P「ゲームの世界に飛ばされた」FINAL2

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566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:12:40.83 ID:2zaNk/pmO

リルマーダー「……三発だ」


伊織「……は?」


リルマーダー「お前の放った雷は三発。だからそれを……」バリバリッ


リルマーダー「倍返ししてやるぜっ!!」ビリビリッ

ゴゴゴゴ…!


伊織「な、なによこの魔力……!」

伊織(貴音や美希と同レベル……いえ、今この瞬間に限ってはそれ以上……!)



リルマーダー「くらいやがれ! 6倍サンダガっ!!」バッ


伊織(ま、まずいわ……!)



ゴゴゴゴ…

ズガガガガーーン!!

ドゴゴゴオオォォオオンッッ!!!



伊織「……ぅ……ぁ……!」ヨロッ


ドサッ

567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:15:56.75 ID:2zaNk/pmO

伊織「ぐ……っ」

伊織(なんてデタラメな威力っ……)

伊織(倍返し……。自分のサンダガに私の雷迅の分も上乗せして返してきたってわけ……?)

伊織(まさか、最初からそれが狙い?)

伊織(ライブラって魔法を自分に使ったのも……)

伊織(……そうよ、考えてみれば自分から弱点をさらけ出すなんて不自然じゃない……)


リルマーダー「へへっ……見たか、これが王の力だっ!」ビシッ

リルマーダー「さーてと、あとはじっくりとどめを刺してやるからなっ!」


伊織(迂闊……だった……!)

伊織(この状況、どうにかしなきゃ……!)


568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:21:38.58 ID:2zaNk/pmO
ー 月の地下渓谷 B7F ー


ブルードラゴン「……ふぬっ!」ブンッ


やよい「はわっ!」ダッ


ドゴオオンッ!!


…スタッ

やよい「しるふちゃんっ!」バッ



シルフ「……風の囁き!」



ビュオオオ…!!


ブルードラゴン「……ふむ、心地よい風じゃ」


シルフ「わ、私の風が効かないなんて、化け物ですね……!」


やよい「うぅ、さすがどらごんさんです……」



ブルードラゴン「召喚士よ。お前の従える幻獣たちはそのほとんどが属性を持つ。故にほぼ全ての属性攻撃を弾くワシとは相性が悪い」

ブルードラゴン「ワシに傷を負わせる可能性があるのは、さっき喚び出したアスラくらいじゃろう」

ブルードラゴン「はっきり言って状況はお前に不利じゃ。それはお前自身も分かっているはず。ならばなぜ足掻く?」


やよい「………」


ブルードラゴン「最初に言ったな。『このカードはハズレ』だと。つまりそういうことじゃ」

ブルードラゴン「お前は何も出来ず、コトリの元へ辿り着くこともなくここで果てる」

ブルードラゴン「もう無駄なことはするな。子供が苦しむ様は見るに耐えぬ。せめて一撃で楽にしてやろう……」

ブルードラゴン「……ふんっ!」ブンッ



やよい「! 高木社長!」バッ


…ガキィンッ!!


569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:24:33.81 ID:2zaNk/pmO

高木「……ウチのアイドルを傷付けるのは困るな。しかもこんなに小さな娘を」ググッ


ブルードラゴン「……幻獣騎士オーディンか。お前に何が出来る?」ググッ


高木「私の力はちっぽけかもしれない。だが、ちっぽけだからこそ他の誰かと力を合わせて道を切り開く。そういう生き方もあるとは思わないかね?」


ブルードラゴン「……ふ、知ったような口を」

ブルードラゴン「目の前にある結果こそが全てだ。そこの召喚士の為に力を振るうことの出来ぬお前は、ただの木偶に過ぎぬ!」ブンッ


高木「く……すまない、高槻君。私一人の力では……」


やよい「だいじょーぶです、社長。わたし、社長もみんなも大好きですから!」

やよい「みーんな、いっしょです!」


高木「高槻君……」

570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:25:46.75 ID:2zaNk/pmO

ブルードラゴン「何故そのように楽観的に考えられるのだ? お前は今、死の淵に立たされているのだぞ?」

ブルードラゴン「お前には恐怖はないのか?」


やよい「こわくなんてないです。だってわたしには、みんながいてくれますから」

やよい「……黒井社長!」バッ



黒井「高槻やよいに歯向かう馬鹿はお前か。私が引導を渡してやろう!」

黒井「……大海衝!」



ザァァァ…!



ブルードラゴン「無駄だというのが分からんのか……。津波など、ワシにとっては子供の水遊びと変わらぬ」



ザパアアァァァァンッ!!



ブルードラゴン「……気は済んだか?」


黒井「バカな……。この私の津波をものともしないだと……!?」

571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:28:56.39 ID:2zaNk/pmO

ブルードラゴン「さあ、もう万策尽きたであろう? 大人しくあの世へと旅立つのじゃ」スッ


やよい「……ごめんなさい、それはできません」ペコリ


ブルードラゴン「……何故じゃ。何故そこまで生に執着する?」

ブルードラゴン「生きることの辛さを知らぬ若さ故か?」


やよい「待ってる人がいるからです」


ブルードラゴン「………」


やよい「わたしには、待っててくれる人がいて、大切な人たちといっしょにめざす夢があるからです」

やよい「そのためには、小鳥さんのところへ行かなくちゃなんですっ!」

やよい「だから、わたしは死ねません」


ブルードラゴン「……現を抜かすのは、やはり若さの成せる業か」

ブルードラゴン「じゃが、その夢もちっぽけだったと気づく時がくる」

ブルードラゴン「その時にお前は、大きな絶望と失望を抱えることになる」

ブルードラゴン「世界とは、生とはなんと虚ろで意味の無いものだったのかと嘆く日が来るのじゃ」


やよい「………」





やよい「もし、そうなったとしても」



やよい「わたしには家族と……春香さんたちがいます!」

やよい「わたしが生きるいみは、それでじゅうぶんかなーって!」




ブルードラゴン「……!」

572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:32:33.90 ID:2zaNk/pmO

ブルードラゴン「哀れな娘よ。お前が生の虚しさに気づく前に、ワシが幕を引いてやる……!」ブンッ


やよい「!」

やよい「……お母さんっ!」バッ


ミストドラゴン「……ああ、ヤヨイ。あなたはなんと健気なのでしょうか……」

ミストドラゴン「この子の尊い願い、誰にも邪魔はさせませんっ!」

ミストドラゴン「……ミストブレス!」

シュウゥゥ…! キラキラ…!



ブルードラゴン「! また目くらましか……!」

ブルードラゴン「じゃが、そのような一時しのぎなどなんの意味もない。死を僅かに遅らせただけじゃ」



やよい「いーえ、これでいいんです」

やよい「……これで『ぜんいん』です。じゅんびはととのいました!」



ブルードラゴン「……なんだと?」




やよい「……『みなさん』! 出てきてくださいっ!!」バッ


573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:36:49.77 ID:2zaNk/pmO
イフリート「うおおおおお!! ヤヨイぃぃ!!!」ボオォ

シヴァ「ヤヨイさん……あなたは必ず守る……!」コォォ

ラムウ「幻獣全てを一度に召喚とは……。ヤヨイさん、やはりお前さんは誰よりも光に選ばれし者なんじゃな……」バリッ

翔太「僕たちもいるよー!」フリフリ

北斗「チャオ☆」シュタッ

冬馬「高槻、俺たちに任せろ!」グッ

高木「幻獣たちが一度に全員集合とは、なんとも壮観だねぇ」

黒井「フン……。同窓会じゃあるまいし、さっさとあの化け物を倒すぞ」

シルフ「きゃっ、なんだかかっこいいおじ様っ」ポッ



やよい「みなさんっ!」



ブルードラゴン(あれだけ続けて召喚魔法を使ったあとで8体もの幻獣を一度に喚び出すとは……なんたる魔力……!)

ブルードラゴン(ヤツの魔力は底なしか……?)

574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:38:30.97 ID:2zaNk/pmO

ミストドラゴン「私のかわいいヤヨイ……。ご覧なさい」

ミストドラゴン「皆あなたを慕い、あなたを案じ、あなたとともに生きることを選んだ」

ミストドラゴン「そこには主従関係を超えた強い絆があります」

ミストドラゴン「これが、これこそが……あなたの進んで来た結果なのです」



やよい「お母さん……」



ミストドラゴン「さあ、ヤヨイ。あなたの選んだ答えを、魔物に見せておあげなさい」



やよい「はいっ!」

575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:40:57.05 ID:2zaNk/pmO

やよい「どらごんさん」


ブルードラゴン「………」


やよい「わたし、まだまだ子どもで、世界のこととか生きるつらさとかぜんぜんわかりませんけど……」

やよい「わたしにとっての安らぎは、死ぬことなんかじゃなくて、生きることです」

やよい「みーんな笑顔ではっぴーでいられることなんですっ!」


ブルードラゴン「……幻獣たちの力でワシを攻撃せぬのか?」


やよい「こうげきなんてしません。わたしはただ、どらごんさんにも知ってほしいだけですから」

やよい「じぶんを待っててくれる人がいるってことを!」



ブルードラゴン「……そう、か」


やよい「だから、どらごんさんも仲間と生き」







ブルードラゴン「やはり、お前は分かっておらぬようだな」




やよい「…………えっ」

576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:44:28.02 ID:2zaNk/pmO

ブルードラゴン「つまらぬ問答に付き合わせてすまなかった。もう、終わりにしよう」


やよい「あ、あのっ!」


ブルードラゴン「……さらばだ」

…ブオオオォォ!!



やよい「!」



翔太「や、やよいちゃんっ!」

北斗「行くぞ、冬馬!」

冬馬「てめぇ化け物っ!」ダッ


イフリート「や、ヤヨイっっ!!」ダッ

ラムウ「我らではジュピター殿の力になれぬ! ヤヨイさんを守るんじゃ!」

シヴァ「ヤヨイさんっ!!」


シルフ「吹雪くらい、私の風で散らしてあげます!」

シルフ「風の囁き!」


ビュオオオ…!!


ミストドラゴン「私にも手伝わせてください!」

ミストドラゴン「ミストブレス!」

シュウゥゥーー…! キラキラ…!


ブオオオォォォッ…!!

やよい「……ぁ……ぅ……」



高木「……ダメだ、向こうの吹雪の方が勢いが強い!」

高木「黒井、私たちも鬼ヶ島君たちに続こう!」

黒井「………」

高木「……おい、黒井!」

黒井「……なんだ、これは……」

577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:47:04.27 ID:2zaNk/pmO

冬馬「てめぇ!! 吹雪を止めやがれ!!」

冬馬「うおおおおおおお!!」

ズドドドドド…!!


ブルードラゴン「ぐ、が……っ!」


高木「……斬鉄剣っ!!」

ズパァンッーー!!



