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利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」 二隻目
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511 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/26(金) 07:31:02.80 ID:J8rttQUk0
足をぐりゅぐりゅすりゅ?
512 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/26(金) 07:56:32.60 ID:FeARStT8O
あとはずいずいが気がついてくれれば役者が揃う。
513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/07(水) 22:27:09.49 ID:f3mDDeDI0
>>511
こえーよw
514 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/08(木) 10:05:32.49 ID:5k9vU8eHo
金剛「ハッ──ハッ──ハッ──」タタタ
瑞鶴「あ、金剛さんおかえ……?」
タタタタタ……
瑞鶴「……あんなに急いで、何かあったのかしら。なんだか必死な表情だったし」
瑞鶴「向かった方角は……………………ん……?」
瑞鶴(あっちって確か……下田がある方だったかしら。……偶然? それとも……?)
瑞鶴(……こっそりついていってみよ。何も無かったら良いんだけど……)タタッ
…………………………………………。
515 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/08(木) 10:06:03.33 ID:5k9vU8eHo
瑞鳳「あ……ぁ……っ」ビクッビクンッ
レ級「うぅーん、楽しかったぁ」
下田提督「良い顔だったぞ、瑞鳳。やっぱりお前は最高だ」ニヤァ
瑞鳳「あは……はは……」ビクッ
提督(……………………)
レ級「──あ。そういや私達ってこいつの鎮守府に向かってたんだっけ」
下田提督「そうだったな。こいつらの表情が面白くてついつい時間を掛けてしまった」
提督(…………胸糞が悪い……馬鹿げている……。そもそも、なぜ私は……)
下田提督「……ん?」
提督(心のどこかで、この下衆を羨ましく……)
下田提督「ふぅーん……? なんだ。貴様も俺と同類だったのか?」
提督「悲しい事に、人類という点では同類だろうな」
下田提督「そんな事を言ってるんじゃあないんだよ。お前さぁ? 死に掛けているこいつに、自分がどんな目で見ていたと思ってんだぁ?」
提督「さあな。鏡でもあったのならば分かっただろう」
下田提督「自覚しているくせになぁ。──お前、一瞬だけ笑っていたぞ。このまま放置すれば死ぬこいつを」
提督「そうか。興味が無いな」
下田提督「まあ、後で同じ事をさせてやるさ。そうすれば箍も外れるってもんだろ?」
提督「とことん救えない奴だよ、お前は」
下田提督「そいつはどうも。少なくとも、仮面を被り続けているお前よりかは人生に悔い無く生きているつもりだよ」
提督「……………………」
レ級「あーあー。えっとぉ! そろそろ出発して良いかな? いい加減、動かないとヤバイかもしんないからさ」
516 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/08(木) 10:06:31.08 ID:5k9vU8eHo
下田提督「ヤバイ? 何かあったのか?」
レ級「この人間が帰って来ないという理由で捜索でもされたら面倒だ。こんな場所だといつ奇襲を受けるか分からないからさぁ」
下田提督「なるほどな。ならば行くぞ」
瑞鳳「…………」
下田提督「おい瑞鳳、さっさと……っと、そうだった。お前は動けないんだったな。──レ級、修復材は持ってきているか?」
レ級「そりゃ勿論! なんとなくこうなるのは予想していたしねぇ」スッ
バシャァッ!
瑞鳳「っ……!!」
下田提督「これで動けるだろ。行くぞ。絶対にそいつを放すなよ」
瑞鳳「はい……」ギュ
下田提督「ほら、お前も立て」
提督「…………」スッ
レ級「言っとくけど、妙な真似をしたら吹き飛ばすから注意しようねぇ。──吹き飛ばすのはそこの艦娘だけど」ジャキッ
提督(ちっ……。そういう部分も調査済みか……?)
下田提督「さてと……これで準備は整った。後はお前とその艦娘、そしてお前の深海棲艦を玩具にするだけか」
提督「やってみろ。その時は亡霊となってでも呪い殺してやる」
下田提督「言ってろ。俺は今まで幽霊だのなんだの見た事無いんだ。──なあレ級。やっぱりまずは深海棲艦からぶっ殺すのが先で良いよな?」
レ級「そうしてくれるとありがたいねぇ。いつ逃げるか分かんないし、能力的にも艦娘以上だから奇襲なんてされたくないしね」
下田提督「ならばそうしよう。くくく……楽しくなってき──」
金剛「──提督!?」ザッ
レ級「ほう」ジャキッ
金剛「ッ!!」ピタッ
517 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/08(木) 10:06:58.02 ID:5k9vU8eHo
レ級「賢い艦娘だねぇ。この状況をもう理解しちゃうなんてさ。お姉さん嬉しくて感動しちゃいそうだよ」
金剛「…………」チラ
下田提督「……全く。こんな所で邪魔が入るとはな。おい、お前は何も喋るなよ」
提督(そういう所はしっかりとするか。……さて、どうするべきか)
金剛『…………テートク……本当に……』
金剛「……………………そうですか。貴方が下田の提督ですね」
下田提督「へぇ。俺の事を知ってるんだ? ……ま、それはどうでも良いか。お前に命令があるんだ」
金剛「……命令?」
下田提督「ああそうだ。とりあえず、こいつの命が惜しければ今から言う命令に従え。──鎮守府へ戻って、匿っている深海棲艦を連れてこい。あと……そうだな、駆逐艦も三人くらいな」
金剛「命令に背けばどうなりますか」
下田提督「その時はお前の大事な提督の首がバラグチャになるだけだ」
レ級「ま、そう言う事。安っぽい言い方だけど、あの深海棲艦は消えて貰わなきゃいけない……。こちらの情報を流されると面倒だしね。それに『裏切り者には死を』っていうのが世の常だし! ギャハハハハッ!!」
金剛「……選択肢は無いという訳ですか」
下田提督「ふぅーん。理解が早いな、お前は。俺の金剛もそれくらいだったら楽だったんだろうなぁ」
金剛『っ……』
レ級「……………………」
下田提督「んじゃ、早速行って……なんだレ級? 余所見をするな」
レ級「……そこの木の陰に隠れている君ぃ! 撃たれたくなかったら大人しく出てこようっかぁ!」
下田提督「んん?」
瑞鶴(……なんで分かったのよ、こいつ。……ううん、それよりも……この状況ってどういう事なの?)スッ
金剛「瑞鶴……? どうしてここに?」
瑞鶴「金剛さんが走っていってるのを見て、なんとなく……」
518 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/08(木) 10:07:25.40 ID:5k9vU8eHo
レ級「…………」ジャキン
下田提督「……おい、今度はどっちに砲口を向けているんだ」
レ級「……どうやら時間を掛け過ぎたようだ。こちらからも艦娘らしき何かが来ている」
下田提督「ちっ……面倒な……」
レ級「提督、予定変更を提案する。一人を除いて、先に艦娘を処理するべきだ。人質が居るとはいえ……この数の差は少々、分が悪い」
下田提督「そうするべきだな。──隠れている艦娘! 出てこい!」
提督「!」
利根「──我輩は隠れてなぞおらんのだがのう」スッ
響「これは……」スッ
レ級「へぇ……驚いたよ。生きてたんだ」
利根「あの時は世話のなったのう、レ級よ」
下田提督「なんだ、知り合いか?」
レ級「まあ、ちょーっとね。やっぱり頭を潰しておくべきだったかねぇ」
利根「では、あの時の借りを返そうかのう」ジャキン
下田提督「おいおい、これが見えないのか? 下手な事をしてみろ。お前らの提督が無残な姿になるぞ」
利根「ふむ。それがどうしたのじゃ?」
下田提督「何……?」
レ級「ほう……」
瑞鶴「利根さん……?」
利根「この状況で提督が下す命令くらい分かるぞ。提督ごとお主らを亡き者にせよって所じゃろう」
下田提督「艦娘が人間を殺すだと? バカバカしい!」
利根「お主のどこが人間なのじゃ。艦娘を攻撃し、沈めようとし、鎮守府さえも標的とする……やっておる事は深海棲艦と変わらぬではないか。我輩たちの提督は、そんな輩を放っておくような者ではないぞ」
響「……なるほどね。確かに利根さんの言う通りだ」チャキッ
金剛「……ええ。テートクならば、そう言うでショウね」ジャキッ
下田提督「……………………」
レ級(さあ……面白い事になってきた。提督、この状況をどうする──?)
