瑞鶴「もう二度と離さない」

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61 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/04/21(火) 22:57:34.33 ID:uFvpFHMVO
時津風「あたれ〜!!」ズドン!

天津風「当たって!!」ズドン!

時津風「また外れた!! あの三人なんなのさ!!」

天津風「あと少しで瑞鳳さんの艦載機が来るわ。そうしたらもう少しやり易くなるわよ」

時津風「そうだね〜」

天津風「でも、陽炎姉さん達はどうして私達に攻撃して来ないのかしら?」

時津風「さあ〜 ん? 構えたよ」

天津風「時津風、回避運動! 取り舵!!」

ズドン!! ベチャッ

天津風「嘘っ!? 私の動きが読まれたの!? いや、まさかそんな……」

時津風「天津風の前と左と右に着弾してたね」

天津風「なんて射撃精度をしてるの……」

時津風「流石だね〜 因みに判定はどうなのさ?」

天津風「ギリギリ中破ね。あと一撃貰ったら大破で間違いないわ。砲塔は二基使用不可になっちゃったけど」

時津風「ヤバいね」

摩耶「そんなの気にするな! あたしがついてるだろ! 自信を持つんだよ!」

天津風「は、はい!」

時津風「はいは〜い」
62 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/04/21(火) 22:58:01.59 ID:uFvpFHMVO
ズドーン! ベチャッ

野分「あっ!?」

陽炎「大破ね、野分は離脱して」

野分「はい……すみません……」

陽炎「ううん、よく頑張ったわ。後は私と舞風に任せて」

野分「よろしくお願いします」

舞風「野分はゆっくり休んでて」

野分「ごめん」

舞風「お互い様だよ!」

陽炎「舞風、一点突破を狙うわ! 私の後ろについて来なさい! ついでに魚雷もばら撒くから雷撃も準備しといて」

舞風「うん!!」

陽炎「最大戦速!! 突撃ぃ!」
63 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/04/21(火) 22:58:53.82 ID:uFvpFHMVO
秋月「天津風と時津風が撃破されました!」

瑞鳳「私の航空隊も全弾回避された!」

秋月「わ、私が瑞鳳さんのことを護ります!」

瑞鳳「私の事は構わないで攻撃に専念して」

秋月「しかし……」

瑞鳳「私、回避に自信があるから大丈夫だよ」

秋月「分かり……危ないっ!!」サッ

瑞鳳「秋月ちゃん!?」

ズドーン!!

秋月「大破……判定…………すみません、至らなくて……」

瑞鳳「一体どこから……あっ! 潜水艦!!」

瑞鳳「もう味方の援護は望めないわね……」

陽炎「貰ったわ!!」バシュッ

ズドーン!!

提督「瑞鳳大破。これにて演習は終了だ。全艦帰投せよ」
64 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/04/21(火) 23:02:50.07 ID:uFvpFHMVO
今日はこれで終わりです

やっと演習が終わりました。たかが演習に計20レスなんて我ながら馬鹿げてますね。
というより、冒頭から演習シーンしかやっていないような気が…………


例の如く雪風SS専念期間に戻ります!
また来ますね!
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/21(火) 23:03:13.35 ID:N8TOGpjdo
おつ
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/22(水) 00:21:49.08 ID:8KZt6m89O
乙です
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/22(水) 10:12:44.44 ID:PJzbWGKSO
乙です
68 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/03(日) 23:19:24.00 ID:c/Aqa3DyO
提督「全員お疲れ様だ。慣れない形式の演習だったにも関わらず良い動きをしていた。では、それぞれのチームに私なりの意見を伝えようと思う。まずは甲軍からだ」

瑞鳳「はい!」

提督「瑞鳳は艦載機の運用は流石だった。瑞鶴との艦載機量の差を戦術で完全にカバーしていた。しかし、相手に接近されると弱いな。当面の課題はそこだな」

瑞鳳「はい……」

提督「そして、恐らく真っ先に狙われるであろう瑞鳳を護衛する為に対空の要として摩耶と秋月を護衛につけたのは良かったな。摩耶と秋月はその役割を十二分に全うしていた。二人とも良い仕事をしていた」

摩耶「ああ、サンキューなっ、提督!」

秋月「司令、ありがとうございます!」

提督「うむ。次に水雷戦隊だが、水雷戦隊に関してはもう少し上手く動かせなかったか? 例えばだが、熊野達水上打撃部隊と水雷戦隊で比叡達を挟撃する。個々の能力は高いが、その能力を活かす動きが出来ていなかった」

川内「確かにね〜」

提督「陽炎達についてはまた後ほど話すが、彼女達のように敵艦隊を引っ掻き回せるようになるといいな。出来れば、陽炎達とは異なる動きを出来るようになると私としては嬉しいが」

川内「分かった。ちょっと考えてみる」

提督「そうしてくれ。電達も川内と一緒に考えてみてくれ」

電「はい、なのです!」

提督「最後に、潜水艦には細心の注意を払え。潜水艦は何時でも自分達を狙っていると考えるんだ。今日は演習だったから実際にダメージを受けることは無かった。が、もしもこれが実戦だったらどうだった? 確実に秋月と瑞鳳は沈んでいたぞ」

瑞鳳「はい……すみません……」

秋月「ごめんなさい……」

提督「今回の失敗を絶対に忘れるな。瑞鳳に限らず全員もだ。絶対に潜水艦には気を付けろ」

全員「はい!!」



69 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/03(日) 23:19:53.18 ID:c/Aqa3DyO
提督「次に乙軍だ。瑞鶴、お前は自分の艦載機運用は何が悪かったか分かるか?」

瑞鶴「…………艦載機を雲の上を飛ばさなかったから」

提督「違う、それは結果論だ。確かにあの時雲の上を飛ばしていたらまた結果は変わっただろう。しかし、私が言いたいのはそんな事ではない」

瑞鶴「……ごめんなさい……分かりません……」

提督「驕りだ」

瑞鶴「驕り?」

提督「お前は正規空母で軽空母と比べて圧倒的な搭載量を誇る。言うまでも無くそれは大きなアドバンテージだ。しかし、お前はそのアドバンテージを過信し、格下の瑞鳳を甘く見ていた。それが今回のお前の最大の失敗だ」

瑞鶴「くっ……」

提督「違うか? 違うのなら反論をしなさい。どうだ?」

瑞鶴「……その、通り、です……」

提督「もう二度と自分の力を過信をするな。どんな相手でも細心の注意を払え。分かったか?」

瑞鶴「……分かりました」

提督「では、次に伊5……」

伊58「ゴーヤでち」

提督「……ゴーヤだが、初めての実戦にも関わらず良い連携を取っていた」

伊58「ほんと!?」

提督「ああ。ただ、一点気になる事がある」

伊58「気になる点?」

提督「今回は瑞鳳達もあまり警戒していなかったからあの距離まで近付く事が出来た。しかし、余りにも不用意に接近し過ぎると危険だ。間違いなく発見される」

伊58「あ……」

提督「演習だからといって普通なら近付かない距離に入り込んではならない。深海棲艦に対して同じ事をしたら……沈められるぞ」

伊58「う……あ……」

提督「それだけは気を付けて欲しい」

伊58「分かりました」
70 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/05/03(日) 23:20:25.45 ID:c/Aqa3DyO
提督「ああ。そして、比叡と夕張、青葉」

夕張「はい!?」

青葉「はい!?」

比叡「はい!」

提督「比叡は十二分に仕事をこなしていた。艦載機の接近時もそちらのみに気を取られずにしっかりと目の前の敵に対処出来ていた。さらにお前個人の技能だが、砲撃の精度もピカイチだ。この調子で精進しなさい」

比叡「はい! ありがとうございます!!」

提督「問題は夕張と青葉だ。お前達ギャグでもやるつもりか?」

青葉「い、いえ、そんなこ、ことは、ないですよ!」

夕張「私も……」

提督「被弾した時の醜態を忘れたとは言わせん。演習だから顔は無しなんて甘ったれた事を考えるなど論外だ。あれは完全に夕立の勝ちだ」

夕立「夕立、褒められたっぽい!?」

響「まあ、そうなるね」

夕立「やったぁ!!」

提督「夕張と青葉は、明日の近接戦闘の訓練は俺が直接指導する」

青葉「あぁぁぁぁぁぁ!!?」

夕張「ごめんなさい〜!!」

提督「……明日楽しみにしておけ」

青葉「あ……あぁぁぁぁぁ」

夕張「死んだ……」
71 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/03(日) 23:21:12.18 ID:c/Aqa3DyO
提督「最後に陽炎達水雷戦隊だ」

陽炎「は〜い!」

舞風「わくわく」

提督「まずは不知火達分隊だが、初風と雪風のコンビネーションには驚かされた」

雪風「雪風と初風、頑張りました!!」

提督「ああ。まさか初風の陰から雷撃と砲撃をし、魚雷が初風に命中する直前で躱すなんて芸当を出来るとは思ってもいなかった」

初風「ま、私達が本気を出せばこんなもんよ」

提督「次は実戦でも出来るとはいいな」

初風「うっ……バレてる」

提督「実戦を意識しての練習ならば怒りはせん。むしろ、ぶっつけ本番でやられる方が困る」

初風「まあ、ね」

提督「いつか完璧にこなせる様になる時を楽しみにしてるぞ」

雪風「はい!!」

提督「で、陽炎達だ」

舞風「提督ぅ、舞風達どうだった?」

提督「動きに関しては何も申し分ない。ゴーヤとの連携も完璧で見事に敵の旗艦も落とした。これは戦術と陽炎達の技量があったからこそ成し遂げられた。だが、だからこそ見えた課題がある」

陽炎「課題?」

提督「本来なら天津風達もお前達の艦隊に編入するのだが、そうすると練度にバラツキが出る」

陽炎「あぁ、そゆことね!」

提督「察しが良くて助かるよ。とりあえずは天津風や時津風、野分など、比較的最近入った子達を中心に練度を上げてバラツキを出来る限り抑えてくれ。勿論全員の練度を上げるのは今までと何ら変わりは無い」

陽炎「分かったわ! 私に任せてね!」

提督「頼むよ」

陽炎「うん!!」

提督「批評はこれまでにしておく。何かあれば執務室に来てくれ。答えられる範囲で答えよう」

全員「はい!」

提督「今日は慣れない形式の演習で疲れただろう、今日はもう自由にして良いぞ。しかし、食堂の営業時間は変わらないから、寝過して食べ損ねるなどという事は無いようにな。では全員解散してくれ」

全員「はい!!」

……………………。
72 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/03(日) 23:22:20.73 ID:babPTm/UO
深夜

瑞鶴(私、今日はダメダメだった……提督さんが言ってた通り軽空母の瑞鳳の事を舐めてたし……)トボトボ

瑞鶴(それに、提督さんは私にだけは褒めてくれなかったし……もしかして嫌われちゃったのかな……?)