ブルードラゴン「ぬ……ぅ!」



ブルードラゴン「む、無駄だ……。もう、手遅れだ……」



冬馬「あぁ!?」




やよい「ぁ……ぅ……」ガタガタ


イフリート「うおおおおおーーーー!!」ボオォ

シヴァ「イフリート、全然足りないわ! もっと火力を上げなさい!」

イフリート「くそおおおおーーーー!!」ゴオオ

ラムウ「ヤヨイさん、逝くな……!」ダキッ

やよい「……ぅぅ……」ブルブル


高木「高槻君っ! くそっ!」


黒井「………」

黒井(高槻やよい……。死ぬのか……?)

578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:48:28.71 ID:2zaNk/pmO

ブルードラゴン「ば、バラバラの、力を持った……お前たちでは……救えまい……」

ブルードラゴン「彼女は……安らぎの国へ旅立つのだ……」


冬馬「ふざけんなっ!!」ブンッ

ドゴオオォ!!

メキメキッ!



ブルードラゴン「……あ、ぐっ……」



ミストドラゴン「ああ、ヤヨイ、なぜ……なぜこのようなことに……!」ダキッ

翔太「北斗君、回復魔法!」

北斗「ケアルダ!」

シャララーン! キラキラキラ…!

やよい「……ぅぅ……」

北斗「くそっ、魔法がきいてないのか!?」

シルフ「気をしっかり持ちなさい! 私のご主人なんでしょう!? マコト様と一緒に無事に青き星へ帰るんでしょう!?」ユサユサ

やよい「……ぁ……」グッタリ

579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:57:00.77 ID:2zaNk/pmO

やよい(わたしのこたえ……まちがってたんでしょうか……)

やよい(どらごんさんには……とどかなかったんでしょうか……)


「ーー! ーーー!」

「ーーーー!」


やよい(……うぅ……さむいです……)

やよい(……わたし……死んじゃうのかな……)


「ーーーー! ーーー!」

「ーーー!」


やよい(みなさんの声が、とおくなって……)

やよい(…………は……さ…ん……)

やよい(……い…りちゃ……)

やよい(………………)


やよい(…………)


やよい(……)



やよい「」カチコチーン


580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 22:00:48.21 ID:2zaNk/pmO
ー 月の地下渓谷 B8F ー


月の女神「……やあっ!」ブンッ


千早「ふっ!」ガキィン

千早「……はっ!」ビュッ


月の女神「おっと!」ヒョイッ

月の女神「やあぁぁあああっ!」

ブンブンブンブンッ!!

千早「!?」

千早「くっ!」

ガキィン! キィン! パキィン!


…スタッ


月の女神「……ふぅ」

月の女神「なかなかやるねー、私のぶん回しを防ぎきるなんて」

月の女神「うんうん、いいカンジ。もっともっと楽しもう!」


千早「………」ジリッ


月の女神(…………う〜ん)

581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 22:02:10.56 ID:2zaNk/pmO

月の女神「ねえ、あなたの名前はなんていうの?」


千早「えっ?」


月の女神「ほら、まだ聞いてなかったからさ」


千早「はあ……」

千早(なんでいまさら名前を訊くの? というか魔物相手に名乗る必要なんてある?)

千早(まあ、訊かれたのに答えないのも失礼よね。名前くらいは……いいかしら)



千早「……如月千早、です」


月の女神「ふーん、チハヤっていうんだー。キレイな名前だね」

月の女神「私は月の女神。まあそう堅くならずに楽しくいこうよ!」ニコッ

582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 22:04:10.77 ID:2zaNk/pmO

千早「何回も言ったけれど、私は別にあなたと馴れ合うつもりは……」


月の女神「えー、せっかくだから何事も楽しんだ方がいいと思うけどなー」

月の女神「おしゃべりもバトルも、楽しんだもの勝ちだよ?」


千早「おしゃべりはともかく、私にバトルを楽しむ趣味はないわ」


月の女神「ふーん……チハヤはマジメだねー」

月の女神「じゃあさ、趣味は? 好きな食べものは? 休みの日とか何してるの?」


千早「あの、私、あまり時間は無いのだけど。早くあなたを倒して仲間のところへ向かわないといけないの」


月の女神「ノリ悪いよチハヤー。せっかくこうして出会えたんだから少しくらいおしゃべりしようよー」


千早「…………はぁ」

千早「趣味は歌うこと。好きな食べものはソフトクリーム。オフの日は、美術館に行ったりすることもあるわ」

千早「……これで満足?」


月の女神「わぁ、なんか私の知らない言葉ばっかり!」

月の女神「ねえねえ、そふとくりーむってなーに? ビジュツカンって?」


千早(いちいち説明しなければならないのかしら……)


月の女神「わくわく」じーっ


千早(話さないと戦ってはくれなさそうね)

583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 22:05:57.16 ID:2zaNk/pmO

千早「ソフトクリームというのは……そうね、甘くてふわふわで、食べるととても幸せな気持ちになれる、良いものよ」


月の女神「甘くてふわふわかぁ……。いいなぁ、私も食べてみたい!」

月の女神「それでそれで? ビジュツカンっていうのは?」


千早「絵画や彫刻などの美術品を展示している場所よ。そこでいろいろな作品を見て、アーティストとしての感性を磨いているの。そういうことが、歌の表現力を高めることにも繋がると思うから」


月の女神「えっと、よく分かんないけど、チハヤはあーてぃすとっていうのになりたいの? あいどるじゃなくて?」


千早「それは……」

千早「私にとって、アイドルというのはただの通過点に過ぎないから。いずれはアイドルを辞めて、ひとりの歌い手として活動していきたいと思っているの」


月の女神「あ、知ってる! 歌を歌うのは吟遊詩人っていうんでしょ? 青き星にいるって聞いたことあるよ!」


千早「吟遊詩人とは少し違うかもしれないけれど……」


月の女神「そっかぁ、チハヤは歌が好きなんだねー」

月の女神「なんか、チハヤのことを少し知ることができて嬉しいな!」ニコッ


千早(本当に嬉しそうな顔をするのね)


月の女神「……私ってさ、生まれてからずーっと月で過ごしてきたから、この月以外の世界のことは、なーんにも知らないんだぁ」

月の女神「それに、ここには私と同年代の子なんて全然いないし」

月の女神「だから、チハヤのお話が聞けて、私嬉しかったよ?」

月の女神「えへっ、ありがとう、チハヤ!」ニコッ


千早(……そんな顔をしないで)

千早(今から私はあなたを倒さなければならないのに……)


月の女神「ゴメンね、時間取らせちゃって。続き、しよ?」チャキッ


千早「………」チャキッ

584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 22:11:10.65 ID:2zaNk/pmO
遅くなってすみません
完結はさせます
でも、今回の遅れで一ヶ月ルールに抵触しちゃったんじゃないかと心配なんですが大丈夫ですかね…
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 22:16:28.63 ID:udHWWKOsO
大丈夫、一ヶ月ルールはあくまで誰もレスしなかった場合自動でhtml化されるってのだからさ
誰かが保守ついでにレスすればされないよ
問題は二ヶ月ルールかな、二ヶ月たったら一分遅れだろうが依頼対象になるのが…
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/05(日) 07:48:20.82 ID:/Er29PHUO
支援
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/03/09(木) 20:19:22.82 ID:rmMzSg3nO
ー 月の地下渓谷 B9F ー


暗黒魔道士「……ファイガ」


ボオオオゥッ!!


美希「!」

美希「シェルっ!」バッ


ゴオオオ!! ボウッ!!


美希「きゃっ!」ヨロッ

美希「あつつ……」

美希「……むー、威力が強くてミキのシェルじゃ防ぎきれないの……」


暗黒魔道士「……サンダガ」


ズガガピシャァァン!!
 

美希「……おっとっ!」ヒョイッ

美希「……ふー、危なかったの……」

588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:21:46.93 ID:rmMzSg3nO

暗黒魔道士「……まったく、この暗闇の中でここまでボクの魔法に対応するなんて流石だよ、ミキ」

暗黒魔道士「本当は見えているんじゃないのかい?」


美希「そんなことないの。こーんな真っ暗じゃ、ネコさんでもない限り見えないって思うな」

美希「あっ、もしかしてアンコクさんってネコさんなの?」


暗黒魔道士「ねこ……? なんだい、それは」


美希「えっ、知らないの? すっごくカワイイのに」


暗黒魔道士「知らない……。ボクは知らないことだらけだ」

暗黒魔道士「でも、それでいい。ボクには……この暗闇さえあれば十分だ」

暗黒魔道士「この暗黒がボクの全てで、ボクに力を与えてくれるんだ……!」ゴゴゴゴ


美希「ふーん、暗いところが好きだなんて変わってるんだねー」


暗黒魔道士「ミキ。いつまでも余裕でいられるとは思わないことだ。君は今確実に、死へと向かっている」


美希「………」

589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:25:05.68 ID:rmMzSg3nO

美希「ミキもやられてばっかりじゃないよ。今度はこっちのターンなの!」

美希「……けがれなき天空の光よ、フジョウを照らし出せなの!」バッ

美希「ホーリー!」


キラキラキラ…!


暗黒魔道士「………」



…ドゴゴゴオオンッ!!




暗黒魔道士「……残念だったね」


美希「…………えっ?」


暗黒魔道士「暗闇でもボクからは君の行動は手に取るように分かる」

暗黒魔道士「君の詠唱をじっくり見てそれを躱すなんて、今のボクにとってはとても簡単なことなんだ」


美希「む〜、ちょっとくらい当たってくれてもいいのに〜」


暗黒魔道士「君の光はボクには届かない」

暗黒魔道士「君はその輝きを失い、闇に飲み込まれてしまうんだ」

590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:27:04.73 ID:rmMzSg3nO

暗黒魔道士「……バイオ」


ブニューン


美希「!」ダッ

タタタタ


美希「そんな方向に撃っても当たらないの!」


暗黒魔道士「ブリザガ」


コォォ…!


美希「……こっちなの!」ダッ


シャキィィン!!


美希「うん、なんとなく真っ暗にも慣れてきたってカンジ」

美希「じゃあ、次はミキの番だよ!」


暗黒魔道士「残念だけど君のターンは回ってこない」

暗黒魔道士「……トルネド」


ビュオオオッ!!


美希「なんでー!? アンコクさんばっかりズルいのー!」

美希「にゃーーーーっ!?」フワッ


…ドサッ

591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:28:39.43 ID:rmMzSg3nO

美希「うぅ、いたた……」


暗黒魔道士「言っただろう、ミキ。君という天才でも敵わないものがあるということを教えてあげるって」


美希「………」

美希(こんなのおかしいの。ミキがひとつのことをする間にアンコクさんは2回も3回も魔法を使えるなんて)

美希(絶対に何かズルしてるって思うな!)