…………………………………………。
519 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/08(木) 10:09:15.96 ID:5k9vU8eHo
今回はここまでです。また一週間後くらいを目安に来ますね。
さあ、ここからどうなるやら。
520 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 10:48:46.81 ID:kG2sOU1QO
乙でした
初めから読み返そうかな…
521 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 13:34:32.36 ID:SzeRmxgPo
乙
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 19:20:26.39 ID:xSa9TYOZO
まぁ島にいた頃は利根と似たような遊びしてたもんな
ただ根本の部分では違うと信じたい
523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/08(木) 21:26:42.00 ID:5vVIFBll0
活き造りのくだりか
524 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/24(土) 03:18:16.67 ID:17Xnidpgo
続きを頼む
525 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/26(月) 23:28:48.29 ID:ZyK9hbAvo
空母棲姫「……ハァ」
空母棲姫(私は……これからどうやって役に立てば良いのかしら……)チラ
空母棲姫「……この艦載機だけが、私の取り得だったのに」
空母棲姫(意識の連結が切れる寸前に反転させたから一機だけ回収する事が出来たけれど……私はもう、この子を扱う事が出来ないのよね……)
空母棲姫「どうして……いきなり……」
ヲ級「姫、元気、出して?」テテテ
空母棲姫「! ……手当てはどうしたのかしら?」
ヲ級「あと、一人だけ、だよ」
空母棲姫「なら、その子の手当てをしてあげなさい。私に構っている暇なんて無いでしょう?」
ヲ級「今から、手当て!」チョコン
空母棲姫「…………どういう事なの?」
ヲ級「姫、辛そう。だから、お悩み、相談?」
空母棲姫「────────」
ヲ級「……ダメ?」
空母棲姫「……そうね。だったら、少しだけ聞いて貰えるかしら」
ヲ級「うん!」
空母棲姫「…………」
ヲ級「…………」ジー
空母棲姫「……私は、この鎮守府に居させて貰えるだけの役割を果たそうと考えていたの。──いえ、今でもそう思っているわ」
ヲ級「…………」コクコク
空母棲姫「本来ならば、貴女も私も沈められていておかしくないでしょうね。艦娘からも深海棲艦からも敵という立ち位置の私達を、あの人は救ってくれた……その恩は、何かの役に立ち続けるという事で返せる、はずだった」
ヲ級「…………」
526 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/26(月) 23:29:14.17 ID:ZyK9hbAvo
空母棲姫「……私は、貴女みたいに愛嬌を振り撒けないから他の皆とも接点が少なくて、貴女ほどに料理も出来ない。私が出来る事と言えば、自慢だった艦載機運用能力を使った広範囲の索敵と料理の手伝いだけ……。その艦載機も使えなくなった今、やれる事が少ないの」
空母棲姫「料理の手伝いと掃除……あとは精々、小間使いみたいな事。私が居なくても、問題の無い程度の事だけ……。だから、私にとって艦載機は重要だったわ。少なくとも偵察としての役割は果たせていたもの」
空母棲姫「それ以外では何をしようにも、あの人の役に立ちそうな事はほとんど無くて……出来る事をしようにも『深海棲艦』である私は邪魔にしかならない」
空母棲姫「艦娘で在りたかった……。そうならば、私は皆と同じく役に立てたでしょうに……。深海棲艦だから……本来は敵だから、口出しも、行動も許されてはいけない部分があるわ。その部分が、私の出来る事だというのだから現実は非情ね……」
空母棲姫「だから今回の迎撃作戦は、本当に嬉しかったの。もう届かない水底に沈んでしまった、二度と訪れるはずのない『艦娘としての悦び』を、あの人は与えてくれた。だというのに……」
ヲ級「…………」
空母棲姫「……ごめんなさいね。少し吐き出し過ぎてしまったわ」
ヲ級「姫、大丈夫、だよ?」
空母棲姫「貴女は優しいのね」ナデ
ヲ級「ホントの、コト! だって、提督は、姫の事すっごく、頼りにしてる!」
空母棲姫「…………」
ヲ級「じゃないと、今回、一番大事な偵察、姫に頼まないよ?」
空母棲姫「……………………」
ヲ級「それに、提督は何か、考えてくれてるよ、きっと。姫が落ち込まないように、ね?」
空母棲姫「……そうね。あの人も優しいから、きっと何か考えてくれるでしょうね」
ヲ級「それに、姫からも何か、聞こ? 自分だけじゃ、無理だったら、人に聞くと良いって、間宮さんも言ってた!」
空母棲姫「……ええ。本当にそうね。どうして私はそう考えなかったのかしら」
ヲ級「じゃあ、早速、聞きに行こ!」スクッ
空母棲姫(……救護妖精へ聞きに行くのは後日にしておきましょうか)スッ
ヲ級「提督、確か、ずいほー? って人、迎えに、行ったよね?」
空母棲姫「ええ、そのはずよ。……それはどこで聞いたの?」
ヲ級「大淀! 提督に、会いに行ったら、そう言ってた!」
空母棲姫「なるほどね。……まだ戻っていないのかしら」
ヲ級「たぶん? あ。じゃあ、迎えに、行こ!」
空母棲姫「そうね。そうしましょう」
空母棲姫(……提督は、私にどんな言葉をくれるのでしょうか。少しだけ怖くて、少し……そう、少しだけ……楽しみです)
…………………………………………。
527 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/26(月) 23:29:39.42 ID:ZyK9hbAvo
下田提督「はー……面倒くせぇ……。レ級、勝算はどのくらいだ?」
レ級「四割といった所かな。こりゃ参るねぇ」
下田提督「ちっ……まさかこっちが多勢に無勢にされるとは……」
利根「さて……提督にこのような事をしたのじゃ。ただでは済まさぬぞ」
下田提督「あーくっそ……分かった分かった。ここで殺される訳にはいかねえんだ。どうすりゃ良い」
利根「命は惜しいか。では、まずは提督を解放する事じゃな」
下田提督「馬鹿かてめーは。そんな事したらお前達は殺してくるだろうが。そっちもこっちも死なねぇようにする妥協点を今は話してんだよ」
利根「……どう思う、金剛よ」
金剛「…………話を聞くだけの価値はあります。提督を失わずに事を終えられるのならば、その道を選びましょう」
利根「了解じゃ。──そっちの妥協できる点はどこまでじゃ」
下田提督「最低でも俺達の身の安全を保障する事だ。こんな所で死んで堪るかよ」
レ級(……俺達? どうもおかしいな……)
金剛「それは、その深海棲艦も含めてですか?」
下田提督「当然だ。戦力が居なかったら対等に話し合いどころか拮抗状態にすらならねえ。お前達だって同じだろうが。そこの金剛の武装解除をしろって言われて出来る訳ねえだろ」
レ級(ふーん……なるほどねぇ?)
金剛「……ではまず、提督に発言の許可を。私達だけ指揮官無しで交渉するというのは些か対等ではありませんよね?」
下田提督「ちっ。分かったよ。だが、攻撃命令をしようものならば仲良くあの世への片道切符が切られるから、その点だけは覚えておけよ」
金剛「提督、構いませんか?」チラ
利根「…………」チラ
レ級(来た──!!)ニヤッ
ドォンッ──!!
金剛「ッア──!?」
利根「な!? 金剛!!」
528 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/26(月) 23:30:22.32 ID:ZyK9hbAvo
レ級「戦闘中に余所見はイケナイねえ!! ほらもうイッパァツ!!」ドォン!
利根「ガ、ハッ──!!」
響「くっ……!!」タァンッ!
カァンッッ──!
レ級「うぅん? そんなちっこい砲で戦艦が落とせる訳……ないよねぇ!?」ドッ!
響「っぁ……!」
提督「…………!!」ギリィッ
下田提督「さぁて……残るはお前だけだ。まあ、なんも兵装が無いお前なぞ怖くは無いがな」
瑞鶴「こ、この……卑怯よ!! 妥協点を話すってアンタ言ったじゃないの!!」
下田提督「戦争に卑怯もクソもあるか馬鹿。勝てば官軍、負ければ賊軍。それに、こういうのは奇襲って言うんだよ、分かるか?」
瑞鶴「どこがよ! 卑怯者!! 卑怯者卑怯者!!!」
下田提督「なんとでも言え。俺にとっては褒め言葉だ。……そんな事より、よく分かったなレ級。やっぱりお前とは気が合うようだ」
レ級「ま、言葉の端々に違和感あったしねぇ。本当に自分の身だけを考えているなら私を売った方がよっぽど確実だし? そう考えたら、もう何を考えているのか分かるってもんでしょ!」
金剛「っ……!! く……っ!」ググッ
レ級「あらら。やっぱり戦艦は戦艦って所かな? そこの重巡と駆逐は一発で物言わなくなったってのにさぁ」
下田提督「ま、立とうとするのが限界みたいだから変わらんだろ」ガッ
金剛「カ……ハ……」ガクッ
下田提督「さて、と……じゃあそこの瑞鶴も仕留めてから行くとするか」
レ級「んー? この艦娘に呼びに行かせたら良いんじゃないの?」
下田提督「さっきの砲撃音で異変に気付かれたはずだ。こいつらみたいに自分達の提督を死なせてでも俺達を殺そうとしてきたら、今度こそ勝ち目なんて無えぞ」
レ級「ああ、それもそっかぁ。じゃあ、おねんねしていようねぇ!」ジャキッ
瑞鶴「え……?」
レ級「……あ?」チラ
529 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/26(月) 23:30:48.39 ID:ZyK9hbAvo
金剛「させま……せん……! 絶対に……行かせ……ません……っ!」グッ
レ級「……ほぅ。執念だけでまだ動くか」
金剛「私は、まだ……動けます……!」
金剛(シスター……ごめんなさい……。身体をこんなにしてしまって……)
提督「…………」
金剛『……いえ。身体の事は気にしないで下サイ。この身体は、シスターのモノとして扱って欲しいデス』
金剛(何を──……っ!)
下田提督「しつっけぇな……。レ級、頭でも吹き飛ばしておけ。そうすりゃ死ぬだろ」
レ級「あいよ。ま、這い寄って足を掴んだだけじゃ何も出来なかったって訳で……じゃあね!」ジャキッ
提督「させるか!!」ダッ
瑞鳳「ぁ……!」
ドッ!
レ級「おっとっとぉ!? まさか体当たりをしてくるとは思わなかったなぁ。おかげで狙いを外しちゃったよ」
下田提督「ちぃっ! おい瑞鳳!! 何の為のお前だ!! 次は絶対に自由にさせんじゃねえぞ!!!」
瑞鳳「っ……はい……」ガシッ
提督(ち……流石に縛られていてはこれが限界か……。おまけに、これではもうどうにも出来ん……)
提督「だが──」
下田提督「あん?」
ドォンッ!!
レ級「っ……!?」
提督「──無意味ではなかった。良くやったぞ利根!」
利根「……ふふ、戦闘中に余所見をするからじゃ。 どうじゃ、さっきお主がやった事をやり返される気分は?」
530 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/26(月) 23:31:15.30 ID:ZyK9hbAvo
レ級「……ク──アハハハハハハハァッッ!!! 最高だ貴様らぁ!! やっぱそうじゃなくちゃ面白くないよねぇ!!」
下田提督「こいつもまだ動けていたのか……!」
利根「我輩はただでは死なぬ! 例え機関が停止しても我輩は死ぬまで撃ち続けるぞ!!」ジャキッ
ドォンッ!!
レ級「っぅ……!! 大した艦娘だよ、お前は──」ジャコッ
ドッ──!!
利根「ガッ……」
ドサッ……
レ級「だが、この至近距離での二発目被弾……息はあろうと流石にもう動けまい」
利根「く、ぅ……!」
下田提督「…………あ? あの甲板胸、どこ行きやがった?」
レ級「応援を呼びに行ったのかもしれんな……どの道こいつらはもう動けないだろう。急ぐ事を提言する」
下田提督「ああ、そうするぞ。瑞鳳、そいつを引き摺ってでも連れて来い。俺達は先行する。重ねて言うが、絶対にそいつを逃がすんじゃねえぞ」
瑞鳳「はい……提督……」
レ級「じゃあ出発すると──」ピクッ
空母棲姫「──何をしている」
下田提督「あ? ……ほー?」ニヤ
ヲ級「提督! みんな!」
提督「……なぜ、ここに」
空母棲姫「迎えに来ました。……それで、貴様たちは一体、私達の提督に何をしている?」
ピリッ──
下田提督(なんだこいつ……! 殺意が肌で感じるぞ……!!)ジリッ
レ級「…………会いたかったよぉ二人ともぉ!! わざわざ殺されに来てくれるなんて思わなかったよぉ、ギャハハハハッ!!!」
空母棲姫「……言葉は無意味か。ナラバ……死ネ」スッ
531 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/09/26(月) 23:34:21.17 ID:ZyK9hbAvo
今回はここまでです。また一週間後くらいを目安に来て下さいませ。悪足掻きも無駄じゃないと証明してくれる提督。
途中まで書いた内容が気に食わなくて書き直した事で相当遅くなってごめんよ。あと、クソほど中途半端な所で区切っちゃってますが、次の投下は
>>530
の場面から続くという形になります。
532 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/26(月) 23:34:48.08 ID:qVOnA7O1o
乙ヤーデ
533 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/09/26(月) 23:41:05.76 ID:s7ElG/LFo
乙です
534 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/27(火) 09:33:48.05 ID:XwXqRYwdO
空母悽姫怒りの覚醒くるー?
