千奈美「ようせいさんとおねえさん」

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243 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/10/25(土) 00:47:06.85 ID:/OOXgEf/0

時子「LIVE配信してたんでしょう?」

志保「はい♪ カメラは固定ですけどね。ちゃんと時子さんの『無様ね』もいただきましたよ!」

アヤ「中央から、チケット倍率高すぎるから配信してくれない?って言われて、とりあえず手配してもらったけど……」

志保「来るものだね……」

法子「あ、前川のみくにゃんとか凄いですよ! 有料配信が活動資金源だって豪語してました!」

美里「ガールズでも、何人かは自分のチャンネル持ってるんでしょう? 時子サマとか、やらないんですか?」

時子「は? そんなことしなくても、仕事のほうから寄ってくるわよ。……そもそも面倒だわ」

法子「時子さん、機械あんまり得意じゃないよね。写真撮ってなんやかんややるときも、だいたいマネージャーさんだよね」

時子「……ブラッディマリー! ブラッディマリーを持ってきなさい! 五秒で!」
244 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/10/25(土) 00:47:43.01 ID:/OOXgEf/0

――――

志保「デザートでーす♪ リング型ではないけど、ドーナツの盛り合わせですよ♪」

法子「やっっっっったーーーーー!」

アヤ「あ、間中さんと財前さんはこっちです。ミニケーキの盛り合わせ」

美里「法子ちゃんの皿、一人で私たち二人分の倍以上あるわねぇ」

時子「もう慣れたわ」

法子「プレーン! バナナ! チョコ! ココナツ! スノウアイシング! 凄いよ志保さん! 幸せが盛り沢山!」

志保「ホイップクリームと小倉あんもどうぞ♪ いっぱいあるから、女子寮に持って帰ってくれてもいいですよ♪」

時子「……うぇ」

美里「いつ見てもいい食べっぷりだけどぉ、胸焼けしちゃいそうですよねぇ」

志保「……パフェ食べたくなってきた」

アヤ「勝手に食えよ!!?」

法子「むむっ。ケーキパフェならぬドーナツパフェはどうですか?」

志保「いいかも! あっ、皆さん食後のドリンクはどうします?」
245 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/10/25(土) 00:48:30.82 ID:/OOXgEf/0

――――

志保「ゴミ、裏に置いてきたよー。楽しかったね」

アヤ「ん。……財前さんたちもお客さんも盛り上がってたな」

志保「キッチンはもうクローズ終わるって。フロアは…… まあ100人以上立ち見入れたら足跡だらけだよね……」

アヤ「イベントの後はなぁ、これがなー…… ま、使ってもらえるだけ有り難いか」

志保「そうだと思うよ。私、水回り掃除してくる。終わったら手伝うね」

アヤ「司会疲れたろ。程々でいいよ」

真奈美「二人ー。残念だが今日は賄いはない」

志保「えっ! も、もう帰って作る気力ないですよぅ!?」

アヤ「死ぬのか……」
246 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/10/25(土) 00:49:30.51 ID:/OOXgEf/0

真奈美「千奈美が現場でご馳走になってくるらしいから、我々も食べに行こう」

志保「……♪」

真奈美「……ああ、うん。上目遣いしなくても、私が出すから」

アヤ「焼肉」

志保「賛成!」

真奈美「強気に出たな」

アヤ「だってさっき、千川さんから連絡来てたじゃないですかー」

志保「あれ、もしかしてキャッシュバックの話ですよね……!」

真奈美「目聡いな。そうだよ、正解だ。ついでに、時子のマネージャー氏から三人分のフルコースとお土産代をもらっている。ほら」

アヤ「封筒ですか。……えっ、これ、えっ!?」

志保「今日のって、コースだとしても、一人3000円くらいですよね……?」

真奈美「他事務所のタレントの分まで出す上に、チップのほうが多いなんてな。私も、こういう気概を持ちたいね」
247 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/10/25(土) 01:01:11.19 ID:/OOXgEf/0

志保「……チャリティオークションといい、チップといい、金銭感覚狂いそう」

アヤ「志保」

志保「うん」

アヤ「肉を食おう」

志保「食べよう」

真奈美「明日オフだからって、油断してるだろう君たち」

アヤ「もつ鍋も食べたいです」

真奈美「学校は行くんだぞ」

志保「任せてください! お肉を食べましょう!」

――――


レギュラーはアヤ志保千奈美です。が、たまには出ないこともあります。

ふわっとした設定はあるので、適当に出していきます。
リクエストを受けて書いたり、全然関係ない話を書いたりします。


幸子はきっとあずさやかいじで通ってますね。

出生地と出身地とスカウト時の住所と現住所は、
その都度、納得できるような補足をしていけたら、と思います。
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/10/25(土) 02:41:29.91 ID:TGnXvayXO
おっつおっつ、時子様と法子ちゃんが可愛くて実に幸せ。照れ隠しに呑んじゃうとことか名古屋メシ頼んじゃうとことか特にかわいい。
名古屋登場組ってことで、ありすちゃんや早苗さん出してもいいのよ?w
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/10/25(土) 03:05:13.78 ID:AfADdFFTo
おつ!
ええのう
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/10/25(土) 07:43:34.97 ID:/OOXgEf/o
この志保ほんと好き
スクールガール組は時子様が一番人気なんかな、やっぱ

スペースウォーズってもしかしてミリオンか
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/10/25(土) 19:58:57.62 ID:9rLJ0pL8o
名古屋フルコンプwwwwww時子様出してくれてありがとうございます。
せっかく上手にキャラが動いてるんだから、一回だけの登場じゃもったいないな。
ということでタイトルに戻っておねえさんの相方の妖精さんを。
大手らしいし、同じレッドバラードの礼子さんにも会えそうだし色々得しそうww
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/10/26(日) 00:23:24.87 ID:Wq2FEfU5o
オークションでいちばん値が付きそうな時子様使用済みの台本の落札価格が気になります!
インディアンスパゲッティ初耳だから調べたんだけど、描写からするとドライカレー風かな。食べたい。

ところでわしは、千奈美の動向が気になるじゃよ……?
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/10/27(月) 08:17:14.37 ID:PxsRJC9bO
ここなら、765やミリオン、サイドMも出ていいんじゃないかと思うんだよ…
SSA円盤を見たら、全てを受け入れたい気持ちになったけど、受け入れてくれそうなSSが少なくてな…

あっところでいぶきちと沙紀ちゃんはグラジオラス組と仲良しなんじゃないですかね。
254 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:25:28.07 ID:KaeEb7DZ0

――――

真奈美「お疲れ様」

志保「お疲れ様です♪ あれ、千奈美ちゃんは?」

真奈美「練習に早出したよ。会場は開いてるからって、誘われたんだとさ。いいことだよ、熱意があるのは」

志保「そうだったんですか! よーし、それじゃあ私は店番頑張っちゃいますね♪」

真奈美「頼もしいな。そこのケーキ、今日のサービスで出すから。試食していいぞ」

志保「わーい♪ チーズケーキ、チョコブラウニー、フルーツパウンド、紅茶のシフォン……」

真奈美「ニューヨークチーズケーキがいちばん評判良かったかな」

志保「でも、特番で出せます? 焼いて持っていくならパウンドとブラウニーが楽だと思うんですけど」

真奈美「他の店の都合もあるから、私たちの出番の時間がズレることはまずないさ。スタジオに冷蔵ショーケースも入れてもらう」

志保「冷蔵ショーケース! 欲しい! それなら大丈夫ですかね。お客さんの反応も見て考えましょ♪」
255 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:26:55.82 ID:KaeEb7DZ0

――――

アヤ「お疲れ様ーっす。……もしかして暇です?」

真奈美「お疲れ様。ま、忙しくはないよ。アヤが入ってくれるなら、様子を見てバイトくんは早上がりかな」

アヤ「了解です。メシ食いました?」

真奈美「そこのサービス用のケーキくらいなら」

アヤ「もごもご。パウンドケーキ美味いですね」

真奈美「コーヒー置いておくぞ」

アヤ「ありがとーございまーす。そいやメール見ましたけど、今日は千奈美遅そうっすね」

真奈美「何と言っても、シンデレラだからな」

アヤ「ん?」

真奈美「0時回らないと帰ってこない」

アヤ「なるほど。……真奈美さんが魔法使い?」

真奈美「意地悪な継母かもしれないぞ」

アヤ「それ、アタシと志保が意地悪な姉じゃないですか……」

真奈美「フフ…… ほら、着替えておいで」

アヤ「はーい」

256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/12(水) 01:28:16.29 ID:SjCTZmSt0
>>253
総合Pシリーズでも読んだら?
なお315プロの連中は出ない模様
257 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:31:14.16 ID:KaeEb7DZ0



To:所長 アヤ 志保
 すみません
[練習終わった後、呑みに行くそうです。店が大丈夫なら一緒に行きたいんですが、どうですか?]


258 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:33:31.17 ID:KaeEb7DZ0



To:小室千奈美
 了解した
[平日で暇だから構わないよ。きちんと交流しておくといい。帰りは連絡するかタクシー使うように。]


259 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:35:42.38 ID:KaeEb7DZ0

――――

アヤ「発注終わったー」

志保「クローズ終わり♪ 所長は今日もお泊りなんですか?」

真奈美「はい、お疲れ様。作業済ませてから考えるよ、千奈美を迎えに行くかもしれないし」

アヤ「なるほど。……最近家帰ってます?」

真奈美「今日だって家から来たぞ」

アヤ「そうだけど! そうですけど!」

志保「試食会近いですし、体には気を付けてくださいね?」

真奈美「心配するほどは頑張ってない。そもそも二階だって、事務所とは名ばかりの居住空間だ」

志保「晩御飯と明日の開店準備はしましたから、ちゃんと休んでくださいね!」

アヤ「千奈美にはタクシー使うように言っておきますから」

真奈美「……分かったよ。ありがとう」
260 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:37:42.24 ID:KaeEb7DZ0

――――

千奈美『もしもし、しょちょう、ですか』

真奈美「……千奈美か。終わったのか?」

千奈美『ついさっき、にじかいが。……きもちわるいです』

真奈美「今どこだ」

千奈美『しぶや』

真奈美「タクシーには乗れそうか?」

千奈美『のったら、はくかも』

真奈美「誰か一緒か?」

千奈美『やまとさん』

真奈美「電話代わって」
261 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:40:53.85 ID:KaeEb7DZ0

亜季『こちらコード・オータム。どうぞ』

真奈美「……こちらはコード・ファング。確保したターゲットのコンディションはどうだ」

亜季『べろべろであります。水の代わりにウォトカ呑んでるロシアの赤鼻のほうが、まだマシであります』

真奈美「見張りを続けてくれ。どうぞ。……いや、済まない。二時過ぎか……どうするかな」

亜季『正直、一回吐かせたほうが楽にはなると思います』

真奈美「任せる。ブドウ糖とアミノ酸を摂取できれば、いくらか楽になるはずだ。成分表見て、選んでやってくれるか」

亜季『さっき本人から要求されましたよ。甘い炭酸とスポドリを与えてあります』

真奈美「助かる」

亜季『一応、スタッフ殿からタクシー代を多めに頂いておりますので、千奈美殿を送り出すことはできますが…… 一人で乗せたくはありませんな』

真奈美「キミに時間があるなら、少し様子を見て欲しいな。一緒に乗れるようなら、千奈美を置いてから私の家に来てくれ。泊めよう。できそうか?」

亜季『それなら大丈夫でしょう。了解であります』
262 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:43:12.51 ID:KaeEb7DZ0

――――

亜季「お疲れ様であります」

真奈美「何から何まで助かったよ。明日の予定は?」

亜季「仕事も学校もありません。Vチェックしてジムに行こうと思っていた程度です、のんびり帰りますよ」

真奈美「それならよかった。……随分呑まされたんだな、千奈美は」

亜季「珍しくドラマのプロデューサー殿が来られまして。千奈美殿を気に入っておられたようで、ずいぶん呑ませておりましたよ」

真奈美「……あー」

亜季「頑なに『明日も授業があるしルームメイトが心配するから帰りますよ』と。立派なもんです」

真奈美「……ありがとう、助かったよ」

亜季「ノリノリでついていくようなら放っておくつもりでしたが、そうでないなら護りましょう」
263 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:48:20.81 ID:KaeEb7DZ0

真奈美「今回の現場はシンデレラだけじゃあないからな。少し不安もある。厚かましい話だが、助け合っていってくれると嬉しい」

亜季「真奈美殿には義理も有りますので、出来る範囲でお応えしますよ」

真奈美「シンデレラ以外が噛んでる企画は、チャンスもリスクも大きいからな。いい経験にさせたいのさ」

亜季「……私は、プロデューサーでもカントクでも大御所でも、権力持ってる男のお気に入りになるのは、有力な選択肢だと思っておりますよ?」

真奈美「亜季は興味ないのか」

亜季「一応、アイドルですからね。今その手の話題が出たら、ファンがごっそり減って、そのままフェイドアウトでしょう」

真奈美「土壌とターゲット層に因るが…… まあ、日本だとそういうケースはそれなりに多いか」

亜季「アイドル引退して、本格アクション女優にでも転向すれば変わってくるでしょうが。……全ては実績です、いつになるやら」
264 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:52:05.67 ID:KaeEb7DZ0

――――

千奈美「うぅ……」

志保「おはよう、かな。寝ててもいいよ?」

アヤ「キツそうだな。酔い覚ましにミックスジュースでも作るか」

志保「炭酸入れよう。しゅわしゅわだよー♪」

アヤ「子供か」

千奈美「うぅぅぅ……」

アヤ「うっうー?」

志保「うっうー! 朝ごはんの前に、フルーツミックスソーダですよぉー!」

アヤ「似てるな……」

千奈美「まぶたを開けて…… さわやかお目覚め…… 無理……」

志保「私たちはこれ飲んだらお店行くけど、寝てていいからねー」

アヤ「動けるようになったらメールかLINEしといて」
265 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 01:57:15.18 ID:KaeEb7DZ0

――――

志保「アヤちゃんキッチンとフロアどっちにする?」

アヤ「んじゃフロアで。……あれ? 鍵開いてる」

志保「え? ……まさか!」

真奈美「おはよう」

志保「おはようございます♪ ……何でいるんですか!」

アヤ「あーあ。休んでくださいって言ったじゃないですか、昨日だってあんな時間に起きたのに」

真奈美「亜季がいるから、朝食の蓄えが心許なくてな。食材を確保したら、君たちが学校行くまで二階で寝てるよ」

志保「んむむむ。そういうことならわかりました。あ、ゆでたまご作ってある。ありがとうございます!」

アヤ「そっちの分けてあるボウルが、二人分の朝食ですか」

真奈美「起きたらフルーツ食べて炭酸飲んで、トレーニングしてから食べる」

アヤ「ほぼアスリート食ですけど、所長、仕上げなきゃいけないような仕事入ったんですか?」

真奈美「いや、特にはない。亜季に付き合おうと思ってな」
266 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 02:00:24.81 ID:KaeEb7DZ0

志保「ゆで卵、サラダチキン、レタス、キュウリ、トマト、リンゴ、バナナ……」

真奈美「雑穀米も食べるぞ」

志保「あああああスイーツ食べたいよぅぅぅぅぅ」

アヤ「いけない! 集中トレーニングのときのトラウマが! 大丈夫だぞーアタシたち今は食事制限ないぞー」

真奈美「まあ、平常時までカツカツに制限する必要はないが。自覚は持ちなさい」

志保「ココロエテ オリマス」

アヤ「亜季さんは制限中なんですか?」

真奈美「ワイヤーと長尺の殺陣がある上に素肌も出すから、二の腕、腹、太ももはカットしておきたいと言ってた」

アヤ「完全にガチのやつじゃないですか…… 千奈美に台本見せてもらおう」

真奈美「アヤが休みなら付き合わせるんだがね」

志保「……」

真奈美「志保はちゃんと体型維持するんだぞ。サプリも飲むんだぞ」

志保「やってます! ふ、太ってもいないし筋肉も落ちてませんよ!」

アヤ「そこは大丈夫です、保証します」

真奈美「そうか。見張りご苦労。さて、私は少し休むよ。モーニングはよろしく」
267 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 02:01:23.16 ID:KaeEb7DZ0

――――

志保「所長、私たち学校行きま……あっ! トレーニング用の機材増えてる!?」

アヤ「チンニングスタンドじゃねーか! ベンチ買うの止めたらあれか!」

真奈美「みんなが使えるようにガレージに置いたぞ」

志保「すっごくイイ顔してる……」

亜季「おっ! アヤ殿、と、志保殿! これは! 捗り、ます、よッ!」

アヤ「すっごくイイ懸垂してる……」

真奈美「亜季、勢いでやるなよ。勢いは付けず、まっすぐ、ハーフレンジで10回3セット」

亜季「畏まり、ました、ッ!」
268 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 02:06:50.81 ID:KaeEb7DZ0

アヤ「プッシュアップバーも結局買ったんだ……」

真奈美「今日はプッシュアップもダンベルも使わないがな」

志保「……あの、これ。ダンベルのおもり、買い足しました?」

アヤ「あぁもう…… フルで片腕30kgとか、プロレスラー並じゃないですか!!」

亜季「ふぅ…… ん、男子プロレスラーなら40くらいですかね」

真奈美「さすがに、きちんとは上げられないぞ。まだ重すぎてトレーニングにならん」

志保「ここはもうダメだよ、行こうアヤちゃん」

アヤ「そ、そうだな……」

志保「あと、言うけど8kgのダンベルをちゃんと扱えるアヤちゃんも、普通の女の子の範疇じゃないと思う」

アヤ「はっ」

志保「私が3kgのを上げ下げするまでに、どのくらいかかったか覚えてる?」

アヤ「感覚が…… 麻痺してるかもしれない……」
269 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 02:09:44.68 ID:KaeEb7DZ0



To:所長 アヤ 志保
 起きました
[学校行きます。帰りは19時過ぎくらいだと思います。また連絡します。]


270 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 02:12:23.47 ID:KaeEb7DZ0

千奈美(間に合う時間だ。学校行こう)

千奈美(だいぶマシだけど、さすがにまだ頭痛い)

千奈美(……ドラマのプロデューサーさんからメール来てる)

千奈美(昨日はありがとうございました。無事帰れました。色んなお話聴けてよかったです。またよろしくお願いします。と)

千奈美(みんなに心配かけたし、授業終わったら帰りに何か甘いもの買って来よう)

千奈美(イヤホン…… あ、ジャケットのポケットだ。何再生してたかな)
271 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 02:13:30.42 ID:KaeEb7DZ0


千奈美(仕事に練習 寝る間惜しんで 学校勉強ほどほどに)


千奈美(クラスの友達 思い出せない 彼氏も出来ない)

272 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 02:14:10.22 ID:KaeEb7DZ0

千奈美(……)

千奈美(……負けるか)
273 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/11/12(水) 02:17:22.45 ID:KaeEb7DZ0
レギュラーはアヤ志保千奈美です。
多分真奈美さんもレギュラーです。

ふわっとした設定はあるので、適当に出していきます。
リクエストを受けて書いたり、全然関係ない話を書いたりします。
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/12(水) 03:52:40.49 ID:R74H3de+o
待ってた
軍曹はやっぱり軍曹なのなw
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/12(水) 07:09:11.92 ID:yW0UCVy9O
亜季はここのところ香港とかアクションの仕事多かったから、そういうのを反映してくれたんだろうか。
そしてなんだかんだでノリがいい木場さんw
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/12(水) 20:16:09.42 ID:tBIbtQMHO
軍曹が割とちゃんとした大人だ…

千奈美ちょっとハラハラする
ほんの些細な言葉に傷付いたりしそう
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/12(水) 20:33:02.47 ID:oqpPBtVno
千奈美の主人公感がいいね。アヤと志保はレギュラーだけど千奈美のサポート役かな。
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/13(木) 00:35:48.14 ID:BrVcGkIqo
ふぇぇ…ちなみん一人でじんわり重いよぉ…しゅきぃ…

>>276
だけど甘いもの食べて幸せよ
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/01(月) 19:05:24.39 ID:UncHxiKgo
アニメの設定でがっくりきた
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/02(火) 14:23:09.01 ID:VX9Md+eTO
まあまあ、それぞれでもしかしての世界だよ
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/08(月) 12:16:30.87 ID:c+fkkB6vO
もう一ヶ月経っちゃうよぅ!
志保ちゃん再登場したし待つね。
282 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 03:45:13.95 ID:kBf/ArsI0

――――

アヤ「うおッ、すげー…… 機材と材料入ると違うなー」

志保「ビュッフェですよ、ビュッフェ!」

真奈美「写真は後にしなさい。動線の確認するぞ、撮影も入りながらの対応になるからな。……ええ、よろしくお願いします」

アヤ「カメラさんはどの辺から? あー、まあそうすね。流れで変わるか」

志保「なら、コールドテーブルの周り、もう少し広くなりませんか? 撮ってもらうには狭そう」

アヤ「オーブンちょっとずらしてもらったほうがいいかな。ショーケースの陳列は……」

真奈美「カメリハの後でいいだろう。……まあ、だいたいこんなものか」

アヤ「この後はカメリハだけですよね?」

真奈美「一応、プロデューサーとディレクターが改めて挨拶することになってるが、堅いものじゃないとさ」

志保「2スタのリハ終わって帰っちゃった人もいますものね。お弁当貰って来ようかな……」
283 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 03:45:49.82 ID:kBf/ArsI0

アヤ「ん、千奈美が稽古終わったって。浜川さんと会ってから帰るーってさ」

志保「む。合流しないんだ……」

真奈美「寂しい?」

志保「うーん、基本的に毎日顔合わせてるから、寂しいのとはまた違うんですけど」

アヤ「この二か月くらいか、生活時間ちょっとずつズレてるな。ほら、稽古優先でシフト減らしたから」

真奈美「まあ、それはそうなるだろうが」

志保「……前よりも、話してないなーって?」

アヤ「……これまでが、べったり過ぎたんじゃねーかな」

真奈美「外での仕事が増えれば、そういうこともあるだろうさ」
284 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 03:46:17.51 ID:kBf/ArsI0

――――

志保「……所長はああ言ってたけど」

アヤ「ああ、って?」

志保「仕事が増えれば、すれ違うことも増えるよ、ってこと」

アヤ「……ま、そうだろ」

志保「……そんなに増えた?」

アヤ「千奈美の仕事が増えたな」

志保「増えたね」

アヤ「流れで、アタシたちもカフェ忙しくなってるし」

志保「私たちはともかく、千奈美ちゃん、大学大丈夫なのかな?」

アヤ「一応サボってる様子はないし、何とかはするだろ」
285 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 03:47:12.78 ID:kBf/ArsI0

志保「……卒業したら、どうなるんだろう」

アヤ「当面はグラジオラスじゃねーかな」

志保「アイドルは?」

アヤ「今日だって仕事したろ? カメリハ、NGなしで抜けられたし」

志保「明日は本番ですよ、本番♪」

アヤ「随分張り切ってるなあ……」

志保「緊張で死にそうだから誤魔化してるだけだよ」

アヤ「自分から言っちゃダメだろ!?」
286 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 03:48:18.41 ID:kBf/ArsI0

志保「……アヤちゃん、サンドイッチ半分食べない?」

アヤ「くれ」

志保「どうぞー…… あれ? 貰ってこなかったの?」

アヤ「貰ったけど、開けてない。志保が残すと思ったから、もらおうと思って」

志保「……ありがと」

アヤ「ん。……スープ、うちのが旨いな」

志保「そうだね」
287 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 03:49:05.40 ID:kBf/ArsI0

――――

愛結奈「やった、ワタシの勝ちィ!」

千奈美「ぐくくく。一本足りない……! 先攻有利を活かしたカタチになったわね……」

久美子「言っても、一番手は私だったんだけどな……」

愛結奈「ふふふ、次もクリケット? いいわよーワタシ二番手で」

千奈美「ノースコアクリケットやってみない? 1から20まで最初に埋めた人が勝ち。同ラウンドで追い付いたらサドンデスで決定ね」

久美子「賛成ー」

愛結奈「異議なし」
288 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 03:53:38.50 ID:kBf/ArsI0

――――

愛結奈「奢りで呑むお酒は美味しいわね!」

千奈美「くっ」

久美子「珍しく、負けたねー」

千奈美「家で練習できてなくって。トレーニングとか役作りとかあるのよ」

愛結奈「ドラマ用に声と身体作ってるって言ってたわね。どのくらいツメてるの?」

千奈美「稽古は多くて月に二回だけど、時間できたらジム行ってる。あとは中央の合同トレーニングね」

久美子「木場さんに見てもらえるんじゃないの?」

千奈美「それはそうだけど、時間あるときだけよ。店見るほうが優先に決まってるでしょ」

愛結奈「中央行くならジムもそっち使えばいいじゃない」

千奈美「学校帰りに寄ってるわよ。安いし」

289 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 03:55:22.47 ID:kBf/ArsI0

久美子「ファンに見付かるかもしれないから、じゃないんだ……」

千奈美「気付かれて困るほどの知名度なんて…… シンデレラだって何人いるのよ?」

愛結奈「気付かれるだけなら意外といるんじゃない? それでパニックになるような人は少なそうだけど」

久美子「少なくとも私は、大学以外のプライベートで声掛けられたことないわね」

千奈美「私もない」

愛結奈「ワタシもこっちだと気付かれたことないかなー。スカウトには声掛けられたこと何度かあるけど」

久美子「あるある! 『間に合ってます!』って答えちゃう」

千奈美「……それすら、ないんだけど」

愛結奈「千奈美、一人だとキビキビ動くからね。声掛ける隙がない上に、声掛けられたことに気付かなそう」

千奈美「えっ…… それはそれでひどくない?」
290 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 03:55:52.61 ID:kBf/ArsI0


――――

久美子「元アイドルの音楽教室で芸能界にコネがある、って触れ込みならそれなりに忙しくなりそうじゃない?」

千奈美「堅実、なのかしら」

愛結奈「アリだとは思うけど、それってまず維持できそうなコネが必要よね。音楽プロデューサーとか、大手局のディレクターとか、制作会社の営業とか?」

千奈美「現場の音響監督とか、作曲家の先生なんてのもあるわね」

久美子「そうなのよね……一応、大学の繋がりもあるし、マネージャーとも相談はしてる」

千奈美「……せっかく歌上手いんだから、コネ作るだけに腐心しないでよね」

愛結奈「でも、実績的にはアレよ。ピアニストの仕事、たまにやれてるんでしょ?」

久美子「それ、現役アイドルだから有り付けてるだけだと思うな…… 私より上手いのに、音楽関係の仕事就けなかった人いっぱいいるし」

愛結奈「そういうの、やったもん勝ちって言うの。若さと見た目で仕事が取れるなら取っときゃいいのよ、今しかないんだからさ」
291 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 03:56:26.84 ID:kBf/ArsI0

久美子「そういう愛結奈ちゃんの将来は?」

愛結奈「乗馬クラブ開設?」

千奈美「貴方も大概ロマンチストじゃない!?」

愛結奈「現実的じゃないのは解ってるわよ。だいたい馬飼うのって大変なんだから? 力仕事ばっかりだし土地も必要だし」

千奈美「土地ねぇ。古着屋のバイトじゃ、資金にはならないでしょう」

愛結奈「それ以前に、やらないと生活困るのよね。社長は、こっちに集中してくれたら仕事増やせるって言ってくれるけど」

久美子「それ、目途はついてるの?」

愛結奈「何の見込みもなく言ってる人だったら、今これだけ人ついてきてないでしょ。多分あるんじゃない?」

千奈美「専業、できるんだったらやったほうがいいんじゃないの? それだって『今しかない』んだから」
292 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 04:01:58.43 ID:kBf/ArsI0