暗黒魔道士「考えても無駄だよ。おそらく君にはたどり着くことはできない」

暗黒魔道士「何も見えないまま、何も分からないまま君はここでボクに負けるんだ」




美希(何か……何かきっとあるはずなの。アンコクさんが何回も続けて魔法を使える理由……)

592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:30:42.24 ID:rmMzSg3nO
ー 月の地下渓谷 B10F ー


ダークバハムート「………」ゴゴゴゴ


貴音「………」ゴゴゴゴ





貴音(……動けない……)

貴音(ばはむーと殿の闘気にあてられている、というのもありますが……)

貴音(何より不気味なのは、一見ばはむーと殿は隙だらけのように見受けられるということ)

貴音(『遠慮なく撃って来い』と言わんばかりの挑発)

貴音(かといって安易に動けば、その瞬間にあの方の鋭い爪がわたくしの体を引き裂く光景が容易に想像できます)

貴音(あの方の強さをわたくしは知らない)

貴音(知らないはずなのに、解る)

貴音(こうして対峙しただけで理解してしまう)

貴音(神を前にして、いかに己が無力なのかを)



ダークバハムート「……どうした、タカネよ。そうして立っているだけでは我は倒せぬぞ?」


貴音「……承知しております」


ダークバハムート「為すべきことを理解していても、恐怖に縛られて動けない……」

ダークバハムート「不便なものだな、心とは」


貴音「………」


ダークバハムート「ククッ……!」

593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:33:05.64 ID:rmMzSg3nO

貴音(ともかく、こうしていても仕方がないのは事実。ここは……)


貴音「………」ザッ


ダークバハムート「……漸く一歩」

ダークバハムート「その一歩を踏み出すのにどれだけ時間を要したのだ?」


貴音「っ……!」ゾクッ

貴音(あの方にほんの一歩近づくだけで、少しずつ精神が削られていくのが分かります)

貴音(よもやこれまで禍々しい闘気とは……)


ダークバハムート「……だが、そう悲観したものでもないぞ? タカネよ」

ダークバハムート「大抵の者は我の殺気を感じたと同時に逃げ出すであろう。動くことすらままならずに気を失う者もいるやもしれぬ」

ダークバハムート「その我の殺気に僅かとはいえ近づいたのだ、誇りに思うがいい」


貴音「……はい」

貴音(しかし……)




ダークバハムート「……それだけでは、足りぬ」ユラ…


ーーフッ…




貴音「!!」

594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:37:02.46 ID:rmMzSg3nO

貴音(消えた!? いえ、考えられない速さで……!)


「……後ろだ」ブォンッ


貴音「! っ……ぶりんく!」バッ


ズシャアッ!!


ダークバハムート「………」

ダークバハムート「…………ふむ。幻影、か」ザシュッ



貴音「っ……はあっ、はあっ……!」ドクンドクン



ダークバハムート「今のは悪くなかったぞ。最良の判断であろう」

ダークバハムート「タカネ、お前は生き延びた」


貴音「っ……!」

貴音(一つ選択を間違えば、即ち、死……!)


ダークバハムート「今更何を抜けたことを。神に刃を向けるとはそういうことだ」


貴音「そう、ですね……」

貴音「!?」

貴音「ばはむーと殿……まさか、先ほどからわたくしの思考を……?」


ダークバハムート「これはすまぬ。申してなかったか」

ダークバハムート「我にはお前の心の声が聴こえる」

ダークバハムート「美しく気高き者が恐怖に怯える声、というのも悪くはないな……」

ダークバハムート「……ククッ!」


貴音「く……!」

貴音(ここにいるのは、もう以前のあの方ではない)

貴音(闇に堕ちた魔の者……)


貴音(……邪神、だーくばはむーと……!)

595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:40:55.15 ID:rmMzSg3nO
ー 月の地下渓谷 B11F ー


律子「はあああっ!!」

ブンッ!! ビュンッ!! ブォンッ!!


クルーヤ「ふっふっふ!」ヒョイヒョイ


律子「く……!」ブンッ


クルーヤ「おっと」ヒョイッ



春香「お、お姉ちゃんの剣が……全部かわされてる……!?」



クルーヤ「良い剣捌きだ、リツコ。君は強い」


律子「……完全に見切っておいてよく言うわよ、まったく……」


クルーヤ「いやいや、本当だってば。剣で君に敵う者はもうこの世にはいないんじゃないかなぁ、きっと」


律子「お世辞はいいです。もう理解しましたから」


クルーヤ「え?」


律子「全力でいかないとあなたには勝てない、って……!」ゴゴゴゴ


クルーヤ「……ほー」


春香「あれって確か……!」


律子「……赦されざる者の頭上に星砕け、降りそそげ!」バッ


律子「……メテオッ!!」



ヒュー… ヒューー…

ヒューー… ヒュー… ヒュー…


ドゴゴゴゴゴゴゴッ!!!

596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:44:25.56 ID:rmMzSg3nO

律子「………」


春香「お姉ちゃんっ!」タタタタ

律子「春香……」

律子「あなたはそこで見ていて。ここは私がやるわ」

春香「で、でもっ! あの人は私たちのお父さんなんですよ!」

律子「…………ふぅ」


律子「いい? 春香、よく聞いて」

律子「あなたがあの人にお世話になったのは知っているし、設定上私たちの父親だということも一応理解したつもり」

春香「だったら!」

律子「私たちはこの世界の人間ではないのよ」

春香「! そ、それは、分かってます……けど……」

律子「小鳥さんを倒さないと元の世界へ帰れない。アイドル活動だって再開できないの」

春香「………」

律子「あの人がわざわざプロデューサーに扮して私たちに近づいたのはなんのため? 小鳥さんの元へ行かせまいと私たちの足止めをするために違いないわ」

律子「それにおそらく、あの人を倒さない限りこの階は突破できない」

春香「う……」



……ザッ


クルーヤ「……うーん、まあ概ねリツコの言うとおりかな?」


律子「!」

春香「お、お父さん!」

597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:47:42.63 ID:rmMzSg3nO

律子「あんまり期待してなかったけど、やっぱりピンピンしてるわね……」

律子「メテオって最強の魔法じゃなかったの……?」


クルーヤ「最強の魔法には違いないよ。それに僕にだってまったくダメージがなかったわけじゃないさ」

クルーヤ「……ただ、リツコにはメテオを使う心構えがまだ出来ていない」

クルーヤ「その威力を完全に引き出せてはいないんだ」


律子「心構え……? どういうこと?」


クルーヤ「うーん、そうだなぁ……」ポリポリ



クルーヤ「ヒント1、『メテオは封印されし魔法である』」


律子「えっ?」


クルーヤ「ヒント2、『光あるところに闇あり。その逆もまた然り』」


春香「お父さん……?」 


クルーヤ「ヒント3、『天より降りそそぎし隕石、赦されざる者を討ち滅ぼす』」


律子「………」

春香「えっと、なぞなぞ……ですか?」


クルーヤ「まあ、そんなところかな?」

598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:51:57.11 ID:rmMzSg3nO

律子(メテオの真の力……? あの図書館の蔵書にはそんなこと一言も書いてなかったわよ?)

律子(……そういえば、貴音もメテオを使えたはずよね)

律子(生前あずささんが使ったメテオも、相当の威力だった)

律子(今の私のそれとは比べものにならないくらいの)

律子(もしかして……)

律子(私が魔道士ではないから真の力とやらを発揮できないとか?)

律子(だとしたら、どうしようもないじゃない……)



クルーヤ「悩むのは必要なことだ。悩んで悩んで、人は強くなる」

クルーヤ(……さて、どうしようかな。僕の目的のためには二人に剣を取ってもらわないといけないんだけど……)チラッ


春香「うぅ……」


クルーヤ(リツコがやる気満々なのはいいとして、問題はハルカか)

クルーヤ「………」

クルーヤ(……あの子は優しい子だ)

クルーヤ(多少スパルタになっちゃうけど、ハルカをやる気にさせるには、たぶん……)

599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:55:07.88 ID:rmMzSg3nO

クルーヤ「……よし、それじゃあそろそろお父さんの方からも行かせてもらおうかなっ?」チャキッ


律子「!」


クルーヤ「……大気満たす力震え……」


…ヴヴヴ…!!


春香「これは……!」


クルーヤ「我が腕をして閃光とならん……」


律子「……来るっ……!」チャキッ



クルーヤ「ーー無双、稲妻突き」ブォンッ



律子(速……!)



律子(ガードが間に合わなーー!)



ーーキィン!!





律子「………………え?」

600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 20:58:46.78 ID:rmMzSg3nO

春香「……間に合って、良かった……!」チャキッ





律子「春香……!」



春香「いくらお父さんでも、私の大事なお姉ちゃんを傷つけることは許せませんっ!!」


律子「春香、あなた……」

律子「私を守ってくれたのね。……ありがとう」

春香「お礼なんてそんな……。私のたった一人のお姉ちゃんですから!」ニコッ

律子(……今の技に反応出来なかった……)

律子(みんな私のことを強いって言うけれど、私には何かが足りないような気がする)

律子(根本的な何かが……)



クルーヤ(僕が授けた技とはいえ、反応したのか、閃光の速度に……)

クルーヤ(試練の山で会った時とは本当に見違えるようだよ、ハルカ)

クルーヤ(新たな世界。それを創るのは君たちだ、ハルカ、リツコ)


クルーヤ「よーし! それじゃあお父さんが少し稽古を付けてあげよう!」



春香「受けて立ちますっ!」チャキッ

律子「やるしかないわね……!」チャキッ

601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:02:03.05 ID:rmMzSg3nO
ー 月の地下渓谷 B3F ー


魔人兵「……発射!!」コオォ


雪歩「ひぃぃ〜〜っ!!」タタタタ


ズドドドドドドドオオンッ!!




魔人兵「ん、今度はあっちか」チャキッ

魔人兵「……発射っ!!」コオォ


雪歩「こ、怖いですぅ〜〜!!」タタタタ


ドドドドドドカアアン!!




魔人兵「逃さないぞ!」チャキッ

魔人兵「そりゃっ!」コオォ


雪歩「うええぇぇぇぇんっ!!」タタタタ



ズドオンッ!! ドゴオンッ!! ドガアアアンッ!!!


602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:07:00.89 ID:rmMzSg3nO

…ボロッ


魔人兵「……やれやれ、ちょっと周りを破壊しすぎたかな?」

魔人兵「でも、あの子が面白いほど逃げ回るもんだからつい……」

魔人兵「おーい、生きてるかーい!!」





雪歩「……うぅ……ぐすん……」





魔人兵「うーん……なんだか弱いものイジメみたいでかわいそうになってきたなぁ……」

魔人兵「でも、これも仕事だ。恨まないでくれよ?」ジャキッ



雪歩「ひうっ!?」ビクッ

雪歩(に、逃げ場……!)キョロキョロ

雪歩(……そんなの、もうないよね……。穴を掘って隠れるだけの地面も、盾になりそうな壁も……全部、壊されちゃった……)

雪歩(どうしよう……。アダマンアーマー無しであんな砲撃が当たっちゃったら、きっと私なんて粉々の木っ端微塵だよぅ……!)

