P「ゲームの世界に飛ばされた」FINAL2

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610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:39:52.06 ID:rmMzSg3nO

ベヒーモス「ちっ……しぶといねぇ、マコト」

ベヒーモス「アタイの攻撃にしっかりついてくるその運動量、流石だよ」


真「……ははっ、そっくり言葉を返すよ、ベヒーモス」

真「君の圧倒的なパワーには本当に驚かされる。まさかこんなに苦戦することになるとは思わなかったよ」




真「……でも、こうも思うんだ」

真「『もっとこの時間が続いて欲しい』ってさ」


ベヒーモス「………」


真「もちろん、ずっとここにいるなんてそんなわけにはいかない。ボクは小鳥さんのもとへ行かなくちゃならないから」

真「ただ、君との勝負が思った以上に楽しくってさ。この勝負もいつかは終わっちゃうんだって思うと、少しだけ決着をつけるのが惜しい気がして……」


ベヒーモス「………」

ベヒーモス「……あんたは不思議だね」


真「えっ?」


ベヒーモス「アタイのパワーを見て怖気づくどころか、真っ向から勝負を挑んで来る。それも、アタイのパワーに匹敵するほどの技で」

ベヒーモス「だからアタイはもっと強いパワーをあんたにぶつける。当然マコトも技の威力を更に上げて対応してくる」

ベヒーモス「アタイはこれでも親衛隊の隊長だ。アタマ張ってるからには負けるわけにはいかない」

ベヒーモス「でも……そんな立場なんて関係なく、あんたとのやり取りをアタイも『楽しい』って思っちまってる」

ベヒーモス「……あんたのそのまっすぐな気持ちにそう思わされたんだ、きっと」

ベヒーモス「ふふっ、アタイもまだまだ若いねぇ……」ニヤリ


真「……へへっ」ニコッ

611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:47:00.89 ID:rmMzSg3nO

ベヒーモス「だが、ここで疑問に思うことがひとつあるんだ」

ベヒーモス「あいどるになるヤツってのはみんなあんたみたいに腕が立つ者ばかりなのかい? アタイがコトリ様から聞いたあいどる像とは随分違うみたいなんだけど……」


真「あー……うーん……」

真「えーっと……ほ、ホラ、修行して強くなったんだよ、きっと!」


ベヒーモス「ふーん……まあ、アタイたちと戦うつもりだったんなら修行もするだろうけどさ」

ベヒーモス「でも、衣装はどうしたんだい? あいどるってのはもっとこう……ふ、フリフリのカワイイ衣装とかを着るもんじゃないのかい?」


真「……そりゃあ、ボクだってフリフリの衣装を着て戦いたいよ」

真「でも、今のボクにはあんまり似合わないかなって」

真「でも、いつかはそういうキャピキャピの衣装が似合う女の子に絶対なるんだ!」


ベヒーモス「………」

ベヒーモス「……最初から思っていたけど、マコト、あんたまさか、女なのに男っぽく見られるのが悩みだったりするのかい?」


真「えっ! どうして分かったの!?」


ベヒーモス「あんまり自分で言うのもなんだけど、実は……アタイもあんたと似たような境遇なんだ」

ベヒーモス「だいたいのヤツはアタイのことをレディとして扱ってくれやしない」


真「そっか……君もそうだったんだね。すっごく分かるよ、その気持ち」


ベヒーモス「あいどるになるためには可愛らしさも必要だって聞いた。そうだろ? マコト」


真「うん。だからこそ、ボクはもっともっと女の子らしくならなきゃいけないんだ!」


ベヒーモス「それはアタイだって同じだ。アタイも一応、その……お、女の子なんだからね!」

ベヒーモス「でも、だとしたらこうも考えられる」

ベヒーモス「アタイたちは似た者同士、つまり……」




ベヒーモス「あんたとアタイの勝負は、女の子らしさを賭けた戦いだ、ってね……!」バーン




真「な……なんだってー!?」ガビーン

612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:49:56.24 ID:rmMzSg3nO

ベヒーモス「………」


真「………」





ベヒーモス「勝負ってのは常に非情、そして絶対だ」


真「……うん、分かってる。この勝負、勝った方が……」


ベヒーモス「……女子力が高いってことになる……!」


真「………」ゴゴゴゴ


ベヒーモス「………」ゴゴゴゴ



ベヒーモス「出し惜しみは無しだ。アタイの女子力を全てあんたにぶつけてやるよ……!」


真「望むところだ! ボクの方が女の子らしいってこと、証明してやるっ!」グッ


真「うおおおおっ!!」タタタタ






真「……きゅんきゅん☆正拳突きぃッ!!」ブォンッ


ベヒーモス「ラブリー☆ショルダータックルァァ!!」ズドドド



…ドゴオオオオォォオオンッ!!!


613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:52:22.08 ID:rmMzSg3nO
ー 月の地下渓谷 B1F ー


レッドドラゴン「おりゃっ!!」ブンッ


あずさ「プロテス〜」

パキーン!


レッドドラゴン「うらあああっ!!」


ドゴオッ!!


あずさ「きゃっ……!」ヨロッ


レッドドラゴン「もらったァ! 熱せ」


あずさ「ぶ、ブリザガ〜」バッ


コォォォ…シャキィィン!!


レッドドラゴン「モガッ!?」ジタバタ



あずさ「!」

あずさ(今……! 今このチャンスに『あの魔法』が使えれば……!)

あずさ(でも、出てこないのよねぇ……)

あずさ(本当に、なんで思い出せないのかしら〜……?)


レッドドラゴン「んにゃろぉ!!」ブンッ


バキィンッ!!


レッドドラゴン「ふぅ……」

614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:55:11.11 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「……どうした、アズサ?」


あずさ「………」


レッドドラゴン「ブリザガで口を封じられてたオレ様は、あんたからすれば絶好の叩き時だったはずだぜ」

レッドドラゴン「それをしなかったってことは、まだ思い出せないんだな? 例の魔法をよ」


あずさ「………」


レッドドラゴン「言っておくが、勝負ってのは運の要素も強ええ」

レッドドラゴン「あんたが今だに思い出せないってんなら、それはあんたに武運が無かったってことになる」

レッドドラゴン「ここからはもう、手加減はしねーぜ!」



レッドドラゴン「コトリ様の親衛隊、特攻隊長として、オレ様は……全力であんたを撃つ!!」



あずさ「!」

615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:57:29.50 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「逃げ場なんて残さねえ。この階全体を覆い尽くすくれーの、特大の熱線だ……」

レッドドラゴン「はあああああっ……!!」ゴゴゴゴ



あずさ(勝負を決める気なのね、レッドドラゴンさん)

あずさ(思えば、今までだって私を消せる場面は何回もあったはず)

あずさ(ここまで待ってくださったレッドドラゴンさんの期待にも応えられず……)

あずさ(……みんなとの約束も果たせないまま、終わってしまうだなんて……)

あずさ(そんなの……)



レッドドラゴン「足掻いてみせろや! アズサァァァッ!!」

ゴオオオオオォ!!!




あずさ(……そんなの、悔しすぎるわ……!)




あずさ(お願い……!!)



ゴオオオオオォッッ!!!



あずさ(………………私に、力を…………!!)ギュッ











……キラッ




あずさ「…………え?」

616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:01:58.10 ID:rmMzSg3nO
ー 地球 ファブール城上空 ー


…ビュオオオ


ルビカンテ「………」

バルバリシア「………」

ルビカンテ「………」

バルバリシア「………」



バルバリシア「……なに黄昏れてるのよ、ルビカンテ」

ルビカンテ「……いや、良い風だと思ってな」

バルバリシア「ふふっ、そんなの当たり前じゃない。この『風のバルバリシア』の背中に乗って感じる風なんだから!」

ルビカンテ「風のバルバリシア……か。懐かしい呼び方だ」

バルバリシア「他人事みたいに言わないでくれる? あなたの気まぐれのせいで私のこの二つ名ももう必要なくなっちゃったんだから」

ルビカンテ「平和な世界はお気に召さなかったか?」

バルバリシア「そういう意味じゃないわよ。……意地が悪いわねぇ」




カイナッツォ「あおいぃぃ〜〜とりいぃぃいいい!!!」




スカルミリョーネ「……だ、黙れカイナッツォ、み、耳が、腐…る……!」フラフラ

カイナッツォ「まっすぐ飛ばんかゾンビめ! 耳どころかお前は全てが腐っているだろうが!」

スカルミリョーネ「……そ、そんなこと言うと、振り落とす…ぞ……?」ブォン

カイナッツォ「なっ!? ちょ、ヤメロ、私を殺す気か!!?」ガシッ

スカルミリョーネ「……し、死してなお恐ろしい土のスカルミリョーネの力、とくと味わうがい…い……!」ブォンブォン

カイナッツォ「ぎゃあああ! ふざけるなあああぁぁああっ!!!」



バルバリシア「……あの二人、あんなに仲が良かったかしら?」

ルビカンテ「ふ、あいどるたちの影響かもな」

617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:06:45.50 ID:rmMzSg3nO

バルバリシア「それにしてもカイナッツォ、相当酷い歌だったわよ? スカルじゃないけど耳がもげちゃいそうだったわ」

ルビカンテ「あれでもヤツなりの精一杯なのだろうが、確かに聴くに耐えんな」

カイナッツォ「……おい、それは聞き捨てならんぞお前たち! 私の歌を馬鹿にするのはいい。だがあの小娘の歌を馬鹿にするのは許さんっ!!」

バルバリシア「誰もチハヤの歌をバカにしてなんかいないじゃない。あなたが歌うと台無しって言ってるのよ!」

カイナッツォ「くっ……!」

カイナッツォ「だ、だが、歌を聴いて私は一気にヤツのことを気に入ったぞ!」

カイナッツォ「あれだけ歌に魂を込めて歌える者など世界中を探してもいないだろう。チハヤこそが最強のあいどるだ! 間違いない!」

バルバリシア「うーん……まあチハヤもなかなかいいセン行っているとは思うけど、やっぱりミキには敵わないわねぇ」

スカルミリョーネ「……あ、アズサが一番……」

ルビカンテ「バカめ、イオリに勝てるわけがなかろう」



カイナッツォ「………」

バルバリシア「………」

スカルミリョーネ「………」

ルビカンテ「………」



カイナッツォ「……まあ、なんだな。私たちもすっかりあいどるたちに感化されてしまったものだな」

スカルミリョーネ「……そ、それは仕方のないこ…と……」

バルバリシア「当然よ! だってあの子たちは人を惹きつける力を持っているもの」

ルビカンテ「……不思議なヤツらだ」

618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:12:46.05 ID:rmMzSg3nO

カイナッツォ「ところでルビカンテ。この見回りとやら、いつまで続ける気だ? かれこれ数時間は飛んでいるぞ?」

バルバリシア「まあ、実際に飛んでるのは私とスカルなわけだけど」

スカルミリョーネ「……い、生き延びて迷子になった人間、助け…る……」

ルビカンテ「アン、といったか。あのトロイアの神官の手助けをしているだけだ。世界を一回りしたら休もう」

カイナッツォ「まったく、我々四天王がまさか人間の小間使いに駆り出されることになるとはな……」

ルビカンテ「そう言うな、カイナッツォ。戦いをやめたからといってすぐに平和が訪れるわけではないのだ」

カイナッツォ「ふん、まあいい。こんな風に空を飛ぶのも、たまには悪いものでもないからな」




スカルミリョーネ「ーーっ!」ピクッ




カイナッツォ「……ん? どうしたスカル。手足でも腐り落ちたか?」

スカルミリョーネ「……よ、呼んで…るっ……!」

バルバリシア「呼んでるって、人間でも見つけたの?」

スカルミリョーネ「……み、南だ、ついて来い、バルバリシア……!」

ビュウゥゥゥーーーー!!


