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提督「劇をしたい」龍驤「あのさぁ、さっきからなんなの」
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1 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 21:48:38.57 ID:NPpYpUnM0
・艦これ 艦娘入手祈念
・龍驤
・鳳翔
・加賀
・翔鶴
・瑞鶴
・長門
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1431175708
2 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 21:50:05.10 ID:NPpYpUnM0
提督「劇をしたいんだ」
龍驤「それはさっきから何回も聞いとるよ。なんでやりたいん?」
提督「俺の同期の提督がな、ビデオカメラを手に入れてさ」
龍驤「あのシャイな人のことか?」
提督「そう、そいつだ」
提督「そいつが鎮守府カレー大会の様子を撮影して送ってきたんだよ」
龍驤「あぁ、あれね。すっごい楽しそうやったなぁ」
龍驤「けど、ウチらの鎮守府でもカレー大会はやったやん。十分楽しかったと思うけど」
提督「そうじゃないんだ。あのビデオには一回もあいつの姿が写ってなかっただろ」
龍驤「そういえばそうやったな。それがどうしたん?」
提督「全部、最初っから最後まであいつが撮影してたんだよ……」
龍驤「はぁ? 審査も秘書艦にやらせて撮影やっとたんか?」
提督「そうだ」
提督「その上で、ビデオカメラを持ってない俺に向かって、ものすごく楽しかったって言ってきたんだ!」
龍驤「……」
提督「うらくらやましいよぉ、龍驤!」
龍驤「あー、はいはい。うらやましくて、悔しかったんやな」
龍驤「こんなことで大和男子(やまとおのこ)が泣くんやない」
3 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 21:52:11.93 ID:NPpYpUnM0
龍驤「大体、あそこの提督なら言えば貸してくれるんとちゃう?」
龍驤「ウチが借用申請書を書いとこか?」
提督「本当か! ありがとう龍驤、大好き!」
龍驤「はいはい、適当なこと言わんでもええから」
提督「……」
提督「いや、そこまですることはない」
提督「撮影そのものよりも、健全な鎮守府運営を示してきたことがうらやましかった」
龍驤「そうか? ウチらの鎮守府もけっこうええと思うけど」
提督「あぁ、良い方だと自負している。ただ身内が知っているだけでは足りないんだ。広報して民間にも伝える」
提督「これほどの戦力を保有していたとしても、我々は皇国の僕だということをな」
提督「我々の存在意義は皇国民の守護にあり!」
龍驤「……そうやな。時々キミはかっこええな」
提督「ふっ、惚れてくれ」
提督「まぁいいんだけどさ、結局なんで劇がやりたいん?」
提督「……」
提督「本を読んだんだ。とても、とても楽しい時間が過ごせてな」
龍驤「そういえば最近キミ、古典を読んでたな。桃とか竹から人が生まれたり……」
提督「あぁ、青猫と射撃王の日常や念を使う狩人とかな」
提督「書物だと俺が楽しめるだけだが、演劇ならみんなが楽しめるんじゃないかと思ってな」
龍驤「ほっほー、キミにしてはなかなかええこと言うな」
龍驤「大本営への申請書と地域への広報はウチがやっとくよ」
提督「頼むよ」
4 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 21:53:35.27 ID:NPpYpUnM0
龍驤「台本とかはいつ用意するん? かなり時間かかるやろ?」
提督「よくぞ聞いてくれた! この日のために書き溜めておいた!」
龍驤「おぉう? 近頃、キミからの指令が少なかったんは、それを用意しとったからか」
提督「そういうことだな」
