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利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」 二隻目
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1 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/09/17(木) 15:57:29.82 ID:0EZ9LAzno
このスレは続き物です。初めから読む場合は以下のURLを辿って下さい。
利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416837049/
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1442473049
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/17(木) 16:56:07.80 ID:cTGkzfomo
立て乙です
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/17(木) 19:34:09.41 ID:Za/RjdJAO
立て乙
ちな1レスしかないと立て逃げ扱いでHTML化される可能性あるぞ
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/17(木) 20:20:13.69 ID:0EZ9LAzno
>>3
なんという……。それでは少しだけ投下。
前スレの1000の通りに全員吊るすという世界線のお話を。
提督「…………」
響「吊るすロープとフックが足りなくなったね」ブラーン
提督「……確かに全員帰ってきたのは良い事だ。だが、危険すぎる賭けに出るのは感心しない」
加賀「私が一番、敵を沈りました」ブラーン
提督「反省の色が見えないな。加賀、お前は最後の最後まで吊るそう」
加賀「なっ!?」
瑞鶴「というかさ、なんで金剛さんは後回しに吊るすような感じになってるのよ」ブラーン
金剛「…………」ヂー
提督「単純に吊るす場所が無いからだ」
瑞鶴(……単純に吊るしたくないだけだったりして)
提督「瑞鶴、お前も加賀と一緒に最後まで吊るしてやろう」
瑞鶴「ピィッ──!?」
利根「まったく……こやつらときたら……」ブラーン
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/17(木) 20:43:06.98 ID:kAnoC5YLO
人のこと言えない我輩さん
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/18(金) 19:14:02.37 ID:68smBqns0
姫も実は密かに吊るして貰えるのを期待してたりして
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/18(金) 20:39:39.08 ID:SMlswdJAO
何人かは「我々の業界では(ry」な艦娘はいそうだよな
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/18(金) 23:32:15.24 ID:L1g0zGvlO
>>7
ヂーっと見てる金剛さんも実は吊るして欲しいんじゃ…
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2015/09/19(土) 13:54:02.71 ID:Ycctn89BO
なんて幸せな世界なんだ……
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/19(土) 14:14:16.29 ID:9Jmqf7RRo
sageられないんだったら書き込むんじゃねぇよks
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/19(土) 16:07:47.84 ID:399GH6aKo
>>9
お前のせいで幸せな世界が台無しだよゴミクズ
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2015/09/19(土) 20:19:29.55 ID:Nafkho3uO
おもしろい
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/19(土) 20:23:20.07 ID:741StWeVo
>>12
age荒しか?
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/20(日) 15:30:33.15 ID:PmGMEjJGO
吊るだけじゃ罰として足りん
目隠しして尻叩き100回くらいが妥当というものだろう
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/21(月) 10:32:31.95 ID:XIUZ6lum0
乙でございます
16 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2015/09/25(金) 18:47:53.69 ID:t+0zg2Jao
提督「──現状の再確認をするぞ。艦娘は全員、この湾から出ない事を前提とした行動を取る。兵装や資材等は出し惜しみせずに使い尽くす気で使う許可を与える。援軍が来た際は前に出過ぎない事と危険を感じたら即時撤退を必ず実行する事」
大淀「艦娘は錬度が低い子達や軽空母や正規空母、潜水艦の方々に加え、明石さんや私は母港にて後方支援に徹する事。また、天龍さんと龍田さんは例外的に母港付近にて照明弾を使った後方支援を担当。撤退して修理を終えた艦娘は、疲れが大きく残っている状態では再出撃させずに疲労を抜く事」
提督「防衛線は敵一隻すら通さないように広範囲に展開。また、この激戦の中で潜水艦は敵味方共に運用が非常に難しいと言える事から、対潜哨戒は最後方の安全域にて行う事とする。航空戦に関しては艦上戦闘機を主に使って制空権の奪取に勤める事。夜目が利き辛いので、同士討ちや衝突には充分に注意。──そして、私の傍には常に最低一人の艦娘を置いておく事」チラ
利根「我輩の事じゃな?」
大淀「はい。私は基本的に事務仕事ばかりをしていて不安ですので、利根さんがお願いしますね」
利根「うむ! 我輩に任せると良いぞ! 提督は我輩が護りきってみせよう!」
提督「利根には母港のいかなる場所での兵装使用許可を与える。万が一、敵が侵入してきた際は頼むぞ」
利根「うむ。我輩も最近は戦線に向かっておらなんだからの。大破撤退が以前よりも多くて心苦しかったのじゃ」
大淀「利根さんは所謂、最終防衛線です。提督をしっかりと護って下さいね?」
利根「任せておれ! 我輩は提督の剣となり盾となろうぞ!」
提督(……大淀から『護衛は最低でも一人付ける事』を絶対に譲れないと言われたが、本当に必要だろうか。ここに敵が来るという事は、前線が崩壊して敵が雪崩れ込むという事なのだが)
利根「念の為じゃ。保険は掛けておくものなのじゃろう?」
提督「……流石に私の考えている事が分かるようになっているか」
利根「当たり前じゃ。いったい何年もの間を傍らで暮らしてきたと思うておる」
提督「そうだな。ならば、次に私が言う事も分かっているな?」
利根「む? ……気を張り詰めておけ、かの?」
提督「いいや。──剣となって盾となるのは仕方が無い事だが、無理だけは絶対にしてくれるなよ」
利根「……くくっ、勿論じゃ。提督の嫌う行動など分かっておる。我輩は沈まぬし死なぬ。それに、我輩の回復力を知っておろう?」
提督「だから無理をするなと言っているんだ。過信と慢心は死を生むぞ」コツッ
利根「むう……分かったのじゃ」
大淀(……これで相思相愛ではないという話なのですから不思議ですよねぇ)
…………………………………………。
17 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2015/09/25(金) 18:48:24.89 ID:t+0zg2Jao
提督「…………」
大淀「…………」
利根「?」
提督「……順調だな」
大淀「ええ、順調に殲滅が終わりそうですね……」
利根「……順調なのに、どうしてそんなに難しい顔をしているのじゃ?」
提督「恐ろしく順調なのが逆に怪しいという事だ。相手の思惑通りになっているとしか思えん」
大淀「はい。ですが……何を考えて今の状況にしているのかも見当すらつきません。予想していた通り、敵の援軍は後方で控えていました。ですけれど……その援軍のタイミングもおかしいです」
利根「ぬ?」
提督「簡単に言えば、援軍を有効活用していないという事だ。初めは何を考えているのか予測しにくい不気味さがあったというのに、援軍が来てからは単純かつ愚かに物量で攻め落とそうとしか感じられん」
利根「……それは妙じゃのう。戦闘に乗じて侵入でもしてくる気かの?」
提督「その可能性は充分にある。故に侵入されないよう全面に展開させている」
利根「……では、その薄く広がった所を一点突破してくるとか、かの」
大淀「後方待機の方々が居ます。一点突破してこようものならば最前線は後ろの味方と合流して迎撃に出るようにしています」
利根「そこで我輩達の目を盗んで入り込んでくるのかのう……」
提督「その可能性も考えて潜水艦の四人は母港で待機させている。問題なのは、敵にそういった事が一切無くてただ我武者羅に突っ込んできているだけという点だ」スッ
利根「……うーむ。訳が分からんのう……。何がしたいのじゃ、深海棲艦は。──ここからも戦火が見えるのう。敵のものであっても、嫌なものじゃ」スッ
大淀「本当、不気味ですよね……」
提督「警戒はするに越した事はない。他にも考えられる可能性を……──ッ!?」ゾクッ
レ級「…………」ニィ
提督「逃げろ!! 走れ!! 眼下に敵だ!!」グイッ
大淀「え──!?」
利根「なんじゃと!?」
レ級「アッハハハハハァッ!!」
ドォン──ッ!!
