利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」 二隻目

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75 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/10/29(木) 21:55:43.89 ID:cSuTfeTBo
提督「分かった。響にとって落ち着くのならばやろう」

金剛(あ……)

響「うん、お願い司令官」

提督「ほれ」ソッ

響「……うん。これは良いものだ」ホゥ

提督「そうか」

金剛(なんとなくデスが分かったような気がしマス。きっと、テートクは本当の『金剛』の事を……)

金剛「……………………」ズキッ

金剛(? 傷が痛んだのでショウか)ソッ

救護妖精「ん? どうしたんだい金剛」

金剛「あ、いえ。少しデスが胸が痛みまシテ」

救護妖精「傷口でも開いたのかねぇ……ちょっと診察するから奥に来な」トコトコ

金剛「ありがとうございマス」スッ

瑞鶴「無理はしないでよ、金剛さん」

金剛「イエス。何かおかしいと思ったらすぐに伝えるデス。無論、瑞鶴も同じデスよね?」

瑞鶴「うん。私も変な我慢なんてする気は無いわ」

響「二人とも、身体は大事にしてね」

金剛「響もしっかりと休んで下サイね?」

響「勿論だよ。──ところで司令官。今日は一緒に寝てくれるかい?」

提督「寝るまで傍に居てやるから、それで勘弁してくれ……」

響「……うん」

提督「私も今夜はここで寝る予定だ。このソファで寝ているから安心しろ」ナデナデ

響「……ソファだと疲れが取れないよ。だから一緒に寝よう」

提督「そういう訳にもいかん。こればかりは譲らんぞ」

響「……分かった。諦める……」シュン

提督(……心が痛むな、これは)

…………………………………………。
76 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/10/29(木) 21:56:16.19 ID:cSuTfeTBo
金剛「すぅ……」

瑞鶴「くー……くー……」

響「すー……」

利根「…………」モゾッ

利根(……寒い……痛い…………)ボー

フラフラ……

利根「…………」

提督「…………」

利根「…………」ギシッ

提督(──む?)

利根(あったかい……)ソッ

利根「…………くー……」

提督(……まったく。寝惚けてここへ来たのか。そのままだと風邪を引いてしまうだろうに……。よっと……膝枕だが我慢してくれよ)モゾッ

利根「ん……………………くー……」

提督(…………利根……)

提督「……………………」ギュゥ

……………………
…………
……
77 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/10/29(木) 21:56:43.65 ID:cSuTfeTBo
提督「……………………」

利根「くー……くー……」

響「すー……」

提督(結局、響も来てしまった……。肩に寄り添うだけで良いとは言っていたが、この状態で寝ても疲れるだけだぞ)

ガチャ──パタン

提督(む)

救護妖精「……………………」

提督「…………」

救護妖精「……どうしてそうなってるんだい?」

提督「分からん」

救護妖精「はぁ……。提督もらしくないねぇ。何があったのさ?」

提督「……ん?」

救護妖精「提督だったら利根をベッドに戻していそうじゃないか。身体に悪いからーってさ」

提督「……言われてみればそうだな。絶対安静という指示を出すくらいだ。身体に障りそうな、こんな体勢をなぜ……」

救護妖精「…………」

救護妖精(これは……提督も重症なのかね……?)

救護妖精「……提督」

提督「どうした」

救護妖精「診察を受けな。これは医者としての命令だよ」

提督「……そんなに深刻か」

救護妖精「そうだねぇ。放っておけば深刻な問題になるかもね」
78 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/10/29(木) 21:57:12.74 ID:cSuTfeTBo
提督「分かった。昼過ぎに時間を空けておく。その時に──」

救護妖精「今すぐだよ。事は急を要する。まだ誰も起きていないんだから仕事には一番支障が出ないはずでしょ?」

提督「今すぐか……。二人を起こさないようにしなければな」ソッ

響「すー……」

利根「……くー…………」

救護妖精「見事な手際だね。──じゃあ、隣の部屋で診察するよ」トコトコ

提督「ああ」ツカツカ

利根「……………………」

ガチャ──パタン

救護妖精「さてと……。提督、まずはアタシの質問に正直に答えてね」

提督「診察じゃなかったのか?」

救護妖精「診察っていうよりもカウンセリングだよ。──単刀直入に言うと、提督は精神が弱っている可能性が高い」

提督「私が? まさか」

救護妖精「昨日の夜、利根があの三人のようになるんじゃないかって思わなかったかい」

提督「……ああ。確かに思った」

救護妖精「そして、利根がベッドから抜け出して提督の寝ているソファに来た時、提督は起きなかったかい?」

提督「起きたな」

救護妖精「妙な不安とかあったんじゃない?」

提督「……否定しない」

救護妖精(……踏み込むのはここまでかねぇ)

救護妖精「不安に感じたら周りに頼っても良いんだよ。提督って立場は誰にも頼る事が許されないなんて事はない。提督だって一人の人間なんだからね」

提督「……だが、示しが付かなくないか?」

救護妖精「私の知っている限りじゃ提督は艦娘から心底信用されている。それに、どっかの誰かさんとそっくりでお人好しだからねぇ。弱い部分を見せても逆に嬉しく思うんじゃないかね。頼ってくれたーってさ」

提督「…………」

救護妖精「まあ、そういう事さね。悩みがあったら何でも言ってきな。──深海棲艦の二人もそうだけど、隣で寝ている新人三人の事もね」

提督「なんの事だ?」

救護妖精「過去の行いから、私は視ると分かるんだよねぇ。あの三人が訳有りだっていうのが」

提督「……なるほど。お前も訳有りという事か」

救護妖精「そういう事さね。ただ、こんな事を言ったのは提督が初めてだよ。バレたら大問題だかんね」

提督「ならばなぜ言った?」

救護妖精「私だけが一方的に秘密を知っているのはフェアじゃないからねぇ。あと、提督の事を信頼しているからだよ」

提督「…………」

救護妖精「あの三人の事に関しては私の方からも手を回しておくから安心しておきな。不審に思う子は居るはずだかんね」

提督「……そうか」

救護妖精「あと、勿論だけど私の事も秘密にしてね」

提督「お前が黙っていてくれる限り、私も秘密にしておこう」

救護妖精「オッケー。──じゃあ、後で誰かに頼ってきな。提督は艦娘だけじゃなくてアタシにとっても大切なんだよ」

提督「……そうだな。のんびりとやるとしよう」

救護妖精「そうさね。こういうのは気長にのんびりやるのが一番さ」

…………………………………………。
79 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/10/29(木) 21:58:40.45 ID:cSuTfeTBo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。

これ三本のルートが今年中に終わるのか怪しい。どうしよ。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/29(木) 22:01:15.06 ID:6XtcbmlO0

利根かわいい
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/29(木) 22:33:27.09 ID:zL1x4klwO
乙です
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/29(木) 22:49:51.65 ID:mFHI3Vrs0

正月もあるから問題ない
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/29(木) 23:29:07.01 ID:ycD09s4Xo

年と中の間に度を付けて今年度って方法があるからヘーキヘーキ
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/30(金) 02:30:50.55 ID:GPco4gMI0
乙です
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/30(金) 03:13:30.60 ID:PIY7B2u1o
おつ
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/30(金) 08:07:13.36 ID:pwZRoGAyO
最終的にSS内では一年経ってないとか言えるし
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/31(土) 23:56:23.29 ID:z/L4oZ4B0
そうか
もうすぐ始まって一年もたつのか
88 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/07(土) 08:39:49.83 ID:XWru92Cuo
提督「──では内容を簡潔に繰り返す。戦艦・正規空母は瓦礫の撤去。重巡・軽巡・軽空母は再利用可能な物資の判別と整理。駆逐・潜水艦は掃除と入渠の終わっていない者や入渠では治らない傷を負っている者への応急手当だ。なお、これらとは別の指示を与えられている者はその指示に従うように」

提督「また、鎮守府の砲撃を受けた壁は非常に崩れやすく危険だ。装甲の薄い者は特に近付くな。以上だ。判断に困った事があれば私へ訊きに来い。私は臨時司令部室で事務作業をしている」

全員「はい!!」

提督「では、休憩の際は放送で知らせる。無論、無理はしないようにし、少しでも異常を感じた場合はすぐに救護班から手当てを受けろ。──この場の事は任せたぞ、加賀、大淀。大まかな処理の優先順位は渡した紙面通りだ。後は状況に応じて指示を変えてくれ」

加賀「分かりました。こちらはお任せ下さい」

大淀「提督もご無理はなさらないで下さいね」

提督「ああ」スタスタ

加賀「──さて、大淀さん。初期の指示は駆逐艦、潜水艦の子達の管理をお願いしても良いかしら。私はそれ以外の方々に指示を出します」

大淀「はい、分かりました。──朝潮型の皆さんは、まず用意されているテントを組み立てて下さい。陽炎型の皆さんはドックで入渠待ちの方々と入渠では治りそうにない方を判別し、後者の方を設置したテントで応急処置をお願いします。それ以外の駆逐艦、潜水艦の方は、瓦礫の無い工廠方面と食堂方面から掃除をお願いします」

加賀「戦艦・空母の方はこの転がっている鉄筋コンクリートから撤去をお願いします。その後の指示は後を追って説明します。重巡・軽巡の方は辺りに補給用として設置した弾薬や燃料を、軽空母の方は艦載機やその他資材を工廠へ運んで下さい」

加賀「以上です。何か質問や分からない点はありますか?」

全員「ありません!」

加賀「良い返事です。それでは、作業に移って下さい」

長門「──さて、まずはあのレ級が振り回していたこの柱からだな」

比叡「こんなもの……どうやって振り回していたんでしょうか……」

飛龍「実は普通に持てるとか? よっこい……しょっ──!」グッ

蒼龍「……どうなの、飛龍?」

飛龍「む……無理……!」プルプル

蒼龍「だよねー……。動きすらしないのが普通よねー……」

長門「まったく、本当にアレは化け物だな」

榛名「……これを受け止めた利根さんも凄いと思います」

長門「肩と腕で受け止めていたな。……恐らく、肉が潰れて骨が砕けただろう。身体の表面ではなく内部も含めた全体に激痛が走ったに違いない」

蒼龍「や、やだやだやだ! そんな痛そうな事言わないでよぉ!」

長門「む……すまない」
89 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/07(土) 08:40:53.17 ID:XWru92Cuo
赤城「さあ、お喋りはここまでにして運びましょう。私たちが動かなければ他の方々も動き辛いはずです」

長門「そうだな。では、私は根元を持とう」グッ

霧島「では、ご一緒しますね」ガッ

飛龍・蒼龍「…………」グッ

赤城「翔鶴さんはこちらをお願いします」グッ

翔鶴「はい。畏まりました」ソッ

榛名「私達も準備はオーケーです」ソッ

比叡「では、いきますよー! それー!!」グッ

ググッ……!