龍驤「そんなんでこの鎮守府は大丈夫なんか?」
提督「それは安心してくれ。交渉式神を派遣してあるからな」
提督「制海域は概ね変化なしだ」
龍驤「は? え? うん、大丈夫ならええけど」
提督「これ台本、出演者も書いてあるから声をかけておいてくれ」
龍驤「ふんふん、なるほどなるほど。主役はーっと……」
龍驤「……瑞鶴かぁ」
提督「演目は狩人の話、主人公は元気な少年だからな」
提督「ぴったりだと思ったんだが、どうだ?」
龍驤「ええんとちゃう? キミにしてはよく考えてるで」
提督「俺にしては、は余計だろ」
龍驤「あははは、ごめんって」
提督「ちゃんと龍驤の役もあってな」
龍驤「後で見とくから説明はええよ」
提督「そうか? なら他の艦娘に台本を渡してきてくれ」
龍驤「了解ー」
提督「よろしく頼む」
提督「なぁ、龍驤」
龍驤「なぁに?」
提督「いや、何でもない」
龍驤「そう? じゃあ行ってくるね」
元気な声を出して、執務室を後にする。
提督「……全然伝わらないな」
嘆息して、引き出しの中にある黒い小箱と一枚の書類を眺める。
5 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 21:55:07.70 ID:NPpYpUnM0
――廊下――
龍驤「うーん、蟻の章をやるみたいやな」
龍驤「提督も思うところがあるんやろか。特に導入のところを選んどるやん」
龍驤「突然発生した脅威、対抗する戦力」
龍驤「ウチらの状況と似てるなぁ」
龍驤「あ、ウチは主人公の恩人役や。思ったよりええなぁ」
龍驤「けどな、高望みかもしれんけど」
龍驤「できればキミの脚本で、キミに選ばれて主人公がやりたかったわ」
龍驤「そりゃ無理か、あはははは……」
6 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 21:55:45.35 ID:NPpYpUnM0
艦隊が、「遠征」から帰投しました。
7 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 21:57:17.18 ID:NPpYpUnM0
龍驤「この時間の帰投は第六駆逐隊やな。台本渡しに行こか」
暁「艦隊が帰ってきたんだって。ふぅ」
龍驤「なんで他人事みたいなんや」
暁「あ、龍驤さん。第六駆逐隊、ただいま帰投しました」
龍驤「ご苦労さん、ほんま助かるで」
響「問題ない。これが第六駆逐隊の任務だからね」
龍驤「響はえらいなぁ」
暁「あっ……」
雷「雷のことも褒めていいんだからね」
電「電も撫でて欲しいのです」
暁「……」
龍驤「順番やでー」
龍驤「暁は一番お姉さんやから最後な」
暁「!」
暁「もちろんわかってるわよ。レディーなんだからちゃんと待てるわ。ほら、響。帽子を取らなきゃダメでしょ」
響「暁の言う通りだね。流石は私の姉さんだ」
8 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:01:19.71 ID:NPpYpUnM0
雷「遠征もいいけど、たまには出撃したいわね」
電「だめなのです、雷ちゃん。電たちに電たちのお仕事があるのです」
雷「でも〜」
龍驤「そうかそうか、雷は出撃したいんか」
龍驤「なら、ウチが提督に具申しとくわ」
「「本当!?」」
思わず龍驤の言葉に反応してしまう。
元来戦うために生まれた彼女たちである。
輸送任務の重要性を理解しつつも、やはり燻るものはあったのだ。
雷「旗艦は私がやるわ」
暁「何を言ってるの、旗艦は暁型一番艦の暁の役割よ」
電「喧嘩はだめなのです!」
響「ここはあえて私がやるというのはどうだろうか」
電「だから喧嘩はだめなのです! 喧嘩になるのならいっそ旗艦は……」
電「……電がやるのです」
4人が4人共、期待に胸をふくらませていることは明らかだった。
遠征帰りで、補給すら終わっていないにもかかわらず、彼女たちはキラキラしていた。
9 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:05:43.91 ID:NPpYpUnM0