…………………………………………。
18 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2015/09/25(金) 18:49:01.28 ID:t+0zg2Jao
金剛「──え?」
榛名「金剛お姉様! 敵を前にして余所見──……は……」
霧島「全門斉射ぁー!!」ドォンッ
比叡「……この付近の敵の殲滅を確認しました。金剛お姉様、榛名、どうし……ま……?」
霧島「? どうかしたのですか? 鎮守府の方を……見……」
榛名「鎮守府が……」
比叡「な……なんで……!? なんで鎮守府が燃えてるんですか!? 司令は敵を通さないようにって何重も防衛線を張っていたのに!!」
金剛「っ──!!」ザァッ
榛名「あっ……! わ、私も行きます!」ザァッ
比叡「どうして……どうして……!!」ザァッ
霧島「くっ……。付近の艦娘に告げます!! 敵との戦闘が終わり次第、鎮守府へ全速で戻って下さい!!」
霧島「……何がどうなっているんですか、これは」ザァッ
金剛「テートク……テートク……!」
榛名「は、はや……!」
榛名(活動停止して浮き舟になった深海棲艦の群れで動き辛いはずですのに、どうして着任して間も無い金剛お姉様が榛名達よりも速く動けるのですか……? ──この身のこなしは明らかに熟練されています。少なくとも、一年や二年の経験とは思えません)
榛名「っ……! 残骸が邪魔で……!」ザゥッ
榛名「────…………」
比叡「わっとと……! 危な……? …………榛名、どうしたの?」
榛名「……いえ。金剛お姉様が、とても速いと思いまして」
比叡「…………」
榛名「まるで数々の戦場を乗り越えてきた古強者みたいに、こんな動きにくい場所を物ともせず進んで行きました」
比叡「……………………」
榛名「今回、一緒に戦っている時に何度も感じました。……あの金剛お姉様は、もう居ないはずの『金剛お姉様』に匹敵する錬度を持っているって」
比叡「……行くわよ。鎮守府が燃えてるんだから、急いで救援に行かないと」ザァ
榛名「…………はい」ザァ
比叡(……隠し通すのは難しそうですよ、司令。どうするんですか……?)
…………………………………………。
19 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2015/09/25(金) 18:49:28.39 ID:t+0zg2Jao
レ級「……あー、火力調整は面倒臭いねぇ。ついつい派手にやっちゃった。生きてるかなぁ? 生きててくれよぉ?」キョロキョロ
レ級「おっ! 居た居た発見発見!」グイッ
提督「…………」
レ級「もしもーし。生きてるかーい? ……よしよし。返事は無いけど息はしてるしてる! 良かった良かった」
利根「ゲホッ、ゴホッ!」ガラッ
大淀「う、うぅ……」ヨロッ
レ級「うん? この人間と一緒に居た艦娘かなぁ?」
利根「!! 提督!」ダッ
レ級「おっとぉ! それ以上は近付かないようにねぇ!」ジャキッ
大淀「っ……!」
利根「ひ、人質か!? 卑怯じゃぞ!!」
レ級「なんとでも言えば良いんじゃないの? どんな手を使ってでも勝ちは勝ちなんだからさぁ?」
利根「くぅ……!」
瑞鶴「──何が起きたの!?」ザッ
加賀「…………っ!」ギリッ
飛龍「これ、は……?」
蒼龍「ひどい……」
赤城「深海棲艦……!?」グッ
翔鶴「赤城さん待って下さい! 提督が!!」
赤城「…………!」
レ級「うぅーん。良い感じに集まってきた。……だけど、もうちょっとだけ待っていようねぇ! 出来ればこの鎮守府のメンバー全員が来て、この人間の目が覚めるくらいまでさぁ!」
加賀「──何が目的ですか」
レ級「そいつも待った! 二回も三回も説明するのとか面倒だしさ、全員が集まったら言うよ。ブチ切れて一周回って冷静になってるようだし、従わなかったらどうなるか分かるよねぇ?」ジャキン
20 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2015/09/25(金) 18:50:02.83 ID:t+0zg2Jao
加賀「……そうね。今すぐ皆を呼び戻すわ」パヒュッ
レ級「おっ! この暗い夜に躊躇無く艦載機を発艦! という事は、お前が艦娘でも夜目の利く空母って事かな!?」
加賀「目聡いわね。どこで見ていたのかは知りませんが、合っていますよ。──で、私達はさっさと艤装を外せば良いのかしら」
レ級「話の早い艦娘だねぇ。お姉さん感激しちゃいそう。……まあ、武装解除は基本中の基本だし、さっさと外しちゃってね」
飛龍「……加賀さん」チラッ
加賀「……全員、艤装を外して。これは命令よ」
全員「……………………」
ガチャッ──ガチャガチャッ
レ級(……ほう。命令一つで全員が即座に行動をすると。よっぽどこの人間が大事なようだ。──だからこそ利用価値がある)
加賀「望み通りにしたわ。出来れば、私のお願いも聞いて欲しいくらいね」
レ級「そうだねぇ。お姉さん、今すっごく機嫌が良いから聞いちゃいそう」
加賀「提督を解放してくれるかしら」
レ級「そりゃ無理だ! 残念だけど」
加賀「そう」
レ級「まあそう焦らない焦らない。状況次第じゃ、ちゃーんと返してあげるからさ」
瑞鶴「……こんな事をしているんだから信用なんて出来そうにないわね」ジッ
レ級「そんな睨まなくても良いじゃん? 私はある目的の為に来ただけ。それさえ終わったら大人しく帰るって約束しちゃうよ」
瑞鶴「……………………」
レ級「良い感じに怒りと憎しみが篭もってるねぇ。ぶるっちゃいそう。──まあ、気長に待とうねー。全員が集まったら話を進めるから」
空母棲姫(……………………)
ヲ級(……姫)コソッ
空母棲姫(……工廠へ行くわよ。大回りをして、見付からないようにひっそりと)ヒソッ
ヲ級「…………」コクン
…………………………………………。
21 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2015/09/25(金) 18:54:40.49 ID:t+0zg2Jao