535 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/08(土) 00:02:14.86 ID:bzbRZr5uo
レ級「たかが一機の艦載機で何が出来るっていうのかなぁ!?」ジャキンッ
ドォン!!
レ級「……へえ、避ける気も無いんだ。じゃあ、あの時と同じように痛めつけてから殺してあげるからねぇ!」
空母棲姫「──やはり、その程度か」
下田提督(おいおい……なんでその距離で食らって掠り傷程度なんだよ……! 相変わらずの化け物め!!)
ヒュッ──ゴォン!!
レ級「ガッ!?」
提督(爆撃だと……? どこからそんな兵装を……)
レ級「……なるほど。たかが一機と言ったが訂正しよう。貴様には一機すら脅威だ。──斉射!」
ドドッ──!!
空母棲姫「…………」
下田提督(斉射でやっと有効打か……? それでも眉一つ動かさないとは……)
空母棲姫「…………」スッ
レ級「!!」ザッ
空母棲姫「避けても無駄だ」
ゴォン!!
レ級「なッ……!?」
利根「はは……。本当に艦載機運用能力が狂っておるのう……。どうして、今のを当てられるのじゃ……」
レ級「……まったくもって化け物と言えよう。あの島では嬲っていたと思っていたが、実際はさほど効いていなかっただけという事か」カコン
ドォン──!!
空母棲姫「……そろそろか」スッ
レ級(こいつ、まさか……)ダッ
536 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/08(土) 00:02:44.44 ID:bzbRZr5uo
空母棲姫「逃がさん」
ゴォン!!
レ級「────ッ!? 主砲、機能停止だと……?」
下田提督「…………!!」
提督(……どこから爆弾を積み込んでいるのかは不明だが、分かった事がある。空母棲姫が兵装を持つ事に反対していたのは、こういう事か)
提督(防御も回避も意味が無いほどの接近戦とはいえ、たった一機の艦載機……それだけでレ級を上回る戦闘力、か……)
レ級(対空砲と副砲は──)ダダダダンッ!!
空母棲姫「…………」ガガガガンッ
レ級(──やはり無意味に近いか。艦載機も読めない動きと近さで砲塔の旋回すら間に合わん……)
ゴォン!!
レ級(ッ……機関にもダメージ……これでは海に出たとしても逃げる事は叶わないだろう)
レ級(この劣勢を覆す事は、不可能だ──)
ガォン──ゴォン──ゴォン──……………………
レ級「……見事だ」
空母棲姫「…………」
レ級「よもや、あの島の時と立場が逆転するとは……。何が貴様をそこまで突き動かす。提督という存在を欲するからか。それとも、ただの復讐か」
下田提督「何やってんだ……何やってんだレ級!!! 至近距離で戦艦が空母に負けてんじゃねえぞ!!」
レ級「黙れよ。茶番はもう終わりだ。貴様とは互いに利用し合うだけだった関係を忘れるな」
下田提督「…………ッ!」
レ級「……早く答えろ。こちらの時間はもう残り少ない」
空母棲姫「……単純な事だ。私は、あの方に救われた。ならば、私もあの方を救うのは当然だ」
レ級「ただそれだけか?」
空母棲姫「……心地良かったのもある。暗い海の底に沈み、怒りと復讐しか感じなかった私に……優しさを思い出させてくれた。それだけでなく艦娘としての悦びすら……与えてくれました。それが理由よ」
レ級「……そうか」
537 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/08(土) 00:03:13.74 ID:bzbRZr5uo
空母棲姫「…………」
レ級「やはり、我々や艦娘だけでは何も出来ないようだ。可能性という鍵を握るのは、いつも人間か……」
空母棲姫「…………」
レ級「これだから面白いんだ……人間って……ヤツ、は…………」カクン
空母棲姫「! ……死亡、確認しました。終わりましたね」
提督「いや、もう一つだけ残っている」チラ
下田提督「クソ……クソックソックソッ……」
空母棲姫「……そうですね。動けないようにしなければいけません。何か縛る物でもあれば良いのですが……」
提督「いや、まずは武装解除からだ。銃でも持っていたら面倒だ──」
下田提督「! クク……ククク……! そうだった……俺にはまだ、これがある!! こうなったら貴様も道連れだ横須賀の提督!!」ゴソッ
空母棲姫「!! ダメッ!!」ダッ
提督「──だから頼んだぞ。金剛、利根」
金剛「──イエス、テートク」ブンッ
利根「──了解じゃ」ブンッ
ガンッ──!!
下田提督「ガ……ッ……」
ドサッ……
金剛「……完全に気絶しまシタ。これでもう安心デス」
空母棲姫「……はあぁぁぁぁ…………」ペタン
提督「どうした、空母棲姫」
空母棲姫「…………身動きも取れなくて殺されそうになった貴方が、どうして一番落ち着いているのかしら、もう……。私は、最後の最後で守りきれなかったのかと……」
提督「金剛と利根の動きには気付いていたからな。後は気を逸らしてやってから殴り倒して貰うだけだったという訳だ」
空母棲姫「もし先に撃たれたらどうするつもりだったのですか……」
538 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/08(土) 00:04:08.57 ID:bzbRZr5uo
提督「そうはならんと信じていた。何せ、私の金剛と利根だぞ? 信じられない理由すら存在せんよ」
ヲ級「……皆、大丈夫?」テテテ
提督「私や金剛と利根、空母棲姫は怪我さえ治せば問題ないだろう。だが響が気を失ったままだから、介抱してやってくれないか?」
ヲ級「うん!」テテテテ
提督「……ほら、お前もそろそろ拘束を解いてくれ」
瑞鳳「…………」
金剛「テートク、ウェポンは全て取り上げましたシタ」
利根「こやつの上着でしっかりと腕を縛ってやったから、これでもう好きには出来ぬぞ」
提督「そうか。これで安全は確保だな」
瑞鳳「…………」
空母棲姫「無理矢理にでも引き剥がしましょうか」
瑞鳳「…………っ」
提督「いや、危害は与えないでやってくれ。最後まで交渉する」
空母棲姫「分かりました。では、私は鎮守府の皆を──ん、あれは……」
ザッ──
島風「提督! だいじょう……うん……?」
提督「島風? 艤装も付けて一体……いや、なるほど。瑞鶴が応援を呼んでくれたのか」
島風「うん、そうだけど……もう終わっちゃったんだ?」
提督「ああ。皆、よくやってくれたよ」
瑞鶴「はぁ……ああもう……島風ったら速過ぎよ……」
539 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/08(土) 00:04:42.81 ID:bzbRZr5uo
提督「瑞鶴か。応援、ありがとうな」
瑞鶴「……え? あれ……ん、大丈夫なの?」
提督「響以外はなんとでもなるだろう。今、ヲ級が介抱してくれている」
ヲ級「響、目、覚ましたよ!」
提督「! 響、大丈夫か?」
響「……うん、なんとか。……ごめんよ、司令官。あまり役に立てなかった」
提督「気にするな。駆逐艦の響があのレ級に対してなんとかしようとしてくれた気持ちだけでも私は嬉しいよ。守ろうとしてくれて、ありがとう」
響「……どうすれば挽回できるかな」
提督「気にし過ぎだ。……だが、そうだな……どうしてもと言うのならば、これから少しずつ戦果を挙げていってくれるか? 少しずつ、ゆっくりと」
響「うん、約束する」
提督「よろしい。──ヲ級、響に入渠と救護妖精の診察を頼む」
ヲ級「はーい!」ダキッ
天龍「──おーい!」
提督「どうやら皆が来たようだ。帰るとしよう。……手荒な事は絶対にさせんからな。立つぞ」スッ
瑞鳳「…………」スッ
利根「……なんだか父親にくっついて離れぬ娘に見えてきたぞ」
提督「馬鹿を言え。割と本当に抜け出せないんだぞ」
利根「なんと……」
金剛(……シスター。身体をお返しします。本当にありがとうございました。……………………シスター?)
空母棲姫「…………」チラ
レ級「…………」
空母棲姫(……最後に満足そうな顔をしていたのは、なぜなのでしょうか)
提督(さて……これから色々と忙しくなるな)
…………………………………………。
540 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/08(土) 00:07:27.57 ID:bzbRZr5uo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。
山場は越えました。後は終わりへの道を緩やかに歩くだけです。色々と問題が発生しておりますが、どうなるやら?
541 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/08(土) 01:56:10.00 ID:mLsssxtAO
おつです!
542 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/08(土) 02:34:32.91 ID:5fPPNjNKo
待ってた
乙です
543 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/08(土) 04:33:08.94 ID:tsbmBwdc0
乙
姫無双か
544 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/08(土) 10:30:36.83 ID:F75XUAFZ0
だが長門は吊られる
545 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/10/12(水) 02:55:40.46 ID:h6v4vVo10
まだやってんのこれ?
1年以上経っても1スレ終わらないならダラダラやってないでやめたら?