久美子「千奈美ちゃんはダーツショップだっけ?」

千奈美「まぁ、ねえ。実際にやれそうな範囲なら、チェーン店のオーナーが関の山でしょうね。オリジナルのフライトとか商品にできたらいいかなぁ」

愛結奈「ホントにそれやりたい?」

千奈美「……帳面とにらめっこするよりは、歌ってたいかな」

久美子「現状、専業にいちばん近いのは千奈美ちゃんじゃないかしら」

千奈美「……制服着るのはともかく、掃除したり伝票切ったりするのが専業アイドルだと思うならね」

愛結奈「最近少し減らしたんでしょ? ドラマのお稽古とかボーカルレッスンとか。どう?」

久美子「そうよ、今度の仕事、歌もあるって言ってた。何、やっとオリジナル曲?」

千奈美「劇中歌だし、シンデレラの管轄じゃないから…… シングルカットとか単独配信とかはないと思うわ」
293 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 04:02:38.84 ID:kBf/ArsI0

――――

千奈美「今日はありがと」

愛結奈「楽しかったわよ。やっぱり、前もって言っておいてくれると集まり易いわね!」

久美子「私は急に呼び出されたんだけど?」

愛結奈「ワタシの独断で呼んだもの」

千奈美「そうなの?」

愛結奈「そうよ。……あ、呼んだ理由忘れるとこだった。礼子さんが、今度のレッスンの後呑むから空けておいてね、って」

久美子「今度? ビューティーアリュールの?」

愛結奈「そうそう。来月頭のね。千奈美もご指名よ」
294 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 04:03:32.99 ID:kBf/ArsI0

千奈美「ふぅん? プロデューサーのご指名なら勿論空けるけど。うちの店で深夜押さえればいいわね」

愛結奈「いや、お店は決めてるとかって。なんか行きたいところあるみたい。ま、奢りだろうしありがたく、ね」

久美子「反省会の延長には…… ならないか、高橋さんなら」

千奈美「それより絶対終電なくすコースじゃないのよ…… アヤに迎え来てもらえるかな……」

愛結奈「そういうことなんで、よろしくね。それじゃ、ワタシはこれで。まったねー」

久美子「ん、私も地下鉄だから。それじゃレッスンで」

千奈美「はーい、よろしくねー」
295 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 04:04:19.11 ID:kBf/ArsI0

――――

千奈美「ただいまー」

アヤ「あ。おかえり」

志保「おかえりなさい♪ お風呂沸いてるよ」

千奈美「助かるー。一緒に入る?」

アヤ「……」

千奈美「いや、ヒくの止めてよ」

アヤ「ヒいてるっていうか…… 珍しい冗談だなって」

千奈美「なんか、ノリで……?」

志保「む。千奈美ちゃん、機嫌よさそう」

千奈美「友人と会って遊べば、そりゃまあ?」

アヤ「志保、アタシたちは友人じゃないらしいよ」

志保「冷たい!」

千奈美「友人っていうか、ほぼ家族でしょ」

アヤ「……お、おう」

志保「暖かい……」
296 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 04:05:07.54 ID:kBf/ArsI0

――――

アヤ「千奈美ーぃ」

千奈美「んー?」

アヤ「アタシたち、明日本番だからもう寝るな」

千奈美「そうよね。お疲れ様」

アヤ「朝からいないから、洗濯と掃除はよろしく頼む」

千奈美「朝ごはんどうするの?」

アヤ「店で食べる。そっち一応休みだろ、寝てていいよ。メッセージか何か入れとく」

千奈美「わかった。大和さんと中央行く予定だから、適当に連絡するわね」

アヤ「任せる」

千奈美「はい、おやすみ。明日はしっかりね」

アヤ「おう。ありがとな、おやすみ」
297 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 04:07:36.09 ID:kBf/ArsI0

――――

志保「家族」

アヤ「同い年だけどな」

志保「……お姉ちゃん♪」

アヤ「二十日しか違わないだろ……」

志保「双子の姉かな?」

アヤ「千奈美とだって二ヶ月しか違わないんですがそれは」

志保「頼りにしてるんだよ?」

アヤ「……明日本番なんだからさ。寝るよ」

志保「はーい、お姉様♪」

アヤ「はいはい。洗濯機タイマー掛けたから寝室ー」
298 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 04:20:39.92 ID:kBf/ArsI0



千奈美(せめて寝室でやりなさいよなんでバスルームの近くでやるのよ聞こえるでしょ恥ずかしいなあもう)


千奈美(だいたい。双子って。どんなよ。別にアンタ達、顔は似てないでしょ)


千奈美(……)


千奈美(『目に見えるコトは似てない』『ぶつかる日もあるけど』)


千奈美(……友達だし、家族のつもりよ)


千奈美(『おそろいの場所を目指す』 ……のよね?)


299 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2014/12/14(日) 04:28:10.00 ID:kBf/ArsI0

ぴったり一ヶ月開いてた。
代々木に心を囚われていましたが、やっと取り戻してきました。

ちょっと環境変わったため遅筆をこじらせていますが、まだ生きてます。


レギュラーはアヤ志保千奈美です。
多分真奈美さんもレギュラーです。

ふわっとした設定はあるので、適当に出していきます。
リクエストを受けて書いたり、全然関係ない話を書いたりします。
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2014/12/14(日) 07:05:22.53 ID:xHH4IDlm0
おかえり。
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/14(日) 07:08:52.46 ID:wFjldQbHO
浪人生さんかな?受験近いなら無理しないでね
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/14(日) 07:12:07.48 ID:NYJBomLRo
おつおつ!
続きありがとう!
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/14(日) 11:28:00.67 ID:/qOEs982O
リアル大事に、やれる範囲でやってなー。
バイトと掛け持ちは夢を追う業界の悲哀だよなぁ。中の人でも食うのに困りかけた人がいるし。
こんな世界だと、実家を飛び出してきた勢はどうしてるんだろうか。フリルドスクエアの忍とか忍とか(ダイマ
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/14(日) 11:40:35.90 ID:r/VgOssCO
もしかして>>1自身が挫折した子である可能性
じっくりでええんやで。

ところで歌詞の引用もだけど、アイマスガールズのエピソードもちょいちょい挟んでる気がする。
そういうの好き。

>>303
忍はまずいですよ!
パンの耳に焼肉のタレつけて食べてそう…つらい…
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/14(日) 13:08:21.40 ID:fjvmoP8vo
ライブハウスでバイトしてると夢追人のバンドマン兼フリーターいっぱい見るからよくわかるわ

未成年組のメンバーだと事務所預かりの寮暮らしで適当にコンビニなりなんなりバイト斡旋されてそうだけどどうなんかな?
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/14(日) 13:27:19.33 ID:cO0h3p+7o
未成年を東京に1人で送り込んで
わざわざバイトさせる親は居らんやろ...
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/11(日) 23:01:49.54 ID:hiygIwBDO
308 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:08:10.07 ID:QNFtjt/70

――――

千奈美「……え」

アヤ「……」

志保「あっはは、まいっちゃうね……」

千奈美「ちょ、ちょっと待って、今ので出番終わり?」

アヤ「……そうだよな、これ」

志保「説明してたとこ、ざっくりカットされたね……」

千奈美「メニューの紹介とかパフェ盛り付けとか撮ってもらったんでしょう?」

志保「したよ?」

アヤ「リテイクもした」

千奈美「……メニュー紹介も自己紹介も、ワイプすらなし? テロップだけ?」

志保「……尺少し長いかな、とは言ってたけど。まさかのほぼ全切り〜♪」

アヤ「あ、実家からメール来た」

千奈美「そうよねぇ、あれじゃ説明も要求されるわね」

志保「私も釈明しておこう。電話してくる」

309 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:08:57.73 ID:QNFtjt/70

――――

アヤ「所長、びっくりするくらい優しかったな」

志保「アヤちゃん、まだショック?」

アヤ「んー、今はもうそんなに」

千奈美「え、私割とショックなんだけど」

アヤ「出てねぇじゃん」

千奈美「だからよ。アヤと志保が地上波で見られるなーって。うちの親も残念がってた」

志保「ひえぇ、期待を裏切ってしまった……」

アヤ「地上波か…… 次、いつになるかな…… 配信とかケーブル局とかならともかく、地上波じゃな」

千奈美「いや、そこはもぎ取りにいく心意気を見せなさいよ」

アヤ「ぐうの音も出ない」

志保「もぎ取った人の言葉は重い!」
310 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:10:01.10 ID:QNFtjt/70

――――

アヤ「はー。帰省か……」

志保「帰らないの? うちに来る?」

アヤ「無理だろ、木場さんがチケット持ってるんだぞ」

志保「両親に挨拶しに来てくれないの?」

千奈美「身元引受人?」

志保「結納?」

アヤ「ていうか、あの特番の体たらく見られた直後で、志保の親御さんになんて顔すればいいのさ」

千奈美「芸能側の仕事もないし店も閉めるのに、残ってどうするのよ……」

アヤ「……自主トレ?」
311 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:22:13.40 ID:QNFtjt/70

志保「せめて友だちと過ごすとかないの!」

アヤ「二人とも帰るだろ」

志保「私たち以外の友人を……」

アヤ「作る時間がない。……さておき、フジトモも帰るって言ってたし。大和先輩は、まあ」

千奈美「同郷だものね。あれでしょ、向こうで遊ぼうくらいの話に?」

アヤ「そうなんだよなあ」

志保「学校始まっちゃったらまた忙しくなるから、ちゃんと帰っておこうよ」

アヤ「……まあ、一応な」

千奈美「そんなに帰りたくないの?」

アヤ「うーん。そこまでじゃないんだけど。……今の状況イロイロ、ちくちく刺してくるからさあ」
312 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:23:41.02 ID:QNFtjt/70

千奈美「具体的に」

アヤ「……親と一緒に選んだ部屋、半年経たずに引っ越したこととか」

志保「あー」

アヤ「ルームシェアなんて本当に大丈夫なのか、とか。……父親がカタくて」

志保「そこは…… 私たちがどう言っても難しそうだね」

アヤ「あと、大学生のはずが、既に正社員扱いで働いてるとか。これは学校ちゃんと行ってるからほとんど言われないけど」

千奈美「そうねえ」

アヤ「んー…… まあ、そんなところ」

志保「うーん。……踏み込んだ言い方になるけど。仲悪いわけじゃないよね?」

アヤ「全然。だから、帰るしおせちも手伝うよ」

志保「……心配になってるだけ、だと思う」
313 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:24:14.60 ID:QNFtjt/70



アヤ(確かにな。心配にもなるさ、やっと出られた地上波で、出番ばっさり切られりゃ)



志保(……はっきり言わなくても、わかっちゃうんだろうな)


314 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:26:01.95 ID:QNFtjt/70

――――

千奈美「足代にお土産まで、本当によかったんですか?」

真奈美「帰って英気を養うことも大切さ。そもそも、君達の親御さんに、出来る限り毎年帰省させるように約束している」

志保「ふふっ、ありがとうございます。年明けには、お土産持って帰りますね♪」

真奈美「ああ、よろしく。それじゃあ、私たちも行こうか、アヤ」

アヤ「うーっす。それじゃ、また来年な」

千奈美「またね」

志保「淋しいよーアヤちゃーん。またねー」

アヤ「言ってろ。土産よろしくな」
315 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:26:58.24 ID:QNFtjt/70

――――

真奈美「忙しくなければ車でも良かったんだがね」

アヤ「アタシは飛行機のほうがいいですよ。だいたい、車じゃ丸一日かかるんじゃ?」

真奈美「そうだな、後ろフラットにすれば交代で寝られるから、だいたい16時間くらいか?」

アヤ「八時間一人で運転するのは嫌だな……」

真奈美「西海岸なら普通だぞ」

アヤ「……ニューヨークって東海岸ですよね?」

真奈美「拠点はそうだったが、そこそこ周ったよ」

アヤ「じゃあ、西海岸の八時間ドライブは?」

真奈美「二回……かな?」

アヤ「リアルに少ない」

真奈美「楽しいぞ。でかい車で、ただ舗装してあるだけのだだっ広い道を、スピード見ないで飛ばすんだ」

アヤ「どのくらい飛ばすんです?」

真奈美「約500キロを三時間程度じゃないか? 詳しくは覚えてない」

アヤ「怖!!?」

真奈美「ま、しばらくはあっちで運転することもないだろうさ。安全運転に勤めるよ」
316 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:28:56.99 ID:QNFtjt/70

――――

志保「名古屋ついたらちょっと寄り道しない?」

千奈美「お茶くらいならね」

志保「はーい。休み結構長いよね、予定空いてるなら、栄とか行こうよ」

千奈美「初売りとか? 親族の集まりがどうなるか次第だけど、行ってもいいわよ」

志保「じゃあ、その辺のチェックも兼ねて、コーヒーでもいただきましょ♪」

千奈美「そうしましょ。乗ったらちょっと寝るわ」

志保「私も少し休むね。アラームつけておくから」

千奈美「うっ、トラウマが……」

志保「米原を出ますと、次は、京都に停まります」

千奈美「寝過ごし……!」
317 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:31:57.04 ID:QNFtjt/70

――――

アヤ「はい、お茶とケーキ」

  「ん。……よう帰らしたな。忙しかとやろ」

アヤ「忙しかけど、所長がちゃんとスケジュール組んでくれてるから」

  「……学校はちゃんと行っとぉと」

アヤ「うん。大丈夫。成績表も見ただろ」

  「大学出ても、アイドル続けよるとか」

アヤ「……多分」

  「お前ももうハタチやけん。将来ば、ちゃんと考えんばぞ」

アヤ「考え……っ。……うん」

  「お母さんと婆ちゃんのおせち作っとると、手伝って来んね」

アヤ「行ってくる」
318 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:32:55.87 ID:QNFtjt/70

――――

アヤ「筑前煮となます終わり」

  「はーい。じゃ、残りはお母さんがやるから、お茶……いや、コーヒーにしようか」

アヤ「アタシ淹れるよ」

  「おっ、プロの業?」

アヤ「プレッシャー! 普通にドリップでいいか」

  「おばあちゃんにも一口淹れてあげてね」

アヤ「はいよ。……部屋の荷物、少し東京に運ぼうかな」

  「お人形? 乾燥剤取り替えればいいっていうから、お母さんやってるわよ」

アヤ「帰ってくること、減ると思うから。向こうでトランクルーム…… 小さい貸倉庫をさ、借りようと思って」

  「気にしなくていいのに。いつ帰って来てもいいんだからね」

アヤ「……うん」
319 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:33:25.72 ID:QNFtjt/70

――――

   「お爺ちゃんがね、最近ちょっと」

千奈美「……どこか悪いの?」

   「逆よ。元気も元気。部屋見た? 超でかいテレビとスピーカー買ったのよ。映画とかアイドル番組とか見てる」

千奈美「は」

   「あと、パソコンも新調してた。千奈美のインタビュー記事、プリントして綴じてたわ」

千奈美「ジョギングも続けてるんでしょ? 元気ね…… 集まったらまた何かやってーって言われるのかな」

   「おねシン歌って踊ってれば、満足すると思うけど」

千奈美「そういうのってだいたい『もっと!』ってなるやつよね……」

   「まあまあ。お爺ちゃん孝行しておきなさいな」

千奈美「体のいいこと言うんだから。ま、いいけど」

   「レコーダーの使い方も一生懸命調べてたわ。春には使いこなさなきゃ、って張り切ってる」

千奈美「ぼちぼち80でしょ!? よくやるなあ」

   「千奈美だって、にやにやしちゃって」

千奈美「そりゃ、嬉しいに決まってるわよ」
320 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:35:35.25 ID:QNFtjt/70

   「お仕事と大学、両方で続けられそう?」

千奈美「続ける。……練習生の間、毎週東京に送り出してくれたこと、無駄にしたくないし」

   「そっかぁ」

千奈美「お金は、少しずつ返すから」

   「え、大丈夫よ」

千奈美「でも、半年間ほぼ毎週新幹線乗せてもらって、今の大学の学費だってあるし、向こうで暮らし始めたときの支度金も」

   「学費は、四年で出てくれたらいいわよ。それ以上は貸しにするけど」

千奈美「うぅ」

   「支度金っていうのは、一人暮らしの費用?」

千奈美「そう。安くなかったんだな、ってのは実感したから」
321 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:42:01.83 ID:QNFtjt/70

   「もう一年以上経ったし、貴方もアイドルとして仕事貰えてきたみたいだから白状するけど…… 木場さんから返してもらってるから」

千奈美「は」

   「『折角お選びになった物件から、こちらの都合で引越していただくようなものですから、お詫びも兼ねて』って。まぁ、お釣りが出るくらいはね」

千奈美「……」

   「ポンと大金はたいて高いマンションに住まわせるくらいには、貴方に期待してるんでしょう」

千奈美「……聴いてなかった」

   「まあ、そのうち気付いたんじゃない? しっかりやりなさいね」

千奈美「じゃあ、レッスンの新幹線代は?」

   「……千奈美の子供の頃のお年玉とかお祝い金とかの貯金、結構あったのよねぇ」

千奈美「えっ……ひどくない……?」
322 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:42:50.46 ID:QNFtjt/70

――――

志保「♪〜」

  「コーヒー淹れてもらうのも久しぶりね〜♪」

志保「パパ、淹れてくれないの?」

  「淹れる度に『しーちゃんのコーヒーのほうが美味しい。さみしい』って言うから最近やらせてない」

志保「パパ……」

  「またライブとか舞台とかあるようだったら、チケット送ってあげて」

志保「はい♪ ……電話でも言ったけど、この前は、ごめんね。テレビ、ちゃんと映れなかった」

  「謝ることなんてないのよ。人いっぱいだったものね、そういうこともあるって」

志保「パパが、がっかりしただろうなぁって」

  「大丈夫。少しだけだったけど、可愛かったわ♪」

志保「ママは心配しないんだね」

  「しーちゃんが元気ならそれでいいのよ」
323 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:44:20.40 ID:QNFtjt/70

――――

   「姉ちゃん、ちょっとこれ」

真奈美「ん、どうした」

   「こんなメール来た」

真奈美「ふむ」

   「何て返す?」

真奈美「明日行く。出る前に私から連絡する」

   「そしたら、姉ちゃんのメルアドあっちに送っとこうか」

真奈美「よろしく」
324 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:44:51.09 ID:QNFtjt/70

――――

千奈美「はぁい」

志保『おつかれー』

千奈美「はいはい。で、いつこっちに出て来るの?」

志保『元日と二日のどっちかがいいな。三日に親戚の集まりだから』

千奈美「じゃあ二日の午前でいい? 午後うちに寄ってくれたら、帰り送るわ」

志保『それでいいよー♪ ……あ、サイレントウインドだ』

千奈美「ん、シンデレラチャンネル?」

志保『ううん、『ミュータミ』。シンデレラのカウントダウンライブの特集してた』

千奈美「そっか、一部中継あるんだっけ」

志保『バックダンサーのオファーなかったね』

千奈美「そうね。別に私たち、バックダンサーが本業じゃないし」

志保『そうだねー……』

千奈美「……」

志保『……うぅむ、やっぱり歌上手い』

千奈美「そりゃまあ、そうよ」
325 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:47:11.00 ID:QNFtjt/70

――――

アヤ「お邪魔しまーす」

亜季「はい、スリッパ」

アヤ「ん。……この年の瀬に良かったの?」

亜季「両親は二人で食事に行かして、兄は妹の保護者兼財布にされとる。一人でプラモ作るのも飽きたばい」

アヤ「道場は……掃除終わったから閉まってるか」

亜季「やね。四日の餅つきは顔出したかけど」

アヤ「いつ東京戻る?」

亜季「六日に撮影あるけん、五日の昼に帰ってジム行くばい。千奈美さんから聞いとろう」

アヤ「じゃあ、それまでには博多弁抜かないと」

亜季「貝の砂抜きみたいな……」

アヤ「部屋に閉じ込めて標準語の番組見せる、とかそういう感じ?」

亜季「一晩置いとくと、吐き出された訛りが床に散らばっとぉとね」

アヤ「吐き出したのを飲み込まないように、換気と掃除が要る」
326 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:48:07.00 ID:QNFtjt/70

――――

亜季「アヤはほとんど訛り出らんね」

アヤ「ちょっとだけかな。母さんがこっち地元じゃないし」

亜季「ウチは帰ったらすぐ出よるばい」

アヤ「それでよくアイドルやりよる」

亜季「だからこんな言葉遣いになるのであります」

アヤ「普通に標準語は?」

亜季「んんっ…… あんまり自然に出て来ない、んだよね」

アヤ「練習せんの?」

亜季「ラジオで、軍人喋り? が定着したから、今更普通に喋ると、キャラが迷走しそう」

アヤ「厄介だなあ」

亜季「んんっ…… まあ、お陰様で専らアクションの仕事が定着しております」

アヤ「モデラー系アイドルとか言ってなかった?」
327 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:50:18.56 ID:QNFtjt/70

亜季「本ッッッ当にデビュー当時だけでありますな。というか、そっち方面がコケたからアクションに絞っているのです」

アヤ「世知辛いなぁ。でもツイッターじゃ好評じゃん、プラモ」

亜季「プラモデル関係の仕事が来ないものかと、事務所に振るための下積みであります」

アヤ「でもまあ、アイドルで食えそうな目途、立ってきた?」

亜季「……新卒で働くとは諦めたけん。食えなかったら路頭ば迷う」

アヤ「そこそこ稼いでるんだから、単位揃えて休学にしたら?」

亜季「それは結局、アイドルと普通の仕事のどっちを選ぶかを先延ばしにするだけですな。今しかできないからアイドルを選ぶのでしょう」

アヤ「将来は?」

亜季「なるようになればいいのであります。歓声を受ける喜びを知った以上、そう簡単にはやめられないものです」

アヤ「それは…… わかる、けどさ。応援してもらえるのって、笑ってもらえるのって、すげー嬉しい」
328 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:50:49.54 ID:QNFtjt/70

亜季「アイドルになること、ひいてはエンターテインメントに身を置くことは、一種の沼でありますよ。……受け売りですがね」

アヤ「……アタシは、どうなるんだろ」

亜季「どうなったって、友人とは変わらんばい。もう良かやろ。食わんね」

アヤ「いただきまーす。うおー、やっぱモツすきうめー」

亜季「いただきます。……あれ、二人で食事って、東京いるときもあんまりせんやった?」

アヤ「アタシが一人暮らしほとんどしてないもんな。アタシが東京出て半年で、今のとこに引っ越しちゃった」

亜季「一緒に暮らしとっと、ホイホイ遊びに出るわけにもいかんっちゃろ」

アヤ「そうだなあ、お陰で彼氏も作れない」

亜季「欲しかと?」

アヤ「いや、別に」
329 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:51:29.66 ID:QNFtjt/70

――――

アヤ「ただい…… 何してんの」

志保「おかえりなさい♪ それと、あけましておめでとうございます♪」

アヤ「あけましておめでとうございます。今年もよろしく。……で、テーブルどかして何してたの」

志保「そうそう、そうだよね。んーと、ステップの練習」

アヤ「急に、なんでまた」

志保「千奈美ちゃんと初売り行った帰りにね、そのままお邪魔したんだけど」

アヤ「言ってたな」

志保「親戚の皆さんもいらっしゃってて。千奈美ちゃんとおねシン歌ったの」

アヤ「えっ。……大丈夫だった?」

志保「大丈夫、って?」

アヤ「アタシもだけど、志保のこともアイドルって知ってる人いなくないか?」
330 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:52:45.82 ID:QNFtjt/70

志保「そもそも、千奈美ちゃんがシンデレラガールズって知らない親戚さんもいたよ」

アヤ「まあ、アウェーなのはだいたいいつものことだけど」

志保「そうそう。それに、千奈美ちゃんのご家族は私のことも知ってくれてるから、大丈夫♪」

アヤ「お疲れ様。で、それがどうして練習に?」

志保「千奈美ちゃんのほうが上手だったから。横に立つと、わかっちゃう」

アヤ「あー……」

志保「だから、せいいっぱい、ね」

アヤ「……『小さな 一歩だけど』?」

志保「そうそう! 『キミがいるから』!」

アヤ「アタシもやる。ここじゃ音響いて迷惑だし、店のフロア使おう」
331 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/01/25(日) 01:57:42.21 ID:QNFtjt/70

――――

生きてます。
主に2ndライブとアニメの影響で遅筆がますますこじれましたが、生きてます。

レギュラーはアヤ志保千奈美です。
多分真奈美さんもレギュラーです。

もう折り返したものだと信じたい。
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/25(日) 02:07:49.54 ID:Lt71V2C8o
あけましておめでとうございますww
折り返しということは徐々に収束していく感じかな?
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/25(日) 03:51:19.72 ID:tufvSx9po
アニメ終わる頃には完結かな?
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/25(日) 20:54:47.58 ID:jlVL3ml0O
まあ無理せず
楽しみにはしてるけど、書かなきゃいけないわけじゃないんだしさ
楽しみにはしてるけど!
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/26(月) 01:39:18.98 ID:TndTZ/ano
おつかれーおかえりー

編集でカットは悲しいな…
それぞれ家族の態度の違いじわっと来るわー
そしてしーちゃんぐうかわ
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/24(火) 01:29:47.49 ID:8lwAavI9o
337 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/03/10(火) 01:19:57.04 ID:tpknAHk60
――――

真奈美「連絡。今日からバレンタインのサービスを始めるから、ミニサイズのブラウニーを忘れずに提供すること。私からも言うが、バイトの子にもよろしく」

志保「出した数、伝票ベースでいいんですよね」

真奈美「クローズしてから、サービスとメニューでそれぞれいくつ出たか記録する。今日は、私が多分一日中ここにいるから、やっておこう」

千奈美「分かりました」

真奈美「それと、ディナーに予約が二件。あとはクローズ後にジューシーの高橋さんが来る」

アヤ「礼子さん?」

真奈美「私と呑みたいだけらしいから、構わなくていいぞ。というわけで今日は恐らく上に泊まる」

志保「分かりました。でも、ちゃんと休んでくださいね」

真奈美「そうだな。明日の朝はよろしく。それから、来月のプロジェクト側の仕事。私と千奈美が、最初の定休日に仮歌収録。その次の定休日に、その曲の振付サンプル動画撮影」

千奈美「はい」
338 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:22:00.27 ID:tpknAHk60

真奈美「それとは別に、千奈美は月初にビューティーアリュールのレッスン。私はフェスの稽古が残り一回で、第一金曜にリハ、その後の土日に本番」

アヤ「はーい」

真奈美「アヤと志保は第二週にイベントのアシスタント。土曜日に横浜と渋谷、日曜に越谷とさいたま」

志保「わかりました♪」

真奈美「開始前のフライヤーと終了後の記念品配布、それと前説の予定。資料は郵送したとのことだから、受け取った人は私に言うように」

アヤ「了解です」

真奈美「最後に全員。今月の店内ライブのソロ曲を決めること。今回はレッスン時間少ないから、新しい曲は避けてくれ。以上だ。何かあるかな。……それでは、今日もよろしく」

  「「「よろしくお願いします」」」

339 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:23:35.77 ID:tpknAHk60

――――

アヤ「仮歌、振付サンプル、アシスタント」

志保「ドラマのエキストラ、バックダンサー、コーラス」

アヤ「トークイベントの司会」

志保「3Dモデルのモーションキャプチャ」

アヤ「それ面白かった」

志保「私、ダンスでしか撮ったことなーい。アヤちゃんはゲームの撮ってたよね」

アヤ「アイドルらしい仕事とは、何か」

志保「顔と名前が出ればいいんじゃないかな?」

アヤ「今挙げたやつだと、どっちかしか出ないじゃん……」

志保「そうかも」
340 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:24:08.26 ID:tpknAHk60

アヤ「ライブとか、グラビアとかかなぁ。やっぱり」

志保「合同ライブとかフェスとかなら、時々呼んでもらえてるよ?」

アヤ「じゃあ、アタシと志保だけでやるって言って、どのくらいのハコだよ」

志保「毎月の店内ライブなら、立ち見出ることもあるもん」

アヤ「やっと、な。それだって、基本的には4人揃ってるしお土産もつけてる」

志保「つまり、私たち二人で、お店使わずに……?」

アヤ「そう。アタシたちだけで、外で。どのくらい呼べるか」

志保「ファンレターとか差し入れとかくれる人が、ひのふの……」

アヤ「店内ライブ常連さんが一致してるのが、いち、にー……」

志保「……」

アヤ「……」
341 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:24:41.27 ID:tpknAHk60

