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千奈美「ようせいさんとおねえさん」
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464 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 03:54:51.57 ID:cYdimuaZ0
千奈美「そもそも高橋さんには、クロボのステージング、まだちゃんと見てもらったとは思えてなくて」
志保「夏祭りで見てもらったでしょ?」
真奈美「定期ライブとプロモーションイベントで歌ったときの動画は見せたぞ」
千奈美「……うーん」
アヤ「……逆かも。『ちゃんと見たい』から呼ばれたんじゃねえの?」
志保「ビューティーアリュールのこともあるから、どうせ呼ぶならやらせよう、的な?」
アヤ「礼子さん、いっつも欲張るからな」
真奈美「なるほど、有り得る。勿論、そういう浅いところだけでもなく、思惑はあるんだろうがね」
千奈美「思惑とかは、私にはいいです。じゃ、改めて。やらせてください」
真奈美「了解した。さて、所長としては、そうだな…… 月並みだが、これから大変になるぞ。頑張っていこう」
465 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 03:55:41.40 ID:cYdimuaZ0
千奈美「楽しめるように、ですね」
アヤ「アウェイ感あるけど…… やるっきゃねーもんなぁ」
千奈美「ファン増やすチャンスじゃない。こんなの、断ったら絶対後悔するわよ」
真奈美「よし、いいぞ。五千人だか一万人だかはまだ分からんが、根こそぎ引っ張ってくるつもりで行ってこい」
志保「そんなに来たら、お客様があふれちゃいますね♪」
アヤ「まあ、リアルな話、外部イベントに出た後って、少し増えるけど」
真奈美「今回は、店の宣伝は流石にできないからな。千奈美を見て覚えてうちの店まで辿り着く、という猛者がいったいどれだけいるのか。ふふ」
千奈美「ステージそのものじゃなくて、お店の存在でプレッシャー掛けるのやめませんか」
466 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 03:56:08.17 ID:cYdimuaZ0
アヤ「予想できない…… どうなるんだろ?」
志保「アヤちゃん」
アヤ「うん」
志保「考えすぎるより、前を見るんでしょ?」
千奈美「……ホント、私たち志保にフォローされ過ぎね」
真奈美「ところで志保、ライブまで、店のことでいちばん忙しくなるのは君だぞ」
志保「あぁっ、急に前が見えなくなりました!」
467 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 03:56:43.75 ID:cYdimuaZ0
――――
みく『木場さん』
真奈美「こんな遅くにどうした。寮はもう消灯だろう」
みく『ちょっとだけ、ちょっとだけ相談したいんです』
真奈美「ホーリーナイトパーティーのことかな。確か呼ばれてたな」
みく『……はい。高峯さん。高峯のあさんって、知ってますか』
真奈美「ああ、ジューシーの?」
みく『はい。その高峯さんの要望で、ジューシーパーティーさんから、みくにオファーがあったの』
真奈美「ふむ、そういう経緯なのか」
みく『継続することを前提に、ユニットを組みたい、って』
真奈美「…ほう?」
468 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 03:57:09.80 ID:cYdimuaZ0
みく『今は、クリスタルステアにマネジメントお願いしてるんですけど』
真奈美「そうだね」
みく『ジューシーパーティーに来てくれ、って』
真奈美「ジューシーの正所属に? いい話じゃないか」
みく『いい話だとは、思うんだけど…… そんな、スパッと乗り換えていいのかな……』
真奈美「それを私に聴くのかい。所属を誘ってた私に」
みく『え、あっ、いや、その…… 木場さんが、いちばん、みくの…… 私の話を聞いてくれたから』
真奈美「……」
みく『せめて、木場さんには話を通さないと、なんか、よくないな、って…… 筋が、通らない? っていうのかな……』
469 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 03:57:58.87 ID:cYdimuaZ0
真奈美「……まあ、先方には、今まで世話になった礼は言うべきだな」
みく『それはもちろん』
真奈美「それから先は、全く別の話だ。まして、君が世話になっていたのはスケジュール管理だけだろ」
みく『……クリスタルステアさんには、それで、いいかもしれないけど』
真奈美「……私の許可が欲しいのかな」
みく『っ……』
真奈美「大人げないことを言うなら、心配だし、悔しい。結局のところ、事務所の大きさの差なんだな、と思ってるよ」
みく『……それ、は』
470 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 03:58:47.36 ID:cYdimuaZ0
真奈美「でも、私はアイドル前川みくに期待している一人の人間でもある」
みく『う……』
真奈美「オフィス・グラジオラスの所長としては寂しいところだが、木場真奈美としては応援するよ」
みく『……』
真奈美「私を振るんだから、今以上に活躍してくれ」
みく『木場チャン……』
真奈美「泣くようなことじゃないだろう。今後、いくらでも一緒に仕事をすることはあるんだ」
みく『……うん、うん。みく、頑張るから』
真奈美「親御さんとも、しっかり相談するんだよ」
471 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 03:59:15.54 ID:cYdimuaZ0
――――
礼子『セトリ、まだ全然仮組みだけど。見た?』
千奈美「はい。四曲ですよね。これなら基本の振りは全部入ってます」
礼子『あれ、ゴキゲンPartyNightやったことある?』
千奈美「定期ライブでやってますね。本番でやったことあるのはBパートだけですけど」
礼子『助かるわ。アヤが入るこずえの新曲二曲、先に振り付けの動画送って宿題にするから。フォローしてやって』
千奈美「見るくらいしかできないですよ」
礼子『それで充分よ、とりあえず動きの流れさえ入れば、後はもうトレーナー任せで』
千奈美「……うぇえ。キツそう」
礼子『キツイでしょうねー。私もう基本的に踊らないんで気楽だわー』
472 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 03:59:41.62 ID:cYdimuaZ0
千奈美「あぁ、膝ですか」
礼子『そうそう。一応負担掛けないように振りを変える、ってのもあるけど、時間的に厳しいし』
千奈美「完治、待ってますから」
礼子『あは、ありがと』
千奈美「社長譲るっていう話はどうなったんです?」
礼子『あれね。結局、もう社長っていったら事務所の方針決めるとこだから、譲れないなーって』
千奈美「欲張りですねえ……」
473 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 04:02:13.02 ID:cYdimuaZ0
礼子『まあ、企画屋とかプロデューサーとか雇うのも手なんだけどさ』
千奈美「まだ自分が決めたい?」
礼子『そうそう。欲張りなのよ』
千奈美「身体には気を付けてくださいね?」
礼子『膝以外は健康よ』
千奈美「本当に、完治、待ってますからね」
礼子『……ありがとう』
474 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/01/02(土) 04:02:53.48 ID:cYdimuaZ0
――――
レギュラーはアヤ志保千奈美です。
自分でもびっくりするくらい書き進められてないけど頑張ります。
もう下向かないって決めたから。
475 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/02(土) 10:04:45.03 ID:18CvEl2GO
きたー!