龍驤「ええで、皆でゆっくり決め」
龍驤「けどあれやな」
龍驤「4人だけやといつもとあんま変わらんやろうから、随伴艦としてウチを入れてや」
その一言で熱気は霧散した。龍驤の、提督の親心がひしひしと伝わったからだ。
遠征の経路でも深海棲艦との衝突はある。それらははぐれの個体ばかりなので、追い払えばそれでおしまいだ。
こちらが先に発見すれば威嚇射撃で追い払う。
むこうが先であれば、威嚇射撃をされる。
ある意味、野生動物の縄張りと同じで無駄な争いは回避できている。
沈めたり沈められたりには、決して発展しない。
これが出撃となると話が変わる。艦娘である彼女たちは、当然それを知っていた。
10 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:07:14.92 ID:NPpYpUnM0
暁「そう、やっぱりそうなるわね」
響「大丈夫だよ、龍驤さん。私たちに出撃はまだ早いみたいだ」
響「それでいいかな、雷」
雷「えー? けど仕方ないよね」
電「もう少し練度を上げてからなのです」
龍驤の表情は柔らかいままで、特段口を挟み込むようなことはしなかった。
雷「あーあ、出撃はまだ先かぁ。けど、せめて演習はしたいわね」
暁「そうね」
電「龍驤さん、なんとかならないのですか?」
龍驤「なんとかなるでー。出撃やなくて演習でええの?」
「「おねがいします」」
龍驤「実は提督に言われとってな、前々から準備はしとったんや」
電「司令官さんが?」
龍驤「そうや、第六駆逐隊が出撃する前に演習をさせたいって言ってたで」
暁「そっかぁ、司令官が……」
11 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:08:42.66 ID:NPpYpUnM0
龍驤「単騎で相手してもらうように申請しとくよ。高練度の艦娘やから単騎でも手強いでー」
龍驤「けどな、そんな強敵を相手にして勝利をつかむことこそが重要や! 4人で頑張り」
暁「ちなみに誰が相手をしてくれるのかしら」
響「たしかにそれは気になるね」
電「いくら高練度の艦娘でも、一度に4人を相手取れる人は限られているのです」
雷「ならきっと川内さんね! あの人は昼夜連戦で、どんどん士気が上がるんだから!」
響「北上さんじゃないだろうか。酸素魚雷は駆逐艦の主兵装だけど、それを最も使いこなせるのは雷巡の彼女だからね。私達の先を行く人だよ」
暁「甘いわね! 2人はすっごく強いかもしれないけど、本当に強い艦娘は一人前のレディーじゃないといけないの。レディーかつ武闘派の艦娘といえば妙高さんよ!」
電「はわわっ! 3人共ものすごい人たちなのです! 電たち4人でも勝てないかも……」
雷「戦う前から何よ! 皆で力を合わせるのよ!」
電「!」
電「雷ちゃんの言うとおりなのです」
龍驤「うんうん、その意気や」
12 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:10:09.56 ID:NPpYpUnM0
響「それで、誰が演習の相手をしてくれるのかな」
期待の眼差しで龍驤に問いかけた。
軽巡の先輩だろうか、雷巡の先輩だろうか、それとも重巡の先輩だろうか。
先輩たちの演習を見学したときの高揚感は忘れられない。
ただの軍艦同士の衝突ではない。在りし日の魂の載せた艦娘同士の凌ぎ合いだ。
これほどまでに力強く、これほどまでに輝いているのかと。
龍驤の回答を待つ。
13 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:11:35.68 ID:NPpYpUnM0
龍驤「長門や」
14 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:12:33.61 ID:NPpYpUnM0
「「……え?」」
まったく、寸毫ほども予想していなかった。
超弩級戦艦長門型戦艦
そのネームシップ艦、長門