長門「む、ぅ……! これは……相当キツいな……!!」フラ

ドズン……

霧島「……いっその事、バラバラに壊してしまうのも手かもしれませんね」

長門「そうだが、今は工廠も忙しいだろう。道具を借りられれば良いのだが……」

赤城「困りましたね……」

ヲ級「──ね!」ヒョコッ

比叡「うひゃぁ!?」ビクン

長門「む……貴様か。どうした?」

ヲ級「私達も、手伝う!」

蒼龍「達って事は」キョロ

空母棲姫「……これだな」トコトコ

飛龍「え、あ……はい。かなり重いので、気を付けて下さいね」

空母棲姫「ああ」グイッ

ヲ級「えーい!」グイッ

長門「なっ……!」

赤城「…………!!」

翔鶴「たった二人で……」

霧島「なんて事……」

比叡「ひえー……」

榛名「…………」パチクリ

飛龍・蒼龍「…………」ポカーン
90 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/07(土) 08:41:29.05 ID:XWru92Cuo
空母棲姫「案外いけるな。これをどこへ運べば良い?」

長門「あ、ああ……。工廠の横に廃材置き場がある。その隣に置いてくれ」

空母棲姫「あの場所か。分かった」スッ

ヲ級「行ってきます!」

長門「……酷く負けた気分だ」

霧島「ず、頭脳ならば負けませんよ……!」

比叡(……頭脳……頭…………頭突き?)

霧島「……比叡お姉様、何か失礼な事を考えていませんか?」ジッ

比叡「そ、そんな事ないわよ!?」ドキッ

霧島「…………そういう事にしておきましょうか」

比叡(ほっ……)

飛龍「……………………」ヂー

蒼龍「? 飛龍、空母棲姫さん達がどうかしたの?」

飛龍「えーっと……提督の軍服と帽子、まだ着けてるんだなーって思って」フイッ

蒼龍「じゃないと敵と間違えられちゃうかもしれないじゃない」

飛龍「……まあ、そうだよね。うん、そう……」

蒼龍(あ、これ絶対に嫉妬してる)

飛龍「…………」チラッ

蒼龍「もー、可愛いなぁ飛龍めぇ!」ギュー

飛龍「わっわわっ!? い、いきなりどうしたのよ?」

蒼龍「いやいや、なんかこう、ね?」ナデナデ

飛龍「もう……」

長門「遊んでいるとあの方に吊るされるぞ」

飛龍・蒼龍「ご、ごめんなさい!」ピシッ

長門「うむ。──では、あの崩れて山となってた瓦礫を片付けるとしようか」

長門(……ここの鎮守府は、こんな状況でも温かいのだな。……調べた鎮守府異動の件……本当にやってみても良いかもしれないな。出来れば、希望者をこちらへ全員異動させたい)

長門(…………あの愚か者がくたばっているのであれば、その異動も楽に行えるのだが……どうなっているのやら)

…………………………………………。
91 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/07(土) 08:42:06.91 ID:XWru92Cuo
ヲ級「ね、ね、姫」

空母棲姫「どうしたのかしら」

ヲ級「私達、どうして、見られてるの?」

睦月・如月・初霜「…………」ジー

望月・弥生「!」ビクッ

空母棲姫「……そうなるのも無理はないわ。そっとしてあげなさ──」

ヲ級「え?」ブンブン

空母棲姫「……どうして手を振っているのかしら」

ヲ級「なんとなく?」ブンブン

空母棲姫「止めてあげなさい……困っているでしょう」

ヲ級「はーい……」スッ

空母棲姫「……仲良くなったら、いくらでも手を振って良いから。今は少しだけ我慢しておきなさい? きっと、いつか仲良くなれると思うわ」ナデ

ヲ級「うん!」ニパッ

初霜「……なんだか、普通ですね」ヒソ

睦月「本当……怖くないのです。むしろ……」ヒソ

弥生「方や無邪気で、方や丸くなった加賀さん、です……」ヒソ

如月「じゃあ、手を振ってみましょうかしら」フリフリ

ヲ級「!」ブンブンブン

望月「うわ……めっちゃ手ぇ振ってる……」

初霜「喜んでる……のかしら?」

睦月「あ、空母棲姫さんがヲ級ちゃんと何か話していますよ」

空母棲姫「…………」スッ

ヲ級「!」ピシッ

弥生「敬礼……なんで?」

望月「さあ……」
92 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/07(土) 08:42:49.99 ID:XWru92Cuo
初霜「ただの挨拶かもしれない……のかしら……?」

如月「そうだったら、如月たちも……ちゃーんとお返事をしなくちゃいけないわね」ピシッ

四人「……………………」

四人「…………」ピシッ

弥生「……行きましたね」

初霜「本当に普通なのね……」

睦月「……こんな事を言うのは変かもしれませんが……睦月、空母棲姫さんやヲ級ちゃんと仲良くなれそうと思っちゃったのです」

望月「仲良く、ねぇ……」

弥生「…………」

如月「まぁまぁ。仲良くなれそうだったら良い事よ? ねっ?」

初霜「……それもそうですよね。今度、何か話してみるわ」

睦月「初霜ちゃんが行くのならば、私も行くのですよ!」

如月「私も、何か話題を探しておきましょうっと」

望月「……あたしは、もうちょっと様子を見るわ」

弥生「弥生も、です」

暁「こらー! そこ、サボらないの!」ガンッ

響「あ」

五人「は、はーい!」タタッ
93 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/07(土) 08:43:37.64 ID:XWru92Cuo
暁「まったく。困っちゃうわ──って、あぁーっ!? なんで集めたゴミが引っくり返ってるの!?」

響「暁がさっき箒を当てたからだよ」サッサッ

暁「そ、そんなぁ!?」

雷「もう。暁ったら」サッサッ

電「で、でも、今日は風が弱いから飛んでいってはいないのです」

響「うん。それが幸いだね」

暁「うぅ……」

響「さ、今度は向こうだよ」トコトコ

暁「……うん」

響「? どうしたんだい。さっきの事はそんなに気にしなくても良いんじゃないかな」

暁「違うわよ。……響、あなた司令官と一緒じゃなくても平気なの?」

響「ん。大丈夫だよ。怖いのは夜だけさ。暗い中で赤色を見るのも……だけど。明るかったり一人じゃなかったら大丈夫さ」

暁「そっか……」

響「それに、今は皆が居るから何も問題無いさ」

雷「あら、もーっと私を頼っても良いのよ!」

響「その時はお願いするよ」

電「あ、あの! 私もお手伝いするのです!」

響「うん。ありがとう電」

暁「もう! 私が一番お姉さんなのよ! 頼るのなら私に頼りなさい!」

響「暁がいっぱいいっぱいになりそうだから、それは止めておくね」

暁「どうしてよーッ!!?」

響「冗談さ。お願いね、暁」

暁「ふん! まあ、レディはこのくらいの事で怒ったりはしないわ。懐は大きく、よ」

響「じゃあ、お姉さんの暁、次はどこを掃除する?」

暁「あっちよ! まだ誰も手を付けていないもの!」

響「了解した。さ、行こうか」

雷「はーい! 行っきますよー!」

電「なのです!」

響(……うん、やっぱり姉妹だ。こうしていると、とても落ち着く。……向こうではまともに話した事が無かったから、かな。今まで姉妹だけど姉妹じゃない感覚だったけど、今はとても……とても嬉しくて、姉妹だって感じる)

響(ここに来て、本当に良かった)ニコッ

…………………………………………。
94 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/07(土) 08:46:01.89 ID:XWru92Cuo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。

平和な世界。やっとほのぼのが帰ってきた。このルートももうすぐ終わりです。ゴールがハッキリと見えてきた。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/07(土) 09:11:58.79 ID:6J4teJOO0
乙です

長門の鎮守府移動、向こうにも暁たちがいるようだが移動希望の重複艦はどうなるんだろう
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/07(土) 10:07:09.07 ID:T3ZUA/rUo
おつ
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/07(土) 11:59:12.72 ID:ZBRsCGv3O
乙です
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/07(土) 16:27:04.59 ID:7h1bLFLg0
>>丸くなった加賀さん
ナチュラルにデスられてるな
99 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [sage saga]:2015/11/07(土) 17:54:19.27 ID:XWru92Cuo
>>98
不意の『デスられてる』でお茶吹きそうになったぞ、危ねぇ! 加賀さんは死んでないわ!

小さい子達にとっての加賀さんは厳しくて少し怖く、たまにジョークを言ったらほんきで受け止められて更に怖がられるという問題がこの鎮守府では起きたのかもしれない。
前作である瑞鶴SSだと瑞鶴にジョークを言ったら本気で受け取られてしまって落ち込んだ加賀さんのエピソードがあります。きっとそれと似たような事が……。
そんな加賀さんの印章を持っている子達にとっては優しくなったというよりも、表面上はクールでツンツンとしていそうな加賀さんを丸くしたような感じに受け取れたんだと思います。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/07(土) 21:18:40.84 ID:Z4+Tb0FP0
空母棲姫にアララギさんみたいなアホ毛がほしいな
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/11/10(火) 07:42:09.98 ID:3W4dgonFO
ほんわかヲーちゃんは艦これの癒し
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/11(水) 21:13:49.54 ID:rXezVTF/0
乙乙!続きも楽しみに舞ってますね〜
103 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/13(金) 17:08:57.29 ID:sh+rnKJUo
提督「…………」サラサラ

利根「…………」カリカリ

金剛「…………」サラサラ

瑞鶴「…………」カキカキ

提督「……さて、一先ず早急に送る資料は今日中に作成できそうだ。これから電話口から報告をせねばならん。その間は引き続き今やっている仕事を頼む」スッ

利根「分かったのじゃ」カリカリ

金剛「了解デース」サラサラ

瑞鶴「……提督さん、お仕事すっごく早い」カキカキ

提督「これも慣れだ。それよりも、三人とも無理はしてくれるなよ? 疲れたりしたら休んでも構わないからな。特に利根。お前は本来安静にしておかなければならんのだからな」

利根「うむ。少しでも体調が悪いと感じれば、すぐに提督と救護妖精に伝えるぞ」

提督「ああ。──では、少しの間ここを頼む」

ガチャ──パタン

瑞鶴「……なんだろ。提督さん、なんかちょっと変わった気がする。なんだか急に心配性になったような……」

利根「うむ。良い事じゃ」カリカリ

金剛「…………?」サラ

瑞鶴「え? どういう事?」

利根「あれが提督の素じゃよ。言葉は悪いが案外、臆病なのじゃ」カリカリ

瑞鶴「臆病……? あの提督さんが?」

金剛「全くそうは見えまセン……」サラ

利根「単純に隠しておるだけじゃ。他人にのみじゃが、多少は無理をしても良い所でも引く。どうしても無茶をせねばならぬ時でも必ず逃げの道を作らせる」カリ

瑞鶴「でも、あのレ級の時なんて無理無茶無謀な事をしてたじゃない」

利根「あれは自分にだけであろう?」

金剛「……確かに」サラ

利根「どこか壊れてしまったんじゃろうなぁ……。自分の事は蔑ろにしがちではあるが、他人の事になると途端に安全策しか取らぬ」カリ

瑞鶴「……そう言われてみるとそうよね」

金剛「なんだか……寂しいデス」サラサラ

利根「あればっかりは許してやってくれぬか。過去にあった事があった事じゃ。そうなってしまってもおかしくない」カキ

瑞鶴「まあ……そうよね……」カキ
104 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/13(金) 17:09:27.21 ID:sh+rnKJUo
金剛「…………」ジー