カイナッツォ「のわああぁぁあっ!! いきなり飛ばすなぁーーっ!!」



ルビカンテ「ただ事ではなさそうだな。……おい、バルバリシア」

バルバリシア「……はいはい、仰せのままに」


ビュオオオッ…!!


619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:18:39.07 ID:rmMzSg3nO
ー ミシディア 祈りの館 ー


長老「………」

長老「………」

長老「………」

長老「………」



…ガタンッ

ドタドタドタッ!!



長老「………」

長老「……祈りの最中じゃ、静かにしてくれんかのぅ」



スカルミリョーネ「……お、お邪魔しま…す……」ペコリ

カイナッツォ「……いたたた……!」

カイナッツォ「まったく、いったい何なのだスカル! この辺りはさっき見回っただろう?」


…スタスタ

バルバリシア「相変わらず田舎よねぇ、ミシディアって」キョロキョロ

ルビカンテ「……ほう、あの時の翁か」



長老「誰かと思えば、和平を結んだ魔物たちか。何か用かの?」



スカルミリョーネ「……あ、アズサと話がしたい……」

カイナッツォ「はぁ!? ズルいぞ貴様っ!」



長老「お主が、か?」



スカルミリョーネ「……と、時が、来たのだ……。あ、アズサの本当の力を目覚めさせる時が……!」



長老「……ふむ、そういえばお主らもあいどるたちと関わりがあったんじゃったか」

長老「丁度、ここで共に祈りを捧げていたリヴァイアサン殿たちが喚び出されてしまって、月への祈りの力が弱まっていたところじゃ」

長老「祈りは全ての者に平等。お主の想い、届けるが良い」



スカルミリョーネ「……お、恩に着…る……!」

620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:22:51.23 ID:rmMzSg3nO
ー 月の地下渓谷 B1F ー


あずさ(……)

あずさ(……………)

あずさ(…………………)



あずさ(…………私……?)

あずさ(レッドドラゴンさんの全力の熱線を受けて……)

あずさ(……生きて…る……?)



『…………サ……アズサ……!』



あずさ(この声は……)

あずさ(……もしかして、スーさん?)


『……そ、そう…だ……』


あずさ(まあ、お久しぶりねぇ〜♪)

あずさ(……あら? でも、スーさんたちは地球でお留守番じゃなかったかしら?)


『……み、ミシディアから、声を届けてる……』


あずさ(ミシディア……って確か、亜美ちゃん真美ちゃんの故郷ね。なぜそんなところから?)


『……あ、あまり時間は無い。必要なことだけ言う…ぞ……?』


あずさ(あらあら、何か焦っているみたいねぇ。スーさんにしては珍しいわ〜)


『……あ、アズサ。生き返る時が来た……!』


あずさ(……ええっ!? そ、それはどういうことかしら〜?)

621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:28:19.91 ID:rmMzSg3nO

『……あ、あの時。ゾットでリツコ様と対峙したアズサがーーーを使って力尽きた時。お前の肉体は、正確には生きていた……』


あずさ(あ、あの、今なんて? スーさん、私、なんて魔法を……)


『……だ、だが、お前の魂は肉体を離れて彷徨う寸前だった。その魂を肉体に繋ぎ止めるため、オレの魂を一時的にアズサに貸した……』


あずさ(そうだったの? ということは私、死んでしまったわけではなかったのね……)


『……な、仲間に訊けば分かる。お前の心臓は、あの時点で動いていたはず……』

『……で、でも、オレの魂、返してもらう時が来た……』


あずさ(スーさんに魂を返してしまったら、私は……どうなってしまうの?)


『……し、心配するな、アズサ。今のお前なら、人間の肉体に戻れる。迷えるお前の魂は、お前の強い願いによって再び、その身体に還る……』


あずさ(まあ……!)


『……い、一時的にゾンビとなっていたお前は、ーーーを忘れてしまっただろう。ーーーは光の者にしか扱えない魔法だから……』


あずさ(スーさん、よく聞こえないわ。お願い、もう一度……)


『……つ、強く願え。想いは、必ず……!』


あずさ(……スーさん……)


622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:31:34.80 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「……はぁ、はぁっ……!」ヨロッ

レッドドラゴン「ど、どうだ、これがオレ様の全力だぜ!」

レッドドラゴン「参ったかアズサ!」



レッドドラゴン「………」



レッドドラゴン「……ちっ、影も形も消えちまいやがったか……」

レッドドラゴン「アズサのやつ、魔法が間に合わなかったんだな……」

レッドドラゴン「…………ちくしょう」

レッドドラゴン「勝ったってのに、なんでこんなに後味が悪いんだ!」



レッドドラゴン「………」



レッドドラゴン(……あばよ、女神様)

レッドドラゴン(初恋、ってやつだったぜ)

623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:33:48.92 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「……さて、いつまでもつっ立ってても仕方がねぇ。他の連中の様子でも見てくっかな」



……ザッ




レッドドラゴン「……っ!」ビクッ

レッドドラゴン「お、お前……!」



「……うふふ、私、なんとか生きてたみたいです♪」



レッドドラゴン「あ、アズサ!? よ、良かった!!」

レッドドラゴン「じゃねえ、どうやってオレ様の熱線を防ぎやがった!?」



あずさ「さあ……? ごめんなさい、あんまり覚えてないんです〜」



レッドドラゴン「くそっ、可愛い!」

レッドドラゴン「け、けど、もう一発くれーなら全力の熱線を撃てないわけでもねぇ」

レッドドラゴン「今度こそジ・エンドだぜ!」



あずさ「あらあら、それじゃあ私も頑張らないといけませんね〜」

624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:35:56.64 ID:rmMzSg3nO

あずさ(……強く、願う)

あずさ(大丈夫。『今の私』なら、きっと出来るわ!)



あずさ(私に……)



あずさ(どうか、力を……!)



…キラッ



あずさ(! また……! さっきと同じね。プロデューサーさんから頂いたネックレスが光ってる……)

あずさ(確かこれって、クリスタルの欠片なのよね?)

あずさ(もしかして何か不思議な力が……)



あずさ「ッ……!」ドクンッ














あずさ「……メ…………テオ……?」

625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:37:59.50 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「お別れだぜ、アズサ!」

レッドドラゴン「最大出力の熱線だあああっ!!」


ゴオオオオオオオオッッ!!!



あずさ「………」



レッドドラゴン(やっぱり、さっきのはたまたまかよ)

レッドドラゴン(恨むなよ、アズサ……!)



あずさ「……赦されざる者の頭上に……」



レッドドラゴン(……えっ?)



あずさ「星砕け、降りそそげ!」



レッドドラゴン(ま、マジか!? この土壇場で……!) 



あずさ「うふふっ……」ニコッ





あずさ「……メテオ〜♪」





ヒュー…



ヒュー… ヒューー… ヒュー…

ヒューー… ヒュー… ヒューー…



ズドドドドドドドドドドドッッ!!!



ドゴオオオオオオオオンッ…!!!


626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:40:17.12 ID:rmMzSg3nO

あずさ「……はぁ、はぁっ……」ヨロッ



あずさ「ちょ、ちょっとしんどかったわ〜」

あずさ「生身の体も久々だもの、仕方ないのかしら」

あずさ「……あつっ!」

あずさ「あらあら、左腕に火傷が……」

あずさ「……ケアルラ〜」

シャララーン! キラキラキラ…!