雪歩(……ああ、このまま私、殺されちゃうのかな……)

雪歩(せっかく……せっかくみんなみたいに勇気が持てるようになったのに……)

雪歩(……けっきょく私は、アダマンアーマーに守られてないとなんにもできないダメダメさんなんですぅ……)



魔人兵「……さよなら、だ」ドゴォン!

ゴオオオオ…!!





雪歩(みんな、ごめんね……。私はもう……)




…ズドオオオオオンッ!!!



603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:11:27.02 ID:rmMzSg3nO

雪歩「………」

雪歩「………」

雪歩「………」

雪歩「………」



雪歩「……ぅ……」ピクッ

雪歩「……わ、私……」

雪歩(……まだ……生きてる……?)

雪歩(さっきの砲撃が直撃しちゃったはずなのに……)



…チカッ



雪歩(? 胸元で何か光って……)

雪歩(あ……これ、地下渓谷へ来る前にプロデューサーが作ってくれたネックレスだ……)


…チカッ


雪歩(控えめだけど、不思議な光……)

雪歩(見てるとあったかくなってくるような……)

雪歩(……もしかして、私を守ってくれたの……?)




『…………もう、諦めてしまわれたのですか?』




雪歩(えっ……? ネックレスから声が……)

雪歩(でも、この声って……!)

604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:14:58.20 ID:rmMzSg3nO

『何かに守られていないと敵に立ち向かうことすらできない……。私がお慕い申したユキホ様は、そんなに弱い方ではなかったはずですわ』


雪歩「あ……あのっ!」


『確かに、ここ最近のあなたは戦いに於いてずっと、魔物の攻撃をものともしない堅固な鎧に守られていました』

『……けれど、思い出してください』

『ファブール城での戦いの時も、磁力の洞窟での戦いの時も……』

『あなたは己の身ひとつで勇敢に敵に立ち向かっていったはずです』


雪歩「あっ……アンナさん……ですよね……?」グスッ


『………』

『どうか、本当の勇気を。……あなたは、本当はとても強いお方』


雪歩「アンナさん、私っ…………!」


『遠く離れた場所から、私はいつでもあなたを見守っていますわ……』


雪歩「ま、待って! 行かないでくださいぃぃ!」



雪歩「私……私っ……!」

雪歩「まだ、あなたに『ごめんなさい』も『ありがとう』も言えてないのに……!」







…ガシャアン!!



雪歩「!」

605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:22:35.32 ID:rmMzSg3nO

魔人兵「へぇ、今度こそ直撃したと思っていたけど、まだ息があるのか。なかなかタフなんだなぁ」


雪歩「………」



雪歩(本当の、勇気……)ギュッ



雪歩「っ……!」スクッ


魔人兵「……ん?」


雪歩「……!」チャキッ


魔人兵「……おや、反撃する気になったのかい?」


雪歩「私は本当に、ひんそ〜でダメダメで……」

雪歩「でも、そんな私にも大切な人たちがいて……」


……ザッ



雪歩「その人の想いに、私は応えたいっ……こんなところで終わりたくないですぅっ!」グッ



魔人兵(……表情が、変わった……?)



雪歩「私は…………『もう』、負けませんっ!!」



魔人兵「何があったのか知らないけど、恐怖に立ち向かおうとするその心構えは立派だ」

魔人兵「でも、君に不利な戦況は変わらない」

魔人兵「どう覆すつもりなのかな?」



雪歩(恐怖に立ち向かうのは、自分。いつだって自分との戦いなんだ……)

雪歩(私は、私にできることをやるだけ……)

606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:26:14.38 ID:rmMzSg3nO

魔人兵(なんだろう……。今のあの子は何かをやってくれそうな……)

魔人兵(そんな予感がする)

魔人兵(雇われの身として仕事を完璧にこなさなければならない立場なのに、なぜこうもわくわくしてしまうんだろう……)


魔人兵「……オレの砲撃、かわせるものならかわしてみなよ……!」ジャキッ



魔人兵「……発射っ!!」

ズドドドドドドドッ



雪歩(アンナさん、私、やりますっ……!)チャキッ

キラキラ…!



魔人兵(さっきと同じ……また妙な力をスコップに纏わせた……)

魔人兵(それも、さっきの数倍の輝きだ……!)



雪歩「えーーーーいっ!!」ブンッ



ブォンッ!!


…ズドドドドドドドドッ!!!



魔人兵「! 砲撃の軌道を、スコップ一本で逸らしたのか……!」


…ドガアアアンッ!!!


607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:30:32.62 ID:rmMzSg3nO

雪歩「はぁ、はぁっ……」


『……いいかい雪歩。気っていうのは誰だって自分の体の中に持っているものなんだ』

『大切なのは、どうやってそれを外へ出してやるか』



雪歩(真ちゃん……ううん、お師さん……!)


『頭で考えるんじゃなくて、感じるんだ。自分の中に揺らいでいるエネルギーを解放するイメージを思い描くんだよ』



雪歩「……そのエネルギーを……」チャキッ







雪歩「………………スコップに込めて、撃つッ!!」ブンッ






キラキラ…!


ゴオオオオオオオオッ!!



魔人兵「こ、これは……!」



ドゴオオオオオオオオンッッ!!!



608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:34:06.47 ID:rmMzSg3nO

魔人兵「………」 

魔人兵「…………くっ」ボロッ



魔人兵(……オレの装甲が、破られた……!?)



魔人兵(今の、ベヒーモスのヤツがこないだ会得した衝撃波に似ていた……)

魔人兵(だが、威力は彼女のそれの比じゃない……)

魔人兵(オレの最大兵器、波動砲にも匹敵する……!)




雪歩「……はぁ、はぁ、はぁっ……!」

雪歩「……な、なんとか、一矢報いましたぁ……!」



魔人兵(一矢報いた? 冗談じゃない……)

魔人兵(オレに残された装甲を合わせて考えても、今ので互角……いや)

魔人兵(あの子のスコップを包むオーラの力は未知数だ)

魔人兵(これはひょっとすると……)



雪歩「……!」チャキッ



魔人兵(かなり危険な状況だ……)

魔人兵(……なのに、「見てみたい」と思ってしまっている自分がいる)



魔人兵(あの子の……あいどるの底力ってやつを……!)

609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:37:14.60 ID:rmMzSg3nO
ー 月の地下渓谷 B2F ー



ベヒーモス「うおおおおっ!!」ブンッ


ドゴオオオンッ!!


真「うりゃあああっ!!」ブンッ


ドゴオオオンッ!!



ベヒーモス「……ふんっ!」ブワッ


バキィッ!!


真「ぐっ!?」ヨロッ


ベヒーモス「……そらっ!!」ビュッ


真「……っとと!」ザッ

真「虎煌拳ッ!」


ゴオオオオッ!!


ベヒーモス「ちっ……!」バシッ


ズドオオンッ!!



真「やあああああっ!」タタタタ

タンッ…

真「……雷煌拳ッ!!」バリッ


ズガガガガッ!!


ベヒーモス「ぐぅ……っ!」ヨロッ


真「幻影……!」


ベヒーモス「甘いっ!」ガシッ

ベヒーモス「うらっ!」ブンッ



真「うわああぁっ!?」



ヒューー…


クルンッ スタッ


真「…………はぁ、はぁ、危なかった……」

610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:39:52.06 ID:rmMzSg3nO

ベヒーモス「ちっ……しぶといねぇ、マコト」

ベヒーモス「アタイの攻撃にしっかりついてくるその運動量、流石だよ」


真「……ははっ、そっくり言葉を返すよ、ベヒーモス」

真「君の圧倒的なパワーには本当に驚かされる。まさかこんなに苦戦することになるとは思わなかったよ」




真「……でも、こうも思うんだ」

真「『もっとこの時間が続いて欲しい』ってさ」


ベヒーモス「………」


真「もちろん、ずっとここにいるなんてそんなわけにはいかない。ボクは小鳥さんのもとへ行かなくちゃならないから」

真「ただ、君との勝負が思った以上に楽しくってさ。この勝負もいつかは終わっちゃうんだって思うと、少しだけ決着をつけるのが惜しい気がして……」


ベヒーモス「………」

ベヒーモス「……あんたは不思議だね」


真「えっ?」


ベヒーモス「アタイのパワーを見て怖気づくどころか、真っ向から勝負を挑んで来る。それも、アタイのパワーに匹敵するほどの技で」

ベヒーモス「だからアタイはもっと強いパワーをあんたにぶつける。当然マコトも技の威力を更に上げて対応してくる」

ベヒーモス「アタイはこれでも親衛隊の隊長だ。アタマ張ってるからには負けるわけにはいかない」

ベヒーモス「でも……そんな立場なんて関係なく、あんたとのやり取りをアタイも『楽しい』って思っちまってる」

ベヒーモス「……あんたのそのまっすぐな気持ちにそう思わされたんだ、きっと」

ベヒーモス「ふふっ、アタイもまだまだ若いねぇ……」ニヤリ


真「……へへっ」ニコッ

611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:47:00.89 ID:rmMzSg3nO

ベヒーモス「だが、ここで疑問に思うことがひとつあるんだ」

ベヒーモス「あいどるになるヤツってのはみんなあんたみたいに腕が立つ者ばかりなのかい? アタイがコトリ様から聞いたあいどる像とは随分違うみたいなんだけど……」


真「あー……うーん……」

真「えーっと……ほ、ホラ、修行して強くなったんだよ、きっと!」


ベヒーモス「ふーん……まあ、アタイたちと戦うつもりだったんなら修行もするだろうけどさ」

ベヒーモス「でも、衣装はどうしたんだい? あいどるってのはもっとこう……ふ、フリフリのカワイイ衣装とかを着るもんじゃないのかい?」


真「……そりゃあ、ボクだってフリフリの衣装を着て戦いたいよ」

真「でも、今のボクにはあんまり似合わないかなって」

真「でも、いつかはそういうキャピキャピの衣装が似合う女の子に絶対なるんだ!」


ベヒーモス「………」

ベヒーモス「……最初から思っていたけど、マコト、あんたまさか、女なのに男っぽく見られるのが悩みだったりするのかい?」


真「えっ! どうして分かったの!?」


ベヒーモス「あんまり自分で言うのもなんだけど、実は……アタイもあんたと似たような境遇なんだ」

ベヒーモス「だいたいのヤツはアタイのことをレディとして扱ってくれやしない」


真「そっか……君もそうだったんだね。すっごく分かるよ、その気持ち」


ベヒーモス「あいどるになるためには可愛らしさも必要だって聞いた。そうだろ? マコト」


真「うん。だからこそ、ボクはもっともっと女の子らしくならなきゃいけないんだ!」


ベヒーモス「それはアタイだって同じだ。アタイも一応、その……お、女の子なんだからね!」

ベヒーモス「でも、だとしたらこうも考えられる」

ベヒーモス「アタイたちは似た者同士、つまり……」




ベヒーモス「あんたとアタイの勝負は、女の子らしさを賭けた戦いだ、ってね……!」バーン




真「な……なんだってー!?」ガビーン

612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:49:56.24 ID:rmMzSg3nO

ベヒーモス「………」


真「………」





ベヒーモス「勝負ってのは常に非情、そして絶対だ」


真「……うん、分かってる。この勝負、勝った方が……」


ベヒーモス「……女子力が高いってことになる……!」


真「………」ゴゴゴゴ


ベヒーモス「………」ゴゴゴゴ



ベヒーモス「出し惜しみは無しだ。アタイの女子力を全てあんたにぶつけてやるよ……!」


真「望むところだ! ボクの方が女の子らしいってこと、証明してやるっ!」グッ


真「うおおおおっ!!」タタタタ






真「……きゅんきゅん☆正拳突きぃッ!!」ブォンッ


ベヒーモス「ラブリー☆ショルダータックルァァ!!」ズドドド



…ドゴオオオオォォオオンッ!!!