あけましておめでとうございます、今年も楽しみにしてます!
476 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2016/02/06(土) 11:56:23.20 ID:nc/IQl65o
ほ?
477 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/03/04(金) 03:25:41.83 ID:1eojzJWxo
匿名保守スレ晒しage やる気ないならHTML依頼どうぞ
■ HTML化依頼スレッド Part39
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456287822/
478 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/04(金) 07:26:56.35 ID:OHKyDYNBo
保守です
479 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/03/04(金) 21:35:19.19 ID:v1lG4+1Zo
待ってるぞ
480 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:09:22.66 ID:3HR+IMp00
加蓮「あ、小室さん。と桐野さん」
アヤ「お疲れ。北条さんはお疲れ様?」
加蓮「こっちはアガりでーす」
千奈美「北条さん、今日レッスンあったの?」
加蓮「時間が空いたから、新しいレッスン靴の慣らしがてら、奏とちょっと合わせに来たんだ」
アヤ「あー。ユニット合わせに?」
千奈美「モノクロームリリィ、久しぶりよね」
加蓮「そうだよー。本番前とあと一回しか予定入れられなくてさー。今日はたまたま時間空いたから寄ってみたんだ」
千奈美「じゃあこれから別件」
加蓮「そ。次はトラプリで。んもー、お腹空いたぁー!」
アヤ「靴買うよりメシ食うべきだったのでは……」
千奈美「お疲れ様。気を付けてね」
加蓮「だって奏とダンスするの楽しみだったからお洒落したかったのー! はーいそっちもお疲れー」
481 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:10:51.99 ID:3HR+IMp00
――――
アヤ「トラプリって、トライアドプリズム? だっけ」
千奈美「トライアド“プリムス”、よ。あんたそれSNSとかでやったら大炎上だからね」
アヤ「こえー!! オーバーロードの渋谷凛とやってるユニットだろ」
千奈美「あと、ハヤブサプロの神谷奈緒ね」
アヤ「……あれ、神谷奈緒って確かさっきニュースで見たぞ」
千奈美「え」
アヤ「そうそう、これ。ハヤブサからオバロに移籍だって」
千奈美「……北条さんもジューシーから移籍するのかな」
アヤ「二年やればそういうこともあるだろ」
482 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:11:40.49 ID:3HR+IMp00
――――
奏「聞いてないわね」
千奈美「まあ、そうよね」
奏「一応、ジューシーはオーバーロードと業務提携してるから。敵対的っていうのかしら、突然の引き抜き? みたいなのはないはずよ」
アヤ「本人が言ってたの?」
奏「ちょっと前に、社長が」
アヤ「あ、アテになんねーーー!!?」
千奈美「アンタね…… 礼子さんが聞いたら怒るわよ」
奏「怒るような人かしら?」
千奈美「どっちかっていうと、同意すると思う」
奏「散々な言われようね…… あれでも私尊敬してるんだけどな」
アヤ「あれでも、って」
奏「あれ」
千奈美「……奥? もう来てるの?」
483 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:12:18.84 ID:3HR+IMp00
アヤ「寝てるな」
奏「付き合いで朝方まで呑んでたんですって」
千奈美「レッスンどうするのよ……」
奏「課題は聞いてるんでしょ。東郷さんと高峯さんは、定刻通り来るっていうから平気じゃない?」
アヤ「まあ、そうな。NationBlueとエージェントの合わせ。…北条さんだけ二回なんだ?」
奏「いつものポジションだから大丈夫、とはご本人の弁よ」
千奈美「速水さん、何時までいられるの?」
奏「一応、名目上は20時までになるわね」
アヤ「了解。あいさんと高峯さん、あと北条さん、速水さん、千奈美だろ? Nationならまあ平気か」
奏「エージェント夜を行くは?」
千奈美「自分のところでやったことあるから、多分平気」
アヤ「もらった振り付け、少し新しくなってたな。ま、このくらいならすぐ修正できるんじゃね」
484 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:13:14.15 ID:3HR+IMp00
奏「簡単に言うわね… 加蓮がセンター右だから、代わりよろしくね」
アヤ「あんな可愛くできねーけど、立ち位置とかはまあ心配要らないはず」
奏「小室さん、Day of the futureやるんでしょ? 見たいなあ」
千奈美「アリュール合わせのレッスン見に来れば見られるけど。それか本番?」
アヤ「その前にゲネで見るだろ。何なら、今アタシが合わせてもいいけど」
奏「え、桐野さん、できるの?」
千奈美「え、できるの?」
アヤ「ふふん。千奈美がいない間に志保と二人で覚えた。デイオブだけじゃなくてTRIAL DANCEもできるぜ」
千奈美「TRIAL DANCE…… 貴方どころか私も歌わない曲覚えてどうするのよ……」
奏(……振りのVもらってから一週間経ってないわよね? 一週間足らずで新曲三つ……?)