あずさ「……ふぅ。この感覚、ものすごく懐かしい気がするわね」

あずさ「う〜ん、やっぱりリハビリとかしないといけないのかしら〜?」

あずさ「………」

あずさ(……ありがとうございます、スーさん。本当に、助かりました)



あずさ「……そうだわ、そういえばレッドドラゴンさんは〜……」キョロキョロ



「……うぅっ……」



あずさ「!」

あずさ「レッドドラゴンさん……」

タタタタ…

627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:42:40.30 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「……へ……へへっ……や、やりゃできんじゃねーか、アズサ……」

あずさ「動いてはダメです。今、回復を……」

レッドドラゴン「ば、バカヤロー! 敵に情けなんかかけるんじゃねえ!」

あずさ「で、でも〜」

レッドドラゴン「……あんたの勝ちだ。とっとと行け……」

あずさ「あなたをひとり残しては行けません」

レッドドラゴン「ふざけんな……! どこまで優しいんだ、あんたはよォ……!」

あずさ「いいえ、優しいのはレッドドラゴンさんです」

あずさ「私のことなんていつでもやっつけられたのに、わざわざ私がメテオを思い出す時間までくれて」

あずさ「この戦い、本当なら私の負けだったんですよ?」

レッドドラゴン「………」

レッドドラゴン「……本気のあんたとやってみたかっただけだ」

レッドドラゴン「ほ、惚れた……女だからな……///」

あずさ「……あの〜、今なんて?」

レッドドラゴン「なっ、なんでもねぇ! もう行っちまえ!!」

あずさ「あらあら……」

628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:44:26.54 ID:rmMzSg3nO

あずさ「……分かりました、それじゃあ私、行きますね?」

あずさ「私が言うことじゃないかもしれませんけれど、どうかお体に気をつけて」

レッドドラゴン「……おう」



レッドドラゴン「…………最後に、ひとつだけいいか?」


あずさ「はい……なんでしょう?」



レッドドラゴン「人間に戻ったあんたも、最っ高に可愛いぜ……!」



あずさ「……うふふっ♪ ありがとうございます〜♪」ペコリ


タタタタ…




レッドドラゴン「………」


レッドドラゴン「……あーあ、怪我が痛くて涙が出てくらぁ……」ポロッ

629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 22:46:56.22 ID:rmMzSg3nO
ここまでです
カイナッツォが千早Pになったのは、巨人戦で千早の歌を聴いてからです
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 08:18:08.67 ID:M5H45BDqO
四天王の選ぶアイドル談義があったら面白そうだな
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 04:20:39.67 ID:HL4zm5NnO
なんだかんだでこのSS2014年7月に始まったから三年近くたつんだな
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/20(月) 19:40:11.69 ID:lZ7X+kbGO
ふと過去スレ読み返して思ったんだけどさ
黒ちゃんリヴァイアサンなんだよな?蛇なんだよな?
……つまりあの姿のままで顔が黒ちゃん……なの?
グロッ!ある意味でRー18じゃなかろうか
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/22(水) 07:04:31.81 ID:6j4266zGO
このままの流れでこのスレで終わらなそうな気がする
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 04:03:36.78 ID:nHjxpHBjO
春香誕生日おめでとう
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/04/07(金) 10:55:10.69 ID:Cs5pkJBqO
ー 月の地下中心核 ー


『……メテオ〜♪』

『ズドドドドドッ!!!』



P「………」

小鳥「………」

P「………」

小鳥「………」


P「……よし、ナイスあずささん! 流石ですっ!」グッ

P「…………あ」チラッ

小鳥「………」

P「す、すみません、嬉しくってつい……」

小鳥「いいんですよ、別に私のことは気にしなくても」

P「………」



P「あの、小鳥さんとしてはどうなんですか? やっぱり魔物側に勝ってほしかったですか?」

P「……って、なにバカな質問をしてるんですかね、俺ってば。あはは……」

小鳥「うふふ♪」

小鳥「まあ、立場上素直には喜べませんけど、あずささんが負ける姿は想像できませんでしたねー」

P「……やっぱり優しいんですね、音無さんは」

小鳥「えっ? やだなぁ、そんなことないですよぅ、プロデューサーさんったら」

P(……はぁ、なにしてるんだ俺)

P(これじゃ音無さんを救うどころか地雷踏みまくってるじゃないか)

P(しっかりしなきゃ……)

636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 10:58:40.10 ID:Cs5pkJBqO

小鳥「それよりプロデューサーさん、気付きました?」

P「何がです?」

小鳥「今の戦いであずささんがやられそうになった時、胸元がこう、パーって光りましたよね?」

小鳥「その後のあずささん、なんだか雰囲気が変わった感じでしたし、何か力に目覚めたのかしら」

P「ああ……」

P「月に来る前にアイドルたち全員にクリスタルを持たせたんですよ。といっても、それぞれが持っているのはほんの小さなカケラですけど」

小鳥「クリスタル……」

小鳥「なるほど、私への対策はバッチリってところですか」

P「……そうですね」

P「あの子たちにはお守り代わりとして渡してはいますが、一応音無さんとの決戦のことも見据えています」

小鳥(……そうよね。本来ゼロムスとの最終決戦はクリスタルを使ってからが本番だもの)

小鳥(んー、流石プロデューサーさん、抜け目ないわねぇ)

小鳥(ま、私もそう簡単にやられちゃうわけにはいかないんだけど)

小鳥(でも……)

小鳥(『カケラ』でいいんですか? プロデューサーさん)

小鳥(もしかしたら、ちゃんとしたクリスタルじゃないと私に通用しないかもしれませんよ……?)


637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:01:41.12 ID:Cs5pkJBqO
ー 月の地下渓谷 B4F ー



亜美「……はぁ、はぁっ……」

亜美「………」



金竜「……ぐ……!」グッタリ



亜美「ど、どうだ! 大魔道士亜美様の力を思い知ったかーっ!」ビシッ


金竜「……ぬぅ……おのれ……!」


亜美「………」チラッ



銀竜「」カチコチーン



亜美(銀ぴょんはカチンコチンに凍らせたし、金ぴょんもダウン……)

亜美(亜美、やれるだけのことはやったよ!)

亜美(もう起き上がってこないでよね! もう亜美のMPはゼロなんだよ……)

亜美(エーテルももうないから回復もできないし、今向かってこられたら……)


金竜「………」





金竜「………………ずえぇぇぇいっ!!」ガバッ



亜美「……げっ!?」

638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:05:37.86 ID:Cs5pkJBqO

金竜「……我は死なぬ……」

金竜「我が弟、銀竜の為にも……貴様に勝つッ!!」



亜美「な、なんでー!? なんでまだ生きてんのさー!」

亜美「金ぴょん、ゴキブリ並みの生命力だよ〜!」



金竜「ふふっ……!」

金竜「ごきぶり……というものは良く分からぬが、さぞや名のある戦士なのだろうな!」



亜美「う、うーん……まあ、ある意味そうとも言えるかも……」



金竜「ともあれ、我はまだ余力を残しているっ……!」

金竜「アミ、覚悟は良いな?」



亜美「ふ、ふん! 亜美だってまだまだ与作を残してるもんねっ!」

亜美(……もう残ってないよ〜!)



金竜「くっ、流石はあいどる……あれだけの魔法を使ってまだ力を温存しているか……」



亜美「う、うん。亜美、まだまだチョー元気だから、金ぴょんはそろそろ逃げた方がいいっぽいよ〜?」

亜美「さっきよりもすんごい魔法使ってみせちゃうよ〜?」

亜美(お願いだからビビって〜!)



金竜「………」

639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:07:47.74 ID:Cs5pkJBqO

金竜(迷うことなどない。我にはもう、前進以外に道は残されておらぬ……!)

金竜(銀竜……)

金竜「……ならば、我はそのさらに上をいく力でお前を迎え撃とうぞ!」



亜美「へ、へぇ、そう。そりゃすごいねー」

亜美(も〜、金ぴょんの分からずや〜!)




金竜「行くぞっ!」ブワッ



亜美「うあうあ〜!」



金竜「……ふんっ!」

ビュンッ…


亜美「うわぁっ!」ヒョイッ


ドゴオンッ!!


亜美「……ふぇぇ、今あんなのくらったらヤバいよ〜!」タタタタ


金竜「……そこだっ!!」

ビュン…

バキィッ!!


亜美「ぐえっ!」ヨロッ


…ドサッ

640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:10:15.57 ID:Cs5pkJBqO

金竜「追い詰めたぞ、アミ……」


亜美「う……うぅ……」


シュルシュルッ…

ガシッ!


亜美「……う……ぁ……」

亜美(体に巻きつかれて……動けないよ……)


金竜「小さくも勇敢なる魔道士アミよ。お前は勇気あふれる立派な戦士であった……」

金竜「時間をやろう。最期に何か遺す言葉はあるか?」



亜美「……ぅ……っ!」

亜美(……はるるん、りっちゃん、兄ちゃん……)

亜美(みんな……どーやら亜美の冒険はここまでっぽいよ……)

亜美(最後まで行けなくて、ゴメンね……)

641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:12:39.02 ID:Cs5pkJBqO

金竜「………」

金竜「……言葉はないか。沈黙も或いは雄弁に通ずるのかもしれぬ」



亜美(……あーあ、最後まで行きたかったなぁ……)

亜美(せっかく兄ちゃんに助けてもらったのに、こんなトコでやられちゃうなんて……)

亜美(……………………真美……)



金竜「……さらばだ、あいどるよ」










亜美「真美ーーーーーーっ!!!」












「………………ケアルガ!」

シャララーン! キラキラキラ…!





亜美「………………え?」

642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:15:19.71 ID:Cs5pkJBqO

「こらー! そこの細長いの! かわいい妹になにしてくれてんのさー!! 中学生に手を出したら犯罪なんだかんねっ!!」




金竜「ほ、細……え?」




真美「せくしー美少女白魔道士、真美、見参っ!!」ビシッ



亜美「真美っ……!!」パァァ
 
金竜「同じ顔……だと……!?」



真美「亜美、受け取れぇい!!」ブンッ

ヒュンッ




亜美「えっ?」パシッ

亜美「! これって……!」



金竜「くっ、こやつめ!」

ギチギチッ!

亜美「ぅあっ……!」




真美「亜美っ!!」

643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:18:16.87 ID:Cs5pkJBqO

金竜「貴様、援軍か!」

金竜「何を渡したか知らんが無駄なことだ!」

金竜「アミを始末したら……次は貴様の番だ!」




真美「んっふっふ〜♪ そううまくいくかなー?」

真美「亜美はカンタンにやられちゃったりしない強い子だもんモンねっ! 真美、信じてるもん!」



金竜「何を馬鹿なことを……。アミは我によって身体の自由を奪われ、さらに今となっては言の葉を発することも叶わぬ!」

金竜「この状況で何をしようというのだ?」

金竜「……そうか。貴様、マミといったか。アミの姉だと申したな?」

金竜「妹を助けに来たはいいが、恐怖で身体が動かぬ、といったところか」

金竜「なんとも情けないことだな……!」

金竜(………)



真美「………」

644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:22:12.45 ID:Cs5pkJBqO

真美「……確かに亜美は今動けないししゃべれないかもしんないけど、手は動くよね?」



金竜「……なにっ?」



真美(亜美……!)クイッ

真美(…………GO!!)p




亜美(……オッケー真美!)



亜美(……暴れちゃえ……!)


 



亜美(………………『ほしくずのロッド』!!)ブンッ





キラキラキラ…!!



金竜「な、何っ!? これは……!」



ヒューーーー…


ズドドドドドドドッ!!