志保「い、いいんです! ファンレターもらうなんて、普通の生活してたら得られない経験だよ? 数じゃないよ!」

アヤ「売れてるかどうかは、数だろ」

志保「……ここ、嫌?」

アヤ「それは…… 楽しいけど。みんな盛り上がってくれるし」

志保「私は楽しいよ、ファンの人たちと直接話せるのもここだけだから。大事にしたい」

アヤ「でも、もう一年半やってる」

志保「そうだね」

アヤ「……これから、増やせるのかな」

志保「月二回とか」

アヤ「外でやろうとかは考え…… いや、費用がなあ……」

志保「実際には、外だとスタッフ手配する必要あるから、途端に大変になるって」

アヤ「今だって、警備は最低限だし、段取りもお客さんの厚意に甘えてる」

志保「……所長がどう考えてるかは、わからないけどね」
342 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:25:09.93 ID:tpknAHk60

――――

志保「バレンタインパフェ二つ出まーす、これでオーダー消化♪」

真奈美「私が出してくる」

志保「お願いします♪」

千奈美「山越えたかな。アヤ、手空いたら炭酸ちょうだい」

アヤ「ほい」

千奈美「ありがと。レモネード作るけど飲む?」

アヤ「飲む。木場さんの分も作っといてよ」
343 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:25:35.53 ID:tpknAHk60

千奈美「はーい。今フロアどのくらい?」

アヤ「三組。コースのお客様は全部終わり。一組はさっき出した二名様。一組はいつものファンの人たち」

志保「追加ありそう?」

アヤ「もうボトル空いてるしデザートも終わったから多分…… はい! お会計ですね。それと月末のチケット。はい、かしこまりました」

志保「ありがとうございました♪ ……わっ、お土産ですか! いつもありがとうございます、嬉しいです♪」

千奈美「私、見送ってくる。ついでに外の様子見てくるわ」

志保「気を付けてね」
344 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:26:16.83 ID:tpknAHk60

――――

真奈美「はい、お疲れ様。コーヒー淹れてきたぞ。お土産、何だったんだい」

千奈美「チョコみたいですよ。ヘンリ……る、ルークス?」

志保「それフランス語だよ。アンリって読むの。どこかで見たなあ……」

真奈美「仏語の講義で出てきたのかい」

志保「それもそうですけど。学校じゃないですね…… そうだ、デパ地下で見たんだ。高級チョコのブランド」

アヤ「へーっ。千奈美のファンの人だったよな」

千奈美「そうね。……高いんでしょ?」

志保「確か2000円か3000円くらいだったよ」

アヤ「生々しい……」

千奈美「ありがたくいただきましょ」
345 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:26:54.72 ID:tpknAHk60

志保「あんまりありがたそうじゃない……?」

千奈美「いや、嬉しいわよ。でも、不思議だな、って」

真奈美「何がだい」

千奈美「プレゼントって、だいたい手紙ついてるじゃないですか」

真奈美「そうだな。あぁ、今のも中身チェックしたから読んでいいぞ」

千奈美「はい、ありがとうございます。……プレゼントも嬉しいんですけど、手紙はより嬉しいんですよね」

アヤ「そりゃ、市販品と違って、一回こっきりだからな」

志保「そのために手間掛けてくれてると思えば、嬉しくもなるよね」

真奈美「……私から言うことは無さそうだな。さ、掃除だけしたら帰っていいぞ。キッチンは私がクローズしておく」

アヤ「挨拶くらいしたかったんですけど、また来るの夜中なんですかね」

真奈美「早くて23時は過ぎると言っていたな。……食洗機だけ動かしたら、私はひと休みするよ」

千奈美「……ぱーっと片付けて帰りましょうか」

志保「賛成」
346 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:27:45.63 ID:tpknAHk60

――――

礼子「二人っきりなのは、いつぶり?」

真奈美「日本に帰ってきてからは、初めてじゃないですか」

礼子「ニューヨークが懐かしいわねぇ」

真奈美「仕事ばかりでしたがね」

礼子「もう懲り懲り、って顔」

真奈美「そうですか? 仮歌もコーチングも続けますよ。テキーラ、どれにします」

礼子「ゴールド何か入ってるなら、それで」
347 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:28:56.75 ID:tpknAHk60

真奈美「どうぞ。ライム足りなかったら自分で切ってください」

礼子「なーに、酔っ払いに刃物使わせるの?」

真奈美「……わかりましたよ」

礼子「かんぱーい。……ゴーストシンガーはもういい?」

真奈美「……そっちは懲り懲りです。あんなことで、こんなに稼いだのが間違いなんです」

礼子「それでも、アルバム二枚は作ったんでしょ」

真奈美「投げ出したら、いちばん泥かぶるのは私を紹介した礼子さんじゃないですか」

礼子「ありがと」

真奈美「人真似で歌うのは面白かったですし、技術にもなりましたが」
348 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:30:44.48 ID:tpknAHk60

――――

礼子「サングリータ足りない」

真奈美「はいはい、ただいま。どうぞ、自分で注いでください」

礼子「態度悪くない?」

真奈美「私の客ではあっても、店の客ではないでしょう」

礼子「アヤたちにクレームつけよう」

真奈美「叩き出しますよ」

礼子「むぇー(`3´)」

真奈美「可愛くないです」

礼子「似てるでしょ?」

真奈美「似てますけど、可愛くないです」
349 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:33:16.59 ID:tpknAHk60

――――

真奈美「はい、ワカモーレとコロナ。……ペース早くないですか?」

礼子「まだ三杯目よ。これでしばらく粘ればいいでしょ」

真奈美「分かっているでしょうし、構いませんがね」

礼子「それに、社長はケチケチしないものよ」

真奈美「パソコンくらいしか設備投資の必要がないそっちと、一緒にしないでください」

礼子「よく言うー! ちょいちょいイベント入れて儲けてるの知ってるんだからね」

真奈美「そりゃあ、アイドルプロデュースの店なんですから。ニーズに合わせますよ」
350 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:33:59.25 ID:tpknAHk60

礼子「あっちで稼いだ分、いくら残ってるの?」

真奈美「オフィスの開業資金に使ってからは、あまり手を付けないようにしてます」

礼子「ケチくさいことしてるんだから」

真奈美「若い女の子の人生預かるんです、備えは必要でしょう」

礼子「よく言う」

真奈美「今日は随分突っかかりますね」

礼子「……あーた、あの子たちどうしたいのよ」

真奈美「どう、とは」
351 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:34:34.98 ID:tpknAHk60

礼子「所属は真奈美も含めて四人よね。芸能の仕事で、いちばん売り上げ出てるの誰?」

真奈美「……"All alike"ですよ。イベントの助っ人が主な仕事ですから」

礼子「似たり寄ったり、ねぇ。歌唱指導だのイベントマネージメントだの、裏方を含めたら真奈美?」

真奈美「そこは、まあ。本当なら、裏方以外は全部あの子たちに回したいです」

礼子「でも、あの子たちには任せられない?」

真奈美「……そういうわけでは。ただ、私に来たオファーに対して……」

礼子「代わりに推薦できるほどの実力が、あの子たちにないって?」

真奈美「端的に言えば、そうです」
352 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:35:37.81 ID:tpknAHk60

礼子「そんなのゴリ押ししなさいよ。『シンデレラガールズのメンバー使いたいだけだったら、こっちでも対応できるから充分だろぃ』ってさ」

真奈美「そんな無茶苦茶な」

礼子「的外れなとこ推したら共倒れだけど、多少のズレなんてフィットさせてくわよ」

真奈美「無理をさせても……」

礼子「アンタねー。あの子たちだってプロの端くれだし、営業や現場はもっとキャリアのあるプロよ?」

真奈美「……む」

礼子「あんた、こないだフェス呼ばれてたわね。千奈美は今撮影だっけ?」

真奈美「はい。枠は小さいですが2クールです」

礼子「そうね。その仕事は次に繋がるの? 夢の続きを用意できるの?」
353 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:37:39.26 ID:tpknAHk60

真奈美「……ドラマのプロデューサーには、気にかけてもらっているようですが」

礼子「ふぅん。で、後の二人は。川島の冠番組の特枠、コケたんでしょ」

真奈美「少しは出ましたよ」

礼子「あの子たちを主役にする気あるの?」

真奈美「そういう聴き方されれば、答えはひとつです」

礼子「"Yes, of course"って? じゃあ、見込みはどうなの。主役にしてやれる見込みは」

真奈美「……」

礼子「中央にぶら下がってる仕事拾って渡すだけで、そう簡単に成長しないんだからね」
354 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:38:09.74 ID:tpknAHk60

――――

アヤ「おはよーございまーっす。お、キッチン片付いてる」

志保「んん、フロアも片付けてあるよ」

アヤ「……でもこのヒール、礼子さんのだな」

志保「やっぱり泊まったんだ」

アヤ「様子見てくる。ダメそうだったら着替えだけ持ってくる」

志保「はぁい♪ 仕込み始めてるね」
355 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:38:35.54 ID:tpknAHk60

――――

アヤ「……こりゃ、ダメかな。制服だけ失礼して……」

礼子「……ぅ。……アヤ?」

アヤ「ありゃ、おはようございます。大丈夫ですから、寝てていいですよ」

礼子「おはよ……まだ7時前か。んー…… もうちょっと寝るけど、一回シャワー浴びるわ」

アヤ「何か飲んだり食べたりします?」

礼子「ミネラルウォーター置いてるから平気よ」

アヤ「そすか、それじゃごゆっくり」
356 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:40:08.80 ID:tpknAHk60

礼子「……ね、アヤ」

アヤ「はい?」

礼子「今、楽しい?」

アヤ「そりゃまあ、続けてるわけですし」

礼子「……」

アヤ「……な、なんですか」

礼子「いや、今はいいわ。眠くてしんどいし。お仕事頑張って」

アヤ「は、はぁ」

礼子「はぁい。おやすみ」

アヤ「……あの、礼子さん」

礼子「ぅん?」

アヤ「……辛いと思ったことは、ないですよ」
357 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/03/10(火) 01:42:54.86 ID:tpknAHk60
――――

昔は私も無課金だったが、上位に軍曹が来てしまってな。

レギュラーはアヤ志保千奈美です。
多分真奈美さんもレギュラーです。
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 02:32:35.85 ID:ESlMTX/1o
軍曹て割と最近だなw

ワシも昔は無課金だったが、日菜子が(ry
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 10:01:34.20 ID:bMGzNIgMO
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 11:32:40.02 ID:kAWeihJqO
礼子さん、ごり押ししてるのか…
361 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:16:11.26 ID:d9i1CcnU0

伊吹「んじゃ、XX年組初の呑み会を祝して! かんぱーい!」

「「「かんぱーい」」」

朋「椿ちゃん、日本酒なんて呑むの?」

椿「ゆっくり、ですけどね」

伊吹「適当にやればいいよ、アタシもサワー二杯で終わるつもりだし」

千奈美「えっ」

アヤ「えっ」

志保「えっ」

朋「あんたたちがおかしい」

伊吹「アタシたちまだハタチだよ? ていうかさ、アヤたちが酒慣れ過ぎなんじゃない?」

千奈美「余裕よ、余裕」
362 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:16:50.78 ID:d9i1CcnU0

朋「XX年組っていうけど、あたし小松さんとプライベートで会うの初めてだよね?」

伊吹「多分。あんまり合同トレーニングも一緒にならないよね」

アヤ「そうな。来てないけど新田美波さんとか鷺沢文香さんとかも同年だけど、接点ないな」

朋「あの辺もかー、そういえば。売れ過ぎてて全然同い年の感覚じゃないわ!」

伊吹「正直、グラジオラス組来なかったらさみしいことになってたよね」

アヤ「そりゃ、三人じゃ格好つかねーなぁ。つーか、どの範囲に声かけたんだ?」

伊吹「櫂は予定合わず。あとは、まあ、ほら…… さっき言ってた人たちよ」

朋「新田美波さんとか」

伊吹「そうそう。あと鷺沢さんのサイレントウィンドとか、宮本フレちゃんとか。その辺アタシ話したことないし、声かけていいレベルじゃなくない?」

千奈美「文香と音葉なら、たまにメールしてるわよ? たまにね」

伊吹「え! すッごい! 藤居さんは?」

朋「サイレントウィンドの二人なら千奈美たちと一緒に仕事で会ったことはあるけど。話した記憶はないわね! 話せる感じしなかったし」

アヤ「まー、キャラ作り殆どなしにアレだったからなー」
363 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:17:22.63 ID:d9i1CcnU0

朋「で、新田さんとかフレちゃんさんか。仕事すら一緒してる人いるかどうかわかんないわね。椿ちゃんもない?」

椿「ないです。二人とも寮生でもないので、プライベートも接点ないですね」

志保「グラジオラスから離れられない私は、もちろんありません♪」

朋「これは……実在していないかもしれない?」

伊吹「おーいっ! テレビで見てるじゃーん!」

朋「あたしたちにとっちゃテレビ番組なんて幻よ!」

椿「そ、そこまでは……」

志保「テレビ番組もピンキリだけど、キー局ゴールデン、とか言われちゃうと、さすがに幻かな?」

朋「志保ちゃんたちが出たやつ、実際幻になっちゃったもんね」

志保「……」

アヤ「朋さー、お前割と軽率に刺すよね?」

朋「うわっごめん、そんなに!?」

364 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:18:15.32 ID:d9i1CcnU0

志保「くすん。アヤちゃーん、朋ちゃんがいじめるよー」

アヤ「あー、はいはい。アヒージョお食べ」

志保「『こんばんは! ぼく、エリンギです! オイルで煮られて、とっても美味しいよ!』 もぐもぐ」

朋「意外と似てる」

椿「志保ちゃん、酔ってる……?」

アヤ「酔ってることは酔ってる、と思うけど……」

朋「その二人がベタベタしてんのは平常運転」

志保「むぐぐぐー!」

アヤ「飲み込んでから話そう」

志保「んく。……朋ちゃんがいじめるよー!!」
365 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:18:46.39 ID:d9i1CcnU0

伊吹「久しぶりに見たけど、仲良いの通り越してない?」

志保「家ではダーリン、ハニー、と呼び合う仲です♪」

アヤ「ん゛、ん゛っ、げほっ、げほげほげほ」

朋「え、ガチなの……?」

アヤ「げっほ……ち、違うからな?」

志保「家族だから似たようなものだよ」

椿「ま、まあ、その…… よほど仲がいいか干渉しないタイプでないと、一緒に住むのは難しいですよ」

朋「寮だとどんな感じ? お風呂と食堂一緒なんでしょ?」

椿「そうですねぇ。そこはやっぱりグループありますよね」

アヤ「学校みてーだな……」

千奈美「中高生ばっかりならそんなもんでしょ」
366 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:19:41.51 ID:d9i1CcnU0

椿「あんまり仕事関係なく仲良しグループ作られてますけど、たまにグループ内で一緒の仕事とかあると、ちょっとヒヤヒヤする……」

志保「うまくいけばいいけど、ミスとかいざこざとか持ち帰られちゃうと大変?」

椿「そうなんですよね。だから『喧嘩するなら周りから見えないところでやれ』みたいなルールもできてて」

朋「へー。あたしどっちかっていうとミスする側だから、身につまされるー」

アヤ「軽いな! ホントかよ!」

朋「ほんとだよー。ねーねー、あんたたちはどのくらい喧嘩するの?」

千奈美「……もう殆どしないわよね?」

アヤ「最初のほうに、アタシと千奈美がちょっとしたことあるけど。あとは所長様様、志保様様だなー。超フォローされてる」

志保「へっ?」

アヤ「感謝してるよ、いつもな」

朋「っかー! いちゃいちゃするなら見えないところでやってよ!」

アヤ「えっ、ひどくない……?」

伊吹「振っといてそれ!? 自分から振っておいて!?」
367 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:20:13.57 ID:d9i1CcnU0

アヤ「そーいや伊吹さぁ、寮入るかもーって話。どうしたの?」

伊吹「いったん止めた。フツーに通えるし。都内の仕事がもっと増えたら、また考えるかな」

千奈美「先行きは?」

伊吹「今やってる情報番組のアシスタントが、来期も続投あーんど枠増加」

朋「凄いじゃない! おめでとー!」

伊吹「ローカルの帯番だけどね、週一だったのが週三に。おかげで地元からはますます離れられない!」

千奈美「へぇ。一人で三日出るの?」

伊吹「今期までは五人が日替わりで一人ずつ。来期からは四人の中から二人がローテーション」
368 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:20:58.65 ID:d9i1CcnU0

朋「そっかー、一人蹴落としたのねー」

伊吹「アタシは何もしてない!? 降ろされたんじゃなくて降りた、とは言ってた。グラビア行きたかったらしいけど……まあ、詳しいことはわかんない」

アヤ「その子、シンデレラガールズ?」

伊吹「違うよ、その番組じゃアタシだけ。その仕事もガールズ関係ないとこで受かったし」

志保「伊吹ちゃん、結構外の仕事多いよね?」

伊吹「むしろ芸能活動だけなのアタシだけじゃない? 実家暮らしだから生きていけるけど」

志保「それもそうだね…… そうだ、椿ちゃん内定もらったって聞いたよ」

椿「プロジェクトからの斡旋で、撮影所の契約社員です。これで大学も普通に卒業できる……」

アヤ「おめでとー。……朋、大丈夫か?」
369 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:21:31.08 ID:d9i1CcnU0

朋「あああああ…… あたし卒業したらどうしよう…… 仕送り断たれる…… アルバイトしかないか……」

千奈美「一旦実家帰ってもいいんじゃない?」

朋「嫌よ!! アイドル続けられるかもわかんない上に、舞台立てなくなる!!」

伊吹「お、好きなんだ」

朋「好きよ。劇団に入ったのは大学入ってからだけど、最高に楽しい」

椿「劇団に入ってから、シンデレラガールズになったんですよね?」

朋「順番はそうね。実際には、団員にシンデレラガールズが欲しくて、あたしを勧誘したみたい」

アヤ「高校で演劇やってたんだっけ」

朋「そうよ。高校で入った占いサークルに演劇部員がいて、そのままずるずる。最終的には占いサークル自体が演劇部に吸収された形みたいになってた」

伊吹「じゃ、演劇が面白くなったから大学でも続けよう、って?」

朋「なんだけど、大学の演劇サークルがもう全然ダメで! その中で唯一マトモな先輩が劇団員で勧誘してきた、と」

千奈美「それ、一歩間違ったらマルチとか自己啓発とかじゃないの!」

朋「……あっ!? あたしツイてた!?」
370 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:23:02.82 ID:d9i1CcnU0

椿「みんな苦労してるんですよねぇ」

朋「椿ちゃんは?」

椿「……私は、ほら。アイドルでもあるけど、まず学生ですから。……このまま、撮影関係の仕事にシフトするのかな……」

志保「もったいないよ?」

椿「卒業まで、あと一年以上だから。まだ考えていられますよ。……撮影技術で身を立てるのか、アイドルにしがみつけるのか。でもこの二つなら、どっちにしろ、幸せかなって」

朋「あたしは選ぶまでもないなあ。とにかく舞台やりたいし、アイドルも続ける。……親は怒るのかな……」

アヤ「そりゃ、安心はしねーだろ」

朋「……軽々しく刺すのはお互い様じゃない?」

千奈美「でも、そうよね。今しかできないことをやる。そういう道を選ぶ行為って、きっと価値のあることよ」

椿「今しかできない……」
371 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:23:33.08 ID:d9i1CcnU0

伊吹「思うにさ」

千奈美「何」

伊吹「アタシたちって、オーディション受かったじゃない」

朋「そうね。あたしは事務所推薦枠だけど」

千奈美「っていうか一般公募で受けたのが私と椿だけよ。回は違うけど」

椿「みんな推薦枠なんですね」

伊吹「それそれ。オーディションの倍率、どのくらいなんだろう」

千奈美「うーん。一般は書類と写真で一次選考して、二次が歌、朗読、面談……だっけ?」

椿「確かそうです。一次は解りませんけど、二次は、私のときは200くらいでしたかね。大会議室だった気がします」
372 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:25:44.31 ID:d9i1CcnU0

伊吹「で、数人しか合格してない?」

椿「はい。補欠合格を含めても一割足らずで…… その中でもちゃんとシンデレラガールズとして事務所に入れてデビューできたのが、さらに半分、みたいな感じですよ」

伊吹「つまり、数百、数千、もしかしたらもっとたくさんの破れた夢の上に、アンタたちは立ってるわけだよね」

千奈美「……」

アヤ「事務所推薦のアタシたちも、変わらないけどな」

朋「そっか、スカウトされる幸運だって、そのたくさんの夢敗れた人たちは持ってなかったもの、なのよね」

伊吹「……あのさ。親元で暮らしてるアタシに言えた義理じゃないかもしれないけど」
373 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/04/08(水) 03:28:24.75 ID:d9i1CcnU0

伊吹「やり切りたいよ。走り切りたい。アタシたちの今は、他の誰かの夢なんだよ」

朋「……やるよ。やるよね?」

椿「はい。しがみつくとかじゃなくて……頑張りたい、ですね」

千奈美「いいじゃないの、やりましょ」

アヤ「環境だけならいちばん恵まれてるはずだもんな、アタシたち」

志保「Zzzzzzzz」

伊吹「うわぁ」

アヤ「うわぁ」

――――

4月8日は桐野アヤの誕生日です。

レギュラーはアヤ志保千奈美です。
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/08(水) 03:33:19.75 ID:0R6c52m4o
おひさ!
俺もアヤ書こうかなあ
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/08(水) 08:58:13.29 ID:pA3IjVtKO
生きとったんかワレェ!
アヤおめ!

うーん、この若々しくていい話を時々ぶつけてくるスタイル
嫌いじゃないわ
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/09(木) 01:54:09.88 ID:YMlmom/ao
うっかり泣くだろうが…
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/09(木) 16:30:04.18 ID:B1LPP1CsO
タイトル詐欺(誉め言葉)なんだよなぁ

なるほど、この中だといぶきちだけ関東(茨城)だから実家住まいが可能なのね
378 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:01:22.84 ID:TSJjxUNy0
真奈美「一つ目、ここの拍が取り難い気がするが……まあこのまま出そう。二つ目はBメロが浮いてる」

千奈美「……くっ」

真奈美「サビが仲間を意識しているのに、Bメロは孤独を肯定するような内容に読める」

千奈美「AメロとBメロの連続性は気にしたつもりなんですけれど……」

真奈美「なら、展開する方向が上手くいってないんだ。これはサビ有りきなんだろう?」

千奈美「そう……ですね」

真奈美「それなら、サビにフィットさせていかないと。シフト終わったら少し相談しよう」

千奈美「はい…… ライブ感、ってよくわからないんですよね。今更ですけど」
379 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:02:58.52 ID:TSJjxUNy0
真奈美「うーむ。レトリックを求め過ぎてるんじゃないかな」

千奈美「言葉を飾り過ぎ?」

真奈美「もっとストレートに書いてみたまえ。テンション上がってる状態で耳に入っても、歌詞が理解できるくらいに、簡単な言葉でいい」

千奈美「その上で、掛詞になったり韻を踏んだり……」

真奈美「そこはまあ、そうだ。三年以上勉強してたんだからな」

千奈美「むむっ。がんばりまーす」

真奈美「ん。曲はOKが出てアレンジャーに発注が行ったそうだから、来週には戻るんじゃないかな。もう少しだ」
380 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:12:16.84 ID:TSJjxUNy0
千奈美「分かりました。……三つ目は?」

真奈美「三つ目か。それは、えー…… ちょっと、その……空回ってる。ダサい、というか……」

千奈美「」

真奈美「一定層に媚び過ぎだな。何でもカタカナにしたらキャッチーなわけじゃないし、リズム感のために小難しい単語や日頃使われない言い回しを詰め込むのは、それこそ生きた歌詞じゃない」

千奈美「……くっ!」

真奈美「こういうのも、需要はあるだろうが…… キミ達に歌わせたくはない。初のオリジナルでこれをやったら、戻れなくなる」

千奈美「……歌詞を三パターンは大変です。見てもらえることは凄くありがたいですけど」

真奈美「まあ、三つ目は今回の企画とは別口で添削してもらうよ」
381 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:12:53.59 ID:TSJjxUNy0

――――

志保「お茶出すついでに覗いてきたけど、大変そうだった」

アヤ「だな。……作詞作曲かー」

志保「所長、やったことあるのかな?」

アヤ「ちゃんとしたのはない、って言ってた」

志保「それで教えるんだ……」

アヤ「教えるっていっても、具体的にどうしろって言ってないし?」

志保「言われてみれば、外れてるところを指摘してる、って感じだったかな」

アヤ「ほらあれだよ、前に木場さんが審査の仕事やってた歌詞のコン…… コン……?」
382 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:13:28.77 ID:TSJjxUNy0

志保「コンコン。おきつねさんどすえー」

アヤ「ちげーよ!」

志保「コンペティション?」

アヤ「それ。一次審査くらいだったらできるんだろ」

志保「なーるほど。こんこん」

アヤ「だいたいさ、作詞作曲までやってるプロデューサーがどれだけいるよ?」

志保「こんこーん。確かにー」

アヤ「いつまでキツネなの」

志保「お店に和風の小物飾って、制服は袴にエプロン、キツネのお面ってどうかな♪」

アヤ「どうかな♪ って言われても…… 可愛いけどさ……」
383 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:14:13.89 ID:TSJjxUNy0

――――

アヤ「まあ、そんな話をだな。次の企画にどうか、って」

千奈美「キツネはどっちかっていうとアヤでしょ。志保は……タヌキ?」

志保「えっ、ちょっ…… それディスってない!? それ!?」

千奈美「褒めてる褒めてる。垂れ目だし、お尻大きいし」

志保「わーい、褒め…… 褒めてる? 褒めてるのかなぁー?」

アヤ「雑! じゃあ千奈美はどうなんだよ、動物」

千奈美「……ジャッカル?」

志保「……オオカミみたいなやつ?」

千奈美「……さあ?」
384 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:15:59.87 ID:TSJjxUNy0

アヤ「お前さぁ、お前適当言ったろ!!?」

千奈美「とりあえず出すだけ出しておけば? 私は犬とか狼とかでいいわよ」

アヤ「適当だなぁー!?」

千奈美「いやもう、ホントに全然余裕ないもの」

志保「作詞?」

千奈美「作詞。やー、勉強してたときの書き溜めなんてね。数年経ったら使えないもんだわ」

アヤ「はー。大変だなァ」

千奈美「やり切りたいから、ちょっと負担かけるかもだけど」

志保「大丈夫だよ。支えるくらいしか手伝えないんだから、そこは頼って!」
385 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:16:45.36 ID:TSJjxUNy0

――――

志保「お疲れ様です♪ コーヒーお持ちしましたよ。合同アルバム、どんな感じですか?」

真奈美「ありがとう。……わからん」

志保「えっ」

真奈美「結局、私がディレクションすることになりそうだ」

志保「アルバムのプロデューサー、この間お会いしましたよね?」

真奈美「ミニアルバム四枚、ユニットにして20組同時進行だ。コンセプトを共有するだけでも一仕事だろうさ」

志保「確か、どういう組み合わせで収録するかも決まってないって」

真奈美「選抜投票のことがある。現状である程度は予想がつくよ。……それとなく聴いたしな」

志保「あー、選抜……」
386 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:17:22.06 ID:TSJjxUNy0

真奈美「ニュージェネや142's、双葉杏みたいな、単独で出しても6ケタ見えるようなのがいるんだ。……わざわざ潰し合いにはしないだろ」

志保「う。……あの、出来レースだったりします?」

真奈美「……不正はまず有り得ないぞ。今回みたいに複数の事務所での共同作業となると、根回しは厳しい」

志保「でも、売れっ子を分けるんだから…… ある程度結果が見える組み合わせになります、よね」

真奈美「そこはなぁ。未来ある若い子を本気で潰し合わせたって、誰も得しないさ」

志保「……うーん。勝てないのが分かってても、やる……」

真奈美「数万枚は売れる、聴いてもらえるんだ。チャンスには違いない。それに、選抜枠7つのうち二つ三つくらいは、正直読み切れてない。プロモート次第かな」

志保「その中に、千奈美ちゃんが滑り込めるように?」
387 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:19:38.68 ID:TSJjxUNy0

真奈美「だな。そうなんだが…… 編曲と歌詞の添削は手配できたが、ディレクターの空きが見付からない」

志保「で、所長が」

真奈美「そういうことだ。何とかするさ」

志保「……頑張ってください。もし、私にできることあったら、何でも言ってくださいね♪」

真奈美「助かる。店はよろしく頼むよ。クローズとオープンは私がやるから」

志保「今日もお泊りなんですか?」

真奈美「ちょっと、あれのリハビリしておきたいからな。マンションだとよろしくない」

志保「アコースティック! エレキじゃないんですね」

真奈美「エレキとキーボードなら家でも出来るよ。まあ、作曲のサポートだから、ピアノでもキーボードでもエレキでもいいんだが……」
388 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:32:59.05 ID:TSJjxUNy0

志保「どうしてアコギ?」

真奈美「今後のためだ。いちばん手早く使えるから、千奈美の鼻歌を拾うのにいいかな、と」

志保「なるほどぉー。編曲さん用の音源になるんですね♪」

真奈美「いや、仮の記録用だよ」

志保「仮の記録」

真奈美「発注で渡すのは鼻歌」

志保「鼻歌」

真奈美「鼻歌」

志保「……鼻歌が、あんなかっこいい曲に……」

真奈美「向こうはその道のプロだから」

志保「わ、私たちも頑張らないとですね……!?」
389 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:33:29.95 ID:TSJjxUNy0

――――

To:文香 深夜にごめん [作詞のコツって何かある?]