546 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2016/10/12(水) 17:07:58.48 ID:21A+55nNo
瑞鳳の逆さ吊りを期待
547 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/12(水) 23:56:18.83 ID:V/PFnXMv0
乙
ここから大所帯になりそうだなw
548 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 07:31:48.69 ID:kPRDNeU7O
やっぱ主任いい敵キャラだよなぁ…
549 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:45:31.73 ID:UicorJrKo
提督「──戦闘で疲れている所に呼び出してすまない。手を付けている問題と手付かずの問題を纏め、その処理についての会議を開く」
提督「手を付けている問題は、負傷した艦娘と破損した兵装と設備の修復。現状、負傷したままの艦娘は現在入渠している夕立と時雨、川内、神通の四名。兵装と設備は工廠の妖精達がどうにかしてくれるそうだ。レ級の処理は救護妖精に任せてある。こちらは多少時間が掛かるものはあれど、然程気にしなくても良いだろう」
提督「そして手付かずの問題。こっちが厄介なものばかりだ。一つは隣の部屋で未だ意識を失ったままの下田提督をどうするか。総司令部に報告すべきなのだろうが、その場合はこちらの鎮守府を調べられる可能性が非常に高い。そうなる前に空母棲姫とヲ級の二人をどこか見付からない場所へ匿う必要がある。ついでに、総司令部へはどう報告するかも考えものだ」
提督「二つ目は命令無視を長門への罰。これはいつでも出来るだろう。他のやるべき事が落ち着きしだい吊るすから覚悟しておけ」チラ
長門(……本当に吊るすのか)
飛龍(ご愁傷様です……)
提督「三つ目は空母棲姫とヲ級の艤装について。ヲ級はもはや戦闘にほぼ興味を無くし料理や家事に楽しみを抱いており、艤装は邪魔だから解体して欲しいと頼まれた」
ヲ級「意外と、場所、取るよ。アレ」ムー
提督「…………。そして空母棲姫だが、出来れば鎮守府周辺の哨戒をして欲しいのだが……」
空母棲姫「断固反対です。なぜかまた艦載機が扱えなくなりましたが、私は艤装がある限り爆撃装備などを艦載機に載せられる事が分かったはずよ。私に兵装を残しておくのは危険極まります」
加賀(……とても複雑な気分になります。私が深海棲艦になったら、こうなるのでしょうか……)ジー
提督「その話は後で広げよう。その事に関しても聞いておきたい事もある。そして四つ目だが……」チラ
瑞鳳「……………………」ジャラ
提督「……この子をどうするか、だ。なんとか説得をして互いを手枷で繋ぐ事である程度の距離を開かせる事は出来るようになったが、いつまでもこのままという訳にはいかん」ジャラ
瑞鳳「…………」
利根「何を聞いても答えぬしのう……。なぜか提督の質問にだけは首を振って答える事はあるが……」
提督(そして、もう一つの問題がある、が……)チラ
金剛「…………」コクン
提督(……それはここでは言えんな。妹の方の金剛の意識が途中から戻ってこなくなったらしいが、どうしたのだろうか。大事になっていなければ良いのだが……)
提督「まず、最優先事項は空母棲姫とヲ級をどこへ匿うかだ。あまり遠くではなく、そして居住性もある場所が良いのだが……現状、一番近くの小島へ隠れて貰うくらいしか思い付かん。だが、あの島は人が暮らす事を一切考えていない。完全に野宿と変わらん。他に良い場所を一緒に考えてくれ」
550 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:46:06.85 ID:UicorJrKo
利根「……うーむ」
加賀「……………………」
飛龍「ううん……」
金剛「…………」
ヲ級「えっと……うーん……?」
長門「……難しいな」
空母棲姫「あの小島で良いのではないでしょうか。暮らせないという程ではありませんし、木の実なども手に入ります。むしろ、すぐに行動すべき今では、そこへ行くべきでしょう」
提督「…………」
空母棲姫「一刻を争います。下田の提督を拘束している以上、すぐに上へ報告しなければならないのでしょう? ならば、提督の案を実行するのが最善手よ」
提督「むう……」
空母棲姫「……貴方は優し過ぎます。ですが、本当に私達を大切に思って下さるのでしたら、先程の案でいくべきです。時間が進めば進むほど事態は悪くなり、貴方の立場にすら影響を与えます。……そのような事、私達は望んでいません」
ヲ級「!」コクコクッ
提督「……仕方が無い、か。すまないが、少しの間だけ我慢していてくれるか?」
ヲ級「はーい!」
空母棲姫「了解したわ。それと、気にしなくても良いのよ?」
提督「……すまんな。では、早速だが出航の準備をしてくれ。ついでに空母棲姫の艤装も隠す目的で持って行こう」
空母棲姫「……なぜ私の艤装も。解体すれば良いでしょう?」
提督「お前の艤装は難解だそうだ。解体しようにも時間が掛かる。それならば隠してしまえば良いだろう?」
空母棲姫「海の底へ沈めるのはどうなのかしら」
提督「後々でどうなるか分からん。持っておくくらいならば良いだろう?」
空母棲姫「もう……頑固なんですから……。分かりました。今回は私が折れます。艤装と艦載機もあの島へ持って行きますね」スッ
提督「ああ。気を付けろよ」
551 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:47:19.90 ID:UicorJrKo
空母棲姫「貴方もね。そこの下田の提督は何をしでかすか分からないのだから」
提督「十二分に気を付けよう」
ヲ級「行って、きます!」ブンブン
ガチャ──パタン
提督「……さて、では次の問題を処理しよう。下田の提督の事をどう報告するか、だ」
長門「あの二人の事は伏せておいて、それ以外の事について全て報告すれば良いのではないか?」
金剛「深海棲艦が大量に押し寄せてきた事についてはどう説明するのデスか?」
飛龍「あ、そっか。私達は下田の提督とレ級が手を組んでいるって知っていたから深海棲艦と一緒に攻めてきたって分かるけど、今じゃその証拠も何も無いですよね」
利根「ううむ……バカ正直に深海棲艦を指揮したと言う訳がないからのう」
加賀「逆にこちらが深海棲艦と仲良くしていたと報告されかねません。こちらは鎮守府の皆と接していた分、その事実が発覚しやすいでしょう。嘘が苦手な子も居ます」
金剛「おまけに向こうはどうだったのか、よく分かっていまセン。もしかしたら一部、はたまた全員が知らない可能性もありマス」
長門「……本当、厄介な存在だな……あの愚か者は」
提督「さて、どうするか……。味方の鎮守府を襲撃するなど、余程の理由があると思われれば良くて両成敗、悪ければこちらが圧倒的不利になる」
金剛「……………………」
利根「……………………」
飛龍「……………………」
加賀「……………………」
長門「……………………」
提督「……………………む?」
コン──コン──コン──
大淀「……司令、総司令部より大将のお二人がお見えです」
提督(!! ……いつもと違うノックの仕方と、私を『司令』と呼んだ大淀……これは何かあったか)
552 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:48:08.17 ID:UicorJrKo
提督「──全員、私に話を合わせろ。下田の提督の事について会議をしていたと言うんだ」ヒソ
全員「!」コクリ
提督「……大将殿が? お通ししろ」
ガチャ──
大将A「失礼する」
大将B「何があった、中将よ」
陸奥・日向「…………」ピシッ
提督「……申し訳ございませんが、どの話かご説明頂けますでしょうか」ピシッ
全員「!」ピシッ
大淀「……では、私は失礼します」
──パタン
大将B「下田の艦娘から連絡が入った。大佐が並々ならぬ顔でここへ向かったと」
大将A「そして……大佐と深海棲艦が会話をしていたという報告も同時に入っている。大佐はここへ居るのか?」
提督(ち……。知らんと言っても、下田の提督がおきて暴れでもして気付かれたら面倒か。いくら防音と言えど、扉に体当たりでもすれば音は漏れる。まだ空母棲姫とヲ級の事について隠し通す算段は立っていないというのに……!)
提督「……隣の部屋にて拘束しております」
大将B「拘束とな」
提督「ええ。俄かにも信じ難い事ですが、戦艦レ級と共に行動しており、レ級を排除した上で無力化して拘束しました」
大将A「あの話は本当だったのか……」
陸奥「……提督。そっちも大事なんだけど、少し気になる事があるわ」
大将A「どうかしたのか?」
陸奥「なんで中将は瑞鳳と鎖で繋がってるのかなってね……? しかも、瑞鳳は敬礼もしなかった上に様子もおかしいし」
瑞鳳「……………………」
553 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:49:05.73 ID:UicorJrKo
大将B「ふむ……。私がこちらを担当する。君は隣の部屋の大佐から話を聞いてくれ」
大将A「はっ」ピシッ
提督「……こちらが隣の部屋の鍵です。そして、武装解除はさせておりますが、気を付けて下さい」
大将A「ああ、そうしよう。陸奥、行くぞ」
陸奥「了解したわ」
ガチャ──パタン
大将B「では、その鎖と瑞鳳の事について説明して貰おう」
提督(仕方が無い……ここは二人の事を伏せて真実を話すか……)
提督「はい。……まず初めに、瑞鳳は私の艦娘ではなく大佐の艦娘です。鎮守府防衛の終わり際、陸より負傷した状態で歩いていた所で私が捕まりました」
日向「…………?」
大将B「……むう? 話が見えん。初めから説明をして貰おうか」
提督「畏まりました。──事の初めは五百を超える深海棲艦の軍勢がこの鎮守府へ向かってきた事が始まりです。妙に統率が取れていた行動におかしくは思いつつ、勝利が確実になった所で瑞鳳が陸より亡者のように歩いているのを発見しました。指揮権を大淀へ委託後、私が救助へ向かったのですが……彼女は囮だったようで、そのまま彼女に捕まりました」
大将B「ふむ。それがさっきの話だな。続けよ」
提督「その直後、大佐とレ級が姿を現し、横須賀鎮守府を攻撃する意思を見せたので会話で時間稼ぎをしました。そこへ金剛と利根、瑞鶴、響が駆けつけ、辛くもレ級を殺害する事に成功。最後に銃を取り出そうとした大佐を殴って気絶させましたが、それでも瑞鳳は私を離そうとしませんでした。大佐より絶対に逃がすなと命令されていた事から、それを継続しているのかと思われます」
大将B「そして、今に至ると。ふむ……いくつか疑問点がある。まず、なぜ救援を求めなかった? 五百を超える軍勢を相手に勝てる勝算でもあったのか?」
提督「あの状況に限って言えばありました。陸路より少数精鋭部隊を奇襲として運用する事と、轟沈する前に高速修復材の使用による戦力の継続投入などなど……。前任の提督が残してくれた大量の資材がありましたので、それを使い切るつもりで迎撃すれば勝てる見込みが充分にありました」
大将B「なるほど。流石だな。では次に、なぜ中将が瑞鳳を救助しに向かった? いくら勝利が確実になったと言えど、伏兵が居るだけで引っくり返るだろう?」
提督「この加賀は夜間の偵察訓練を行っており、ある程度ですが夜目も利きます。それにより敵の全数は把握しておりました」
大将B「ふむ。では、なぜ大佐は深海棲艦と共に横須賀鎮守府を攻撃しようとしたのかは検討がつくか?」
提督「……申し訳ありませんが、皆目検討がつきません。なぜこのような凶行に出たのか……」
554 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:50:02.26 ID:UicorJrKo
大将B「では、瑞鳳に聞いてみるとしよう。──答えよ。なぜ大佐は横須賀鎮守府を攻撃しようとした?」
瑞鳳「……………………」
日向「……ダメだな。目が死んでいる。余程の事をされたのだろう。……君をそのようにしたのは誰だ?」ソッ
瑞鳳「……………………」
日向「質問を変えよう。横須賀の中将か?」
金剛「…………」
瑞鳳「……………………」
日向「では、下田の大佐か?」
瑞鳳「……………………」コクン
日向「なるほどな。答えてくれて助かるよ」
金剛(……分からないでもないですが、テートクから疑われるのは嫌な気分になります)
日向「提督、こうなってくると下田の大佐が怪しい。下田の艦娘に聞いた方が良いだろう」
大将B「そうだな。そうし──」
ガチャ──パタン
大将A「中将、話がある。貴様が深海棲艦を匿っているというのは本当か?」
提督(クソ……やはりそうなったか)
陸奥「ちょっとちょっと。いくらなんでも急すぎない?」
大将A「こういうものは時間を与えない方が良い。──さあ、答えろ中将。貴様は敵である深海棲艦を匿っているのか?」
提督(……悪あがきをするしかない)
提督「……一体どうしてそのようになったのでしょうか。私は敵を匿った覚えなどありません」
大将A「白を切るなよ。遠目でしか見ていなかったが、我々がここへ来た時に深海棲艦に似た二人を見掛けているんだぞ。艤装の無い空母棲姫とヲ級のような女をな」
大将B「……そうだな。私も見掛けたが、あまりにも普通にしていた故に人間だと思っていた。だが、確かに似ている」
提督(チ……これは、ここまでか……)
555 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:50:53.69 ID:UicorJrKo
陸奥「だーかーらー! せっかち過ぎるわよ提督! 私も見たけど、あの二人は深海棲艦じゃないでしょ?」
大将A「何……?」
提督(なんだ……? どういう事だ……?)