曰く、皇国の誇り
曰く、世界のビッグ7
曰く、鎮守府の守護神
あろうことか連合艦隊旗艦が、駆逐艦4盃の演習相手だ。
響「本当なの? 龍驤さん」
龍驤「ほんまやで、なんで嘘つかなあかんのや」
龍驤「しっかり準備しぃ、相手はあの長門やからな」
「「ありがとう!」」
龍驤「ええってええって。あとで感想聞かせてぇ」
龍驤「あ、ちょっち待って。これ配るの忘れとった」
響「これは?」
龍驤「劇の台本や。鎮守府で劇をやって、民間との交流を図るんやって」
電「とてもいいことなのです」
雷「私達に台本ってことは、出演するってことね! 主役は雷かしら!?」
龍驤「主役は瑞鶴やでー、ウチらは調査隊役やな」
雷「そっか、残念」
龍驤「ちゃんと台本を見といてな。ウチは他にも配ってくるわ」
龍驤が去った後に、台本を眺める。
響「この台本には、力を感じる」
暁「間違いないわね、主役は瑞鶴さんだけど……」
雷「司令官も本気なのね! 頑張らなくっちゃ!」
電「……司令官さん、よかったのです」
なんとなく、安心した空気が漂った。
15 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:13:46.24 ID:NPpYpUnM0
――廊下――
龍驤「瑞鶴はどこにおるんやろ、射撃訓練場かな?」
龍驤「長門にも演習の話をせんとあかんし、今日は忙しくなりそうやなぁ」
長門「なんだ? 私に用でもあったか?」
龍驤「あっ、長門みっけ。 何しとったんや?」
長門「うむ、少し比叡と話をだな。 それより何か用事か?」
龍驤「前に話した演習なんやけど、近日中にお願いしたいんやわ」
長門「ほう、とうとう覚悟が決まったのか。楽しみだな」
龍驤「あの子らに長門の本気は見せたりたいんやけど……」
長門「ふふ、いいだろう。主砲、副砲は外そう。三式弾、徹甲弾もなしだな」
長門「主兵装は12.7cm連装高角砲になってしまうが、まぁ仕方あるまい」
龍驤「ごめん……、お願いしといてあれやけど。あの3人の練度やと長門の通常兵装はだいぶ厳しいんや」
長門「なぁに、かまわないさ。私を頼ってくれているのだ、どのような条件だろうと期待に応えてみせよう」
長門「ビッグ7の力、侮るなよ」
龍驤「ありがと」
16 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:14:38.42 ID:NPpYpUnM0
長門「ただし」
長門「龍驤よ、今度は私の演習に付き合ってもらおう」
龍驤「い、いやや!」
長門「まぁ、そういうな。私も願いは聞いてやったろう、だったらお前にも応えて貰わんとな」
龍驤「長門との演習はめっちゃしんどいからいややー!」
言葉とは裏腹に、その顔は笑っていた。笑う、というよりは牙を剥いているようだった。
彼女もまた、皇国が誇る艦娘だ。
長門との戦闘、それを想像して湧き上がる何かがあるのだろう。
長門「はははは、そう喜ぶな。加賀にも声をかけておいてくれ。次は封殺してみせるとな」
龍驤「伝えとくよ」
長門「それより、龍驤。比叡から話を聞いたぞ」
長門「この鎮守府で劇をするんだってな」
龍驤「耳が早いな、その通りやで。けど台本には長門の役はないみたいやな」
長門「そうか、残念だな。まぁ、裏方で力仕事でもさせてもらうさ」
龍驤「力仕事なんか提督にやらせればええって。他のどこでもないこの鎮守府近海でやるんやで」
長門「それもそうだな」
17 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:17:59.80 ID:NPpYpUnM0
長門「ところで、比叡の奴がな。劇の日にドレスを着ることになったと言っていたぞ」
龍驤「それはええなぁ、比叡は美人やからな。和装も似合うけど、ドレスのが似合っとるよな」
長門「うむ、それには同感だ。いつだったかはさすがに見惚れてしまったな」
龍驤「けどなんでやろ? 劇で比叡の役はないで?」
長門「劇の役はないかもしれないが、当日、比叡は『御召艦』のようだな」
龍驤「はい?」