To:小室さん 眠いです [商売敵に臆面もなく聞く……]

To:文香 Re:眠いです [詰まっちゃったから…]

To:小室さん いいですけど [私も実質一曲しか書いてませんよ。そのときは、テーマと全く関係ない本を読んでから書きました。引き摺られないように。]

To:文香 Re:いいですけど [両方とも文香じゃなかったっけ?]

To:小室さん 一応 [名義上はそうですが、カップリングのほうは八割書き直されましたし。]

To:文香 そういえば [聞いた気がする。やっぱりサラサラッとは行かないんだ。]

To:小室さん (無題) [それは勿論です。特に心の準備がなってなかったんでしょうね。真摯に向き合うよう言われました。]

To:文香 Re: [なるほど…とりあえず本読んでみる。ありがと、今度奢るわ。]

To:小室さん Re:Re: [来週どこか、中央のワークショップ行きませんか。本貸しますよ。]

To:文香 Re:Re:Re: [わかった。そのときに奢る。]

To:小室さん それでは [おやすみなさい。頑張ってくださいね。見せてくれてもいいですよ。]

To:文香 おやすみ [お断り!]
390 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:35:02.24 ID:TSJjxUNy0

アヤ「……まだ起きてんの」

千奈美「ん。もう寝る」

アヤ「別に明日休みだし、その辺は自由でいいけど」

千奈美「いや、もう今日はいい」

アヤ「おぅ。筆進まない?」

千奈美「ダメね。深夜にウンウン考え込む感じじゃないわ」

アヤ「お疲れ。昔からやってたんだろ、前もそうだった?」

千奈美「……昔はもっと書けたかな、そういえば」

アヤ「そっか。無理すんなよ」

千奈美「気を付ける」

アヤ「んと、さ。『支えるくらいしか手伝えないんだから頼って』ってこと」

千奈美「……うん」
391 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/05/05(火) 03:37:05.77 ID:TSJjxUNy0
――――

4月27日は槙原志保の誕生日でした。
こっちは間に合わなかったけどパフェは食べました。

レギュラーはアヤ志保千奈美です。
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 12:24:55.97 ID:0d1EQuA9o
おつおつ

まぁアニメあったから筆が止まるのはしょうがないね
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 14:49:26.16 ID:tDeMK0yGO
乙!
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/02(火) 01:25:01.83 ID:mqE9fbFMo
アヤもちなみんも来たよ
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/02(火) 23:48:19.85 ID:g8OzTRfQo
お迎えしてにやにやしてるのかもな
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/02(木) 08:47:21.60 ID:7mp8tX+HO
ほ?
397 : ◆S0mvz1PntgQY [sage]:2015/07/06(月) 09:58:29.10 ID:6USep/Y9O
筆が滞った上に、コミケ合わせの作業があって放置してますが、完結の意志はあります。
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/07(火) 17:36:40.69 ID:cdZHPy7YO
気長に読み返してるさー
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 13:46:09.93 ID:9AbUXvyMo
今日初めて見たが、素晴らしい・・・
こんな生きてるシンデレラガールズを見たかったんだ・・・
400 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/07/31(金) 19:24:44.70 ID:pA5QxgiL0

千奈美「おはよ」

文香「…おはようございます」

千奈美「柔軟手伝うわよ」

文香「……はい」

千奈美「午前中の用事って、やっぱり学校?」

文香「はい、提出するものが少々……」

千奈美「そ。ランチはまた次回ね」

文香「そう、ですね……」

千奈美「たまに夜中まで課題やってるみたいだけど。学校どんな感じ?」

文香「今のところは…… 一通り、いい成績を付けて頂いている、ので……」

千奈美「忙しいだろうに、よくやるわねー」
401 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/07/31(金) 19:25:13.20 ID:pA5QxgiL0

文香「そんな、多忙さなら、千奈美さんも… 私は、今はバイトもしていませんから……」

千奈美「そうね、古本屋のバイトなんてもうできないでしょ。接客業は大変よね」

文香「……千奈美さんのカフェは、どうなんですか?」

千奈美「そりゃ来るけど。そもそもアンタほどファン多くないし、こっちは公開情報だもの。来てくれるような人は、ちゃんとお客さんとして来てくれてるわよ」

文香「そうですか……」

千奈美「ところで、柔軟やらないの?」

文香「……してます」

千奈美「え」

文香「……限界です」

千奈美「え、いやぁ…… 硬すぎでしょ…」

402 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/07/31(金) 19:25:43.45 ID:pA5QxgiL0

文香「いたたたたたたい」

千奈美「ふざけてないわよね?」

文香「……代わります」

千奈美「はい」

文香「……押す必要が、ありませんね」

千奈美「5年くらいかな? ずっとやってればね、余裕よ」

文香「ぐにゃってして気持ち悪い」

千奈美「爪先に届かないほうがヤバイわよ」

文香「……」

千奈美「……」

文香「……深刻、でしょうか」

千奈美「だから毎回振り付け少ないんでしょ?」

文香「なるほど…… 配慮があったのですね……」

千奈美(大事にされているのか、逆にそこを期待していないからなのか)
403 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/07/31(金) 19:26:11.40 ID:pA5QxgiL0

――――

千奈美「おつかれー。新宿辺り寄ってく?」

文香「書店に、寄らせていただけると」

千奈美「いいわよ。私もCD見てこ。……初めてのCDって、何枚くらい買った?」

文香「……? 事務所から貰いましたから、買っていませんが……」

千奈美「うぬぬ」

文香「……そもそも、お店に何枚か並べているのではないですか?」

千奈美「今回は置いてない。チャートのこともあるし、あとはプロデューサー様の意向ね」

文香「そうでしたか…… 何かあるのでしょうか、投票のこととか」

千奈美「不正なんてやりようがないわよ、レコードショップ行けば買えるもの。単純に流通の作法らしいわ」
404 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/07/31(金) 19:27:04.22 ID:pA5QxgiL0

文香「なるほど。……メイク、直したので。行けます」

千奈美「はーい。……え、その帽子」

文香「はい」

千奈美「日除けにしたってちょっと無いわ。それじゃお金だけあるオバサンよ」

文香「えっ…」

千奈美「どうせ新宿ついたら地下しか通らないから、帽子なしでいこう。駅まではタクシーね」

文香「その、顔隠すように、と言われて…」

千奈美「騒ぎにならなきゃいいんでしょ」
405 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/07/31(金) 19:27:58.45 ID:pA5QxgiL0

――――

文香「…視線を感じるのですが…」

千奈美「そりゃまあ、顔出してるからね。正直言うと、多分気付いてる人ちらほらいる」

文香「!?」

千奈美「でも堂々としてたら、あんまり声掛けてくる人なんていないものよ。高橋さん見てて分かった」

文香「そ、そういうもの、でしょうか」

千奈美「それより、マキシのワンピにチューリップハットなんて幼稚園児みたいな服装でバレるほうがキツい」

文香「……うぅ」

千奈美「気付いちゃったら、それがその人にとっての『いちばん近くで見た鷺沢文香』になるもの。それがダサい恰好してたらどう?」

文香「……それは、少し…… 申し訳ない、気分です」

千奈美「演じたり、ステージみたいなメイクしたりは必要ないと思うけど、ね」

文香「服は…… 一人暮らしを始めるまで、親と一緒にしか買っていなかったもので……」

千奈美「高校時代に何してたの!? ……本屋のバイトか」

文香「はい… ファッションには、興味を向けていませんでしたね…」

千奈美「まあ、今はさ。スタイリストさんにも聴けるでしょ。マネージャーさんとか音葉とかも」

文香「……善処します」
406 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/07/31(金) 19:28:38.79 ID:pA5QxgiL0

――――

千奈美「おぉ、コーナー出来てる。サイレントウィンドも平積みじゃない、POPも」

文香「あまり、現場見に来たことないので…… 気恥ずかしい、ですね」

   『サイレントウィンド 3rdCD 発売中!』

   『ドラマ「幻想レギオン」新OP “フラッシュバック”』

   『2作目から一転、強烈な疾走感のロックチューンで登場!』

   『二人のハーモニーは更に深みを増して、聴き応えも抜群!』
407 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/07/31(金) 19:30:52.07 ID:pA5QxgiL0

文香「伏せておきましょう… SSS、随分売れてるみたいですね」

   『Summer Star Stories 4作同時発売中! 週間チャート 全作TOP10入り!』

   『プロジェクト:シンデレラガールズがこの夏繰り出したのは、ユニットミックスアルバム』

   『Vega  高垣楓、D.E.W.、他二組』

   『Altair  ニュージェネレーションズ、めもりあ☆、他二組』

   『Antares  双葉杏、ダークイルミネイト、他二組』

   『Deneb  142s、Pinky×Pinky、他二組』

   『貴方は誰押し? アルバム参加メンバー選抜の投票期間は来月まで!』

408 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/07/31(金) 19:45:52.01 ID:pA5QxgiL0

文香「…そういえば、双葉さんばかりです」

千奈美「ダークイルミ、まだ高校生だからね。あぁ、でもインタビューとかあったな。いいこと言ってたわー」

文香「パラッとは見たのですが…」

千奈美「意訳すると『これまで自分たちの一方的な表現を受け入れてもらった分、ちゃんとファンの皆さんの顔を見て応えたい』みたいな」

文香「……反省します。少しだけ」

千奈美「反省も分かるけど、それだけじゃなくて…… 大事なのは何を見せたいか、何を表現したいか、どういう自分になりたいか、じゃない?」

文香「……」

千奈美「ほぼ請け売りだけど」
409 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/07/31(金) 19:46:45.74 ID:pA5QxgiL0

――――

千奈美「お疲れ様」

アヤ「おう、お帰り」

千奈美「休憩中?」

志保「お客さんひと段落したから、ディナータイムの前にね」

千奈美「フロアは」

アヤ「バイト」

志保「あ、お客さん来た。三名様と二名様」

アヤ「うおー。いいや、アタシ出る。志保それ食ってからでいいよ。千奈美は…… シャワー浴びるよな。18からキッチン入れる?」

千奈美「2時間もいらない」
410 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/07/31(金) 19:47:32.64 ID:pA5QxgiL0

アヤ「んじゃ様子見てよろしく」

志保「よろしくねーっ。千奈美ちゃんゼリーとシューアイスのどっちにする?」

千奈美「高そうなほう」

志保「はい、ゼリー。所長が自治会の役員さんから貰ったって」

千奈美「いいじゃない、美味しそう。いただきまーす」

志保「さすがにスーパーで88円のゼリーとは違うよね」

千奈美「ところで、なんでもらったの?」

志保「さっきメッセージ送ったよ」

千奈美「見てなかった。何々」
411 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/07/31(金) 19:48:16.83 ID:pA5QxgiL0



『自治会の夏祭りでステージの依頼が来たよー くわしくは業後だって!』


412 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/07/31(金) 19:49:00.70 ID:pA5QxgiL0

志保「自治会なので、ノーギャラです♪」

千奈美「……いいのかな、それ」

志保「贈り物受け取った時点で断れないやつだよね」

千奈美「いいのかな、それ!」

志保「いいんじゃない? 地域貢献大事だよ。イベントありの飲食店なんて、ご近所と仲良くしないと白い眼で見られちゃう」

千奈美「実体験?」

志保「…と、思います♪ 開業前に、中央事務局のコンサルタントさんっていうのかな、相談してくれる人から話聴いたの」

千奈美「ふぅん。所長がゴーサイン出したならね、いいけど。実際、事務局への申請どうなるんだろう、ノーギャラって」

志保「さあ…… その辺の手配は木場さん任せ?」

千奈美「ま、ガッツリ絞ってキメようじゃない」

志保「え、絞るの……?」

千奈美「夏は代謝落ちるから、油断すると体脂肪増えるわよ?」

志保「あーそれは聞きたくない情報です! 頑張ろうね千奈美ちゃん!」
413 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/07/31(金) 19:49:50.03 ID:pA5QxgiL0

――――

真奈美「ん。はい、それじゃあ。明日送るよ。おやすみ」

アヤ「お疲れ様ーっす。レジと伝票おねーっす。…と、電話?」

真奈美「終わったところだ。そっちもお疲れ様。晩御飯はどうした? 夏祭りの話だけしておきたいんだが」

志保「途中で軽く食べてます」

千奈美「私はキッチンだったから結構食べちゃったかな。仕込んだ分に手付ければ、すぐ晩御飯に出来ますよ」

真奈美「ふむ。それならファミレスでいいか。レジ締めしてるから、順番にシャワー浴びてきたまえ」

千奈美「私最初ね」

志保「はーい。冷しゃぶサラダと60cmタワーパフェかなー」

アヤ「絞るっつって…… いや、サラダだからセーフなのか?」

真奈美「まあ、アウトかセーフなら、アウトかな」

414 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/07/31(金) 19:55:14.66 ID:pA5QxgiL0

――――

6月9日は小室千奈美、8月8日は木場真奈美の誕生日です。
ごめん、千奈美。

レギュラーはアヤ志保千奈美です。
準レギュラーに木場さん。
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/31(金) 19:59:38.30 ID:kQ1d/aZ9O
乙乙
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/31(金) 20:04:28.74 ID:ATNwljziO
乙です
このスレのおかげでアヤ好きになって全種集めた
417 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/07/31(金) 20:25:07.05 ID:JPUfL5WbO
>>407の次、2レス抜けてます。
慌てて投稿するものではありませんね。




文香「他二組……」

千奈美「ま、ここからよ」

文香「……もう持ってるのに、買われるんですか」

千奈美「陳列見ちゃうと、つい、ね。文香もいる?」

文香「先々週に、写メ、送ったと思いましたが……」

千奈美「フラゲ報告ね、見た見た。わざわざありがと。で、おかわりいる? アンタレスだけでも」

文香「先に、行きますよ……?」


418 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/07/31(金) 20:25:42.69 ID:JPUfL5WbO

————

文香「幻レギ…クランクアップだと、伺いました」

千奈美「こないだ追加の歌シーンとナレ録って終わり。いやー、楽しかったわよ」

文香「評判も、上々のようで…… 最終回、楽しみです」

千奈美「打ち上げで見られる気がする」

文香「参加できるよう、マネージャーには、調整をお願いしています」

千奈美「ガールズ、私と大和さんだけだから、来てくれると助かるわね」

文香「……千奈美さんの、最近のお仕事は」

千奈美「アルバムのプロモが何回かあるかな。生配信とかラジオとかだけどね、地上波は双葉杏ばっかり」

>>408
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/31(月) 12:40:50.69 ID:yIKSl3HaO
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:36:04.58 ID:cMhO/F1S0
――――

  「ご注文承りました。少々お待ちください」

真奈美「はい、よろしく」

志保「で、夏祭りですよ、夏祭り♪ ステージやるなら、出店は厳しいですね」

真奈美「まあ、そうなる」

千奈美「ステージ、これ駅前通りの入り口ですか?」

真奈美「そうだ。当日は車両通行止めで、14時と19時にやらせてもらえる」

アヤ「でも、ギャラはないんですよね」

真奈美「……中央通すとギャラ高くなるからな。地域貢献というやつだ」

アヤ「嫌とは言わないすよ、ステージ自体は好きだし。嫌じゃないけど……」

千奈美「また焼肉?」

アヤ「また、って! でもまあ、何か美味しいものくらい食べたくない?」

志保「じゃあお寿司でいいです」
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:36:30.40 ID:cMhO/F1S0

真奈美「“で”じゃないだろ。あー、駅向こうのフレンチでどうだ」

千奈美「行ったことないです」

アヤ「すげー高いんですよね。前に誰かが行ったって言ってたな…」

真奈美「コースのみ、というところで推して知るべし、だ。紹介で色々口利きしてもらえるんだとさ」

志保「じゃあフレンチで… じゃなかった、フレンチにしたいです♪」

千奈美「なんか、その…… 女子会みたいね?」

志保「違うの?」

アヤ「違…いや違わない? ……なんか反応し辛い……」

真奈美「キミ等なぁ、アイドルなんだぞ」

千奈美「いついかなる時もアイドルですよ。注文だっていかにもそれらしく」

アヤ「ヒレカツ御膳は、アイドルらしいメシなの…?」

千奈美「チャーハンに唐揚げ6個付けるよりは女子っぽいでしょ」
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:37:01.40 ID:cMhO/F1S0

――――

志保「お先にいただきまーす」

アヤ「あいよー。あぁ、さっきのステージなんですけど。あれサイズうちの店とだいたい同じですよね」

真奈美「そうだな、大差ない。音響はまあ、お察しの通りだ。出し物用のレンタルだし、そもそも野外だからな…」

千奈美「転がし四つ付いてるだけでも御の字じゃない?」

志保「んぐんぐ」

アヤ「飲み込んでから喋れよ…… 耳が何だって? イヤモニ欲しいって話?」

志保「ん」

真奈美「あんまりやりたくないんだが……うちから持っていって飛ばすか」
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:37:41.06 ID:cMhO/F1S0

千奈美「やりたくないっていうのは?」

真奈美「店の機材に合わせてあるから、後が少しばかり面倒なんだよ。屋外で使うことを基本的に想定してないしな」

アヤ「……声入りの音源作って、リップシンクでダンスだけ、って手もありますけど」

真奈美「それ、やりたいか?」

志保「んーん」

アヤ「歌わないのはちょっと。まあ、ポリシーとか、プライドとかの問題だよな」

志保「ん。んぐ。……歌なしじゃ、所長の方針に反すると思いまーす♪」

千奈美「ま、音響の件は追々ですね。初のオリジナル歌えるわけですし、できるだけいい形でいきたい」
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:38:10.23 ID:cMhO/F1S0

――――

伊吹『いーじゃん、夏祭り! アタシもいくつか仕事あるよー』

アヤ「マジかよ。どんなの?」

伊吹『まあ普通に取材だよね。踊り? ダンス? のパレードとかあるから、ゲスト参加もするよ。花火大会も行く』

アヤ「仕事で?」

伊吹『この流れでプライベートの話してどーすんの』

アヤ「そらそうだ」

伊吹『プライベートはねー、ない!』

アヤ「いや、ないってことないだろ。……ないだろ?」
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:38:45.84 ID:cMhO/F1S0

伊吹『アイドルと店員と学生兼ねてるアンタたちほどじゃないけど、忙しいよ』

アヤ「うっそだー」

伊吹『ゴメン、ウソじゃないけどちょっと盛った。単純に休みが地元の連中と合わなくて、遊ぶ予定があんまり入らない』

アヤ「うち遊び来れば?」

伊吹『んじゃ明後日』

アヤ「はえーよ!! 多分大丈夫だけど」

伊吹『櫂とか朋とか来ないかなあ』

アヤ「好きにしてくれ。決まったら電話……いやメッセかメールで残してくれたほうがいいや」

伊吹『はーい』
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:39:30.65 ID:cMhO/F1S0

――――

To:桐野(グラジオラス) つかまえた [櫂だけあいてた 夕方合流できそう]

To:小松伊吹 Re:つかまえた [了解 朋来ないのか]

To:桐野(グラジオラス) なんかね [木場さんと話したいことあるけど無理とか]

To:小松伊吹 Re:なんかね [へー 夕方なら私は店 誰かは家にいるかも]

To:桐野(グラジオラス) ひさしぶりに [お店お邪魔するかも 買い物次第かな]

To:小松伊吹 Re:ひさしぶりに [そっか あとは流れで]
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:40:13.94 ID:cMhO/F1S0

――――

千奈美「いいんだけどさ。……ヒマね、アンタたち」

櫂「ほらー、この言い方だよ、せっかくお土産あるのに!」

志保「わー、お土産ー…… っ、神戸チョコとか、これこっちのスーパーでも売ってるやつだー!?」

伊吹「大阪限定品やないんかーい! って?」

櫂「いい! いいよーノッてくれたね伊吹ちゃん!」

志保「あ、ちゃんと下にあった。しかもたくさん。あとでコーヒー淹れますね♪」

櫂「鼻眼鏡とかも入れといたほうがよかった?」

千奈美「いやいや、おかしいでしょ。ところで、帰ってくるの早くない? 学校休みでしょ」

櫂「まあ、お墓参りはできたし、いいんだよ! 明日から仕事だしね!」

志保「え、明日? 大丈夫?」

櫂「夕方から打ち合わせなだけだから平気平気! 海でグラビアだよ? 楽しみでさ!」

伊吹「じゃ、荷物置いたらご飯行こうよ」
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:40:42.23 ID:cMhO/F1S0

――――

アヤ「いらっしゃいませ。あれ、来たんだ」

櫂「4名で予約してた西島です」

アヤ「してないよね?」

櫂「してないよ」

アヤ「そちらのテーブルお二つお使いください」

伊吹「いえーい」

志保「こっちでくっつけておくから大丈夫だよ」

アヤ「任せた。……それと、あちらのお客さん。差し入れもらった」

千奈美「ん。ありがとうございます、ごゆっくり」

志保「あら、いつもありがとうございまーす、いらっしゃいませー♪」

伊吹「…本当、マメな店員さんだよね」

志保「……お客様あっての、ファンあっての私たちですから♪」
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:42:09.53 ID:cMhO/F1S0

――――

伊吹「ただいまー」

櫂「ただいまー。…ただいま? まいいか。お酒、冷蔵庫入れていい?」

志保「お願いします♪」

櫂「はーい…… うぉわっ!?」

千奈美「何」

櫂「え、これ納豆多過ぎない!?」

志保「所長の言い付けで、家でお米食べるときは出来る限り納豆も食べなさいって……」

千奈美「身体作りの一環だってさ。常に備蓄してる。伊吹の家と同じくらいじゃない?」

伊吹「茨城県民馬鹿にしてるよね!?」

志保「だいたい毎日食べてるって言ってなかった?」

伊吹「…まあ、そうだけど。母親いないと、納豆たまごご飯だけで朝済ませたりするけど」
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:43:22.18 ID:cMhO/F1S0

櫂「じゃあ、明日の朝ごはん?」

千奈美「別にいいけど。櫂、納豆平気なの?」

櫂「おっ、大阪への偏見かな? 中学の合宿で克服した!」

伊吹「あー、水泳?」

櫂「そう! 肉に魚に納豆にプロテイン」

志保「うっ、食事制限……!?」

千奈美「トラウマスイッチが」

志保「うぅっ、集中練習時はお手製お菓子1個…… コンビニスイーツは一週間に1個……」

伊吹「…いつもスイーツ複数食べてて、そのスタイル維持できる志保が不思議でならないよ…」

志保「ふふん。やっぱりね、アイドルとしての責任がありますから」

千奈美「キリッとして言うけど、それサプリと所長のトレーニングメニューのおかげじゃないの」

櫂「あたしも、メニュー今のままでいいか明日聴いてみよ……」
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:44:51.96 ID:cMhO/F1S0

――――

櫂「そーいえばさ、お店でご飯食べたときに、ファン? お客さんに挨拶してたじゃない」

千奈美「うん」

櫂「いつもなの?」

志保「接客業ですから、多少は?」

千奈美「……アンタレスをね、5枚だったかな。買ってくれてたの」

伊吹「SSS? 5枚?」

千奈美「そう。他は1枚ずつで。写メをツイッターに上げてるの見ちゃって」

伊吹「実は、杏ちゃんとかダークイルミとか目当てだったりして」

志保「それなら、グラジオラス推しを公言しながらは上げないと思うんだよね」

櫂「なるほどねー、嬉しい話だ。…でも距離感には気をつけてよ?」

伊吹「あれだ。アイドルとしての責任」

千奈美「……それは、確かに」

志保「……意識、薄い、かも?」
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:45:25.15 ID:cMhO/F1S0

――――

志保「……家でね、そういう話してた。あ、そっちの荷物持つよ」

アヤ「ありがとー。……そうは言っても、アタシたちこれで二年やってきたぜ」

志保「そのうち、お店で、ファンの皆さんの相手、できなくなるのかな」

アヤ「……もっと増えなきゃ、わかんないことだよ」

志保「……わかるときが来るのかな?」

アヤ「それは、仕事とファンを引っ張ってこないと」

志保「やっぱり売り込みとフリー仕事かな…… 最近営業さんとか企画さんとかに挨拶できてないよね」

アヤ「だいたい、所長名指しの仕事を交渉して振ってもらってるって時点でな」

志保「それは… そうなんだけど」
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:45:51.22 ID:cMhO/F1S0

アヤ「アンタレスに千奈美入れるのも、かなり無理やり突っ込んだみたいだし」

志保「……ネットの評判見た?」

アヤ「アンタレス? まあ、一応」

志保「そもそも千奈美ちゃん知ってる人が全然いない」

アヤ「……でも、覚悟してたよりは全然叩かれてないよ。割と好意的だろ、あれ」

志保「思ってたよりは、聴いてもらえてた」

アヤ「千奈美と木場さん、だいぶ詰めてたからな」

志保「……夏祭りで、ファン、増やそう」

アヤ「身近なところから、だな」
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/12(土) 04:48:35.03 ID:cMhO/F1S0

志保「出来ることをね」

アヤ「一歩ずつ、と」

志保「ねえ、アヤちゃん」

アヤ「……うん?」

志保「目指す夢は?」

アヤ「……はは、今言うの」

志保「こらっ」

アヤ「……トップアイドル」
435 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/09/12(土) 04:51:40.07 ID:cMhO/F1S0

――――

なんか忘れてると思ったら鳥つけてなかった。ここでつける。

レギュラーはアヤ志保千奈美です。
準レギュラーに木場さん。

ゲストを含めてもデレステに出てる人少なすぎて、ちょっと申し訳ない。
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/16(水) 21:07:21.62 ID:oAhNOFi5o
乙乙
この3人デレステで組ませるのを諦めない
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/16(金) 01:28:17.25 ID:CN4LEhyeo
438 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/10/19(月) 02:03:48.60 ID:znJ4uUJ20
――――

   『シンデレラの無銭イベうめえwww昼からビールうめえwwwww』

   『イベ乞食うぜえ』

   『ビールもタダ?』

   『無銭なんてあったん?』

   『ビールは無銭じゃねーし 実家の近くの夏祭りで30分くらいのミニステージ』

   『30分…4曲くらいかな?』

   『誰くんの?』

   『小室千奈美と桐野アヤと槙原志保』

   『確かにギャラ安そうな… ちなみんの生歌聴けるなら行きたい… 行きたくない?』

439 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2015/10/19(月) 02:04:20.68 ID:znJ4uUJ20

   『は? 微妙くない?? 知らんやついるんだが???』

   『ぐぐった グラジオラスやんけ! あの店ガチでアイドル働いてたの(震え声)』

   『知らんとか病むわー しね くんな』

   『アンタレスに入ってるよ 結構ガチよ』

   『持ってるし クロックワークボイジャーやろ 何時からよ』

   『14時と19時。なんか保育園のお遊戯とかダンスサークルのパフォとか地元めいた中に混じってる』

   『通報』

   『余裕やな よっしゃいくわ ライト赤青黄?』

   『しね くんな 色はあってる 普通の夏祭りだからガチ勢やっていいのかわからん。一応持って来たけど』

   『地元ファンいないの?』

   『いるっぽいけど、地元だから紛れててどんくらいかはわかんね』
440 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:05:01.37 ID:znJ4uUJ20

――――

アヤ「お、地元の常連さん以外も来そうだぞ。エゴサ引っ掛かった」

志保「ほんとだー。宣伝しなくても来る人いるんだね、やっぱり」

椿「そういえば、ツイッターにもblogにも告知してなかったですね」

千奈美「地域の人へのご挨拶みたいなものだから。仕事じゃなくて悪いけど、今日はよろしくね」

椿「気にしないでください、練習も兼ねさせてもらうわけですし」
441 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:06:33.05 ID:znJ4uUJ20

――――

志保「はい、みなさんこんにちはーっ♪ プロジェクト:シンデレラガールズ、グラジオラスの槙原志保です♪」

アヤ「桐野アヤです」

千奈美「小室千奈美です」

志保「今日はよろしくおねがいしまーす♪ と、言っても、突然制服来たウェイトレスが出てきて何だかわからないお客様も多いと思いますので!」

アヤ「はい。軽く説明を。私たち、駅前通り商店街の奥にあります『カフェ・グラジオラス』の店員なんですが、兼業アイドルでもあります」

志保「高垣楓さん、ニュージェネレーションズやD.E.W.、双葉杏さんなんかはご存知の方も多いかと思います、シンデレラガールズの一員、末席に付かせてもらって…… はーいありがとうございまーす♪」

アヤ「最近はグラビアとか、あとはシンデレラガールズチャンネルのバラエティにたまに出てます。良かったら入会してくださいな。あとは、こちらの千奈美さんが先日、ガールズの企画アルバムに参加しましたね」

千奈美「はーい。SSSのアンタレスで、作詞作曲からやらせていただきました」

志保「おおっ。わざわざ持ってきてくれた方、結構いますね、ありがたーい! で、千奈美ちゃん、他には?」

千奈美「そうですね、地上波のドラマに出てます。もう少しで終わっちゃうんですが『幻想レギオン』でフレイヤ役を演ってます」

志保「あれドラマっていうくくりなの? ドラマバラエティ? ……おぉー、見てくれてる方もいらっしゃいますねー」

千奈美「深夜帯としてはかなり評判いただいてて。最終回前に全話配信があるので、そちらもよろしくお願いします」

アヤ「ま、あんまり宣伝で引っ張ってもしょうがないので、この辺で一曲…… はい、準備OKだって」

志保「はいっ、では一曲目は『お願い!シンデレラ』」
442 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:07:27.67 ID:znJ4uUJ20

――――

椿(結構お客さん見てくれてますね)

椿(……あの辺がシンデレラガールズのファンかしら)

椿(コール入れないのは、周り見てくれてるんでしょうか……?)