今回はここまでです。また一週間後くらいにくると思います。
>>14
そんな事をしたら、たぶん罰を受けている本人も含めて全艦娘が提督の心配をしそう。
仕事をしすぎて疲れているのか、それとも自分達は提督からもっとお仕事を取る勢いで執務をしないといけないのか、それとも明石か夕張辺りが七色に光り輝く薬でも作って提督がそれを飲んでしまったのか、とか。
22 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/09/25(金) 18:58:31.74 ID:t+0zg2Jao
……なんで上げなかったんだろ私。ごめんよ。
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/25(金) 20:38:19.23 ID:F/M8e2xY0
乙
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/25(金) 20:40:34.26 ID:v/uTvOHP0
おつ
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/25(金) 20:41:20.55 ID:c8MXWrTAO
乙です 続き舞ってます
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/25(金) 21:01:29.32 ID:E3XxWWkeo
大丈夫大丈夫
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/25(金) 21:02:42.55 ID:BkECYslQO
乙です
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/25(金) 21:46:16.58 ID:bqQuqZ1I0
姫の活躍が楽しみ
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/25(金) 23:09:48.91 ID:MAy2ZTMeo
おつ
レ級の人類の可能性を証明しようとしてる感が凄い
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/26(土) 01:51:19.75 ID:hFfffaC50
どうやってレ級が忍び込んだのかは次かな?ひとまず乙
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/09/26(土) 01:57:34.64 ID:ubdyeKINo
乙
レ級はAIだった…?
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/09/26(土) 15:29:09.34 ID:u0oFqvwMo
やっぱりこの話面白いよなぁ・・・
夏コミのアレ読み終わりましたん ・・・飛龍ェ・・・
33 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/02(金) 20:05:36.46 ID:LN99fSJ5o
加賀「……これで全員よ」
レ級「へぇ。思ったより少ないもんだね。六、七十隻くらいかな? 百隻近く居るんじゃないかなーと思ってたんだけど」
提督「……なんだこの状況は」
金剛「────! テートク!」
レ級「おっ! 丁度良いねぇ! 起こす手間が省けたよ! ……で、これが何か分かる?」ジャキッ
提督「……なるほど。私は人質という訳か」
レ級「アハハハハァ! 理解が早いねぇ! まさしくその通り! 大正解! ご褒美に君達が気になってる侵入経路を教えちゃおう!」
提督「……………………」
レ級「別にさ、深海棲艦って海の上じゃないとダメって事はないんだよねー。そこは艦娘と同じ! だから陸を突っ切っただけだよん」
提督「……そういう事か。この暗い中、よくそんな事が出来たものだ」
レ級「海岸線がギリギリ見えるくらいの位置ならやろうと思えば出来るって。ちょーっと時間が掛かったけどね」
提督「それで、何が目的だ。多くの同族を犠牲にし、人質を取るくらいだ。それなりの理由があるんだろう」
レ級「あ、もう本題に入っちゃう? お姉さんとしては嬉しい限りだよ」
レ級「んでも、まあ薄々気付いてるんじゃない? ここで匿ってる深海棲艦……安っぽい言い方だけど、そいつには消えてもらわなきゃいけない」
川内「はぁ……? 深海棲艦を匿ってる?」
那智「意味が分からんぞ。どうして私達が敵を匿わなければならない」
レ級「いやいや! これが居るんだよ! そうだよねぇ……テイトクさん?」
提督「……ああ。居る」
神通「…………!」
羽黒「そ、そんな……! ど、どうしてですか司令官さん!? て、敵ですよね!?」
提督「もう少し後になってから知らせるつもりだった。すまない。……その深海棲艦だが、私達の敵ではない。その二人のおかげで私は提督として復帰できた。そして命の恩人でもある」
レ級「まあ、そういう事! んでもって私がその二人を消しに来たって訳。人間や艦娘と仲良く暮らしてる同族なんて見過ごせる訳ないじゃない? しかもそいつらは楽しそうにしているときた。情報を漏らす可能性もあるし、こっちにとっては邪魔者以外の何者でもない。そいつらを殺したら大人しく帰るから、ちゃっちゃと出してくれないかな?」
34 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/02(金) 20:06:16.72 ID:LN99fSJ5o
響「……理由は分かったけど、まだ分からない事があるかな」
レ級「あらら。説明不足だったかな?」
響「そうだね。君が目的を達成した後の説明が足りない」
レ級「……んー?」
響「仮に匿ってる深海棲艦を沈めたとするよ。そうなったら君は大人しく帰るって言った。──けど、司令官をどうする気だい。生きて帰る為には司令官を人質にし続けなければならない。どこまで司令官を連れて行くつもりなの?」
