人が怖くて怖くて仕方ない、って感じだったんだよ』

一夏『クロエに負けてから、またあいつからそれが出てたんだよ』

一夏『本人が気付かない内に、あの出来事がトラウマになってたんだろうな』

クロエ『仰っていた不安感の原因は既視からきていたものでしたか』

一夏『気付くのに……かなり時間かかったけどな』

クロエ『ですが。彼女は今、その恐怖を捨て去り、戦っていらっしゃいます』

一夏『当然だろ。何てったってあいつは超天才の超秀才、風雲児セシリア・オルコットなんだからな』
191 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 20:53:13.94 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「ブルーティアーズ!!」

ドガガガガガガガガッ

三年生(私のビットが追い付きませんか……しかし、ソリッドシールドは破れません)ガガガガッ

セシリア「……」バシューンッ

チュインッ

セシリア「!」

セシリア(今の動きは……もしかして!!)

三年生「はあっ!」ビュゴオォォォッッ

セシリア「同じ手を!」バッ

三年生「いいえ!!」ブンッッ

セシリア(槍の軌道を変えた!?ですが受け止めてみせます!!)バッ

『BURST MODE』ジャパッ

セシリア「これは!?」


バシュウゥゥゥゥゥンッッ


三年生「ぐあぁぁッ!!……なッ……!?」

三年生(ブルーティアーズのビームが変わった……!?)
192 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 21:07:45.00 ID:pFKHH7JQ0
セシリア(ビットが合わさり放つビーム攻撃……これが……お父様が作った新しいブルーティアーズの力……)

セシリア(これならやれますわ!!)

セシリア「行って!!」バシュウゥゥゥゥゥンッッ

三年生「うおぉッ……!!」

三年生(この威力……ビットの放てるものではありません!)

セシリア「まだです!」ガコンッ

三年生(近接用のミサイルをこの距離で……?)

ジャキッ

セシリア「させません!」バシューンッ

ピチュチュチュチュチュチュチュチュン

三年生「はッ!!」


バシャッ ドドドドドドドガアァァァァンッ


三年生(弾頭を分裂させてしまいましたか……しかし狙いはこの爆煙を作り出す事でしょう……)
193 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 21:19:52.01 ID:pFKHH7JQ0
セシリア(狙い通り……後はインターセプターを!)ガチンッ ガコンッ

三年生(居場所は分かっています)ジャキッ

ピチュチュチュチュン ピチュチュチュチュチュンッ

三年生(この攻撃は全て陽動……本当の狙いは)

三年生「そこです!!」ビュゴオォォォッッ

セシリア「てやあぁぁぁ!!」ゴオオォォォッ


ガギャギャンッッ!!


セシリア「うぐッ……まだッ……!!」ガシィッ

三年生「何ッ!?」


ズドンッズドンッズドンッズドンッズドンッズドンッ


三年生「ぬッ……おおおッ……!!」

三年生(接射の為だけに突進を……!?)

セシリア(全てを一点に!!)ズドンッズドンッズドンッ

三年生「ッ!!」バッ

三年生「はあぁぁッッ!!」ドゴッッ

セシリア「きゃあぁぁぁっ!!」
194 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 21:32:50.29 ID:pFKHH7JQ0

ジャキッ

セシリア(ビットが来るッ……迎撃を……!!)

バシュウゥゥゥゥゥンッッ

セシリア「しまった!?」

セシリア(ビームを掻い潜られたッ!?)


ドガガガガガガガガッ


セシリア「きゃあああぁぁぁっ!!」

三年生(ビットを合わせたという事は、手数を減らし、機動力を殺し、射線は巨大な一つのみ……突破は容易い!!)

三年生「おおぉぉぉぉぉッッ!!」ビュゴオォォォッッ


ガギャギャギャギャギャギャギャンッッ!!


セシリア「うああぁぁぁぁ!!くうぅぅぅぅっ!!」

ガコンッ

三年生「何度も同じ手を!!」バッ

ピチュンッ ピチュチュチュチュン ピチュチュチュチュュン

セシリア「そこ!!」バシューンッ
195 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 21:44:34.14 ID:pFKHH7JQ0


ドガアァァァァンッ


三年生「同じ手は通用しません!!」ジャキッ

バシュウゥゥゥゥゥンッッ

三年生「う、うおぉぉぉッッ……そこです!!」

ズガガガガガッ

セシリア「ビットがッ……!?しかし!!」

バシューンッ バシューンッ

三年生(これでブルーティアーズはビットを全てを失いました!!)

三年生「おおぉぉぉぉぉッッ!!」ビュゴオォォォッッ

セシリア「!?」バシューンッバシューンッ

セシリア(レーザーを避けずに!?止められない!!)