長門「どうも大元帥がいらっしゃるようだ」
龍驤「え? 何しに?」
長門「何って、劇を見に来るのだろう」
龍驤「こんな辺境の鎮守府まで、艦娘の演技を見にか? ありえんやろそれは」
長門「そうかもしれんが。比叡の準備を見るに決まったのは今日昨日ではなさそうだったぞ」
長門「まぁ、政はとんとわからんものでな。我々は祭を楽しむとしよう」
長門「ところで台本を見せてもらってもかまわないか?」
龍驤「別にええけど、大量に刷ったみたいやし」
長門「ふむ」
流し読みをした後に龍驤を眺め、そして笑った。
長門「なるほど、これは提督の決意表明なのかもしれないな」
長門「大元帥への表明であれば、それは何よりも重いものとなるだろうさ」
龍驤「そりゃそうやろうけど、わざわざ何を宣言するんや」
長門「そうだな、例えば」
長門「提督の伴侶とかどうだ」
龍驤「……笑えんでぇ、それ」
長門「笑う必要などないさ。ただ祝うのみだ」
長門「主人公の父親役に提督自身を据えているのだ。必然、それは意図的なものだろう」
長門「それに古典を演じる時は細部が変わるものだ。演出の解釈次第だからな」
長門「提督の役割は、主人公の父親というよりは、どうしても会いたい人物か?」
龍驤「……」
長門「ずいぶん思いきった催しだな。胸が熱くなる」
龍驤「まぁ、ええけど。演習の件、加賀に伝えてくるよ」
長門「あぁ、よろしく頼む」
小走りの龍驤を見送る。
長門「ふふっ、原典にない台詞の追加。これがすべてを物語っているではないか」
『提督、もう一目会ってから、ウチ壊れたかったよ……』
長門「錻(ブリキ)の星で、海底に沈んだ青猫は最期に一番大切な人間を想った。きっと我々艦娘も同じだろうさ」
長門「ただ……」
長門「提督は我々に轟沈を許すほど甘くはないがな」
18 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:19:12.36 ID:NPpYpUnM0
――射撃訓練場――
加賀「さすがね、赤城さん」
加賀 大前:○○○○ ○○✕○ ✕○○○
赤城「いえ、まだまだ微妙な調整が必要です」
赤城 中:○○○✕ ○○○○ ○○○○
翔鶴「一航戦の先輩を見習わなくちゃいけないわね、瑞鶴?」
翔鶴 落前:✕○○○ ○✕○○ ✕○○○
瑞鶴「翔鶴姉、加賀とはあんまり変わんないって」
瑞鶴 落:○○○○ ○○○○ ○✕✕✕
加賀「これだから五航戦は……」
瑞鶴「何よ、加賀! あんただって2本外してるじゃない!」
翔鶴「瑞鶴、先輩に失礼よ」
19 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:21:01.71 ID:NPpYpUnM0
加賀「あなたの考えていたことを当ててみましょうか」
加賀「三立目の一射まで皆中。見たか、一航戦!」
瑞鶴「うっ」
加賀「一本外しちゃった、けどまだ赤城さんと同じだし」
瑞鶴「うぅ」
加賀「二本外しちゃった、どうしよう加賀に並ばれちゃった」
瑞鶴「……」
加賀「その結果がこれよ」
瑞鶴「……けど翔鶴姉だって3本外してる」
加賀「もちろん、開幕即外すのは論外よ」
翔鶴「うぅ」
加賀「けどあなた、そこまで愚かなの? 中たった外したを問題にしていないでしょう」
加賀「中てられたものを、その性根が邪魔をしたということが問題なの」
加賀「そもそも……」
瑞鶴「もういいわよ! 蜻蛉回収してくる!」
翔鶴「まって、瑞鶴。私も行くわ」
加賀「……」
赤城「どうかしましたか?」
加賀「いえ、別に」
20 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:22:47.72 ID:NPpYpUnM0
龍驤「相変わらず加賀は厳しいなぁ」
赤城「あら、龍驤さん。道場に顔を出すなんて珍しいですね」
龍驤「赤城も相変わらずよう中てるなぁ。さすが一航戦の誇りや」
赤城「いえ、まだまだです。慢心はダメ」
龍驤「それでも加賀は厳しすぎんか? もうちょっち優しいしたればええのに」