645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:25:21.25 ID:Cs5pkJBqO

真美「亜美っ!」タタタタ



真美「平気? 立てる?」スッ

亜美「うん……真美のケアルガのおかげだよ」

真美「よかったぁ……。でも、無理しちゃダメだよ?」

真美「亜美、しょっぱなから魔法じゃんじゃん使ってたし、どーせもうMPもゼロでエーテルも切れちゃったんでしょ?」

真美「それを見越して『ほしくずのロッド』を回収する真美マジ有能!」

真美「はい、エーテル」スッ

亜美「うぅ……すまぬ……」ゴクゴク



真美「いやー、それにしてもカンイッパツってカンジだったねー」

真美「妹のピンチにさっそうとかけつける姉」

真美「まさにこれこそが最強の姉っしょ!」

亜美「………」

亜美「……真美っ!」ガバッ

真美「ふぇっ!? あ、亜美?」

亜美「うぅっ……会いたかったよぉ〜!」

真美「………」

真美「……うん、真美もだよっ」ギュッ

亜美「うえええぇぇえっ!」ポロポロ


真美(……ひとりでよくガンバったね、亜美……)ナデナデ

646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:28:08.22 ID:Cs5pkJBqO

亜美「……ま、そんなこんなで真美さんや」

真美「なにかね、亜美さんや」

亜美「亜美の予想だと、展開的に敵はまだ生きてる気がするのだよ」

真美「んー……。確かに、真美が合流したところで『こっからが本当の戦いだ!』ってなりそーだよね」

真美「敵さんのじょーほーについてはどんなカンジなの?」

亜美「んっとね、敵は二体。金竜と銀竜の兄弟……あ、亜美は金ぴょんと銀ぴょんって呼んでるんだけど、亜美が一体倒したから残すはさっきの一体だけだよ」

亜美「でも、真美の持ってきてくれた『ほしくずのロッド』もあるし、亜美たち二人が揃えば敵はいないっしょ!」

真美「兄弟かぁ……」

真美「亜美、あんまりユダンしないほーがいいかも」

亜美「えっ?」

真美「兄弟のキズナ、甘く見ないほーがいいっぽいよ」

亜美「………」

亜美「……うん。だね」





金竜「………………負けぬっ……!」ヨロッ





亜美・真美「!!」

647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:31:54.52 ID:Cs5pkJBqO

金竜「我は……負けぬ……負けられぬのだ……!」

金竜「ぬおおおおおっ!!」ビュンッ


真美「行くよ、亜美! ヘイスト!」バッ

カタカタ…シャキィン!

亜美「よしきた!」

亜美「ぬおおおおおっ!!」タタタタ



金竜「ぬりゃっ!!」ブンッ


亜美「ふっ、見切った!」シュンッ


ズドォン!!


亜美「くらえー! 『ほしくずのロッド』!」ブンッ



キラキラキラ…!


ヒューーーー…


金竜「おおおおおおおおっ!!」


ズドドドドドドドッ!!
 




金竜「……はぁっ、はぁっ……」

金竜「ま、まだだっ……!」ヨロッ

648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:34:46.40 ID:Cs5pkJBqO

亜美「うわぁ……もう亜美の魔法何発ブチ込んだかわかんないけど、しぶといなぁ」

真美「真美、まだ全然カツヤクしてないし、むしろ大歓迎だよ!」



金竜「……はぁ、はぁっ……」

金竜(……姉妹、か……)


『もしも亜美がピンチになったとしても、真美を盾にして亜美だけ生きのびるなんてことだけは……ゼッタイにしない。したくない!』

『亜美はカンタンにやられちゃったりしない強い子だもんモンねっ! 真美、信じてるもん!』



金竜(………)

金竜(我は、間違っていた……)

金竜(銀竜……)チラッ

 

銀竜「」カチコチーン



金竜(勝負とは非情なもの……。しかし……) 

金竜(お前を犠牲にして勝利したとしても、そこにはなんの意味も無いのだっ……!)

金竜(何故ならば……)



金竜「我らは、二人で共にあいどるになると誓い合ったのだからっ……!」

649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:37:30.94 ID:Cs5pkJBqO

真美「ん? なんか金ぴょん、おかしなこと言い出したよ?」

亜美「うーん、よくわかんないけど、金ぴょん銀ぴょんは亜美たちを倒してアイドルになりたいんだってさ」

真美「ふーん、変なのー。ピヨちゃんのオロシガネってヤツかな?」

亜美「たぶんねー。でも、金ぴょんには悪いけど、二人がアイドルになるのはさすがにムリがあるんじゃないかなぁ?」


金竜「出来る出来ないではない……。やるのだ」

金竜「それは、我ら兄弟の悲願なのだからな……!」



亜美・真美「!!」




亜美「……そっか。それは金ぴょんたちの『夢』なんだね」

真美「ひとの『夢』を笑うのは……失礼だよね」



金竜「………」

金竜(良き戦士たちに出会えた)

金竜(最愛の弟よ……我に力を……)



金竜「…………いざッ!!」




亜美・真美「……勝負じゃー!!」

650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:44:41.57 ID:Cs5pkJBqO

金竜「……稲妻よ!!」



ズガガガドゴォォォンッ!!



亜美「っ……あぶなっ!」

真美「亜美、へーき!?」

亜美「うん!」

真美「行くよ、亜美!」スッ

亜美「おっけー真美っ!」ギュッ



金竜「手を繋いだ……?」

金竜「そうか、それがお前たちの……」

金竜「撃ってみせよ! その力、この稲妻で砕いてみせよう!」バリバリッ



亜美・真美「はぁぁぁぁっ……!!!」ゴゴゴゴ



亜美(久しぶりだね、ふたりがけも)

真美(そだね。でも、きっと前とは威力もぜんぜん違うっぽいよ!)

亜美(うん! モチのロンだよ!)



亜美・真美「赦されざる者の頭上に、星砕け降り注げっ!!」




亜美・真美「…………メテオ!!!」




ヒュー… ヒューー… ヒュー…

ヒュー… ヒュー… 



金竜(封印されし魔法……! よもやこの魔法を使えるとは……)

金竜(我の稲妻だけでは防ぎきれぬ……。もはやこれまでか……!)




「ーー兄者ぁぁぁぁっ!!!」




金竜「!!」

651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:46:07.18 ID:Cs5pkJBqO

銀竜「我も助太刀するぞっ!!」

銀竜「ブレイズっ!!」

ゴオオオオッ!!


金竜「ぎっ、銀竜!? 生きていたのか!」

銀竜「兄者ひとりに辛い思いをさせてなるものかっ!」

金竜「銀竜……!」




真美「亜美、弟くんが復活しちゃったっぽいよ!?」

亜美「ぬぅ……死んだフリとはひきょーな!」

亜美「でも、亜美たちだって負けてらんないっしょ!」

真美「おうともさ!」



亜美・真美「うおおおおぉぉおおっ!!」




金竜・銀竜「おおおぉぉおおおおっ!!」





…ドッゴオオオオオン!!!



652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:48:25.62 ID:Cs5pkJBqO

亜美「………」

真美「………」




金竜「………」

銀竜「………」




金竜「ふふふ、残念だったな。お前たちのメテオは凌いだぞ!」

銀竜「我ら兄弟が力を合わせれば、不可能など無いのだっ!」




亜美「………」チラッ

真美「………」チラッ



亜美・真美「………………ふっふっふっふー!」



亜美「亜美たちのメテオを防いだくらいで調子に乗ってもらっちゃあ困りますなー」

真美「まったくですなー」



金竜「……なにっ? さっきのメテオはお前たちの最大の魔法ではなかったとでも言うつもりか!?」

銀竜「馬鹿な……メテオは現存する魔法の中で最強のはず!」

653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:51:21.56 ID:Cs5pkJBqO

亜美「残念だったね、金ぴょんに銀ぴょん……」

真美「真美たちアイドルは変身するたびに強くなる」

亜美「その変身を、亜美たちはあと2回残している……」

真美「これがどういうことかわかるかね?」



金竜「変身……だと……!?」

銀竜(いや……これは明らかなハッタリだ。いくらあいどるが未知の存在とはいえ、人間が変身するなど聞いたこともない)

銀竜(アミめ、またもや嘘でこちらの戦意を削ぐつもりか。ならばこちらもハッタリで逆に戦意を喪失させてやる……!)


銀竜「……残念だったな、小娘たちよ!」



銀竜「我なんかあと3回変身を残しているのだっ!!」バーン



亜美・真美「な、なんだってぇー!!?」ガビーン



金竜「な、なんだとー!!?」ガビーン





銀竜「兄者ェ……」

654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:54:17.18 ID:Cs5pkJBqO

銀竜「……と、とにかくだ!」

銀竜「二人揃えばもうお前たちを屠るのは容易い。覚悟せよ!」

金竜「我ら兄弟の絆こそ最強だと知れ!」



真美「んっふっふ〜♪」

真美「魔物のブンザイで真美たちにはむかうなど、身のほどをわきまえぬ者たちじゃ……!」

亜美「ふたたび生き返らぬよう、そなたたちのハラワタの中で息絶えるがよいっ!」



銀竜「ちょっと言っていることがよく分からぬが……」

金竜「尋常に勝負だっ!!」

655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 11:56:06.30 ID:Cs5pkJBqO
続きは今週末までに投下します
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 19:07:19.26 ID:hIpwTBAQO
今週末…明日か…兄弟姉妹対決いいねー燃えるから好きよ
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 02:58:19.73 ID:IB7jvRG1O
もう来週に入ったが更新なかったな
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/04/09(日) 05:59:33.83 ID:yKLskMaYO
ー 月の地下渓谷 B5F ー



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」



響「……!」タタッ

響「……はぁ、はぁっ……!」タタンッ



プリンプリンセス9(『王女の歌』によってパーティが始まってから、そろそろ一時間……)

プリンプリンセス10(あの方もずっと踊り続けてようやく息が切れはじめたようですわね)

プリンプリンセス11(さあ、終宴へのカウントダウンが始まりましたわ)

プリンプリンセス12(名も無き花が己の短い命を咲き誇るように、美しく舞い……美しく散ってくださいまし!)

659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:00:43.89 ID:yKLskMaYO

ーーーーーー
ーーー



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」



響「ぜぇ、ぜぇ……」スタッ

響「はぁっ……うぁ……!」クルンッ



プリンプリンセス9(パーティが始まって約二時間……)

プリンプリンセス10(息は切れているものの、今だに動きに衰えが見られない……。まさかここまで踊り続けることができるとは思いませんでしたわ)

プリンプリンセス11(流石はあいどる……といったところでしょうか。ですが、あの方の命の火が確実に小さく弱くなってきているのは事実)

プリンプリンセス(うふふ……やがて訪れる最期の瞬間まで、その輝きを保っていられるでしょうか?)