利根「! ──ん? どうしたのじゃ金剛?」カリカリ

金剛「腕を伸ばして貰っても良いデスか?」

利根「……むぅ。どうしてじゃ?」カリカリ

金剛「利根も無理をする所はテートクと変わらないデス」

瑞鶴「え?」

利根「……むむぅ」

金剛「ホラ、テートクのインストラクション、デスよ?」ソッ

利根「……仕方が無いのう」スッ

瑞鶴(あ、そっか……身体、痛いんだよね……)

トコトコ──

利根「それにしても……ここの簡易ベッドはやけに柔らかいよの」ギシッ

金剛「きっと、利根の為に用意したのだと思うネ」ナデナデ

利根「ぬ? どうして頭を撫でるのじゃ?」

金剛「なんとなく、デス」ナデナデ

利根「…………」

金剛「…………」ナデナデ

利根(──ああ……そういう事かの? 我輩が少しでも落ち着けるようにと、こうしてくれておるのか……)

金剛「…………」ナデナデ

利根(提督がよく頭を撫でる姿を見ておるから、それに倣って……といった所じゃろう)

利根「ありがたいぞ」ニコ

金剛「いえいえ」ナデナデ

瑞鶴(……私も頑張らなきゃ)カキカキカキ

…………………………………………。
105 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/13(金) 17:09:56.32 ID:sh+rnKJUo
コンコンコン──

金剛「! ハイ、どうぞ」

ガチャ──パタン

提督「今戻った」

金剛「おかえりなさいデース」

瑞鶴「提督さん、おかえりなさい」

金剛(……あれ?)

提督「……ん? 利根は寝てしまったのか?」

金剛「イエス。少し無理をしようとしていまシタ」

提督「なるほどな。後で説教だ。すま──……いや、ありがとう、二人とも」

瑞鶴「気付いてくれたのも、横になるように促したのも金剛さんよ。……ごめんね、提督さん」

提督「……なぜ謝ったのかは分からんが、こういうモノは誰もが気付けるという訳ではない。そう思ってくれるだけで充分だ」

瑞鶴「あ」

提督「ん?」

瑞鶴(……そうだった。あの人の常識とここの常識は違うんだった。……やだなぁ、染み付いちゃってる)

提督「…………」ポン

瑞鶴「?」

提督「少しずつで構わない」

瑞鶴「……うん!」

金剛「……ところでテートク。何か良くない事でもありまシタか?」

提督「…………」

瑞鶴「……提督さん?」
106 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/13(金) 17:14:44.98 ID:sh+rnKJUo
提督「……無かったといえば嘘になる」

金剛「…………伺ってもよろしいデスか?」

提督「……………………」

瑞鶴「えっと……もしかして私達に関係する事?」

提督「ああ……」

金剛(……なんとなくデスが、予想が付きマスね)

瑞鶴「提督さん、私……知りたい」

提督「……………………」

金剛「…………」

提督「……長門が居る時に話そう」

金剛「分かりました……」

瑞鶴(それって……そういう事よね)

コンコンコン──。

提督「入れ」

ガチャ──パタン

金剛・瑞鶴「!」

長門「提督、質問があってやって来た」

提督「どうした?」

長門「空母棲姫とヲ級の二人が手伝ってくれたおかげで、瓦礫の撤去はそろそろ終わりそうだ。戦艦と空母は次、何をすれば良いだろうか?」

提督「そうか。明石、建造妖精、開発妖精が鎮守府の建て直しをするはずだ。その際に必要な資材の運搬や手伝いをしてくれるか」

長門「ああ、分かった。……それと、もう一つ質問したい事が出来た」
107 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/13(金) 17:15:13.98 ID:sh+rnKJUo
提督「なんだ」

長門「……二人の様子がおかしいが、何かあったのか?」

金剛・瑞鶴「……………………」

提督「……そうだな。丁度良い。長門、今夜みんなが寝静まった後、救護室へ足を運んでくれ。そこで話す事がある」

長門「了解した。……まさかとは思うが、その時にいつぞやに言っていた吊るすという罰を与えるのか?」

提督「それは現状が落ち着いてからだ。楽しみにしておけ。下田鎮守府の事で話がある」

長門「……なるほど、その話か。二人にはもう話したのか?」

提督「いや、まだだ。三人が揃っている時に話そうと決めた所だ」

金剛・瑞鶴「…………」

提督「……以上だ。戻って良し」

長門「はっ」ピシッ

ガチャ──パタン

瑞鶴「……あの、提督さん」

提督「どうした?」

瑞鶴「……大丈夫、よね?」

提督「……それについては夜に話そう。この場では誰が聞いているか分からん」

瑞鶴「うん……ごめんなさい……」

提督「…………」ナデナデ

瑞鶴「……えへ」ニコ

金剛(……少し無理して笑っているのが分かるネ)

提督(これだと、話すのが少し怖いな……。だが、隠すのも為にはならない、か……)

…………………………………………。
108 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/13(金) 17:17:00.44 ID:sh+rnKJUo
今回はここまでです。また一週間後……はちょっと怪しいですが、その辺りに来ると思います。

あとちょっと。あとちょっとや。
このルートが終わったら、どっちのルートからやろうかな。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/13(金) 17:49:10.98 ID:7xHJaABe0

いよいよか
待ち遠しいな
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/13(金) 17:55:45.75 ID:upbMWjcFo
乙です
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/13(金) 20:52:01.43 ID:VwpWMXtwo
おつ
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/16(月) 09:39:15.40 ID:0m0zLqFQO
乙です
113 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/19(木) 11:42:43.31 ID:DUFOBdUYo
提督(……さて、時刻は二十時……そろそろ来る頃だろうか)

利根「くー……」

提督「……………………」ナデナデ

コンコンコン──ガチャ──パタン

長門「失礼する」

提督「来たか。……すまんが、少しの間だけ待っていてくれるか。それと、利根は寝ているからソファの方へ行こう」スッ

長門「了解した。しかし、何かあったのか?」

提督「見ての通り、金剛と瑞鶴、響がまだ来ていない。三人とも、今は姉妹艦と一緒だろう」

長門「なるほど。姉妹の交流という事か」

提督「私が言うのも変だが、堅苦しい言い方だな。ただ単なるお喋りでも良いだろうに」

長門「……私のキャラではない。むしろ『お喋り』という単語は悪い意味にしか聞こえん」

提督「難儀な性格だ。だが、それもここで長く暮らすと認識が変わるだろう」

長門「ほう?」

提督「下田鎮守府の事は多少耳にしていたが、今回は少し詳しく調べさせて貰った。率直に言うと、あれは独裁であり監獄だな」

長門「そうだな。否定のしようがない。だが、突き詰めると私達は消耗品にしか過ぎん。そうなる鎮守府も在るには在るだろう」

提督「違いない。しかし、消耗品と言ってしまえば私も艦娘と変わらんよ」

長門「……うん? どういう意味なんだ?」

提督「所詮、人も消耗品でしかないという事だ。艦娘の提督になる為には特別な何かが必要だというのは分かっているが、この国に蔓延っている鎮守府の数を考えれば極端に珍しい訳でもない。今は人手が足りないらしく、こんな私でもまた提督としてやれているが……前はもっと多くの提督が居たぞ」

長門「……なるほど。総司令部という観点から言えば、提督という存在もまた駒の一つにしか過ぎないのか」

提督「そういう事だ。死んでしまえば補充すれば良い話だからな。もっと大きく言ってしまえば、総司令部もこの国という枠組みの中では駒の一つでしかない。壊滅すれば新しく作り上げられる。そうなると形在るモノは全て消耗品だ」

長門「悔しいが反論のしようが無い。結局の所、どう意識するかで何もかも違って見えるという事か」

提督「頭がよく回るようで助かる。つまりはそういう事だ。──そして、私に付き従ってくれる艦娘に自分が消耗品だと思って暮らしている艦娘は居るように見えるか?」

長門「見えない。本当に普通だ。今を生き、明日を目指し、戦いという使命を除けば自由に暮らしている」
114 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/19(木) 11:43:20.66 ID:DUFOBdUYo
提督「私としては鎮守府の外にも目を向けて欲しいのだが、どうしてか全員が興味を持とうとしなくて困っているくらいだ」

長門「それはもう、そういうものだと諦めておく方が良いと思うぞ。私たち艦娘にとって、提督と鎮守府が全てだ」

提督「例外は目の前に居るようだが?」

長門「……意地の悪い人だ。貴方も提督であり、ここは鎮守府。それで良いだろう?」

提督「くっくっ。そうだな」

長門「……………………」

提督「どうした」

長門「いや……そういう笑い方もするのだなと思ってな」

提督「……似合わないとかは言うな」

長門「では、この言葉は呑み込んでおこう」

提督「そうしてくれると助かる。──さて、来たようだぞ」

…………コンコンコン──ガチャ──パタン

金剛「ソーリィ。遅くなってしまいまシタ」

瑞鶴「ごめんね。金剛さんと同じで話し込んじゃった」

響「イズヴィニーチェ……」トトト

響「…………」ギュゥ

提督「構わん。今はまだそういう時であってもおかしくない。むしろ、姉妹と話していて楽しかったかどうかを聞きたいくらいだ」

響「楽しいよ。本当、時間を忘れてしまいそうになるくらいにね」

金剛・瑞鶴「……………………」

提督「金剛、瑞鶴、どうした?」

瑞鶴「あの、さ……怒らない……?」

提督「何の事かは分からんが、言ってみろ。怒るかどうかなど聞く前からは分からんよ」

瑞鶴「えっと……心配してくれる翔鶴姉ぇと何気ない話とかしているのは、楽しいって思ったと同時に……ちょっと辛かったかも」

金剛「私もデス……」

響「…………?」

提督(……そういえば、長門はさっき『姉妹の交流』と言っていたな。という事は、向こうでは姉妹の交流をするのは珍しかったのか? その珍しい中にあったのが金剛と瑞鶴だったのかもしれん)
115 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/19(木) 11:43:55.53 ID:DUFOBdUYo
提督「そうか……」

四人「……………………」

金剛「……テートク……下田鎮守府はどうなりまシタか?」

瑞鶴「なんとなくは想像できるけど……それでも知りたいの」

提督「……………………」

四人「…………」

提督「……結論から言おう。下田鎮守府は壊滅した」

金剛「やっぱり……ですか」

提督「下田の提督は即死だったそうだ。敵の砲撃は司令部室に直撃したらしい。提督が居ない状態でも錬度の高い彼女たちは奮闘し、生き残った艦娘は数多く居たとの事だ」

瑞鶴「全員が沈まなかっただけマシなのかしら……」

金剛・長門「…………」

響「……金剛さん、長門さん」チラ

長門「今はどれくらい残っているんだ?」

提督「ゼロだ」

瑞鶴「────え?」

長門「……そう、か」

金剛(やっぱり、デスか……)