613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:52:22.08 ID:rmMzSg3nO
ー 月の地下渓谷 B1F ー


レッドドラゴン「おりゃっ!!」ブンッ


あずさ「プロテス〜」

パキーン!


レッドドラゴン「うらあああっ!!」


ドゴオッ!!


あずさ「きゃっ……!」ヨロッ


レッドドラゴン「もらったァ! 熱せ」


あずさ「ぶ、ブリザガ〜」バッ


コォォォ…シャキィィン!!


レッドドラゴン「モガッ!?」ジタバタ



あずさ「!」

あずさ(今……! 今このチャンスに『あの魔法』が使えれば……!)

あずさ(でも、出てこないのよねぇ……)

あずさ(本当に、なんで思い出せないのかしら〜……?)


レッドドラゴン「んにゃろぉ!!」ブンッ


バキィンッ!!


レッドドラゴン「ふぅ……」

614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:55:11.11 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「……どうした、アズサ?」


あずさ「………」


レッドドラゴン「ブリザガで口を封じられてたオレ様は、あんたからすれば絶好の叩き時だったはずだぜ」

レッドドラゴン「それをしなかったってことは、まだ思い出せないんだな? 例の魔法をよ」


あずさ「………」


レッドドラゴン「言っておくが、勝負ってのは運の要素も強ええ」

レッドドラゴン「あんたが今だに思い出せないってんなら、それはあんたに武運が無かったってことになる」

レッドドラゴン「ここからはもう、手加減はしねーぜ!」



レッドドラゴン「コトリ様の親衛隊、特攻隊長として、オレ様は……全力であんたを撃つ!!」



あずさ「!」

615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 21:57:29.50 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「逃げ場なんて残さねえ。この階全体を覆い尽くすくれーの、特大の熱線だ……」

レッドドラゴン「はあああああっ……!!」ゴゴゴゴ



あずさ(勝負を決める気なのね、レッドドラゴンさん)

あずさ(思えば、今までだって私を消せる場面は何回もあったはず)

あずさ(ここまで待ってくださったレッドドラゴンさんの期待にも応えられず……)

あずさ(……みんなとの約束も果たせないまま、終わってしまうだなんて……)

あずさ(そんなの……)



レッドドラゴン「足掻いてみせろや! アズサァァァッ!!」

ゴオオオオオォ!!!




あずさ(……そんなの、悔しすぎるわ……!)




あずさ(お願い……!!)



ゴオオオオオォッッ!!!



あずさ(………………私に、力を…………!!)ギュッ











……キラッ




あずさ「…………え?」

616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:01:58.10 ID:rmMzSg3nO
ー 地球 ファブール城上空 ー


…ビュオオオ


ルビカンテ「………」

バルバリシア「………」

ルビカンテ「………」

バルバリシア「………」



バルバリシア「……なに黄昏れてるのよ、ルビカンテ」

ルビカンテ「……いや、良い風だと思ってな」

バルバリシア「ふふっ、そんなの当たり前じゃない。この『風のバルバリシア』の背中に乗って感じる風なんだから!」

ルビカンテ「風のバルバリシア……か。懐かしい呼び方だ」

バルバリシア「他人事みたいに言わないでくれる? あなたの気まぐれのせいで私のこの二つ名ももう必要なくなっちゃったんだから」

ルビカンテ「平和な世界はお気に召さなかったか?」

バルバリシア「そういう意味じゃないわよ。……意地が悪いわねぇ」




カイナッツォ「あおいぃぃ〜〜とりいぃぃいいい!!!」




スカルミリョーネ「……だ、黙れカイナッツォ、み、耳が、腐…る……!」フラフラ

カイナッツォ「まっすぐ飛ばんかゾンビめ! 耳どころかお前は全てが腐っているだろうが!」

スカルミリョーネ「……そ、そんなこと言うと、振り落とす…ぞ……?」ブォン

カイナッツォ「なっ!? ちょ、ヤメロ、私を殺す気か!!?」ガシッ

スカルミリョーネ「……し、死してなお恐ろしい土のスカルミリョーネの力、とくと味わうがい…い……!」ブォンブォン

カイナッツォ「ぎゃあああ! ふざけるなあああぁぁああっ!!!」



バルバリシア「……あの二人、あんなに仲が良かったかしら?」

ルビカンテ「ふ、あいどるたちの影響かもな」

617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:06:45.50 ID:rmMzSg3nO

バルバリシア「それにしてもカイナッツォ、相当酷い歌だったわよ? スカルじゃないけど耳がもげちゃいそうだったわ」

ルビカンテ「あれでもヤツなりの精一杯なのだろうが、確かに聴くに耐えんな」

カイナッツォ「……おい、それは聞き捨てならんぞお前たち! 私の歌を馬鹿にするのはいい。だがあの小娘の歌を馬鹿にするのは許さんっ!!」

バルバリシア「誰もチハヤの歌をバカにしてなんかいないじゃない。あなたが歌うと台無しって言ってるのよ!」

カイナッツォ「くっ……!」

カイナッツォ「だ、だが、歌を聴いて私は一気にヤツのことを気に入ったぞ!」

カイナッツォ「あれだけ歌に魂を込めて歌える者など世界中を探してもいないだろう。チハヤこそが最強のあいどるだ! 間違いない!」

バルバリシア「うーん……まあチハヤもなかなかいいセン行っているとは思うけど、やっぱりミキには敵わないわねぇ」

スカルミリョーネ「……あ、アズサが一番……」

ルビカンテ「バカめ、イオリに勝てるわけがなかろう」



カイナッツォ「………」

バルバリシア「………」

スカルミリョーネ「………」

ルビカンテ「………」



カイナッツォ「……まあ、なんだな。私たちもすっかりあいどるたちに感化されてしまったものだな」

スカルミリョーネ「……そ、それは仕方のないこ…と……」

バルバリシア「当然よ! だってあの子たちは人を惹きつける力を持っているもの」

ルビカンテ「……不思議なヤツらだ」

618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:12:46.05 ID:rmMzSg3nO

カイナッツォ「ところでルビカンテ。この見回りとやら、いつまで続ける気だ? かれこれ数時間は飛んでいるぞ?」

バルバリシア「まあ、実際に飛んでるのは私とスカルなわけだけど」

スカルミリョーネ「……い、生き延びて迷子になった人間、助け…る……」

ルビカンテ「アン、といったか。あのトロイアの神官の手助けをしているだけだ。世界を一回りしたら休もう」

カイナッツォ「まったく、我々四天王がまさか人間の小間使いに駆り出されることになるとはな……」

ルビカンテ「そう言うな、カイナッツォ。戦いをやめたからといってすぐに平和が訪れるわけではないのだ」

カイナッツォ「ふん、まあいい。こんな風に空を飛ぶのも、たまには悪いものでもないからな」




スカルミリョーネ「ーーっ!」ピクッ




カイナッツォ「……ん? どうしたスカル。手足でも腐り落ちたか?」

スカルミリョーネ「……よ、呼んで…るっ……!」

バルバリシア「呼んでるって、人間でも見つけたの?」

スカルミリョーネ「……み、南だ、ついて来い、バルバリシア……!」

ビュウゥゥゥーーーー!!


カイナッツォ「のわああぁぁあっ!! いきなり飛ばすなぁーーっ!!」



ルビカンテ「ただ事ではなさそうだな。……おい、バルバリシア」

バルバリシア「……はいはい、仰せのままに」


ビュオオオッ…!!


619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:18:39.07 ID:rmMzSg3nO
ー ミシディア 祈りの館 ー


長老「………」

長老「………」

長老「………」

長老「………」



…ガタンッ

ドタドタドタッ!!



長老「………」

長老「……祈りの最中じゃ、静かにしてくれんかのぅ」



スカルミリョーネ「……お、お邪魔しま…す……」ペコリ

カイナッツォ「……いたたた……!」

カイナッツォ「まったく、いったい何なのだスカル! この辺りはさっき見回っただろう?」


…スタスタ

バルバリシア「相変わらず田舎よねぇ、ミシディアって」キョロキョロ

ルビカンテ「……ほう、あの時の翁か」



長老「誰かと思えば、和平を結んだ魔物たちか。何か用かの?」



スカルミリョーネ「……あ、アズサと話がしたい……」

カイナッツォ「はぁ!? ズルいぞ貴様っ!」



長老「お主が、か?」



スカルミリョーネ「……と、時が、来たのだ……。あ、アズサの本当の力を目覚めさせる時が……!」



長老「……ふむ、そういえばお主らもあいどるたちと関わりがあったんじゃったか」

長老「丁度、ここで共に祈りを捧げていたリヴァイアサン殿たちが喚び出されてしまって、月への祈りの力が弱まっていたところじゃ」

長老「祈りは全ての者に平等。お主の想い、届けるが良い」



スカルミリョーネ「……お、恩に着…る……!」

620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:22:51.23 ID:rmMzSg3nO
ー 月の地下渓谷 B1F ー


あずさ(……)

あずさ(……………)

あずさ(…………………)



あずさ(…………私……?)

あずさ(レッドドラゴンさんの全力の熱線を受けて……)

あずさ(……生きて…る……?)



『…………サ……アズサ……!』



あずさ(この声は……)

あずさ(……もしかして、スーさん?)


『……そ、そう…だ……』


あずさ(まあ、お久しぶりねぇ〜♪)

あずさ(……あら? でも、スーさんたちは地球でお留守番じゃなかったかしら?)


『……み、ミシディアから、声を届けてる……』


あずさ(ミシディア……って確か、亜美ちゃん真美ちゃんの故郷ね。なぜそんなところから?)