陸奥「そもそも、私たち艦娘は深海棲艦なんて見たら一発で分かるわよ」
大将B「……そうなのか、日向?」
日向「ああ。なんて言えば良いんだろうな……。黒く冷えているというか……戦うべき相手と分かるというか……深海棲艦はそんな感じがするはずだ」
大将B「あの二人にはそれが無かったと?」
日向「無かったな。あれば即座に瑞雲を放って突撃しているよ」
陸奥「そもそも、敵が居たらその場で報告するわよ?」
大将B「……………………」
提督(どうなっているんだ……? あの二人は確かに深海棲艦のはず……)
大将A「……一先ず、確認してみるとしようか」
大将B「……そうしよう」
…………………………………………。
556 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:51:23.83 ID:UicorJrKo
提督「──空姫、空、ここに居たのか」
空母棲姫「? ────!!」ピシッ
ヲ級「?」
空母棲姫「ほら、貴女も敬礼しなさい。提督の上官よ」
ヲ級「!」ピシッ
大将A「……やはり似ている」
大将B「…………」
空母棲姫(……総司令部に登録されている名前で呼んだという事は、バレないように振舞えって事ですね)チラ
空母棲姫「……提督、どうかなされたのですか?」
提督「ああ」コクリ
提督「こちらの方々は総司令部よりいらっしゃった大将だ。二人を見たいと仰られたので足を運んできた」
空母棲姫「ご足労お掛けして申し訳ございません。本来ならば私達から出向くべきでした」ペコ
ヲ級「!」ペコ
大将B「いや、構わん。何も連絡をせずいきなり押しかけたのはこちらだ。──して、普段は何をしている?」
空母棲姫「主に間宮と伊良湖の助手として調理をしております。そして、料理以外の家事も少々」
ヲ級「間宮と、伊良湖の料理、すっごく美味しいよ!」ニパッ
空母棲姫「貴女は少し静かにしていなさい」ポン
ヲ級「はーい!」
大将A(……とても深海棲艦とは思えん)
557 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:52:28.04 ID:UicorJrKo
大将B「……どうだ、日向?」
日向「見たままだな。クールな姉と無邪気な妹という印象だ」
大将A「陸奥はどう思う」
陸奥「似ているけど、それだけって感じね。別に何もおかしくはないわ」
空母棲姫「……あの、おかしいとは? 何か粗相でもしてしまったのでしょうか」
大将A「いや、こちらの話だ。気にしないで良い」
大将B「ところで、こんな工廠近くで何をしていた?」
空母棲姫「そろそろ皆さんの入渠が終わる頃ですので、タオルや衣服の洗濯物を回収しに来ました」
大将B「こんな夜中にか?」
空母棲姫「洗剤を溶かしたお湯に漬けておく事で、朝の洗濯時に油汚れなどを取りやすいようにする為です」
大将B「ふむ、なるほど」
大将A「……では、戻るとするか」
大将B「そうだな。洗濯の邪魔をして悪かった」
空母棲姫「いえ、お気になさらず」ピシッ
ヲ級「さよならー!」ブンブン
空母棲姫「こら、敬礼なさい」
ヲ級「ごめんなさい……!」ピシッ
大将A・大将B・陸奥・日向「……………………」
提督(上手くやってくれて助かったぞ、二人とも)
…………………………………………。
558 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:53:14.71 ID:UicorJrKo
下田提督「──馬鹿な!! そんなはずがない!」
大将B「現にその二人を見てきた。日向と陸奥も私達と同じく深海棲艦ではないという結論を出している」
大将A「何人かの横須賀の艦娘とも話をしてみたが、全員から料理や家事をやっていると証言も得た」
下田提督「何をした……何をした貴様ァ!! 賄賂か!! それとも脅しか!? 一体何を──」
日向「黙ろうか。君の行ってきた事は、君の鎮守府の艦娘から聞かせて貰っているよ」
陸奥「暴行、脅迫、陵辱、資材の私的利用、艦娘の轟沈処分、深海棲艦との共謀……読むのも面倒になるくらいまだあるわね。そんな貴方の証言を信用できると思うの?」ペラ
下田提督「だが、俺は確かに聞いたぞ!! こいつが深海棲艦を匿っていると!!」
大将A「……聞いた? 誰にだ? まさか、敵である深海棲艦のレ級から……などとは言わんよな?」
下田提督「っ……!!」
大将B「図星か。……提督の選別法に問題があるようだな。いくら素質があるとはいえ、敵と手を組む非国民を軍に置くなどとは……」
大将A「早急に調査する必要がある。やれやれ……ただでさえ人員が少ないというのに……」
大将B「連れて行け。処分は総司令部で行う」
日向「了解した」ガシッ
下田提督「放せ……放せえええええええッッ!!!!」
日向「…………」ガンッ
下田提督「っぁ…………」ガクッ
日向「これで静かになったな。車のトランクにでも放り込んでおくよ」ズルズル
大将B「ああ。そうしておけ」
ガチャ──パタン
559 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:54:42.41 ID:UicorJrKo
対象B「……ところで瑞鳳」
瑞鳳「……………………」
大将B「君はどうする。君の鎮守府の皆は解体される事が決まった。本人達の意思でな」
瑞鳳「……………………」
大将B「君も望むのならば解体しよう。さて、どうする?」
瑞鳳「……………………」
ギュ……
提督「……ん?」
瑞鳳「……命令、だから」
大将B「命令?」
瑞鳳「提督が……この人を、絶対に放すな……って……」
大将B「その提督の命令は、もう聞かなくて構わん」
瑞鳳「命令、だから……」
大将B「……そうか。中将、君が管理してくれるか? 中将は長門の件で問題無いと判断できる。適任だろう」
提督「畏まりました」
大将B「では、邪魔をしたな」
大将A「君には期待しているよ」
ガチャ──パタン
提督(……なんとかなったか。寿命が何年か縮んだぞ……)
提督(だが……)チラ
提督「……本当に良かったのか? 私がお前を管理する事になっても」
瑞鳳「……………………」コクリ
提督「そうか。ならば、これからよろしくな」
瑞鳳「…………」
提督「……ところで、この手枷は外しても──」
瑞鳳「…………」フルフル
提督「ダメか……。困ったな……」
…………………………………………。
560 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:59:09.56 ID:UicorJrKo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。
大きな問題はある程度片付いて、づほを引き取りました。ただ……づほは大丈夫ですかね?
>>546
逆さ吊りなんかで良いんですか(小声)
という冗談はさておき、今の所の予定では目一杯愛でます。今の所の予定では。
561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 17:47:15.60 ID:PYlS1JniO
づほが迷子の子供みたいで可愛い(コナミ感)
562 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 17:50:09.49 ID:e/RzeiMyo
いわゆる手錠なのかチェーンデスマッチの出来そうな手枷なのか気になる所
乙
563 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/10/13(木) 17:56:02.88 ID:cPKeqnhzo
乙です
564 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 18:00:48.80 ID:M9gvaiTqo
手錠(結束バンド)
565 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 18:37:12.59 ID:QHMI7TOyO
乙です
566 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 18:51:35.55 ID:jei4jNczo
お
567 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 20:44:47.20 ID:NbK6r35G0
ここの世界観での解体は死亡に当たるんだっけ?
568 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 22:11:33.62 ID:If2vEra70
逆さ吊り程度はご褒美だよな
569 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 22:46:19.53 ID:iZlbTNniO
手枷(鎖)ってイメージ
570 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 23:16:28.44 ID:sLSr2uG5o
僕もづほと手錠で結ばれたいです
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 23:26:04.67 ID:m9kB61QoO
とりあえず瑞鳳の格納庫まさぐりたい
572 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/14(金) 02:00:50.24 ID:sPwuzgZA0
違和感というか予想外の進展もあるけど、とりあえず難所の突破はよかった
あとお前ら自重しろw
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/14(金) 21:54:13.51 ID:1BCy+viFO
良かった…づほはこれから幸せになれるんだね…
一杯可愛がってくれ
574 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:51:21.04 ID:SXU6Mpvqo
金剛「……では、本当に大丈夫なのですね?」
提督「ああ。心配してくれてありがとうな」
金剛「当然です。私達は提督が居るからこそ私達で居られるのですから。本当は押し切ってでも近くで護りたいくらいです」
提督「瑞鳳はそんな子じゃないはずだ。私の勘だがな」ポン
瑞鳳「…………」
金剛「ぅー……これはどれだけ言っても聞いてくれない提督になっているです……」
提督「良く分かってくれていて何よりだ」
金剛「はぁ……。でも、これだけは約束して下さい。何かあったらすぐに私を呼ぶ事です。隣の部屋の扉は半開きにしておきますから、声は届くはずです。これ以上は譲れません」
提督「お前も頑固なこって。──まず無いだろうが、万が一その時がきたら頼む」
金剛「ハイ! ……懐かしいですね」
提督「……そうだな。こういうやり取りは、本当に懐かしい」
金剛「もう少し思い出話に浸りたいですが、それはまた今度の機会にしましょう」
提督「ああ。おやすみ、金剛」
金剛「グッナイ、テートク──」
ガチャ──パタン
提督「……さて瑞鳳」
瑞鳳「……………………」
提督「夜もかなり深くなったから皆を帰した。私達も寝るとしよう」
瑞鳳「…………!」
提督「瑞鳳はそのベッドを使ってくれ。私は床に毛布を敷いて──」
瑞鳳「…………」シュル、パサ
提督「……なぜ服を脱いでいる。そんな状態で寝ては風邪を引くぞ」ソッ
575 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:52:07.02 ID:SXU6Mpvqo
瑞鳳「…………?」
提督「どうした。どうしてそんなに困った顔をするんだ?」
瑞鳳「…………!」スッ
提督「待て」
瑞鳳「!」ピタッ
提督「なぜ私のズボンに手を伸ばす」
瑞鳳「…………? …………??」
提督「……まさかとは思うが、それが瑞鳳にとって当たり前の事だったのか?」
瑞鳳「…………」コクリ
提督「そうか……。ここではそんな事をしなくて良いんだぞ」
瑞鳳「…………?」
提督「……言い方を変えよう。瑞鳳、それは強制されていた事か?」
瑞鳳「…………」コクン
提督「なら、嫌だったのだろう? それはここではしなくて良い事だ。そんな嫌な事はしなくても良くなったんだ」
瑞鳳「…………」フルフル
提督「……む? 嫌ではなかったのか?」
瑞鳳「…………」コクン
提督(……強制されていたのにも関わらず嫌ではないとはどういう事だ?)