瑞鶴(嫌だなぁ……明日から提督さんの顔見れ無いよ……)

瑞鶴(私、提督さんに嫌われちゃってたらどうなるんだろう……捨てられちゃうの? それとも標的艦とかにされちゃうのかな……)

瑞鶴(…………でも、私が悪いんだもんね……しょうがないか……)チラッ

瑞鶴「あれ?」

瑞鶴(執務室、まだ灯りが……提督さんまだ起きてるのかな? それなら音を立てないように……)コソコソ

瑞鳳「瑞鶴のことなんだけど……」

瑞鶴「っ!?」ビクッ

瑞鶴(えっ!? ばれた!?)

提督「瑞鶴がどうした?」

瑞鶴(私の話題?)

瑞鳳「どうして提督は瑞鶴にだけあんなに厳しくしたの?」

提督「夕張や青葉にも厳しくしたつもりだが」

瑞鳳「あの二人は別。瑞鶴に厳しく当たった理由教えてくれない? 提督も、ゴーヤちゃんや陽炎ちゃん達の動きを支持したのは瑞鶴だってこと知ってるんでしょ?」

提督「ああ、知ってる」

瑞鶴(えっ!?)

瑞鳳「じゃあ、どうして褒めてあげなかったの?」
73 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/03(日) 23:23:17.42 ID:babPTm/UO
提督「それはだな。瑞鶴をより成長させる為だ」

瑞鳳「それは分かってる。提督は理由も無く人を嫌いにならないし、どんな相手でも仕事では平等に接してくれるのもね」

提督「それはそれで私の事を買い被り過ぎな気もするが、まあ良いだろう……」

提督「確かに他の子達に対する支持はかなり良かった。だが、あの時の瑞鶴にその事を言ってしまったら、また油断や過信に繋がる可能性があった。油断や過信は死に直結する。私はその危険性を何としても取り除きたい。だからあの様に叱ったのだよ」

瑞鳳「私の予想通りね。だけど、瑞鶴、今頃泣いてるかもよ? それに心が折れちゃうかも」

提督「確かに瑞鶴は、私にこっ酷く言われて今頃凹んでいるかもしれんが、あの子なら乗り越えてくれると信じてる」

瑞鳳「それは提督の勘?」

提督「いいや、そんな事は無いさ。あそこまで気の強い子だ、そんな簡単に挫折はしない。むしろその悔しさをバネに乗り越えて来ると私は読んでるよ」

瑞鳳「でも、提督の事嫌いになっちゃうかもよ?」

提督「その時はその時だ。結果的に瑞鶴の命を救う事に繋がるのならば甘んじてそれを受け入れよう」

瑞鳳「もう……提督ったら」

提督「私の大切な子達の為だ。その為になら私は修羅にでも何でもなろう」

瑞鳳「私と陽炎ちゃんは提督の事を絶対に見捨てないけどね」

提督「有難いな」

瑞鳳「でも、こんな話は瑞鶴や他の人に聞かせられないね」

提督「そうだな」

コトッ

提督「ん?」

瑞鳳「どうしたの?」

提督「何か物音が聞こえた気がするが、気の所為の様だ」

瑞鳳「そう?」

提督「さて、あと少しで今日の書類整理が終わる。さっさと終わらせよう」

瑞鳳「うん!」

…………。
74 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/03(日) 23:24:42.20 ID:babPTm/UO
瑞鶴(提督さん……私の事を想ってあんな事を……)ドキドキ

瑞鶴(提督さんのこと、私誤解してたんだ……凄く優しいのに……」

瑞鶴(…………ありがとう、提督さん。私、もっともっと頑張るから見ててね)

………………………………

………………

……
75 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/03(日) 23:29:08.78 ID:babPTm/UO
今日はこれで終わりです


また来ますね!



チラ裏的なアレ
何とか春イベは高波、ローマ堀も終わり完遂しました。E-6は初日に終わったのにローマが中々出てくれなくて今朝やっと出ました。辛かったですね……




こちらの雪風は書いていて癒される……
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/03(日) 23:32:07.43 ID:A09FT4pBO
乙です
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/04(月) 09:57:23.99 ID:M2UffdmSO
乙です
まぁ、あっちの雪風はこっちより苦労人ですからね
78 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/05(火) 01:31:10.98 ID:5TT5yYqJO
翌日

提督「ん?」

瑞鶴「あ、提督さん! おはようございます!!」

提督「こんな朝早くからどうしたんだ?」

瑞鶴「昨日の反省を活かす為に戦術書をちょっとね」

提督「良い心掛けだな」

瑞鶴「うん! 私、絶対にこの鎮守府で一番になるって決めたから!」

提督「一番?」

瑞鶴「一番提督さんの役に立てるようにね」

提督「どうしてまた……いや、そうなって貰えると私も嬉しいのだが……」

瑞鶴「分かってる。瑞鳳も陽炎ちゃんも私より優秀だし、並大抵の努力じゃあの二人に敵わない分かってる。だけど、私、やるって決めたから」

提督「そうか……期待してるぞ」

瑞鶴「私、頑張るから!」

提督「ああ」

瑞鶴「でも瑞鶴、ちょっとお腹空いちゃったかも……ねぇ提督さん。一緒にご飯食べに行かない? 確かもう食堂開いてるよね?」

提督「今からか?」

瑞鶴「もしかして忙しかった?」

提督「いや、そうでは無いのだが……」

瑞鶴「それとも何か用事があるの?」

提督「分かった。食堂に行こう」

瑞鶴「やった!!」

提督「ほら、行くぞ」スタスタ

瑞鶴「うん!」

………………。
79 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/05(火) 01:32:06.53 ID:5TT5yYqJO
提督「……ふぅ」コトッ

瑞鶴「提督さん、お待たせ」

提督「味噌汁に干物、ご飯。思ったよりも普通の物を食べるんだな」

瑞鶴「何か変だった?」

提督「てっきり瑞鶴はパンやオムライスのような洋食を食べると思っていた」

瑞鶴「そういうのもいいんだけれどね。だけど朝からオムライスは流石に重いし、何より私は和食が好きなんだもん」

提督「ほう。そうだったのか」

瑞鶴「うん。それより……提督さんはそれだけでいいの? 流石にそれは食べたとは言えないんじゃない?」

提督「生卵を一つ飲むだけで十分だ。そもそも私は朝食はあまり食べないんだ」

瑞鶴「駄目だよ、そんなことしちゃ。朝食は大事なんだよ?」

提督「分かってはいるのだが、いかんせん身体が受け付けなくてな」

瑞鶴「あんまり無理しないでよね?」

提督「善処しよう」

瑞鶴「もう……絶対に改善するつもり無いでしょ?」

提督「ノーコメントだ」
80 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/05(火) 01:32:47.29 ID:5TT5yYqJO
瑞鶴「いただきます」スッ パクッ

瑞鶴「あ、美味しい」

提督「その魚は……ホッケか?」

瑞鶴「うん、そうみたい。このホッケ、すごく身が柔らかい」パクッ

瑞鶴「ん〜!!」ニコニコ

提督「良かったな」

瑞鶴「幸せ〜」パクパク

提督「ホッケをゆっくり味わうのも良いが、味噌汁が冷めるぞ」

瑞鶴「あ、そうだね!」ズズッ

瑞鶴「味噌汁も美味しい!! 魚……鱈が入ってるみたい」

提督「出汁が効いていて良いだろう?」

瑞鶴「うん!」パクパク

提督「ふっ……瑞鶴は幸せそうに食べるな」

瑞鶴「えっ!? 何か変だった!?」

提督「そうでは無いよ。ただ純粋にそう思っただけだ」

瑞鶴「だって自分の気持ちを押し[ピーーー]なんてあまり良いこと無いじゃない?」

提督「まあな」

瑞鶴「なら、全力で楽しんだ者勝ちじゃない?」

提督「ポジティブシンキングだな」

瑞鶴「そうかな?」

提督「ああ。だが、明るい事は良い事だぞ」

瑞鶴「うん!」

…………。
81 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/05(火) 01:34:21.50 ID:5TT5yYqJO
瑞鶴「ご馳走様でした」

提督「満足か?」

瑞鶴「もうお腹いっぱい」

提督「ならばそろそろ行こうか。あと少しすると他の子達で混雑する」

瑞鶴「そうだね。提督さんはこの後どうするの?」

提督「業務に戻る。瑞鶴は朝礼の時間まで好きにしていなさい」

瑞鶴「そうする。そうだ提督さん、ありがとね」

提督「ああ。そうだ、あまり他の者に言いふらすなよ? 特に瑞鳳や陽炎にはな」

瑞鶴「は〜い!」

提督「では、後ほどな」スタスタ

提督(思ったよりも凹んでいなかった。むしろ元気になっていた……一体どうしたのだろうか……)

提督(ただ単に引き摺らない性格なのか、それとも何か昨夜の内にあったのだろうか……)

提督(まあ、元気になる分には問題ないか)

………………。
82 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/05(火) 01:34:54.89 ID:5TT5yYqJO
陽炎「司令、こっちの書類は終わったわよ!」

提督「ふむ……」ペラペラ

提督「特に記入漏れも無さそうだな。ありがとう」

陽炎「どういたしまして! 司令の方はそろそろ終わりそう?」

提督「そうだな。あと少しで私の方も……」ペラッ サラサラ

提督「ん?」ペラッ

陽炎「どうしたの?」

提督「いや、他の鎮守府の話だった。一瞬この鎮守府への命令だと思っだんだ」

陽炎「そう? もしかしたら司令疲れてるんじゃない? 普段はあんまりそんな見間違えなんてしないし」

提督「そうかもしれんな」

陽炎「じゃ、キリの良いところで一回お休みしましょ? ね? ね!?」

提督「そうだな……そうしようか」

陽炎「それじゃあ間宮さんのところに行こ? 新作のパフェがあるんだって!」

提督「流石に私は食べないぞ」

陽炎「え〜」

提督「いつも言ってるが、あまり甘い物は好きでは無いんだ」

陽炎「美味しいのに」

提督「もしも気が向いたら食べるとするよ」

陽炎「その時は一緒に食べようね」

提督「わかったよ」

陽炎「約束よ! じゃ、早速行こ?」パタパタ

提督「焦るな焦るな」スタスタ

提督(西方の海上打通連絡作戦……一体大本営は何を考えているんだ。日本の領海ですら満足に制圧出来ていないにも関わらずこのような作戦などもっての他だ)