『……あ、あまり時間は無い。必要なことだけ言う…ぞ……?』


あずさ(あらあら、何か焦っているみたいねぇ。スーさんにしては珍しいわ〜)


『……あ、アズサ。生き返る時が来た……!』


あずさ(……ええっ!? そ、それはどういうことかしら〜?)

621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:28:19.91 ID:rmMzSg3nO

『……あ、あの時。ゾットでリツコ様と対峙したアズサがーーーを使って力尽きた時。お前の肉体は、正確には生きていた……』


あずさ(あ、あの、今なんて? スーさん、私、なんて魔法を……)


『……だ、だが、お前の魂は肉体を離れて彷徨う寸前だった。その魂を肉体に繋ぎ止めるため、オレの魂を一時的にアズサに貸した……』


あずさ(そうだったの? ということは私、死んでしまったわけではなかったのね……)


『……な、仲間に訊けば分かる。お前の心臓は、あの時点で動いていたはず……』

『……で、でも、オレの魂、返してもらう時が来た……』


あずさ(スーさんに魂を返してしまったら、私は……どうなってしまうの?)


『……し、心配するな、アズサ。今のお前なら、人間の肉体に戻れる。迷えるお前の魂は、お前の強い願いによって再び、その身体に還る……』


あずさ(まあ……!)


『……い、一時的にゾンビとなっていたお前は、ーーーを忘れてしまっただろう。ーーーは光の者にしか扱えない魔法だから……』


あずさ(スーさん、よく聞こえないわ。お願い、もう一度……)


『……つ、強く願え。想いは、必ず……!』


あずさ(……スーさん……)


622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:31:34.80 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「……はぁ、はぁっ……!」ヨロッ

レッドドラゴン「ど、どうだ、これがオレ様の全力だぜ!」

レッドドラゴン「参ったかアズサ!」



レッドドラゴン「………」



レッドドラゴン「……ちっ、影も形も消えちまいやがったか……」

レッドドラゴン「アズサのやつ、魔法が間に合わなかったんだな……」

レッドドラゴン「…………ちくしょう」

レッドドラゴン「勝ったってのに、なんでこんなに後味が悪いんだ!」



レッドドラゴン「………」



レッドドラゴン(……あばよ、女神様)

レッドドラゴン(初恋、ってやつだったぜ)

623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:33:48.92 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「……さて、いつまでもつっ立ってても仕方がねぇ。他の連中の様子でも見てくっかな」



……ザッ




レッドドラゴン「……っ!」ビクッ

レッドドラゴン「お、お前……!」



「……うふふ、私、なんとか生きてたみたいです♪」



レッドドラゴン「あ、アズサ!? よ、良かった!!」

レッドドラゴン「じゃねえ、どうやってオレ様の熱線を防ぎやがった!?」



あずさ「さあ……? ごめんなさい、あんまり覚えてないんです〜」



レッドドラゴン「くそっ、可愛い!」

レッドドラゴン「け、けど、もう一発くれーなら全力の熱線を撃てないわけでもねぇ」

レッドドラゴン「今度こそジ・エンドだぜ!」



あずさ「あらあら、それじゃあ私も頑張らないといけませんね〜」

624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:35:56.64 ID:rmMzSg3nO

あずさ(……強く、願う)

あずさ(大丈夫。『今の私』なら、きっと出来るわ!)



あずさ(私に……)



あずさ(どうか、力を……!)



…キラッ



あずさ(! また……! さっきと同じね。プロデューサーさんから頂いたネックレスが光ってる……)

あずさ(確かこれって、クリスタルの欠片なのよね?)

あずさ(もしかして何か不思議な力が……)



あずさ「ッ……!」ドクンッ














あずさ「……メ…………テオ……?」

625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:37:59.50 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「お別れだぜ、アズサ!」

レッドドラゴン「最大出力の熱線だあああっ!!」


ゴオオオオオオオオッッ!!!



あずさ「………」



レッドドラゴン(やっぱり、さっきのはたまたまかよ)

レッドドラゴン(恨むなよ、アズサ……!)



あずさ「……赦されざる者の頭上に……」



レッドドラゴン(……えっ?)



あずさ「星砕け、降りそそげ!」



レッドドラゴン(ま、マジか!? この土壇場で……!) 



あずさ「うふふっ……」ニコッ





あずさ「……メテオ〜♪」





ヒュー…



ヒュー… ヒューー… ヒュー…

ヒューー… ヒュー… ヒューー…



ズドドドドドドドドドドドッッ!!!



ドゴオオオオオオオオンッ…!!!


626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:40:17.12 ID:rmMzSg3nO

あずさ「……はぁ、はぁっ……」ヨロッ



あずさ「ちょ、ちょっとしんどかったわ〜」

あずさ「生身の体も久々だもの、仕方ないのかしら」

あずさ「……あつっ!」

あずさ「あらあら、左腕に火傷が……」

あずさ「……ケアルラ〜」

シャララーン! キラキラキラ…!


あずさ「……ふぅ。この感覚、ものすごく懐かしい気がするわね」

あずさ「う〜ん、やっぱりリハビリとかしないといけないのかしら〜?」

あずさ「………」

あずさ(……ありがとうございます、スーさん。本当に、助かりました)



あずさ「……そうだわ、そういえばレッドドラゴンさんは〜……」キョロキョロ



「……うぅっ……」



あずさ「!」

あずさ「レッドドラゴンさん……」

タタタタ…

627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:42:40.30 ID:rmMzSg3nO

レッドドラゴン「……へ……へへっ……や、やりゃできんじゃねーか、アズサ……」

あずさ「動いてはダメです。今、回復を……」

レッドドラゴン「ば、バカヤロー! 敵に情けなんかかけるんじゃねえ!」

あずさ「で、でも〜」

レッドドラゴン「……あんたの勝ちだ。とっとと行け……」

あずさ「あなたをひとり残しては行けません」

レッドドラゴン「ふざけんな……! どこまで優しいんだ、あんたはよォ……!」

あずさ「いいえ、優しいのはレッドドラゴンさんです」

あずさ「私のことなんていつでもやっつけられたのに、わざわざ私がメテオを思い出す時間までくれて」

あずさ「この戦い、本当なら私の負けだったんですよ?」

レッドドラゴン「………」

レッドドラゴン「……本気のあんたとやってみたかっただけだ」

レッドドラゴン「ほ、惚れた……女だからな……///」

あずさ「……あの〜、今なんて?」

レッドドラゴン「なっ、なんでもねぇ! もう行っちまえ!!」

あずさ「あらあら……」

628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/09(木) 22:44:26.54 ID:rmMzSg3nO

あずさ「……分かりました、それじゃあ私、行きますね?」

あずさ「私が言うことじゃないかもしれませんけれど、どうかお体に気をつけて」

レッドドラゴン「……おう」



レッドドラゴン「…………最後に、ひとつだけいいか?」


あずさ「はい……なんでしょう?」



レッドドラゴン「人間に戻ったあんたも、最っ高に可愛いぜ……!」



あずさ「……うふふっ♪ ありがとうございます〜♪」ペコリ


タタタタ…




レッドドラゴン「………」


レッドドラゴン「……あーあ、怪我が痛くて涙が出てくらぁ……」ポロッ

629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 22:46:56.22 ID:rmMzSg3nO
ここまでです
カイナッツォが千早Pになったのは、巨人戦で千早の歌を聴いてからです
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/10(金) 08:18:08.67 ID:M5H45BDqO
四天王の選ぶアイドル談義があったら面白そうだな
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 04:20:39.67 ID:HL4zm5NnO
なんだかんだでこのSS2014年7月に始まったから三年近くたつんだな
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/20(月) 19:40:11.69 ID:lZ7X+kbGO
ふと過去スレ読み返して思ったんだけどさ
黒ちゃんリヴァイアサンなんだよな?蛇なんだよな?
……つまりあの姿のままで顔が黒ちゃん……なの?
グロッ!ある意味でRー18じゃなかろうか
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/22(水) 07:04:31.81 ID:6j4266zGO
このままの流れでこのスレで終わらなそうな気がする
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 04:03:36.78 ID:nHjxpHBjO
春香誕生日おめでとう
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/04/07(金) 10:55:10.69 ID:Cs5pkJBqO
ー 月の地下中心核 ー


『……メテオ〜♪』

『ズドドドドドッ!!!』



P「………」

小鳥「………」

P「………」

小鳥「………」


P「……よし、ナイスあずささん! 流石ですっ!」グッ

P「…………あ」チラッ

小鳥「………」

P「す、すみません、嬉しくってつい……」

小鳥「いいんですよ、別に私のことは気にしなくても」

P「………」



P「あの、小鳥さんとしてはどうなんですか? やっぱり魔物側に勝ってほしかったですか?」

P「……って、なにバカな質問をしてるんですかね、俺ってば。あはは……」

小鳥「うふふ♪」

小鳥「まあ、立場上素直には喜べませんけど、あずささんが負ける姿は想像できませんでしたねー」

P「……やっぱり優しいんですね、音無さんは」

小鳥「えっ? やだなぁ、そんなことないですよぅ、プロデューサーさんったら」

P(……はぁ、なにしてるんだ俺)

P(これじゃ音無さんを救うどころか地雷踏みまくってるじゃないか)

P(しっかりしなきゃ……)

636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 10:58:40.10 ID:Cs5pkJBqO

小鳥「それよりプロデューサーさん、気付きました?」

P「何がです?」

小鳥「今の戦いであずささんがやられそうになった時、胸元がこう、パーって光りましたよね?」

小鳥「その後のあずささん、なんだか雰囲気が変わった感じでしたし、何か力に目覚めたのかしら」

P「ああ……」

P「月に来る前にアイドルたち全員にクリスタルを持たせたんですよ。といっても、それぞれが持っているのはほんの小さなカケラですけど」

小鳥「クリスタル……」

小鳥「なるほど、私への対策はバッチリってところですか」

P「……そうですね」

P「あの子たちにはお守り代わりとして渡してはいますが、一応音無さんとの決戦のことも見据えています」

小鳥(……そうよね。本来ゼロムスとの最終決戦はクリスタルを使ってからが本番だもの)

小鳥(んー、流石プロデューサーさん、抜け目ないわねぇ)

小鳥(ま、私もそう簡単にやられちゃうわけにはいかないんだけど)

小鳥(でも……)

小鳥(『カケラ』でいいんですか? プロデューサーさん)

小鳥(もしかしたら、ちゃんとしたクリスタルじゃないと私に通用しないかもしれませんよ……?)