アヤ「あいさんと高峯さんの手伝いくらいにはなるかなって。あと、ダンス覚えるの最近好きだし」
485 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:13:52.25 ID:3HR+IMp00
のあ「話は聞かせてもらったわ」
あい「その曲でステージに立ちたいなら、私たちを倒すことだな」
アヤ「えっいやそんなつもりは」
のあ「勝者だけが…… 舞台に立つ資格を得る……これもアイドルの宿命……」
アヤ「えっ、えっ」
千奈美「……練習しましょうよ」
あい「私もそう思うよ」
のあ「十全ね」
奏(……私、まだ自分の曲の振り付けでいっぱいいっぱいなのにね。みんな余裕じゃない)
486 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:14:27.00 ID:3HR+IMp00
礼子「うぉあ!?」
487 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:16:01.66 ID:3HR+IMp00
あい「……だ、大丈夫かい。礼子さん」
礼子「……大丈夫じゃない」
のあ「焦燥が見えるわ」
礼子「はい、焦ってます。……奏」
奏「……はい?」
礼子「加蓮が怪我して、今病院行ってる」
奏「は?」
礼子「今電話が来た。トラプリのレッスン中に変に足首ねじったって」
奏「……容体は?」
礼子「本人とは話してないからマネージャーからだけど、とりあえず今は歩けないって」
あい「……ライブは?」
礼子「病院次第。踊れなくても立てるまで回復したら検討、かな。ポジション変えあるかもね」
千奈美「え、じゃあ、練習は……」
礼子「今日はそのまま続けて。蓋開けたら、ライブまでには余裕で治るような軽傷かもでしょ」
488 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:22:22.30 ID:3HR+IMp00
――――
礼子「高橋でー。……うん、そっか、わかった。加蓮は? え、代わる? いやいい……」
加蓮『……礼子さぁん……』
礼子「ん。お疲れ様」
加蓮『骨、なんで、折れ…… 手術、レッスン、できな』
礼子「……ちゃんと治そう。私の膝みたいになったら、ほんと嫌だから」
加蓮『ライブ、ある、っ、レッスン、したい、のに』
礼子「……気持ちは解った。うちのは何とか調整する。加蓮には出てもらう。全部じゃなくても、モノクロとか五人のNationとかは調整する」
加蓮『ごめ、ごめなさっ、……うぅぅっ……うぁあぁっ…… 奏、なんて、言ったら、ぅぅぅ…… 久しぶり、なの、に』
礼子「……奏はもう帰っちゃったから、私からも後で伝えておく。加蓮からはね、日を改めて連絡すればいいから」
加蓮『凛、と、奈緒、ごめん、ね、って…… 両親、も、オバロの、プロデューサーさんとかも』
礼子「そっちもちゃんと話つけるから。大丈夫よ。うん。親御さんにもね、私からもお話するから。……もうすぐ親御さんそっちに着くでしょうから。ゆっくり休みなさい」
489 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:23:11.22 ID:3HR+IMp00
礼子「んおああああああ…… 歩けるまで二か月…… 冗談キツイ……」
アヤ「今めっちゃいい保護者だったのに、切った第一声がそれ!?」
礼子「感情的なところはともかく、理屈上はヤバイのよ。ステージ自体はギリ間に合うけど、ダンス曲やらせるわけにいかないでしょ」
千奈美「……セットリストも変更になりますか?」
礼子「なるわね。とりあえず加蓮はステージ移動なし、ダンスも手の振りだけ、の前提で」
あい「こっちもちょっとした手術だね。ま、対応してみせるさ」
のあ「問題ないわ」
千奈美「うーん、細かい話ですけど、今日だとNationBlueどうします?」
礼子「なんなら私入るわよ。それより曲目足りなくなるかもなのよね…… アヤ、あんたちょっと増やすかも」
アヤ「えっ」
490 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:23:57.50 ID:3HR+IMp00
礼子「……アヤと同じくらいに踊れる子…… うちだと高峯ちゃん?」
のあ「既に背負うものがある私に、これ以上の要求を? 所長が望むのなら、吝かではないが」
礼子「無理でしょ。前川ちゃんとアナスタシアさんのリーディングに専念で」
あい「アヤくんとなら、私が何とかならないこともないが?」
礼子「レッドバラードでやるのは二曲だけって決めてるから却下。……誰か呼ぶかー」
アヤ「えっ……えぇ……?」
千奈美「誰か、今から呼んでそのレベルで踊れる人心当たりあるんですか?」
礼子「今のところ、ない」
あい「むむ……」
礼子「ねーねー、誰かいない?」
千奈美「ざ、雑……!!」
491 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:26:01.12 ID:3HR+IMp00
――――
志保「二人ともおかえりー。お風呂も甘いものもありますよっ♪」
アヤ「……おう……おう」
志保「大変だったよね。せめてリラックスしてね♪」
千奈美「……食べるわよ、アヤ。来月には甘いもの断ちなんだから」
志保「私も食べない! 協力します!」
アヤ「ありがと」
志保「……きっと、楽しいと思うんですよ。乗り越えちゃえば」
千奈美「確かに、今までそうだったからね」
アヤ「……まーな。ビビッたら箱が小さくなるわけでも、怪我が完治するわけでもない」
志保「私、頑張ってね、とは言わないよ?」
アヤ「なんでさ。いいけど」
志保「だって、私たちいつも頑張ってるもん。やり切らなかったら、心残りになるって」
492 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:26:50.31 ID:3HR+IMp00
千奈美「……そう、ね」
志保「アヤちゃんと千奈美ちゃんの夢なら、私の夢だよ。だから、一緒に走るよ」
アヤ「……」
志保「って、前の同い年呑みで聴いた」
アヤ「お前! 割と肝心なとこで寝てたろ!!」
千奈美「そうだ」
アヤ「あ?」
志保「うん?」
千奈美「アヤ以上にダンス得意で、無茶振りどんと来いな友人、いたわ」
アヤ「……!!」
493 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/03/19(土) 05:33:12.41 ID:3HR+IMp00
――――
To:アヤ (無題) [よよよい なんかジューシィの高橋さんからオファー来たんだけどアヤの差し金?]
