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柔沢ジュウ「雨か」 堕花雨「お呼びですか?」
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1 :
◆yyODYISLaQDh
[saga sage]:2014/11/25(火) 20:29:54.52 ID:tQslcSvIO
・このスレは、片山憲太郎作・スーパーダッシュ文庫刊行のライトノベル『電波的な彼女』シリーズ及び『紅』シリーズのSSスレです。
・キャラ崩壊、設定崩壊、
>>1
の自己解釈を(特に『紅』シリーズについて)含むため、原作のイメージを損なう恐れがあります。
・『紅』シリーズについては漫画版設定と原作版設定の双方に準拠しますが、二つの設定の違いについて深く触れるつもりはありませんので、リンさんは多分出ません。レッドキャップも多分出ません。
・地の文がありますので、台本形式がお好きな方には苦痛かもしれません。
・基本sage進行で、投下終わりだけageます。
・上記が許せる方は
>>2
から本文です。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1416914994
2 :
◆yyODYISLaQDh
[sage saga]:2014/11/25(火) 20:30:52.53 ID:tQslcSvIO
放課後。
授業も終わったばかりだというのに、オレンジ色に染まった太陽は既に傾き、ビル群の陰に隠れようとしている。
そんな薄暗い空の下、柔沢ジュウは最近買い換えたばかりのスマートフォンを弄っていた。
以前使っていた、所謂ガラケーよりも大きな画面に表示されているのは、デフォルメされた太陽や傘のマークの群れ。
天気予報の内容を確認したジュウは、空を見上げて呟いた。
「雨か」
「お呼びですか?」
背後から突然聞こえてきた返事は、聞き慣れたもの。
振り向くと、そこにはジュウより頭一つ分以上も背の低い少女が立っていた。
ジュウが割と大柄なのを差し引いても、小柄で、華奢な身体をしている。
そんな少女を見下ろしながら、ジュウは溜息交じりに言葉を返す。
「……お前じゃない。天気の話だ」
そうすると、少女は自分の胸に恭しく手を当て、こう言った。
「ジュウ様のお心に呼ばれましたので」
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/11/25(火) 20:31:17.84 ID:7LGA85bro
12月新刊発売に期待
4 :
◆yyODYISLaQDh
[sage saga]:2014/11/25(火) 20:31:45.50 ID:tQslcSvIO
呼んでない、とジュウは思ったが、この手の問答はこの一年で嫌という程交わしており、それを口にすればどうなるかは明白なので、心の中に留めておいた。
再度ジュウは嘆息してから元の進路に向き直り、歩き始めた。
そうすると、一定の距離をあけて、まるで侍女か従者かのように着いてくる少女。
この少女の名前は堕花雨といい、先程の発言からもわかるように、筋金入りの電波である。
なんでも、前世のジュウは王、雨はその騎士として、剣や魔法が乱舞する世界を駆け回ったのだという。
ジュウにはそんな記憶など全く無いのだが、雨曰く、そのうち思い出すとのこと。
その暁には再び剣を取り、共に世界を巡る――という妄言を、雨は真剣な顔で語る。
尤もその真剣な表情は、鼻の頭あたりまで長く伸びた前髪のせいで、だいぶ読みにくくなっているのだが。
しかし、その見た目やジュウに対する言動からは想像もつかないほどの優等生であり、まさしく文武両道。
進学クラスに在籍し、その中でも成績はトップクラスである堕花雨は、身体能力に関してもずば抜けている。
例えば豪雨の中、校舎の壁の縁をつたって窓から隣の教室へ移動したり、工事現場の足場を利用してマンションの9階まで登ってきたりと(その破天荒ぶりを除けば)、誰もが感嘆することだろう。
対するジュウは身体能力に関しては喧嘩と母親による虐待――もとい手解きによって無類の打たれ強さだが、勉強の方はからっきしである。
やる気が無いだけで授業には律儀に出席してはいるものの、内容を聞いていなければわかるわけもない。
その髪は金色に染め上げられており、見た目は不良を絵に描いたような出で立ちをしている。
しかしジュウは、煙草も吸わないし薬もヤらない、喧嘩も自分からふっかけるようなことはしないなど、不良としては三流である。
そもそもが生きやすいからという理由で不良の真似事を始めたこともあり、ましてや最近は度々雨に勉強を教えてもらったりしているので、そのキャラは着々と崩壊しつつある。
雨と出会ってからの自分は、どこかおかしい。
しかもそれを悪くないと思う自分がいるのも確かで、ジュウは複雑な気分で前髪をガシガシと掻いた。
そうすると、ふとした疑問が湧いてきて、ジュウは再び足を止め、肩越しに雨に話しかける。
「そういえば、今日は進学クラスは居残りとか言ってなかったか?」
5 :
◆yyODYISLaQDh
[sage saga]:2014/11/25(火) 20:34:53.51 ID:tQslcSvIO