提督(せめて、この鎮守府が実行部隊として選ばれない事を願うしか無いか……)

陽炎「司令! 早く早く!!」ピョンピョン

提督「分かったからそう急かすな」スタスタ

………………………………。
83 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/05(火) 01:37:14.90 ID:5TT5yYqJO
今日はこれで終わりです。


いつもの時間に投稿しようと思っていたのにいつの間にか落ちてしまった……

遅くなってすみません



また来ますね
84 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/05/05(火) 02:07:42.74 ID:5TT5yYqJO
>>80
訂正

瑞鶴「だって自分の気持ちを押し殺すなんてあまり良いこと無いじゃない?」



おやすみなさい
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 09:54:57.01 ID:mqvKBAbSO
乙です
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 09:58:55.67 ID:JmI9pCVvo
乙です
87 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/06(水) 11:48:10.71 ID:Zi0xK0wEO
すみません、昨日も更新する予定だったのですが、寝落ちしてしまいました……


今日の夜には更新します。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/06(水) 12:59:13.31 ID:X6qJi3n8O
把握
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/06(水) 16:11:21.04 ID:gGUY3rZSO
了解です
90 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/06(水) 22:08:57.60 ID:+m8IdrIrO
間宮「はい、どうぞ。期間限定の桜パフェよ」

陽炎「ありがとうございます!」パタパタ

陽炎「お待たせ、司令!」

提督「デカイな……ちゃんと食べれるのか? 夕飯までまだ時間あるとはいえ、流石にその量は無理だろう?」

陽炎「大丈夫よ! 甘い物は別腹だからね!」

提督「それにしたって多過ぎる……見ているだけで胸焼けする」

陽炎「司令ったら、本当に甘い物は駄目なんだよね」

提督「全部が全部無理な訳ではないのだがな」

陽炎「なら、これは大丈夫? ほら、あーん」スッ

提督「遠慮する」

陽炎「食べてくれないとストライキしちゃうわよ?」

提督「軍属の身でそれが許されると思うか?」

陽炎「司令がこれを食べてくれれば済む話よ」

提督「……一口だけだぞ」

陽炎「うん! はい!」

提督「…………甘い……」

陽炎「だってパフェだもん、当たり前よ」パクパク

陽炎「うん、美味し!」

………………。
91 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/06(水) 22:09:42.07 ID:+m8IdrIrO
陽炎「美味しかった〜!」

提督「私が支払っておくから陽炎は瑞鳳と一緒に執務室まで来てくれ」

陽炎「え、いいの?」

提督「書類整理を手伝ってくれた御褒美だと思ってくれ」

陽炎「ありがと、司令! 大好きよ!」

提督「ああ」

陽炎「じゃあ、瑞鳳さん探してくるね!」パタパタ

間宮「ふふっ、陽炎ちゃんってば元気ですね」

提督「全くだ」

間宮「それにしても、まさしく恋する乙女って雰囲気を醸し出してます。そう思いませんか?」

提督「……それを私に聞くか?」

間宮「提督に、とは言ってませんよ?」

提督「…………負けたよ」

間宮「みんな大切にするのもいいのですが、あんまり何股もかけるのは良くないですからね〜」

提督「なんの事だ」

間宮「陽炎ちゃんに〜瑞鳳さん。そして今朝は瑞鶴さんも……」

提督「肝には命じておくが、お前は減給をご所望か?」

間宮「いえいえ、そんなことありませんよ」

提督「まあいい……陽炎も満足していた。ご馳走」スッ

間宮「それは良かったです。はい、お釣りです」

提督「それで好きな物でも買うがいい」

間宮「いえ、大丈夫です。十分過ぎるほどお給料は頂いておりますから」

提督「了解だ。世話になった」

間宮「また来てくださいね〜」

…………。
92 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/06(水) 22:10:12.88 ID:+m8IdrIrO
コンコン コンコン

陽炎「司令、入ってもいい?」

提督「ああ。入ってくれ」

ガチャッ パタン

陽炎「お待たせっ、司令!」

瑞鳳「どうしたの?」

提督「何点か共有しておきたい事があったのと、出撃の件で少し話し会いたくてな」

瑞鳳「出撃? どこか制圧するの?」

提督「そうだ。だが、とりあえずは情報の共有から話そう」

瑞鳳「うん」

提督「単刀直入に言えば、大本営から西進の司令が出た」

瑞鳳「西進? 印度とか?」

提督「それも含まれるが、もっと先だ」

陽炎「まさか……欧州?」

提督「そうだ」

瑞鳳「嘘……だよね……そんな範囲の補給線の維持なんて無理よ!」

提督「同感だ。日本の領海ですら時々敵が現れるというのに、遙か彼方まで補給線を確保し維持し続けるするのは不可能だ。流石に大本営もそこまで無能だった訳では無かったようで、維持せよとは言っていない」

陽炎「どうして? 折角攻略するのにその海域を手放すの?」

提督「どうやら、同盟を組んでいたドイツからの連絡が最近途絶えた様だ。そのため、上層部はドイツと直接コンタクトを取ることにしたらしい」
93 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/06(水) 22:10:43.84 ID:+m8IdrIrO
瑞鳳「そういうことなんだ……でも」

提督「でも?」

瑞鳳「えっと……英国とかに援護を頼むのはダメだったのかなって?」

提督「不可能だ。我々日本は連合国側との戦争は敗戦という形で終結したものの、対立関係は未だに継続中だ。それに加え、日本は直接的な影響は受けなかったが、核戦争の勃発によってその対立関係もより複雑になってしまった」

瑞鳳「でも、深海棲艦が跋扈してる今くらいは協力してもいいんじゃない?」

提督「そう出来たら良いのだが、もう一つ無理な理由があるんだ」

瑞鳳「どういうこと?」

提督「かつてドイツがイギリスやフランスなどといった敵対国に対し、深海棲艦の脅威を排除する為に一時の同盟を呼びかけたらしい。しかし、それぞれの国に艦娘を派遣したところ、それらの国は深海棲艦に乗っ取られていたのだよ」

瑞鳳「えっ!?」

陽炎「嘘っ!?」

提督「向こうでで生き残っている海軍……つまり艦娘はイタリア、フィンランド、ブルガリア、ルーマニアなど、かつての戦争で我々の味方だった国しか生き残っていなかったようだ。だが、その後になって深海棲艦に滅ぼされた国も多いと聞く」

瑞鳳「ということは……」

提督「人類は滅亡寸前という事だ。日本の周りも知っての通り、深海棲艦が住み着く大陸となってしまった。核戦争で人類の人口が急激に減り、そこに深海棲艦が乗り込んで来た。海の防衛力が弱い国とその国民が滅ぶのは必然だろうな」

陽炎「じゃあ、独逸はもう……」

瑞鳳「滅ぼされた……の?」

提督「その可能性が高い」

94 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/06(水) 22:11:45.10 ID:+m8IdrIrO
提督「しかし、今回の作戦は我々が出ると決まった訳ではない。あくまでも、何処かの鎮守府が、又は合同で作戦に参加する事になるという告知だ」

瑞鳳「じゃあ、この鎮守府が作戦参加しない可能性も?」

提督「ある。だから私は先手を打っておこうと考えている」

陽炎「先手?」

提督「出撃をする」

瑞鳳「出撃して大なり小なり損傷すれば選ばれない可能性が高くなるから?」

提督「そういう事だ。だが、仮にその作戦に参加する事になっても、この出撃がメリットに変わる様にする」

陽炎「どうするの?」

提督「南西海域の資源地を取りに行く。東部オリョールを奪還し、海上輸送ラインを形成、資源の搬入を行う」

陽炎「つまり、もしも大規模作戦に参加する事になっても資源の枯渇を防ぐ事になるってこと?」

提督「そうだ。他にも敵の輸送ラインの断絶、そして、瑞鶴とゴーヤに実戦経験をさせるという側面も持っている」

瑞鳳「うん、いいと思います」

提督「陽炎は?」

陽炎「私も良いと思うわ!」

提督「では、編成や攻略方法について考えたいと思う。二人ともいつも通り自由に意見してくれ」

陽炎「は〜い!」

………………………………

………………

……
95 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/06(水) 22:12:20.20 ID:+m8IdrIrO
コンコン コンコン

瑞鶴「瑞鶴とゴーヤ、参上しました」

提督「入ってくれ」

瑞鶴「失礼します」ガチャ

瑞鶴「あれ? 瑞鳳と陽炎ちゃん?」

瑞鳳「待ってたよ」

陽炎「ほら、ここに座って」

瑞鶴「えっと……」

提督「座って良いぞ」

瑞鶴「うん、じゃあ」スッ

伊58「ゴーヤ、座りまーす!」ポスン

瑞鶴「突然呼び出してどうしたの? もしかして何かやらかしちゃってた?」

提督「そういう訳では無い。だが、お前達だからこそ伝えねばならない事だな」

瑞鶴「私達だから?……新人だからって事でいいの?」

提督「ああ。その認識で間違っていない」

瑞鶴「ふぅん」

瑞鳳「はい、二人とも。お茶とお茶菓子よ」

瑞鶴「ありがと……って、これ、卵焼きじゃない!?」

瑞鳳「うん! そうだよ!」

瑞鶴「貰う側から言うのもあれだけど、これはお茶菓子とは言わないと思う……」

瑞鳳「甘い卵焼きならお菓子みたいなものだもん」

瑞鶴「いや……でも……」

提督「瑞鶴。そこは触れてやるな……それに味は保証するからとりあえずは安心してくれ」

瑞鶴「うん……」パクッ

瑞鳳「どう?」

瑞鶴「ん、美味しい」

瑞鳳「良かった!」
96 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/06(水) 22:13:04.44 ID:+m8IdrIrO
提督「まあ、二人ともそれを食べながらで良いから聞いてくれ」