瑞鶴「え……? どういう、事? だって、さっき生き残った艦娘は一杯居るって……」

提督「提督の居ない艦娘だぞ。どうなるかは予想が付くだろう」

瑞鶴「……解体?」

提督「そうだ。全員、解体された」

瑞鶴「それって……もう、私たちと会えないって事?」

提督「そうなる。解体をした艦娘と会ったという話は聞いた事が無い。艦娘時代の記憶を失っているのか、それとも機密保持の為に監禁されているのか、それとも処理されてしまったのかは分からない。ただ言える事は、会う事は絶望的だという事だ」

瑞鶴「ちょ……処理って……」

提督「……あくまでも可能性だが、そういう事だ。同じ人間が何人も居る事はおかしい話だからな」

瑞鶴「…………」

長門「酷かもしれんが、諦めておく方が良いかもしれん」

金剛「……ハイ」

瑞鶴「……………………」
116 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/19(木) 11:44:28.19 ID:DUFOBdUYo
響「……話の延長になるんだけど、長門さんの扱いはどうなるの? 確か、教育の為にここに居させているんだよね」

提督「それに関してだが、長門は私が引き取る事となった。報告書を読む限りでは何も問題なく運用できていると判断されたらしく、解体か引き取りかを選べと言われたのでな」

長門「では、正式に貴方の艦娘となる訳か」

提督「そういう事だ。これからもよろしくだ、長門」

長門「ああ……。こちらこそよろしくだ」

提督「そして……金剛、瑞鶴」

金剛「……ハイ」

瑞鶴「…………」

提督「明日は自由にして良い。せめて、それで心を落ち着かせてくれ」

金剛・瑞鶴「…………」コクン

提督「……以上だ。では、これからは自由時間とする」

金剛「…………テートク」

提督「……どうした」

金剛「……今夜だけは、我侭を言っても構いまセンか」

提督「どんな我侭だ?」

金剛「傍に……傍に、居て下サイ。テートクは消えないと……安心させて下サイ……」

提督「……隣に座っておけ」

金剛「ありがとうございマス……」ソッ

響「……………………」

響(……金剛さん、本当に悲しんでるみたいだ。元司令官の事が好きなのは思い込んでいるだけだって思ってたけど……まさか、本当にあんな人が好きだったのかな)

響(そういう私も、前はあの人の事を……)

響「…………」
117 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/19(木) 11:44:55.36 ID:DUFOBdUYo
瑞鶴「……私は翔鶴姉ぇの所に行ってくる」スッ

提督「ああ。救護妖精には私が許可したと言っておく」

瑞鶴「ありがと、提督さん……」トボトボ

ガチャ──パタン

長門「……瑞鶴の気持ちも分からんでもないな。交流が深かったとは言えないが、私も陸奥や酒匂たちが少し気になっていたくらいだ」

響「…………」

提督「どうした、響」

響「ん、なんでもないよ。少し海を見てきても良いかい?」

提督「構わんが、私もついていった方が良いか?」

響「いや、今日は一人が良い。気遣ってくれてありがとう、司令官」スッ

響「……………………」トコトコ

ガチャ──パタン

長門「……大丈夫なのだろうか、響は」

提督「判断が難しいな……。少し無理にでも一緒になった方が良かったかもしれんが……」

金剛「……テートク、私は少し心配デス」

提督「今は自分の事だけを考えて良いんだぞ、金剛。──長門、すまんが響の様子を見てきてやってくれないか」

長門「ああ、分かった」スッ

利根「──いや、それは我輩に任せてくれぬか」トコトコ

提督「む、起こしてしまったか」

利根「少し前に自然と起きたのじゃ。寝ておくと少しマシになったのう」

提督「そうか。……しかし、お前こそ自分の身体を大事にしておかなければならんだろう。許可は出さんぞ」

利根「すまぬが行かせてくれ。響の問題は、恐らく我輩でないと解決できぬぞ」
118 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/19(木) 11:45:22.59 ID:DUFOBdUYo
提督「響の問題? それはこの間のレ級の事ではなくか?」

利根「そうじゃ。じゃが、もし我輩だけでは無理じゃと思うたら……その時は提督を呼ぶぞ」

提督「……………………」ジッ

利根「……………………」

提督「……ああ。頼んだぞ、利根」

利根「うむ! 任された!」

提督「だが、身体に大きな負担は掛けない事。これだけは約束してくれ」

利根「分かっておる。我輩も早く元気になりたいからのう。──ああそうじゃ、金剛よ」ヂー

金剛「ハ、ハイ」

利根「……今夜だけじゃからな。じっくり堪能しておくと良い。普段ならば押し退けてやるからの」

金剛「──ハイ」

利根「うむ! では、行ってくるぞ!」ガチャ

パタン──

金剛「……利根にしか解決できない問題とは何でショウか」

提督「それは分からん。ただ言える事は、私は利根を信じるという事だ」

長門「信頼しているのだな」

提督「当然だ。こんなにも私の事を信用し、信頼し、尽くそうとしてくれる子達を信頼するなと言う方が難しい」

長門「だが、そうだと言って無条件に信頼するのか?」

提督「無論違う。いつもの利根であれば私は止めていただろう」

長門「ほう」

提督「あの目は何かを確信している目だった。私の気付いていない響の何かを、利根は感じ取っているのだろう」

金剛「何かを……」

金剛(……何を感じたのでショウか。私には、急に響が落ち込んだようにしか見えなかったデス……。一体、何があったのデスか……?)

金剛「……………………」

提督「…………」ポン

金剛「?」

提督「利根に任せておけ。さっきも言ったが、今は自分の事を一番大事にして良いんだ」

金剛「……ハイ」ソッ

提督(む? 肩へ寄り掛かってきた?)

金剛(ごめんなサイ利根……そして、ありがとうございマス。今夜だけ……この夜だけデスから、許して下サイ……)

提督(……こういう時、あいつはこうしろと言うんだろうな)ナデナデ

金剛「!」

金剛(──ああ……あのアイレットでテートクに抱き締められて……頭を撫でて下さった時の事を思い出しマス……)

金剛(温かくて、優しくて、落ち着けて……私が『テートク』に望んでいたモノ……)ジワ

金剛(今夜だけ……お二人のご好意に甘えてしまいまショウ……)

…………………………………………。
119 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/19(木) 11:50:07.50 ID:DUFOBdUYo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。

心情をちょっとでも書くと文章量が増える増える。やっぱり私はこういうスタイル。
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/19(木) 12:17:11.67 ID:ktI6LwFLo

なんというかシリアス一辺倒になったな
1スレ目の最初の方ののんびりした感じも好きなんだけどなぁ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/19(木) 12:52:38.98 ID:ZsGRr5Gmo
乙です
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/19(木) 15:56:22.82 ID:aouf2X+T0

とりあえず鹿島たんのおっぱい目指すか
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/19(木) 16:17:10.76 ID:yidsjNkio
おて
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/19(木) 16:17:47.38 ID:yidsjNkio
ミス
おつ
125 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/27(金) 20:22:21.93 ID:bJL9FGiDo
響「…………」

響(私は……おかしいのかな。なんだかんだで好きだと思っていた、あの人……。それは、私が無知だったからってものだった。けど、その人が死んだっていうのに悲しんでない……。むしろ、そうなって当然の事を今までやってきたんだからとさえ思ってる)

響(あの人だけじゃない。あまり会話とかもした事がなかった皆も沈んだか解体されたっていうのに、私は大して辛いって思ってない。ほとんど他人だったから……。なのに、長門さんは瑞鶴さんの気持ちが分からない事もないって言ってた。私には……正直それが分からなかった)

響「私は……冷たいのかな」

利根「それはどうかのう」トコトコ

響「! ……利根さん、動いて良いの?」

利根「あまり良くないらしいが、どうしても響が気になってのう」

響「……………………」

利根「外には出なかったのじゃな」

響「……夜の外は、怖いから……思い出しそうになるから」

利根「それも当然じゃろうな。あれは響には強過ぎる刺激じゃ」

響「……利根さん。利根さんは、どうして私を見に来たの?」

利根「うん?」

響「だって、利根さんって本当は絶対安静なんでしょ? それなのにどうして私を?」

利根「……まあ、なんとなく何を悩んでいるかが予想できたからのう」

響「予想?」

利根「うむ。大方、自分は心が冷たいとか思うておるんじゃないか、とな」

響「!!」

利根「やっぱりのう」

響「…………なんで分かったの?」

利根「まあ、似ておるからの。我輩と響は」

響「……あの島で確か言ってたね」
126 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/27(金) 20:23:00.63 ID:bJL9FGiDo
利根「うむ。どことなく似ているとな。──それで、過去の味方をどうとも思っておらん事じゃが、実は我輩もそうなのじゃよ」

響「……………………」

利根「あ、信用しておらぬな?」

響「そりゃね。どうでも良いって思ってるのなら、私を追い駆けたりしないよ」

利根「うむ、そうじゃ。ならば、どうして追い駆けたか考えてみぬか?}」

響「…………私の事を、どうでも良いって思ってないから?」

利根「正解じゃ。我輩はお主の事を放っておけぬからここへ来た。そして、そうならば更に疑問が生まれるじゃろう」

響「どうして放っておけないか──だよね」

利根「うむ。どうしてじゃと思う?」

響「…………………………………………」

響「…………」フルフル

利根「ぬ、分からぬか」

響「分からない。どうしてなんだい?」

利根「簡単じゃ。我輩は響を有象無象の一人と思うておらん」

響「…………?」

利根「簡単な話、我輩は深く接した者以外には淡白なのじゃよ。この鎮守府には数十人の艦娘が暮らし、助け合い、笑い会っておる。が、それだけの数ともなれば不仲も起きるじゃろう。そもそもとしてほとんど会話せん者も居る。我輩にとってその会話をあまりせぬ相手は、極端な話どうなろうと気に留めないのじゃ」

利根「例えばこの鎮守府には潜水艦が何人か在籍しておるが、我輩と任務や役割が噛み合わず話した事など無い。もしかすると向こうは我輩の事を覚えておらぬ可能性もある。なんせ少ない潜水艦ではなく、数ある重巡の中の一人じゃからな。覚えておらんでも無理はない」

利根「そこでもし潜水艦の誰かが任務中に沈んでしまったとしよう。じゃが、我輩にとってはその者との思い出も無ければ会話すら無いのじゃ。多少思う所はあっても、悲しむかと言われたら首を傾げる。例え我輩が涙を流したとしても、三日もすれば元の生活に戻っておるじゃろう」