ガギンッッ

セシリア「うあッ……!!」

三年生「はあぁぁッ!!」ビュッッ

セシリア「くうッ!!」ガシィッ
196 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 21:57:07.28 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「この!!」チャキッ ヒュッッ

三年生「ッ!!」バシィンッ

セシリア「ッ……!!」ポロッ

三年生「おおッッ!!」ドゴッッ

セシリア「うあッッ!!」

三年生「はあぁぁぁぁぁッ!!」バッ


ガギャギャギャギャギャギャギャンッッ!!


セシリア(……ライフルと……インターセプターが……それにもうミサイルもビットも……ありません……)

セシリア(もう戦う術が……私には……ありません……)

セシリア(私の負け……ですね……)

セシリア(やはり私は……まだあの人には届かないのですね……)


カサッ


セシリア「!!」

セシリア(いいえ、まだ……私は……負けてはいません)

セシリア(ブルーティアーズはまだ……戦えます!!)
197 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 22:10:10.91 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「ブルー……ティアーズッ……!!!」


『BLUETEARS FULL-DRIVE』


キュイィィン……バシュウゥゥゥゥゥンッッ!!


三年生「ビームが曲がった!!?うおぉぉぉぉッッ……!!」

三年生(これさえ……これさえ凌げれば……!!)

ピキピキピキ

三年生「そんな!!?」ピキピキピキ

三年生「ばッ、馬鹿なッ……!?ソリッドシールドが……!!?」


バキィンッッ


三年生「うああぁぁぁぁぁぁッッ!!」

セシリア「やった……砕けた……!!」
198 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga ]:2016/01/19(火) 22:40:26.01 ID:pFKHH7JQ0
三年生「まさか……あなたは……最初からこれを狙って……」

セシリア「あなたのソリッドシールドは……今まで一度も交換した事はありません……」

三年生「その通りです」

セシリア「しかし、いくら頑強な盾だったとしても『絶対に壊れない』という事はありません……いつか必ず壊れる時が来ます……」

セシリア「今日の戦いに至るまで蓄積されてきたダメージに加え……ビットでは防ぐ事の出来なかった私の攻撃……」

三年生「あの無茶な接射や……ミサイル攻撃……私を狙ったビーム攻撃も……」

セシリア「はい、そうです……持てる火力を集中させ、あなたのソリッドシールドを破壊する為に……」

三年生「私の傲りが、仇になりましたか……」

三年生「見事です……セシリア・オルコット」

セシリア「ありがとうございます……ですが」


『ENERGY EMPTY』


セシリア「私の負け、です……」
199 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 23:04:21.54 ID:pFKHH7JQ0
三年生「いいえ、勝ったのは貴女です」

三年生「私の傲りである……ソリッドシールドを打ち砕いたのですから」

セシリア「しかし!」


パチ…パチパチパチ……パチパチパチパチパチパチ!!


三年生「ほら、この場にいる誰もが貴女を勝者だと認めていますよ」

セシリア「み、皆さん……」


清香「いいぞー!!セシリアさーん!!」

本音「よっ、日本一ぃ〜!!」パタパタ

静寐「格好良かったよー!!」

箒「良い戦いだった……」

クロエ「御見事です」

一夏「……」グッ


パチパチパチパパチパチパチパチパチパチパチパチッ!!


セシリア「皆さん……ありがとうございます!!」
200 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/19(火) 23:32:22.57 ID:pFKHH7JQ0
セシリア「え……あっ……」フラッ

三年生「おっと」トンッ

セシリア「あ、ありがとう……ございます……」

三年生「言ってたでしょう?貴女は無茶をし過ぎです」

セシリア「……」

三年生「まるで、昔の私を見ているようですがね……」クスッ

セシリア「えっ……?」

三年生「意外ですか?」

セシリア「は、はい……少し……」

三年生「よく言われます」

三年生「……まずはピットへ戻りましょうか」

セシリア「はい」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/23(土) 16:00:24.96 ID:vJNlPIEI0

「セシリアさん!大丈夫!?」

セシリア「はい……見た目より、幾分か軽いものですから」

「良かった……本当に良かった……セシリアさん……」グスンッ

セシリア「そ……そんな……泣かないでくださ……い」オロオロ

「だって……あんなに頑張ってるのに……私……ここで見てる……事しか出来なくて………」グスッ

三年生(……素晴らしき隣人ですね)

三年生(実に、美しい……)

一夏「……」

クロエ「……」チラッ

一夏「何だよ」

クロエ「いえっ……何でもありません……」

一夏「流石の俺でもここは茶化さないよ」

クロエ「そ、そうですね……」
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