レ級「ああ、そういう事か。ちょーっと沖に出てもらうだけかな? 受取人として二人くらいまでならついてきて良いけど、なんだったら泳いで帰って貰おうか?」
響「……戦艦が二人でも良いって事だね?」
レ級「全然良いよぉ。もうオールオッケー。それくらいじゃあ私も沈まないだろうし、こっちとしても沈めるのは難しいから丁度良い感じなんじゃない?」
響「そっか」
響(……でも、司令官はこの交渉を受けそうにない気がする)チラ
提督「……………………」
響(司令官は、味方を見捨てたりしない人のはずだから。……どうするんだい、司令官)
レ級「ま、お前達にとって敵である深海棲艦を二人差し出すだけでテイトクさんの命を拾えるんだ。悪くない話だと思うけど」
全員「……………………」
レ級「んー? 分からないかな? 深海棲艦も倒せる。テイトクさんも助けられる。お前達にとってはメリットしかない。ほら、テイトクさんの指示なんか待たないでさっさと匿っている深海棲艦を出しちゃいなって」
提督「下らん」
レ級「……あ?」
提督「下らんと言ったんだ。多くの鎮守府にこれだけの被害を出したお前を、私が逃がすとでも思ったか?」
レ級「んー? じゃあ、この状況をどうするのかなぁ? お前はこうして私に拘束されている訳だけど」ジャキン
提督「簡単な事だ。──全員に言い渡す。私ごとこのレ級を撃ち抜け。必ず沈めろ」
金剛・瑞鶴「なっ──!?」
響「!!」
レ級「……ほう」
35 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/02(金) 20:07:08.02 ID:LN99fSJ5o
瑞鶴「馬鹿言わないでよ!! どうしてそんな命令が出来るの!? 自分ごと撃てって……そんなの出来る訳がないじゃないのよ!!」
全員「……………………」
瑞鶴「私達はそんな事、絶対に出来ない!! 提督さんを殺すなんて選択、する訳がないじゃない!!」
飛龍「……そうですよね」スッ
加賀「ここで殺しておかなければ、いけませんね」スッ
瑞鶴「────────────え?」
長門「何……?」
ガチャ……ガキンッ──ジャキッ
瑞鶴「え……え……?」キョロキョロ
ゴソ……ガチッカコン──
響(これは……予想外だ)
瑞鶴「う、嘘……でしょ……?」
長門「馬鹿な……お前達は自分達の提督を殺せるだと……?」
利根「……仕方が無いからの。……まあ、予想はしておったぞ」ジャキッ
瑞鶴「利根さんまで……!? ど、どうしてよ!? どうして皆そんな命令が聞けるのよ!?」
利根「……簡単じゃ。今回の戦い、あのレ級は非常に脅威であった。ここで倒しておかなければ後でどうなるか分からぬ」
瑞鶴「だからってそんな!!」
加賀「……もし逃がしてしまえば、今回みたいに多くの鎮守府が危険に晒されるわ。……必要な犠牲、ですよね……提督」
提督「そういう事だ。……すまないが、この母港で匿っている空母棲姫とヲ級の二人は逃がしてやってくれ。可能ならば面倒も見てやって欲しいが、無理だったら構わん。後は静かに暮らして人に脅威を与えないだろう。私の軍服を持っているから分かるはずだ」
提督「それと二人に伝えてくれ。すまなかった、と」
金剛「……………………」ガチャン
36 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/02(金) 20:07:55.42 ID:LN99fSJ5o
加賀「分かりました。──ソナーと爆雷を持っている子は、レ級が海の中へ逃げた時に追って確実に撃破する事。……第一手は、私がやります」
利根「譲らぬぞ。提督の介錯は我輩のものじゃ。そもそも、艦載機と砲撃では攻撃の速度が違うじゃろ」
加賀「……そうね。お願いするわ」
レ級「よく訓練された艦娘だ。まさか、自らの手で主を殺す事が出来るまで教育しているとはな」
金剛「…………」スッ
レ級「──だが、そうでない者も居るようだな?」ニヤァ
金剛「…………」ジャキッ
榛名「金剛お姉様!? ど、どうしたのですか!?」
霧島「どうして……」
比叡「……………………」
提督(こうなるか……)
金剛「……ソーリィ。私は、テートクを失いたくありまセン。……どうしてもテートクをキルしたいのでしタラ、私をキルしてからにして下サイ」
レ級「アハハハハハァ!! やっぱり新人クンは教育が完全じゃないみたいだ!」
加賀「厄介な……」ギリッ
提督「……金剛、自分が何をしようとしているのか分かっているのか?」
金剛「……ごめんなサイ。残されるのは、もう嫌なんデス。──でも、一緒に逝くのは……悪くないかもしれまセン」
提督「っ──そう、か……。仕方が無い事、だな……」
レ級「あ、そうなんだぁ……。艦娘同士の殺し合いが見れると思ったんだけど、残念だなぁ」
加賀「提督……」
提督「……………………」
レ級「まあ、どうするのかなテイトクさん? このまま私に殺されるも良し。あの二人を出して安寧を得る。あ、別の方法でも良いよ! 私としては面白かったらなんでも良いやぁ!」
提督(あの二人を取るか、金剛を取るか……。出来れば第三の選択肢があれば良いのだが、この状況では……)
提督(…………ん?)
空母棲姫「…………」ググッ
提督(屋上から空母棲姫が弓を?)
空母棲姫「…………」ジッ
37 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/02(金) 20:08:43.26 ID:LN99fSJ5o
提督(……なるほど、賭けに出たか。──やれ)コクリ
空母棲姫「…………」コクン
レ級「──あん?」
パヒュッ──!!
ドズンッ──!
レ級「があぁッッ!!? 目を……!?」
提督「金剛!!」ドンッ
金剛「! ハイッ!!」ジャキン
レ級「────!」フラッ
金剛「全砲門──ファイアー!!」
ドォン──ッ!!
提督「残っている弾薬を全て使い切るまで撃て! そこまですれば流石の奴もくたばるはずだ!!」
金剛「ハイッ!」
ドォン──! ドンドォン──!!