伊58「はーい!」

提督「明日、二人には実戦に出て貰う」

瑞鶴「っ!? げほっ!! お、お茶が気管に、げほっげほっ!!」

瑞鳳「大丈夫?」

瑞鶴「うん……何とか」

伊58「どうしてゴーヤ達にそれを教えてくれたの? 普通はギリギリまで教えないよね?」

提督「ああ。確かに普通なら秘書艦じゃ無い限りは知らされる事は殆どない。だが、あえて今回は二人に作戦内容や、編成を教えておく」

瑞鶴「教えてくれる理由はあるの?」

提督「お前達が戦死する可能性を少しでも減らす為だ。1日の違いとはいえ、二人は心構えと覚悟を決める事が出来る。そして、自分の所属する部隊の旗艦に、その艦隊の大まかな方針や戦術などを教えて貰う時間も出来る。この1日の差は小さいようで、大きかったりするのだよ」

瑞鶴「納得出来たわ」

提督「ゴーヤは?」

伊58「大丈夫でち!」

提督「ならいい。では、細かいところも含めて説明する」

瑞鶴「お願いします」

伊58「よろしくお願いします!」

提督「まずは……」

………………………………。
97 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/06(水) 22:14:30.87 ID:+m8IdrIrO
今日はこれで終わりです。


また来ますね!
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/06(水) 23:03:28.01 ID:xUjc4a8GO
乙です
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/07(木) 10:12:46.44 ID:fsiW2VISO
乙です
ドイツってことはビス子等の出番もあるのかな?
100 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/07(木) 23:25:32.02 ID:jOwktCSRO
すみません、今日は更新出来そうにないです……


余談ですが、翔鶴型の改二が決まりましたね。死ぬほど嬉しいです
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/09(土) 10:33:16.50 ID:Zc+3+IxY0
どのソースも画像が無い
102 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/22(金) 23:22:28.03 ID:EufrWPApO
オリョール

提督「作戦海域近辺に到達した。朝霧の周辺を護衛していた者は帰艦してくれ。ソナー、敵潜水艦の存在は?」

乗組員「反応なし!」

提督「了解」

瑞鳳「提督、攻略隊の出撃準備完了しました!」

提督「分かった。では、朝霧は瑞鳳や瑞鶴の隊に続く。瑞鶴とゴーヤ以外分かっているとは思うが確認するぞ。私はお前達の死など望んでいない。作戦遂行は二の次、生きて帰る事だけは忘れるな。いいな?」

全員「はい!」

提督「全艦出撃!」

瑞鳳「先ずは私達から出るね! 第一艦隊出撃!」

………………………………

………………

……
103 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/22(金) 23:23:23.86 ID:EufrWPApO
瑞鶴「ねえ、瑞鳳」

瑞鳳「どうしたの? 何かあった?」

瑞鶴「あ、ううん。そういう訳では無いの」

瑞鳳「そうなの?」

瑞鶴「えっと……提督さんっていつもあんなこと言ってるの?」

瑞鳳「あんなこと?」

瑞鶴「えっと、生きて帰って来いってやつ」

瑞鳳「あれはいつも言ってるよ」

瑞鶴「こんな事言うのは悪いんだけど、これっておかしくない?」

瑞鳳「やっぱり最初はそう思うんだね」

瑞鶴「最初は?」

瑞鳳「うん。でも瑞鶴がおかしいと思うことを話してくれない?」

瑞鶴「だって私達は兵器な訳で、任務を遂行して完遂させるのが使命な訳でしょ? なのに遂行するなってのはおかしいよね? 普通は命に替えてもって言われるものだし」

瑞鳳「遂行するなとは言ってないけど……まあいいか。他にはある?」

瑞鶴「それに、提督さん自ら敵が跋扈する海域に出撃するなんて変だよ」

瑞鳳「これで終わり?」

瑞鶴「パッと思い付く限りでは」
104 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/22(金) 23:23:57.29 ID:EufrWPApO
瑞鳳「じゃあ、提督の言ってた事から話すね。どうしようかな……そうね。例え話をしようかな」

瑞鶴「うん?」

瑞鳳「今この海域を制圧する代償として私が沈んだとするよ? 鎮守府はオリョールという資源の宝庫を手に入れました。これだけだと犠牲以上の対価を得られる様に思えない?」

瑞鶴「うん。絶対にこっちのが良いと思う」

瑞鳳「でもね、長い目で見ると評価は変わるんだよ」

瑞鶴「長い目?」

瑞鳳「そう。鎮守府は資源地を手に入れたけど、私という戦力を失いました。なら新たに私の代わりの艦娘を建造すれば良い話だよね?」

瑞鶴「そうだね」

瑞鳳「でもね、私と同等以上の練度にたどり着くまでにどれ位の期間がかかると思う? さらに言えば、私が沈まなかった場合私はもっと成長している筈だからそれも考慮に入れないといけないね」

瑞鶴「あ……」

瑞鳳「育成の期間中に何も無ければいいけど、その間に鎮守府の存亡に関わる危機が迫ったらどうする? 私ぐらいの経験を積んでいなければ対処仕切れない危機だったら?」

瑞鶴「…………負ける」

瑞鳳「そうだよね。鎮守府の危機は言い過ぎだったとしても、私ならば救えたかもしれない命がさらに犠牲になる可能性もある。誰かが死ぬってそういうことなんだよ?」

瑞鶴「……うん」

瑞鳳「実例だってあるんだよ。瑞鶴も記憶があるとは思うけど、大東亜戦争初期の日本軍の艦載機パイロットと末期のパイロットの練度の差……瑞鶴なら分かるよね?」

瑞鶴「そうだね……目先のメリットばかり追うと後で取り返しのつかないことになる……」

瑞鳳「だから提督はあんな事言ったの。そして朝霧に乗艦している事についてなんだけど……」

瑞鶴「けど?」

瑞鳳「私の感情論を言うと、私も反対したい……でも、提督の意見が正しいだけに何も言えないの」

瑞鶴「提督さんの意見って?」
105 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/22(金) 23:24:35.02 ID:EufrWPApO
瑞鳳「艦隊を指揮するならば最前線にいるべきだ。戦況は一瞬で変化するから、最前線でなければ状況の判断など出来やしない。更に、朝霧を艦娘の輸送艦にすれば戦闘海域に辿り着くまでの疲労は大幅に軽減出来るし、大破した艦娘の救助も出来るって」

瑞鶴「なら、指揮官は別の人にやって貰えば……」

瑞鳳「大切な艦娘の命を他の人には預けられないぅて言われた。それに、自分が負うべき業務や責任を部下に押し付けるのはあってはならない、最低だともね……」

瑞鶴「もしかして提督さんってああ見えて……過保護?」

瑞鳳「ちょっとね。だけど、あそこまで私達を護ろうとしてくれて、全ての責任は自分で負おうとする人だからこの鎮守府のみんなが提督の事を慕ってる。提督って、艦娘だけではなくて、朝霧の乗組員の人達に対しても気を遣ってるのよ」

瑞鶴「へぇ〜そうなんだ」

瑞鳳「提督は私達を護ろうとしてくれてるけど、私は提督が危険に晒されたたら絶対に提督を護る。ううん、多分この鎮守府の全員が提督の為に動くわ」

瑞鶴「提督さんってそんなに凄い人だったんだ。確かに優しいとは思っていたけどさ」

瑞鳳「瑞鶴も提督と一緒にいれば提督の良さがもっと分かると思うよ」

瑞鶴「うん。そうしてみる」

瑞鳳「でも……」

瑞鶴「まだ何かあった?」

瑞鳳「ううん、何でもない!」

瑞鶴「そう?」

瑞鳳「あっ、偵察機から入電!!」

瑞鳳「第一艦隊全艦のみんな聞いて!」

提督「敵を見つけたか?」

瑞鳳「はい!! 重巡2、軽巡2、駆逐2、計6隻がこちらに向かってます!」

提督「分かった。全艦戦闘態勢! 瑞鳳と瑞鶴を中心に輪形陣を形成! 瑞鳳と瑞鶴は艦載機を射出、敵への攻撃を行ってくれ」

瑞鳳「はい!」

瑞鶴「了解!」

提督「第一次攻撃隊が討ち漏らした敵は比叡と熊野が接近して仕留めてくれ。いいな?」

熊野「承りましたわ」

比叡「まっかせて下さい!!」

提督「全艦行動開始!!」

……………………。
106 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/22(金) 23:40:07.44 ID:knzpyytAO
ヒューン ズドーン!!

リ級「」

瑞鶴「やったぁ!! 敵重巡隊は炎上! 轟沈も時間の問題よ!」

提督「よくやった! 比叡。対空、水上電探共に反応はあるか?」

比叡「いえ、こちらの艦載機群以外の反応は無さそうです」

提督「秋月、ソナーに感は?」

秋月「ありません!」

提督「了解。しかし全員このまま戦闘態勢を継続してくれ。今のは敵の前衛部隊だろう。本命はまだ別にいる筈だ」

瑞鳳「はい! 引き続き偵察機による索敵を続けます!」

提督「頼むぞ。しかし、流石に空母が2隻いると破壊力が段違いだ。まさか艦載機のみで敵艦隊を仕留めるとはな」

瑞鳳「最初の奇襲で敵の旗艦と軽巡2隻を撃沈出来たからです! おかげで対空射撃も殆どありませんでした!」

提督「その結果、熊野と比叡を使わないで敵の主力艦隊との戦いに温存する事が出来た。助かったよ」

瑞鳳「うん!」

提督「瑞鳳もだが、瑞鶴。よく頑張ったな」

瑞鶴「え? あ、はい!! ありがとうございます!」

提督「ただ、気は抜くなよ? 油断したらそこで足元を掬われる」

瑞鶴「はい!!」

提督「ああ。艦隊複縦陣に移行。引き続き警戒を行ってくれ」

全員「了解!!」

………………。
107 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/22(金) 23:41:43.50 ID:knzpyytAO
今日はここまでです

また来ますね!
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/22(金) 23:46:57.28 ID:tHsoFKfTO
乙です
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/23(土) 09:39:37.87 ID:19SL7CISO
乙です
110 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/25(月) 23:19:58.38 ID:pQvgKQgvO
瑞鶴「ん? あれ?」