椿(やっぱり、ソロ締めるのは千奈美ちゃんなんですね。歌上手いですしね)

椿(でも、振り付け大きいところになるとアヤちゃんのほうが歌えてる、かな?)

椿(志保ちゃん、いっつもニコニコしてる。凄いなあ、撮ったのほとんど笑顔だ)
443 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:08:03.11 ID:znJ4uUJ20

――――

アヤ「ありがとうございまーす、一曲目はお願い!シンデレラ、でした」

志保「……」

アヤ「ちょっと志保、なに真っ先に水飲んでんだよ!」

志保「暑いもん! はいアヤちゃんもどうぞ」

千奈美「観客の皆さんも、水分欠かさないでくださいねー。で、今日のこのお祭りなんですが、通り沿いの出店は、地元のお店が多く出てます。どちらか寄られました?」

志保「いっぱい立ち寄って、美味しいものたくさん覚えて帰ってくださいね♪」

千奈美「私たちのお店、グラジオラスも出してますので、寄って行ってくださったら嬉しいです。それじゃ、次ね。二人OK?」

アヤ「OK」

志保「はーい♪」

千奈美「それでは、ここは桐野アヤと槙原志保の二人がお送りします。『We're the friends!』」
444 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:08:48.87 ID:znJ4uUJ20

――――

   『無料のミニライブなのに厄介いないとか、神イベかな?』

   『セトリは、おねシン(三人)、We're the Friends(桐野、槙原)、Clockwork Voyager(小室)、Orange Sapphire(三人)』

   『ズッ友さん! 好きなのにライブやフェスでは影が薄いズッ友さんじゃないか!』

   『三曲目がわからん。SSSに入ってるやつか。あれ生で歌ったの?』

   『夏祭りの野外ステージとかいうお察し環境だけど歌はよかったよ』

   『はーーー夜の部行くかーーーーー』
445 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:09:26.83 ID:znJ4uUJ20

――――

あい「お疲れ様。なかなか盛り上がったようだね」

真奈美「なんだ、客席にいたのか? お早いお着きで」

こずえ「みてたよ。アイスカフェオレ、おいしかったー…」

あい「出店も見てきたよ、揚げバナナを頂いてきた。中々の集客だったね」

真奈美「そりゃどうも。……夜まで品物足りるんだろうか…」

こずえ「アヤたちは?」

真奈美「あの子たちなら店に戻ってシャワー浴びてる。もうすぐ来るぞ」

こずえ「……今日はもう、かわいいふく、きない…?」

真奈美「私は裏方だからな。三人用の着替えはここにあるが」

こずえ「よかった。…のど乾いたから、見てくるね」
446 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:10:11.04 ID:znJ4uUJ20

あい「君ならTシャツにジーンズでもステージ映えするんじゃないかな」

真奈美「裏方がいればな」

あい「……写真も、撮ってたのサードアイの江上君だろう」

真奈美「練習のていで来てもらった。ノーギャラだとカメラマン雇うには厳しいしな」

あい「……もう、今の体制では限界じゃないのかい。所長と三人だけで何でも賄うのは、現実的ではないよ」

真奈美「なんでもではないぞ、できることだけだ。礼子さんは夜か?」

あい「そうだね。まあ、19時には間に合うだろうさ」

こずえ「…のみもの、買ってきた。二人にも」

あい「…これは、何だい」

こずえ「炭酸とコーヒー、どっちも好き、だよね?」

真奈美「よくそんなもの売ってたな… もちろん、私にスポドリは正解だ」

こずえ「きょう暑いから。今飲んでるそれも、もうすぐ空っぽになりそうだし」

真奈美「助かるよ。…よく見てるな」

あい「何だい、これは…」
447 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:12:46.13 ID:znJ4uUJ20

――――

 "旅の終わりなんて まだ見えないけれど キラキラのミライに たどり着く日が来る"

――――
448 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:13:28.39 ID:znJ4uUJ20

――――

千奈美「小室千奈美で『Clockwork Voyager』でした。ありがとうございました」

志保「はーいどうもー、拍手ありがとうございます♪」

アヤ「お疲れ様ー。や、ありがたいよねー、お客さんの拍手」

千奈美「いやもう、本当に。特にこの曲は、お店のイベントでは歌ってるんですが、それ以外だとほとんど機会がないので」

アヤ「アタシたちのこと初めて見る人も多いからね。皆さん、楽しんでもらえてますかー?」

志保「わ、反応いいですよ♪ ぜひぜひ、私たちのこと、少しでも覚えて帰ってくださいね♪」

千奈美「でも、まずはこのお祭りですか。すっかり日も落ちて、一部の人はこれから夏祭り本番だったりしますよね?」

志保「はーいお返事ありがとうございまーす♪ ビールとかお酒呑んでる人、いっぱいいますね! 楽しみましょーう!」

アヤ「アタシたちも残り一曲、ばっちり楽しんでいきたいと思いますんで、よろしくお願いします! では『Orange Sapphire』!」
449 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:14:19.68 ID:znJ4uUJ20

――――

こずえ「おつかれさまー。はい、タオル」

アヤ「ステージから見えたよ。来てくれてありがと」

こずえ「あんまりライトはなかったけど、キラキラだった?」

アヤ「そうだな、お客さんの笑顔も見えたよ」

礼子「おーつかれーかんぱぁーーーい」

千奈美「うわっ礼子さんもう出来上がってる!」

あい「いいステージだったね」

志保「わ、ありがとうございます! もっと歌いたかったなぁ♪」

450 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:15:07.25 ID:znJ4uUJ20

真奈美「お疲れ様。…どうする、店で休んでてもいいが」

アヤ「礼子さんたちは?」

礼子「少し休憩したらお店行くわよー」

真奈美「私は撤収の手伝いがあるから、東郷さんたちと一緒に店に行っててくれるか」

志保「はぁーい、わかりました。椿ちゃんまだかな?」

千奈美「うち来るか帰るか、聴いておきますね」

真奈美「よろしく」
451 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:15:40.50 ID:znJ4uUJ20

――――

椿「お疲れ様です、こっちも終わりましたよ」

志保「お疲れ様でした♪ どうだった、練習になりました?」

椿「はい、いい笑顔、撮れたと思います」

千奈美「それは何より。これからお店で軽く打ち上げだけど、まあ泊ってもいいし帰っても」

椿「写真見てもらいたいし、とりあえず行きます。いろいろ聞きたいこともあるから」

千奈美「それじゃ、道すがら出店見て帰りましょ。礼子さんがケバブ買っておいてって言ってたわね」

椿「アヤさんと東郷さんは?」

志保「先に戻ってるよ。飲み物は… まあお店の飲んでもいいし、流れで?」
452 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:18:39.44 ID:znJ4uUJ20

――――

礼子「真奈美ぃ」

真奈美「はい」

礼子「盛り上がったわね」

真奈美「そうですね、思っていた以上に」

礼子「次どんなハコでやるのよー教えなさいよー」

真奈美「まだ考えてませんよ、定例ライブはありますが」

礼子「嘘でしょー考えくらいあるでしょー例えばー?」

真奈美「……せいぜい、区の小ホールくらいじゃあないですか。200程度かな」

礼子「シリーズ4本で10万以上売れたアルバムに参加してるのに?」

真奈美「あの子だけの力ではないですからね」

礼子「……真奈美ぃ」

真奈美「はい」

礼子「……あの子たち頂戴よ」

真奈美「またそういうことを」

礼子「じゃあ訂正。四人頂戴」

真奈美「……酔って絡むの、やめましょう」
453 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2015/10/19(月) 02:20:48.03 ID:znJ4uUJ20
――――

レギュラーはアヤ志保千奈美です。
準レギュラーに木場さん。

デレアニを自主的に再放送する日々が続いてます。
まだ終わってないんだ。
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/23(金) 12:44:28.42 ID:OUTkfsI1O
デレステは将来的に全員投入してくれそうな勢いあるから好き
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/16(月) 21:49:04.22 ID:6p0sdn5AO
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/14(月) 03:09:38.39 ID:yLDuD5JGO
たまに読み返している
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/19(土) 16:22:26.61 ID:Ynz7/EYso
458 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/01/01(金) 02:26:27.68 ID:sITBQV5aO
明けまして今年は完結させたいです。
459 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:51:38.86 ID:cYdimuaZ0
真奈美「アルバム選抜投票の結果は…… まあ、知ってるか」

千奈美「結果には納得してます」

志保「でも所長、曲的には負けてないですよね?」

アヤ「厳しいよなぁ… 先月なんて、D.E.W.とPinky×Pinky、テレビにすげー出てたし」

千奈美「止めて」

アヤ「う……」

真奈美「露出の差は、事務所の力もあるから、主に私の責任だ。だが、それを投票に繋げたのは、彼女たち自身の功績だ」

志保「うぐ」

千奈美「色んな形がある。評価を集めたのが選抜上位7組だった。私はそれに敵わなかった。この結果を次の機会に生かそう。それだけの話」

志保「うぅう… 千奈美ちゃぁん……!」

アヤ「……ゴメン。そうだな、考えすぎるより、前見ないとな」
460 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:52:20.82 ID:cYdimuaZ0

真奈美「ん。その話はこれで終わりだ。で、今千奈美が言った『次の機会』だ。千奈美とアヤにオファーが来た」

千奈美「はい」

アヤ「お?」

真奈美「ジューシーホーリーナイトパーティ。ジューシーパーティさんのところの、クリスマス合わせのライブだ」

アヤ「お、開催決まったんだ」

真奈美「正式告知は来月かな。うち以外にもゲストの交渉があるから、それが粗方決まったら、だと」

志保「やったねー二人とも! ハコ決まったんですね。どのくらいなんですか?」

真奈美「……プリンセスセントラルアリーナ」

千奈美「えっ」
461 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:52:57.08 ID:cYdimuaZ0
アヤ「え、でかくないですか?」

志保「……5000人超えてません?」

真奈美「座席フルに出すと12,142席」

志保「ひ」

アヤ「……」

真奈美「それだとステージほとんど組まないことになるから、実際にはステージや機材の配置なんかで変わるが。……まあ、うん」

アヤ「でか、い……」

真奈美「この前の『シンデレラガールズ:スーパーサマーライブ』が、2Daysで述べ20000人超えだな」

千奈美「にまんにん……」

アヤ「にまんにん……」
462 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:53:49.82 ID:cYdimuaZ0
真奈美「アヤはサポートメンバーになるかゲストになるかは未定。少なくとも遊佐こずえの持ち歌には入る」

アヤ「こずえ、今二曲持ってて来月一曲増えるんだけど……!?」

志保「大丈夫だよ、一万人規模なら一応立ったことあるでしょ、フェスとか!」

アヤ「いやいや、屋外フェスで賑やかしみたいな扱いとワケが違うぞ…… い、今から緊張してきた……」

真奈美「千奈美はゲスト扱いで、ビューティーアリュールの一人としての出演だが……」

千奈美「…だが?」

真奈美「先方の。まあ礼子さんだな、強い要望があった。クロックワークボイジャーはソロでフル尺入れたい、と」

志保「凄い!! 大抜擢じゃないですか!?」
463 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:54:20.53 ID:cYdimuaZ0
千奈美「……それ、いいんですか?」

真奈美「仮のセトリ組んでて、入れたくなったらしい」

アヤ「おぉ……」

志保「……千奈美ちゃん、大丈夫?」

千奈美「……」

志保「千奈美ちゃん?」

千奈美「……えぇ、うん。余裕よ、余裕」

真奈美「怖気づいたか」

千奈美「怖気…… いや、まだ、ですね。実感がないです」

真奈美「無理もない」

464 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:54:51.57 ID:cYdimuaZ0
千奈美「そもそも高橋さんには、クロボのステージング、まだちゃんと見てもらったとは思えてなくて」

志保「夏祭りで見てもらったでしょ?」

真奈美「定期ライブとプロモーションイベントで歌ったときの動画は見せたぞ」

千奈美「……うーん」

アヤ「……逆かも。『ちゃんと見たい』から呼ばれたんじゃねえの?」

志保「ビューティーアリュールのこともあるから、どうせ呼ぶならやらせよう、的な?」

アヤ「礼子さん、いっつも欲張るからな」

真奈美「なるほど、有り得る。勿論、そういう浅いところだけでもなく、思惑はあるんだろうがね」

千奈美「思惑とかは、私にはいいです。じゃ、改めて。やらせてください」

真奈美「了解した。さて、所長としては、そうだな…… 月並みだが、これから大変になるぞ。頑張っていこう」
465 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:55:41.40 ID:cYdimuaZ0
千奈美「楽しめるように、ですね」

アヤ「アウェイ感あるけど…… やるっきゃねーもんなぁ」

千奈美「ファン増やすチャンスじゃない。こんなの、断ったら絶対後悔するわよ」

真奈美「よし、いいぞ。五千人だか一万人だかはまだ分からんが、根こそぎ引っ張ってくるつもりで行ってこい」

志保「そんなに来たら、お客様があふれちゃいますね♪」

アヤ「まあ、リアルな話、外部イベントに出た後って、少し増えるけど」

真奈美「今回は、店の宣伝は流石にできないからな。千奈美を見て覚えてうちの店まで辿り着く、という猛者がいったいどれだけいるのか。ふふ」

千奈美「ステージそのものじゃなくて、お店の存在でプレッシャー掛けるのやめませんか」
466 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:56:08.17 ID:cYdimuaZ0
アヤ「予想できない…… どうなるんだろ?」

志保「アヤちゃん」

アヤ「うん」

志保「考えすぎるより、前を見るんでしょ?」

千奈美「……ホント、私たち志保にフォローされ過ぎね」

真奈美「ところで志保、ライブまで、店のことでいちばん忙しくなるのは君だぞ」

志保「あぁっ、急に前が見えなくなりました!」
467 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:56:43.75 ID:cYdimuaZ0

――――

みく『木場さん』

真奈美「こんな遅くにどうした。寮はもう消灯だろう」

みく『ちょっとだけ、ちょっとだけ相談したいんです』

真奈美「ホーリーナイトパーティーのことかな。確か呼ばれてたな」

みく『……はい。高峯さん。高峯のあさんって、知ってますか』

真奈美「ああ、ジューシーの?」

みく『はい。その高峯さんの要望で、ジューシーパーティーさんから、みくにオファーがあったの』

真奈美「ふむ、そういう経緯なのか」

みく『継続することを前提に、ユニットを組みたい、って』

真奈美「…ほう?」
468 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:57:09.80 ID:cYdimuaZ0
みく『今は、クリスタルステアにマネジメントお願いしてるんですけど』

真奈美「そうだね」

みく『ジューシーパーティーに来てくれ、って』

真奈美「ジューシーの正所属に? いい話じゃないか」

みく『いい話だとは、思うんだけど…… そんな、スパッと乗り換えていいのかな……』

真奈美「それを私に聴くのかい。所属を誘ってた私に」

みく『え、あっ、いや、その…… 木場さんが、いちばん、みくの…… 私の話を聞いてくれたから』

真奈美「……」

みく『せめて、木場さんには話を通さないと、なんか、よくないな、って…… 筋が、通らない? っていうのかな……』
469 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:57:58.87 ID:cYdimuaZ0
真奈美「……まあ、先方には、今まで世話になった礼は言うべきだな」

みく『それはもちろん』

真奈美「それから先は、全く別の話だ。まして、君が世話になっていたのはスケジュール管理だけだろ」

みく『……クリスタルステアさんには、それで、いいかもしれないけど』

真奈美「……私の許可が欲しいのかな」

みく『っ……』

真奈美「大人げないことを言うなら、心配だし、悔しい。結局のところ、事務所の大きさの差なんだな、と思ってるよ」

みく『……それ、は』
470 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:58:47.36 ID:cYdimuaZ0
真奈美「でも、私はアイドル前川みくに期待している一人の人間でもある」

みく『う……』

真奈美「オフィス・グラジオラスの所長としては寂しいところだが、木場真奈美としては応援するよ」

みく『……』

真奈美「私を振るんだから、今以上に活躍してくれ」

みく『木場チャン……』

真奈美「泣くようなことじゃないだろう。今後、いくらでも一緒に仕事をすることはあるんだ」

みく『……うん、うん。みく、頑張るから』

真奈美「親御さんとも、しっかり相談するんだよ」
471 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:59:15.54 ID:cYdimuaZ0

――――

礼子『セトリ、まだ全然仮組みだけど。見た?』

千奈美「はい。四曲ですよね。これなら基本の振りは全部入ってます」

礼子『あれ、ゴキゲンPartyNightやったことある?』

千奈美「定期ライブでやってますね。本番でやったことあるのはBパートだけですけど」

礼子『助かるわ。アヤが入るこずえの新曲二曲、先に振り付けの動画送って宿題にするから。フォローしてやって』

千奈美「見るくらいしかできないですよ」

礼子『それで充分よ、とりあえず動きの流れさえ入れば、後はもうトレーナー任せで』

千奈美「……うぇえ。キツそう」

礼子『キツイでしょうねー。私もう基本的に踊らないんで気楽だわー』
472 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 03:59:41.62 ID:cYdimuaZ0
千奈美「あぁ、膝ですか」

礼子『そうそう。一応負担掛けないように振りを変える、ってのもあるけど、時間的に厳しいし』

千奈美「完治、待ってますから」

礼子『あは、ありがと』

千奈美「社長譲るっていう話はどうなったんです?」

礼子『あれね。結局、もう社長っていったら事務所の方針決めるとこだから、譲れないなーって』

千奈美「欲張りですねえ……」
473 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 04:02:13.02 ID:cYdimuaZ0
礼子『まあ、企画屋とかプロデューサーとか雇うのも手なんだけどさ』

千奈美「まだ自分が決めたい?」

礼子『そうそう。欲張りなのよ』

千奈美「身体には気を付けてくださいね?」

礼子『膝以外は健康よ』

千奈美「本当に、完治、待ってますからね」

礼子『……ありがとう』
474 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/01/02(土) 04:02:53.48 ID:cYdimuaZ0
――――

レギュラーはアヤ志保千奈美です。

自分でもびっくりするくらい書き進められてないけど頑張ります。
もう下向かないって決めたから。
475 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/02(土) 10:04:45.03 ID:18CvEl2GO
きたー!
あけましておめでとうございます、今年も楽しみにしてます!
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/02/06(土) 11:56:23.20 ID:nc/IQl65o
ほ?
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/04(金) 03:25:41.83 ID:1eojzJWxo
匿名保守スレ晒しage やる気ないならHTML依頼どうぞ
■ HTML化依頼スレッド Part39
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456287822/
478 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/04(金) 07:26:56.35 ID:OHKyDYNBo
保守です
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/04(金) 21:35:19.19 ID:v1lG4+1Zo
待ってるぞ
480 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:09:22.66 ID:3HR+IMp00
加蓮「あ、小室さん。と桐野さん」

アヤ「お疲れ。北条さんはお疲れ様?」

加蓮「こっちはアガりでーす」

千奈美「北条さん、今日レッスンあったの?」

加蓮「時間が空いたから、新しいレッスン靴の慣らしがてら、奏とちょっと合わせに来たんだ」

アヤ「あー。ユニット合わせに?」

千奈美「モノクロームリリィ、久しぶりよね」

加蓮「そうだよー。本番前とあと一回しか予定入れられなくてさー。今日はたまたま時間空いたから寄ってみたんだ」

千奈美「じゃあこれから別件」

加蓮「そ。次はトラプリで。んもー、お腹空いたぁー!」

アヤ「靴買うよりメシ食うべきだったのでは……」

千奈美「お疲れ様。気を付けてね」

加蓮「だって奏とダンスするの楽しみだったからお洒落したかったのー! はーいそっちもお疲れー」

481 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:10:51.99 ID:3HR+IMp00

――――

アヤ「トラプリって、トライアドプリズム? だっけ」

千奈美「トライアド“プリムス”、よ。あんたそれSNSとかでやったら大炎上だからね」

アヤ「こえー!! オーバーロードの渋谷凛とやってるユニットだろ」

千奈美「あと、ハヤブサプロの神谷奈緒ね」

アヤ「……あれ、神谷奈緒って確かさっきニュースで見たぞ」

千奈美「え」

アヤ「そうそう、これ。ハヤブサからオバロに移籍だって」

千奈美「……北条さんもジューシーから移籍するのかな」

アヤ「二年やればそういうこともあるだろ」
482 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:11:40.49 ID:3HR+IMp00

――――

奏「聞いてないわね」

千奈美「まあ、そうよね」

奏「一応、ジューシーはオーバーロードと業務提携してるから。敵対的っていうのかしら、突然の引き抜き? みたいなのはないはずよ」

アヤ「本人が言ってたの?」

奏「ちょっと前に、社長が」

アヤ「あ、アテになんねーーー!!?」

千奈美「アンタね…… 礼子さんが聞いたら怒るわよ」

奏「怒るような人かしら?」

千奈美「どっちかっていうと、同意すると思う」

奏「散々な言われようね…… あれでも私尊敬してるんだけどな」

アヤ「あれでも、って」

奏「あれ」

千奈美「……奥? もう来てるの?」
483 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:12:18.84 ID:3HR+IMp00

アヤ「寝てるな」

奏「付き合いで朝方まで呑んでたんですって」

千奈美「レッスンどうするのよ……」

奏「課題は聞いてるんでしょ。東郷さんと高峯さんは、定刻通り来るっていうから平気じゃない?」

アヤ「まあ、そうな。NationBlueとエージェントの合わせ。…北条さんだけ二回なんだ?」

奏「いつものポジションだから大丈夫、とはご本人の弁よ」

千奈美「速水さん、何時までいられるの?」

奏「一応、名目上は20時までになるわね」

アヤ「了解。あいさんと高峯さん、あと北条さん、速水さん、千奈美だろ? Nationならまあ平気か」

奏「エージェント夜を行くは?」

千奈美「自分のところでやったことあるから、多分平気」

アヤ「もらった振り付け、少し新しくなってたな。ま、このくらいならすぐ修正できるんじゃね」
484 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:13:14.15 ID:3HR+IMp00

奏「簡単に言うわね… 加蓮がセンター右だから、代わりよろしくね」

アヤ「あんな可愛くできねーけど、立ち位置とかはまあ心配要らないはず」

奏「小室さん、Day of the futureやるんでしょ? 見たいなあ」

千奈美「アリュール合わせのレッスン見に来れば見られるけど。それか本番?」

アヤ「その前にゲネで見るだろ。何なら、今アタシが合わせてもいいけど」

奏「え、桐野さん、できるの?」

千奈美「え、できるの?」

アヤ「ふふん。千奈美がいない間に志保と二人で覚えた。デイオブだけじゃなくてTRIAL DANCEもできるぜ」

千奈美「TRIAL DANCE…… 貴方どころか私も歌わない曲覚えてどうするのよ……」

奏(……振りのVもらってから一週間経ってないわよね? 一週間足らずで新曲三つ……?)