響「……なるほどね。私とはあの島で一緒に支え合ってきた。色々と話した事もある。だから放っておけない、か」

利根「そうじゃ。可能性の話じゃが、別の鎮守府では響という名前の駆逐艦が沈んでいるかもしれぬ。もしくは解体されているかもしれぬ。じゃが、それを我輩が聞いた所で何も思わぬぞ。別の鎮守府の話じゃからな。我輩と何も関わっておらぬ相手の話を聞いても、同情こそはすれど悲しむ事などせんよ。要はどれだけ意味のある共通の時間を積み重ねてきたか、じゃ」

利根「そこで質問じゃ。ありえぬ話じゃが、もし提督が金剛や瑞鶴を解体すると言ったら響はどう思うかの?」
127 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/27(金) 20:23:34.13 ID:bJL9FGiDo
響「嫌な気分になる。それと同時に抗議するね」

利根「そうじゃろう? それはあの島で共に暮らしてきているからではないか? 色々と思い出があるからじゃろう?」

響「……うん。たぶんそうかもしれない」

利根「うむ。では更に質問じゃ。そんな響は、本当に心の冷たい艦娘かの?」

響「……………………」

利根「…………」

響「……でも、姉妹艦だよ」

利根「うん?」

響「下田鎮守府では暁たち姉妹艦も居た。部屋も違ったし、話した事もほとんど無かった。けど、姉妹艦だ。それでも私は少し嫌な気分になりはしても、辛いって思わなかった。これは心が冷たいんじゃないの?」

利根「そうかのう。少しでも嫌な気分になったのならば普通じゃと我輩は思うぞ。というよりも、それは長門と何が違うのじゃ? 長門はああいうキャラじゃから少しでも弱い所を見せると印象的じゃろう。それでも、長門の感じた『思う所』と響の思うた『嫌な気分』に大きな差は無いと思うぞ?」

響「じゃあ元司令官の事はどうなの。私はあんな人でも好きだって思ってた。今の司令官に優しくしてもらって、普通の艦娘として接して貰っているから異常だったって思えるけど、かつては好きって思っていた人が死んでも何とも思わないのは──」

利根「どうしてそんなに『自分は冷たい』と決め付けたいのじゃ?」

響「──え?」

利根「我輩にはそういう風に見えるぞ? 自分は冷たい艦娘じゃーって決め付けようとアレコレ言っているようにしか聞こえぬ」

響「……………………」

利根「何か理由はあるのじゃと思うが、そんなに自分を卑下せんでも良かろう?」

響(……言われてみると、どうして私はこんなに自分を責めてるんだろ)

利根「その顔を見るに、気付いていなかったようじゃな。……原因が何かは分からぬが、ゆっくり自分と向き合ってみると良いかもしれぬぞ」

響「……うん。そうしてみる」

利根「うむうむ。さて、それでは響はこれからどうするのかの?」

響「司令官の傍で寝たい」

利根「ハハハハッ! なるほどそうきたか! うむ、それも良いじゃろうな!」

響「じゃあ、今日も利根さんと一緒だね」

利根「あー……それじゃが、今夜は我輩一人じゃ。今夜だけじゃが我輩の席は金剛に譲っておるからのう」

響「……へぇ」

響(前々から思ってたけど、利根さんって色々と強いね。私だったら嫉妬しそうだ)

響(……嫉妬?)

利根「それでは、戻るとしようかのう。悩みは少しくらい晴れたかの?」スッ

響「うん。スパスィーバ」スッ

響(ああ……そっか。私、司令官の事が──)

響(──いや、これは口にしないでおこう。ひっそり……うん、ひっそりと想うだけで良い)チラ

利根「〜♪」トコトコ

響(それだけは許してね、利根さん)

…………………………………………。
128 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/27(金) 20:24:01.21 ID:bJL9FGiDo
ガチャ──パタン

金剛「!」ビクッ

利根「戻ったぞー」トコトコ

響「ただいま」トコトコ

提督「おかえり」

金剛「…………」スッ

利根「む? どうしたのじゃ金剛? さっきのままでも良いのじゃぞ?」

金剛「えっと……それは、その……」

利根「言うたではないか。今夜だけじゃ、と。我輩の事を考えてくれるのは嬉しいが、今はお主が一人でも立てるようになるべきじゃろ」

金剛「…………」ジー

利根「?」

金剛「……ありがとうございマス」ソッ

利根「うむ!」

提督(……なんだかんだで利根も成長しているものだ)ナデナデ

利根(うむうむ。提督もしっかり頭を撫でておる。今はそうするのが良いじゃろう)

コンコンコン──ガチャ──パタン

響「お疲れ様、救護妖精さん」

救護妖精「うんありがと。……ん? あれ、瑞鶴はどしたの?」

提督「今頃は翔鶴の所に居るはずだ。少し事情があってな、今日と明日はこの部屋に居ないかもしれん」

救護妖精「あー……なんとなく察しがついたよ。まあ、仕方ないかねぇ。明日になったら翔鶴の居る部屋に行ってみるよ」

提督「助かる」

救護妖精「そんじゃ利根と金剛、寝る前の検査するから隣の部屋へ来てくれるかい」

利根「うむ、良い結果が出ると良いのう」

救護妖精「どういう結果が出るのか想像するまでもないね」

利根「む。我輩とて早く良くなるよう身体は労わっておるのじゃぞ?」

救護妖精「だったら執務なんて投げ捨てて大人しく寝ていな」

利根「むむ。むむむむ……困ったぞ。反論が出来ぬ」

救護妖精「まったく……」

救護妖精(……ま、命があるだけ良かったってものかね。いつかは治るんだから)

救護妖精「さっさと治してそこら辺を走り回れるようにしなよ」

利根「うむ!」

金剛「ハイ」

…………………………………………。
129 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/11/27(金) 20:26:38.34 ID:bJL9FGiDo
今回はここまでです。一週間後……はちょっと無理だと思います。次は12/8くらいを目処にして下さいませ。

>>120
あとちょっとでぼのぼのになるやずやで。その後になってこのルートはゴールインや。もう少しだけ辛抱してくだせぇ。
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/27(金) 20:32:52.91 ID:jtj1dqoXo
おつおつ久しぶりに遭遇できた
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/27(金) 21:37:15.27 ID:j4xEfzkvo
おつです
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/27(金) 21:38:06.53 ID:NPlAHp4V0

シリアスがあるからのんびりが生きるんだよな

のんびりだけじゃ話が締まらんからね
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/28(土) 00:13:47.26 ID:RF+d8+tSo
>>129
ぼ・・・ぼのぼの!?
岩の中にしまわれちゃったりするの?
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/28(土) 15:56:36.38 ID:xLrEFJ6F0
乙です
続き待ってますよ
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/29(日) 00:43:40.78 ID:/Fzda6ZQ0
気づいちゃった>>133はどんどんしまっちゃおうねぇ〜
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/12/10(木) 13:48:41.34 ID:8q8Mav0To
おイタする子はどんどんしまっちゃうよ
おつつ ところで冬コミはどうするんだい?
137 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [sage saga]:2015/12/11(金) 09:47:24.28 ID:9hIFOg4bo
一ヶ月近く設定を考えて生み出した作品の第一歩が私にとって非常に辛い始まり方となり、現在気力がほぼゼロになってしまっています。
たぶん次の更新は三日以内に投下すると思いますので、もうしばしお待ち下さい。どんな疲労でも一瞬で回復する高速修復材が欲しい。切実に。

>>136
残念ながら冬コミは参加しないと思います。急遽参加する事になる可能性もあるかもしれませんが、参加が決まりましたらお知らせします。
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/12(土) 13:22:52.26 ID:e8ucQGyWO
疲れた時はハイポを飲めば良いと思うの
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 03:16:53.77 ID:Pma56F7jo
他の長編SSの作者も気晴らしに全然違う短編書いたりしてるみたいだし、無理せず頑張ってください
140 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/14(月) 19:29:28.09 ID:LwV9gPUqo
提督「──ふむ。あの騒動で本部に連絡する事は粗方終わったな」サラサラ

利根「後は鎮守府の再建と金剛と響のケアだけじゃな」カリカリ

提督「お前の身体の全快を忘れるな」サラサラ

利根「忘れておらぬよ。じゃが、こればっかりはどうしようもないじゃろう?」カリカリ

提督「執務をこなさずにベッドの上で大人しくしていれば、もっと早く治るだろ」サラサラ

利根「残念ながらそれは出来ぬ相談じゃな。ずっとベッドの上では精神的に辛くて治るのが遅くなりそうではないか?」カリカリ

提督「なるほど、そう返すか」スッ

利根「ほれ、こっちも終わったぞ」スッ

提督「だいぶ早くなったな。日付が変わる前に終わるのは珍しい」

利根「ふふん。我輩も成長しておるという事じゃ。ほれ、文字を書くスピードも上がって字も綺麗になったじゃろ?」

提督「そうだな。初めの頃と比較したいくらいだ」

利根「それも良いのう。我輩がどれだけ成長したのかが分かるぞ」ゴソゴソ

提督「別の方も成長しているようだ」

利根「そうじゃろうそうじゃろう? 頑張ったのじゃ!」ゴソゴソ

提督「初めは書類の見分け方すら分からなかったお前が、今じゃしっかりとした秘書だ。嬉しいものだ」

利根「見分け方どころか書く事すら酷いものではなかったか」パラパラ

利根「ほれ、これが当時のじゃ。小さな子供が書いたかのような字じゃなぁ」スッ

提督「今でなら汚い字と言えるな」

利根「うむ。……自分で言うのもアレじゃが、よくまあここまで綺麗になったものじゃ」

提督「字をあまり書かないから汚かったのであって、綺麗な字を書く素質はあったという事か」

利根「そうだと良いのう」

提督「利根は違うと思うのか」

利根「単純に我輩は他の人の綺麗だと思うた字をちょこっと真似ただけじゃからな」

提督「そうか。だが、それでも字が上手くなる者とならない者で違いは生まれるんじゃないか?」

利根「ふーむ……そういう事にしておくかのう。──それよりも、金剛と響がそろそろ来る頃じゃな」
141 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/14(月) 19:29:59.24 ID:LwV9gPUqo
提督「ああ。今日は珍しく仕事の話をしなくても良い時間になるぞ」

利根「本当に珍しいのう。こんなのは初めてではないか?」

提督「初めてではないが、滅多に無い事だ。お前も今日はゆっくりとティータイムを楽しむと良い」

利根「ティータイムか。似合わぬのう」

提督「どうした。そんなにティータイムが嫌いか?」

利根「そんな事は微塵にも思っておらぬぞ。──さて、金剛が準備しやすいように我輩は準備の準備をしておこうかのう」スッ

提督「ふむ?」

提督(……珍しく利根の言っている意味がいまいち分からなかったな。ティータイムが似合わない……? …………まあ、そこまで深く考えなくても良いか)