637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:01:41.12 ID:Cs5pkJBqO
ー 月の地下渓谷 B4F ー



亜美「……はぁ、はぁっ……」

亜美「………」



金竜「……ぐ……!」グッタリ



亜美「ど、どうだ! 大魔道士亜美様の力を思い知ったかーっ!」ビシッ


金竜「……ぬぅ……おのれ……!」


亜美「………」チラッ



銀竜「」カチコチーン



亜美(銀ぴょんはカチンコチンに凍らせたし、金ぴょんもダウン……)

亜美(亜美、やれるだけのことはやったよ!)

亜美(もう起き上がってこないでよね! もう亜美のMPはゼロなんだよ……)

亜美(エーテルももうないから回復もできないし、今向かってこられたら……)


金竜「………」





金竜「………………ずえぇぇぇいっ!!」ガバッ



亜美「……げっ!?」

638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:05:37.86 ID:Cs5pkJBqO

金竜「……我は死なぬ……」

金竜「我が弟、銀竜の為にも……貴様に勝つッ!!」



亜美「な、なんでー!? なんでまだ生きてんのさー!」

亜美「金ぴょん、ゴキブリ並みの生命力だよ〜!」



金竜「ふふっ……!」

金竜「ごきぶり……というものは良く分からぬが、さぞや名のある戦士なのだろうな!」



亜美「う、うーん……まあ、ある意味そうとも言えるかも……」



金竜「ともあれ、我はまだ余力を残しているっ……!」

金竜「アミ、覚悟は良いな?」



亜美「ふ、ふん! 亜美だってまだまだ与作を残してるもんねっ!」

亜美(……もう残ってないよ〜!)



金竜「くっ、流石はあいどる……あれだけの魔法を使ってまだ力を温存しているか……」



亜美「う、うん。亜美、まだまだチョー元気だから、金ぴょんはそろそろ逃げた方がいいっぽいよ〜?」

亜美「さっきよりもすんごい魔法使ってみせちゃうよ〜?」

亜美(お願いだからビビって〜!)



金竜「………」

639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:07:47.74 ID:Cs5pkJBqO

金竜(迷うことなどない。我にはもう、前進以外に道は残されておらぬ……!)

金竜(銀竜……)

金竜「……ならば、我はそのさらに上をいく力でお前を迎え撃とうぞ!」



亜美「へ、へぇ、そう。そりゃすごいねー」

亜美(も〜、金ぴょんの分からずや〜!)




金竜「行くぞっ!」ブワッ



亜美「うあうあ〜!」



金竜「……ふんっ!」

ビュンッ…


亜美「うわぁっ!」ヒョイッ


ドゴオンッ!!


亜美「……ふぇぇ、今あんなのくらったらヤバいよ〜!」タタタタ


金竜「……そこだっ!!」

ビュン…

バキィッ!!


亜美「ぐえっ!」ヨロッ


…ドサッ

640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:10:15.57 ID:Cs5pkJBqO

金竜「追い詰めたぞ、アミ……」


亜美「う……うぅ……」


シュルシュルッ…

ガシッ!


亜美「……う……ぁ……」

亜美(体に巻きつかれて……動けないよ……)


金竜「小さくも勇敢なる魔道士アミよ。お前は勇気あふれる立派な戦士であった……」

金竜「時間をやろう。最期に何か遺す言葉はあるか?」



亜美「……ぅ……っ!」

亜美(……はるるん、りっちゃん、兄ちゃん……)

亜美(みんな……どーやら亜美の冒険はここまでっぽいよ……)

亜美(最後まで行けなくて、ゴメンね……)

641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:12:39.02 ID:Cs5pkJBqO

金竜「………」

金竜「……言葉はないか。沈黙も或いは雄弁に通ずるのかもしれぬ」



亜美(……あーあ、最後まで行きたかったなぁ……)

亜美(せっかく兄ちゃんに助けてもらったのに、こんなトコでやられちゃうなんて……)

亜美(……………………真美……)



金竜「……さらばだ、あいどるよ」










亜美「真美ーーーーーーっ!!!」












「………………ケアルガ!」

シャララーン! キラキラキラ…!





亜美「………………え?」

642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:15:19.71 ID:Cs5pkJBqO

「こらー! そこの細長いの! かわいい妹になにしてくれてんのさー!! 中学生に手を出したら犯罪なんだかんねっ!!」




金竜「ほ、細……え?」




真美「せくしー美少女白魔道士、真美、見参っ!!」ビシッ



亜美「真美っ……!!」パァァ
 
金竜「同じ顔……だと……!?」



真美「亜美、受け取れぇい!!」ブンッ

ヒュンッ




亜美「えっ?」パシッ

亜美「! これって……!」



金竜「くっ、こやつめ!」

ギチギチッ!

亜美「ぅあっ……!」




真美「亜美っ!!」

643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:18:16.87 ID:Cs5pkJBqO

金竜「貴様、援軍か!」

金竜「何を渡したか知らんが無駄なことだ!」

金竜「アミを始末したら……次は貴様の番だ!」




真美「んっふっふ〜♪ そううまくいくかなー?」

真美「亜美はカンタンにやられちゃったりしない強い子だもんモンねっ! 真美、信じてるもん!」



金竜「何を馬鹿なことを……。アミは我によって身体の自由を奪われ、さらに今となっては言の葉を発することも叶わぬ!」

金竜「この状況で何をしようというのだ?」

金竜「……そうか。貴様、マミといったか。アミの姉だと申したな?」

金竜「妹を助けに来たはいいが、恐怖で身体が動かぬ、といったところか」

金竜「なんとも情けないことだな……!」

金竜(………)



真美「………」

644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:22:12.45 ID:Cs5pkJBqO

真美「……確かに亜美は今動けないししゃべれないかもしんないけど、手は動くよね?」



金竜「……なにっ?」



真美(亜美……!)クイッ

真美(…………GO!!)p




亜美(……オッケー真美!)



亜美(……暴れちゃえ……!)


 



亜美(………………『ほしくずのロッド』!!)ブンッ





キラキラキラ…!!



金竜「な、何っ!? これは……!」



ヒューーーー…


ズドドドドドドドッ!!

645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:25:21.25 ID:Cs5pkJBqO

真美「亜美っ!」タタタタ



真美「平気? 立てる?」スッ

亜美「うん……真美のケアルガのおかげだよ」

真美「よかったぁ……。でも、無理しちゃダメだよ?」

真美「亜美、しょっぱなから魔法じゃんじゃん使ってたし、どーせもうMPもゼロでエーテルも切れちゃったんでしょ?」

真美「それを見越して『ほしくずのロッド』を回収する真美マジ有能!」

真美「はい、エーテル」スッ

亜美「うぅ……すまぬ……」ゴクゴク



真美「いやー、それにしてもカンイッパツってカンジだったねー」

真美「妹のピンチにさっそうとかけつける姉」

真美「まさにこれこそが最強の姉っしょ!」

亜美「………」

亜美「……真美っ!」ガバッ

真美「ふぇっ!? あ、亜美?」

亜美「うぅっ……会いたかったよぉ〜!」

真美「………」

真美「……うん、真美もだよっ」ギュッ

亜美「うえええぇぇえっ!」ポロポロ


真美(……ひとりでよくガンバったね、亜美……)ナデナデ

646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:28:08.22 ID:Cs5pkJBqO

亜美「……ま、そんなこんなで真美さんや」

真美「なにかね、亜美さんや」

亜美「亜美の予想だと、展開的に敵はまだ生きてる気がするのだよ」

真美「んー……。確かに、真美が合流したところで『こっからが本当の戦いだ!』ってなりそーだよね」

真美「敵さんのじょーほーについてはどんなカンジなの?」

亜美「んっとね、敵は二体。金竜と銀竜の兄弟……あ、亜美は金ぴょんと銀ぴょんって呼んでるんだけど、亜美が一体倒したから残すはさっきの一体だけだよ」

亜美「でも、真美の持ってきてくれた『ほしくずのロッド』もあるし、亜美たち二人が揃えば敵はいないっしょ!」

真美「兄弟かぁ……」

真美「亜美、あんまりユダンしないほーがいいかも」

亜美「えっ?」

真美「兄弟のキズナ、甘く見ないほーがいいっぽいよ」

亜美「………」

亜美「……うん。だね」





金竜「………………負けぬっ……!」ヨロッ





亜美・真美「!!」

647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:31:54.52 ID:Cs5pkJBqO

金竜「我は……負けぬ……負けられぬのだ……!」

金竜「ぬおおおおおっ!!」ビュンッ


真美「行くよ、亜美! ヘイスト!」バッ

カタカタ…シャキィン!

亜美「よしきた!」

亜美「ぬおおおおおっ!!」タタタタ



金竜「ぬりゃっ!!」ブンッ


亜美「ふっ、見切った!」シュンッ


ズドォン!!


亜美「くらえー! 『ほしくずのロッド』!」ブンッ



キラキラキラ…!


ヒューーーー…


金竜「おおおおおおおおっ!!」


ズドドドドドドドッ!!
 




金竜「……はぁっ、はぁっ……」

金竜「ま、まだだっ……!」ヨロッ

648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:34:46.40 ID:Cs5pkJBqO

亜美「うわぁ……もう亜美の魔法何発ブチ込んだかわかんないけど、しぶといなぁ」

真美「真美、まだ全然カツヤクしてないし、むしろ大歓迎だよ!」



金竜「……はぁ、はぁっ……」

金竜(……姉妹、か……)


『もしも亜美がピンチになったとしても、真美を盾にして亜美だけ生きのびるなんてことだけは……ゼッタイにしない。したくない!』

『亜美はカンタンにやられちゃったりしない強い子だもんモンねっ! 真美、信じてるもん!』



金竜(………)

金竜(我は、間違っていた……)

金竜(銀竜……)チラッ

 

銀竜「」カチコチーン



金竜(勝負とは非情なもの……。しかし……) 

金竜(お前を犠牲にして勝利したとしても、そこにはなんの意味も無いのだっ……!)

金竜(何故ならば……)



金竜「我らは、二人で共にあいどるになると誓い合ったのだからっ……!」

649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:37:30.94 ID:Cs5pkJBqO

真美「ん? なんか金ぴょん、おかしなこと言い出したよ?」

亜美「うーん、よくわかんないけど、金ぴょん銀ぴょんは亜美たちを倒してアイドルになりたいんだってさ」

真美「ふーん、変なのー。ピヨちゃんのオロシガネってヤツかな?」

亜美「たぶんねー。でも、金ぴょんには悪いけど、二人がアイドルになるのはさすがにムリがあるんじゃないかなぁ?」


金竜「出来る出来ないではない……。やるのだ」

金竜「それは、我ら兄弟の悲願なのだからな……!」



亜美・真美「!!」




亜美「……そっか。それは金ぴょんたちの『夢』なんだね」

真美「ひとの『夢』を笑うのは……失礼だよね」



金竜「………」

金竜(良き戦士たちに出会えた)

金竜(最愛の弟よ……我に力を……)



金竜「…………いざッ!!」




亜美・真美「……勝負じゃー!!」

650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:44:41.57 ID:Cs5pkJBqO

金竜「……稲妻よ!!」



ズガガガドゴォォォンッ!!