提督「……すまない。私ではよく分からん。どういう事なんだ?」
瑞鳳「…………気持ち、良いから……」
提督「……そうか」
576 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:52:33.16 ID:SXU6Mpvqo
瑞鳳「痛くて……苦しい事は……瑞鳳にとって、気持ちの良い……事です」
提督(これは……そう思い込まされているのか。嘘でもずっと言葉に出していると、何が嘘で何が本当なのか分からなくなるとは言うが……これがその状態か)
提督「……いや、もう今までのような痛い事も苦しい事も無い。もう、そんな苦しみを味わわなくて良いんだ」
瑞鳳「……………………」
提督(……無表情すぎて感情が読めん。何を考えているのだろうか)
提督「そうだな……。とりあえず寝ると……いや、睡眠を取ろうか。これなら分かるか?」
瑞鳳「…………」コクン
提督「よし、良い子だ」ナデ
瑞鳳「…………?」
瑞鳳「…………」ジー
提督「ん? どうした?」
瑞鳳「…………」
提督(……本当に何を考えているのか分からん。どうしたんだ?)
提督(そうだな……少し、話をしてみるか。このまま放っておく事もできん)
提督「瑞鳳、これから睡眠を取る前に少し会話をしてみようか」
瑞鳳「…………?」
提督「少しずつで構わん。嫌だと思ったら何も言わず布団の中へ潜り込んでも良い。だから、お前が閉じ切ってしまった心を少しずつ開いてみないか?」
瑞鳳「…………」
提督「初めは声を出さず頷いたり首を横に振ったりするだけで構わない。もう一度言うが、嫌だと思ったらその時点で布団の中へ潜り込むんだ。それが会話の終了の合図とする。良いか?」
瑞鳳「…………」コクン
提督「ありがとう。──まず初めに、ここは瑞鳳が今まで居た鎮守府と色々違うはずだ。だが基本的に出撃と演習、遠征、そして事務仕事や掃除なんかは恐らくどこの鎮守府も同じだと思う。瑞鳳もそうだったか?」
瑞鳳「…………」コクン
提督「そうか。この鎮守府では朝礼もあり、朝は必ず全員が私と顔を会わす。そして、それ以外ではよっぽどの事でもない限り自由にしている。会話をするも良し。遊んでも良し。独自で訓練をするも良し。……まあ、酒は節度を守るようにとは言っているがな」
瑞鳳「…………」
577 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:53:13.46 ID:SXU6Mpvqo
提督「無論、瑞鳳もそれには従ってもらう。だが、現段階で瑞鳳は基本的にほぼ自由にさせるつもりだ。せいぜい、朝礼には顔を出して貰うくらいだろう」
瑞鳳「…………?」コテッ
提督「首を傾げたのは『なぜ?』という意味か? 正直に言うとだな、瑞鳳の精神状態を考えての事だ」
瑞鳳「…………」
提督「今のお前を他の子達と同じように扱ってはいけないと私は判断した。まずは心を癒す事が先決だ。何かしたい事があれば言ってくれ。出来る事であれば叶えよう」
瑞鳳「……………………」
提督「何かあるか?」
瑞鳳「……痛い、こと」
提督「む……?」
瑞鳳「痛い事……して下さい……」
提督「……どういう意味だ、それは?」
瑞鳳「私は……痛い事が、好き……ですから……」
提督「……それは無理矢理に言わされていた事だろう? ここではもう、必要以上の痛い事や苦しい事は受けなくて良いんだぞ」
瑞鳳「…………」フルフル
瑞鳳「痛みは……私に与えてくれるから……。生きているって……ちゃんと、生きているって……」
提督「…………」
瑞鳳「だから……痛い事とか、苦しい事が……好きです」
提督「……………………」
瑞鳳「……おかしい、ですか?」
提督「……そうだな」スッ
瑞鳳「あ……」ピクン
提督(……ああ、利根よりも首が細い。片手で充分な気すらある。──本気でやれば、折れてしまいそうだ)
提督(そうだな……瑞鳳も痛い事や苦しい事を望んでいるんだろう? ならば……)
578 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:53:41.72 ID:SXU6Mpvqo
コンコンコン──
提督「────!!」パッ
金剛「──テートク、本当に大丈夫デスか?」
提督「……金剛か。どうしたんだ?」
金剛「なんだか胸騒ぎがシタので……。入っても良いデスか?」
提督「……ああ。頼む」
ガチャ──パタン
瑞鳳「…………」ジッ
金剛「…………? 何かしていたデスか?」
提督「……そうだな。あまり良くない事をやりそうになっていた」
金剛「そうデスか……」トコトコ
金剛「提督……」ギュ
提督「!」
金剛「なんとなくですが、察しました……。やっぱり提督は『私達』の事を気にしているのですね」
提督「…………」
金剛「ごめんなさい……私が癒してあげられれば良いのですが、今の私では……」
提督「いや……そうやって気を掛けてくれるだけでも充分だ……。ありがとう、金剛……」
瑞鳳「…………」
提督「……すまんが金剛、頼みがある」
金剛「? 何でショウか?」
579 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:54:08.27 ID:SXU6Mpvqo
提督「今日だけでも構わないから、瑞鳳の隣で寝てくれないか? ……今の私は、酷く不安定だ」
金剛「ハイ。分かりまシタ。……って、テートクは床で寝るつもりデスか?」
提督「ああ。流石に一緒のベッドで寝る事はせんよ」
金剛「……本当、頑固なんですから」クス
金剛「──さて、そうと決まれば早速スリープするデース! 電気を消しマスので、二人は布団の中へ入って下サイ」トコトコ
提督「ああ。ついでに燭台にも灯を点けておこう」シュッ
瑞鳳「…………」
提督「ほら、瑞鳳もベッドの布団に入りなさい」モゾ
瑞鳳「…………」モゾ
金剛「では、消しマスね」
パチン──
金剛「さて、と」トコトコ
瑞鳳「…………」
金剛「隣、失礼するデース」モゾ
瑞鳳「…………」フイッ
金剛(あれ……?)
提督「さて、では寝るとしよう。灯を消してくれ、金剛」
金剛「ハイ」フッ
提督「おやすみ、金剛、瑞鳳」
金剛「グッナイ、二人とも」
瑞鳳「…………」
金剛(……私、何か嫌われるような事でもしてしまったのでしょうか)
…………………………………………。
580 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:54:38.63 ID:SXU6Mpvqo
金剛「すー……すー……」
提督「…………」
瑞鳳「…………」モゾ
瑞鳳「…………」ソロリ
提督「…………」
提督『──基本的にほぼ自由にさせるつもりだ』
瑞鳳(……私の、自由に)
瑞鳳「…………」モゾ
提督(む……?)
瑞鳳「…………」
提督(金剛……ではないな。瑞鳳か)
瑞鳳「…………すぅ……」
提督(……気付いていない振りをしておこう。何か理由があるのだろう)
瑞鳳「すぅ……」
提督(さて……私もまた眠るとするか……)
…………………………………………。
581 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:57:29.31 ID:SXU6Mpvqo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。
瑞鳳の本心はどうなんでしょうかね。『痛い事や苦しい事が好きだと言え』と下田の提督に言われてきたからなのか、それとも本当にそう思っているのか。
そして提督はどうするのか。
色々と不安です。
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/18(火) 05:00:14.68 ID:Mnd0ebUg0
そっち系に目覚めてしまったのか
583 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/18(火) 05:38:57.83 ID:DRoeiFeio
乙!
584 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/10/18(火) 08:55:43.87 ID:0mTYTGYFo
乙です
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/18(火) 20:48:10.93 ID:MiPWuCMAO
>>559
>対象B
急に小物っぽくされてワロタw
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2016/10/19(水) 20:48:04.09 ID:qnNLsvyXo
>>580
忍び寄る大人の世界(意味深
提督の貞操は大丈夫なのか?狙う乙女たちは一杯だぞ?!