空母棲姫「……やりました」
ヲ級「姫、かっこよかった!」キラキラ
空母棲姫「一番の功績者は、私の頼みを聞いてくれた妖精達だ。ありがたかった」
艦爆妖精「馬鹿言ってんじゃねぇ。あれはお前さんの技術があってこそだ。誇りに思いな」
艦攻妖精「我々は艦娘用の弓と矢を貸し与えただけ……。デストロイ出来るかどうかまでの関与は不可能です」
艦戦妖精「最初はビックリしたけど、提督さんの匂いがついた服を羽織ってたから味方だと思ったのー」
空母棲姫「……まったく。あの方の鎮守府は妖精までもがお人好しですか」
艦爆妖精「そんな嬉しそうに言っても褒め言葉にしか聞こえないぜ?」
空母棲姫「……その頬を抓られたいのかしら」スッ
艦爆妖精「おっと! 俺は用事を思い出した! またな!」サッ
艦攻妖精「私も鎮守府の再建準備の道具を手入れするとしよう」
艦戦妖精「またなのー」
空母棲姫「逃げ足の速い……」
ヲ級「姫! 私達も、皆のとこ、行こ?」
空母棲姫「……まあ、もうバレているでしょうしね。怖がらせないように注意だけはするわよ」
ヲ級「うん!」
…………………………………………。
38 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/02(金) 20:09:20.26 ID:LN99fSJ5o
金剛「……全弾、撃ち終わりまシタ」
提督「よくやった。──だが、後で説教だ。自分から殺されにいこうとするのは何事だ」
金剛「テートク、それは人の事を言えないデスよ?」
提督「お前の場合は完全に巻き添えを貰いにいこうとしただけだろう。拾える命は大事にしろ」
金剛「ぅー……。納得できないデース……」
提督「……あと、礼を言わなければならないな。二人とも、顔を出しても良いぞ」
空母棲姫「はい」スッ
ヲ級「うん!」ヒョコッ
電「く、空母棲姫……なのです……」ビクビク
雷「もう一人はヲ級だけど……あれ絶対に改装されたヲ級よね……」ビクビク
暁「レ、レレディなら、怖がったりしないわ……!」ビクビクビク
響(ああ……やっぱり何も知らなかったら怖いんだね……)
グラッ……
ヲ級「わっ、と」
ズゥン──……
提督「……ボロボロだな。柱が倒れるとは」
ヲ級「ご、ごめんなさい……」オロオロ
提督「いや、どうせ鎮守府を建て直すまでには倒れていただろう。むしろ、今倒れたからこそ怪我人が出なかったかもしれん。気にするな」
ヲ級「ほっ……」
雷「……なんだか今までのイメージと全然違うわ」
電「とっても普通なのです……」
空母棲姫「その深海棲艦の上に倒れてくれたら良かったのだがな。あと数センチ違えば……」
提督「……後始末が大変そうだ」
空母棲姫「それもそうですね」
暁(……あれ? この空母棲姫ってどっちが素の口調なのかしら……?)
提督「さて、一先ずだが私はレ級の後始末をしよう。各員は入渠後、安全な区画で疲れを取ってくれ。金剛への説教は陽が昇ってからだ」
全員「はいっ!」
利根「では、我輩も提督の手伝いをするとしようかのう」
提督「そうか。手伝ってくれるとありがたい」
レ級「……………………」
ガギッ──!!
提督「!!」
レ級「……やっぱりさ、やるもんじゃないね。慣れない事は」
利根「な、なんじゃぁ!? 柱に手を突っ込んだぞ!?」
金剛「あんな状態でも動きマスか……!」
ブンッ──ズゥンンッ!!
提督「鉄筋コンクリートだぞ……! 化け物か……!!」
レ級「これだから面倒なんだ。こいつらみたいな奴は……」
39 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/02(金) 20:11:10.60 ID:LN99fSJ5o
今回はここまでです。また一週間後……に来れるかどうか怪しいですが、いつものように目安と思って下さいませ。
終わりが見えてきた。やっと終わりが見えてきた。私、頑張ります。
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/02(金) 20:47:14.50 ID:HqdTfSkYo
おつ
レ級の台詞もここまで来るともう偶々似てただけという線はないか
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/02(金) 20:50:46.98 ID:l/xTZ6t9O
わあ、さいきんのレ級はマスブレードまでつかえるんだ。すごいなあーー(白目)
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/02(金) 21:03:57.70 ID:G5L3eM9eO
乙です
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/02(金) 21:07:42.67 ID:zFSA90rK0
おつ
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/02(金) 23:43:10.06 ID:BjGK3dTyO
レ級の口調が似てるとして、で、それが何か問題?
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/03(土) 01:26:08.91 ID:EHH4145ho
こっちの方が楽しいよ、ギャハハハッ
46 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2015/10/03(土) 01:49:08.89 ID:hZvXM+bGo
ちょっとした告知を。
夏コミで委託させて頂いた金剛飛龍本についてですが、倉庫委託に変更しました。そして委託店舗様に物が到着しましたようです。恐らく増刷はしませんので、売切れてしまった場合はすみません。
スレしか見ていない方も居られると思いますので、こちらでも告知させて頂きました。
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/03(土) 22:04:23.33 ID:30XBTh3I0
乙です
陸戦とはまた熱い
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/06(火) 20:05:47.55 ID:8NEZwOsso
乙
次はゲイブンだな、待ってる(違
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/10/08(木) 05:41:57.86 ID:N66ZOncSo
愛してるんだあああああ君達をおおおおお
50 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/12(月) 06:35:37.81 ID:yvhBltlso
空母棲姫「っ!」パヒュッ
レ級「────」パシンッ
空母棲姫(やはり、見えていたら対処されますか! ならば……)ダッ
ヲ級「姫!」タッ
空母棲姫(私が囮になって、倒してもら──)チラ
ドォン!
金剛「く、っぅ……! テートクは……無事ですね」
空母棲姫「────な……」
空母棲姫(狙いを、あの方へ変えた……?)
提督「!! 金剛、退けッ! 私も下がる!」ザッ
利根「!」タッ
レ級「外したか」カコン
利根「何をしておるんじゃ!! 最前列! 撃たぬかぁ!!」ドンッ
加賀「っ!」グッ
長門「くっ……」ガチンッ
レ級「…………」
金剛「!!」
利根「金剛よ、どけぇえええ!!!」ドン
ドォン!!