To:小松伊吹 Re: [差し金てお前]
To:アヤ Re: [いえーい 毎週東京出ちゃうよーんやったね☆]
To:小松伊吹 Re: [ダンス強い子紹介してくれっていうからね 頼りにしてるんだよ]
To:アヤ Re: [頼りにしてきたか! 万超えの箱でライブとかめっちゃアガる!↑↑]
To:小松伊吹 Re: [よく言うなー かかってこい、的な?]
To:アヤ Re: [的なね 寝るねおやすみZzz]
To:小松伊吹 Re: [おやすみー]
アヤ(……え、マジで寝たの!? 軽!!?)
494 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/03/19(土) 05:37:52.85 ID:3HR+IMp00
――――
レギュラーはアヤ志保千奈美伊吹です。
アヤにSR二枚目が追加されて、これで全アイドルSR二枚以上になりましたね。
495 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/03/19(土) 09:13:55.37 ID:TeBNr57hO
やったぜ
アヤのSRいいものだぁ…
乙です!!
496 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/03/19(土) 14:10:21.33 ID:sDElFLBoo
きりのん来たから来るかと思ったらやっぱり来てたか
497 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/03/19(土) 15:54:19.43 ID:UVh71tXt0
朝見つけてずっと読んでる
ゆるりと期待しとるよ
498 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/03/24(木) 00:08:11.49 ID:kkr1aPjSO
乙乙
この話に出てくる子、みんな好きになるやつだわ
ところでレギュラー増えてるんだが…!
499 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:02:03.72 ID:oDJHhbIB0
礼子「サンプル動画見たわよー。このレベルで踊れるとは知らなかったわー」
伊吹「どーもどーも。お褒めに預かり光栄でーす。よろしくお願いしますね!」
志保「あの……よ、よろし、く……?」
礼子「なんでキョドってるのよ」
志保「え、アヤちゃんと伊吹ちゃんと一緒にって…… 無理が……?」
礼子「やる前からビビッてどうするの」
伊吹「まー平気平気! 本番なんて一回しかないんだから! 練習よりキツイことなんて何もない!!」
500 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:02:41.56 ID:oDJHhbIB0
志保「え、えぇ……」
礼子「軽くヒくくらい、滅茶苦茶ポジティブね」
伊吹「実体験ですよ。収録だって本合わせがいちばんしんどいし、ダンスも練習がいちばん辛い」
礼子「場数もそれなりなんでしょ?」
伊吹「ローカルテレビですけど、一応レギュラー持ちです。全国区は全然ですけど」
礼子「じゃ、今回で風穴開けてちょうだいよ」
501 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:04:03.54 ID:oDJHhbIB0
――――
千奈美「木場さん、大丈夫ですか?」
真奈美「ん? 何がだ?」
千奈美「シフト、私たち三人とも結構抜けてますけど……」
真奈美「そうだな、バイトの子には少し多く来てもらうことになる。君らが心配することじゃないさ」
アヤ「一応アタシら正社員ですよ?」
真奈美「芸能活動も立派な仕事だよ。……というか本来はそっちに注力させなければならないんだが」
502 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:04:34.79 ID:oDJHhbIB0
千奈美「そう言ってくれるなら、遠慮なく出ますけど」
アヤ「早!?」
真奈美「ふふ、それでいい。それより、ディナーまで客足落ち着きそうだし、アヤ先に上がっていいぞ」
アヤ「はーい。そしたら早めに向こう行きますわ」
千奈美「高橋さんと伊吹によろしく」
アヤ「ていうか伊吹うちに泊るんじゃねーかな」
503 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:05:23.73 ID:oDJHhbIB0
――――
志保「…え、えっと、ここがこうで……」
伊吹「そうそう」
志保「回って、ここで……こう……? ん、なんか違う……?」
伊吹「あー」
礼子「なるほどー」
志保「え、どうなってました?」
礼子「回るときのステップがおかしい」
伊吹「三回目の終わりの右足、左に半歩ずらしてみなよ。そのまま出してるから、勢いつけようとして横にブレてる」
504 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:05:50.63 ID:oDJHhbIB0
志保「え、こうの、こうで、右足半歩…あ、ほんとだ! だからキックしてるみたいな感じになってたんだ…」
礼子「伊吹ちゃん良く見てるわねー」
伊吹「一応、前職みたいなもんですし。トレーナーのバイトもしてましたからねー」
礼子「頼りになるわー」
志保「ワン、ツー、スリー、出す、ターン。……おお、ずれない!」
礼子「なんやかんや、志保ちゃんも飲み込み早いし」
505 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:06:41.37 ID:oDJHhbIB0
――――
アヤ「え、もう二人ともほとんど振り入ったの?」
伊吹「ふふん。半日あれば充分だよ」
志保「な、なんとか……」
礼子「だいたい伊吹ちゃんのおかげだわ」
アヤ「おー」
志保「そうだね、凄くお世話になった」
506 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:07:10.54 ID:oDJHhbIB0
伊吹「……でもなあ」
礼子「ん?」
伊吹「そのー、言いにくいんですけど。……実際は、歌が入ってもダンスに集中しちゃうんですよね」
アヤ「え、マジで」
礼子「どのくらい?」
伊吹「……バミとかカメリハだとあんまりプロンプ出さないじゃないですか」
礼子「そうね」
507 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:07:36.22 ID:oDJHhbIB0
伊吹「だいたい歌詞飛ばすか間違えます」
アヤ「おい!!?」
伊吹「大丈夫だよ! プロンプ見られればちゃんと歌詞つながるから!」
礼子「……歌もしっかりね。二人もサポートよろしく」
志保「任せてください」
アヤ「うおー、超がんばるぞー」
508 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:08:56.37 ID:oDJHhbIB0
――――
礼子「伊吹ちゃんはさ、ダンス本業でしょ」
伊吹「そうですねー。動画でも見てもらったブレイキン、ブレイクダンスが本業ですけど」
礼子「あれ凄くない? 片手で逆立ち? するやつ」