アヤ「あいさんと高峯さんの手伝いくらいにはなるかなって。あと、ダンス覚えるの最近好きだし」
485 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:13:52.25 ID:3HR+IMp00

のあ「話は聞かせてもらったわ」

あい「その曲でステージに立ちたいなら、私たちを倒すことだな」

アヤ「えっいやそんなつもりは」

のあ「勝者だけが…… 舞台に立つ資格を得る……これもアイドルの宿命……」

アヤ「えっ、えっ」

千奈美「……練習しましょうよ」

あい「私もそう思うよ」

のあ「十全ね」

奏(……私、まだ自分の曲の振り付けでいっぱいいっぱいなのにね。みんな余裕じゃない)
486 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:14:27.00 ID:3HR+IMp00



礼子「うぉあ!?」


487 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:16:01.66 ID:3HR+IMp00

あい「……だ、大丈夫かい。礼子さん」

礼子「……大丈夫じゃない」

のあ「焦燥が見えるわ」

礼子「はい、焦ってます。……奏」

奏「……はい?」

礼子「加蓮が怪我して、今病院行ってる」

奏「は?」

礼子「今電話が来た。トラプリのレッスン中に変に足首ねじったって」

奏「……容体は?」

礼子「本人とは話してないからマネージャーからだけど、とりあえず今は歩けないって」

あい「……ライブは?」

礼子「病院次第。踊れなくても立てるまで回復したら検討、かな。ポジション変えあるかもね」

千奈美「え、じゃあ、練習は……」

礼子「今日はそのまま続けて。蓋開けたら、ライブまでには余裕で治るような軽傷かもでしょ」
488 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:22:22.30 ID:3HR+IMp00

――――

礼子「高橋でー。……うん、そっか、わかった。加蓮は? え、代わる? いやいい……」

加蓮『……礼子さぁん……』

礼子「ん。お疲れ様」

加蓮『骨、なんで、折れ…… 手術、レッスン、できな』

礼子「……ちゃんと治そう。私の膝みたいになったら、ほんと嫌だから」

加蓮『ライブ、ある、っ、レッスン、したい、のに』

礼子「……気持ちは解った。うちのは何とか調整する。加蓮には出てもらう。全部じゃなくても、モノクロとか五人のNationとかは調整する」

加蓮『ごめ、ごめなさっ、……うぅぅっ……うぁあぁっ…… 奏、なんて、言ったら、ぅぅぅ…… 久しぶり、なの、に』

礼子「……奏はもう帰っちゃったから、私からも後で伝えておく。加蓮からはね、日を改めて連絡すればいいから」

加蓮『凛、と、奈緒、ごめん、ね、って…… 両親、も、オバロの、プロデューサーさんとかも』

礼子「そっちもちゃんと話つけるから。大丈夫よ。うん。親御さんにもね、私からもお話するから。……もうすぐ親御さんそっちに着くでしょうから。ゆっくり休みなさい」
489 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:23:11.22 ID:3HR+IMp00

礼子「んおああああああ…… 歩けるまで二か月…… 冗談キツイ……」

アヤ「今めっちゃいい保護者だったのに、切った第一声がそれ!?」

礼子「感情的なところはともかく、理屈上はヤバイのよ。ステージ自体はギリ間に合うけど、ダンス曲やらせるわけにいかないでしょ」

千奈美「……セットリストも変更になりますか?」

礼子「なるわね。とりあえず加蓮はステージ移動なし、ダンスも手の振りだけ、の前提で」

あい「こっちもちょっとした手術だね。ま、対応してみせるさ」

のあ「問題ないわ」

千奈美「うーん、細かい話ですけど、今日だとNationBlueどうします?」

礼子「なんなら私入るわよ。それより曲目足りなくなるかもなのよね…… アヤ、あんたちょっと増やすかも」

アヤ「えっ」
490 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:23:57.50 ID:3HR+IMp00

礼子「……アヤと同じくらいに踊れる子…… うちだと高峯ちゃん?」

のあ「既に背負うものがある私に、これ以上の要求を? 所長が望むのなら、吝かではないが」

礼子「無理でしょ。前川ちゃんとアナスタシアさんのリーディングに専念で」

あい「アヤくんとなら、私が何とかならないこともないが?」

礼子「レッドバラードでやるのは二曲だけって決めてるから却下。……誰か呼ぶかー」

アヤ「えっ……えぇ……?」

千奈美「誰か、今から呼んでそのレベルで踊れる人心当たりあるんですか?」

礼子「今のところ、ない」

あい「むむ……」

礼子「ねーねー、誰かいない?」

千奈美「ざ、雑……!!」
491 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:26:01.12 ID:3HR+IMp00

――――

志保「二人ともおかえりー。お風呂も甘いものもありますよっ♪」

アヤ「……おう……おう」

志保「大変だったよね。せめてリラックスしてね♪」

千奈美「……食べるわよ、アヤ。来月には甘いもの断ちなんだから」

志保「私も食べない! 協力します!」

アヤ「ありがと」

志保「……きっと、楽しいと思うんですよ。乗り越えちゃえば」

千奈美「確かに、今までそうだったからね」

アヤ「……まーな。ビビッたら箱が小さくなるわけでも、怪我が完治するわけでもない」

志保「私、頑張ってね、とは言わないよ?」

アヤ「なんでさ。いいけど」

志保「だって、私たちいつも頑張ってるもん。やり切らなかったら、心残りになるって」
492 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:26:50.31 ID:3HR+IMp00

千奈美「……そう、ね」

志保「アヤちゃんと千奈美ちゃんの夢なら、私の夢だよ。だから、一緒に走るよ」

アヤ「……」

志保「って、前の同い年呑みで聴いた」

アヤ「お前! 割と肝心なとこで寝てたろ!!」

千奈美「そうだ」

アヤ「あ?」

志保「うん?」

千奈美「アヤ以上にダンス得意で、無茶振りどんと来いな友人、いたわ」

アヤ「……!!」
493 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/03/19(土) 05:33:12.41 ID:3HR+IMp00

――――

To:アヤ (無題) [よよよい なんかジューシィの高橋さんからオファー来たんだけどアヤの差し金?]

To:小松伊吹 Re: [差し金てお前]

To:アヤ Re: [いえーい 毎週東京出ちゃうよーんやったね☆]

To:小松伊吹 Re: [ダンス強い子紹介してくれっていうからね 頼りにしてるんだよ]

To:アヤ Re: [頼りにしてきたか! 万超えの箱でライブとかめっちゃアガる!↑↑]

To:小松伊吹 Re: [よく言うなー かかってこい、的な?]

To:アヤ Re: [的なね 寝るねおやすみZzz]

To:小松伊吹 Re: [おやすみー]





アヤ(……え、マジで寝たの!? 軽!!?)
494 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/03/19(土) 05:37:52.85 ID:3HR+IMp00

――――

レギュラーはアヤ志保千奈美伊吹です。

アヤにSR二枚目が追加されて、これで全アイドルSR二枚以上になりましたね。
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/19(土) 09:13:55.37 ID:TeBNr57hO
やったぜ
アヤのSRいいものだぁ…
乙です!!
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/19(土) 14:10:21.33 ID:sDElFLBoo
きりのん来たから来るかと思ったらやっぱり来てたか
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/19(土) 15:54:19.43 ID:UVh71tXt0
朝見つけてずっと読んでる
ゆるりと期待しとるよ
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/24(木) 00:08:11.49 ID:kkr1aPjSO
乙乙
この話に出てくる子、みんな好きになるやつだわ

ところでレギュラー増えてるんだが…!
499 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:02:03.72 ID:oDJHhbIB0

礼子「サンプル動画見たわよー。このレベルで踊れるとは知らなかったわー」

伊吹「どーもどーも。お褒めに預かり光栄でーす。よろしくお願いしますね!」

志保「あの……よ、よろし、く……?」

礼子「なんでキョドってるのよ」

志保「え、アヤちゃんと伊吹ちゃんと一緒にって…… 無理が……?」

礼子「やる前からビビッてどうするの」

伊吹「まー平気平気! 本番なんて一回しかないんだから! 練習よりキツイことなんて何もない!!」

500 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:02:41.56 ID:oDJHhbIB0

志保「え、えぇ……」

礼子「軽くヒくくらい、滅茶苦茶ポジティブね」

伊吹「実体験ですよ。収録だって本合わせがいちばんしんどいし、ダンスも練習がいちばん辛い」

礼子「場数もそれなりなんでしょ?」

伊吹「ローカルテレビですけど、一応レギュラー持ちです。全国区は全然ですけど」

礼子「じゃ、今回で風穴開けてちょうだいよ」
501 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:04:03.54 ID:oDJHhbIB0

――――

千奈美「木場さん、大丈夫ですか?」

真奈美「ん? 何がだ?」

千奈美「シフト、私たち三人とも結構抜けてますけど……」

真奈美「そうだな、バイトの子には少し多く来てもらうことになる。君らが心配することじゃないさ」

アヤ「一応アタシら正社員ですよ?」

真奈美「芸能活動も立派な仕事だよ。……というか本来はそっちに注力させなければならないんだが」
502 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:04:34.79 ID:oDJHhbIB0

千奈美「そう言ってくれるなら、遠慮なく出ますけど」

アヤ「早!?」

真奈美「ふふ、それでいい。それより、ディナーまで客足落ち着きそうだし、アヤ先に上がっていいぞ」

アヤ「はーい。そしたら早めに向こう行きますわ」

千奈美「高橋さんと伊吹によろしく」

アヤ「ていうか伊吹うちに泊るんじゃねーかな」

503 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:05:23.73 ID:oDJHhbIB0

――――

志保「…え、えっと、ここがこうで……」

伊吹「そうそう」

志保「回って、ここで……こう……? ん、なんか違う……?」

伊吹「あー」

礼子「なるほどー」

志保「え、どうなってました?」

礼子「回るときのステップがおかしい」

伊吹「三回目の終わりの右足、左に半歩ずらしてみなよ。そのまま出してるから、勢いつけようとして横にブレてる」

504 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:05:50.63 ID:oDJHhbIB0

志保「え、こうの、こうで、右足半歩…あ、ほんとだ! だからキックしてるみたいな感じになってたんだ…」

礼子「伊吹ちゃん良く見てるわねー」

伊吹「一応、前職みたいなもんですし。トレーナーのバイトもしてましたからねー」

礼子「頼りになるわー」

志保「ワン、ツー、スリー、出す、ターン。……おお、ずれない!」

礼子「なんやかんや、志保ちゃんも飲み込み早いし」


505 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:06:41.37 ID:oDJHhbIB0


――――

アヤ「え、もう二人ともほとんど振り入ったの?」

伊吹「ふふん。半日あれば充分だよ」

志保「な、なんとか……」

礼子「だいたい伊吹ちゃんのおかげだわ」

アヤ「おー」

志保「そうだね、凄くお世話になった」

506 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:07:10.54 ID:oDJHhbIB0

伊吹「……でもなあ」

礼子「ん?」

伊吹「そのー、言いにくいんですけど。……実際は、歌が入ってもダンスに集中しちゃうんですよね」

アヤ「え、マジで」

礼子「どのくらい?」

伊吹「……バミとかカメリハだとあんまりプロンプ出さないじゃないですか」

礼子「そうね」

507 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:07:36.22 ID:oDJHhbIB0

伊吹「だいたい歌詞飛ばすか間違えます」

アヤ「おい!!?」

伊吹「大丈夫だよ! プロンプ見られればちゃんと歌詞つながるから!」

礼子「……歌もしっかりね。二人もサポートよろしく」

志保「任せてください」

アヤ「うおー、超がんばるぞー」
508 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:08:56.37 ID:oDJHhbIB0

――――

礼子「伊吹ちゃんはさ、ダンス本業でしょ」

伊吹「そうですねー。動画でも見てもらったブレイキン、ブレイクダンスが本業ですけど」

礼子「あれ凄くない? 片手で逆立ち? するやつ」

伊吹「マックスですか? ほいッ」

礼子「おおー! 意外とサラッとやるのね…」

アヤ「実際には倒立とは微妙に違うんすよ。……よッ!」
509 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:09:24.21 ID:oDJHhbIB0

礼子「惜しい!」

志保「ほぼ出来てるような?」

伊吹「もっと勢いつけて振り上げれば出来るよ。ていうかアヤ、チェアーできるんだから筋力的には充分だよ」

礼子「チェアー?」

伊吹「両脚を地面から離して止める技ですね。アヤ見せてあげなよ」

アヤ「アタシかよ。いいけど……ふッ」
510 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:11:41.28 ID:oDJHhbIB0

礼子「え、アヤあんたそんなのできたの!?」

アヤ「喋るの無理す」

伊吹「志保もステップだけなら覚えてる?」

志保「ええ、今すぐ…… どうかな……」

礼子「見たーい」

伊吹「高橋さんもやります? 教えますよ!」

礼子「あ、私は膝に爆弾あるから無理」
511 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:12:10.70 ID:oDJHhbIB0

――――

千奈美「別に私たちはブレイクダンスチームではないんだけど?」

伊吹「高橋さん凄いグイグイ来てたよー、めっちゃ聞かれた」

アヤ「やばそうだぞ。……何かやらかすときの顔してた」

伊吹「何かって」

志保「やらかすって」

千奈美「ほとんど決まったようなものでしょ」

アヤ「……やっぱそう思う?」
512 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:13:17.95 ID:oDJHhbIB0

伊吹「??」

千奈美「今練習してるの、マリオネットの心よね」

志保「うん」

アヤ「多分これ、もう一曲何かやれって話になるんだろう、ってこと。しかもブレイキンで」

伊吹「マジで! やったぁー!」

アヤ「まだ決まってない! そもそももっと深刻に考えて!」

志保「やだぁぁぁ、私ブレイクダンスなんてステップくらいしかできないよぉぉぉ」

千奈美「……どうなるのかしら、ライブ」

513 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:14:16.93 ID:oDJHhbIB0

――――

志保「伊吹ちゃん、電話鳴ってる」

伊吹「ん? ……高橋さんだ」

アヤ「おわーこの時間にかよ……」

伊吹「はーい小松伊吹でございまーす」

礼子『高橋だけどー、ねーねー伊吹ちゃん』

伊吹「はいこんばんはー」

礼子『こっちから曲指定して、振り付け作れる?』

志保(ほんとに来た……)
514 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:14:44.98 ID:oDJHhbIB0

伊吹「おっ、出来ますよ。やっぱり次のライブの?」

礼子『そうそう。こずえが歌ってみたいかも、って言ってたんだけど、アナタたち三人も主役くらいに踊ってほしいのよ』

アヤ(……何考えてんの)

伊吹「曲は決まってます?」

礼子『うちの雰囲気だと歌いにくいけど、アナタたちと一緒だったら雰囲気的に有りじゃない?ってのがね』

伊吹「はぁ」

礼子『ビジョナリー』
515 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:15:12.23 ID:oDJHhbIB0

――――

アヤ「で、昨日言ってたビジョナリー。伊吹わかる?」

伊吹「聴けば思い出すと思うけど」

志保「えーっとね……これー」

伊吹「……あ、ああ! これか、これかぁー……」

千奈美「まあ楽しい曲よね。ジューシーっぽくはない、てのもわかる」

志保「どうですか、伊吹センセイ」
516 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:15:38.68 ID:oDJHhbIB0

伊吹「これはいけませんよ」

アヤ「何がだ」

伊吹「アタシたちがガチでやればやっただけ、こずえちゃんのギャップで面白くなる」

千奈美「嫌なの?」

伊吹「にひひー。大好物! さー、振り付け作るぞー!」

志保「765さんの曲でブレイクやったことあるの?」
517 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:16:04.99 ID:oDJHhbIB0

伊吹「アドリブでも全然やるよ。ていうか、ステップ教えたとき乙女を大志を抱けだったじゃん!」

アヤ「だな。言われてみれば伊吹って割と『急がばまっすぐ進んじゃおう』だよな」

伊吹「『一石二鳥じゃ物足りない』し! あの曲好き!!」

千奈美「私たちに足りないの、それね」

志保「ところで、振り付けどうやって作るの?」

伊吹「ま、仕事あるから今日は実家戻るし、アタシが持ち帰るよ。次回をお楽しみに♪」

アヤ「……志保」

志保「う、うん?」

アヤ「腹を括ろう」

518 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/04/11(月) 02:22:15.25 ID:oDJHhbIB0

――――

レギュラーはアヤ志保千奈美と伊吹です。

4/8は桐野アヤの誕生日でした。
総選挙は、出来る範囲で満遍なく投票する予定です。
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/12(火) 00:17:11.29 ID:CmaukKv/0
乙。
一気読みしました。いい意味で生々しいアイドル像が素敵。
ふじともが二十歳とか言ってるから特定のアイドルだけ年齢上げてるのだろうか、とか思ってしまったが、あの子もともと19歳なのね。
完全に中学〜高校のイメージになってたわ。
520 : ◆S0mvz1PntgQY [sage]:2016/05/13(金) 08:33:30.79 ID:88WoUWBlO
板分割ってなんだ…
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/13(金) 13:35:43.24 ID:XKcDCm5do
エロが規制くらうことになったからエロSSはエロおっけーな板に移ってね という話
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/31(火) 12:32:24.42 ID:NWecOi2+o
いまいちだな
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/15(水) 18:59:26.51 ID:O3BgxTbiO
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/15(水) 22:13:37.59 ID:ptz9vbDvo
>>523
しねこら書き込んでんじゃねーよ
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 09:10:40.59 ID:DuQjZeZjO
え?
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 19:13:10.29 ID:e3my30fno
>>525
お前も黙れ
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/22(水) 00:40:41.26 ID:bNjouuvBO
えええ?
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/22(水) 22:51:03.81 ID:VQ9NyaxCo
>>527
散れ漆黒
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 09:16:38.23 ID:rkEH9TLOO
はい
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/01(金) 20:58:21.26 ID:sga4INwx0
0713
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/03(日) 16:28:09.94 ID:iHxxGEyLo
そろそろ2ヶ月か
532 : ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄ ̄ [sage]:2016/07/05(火) 23:48:04.80 ID:0izoeFiJ0
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/08(金) 15:17:40.46 ID:iIUJF5eB0
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/08(金) 20:06:46.14 ID:c9RXVlVI0
おつ
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/09(土) 02:06:12.10 ID:akSJtwFQ0
個人的に一番好きなSSだから消えないでほしいなぁ。
536 : ◆S0mvz1PntgQY [sage]:2016/07/14(木) 01:31:41.68 ID:ZzLw40Awo
連休中に投稿予定です。
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/14(木) 05:06:40.07 ID:Bc4TTAXdO
どうだか
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/14(木) 08:36:27.12 ID:cuwt6Lfxo
OK
待ってるぞ
539 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:15:49.40 ID:QO0zS8C+0
――――

  「……はい、ステージ側オッケーです! ステージ裏どうですか?」

  「問題ありませーん! 出演者の皆さん撤収できまーす!」

礼子「はい了解。大丈夫ね、スタッフの皆さんお疲れ様、ゲネ終了でーす!」

  「「「「お疲れ様でーーーす!!」」」」

礼子「出演者、並びにスタッフの皆さん。明日はよろしくお願いします!」

540 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/07/19(火) 00:16:49.05 ID:QO0zS8C+0

――――

あい「出演者各自! 衣装さんがシャワールームの前にいるから、衣装と小物預けること!」

のあ「メイク落としは各々で……シャワー待ちの間に」

あい「……え、もう終わったのかい」

アヤ「早くないっすか」

のあ「造作もない……舞台はけて直行した」

あい「身も蓋もないなあ。アヤくんたちは?」

アヤ「今日はもう終わってますけど、明日はどうするかなあーって」

541 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:17:21.28 ID:QO0zS8C+0

のあ「何を、迷って……?」

アヤ「アタシたち、こずえの都合もあるから出番終わるの早いじゃないすか。その間にシャワー浴びればいいんだけど」

あい「そうだね」

アヤ「……見ときたいんですよね。もちろん千奈美のソロも、他のみんなも」

のあ「そうするべきだと思うなら、そうなさい。すべては、自由だから」

アヤ「千夏さんたちどうするんだろ…聴いときゃよかった」

あい「メールなりなんなり、軽く聞いておけばいいのではないかな」

アヤ「そーします」

542 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:19:49.07 ID:QO0zS8C+0

――――

久美子「ああああ愛結奈ぁぁ千奈美ぃぃぃトチッちゃったぁぁああぁあぁあぁぁ」

愛結奈「まあ、あのくらい平気でしょ。よくやるし」

千奈美「よ、よくやるかどうかは置いといて、ソロさえ飛ばなきゃ何とかするわよ」

愛結奈「ダンスできてるから大丈夫よ。ほらほら、さっさとシャワー行こ」

久美子「メイク拭く……」

千奈美「私もちょうだい」

愛結奈「ワタシも。んんー、明日で終わりかー。楽しみたいよねえ」

千奈美「今だって楽しいから、きっと平気よ」

543 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:22:16.02 ID:QO0zS8C+0

――――

加蓮『お疲れー、今終わったって? こっちは今帰宅』

奏「ええ。…足は大丈夫?」

加蓮『いや、そりゃ大丈夫じゃあないでしょ。さっき痛み止め切れたよー。歩けるけどじんわり痛いね』

奏「じゃ、訂正。ゲネの間は平気だった?」

加蓮『うん! これなら明日も、本番中は充分イケそう』

奏「そう。よかった。…あんまり話せなかったから、心配したのよ」

加蓮『あはは。…明日も話せそうな時間はないんだよねー』

奏「入りギリギリまで遅らせて痛み止め打って、出番終わったら撤収、だものね」

加蓮『……頑張るよ。ガラじゃないけどさ』

奏「そうね、ガラじゃない。でも、私だってそのつもりだから」

加蓮『ふふっ。……おやすみ。また明日ね』

奏「ええ、また明日」

544 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:22:48.21 ID:QO0zS8C+0

――――

伊吹「コーラおいしい」

志保「アイスクリーム食べたい」

アヤ「お前ら……」

飛鳥「…油断が過ぎるんじゃないかな、来訪者諸君は」

アヤ「返す言葉もない……」

志保「私食べてないよ、考えてるだけだよ!」

伊吹「二宮さんもさっきコーラ飲んでたじゃん」

飛鳥「……正論は強いな。言葉を失うよ」

アヤ「返す言葉もない!!」

545 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:23:48.76 ID:QO0zS8C+0

志保「でも、ちょっとくらい自分にご褒美したい気持ちわかるよ」

飛鳥「……?」

志保「だって、こずえちゃんと二宮さんだけでしょう、最後までステージに出られないの」

飛鳥「表現そのものにおいては、年齢は障壁じゃない。……今はそれでいいのさ」

伊吹「壁っていうか、まあルールだからね。もう21時過ぎるけど、寮帰らなくていいの?」

飛鳥「交通手段の都合でね、みんなと一緒のバスに乗ることになったよ」

アヤ(……マネージャーさんに「みんなと一緒に帰りたい」って言ってたけどな)

546 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:24:41.84 ID:QO0zS8C+0

志保「夜遅いと、明日に響きますよ!」

飛鳥「何、案ずることはない、夜はボクの時間だ…… と言いたいところだが。今日は素直に寝るよ」

伊吹「あたしなんて、既に眠いけどね」

志保「小学生かな?」

アヤ「二宮さん夜更かし好きなのー? 程々になー。お茶とかコーヒーとか飲んだり?」

飛鳥「えっ、いや、そういうのは」

志保「…そういうのは?」

飛鳥「……苦いの、苦手で」

547 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:25:07.14 ID:QO0zS8C+0

伊吹「今度、グラジオラスでカフェオレでも入れてもらうといいよ。美味しいから」

飛鳥「覚えておこう。…さて、そろそろバスで待機するとしようかな」

アヤ「あいよ。アタシたちも行くかー」

志保「はーい。千奈美ちゃん声かけてこようか?」

アヤ「浜川さんたちと一緒だし、今日はいいだろ」

志保「そっか。メールだけしとこ」

548 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:25:36.18 ID:QO0zS8C+0

――――

真奈美『お疲れ様です』

礼子「はいお疲れ。こっちはつつがなく終わったわよ」

真奈美『それは何より。こっちも差し入れ準備終わりました』

礼子「ありがとー。何時頃来るの?」

真奈美『メイク始まる前には行きたいですね。昼前には』

礼子「出迎え出来るかわからないから、パスは忘れないでね」

真奈美『心しておきます』

礼子「よろしくね。……あの子たち、頑張ってるわよ」

真奈美『そうですか。……褒めてやってください』

礼子「もちろん」

549 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:34:36.53 ID:QO0zS8C+0

――――

千夏「ん、おはようございます」

真奈美「おや、おはよう」

千夏「……凄い荷物」

真奈美「差し入れだよ。こっちが終演後用のパックマスク、これはおやつのコーヒーゼリー」

千夏「いいわね、美味しそう」

真奈美「ケータリングルームにおいておくから、どうぞ。それにしても、ゆっくりだね」

千夏「そうね、ワンタイム二曲だけだから」

真奈美「そりゃそうだが。……サプライズ枠っていうのは、勝手が違いそうだな」

550 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:35:44.74 ID:QO0zS8C+0

千夏「どうなのかしら。出て、歌って、MC挟んでもう一曲やって終わり」

真奈美「まあ、なあ。言葉にしてしまえば、そうだけれども」

千夏「……本当はね」

真奈美「うん」

千夏「ここしばらく役者の仕事ばかりだったから、本格的に歌うのは半年ぶりで。ちょっと緊張してたの」

真奈美「過去形?」

千夏「……ガチガチの千秋見てたら、どうでもよくなったわ」

551 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:36:46.55 ID:QO0zS8C+0

真奈美「黒川さんも久しぶりのステージングか… 彼女は大丈夫なのか、それ」

千夏「あの子はちょっと緊張してるくらいが丁度いいのよ。そのほうが可愛いんだから」

真奈美「なるほどなあ」

千夏「それより、アヤさんのこと。……正直に言っていい?」

真奈美「この文脈で『正直に』と付けられるのは怖いがね。聞こう」

千夏「もっと、出来ないと思ってた。最初そう思ってたことを、木場さんに謝っておきたくて」

真奈美「……ずっと、現場にいるようなものだからな」

552 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:45:33.31 ID:QO0zS8C+0

千夏「報われると、いいわね」

真奈美「私が、そうしてやらなきゃいけないのさ。本当は」

千夏「それなら、今回はチャンス?」

真奈美「そうかもしれないな。……彼女たちには、そのつもりでいるように教えているつもりだけど」

千夏「伝わってるんじゃないかしら」

真奈美「今日の今日では、もう祈るしかできないね。…あの子たちは控室こっちか」

千夏「それじゃあ、また後で。 Je vous souhaite une bonne journée.」

真奈美「ああ……え、あ?」

553 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/07/19(火) 00:50:02.94 ID:QO0zS8C+0

――――

レギュラーはアヤ志保千奈美と伊吹です。
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 08:12:24.63 ID:HM9ebNWKo
超待ってました
この子たち好き
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/21(木) 00:32:12.34 ID:FjOtwHdG0
乙。待ってた。
大舞台に近づいてる感がいいなぁ。
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/21(木) 09:28:04.63 ID:dErS8iH/O
礼子さんのとこは

こずえ
はまあゆ
のあさん
あいさん
加蓮

飛鳥

でいいのかな。これで千奈美重用してるってクール好きだなキング。(わかる)
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/28(木) 02:00:53.66 ID:E7AtqkTUO
この作者のSSが好きすぎる
続き待ってます
558 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 00:47:37.47 ID:Hnrzybny0
お客さんの前で歌って、踊って、視線と歓声を受け止める。

言葉にすればそれだけのことだけど、それだけじゃない。


前には一万人を超えるお客さんがいて、みんながみんな、それぞれに想いと期待を持ってくる。

後ろには何十人ものスタッフ、そしてそれ以上の数の関係者がいて、やっぱりそこにはみんな誇りや願いを持ってる。


そんなに大きくないカフェで働きながら、月に一回、数十人のお客さん相手にライブをしている店員だって、

ローカルテレビ番組のMCが主な仕事のダンサーだって、全国ネットのレギュラーを持ってる現役女子高生だって、

最新シングルが数万枚売れたユニットに所属してたって、銀幕で大活躍の新進気鋭の女優だって、

古着屋のバイトだってピアニストだって事務所の社長だって。


ステージに立って、お客さんの熱気に晒されたら、大した違いはないんだ。


「……吐きそう」


ドレスルームからステージへの通路の脇、いくつかある控えスペースの片隅で、アタシは一人座り込んでる。

客観的な自分が、今の自分を指差して笑ってる。椅子に尻がへばりついたみたいだ。


声が出ない。膝が震えてる。

せいぜい百人程度しか相手にしてなかった、場末のアイドル崩れが、一万人を相手にできるかよ。

馬鹿言うなよ。自嘲が胸の中で膨らんでいく。
559 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 00:49:51.25 ID:Hnrzybny0

「……むーりぃー、って顔」


志保が、しゃがんで覗き込んで来る。アタシと同じ立場のはずなのに、笑ってる。


「なんで、そんな笑ってられんの」

「うーん。そうするしかないから、かな?」


かすれ声のアタシの質問に対し、首を傾げて眉を顰め、舞台上の振る舞いみたいに考え込む―遠慮なく言えば、わざとらしい―素振りを見せる。


「それとも、そうしたいから、かな。どっちだろ?」


志保は、答えを出しては来なかった。表情をコロコロ変えてから、結局笑顔に戻る。立ち上がり一歩離れると、屈伸、伸脚。


「よし」


それから重心を落として、膝でリズムを取り始める。

ゆっくりと腕を回しながらステップを刻み出した志保の足元から、キュキュッ、とリノリウムの床にソールをぶつける小気味良い音がする。


「ほら、アヤちゃん。ウォームアップしましょう♪」
560 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 00:52:07.26 ID:Hnrzybny0
差し出されたその白い左手を見つめたまま、仕方なしに腰を上げ、手を伸ばす。瞬く間に指を絡め取られて、強く握られる。


「……志保」


少し低い体温とわずかな汗、それと小さな震えが、指を交わして繋がれた掌を通じて、アタシの右手に伝わる。
視線は所在なく、志保の短くて綺麗な爪に漫然と留め置かれる。


「……不安だし、緊張はしますよ。解ってます」

「うん」


アタシと志保は、だいたい同じくらいの背丈、視線の高さだ。今覗き込めば、どんな顔をしているかはわかる。
だけど、わずかに動く志保の指先から視線を移すことは、しない。