冗談はともかく、逆さ吊りになってお姉ちゃんに「メッ」される未来を切望
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/20(木) 15:09:17.71 ID:w0M0i81hO
痛いことが好きなら鼻と両耳に洗濯バサミを付ければいいな
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/20(木) 20:44:06.67 ID:TNx8fYxJ0
>>587
クワガタとザリガニも追加だな
589 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:42:25.32 ID:n4pu7Ko0o
提督「──朝礼でも言ったように、総司令部からの通達でしばらくは全戦線を停滞、維持させる事となった。よって、その間は暇になるだろう。新たに指示が与えられるまでに昨日言っていた問題点を解決したい」
金剛「ハイッ!」
利根「うむ!」
ヲ級「はーい!」
空母棲姫「分かりました」
瑞鳳「…………」
提督「ここに居る全員が知っての通り、昨夜のいざこざで最も面倒な問題が解決した。次に解決したい問題として、空母棲姫の艤装をどうするか、だ。なお、ヲ級の艤装は今朝方解体し終わったと報告が上がっている」
ヲ級「やった! 部屋、広くなる!」
空母棲姫「……それで、私の艤装はどうなったのでしょうか?」
提督「手を付けてすらいない」
空母棲姫「…………」ジッ
提督「それには理由があるから、そう睨むな」
空母棲姫「理由とはなんでしょうか」
提督「第一に解体が困難という事。まあ、これは時間を掛ければどうにかなるが、他にやる事があるため優先順位は低めだ。そして第二に、なぜ空母棲姫が艦載機をもう一度扱う事が出来たのか、という事だ。確か、艦載機との意識連結が出来なくなったはずだったな?」
空母棲姫「ええ……。私でも分かりません。なぜ、あの時だけ扱えたのか。その理由は私も知りたいわ」
提督「空母棲姫自身が分かっていないのか……。困ったな……。要因が分かるのならば、いざという時の自衛に使って欲しかったのだが……」
空母棲姫「鎮守府において自衛は必要でしょか」
提督「可能性は低いだろうが、今回のレ級のように狙ってくる者が居ないとは限らない。それならば、空母棲姫も艦載機が扱える方が色々と安心できるだろう?」
ヲ級「? どうして、可能性、低いの?」
提督「あれだけ大々的に動いていたんだ。もし狙っているのだったら一緒に行動すると思われる。わざわざ分けるメリットも無い」
ヲ級「なるほどー」
590 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:42:58.35 ID:n4pu7Ko0o
空母棲姫「……理由は分かりましたが、やはりそれでも反対です。私に兵装を持たせるという事は危険極まります」
提督「その事についてだが、私は兵装を完全に排除する方が危険だと思っている。先の防衛戦は空母棲姫が索敵をしてくれなければ負けていただろう」
金剛「その点については私も同意デス」
利根「そうじゃな。間違いなく負けておる。戦況が常時分かっておったから突っ込み時も引き際も分かっておれたからのう」
空母棲姫「それ、は……」
提督「空母棲姫、こう考えてくれないだろうか。艤装の解体はいつでも出来るが、手放した艤装は二度と帰ってこない。ならば一旦保留にしておこう──と」
空母棲姫「ですが……」
提督「ふうむ……。ならばこうしよう。一つ、艤装は私が預かっておく。必要時以外は空母棲姫が触れる事を禁ずる。二つ、空母棲姫が艤装を使用する際は私の許可と共に私の管理下である事。……これでどうだ?」
空母棲姫「…………考えさせて下さい」
提督「ああ。ゆっくり考えると良い」
空母棲姫「はぁ……やっぱり貴方には勝てそうにありません……」
提督「これでも鎮守府を預かる者だからな」
ヲ級「それにしても、どうして、姫は、艦載機、使えたんだろ?」
空母棲姫「そればっかりは分かりませんね……一体何があったのか……」
利根「……む? そういえば、前に負のエネルギーがどうのと言っておらなんだか?」
提督「ふむ。確かに言っていたな。その負のエネルギーが枯渇した、とかか?」
空母棲姫「なるほど、筋は通っています。貴方達と出会ってから怒りも後悔もほとんど感じていませんし、レ級と戦闘に入った時なんて怒りで我を忘れていましたし」
利根「その負のエネルギーが無くなったから艦娘からも深海棲艦と見られぬのかものう」
提督「……関係あるのか?」
利根「あるやもしれぬぞ。深海棲艦は見れば分かるし敵と判断できるが、空母棲姫とヲ級の二人は島の頃はともかく、今は敵と感じられぬ上に深海棲艦と識別できぬ。昨日戦った深海棲艦は深海棲艦と分かった事から、可能性は高いのではないか?」
提督「ふむ……。そうだな。確かに可能性は高い。これからは頭に置いておこう」
591 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:43:25.50 ID:n4pu7Ko0o
ヲ級「? 何か、変わるの?」
提督「何も変わらんよ。お前達は今まで通りのんびりと暮らせるって話だ」ポン
ヲ級「えへー」ニコニコ
提督「では、この話は一旦ここで保留だ。次に、瑞鳳をどうするかなのだが……」
瑞鳳「……………………」
提督「……率直に聞く。どうするのが一番だと思う?」
利根「また難しい事を……」
提督「難しいからこそ知恵を貸して欲しくなるんだ。現状では瑞鳳を癒す事しか思い付かんが、その方法すらどうしたものか……」
利根「好きな事をやらせるのはどうなのじゃ?」
提督「瑞鳳、言っても良いと思うのならば言ってくれ。瑞鳳がしたい事はなんだ?」
瑞鳳「……………………」
ヲ級「?」
提督「……という事だ。あまり口に出せる事でもない。そして、私はそれをしようとは思っていない」
空母棲姫(……性的な事なのかしら。もしそうであれば困難ね。この方は随分と堅物でしょうし)
金剛「では、甘い物とかどうデスか?」
瑞鳳「…………」
金剛「ぅー……反応が無いデース……」
ヲ級「!!」ピンッ
ヲ級「甘い物、あるよ!」ゴソゴソ
利根「ぬ? なんじゃ?」
ヲ級「玉子焼き!」パッ
瑞鳳「!」
592 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:43:59.82 ID:n4pu7Ko0o
利根「……なぜ玉子焼きを持ってきておるのじゃ?」
ヲ級「初めて、焦げ目無しで、綺麗に焼けたから!」キラキラ
利根「ふむん? ……ほう! 綺麗じゃのう。こんな綺麗な玉子焼きは見た事がないぞ。……しかし、玉子焼きくらいならば二人は簡単に作れるのではないか?」
空母棲姫「難しいわよ。白身と黄身、そして出汁が綺麗に混ざっている事と火加減の調整が上手く出来なければ、ここまで黄一色の玉子焼きは出来ないわ。基本の料理という物は、シンプルが故に作り手の技量が分かるものよ」
提督「空母棲姫も出来るのか?」
空母棲姫「……出来ません。中の隙間は無くなっても、どうしても層の部分が分かります。本当、この子は料理の才能があるわ」ナデ
ヲ級「えへー」ニコニコ
瑞鳳「…………」ジー
金剛「? 瑞鳳が興味を持っているデス」
提督「む。食べたいのか?」
瑞鳳「…………」フルフル
提督「では、作りたいと?」
瑞鳳「…………」コクン
提督(……料理が好きなのだろうか? いや、そうならば食事の時に何らかの反応をしているはずだ。玉子焼きに何か拘りでもあるのか……?)
提督「構わんぞ。昼食後のツマミとしよう」
瑞鳳「…………」コクン
ヲ級「一緒に、作ろ?」ニパッ
瑞鳳「…………」コクン
…………………………………………。
593 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:44:29.63 ID:n4pu7Ko0o
瑞鶴「──それで、焦げ目とか層の隙間が無くなるまでやったのね。あ、美味しい」モグモグ
長門「なるほどな。だから妖精も含めた全員に玉子焼きがオヤツとして出されたのか」
翔鶴「ですが、本当に美味しいですね」ニコニコ
電「なのです。とっても美味しいのです」
雷「瑞鳳さんも料理が上手なのね!」
暁「…………」ジー
響「? 暁、どうしたんだい?」
暁「……まだ司令官と鎖で繋がってるのが気になるのよ」ジー
提督「そう言ってくれるな。この子は下田の提督の命令を続けているだけなんだ」
瑞鳳「…………」
利根「鎖を外せば腕にしがみ付くが、それの方が良いのかの?」モグモグ
暁「うーっ……」ジー
空母棲姫「大丈夫よ。提督が説得をしてくれているから」ナデ
暁「ぅー……」
ヲ級「嫉妬?」
暁「なっ!! 違うわ! ふーきの問題があるって事よ! レディは嫉妬なんかしたりしないわ!!」
提督(嫉妬なのか)
響(嫉妬だね)
雷(嫉妬なのね)
電(嫉妬なのです)
利根(嫉妬じゃのう)
瑞鶴(嫉妬ねー)
翔鶴(あらあら……)
長門(……本当にこの方は皆から好かれているな)
空母棲姫(本当、分かりやすいわね、この子)
ヲ級「♪」ニコニコ
暁「もーっ!! なんで皆してそんな温かい目で見てくるのよー!! 嫉妬じゃないんだからぁー!!」
594 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:45:01.59 ID:n4pu7Ko0o
ギャーギャー
瑞鳳「…………」ジー
提督「どうした、瑞鳳」
瑞鳳「……………………楽しそう……」
提督「いずれお前もあの中に入れるさ」ナデナデ
瑞鳳「……うん」
暁「あーッッ!! 今度は頭撫でて貰ってる!!!」
響「暁、もしかして甘えたいだけだったりする?」
暁「そんな訳ないでしょ響!! レディはお子様みたいに甘えたりしないんだからぁー!!!」
提督「時と場を弁えれば構わんぞ」
暁「む……」
響「あ、考えたね」
暁「!!! もー!! 響、貴方の玉子焼き食べるわよ!?」
響「おっと。食べられたら困るから、これ以上は刺激しないでおこうかな」
暁「ふん、だ!」
ヲ級「♪」ニコニコ
提督(……金剛も今頃は姉妹と食べているのだろうか。……本当、金剛の問題もどうするべきか)
瑞鳳(甘える……)
…………………………………………。
595 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:47:27.89 ID:n4pu7Ko0o
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。
残す問題は瑞鳳と金剛さんの二人のみ。この厄介な問題はどうなるのやら。
596 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/27(木) 17:21:17.11 ID:G5b4MgMho
乙!
597 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/27(木) 18:41:57.80 ID:rsWRxaIOo
卵を焼くだけの艦娘がいてもいいと思う
乙
598 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/28(金) 10:07:24.53 ID:2ChNahhq0
男女・・・外せない手錠・・・ ハッ?
風呂は!?
お風呂回はまだですか!?
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/28(金) 11:14:53.29 ID:K/W1WlBdo
いやそれよりも生理現象だよ、いうなれば厠だ
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/28(金) 17:49:34.34 ID:zLLV6IoyO
雪隠か
601 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:27:11.01 ID:QqswW4aao
提督「…………」サラサラ
瑞鳳「…………」ジー
コンコンコン──
提督「入れ」
ガチャ──パタン
大淀「失礼します。提督、少し急な報告……もとい、相談がございます」
提督「む? 何があった?」
大淀「多くの方から、ある相談を受けまして……。本来はご本人の前で言うのは憚られるのですが、今回はそうもいきそうにありません」
提督「ふむ」
大淀「……率直に申し上げますと、提督と瑞鳳さんが鎖で繋がっているのを良しとしない方々が多くいらっしゃいます」
瑞鳳「…………」
提督「やはりそうなったか……」
大淀「駆逐艦の子達は理解も納得も出来ない意見が多く、軽巡以上の方々も理解は出来ても納得がいかないという意見を耳にしております。いくら扉を隔てているとはいえ、お手洗いや入浴など特に……」
提督「……あまり良くはないな。このままでは分裂や喧嘩も起きてしまいかねん」
大淀「はい……。皆さんも提督へ直接言うのを避けているのか、私へ相談が殺到しました……」
提督「苦労を掛けてすまない。……しかし、どうしたものかな」
大淀「私も考えてはみたのですが、解決できそうな案は思い付きません……」
提督「……明日まで待って貰ってくれないだろうか。それまでに対策を考える」
大淀「……なんとか頑張ってみます」
提督「ありがとう。……効果は無いかもしれないが一応、厠と風呂の際、待っている方は目と耳を塞いでいると伝えてやってくれないか?」
大淀「はい。畏まりました」
602 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:27:38.96 ID:QqswW4aao
提督「大淀ももう少しだけ我慢してくれ」
大淀「お気遣いありがとうございます」
提督「何か望みがあるか? 出来る範囲ならば叶えよう」
大淀「え? よろしい……のですか?」
提督「ああ。流石に大きな迷惑を掛けてしまった」
大淀「…………えっと、では……瑞鳳さんと同じように、とかは……」
提督「……………………」
大淀「あの……すみません、冗談です」
提督「……今度叶える。その時が来たら伝えよう」
大淀「──え!? ほ、本当ですか!?」ドキドキ
提督「ああ」
提督(……大淀にそんな趣味があったとは思わなかった)
大淀「提督と繋がる事が出来るなんて……夢でしか出来ないと思っていました」
提督(ふむ? 『繋がる』という事が大事なのか? ……まさか、不満を言っている者達もそれが原因……いや、それは無いか)
大淀(言ってみるものですね♪)テレ
提督(……無いよな?)