伊吹「マックスですか? ほいッ」
礼子「おおー! 意外とサラッとやるのね…」
アヤ「実際には倒立とは微妙に違うんすよ。……よッ!」
509 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:09:24.21 ID:oDJHhbIB0
礼子「惜しい!」
志保「ほぼ出来てるような?」
伊吹「もっと勢いつけて振り上げれば出来るよ。ていうかアヤ、チェアーできるんだから筋力的には充分だよ」
礼子「チェアー?」
伊吹「両脚を地面から離して止める技ですね。アヤ見せてあげなよ」
アヤ「アタシかよ。いいけど……ふッ」
510 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:11:41.28 ID:oDJHhbIB0
礼子「え、アヤあんたそんなのできたの!?」
アヤ「喋るの無理す」
伊吹「志保もステップだけなら覚えてる?」
志保「ええ、今すぐ…… どうかな……」
礼子「見たーい」
伊吹「高橋さんもやります? 教えますよ!」
礼子「あ、私は膝に爆弾あるから無理」
511 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:12:10.70 ID:oDJHhbIB0
――――
千奈美「別に私たちはブレイクダンスチームではないんだけど?」
伊吹「高橋さん凄いグイグイ来てたよー、めっちゃ聞かれた」
アヤ「やばそうだぞ。……何かやらかすときの顔してた」
伊吹「何かって」
志保「やらかすって」
千奈美「ほとんど決まったようなものでしょ」
アヤ「……やっぱそう思う?」
512 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:13:17.95 ID:oDJHhbIB0
伊吹「??」
千奈美「今練習してるの、マリオネットの心よね」
志保「うん」
アヤ「多分これ、もう一曲何かやれって話になるんだろう、ってこと。しかもブレイキンで」
伊吹「マジで! やったぁー!」
アヤ「まだ決まってない! そもそももっと深刻に考えて!」
志保「やだぁぁぁ、私ブレイクダンスなんてステップくらいしかできないよぉぉぉ」
千奈美「……どうなるのかしら、ライブ」
513 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:14:16.93 ID:oDJHhbIB0
――――
志保「伊吹ちゃん、電話鳴ってる」
伊吹「ん? ……高橋さんだ」
アヤ「おわーこの時間にかよ……」
伊吹「はーい小松伊吹でございまーす」
礼子『高橋だけどー、ねーねー伊吹ちゃん』
伊吹「はいこんばんはー」
礼子『こっちから曲指定して、振り付け作れる?』
志保(ほんとに来た……)
514 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:14:44.98 ID:oDJHhbIB0
伊吹「おっ、出来ますよ。やっぱり次のライブの?」
礼子『そうそう。こずえが歌ってみたいかも、って言ってたんだけど、アナタたち三人も主役くらいに踊ってほしいのよ』
アヤ(……何考えてんの)
伊吹「曲は決まってます?」
礼子『うちの雰囲気だと歌いにくいけど、アナタたちと一緒だったら雰囲気的に有りじゃない?ってのがね』
伊吹「はぁ」
礼子『ビジョナリー』
515 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:15:12.23 ID:oDJHhbIB0
――――
アヤ「で、昨日言ってたビジョナリー。伊吹わかる?」
伊吹「聴けば思い出すと思うけど」
志保「えーっとね……これー」
伊吹「……あ、ああ! これか、これかぁー……」
千奈美「まあ楽しい曲よね。ジューシーっぽくはない、てのもわかる」
志保「どうですか、伊吹センセイ」
516 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:15:38.68 ID:oDJHhbIB0
伊吹「これはいけませんよ」
アヤ「何がだ」
伊吹「アタシたちがガチでやればやっただけ、こずえちゃんのギャップで面白くなる」
千奈美「嫌なの?」
伊吹「にひひー。大好物! さー、振り付け作るぞー!」
志保「765さんの曲でブレイクやったことあるの?」
517 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:16:04.99 ID:oDJHhbIB0
伊吹「アドリブでも全然やるよ。ていうか、ステップ教えたとき乙女を大志を抱けだったじゃん!」
アヤ「だな。言われてみれば伊吹って割と『急がばまっすぐ進んじゃおう』だよな」
伊吹「『一石二鳥じゃ物足りない』し! あの曲好き!!」
千奈美「私たちに足りないの、それね」
志保「ところで、振り付けどうやって作るの?」
伊吹「ま、仕事あるから今日は実家戻るし、アタシが持ち帰るよ。次回をお楽しみに♪」
アヤ「……志保」
志保「う、うん?」
アヤ「腹を括ろう」
518 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/04/11(月) 02:22:15.25 ID:oDJHhbIB0
――――
レギュラーはアヤ志保千奈美と伊吹です。
4/8は桐野アヤの誕生日でした。
総選挙は、出来る範囲で満遍なく投票する予定です。
519 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/04/12(火) 00:17:11.29 ID:CmaukKv/0
乙。
一気読みしました。いい意味で生々しいアイドル像が素敵。
ふじともが二十歳とか言ってるから特定のアイドルだけ年齢上げてるのだろうか、とか思ってしまったが、あの子もともと19歳なのね。
完全に中学〜高校のイメージになってたわ。
520 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage]:2016/05/13(金) 08:33:30.79 ID:88WoUWBlO
板分割ってなんだ…
521 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/05/13(金) 13:35:43.24 ID:XKcDCm5do
エロが規制くらうことになったからエロSSはエロおっけーな板に移ってね という話
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/05/31(火) 12:32:24.42 ID:NWecOi2+o
いまいちだな
523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/15(水) 18:59:26.51 ID:O3BgxTbiO
あ
524 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/15(水) 22:13:37.59 ID:ptz9vbDvo
>>523
しねこら書き込んでんじゃねーよ
525 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/20(月) 09:10:40.59 ID:DuQjZeZjO
え?