利根「かはっ……く、ぅ……!!」
提督「利根……! ──総員、鎮守府はもう気にするな!! 味方への誤射をしないようにするだけで構わん! レ級へ集中砲火せよ!! 被弾した者は必ず下がれ!! そして絶対に奴へ近付くな!!」
51 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/12(月) 06:36:04.42 ID:yvhBltlso
レ級「…………」ダンッ
提督「!!」
金剛「な……! こっちへ……!?」
長門「撃てぇええええ!!! 提督たちへ近付けさせるなぁ!!」ドォンッ
レ級「カハッ……! ち……!」チャコンッ
比叡「なっ! くっ……!」
瑞鶴「!!」サッ
バァンッ!
比叡「!? 瑞鶴さん!?」
瑞鶴「いったた……。良し……被弾は私だけ、ね。──ケホッ」
比叡「な……何やっているんですか!? あんな滅茶苦茶な庇い方なん──」
瑞鶴「そんな事は良いから撃ちなさい!! なんの為に庇ったと思っているのよ!!」
比叡「────!! は、はい!」ドンッ
ガァンッ!!
レ級「ガッ……! だが……少し、遅かったな」
飛龍「…………! ダメです……! これ以上は三人を巻き込んでしまいます!」ギリッ
加賀(ここまで来ると、流石に私では……)
レ級「────ッ!」グン
提督(ぐっ……! その柱は流石に……!!)
利根「あああぁぁァアぁぁアああアアアッッ──!!!」バッ
提督「な──!? やめろ利根!!」
ゴシャッ──!!
金剛「ひっ……!」
52 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/12(月) 06:37:24.19 ID:yvhBltlso
レ級「…………これを止めるか」
利根「ハハ……ハ……。お主、も……そんな身体で、よく、動くのう……?」ググッ
響「っ……!」ダッ
暁「響!?」
レ級「!!」グッ
利根「させぬ!!」グッ
レ級(! ……逃げられん)
響「…………っ!」ザッ
レ級「──……そう、か」
響「────」ガッ
利根「なるほど……口、の中か」
レ級(これが、人間と艦娘、そしてアイツらの)
響「──堕ちろ」
レ級(可能性か──)
ダァンッ──……!
レ級「────……………………」
ドチャッ……
53 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/12(月) 06:38:59.95 ID:yvhBltlso
雷「…………!! う、ぇ……!」
提督「……見ない方が良い。いや、見るな」
バサッ……
提督(…………流石にほぼ全員が顔を逸らしたな)スッ
提督「……動ける者は、動けない者を運んで入渠と補給を済ませておけ。……今度こそ終わった」
提督(……やはり、動ける者は少ないか。いや、吐き気を堪えるだけで精一杯なのも無理はない。いくら艦娘といえど、こんなモノへの耐性などあるはずがないのだから……)
響「…………」ペタン
利根「提督よ……服、汚れてしまうぞ」フラッ
提督「野晒しにするよりはマシだ。……金剛、動けるか」
金剛「なんと、か……」
提督「無理は承知している。……すまないが、利根をドッグへ運んでくれるか。最優先で利根を修復させてやってくれ。救護妖精も呼ぶ。異常が無いか確認して貰う」
金剛「ハイ。……利根、肩を貸して下サイ」スッ
利根「すまぬの……。はー……死ぬかと思うたぞ……」ヨロッ
提督「…………」ポン
利根「?」
提督「…………」ワシャワシャ
利根「……髪がボサボサになってしまうではないか」
提督「……待っているぞ」
利根「うむ……待っておれ。すぐに向かうからの」
フラ……フラ……
提督「……響」
響「……………………」
提督「響?」
54 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/12(月) 06:39:44.24 ID:yvhBltlso
響「……司令官」
提督「どうした」
響「……落ち着かせて。いつもみたいに、足の間に」
提督「……ああ」スッ
響「…………」フラ
提督(……いつもと言いつつ、向かい合わせなんだな)ソッ
響「……司令官の匂いだ」ギュゥ
提督「…………」ナデナデ
救護妖精「──派手にやったね」
提督「! 近くに居たのか」
救護妖精「あんだけドンパチしてりゃねぇ。……あー、こりゃ確かに見ない方が良いね。何人も吐く訳だよ」ピラッ
提督「そうだな。心の傷になりかねん」ナデナデ
響「…………」スリ
救護妖精「で、あたしはどっちをすれば良いんだい? 死体処理? 傷の手当て?」
提督「後者だ。ドッグで利根を最優先に、その次は入渠前の者を診てくれ」
救護妖精「あいよ」
救護妖精(……流石に内部から撃たれたら人間と同じようになるみたいだね。理論上そうなるのは知ってたけど、実物を見るのは初めてだよ)
救護妖精(──まあ、もう私には関係の無い事だね)スッ
ヲ級「うわ……」トコトコ
空母棲姫「……終わりましたね」スタスタ
提督「ああ。あの時、お前が機転を利かしてくれて助かった。ありがとう」
空母棲姫「上手くいって良かったです」
提督「懐かしいか?」
空母棲姫「? 何がでしょうか」
提督「弓を──いや、加賀の弓を握るのが」
55 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/12(月) 06:40:11.54 ID:yvhBltlso
空母棲姫「……気付いていたのね」
提督「あまりにも似ているからな。加賀もそう思っているだろう」
空母棲姫「まあ、純粋という訳ではありませんが。……私も、この子のように混ざってはいます」
ヲ級「?」
提督「混ざる、か……。なるほどな」
空母棲姫「そんな話よりも、私も何か手伝いたいわ」
提督「そうか。ならば、ヲ級と一緒にドッグへ行って応急処置をしてやっていってくれ」
ヲ級「はーい!」
空母棲姫「……まだ早いのではなくて?」
提督「誰の艦娘たちだと思っている?」
空母棲姫「はぁ……。それもそうでした……。問題が無さそうで怖いです」
提督「良い事だ」
空母棲姫「まったく……」
ヲ級「姫、今日は、よく、笑うね」
空母棲姫「……後で頬を抓るわよ」
ヲ級「可愛いのに……」
空母棲姫「…………」
提督「変わったな」
空母棲姫「……そうね。本当、色々と変わったわ」
空母棲姫(誰かさんのおかげで、ね)
……………………
…………
……
56 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/12(月) 06:42:46.64 ID:yvhBltlso
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。
途中で書いたデータが三回吹き飛んだ。ブルースクリーン怖い。PS3コントローラのデバイス怖い。
ちなみに、外出先で書いた仕事のデータも一回吹き飛んだ。初代ノートPCさんももう限界かな……。