加賀「……あの子たちにもう少し才覚がなければ、そうしてもいいのですが」
加賀「この鎮守府の戦力、深海棲艦の脅威を考えると、遊ばせるわけには行きません」
加賀「ふたりとも優秀な子たちですから」
赤城「ふふっ、さすがは加賀さんね」
龍驤「それをふたりに聞かせたればええのに」
加賀「それより龍驤さん、何か用かしら」
龍驤「あー、提督がこの鎮守府で劇をやるゆうててな。台本を渡しに来た」
赤城「劇への出演ですか。戦力増強にならなさそうなので断りましょう」
加賀「いや、提督からの命令ですよ。第一声がそれと言うのはさすがに」
龍驤「赤城……、前から思っとったけど、どんなメンタルしてるの?」
赤城「それはともかく。どんな内容です?」
龍驤「端的にいうと、突如発生した脅威に対抗戦力を送り込む話やな」
龍驤「赤城と加賀は、対抗戦力のトップと一緒に戦う役や」
赤城「上々ね」
21 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:25:53.45 ID:NPpYpUnM0
龍驤「それで主役は……」
龍驤「……主役は瑞鶴やな。提督は自信満々やった」
加賀「龍驤さん、あなた……」
瑞鶴「蜻蛉回収してきたわ。んー? 龍驤じゃない、何しに来たの?」
加賀「龍驤?」
翔鶴「瑞鶴!」
龍驤「ええって、ええって」
加賀「ですが」
龍驤「何も間違ってへん。四航戦、軽空母龍驤とはウチのことや」
瑞鶴「で、何しに来たのよ」
龍驤「台本渡しに来たんや。主役は瑞鶴! おめでとう!」
瑞鶴「主役は私? 本当に?」
龍驤「本当や」
瑞鶴「ふ、ふふふ。 見た、加賀? これが私の実力よ!」
加賀「戦闘に関係ないことを自慢しても締まらないわ。 私達は艦娘よ?」
瑞鶴「うぐっ。けど、どんな台本なんだろう。ちょっと見せてよ」
瑞鶴「ふんふん♪」
瑞鶴「……ふーん」
22 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:27:38.39 ID:NPpYpUnM0
龍驤「あんま嬉しそうやないな」
瑞鶴「まぁ、艦娘だしね。敵棲艦を打ち倒してこそでしょ」
龍驤「さっきとえらい変わり様やな。けど、提督は……大事なことを伝えたいから脚本書いたらしいで?」
瑞鶴「そのくらい見ればわかるわよ。これだけ露骨なら」
龍驤「それでも嬉しないんか」
瑞鶴「別にぃ、まぁ主役はちゃんとやるわよ」
瑞鶴「稽古の続きしなくちゃ」
加賀「次はもっと胴造りを意識しなさい。安定した艦体なら、艦載機もしっかり飛べるわ。それから……」
瑞鶴「あんたに稽古なんてつけてもらいたくないわよ! もう邪魔しないで」
龍驤「ふーん、加賀の稽古が嫌なんか」
瑞鶴「嫌よ! ずっと馬鹿にしてくるんだから!」
龍驤「そうかそうか。なら……」
23 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:28:52.22 ID:NPpYpUnM0
龍驤「ウチが稽古つけたる」
24 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:30:21.90 ID:NPpYpUnM0
明らかに瑞鶴の顔が青ざめた。それだけではなく、両の眼には溢れる寸前まで涙が溜まっていた。
瑞鶴「い、いえ。大丈夫です。その、私、龍驤先輩みたいに式神は使えませんので」
龍驤「心配ないでぇ、大戦前は鳳翔と一緒にどっちも訓練しとったからな」
瑞鶴「!?」
瞬きすらできない間に、龍驤は弓と弽(かけ)と襷(たすき)を召喚した。
退路は断たれた。
瑞鶴は姉妹艦に助けを求め、視線を送る。
翔鶴「加賀先輩、赤城先輩! 引き続き稽古よろしくお願いします!」
瑞鶴「翔鶴姉!」
赤城「いいですよ」
加賀「ええ、ですが……」
すでに涙を溢している翔鶴を責めるのは酷だろう。
緊急避難は法的にも認められているのだから。
龍驤「翔鶴はこのまま稽古を続けるみたいやな。じゃあウチらも稽古を始めよか」
もう瑞鶴は完全に泣いていた。
逃げられない、ニゲられない、ニゲラレナイ!