660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:02:15.20 ID:yKLskMaYO

ーーーーーー
ーーー



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」



響「はぁ、はぁっ……」タンッ スタッ

響「……ぅくっ……」タタンッ



プリンプリンセス9(パーティが始まって三時間……)

プリンプリンセス10(お、おかしい……。常人ならばとっくに力尽きている時間……)

プリンプリンセス11(なんなんですのいったい……? 人間とは思えない体力……)

プリンプリンセス12(……いえ、問題などありませんわ。いつまでも全力で踊り続けていられる者なんて、いるはずありませんもの……!)

661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:03:24.12 ID:yKLskMaYO

ーーーーーー
ーーー



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」



響「………」タタッ クルッ

響「………」シュタタッ



プリンプリンセス9(…………すでに、四時間が経過している……)

プリンプリンセス10(こんなの、絶対にあり得ない……あり得るはずがない……!)

プリンプリンセス11(……息が……声が、かすれて……)

プリンプリンセス12(ま、まずいですわ……。歌が……)

662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:05:05.08 ID:yKLskMaYO

ーーーーーー
ーーー



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」



響「………」キュッ キュッ

響「………」タンッ スタッ



プリンプリンセス9(…………)

プリンプリンセス10(…………)

プリンプリンセス11(…………)

プリンプリンセス12(…………)





プリンプリンセスたち(……ダメ……もう限界……! 声が持たない……っ!)






プリンプリンセス9「……っぷはぁ!」

プリンプリンセス10「はぁ、はぁ、はぁっ……!」

プリンプリンセス11「ぜぇ、ぜぇ……!」

プリンプリンセス12「……そ、そんな……私たちの歌に、耐えきるなんて……!」




響「………」

響「………」フラッ


…ドサッ



プリンプリンセス9「はぁ、はぁ……彼女も……」

プリンプリンセス10「限界だったようですわね……」

663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:15:05.02 ID:yKLskMaYO

響「……く、はぁ、はぁっ……!」ヨロッ




プリンプリンセス9「! ま、まだ立ち上がった……!?」

プリンプリンセス10「な、なんて生命力ですの……!」

プリンプリンセス11「あれだけのダンスをした後で……」

プリンプリンセス12「信じられない……!」



響「……はぁ、はぁっ……!」

響「へ……へへんっ……君たちとは……鍛え方が違うからなっ……!」



プリンプリンセス9「強がりがバレバレですわね……!」

プリンプリンセス10「明らかに立っているのがやっとではないですか……!」



響「はぁ、はぁ……そう言うプリ江たちだって、声がガラガラだぞ? もうあの歌、歌えないんじゃないのか……?」



プリンプリンセス11「くぅ……!」



響(……自分、わかってるんだ)

響(きっとプリ江たちの歌に耐えられたのは、プロデューサーがくれたネックレスのおかげだと思う)ギュッ

響(踊ってる間ずっとこのネックレスが小さく光ってて、「頑張れ」「負けるな」って自分を励ましてくれてるみたいだった)

響(ありがとね、プロデューサー。おかげで自分、まだなんとか戦えそうだぞ!)

664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:23:00.00 ID:yKLskMaYO

プリンプリンセス9「……ならばもう一度!」

プリンプリンセス10「今度こそ私たちの歌で、貴女を倒してみせますわっ!」

プリンプリンセス11「いきますわよっ!」

プリンプリンセス12「王女の歌!」



響「……!」



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」





響「……はぁぁぁあああああっ!!」

タタタタ…




プリンプリンセス9「!?」

プリンプリンセス10「な、なぜ!? なぜ動けますの!?」






響「くらえ、ナンクル砲っ!!」バッ



…ドッゴオオオオオン!!!



プリンプリンセス9「」



プリンプリンセス10「くっ! 止めますわ!」ダッ



響「甘いぞ!!」バッ


…ドッゴオオオオオン!!!



プリンプリンセス10「」



プリンプリンセス11「くっ……!」

プリンプリンセス12「王女の歌が、効かない……!?」

665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:25:28.80 ID:yKLskMaYO


響「………」スッ



プリンプリンセス11「? それは……?」



響「服を小さくちぎって耳栓代わりにしたんだ。歌を聴かなければきっと操られることもないって思ったからな」



プリンプリンセス12「そこに気づくとは……」

プリンプリンセス11「なかなか頭も切れるようですわね」



響(いや、それくらい誰だって気づくと思うけどなー)



…ビーッ! ビーッ!



響「! またこの音か!」





プリンプリンセス13「うふふふ……」

プリンプリンセス14「あははは……」



プリンプリンセス11「王女の歌を防いだ程度ではこの包囲網を抜け出すことはできません!」

プリンプリンセス12「……さあ、パーティを続けましょうか」



響「くそ〜、また増えたー!」



響(このままだと倒してもまた増え続けるっぽいし、やっぱりあの警報みたいな音をどうにかするしかないのか……)

響(音はそう遠くない場所でしてるから、たぶんこの部屋のどこかに仕掛けてあると思うんだけどなー……)キョロキョロ

666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:28:57.91 ID:yKLskMaYO

プリンプリンセス11「うふふ、何か捜し物ですか?」



響「………」



プリンプリンセス12「どうやら『アラーム』の役割に気づいたようですわね」

プリンプリンセス13「そう、私たちの仲間は『アラーム』の音に呼び寄せられる」

プリンプリンセス14「貴女がいくら私たちを倒しても、永遠に」



響「え、永遠にって、そんなの無茶苦茶だぞ!」



プリンプリンセス11「うふふっ♪」

プリンプリンセス12「『アラーム』を探しても無駄ですわ。貴女には到底見つけられない場所に隠してありますもの」



響(……つまり自分が勝つには、プリ江たちの攻撃を掻い潜りつつ『アラーム』ってやつを探し出して破壊すること……)

響(体力的にしんどいけど、それをやらなきゃ先に進めないならやるしかないんだ)

響(……大丈夫、きっと……)



響「…………なんくるないさー!!」

タタタタ…



プリンプリンセス11「生命は追い詰められた時にこそ、より一層輝きを増す……」

プリンプリンセス12「その一瞬の美しさは、何ものにも替え難いものです」

プリンプリンセス13「私たちに見せてくださるのですね。あいどるの真の輝きを」

プリンプリンセス14「……さあ、一緒に踊りましょうっ!」

667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:32:23.64 ID:yKLskMaYO
やよい「」



冬馬「……高槻……?」



冬馬「おい、なんの冗談だよそれ……」



イフリート「ヤヨイぃぃぃーーっ!!! くそおおお!! 氷が溶けねえええええっ!!」

シヴァ「ヤヨイさん、返事を……返事をしてっ!!」

ラムウ「ワシらは……この子に何もしてやれぬのかっ……!」



冬馬「なんとか言えよ、高槻……。いつもみたいに『うっうー!』とか言ってみろよ……」



やよい「」



ミストドラゴン「ああ……ああ! ヤヨイ、私のかわいいヤヨイ……!」ダキッ

シルフ「起きなさい! ぐすっ……起きないと承知しませんよっ……!」ポロポロ



冬馬「……なんだよ、これ……」



やよい「」



翔太「生命をもたらしたる精霊よ、今一度我がもとに!」

翔太「……レイズ!」バッ

…キラリーン!


やよい「」


翔太「……な、なんで!?」

高木「なんと……いうことだ……! 私はなんのためにここにいるのだっ……!」ギリッ



冬馬「なんだよ、これは! ふざけんなッ!!」ガッ

北斗「くそっ……!」

翔太「やよいちゃん……!」



黒井「………」

668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 06:34:23.88 ID:yKLskMaYO
ミス
≫667から地下6階です
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:36:35.22 ID:yKLskMaYO

黒井(これが……)

黒井(これこそが、力無き者の末路……?)

黒井(……違う。高槻やよいは決して力を持っていなかったわけではなかった。むしろ強大過ぎる力を秘めていたはずだ)

黒井(事実、ヤツは従えた召喚獣を一度に全て喚び出すという荒業をやってのけた)

黒井(……が、あの化け物を諭すためあえて攻撃は加えず平和主義を貫き……)

黒井(……命を落とす結果になった)

黒井(765プロが掲げていた『絆』とやらは魔物には通用しなかった、ということか)

黒井(呆気ないものだな。高木が765プロにしがみついて作り上げたものが、こんなわけも分からない世界であっさり否定されることになるとは)




黒井(…………いや待てよ)

黒井(この世界で高槻やよいは私たち幻獣を喚び出し、度々仲間との絆を主張していた)

黒井(だが、私たち自身はどうだ?)

黒井(私たちは一人ひとりが高槻やよいに対して忠誠を誓っていたが、ただそれだけで、私たち召喚獣同士の横の繋がりなどは無かった)

黒井(……違う。私『たち』ではない)

黒井(私一人が、それを否定し続けていたのだ……)

黒井(おそらくそれでは駄目なのだろう。ヤツの目指したものは……本当の『絆』とやらは、まだ完成してはいない)

670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:39:54.12 ID:yKLskMaYO

黒井(私はここで何をしている……? 何をすべきなのだ……?)