コンコンコン──

提督「入れ」

ガチャ──パタン

響「こんばんは、司令官、利根さん」トコトコ

響「…………」ソッ

金剛「お疲れ様デス」

利根「うむー! 来たかー! 金剛よー、準備の準備はやっておいたぞー」

金剛「分かりまシター。……あれ? 今日の執務は終わったのデスか?」スッ

提督「ああ、ついさっきな」

金剛「利根も成長していっているのデスね」スタスタ

利根「そうじゃ。我輩も少しずつじゃが育ってきておるようじゃぞ」

響(……利根さんも変わってきてるんだね)スッ

提督「ん? 今日はくっついていなくて良いのか、響」

響「うん。ある程度は大丈夫になってきてるからね。これからは少しずつ慣れて行こうと思うよ」

提督「そうか。偉いな」ナデナデ

響「ん……」
142 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/14(月) 19:30:42.29 ID:LwV9gPUqo
コンコンコン──

提督「む? 入れ」

ガチャ──パタン

瑞鶴「やっほー提督さん、みんな」

提督「瑞鶴か。珍しいな」

瑞鶴「うん、最近は来てなかったからね。なんだか来たくなっちゃったの」

提督「そうか。──今、利根と金剛がティータイムの用意をしている。一緒に楽しむか」

瑞鶴「うん!」

響「……瑞鶴さん」

瑞鶴「? どうしたの、響ちゃん?」

響「瑞鶴さんは、もう大丈夫なの? あの鎮守府の事」

瑞鶴「あー……んー……。大丈夫って言ったら大丈夫だけど、思い出したらやっぱりちょっと……って所はあるかしらね。だけど、それくらいかしら」

響「……強いね」

瑞鶴「そういうんじゃないって。たぶん、私はちょっとドライなだけよ」

提督「ドライの割にはここへ来てくれたようだが?」

瑞鶴「……うーん。じゃあ、なんて言うのかしら」

提督「さてな。ドライではないとだけ私が保証しておこう」

瑞鶴「そっか。うん、そうしておくわ」

瑞鶴(なんというか、ホント優しいわよねー。……でも、言葉だけでも嬉しいな)

利根「──金剛よ。気になったのじゃが、どうして湯は沸騰しきらねばならんのじゃ?」

金剛「それはデスね、紅茶は少しでも温度が低いと美味しく抽出が出来ないのデス。五度違うだけで味がかなり変わってくるデース」

利根「ふむふむ、なるほどのう」

提督(今度はお茶か。……本当、色々な事を覚えようと頑張っているな)

…………………………………………。
143 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/14(月) 19:31:10.88 ID:LwV9gPUqo
瑞鶴「じゃあ、また明日ね。お茶とかお菓子とか美味しかったわ」

響「おやすみ、司令官」

金剛「グッナイ、テートク、利根」

提督「ああ。また明日も頼む」

利根「良い夢を見るのじゃぞー」

ガチャ──パタン

提督「さて、私達もそろそろ寝るとしようか」

利根「うむ、そうしようかのう」

提督「もうすっかりとここで寝るのが当たり前になったな」

利根「何年もずっと一緒に寝ておったからのう。もはやこうでなければ熟睡できぬようになったぞ」

提督「もう三年になるからな」

利根「じゃのう。随分と長いようで短いものじゃ」

提督「時間の流れなんてそんなものだ。存外に時間というものは速く流れていく」

利根「本当じゃ。我輩も随分と物事を覚えてしもうた」

提督「そうだな。そこでだ利根。お前が頑張ってきているのを私は良く知っている。希望するなら何かを与えようかと思う」

利根「なぬ? それは本当か?」

提督「ああ。何か欲しい物はあるか?」

利根「欲しいモノ……のう。あるにはあるが……」

提督「そうか。ならば言ってみろ。問題が無ければ取り寄せるぞ」

利根「ふーむ……じゃが、のう……」

提督「歯切れが悪いな。そんなに難しい物なのか?」

利根「難しいと言えば難しい。いや、とびきりに難しいやもしれぬ」

提督「ふむ。まあ、言ってみろ」

利根「……うむ。そうじゃのう。ダメ元で言ってみるかの」チラ

提督「ん? 私の手を見てどうした?」

利根「…………すぅ……はぁー……」

利根「……提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」
144 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/14(月) 19:31:45.39 ID:LwV9gPUqo
提督「……む?」

利根「えーっとじゃな。……ほれ、左手の薬指じゃ。暇そうにしておるではないか」

提督「……なるほど、そういう事か」

利根「そういう事じゃ。……のう? とびきりに難しかろう?」

提督「そうでもないな」

利根「そうじゃろう? …………む? 今なんと言った?」

提督「そうでもないと言ったが?」

利根「……いや、我輩が言うのもアレじゃが、良いのか? 我輩じゃぞ?」

提督「何が言いたいのかは分からんが、お前だから良い。一緒に風呂やベッドに入っているのはなぜだと思っていた」

利根「……なんと。なんとなんと」

提督「意外だったか?」

利根「かなりの。……しかし、思うてみれば当たり前のようにしておった風呂や就寝も、普通では一緒にせぬな」

提督「今頃になって気付いたか。よっぽどあの島で常識が失われていたらしい」

利根「みたいじゃな……。それと……少し気になった事があるぞ」

提督「なんだ?」

利根「……夫婦になったとして、何か変わるのかのう?」

提督「……………………」

利根「……………………」

提督「……変わりそうにないな」

利根「じゃな……」

提督「強いて言うならば、加賀辺りが酷く落ち込みそうだというくらいか」

利根「想像に容易いのう……」
145 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/14(月) 19:32:50.61 ID:LwV9gPUqo
提督「それと、私とお前の指に指輪が嵌められるという事だろう」

利根「指輪……」チラ

提督「どうした」

利根「いや……改めて指輪と言うと、なんだか少し気恥ずかしくなっての」

提督「ほう。ならば指輪は要らんか?」

利根「いぢわる者め。欲しくない訳がなかろう」

提督「クックッ。そうだな。欲しくない訳がない。──だったら、本部へ送る申請書を書いておこう」スッ

利根「のう、指輪は種類などあるのか?」チラ

提督「いや、一種類しかない」サラサラ

利根「なんじゃ……。選択肢など無いのじゃな」

提督「今は深海棲艦と戦争中なんだ。指輪に金属を回してくれるだけありがたいものだろう」サラサラ

利根「それもそうじゃな。最近、めっきり深海棲艦と戦うどころか普通に話しておるから麻痺しておった」

提督「……戦う事になった時に影響を出すなよ?」

利根「その点は弁えておる。安心するが良いぞ」

提督「そうか。ならば良し」サラサラ

利根「あ、そうじゃ! 我輩、結婚したら二人でピクニックに行きたいぞ!」

提督「ピクニック? 遠くへは行けんぞ」サラサラ

利根「鎮守府の目の前に山というか丘があるじゃろう? そこではダメか?」

提督「……まあ、そこならば大丈夫か」サラサラ

利根「やったぞ! 決まりじゃな!」
146 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/14(月) 19:35:05.17 ID:LwV9gPUqo
提督「随分と慎ましい新婚旅行だな」サラサラ

利根「我輩にとっては充分な旅行じゃぞ。何せ、陸で鎮守府以外の場所に行く事なぞほぼ無いからの」

提督「それもそうだな。──よし、後は本部へ送るだけだ」

利根「なんだか少しドキドキしてきたのじゃ……!」

提督「初心な奴め。散々お互いに裸も見ているだろうに」

利根「それとこれとは別なのじゃー。結婚じゃぞ、結婚」

提督「そうだな。──さて、朝に送る書類へ組み込む為にもさっさと寝るぞ」スッ

利根「うむ! 分かったのじゃ!」タタタ

利根「何をしておる提督よ、早く来ぬかー」ポンポン

提督「そんなにベッドを叩かんでも良いだろう。すぐに行く」スタスタ

利根「ふふん。楽しみじゃからなー」

提督「結婚書類を出す事に興奮して寝れなくなる姿が目に浮かぶ」ギシッ

利根「……本当にそうなりそうじゃ。じゃが、この高鳴る気分を止める事なぞ難しいぞ」モゾモゾ

提督「すぐに寝られるように頭を撫でてやるから寝ろ」ナデナデ

利根「どうせなら抱き締めてくれぬか」

提督「注文の多い嫁だ」ソッ

利根「少しだけじゃから許してくれぬか」ギュゥ

提督「このくらいならば注文がある方が嬉しいものだ」

利根「……夢みたいじゃなぁ」

提督「夢はこれから見るものだ。──さて、良い夢を見ろよ、利根」

利根「うむ! おやすみじゃ、提督よ」

提督「ああ、おやすみだ、利根──」





──── 利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」 Normal End────

147 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/14(月) 19:38:32.91 ID:LwV9gPUqo
以上で三つのエンディングの内のノーマルエンドが終わりです。残りのトゥルーとIFも後日に投下していくのでお楽しみ下さいませ。

なんとか一つのルートは今年中に終わった。後二つのルートや。頑張る。
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 19:39:39.27 ID:wxrqokEY0

残りのルートも無理せずに頑張ってください
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 19:40:56.53 ID:PpspPRsJ0
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 19:44:59.85 ID:L/nQ72b2o
おつ
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 21:05:56.22 ID:f/T4dvOa0
乙!
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 21:37:51.56 ID:z0MzUy1pO
乙った!
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 21:50:27.35 ID:dXe/UMilO
乙です
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/15(火) 09:11:52.70 ID:/232FvayO
>>147
乙です。
ついでに本購入しますた。…飛龍…
冒頭の挿絵を某駆逐艦と誤n(急降下爆撃
155 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:49:07.53 ID:G0gfHGYMo
前スレ922からルート分岐します。
状況としましては瑞鶴と響が提督の艦娘として皆と紹介し、金剛さんはまだ提督室の隣でひっそりとお菓子を作っている辺りです。ついでにヲ級の意外な料理の才能が芽生えてきた辺りでもあります。

投下していきますね。
156 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:49:40.94 ID:G0gfHGYMo
利根「…………」コックリコックリ

提督(ん? ──ふむ。もうそんな時間か)チラ

飛龍「……提督、利根さんをどうしますか?」ヒソ

提督「寝かせてやろう。何年もこのくらいの時間には寝ていたんだ。眠くなるのも仕方が無い」ヒソ

飛龍「分かりました。毛布を取ってきますね」ヒソ

提督「いや、ベッドで寝かせてやろう。このままでは寝ても疲れる」ヒソ

飛龍「……………………」

提督「……すまんな」ポン

飛龍「いえ……大丈夫、で──あっ」

利根「…………」ゴンッ

利根「むがっ……!?」パチッ

提督「む。起きてしまったか」

利根「す、すまぬ! 寝てしまっておった! むぐぐ……ど、どこまでやっていたのか……!」

提督「利根、今日はもう寝てしまえ」

利根「いや、出来る所までやるぞ。提督も忙しいじゃろ」

提督「ならばこう言おう。その状態でどれだけの事が出来る。ミスは限りなく減らせるか?」

利根「む……む、むぅ……」

提督「いつもならばこのくらいの暗さになっていると寝ていただろう。無理はするな」

利根「むう……むむむむむ……」

提督「……珍しく聞き分けが悪いな」

利根「……我輩が頑張れば、その分だけお主が楽になるからじゃ」

飛龍(ああ、だから頑張っているんですね)

提督「体調を崩してしまえばその分だけ負担が掛かるぞ。それに、この調子ならば時間はまだある。心配するな」

利根「……………………」

提督「まだ理由が必要か?」

利根「…………むぐぅ……。分かった……。この一枚を最後にするのじゃ……」スッ

提督「そうしておけ」
157 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:50:25.07 ID:G0gfHGYMo
利根「提督は眠くないのかの?」カキ

提督「少しだけだ。寝ようと思えば寝られる程度といった所か」ペラ

飛龍「提督も無茶はしないで下さいね?」カリカリ

提督「ああ。飛龍、お前もな」ペラ

利根「……よし、終わりじゃ。飛龍、ここまで進めておいたぞ」スッ

飛龍「ふむ……分かりました。ゆっくり休んで下さいね?」

利根「すまぬ。後は頼む……」トコトコ

利根「おやすみじゃー……」モゾモゾ

飛龍(あれ……。当然のように提督のベッドへ入りましたね……)チラ

提督「…………」ペラ

飛龍(提督も気にしていない様子ですし……それがもう当たり前なんですかね……?)