うちの学校は特に変わり映えのしない普通の高校だが、進学クラスに関して言えばこの辺でもトップレベルの学力であり、有名私立にも引けを取らない。
しかし、そういった学校よりも遅れている授業を補習という形で埋めているので、高2の冬ともなると、必然的にその回数も増える。
今朝、雨はわざわざ遠いジュウのクラスまでその旨を伝えにやって来たのだが、今こうしてここにいるというのはどういうことだろう。
「ジュウ様のお心に呼ばれましたので」
「あのな……」
いつも通りの返事に、ジュウはどこから諭せばいいものかと悩みかけたが、雨は少しだけ口元を綻ばせると、冗談です、と言った。
……こいつの場合、冗談に聞こえないのが笑えない。
「この後大雨が降るそうで、補習も予定より早く進んでいることから、今日は無しになりました」
「そうか」
もともとそこまで興味があったわけでもないので、ジュウはあっさりと引き下がり、再び歩き出す。
自分のような不良にかまけて、雨の将来が台無しになるようなことがなければ、それでいい、とジュウは思っている。
別に、雨のことを思いやってというわけではなく、そうなった場合、確実に皺寄せがこちらに来るのがわかっているからだ。
特に――――
「柔沢ジュウ!」
6 :
◆yyODYISLaQDh
[sage saga]:2014/11/25(火) 20:35:26.33 ID:tQslcSvIO
言っているそばからこれである。
ジュウは顔を顰めつつ、自分の名前を大声で怒鳴る人物を見遣る。
校門を出てすぐの所に、仁王立ちした少女の姿。
快活そうな瞳に、愛らしい顔立ち。
以前会ったときよりも少しだけ伸びた髪はポニーテールに結えられ、風に揺れている。
この少女の名前は堕花光。
苗字からもわかるとおり、雨の妹である。
身長は雨よりも高く、並ぶと光の方が姉のように見えるが、実際は雨の方が姉である。
光はシスコンも多めに入っているので、雨に付きまとうジュウのことを(実際には逆だが)、目の敵にしている。
「あんた、なにお姉ちゃんを連れ回してんのよ!」
「誤解だ」
「そんなわけないでしょ! お姉ちゃんが、あんたに連れ出される以外に補習をサボったりするわけない!」
確かに、端から見ればそうなのかもしれないが、この女には少しは人を信じるという選択肢は無いのだろうか?
ジュウが呆れつつも自分と雨が同伴している理由を説明しようとすると、いつの間にかジュウよりも半歩前に出てきていた雨が先に口を開いた。
「光ちゃん」
7 :
◆yyODYISLaQDh
[sage saga]:2014/11/25(火) 20:36:02.12 ID:tQslcSvIO
雨の眼光に貫かれ(前髪で見えないが)、光は身体を竦ませる。
電波な姉とは違ってしっかり者の妹だが、何かと雨には頭が上がらないらしい。
雨は、ジュウに対する言葉よりも幾分か柔らかく、言い含めるように喋り出す。
「言いがかりはダメよ、光ちゃん。今日は大雨になるから、補習は無くなったの」
「えっ」
「それに、まずは挨拶でしょう?」
ジュウを攻撃する明確な理由が消え、姉に諭された光は、しぶしぶといった様子で、唇を尖らせながら挨拶をしてくる。
「……こんにちは、柔沢、先輩」
「おう。久しぶりだな、光」
「き、気安く名前を呼ぶな、この女ったらし!」
さっきのやりとりが悔しかったのか、光は興奮に顔を赤くして再び罵声飛ばしてくる。
ジュウはそれを適当に躱しながら歩き出し、光が横から暴言を重ね、少し後ろを雨がついてくる。
何が楽しいのか、雨はジュウと光のやりとりを見て微笑み、ジュウと目が合うと、小首を傾げて見つめ返してくる。
対するジュウはなんだか気恥ずかしくなって目を逸らしてしまう。
数か月前の光雲高校の騒動以来、ジュウは雨に対して、これまでに無い気恥ずかしさを覚えていた。
ジュウはその騒動で死にかけた(とはいっても結局は擦り傷程度だった)のだが、その際になんだかんだあって、泣きじゃくる雨の頭を暫くなで続けることになったのだ。
しかも、公衆の面前で。
それ以来、普段通り接することもできるのだが、あの眼で見つめられると、どうにも参ってしまうのだ。
原因をジュウなりに考えてみたのだが、考えるほどにモヤモヤとした煙が頭に充満するだけで、意味はなかった。
……やめだ、こんなことを考えてもしようがない。
ジュウは頭を切り替えて、大人しく光の罵声を浴びることにした。
そうしているうちに、いつもの別れ道までやってきた。
ジュウは手を挙げて、いつも通り、じゃあな、と声をかけようとしたが、それよりも早く、雨がこんなことを言い出した。
「光ちゃん、ジュウ様に用があったんじゃないの?」
光はその言葉にギョッとした顔をすると、慌てて否定した。
「な、な、なななんであたしがこいつに!?」
「今日は補習があるはずだったから、光ちゃんがあの時間に学校に来るなんておかしいもの。だから、ジュウ様に用があるんだと思って。違う?」
なるほど、言われてみれば確かにそうだ、とジュウは思う。
光は、補習があることを知っていた。
それなのにあんな時間から校門で待ち構えていたのはおかしい。
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