黒井(私は……)チラッ



やよい「」



黒井(………)

黒井(ああ、そうか)

黒井(死んではいない)

黒井(お前はまだ、死んではいないのだな)




やよい「」



黒井(………………なあ、やよいちゃん)




…キラッ



671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:41:53.31 ID:yKLskMaYO

黒井「……高木」

高木「っ……な、なんだね?」ゴシゴシ

黒井「おかしいと思わないか?」

高木「おかしい? いったい何がおかしいというのだね?」

黒井「おい、冬馬、翔太、北斗!」

冬馬「……ざけんなよ! ちくしょうっ!」

翔太「やよいちゃん……うぅっ……!」

北斗「黒井社長、何か?」

黒井「確かお前たちはこのゲームに詳しかったな。お前たちに訊きたいことがある」

北斗「は、はい。でも今は……」

黒井「高槻やよいは本当に死んだのか?」

北斗「……え?」

高木「黒井? お前、何を……」

冬馬「おっさん、今はそんなこと言ってる場合じゃねえだろーが! 氷漬けにされちまった高槻を生き返らせる方法を考えるのが先だ!」

翔太「そうだよ黒ちゃん! やよいちゃんは僕の『レイズ』でも生き返らなかったんだよ? だから、きっと本当に……」

翔太「…………あれ?」

翔太「ねえ北斗君、FFのレイズって失敗はしないはずだよね?」

北斗「ああ、確かそうだったはず」

北斗「………………あっ」

672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:45:04.94 ID:yKLskMaYO

高木「伊集院君、どうしたんだね?」

北斗「レイズが効かなかったってことは、やよいちゃんは蘇生対象ではなかった……?」

翔太「つまり、やよいちゃんはまだ……」

北斗「死んでないってことだ……!」

黒井「……やはりか」

冬馬「お、おい翔太、北斗、それは本当なのか!?」

翔太「うん。ドラクエのザオラルと違って、FF4の蘇生魔法である『レイズ』は絶対に失敗しないんだよ」

北斗「失敗する場合があるとすれば、それは対象が『まだ生きている場合』だ。生きている者を蘇生しようとしても意味はないからな」

高木「じゃ、じゃあ、高槻君は生きているのだね!?」

翔太「うんっ!」

冬馬「マジかあああああっ……!」グスッ

高木「高槻君……! よかった……!」

黒井「安心するのはまだ早い。おそらく、私たちがこちらに顕現していられるのは高槻やよい次第なのだから」

黒井「そうだな、北斗」

北斗「詳しい理屈はわかりませんが、たぶん黒井社長の仰るとおりだと思います」

北斗「召喚士であるやよいちゃんの魔力が途切れてしまえば、彼女と契約を交わした幻獣である俺たちはきっとこの場所から消えてしまう」

北斗「そうなったらもう、俺たちがここでやよいちゃんを救うことは完全に出来なくなってしまいます」

高木「な、なるほど。時間はあまり無いというわけか……」

高木「それにしても高槻君、あんな状態になってまで私たちのために魔力を放出し続けているとは……」

冬馬「よし! 早いとこ高槻を助けてあのドラゴンを倒そうぜ!」



ラムウ「……その戦い、どうかワシらにも手伝わせてもらえぬか?」



冬馬「じいさん……」

673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:48:20.74 ID:yKLskMaYO

冬馬「でも、あんたの雷はヤツに通用しなかったじゃねぇか」

ラムウ「ワシら幻獣の魂は召喚士と共にある。今力を発揮せずして何が召喚獣じゃ……」

シヴァ「たとえ無駄だと分かっていても、ヤヨイさんのために力を使いたいの。お願い……!」

北斗「エンジェルちゃん……」

イフリート「トウマ!! 頼むっっ!!」

シルフ「私も、このままじゃマコトさんにあわせる顔がありません!」

ミストドラゴン「お願いしますっ……!」

冬馬「お前ら……」

冬馬「………」

冬馬「それを決めるのも号令をかけるのも、きっと俺の役目じゃねえ」

翔太「えっ、冬馬君……?」

冬馬「だってよ、そーいうのはトップの仕事だろ?」



冬馬「……な、黒井のおっさん!」



黒井「………」



高木「黒井、命令してくれ。高槻君を救うために、私たちの王として!」

674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:50:31.84 ID:yKLskMaYO

黒井「……私は、勘違いをしていた」

黒井「やよいちゃ……高槻やよいの願いとは、私たちとヤツとの絆だと思っていた」


黒井(私は……)


黒井「だが違う。高槻やよいの本当に望むものは、私たち幻獣同士の繋がりも含めての絆」

黒井「いや、ヤツはおそらく……あの魔物とすら繋がりを持とうとしていたのだ」


黒井(今、私のすべきことは……)


幻獣たち「………」










黒井「力を貸せ。お前たちと私とで、やよいちゃんを救うぞ!」









幻獣たち「……っ!」コクリ

675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:58:49.46 ID:yKLskMaYO
ブルードラゴン「何故じゃ……お前たちは何故消えぬ……?」

ブルードラゴン「あの少女は氷の棺で息絶えたはず……」

ブルードラゴン「お前たちはいったい……?」



冬馬「へっ! 高槻はあんな攻撃でくたばっちまうほどヤワじゃねーってことだぜ!」

翔太「ここからは、ボクたちの反撃だよ!」

北斗「ゲームの世界のルールだとか、そんなものはもうどうでもいい。俺たちは今、本当の絆で結ばれたんだから!」

黒井「覚悟はいいか、化け物め。さっきの様な遅れはとらんぞ!」



ブルードラゴン(絆……懐かしい言葉じゃ)

ブルードラゴン(懐かしく、そして悲しい言葉じゃ)

ブルードラゴン「…………ふ、ふふふ……」

ブルードラゴン「……そうか。ようやく時が来たのじゃな」

ブルードラゴン「殺してみせよ……」

ブルードラゴン「どうかワシを生の呪縛から解き放ってくれ……!」




冬馬「いくぜええぇぇぇっ!!」





黒井(……高木、そちらは任せたぞ!)


676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:00:35.69 ID:yKLskMaYO

ラムウ「氷漬けになっているヤヨイさんを、お主の斬鉄剣で氷ごと斬るじゃと……?」

高木「ああ。おそらくこれは、懸命にこの世界を生きてきた彼女に何もしてやれなかった、私がやるべきことだと思うのだ」

シヴァ「でも、そんなことをしたらヤヨイさんが!」

高木「安心したまえ。高槻君を傷付けないように上手くやってみせるよ」

イフリート「うおおおおおっ!! よくわかんねえけどヤヨイは助かるのかっ!!」

ミストドラゴン「……あの、私たちにも何か出来ることはないのでしょうか?」

高木「もちろんあるさ。これは私ひとりでは決して成功させることはできない」

高木「『必ず成功する』と君たちが信じてくれれば、きっと想いは届く」

高木「高槻君は、助かる……!」チャキッ

ラムウ「想いか…………そうじゃの」

シヴァ「信じる……ヤヨイさんは絶対に死なせない!」ギュッ

イフリート「ヤヨイぃぃぃぃいいいいいっっ!!」

ミストドラゴン(帰ってきて……。その愛くるしい笑顔を再び私たちに見せてください、ヤヨイ……!)

677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:01:38.36 ID:yKLskMaYO

高木「………」チャキッ

高木(鉄をも切り裂く剣か……)

高木(そんな技を大切なアイドルに対して使うのは私だって不安だ)

高木(だが、手品とはいつも人々を驚かせ、楽しませるためにある)

高木(それに……幻獣諸君の力をこうして感じることができる。私はひとりではない)

高木(そちらは任せたぞ、黒井!)




高木(……我が剣よ、願わくば正しき者を救う剣となれ……)




高木「ーーーー斬鉄剣!!」ブンッ




ーージャキィィィィンッ!!



678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:03:52.66 ID:yKLskMaYO
ー 月の地下渓谷 B8F ー


千早「……はっ!」ビュンッ


月の女神「おっと!」ヒョイッ

月の女神「えいっ!」ブンッ


千早「くっ!」

ガキィンッ!!


月の女神「うふっ♪」タンッ


…フワッ


千早「!」

千早(ジャンプ……!?)


月の女神「えーーーーいっ!!」ブンッ


千早「くっ……!」ダッ



ズドオオンッ!!



千早(……なんて威力……地面に大穴が……)

679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:04:58.31 ID:yKLskMaYO

月の女神「これくらいで驚いてちゃダメだよっ?」ダッ

タタタタ…


千早「!」

千早(盾を構えての突進!)

千早「……ふっ!」ヒョイッ


月の女神「……チハヤがよけるのは想定済みだよっ!」ピタッ

月の女神「でえぇぇいっ!!」ブンッ


ザシュッ!!

千早「う……!」ヨロッ


月の女神「えへへっ♪ チハヤのジャンプ、マネしてみたよ」

月の女神「どうかな?」



千早「くっ……」ポタッ

千早(あの子のジャンプに気を取られてしまった……)

千早(ジャンプは私の特技だったはずなのに……)



月の女神「楽しい……楽しいよチハヤ」

月の女神「もっともっと、いっぱい遊ぼう!」



千早「………」

680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:06:49.52 ID:yKLskMaYO

月の女神「まだまだいくよっ!」チャキッ

月の女神「やああぁぁああっ!」

タタタタ…



千早「………」チャキッ



千早(私は、バトルに興味なんて持ったことはなかった)

千早(今まで避けることのできない戦いはもちろんあったし、自分が強くなるのは、少しでもみんなの役に立てれば……って思ったから)



月の女神「えーーいっ!!」ブンッ

千早「くっ!」

ガキィンッ!!


千早(でも、なぜだろう)

千早(負けたくない。ただ純粋に、自分の方が強いということをこの子に知らしめたい)

千早(心のどこかでそう思っている自分を、否定できない)



千早「……はっ!」グイッ

月の女神「わっ……」ヨロッ


千早「…………くっ!」タンッ

…フワッ




千早(空中戦で負けるわけにはいかない)


千早(…………竜騎士として!)



月の女神「……いいよ、付き合ってあげる!」タンッ

…フワッ




千早「はああああぁぁああっ!!」ブンッ



ーーズザシュッ!!



…スタッ

681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:08:30.56 ID:yKLskMaYO

月の女神「………」

月の女神「……くぅ……」ヨロッ



千早「……はぁ、はぁ……」

千早(ようやく……あの子にダメージを与えることができた……)



月の女神「さすが空中では強いね、チハヤ……」

月の女神「私、驚いちゃった!」ニコッ



千早(ダメージを与えたとはいえ、あの子の強さは身を持って知っている。決して油断なんてできない)

千早(けれど……)


ドクン…


千早(この高揚感はなに?)

千早(私も、バトルを楽しいと思いはじめているというの……?)



月の女神「楽しいね、チハヤ!」ニコッ



千早「………」

千早(目的は変わらない。最初からひとつだけ)

千早(でも……)



千早「…………ええ、そうね」ニコッ



千早(……勝ちたい……あの子と正々堂々、勝負をして!)

682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:10:48.91 ID:yKLskMaYO
ー 月の地下渓谷 B9F ー


暗黒魔道士「……ファイガ」



ゴオオオオッ!!



美希(……3、2、1……!)