瑞鳳「どうしたの?」

瑞鶴「3番機からの連絡が途切れた……」

瑞鳳「3番機がいた方位は分かる?」

瑞鶴「東北東……もしかして」

瑞鳳「撃墜された……かも」

提督「後続の偵察機に伝えてくれ。敵機、又は敵の対空砲火が待ち構えている可能性が高いと」

瑞鳳「はい!」

瑞鶴「了解!」

提督「そして瑞鳳と瑞鶴は直掩機を上げろ。偵察機がやられたという事は、今現在東北東の目が無いという事だ。敵空母はこちらを捕捉している可能性もある。その場合、向こうは今、あるいは既に攻撃隊を発艦させているということだ。後手に回ったら戦況は敵に握られる。少しでも先に動くんだ」

瑞鶴「うん! 航行スピード上げるわよ! 増速、最大戦速! 風向良し! 速度良し! 直掩機発艦しちゃって!!」バシュッ

提督「秋月と響は対空射撃の準備を行え。艦隊防空の任務を遂行するんだ」

響「司令官、陣形は?」

提督「艦隊の前方で二人は対空射撃の準備を行え。比叡熊野は敵艦隊の場所を確認出来るまでは対空射撃の準備」

響「了解」

瑞鶴「後続の偵察機より入電! 敵の攻撃隊が接近中!!」

提督「瑞鶴と瑞鳳は引き続き直掩機の射出を急いでくれ。秋月は高射装置を使用して敵機を迎撃せよ」

秋月「了解です!」

提督「さあ、来るぞ!」

…………………………。
111 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/05/25(月) 23:20:37.40 ID:pQvgKQgvO
瑞鳳「緑小隊は青小隊を援護! 赤小隊が敵機の頭を抑えて! 」

瑞鶴「瑞鳳! 南東からも敵機群接近中!」

瑞鳳「北東の敵で手一杯! 瑞鶴の艦戦隊は回せる?」

瑞鶴「私、実戦経験が……」

瑞鳳「大丈夫! 瑞鶴なら出来るから! あの時までずっと一緒に戦って来たじゃない!」

瑞鶴「でも……」

提督「私が瑞鶴のフォローをする。瑞鶴、安心してやるがいい」

瑞鶴「…………」

提督「大丈夫だ。この前はお前に足りなかった部分は私が補う」

瑞鶴「……分かった。私やってみる!」

提督「その意気だ。では、烈風隊を二つに分けて南東に向かわせろ。片方は雲の上へ、もう片方は敵の艦攻などを迎撃させろ」

瑞鶴「でも、そんなことしたら下の方がやられちゃうって」

提督「敵の戦闘機が襲ってきたら上空からの奇襲をかける。下の隊は敵機迎撃と囮として動いてもらう」

瑞鶴「分かった。じゃあ、やるね」

瑞鶴「烈風隊は二隊に分かれて南東の敵機を対処して! 偶数番機は雲の中に潜って敵編隊に接近。奇数番機は艦攻や艦爆の対処! 絶対に深追いだけはしないで!」

……。
112 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/05/25(月) 23:21:07.88 ID:pQvgKQgvO
瑞鳳「提督! 何機か艦爆に抜かれました!!」

提督「分かった! 瑞鳳の艦戦隊はこのまま迎撃を維持! 秋月! 響!」

秋月「はい!!」

響「なんだい?」

提督「烈風が撃ち漏らした敵艦爆がそちらへ向かっている。必ずそこで迎撃してくれ」

秋月「はい! お任せ下さい! 防空駆逐艦の力、お見せします!」

提督「ああ。頼むぞ」

秋月「高射装置自動追尾良し! 長10cm砲ちゃん装弾完了! 撃ち方始め!!」ズドン! ズドン!

響「私も遅れを取るわけにはいかないね……ウラー!!」ズダダダダ

秋月「敵機撃墜!! やりました!!」

響「まだ来るよ。気をつけて」

秋月「はい!!」

……………………。


113 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/25(月) 23:21:57.62 ID:pQvgKQgvO
瑞鶴「敵攻撃隊が退却を始めたわ!」

瑞鳳「偵察機より入電! 敵艦隊発見だって! 正規空母2、戦艦1、重巡2、駆逐1!」

提督「よくやった!!」

瑞鳳「方角は東北東! 座標データはすぐに送られて来ます!」

提督「了解。瑞鳳と瑞鶴は攻撃隊を射出。そして今まで戦闘していた直掩隊は一度補給に戻して予備機を直掩隊として配備!」

瑞鳳「了解! 紫電改発艦! 彗星隊発艦! 続いて天山攻撃隊も発艦!」バシュッ

瑞鶴「艦載機のみんな、行っちゃって!!」バシュッ

提督「比叡と熊野は敵艦隊へ接近して砲撃を行ってくれ。くれぐれも味方艦載機は落とすなよ」

比叡「わっかりました!!」

熊野「熊野にお任せ下さいな」

提督「出来る限り敵の注意を引いてこい。比叡、熊野、突撃開始!」

比叡「高速戦艦比叡、行きます!」

…………。
114 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/05/25(月) 23:22:35.51 ID:pQvgKQgvO
比叡「重巡を一隻落とした! 残りは!?」

熊野「戦艦1、空母2、重巡1ですわ」

比叡「まだまだか熊野、敵戦艦に照準合わせ! ……第三斉射、撃ち方始めー!!」ズドーン! ズドーン!

熊野「とおぉぉおぉおお!!」ズドーン!

ル級「……」ズドーン!

ドッカーン!

比叡「きゃあ!!?」

熊野「お身体の調子は宜しくって?」

比叡「副砲が1門仕様不可になっちゃったけど、まだまだいける!」

熊野「引火には気をつけて下さいな」

比叡「大丈夫だって!!」

熊野「しかし、少々辛いですわね。第二次攻撃隊が来るまでまだ時間があるというですのに……」

比叡「2人でもここは守り抜くよ!!」

熊野「それは分かっていますわ。通す気などさらさらございませんわ」

比叡「第四斉射、撃ち方始め!!」ズドーン!! ズドーン!!
115 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/05/25(月) 23:29:13.62 ID:pQvgKQgvO
提督「やはり敵も重要地点の防衛とあって主力を引き連れて来ているのか。手強いな」

瑞鳳「第二次攻撃隊、準備出来ました!」

提督「了解。第二次攻撃隊発艦してくれ!」

瑞鳳「了解! 第二次攻撃隊発艦!!」バシュッ

乗組員「艦長、第二次艦隊より入電が入りました!」

提督「よし! なんと書いてある?」

乗組員「オリョール海北方の敵艦隊をを撃破、そのまま南進して敵主力艦隊を攻撃するとのことです」

提督「了解、下がれ」

乗組員「はっ!」ビシッ スタスタ

提督(やっと来たか……頼むぞ…………)

提督「陽炎!」

…………。
116 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/05/25(月) 23:29:57.73 ID:pQvgKQgvO
今日はこれで終わりです。

また来ますね!
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 23:31:29.30 ID:BblO4ljMO
乙です
118 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/06/12(金) 07:49:40.46 ID:lJa1hltvO
こちらではお久しぶりです。
後少しで雪風の方が一段落つくので、それからこちらを更新します。早ければ明日、遅くとも7日以内に更新する予定です

もう少々お待ちください



もう少し先になりますが、雪風が終わったら当面の間こちら一本に絞りますので更新スピードが上がる筈です……

では、また来ますね
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/12(金) 09:36:10.51 ID:BTMVFQQSO
了解です
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/12(金) 11:03:22.11 ID:1RN3NCn5o
了解
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 09:22:26.76 ID:weGxeC5w0
応援してますよー
122 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/19(金) 23:19:26.44 ID:6Ei6P9RuO
陽炎「司令、みんな、お待たせ!!」

提督「待っていたぞ」

陽炎「北方の敵艦隊を撃破するまでに時間がかかっちゃったから、ね」

提督「損害は無かったんだな?」

陽炎「浦風が至近弾で損傷しちゃったけど、戦闘には影響ないわ」

提督「そうか。では敵主力艦隊へ突撃してくれ。制空権は瑞鳳と瑞鶴で死守している。今ならば上空にそれ程気を取られずに接近出来る」

陽炎「うん! 私達だけで終わらせれるように頑張るから!」

提督「ああ。頼んだぞ」

陽炎「みんな、突撃するわよ!!」

不知火「隊列はどうしますか? 複縦陣にしますか?」

陽炎「単縦陣!」

不知火「分かりました。では、参りましょう」

陽炎「みんなあと一斉射分は魚雷が残っているわよね? 発射準備は整えておいて」

初風「了解。それまでは?」

陽炎「主砲を撃って撃って撃ちまくるわよ!」

初風「予想通りの返答をありがとう」

陽炎「何、皮肉?」

初風「皮肉じゃ無くて嘲笑」

陽炎「ふーん、初風も言うようになったわね」

初風「私はどっかのお馬鹿な姉の妹だからね」

陽炎「不知火、あんた酷い事言われてるわよ?」

不知火「言われているのは陽炎です」

陽炎「不知火も酷いわね」

不知火「事実ですから」

陽炎「もう少し姉を敬ってくれてもいいと思うんだけどね〜っと、そろそろ敵戦艦の射程に入るわね……敵に気付かれるまではこのまま直線的に行くわよ。みんな絶対に気を抜かないでね!」

全員「はい!!」

…………。
123 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/19(金) 23:20:14.47 ID:6Ei6P9RuO
ル級「!?」ズドーン!!