526 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/20(月) 19:13:10.29 ID:e3my30fno
>>525
お前も黙れ
527 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/22(水) 00:40:41.26 ID:bNjouuvBO
えええ?
528 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/22(水) 22:51:03.81 ID:VQ9NyaxCo
>>527
散れ漆黒
529 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/24(金) 09:16:38.23 ID:rkEH9TLOO
はい
530 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/01(金) 20:58:21.26 ID:sga4INwx0
0713
531 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/03(日) 16:28:09.94 ID:iHxxGEyLo
そろそろ2ヶ月か
532 :
 ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄ ̄
[sage]:2016/07/05(火) 23:48:04.80 ID:0izoeFiJ0
ほ
533 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/08(金) 15:17:40.46 ID:iIUJF5eB0
ほ
534 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/07/08(金) 20:06:46.14 ID:c9RXVlVI0
おつ
535 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/09(土) 02:06:12.10 ID:akSJtwFQ0
個人的に一番好きなSSだから消えないでほしいなぁ。
536 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage]:2016/07/14(木) 01:31:41.68 ID:ZzLw40Awo
連休中に投稿予定です。
537 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/07/14(木) 05:06:40.07 ID:Bc4TTAXdO
どうだか
538 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/14(木) 08:36:27.12 ID:cuwt6Lfxo
OK
待ってるぞ
539 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:15:49.40 ID:QO0zS8C+0
――――
「……はい、ステージ側オッケーです! ステージ裏どうですか?」
「問題ありませーん! 出演者の皆さん撤収できまーす!」
礼子「はい了解。大丈夫ね、スタッフの皆さんお疲れ様、ゲネ終了でーす!」
「「「「お疲れ様でーーーす!!」」」」
礼子「出演者、並びにスタッフの皆さん。明日はよろしくお願いします!」
540 :
◆S0mvz1PntgQY
[saga]:2016/07/19(火) 00:16:49.05 ID:QO0zS8C+0
――――
あい「出演者各自! 衣装さんがシャワールームの前にいるから、衣装と小物預けること!」
のあ「メイク落としは各々で……シャワー待ちの間に」
あい「……え、もう終わったのかい」
アヤ「早くないっすか」
のあ「造作もない……舞台はけて直行した」
あい「身も蓋もないなあ。アヤくんたちは?」
アヤ「今日はもう終わってますけど、明日はどうするかなあーって」
541 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:17:21.28 ID:QO0zS8C+0
のあ「何を、迷って……?」
アヤ「アタシたち、こずえの都合もあるから出番終わるの早いじゃないすか。その間にシャワー浴びればいいんだけど」
あい「そうだね」
アヤ「……見ときたいんですよね。もちろん千奈美のソロも、他のみんなも」
のあ「そうするべきだと思うなら、そうなさい。すべては、自由だから」
アヤ「千夏さんたちどうするんだろ…聴いときゃよかった」
あい「メールなりなんなり、軽く聞いておけばいいのではないかな」
アヤ「そーします」
542 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:19:49.07 ID:QO0zS8C+0
――――
久美子「ああああ愛結奈ぁぁ千奈美ぃぃぃトチッちゃったぁぁああぁあぁあぁぁ」
愛結奈「まあ、あのくらい平気でしょ。よくやるし」
千奈美「よ、よくやるかどうかは置いといて、ソロさえ飛ばなきゃ何とかするわよ」
愛結奈「ダンスできてるから大丈夫よ。ほらほら、さっさとシャワー行こ」
久美子「メイク拭く……」
千奈美「私もちょうだい」
愛結奈「ワタシも。んんー、明日で終わりかー。楽しみたいよねえ」
千奈美「今だって楽しいから、きっと平気よ」
543 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:22:16.02 ID:QO0zS8C+0
――――
加蓮『お疲れー、今終わったって? こっちは今帰宅』
奏「ええ。…足は大丈夫?」
加蓮『いや、そりゃ大丈夫じゃあないでしょ。さっき痛み止め切れたよー。歩けるけどじんわり痛いね』
奏「じゃ、訂正。ゲネの間は平気だった?」
加蓮『うん! これなら明日も、本番中は充分イケそう』
奏「そう。よかった。…あんまり話せなかったから、心配したのよ」
加蓮『あはは。…明日も話せそうな時間はないんだよねー』
奏「入りギリギリまで遅らせて痛み止め打って、出番終わったら撤収、だものね」
加蓮『……頑張るよ。ガラじゃないけどさ』
奏「そうね、ガラじゃない。でも、私だってそのつもりだから」
加蓮『ふふっ。……おやすみ。また明日ね』
奏「ええ、また明日」
544 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:22:48.21 ID:QO0zS8C+0
――――
伊吹「コーラおいしい」
志保「アイスクリーム食べたい」
アヤ「お前ら……」
飛鳥「…油断が過ぎるんじゃないかな、来訪者諸君は」