美希「っ……!」ダッ



暗黒魔道士「逃さない……サンダガ」



ズガガガピシャァーーン!!!



美希「…………こっち!」ダッ




暗黒魔道士「もっと逃げるといい……なす術もなく……」



美希「……はぁ、はぁ……」

美希(……えっと、今回のが10時と9時……)

美希(『タイミング』もバッチリつかんだの)

美希(……うん、やっぱりミキのカンはそんなにハズれてないって思うな)

683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:13:18.49 ID:yKLskMaYO

暗黒魔道士「それにしてもよくここまで生き残ったね。視界を奪われた状態で魔法をかわし続けるなんて……」

暗黒魔道士「しかも、ボクが魔法を放つたびに動きが良くなっている」

暗黒魔道士「君には本当に驚かされるよ」



美希「あは☆ ありがとーなの」



暗黒魔道士「でも……気づいているかい? ミキ」



美希「ん?」



暗黒魔道士「君はもう、すでに死の淵に立っているということを」



…ヒュオオォォ…



美希「この風の音……もしかして崖?」

美希(知らないうちに崖っぷちに追い込まれてた……? ちょっとヤバいカンジなの!)



暗黒「……トルネド」



ビュオオオオッ…!!




美希「っ……吹き飛ばされちゃうわけにはいかないのっ!」

美希「レビテト!」

ポワッ…



暗黒「終わりだ……ディスペル」

パシュンッ



美希「あっ…………」



ヒューー…




暗黒魔道士「……落ちたか」

684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:15:56.00 ID:yKLskMaYO

暗黒魔道士「なんだ、意外と呆気ない最期だったね、ミキ。天才の君らしくもない、間抜けな終わり方だ」

暗黒魔道士「でも、君が悪いんだよ。君が……」

暗黒魔道士「君がそんなにも……」

暗黒魔道士「………」

暗黒魔道士「……ボクは……」



…キラッ!


ーーヒュンッ

ドスッ!!



暗黒魔道士「ぐっ……!?」

暗黒魔道士「な……なんだ、これは……? 矢だって……?」

暗黒魔道士「まさか……!」



ーーヒュンッ

ドスッ!!



暗黒魔道士「く……真っ直ぐにボクの方へ……!」

暗黒魔道士「完璧にこちらの位置を認識しているのか……バカな……!」



美希「……カンペキじゃないけど、だいたい捉えたの!」

美希「ミキ、アンコクさんがどこにいるか分かっちゃった☆」

685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:19:20.80 ID:yKLskMaYO

暗黒魔道士「ミキ……! 君は崖から落ちたはずじゃなかったのかい?」



美希「うん、ミキも『落ちちゃう〜』って思ったんだけど、なんとか必死に崖にしがみついて助かったの」



暗黒魔道士「なんて運のいい……」

暗黒魔道士「それじゃあもうひとつ質問だ。一体どうやってこの暗闇の中でボクの位置を特定した?」



美希「えーっとね、魔法が飛んで来る方向、詠唱から到達までの時間、その二つの情報からなんとなーく逆算しただけだよ?」



暗黒魔道士「……ふ、ふふ……無茶苦茶だね。ボクが絶えず移動しているかもしれないじゃないか」

暗黒魔道士「その可能性がある限り、魔法が飛んで来る方角から君が正確にこちらの位置を特定するのは不可能だ、絶対に」



美希「んー……その可能性はないって思うな」



暗黒魔道士「!」



美希「アンコクさんの魔法って、飛んで来る方向がだいたい同じだったの」

美希「今までに撃ってきた魔法全部がだよ?」

美希「それって、アンコクさんが同じ位置からずっと動いていないって断定するのに十分な情報なの」



暗黒魔道士「……!」

暗黒魔道士(簡単に言っているけれど、ミキにとって周りは暗闇……視界ゼロの状況だ)

暗黒魔道士(目印も何も無いそんな状況下で『自分も動きまわりながら飛んできた広範囲の魔法を利用して相手のいる方向、位置を特定する』なんて簡単に出来ることじゃない……)

暗黒魔道士(やはり、天才なのか……)

686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:22:09.87 ID:yKLskMaYO

美希「でもね? ミキ、不思議に思ったの」

美希「だってずっと同じ方から魔法が飛んで来たら、誰だってミキと同じように考えると思うの」

美希「そしたらアンコクさんのいる位置が遅かれ早かれバレちゃうの」

美希「きっと何か『動けない理由』があるんじゃないかな?」

美希「この階が真っ暗なのも、完全に自分の位置を特定されないための煙幕に利用してる……」

美希「……どう?」



暗黒魔道士「………」

暗黒魔道士(完璧な回答ではないけれど……今までのやり取りでそこまで読むのか……)



暗黒魔道士「……前者については正解。ボクはとある理由から、今いる場所から大きく動くことはできない」

暗黒魔道士「でも、後者についてはハズレだ」



美希「ガーン! ショックなの……」

美希(単なる煙幕じゃないんだ……)

美希(じゃあやっぱり、この階が真っ暗なことと今いる場所から動けないこと。この二つはアンコクさんが何回も連続で魔法を使えるってことと関係してるんじゃないかな)

美希(……なんとなくカクシンに迫ってきたってカンジなの)

687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:24:10.00 ID:yKLskMaYO

美希「それじゃ……」

美希「……今度こそ、ミキの反撃なの!」スッ

美希(位置はわかった。あとは、きっかけを作って突撃するの!)



暗黒魔道士「弓矢か……さっきは不意を突かれたけど、最初から注意さえすれば問題ない」



美希「汚れなき天空の光よ、フジョウを照らし出せなの!」



暗黒「! 詠唱……!?」



美希「ホーリー……」ギリッ



美希「…………アロー!!」バッ


キラキラ…!

ヒュンッ…



…ドスッ!!




暗黒魔道士「ぐっ……!」

暗黒魔道士「武器に魔法の効果を……!? そんなことが出来るはずが……!」




美希「あは☆ カッコイイでしょ? ミキが考えた技だよっ!」

688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:26:14.26 ID:yKLskMaYO

美希(うまい具合に怯んでくれたの。このまま勢いに任せて……)

美希「……攻めるのっ!」ダッ

タタタタ…




暗黒魔道士「……ふふ、驚きはしたけれど、君の考えはお見通しだ」

暗黒魔道士「近寄らせないっ……トルネド」


…ビュオオオオッ!!



美希「……きゃっ!」ヨロッ

…ドサッ



暗黒魔道士「……サンダガ」

ズガガガピシャァーーンッ!!



美希「あぅ……!」

美希(ま、マズいの、早く回復しなきゃ次が来る!)




暗黒魔道士「……滅びゆく魂に、暗黒神の名を刻め……」



美希(う……間に合わな……)



暗黒魔道士「…………フレア」



ブゥゥーーーン…


ババババババッ!!


ズドオオオオオオンッ!!

689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:28:18.18 ID:yKLskMaYO
ー 月の地下渓谷 B10F ー


貴音「……ぶりざが!」バッ



コォォ…シャキィィィン!!



ダークバハムート「……遅い」ブンッ

ザシュッ!!


貴音「うっ……!」ヨロッ


ダークバハムート「……休んでいる暇など無いぞ?」ブンッ


貴音「く……!」ダッ


…シュンッ


ダークバハムート「……追いついたぞ」ブンッ


貴音「っ……ぷろてすっ!」


ズバッ!!



貴音「はぐ……ぅ……!」ヨロッ



ダークバハムート「……む、次で終わってしまうか? 加減が難しいな」

ダークバハムート「防いでみよ、タカネ」ダッ



貴音「…………ほーりー!」


ダークバハムート「!」



キラキラキラキラ…


ズドドドドドッ!!!

690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:29:55.63 ID:yKLskMaYO

ダークバハムート「……クク……そう来るか」

ダークバハムート「ホーリーを詠唱無しで放つとはな。並の魔道士では出来ない芸当だ。今のは少々驚いたわ」



貴音「……はぁ、はぁ……」

貴音「……残念ですが、大した効果はなかったようですね……」



ダークバハムート「ふむ……悪くはなかったのだがな」



貴音(闇に墜ちた身ということはホーリーならばよもや、と思いましたが……)

貴音(肉弾戦では敵うはずもない。魔法も効果が薄い)

貴音(わたくしがばはむーと殿に勝てる術は、果たしてあるのでしょうか)



ダークバハムート「ククッ……!」

ダークバハムート「惚けるつもりか? 我は気づいているぞ」


貴音「………」


ダークバハムート「タカネよ。お前からは懐かしい匂いがする。我がこの身に成る前に捨てた、竜族の匂いがな」


貴音「………」


ダークバハムート「覚えて来たのであろう?」



ダークバハムート「…………メガフレアを」



貴音「……現時点でのわたくしの切り札ゆえ、なるべく思考にも出さずにいましたが……」

貴音「やはり、全てお見通しなのですね」

691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:31:55.94 ID:yKLskMaYO

ダークバハムート「お前が切り札をむざむざ出し惜しみして負ける様な阿呆でないことぐらい、我は心得ておる」

ダークバハムート「見せてみよ。我が眷属から受け継いだ技を!」



貴音「……そうですね。それしか手段は無いようです」



貴音「………」ゴゴゴゴ



ダークバハムート「……ほう、流石の魔力よ」



貴音「……夜闇の翼の竜よ……」

貴音「怒れしば、我と共に……胸中に眠る星の火よ!」



貴音「…………めがふれあ」




…ゴゥーーン…



ズバババババババッ!!



ドゴオオオオォォオオオンッ…!!!