陽炎「敵に気付かれた! 回避! 回避!!」

バシャーン

陽炎「みんな無事?」

舞風「みんな無事だよ! 陽炎お姉ちゃん!」

陽炎「ん! 敵に気付かれたから回避運動始めるわよ!」

磯風「陽炎、一つ聞きたいのだが」

陽炎「何?」

磯風「敵の重巡がこちらに向かってきてるぞ」

陽炎「分かってるわよ。でも、これで良いのよ」

磯風「そうなのか?」

陽炎「そうよ。出来れば私達だけで敵主力艦隊を撃破したいんだけど、しょうがないわね」

磯風「ん? 何かあるのか?」

陽炎「まあね。だけど私達はいつも通り全力を尽くすのみよ。敵重巡が射程に入り次第集中砲火で落とすわよ」

雪風「はい! 頑張ります!!」

陽炎「そうね。期待してるわよ」

雪風「はい!!」

陽炎「比叡さん、聞こえますか?」

比叡「聞こえるよ! 何か敵の戦艦と重巡が陽炎ちゃんの方に砲撃を始めたけど、大丈夫?」

陽炎「今は大丈夫です。出来れば、敵の攻撃が私達の方に集中している内に敵の戦艦を倒して貰えると助かります」

比叡「分かった! じゃあ、こっちは被弾覚悟で敵の戦艦を落とす!」

陽炎「お願いします! こっちは重巡と空母を狙います!」

比叡「こっちが終わったら援護射撃するから!」

陽炎「はい! 通信切ります!」
124 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/19(金) 23:20:44.93 ID:6Ei6P9RuO
比叡「熊野、その場に止まって!」

熊野「何を言っているんですの!? 止まったら格好の的ですわ!!」

比叡「攻撃は今陽炎ちゃん達に集中してる。目下の脅威は陽炎ちゃん達の魚雷だから」

熊野「それでもリスクはありますわ」

比叡「このまま撃ち合って弾切れを起こすよりはマシ。それに、陽炎ちゃん達が作ってくれたチャンスだもん。活かさない手はないよ」

熊野「……分かりましたわ。従います」

比叡「ありがと」

熊野「行きますわよ……第一主砲発射!!」ズドーン!

比叡「第一主砲撃てぇ〜!!」ズドーン!

バッシャーン

比叡「近!! 仰角微調整! 続いて第二主砲撃てぇ〜!!」ズドーン!

バッシャーン

比叡「近!! 仰角再調整!! 第三主砲発射!!」ズドーン!

ズドーン!!

ル級「!!?」

比叡「敵戦艦に命中!!」

熊野「とぉぉおぉおおおお!!」ズドーン!

ズドーン!

ル級「!!?」

熊野「私の主砲も命中しましたわ」

比叡「このまま押し潰す!! 第四主砲発射!!」ズドーン!
125 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/19(金) 23:21:24.14 ID:6Ei6P9RuO
陽炎「比叡さんが敵の戦艦を落とした!!」

不知火「敵重巡がそろそろ射程に入ります」

陽炎「みんな、砲撃戦に入るわよ!! 準備はいい?」

磯風「この磯風に任せろ」

谷風「谷風さん、磯風には負けらんねえなぁ」

天津風「時津風、行くわよ」

時津風「雪風〜撃って撃って〜!!」

雪風「はい!!」

初風「あんた達はもう少し緊張感を持ちなさいよ」

舞風「野分、一緒に頑張ろ〜!!」

野分「そうね」

陽炎「お喋りはそこまで! 目標敵重巡! 全艦砲撃開始!! 全門斉射!! ってぇ〜!!」ズドン! ズドン!

リ級「!!?」

陽炎「弾幕を絶やさないで!! 撃て! 撃て!!」

リ級「!!?」

不知火「流石に駆逐艦の方では重巡の装甲は中々破れませんね」

ズドーン!!

リ級「!!?」

舞風「重巡が爆発した!!?」

陽炎「比叡さんと熊野さんの援護射撃ね!!」

不知火「陽炎、敵の主砲が全て使用不可になってます」
126 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/19(金) 23:21:50.34 ID:6Ei6P9RuO
陽炎「主砲は敵の重巡に固定。だけどこのまま敵の空母を落としにかかるわよ!! 全艦最大戦速!!」

全員「了解!!」

陽炎「沈め!!」ズドン!

リ級「」

陽炎「やった!! 沈んだ!!」

不知火「あとは敵空母のみですね」

陽炎「雷撃準備!! 取り舵!!」

陽炎「…………全艦魚雷一斉射!!」バシュッ

ヲ級「!!?」

ヲ級「!!」

野分「一隻が回避中!! もう魚雷が!!」

陽炎「ゴーヤ、今よ!!」

伊58「魚雷発射!!」

ズドーン!!

………………………………

………………

……
127 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/19(金) 23:24:39.94 ID:6Ei6P9RuO
訂正

>>25
提督「以上が今回の演習参加艦になる。呼ばれなかった卯月と文月、時雨、浦風、磯風、長波は鎮守府近海の哨戒任務に当たってくれ」

訂正後

提督「以上が今回の演習参加艦になる。呼ばれなかった卯月と文月、時雨、谷風、磯風、長波は鎮守府近海の哨戒任務に当たってくれ」
128 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/19(金) 23:28:36.76 ID:6Ei6P9RuO
今日はこれで終わりです
次回の更新でオリョールは終わりです

なかなかこちらを更新出来なくてすみません……


どうやら浦風を二回カウントしており、谷風を入れ忘れていたので訂正です


また来ますね!
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/19(金) 23:32:00.31 ID:JzjoHcyJO
乙です
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/20(土) 10:02:12.16 ID:7iBwdKQSO
乙です
131 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/06/25(木) 09:27:11.21 ID:iIBtZmixO
おはようございます。

恐らく今日の夜に更新かけます。
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/25(木) 09:44:31.77 ID:9PZhV3LSO
了解です
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/25(木) 11:36:03.66 ID:n2hbdB5Yo
把握
134 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/06/25(木) 22:50:15.26 ID:pdwIrXluO
提督「もうこの海域に敵の反応はないな」

乗組員「はい! 各レーダー共に反応ありません!」

提督「了解した。御苦労だったな」

乗組員「いえ、もったいなきお言葉……っと艦長、第三艦隊より連絡が入ってます」

提督「繋いでくれ」

乗組員「はい」

夕張「提督聞こえます?」

提督「ああ」

夕張「こちら第三艦隊は、東部オリョール海南方の敵輸送艦隊を2つ殲滅しました。提督の予想通り、敵の輸送艦が出張ってました」

提督「私からは何もフォローが出来なかったが、良くやってくれた。お前達に損害は出ているか?」

夕張「最初に遭遇した敵艦隊の戦艦の砲撃で摩耶が、軽空母の艦載機による至近弾で青葉と川内が小破してますが、それ以外は特には無いです」

提督「その後の敵艦隊は無傷で済んだんだな?」

夕張「はい。島影に沿って敵艦隊に接近して、敵の軽空母に奇襲をかけて撃沈するのに成功したので、敵艦隊は混乱に落ち入り統率が全く取れなくなってましたから」

提督「本当によくやってくれたな夕張」

夕張「はい! どういたしましてです!」

提督「では、お前達も朝霧に帰投してくれ。周囲の索敵、警戒は済んでいるか?」

夕張「バッチリです!」

提督「流石だ。打ち合わせた合流地点まで来てくれ。そこで合流だ」

夕張「了解です!」

……………………。
135 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/25(木) 22:50:44.49 ID:pdwIrXluO
響「司令官、第一艦隊戻って来たよ」

提督「お疲れ様。よくやってくれた」ナデナデ

響「これは……中々いいな」

秋月「ぁ……」

響「司令官、彼女にも私と同じ事をしてあげてくれないか?」

提督「秋月、来なさい」

秋月「あ、いや、私は……」

提督「来るんだ」

秋月「はい……」

提督「素晴らしい活躍だった。対空射撃は誰よりも正確で、艦隊防空の要を任せるに足るものだった。ありがとう」ナデナデ

秋月「あ、ありがとうございます……!!」

提督「二人は奥で休んでなさい。じきに他の艦隊の子も帰ってくる。ゆっくり出来るのは今だけだ」

響「そうだね。秋月、行こう」

秋月「はい!」

提督「お前達も奥でゆっくり休むと良い。特に比叡と熊野は他の誰よりも集中力が必要なポジションでの戦闘だった。かなり疲れているだろう?」

熊野「そうですわね……少し疲れてしまいましたわ。では、お言葉に甘えてお休みさせて頂きます」

提督「目が覚めたら私の所に来てくれ。今日気付いた事はその時に話そう。お前達もその方がいいだろう?」

比叡「そうですね……流石に今から話し合いは辛いかも……」

提督「だろうな。ゆっくりして来なさい」

比叡「はい! では、また後で!」
136 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/25(木) 22:51:14.16 ID:pdwIrXluO
瑞鶴「提督さん、ただいま!」

瑞鳳「ただいま、提督!」

提督「おかえり。瑞鳳、瑞鶴」

瑞鶴「提督さん、瑞鶴のフォローをしてくれてありがとね!」

提督「私は当たり前の事をしただけだ。それに実際に艦載機を動かしていたのは瑞鶴、お前だ。初めての実戦はどうだった?」

瑞鶴「すっごく緊張したけど、何とか大きな失敗はしないで済んだかな」

提督「初めての実戦で緊張するのは極々あまり前の事だ。それが普通だ」

瑞鶴「うん!」

提督「二人も疲れただろう。奥で」

陽炎「司令!!」バッ ギュー

提督「おっと……その声は陽炎か。おかえり」

陽炎「うん! ただいま!! 私達凄く頑張ったよ!!」

提督「お前ならやれると信じていたよ。完璧だった」ナデナデ

陽炎「えへへへへ!」

舞風「あ〜!! 陽炎お姉ちゃんが提督に撫でられてる!! いいないいな!! 舞風にもやってよ〜!!」

初風「あーあーダラシない顔しちゃって。そんなんじゃ私達妹に示しがつかないわね」

陽炎「司令にだけなんだからいいでしょ!」

初風「はいはい」

時津風「雪風〜しれ〜の頭に登ろ登ろ〜!!」

雪風「そんな事したら司令、怒っちゃいますよ!!」

時津風「大丈夫大丈夫!!」

舞風「提督! 私の頭撫でて!!」

陽炎「こら、舞風!!」

瑞鶴「後で出直そうか」

瑞鳳「……そうね」

………………………………

………………

……
137 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/25(木) 22:54:11.80 ID:pdwIrXluO
東部オリョール海域を制圧し、資源地帯を手に入れる事が出来た。これで私達はこの終わりが見えない戦争の継続力は増した。これらは全て彼女達のお陰だ


そして、今回の作戦で確信できた事がある。多数の艦隊で一つの海域を攻めるのは有効であった。やはり少数での出撃よりも圧倒的に生存率が上がる。そして、奇襲を受ける可能性も減る


しかし、まだまだ課題は残っている。最も重大な欠点は出撃して外洋に出る艦娘の数が多ければ多いほど、鎮守府の護りは脆弱なものになることだ


艦娘の数を増やすか……いや、今これ以上艦娘を増やしても育成が追いつかない。無理をしたら瑞鶴や伊58の育成にも支障が出るだろう。それは少しずつ戦力を増やして行く方が良いだろう


では、国内の鎮守府に援軍の派遣を要請するか……これも駄目だ。他の鎮守府も人員が足りない。こちらに戦力を割いて貰うのはほぼ不可能だろう


そうなるとやはり、鎮守府は通常の艦艇で防衛するのが最も現実的だ。だが、果たして回して貰えるかどうか……


まあいい、そちらは後日瑞鳳と詰めよう。
それよりも、今はあの娘達を褒めてやらないとな。彼女達は命を賭けてくれているのだから


………………………………。
138 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/06/25(木) 22:55:35.21 ID:pdwIrXluO
今日はこれまでです!