提督「……くれぐれも内密にするように」
大淀「はいっ!」
提督「では、頼んだぞ」
大淀「はい。大淀、頑張りますね! ──失礼しました」
ガチャ──パタン
提督「瑞鳳も、秘密にしてくれよ?」
瑞鳳「…………」コクン
提督「よろしい。──さて、仕事の続きとするか」サラサラ
瑞鳳(……相談をしても、良い人)
…………………………………………。
603 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:28:15.50 ID:QqswW4aao
瑞鳳「…………」ジー
利根「今日はやけに提督を見ておるのう」モグモグ
金剛「何かあったのデスか?」コクコク
提督「……心当たりが全く無い。私も不思議に思っているくらいだ」ズズッ
瑞鳳「…………」ジー
利根「紅茶や茶菓子もほとんど手を付けておらぬしのう……」
金剛「……あの、もしかして美味しくなかったデスか?」
瑞鳳「…………」チラ
瑞鳳「…………」フルフル
瑞鳳「…………」フイッ
利根「……マズい訳ではないが、今は提督を見る事の方が優先されている……なのかのう?」
提督「一体どうしたんだ、瑞鳳?」
瑞鳳「…………」ジー
提督「ふぅむ……」
利根「うーむ……。まあ、考えても分からぬ。ここは保留じゃな」
提督「そうするか……。すまんな瑞鳳。私にはお前が何をしようとしているのか分からん」ナデ
瑞鳳「…………」
提督「だが、もし何かしたい事があったら言ってくれ。可能な範囲であれば許可も出せる。そして叶えてやる事も出来る」
瑞鳳「…………」コクン
金剛「あ、瑞鳳。もし紅茶が冷めてしまったら言って下サイ。すぐに取り替えるデス」
瑞鳳「!」ゴクゴク
利根「一気に飲んだのう」
金剛「…………?」
提督「一体どうしたというのか……」
604 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:28:50.26 ID:QqswW4aao
瑞鳳「……捨てるのは、勿体無いから」
利根「ああ、なるほどのう。捨てられると思うたのか」
瑞鳳「…………」コクン
提督(……そうだとしても急だったな。……また下田の提督関係で何かされていたのだろうか)
提督「…………」ポン
瑞鳳「?」
提督「…………」ナデナデ
瑞鳳「…………」
金剛(本当、下田では何があったのでしょうか……。私も何か出来れば良いのですが……)
金剛(そもそも、瑞鳳はどうしてこんな風になったのでしょうか。酷い事をされてきたというのは耳にしていますが、一体どんな事をされたら──)
金剛「!」ピン
金剛「瑞鳳、隣に座りマスね」
利根「む?」
瑞鳳「…………」
金剛「少し、失礼するデス」ギュ
瑞鳳「!」
金剛「今まで何を経験してきたのか、それは私では分かりまセン……。ですが、辛いものだったという事だけは分かりマス」
瑞鳳「…………」
金剛「こうやって抱き締められると、私は落ち着きマス。こうやって下さる人が居るから、私は辛い事があっても頑張れてきまシタ。瑞鳳も同じかは分かりまセンが、少しでも落ち着けられるなら嬉しいデス」
瑞鳳「…………」ホゥ
利根(ふむ)
605 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:29:19.19 ID:QqswW4aao
瑞鳳「…………」スリ
金剛「アハ。落ち着きマスか?」
瑞鳳「…………」コクン
金剛「良かったデス。好きなだけこうしていて下サイね」ナデ
金剛「テートクも、こうしてあげたら良かったデスよ?」チラ
提督「それをお前が言うか……」
金剛「私だから言えるのデス」
提督「……まったく。本当にお前には時々勝てんよ」
金剛「えへへー」ニコ
利根(……もしやとは思うておったが、この金剛は……あの金剛ではないか?)ジー
提督「…………」チラ
利根「!」
提督「…………」ジッ
利根(やはりそうなのか。……うむ、分かっておる。誰にも言ったりはせぬよ。何か事情があるのじゃろう?)コクン
提督「…………」コクリ
金剛「ほら、テートクも落ち着かせてあげて下サイ」
提督「しかし……」
金剛「きっと、この子もそうして欲しいと思っているデスよ?」
提督「……そうなのか、瑞鳳?」
瑞鳳「…………」チラ
金剛「♪」ニコニコ
瑞鳳「…………」チラ
提督「…………」
瑞鳳「…………」コクン
606 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:29:51.36 ID:QqswW4aao
金剛「ハイ! 瑞鳳もそう言っているデース! テートクは人を落ち着かせるのがとっても上手ネ!」スッ
提督「そんな事はないと思うが……」
利根「自覚無しじゃったのか。我輩がなぜいつも背中にのしかかっておったのか分からぬのか?」
金剛「背中にのしかかっていた、デスか?」
利根「うむ。とある島で提督と二人で何年か過ごしていた頃にの。我輩はそれが好きで暇さえあればその状態じゃった」
提督「確かにほぼずっとそんな感じだったな」
金剛「そんな事があったデスか。私、その頃の話が聞きたいデース!」
利根「うむ。我輩は良いぞ。提督も良いよな?」
提督「ああ。構わん」
金剛「ヤッタ! その島ではどんな事があったデスか?」
利根「基本的には暇で海を眺めてばかりおったのう。他には──」
金剛「ふむふむ」
提督(……そうか。色々な事があって金剛に話していなかったな。……本当、色々な事があったものだ)
瑞鳳「…………」クイクイ
提督「うん?」
瑞鳳「…………」ジー
提督「……なるほど、催促か」チラ
金剛「?」チラ
金剛「♪」コクリ
利根「金剛よー、聴いておるのか?」
金剛「勿論デース。それで、釣りで利根はテートクに何回勝ったデスか?」
利根「む。そ、それはじゃな?」
瑞鳳「…………」クイクイ
提督「……ほら、おいで」スッ
瑞鳳「…………」ソッ
提督「…………」ギュ
瑞鳳「!」ピクン
瑞鳳「…………」ホゥ
提督(金剛のおかげで一層落ち着けているようだな)ナデナデ
瑞鳳「…………」コテッ
提督(む、身体も預けてきたか。……ああ、構わんぞ。好きなだけ甘えて良い。甘えてきた以上に愛でよう)ナデナデ
瑞鳳(……この人は、優しくて……温かい人。……甘えても、良い人)
瑞鳳(良いなぁ……これ……。眠っちゃいそう……)
…………………………………………。
607 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:30:17.98 ID:QqswW4aao
利根「では提督、瑞鳳よ、また明日じゃ」
金剛「グッナイ二人とも!」
提督「ああ。お前達も良い夢を見ろよ」
ガチャ──パタン
提督「さて、私達も寝ると──ああいや、今日は風呂に入る間が無かったんだったな。寝る前に風呂に入るとしよう」スタスタ
瑞鳳「…………」コクン
ガチャ──パタン
提督(……しかし、この部屋に備え付けてある風呂場に瑞鳳と共に居るのはこれで数日だが、未だに慣れんな)
提督「さて、今日も瑞鳳が先に入るか?」
瑞鳳「…………」フルフル
提督「そうか。では、私が先に入ろう。着替える間だけ手枷を外すぞ。瑞鳳、私の方の鍵を出して外してくれ」
瑞鳳「…………」スッ
カチャ──カチンッ
瑞鳳「…………」ジー
提督「……む? 瑞鳳、向こうを向いてくれないか? 着替えれん」
瑞鳳「……私のも」スッ
提督「む? 瑞鳳の手枷も? どうしたんだ?」
瑞鳳「…………」ジー
提督「まあ、良いか……」カチンッ
提督(漸く手枷で繋がなくても良いと思ってくれたのだろうか)
608 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:30:46.89 ID:QqswW4aao
瑞鳳「…………」シュル
提督「待ちなさい」
瑞鳳「…………」ピタッ
提督「なぜお前も服を脱ごうとしているんだ……」
瑞鳳「…………」ジー
提督「…………」
瑞鳳「……甘えたい」
提督「……………………そうか。甘えるのは構わないが、一緒に風呂へ入ろうとするのはやめておけ。風紀の問題がある」
瑞鳳「…………」ジー
提督「こればっかりは堪えてくれ。そもそも、男女が同じ風呂に入るというのはあまり良くない事だ」ナデ
瑞鳳「…………………………………………」
瑞鳳「…………」コクン
提督(長く考えていたようだが、納得してくれたか)
提督(しかし……甘えるとしても、なぜ一緒に風呂へ入ろうとしたんだ……?)
…………………………………………。
609 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:31:28.96 ID:QqswW4aao
提督(そして風呂が終わったらこれか)
瑞鳳「…………」ギュゥ
提督(……手枷をする前に戻っていないか、これは?)
瑞鳳「……横須賀の提督さん」
提督「! どうした?」
提督(……この子が自分から話し掛けたのは初めてじゃないか?)
瑞鳳「甘えさせて、下さい……」
提督「……ふむ」
瑞鳳「寝る時に抱き締めてくれると……嬉しい、です」
提督(…………今はそうしてあげた方が良いか)
提督「分かった。電気を消すから、先にベッドへ入っていなさい」
瑞鳳「はい」トコトコ
カチッ──
提督(む……燭台に火を点けておくべきだった。……まあ、どうとでもなるか)スタスタ
提督「私もベッドへ入るから、ぶつからないように」ソッ
ピトッ──
提督「む?」
瑞鳳「……私は、ここに居ます」
提督「……そうか」モゾ
瑞鳳「ん……」ギュ
提督「む」
瑞鳳「落ち着きます……」
提督「……そうか」
610 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:32:49.82 ID:QqswW4aao
瑞鳳「横須賀の提督さんも、抱き締めてくれますか……?」
提督「……分かった」ギュ
瑞鳳「んっ……!」ピクン
提督「む、痛かったか。すまない」スッ
瑞鳳「……もっと、して下さい」
提督「うん?」
瑞鳳「瑞鳳は……痛いくらいが良いです。もっと、あったかいのを感じたいです」
提督「…………」
瑞鳳「…………」ギュゥ
提督「……温かいのを感じたいから、なんだな?」
瑞鳳「はい……」
提督「分かった。それならば良いぞ」ギュウッ
瑞鳳「んっ──!」ピクッ
瑞鳳「……あったかい」スリ
提督「痛くはないか?」
瑞鳳「……もう少し、強くても良いくらいです」
提督「……これ以上は睡眠に支障をきたしそうだから止めておく」
瑞鳳「はい……」スリ
提督(……瑞鳳の鼓動を感じる。しかし……なんだか速いな)
瑞鳳(これ……身体の奥から気持ち良い……。あったかくて優しい痛みなんて、あるんだ……)
瑞鳳(提督がくれた痛みよりも、もっともっと欲しくなる痛さ……)
提督「良い夢を見てくれよ」
瑞鳳「……はい」
瑞鳳(良い夢……うん……。見れそう……。この人とくっついていると……温かい気持ちになる……)
…………………………………………。
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