飛龍「……良いなぁ」ボソッ

提督「……………………」

提督「利根、すまんが自分の部屋で寝てくれるか」

利根「ぬ?」

提督「時と場を弁えろと言っているんだ」

利根「む、そうじゃった。すまぬ」モゾモゾ

利根「では、また明日じゃ提督、飛龍よ」

提督「ああ、良い夢を」

飛龍「おやすみなさい」

ガチャ──パタン

飛龍(利根さんって、本当に提督と一緒に居るのが当たり前になってるんだなぁ……)

提督「飛龍」

飛龍「? 何ですか?」

提督「さっきの事だが、一応釘を刺しておく。誰にも言わないでくれ。私の注意不足だ」

飛龍「え、は、はい……」

飛龍(注意不足……? どういう事ですかね……?)

提督(……この書類に集中していて、利根がベッドに入るのを何とも思わなかったとは。私も島暮らしで色々と鈍ったという事か……)

飛龍「…………」カリ

提督「…………」サラサラ
158 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:50:51.28 ID:G0gfHGYMo
飛龍「……あの、提督」

提督「どうした」サラサラ

飛龍「……………………」

提督「……む?」

飛龍「……だ、誰にも言いません。だから……教えてくれますか? 利根さんの事をどう思っているのかを」

提督「気になるか」サラサラ

飛龍「はい……」

提督「そうだな。近くに居て当たり前の存在にはなっている。流石に三年近く片時も離れる事がなかったらそうなるだろう」サラサラ

飛龍「……そこに恋愛感情はありますか?」

提督「恋愛感情……。難しいな。それに関しては何とも言えん。少なくとも、さっきの利根の行動を見て何とも思わなかった点を考えると普通ではないと言えるが」

飛龍「…………」

提督「……飛龍、お前も今日は寝てしまった方が良い」

飛龍「え……?」

提督「そんな状態では仕事に手が付かないだろう。後の事は私に任せて──」

飛龍「…………」ジワ

提督(ああ……やってしまった……。今の飛龍に今の言葉はマズかった……。飛龍にとっては今の時間が特に大切だというのに……)

飛龍「……ごめんなさい。確かに、このままではお仕事になりませんね……」フイッ

提督(そんな急いで顔を隠しても、もう涙が見えてしまっているのは分かっているだろうに……)

飛龍「後の事……お願いします……」スッ

提督「──待て、飛龍」

飛龍「…………はい」

提督「振り向かなくて良い。そのままの状態で立っていろ」スッ

飛龍「……………………」
159 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:51:42.39 ID:G0gfHGYMo
提督「悪かった……。そんな気持ちにさせてしまったのは私のせいだ」ポン

飛龍「…………っ」

提督「私が寝るまでの間はこの部屋で好きにして良い」ナデナデ

飛龍「……何でも、ですか?」

提督「ある程度までだがな」

飛龍「では……隣に、居させて下さい……」

提督「ああ」スッ

飛龍「…………」スッ

提督「…………」

飛龍「…………」

提督「…………」サラサラ

飛龍「…………」

提督「…………」サラサラ

飛龍「……お茶、淹れてきますね」スッ

提督「……ああ」

提督(どうしてやれば良いものか……)

…………………………………………。
160 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:52:09.09 ID:G0gfHGYMo
飛龍「…………」カリカリ

提督(結局、仕事をするという形で落ち着いたか。顔付きも多少は良くなっている。──とは言っても、もう終わってしまうのだが)サラサラ

飛龍「……提督、こちらは終わりましたよ」スッ

提督「ああ。こっちももう終わる。──いや、終わった」スッ

飛龍「お疲れ様です。纏めておきますね」スッ

提督「……ああ」

飛龍「……大丈夫ですよ。そんなに気にしないで下さい。ちょっとだけ私の弱い部分が出ちゃっただけですって。朝になれば、またいつもの私に戻りますよ」

提督「……………………」

飛龍「もう……真面目なんだから」スッ

提督「…………」

飛龍「……頭、撫でてくれますか? それで今回の事は水に流せますから」

提督「……こんな事で良いのか」ナデナデ

飛龍「これだから、ですよ。小さい子以外に提督が頭を撫でるなんて事、ほとんど無いじゃないですか。……私にとって、こうやって頭を撫でてくれるのは凄く嬉しい事なんですよ?」

提督「……そうか」ナデナデ

飛龍「そうなんですっ。…………はぁー……やっぱ良いなぁこれ」

提督「…………」ナデナデ

飛龍「……うん、ありがとうございました」スッ

提督「もう良いのか?」

飛龍「ええ! もう元気一杯ですよ!」

提督「……………………」

飛龍「?」

提督「……すまんな。気を遣わせてしまって」

飛龍「あちゃ……バレましたか」
161 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:52:51.89 ID:G0gfHGYMo
提督「なんだかんだでお前は私の事をよく理解しているからな。私が何を思っているのかなど、お前はお見通しなのだろう?」

飛龍「全部が全部って訳じゃありませんけどね。表情とか声とか、そういう小さな変化に気付くだけです」

提督「私はポーカーフェイスだと思っていたのだが」

飛龍「ええ。でも、完璧じゃあないですよ? ほとんど感覚に近いですけど、ちょっとだけ違うっていうのは分かります」

提督「……特訓でもして完璧に近付けるべきだろうか」

飛龍「だったら私も特訓をして、もっと分かるようにするだけです」

提督「お前へ負担を掛けたく無いのだが……」

飛龍「ちっとも分からない方が負担になっちゃいます」

提督「……そうか。ならばこのままの方が良いな」

飛龍「逆に、私のやっている事が提督の迷惑になっていないかって思うくらいです。ほら、隠しているのに今何を思っているのかを知られちゃうなんて良くない事もあるじゃないですか」

提督「私は気にしていないからその点は心配するな。例外などお前一人だけだからな。飛龍が黙っていてくれるのならば知られていないとほぼ同義だ」

飛龍「……えへへ」

提督「なぜ笑った……」

飛龍「いえ、ただなんとなく嬉しく思っただけですよ」

提督「……そうか」

飛龍「そうなんです。でも、提督も辛い時は私達を頼っても良いんですよ?」

提督「限りなく善処するよう考える努力をしておく」

飛龍「もうそれ、やらないって言っているようなものじゃないですか……。メッ、ですよ」

提督「だがな……」

飛龍「むしろ、私達はそれで心配する事もあるんですからね? 少しくらいは吐き出しちゃって下さい」

提督「むう……」

飛龍「考えてくれるだけでも良いですから、ね? ──さて、そろそろお休みにならないといけませんね。もう後少しもすればマルフタマルマルです」

提督「ああ。良い夢を見ろよ、飛龍」

飛龍「私はバッチリですよ! 提督も良い夢を見て下さいね」

提督「私は夢をほとんど見ないから、それは難しいだろう」

飛龍「もう……。──おやすみなさい、提督」

提督「おやすみだ」

ガチャ──パタン

提督(……今度、何か甘い物でも渡しておくか。本当、苦労を掛けさせてしまうな……)

……………………
…………
……
162 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:53:34.78 ID:G0gfHGYMo
金剛「…………」

金剛(流石に少し暇になってきまシタ。……そういう時はベッドで横になるのが一番デス)ギシッ

金剛「んー……♪」コロン

金剛(なぜかは分かりまセンが、このベッド、とても気分が良くなる時があるデス。何か特別な何かがあるのデスかね?)

金剛(誰かに護られているというか……そんな不思議な気分デス)

コツッ──コツッ──コツッ──

金剛(! テートクですか?)ガバッ

カチャッ……ガチャ──パタン

提督「元気にしているか」

金剛「イエス。コンディションはグッドデース」

提督「そうか、良かった。……すまんな」

金剛「何がデ──」

金剛(ああ……間宮が言っていた『私をここへ押し込んだと思っている』の事デスか)

金剛「問題ナッシング。これからはテートクの艦娘として頑張れるデス!」

提督「…………」ポン

金剛「?」

提督「ありがとうな、金剛」ナデナデ

金剛「────────」

金剛「──はい。ありがとうございます、テートク」ニコ

提督「…………」ピタッ

金剛「? どうしたデスか?」

提督「…………」

飛龍(──私達を頼っても良いんですよ?)