今、雪風の方で苦戦しているのですが、多分次の更新は雪風の方になります。多分……


また来ますね!
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/25(木) 23:13:51.51 ID:hzAmlFUOO
乙です
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/26(金) 10:04:54.66 ID:8cqXarJSO
乙です
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/26(金) 13:01:38.19 ID:KXBT2P9M0
乙です
142 :ずいずい ◆9eWjFae4dI :2015/07/21(火) 15:33:22.38 ID:5gaZ7O6oO
こちらではお久しぶりです!
今日か明日の夜に更新する予定です。
出来なかったらごめんなさい……

また来ますね!
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/21(火) 16:18:44.10 ID:Aefxw5dRo
了解
144 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/07/22(水) 23:16:59.90 ID:mRWGUJTzO
鎮守府

瑞鳳「じゃあ、作戦の成功を祝して……乾杯!」

全員「かんぱーい!!」

瑞鳳「提督、お疲れ様でした!」

提督「お前達の頑張りのお陰だよ。ありがとう」

瑞鳳「いえ……そんなこと……」

瑞鶴「私、提督さんのフォローが無かったら何も出来なかったと思うんだ。だから、やっぱり提督さんのお陰だよ!」

提督「実際に艦載機を操ったのは私では無い。瑞鶴が自分で動かしていたのだからな」

瑞鶴「でもやっぱり〜」

提督「お前は艦娘になってから日が浅いのにも関わらずに私の期待に応えた。十分過ぎる働きだ」

瑞鶴「う、うん」

提督「瑞鳳も良くやってくれた。言葉にはしていなかったが、瑞鶴のフォローをしていたな」

瑞鶴「そうなの!?」

瑞鳳「やっぱりバレちゃってたか」

瑞鶴「ごめん、本当にありがと」

瑞鳳「ううん。私が勝手にやってた事だから気にしないで」

瑞鶴「私って迷惑かけてばっかりだね……」
145 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/07/22(水) 23:21:47.39 ID:mRWGUJTzO
瑞鳳「そんなことないよ! 私だって最初は失敗ばっかりだったんだから!」

瑞鶴「そうなの?」

提督「ああ。瑞鳳も最初は苦労したな」

瑞鳳「そうね。完全に手探りで艦載機の運用を模索したもんね」

瑞鶴「どういうこと? 手探り?」

提督「私が着任した当時……と言ってもそれ程前の話では無いのだが、空母は殆ど運用されていなかったんだ。ただ唯一呉では鳳翔が着任していたのだが、かつての戦争の様な運用が難しいという理由で放置されていた」

瑞鶴「えっ!? 鳳翔さんもいるの!?」

提督「ああ。他の空母だと、舞鶴に龍驤と赤城、呉に加賀と千歳、佐世保に蒼龍と千代田、飛鷹がいたかな?」

瑞鶴「そうなんだ!? へー、私達以外にもいっぱいいるんだね!」

提督「会う機会があるといいな。……話が逸れたな。当時唯一空母を配下に置いていた呉が何もしなかった為、情報は皆無だった。そして、そのような時期に瑞鳳が来てくれたんだ」

瑞鳳「提督ったら、最初私を見た時に驚いてたよね」

提督「まさか本当に空母が出来るとは思っていなかったからな。最初の建造で空母なんて聞いた事がない」

瑞鳳「そうだね〜」

瑞鶴「そんなに珍しいの?」

提督「ああ。当時は完全に海を封鎖されていたから資源もかなり少なかった。だから他の鎮守府ではより少ない資源で建造をし、艦娘の数を増やす事を重視していた。だが、私は航空戦力の必要性を思い知った為空母の建造を重視したんだ」

瑞鶴「じゃあ、瑞鳳って特別なんだ……」

提督「ああ、この子は特別だな」

瑞鶴「っ……」

提督「瑞鳳が着任してからも本当に大変だった。空母艦娘の特性や艦載機の特性を探り、更に運用方法を探り、戦術を探りと、試行錯誤の繰り返しだった。だが、その苦労のお陰で今の空母の運用方法が確立したのだから、あの毎日は有意義だったな」

瑞鳳「うん! 提督のお陰で私達に限らず他の鎮守府の空母も闘えるようになったんだもんね!」
146 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/07/22(水) 23:22:43.97 ID:mRWGUJTzO
瑞鶴「提督さんと瑞鳳って本当に凄いね」

提督「どうした瑞鶴。顔色が悪いぞ? 体調が悪いのか?」

瑞鶴「そういう訳じゃないんだけど、ちょっと、ね……」

提督「何かあったのならば言いなさい。私の言動が原因ならば詫びよう」

瑞鶴「ううん! 本当にそんなのじゃないの! ただ、提督さんと瑞鳳って凄く強い絆があるんだなって……ね」

瑞鶴 (そう、私が入り込む隙間が無いくらい……)

瑞鳳「あっ……」

提督「……そういう事か。瑞鶴」

瑞鶴「えっ!? 何!? 分かったの!?」

提督「何となくだがな……瑞鳳は最も付き合いが長い艦娘の一人だ。だから信頼関係が厚いのは当たり前の事だ。それに比べ瑞鶴は最近着任したばかりで、まだお互いの事を知りきれていない。そうだろう?」

瑞鶴「まあ……」

提督「だが間違いなく、今後共に進むに連れて私と瑞鶴の間で信頼関係は築かれるだろう。お前にとってのスタートラインはそこからではないのか? だから今落ち込む必要は無い」

瑞鶴「うん……」

提督「だが一応警告はしておこう。私はお前の上官だ。それは分かっているな?」

瑞鶴「うん?」

提督「ならば私と特別な関係になりたいなどと考えるのは止めておいた方が良い。もしもこれが杞憂ならばそれで良いのだがな」

瑞鶴「うぇっ!?」

提督「…………お前もだぞ、瑞鳳」

瑞鳳「そんなの関係無いもん!」

提督「と、まあ言う事を聞かないのもいるんだがな」

瑞鶴「陽炎ちゃんもそうだよね?」

提督「まあ……そうだな」
147 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/07/22(水) 23:23:58.37 ID:mRWGUJTzO
瑞鶴「ねえ、提督さん」

提督「なんだ?」

瑞鶴「私、頑張ってみる! 提督さんに振り向いて貰えるように!」

提督「冗談……では無いんだな」

瑞鶴「うん。まだこれが恋心なのかは分からないよ。だけど、私は提督さんに対して好意を持ってる。それは間違いないと思うんだ」

提督「…………はぁ……」

瑞鶴「もしかして……嫌?」

提督「そうではない。だが、司令官としては好ましい状況ではないな。場合によっては艦隊運用に支障が出る」

瑞鶴「でも、提督さんとしては、嫌だって思っている訳じゃないんだね?」

提督「お前を嫌がる理由はないからな」

瑞鶴「その言い方はちょっと傷つくかも……」

提督「すまない」

瑞鶴「じゃあ、頭撫でてくれたら許してあげる」

提督「何を言っているんだ」

瑞鶴「じゃないと許してあげないからね」

瑞鳳「提督?」ムッ

提督「……分かった。瑞鶴、瑞鳳。来なさい」

瑞鶴「ん」

瑞鳳「はい!」

陽炎「あ!! 司令! ずるい!! 私も撫でてよ!!」タッタッタッ

舞風「提督〜! 私も頑張ったから撫でてよ〜!」

時津風「あー司令がみんなと遊んでるー! 時津風も遊ぶ遊ぶー!! 雪風も行くよー!」

雪風「わっ!? 引っ張らないで下さい〜!!」
148 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/07/22(水) 23:24:24.24 ID:mRWGUJTzO
初風「また始まったわ……」

野分「うぅ……」

初風「ん? あんたも混ざりたいの?」

野分「いえ……陽炎姉さんや司令に迷惑がかかりますから……」

初風「大丈夫よ。あんたが入ったところで何も変わらないわよ。行って来なさい」

野分「は……はい……」トコトコ

初風「ねえ、不知火姉さん」

不知火「なんですか?」

初風「野分って、ああ見えて甘えん坊よね」

不知火「そうですね。流石は陽炎の妹です」

初風「その理論だと、私や不知火姉さんまで甘えん坊になるんだけど?」

不知火「事実ですから」

初風「はっ?」

不知火「陽炎型はみんなそうですよ。全員甘えん坊です」

初風「……不知火姉さんって鋭いのか鈍いのか時々分からなくなるわ」

不知火「傷付きました。お詫びに不知火の頭を撫でて下さい」

初風「全然面白くないわよ」

不知火「そうですか」

初風「不知火姉さんの冗談って笑えない」

不知火「陽炎ならば笑うのですが」

初風「陽炎姉さんは沸点が低いだけよ。陽炎姉さんが特別なの」

不知火「ふむ」

初風「ほんと、陽炎型って変人ばっか……」

……………。
149 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/07/22(水) 23:27:17.08 ID:mRWGUJTzO
提督「そろそろお開きにするぞ。残りたい者は残るが良い。明日は近海の哨戒と遠征班以外は休みにする」

比叡「さっすが司令!!」

提督「何かあれば私の部屋に来なさい。それと、このあと部屋を散らかしたらその者が責任もって片付けろ。では、後は自由にしてくれ」ガチャッ

瑞鳳「瑞鶴はこの後どうするの?」

瑞鶴「どうしよっかな〜」

川内「帰らせないよ〜!! 今日は朝まで夜戦だ〜!!」

瑞鶴「や、夜戦!?」

川内「それに今日のメインは瑞鶴とゴーヤなんだから帰っちゃやだー!!」

熊野「そうれすわ!! すぃかくが帰りゅなんてわたくひ熊野が許しましぇんわ!!」

瑞鶴「いや、熊野は部屋に戻った方がいいわよ」

熊野「そんなことにゃいれすわ!!」

瑞鶴「ごめん、私は熊野を部屋に送るついでに戻るよ」

川内「ちぇ! じゃあゴーヤは貰ってくから! ゴーヤ! 夜戦だよ!!」グイッ

伊58「や、やめるでち!!」

川内「比叡、ゴーヤを連れて来たよ〜」

比叡「朝まで一緒だからね!」

伊58「だ、だれか助けてくだち!!」

瑞鳳「私も熊野運ぶの手伝うね」

瑞鶴「うん、お願い。せーの!」

熊野「とぉぉぉぉぉおお……」スウスウ

瑞鶴「重……」

…………。
150 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/07/22(水) 23:27:48.88 ID:mRWGUJTzO
パタン