だって、アタシたちは。


「だって、私たちは。同じじゃないですか」


そう、同じだから。どんな顔してるかなんて見なくてもわかる。そんなに見られて嬉しくはない顔だ。
だから、あんなに笑って、あんなに楽しそうに見せて、あんなに空回りして。自分を、鼓舞するんだ。
561 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 00:54:28.13 ID:Hnrzybny0
「でも、笑いますよ。私。……チャンスだもん、飛び込まなきゃ」


ほんの少し上擦った声。
……演技指導のレッスンで、こんなのやった気がする。不安なとき、緊張するとき、プレッシャーを感じているとき。


「笑うしか、ない、か」


ふと漏れた自分の呟きは、プレッシャーを処理し切れていないことが明確だった。
アタシたちは、向き合って顔を伏せたまま、しばらく黙り込んでいた。沈黙に寄り添うように、ゆるりと右手が解放され、自然、お互いに棒立ちになる。

が、棒立ちは一瞬で。


「……え。……え?」


急に、志保は両手でアタシの顔を挟んで、真正面に捉えてきた。


「アヤちゃん」


不意打ちに泡食ったアタシの顔に、ぐっ、と志保の顔が近づく。


「私、アヤちゃんに言ったよね」


少し垂れ気味の大きな目。いつもはよく笑う口は、次のことばに力を籠めるように引き絞られて。
562 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 00:55:52.98 ID:Hnrzybny0
「……?」

「あれが、私たちのはじまりなんだよ」

「……はじま……あ、ッ、え!?」


ああ。思い当たるセリフがある。
何考えてるんだ。ばーーーーっ、と耳の奥で音がした。血液が身体を走り回った音。

もうダメだ。体温が上がったのを自覚する。特に顔がひどい。


「『私、アヤちゃんがキラキラしてるところを見たいよ』」

「そ」


胸の奥が熱くなる。詰まって、言葉が上手く出てこない。口の中が渇いてる。


「ぅ……水、飲ませて」


どうにか一言だけ捻り出して、水のボトルを手にする。


「……うん」


中身を半口ほど含んで、こくりと喉を鳴らして嚥下する。
からだのまんなかに滑り落ちていくぬるい水が、体温を少しだけ吸収してくれる。

たっぷり深呼吸する。もどかしくてはずかしくて、ドキドキしている。……ちょっとだけな。


「……そ、れを今言、う……?」
563 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 00:56:33.46 ID:Hnrzybny0

何とか紡いだ言葉。志保は変わらずアタシを正面から見つめる。やっぱりくりっとしてて大きな目だ。
……アタシがここで目を反らしたら、それはまあ、何というか。裏切ることになる、気がするから。見詰め返す。


「……今言う、ことば、なんだよ」


そう言った志保の顔は、真っ赤で。だから、アタシたちは同じなんだろう。


「だから!」


……聴こえないフリ、忘れたフリしたいけど。真正面から言われた後にそれはないよな。
緊張とか不安とか全部吹き飛ばすために、自爆覚悟かよ。


「アヤちゃんも! 言え!!」

「……えぇ……」

「……言って、ください。私、ちゃんと笑いたいから」


ああ。大舞台も何もあったもんじゃない。これより恥ずかしい、緊張することなんて、そうはないよ。
564 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 00:58:45.48 ID:Hnrzybny0
――――

小松伊吹、趣味は恋愛映画鑑賞です。現在、ユニットメンバーとの合流のタイミングを失って、パーティションの陰から様子を伺っています。


「何あれ映画のワンシーンか。……千奈美大丈夫?」

「……いや、もう、なんか……身内の恥を……ごめん……」


こちらの椅子に突っ伏しているクールビューティは、先ほどまで声出しをされていた小室千奈美さん、向こうで赤面し合ってる二人の同僚です。
まあ、今はアタシとも実質同僚みたいなもんか。


「あーもう……こっちまで恥ずかしい…… しっかし、伊吹はあんまり緊張してない?」

「一応してる」


本心です。アタシからしたら、千奈美のほうが緊張してないように見えるんだけどね。


「緊張はあるけどさ、ダンスはアイドルやる前から本業だし、コンクールやオーディションと違って勝敗があるわけじゃないし。歌うのは気を遣うなー、ってくらい。そっちはどうなの?」

「もう飲み込めた、はず」

「なーに、手とか握る?」


ひらひらと手を差し出してみるけど、千奈美は肩を竦めて笑う。
565 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 01:02:43.02 ID:Hnrzybny0

「余裕よ、余裕。……礼子さんたちと一緒にオープニング出られるから、かえって自分の中でのスタート切り易いのかもね」


そうなのだ。事務所単独主催のライブなら、オープニングナンバーはその事務所の所属メンバーだけ、というのが通例(というかファン心理的にはそれが筋だよね)のところ、今回は千奈美も参加する。

北条さんが怪我の影響で動きの制限があるから、バランス取りに補填された形ではあるものの、結構珍しいケースだ。


「なるほどねぇ。……あ。じゃああっち行こう、アタシの声出しとウォームアップに付き合ってよ」

「いいけど、一緒に出ないでしょ。何やるの?」

「何でもいいけど。ウィアフレでいい?」

「伊吹、それ好きよね」

「そうだよ。アタシは好きにやりたいって、いつも言ってる」


にかっ、と笑ってみせると、小さく微笑んで、軽く握ったグーを差し出してくる千奈美。なんていうんだっけ……


「そうだ、フィストバンプ。なんか、アヤみたい」

「一緒にいるんだから。似るところだってあるわよ」


こつん、と拳をぶつける。


「同じじゃ、ないけどね」
566 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 01:03:20.92 ID:Hnrzybny0
――――

『真奈美。直前でごめんねー。ちょっと頼みあるんだけど。全体の香盤表持ってる?』

「そりゃまあ、三人出してますから持ってますよ」

『OK、第三控え行って、前川ちゃんとアーニャちゃん見ててくれる? 高峯ちゃんが衣装トラブっちゃって、オープニング終わるまで戻れないっぽいのよ』

「了解」

『千奈美は問題なし、こっちに任せてくれていいから、途中でアヤたちの様子もよろしく』

「元より」
567 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 01:06:52.10 ID:Hnrzybny0
人遣いの荒いことだ。数年前を思い出す。礼子さんと二人であっちへ行ってこっちへ行って、言われるまま仕事をこなす。


「アヤ、志保、伊吹。入るよ」


でも、あの時とは違って、ここには私の意思があり、別に誰に押し付けられているわけではない。


「お疲れ様でーす」

「お疲れ。すまんが、私はオープニング終わるまで第三控えにいる。君たちの出番にはステージ裏に付くから安心していい」


手短に用件を伝える。伊吹はドリンクを片手に。アヤと志保はプリンをつついて。
ふむ。三人とも思ったより緊張してないな(ところで、そのプリンは私もまだ食べていないぞ)。


「ありゃ。まあ、こっちは大丈夫っすよ」

「もぐもぐ。ごくん」


まあ、安心したよ。


「もっと青い顔でもしているかと思ったが、出来そうかな」

「どんなに緊張したって焦ったって、舞台が変わるわけじゃないですよ。……やれます、大丈夫です」

「うふふふふ。そうだよね♪」

「ん、そうか。そうだな。君たちが……うん、楽しんでくれれば。何よりだ」


今回はチャンスだ。呑まれるんじゃないぞ。……とは、言わない。そう。どうやるか、どうしたいかなんて、究極的には己のものだ。

そう、誰に押し付けられるものでもないんだ。
568 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 01:11:42.16 ID:Hnrzybny0
――――

「あれ、木場さん。どしたの?」


三人を激励してから第三控室に入った私のあいさつに、みくはきょとんとした表情を返す。そしてもう一人。


「ドーブラエ ウートラ。お疲れ様、です。おひさしぶり、ですね。キバさん」

「高峯さんが衣装トラブルで、オープニング終わるまでこっちに来られないそうだから、代理でね」


落ち着いた声で挨拶を返したアナスタシアは、みくと共にウォームアップを終えたのか、
ほんのりと頬に赤みを挿していて、上手く緊張感と折り合いをつけているように見える。


「ルームスタッフさんから聴いたし、用事も聞いてもらえるから大丈夫ですよ。でも、わざわざありがと」


予備のパイプ椅子を広げて、みくの近くに席を定める。


「何か手伝うことがあれば、と思っていたけど心配要らないかな。しかし、トラブルね」

「スカートのファスナーが噛んじゃったんだって。……私たちと出るときに一回着替えるから、その間に何とかするんじゃないかな」

「そこまで聞いてたのか。参ったな、私が特にすることなんてないじゃないか」

「アー…… 大人のひとが、いると。……ウスポカイヴァツシャ、落ち着き、ますね」

「……そう、だよ。だから、木場さん。ありがとう」


苦笑いする私に、アナスタシアが、文字通り言葉を選んで呟くと、みくは頷いて同意を示した。
そうだな、君たちは少女で、私は大人だ。
569 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 01:12:47.39 ID:Hnrzybny0

「ふむ」


そして、そんな大人ならではの悪戯心が首をもたげる。みくが手に持ったままの猫耳カチューシャを拝借する。


「何、大人らしく役目を果たしているだけなのにゃあ」


にゃあ。にゃあにゃあ。みくがステージ上でよくやる、ねこぱんちのポーズ。


「礼は要らないさ、仕事なのだにゃあ」


顔の前で猫の手を作って構えて見せる。意外と楽しいな。
あっけにとられた二人のうち、みくがハッと我に返って、私の頭からカチューシャを取り去り、自分の頭に付け直す。


「……ハラショー! キバさん、それ、とても、楽しいです!」

「そ、それ絶対ステージの上でやらないでよ!? みくたちの面目丸つぶれにゃあ!」

「アー… メンモク? ですか?」

「ふふ、そうだな。隠し芸にしておくよ」

「ホントにやめてにゃ!!? いくら木場さんでも……」


釘を刺してくるみくを尻目に、タイムキーパースタッフの声が飛ぶ。


『開演5分前、注意事項アナウンス入りまーす』


「……始まるよ」
570 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/08/16(火) 01:17:19.91 ID:Hnrzybny0
会場内モニターに目を運ぶ。追って、二人の声が止む。視線がモニターに注がれたのだろう。
ライトが揺れる客席の照明が落ちて、歓声が上がる。


『本日は、スペシャルライブ“ジューシーホーリーナイトパーティ”にお越しいただき、誠にありがとうございます。

 開演に伴いまして、お客様に安全にライブをお楽しみいただくため、いくつか注意事項をお伝えいたします――

――――

 ――以上、ビューティーアリュールの松山久美子がお送りいたしました! それでは間もなく開演です!

 みんな、楽しんでいってね!!』


アナウンスが終わると、再びの歓声と久美子の名前を呼ぶ声援、そして拍手喝采。

そのまま、ジャズ調のBGMとスクリーン演出が始まると、拍手は手拍子に替わり、ボルテージがみるみる高まっていく。


『遊佐こずえ』『二宮飛鳥』『浜川愛結奈』『東郷あい』『高峯のあ』『北条加蓮』『速水奏』


加蓮のカットが出た際の歓声は一際大きいものだった。無理もない、怪我を押しての登壇だ。


『高橋礼子』『And More...!!』


最後、ゲスト陣のシルエット映像がきらめく光の粒になって消え、全ての演出が終わり。


『お願い! シンデレラ』のイントロと共に、幕は上がった。
571 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/08/16(火) 01:20:02.97 ID:Hnrzybny0
――――

レギュラーはアヤ志保千奈美と伊吹です。

地の文はフォーマットが難しいですね。
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 01:57:40.07 ID:rTlPpjsBO
良いところで寸止めツライ
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 18:03:51.34 ID:oTQZhTjU0
ここの志保、ほんといい子だよなあ…

木場さんの過去が気になる
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 18:06:52.67 ID:HrRkv+cqo

いいところで区切るなあ
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/16(火) 18:28:55.15 ID:Y7k8CcjEO
アヤ志保がチューするかと思った、危なかった

みくとアーニャとのあさん……? うっ、いったい何にゃん何なんだ…?
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/17(水) 21:32:40.77 ID:95lNTNou0
>「同じじゃ、ないけどね」
これは単純な照れ隠しなのか、なにか不穏なフラグなのか。
主人公ズの中では、千奈美の意識が微妙に異なっているというか、焦りや気負いを感じてる感があった気もするのだが。
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/18(木) 01:31:03.90 ID:uIkqaeaqo
アヤ志保は「夢だよねー」と言ってはいたけど、
現状楽しんでたしあんまり上に行くことを意識してこなかったから、
いざ初めての大舞台を前にビビってた感じかなあ。

千奈美は結構しっかり「でっかくなるんだ」って思ってる節があったし、
何度か壁にぶつかってたから、その辺で意識違う気がする。
礼子さんに見込まれてるのも自信になってるのかね。

…すまない…好きな話なので、このままでは長文になってしまう…
とても全ては書ききれない…本当にすまない…
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/06(火) 19:16:08.19 ID:4ty5wA+qo
乙です
アヤ志保の共有感というか、あの、その、とてもいい・・・
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/11(日) 02:38:42.36 ID:g7eADeVHO
wktk待機
580 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:28:44.14 ID:hFhRzfxk0
――――

『はぁーい! 皆さん、こんばんはーーッ!!』


歓声を一身に受け、笑顔で答える礼子さんがMCを進めていく。


『始まりました、“ジューシーホーリーナイトパーティ”! オープニングは“お願い!シンデレラ”を聴いていただきまして。いやあ……広いわね!!』

『全くです。礼子さんは勿論でしょうが、私たちも感慨深いですよ』

『そうでしょそうでしょ〜 ほら凄い歓声! じゃあ、今このタイミングで、メンバーに自己紹介をしてもらっちゃおうかな! まずは、東郷さん!』


客を煽ってノせていきながら、東郷さん、高峯さん、愛結奈さんと順に自己紹介を促していく。


「礼子さん、楽しそう」


呟くみくの声には、少し微笑みが混じっていた。


「みくも、楽しくやらないとね」

「ダー。ウルィプカ…笑顔、大事にします」

「ああ。笑っていれば、だいたい何とかなるさ」


そう言って、みくとアーニャに目を向けると、視線に気づいて合わせてくる。


「アイドル、なんだから。笑おう」


満面の笑みを見せてやった。


どんな時でも笑うのさ。アイドルだから。

581 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:29:20.03 ID:hFhRzfxk0
――――

この一年で、遊佐こずえの評価は随分と変わった。


曰く『神秘的な雰囲気がなくなった』。

曰く『コメントが上手くなった』。

曰く『歌唱力が上がった代わりに世界観が変わった』。


多分、どれも当たりだ。

約二年前、デビュー当時は、本当に天才性を露わにしていて、鈴のような歌声も、風に舞う鳥の羽と評されたダンスも、わずかな表情の変化だけで現場を呑み込む演技力も、

露出は多くなかったけれど、表に出れば確実に爪痕を残した。

『何考えてるかわからないのがいい』『歌もダンスも他のアイドルにはない雰囲気がある』なんて評価も頷ける、いわゆるユニーク―他にいない、という意味―な、オンリーワンのアイドルの一人だった。

でも、今はそういう評価は付かない。

実際には、歌なら声量が上がったし、ダンスならスタミナがついて正確になったし、演技力だって色んな形の表現を身に付けて幅が広がっている。

二年前に出来たことのうち、出来なくなったことはない。

それでも、遊佐こずえは、ユニークではなくなったんだ。

582 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:31:05.00 ID:hFhRzfxk0

「アヤ」

「おう」

「スタンバイだよ」

「そうだな。大丈夫?」

「平気。アヤたちは?」

「平気さ。志保も伊吹も、準備できてる」

「ん。いくよー」

「「「おーっ!」」」


だけど、それこそが、あたしにとって『成長する』ということなんだ。

あたしの中から、『子どもらしさ』が零れていくのを、毎日、感じている。

背が伸びる度に、新しいことができるようになる度に、頭の中で言葉を整えるのが早くなる度に、あたしは成長という単語の意味を噛み締める。


あたらしいこずえを、11さいのこずえのことをすきだったふぁんが、どうおもうかは、わからない。


だけど、13歳のあたしは、出来ることを全部ぶつけたい。


全力でやってやる。アイドルだから。

583 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:33:30.78 ID:hFhRzfxk0
――――

「こずえちゃん、ノッてるにゃあ……!」


モニターを見つめるみくの、感心と驚嘆と、わずかな焦燥を孕んだ声。


「羨望……いえ、対抗心?」

「もっちろん! 頑張るからね!! うう、緊張してきたぁ……!」


言葉ほどは緊張した様子もなく、ストレッチにも余念がない。良い傾向だわ。


「適度なストレスは、パフォーマンスを向上させる。推奨するわ。アーニャ。ペアでストレッチを」

「タカミネさん… よろしく、お願いします」

「名前でいいわ。貴女たち二人とは、長く組むつもりだから。対等でありたい。それと、ストレッチの前に」


自分でも、気難しい雰囲気のある外見だとは自覚している。そしてその第一印象に連なる性質は(全てではないが)事実だ。

だが、年下の少女二人に、ゲストというプレッシャーを負わせる私が、歩み寄らないわけにはいかない。


「それほど多くの交流もなかった貴女たちに、ユニットの結成を依頼しておいて、事前練習もライブ告知の仕事も少なくて」


深く、深く頭を下げる。


「……集合する機会を、相互理解の時間を、潤沢に用意できなかったこと。本当に……償いの言葉もないわ」


私が忙殺されていたこと。二人の学校のこと、アーニャの事務所のこと。そんな建前は関係ない。成すべきことを怠った、それは私の責任だ。

584 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:35:00.90 ID:hFhRzfxk0

「え、ええっ!? そ、そんなに、謝らないで、くだ、さい……?」

「ニェット… 謝る、しなくても大丈夫です。私、楽しみにしていました! 前のお仕事でも、とても、親切にしてくれました」


しゃがみ込み、顔を覗き込んでくるアーニャ。にっこりと笑って私の手を取った。


「タカ…… ンー…… ノア、が。仲良くしようと、してくれているの。わかりましたから」

「そ、そう! 大丈夫ですよ! ぁぁいや、ですよじゃなかった…… だッ、大丈夫だよ!!」


みくは、猫の手を作って私の肩をつつき、空いていた左手を取る。徐に顔を上げた私の視線に入ってきたみくの表情は、やはり笑顔。


「みくたちとのあにゃんは、そう、トモダチなのにゃ!!」


両手の先にいる友人たちに向けて、私は口の端を上げながら、意思を伝えた。


「ありがとう」


友人二人は、顔を見合わせてもう一度笑った。


「ストレッチが終わったら、笑顔の練習もしてみるといいにゃ」

「ダー。ステージでは、笑顔、大事です!」


……やはり笑顔も必要だろうか。アイドルだから。
585 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:35:41.84 ID:hFhRzfxk0

――――

「みくもアーニャも、あんなにやるんだ。また、ライバル増えちゃうなー」


肩を竦めて笑うけど、言葉の割に穏やかな笑顔。


「そうね。加蓮は、どんな気持ち?」


わざわざ見せてる矛盾なら、つついてあげないとね。


「うーん。……どう見える?」


質問で返すの、好きね。でも、そういうときに私がどう答えるか、わかりそうなものよね。


「嫌ではなさそうだけど」


まあ、解ってて振ってきたのかな。


「嫌ではないなー。そんなに嬉しくもないけどね」

「ふぅん? どうして?」

「そりゃまあ、特に同年代だと。被ることもあるし」


それはそうね。至極もっともな意見だと思うわ。


「あと、同僚だからって、友達になれるかどうかはね。また別だし」

「それはそうだけど。気にしてるの?」

「今はまだ、何とも思ってないよ」


事務所が違うアナスタシアさんはともかく、所属になる前川さんにこの態度は、少しだけ心配もあるけど、私が気に留めるのは…… 今はまだ、おこがましいかな。

586 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:36:41.59 ID:hFhRzfxk0

「……ねえ、奏」

「何?」

「“Monochrome Memory”と“Nobody Knows”。どのくらい好き?」


私たち二人のユニット、モノクロームリリィの代表曲。今日の演目にももちろん含まれている。そんな二曲への思い入れを問うなんて。唐突な質問に、思わず口から言葉が洩れる。


「……変な質問」


苦笑してから、目を伏せて、心の中から言葉を摘み取る。嘘にならないように、大事に、大事に。


「どっちも、大事な。私たち二人の歌よ」


視線を、加蓮の双眸に絡ませて。


「それ以上の意味が必要?」

「……要らない」


しばしの無言。恐らく、私の言葉を待っている。同じ質問を。儀式みたいなもの、なのかしら。


「加蓮は?」

「比べたくないよ」

「“Trancing Palse”も。私は、好きよ」


さっ、と加蓮の頬に紅が挿す。


「……それは、アタシのほうが好きだよ」

「解ってる」


私は視線を外して、ボトルのストローから水を一口。


「比べないでいてくれて、ありがとう」


椅子を立って、加蓮に手を差し出す。手を取って立ち上がる加蓮に寄り添って、脚の負担を助ける。
587 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:37:58.09 ID:hFhRzfxk0

「今日ね、二人、呼んだんだ」

「知ってる。差し入れ、来てたわね」


渋谷凛と、神谷奈緒。二人名義のスナック菓子の差し入れが、ケータリングスペースに並んでいたことを思い出す。


「絶対に、負けたくない」


加蓮はぼそりと呟いて、私が離そうとしたその手を強く握った。


「……誰に?」

「わかんないけど。負けたくない。……多分、礼子さんにも、みくにも、奏にも、凛にも奈緒にも、他の誰にも、他の何にも、どんなものにも」


ああ。そういうことよね。怪我を押して、曲も振付も減らして、それでもファンの前に立つ。私たちは、戦ってるんだ。


「……大丈夫。あなた自身が育てたアイドルよ」


気休めに聴こえたならごめんなさい。でも、速水奏の、数少ない本音よ。


「……アタシだけが、アタシを育てたわけじゃないよ」


ようやく私の手を離して、クスリと笑った加蓮の顔は、いつもより神々しくさえ見えて。


「大丈夫。あなたが育てたアイドルだよ」


そう言って、移動に付き添うスタッフに掴まってスタンバイ位置に向かう加蓮に、私は言葉を返せなかった。

私だけが、貴女自身だけが、貴女を、私を育てたわけじゃない。貴女も私も解ってる。

今までの全てが私たちを築いてきたんだもの。私たちはいつも、全てを懸けてる。


私たちは戦う。アイドルだから。
588 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:39:07.76 ID:hFhRzfxk0

――――

モノクロームリリィ。憧憬の形を示せ、というなら、ボクにとっての答えは彼女たちだ。

伝説の……とまでは行かないが、ボクがプロジェクト:シンデレラガールズを知った切っ掛けのユニット。

当時は、自分があんな煌びやかな世界に並び立とうとするなんて、露ほども思っていなかったけれど。

二人がいなければ、ボクはこの運命の糸を手に取ることはなかっただろう。

何者でもなかったボクが、外界にボクを示すための『何か』をカタチにするために。

強く、強く輝く彼女たちに、ボクは憧れた。

ボクは、きっと彼女たちに追い付きたいんだ。


「ちょっと見たことがないくらいの気迫だね」


東郷さんは、モニターを見つめて息をついた。


「奏くんか、それともトライアドプリムスか。……はたまた、怪我か。何が彼女を、加蓮くんを変えたんだろうね?」


北条さんを評する内容は、息を呑んで言葉を継げないボクの心を代弁するようだった。

モニターの向こうからでも理解する。客席は静かで、エメラルドグリーンのライトの動きも大きくない。それは北条さんのパフォーマンスに圧倒されていることに他ならない。


「何の喩えも見つからない。これを、煌きと呼ぶんだね。……感服してるよ」


これまでボクが蓄えてきた語彙は、今のボクの心情を表すのに、何の役目も果たそうとはしない。

ただ、心のいちばん外側ににじみ出た、何の飾りもない言葉だけが、ボクの感情の波形を外界に示す。

乱れに乱れた波形。速水奏と北条加蓮の表現を目の当たりにした二宮飛鳥の、悔しくて、嬉しくて、楽しくて、苦しい、ぐちゃぐちゃになったこころのかたち。
589 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:41:56.03 ID:hFhRzfxk0

「ボクは」

「…?」

「ボクは悔しい」

「どうしてだい」

「……単純に、CDの売上だけなら負けてないのに」


数ヶ月前、『Summer Star Stories』という企画に参加した折の話だ。ボクが参加した『Antares』と『Milky Way』は、今年度のセールスランキングでも上々で、担当曲については単独配信の話も上がっている。

翻って、モノクロームリリィだ。この一年、ユニットでの新作のリリースはなく、過去の実績も、活動において右肩上がりのボク(正確にはダークイルミネイト)にとって、それほど高い壁と捉えるほどではない。

順調に数値を伸ばせば―そして、順調に伸びるだろう―比肩できる実感がある。それでも。


「敵わない。敵う気がしない。加蓮さんの気迫にも、奏さんの存在感にも。説明もできないのに」


東郷さんは何も言わない。

ボックスティシュを差し出されて、雫がいくつも頬を伝っていたことに気付く。


「……恥ずかしいところを見せたかな」

「目。こすらないようにするんだよ」


忠告を守り、瞼や頬をティシュで柔らかく抑えれば、涙の跡がぽつぽつと刻まれる。


「……彼女たちは、真のアイドルになったんだなあ」


目を細めた東郷さんは、モニターから視線を外さないまま、溜め込んだ考えを少しずつこぼすように、丁寧に、ゆっくりと呟く。


「誰かの憧れになることは、きっと、アイドルとしての目標の一つだから」


東郷さんが、そっと、ボクと同じように目尻を抑えたように見えたのは、錯覚だったのだろうか。


「私も、君を……いや、誰かを泣かせるようなパフォーマンスを、したいね」

「……ボクもだ。負けたくない」


ボクの発した言葉は、東郷さんには、対抗心や誇りのように聞こえたかもしれない。


「いい言葉だね。さ、出る前にメイクさんに確認してもらうんだよ」

「……そうするよ」


何に『負けたくない』のだろう。東郷さんに?