金剛「…………?」
163 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:54:09.99 ID:G0gfHGYMo
提督「……いや、少し思い出してしまっただけだ」スッ

金剛「……辛いデスか?」

提督「それなりにはな……。だが、いずれこの痛みも和らぐだろう。新しい思い出と記憶によって痛みは悲しみだけとなり、やがて寂しい気持ちへとなってくれる」

金剛「前へ進んでいるならば、変わりマスからね」

提督「ああ。前へ進んでいる証拠だ」

金剛「どうか、忘れないであげて下サイね?」

提督「勿論だ。──話は変わるが、明日は金剛を正式にこの鎮守府の艦娘とする予定だ。その上の話だが、初めは多少の手を抜くという事を頼む」

金剛「着たばかりなのに強いのはストレンジだからデスか?」

提督「そういう事だ。いくら戦艦だからとは言っても、私達が向かう海域は錬度が足りない艦娘によるゴリ押しは出来ないような所だからな」

金剛「了解デース。フォローできるようなミスを少しするように心掛けマス」

提督「それと……初めはあまり良い空気が流れないと思う。その事は覚えておいてくれ」

金剛「……覚悟はしていマス」

提督「どうしても辛かったら言うんだぞ?」

金剛「イエス。その時はテートクを頼りにするデス」ニコ

提督「では、もう一日だけ我慢していてくれ。後で瑞鶴と響が来るはずだから、少しは寂しくなくなるだろう」スッ

金剛「あ、待って下サイ」ヒョイ

提督「うん?」

金剛「今回はクッキーを焼いてみまシタ。ティータイムの時にお茶菓子として皆と食べて下サイ」スッ

提督「……悪いな。ありがとう」スッ

金剛「今の私はこのくらいしか出来まセン。少しでも皆さんの、そしてテートクのお役に立ちたいデス」

提督「充分だよ」ポンポン

金剛「他にも何か出来る事があったら言って下サイね?」

提督「ああ。──では、私は戻る」

金剛「行ってらっしゃいませ」

ガチャ──パタン

金剛「……明日、デスか。大丈夫……きっと、大丈夫デスよね」

…………………………………………。
164 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:55:00.89 ID:G0gfHGYMo
提督「──本日の任務は以上だ。加えて、この鎮守府に新しくやってきた艦娘を紹介する。……入ってきてくれ」

比叡「ッ──!!」

榛名「────────」

霧島「…………」

金剛「英国で生まれた、帰国子女の金剛デース! よろし……」

全員「……………………」

金剛「…………く……」

金剛(……やっぱり、混乱しているようデス。どうしまショウか……)

長門(やはりこうなるか……)

比叡「……司令、一つよろしいですか」

提督「……許可する」

比叡「嫌な予感はしていましたけど、これは一体どういう事ですか?」

提督「見ての通りだ」

比叡「また……私は一緒に出撃しなければならないんですか……!」

提督「……行く行くはそうするつもりだ」

比叡「っ!!」グッ

霧島「比叡!?」

パァンッ──!

提督「…………」

比叡「…………!」ギリッ

金剛「ひ、比叡……?」

比叡「!」ハッ

比叡「……すみません」

提督「予想はしていた。グーでなかっただけ良かったと思っている」ポン

比叡「…………」
165 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:55:28.37 ID:G0gfHGYMo
提督「お前がどれだけ金剛の事を慕っているのかは分かっているつもりだ。……この後、執務室へ来るように。利根と飛龍は午後から執務に入ってくれ」

利根「わ、分かった」

飛龍「……はい」

比叡「……………………」

提督「良いな、比叡?」

比叡「……分かりました」

提督「よろしい。──榛名と霧島は金剛にこの鎮守府の案内を頼んで良いか?」

榛名・霧島「は、はい!」

提督「頼む。……色々と話しても構わん」

榛名「提督……」

提督「以上だ。朝礼は終わりとする」ツカツカ

比叡「…………」トコトコ

金剛「……テートク」

提督「なんだ?」

金剛「どうか……お手柔らかにお願いしマス」

提督「勿論だ」ツカツカ

金剛「…………」

榛名「……あの」

金剛「……ハイ」

霧島「これから、この鎮守府の案内をしますね。……それと一緒に、なぜ比叡があんな行動を取ったかの説明もします」

金剛「分かりまシタ。お願いするデス、榛名、霧島」

榛名「お任せ下さいね。……金剛、お姉様」

金剛(……これは、予想以上に受け入れられるのが難しいかもしれまセンね)

金剛(無理もないのは分かりマスが……少し、辛いものがあるデス……)

…………………………………………。
166 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:55:57.94 ID:G0gfHGYMo
ガチャ──パタン

提督「さて比叡」

比叡「……はい。どんな罰も受けます」

提督「そうか。ならばソファに座れ」

比叡「はい」スッ

提督「さて……お前には話さなければならない事がある」スッ

比叡「…………?」

提督「憶えているかは分からないが、あの金剛や瑞鶴、響は一度会っている」

比叡「会ってる……?」

提督「憶えていなかったか。私と利根が居た島──そこに居た三人があの三人だ」

比叡「……そうですか。──って、あの三人は別の鎮守府の艦娘じゃありませんでした?」

提督「そうだ。三人の希望もあってこの鎮守府に籍を入れる事となった」

比叡「……………………」

提督「私はあの三人を放っておく事が出来ない。共に支え合って暮らしてきた事もある。だから私は受け入れたんだ」

比叡「……もう『前の』お姉様達を、忘れるという事ですか?」

提督「いいや、忘れんよ。……むしろ、細かい部分まで思い出しているくらいだ」

比叡「ならばなぜ……!? 司令はどうして三人を受け入れようと思ったんですか!?」

提督「……三人に頼まれたから──というのもあるが、言われた事もあるからだ」

比叡「何をですか……?」

提督「もし自分達が沈んだ立場だったら……立ち止まらず、忘れずに前に進んで欲しい」

比叡「────────」

提督「私に付き従ってくれていた三人だったら、確かにそう言うだろうと思ったよ。いつまでも過去に囚われていて身動きが取れなくなっている姿を見せたら悲しまれそうだ」

比叡「…………」

提督「お前はどう思う、比叡」
167 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:56:27.84 ID:G0gfHGYMo
比叡「……私は…………」

提督「……………………」

比叡「…………いえ。私も、お姉様達に囚われないようにしなくちゃいけないかもしれませんね」

比叡「そもそも、私たち艦娘はいつも死と隣り合わせなんです。どれだけ錬度を積み重ねても、圧倒的な暴力の前では沈むのも当たり前です。……どうしてでしょうかね。いつの間にか、心の底では沈まないって思っていました」

比叡「いえ、何があっても、司令ならば沈ませないって思ってしまってました」

提督「…………」

比叡「……でも、私達がやっているのは戦争です。むしろ、お姉様達が沈むまで誰一人として欠ける事が無かったのが奇跡だったんです」

比叡「沈ませているのだから沈む事もある。総司令部からの伝達でも毎月に何人も何十人も沈んでいるってあったのに……本当、沈むのなんて当たり前の事だったんですよ」

比叡「それが……たまたまお姉様達だっただけの話なのに……」ジワ

提督「……比叡」

比叡「!」ゴシゴシ

比叡「──引っ叩いてごめんなさい、司令。私は、もう大丈夫です! 改めて罰を与えて下さい」

提督「…………」スッ

比叡「? どうかしましたか、しれ──」ポン

提督「……今まで耐えてくれてありがとう、比叡」ナデナデ

比叡「ぇ────」

提督「…………」ナデナデ

比叡「…………」ジワ

提督「…………」ナデナデ

比叡「ぅ、ぁぁ……」ポロポロ

比叡「酷い……酷いですよぉ……! 司令は厳しくしていれば良いんです……! 優しくするのは、金剛お姉様にだけで良いんですよ……!」ポロポロ

比叡「なんでいつもみたいに吊るそうとしないんですか……! なんでいつもみたいに、罰を与えようって……言わないんですかぁ……。なんで……なんで……?」ポロポロ

提督「今のお前に罰を与えるほど鬼ではないつもりだ」ナデナデ

比叡「うあぁぁ……ぁああぁぁぁ……」ポロポロ

…………………………………………。
168 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:56:59.46 ID:G0gfHGYMo
比叡「…………」

提督「落ち着いたか?」

比叡「……司令に泣き顔見られました」

提督「まあ、そういう事もあるだろう」

比叡「なんだかすっごく恥ずかしいです……」

提督「そうか」

比叡「……司令もなんだかんだで寂しそうな雰囲気だった癖に、いつもの調子に戻ってますし」

提督「宥めていた側だからな」

比叡「……もー」フイッ

提督「…………」

比叡「…………」チラ

提督「お前も、受け入れてくれるか?」

比叡「……時間が掛かりますよ」

提督「いくらでも掛けて良い。前に向かってくれるのならば。私も前に進む」

比叡「…………はい。私、頑張ります!」

提督「ああ、頼んだぞ」

比叡「少しずつ、ですけどね」

提督「金剛も分かってくれるだろう。悪い子ではない」

比叡「そうですよね! なんたって『金剛お姉様』には違いないのですから!」

提督(……言っている意味はなんとなく分かるのだが、艦娘と人間の感性の違いだろうか)

比叡「どうかしましたか、司令?」

提督「いや、特に。──では、戻って良いぞ比叡」

比叡「はいっ! 今回はお話が出来るように頑張ります!」

提督「ああ」

提督(……私も、しっかりと心の整理をしなければな)

…………………………………………。
169 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 14:57:35.43 ID:G0gfHGYMo
提督(……さて、二人が来る前に少しは仕事を進めておくか)スッ

コンコンコン──

提督「む? 入れ」

ガチャ──パタン

飛龍「失礼します」

提督「どうした飛龍。執務は午後からだぞ」

飛龍「では、どうして書類が広がっているんですかね?」

提督「多めに時間を取っていたからな。比叡が退室すれば執務もする」

飛龍「そうするだろうと思って来たんですよ、提督」

提督「なるほどな。……利根はどうした?」

飛龍「……えーっと…………」

提督「内緒で来たという事か」

飛龍「……はい」シュン

提督「……まあ、理由は察している。口裏は合わせておくから、利根が来ても少し前に来たばかりと言っておけ」

飛龍「──はい!」スッ

提督「しかし、お前も不思議な子だよ」サラサラ

飛龍「何がですか?」カリカリ

提督「色々な意味で、だ」サラサラ

飛龍「もう……なんですかそれ」カリカリ

提督「だから、色々な意味でだ」サラサラ

飛龍「むー……」カリカリ
170 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 15:00:02.34 ID:G0gfHGYMo
提督「ところで飛龍、わらび餅をどう思う?」サラサラ

飛龍「唐突ですね。透明でぷにぷにしているという話は聞いた事がありますけど、実際には見た事が無いのでなんとも……」カリカリ

提督「そうか。やはり、間宮に聞いた方が良いな」サラサラ

飛龍「気になるんですか?」カリカリ

提督「少しな。砂糖を使わない物もあると耳にしてな」サラサラ

飛龍「へぇー……。という事は、提督も食べられる可能性があるって事ですか」カリカリ

提督「そうなるな」サラサラ

飛龍「……私も少し気になってきました」カリカリ

提督「そうか。それは良かった」サラサラ

飛龍「ん? んんん?」

飛龍(どういう意味だろ?)

提督(少し考えれば気付くだろうが、仕事に集中させて有耶無耶にさせておこう)

提督「ほら、無駄話は終わりだ。執務に集中するぞ」サラサラ

飛龍「えーっと……はい」

飛龍(保管している資材は……っと──)

……………………
…………
……
171 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2015/12/22(火) 15:02:12.45 ID:G0gfHGYMo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。

見ての通りのルートを通ります。また、共通の部分は必要に応じて同じく投下しますので「あー、こんな話もあったな」という程度でお願いします。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/22(火) 17:20:40.90 ID:MNnI2SJeo
乙です
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/22(火) 18:11:17.12 ID:6IDCvMaX0
あれ?
てか、なんで無人島生活してたんだっけ?普通に帰ってきたけど大本営とか関係ないんだよな?
174 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [sage saga]:2015/12/22(火) 19:06:37.05 ID:G0gfHGYMo
>>173
この飛龍ルートで詳細が分かるようにする予定ですのでお待ち下され。利根さんのルートでは提督も利根さんも執着はしていないので軽くしか触れていないのです。
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