25 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:31:42.37 ID:NPpYpUnM0
加賀「あの、龍驤さん。まだ、台本を配らないといけないでしょう?」
龍驤「そうやな。けど、後は鳳翔のとこだけやから心配ないで」
加賀「その後は提督にも報告しなければいけないでしょう? その時間はあるのかしら」
龍驤「それもそうや、考えてなかった。ありがとう、加賀」
すでに弓具一式は式符に戻っていた。召喚時と同様、その瞬間を捉えることはできなかった。
加賀「いえ、あの子にも稽古の続きをさせたいので」
龍驤「そうや、伝え忘れとった。今度長門と演習するから加賀は予定にいれといてな」
加賀「わかったわ、次は完封すると伝えておいて」
龍驤「ごめんな、瑞鶴。稽古はまた今度な」
瑞鶴「また……、今度おねがいします」
龍驤は一礼をして道場を後にした。
26 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:33:49.92 ID:NPpYpUnM0
緊張の糸が切れ、ふたりは泣きじゃくる。九死に一生を得る、という言葉は妥当だろうか。
加賀「その、瑞鶴。今更言葉を改めろとは言わないけれど、せめて相手を選びなさい」
瑞鶴「はい……、加賀先輩」
瑞鶴「無礼な態度を取った瑞鶴にも稽古をつけて下さり、……ありがとうございます」
加賀「別に、あなたのためではないわ。この鎮守府のために、もっと戦力をつけてもらわないといけないから。ただ……」
加賀「さすがに、龍驤さんの稽古は同情します」
加賀「落ち着くまでは見取り稽古をしなさい」
瑞鶴「……はい」
加賀「……あの、しっかり鍛錬を積みなさい。あなた達はよくやっているのだから……いえ、なんでもないわ」
ふたりは耳を疑った。
すでに射位に立った加賀の表情を伺うことはできない。
それでも、加賀の耳が赤くなっていることだけはわかった。
赤城「……」
横目で五航戦の様子を確認する。
目元は真っ赤だったが、その表情は明らかに輝いていた。
赤城「……上々ね」
27 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/09(土) 22:40:05.59 ID:NPpYpUnM0
艦娘入手方法を調べたところ、ほしい艦娘の絵を描いたり、話を書いたりすればよいとありました。
絵は書けないので、話を書いてみました。
それなりに効果があったような気がします。
特に龍驤は話のプロットを書いた直後の建造で入手することが出来ました。
現状、入手したメンバーのレベル上げ中なので、しばらく入手祈念は延期です。
・龍驤 ✓
・鳳翔 ✓
・加賀
・翔鶴 ✓
・瑞鶴
・長門
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2015/05/09(土) 23:04:15.84 ID:OPSEggq50
http://i.imgur.com/i66JWn3.jpg
http://i.imgur.com/gB4BgeR.jpg
http://i.imgur.com/VMb00SE.jpg
虚言癖 国士舘 中退 ウンフェ 飲酒運転 うつ病 長谷川亮太 無能 イジメ キッズライク 誘拐 ガイジ なかよし学級 ハッセ 恒心 前科 ストーカー 犯罪 万引 逮捕 韓国人 性病 ラブライ豚 盗撮
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/05/09(土) 23:08:55.39 ID:BHvcg3uSo
乙
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2015/05/10(日) 07:16:19.70 ID:TpYJuxVNO
龍驤ええで
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/05/14(木) 08:44:28.12 ID:yWbRBdOO0
だれも突っ込んでないけどビデオカメラを買った提督ってアニメ提督?