アヤ「返す言葉もない……」
志保「私食べてないよ、考えてるだけだよ!」
伊吹「二宮さんもさっきコーラ飲んでたじゃん」
飛鳥「……正論は強いな。言葉を失うよ」
アヤ「返す言葉もない!!」
545 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:23:48.76 ID:QO0zS8C+0
志保「でも、ちょっとくらい自分にご褒美したい気持ちわかるよ」
飛鳥「……?」
志保「だって、こずえちゃんと二宮さんだけでしょう、最後までステージに出られないの」
飛鳥「表現そのものにおいては、年齢は障壁じゃない。……今はそれでいいのさ」
伊吹「壁っていうか、まあルールだからね。もう21時過ぎるけど、寮帰らなくていいの?」
飛鳥「交通手段の都合でね、みんなと一緒のバスに乗ることになったよ」
アヤ(……マネージャーさんに「みんなと一緒に帰りたい」って言ってたけどな)
546 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:24:41.84 ID:QO0zS8C+0
志保「夜遅いと、明日に響きますよ!」
飛鳥「何、案ずることはない、夜はボクの時間だ…… と言いたいところだが。今日は素直に寝るよ」
伊吹「あたしなんて、既に眠いけどね」
志保「小学生かな?」
アヤ「二宮さん夜更かし好きなのー? 程々になー。お茶とかコーヒーとか飲んだり?」
飛鳥「えっ、いや、そういうのは」
志保「…そういうのは?」
飛鳥「……苦いの、苦手で」
547 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:25:07.14 ID:QO0zS8C+0
伊吹「今度、グラジオラスでカフェオレでも入れてもらうといいよ。美味しいから」
飛鳥「覚えておこう。…さて、そろそろバスで待機するとしようかな」
アヤ「あいよ。アタシたちも行くかー」
志保「はーい。千奈美ちゃん声かけてこようか?」
アヤ「浜川さんたちと一緒だし、今日はいいだろ」
志保「そっか。メールだけしとこ」
548 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:25:36.18 ID:QO0zS8C+0
――――
真奈美『お疲れ様です』
礼子「はいお疲れ。こっちはつつがなく終わったわよ」
真奈美『それは何より。こっちも差し入れ準備終わりました』
礼子「ありがとー。何時頃来るの?」
真奈美『メイク始まる前には行きたいですね。昼前には』
礼子「出迎え出来るかわからないから、パスは忘れないでね」
真奈美『心しておきます』
礼子「よろしくね。……あの子たち、頑張ってるわよ」
真奈美『そうですか。……褒めてやってください』
礼子「もちろん」
549 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:34:36.53 ID:QO0zS8C+0
――――
千夏「ん、おはようございます」
真奈美「おや、おはよう」
千夏「……凄い荷物」
真奈美「差し入れだよ。こっちが終演後用のパックマスク、これはおやつのコーヒーゼリー」
千夏「いいわね、美味しそう」
真奈美「ケータリングルームにおいておくから、どうぞ。それにしても、ゆっくりだね」
千夏「そうね、ワンタイム二曲だけだから」
真奈美「そりゃそうだが。……サプライズ枠っていうのは、勝手が違いそうだな」
550 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:35:44.74 ID:QO0zS8C+0
千夏「どうなのかしら。出て、歌って、MC挟んでもう一曲やって終わり」
真奈美「まあ、なあ。言葉にしてしまえば、そうだけれども」
千夏「……本当はね」
真奈美「うん」
千夏「ここしばらく役者の仕事ばかりだったから、本格的に歌うのは半年ぶりで。ちょっと緊張してたの」
真奈美「過去形?」
千夏「……ガチガチの千秋見てたら、どうでもよくなったわ」
551 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:36:46.55 ID:QO0zS8C+0
真奈美「黒川さんも久しぶりのステージングか… 彼女は大丈夫なのか、それ」
千夏「あの子はちょっと緊張してるくらいが丁度いいのよ。そのほうが可愛いんだから」
真奈美「なるほどなあ」
千夏「それより、アヤさんのこと。……正直に言っていい?」
真奈美「この文脈で『正直に』と付けられるのは怖いがね。聞こう」
千夏「もっと、出来ないと思ってた。最初そう思ってたことを、木場さんに謝っておきたくて」
真奈美「……ずっと、現場にいるようなものだからな」
552 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:45:33.31 ID:QO0zS8C+0
千夏「報われると、いいわね」
真奈美「私が、そうしてやらなきゃいけないのさ。本当は」
千夏「それなら、今回はチャンス?」
真奈美「そうかもしれないな。……彼女たちには、そのつもりでいるように教えているつもりだけど」
千夏「伝わってるんじゃないかしら」
真奈美「今日の今日では、もう祈るしかできないね。…あの子たちは控室こっちか」
千夏「それじゃあ、また後で。 Je vous souhaite une bonne journée.」
真奈美「ああ……え、あ?」
553 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/07/19(火) 00:50:02.94 ID:QO0zS8C+0
――――
レギュラーはアヤ志保千奈美と伊吹です。
554 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/19(火) 08:12:24.63 ID:HM9ebNWKo
超待ってました
この子たち好き
555 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/21(木) 00:32:12.34 ID:FjOtwHdG0
乙。待ってた。
大舞台に近づいてる感がいいなぁ。
556 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/21(木) 09:28:04.63 ID:dErS8iH/O
礼子さんのとこは
こずえ
はまあゆ
のあさん
あいさん
加蓮
奏
飛鳥
でいいのかな。これで千奈美重用してるってクール好きだなキング。(わかる)
557 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/28(木) 02:00:53.66 ID:E7AtqkTUO