瑞鶴「重かった……」

瑞鳳「寝てるを運ぶの、大変だもんね……」

瑞鶴「まあ、無事に部屋に送る事が出来てよかったね。ありがと」

瑞鳳「どういたしまして! もう、瑞鶴は寝るの?」

瑞鶴「そのつもり。でも、その前にお風呂入ってくる。瑞鳳は?」

瑞鳳「もう先にお風呂入っておいたから大丈夫。じゃあ、私先に寝るね! おやすみ!」

瑞鶴「おやすみ〜」

瑞鶴「それじゃ、お風呂入っちゃお。誰もいなければいいな〜」スタスタ

乗組員「っ!!」タッタッタッ

瑞鶴「あれ? あの人って朝霧の乗組員だよね? どうしたんだろ?」

乗組員「中将! 入ります!!」ガチャッ バタン

瑞鶴「何であんなに慌てて……」

「……です! ………………と……は……!!」

「……と!? それは…………か!?」

「……………………です!」

「…………った…………に手…………」

「…………します!」

バタン タッタッタッ

瑞鶴「今のは一体何だったの……!?」

瑞鶴「…………なんか嫌な予感がする……」

………………………………。
151 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/07/22(水) 23:30:03.12 ID:mRWGUJTzO
今日はここまでです!

久しぶりに日常編書きましたが、なんて楽なんでしょうか
砂糖吐きそうになりながら書きましたが……

また来ますね!
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 23:30:58.04 ID:Ps6rn1OcO
乙です
153 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/08/06(木) 02:42:08.11 ID:COwaYRGfO
翌日

コンコン

提督「瑞鳳いるか?」

瑞鳳「提督? 入っていいよ」

提督「失礼する」ガチャッ

瑞鳳「提督何か飲み……何かあったの?」

提督「ああ」

瑞鳳「すぐ行きます。瑞鶴、ちょっと行ってくるね」

瑞鶴「うん……でも、行く前に教えて。提督さん、何があったの?」

提督「そんな大した事ではない。ちょっとしたトラブルだ」

瑞鶴「嘘。私昨日見ちゃったんだ。提督さんの部下の人が凄い慌てて提督のところに行ったの」

瑞鳳「瑞鶴! 盗み聴きしてたの!?」

瑞鶴「違うよ! ただ、あの後お風呂に向かってたら偶然見ちゃただけなの! 内容までは聴いてないよ!」

提督「分かった。それならば仕方ない……瑞鶴も一緒に来るんだ」

瑞鶴「いいの?」

提督「このまま何も言わなければ、無根拠な憶測などが鎮守府に広がる恐れがあるからな。それに、お前も気になってしょうがないだろう?」

瑞鶴「まあ……」

提督「二人とも先に行っててくれ。私は陽炎を連れてくる」

瑞鳳「はい!」

…………。
154 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/08/06(木) 02:42:50.76 ID:COwaYRGfO
提督「待たせたな」

瑞鳳「いえ、大丈夫です」

陽炎「一体何があったの? 私達だけを突然呼び出すってことは、何かあったんでしょ?」

提督「そうだ。実際にこれまでで一番の非常事態と言えるだろう」

瑞鳳「教えて下さい……」

提督「…………欧州へ向かった呉、佐世保、舞鶴3鎮守府の主力艦隊が壊滅した」

陽炎「嘘……でしょ……!?」

提督「本当だ。数名は何とか帰還したそうだが、ほぼ全員が轟沈したとの事だ」

瑞鶴「提督さん……まさか」

瑞鳳「私達が代わりに行かなければならないのね?」

提督「ああ。間違い無くかなり厳しい戦いになるだろう」

瑞鶴「大湊は一緒に出撃しないの?」

提督「大湊はガラ空きになる本土の防衛の為に出撃しない事になっている」

瑞鶴「なんかズルい……」

提督「今回戦力が壊滅した3鎮守府は、これから戦力の再構築をする事になる為、防衛能力は皆無に等しい。また、私達は大湊が横須賀の防衛をする為、全戦力を今回の作戦に投入出来る。関節的にだが、大湊のお陰で私達は最大戦力で作戦に赴く事が出来るのだよ」

瑞鳳「でも、私達だけでは呉、佐世保、舞鶴連合艦隊の半分程度の戦力です。連合艦隊でも勝てなかった敵に私達が勝てるとは思えません」

提督「真っ正面からならば瑞鳳の言う通り不可能だろうな」

陽炎「何か策があるのね?」

提督「一応だがな。それと、連合艦隊よりも有利な点がある」

陽炎「有利な点?」

提督「まだリランカ島はこちらの手の内にある。連合艦隊の様にリランカ島の攻略を行う必要がない。そして、策に関してだが……」

提督「奇襲を行う」

………………………………。
155 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/08/06(木) 02:43:28.14 ID:COwaYRGfO
リランカ島

提督「そろそろ夕方になるか」

瑞鳳「とうとう作戦開始ね……」

提督「そうだな。不安か?」

瑞鳳「うん……だけど、提督が考えた作戦だもん。私頑張るからね!」

提督「ありがとう」

陽炎「司令! そろそろよね?」

提督「そうだ。近海の様子は?」

陽炎「問題なし! 潜水艦の反応も無いわ!」

提督「敵の偵察機も確認出来ず。条件は揃ったな」

夕張「提督。一応最後に作戦内容と艦隊編成の再確認をお願いしたいかな」

提督「分かった。作戦内容から確認する。作戦内容はアンズ環礁に巣食う敵艦隊及び飛行場を壊滅させる事にある。あくまでも制圧では無く壊滅だ。この艦隊がドイツとコンタクトを取り帰投する時間さえ稼げれば良い。その為には迅速な進軍が不可欠となる。それを心がけてくれ」

全員「はい!」

提督「艦隊編成の確認だ。第一艦隊旗艦瑞鳳。随伴艦に瑞鶴、秋月、電、雷の4名。第二艦隊旗艦陽炎。随伴艦に不知火、野分、舞風の3名。第三艦隊旗艦初風。随伴艦に雪風、天津風、時津風、浦風、磯風、谷風の6名。第四艦隊旗艦川内。随伴艦に長波、響、時雨、夕立、春雨の5名。第五艦隊旗艦比叡。随伴艦に熊野、青葉、摩耶、夕張の4名。そして潜水部隊のゴーヤと囮部隊の卯月、文月だ」

夕張「で、この前言われた通りに動けばいいのよね?」

提督「そういう事だ。当たり前だが、各々臨機応変に行動してくれ」

全員「はい!」

提督「作戦を始めよう。お前達旗艦は随伴艦全員に朝霧へ乗り込む様に伝えてくれ。出撃だ」

………………。
156 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/08/06(木) 02:43:58.26 ID:COwaYRGfO
アンズ環礁沖

提督「瑞鳳、陽炎、初風、川内、比叡。配置に着いたな?」

川内「着いた着いた! 早く夜戦させてよ! やーせーん!!」

提督「少しお前は黙るんだ」

川内「えー」

提督「横須賀へ戻ったら私が直々に白兵訓練を行おう」

川内「いや、それだけは!」

提督「己の愚かさを呪うがいい」

川内「そんな……」

提督「第一艦隊以外は別命あるまで待機。瑞鳳と瑞鶴は艦攻隊を発艦させよ」

全員「了解!」

提督「これは詰め将棋のような物だ。一手間違えれば一気にこの作戦は瓦解する可能性がある。絶対に気だけは抜くなよ」

全員「了解!」

提督「夜襲を開始する! 艦攻隊は『車懸かり竜巻戦法』を実施せよ!」
157 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/08/06(木) 02:44:52.79 ID:COwaYRGfO
今日はこれで終わりです!

また来ますね!
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/06(木) 06:02:26.86 ID:vfleB2ako
乙です
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/06(木) 11:21:03.39 ID:G6MaBmoSO
乙です
160 :ずいずい ◆9eWjFae4dI [saga]:2015/08/21(金) 23:49:52.62 ID:QxUQB6JNO
闇夜の中、瑞鳳と瑞鶴の導きに従い流星が飛び行く。向かうは比叡の32号水上電探が捉えた敵艦隊であった。

「多分この近辺にいるはずなんだけど……」

「瑞鶴、お前の流星隊もまだ敵艦隊を視認出来ていないか?」

「うん……」

瑞鳳と瑞鶴は初めての戦法であるからだろう、二人の顔から緊張と戸惑いを見て取れる。

瑞鳳と瑞鶴は夜間での航空機の誘導という、不慣れな事をさせてなお周囲の警戒させるのは危険である為、艦載機を射出後は朝霧の艦橋で艦載機の指揮を執らせていた。

「焦らなくてもいい。見落としだけに気をつけろ」

「はい……」

「うん……」

返事も精彩が欠いている。やはり、夜間の飛行の指揮はかなり厳しいのだろう。

「あれ?」

瑞鳳が何かに気付いたような声をあげた。そして、緊張と焦りで蒼ざめていた顔はみるみる赤みを帯びて、終いには喜色を浮かべた。

「見つけた!!」

「よくやった! 座標は?」

「データを転送します! 瑞鶴にも送るからこっちに誘導して!」

「了解! すぐに向かわせるわ!」

瑞鶴の顔からも焦りの色が消えた。

「うん! 提督、私の航空隊はどうすればいいの?」

「爆弾を装備した流星以外は敵の上空を旋回させるんだ。瑞鶴の航空隊は私の指示があるまで近くで待機させろ」

「「了解!」」

「敵艦、対空射撃を開始しました!!」

「今だ! 敵の対空砲火の光を狙え!!」

「雷装流星、全機雷撃開始!!」

瑞鳳の掛け声から十数秒、轟音が当たり日に響き渡った
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