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/12(月) 07:05:00.40 ID:u04WUcNG0
乙です
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/12(月) 09:01:09.09 ID:vxtZGzAC0
おつ、おめえさんが待てずに同人誌買ってしまった……
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/12(月) 09:29:25.85 ID:P4oNw5S/0
相変わらず救護妖精のラスボス感がハンパねぇ
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/12(月) 11:42:11.75 ID:AdVc3LNYo
乙です
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/12(月) 11:44:32.24 ID:5LIrSiEjo
おつ
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/13(火) 00:00:03.54 ID:wSDL2MgI0
乙乙
ここの主はまずエタらないからホント安心して読めるよ…
次も楽しみにしてるで
63 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/22(木) 02:15:55.64 ID:pcOuKf9wo
響「──どうしても?」
提督「すまん。後で迎えに行くから、今は皆の所へ行ってくれないか」
響「……約束だよ」
提督「約束だ」
響「分かった。……なるべく早くね」タタッ
提督「ああ」
救護妖精(あー……こりゃ、あの惨状を間近で見てトラウマ背負っちゃったかねぇ……)
提督「さて、こんな真夜中に二人で話とは珍しいな。どうした」
救護妖精「皆のチェックの報告だよ。誰もが聞ける場所で話す事じゃないでしょ?」
提督「…………そうだな。報告を頼む」
救護妖精(察しちゃったかね、これは……)
救護妖精「んじゃ、まず一件目。金剛と瑞鶴は深い傷だったから、少しの間は肉体的に負担の掛かる事はさせてあげないようにしてあげてね。レ級は流石の火力というかなんというか。ありゃ本当に脅威だよ」
提督「なるほど、分かった。二人には鎮守府復旧の間、裏方をお願いして貰おう」
救護妖精「ん。そんで二件目。入渠を終わらせた子は全員、健康だよ。疲労とトラウマは除くけどね」
提督「……響のメンタルケアは私にしか出来そうにないな」
救護妖精「だね。他の子はあたしと提督が時間を掛けてゆっくりとすれば良いけど、知っての通りあの子は心に少し根強く傷を負ってる。響が一番落ち着く事をすると良いさね。あと、しばらくの間は戦いから遠ざけておいてあげてね」
提督「ああ、そうしよう。──では、本題に入ろうか」
救護妖精「……………………」
提督「…………」
救護妖精「……単刀直入に言うと、身体の何もかもがおかしくなってた。艤装も、骨も、筋肉も、神経も、内臓も……心の方もね。治そうと……いや、直そうとするくらいならば新しく作り直した方が良いくらいに」
提督「────────」
救護妖精「一応だけど本人には言ってないよ。とりあえず絶対安静だって指示を出してる」
提督「……あの鉄筋コンクリートを受け止めたのがマズかったか」
救護妖精「原因の一つがそれだね。骨の状態を見てみると、原因は受け止めた事とその後の無理な力を入れた事の二つ。骨が砕けたくらいだったらまだマシだよ。その後で大きな負担の掛かる力の使い方をしたから余計に酷くなった。よく言われている事だけど、バイクで転んで鎖骨を折っちゃった時、バイクを起こした事で入院が三ヶ月伸びたっていうのと同じさ」
64 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/22(木) 02:16:33.97 ID:pcOuKf9wo
提督「治そうとしたらどれくらいの時間が掛かるか分かるか?」
救護妖精「最低で一年。いくら艦娘でも、人間だったら文句無しで死んでるくらいの重体なんだよ。今のあの子は満身創痍の状態。……正直さ、なんで生きてるのかよく分からないんだよね」
提督「……そうか」
救護妖精「執念か何かなのかねぇ……。身体に特別なにかある訳でもないようだし、それくらいしか思い付かないよ。まあ、生きている以上は良い方に向かうだろうね」
救護妖精(身体の内部からくる痛みの数々を耐えられたら、だけど……)
提督「……後遺症は出てくるのか?」
救護妖精「出ない方がおかしいと思うよ。もう艦娘として戦って貰うのは諦めた方が良いかもね」
提督「……………………」
救護妖精「……利根が荒れそうだったら、しっかりと受け止めてあげなよ?」
提督「いや、それは無い」
救護妖精「ん?」
提督「あいつならば……そうだな、まずよく分かっていない顔をする。そんな訳があるのか、とな。その後、時間が経ってからソレを感じて落ち込むだろう」
救護妖精(……ふぅん。確かに言われてみればそうなりそうだね)
救護妖精「ま、利根のケアも提督に任せるよ」
提督「ああ。──他に話してくれる事はあるか?」
救護妖精「いや、今ので全部だよ」
提督「そうか。ならば聞きたい。利根はもう寝てしまったか?」
救護妖精「ん。鎮静剤を打ったら寝たよ」
提督「確か金剛と瑞鶴も救護室で寝ているはずだが、ベッドは空いているか?」
救護妖精「うん? ……ああ、響辺りでも寝かせるのかね。空いてるよ」
提督「助かる。──では、後ほど救護室に向かう」
救護妖精「あいよ」
…………………………………………。
65 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/22(木) 02:17:01.47 ID:pcOuKf9wo
提督(……さて、第六駆逐隊たちはここの部屋へ割り振ったはずだ。……他の子たちは、もう寝てしまっただろうか)スッ
コツッコツッ──
ガチャッ──
提督(む、早い)
響「!」ギュゥ
提督「っとと。待たせたな」
響「ん……」スリ
提督「夜遅くにすまない。……しかし、全員起きていたんだな」
暁・雷・電「…………」コクコク
提督(三人がしがみ付き合っているのを見るに、ああやって安心しようとしているのだろうか)
川内「まあ……あんなのを見た後じゃ中々ね……」グッタリ
神通「姉さん、提督の前ですよ」
川内「ごめん提督……今夜だけはこのままで居させて……」
提督「構わん。楽にしておけ」
川内「ありがと……」
那珂「川内ちゃんは、ああいうのがダメだからねー……」サスサス
川内「むしろ普通にしている二人がおかしいと思うんだけど……。背中、ありがと……」
神通「そうでもありませんよ。私も少し、気分が良くありません……」