この作者のSSが好きすぎる
続き待ってます
558 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/08/16(火) 00:47:37.47 ID:Hnrzybny0
お客さんの前で歌って、踊って、視線と歓声を受け止める。
言葉にすればそれだけのことだけど、それだけじゃない。
前には一万人を超えるお客さんがいて、みんながみんな、それぞれに想いと期待を持ってくる。
後ろには何十人ものスタッフ、そしてそれ以上の数の関係者がいて、やっぱりそこにはみんな誇りや願いを持ってる。
そんなに大きくないカフェで働きながら、月に一回、数十人のお客さん相手にライブをしている店員だって、
ローカルテレビ番組のMCが主な仕事のダンサーだって、全国ネットのレギュラーを持ってる現役女子高生だって、
最新シングルが数万枚売れたユニットに所属してたって、銀幕で大活躍の新進気鋭の女優だって、
古着屋のバイトだってピアニストだって事務所の社長だって。
ステージに立って、お客さんの熱気に晒されたら、大した違いはないんだ。
「……吐きそう」
ドレスルームからステージへの通路の脇、いくつかある控えスペースの片隅で、アタシは一人座り込んでる。
客観的な自分が、今の自分を指差して笑ってる。椅子に尻がへばりついたみたいだ。
声が出ない。膝が震えてる。
せいぜい百人程度しか相手にしてなかった、場末のアイドル崩れが、一万人を相手にできるかよ。
馬鹿言うなよ。自嘲が胸の中で膨らんでいく。
559 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/08/16(火) 00:49:51.25 ID:Hnrzybny0
「……むーりぃー、って顔」
志保が、しゃがんで覗き込んで来る。アタシと同じ立場のはずなのに、笑ってる。
「なんで、そんな笑ってられんの」
「うーん。そうするしかないから、かな?」
かすれ声のアタシの質問に対し、首を傾げて眉を顰め、舞台上の振る舞いみたいに考え込む―遠慮なく言えば、わざとらしい―素振りを見せる。
「それとも、そうしたいから、かな。どっちだろ?」
志保は、答えを出しては来なかった。表情をコロコロ変えてから、結局笑顔に戻る。立ち上がり一歩離れると、屈伸、伸脚。
「よし」
それから重心を落として、膝でリズムを取り始める。
ゆっくりと腕を回しながらステップを刻み出した志保の足元から、キュキュッ、とリノリウムの床にソールをぶつける小気味良い音がする。
「ほら、アヤちゃん。ウォームアップしましょう♪」
560 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/08/16(火) 00:52:07.26 ID:Hnrzybny0
差し出されたその白い左手を見つめたまま、仕方なしに腰を上げ、手を伸ばす。瞬く間に指を絡め取られて、強く握られる。
「……志保」
少し低い体温とわずかな汗、それと小さな震えが、指を交わして繋がれた掌を通じて、アタシの右手に伝わる。
視線は所在なく、志保の短くて綺麗な爪に漫然と留め置かれる。
「……不安だし、緊張はしますよ。解ってます」
「うん」
アタシと志保は、だいたい同じくらいの背丈、視線の高さだ。今覗き込めば、どんな顔をしているかはわかる。
だけど、わずかに動く志保の指先から視線を移すことは、しない。
だって、アタシたちは。
「だって、私たちは。同じじゃないですか」
そう、同じだから。どんな顔してるかなんて見なくてもわかる。そんなに見られて嬉しくはない顔だ。
だから、あんなに笑って、あんなに楽しそうに見せて、あんなに空回りして。自分を、鼓舞するんだ。
561 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/08/16(火) 00:54:28.13 ID:Hnrzybny0
「でも、笑いますよ。私。……チャンスだもん、飛び込まなきゃ」
ほんの少し上擦った声。
……演技指導のレッスンで、こんなのやった気がする。不安なとき、緊張するとき、プレッシャーを感じているとき。
「笑うしか、ない、か」
ふと漏れた自分の呟きは、プレッシャーを処理し切れていないことが明確だった。
アタシたちは、向き合って顔を伏せたまま、しばらく黙り込んでいた。沈黙に寄り添うように、ゆるりと右手が解放され、自然、お互いに棒立ちになる。
が、棒立ちは一瞬で。
「……え。……え?」
急に、志保は両手でアタシの顔を挟んで、真正面に捉えてきた。
「アヤちゃん」
不意打ちに泡食ったアタシの顔に、ぐっ、と志保の顔が近づく。
「私、アヤちゃんに言ったよね」
少し垂れ気味の大きな目。いつもはよく笑う口は、次のことばに力を籠めるように引き絞られて。
562 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/08/16(火) 00:55:52.98 ID:Hnrzybny0
「……?」
「あれが、私たちのはじまりなんだよ」
「……はじま……あ、ッ、え!?」
ああ。思い当たるセリフがある。
何考えてるんだ。ばーーーーっ、と耳の奥で音がした。血液が身体を走り回った音。
もうダメだ。体温が上がったのを自覚する。特に顔がひどい。
「『私、アヤちゃんがキラキラしてるところを見たいよ』」
「そ」
胸の奥が熱くなる。詰まって、言葉が上手く出てこない。口の中が渇いてる。
「ぅ……水、飲ませて」
どうにか一言だけ捻り出して、水のボトルを手にする。
「……うん」
中身を半口ほど含んで、こくりと喉を鳴らして嚥下する。
からだのまんなかに滑り落ちていくぬるい水が、体温を少しだけ吸収してくれる。
たっぷり深呼吸する。もどかしくてはずかしくて、ドキドキしている。……ちょっとだけな。
「……そ、れを今言、う……?」
563 :
◆S0mvz1PntgQY
[sage saga]:2016/08/16(火) 00:56:33.46 ID:Hnrzybny0
何とか紡いだ言葉。志保は変わらずアタシを正面から見つめる。やっぱりくりっとしてて大きな目だ。
……アタシがここで目を反らしたら、それはまあ、何というか。裏切ることになる、気がするから。見詰め返す。
「……今言う、ことば、なんだよ」
そう言った志保の顔は、真っ赤で。だから、アタシたちは同じなんだろう。
「だから!」
……聴こえないフリ、忘れたフリしたいけど。真正面から言われた後にそれはないよな。
緊張とか不安とか全部吹き飛ばすために、自爆覚悟かよ。
「アヤちゃんも! 言え!!」
「……えぇ……」
「……言って、ください。私、ちゃんと笑いたいから」
ああ。大舞台も何もあったもんじゃない。これより恥ずかしい、緊張することなんて、そうはないよ。
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