692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:33:39.64 ID:yKLskMaYO

貴音「………」

貴音「…………うっ」ガクッ

貴音「っ……はぁ、はぁ……」

貴音「実際に使用するのは二回目とはいえ、なかなか慣れませんね……。この技は体に大きな負担が……」


貴音(『めがふれあ』以外の魔法で決着をつけることができれば少しは小鳥嬢との戦いに余力を残せるかと考えていましたが、やはりそれは甘かったようです)

貴音(ばはむーと殿は未だ実力の半分も出されていないはず)

貴音(全身全霊を賭して戦わねば、決して勝利は無い……)




「……ククッ、その通りだ」



貴音「………」



ダークバハムート「我は嬉しいぞ、タカネ。お前を……この様に近くに感じられるとはな……!」

ダークバハムート「だが、まだだ。お前は漸く言葉を覚えたばかりの稚児に同じ」

ダークバハムート「我に列び立つには、この月と太陽ほど遠い」



貴音「切り札すらも届きませんか……。これは厳しい戦いになりそうです」


ダークバハムート「言葉の割には表情から闘志が消えておらぬな?」

ダークバハムート「心を読まずともそれくらい解るわ……!」



貴音「たとえ無謀な挑戦だとしても……諦めるわけにはまいりませんので」



ダークバハムート「良いぞ……! それでこそ我の認めた女よ」

693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:36:08.29 ID:yKLskMaYO

ダークバハムート「良きものを見せてもらった礼だ、受け取るがよい」

…ゴゴゴゴ



貴音「っ……!」ゾクッ


貴音(美希の魔力とも、先日の小鳥嬢の分身の魔力とも違う……)

貴音(全てを呑み込み焼き尽くさんとする、逃れることの出来ない太陽の爆発の如き魔力……!)




ダークバハムート「……耐えてみせよ、タカネ」




ダークバハムート「ーーメガフレア」



…ゴゴゴゴ



貴音(……これが……ばはむーと殿の……!)





ーーーーーーカッ!!



694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:38:07.14 ID:yKLskMaYO

貴音「………」

貴音「………」

貴音「…………ぅ……」



ダークバハムート「……ふむ、まだ息はあるな」



貴音(か、体が……焼けるように……)

貴音(『しぇる』を使いましたが、まさに焼け石に水でしたね……)



ダークバハムート「その状態でも魔法のひとつは使えるであろう?」

ダークバハムート「回復せよ。続けるぞ」



貴音「………」

貴音「……けあるが」

シャララーン! キラキラキラ…



貴音(片や児戯の如き稚拙な魔法、片や全てを照らす太陽の輝き……越えられぬ壁……)

貴音(ばはむーと殿にだめぇじは殆ど無いように見受けられます)

貴音(『本物と付け焼き刃の違い』……)

貴音(……ふふ、小鳥嬢の分身に向けて言った言葉がそのまま自分に返って来る思いです)



ダークバハムート「……絶望したか?」



貴音「……いえ」

貴音「たとえ越えられぬ壁であろうと、わたくしは進まねばなりません」

貴音「それが友と、この世界の人々との約束なのですから……!」



ダークバハムート「……ククッ!」

ダークバハムート「お前は降りることは出来ない」

ダークバハムート「世界など最早関係ない。これは我とお前との因縁だ」

ダークバハムート「さあ、もっと舞ってみせよ……!」



貴音「…………参るっ!!」

695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:41:58.38 ID:yKLskMaYO
ー 月の地下渓谷 B11F ー


春香「やぁぁあああっ!!」ブンッ


キィンッ!!


律子「はぁぁぁああっ!!」ブンッ


ガキィンッ!!



クルーヤ「よっ……と」


クルーヤ「……ふむふむ。いやー、二人とも良い戦士に育ったね」

クルーヤ「……はっ!」ブンッ



春香「わわっ!?」ヨロッ

律子「きゃっ!」ヨロッ



律子「く……二人がかりでもまるで歯が立たないなんて……」

春香「うぅ、さすがは私たちのお父さんですね……」



クルーヤ「………」

クルーヤ「……うーん、これじゃあちょーっと厳しいかなぁ」



春香「えっ」



クルーヤ「確かに君たちは立派に成長してくれた。そこは僕としてもとても嬉しく思う」

クルーヤ「でも、二人がかりで僕に敵わないようじゃ……」



律子「……小鳥さんの足元にも及ばない、ですか」



クルーヤ「うん、その通りだ」



春香「そんな、小鳥さんはもっともっと強いっていうんですか……?」



クルーヤ「もちろんだよ、ハルカ」

696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:45:02.03 ID:yKLskMaYO

クルーヤ「リツコ、ハルカ。君たちはどれほどの存在に挑もうとしているのかもう一度よく考えてほしい」

クルーヤ「君たちがコトリさんに負けてしまえば、はっきり言ってそれはこの世界の終わりと同義だ。全ての生命が終焉を迎えるだろう」

クルーヤ「そんな事態は絶対に避けねばならない」

クルーヤ「でも、もちろん大変な責任を君たちだけに押し付けているのはとっても心苦しく思ってる」

クルーヤ「だから父親として僕が君たちに出来ることはなるべくしてあげたい」



律子(この世界の終わり……)

律子(正直、あまり興味のない話だわ。この世界はあくまでフィクションの世界であり、本来私たちがいる世界ではない)

律子(地球では巨人を倒すために人々と協力もしたけれど、小鳥さんも含めてみんなで元の世界へ帰ることができさえすれば、私はあとのことはどうでもいいと思ってる)

律子(……そう、『ゲームの設定』なんてどうでもいいのよ)



律子「……私が小鳥さんに勝てないかどうかは、これを見てから判断してほしいですね」チャキッ

…ゴゴゴゴ



クルーヤ「!」



春香「お姉ちゃん、もしかして……」

律子「私は、私の大切なものだけを護れればいい。他には何も望んでいない」

律子「だから、肉親だっていうあなただって倒してみせる!」



クルーヤ「リツコ……」



律子「……くらいなさい、暗黒剣っ!!」ブンッ



ズゥゥゥン…



春香「! 暗黒騎士だった頃の私とは比べものにならないほどの暗黒闘気……!」

春香(……でも、その技は……)



…ズバババババババッ!!!


697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:47:59.19 ID:yKLskMaYO

クルーヤ「………」

クルーヤ「……凄まじい闘気だ、リツコ」



律子「ま、まさか……暗黒剣も通用しないの……!?」

春香(…………やっぱり、そうなんだ)

春香「お姉ちゃん、たぶんお父さんは聖騎士だから暗黒剣は効かないんだと思います」

春香「ゾットの塔で、私もそうだったから」

律子「そんな……」

律子(地力はもちろん、メテオも暗黒剣もこの人には通用しない)

律子(それじゃあ私が勝てる要素なんてないじゃない……!)

律子(私は、なんのためにここにいるのよ……!)

律子「…………くっ!」ガクッ



クルーヤ(……自分の強さに完全な自信を持っていたという風には見えなかったけど、僕との実力差に心が折れてしまった……かな)

クルーヤ(……ふーむ)

698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:50:24.24 ID:yKLskMaYO

春香「お姉ちゃん、大丈夫です! まだまだこれからですよ!」

律子「……いいのよ、春香。気を遣ってくれなくても」

律子「知らなかったわ。私ってこんなに弱かったのね……」

春香「そ、そんなことないですっ! お姉ちゃんは今までずっと私たちの面倒を見てくれてましたし、魔物との戦いだって……!」

律子「いいえ、違うのよ」

律子「気づいてしまったの。みんなはこの世界でとても頼もしく成長したけれど、私は……」

律子「私だけが、まったく成長していないって」

春香「お、お姉ちゃん……」



クルーヤ「………」

クルーヤ「単純な実力で言えば、光の戦士の中ではリツコが一番強いと思う」



律子「気休めはよして! 私は……」

律子「私には、誇れるのものが何もない……!」

春香「そ、そんなこと!」



クルーヤ「………」

699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:53:18.58 ID:yKLskMaYO

クルーヤ(……そう。これが暗黒騎士の暗黒騎士たる所以だ)

クルーヤ(闇の力を借りて戦う限り、常に負の感情が付きまとう)

クルーヤ(自分だけが成長していない、か)

クルーヤ(成長するには自力で殻を破るしかない)

クルーヤ(僕が『きっかけ』を与えてもいいけど、それで律子は自信を持ってコトリさんと戦えるだろうか?)

クルーヤ(かといって今のリツコに自分に打ち勝つ気力があるとは思えない)

クルーヤ(一応成長の手がかりはさっき伝えたけど、もしかしたら最悪の事態……律子の戦線離脱も考慮しなければならないかもしれないな)



春香「………」

春香「……っ!」グッ



春香「……わかりました。お姉ちゃんはそこで見ていてください」

春香「お父さんは私が倒しますから」ザッ

律子「は、春香……」

律子(私は……私はどうしたら……)







春香「……………………ヒント4」






律子「…………えっ」

700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 07:56:53.52 ID:yKLskMaYO

春香「律子さんは……」

春香「お父さんの娘であり、私が尊敬する、大好きなお姉ちゃんですっ!」ニコッ



律子「……!」



クルーヤ(ハルカ……『気づいた』んだね……)



クルーヤ「……ほうほう、今度はハルカが相手かぁ」

クルーヤ「さっきは二人がかりでも敵わなかったのに、君ひとりで大丈夫なのかい?」



春香「やってみなきゃ、わかりません!」



クルーヤ「うん、そうだね」ニコッ



クルーヤ「……さあおいで、ハルカ」チャキッ



春香「…………はいっ! 今度は『全力』で行かせてもらいますっ!!」チャキッ

春香「うぁぁぁあああああっ!!」

タタタタ…


701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 08:01:18.56 ID:yKLskMaYO
ここまでです
本当はやよい誕までにはと思ってたのに春香誕にすら間に合わない始末
遅れてすみません
>>633の言うとおりこのスレで終われないと思います…
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 08:10:46.24 ID:4GZLtGMtO
やっぱりか…まだ敵を倒してないし×11人分(春香と律子と亜美真美は一人分とカウント)だもんな
一人あたり10レスとしてもターン数でいえばそんなたってないもんなぁ
それに仮にこのタイミングで終わっても皆が合流して対ぴよちゃん編やるとしたらラストだからかなり使うし足りないよな
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/09(火) 22:40:08.76 ID:6zACVjbkO
今日で一ヶ月か…
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 04:56:13.72 ID:uZ6xIFx4O
二ヶ月までカウントダウン入ったぞまだか
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 19:32:14.67 ID:onZskDBLO
あと三日…
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/09(金) 05:07:27.82 ID:YdG/Q6u3O
マジかよ…今日で2ヶ月だぞ
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/09(金) 21:43:08.80 ID:UPkPqYF7O
>>1です
書き溜めたデータが消失してしまい、やり直してるところです
すみません、投下にはあと少し時間がかかりそうです
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/26(月) 09:16:55.17 ID:+UdvjZUXO
もうすぐ月末なんだがまだなのか?
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/06(木) 02:37:43.76 ID:lzaJqrLiO
あと三日で一ヶ月たつんだがまだか?
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