那珂「那珂ちゃんは川内ちゃんと暁ちゃん達のこの状態を見たら、なんかねー」サスサス
川内「うぅ……姉の威厳が……」
提督「どうしても抱え切れなくなったら、いつでも私の所へ来い。頭くらいならば撫でてやれる」
川内「ごめん……今お願い……」
提督「そうか」スタスタ
響「…………」トコトコ
66 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/22(木) 02:17:48.47 ID:pcOuKf9wo
提督「しかし、思ったよりも繊細なんだな」ナデナデ
川内「これが普通だってば……。第六駆逐隊の四人も、他の子達もそうじゃん……」
響「…………」ギュゥ
川内「……あー。ねえ提督、抱き付いて良い……?」ウトウト
神通「あら……」
那珂(わー、大胆……)
提督「いきなりどうした……」ナデナデ
川内「んー……第六駆逐隊の子達みたいにー、人肌を感じたら落ち着くのかなーって……」ウトウト
提督「……………………」
提督「……撫でるだけで我慢してくれ」ナデナデ
川内「えー! なんでー!!」ガバッ
那珂「川内ちゃん元気じゃん!?」
川内「……あれ?」キョトン
神通「あ、あはは……」
提督「…………」
川内「……んー…………でも、気分があんまり良くない……なぁ。割とマシになったけどさ」
響「川内さんも私の気持ちが分かるみたいだね」
川内「いやー、たぶん響ちゃんまではいってないとは思うけど……。──あ、そうだ! 今日は皆で一緒に寝ない? こう、一つの布団で寄ってさぁ!」
暁・雷・電「…………!」コクコク
川内「よっし! じゃあ床に布団引こう布団! しばらくはこのままで良いかもしれないね!」
提督(……人肌は落ち着かせる、か。響も、川内のようにいつもの調子に戻ってくれると嬉しいのだが)
提督「では、私たちはそろそろ向かう。何かあったら救護室へ来てくれ」
神通「はい。響ちゃんをよろしくお願いします」
那珂「元気になってねー?」
暁「……響」
響「ん」
暁「…………響はよくやってくれたわ。響が居なかったら、どうなってたか分からない……。だから、えっと……司令官を、皆を守ってくれて、ありがとう」
響「……うん。そう言ってくれると嬉しいよ。大丈夫。不死鳥は今、休んでいるだけだから」ギュゥ
響「少しの間だけ……。だがら、すぐに戻ってくるよ」
暁「分かったわ。……私達も、響には負けないから」
響「うん、勝負だよ」
提督「……朝も近付いている。集合は昼からだが、寝過ごさないようにしておくように」
神通「はい、分かりました。提督、響ちゃん、おやすみなさいませ」
…………………………………………。
67 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/22(木) 02:19:43.10 ID:pcOuKf9wo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。
登っていく階段も残りあと僅か。さて、どんな結末が待っているか。
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/22(木) 02:48:43.49 ID:JMASsymS0
相変わらずのクオリティ
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/22(木) 03:08:24.03 ID:SguiU7wJo
おつ
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/22(木) 04:09:54.51 ID:udw1vZCVo
甘える響が可愛過ぎて鼻血が…
乙です
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/22(木) 05:57:41.64 ID:xuxYIy1c0
乙
13段じゃないことをひたすら祈る
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/10/22(木) 06:47:05.50 ID:wkYvGOOYo
おつ
ここまでやったらラスボスはやっぱ天使なんかね
73 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/29(木) 21:54:29.49 ID:cSuTfeTBo
響「ヤダ」
金剛・瑞鶴「……………………」
救護妖精(あー……言うと思ったよ)
提督「なぜだ……」
響「司令官も一緒に寝てくれないとヤダ」
提督「しかしだな……」
響「…………」ヂー
提督(これは困った……)
瑞鶴「……まあ、分からないでもないけどさ」
金剛「分かるのデスか」
瑞鶴「なんか落ち着くしね。お父さんみたいで」
金剛「では、響にとってはダッドよりもダディという感覚なのでショウかね?」
瑞鶴「ごめん金剛さん、その例え分かんない」
金剛「んー……日本語で言うならば『父さん』と『パパ』の違いみたいなものデス」
瑞鶴「あー、なるほど。なんとなく分かったわ。父親に甘えるみたいなものなのね」
響「むしろ、どうしてダメなんだい?」
提督「風紀の問題が一番だ。あの島ならばともかく、ここは大勢の目がある鎮守府だ。風紀の乱れは指揮の乱れにも繋がりかねん。なんでもかんでも規制するという訳ではないが、自由過ぎるのも問題があるだろう?」
響「…………」
提督「そう落ち込んでくれるな。寝るまでは膝の上でも脚の間でも構わん。それで手を打ってくれないか」
74 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2015/10/29(木) 21:55:03.32 ID:cSuTfeTBo
響「……膝の上が良い」
提督「分かった」ギシッ
響「ん、しょ……」チョコン
提督「…………」
金剛・瑞鶴(……向かい合って?)
響「……座りにくい」
提督「それはそうだ。ソファに背もたれがあるのは当然だろう? 私と同じ向きに座れば楽だぞ」
響「じゃあ、後ろから抱いてくれる?」モゾ
提督「どうしてそうなる……暁たちから何か変な知識でも貰ったのか?」
響「違うよ。ただ単純に、司令官の体温を感じたいんだ」
提督「……そうか」
響「うん。そうだよ。司令官は柔らかい温かさがある。抱き締められると、凄く落ち着くんだ。……なんて言えば良いのかな。守ってくれてる? そんな感じだよ」
提督「……………………」
救護妖精「まあ、それくらいなら良いんじゃないの? 治療と思いなって」
金剛・瑞鶴「?」
瑞鶴(なんだろ。何か違和感が……)
金剛(『それくらいなら』って、どういう意味が含まれているのデスかね……?)
提督「…………」チラ
金剛「?」
提督「…………」フイッ
金剛「…………?」
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