なんか妙に一致してんだけど
32 :
◆zqJl2dhSHw
[saga]:2015/05/17(日) 16:52:09.09 ID:i6oUiyyq0
――居酒屋鳳翔――
隼鷹「海上護衛任務中にさ、スコールにぶち当たったわけ」
隼鷹「そしたら一緒に話をしてたチビちゃんたちが悲しそうな顔をすんのよ」
『おねえちゃん、傘させなくてびしょぬれになっちゃう』
鳳翔「あら、とても良い子ですね」
隼鷹「だろ? やっぱ客船に乗るような子らは育ちもいいんかね?」
隼鷹「別にあたしら艦娘だから雨くらいどうってことないじゃん? けどチビちゃんたちはそんなのわかんないんだよね〜」
鳳翔「そうかもしれませんね」
隼鷹「けどスコールはスコールだから外は危ないじゃん? 船内に戻って欲しかったけど、心配そうにずっとこっち見てるの」
隼鷹「せっかくの船旅で余計な心配なんてする必要ないって伝えようにも、そもそもあたしが艦娘ってことを理解してないわけ」
隼鷹「そこであたしはこう言ってやった」
『ひゃっはぁー! ちょうどいいタイミングで雨が降ってきたぜ〜。傘なんかいらないな!』
『なぜかって? 昨日、シャワーを浴びてなかったんだよね〜』
隼鷹「そしたらチビちゃんたち大爆笑。おねえちゃんのシャワーが終わったらタオルを渡してあげるねって船内にもどってくれたわけよ」
33 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/17(日) 16:53:35.54 ID:i6oUiyyq0
隼鷹「いや〜、これであたしも一安心。やっぱ船旅は安全に楽しんでもらいたいからね」
鳳翔「隼鷹さんと一緒だったら間違いなく楽しいですよ」
隼鷹「護衛だったけどさ、やっぱり船旅はいいもんだ」
隼鷹「鳳翔さん、霧島のお湯割り頂戴。なんだか今夜はゆっくりしたい気分だ」
鳳翔「はい、ゆっくりしていってください。お砂糖と肉桂も入れましょうか?」
隼鷹「ひゃはっはっは、トデーにはしなくていいって。鳳翔さんの作ってくれる肴も食べたいしね」
鳳翔「ふふっ、少し待ってくださいね」
龍驤「こんばんは、鳳翔ちょっとええか?」
鳳翔「あら龍驤、いらっしゃい。こんな時間に珍しいですね」
龍驤「まぁ、ちょっとな。あれ? 隼鷹やん、お帰り。遠征どうやった?」
34 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/17(日) 16:54:41.00 ID:i6oUiyyq0
隼鷹「……」
隼鷹「いや〜、めっちゃ大変だった。ちょっと聞けって」
龍驤「ええでぇ、隼鷹が大変ゆうのはよっぽどやからな。ヌ級でもでたんか?」
隼鷹「まあね」
隼鷹「話したいのは山々なんだけど、実はもうクタクタでさ。もう帰って寝るとこだったんだよね〜」
龍驤「そうか? いつでも聞くから無理せんといてな」
隼鷹「ありがと。鳳翔さん、ご馳走様。また来ます」
鳳翔「はい、また来てくださいね」
手をひらひらと振りながら、隼鷹は店を後にした。
龍驤「……」
龍驤「なあ、鳳翔」
鳳翔「どうかしましたか?」
龍驤「あとで隼鷹にお礼持ってきたいからなんか作って」
鳳翔「あら、何かありましたか?」
龍驤「いや、先付けの器しかないやん。来たばっかで帰らせてしまったみたいや」
鳳翔「……心配りができる人ですからね。あなたの様子に気がついたんでしょう」
龍驤「やっぱそうかぁ」
35 :
◆zqJl2dhSHw
[sage saga]:2015/05/17(日) 16:58:31.68 ID:i6oUiyyq0
龍驤「まず、これ」
鳳翔「本? いえ、台本ですか」
龍驤「うん、提督がこの鎮守府で劇をするって。出演する艦娘に台本を渡しに歩いてる」
鳳翔「そうですか。内容は見ましたか?」
龍驤「見たよ。瑞鶴が主役で、提督を探しに行く話でね」
龍驤「長門の見立てだと、提督が大元帥に大切な報告をするためにこの催しをするみたい」
鳳翔「あの、龍驤? 話が見えないのだけど」
龍驤「どうも伴侶を決めるんだって」
鳳翔「あら! それはおめでたいですね。良かったじゃない」
龍驤「よくないよ。そうなったら提督の秘書艦じゃいられなくなるよ」
鳳翔「それはどういうことですか?」
龍驤「長いこと秘書艦をしてきたから、提督の性格はわかってるつもり」
鳳翔「まぁ、聞くだけは聞きます」
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