……多分、事はそう単純でもない。自分への宣誓でもあるんだろう。


憧れも夢も、一種の闘争だ。なればこそ、諦観はしないさ。アイドルだから。
590 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:43:29.98 ID:hFhRzfxk0

――――

「ヤバくない!? あれ」


愛結奈のテンションが若干おかしい。

とはいえ、この大きさのハコで、事務所のオンリーフェスだ。無理もない。

それに何より……


「うん……モノクロームリリィの二人も相当だったけど……二宮さんも入り込んでるなあ」


久美子の言う通りで、出演者のギアの掛かり方が中々尋常じゃない。ピンでモニターに抜かれたときに解るんだけど、眼力ね。

目に現れる力の入り方が、明らかにいつもと違うのよね。


「私たちもアゲていかないとね。礼子さんには恥かかせられないし、そもそも私たちのためにね」

「ん、良い顔してるじゃない」


愛結奈も、軽い緊張感と高いテンションを保った表情だ。


「ワタシ、今回って結構決意表明みたいなところあるからさ」

「決意…… えっ、移籍でもするの?」


久美子のそれはボケのつもりなのかしら……


「むしろ逆! ……バイト辞めたのよ。もう、アイドル一本よ」


愛結奈の返答に、驚愕する久美子。私は、バイトの話しなくなったから、何となく予想は付いてたけど。


「貯金が出来たから?」

「それもあるけど。まあ、礼子さんとガッツリ話させてもらってね」
591 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:45:33.91 ID:hFhRzfxk0

「え、えぇ……今になってそんな重大なこと……」


久美子のショックが大きい。軽く背中をさすってやる。


「社長が、本当に、今回のライブと…… あと事務所をね、大事にしてるって解ったワケ」

「それは解るけど」

「だから、ワタシも礼子さんのコト、ちゃんと支えたい、と。思ったのよ」


頷く私。の横をすり抜けて、久美子が愛結奈の手を取る。


「愛結奈」

「う、うん?」

「私、私っ…… やる。やるわ。任せて。貴女の覚悟を台無しになんて、絶対しない」


熱っぽく語る久美子の目は、燃えていた。そう、意外と熱血タイプというか、根が単純というか。


「それに、気付いたのよ。練習で、あんなに無様を晒したんだから、もう怖くないわ。キレイな私を見せてやるんだ」

「フフッ、ありがと。……千奈美は、何か誓いの言葉みたいなもの、ないの?」


話題を振られた。一つ首を傾げて考えてみる。


「余裕よ……ってことは、ないか」

「ないの!?」

「でも、ま。やってみせるわよ。無様を晒したくはないし、それに……私をここに立たせてくれた人たちに、その選択の正しさを示したい」

「いいわね。それでこそ、ワタシのパートナーたち! ……なんてね♪」


っていうか、負けず嫌いなのよ。アイドルだから。
592 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:47:00.42 ID:hFhRzfxk0

――――

着替え、ヘアセット、メイク直し。全て終わって第二控室に入ったアタシを迎えたのは、一年半ぶりのメンバー。


「お疲れ様。遊佐さんとのステージ、よかったわよ」

「あれは、こずえの仕事ですよ」


声を掛けてくれた千秋さんは微笑んで、目を細めた。


「そういうことにしておくわね」

「泣いたわよ、って。言わなくていいの?」


千夏さんの横槍。アタシは思わず、えっ、と変な声を上げて千秋さんの顔を見直す。


「ッッ、そ、それは…… その…… ええ。はい。どうしてかしらね、遊佐さんと二人で、笑顔で顔合わせてるところを見たら。何故か」


千秋さんの素直な評。同じアイドル、しかも自分のデビュー当時の同僚が、今の自分のステージで泣いた、という。ファンが泣いた、のとはワケが違う、気がする。


「……あ、ありがとう……?」

「なんでおっかなびっくりなのよ」


苦笑いする礼子さん。……トレーナーさんが、膝のテーピングを直してる。


「いや、なんか……慣れなくて。礼子さんは、膝、どうですか」

「幸い、今日のところは痛みはないわね。ま、有ろうがなかろうが、ここからは全部やるわよ」

「正直、無理はさせたくないんですけど」


アタシの遠慮がちなつぶやきに、あいさんが横で肩を竦めた。


「みんなそう思ってるよ。だけど、多分、我慢させるほうが、無理なのさ」


礼子さんは、憂慮を払いのけるように手をひらひらと仰ぐ。
593 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:49:34.90 ID:hFhRzfxk0

「流石に今回は許してよ。まあ、ほら。このステージはね、私の夢なのよ」

「夢」


その言葉は、礼子さんにとったら、どんなに重いだろうか。


「無茶苦茶なオファーもあって、でもお金とコネが欲しくてガンガンやってさ」


木場さんとアメリカを仕事で駆け回り、帰国するやジューシーパーティの社長として旗印となった人。


「会社作ってからも、いーっぱい色んな仕事して。私だけじゃなく、みんなにも色んな仕事してもらって。泣かれたこともあったなあ」


色んな願いや想いを背負ったり選んだり、たくさんの人と出会って別れてぶつかり合って、たくさんの取捨選択を繰り返して。


「でも、泣いたり怒ったり、そういうのをしたりされたりして、それでも私が振り続けた旗の下、やっとこのハコを埋めるに至ったわけよ」


プロジェクト:シンデレラガールズが興る前から走ってきた人にとって、その“夢”は、どんなに重いだろうか。アタシは何も言えない。


「まだまだ、たくさんの夢があるし、それがどうなるかは解らないけどね」


顔を上げて、モニターを見据える礼子さんの目は、とても穏やかだ。


「でも、今、カタチになったこの夢のひとつを、フワッとした感じで終わらせたくないのよ」


みんなの視線が集まる中、礼子さんは改めて視線を自分の膝に落として、そっと、テーピングでガチガチになったそれを撫でる。


「どうせ夢を見るなら、全部投げ出して、全身全霊で夢を見たい」


衣装さんが、テーピングを隠すための黒タイツを履かせると、膝の古傷は、まるきり無いものとして姿を隠す。本当は、そんなことないのに。
594 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:50:34.52 ID:hFhRzfxk0

「三十路もとっくに過ぎたって、社長の肩書があったって、膝が壊れてたって、私は」


四人と、そこに居合わせたスタッフたちの顔を見渡した礼子さんは、静かに、諭すように言葉を紡ぐ。


「アイドルだから」
595 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:51:03.77 ID:hFhRzfxk0


アタシは、本番前だっていうのに、涙が止まらなかった。


596 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:52:11.28 ID:hFhRzfxk0

『全部投げ出して、全身全霊で夢を見る』

そんなこと、アタシは考えたことがなかった。

今の生活が楽しくて、不満はなくて、不安もそんなになくて。

叶いそうもない大きな夢は、見上げるだけにしておいて。

小さな夢に軽く触れて、満たされたような気分を味わうだけで、その終わりへと漫然と歩んでいたんだ。
597 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:53:00.30 ID:hFhRzfxk0

礼子さんは、速水さんは、北条さんは、この事務所のみんなは、礼子さんが見込んだ人たちは、違う。

壁を恐れない。不可能を恐れない。戦うことを恐れない。

夢が叶うか叶わないかは結果論だけど、夢を持つことを否定したりはしないんだ。


燃え上がる心を、自ら抑えたりは、しないんだ。

夢を見ることを、恐れたりは、しないんだ。

598 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:54:12.70 ID:hFhRzfxk0

アタシの流れる涙は、止まらない嗚咽は、きっと情熱が燃え上がる証だ。

今、はっきり思った。

この胸の、真っ赤に燃える熱い炎を、全力でステージに、ファンに、アタシ自身にぶつけたい。

そうだよ、アタシだって。ただの喫茶店の店員じゃないんだ。

599 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 04:57:18.57 ID:hFhRzfxk0


アイドルだから!!!


600 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/09/20(火) 05:02:21.33 ID:hFhRzfxk0
――――

レギュラーはアヤ志保千奈美と伊吹です。

……今回、志保と伊吹が3分の1行しか喋っていない……? レギュラーとは……?
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/20(火) 08:35:01.72 ID:qe1du6jPo
こずえが13歳になってるということは2年の月日が流れたのね
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/20(火) 09:12:32.89 ID:Jpk5OlSSO
再登場したこずえがカタカナ漢字喋ってたからあれーっおかしいなーと思ったらこういうことかよ!
よ、ようせいさん…!!(目頭を押さえる)

モノクロームリリィの二人のパートすき
まず捏造曲のタイトルがすき

SSで泣いたの久し振りやぞ
朝からなんちゅーもん読ませてくれはりますのや…(ありがとう)
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/22(木) 12:35:35.30 ID:++saFWbC0
作中時間2年も経ってたのか。精々数か月かと。
そう考えると、千奈美の焦りや燻りみたいな独白も印象が変わってくるなぁ。
アヤも色々覚悟が決まったっぽいけど、「カフェ店員」の意識も強そうだった志保はどうなってるのだろうか。
604 : ◆S0mvz1PntgQY [sage saga]:2016/09/22(木) 17:28:22.54 ID:D/hhePdJo
【補足】
インタビューで「昨年の8月にデビューした」という発言と、
「8月のイベントでMCをした(=最初話していた仕事)」という発言をしています。
その後、年末年始の帰省、夏祭り等を経て今回のクリスマスライブなので、
開始時点でデビュー(初期設定年齢)から一年以上、劇中では一年半ほど経っていることになります。

長くなってしまって、時系列や関係性を読み取りにくい部分や、矛盾している部分があると思います。
不明な点や解釈に迷うところ等、ご質問には答えられる(≒考えてある)範囲でお答えします。
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/25(日) 17:58:43.84 ID:67xS8oj4O
下手なこと聞くと先の展開のバレに関わるのではと震えており、質問するにしても終わってからにしたい模様
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 00:47:23.01 ID:/WeB6Rg30
確かに作中で明確に時間経過を示すイベントは行われていたんだな。原作が一種のサザエさん時空だから全く意識してなかったわ。
ちょっと他のSSでは見ないくらいにアイドル描写が生々しいくらいにリアルだから、このまま時間経過していった各アイドルたちがどうなっていくのかダイジェストでも見てみたい気がしてくる。
ダークイルミはいつまであの方向性を貫くのか、とか。
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 02:23:43.37 ID:Z6I0N6gxO
つづきはよ
608 : ◆S0mvz1PntgQY [sage]:2016/10/20(木) 12:47:27.12 ID:hcrfrzSxO
保守です。
月産のつもりで書いてたけど間に合わなかった。

新宿地下のデレステ展示、ホテムンの背後が木場さんとアヤ(と亜季さん)だったんですよ。(グラジオラスちしき
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/22(土) 23:58:36.79 ID:kfs6AGwfO
まだかなー
610 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:43:29.98 ID:nSKR7Chn0

「いっぱい踊って、いっぱい歌って。楽しかったなー」


とっくに出番が終わっていた伊吹ちゃん。もう、シャワーも着替えも全部終わり、ケータリングから回収してきたコーラにストローを立てて、ぼんやりとモニターを眺めてる。


「まだだろ」


ついさっき、レッドバラードとしてのパフォーマンスで今日のお仕事が終わったアヤちゃんは、まだバッチリキメキメのままだ。

タオルを首にかけて、真剣な顔でモニターを見つめる。


「千奈美ちゃんが、いるからね」


そして、伊吹ちゃんと一緒に出番が終わった私は、というと。シャワーを浴びたりメイクを直したりという時間は惜しくて、汗の始末だけして、ライブTシャツに袖を通している。プリン美味しい。


「お疲れ様」


控室に来たのは、黒川さんと相川さん。私物だというアクセサリのいくつかを外しただけで、アヤちゃんと同じようにまだ臙脂色のドレス(レッドバラードの衣装だね)を着たまま。
611 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:45:24.65 ID:nSKR7Chn0

「お疲れ様です! かっこよかったですよ♪」

「ありがとう。槙原さんたちもね。ソファ、座らせてもらうわね」


そう言った相川さんは、飲み物のボトルとコーヒーゼリーをガラステーブルに置いて、革張りの椅子に腰掛けた。


「始まる」


モニターの向こう。MCが終わり、ステージの照明が一度落ちる。客席では、次の曲を期待しているのだろう。コンサートライトがさざめく。

もちろん、私たちは知ってる。千奈美ちゃんにとって…いや、私たちにとって、因縁の曲だ。


「……見に来たのかな」

「確認はしてないけど……来てくれてるといいね」


アヤちゃんの言葉に、私は小さく頷いて返す。

モニターに映るステージでは、千奈美ちゃんをセンターに、浜川さんと松山さん。三人のシルエットが伸びる。

艶っぽく鳴るエレキギターのメロディと、軽快さを意識してジャジーに弾むドラムワーク。

三人のコケティッシュなダンスと同時にステージを切り裂くのは、青系のライトを中心にした、クールで切なげな演出。


「あれ? 持ち歌じゃないわよね? どこかで聞いたことあるんだけど……」


黒川さんが首を傾げる。そうですよね、さすがにレッスン見る時間ないですよね。
612 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:46:30.84 ID:nSKR7Chn0

ステージの上の三人が、見事なダンスと歌唱で客席にどよめきを広げていく。

浜川さんの強さを押し出すキレのあるダンス、松山さんの繊細で美麗な表現。

そして千奈美ちゃんの、二人を引っ張り上げながらアリーナ全てを薙ぎ払う、強烈な圧の歌声。


「……“夜明けのハイペリオン”」

「誰の曲?」


意外なことに相川さんが曲名を答えてくれて、黒川さんがもう一度質問を乗せて来る。


「“サイレントウィンド”です」


モニターから片時も目を離さないアヤちゃんが答えた。


「“サイレントウィンド”の2ndシングルのA面。一年半前、あいつが初めて制作に関わった楽曲で」


アヤちゃんは涙声で続ける。


「あいつが、千奈美が、歌の仕事で、正面から負けて、悔しくて一晩泣いてた」


堪え切れない様子で、何度か鼻をすすって。……アイドルのする顔じゃないね。


「でも、今日は……今日は、さぁっ、笑顔、で、かっこよくって」


ぐずっ、と声を詰まらせたアヤちゃんは、伊吹ちゃんに、ぽん、と背中を叩かれ、言葉が途切れた。

もう、言葉を紡ぎ出すには限界みたいで。涙を溢れさせながらも、口を真一文字に結んでモニターを見詰めているのは、全て見届けてるために崩れてしまわないよう頑張っているから、なんだろう。

代わって、伊吹ちゃんが口を開いた。


「今日の千奈美、今まででいちばんキラキラしてる」


そうだね。キラキラしてて。

私たちが知ってる千奈美ちゃんじゃ、ないみたい。
613 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:48:47.38 ID:nSKR7Chn0

――――

To:小室さん 今日は [お呼びいただいてありがとうございました。クロックワークボイジャー、素敵でした。あと、カバーでハイペリオン来るとは思ってなかったので、本当にびっくり。音葉さんなんてあのあと「なまらびっくりした」って言ってました。ひみつですよ。]

To:小室さん 追伸 [今度また一緒に歌の仕事したいです。事務所に掛け合ってみますね。次はあんな騙し討ちしませんし、させません。     一年半前は、ごめんなさい。]

614 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:49:21.39 ID:nSKR7Chn0

――――

To:グラジオラス小室 (無題) [お疲れ様です。お招きいただきありがとうございました。ハイペリオン、楽しそうに歌ってもらえて。なんというか、とても嬉しかったです。文香さん共々、控室に挨拶行けなくて申し訳ありません。またいずれ。   OTOHA]

615 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:50:46.40 ID:nSKR7Chn0

――――

愛結奈「終わったーーーッ!」

久美子「愛結奈、千奈美、お疲れ様!! キレイだったわよ!!」

愛結奈「久美子のおかげよ! さーてと乾杯のビール貰ってくるわねーー!」

久美子「はーい私カシオレでよろしく…… 千奈美?」

千奈美「……うん」

久美子「……千奈美っ」

千奈美「ん? え、なに?」

久美子「大丈夫?」

千奈美「え、う、うん。終わったんだな、って、なんか……終わっちゃったんだーって……」

久美子「感慨に浸る感じ?」

千奈美「……かな。お客さん、凄かった。まだ席にたくさんいるし」

久美子「そうね、すぐ出られないくらいだもんね」

千奈美「終わったんだー……」

久美子「……お疲れ様。三人でステージに立ててよかった。あなたのソロ、裏で観られてよかった。……宝物だわ」

千奈美「え、あ、ありが、あ、あれっ、あれあれ」

久美子「えっ、ちょっとなんでこのタイミングで急に泣くのっ、わータオルタオルー! キレイなメイクが台無し!」

愛結奈「ただい…… わーお。早めにシャワー浴びといでね。……改めて、二人とも、お疲れ様」

616 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:52:11.60 ID:nSKR7Chn0

――――

加蓮『お疲れ。今日のパフォーマンス凄くよかったよー過去イチじゃない? で、無事に終わった?』

飛鳥「……整理しよう。まずはお疲れ様、そしてありがとう。最後の質問については、どうしてボクなんだい」

加蓮『奏が着替え中だったら電話掛け損じゃない』

飛鳥「なるほど、とっくに自らの役目を果たし終えたボクならば、夢想を脱ぎ捨て、さりとて現実に還るでもなく、狭間に漂っているだろうと。その予測は正しかったわけだね」

加蓮『そっちの様子どう?』

飛鳥「先程、舞台の裏でささやかな乾杯を捧げたところさ。大人たちの多くは退廃に身を任せているよ……ボクは林檎ジュースだがね」

加蓮『退廃って。ぐでんぐでんなわけじゃないでしょ』

飛鳥「そ、そりゃそうだけど。……ああいやそれは置いておこう。時に北条さん、脚の傷が疼くようなことはないかい」

加蓮『もしかして心配してくれてる? 今日のことは特に影響なし、だってさ』

飛鳥「貴方は……ボクにとって、尊敬に値する人だからね。刹那の輝きのために、傷をより根深くしたなら…… それは悲しいことだから」

加蓮『そっか、そうなんだ。なんか照れちゃうかも。でもこれでまた、ちょっとダンスはお預け』

飛鳥「影響がなかっただけでも、充分に幸運さ。ボクは安堵してる。速水さんも、安心しているんじゃないかな」

加蓮『ライバル増えちゃうのに、嫌だなあ』

飛鳥「…ライバル?」

加蓮『ライバル。奏も飛鳥もだし、みくとかアナスタシアとか、あと凛とか奈緒とか、他にもたくさん』

飛鳥「……なら、ボクは歩みを止めずにいるよ。先に行く」

加蓮『ふふっ、負けないよ。さて、そのためにアタシは寝ます!』

飛鳥「安らかな眠りを…… ああ、その、北条さん」

加蓮『ん?』

飛鳥「今日のボクの表現がこれまでで最高だったというなら、それはあなたのおかげでもあります。ありがとうございます」

加蓮『……こちらこそ、ありがとう』

617 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:54:00.34 ID:nSKR7Chn0

――――

礼子「テキーラガンガンいっていい?」

あい「営業と総務と経理に怒られるよ」

のあ「先んじて営業部長とマネージャーに確認してある。所長については、明日明後日は実務もアイドル業もオフ、完全オフ日で構わない、との事。……前後不覚になるリスクを容認するかどうかね」

礼子「前後不覚って!」

あい「調子に乗ったときは、前後不覚になるまでいっている、よね?」

礼子「……はい……」

のあ「近日、所長は充分に張り詰めていた。今日ばかりは、私は反対しない」

あい「まあ、私も強くは反対しないよ。……ただし、ホテルに戻ってからだ」

礼子「! 話わかる! それじゃ一足お先に〜♪」

のあ「……機を見るに敏、ね」

あい「元気な人だなあ、本当に」

のあ「だからこそ、興味深い人よ。……貴方も、彼女たちの元には行かないの?」

あい「……酒入れて話すようなことじゃないよ。私にとっては、特にね」

のあ「カクテル一杯でふわふわするものね」

あい「言わないでくれ」

618 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:54:53.67 ID:nSKR7Chn0

――――

みく「木場さんん」

真奈美「お、着替えてきたのか。お疲れ様」

みく「アーニャちゃん、入れ替わりで着替えに行っちゃったから。話し相手になって」

真奈美「随分率直に来たな」

みく「……アーニャちゃんとのあさんと、やっていけるかなあ」

真奈美「考えて決めたんじゃないのかい」

みく「考えたつもりだよ、たくさん」

真奈美「お客さんの反応は、どうだった?」

みく「めっちゃよかった!! 盛り上がってくれた! …と思う」

真奈美「それなら、レッスンは辛かったかい」

みく「うーん? いつもと勝手が違うから、大変ではあったけど……辛くはなかったよ。新しいこといっぱいで、楽しかった」

真奈美「その二つの気持ちは、信じてもいいんじゃあないか」

みく「……うん」

真奈美「何、上手くいきそうになかったらいつでも相談に乗るぞ。うちに来てもいい」

みく「はっ! みくを誘い込もうって魂胆だね! そうはいかないよ! ……いつもいつも、ありがと」

真奈美「ふふふ。こう見えて、アイドル前川みくに期待しているうちの一人だからね」

619 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:57:22.52 ID:nSKR7Chn0

――――

奏「小松さん、ひとり?」

伊吹「ひとり。二人ともシャワー行っちゃったから暇になっちゃったよー。さっき千奈美も行っちゃったし木場さんはあっちだし」

奏「それじゃ、独り者同士で乾杯しましょ」

伊吹「はいよ。悪いねーこっちだけアルコールで」

奏「気にしないで。こんな想いもあと一年だけよ」

伊吹「そだね、乾杯。……Hotel Moonside、よかった。凄くよかった。アタシもあれで踊りたいなあ」

奏「踊ったらいいわ。誰も邪魔なんてしないから」

伊吹「じゃあ、速水さんが焦るくらいにカッコよくキメてみるかなーははっ」

奏「小松さんの本気のダンスじゃ、私では流石に太刀打ちできないかな」

伊吹「ダンスだけならね。でも、あの曲は速水さんの曲だからさ」

奏「やめておく?」

伊吹「歌も含めて練習しとく」

奏「期待してる、って言えばいいのかな。それとも……」

伊吹「待っててよ」

奏「……待ってるわ。気が変わらないうちに、よろしくね」

伊吹「任せて! 今までの、ローカルテレビだけで満足していた小松伊吹はおしまいなんだからね!」

奏「命短し 輝け乙女 …なんてね」

620 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 01:58:36.11 ID:nSKR7Chn0

――――

アヤ「……終わったなー」

志保「終わっちゃったね」

アヤ「思ってたより、いっぱい泣いちまったなあ」

志保「頑張ったもんね」

アヤ「自分のことだけじゃなくて、な」

志保「千奈美ちゃん、凄かったなあ」

アヤ「うん。それが、嬉しかった。別に、もう鷺沢さんたちに変な感情なんてないけど…やっぱりさ」

志保「あの時を思い出した?」

アヤ「…どうなんだろう。あの時から今まで引っかかったままだったものを、飲み込めた? 気がする」

志保「よかったね。……あとはね、観てたお客さんの反応だと思うんですよ」

アヤ「歓声、裏まで聞こえたしな」

志保「お客さん、ほんとに、たーーーーーッくさん! だったよね」

アヤ「…でかいハコってすげーな。みんな、あんなに笑顔で観てくれるんだ」

志保「私、たくさん目合わせたよ! …お客さんも、みんな楽しそうな顔してた」

621 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 02:01:11.25 ID:nSKR7Chn0
アヤ「ファンの顔なァ……キラキラしてたよ。アイドルかよ! ってくらいにな。嬉しかったなぁ」

志保「うん」

アヤ「店もいいんだけどな。こういうところ、また立ちたいなあ……」

志保「そっかあ……」

アヤ「こずえが、言ってたんだ」

志保「うん?」

アヤ「『遊佐こずえはもう、あのふわふわした“ようせいさん”の小学生じゃなくて、成長期の中学生なんだよ』ってさ」

志保「……」

アヤ「『だから、ステージに立てる日は、“今のあたしの全部”だと思って演ってる』って」

志保「……うん」

アヤ「でさ。『アヤたちは?』とも」

志保「私たちかあ」

アヤ「……どうなのかな。今日はさ、そりゃ全部出したつもりだけど」

志保「そんなの。“明日がどんな日になるかは誰だって解らない”ですよ♪」

アヤ「あ、いいこと言っ…… ん? 受け売り?」

志保「…えへへ♪」

アヤ「まあ、合ってるけどさ。先に出て髪の毛乾かしてるから」

志保「はーい♪ ♪〜〜」

622 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 02:02:41.89 ID:nSKR7Chn0

――――

千奈美(遊佐さん、そんなこと言ってたの)

千奈美(ああ、そうか。今日が、今までの全部だから、明日は、今日までの全部)

千奈美(そうだった。前に、観たじゃない)

千奈美(……夢を初めて願って、今日までどのくらい……?)

623 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 02:03:20.00 ID:nSKR7Chn0

――――


――――――――


――――
624 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 02:03:53.23 ID:nSKR7Chn0

――――

千奈美「もしもし、千奈美です。お休みのところすみません。折り入って、お話があるんですけれど」

真奈美『電話は珍しいな。今大学だろう?』

千奈美「二人がいないタイミングで聴きたかったので、この時間になりました」

真奈美『なるほど。……早い方がいいか。明日は学校なかったね?』

千奈美「明日は…… はい、大丈夫です」

真奈美『解った。今日のシフト後、事務所で待っててくれ。私は夕方ちょっと出て深夜戻りだから、寝ててもいいぞ。仮眠室は……うん、シーツは代えておく』

千奈美「わざわざありがとうございます」

真奈美『それじゃ、残りのコマもしっかり。……ライブの疲れは、抜けたか?』

千奈美「流石に三日もあれば余裕です。それじゃあ、お店で。お疲れ様です」
625 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 02:04:32.67 ID:nSKR7Chn0

――――

アヤ「フロアのクローズチェックしたよ」

志保「キッチンは…… 換気扇のスイッチ、オッケー。はい終わり!」

千奈美「お疲れ様」

アヤ「あいよ。じゃあ先帰ってるから」

志保「明日、朝ごはんこっちに食べに来ますね♪」

千奈美「材料あるのよね。じゃあ伝えとく」

アヤ「そんじゃなー。所長によろしく」

千奈美「ええ、気を付けて。おやすみ」

志保「おやすみなさーい♪」

626 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 02:06:29.23 ID:nSKR7Chn0

――――

真奈美(薄々察していたが、いざ、となると。……素直に受け入れるのは、難しいものなんだなあ)


627 : ◆S0mvz1PntgQY [saga]:2016/11/14(月) 02:09:08.91 ID:nSKR7Chn0

――――

レギュラーはアヤ志保千奈美と木場さんと伊吹です。

千奈美のデレステ実装とどっちが早いでしょうね(たのしみ
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 07:20:10.53 ID:oWZHggdko
移籍フラグが…
千奈美なんで来ないんだろうなデレステ
モデリングしやすそうなビジュアルなのにw
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 19:33:58.18 ID:FzfC+YP3o
イラストだといつも髪の毛が変な広がり方しててうねってるから、自然なモデリングは意外と難航しそう。

泣くところの描写すき
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/21(月) 01:14:41.50 ID:mwf0I8HeO
千奈美さんデレステにウェルカム!
631 : ◆S0mvz1PntgQY [sage]:2016/12/20(火) 10:47:15.31 ID:cDIh6JwDO
保守だけさせてくださいまし
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/13(金) 02:53:29.20 ID:bjSaTQVUO
あけおめ
待ってるで
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/05(日) 03:03:58.22 ID:jq6dkQzQO
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/04(土) 13:02:38.56 ID:Z6Vvl9XFO
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/06(月) 08:43:52.12 ID:Ko9DXvHKo
かゆ、うま
636 : ◆S0mvz1PntgQY [sage]:2017/03/18(土) 00:53:02.19 ID:YxnLpBaBo
報告までに

生きてます
爆死もしてません
フランメ三人のデレステSRは無事入手できました
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 01:28:31.39 ID:7L59+QBno
よかった・・・よかった・・・
おめでとうございますまだまだ待ってます
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/11(火) 15:22:35.40 ID:BhqThmHwO
あああ
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/12(水) 05:53:28.53 ID:9hyjfkigo
xyz
640 : ◆S0mvz1PntgQY [sage]:2017/05/19(金) 09:42:31.02 ID:n2BHKKQwO
ほ し ゅ
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 00:01:07.46 ID:Ee6NblGzo
まだ続いてたのか
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/01(土) 19:14:59.58 ID:olFdxDwno
まだ
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 02:02:49.64 ID:w3db+Bico
まだまだ待つ
644 : ◆/8MQwvfiPs :2017/08/23(水) 17:33:27.16 ID:OQI/oEkt0
てす
645 : ◆MANGOwL9L. [sage]:2017/08/23(水) 17:38:08.76 ID:OQI/oEkto
てす
646 :F9 ◆/ef872yRGc [sage]:2017/08/23(水) 17:43:04.12 ID:OQI/oEkto
てす
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 20:06:03.82 ID:IjpYAl03o
どうした、鳥忘れたか
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/22(金) 01:00:43.99 ID:Kp630MwXo
まだまだ保守
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 01:23:26.08 ID:KCQNbXNno
一年経ちそう
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/31(水) 00:48:19.75 ID:eFcpCogpo
待ってるぜ
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 08:07:35.45 ID:IgNzYF5Fo
上げ
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/16(水) 03:25:40.85 ID:S3GQ2JBCo
もう無理なのかな
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/22(水) 06:08:21.95 ID:QMGZvVPwo
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/31(月) 10:47:37.43 ID:9Lgvc+OTo
えええ
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 02:38:46.62 ID:ri3TAUrgo
保守
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/24(日) 07:56:19.81 ID:FOFqAidNo
あいうえお
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/14(金) 01:57:33.17 ID:CZSX4JMfo
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/01(木) 13:47:06.33 ID:nEiavSgoo
生きてるか?
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/04/16(金) 20:58:37.91 ID:TxsY9yo/0
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