亜美「っ……あぶなっ!」

真美「亜美、へーき!?」

亜美「うん!」

真美「行くよ、亜美!」スッ

亜美「おっけー真美っ!」ギュッ



金竜「手を繋いだ……?」

金竜「そうか、それがお前たちの……」

金竜「撃ってみせよ! その力、この稲妻で砕いてみせよう!」バリバリッ



亜美・真美「はぁぁぁぁっ……!!!」ゴゴゴゴ



亜美(久しぶりだね、ふたりがけも)

真美(そだね。でも、きっと前とは威力もぜんぜん違うっぽいよ!)

亜美(うん! モチのロンだよ!)



亜美・真美「赦されざる者の頭上に、星砕け降り注げっ!!」




亜美・真美「…………メテオ!!!」




ヒュー… ヒューー… ヒュー…

ヒュー… ヒュー… 



金竜(封印されし魔法……! よもやこの魔法を使えるとは……)

金竜(我の稲妻だけでは防ぎきれぬ……。もはやこれまでか……!)




「ーー兄者ぁぁぁぁっ!!!」




金竜「!!」

651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:46:07.18 ID:Cs5pkJBqO

銀竜「我も助太刀するぞっ!!」

銀竜「ブレイズっ!!」

ゴオオオオッ!!


金竜「ぎっ、銀竜!? 生きていたのか!」

銀竜「兄者ひとりに辛い思いをさせてなるものかっ!」

金竜「銀竜……!」




真美「亜美、弟くんが復活しちゃったっぽいよ!?」

亜美「ぬぅ……死んだフリとはひきょーな!」

亜美「でも、亜美たちだって負けてらんないっしょ!」

真美「おうともさ!」



亜美・真美「うおおおおぉぉおおっ!!」




金竜・銀竜「おおおぉぉおおおおっ!!」





…ドッゴオオオオオン!!!



652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:48:25.62 ID:Cs5pkJBqO

亜美「………」

真美「………」




金竜「………」

銀竜「………」




金竜「ふふふ、残念だったな。お前たちのメテオは凌いだぞ!」

銀竜「我ら兄弟が力を合わせれば、不可能など無いのだっ!」




亜美「………」チラッ

真美「………」チラッ



亜美・真美「………………ふっふっふっふー!」



亜美「亜美たちのメテオを防いだくらいで調子に乗ってもらっちゃあ困りますなー」

真美「まったくですなー」



金竜「……なにっ? さっきのメテオはお前たちの最大の魔法ではなかったとでも言うつもりか!?」

銀竜「馬鹿な……メテオは現存する魔法の中で最強のはず!」

653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:51:21.56 ID:Cs5pkJBqO

亜美「残念だったね、金ぴょんに銀ぴょん……」

真美「真美たちアイドルは変身するたびに強くなる」

亜美「その変身を、亜美たちはあと2回残している……」

真美「これがどういうことかわかるかね?」



金竜「変身……だと……!?」

銀竜(いや……これは明らかなハッタリだ。いくらあいどるが未知の存在とはいえ、人間が変身するなど聞いたこともない)

銀竜(アミめ、またもや嘘でこちらの戦意を削ぐつもりか。ならばこちらもハッタリで逆に戦意を喪失させてやる……!)


銀竜「……残念だったな、小娘たちよ!」



銀竜「我なんかあと3回変身を残しているのだっ!!」バーン



亜美・真美「な、なんだってぇー!!?」ガビーン



金竜「な、なんだとー!!?」ガビーン





銀竜「兄者ェ……」

654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 11:54:17.18 ID:Cs5pkJBqO

銀竜「……と、とにかくだ!」

銀竜「二人揃えばもうお前たちを屠るのは容易い。覚悟せよ!」

金竜「我ら兄弟の絆こそ最強だと知れ!」



真美「んっふっふ〜♪」

真美「魔物のブンザイで真美たちにはむかうなど、身のほどをわきまえぬ者たちじゃ……!」

亜美「ふたたび生き返らぬよう、そなたたちのハラワタの中で息絶えるがよいっ!」



銀竜「ちょっと言っていることがよく分からぬが……」

金竜「尋常に勝負だっ!!」

655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 11:56:06.30 ID:Cs5pkJBqO
続きは今週末までに投下します
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 19:07:19.26 ID:hIpwTBAQO
今週末…明日か…兄弟姉妹対決いいねー燃えるから好きよ
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 02:58:19.73 ID:IB7jvRG1O
もう来週に入ったが更新なかったな
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/04/09(日) 05:59:33.83 ID:yKLskMaYO
ー 月の地下渓谷 B5F ー



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」



響「……!」タタッ

響「……はぁ、はぁっ……!」タタンッ



プリンプリンセス9(『王女の歌』によってパーティが始まってから、そろそろ一時間……)

プリンプリンセス10(あの方もずっと踊り続けてようやく息が切れはじめたようですわね)

プリンプリンセス11(さあ、終宴へのカウントダウンが始まりましたわ)

プリンプリンセス12(名も無き花が己の短い命を咲き誇るように、美しく舞い……美しく散ってくださいまし!)

659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:00:43.89 ID:yKLskMaYO

ーーーーーー
ーーー



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」



響「ぜぇ、ぜぇ……」スタッ

響「はぁっ……うぁ……!」クルンッ



プリンプリンセス9(パーティが始まって約二時間……)

プリンプリンセス10(息は切れているものの、今だに動きに衰えが見られない……。まさかここまで踊り続けることができるとは思いませんでしたわ)

プリンプリンセス11(流石はあいどる……といったところでしょうか。ですが、あの方の命の火が確実に小さく弱くなってきているのは事実)

プリンプリンセス(うふふ……やがて訪れる最期の瞬間まで、その輝きを保っていられるでしょうか?)

660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:02:15.20 ID:yKLskMaYO

ーーーーーー
ーーー



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」



響「はぁ、はぁっ……」タンッ スタッ

響「……ぅくっ……」タタンッ



プリンプリンセス9(パーティが始まって三時間……)

プリンプリンセス10(お、おかしい……。常人ならばとっくに力尽きている時間……)

プリンプリンセス11(なんなんですのいったい……? 人間とは思えない体力……)

プリンプリンセス12(……いえ、問題などありませんわ。いつまでも全力で踊り続けていられる者なんて、いるはずありませんもの……!)

661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:03:24.12 ID:yKLskMaYO

ーーーーーー
ーーー



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」



響「………」タタッ クルッ

響「………」シュタタッ



プリンプリンセス9(…………すでに、四時間が経過している……)

プリンプリンセス10(こんなの、絶対にあり得ない……あり得るはずがない……!)

プリンプリンセス11(……息が……声が、かすれて……)

プリンプリンセス12(ま、まずいですわ……。歌が……)

662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:05:05.08 ID:yKLskMaYO

ーーーーーー
ーーー



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」



響「………」キュッ キュッ

響「………」タンッ スタッ



プリンプリンセス9(…………)

プリンプリンセス10(…………)

プリンプリンセス11(…………)

プリンプリンセス12(…………)





プリンプリンセスたち(……ダメ……もう限界……! 声が持たない……っ!)






プリンプリンセス9「……っぷはぁ!」

プリンプリンセス10「はぁ、はぁ、はぁっ……!」

プリンプリンセス11「ぜぇ、ぜぇ……!」

プリンプリンセス12「……そ、そんな……私たちの歌に、耐えきるなんて……!」




響「………」

響「………」フラッ


…ドサッ



プリンプリンセス9「はぁ、はぁ……彼女も……」

プリンプリンセス10「限界だったようですわね……」

663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:15:05.02 ID:yKLskMaYO

響「……く、はぁ、はぁっ……!」ヨロッ




プリンプリンセス9「! ま、まだ立ち上がった……!?」

プリンプリンセス10「な、なんて生命力ですの……!」

プリンプリンセス11「あれだけのダンスをした後で……」

プリンプリンセス12「信じられない……!」



響「……はぁ、はぁっ……!」

響「へ……へへんっ……君たちとは……鍛え方が違うからなっ……!」



プリンプリンセス9「強がりがバレバレですわね……!」

プリンプリンセス10「明らかに立っているのがやっとではないですか……!」



響「はぁ、はぁ……そう言うプリ江たちだって、声がガラガラだぞ? もうあの歌、歌えないんじゃないのか……?」



プリンプリンセス11「くぅ……!」



響(……自分、わかってるんだ)

響(きっとプリ江たちの歌に耐えられたのは、プロデューサーがくれたネックレスのおかげだと思う)ギュッ

響(踊ってる間ずっとこのネックレスが小さく光ってて、「頑張れ」「負けるな」って自分を励ましてくれてるみたいだった)

響(ありがとね、プロデューサー。おかげで自分、まだなんとか戦えそうだぞ!)

664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:23:00.00 ID:yKLskMaYO

プリンプリンセス9「……ならばもう一度!」

プリンプリンセス10「今度こそ私たちの歌で、貴女を倒してみせますわっ!」

プリンプリンセス11「いきますわよっ!」

プリンプリンセス12「王女の歌!」



響「……!」



プリンプリンセスたち「ラララ〜〜♪」





響「……はぁぁぁあああああっ!!」

タタタタ…




プリンプリンセス9「!?」

プリンプリンセス10「な、なぜ!? なぜ動けますの!?」






響「くらえ、ナンクル砲っ!!」バッ



…ドッゴオオオオオン!!!



プリンプリンセス9「」



プリンプリンセス10「くっ! 止めますわ!」ダッ



響「甘いぞ!!」バッ


…ドッゴオオオオオン!!!



プリンプリンセス10「」



プリンプリンセス11「くっ……!」

プリンプリンセス12「王女の歌が、効かない……!?」

665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/09(日) 06:25:28.80 ID:yKLskMaYO


響「………」スッ



プリンプリンセス11「? それは……?」



響「服を小さくちぎって耳栓代わりにしたんだ。歌を聴かなければきっと操られることもないって思ったからな」



プリンプリンセス12「そこに気づくとは……」

プリンプリンセス11「なかなか頭も切れるようですわね」



響(いや、それくらい誰だって気づくと思うけどなー)



…ビーッ! ビーッ!



響「! またこの音か!」





プリンプリンセス13「うふふふ……」

プリンプリンセス14「あははは……」



プリンプリンセス11「王女の歌を防いだ程度ではこの包囲網を抜け出すことはできません!」

プリンプリンセス12「……さあ、パーティを続けましょうか」



響「くそ〜、また増えたー!」



響(このままだと倒してもまた増え続けるっぽいし、やっぱりあの警報みたいな音をどうにかするしかないのか……)

響(音はそう遠くない場所でしてるから、たぶんこの部屋のどこかに仕掛けてあると思うんだけどなー……)キョロキョロ

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